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特許7167976エポキシ樹脂組成物、成形材料の製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物、成形材料の製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/24 20060101AFI20221101BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20221101BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20221101BHJP
   B29C 70/42 20060101ALI20221101BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20221101BHJP
   C08K 5/101 20060101ALI20221101BHJP
   C08G 59/46 20060101ALI20221101BHJP
   B29K 63/00 20060101ALN20221101BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20221101BHJP
【FI】
C08J5/24 CFC
B29C43/34
B29C70/16
B29C70/42
C08L63/00 C
C08K5/101
C08G59/46
B29K63:00
B29K105:08
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020205361
(22)【出願日】2020-12-10
(62)【分割の表示】P 2019554943の分割
【原出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021055103
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2018186769
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】寺西 拓也
(72)【発明者】
【氏名】太田 智
(72)【発明者】
【氏名】市野 正洋
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/053372(WO,A1)
【文献】特開2017-149988(JP,A)
【文献】特開2017-002202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/24
B29C 43/34
B29C 70/16
B29C 70/42
C08L 63/00
C08K 5/101
C08G 59/46
B29K 63/00
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化基材に含浸させて成形材料を製造するためのエポキシ樹脂組成物であって、ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレート、ペンタエリスリトールモノオレートおよびオレイン酸ブチルから選ばれる一種以上の不飽和脂肪酸エステル化合物を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
繊維強化基材に含浸させて成形材料を製造するためのエポキシ樹脂組成物であって、ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、ソルビタントリオレートを含み、融点または流動点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物の含有量がエポキシ樹脂100質量部に対し0.05~5質量部であるエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
繊維強化基材に含浸させて成形材料を製造するためのエポキシ樹脂組成物であって、ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、不飽和脂肪酸と一価の脂肪族アルコールとのエステル化合物であって融点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
融点または流動点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物の含有量がエポキシ樹脂100質量部に対し0.05~5質量部である、請求項1または3に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
繊維強化基材に含浸させて成形材料を製造するためのエポキシ樹脂組成物であって、ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、不飽和脂肪酸とポリオキシエチレンソルビタンまたはペンタエリスリトールとのエステル化合物であって融点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
繊維強化基材に含浸させて成形材料を製造するためのエポキシ樹脂組成物であって、ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、不飽和脂肪酸とソルビタンとのエステル化合物であって融点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物を含み、融点または流動点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物の含有量がエポキシ樹脂100質量部に対し0.05~5質量部であるエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
繊維強化基材に含浸させて成形材料を製造するためのエポキシ樹脂組成物であって、ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、不飽和脂肪酸とポリオキシエチレンソルビトールとのエステル化合物であって融点が25℃以下かつ1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数が5.0以下である不飽和脂肪酸エステル化合物を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
前記不飽和脂肪酸エステル化合物の1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数が2.0以上である、請求項またはに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
前記不飽和脂肪酸エステル化合物の1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数が3.0以上である、請求項またはに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
融点または流動点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物の含有量がエポキシ樹脂100質量部に対し0.05~5質量部である、請求項5、7、8および9のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
前記不飽和脂肪酸とソルビタンとのエステル化合物であって融点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物の1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数が2.0以上である、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
前記不飽和脂肪酸とソルビタンとのエステル化合物であって融点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物の1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数が3.0以上である、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂とフェノールノボラック型エポキシ樹脂とを含更に、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレート、ペンタエリスリトールモノオレートおよびオレイン酸ブチルから選ばれる一種以上の不飽和脂肪酸エステル化合物、不飽和脂肪酸と一価の脂肪族アルコールとのエステル化合物であって融点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物、不飽和脂肪酸とソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタンまたはペンタエリスリトールとのエステル化合物であって融点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物、若しくは、不飽和脂肪酸とポリオキシエチレンソルビトールとのエステル化合物であって融点が25℃以下かつ1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数が5.0以下である不飽和脂肪酸エステル化合物を含む、エポキシ樹脂組成物。
【請求項14】
2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)]エチル-s-トリアジンを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
140℃で7分以内に硬化する、請求項1~14のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項16】
ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレート、ペンタエリスリトールモノオレートおよびオレイン酸ブチルから選ばれる一種以上の不飽和脂肪酸エステル化合物を含むエポキシ樹脂組成物で強化繊維基材を含浸させることを含む、成形材料の製造方法。
【請求項17】
ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、不飽和脂肪酸と一価の脂肪族アルコールとのエステル化合物であって融点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物を含むエポキシ樹脂組成物で強化繊維基材を含浸させることを含む、成形材料の製造方法。
【請求項18】
ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、不飽和脂肪酸とソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタンまたはペンタエリスリトールとのエステル化合物であって融点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物を含むエポキシ樹脂組成物で強化繊維基材を含浸させることを含む、成形材料の製造方法。
【請求項19】
ジシアンジアミドおよび25℃で固体のイミダゾール化合物を含むとともに、不飽和脂肪酸とポリオキシエチレンソルビトールとのエステル化合物であって融点が25℃以下かつ1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数が5.0以下である不飽和脂肪酸エステル化合物を含むエポキシ樹脂組成物で強化繊維基材を含浸させることを含む、成形材料の製造方法。
【請求項20】
前記強化繊維基材が炭素繊維からなる、請求項16~19のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項21】
請求項16~20のいずれか一項に記載の製造方法で成形材料を製造することと、その成形材料をプレス成形することとを含む、繊維強化複合材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物、成形材料の製造方法、及び繊維強化複合材料の製造方法に関する。
本願は、2018年10月1日に、日本で出願された特願2018-186769号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
強化繊維とマトリクス樹脂とを含有する繊維強化複合材料は、力学物性に優れる等の理由から、自動車等の産業用途等に幅広く用いられており、近年ではますます適用範囲が拡がってきている。繊維強化複合材料を得るための成形材料としては、例えば、強化繊維にマトリクス樹脂組成物が含浸されたシート状のプリプレグが知られている。プリプレグが複数積層されたプリプレグ積層体を加熱加圧して成形することで繊維強化複合材料が得られる。
【0003】
マトリクス樹脂組成物としては、含浸性や耐熱性に優れる点から、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を含有する熱硬化性樹脂組成物が用いられることが多い。なかでも、耐熱性、成形性に優れ、より機械強度が高い繊維強化複合材料が得られるため、エポキシ樹脂組成物が幅広く使用されている。
【0004】
エポキシ樹脂は硬化収縮が小さく、金属への親和性が高いことから、他の樹脂に比べてプレス成形で使用される金型からの脱型性が悪い。そのため、金型占有時間が長くなり、生産性が低下する傾向がある。また、金型に強固に密着した繊維強化複合材料を脱型しようとすると、繊維強化複合材料に負荷がかかる。そのため、エポキシ樹脂組成物を用いた成形には離型剤が用いられている。
【0005】
離型剤としては、金型の樹脂接触面に塗布するタイプの塗布型離型剤(外部離型剤)が知られている。しかし、外部離型剤は、離型性を確保するために、成形の都度、金型に離型剤を塗布しなければならず、手間や時間が掛かるため、成形サイクルが長くなるという問題点がある。
【0006】
離型剤としては、マトリクス樹脂組成物に配合(内部添加)するタイプの内添型離型剤(内部離型剤)も知られている。特許文献1には、パーフルオロアルキル基を有し、融点あるいは流動点が25℃以上、100℃以下である内部離型剤を含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。
【0007】
成形時間を短縮して成形コストの低減を図る成形方法として、ハイサイクルプレス成形が知られている(特許文献2)。ハイサイクルプレス成形では、製品の大量生産を可能にするために、高圧下において、100~150℃程度での数分から数十分程度の短時間の加熱で熱硬化性樹脂組成物を硬化させる。そのため、ハイサイクルプレス成形に使用される熱硬化性樹脂組成物は、前記の条件で硬化する速硬化性が必要とされる。しかし、速硬化性を高めると、硬化時間が短いために、成形時に内部離型剤が樹脂と金型の間に充分に移行しにくく、繊維強化複合材料の金型からの脱型性が低下する。このように、速硬化性と脱型性を両立することは困難である。
【0008】
さらに、プリプレグのような連続繊維が使用される成形材料は、シートモールディングコンパウンド(SMC)のような非連続繊維が使用される成形材料に比べて、成形時の樹脂流動が少ない。そのため、内部離型剤が樹脂と金型の間に移行することがより困難になり、金型からの脱型性が低下する傾向が顕著になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】日本国特開2017-203108号公報
【文献】国際公開第2004/48435号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
速硬化性のマトリクス樹脂組成物と連続繊維を含む成形材料において、脱型性を向上させる方法としては、室温で液状の内部離型剤を使用し、予めマトリクス樹脂組成物の表面に内部離型剤をブリードアウトさせた状態にする方法が考えられる。特許文献1には、このような内部離型剤として、液状のパーフルオロアルキル基を有する内部離型剤が開示されている。しかし、このような内部離型剤を用いると、成形材料の表面に保護フィルムを設けた際に、保護フィルムが浮いて剥がれやすくなる。
また、従来のプリプレグでは、製造工程で使用される工程紙(離型紙)を成形作業時に剥がす際、離型紙が剥がしづらく、手間や時間がかかることがある。フィルム浮きと離型紙剥離性は相反する性能であり、これらの両立は困難である。
【0011】
本発明は、フィルム浮きを抑制でき、離型紙剥離性に優れ、また金型からの脱型性に優れた繊維強化複合材料を製造できる成形材料、繊維強化複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の構成を有する。
[1]成分(A):エポキシ樹脂と、
成分(B):エポキシ樹脂硬化剤と、
成分(C):融点又は流動点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物と、
を含むエポキシ樹脂組成物が、強化繊維基材に含浸されている成形材料。
[2]前記不飽和脂肪酸エステル化合物がオレイン酸エステル化合物である、[1]に記載の成形材料。
[3]前記不飽和脂肪酸エステル化合物の1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数が2.0以上である、[1]又は[2]に記載の成形材料。
[4]前記不飽和脂肪酸エステル化合物の1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数が3.0以上である、[3]に記載の成形材料。
[5]前記成分(A)の100質量部に対する、前記成分(C)の含有量が0.05~5質量部である、[1]~[4]のいずれかに記載の成形材料。
[6]前記成分(C)が内部離型剤である、[1]~[5]のいずれかに記載の成形材料。
[7]前記強化繊維基材に含まれる強化繊維が連続繊維である、[1]~[6]のいずれかに記載の成形材料。
[8]前記エポキシ樹脂組成物が140℃で7分以内に硬化する、[1]~[7]のいずれかに記載の成形材料。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の成形材料の硬化物である、繊維強化複合材料。
[10][1]~[8]のいずれかに記載の成形材料をプレス成形する、繊維強化複合材料の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の成形材料によれば、フィルム浮きを抑制でき、離型紙剥離性に優れ、また金型からの脱型性に優れた繊維強化複合材料を製造できる。
本発明の繊維強化複合材料は、フィルム浮きを抑制でき、離型紙剥離性に優れ、また金型からの脱型性に優れる。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、フィルム浮きを抑制でき、離型紙剥離性に優れ、また金型からの脱型性に優れた繊維強化複合材料を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の用語の定義は、本明細書および請求の範囲にわたって適用される。
「エポキシ樹脂」は、分子中にエポキシ基を1つ以上有する化合物である。単官能エポキシ樹脂はエポキシ基が1つの化合物、二官能エポキシ樹脂はエポキシ基が2つの化合物、三官能エポキシ樹脂はエポキシ基が3つの化合物、四官能エポキシ樹脂はエポキシ基が4つの化合物である。
「融点」又は「流動点」はカタログ値を採用できる。カタログ値が記載されていない場合は、示差走査熱量測定(DSC)によるDSC発熱曲線上の融点に起因する最も低温側のピークにおいて、吸熱開始側におけるベースラインと変曲点の接線との交点に対応する温度とする。
「強化繊維基材」は、強化繊維の集合体である。強化繊維基材としては、具体的には、強化繊維束、チョップド強化繊維束が二次元ランダムに積み重なったシート状物等が挙げられる。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0015】
[成形材料]
本発明の成形材料は、後述のエポキシ樹脂組成物が強化繊維基材に含浸された成形材料である。なお、本発明の成形材料において、エポキシ樹脂組成物とは、本発明の成形材料に含まれる強化繊維基材以外の成分をいう。
【0016】
成形材料の態様としては、プリプレグ、トウプリプレグ等が挙げられる。本発明におけるエポキシ樹脂組成物の粘度特性はプリプレグに適しているため、成形材料としては、強化繊維基材に含まれる強化繊維が連続繊維であるプリプレグが好ましい。
【0017】
(エポキシ樹脂組成物)
エポキシ樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含む。
本発明の成形材料に含有されるエポキシ樹脂組成物は、繊維強化複合材料の製造に用いられる中間材料である成形材料のマトリクス樹脂組成物であり、特にプリプレグ用のマトリクス樹脂組成物として好適である。
本発明の成形材料に含有されるエポキシ樹脂組成物は、140℃で7分以内に硬化することが好ましく、140℃で5分以内に硬化することがより好ましい。
【0018】
成分(A)は、エポキシ樹脂である。
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、イソシアネート変性したオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ウレタン変性型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0019】
これらのなかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、イソシアネート変性したオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、並びに、これらエポキシ樹脂の変性物、及び臭素化エポキシ樹脂が好ましい。
繊維強化複合材料の耐熱性及び耐薬品性が良好である点からは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。また、同程度の分子量を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂よりも粘度が低く、繊維強化複合材料の弾性率が高い点からは、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0020】
成分(A)としては、二官能エポキシ樹脂が好ましい。なお、成分(A)として、三官能エポキシ樹脂又は四官能エポキシ樹脂を用いてもよい。三官能エポキシ樹脂や四官能エポキシ樹脂を配合することによって、他の物性を損なうことなく、繊維強化複合材料の耐熱性をさらに向上できる。
【0021】
二官能エポキシ樹脂の市販品としては、下記のものが挙げられる。
三菱ケミカル社製のjER(登録商標。以下同様。)の825、827、828、828EL、828US、828XA、806、806H、807、1750、YL6810、DIC社製のEPICLON(登録商標)の840、840-S、850、850-S、EXA-850CRP、850-LC、830、830-S、835、EXA-830CRP、EXA-830LVP、EXA-835LV、新日鉄住金化学社製のエポトート(登録商標)のYD-127、YD-128、YD-128G、YD-128S、YD-128CA、YDF-170、日本化薬社製のRE-303S-L、RE-310S、GAN、GOT等。
【0022】
三官能以上のエポキシ樹脂の市販品としては、下記のものが挙げられる。
三菱ケミカル社製のjERの152、604、630、630LSD、新日鉄住金化学社製のYH-434、YH434L、住友化学工業社製のスミエポキシ(登録商標)のELM434、ELM100、ELM120、三菱ガス化学社製のTETRAD-X等。
成分(A)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0023】
エポキシ樹脂組成物中の成分(A)の含有量は、成分(A)の種類に応じて、エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が10~10Pa・sとなるように調節することが好ましい。
【0024】
成分(B)は、エポキシ樹脂硬化剤である。
成分(B)は、本発明の成形材料を用いて製造した繊維強化複合材料(硬化物)の機械的特性(曲げ強度、曲げ弾性率)、貯蔵安定性、硬化の温度や時間に影響を与える。
成分(B)の形態は、マイクロカプセル型、変性等の様々な形態を採用し得る。
成分(B)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0025】
成分(B)としては、エポキシ樹脂を硬化させ得るものであればよく、例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、フェノール、メルカプタン、ルイス酸等のアミン錯体、塩化ホウ素アミン錯体、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0026】
アミン系化合物としては、融点が高く、低温領域でエポキシ樹脂との相溶性が抑えられる点から、ジシアンジアミド及びその誘導体が好ましい。また、エポキシ樹脂組成物がジシアンジアミド及びその誘導体を含むことで、優れたポットライフが得られるとともに、繊維強化複合材料の機械的特性が向上する。
【0027】
ジシアンジアミドの誘導体としては、例えば、ジシアンジアミドと、エポキシ樹脂やビニル化合物、アクリル化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド等の各種化合物を結合させたもの等が挙げられる。
ジシアンジアミドの誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジシアンジアミドの誘導体は、ジシアンジアミドと併用してもよい。
ジシアンジアミド及びその誘導体の中でも、反応性の点から、ジシアンジアミドが好ましい。
【0028】
イミダゾール化合物としては、1H-イミダゾールの5位の水素原子をヒドロキシメチル基で置換し、かつ、2位の水素原子をフェニル基又はトルイル基で置換したイミダゾール化合物が好ましい。具体的には、2-フェニル-4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-p-トルイル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-m-トルイル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-m-トルイル-4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール、2-p-トルイル-4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール等が挙げられる。
また、イミダゾール化合物としては、エポキシ樹脂組成物中での室温における保存安定性が高く、硬化速度が速いことから、トリアジン環を分子内に有するイミダゾール化合物が好ましい。具体的には、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)]エチル-s-トリアジン等が挙げられる。
【0029】
成分(B)が25℃の雰囲気温度で、エポキシ樹脂中で固体である場合、25℃におけるエポキシ樹脂との反応性が低く、貯蔵安定性に優れる。成分(B)としては、ポットライフ及び硬化時の反応性を両立できる点から、25℃の雰囲気温度においてエポキシ樹脂中で固体であり、かつ硬化時に液状である化合物が好ましく、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物がより好ましい。
成分(B)としては、ジシアンジアミドを含有することが好ましく、ジシアンジアミドと25℃で固体のイミダゾール化合物を併用することがより好ましい。ジシアンジアミドで硬化させた硬化物は強化繊維への接着性に優れる。また、イミダゾール化合物で硬化させた硬化物は耐熱性に優れる。
【0030】
成分(B)として、25℃の雰囲気温度においてエポキシ樹脂中で固体であり、かつ硬化時に液状である化合物を使用する場合、成分(A)の100質量部に対する成分(B)の含有量は、1~20質量部が好ましく、3~10質量部がより好ましい。成分(B)の含有量が1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であれば、充分な硬化速度が得られる。成分(B)の含有量が20質量部以下、より好ましくは10質量部以下であれば、繊維強化複合材料の吸水率が抑えられ、また、繊維強化複合材料の耐熱性が低下しにくい。
【0031】
成分(C)は、融点又は流動点が25℃以下である不飽和脂肪酸エステル化合物である。
成分(C)は、本発明の成形材料を加熱加圧成形することで得られる繊維強化複合材料の金型からの脱型性を向上させる成分であり、成分(C)は内部離型剤としての機能を有する。
【0032】
成形材料を成形する際、成形材料に含まれるエポキシ樹脂は金型内で硬化する。エポキシ樹脂は金属との接着性が高いため、エポキシ樹脂の硬化物は金型にも接着する傾向がある。内部離型剤を用いることによって、脱型時における金型とエポキシ樹脂の硬化物との接着を低減できる。エポキシ樹脂は加熱加圧成形する過程で硬化に至るまでに一度低粘度になり流動する性質を有するため、脱型性向上のために外部離型剤を用いた場合は、樹脂流動の影響によって、離型剤が系外に流出するおそれがある。成分(C)は、加熱加圧成形の際に金型と繊維強化複合材料との界面へと移行し、かつ加熱加圧成形の際の樹脂流動によって系外へ流出しない。
【0033】
成分(C)は、室温(あるいはプリプレグの保存温度)において液状であることが好ましい。成分(C)の融点又は流動点は、25℃以下であり、20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、5℃以下がさらに好ましい。また、成分(C)の融点又は流動点は、-50℃以上が好ましく、-40℃以上がより好ましい。成分(C)の融点又は流動点が前記範囲内であれば、樹脂組成物表面に成分(C)がブリードアウトしやすくなる傾向がある。そのため、加熱加圧成形の際に、金型と繊維強化複合材料との界面に成分(C)が移行しやすく、金型からの脱型性に優れた繊維強化複合材料が得られる。
【0034】
また、成分(C)は、不飽和脂肪酸エステル化合物である。成分(C)として不飽和脂肪酸エステル化合物を内部離型剤として使用することで、樹脂組成物表面に成分(C)がブリードアウトしても、成形材料の表面に設けたフィルムの浮き剥がれを抑制できる。そのため、優れた離型紙剥離性及び脱型性と、フィルムの浮き剥がれの抑制を両立できる。
【0035】
不飽和脂肪酸エステル化合物としては、不飽和脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル化合物、不飽和脂肪酸と多価アルコールとのエステル化合物が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、1つ以上の不飽和結合を有する炭素数5~40のアルケニル基を有する不飽和脂肪酸が好ましく、1つ以上の不飽和結合を有する炭素数10~30のアルケニル基を有する不飽和脂肪酸がより好ましく、1つ以上の不飽和結合を有する炭素数12~20のアルケニル基を有する不飽和脂肪酸がさらに好ましい。不飽和脂肪酸におけるアルケニル基の炭素数が5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上であれば、優れた脱型性が得られやすい。不飽和脂肪酸における不飽和結合を有するアルキル基の炭素数が40以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下であれば、融点又は流動点が25℃以下になり、室温でもエポキシ樹脂組成物の表面にブリードアウトしやすくなる。
【0036】
不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸が好ましい。入手しやすく、融点が低い点で、シス型のアルケニル基を持つ、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸がさらに好ましい。
不飽和脂肪酸としては、オレイン酸が特に好ましい。すなわち、不飽和脂肪酸エステル化合物としては、オレイン酸エステル化合物が特に好ましい。
【0037】
脂肪族アルコールとしては、炭素数1~100のアルキル基を有する脂肪族アルコールが好ましく、炭素数2~60のアルキル基を有する脂肪族アルコールがより好ましく、炭素数3~40のアルキル基を有する脂肪族アルコールがさらに好ましく、炭素数4~30のアルキル基を有する脂肪族アルコールが特に好ましく、炭素数5~20のアルキル基を有する脂肪族アルコールが最も好ましい。脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上、特に好ましくは4以上、最も好ましくは5以上であれば、優れた脱型性が得られやすい。脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が100以下、より好ましくは60以下、さらに好ましくは40以下、特に好ましくは30以下、最も好ましくは20以下であれば、融点又は流動点が25℃以下になり、室温でもエポキシ樹脂組成物の表面にブリードアウトしやすくなる。脂肪族アルコールにおいては、アルキル基の一部の炭素-炭素結合が不飽和結合に置き換えられていてもよい。
【0038】
脂肪族アルコールとしては、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-オクチルアルコール、2-エチルへキシルアルコール、n-デシルアルコール、イソデシルアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデシルアルコールが好ましい。
【0039】
多価アルコールは、分子内に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物であり、分子内に3つ以上のヒドロキシル基を有する化合物であることが好ましい。多価アルコールが有するヒドロキシル基の数が前記下限値以上であれば、不飽和脂肪酸と多くエステル結合を形成できるため、脱型性が向上しやすい。
多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリオキシエチレンビスフェノールAが好ましい。
【0040】
不飽和結合を有するアルキル基が繊維強化複合材料の表面に高濃度で存在することで金型からの脱型性が向上する傾向がある点から、成分(C)の不飽和脂肪酸エステル化合物の1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位(不飽和脂肪酸に由来する部分)の平均数は、2.0以上が好ましく、3.0以上がより好ましい。成分(C)の不飽和脂肪酸エステル化合物の1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数は特に限定されず、例えば5.0以下とすることができる。成分(C)の不飽和脂肪酸エステル化合物の1分子当たりの不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数を5.0以下にすることで、得られる繊維強化複合材料の吸水性を上げることがないため好ましい。
なお、前記の不飽和脂肪酸のエステル部位の平均数は、1種の不飽和脂肪酸エステル化合物を単独で用いる場合は当該不飽和脂肪酸エステル化合物が有するエステル部位の数であり、2種以上の不飽和脂肪酸エステル化合物の混合物の場合は分析により求められる。例えば、不飽和脂肪酸エステル化合物のNMR測定によりプロトンの数を比較することで算出できる。また、不飽和脂肪酸エステル化合物を加水分解して不飽和脂肪酸と脂肪族アルコール若しくは多価アルコールに分解した後に分析することもできる。
【0041】
1分子内にエステル部位を2つ以上有する不飽和脂肪酸エステル化合物としては、例えば、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレートが挙げられる。
【0042】
成分(A)の100質量部に対する、エポキシ樹脂組成物中の成分(C)の含有量は0.05~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましく、0.15~2質量部がさらに好ましく、0.2~1質量部が特に好ましい。成分(A)の100質量部に対する成分(C)の含有量が0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.15質量部以上、特に好ましくは0.2質量部以上であれば、繊維強化複合材料の金型からの脱型性がさらに優れ、また繊維強化複合材料の耐熱性及び機械的特性を両立しやすい。エポキシ基と反応しない成分(C)が多量に含まれる場合は、得られる繊維強化複合材料の耐熱性や機械的特性を損ないやすいため、成分(C)は充分な脱型性が得られる範囲でできるだけ少量の添加に留めることが好ましい。すなわち、成分(A)の100質量部に対する成分(C)の含有量が5質量部以下であるのが好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましく、1質量部以下が特に好ましい。
【0043】
エポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて成分(A)、成分(B)、成分(C)以外の他の成分をさらに含有していてもよい。
他の成分としては、例えば、硬化促進剤、無機質充填材、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。
【0044】
成分(B)と適切な硬化促進剤とを併用することによって、貯蔵安定性を大きく損なうことなく反応開始温度を低下させることができ、成形材料の短時間硬化が可能となる。また、繊維強化複合材料の機械的特性(曲げ強度、曲げ弾性率)及び熱特性(耐熱性)も向上させることができる。
【0045】
硬化促進剤としては、繊維強化複合材料の機械的特性(曲げ強度、曲げ弾性率)が高くなる点から、尿素化合物が好ましい。尿素化合物としては、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、2,4-ビス(3,3-ジメチルウレイド)トルエン、1,1’-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(3,3-ジメチル尿素)等が挙げられる。
【0046】
無機質充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、クレー、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、ガラスパウダー、中空ガラスビーズ、エアロジル(登録商標)等が挙げられる。
【0047】
エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度は、10~10Pa・sが好ましく、10~10Pa・sがより好ましい。エポキシ樹脂組成物の30℃における粘度が前記範囲内であれば、成形材料のタック性とドレープ性を良好に保持することができる。
なお、エポキシ樹脂組成物の粘度は、レオメーターにより、以下の条件で測定される値である。
使用プレート:25φパラレルプレート
プレートギャップ:0.5mm
測定周波数:10rad/秒
応力:300Pa
【0048】
エポキシ樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び必要に応じて他の成分を用いる以外は、従来公知の方法で調製できる。例えば、各成分を同時に混合して調製してもよく、予め成分(A)に、成分(B)、成分(C)等を各々適宜分散させたマスターバッチを調製し、これを用いて調製してもよい。また、混練による剪断発熱等で、系内の温度が上がる場合には、混練速度を調整したり、混練釜を水冷したりする等、混練中に温度を上げない工夫をすることが好ましい。
【0049】
混練装置としては、らいかい機、アトライタ、プラネタリミキサー、ディゾルバー、三本ロール、ニーダ、万能撹拌機、ホモジナイザー、ホモディスペンサー、ボールミル、ビーズミルが挙げられる。混練装置は、2種以上を併用してもよい。
【0050】
(強化繊維基材)
強化繊維基材を構成する強化繊維としては、成形材料の用途や使用目的に応じて様々なものを採用することができ、炭素繊維(黒鉛繊維を含む。以下同様。)、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維等が挙げられる。繊維強化複合材料の機械的特性の点から、炭素繊維、ガラス繊維が好ましく、炭素繊維が特に好ましい。
炭素繊維としては、繊維強化複合材料の強度発現の点では、引張伸度1.5%以上の高強度炭素繊維が好ましい。
【0051】
強化繊維基材の形態は、特に限定されず、例えば、織布、不織布、連続繊維を一方向に引き揃えたシート状の形態、連続繊維を一定の長さに切り揃えた短繊維(束)等が挙げられる。
例えば成形材料がプリプレグである場合は、強化繊維基材の形態は、連続繊維を一方向に引き揃えたシート状の形態;連続繊維を経緯にして織物とした形態;トウを一方向に引き揃えて横糸(補助糸)で保持した形態;連続繊維を一方向に引き揃えた強化繊維のシートを複数枚、繊維方向が互いに異なるように重ねて補助糸で留め、マルチアキシャルワープニットとした形態;又は不織布等が挙げられる。なかでもプリプレグの製造が容易な点から、強化繊維基材の形態は、連続繊維を一方向に引き揃えたシート状の形態;連続繊維を経緯にして織物とした形態;トウを一方向に引き揃えて横糸(補助糸)で保持した形態;連続繊維を一方向に引き揃えた強化繊維のシートを複数枚、繊維方向が互いに異なるように重ねて補助糸で留め、マルチアキシャルワープニットとした形態が好ましい。得られる繊維強化複合材料の強度発現の点からは、連続繊維を一方向に引き揃えたシート状の形態がさらに好ましい。
【0052】
連続繊維を一方向に引き揃えたシート状の強化繊維基材を用いてプリプレグを作製した場合、成形後も強化繊維が一方向に引き揃えられた状態を維持できるように、成形中は樹脂組成物をあまり流動させないことが多い。この場合、金型とマトリクス樹脂組成物の間に内部離型剤が出ていきにくいため、プリプレグの状態であらかじめプリプレグ表面にブリードアウトさせる必要がある。本発明では、成分(C)を含むエポキシ樹脂組成物を用いるため、成形までの間に成分(C)が予めブリードアウトし、成形時の脱型性が良くなる。
【0053】
強化繊維基材の目付は、繊維強化複合材料の使用目的(用途)に応じて自由に設定でき、実用的には、50g/m以上、2000g/m以下が好ましい。エポキシ樹脂組成物の含浸が良好なプリプレグが得られやすい点では、強化繊維基材の目付は、50g/m以上、600g/m以下がより好ましく、50g/m以上、300g/m以下がさらに好ましい。
【0054】
(成形材料の製造方法)
本発明の成形材料は、前記したエポキシ樹脂組成物を、公知の方法で強化繊維基材に含浸させることにより製造することができる。
例えば、離型紙等の表面に所定量のエポキシ樹脂組成物を塗工し、その表面に強化繊維基材を供給した後、押圧ロールを通過させて強化繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸させることで成形材料が得られる。また、強化繊維基材に所定量のエポキシ樹脂組成物を塗工した後、必要に応じて強化繊維基材を離型紙等で挟み、押圧ロールを通過させて強化繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸させることで成形材料が得られる。
【0055】
[繊維強化複合材料]
本発明の繊維強化複合材料は、本発明の成形材料の硬化物である。本発明の成形材料を加熱加圧し硬化させることにより、繊維強化複合材料を製造することができる。
本発明の成形材料を用いて繊維強化複合材料を製造する方法としては、オートクレーブ成形、真空バッグ成形、プレス成形等の方法が挙げられる。このうち、本発明の成形材料に用いられるエポキシ樹脂組成物の特徴を活かして、生産性が高く、良質な繊維強化複合材料が得られる点から、本発明の成形材料をプレス成形(加熱加圧成形)して繊維強化複合材料を製造することが好ましい。プレス成形で繊維強化複合材料を製造する場合、本発明の成形材料としてプリプレグ、又はプリプレグを積層したプリプレグ積層体を用いて予備賦形したプリフォームを、予め成形温度に調整した金型に挟んで加熱加圧する工程を含むことが好ましい。
【0056】
プレス成形時の成形温度(金型内の温度)は、100~150℃が好ましく、130~150℃がより好ましい。成形温度が前記範囲内であれば、保存安定性と寸法安定性の高い強化繊維複合材料が得られる。
【0057】
プレス成形では、成形材料又はそのプリフォームを、前記成形温度、圧力1~15MPaの条件下で、1~20分間加熱してエポキシ樹脂組成物を硬化させて成形することが好ましい。成形時間は、10分以下がより好ましく、5分以下がさらに好ましい。成形時間が前記上限値以下であれば、成形サイクルが高くなる。
【0058】
前記条件のプレス成形を行うことによって繊維強化複合材料を製造する場合には、硬化後の繊維強化複合材料のガラス転移温度、特に、貯蔵剛性率(G’)が低下し始める温度として決定されるG’-Tgが、成形時の金型内の温度よりも高いことが好ましい。これにより、プレス成形後、金型から取り出すときに繊維強化複合材料が変形することを抑制できる。例えば、エポキシ樹脂組成物を強化繊維基材に含浸したプリプレグを140℃に予熱した金型で挟んで1MPaで加圧し、5分間保持して作製される繊維強化複合材料のG’-Tgは、150℃以上が好ましい。ここでG’-Tgは、レオメーターを用いて動的粘弾性測定によって得られる貯蔵剛性率(G’)を測定周波数:1Hz、昇温速度:5℃/分で測定し、続いてlogG’を温度に対してプロットし、logG’の平坦領域の近似直線と、logG’が急激に低下する領域の近似直線との交点の温度であり、硬化物の動的粘弾性測定により得られるガラス転移温度である。
【0059】
本発明の成形材料を用いて得られる繊維強化複合材料の用途は、特に限定されず、航空機用、自動車等の車両用、船舶用の構造材料、建造物等の構造材料、ゴルフシャフト、釣竿、テニスラケット等のスポーツ用品、風車やロール等の一般産業用品等が挙げられる。
【0060】
以上説明したように、本発明の成形材料は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含むエポキシ樹脂組成物が強化繊維基材に含浸されている。そのため、金型との接着性が高い成分(A):エポキシ樹脂を含有しているにもかかわらず、フィルム浮きを抑制して、優れた離型紙の剥離性と、繊維強化複合材料の金型からの優れた脱型性を得ることができる。また、本発明の成形材料を用いれば、硬化物である繊維強化複合材料の機械的特性及び耐熱性に優れ、また繊維強化複合材料の表面外観が損なわれず、金型汚れも非常に少ない。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の変更が可能である。異なる実施形態に、上述した各実施形態に示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0062】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
本実施例で使用した各成分を以下に示す。
【0063】
(成分(A))
jER828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名「jER 828」、エポキシ当量189、三菱ケミカル社製)。
YD-952:オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(製品名「YD-952」、エポキシ当量336、新日鉄住金化学社製)。
N-740:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(製品名「N-740」、エポキシ当量182、DIC社製)。
【0064】
(成分(B))
1400F:ジシアンジアミド(製品名「Dicyanex 1400F」、エアプロダクツ社製)。
2MZA-PW:2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン(製品名「キュアゾール(登録商標)2MZA-PW」、四国化成社製)。
【0065】
(成分(C))
BYK(登録商標。以下同様。)-P9912:製品名「BYK-P9912」、ビックケミー・ジャパン社製、融点:-27℃、不飽和脂肪酸(オレイン酸)のエステル部位の平均数:2.2)。
SP-O30V:ソルビタントリオレート(製品名「レオドール(登録商標。以下同様。)SP-O30V」、花王社製、融点:-23℃、不飽和脂肪酸(オレイン酸)のエステル部位の平均数:3.0)。
430V:ポリオキシエチレン(30)ソルビトールテトラオレート(製品名「レオドール430V」、花王社製、融点:-7℃、不飽和脂肪酸(オレイン酸)のエステル部位の平均数:4.0)。
440V:ポリオキシエチレン(40)ソルビトールテトラオレート(製品名「レオドール440V」、花王社製、融点:2℃、不飽和脂肪酸(オレイン酸)のエステル部位の平均数:4.0)。
TW-O320V:ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート(製品名「レオドールTW-O320V」、花王社製、融点:-20℃、不飽和脂肪酸(オレイン酸)のエステル部位の平均数:3.0)。
PE-MO:ペンタエリスリトールモノオレート(製品名「エキセパール(登録商標。以下同様。)PE-MO」、花王社製、融点:-29℃、不飽和脂肪酸(オレイン酸)のエステル部位の平均数:1.0)。
DAO-7S:ポリグリセリン脂肪酸エステル(製品名「DAO-7S」、阪本薬品工業株式会社製、融点:25℃以下(25℃で液状)、不飽和脂肪酸(オレイン酸)のエステル部位の平均数:10.0)。
オレイン酸ブチル:オレイン酸ブチル(製品名「オレイン酸ブチル」、富士フイルム和光純薬株式会社製、融点:-55℃、不飽和脂肪酸(オレイン酸)のエステル部位の平均数:1.0)。
【0066】
(他の内部離型剤)
TW-S320V:ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(製品名「レオドールTW-S320V」、花王社製、融点:33℃)。
PE-MS-P:ペンタエリスリトールモノステアレート(製品名「エキセパールPE-MS-P」、花王社製、融点:52℃)。
O-95R:オレイン酸モノグリセライド(製品名「エキセル(登録商標)O-95R」、花王社製、融点:41℃、不飽和脂肪酸(オレイン酸)のエステル部位の平均数:1.0)。
【0067】
BYK-P9912及びPE-MOの融点の測定は、DSC装置(TAインストルメンツ社製、Q1000)を用いて行った。
被験物質を装置標準のアルミニウムハーメチックパンに秤量し、装置標準のアルミニウムリッドで蓋をして試料を作製した。30℃から300℃まで10℃/分で昇温してDSC発熱曲線を得た。DSC発熱曲線上の融点に起因する最も低温側のピークにおいて、吸熱開始側におけるベースラインと変曲点の接線との交点に対応する温度を融点とした。
BYK-P9912及びPE-MO以外の成分(C)及び他の内部離型剤の融点はカタログ値である。
【0068】
(強化繊維)
炭素繊維束X-1:製品名「TR 50S15L」、三菱ケミカル社製、引張強度:4.9GPa、引張弾性率235GPa、引張伸度2.09%、フィラメント数:15000本、目付:1.00g/m
【0069】
[実施例1]
成分(B)である1400F及び2MZA-PWと成分(A)であるjER828を質量比2:5:10で混合し、三本ロールで混練し、硬化剤マスターバッチを得た。次いで、表2に示す組成となるように、成分(A)であるjER828、YD-952及びN-740の混合物を100℃で溶解したものに、60℃で前記硬化剤マスターバッチ及びBYK-P9912を加え、スリーワンモーターを用いて混練し、エポキシ樹脂組成物を得た。
【0070】
マルチコーター(ヒラノテクシード社製、M-500型)を用い、得られたエポキシ樹脂組成物を離型紙上に60℃で塗布して樹脂フィルムを2枚得た。1枚の樹脂フィルムの樹脂塗布面上に炭素繊維束X-1をドラムワインドにて巻き付け、もう1枚の樹脂フィルムを重ねて炭素繊維束X-1を挟み込み、エポキシ樹脂組成物を炭素繊維束X-1に含浸させた。片側の樹脂フィルムの離型紙を剥ぎ取ってポリエチレンフィルム(保護フィルム)を貼り付け、一方向プリプレグを得た。得られた一方向プリプレグにおける炭素繊維束の目付は250g/mであり、樹脂含有率は30.0質量%であった。
【0071】
得られた一方向プリプレグを298mm(繊維と平行方向)×298mm(繊維と直交方向)の寸法にカットして離型紙と保護フィルムを剥がし、上下に隣接する一方向プリプレグの繊維方向が直交するように5枚積層してプリプレグ積層体とした。
金型の表面を洗浄した後、140℃に加熱した金型内にプリプレグ積層体を配置し、プリプレグ積層体にかかる面圧4MPa、成形温度140℃、成形時間5分間の条件でプレス成形を行って平板状の繊維強化複合材料を得た。
【0072】
[実施例2~8、10~12、比較例1~3、参考例]
組成を表1、及び表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、一方向プリプレグを作製した。また、実施例1と同様にしてプリプレグ積層体を作製し、繊維強化複合材料を得た。
【0073】
[評価方法]
各例のエポキシ樹脂組成物及び一方向プリプレグについて、以下の方法により評価した。
(エポキシ樹脂組成物の離型性)
厚さ0.5mmのアルミ板上の5か所にエポキシ樹脂組成物を15mgずつ置き、140℃のオーブンに5分間入れて硬化させた。オーブンから取り出す前に硬化物を爪楊枝ではじき、アルミ板から剥がれた硬化物の個数を数え、以下の基準で評価した。
A:剥がれた硬化物の数が5個。
B:剥がれた硬化物の数が3個又は4個。
C:剥がれた硬化物の数が2個以下。
【0074】
(フィルム浮き剥がれ)
一方向プリプレグを、298mm(繊維と平行方向)×298mm(繊維と直交方向)の寸法にカットする際の表面のポリエチレンフィルムの剥がれについて、下記基準で評価した。
A:カットした際に、プリプレグ表面のポリエチレンフィルムが剥がれなかった。
B:カットした際に、プリプレグ表面のポリエチレンフィルムが、端部の一部で剥がれた。
C:カットした際に、プリプレグ表面のポリエチレンフィルムが、全体的に剥がれた。
【0075】
(離型紙の剥離性)
一方向プリプレグを積層する際の離型紙の剥離性について、下記基準で評価した。
A:離型紙をプリプレグから容易に剥がすことが出来た。
B:ピンセットで離型紙を挟み、離型紙をプリプレグから剥がした。
【0076】
(脱型性の評価)
各例において、繊維強化複合材料を金型から取り出す際、繊維強化複合材料の表面に吸盤(ヤマオカエンタープライズ社製、吸盤2フィンガー)を密着させ、垂直方向に人力で引き上げて脱型した。吸盤で脱型できない場合は、油圧エジェクターピンで押し上げて脱型した。脱型性について下記基準で評価した。
A:吸盤で容易に脱型できた。
B:吸盤で脱型できず、油圧エジェクターピンで脱型した。
【0077】
各例のエポキシ樹脂組成物の組成、及び評価結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表1に示すように、成分(A)、成分(B)、成分(C)を含むエポキシ樹脂組成物を用いた実施例1~8では、一方向プリプレグからのポリエチレンフィルムの剥がれが抑制されたうえ、エポキシ樹脂組成物の硬化物の離型性、一方向プリプレグからの離型紙の剥離性、及び繊維強化複合材料の金型からの脱型性に優れていた。
一方、成分(C)に代えて、融点又は流動点が25℃より高い内部離型剤を用いた比較例1及び比較例2では、エポキシ樹脂組成物の硬化物の離型性、一方向プリプレグからの離型紙の剥離性、及び繊維強化複合材料の金型からの脱型性のうち1つ以上が劣っていた。
【0081】
また表2に示すように、成分(A)、成分(B)、成分(C)を含むエポキシ樹脂組成物を用いた実施例10~12では、一方向プリプレグからのポリエチレンフィルムの剥がれが抑制されたうえ、エポキシ樹脂組成物の硬化物の離型性、一方向プリプレグからの離型紙の剥離性に優れていた。
一方、成分(C)に代えて、融点又は流動点が25℃より高い内部離型剤を用いた比較例3では、エポキシ樹脂組成物の離型性及び一方向プリプレグからの離型紙の剥離性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の成形材料によれば、フィルム浮きを抑制でき、離型紙剥離性に優れ、また金型からの脱型性に優れた繊維強化複合材料を製造できる。
本発明の繊維強化複合材料は、フィルム浮きを抑制でき、離型紙剥離性に優れ、また金型からの脱型性に優れる。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、フィルム浮きを抑制でき、離型紙剥離性に優れ、また金型からの脱型性に優れた繊維強化複合材料を製造できる。