(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/6373 20110101AFI20221101BHJP
【FI】
H04N21/6373
(21)【出願番号】P 2019092374
(22)【出願日】2019-05-15
【審査請求日】2021-08-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年3月7日に一般社団法人電子情報通信学会 CQ研究会及び研究会発表申込システム 講演論文 詳細サイト(URL:https://www.ieice.org/ken/paper/20190314O1lC/)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓人
(72)【発明者】
【氏名】松本 存史
(72)【発明者】
【氏名】木村 達明
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-500837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0037270(US,A1)
【文献】木村ほか,ベイズ最適化による動画エンゲージメント制御,電子情報通信学会技術研究報告, [online],一般社団法人電子情報通信学会,2019年03月07日,Vol.118, No.503, CQ2018-100,p.43-48
【文献】木村ほか,QoEを保ちながらトラヒック量を削減する映像ビットレート選択方式,電子情報通信学会技術研究報告,一般社団法人電子情報通信学会,2017年07月20日,Vol.117, No.159,p.111-116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画配信サービスにおけるビットレート制御を実現する制御装置であって、
前記ビットレート制御に用いられる品質目標値を、ベイズ最適化により、所定のエンゲージメント指標値
と所定のコストとが含まれる効用関数が最適となるように算出する算出手段、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記算出手段は、
前記ベイズ最適化における分布の推定及び更新として、品質目標値を入力し、該品質目標値が与えられた場合における前記効用関数
の値の分布を推定及び更新し、
前記ベイズ最適化における獲得関数値の最適化として、前記分布に基づいて、前記効用関数の平均値と、前記
動画配信サービスで配信された動画の視聴回数の自然対数値の平方根に対して前記効用関数の標準偏差を乗じた値との和を最大化する品質目標値を出力する、ことを特徴とする請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
動画配信サービスにおけるビットレート制御を実現するコンピュータが、
前記ビットレート制御に用いられる品質目標値を、ベイズ最適化により、所定のエンゲージメント指標値
と所定のコストとが含まれる効用関数が最適となるように算出する算出手順、
を実行することを特徴とする制御方法。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1
又は2に記載の制御装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インターネットを介した映像配信が広まっている。映像配信事業を行う事業者が事業を継続していくためには、映像(以降では、映像のことを「動画」とも表記する。)の視聴時間をなるべく伸ばすことが重要である。視聴時間はQoE(Quality of Experience)に影響を受けるため(非特許文献1参照)、動画の視聴時間を伸ばすためには、動画のQoEを大きくする必要がある。一方で、QoEを上げ過ぎてしまうと、コストが増大してしまう。ここで、コストとは、動画を視聴する端末(以降、「クライアント」とも表す。)が消費する電力、ネットワーク機器にかかる負荷、動画配信サーバにかかる負荷、動画配信事業者がCDN(Content Delivery Network)に支払う通信料、ユーザ(動画の視聴者)が契約中の通信会社に支払う通信料等を指すものとする。したがって、動画配信においては、視聴時間のようなエンゲージメントとコストとの両方を考慮してQoEの制御を行う必要がある。
【0003】
現在、動画配信を行う際には、ABR(Adaptive Bitrate)を用いることが一般的である。ABRでは、予め動画データを数秒おきのチャンクと呼ばれるデータに切断した上で、各チャンクを複数のビットレートで再エンコードしてサーバに保存している。そして、クライアントは、ネットワーク状況やバッファ量の状況を踏まえて、チャンクごとに適切なビットレートを選択してサーバに要求する、という動作を繰り返す。このとき、ビットレートを選択するアルゴリズムが、最終的な体感品質及びトラフィックコストを大きく左右する要素となっている。したがって、エンゲージメント及びコストを適切に制御するためには、ビットレートの選択を適切に行うことが重要である。
【0004】
また、ビットレート選択アルゴリズムには、これまでにも多くのものが提案されている(例えば、非特許文献2及び3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】P. Lebreton, K. Kawashima, K. Yamagishi and J. Okamoto, "Study on Viewing Time with Regards to Quality Factors in Adaptive Bitrate Video Streaming," 2018 IEEE 20th International Workshop on Multimedia Signal Processing (MMSP), Vancouver, BC, Canada, 2018, pp. 1-6.
【文献】] T.-Y. Huang, R. Johari, N. McKeown, M. Trunnell, and M. Watson. A Buffer-Based Approach to Rate Adaptation: Evidence from a Large Video Streaming Service. In Proc. ACM SIGCOMM, 2014.
【文献】Hongzi Mao, Ravi Netravali, and Mohammad Alizadeh. 2017. Neural Adaptive Video Streaming with Pensieve. In Proceedings of the Conference of the ACM Special Interest Group on Data Communication (SIGCOMM '17). ACM, New York, NY, USA, 197-210.
【文献】木村 拓人, 松本 存史, 奥山 隆文, 岡本 淳. "QoEを保ちながらトラヒック量を削減する映像ビットレート選択方式," 信学技報, vol.117, no.159, CQ2017-49, Jul. 2017
【文献】K. Yamagishi and T. Hayashi, "Parametric Quality-Estimation Model for Adaptive-Bitrate Streaming Services," IEEE Transactions on Multimedia, Vol.19, Issue. 7, pp. 1545-1557, 2017.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の非特許文献2や非特許文献3に示されているように、ビットレート選択アルゴリズムは多くのものが提案されている。しかしながら、それら全てはQoE又はQoEに類する指標(例えば、平均ビットレートやビットレート変動量、停止時間、停止回数の重み付き和等)の最大化を目的としており、エンゲージメントを直接制御する方式は存在しない。
【0007】
仮にQoEの変化に対するエンゲージメントの特性が事前に分かっていれば、目的関数をその特性にしたがって設定すれば制御は可能であるが、この特性は一般に未知である。また、十分にデータを蓄積することができれば、そのデータを元にしてエンゲージメントの特性を解明することはできるが、データが十分に蓄積されるまではエンゲージメントを制御することはできない。更に、エンゲージメントの特性はコンテンツやユーザ、サービスごとに異なるため、それぞれのエンゲージメント特性を明らかにするためには大量のデータが必要となる。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、エンゲージメントとコストとを同時に制御すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の実施の形態における動画制御装置は、動画配信サービスにおけるビットレート制御を実現する制御装置であって、前記ビットレート制御に用いられる品質目標値を、ベイズ最適化により、所定のエンゲージメント指標値が含まれる効用関数が最適となるように算出する算出手段、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
エンゲージメントとコストとを同時に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態における動画制御システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態における動画制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態では、動画配信サービスを対象として、ベイズ最適化を用いることで未知のエンゲージメント特性を推定しながら、エンゲージメントとコストとを同時に制御し、エンゲージメントとコストとでバランスのとれたビットレート制御を実現する動画制御システム1について説明する。
【0013】
ここで、本発明の実施の形態では、上記の非特許文献4に記載されているビットレート選択手法に与えるQoE目標値を最適化することで、エンゲージメント指標とコストとで構成される効用関数の最大化を行う。非特許文献4に記載されているビットレート選択手法は、与えられたQoE目標値を満たしながら、コストを最小化するビットレート選択手法である。
【0014】
ここで、効用関数をUtilityとして、効用関数は、Utility = e - w×cで表されるものである。eはエンゲージメント指標を表し、例えば、e =(視聴時間)/(コンテンツ長)で求めることができる。例えば、コンテンツ長が180秒のコンテンツを135秒間視聴した場合のエンゲージメント指標は、e = 135 / 180 =0.75となる。
【0015】
また、cはコストを表し、例えば、c =(実際に転送したデータ量)/(転送し得る最大のデータ量)で求めることができる。例えば、最大ビットレートが3000kbpsのコンテンツを135秒間視聴し、そのときに転送したデータ量が30MBであった場合、c = 30 / (3000×135 / 8 / 1000) ≒ 0.59となる。QoE目標値は、後述するベイズ最適化を用いて最適化を行う。
【0016】
また、wはエンゲージメントとコストとのバランスをとるための重みを表す実数であり、所与であるものとする。
【0017】
<動画制御システム1の全体構成>
まず、本発明の実施の形態のける動画制御システム1の全体構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における動画制御システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施の形態における動画制御システム1には、動画制御装置10と、1以上のクライアント20と、1以上の動画配信サーバ30とが含まれる。なお、動画制御装置10と、クライアント20と、動画配信サーバ30とは、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して通信可能に接続される。
【0019】
動画制御装置10は、非特許文献4に記載されているビットレート選択手法に与えるQoE目標値を最適化するコンピュータ又はコンピュータシステムである。最適なQoE目標値がビットレート選択手法に与えられることで、エンゲージメントとコストとを同時に制御し、かつ、エンゲージメントとコストとでバランスのとれたビットレート制御が実現される。
【0020】
クライアント20は、動画を視聴するユーザが利用する端末である。クライアント20は、動画制御装置10からのQoE目標値を用いて、適切なビットレートを選択した上で、選択したビットレートの動画データ(チャンク)の配信を動画配信サーバ30に要求する。なお、クライアント20としては、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機器、テレビ、ウェアラブルデバイス等が挙げられる。
【0021】
動画配信サーバ30は、クライアント20に動画を配信するコンピュータ又はコンピュータシステムである。動画配信サーバ30は、クライアント20からの動画データ要求(すなわち、ビットレートを選択した動画データ(チャンク)の配信要求)に応じて、該当のビットレートの動画データを当該クライアント20に配信する。
【0022】
ここで、
図1に示すように、本発明の実施の形態における動画制御装置10は、機能部として、QoE目標値計算部101と、視聴情報更新部102と、分布情報更新部103とを有する。また、本発明の実施の形態における動画制御装置10は、記憶部として、分布情報DB104と、視聴情報DB105とを有する。
【0023】
まず、本発明の実施の形態における動画制御システム1の全体的な動作について説明する。本発明の実施の形態における動画制御システム1は、以下のS1~S5の動作を実行する。
【0024】
S1)動画の視聴開始前に、クライアント20は、QoE目標値計算部101に対して視聴条件を送信する。
【0025】
S2)次に、動画制御装置10のQoE目標値計算部101は、与えられた視聴条件に基づいて、分布情報DB104に格納されている分布情報を取得した上で、取得した分布情報を用いて最適なQoE目標値を計算し、クライアント20に返信する。
【0026】
S3)クライアント20は、受け取ったQoE目標値を満たしながらコストを最小化するビットレートを選択し、視聴時間、トラフィック量及び推定QoE値を得る。そして、クライアント20は、これら視聴時間、トラフィック量及び推定QoE値を視聴情報更新部102に送信する。なお、このとき、クライアント20は、視聴時間、トラフィック量及び推定QoE値と共に視聴条件を送信してもよい。
【0027】
S4)動画制御装置10の視聴情報更新部102は、視聴条件、視聴時間、トラフィック量及び推定QoE値に基づいて、視聴情報DB105に格納されている視聴情報を更新する。
【0028】
S5)また、上記のステップS1~S4とは非同期に(又は上記のステップS1~4と同期して)、定期的に、分布情報更新部103は、視聴情報DB105から視聴情報を取得した上で、取得した視聴情報に基づいて、分布情報DB104に格納されている分布情報を更新する。
【0029】
上記のS1~S5の動作により、本発明の実施の形態における動画制御システム1は、視聴条件ごとに、QoE値に対する効用関数の分布情報を更新しながら、同時にQoE目標値を最適な値に収束させることができる。ここで、上記の視聴条件とは、コンテンツ種別、ユーザ種別若しくはサービス種別のいずれか、又は、これらのうちの2つ以上を組み合わせた組のことを表す。
【0030】
分布情報DB104には、上記の視聴条件ごとに、効用関数の分布情報が格納されている。ここで、分布情報DB104に格納されている分布情報の一例を
図2に示す。
図2に示す各分布情報には、視聴条件と、各QoE値に対する平均μのリストと、各QoE値に対する標準偏差σのリストと、視聴回数とが含まれる。
図2に示す例では、平均μのリスト及び標準偏差σのリストは、長さが401のリストである。これらのリストにおいて、i(ただし、i∈{0, 1, ・・・, 400})番目の要素は、QoE目標値が(i + 100)/100の時の推定分布における平均値と標準偏差とをそれぞれ表している。
【0031】
また、視聴情報DB105には、上記の視聴条件ごとに、視聴情報が格納されている。ここで、視聴情報DB105に格納されている視聴情報の一例を
図3に示す。
図3に示す各視聴情報には、視聴条件と、推定QoEと、効用関数値とが含まれる。推定QoEを得るための推定モデルは任意のモデルを用いればよく、例えば、上記の非特許文献5に記載されているものを用いればよい。本発明の実施の形態では推定QoEの計算をクライアント20が行っているが、これに限られず、例えば、推定QoEの計算に必要な情報をクライアント20から視聴情報更新部102に送信し、視聴情報更新部102で推定QoEを計算してもよい。
【0032】
なお、効用関数値は、Utility = e - w×cにより計算されるが、e及びcの少なくとも一方は、クライアント20で計算されてもよいし、視聴情報更新部102で計算してもよい。視聴情報更新部102でeやcを計算する場合、例えば、クライアント20から視聴時間及びトラフィック量に加えて、「コンテンツ長」や「転送し得る最大のデータ量」が視聴情報更新部102に送信されればよい。又は、視聴情報更新部102は、例えば、視聴条件に含まれるコンテンツ種別等から「コンテンツ長」や「転送し得る最大のデータ量」を特定してもよい。
【0033】
次に、QoE目標値計算部101及び分布情報更新部103の詳細な動作について説明する。以降で説明するように、QoE目標値計算部101はベイズ最適化における獲得関数値の計算を行い、分布情報更新部103はベイズ最適化における分布の更新を行う。これらが繰り返し実行されることで、QoE目標値が最適化される。
【0034】
QoE目標値計算部101は、クライアント20から受け取った視聴条件に基づいて、分布情報DB104にアクセスし、当該視聴条件に対応する分布情報を取得する。次に、QoE目標値計算部101は、UCB(Upper Confidence Bound)スコアを各QoE目標値に対して計算する(つまり、本発明の実施の形態では、ベイズ最適化の獲得関数値として、UCBスコアを用いる。)。UCBスコアをUCB Scoreとして、UCBスコアは、UCB Score = μ + αt×σで計算される。ここで、
【0035】
【数1】
であり、tは視聴回数、logは自然対数である。
【0036】
そして、QoE目標値計算部101は、UCBスコアが最大となるQoE目標値を計算し、クライアント20に返信する。なお、本発明の実施の形態では、UCBスコアが最大となるQoE目標値をQoE目標値計算部101が計算するものとしたが、これに限られず、例えば、UCBスコアが最大となるQoE目標値を視聴情報更新部102が事前に計算してもよい。
【0037】
分布情報更新部103は、クライアント20から受け取った視聴条件に対応する(1つ以上の)視聴情報を視聴情報DB105から取得し、これらの視聴情報を用いて分布情報DB104を更新する。本発明の実施の形態では、一例として、或る視聴条件に関する視聴が3回であり、そのときのQoE値がそれぞれx = (x1, x2, x3)、効用関数値がy = (y1, y2, y3)であった場合について説明する。なお、x及びyはそれぞれ横ベクトルで表されているものとする。
【0038】
このとき、QoE目標値がaである場合の平均値μ(a|y)を以下の式で定義する。
【0039】
【0040】
【数3】
である。上記のσ
0
2及びλはそれぞれ予め設定されているものとする。
【0041】
また、QoE目標値がaである場合の分散σ2(a|y)を以下の式で定義する。
【0042】
【数4】
ただし、s(a, x) = [k(a, x
1), k(a, x
2), k(a, x
3)]であり、その他の定義はμ(a|y)に用いた定義と同じであるとする。
【0043】
分布情報更新部103は、上記のμ(a|y)及びμ(a|y)に対して、a = 1.00から0.01刻みで5.00までの401通りのaに対する値を計算し、それぞれ長さ401の配列とする。そして、分布情報更新部103は、その配列を用いて、分布情報DB104に格納されている分布情報を更新する。
【0044】
<動画制御装置10のハードウェア構成>
最後に、本発明の実施の形態における動画制御装置10のハードウェア構成について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明の実施の形態における動画制御装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0045】
図4に示すように、本発明の実施の形態における動画制御装置10は、ハードウェアとして、入力装置201と、表示装置202と、外部I/F203と、RAM(Random Access Memory)204と、ROM(Read Only Memory)205と、プロセッサ206と、通信I/F207と、補助記憶装置208とを有する。これら各ハードウェアは、それぞれがバスBを介して通信可能に接続されている。
【0046】
入力装置201は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル等である。表示装置202は、例えばディスプレイ等である。なお、動画制御装置10は、入力装置201及び表示装置202の少なくとも一方を有していなくてもよい。
【0047】
外部I/F203は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体203a等がある。動画制御装置10は、外部I/F203を介して、記録媒体203aの読み取りや書き込み等を行うことができる。記録媒体203aには、例えば、動画制御装置10が有する各機能部(つまり、QoE目標値計算部101、視聴情報更新部102及び分布情報更新部103)を実現する1以上のプログラム等が記憶されていてもよい。
【0048】
RAM204は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM205は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。ROM205には、例えば、OS(Operating System)に関する設定情報や通信ネットワークに関する設定情報等が格納されている。
【0049】
プロセッサ206は、例えばCPU(Central Processing Unit)等である。動画制御装置10が有する各機能部は、ROM205や補助記憶装置208等に格納されている1以上のプログラムがRAM204上に読み出されて、プロセッサ206が処理を実行することで実現される。
【0050】
通信I/F207は、動画制御装置10を通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。
【0051】
補助記憶装置208は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。補助記憶装置308に格納されているプログラムやデータには、例えば、OS、当該OS上で各種機能を実現するアプリケーションプログラム、動画制御装置10が有する各機能部を実現する1以上のプログラム等がある。
【0052】
また、動画制御装置10が有する各記憶部(つまり、分布情報DB104及び視聴情報DB105)は、例えば補助記憶装置208を用いて実現可能である。
【0053】
本発明の実施の形態における動画制御装置10は、
図4に示すハードウェア構成を有することにより、上述した各種処理を実現することができる。なお、
図4に示す例では、本発明の実施の形態における動画制御装置10が1台の装置(コンピュータ)で実現されている場合を示したが、これに限られない。本発明の実施の形態における動画制御装置10は、複数台の装置(コンピュータ)で実現されていてもよい。また、1台の装置(コンピュータ)には、複数のプロセッサ206や複数のメモリ(RAM204やROM205、補助記憶装置208等)が含まれていてもよい。
【0054】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、本発明の実施の形態におけるエンゲージメント指標は、視聴時間に限定されるものではなく、明示的な動画への評価結果や、外部センサから取得したユーザの満足度等が用いられてもよい。また、コストもトラフィックコストに限定されるものではなく、通信を行うために掛かった費用等が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 動画制御システム
10 動画制御装置
20 クライアント
30 動画配信サーバ
101 QoE目標値計算部
102 視聴情報更新部
103 分布情報更新部
104 分布情報DB
105 視聴情報DB