(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20221101BHJP
B66B 1/46 20060101ALI20221101BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B66B1/18 K
B66B1/18 N
B66B1/46 A
B66B3/00 K
B66B3/00 G
(21)【出願番号】P 2021119479
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-182819(JP,A)
【文献】特開2016-020262(JP,A)
【文献】特開2011-241061(JP,A)
【文献】国際公開第2009/116129(WO,A1)
【文献】特開2009-096617(JP,A)
【文献】特開2017-013984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータへの乗車前に利用者の行先階の割り当てを行うエレベータシステムであって、
行先階を登録しようとする利用者を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された撮像画像に対して顔検出処理を行い、検出された顔の顔データを生成する顔検出部と、
第1顔認証用顔データに紐付けて複数個のデフォルト行先階を利用者毎に予め記憶する第1記憶部と、
第2顔認証用顔データ
、次回行先階及び登録時刻を
前記登録時刻後の所定時間だけ記憶する第2記憶部と、
行先階呼びをエレベータに割り当てる割当部と、を備え、
前記割当部は、前記顔検出部で顔が検出された場合、
(a)
前記顔検出部で生成された前記顔データに
一定程度一致する
前記第1顔認証用顔データが前記第1記憶部で記憶され、かつ
前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する
前記第2顔認証用顔データが前記第2記憶部で記憶されていない第1の状況においては、
前記第1記憶部で前記
第1顔認証用顔データに紐付けて記憶されている前記複数個のデフォルト行先階のうちの一つのデフォルト行先階を行先階として設定してエレベータの割当を行い、
前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する顔データ、前記複数個のデフォルト行先階のうち設定された前記行先階とは異なるデフォルト行先階、及び、割当号機の決定時刻を、前記第2顔認証用顔データ、前記次回行先階、及び、前記登録時刻として、前記第2記憶部に記憶させ、
(b)
前記顔検出部で生成された前記顔データに
一定程度一致する
前記第1顔認証用顔データが前記第1記憶部で記憶され、かつ
前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する
前記第2顔認証用顔データが前記第2記憶部で記憶されている第2の状況においては、
前記第2記憶部に記憶された前記次回行先階を行先階として設定してエレベータの割当を行
い、
前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する前記第2顔認証用顔データに関して、前記複数個のデフォルト行先階のうち設定された前記行先階とは異なるデフォルト行先階、及び、割当号機の決定時刻で、前記次回行先階、及び、前記登録時刻を更新する、
エレベータシステム。
【請求項2】
前記割当部は、
前記第2の状況において、前記一つのデフォルト行先階に対するエレベータの割当をキャンセルする、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記複数個のデフォルト行先階は、出発階毎に設定されている、
請求項1または請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記複数個のデフォルト行先階の各々には、割当の優先順位が設定され、
前記優先順位は、利用者の要望に応じて設定される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
エレベータの割当結果を表示する表示部を備え、
前記割当部は、
前記第2の状況において、前記表示部に、
前記第2記憶部に記憶された前記次回行先階の値と、行先階を変更したことを示すメッセージとを表示させる、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
各階に配置される行先階登録装置を備え、
前記行先階登録装置は、前記撮像部と、前記顔検出部とを有する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記行先階登録装置と通信する群管理制御装置を備え、
前記群管理制御装置は、前記第1記憶部と、前記第2記憶部と、前記割当部とを有する、
請求項6に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、カードリーダでICカードから利用者情報を取得することで、ICカードに予め記録された利用者の行先階をエレベータの制御装置に自動で登録し、号機を割り当てるエレベータシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ICカードに記録されるデフォルトの行先階は、例えばオフィスビルでは利用者の勤務階であるが、利用者はまず勤務階以外の階に向かいたい場合があり、この場合、利用者は行先階登録装置などを利用して行先階を登録し直す必要があり、利便性の点で課題がある。
【0005】
本発明は、行先階登録の利便性を向上させるエレベータシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータシステムは、
エレベータへの乗車前に利用者の行先階の割り当てを行うエレベータシステムであって、
行先階を登録しようとする利用者を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された撮像画像に対して顔検出処理を行い、検出された顔の顔データを生成する顔検出部と、
第1顔認証用顔データに紐付けて複数個のデフォルト行先階を利用者毎に予め記憶する第1記憶部と、
第2顔認証用顔データ、次回行先階及び登録時刻を前記登録時刻後の所定時間だけ記憶する第2記憶部と、
行先階呼びをエレベータに割り当てる割当部と、を備え、
前記割当部は、前記顔検出部で顔が検出された場合において、
(a)前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する前記第1顔認証用顔データが前記第1記憶部で記憶され、かつ前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する前記第2顔認証用顔データが前記第2記憶部で記憶されていない第1の状況においては、
前記第1記憶部で前記第1顔認証用顔データに紐付けて記憶されている前記複数個のデフォルト行先階のうちの一つのデフォルト行先階を行先階として設定してエレベータの割当を行い、
前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する顔データ、前記複数個のデフォルト行先階のうち設定された前記行先階とは異なるデフォルト行先階、及び、割当号機の決定時刻を、前記第2顔認証用顔データ、前記次回行先階、及び、前記登録時刻として、前記第2記憶部に記憶させ、
(b)前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する前記第1顔認証用顔データが前記第1記憶部で記憶され、かつ前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する前記第2顔認証用顔データが前記第2記憶部で記憶されている第2の状況においては、
前記第2記憶部に記憶された前記次回行先階を行先階として設定してエレベータの割当を行い、
前記顔検出部で生成された前記顔データに一定程度以上一致する前記第2顔認証用顔データに関して、前記複数個のデフォルト行先階のうち設定された前記行先階とは異なるデフォルト行先階、及び、割当号機の決定時刻で、前記次回行先階、及び、前記登録時刻を更新する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、行先階登録の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1におけるエレベータシステムを備えたビル(建物)の各階における機器配置を示した概略平面図である。
【
図2】エレベータシステムの構成を示したブロック図である。
【
図3】行先階登録装置の電気的構成を示したブロック図である。
【
図4】行先階登録装置の外観を模式的に示した正面図である。
【
図5】群管理制御装置の記憶部に格納されている利用者DBの構成を示す図である。
【
図6A】群管理制御装置の記憶部に格納されている再登録用DBの構成を示す図である。
【
図6B】群管理制御装置の記憶部に格納されている再登録用DBの構成を示す図である。
【
図7】行先階登録装置の動作を説明したフローチャートである。
【
図9A】割当結果案内画面の一例を示した図である。
【
図9B】割当変更案内画面の一例を示した図である。
【
図11】群管理制御装置の動作を説明したフローチャートである。
【
図12】行先階destの設定動作を説明したフローチャートである。
【
図13】次回行先階nextdestの設定動作を説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(実施の形態1)
1.構成
1-1.エレベータ等の配置
図1は、実施の形態1におけるエレベータシステムを備えたビル(建物)の各階における機器配置を示した概略平面図である。
【0011】
図1では、エレベータシステムが、1号機~6号機の6台(複数台の一例)のエレベータ60A~60Fを備えている例を示す。エレベータの利用者は、エレベータ乗場からエレベータ60A~60Fに乗車する。以下では、エレベータ60A~60Fを区別せずに「エレベータ60」という場合がある。
【0012】
各階床のエレベータ乗場またはその近傍の建物壁面には、行先階登録装置30が配置されている。行先階登録装置30は各階床に複数台配置されてもよい。
【0013】
1-2.システム構成
1-2-1.概要
図2は、エレベータシステムのシステム構成を示したブロック図である。
【0014】
エレベータシステムは、複数台のエレベータ60A~60Fと、これらのエレベータ60A~60Fの運行を統合的に制御する群管理制御装置10と、各エレベータに対応させて設けられたエレベータ制御装置40A~40Fと、各階に配置される行先階登録装置30とを備える。
【0015】
エレベータシステムは、かごへの乗車前に利用者に行先階を予め登録させる行先階登録方式を採用している。群管理制御装置10は、乗車前に登録された行先階に関する呼び(行先階呼び)を、複数台のエレベータ60のうちのいずれかの号機(エレベータ)に割り当てて、割り当てた号機を示す情報を、行先階登録装置30に表示させ、これにより、割り当てた号機に利用者を乗車させる。
【0016】
各エレベータ60(60A~60F)は、かご、巻上機(モータ)、釣合おもり等を有する。
【0017】
1-2-2.群管理制御装置
群管理制御装置10は、エレベータ60A~60Fの運行を統合的に制御する。また、群管理制御装置10は、行先階登録装置30との間で通信を行いながら、各号機に対する新規の呼びの割当制御を行う。各装置は、情報伝送可能なネットワークを介して接続されている。ネットワークは、例えばEthernet(登録商標)等のLAN(Local Area Network)により構成され、各装置間での各種の情報の送受信は、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがって行われる。ネットワークに接続されている前述の各装置は、TCP/IP等の各種のプロトコルにしたがった通信による信号伝送(情報伝送)が可能である。なお、エレベータシステムを構成する各装置間は、他の信号形式のネットワークや、専用の信号網を介して接続されてもよい。
【0018】
群管理制御装置10は、コンピュータを利用して構成され、制御部11と、記憶部12と、入出力インタフェース13と、を備える。
【0019】
記憶部12は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態の群管理制御装置10の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0020】
制御部11は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部11は、記憶部12から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、群管理制御装置10における後述する各種の機能を実現する。
【0021】
入出力インタフェース13は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。入出力インタフェース13は、群管理制御装置10が、行先階登録装置30、及びエレベータ制御装置40との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、制御部11から出力される信号を所定の形式の信号に変換して、行先階登録装置30、エレベータ制御装置40に出力する。また、入出力インタフェース13は、行先階登録装置30、エレベータ制御装置40A~40Fから入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部11に出力する。
【0022】
1-2-3.エレベータ制御装置
エレベータ制御装置40A~40Fは、エレベータ60A~60Fに対応させて設けられている。エレベータ制御装置40A~40Fは、群管理制御装置10からの制御信号にしたがって、対応するエレベータ60A~60Fの巻上機(モータ)等の動作を制御することにより、エレベータ60A~60Fのかごの上昇、下降、停止等を制御する。また、エレベータ制御装置40A~40Fは、対応するエレベータ60A~60Fのかごの位置、走行方向、ドアの開閉、荷重等のかご状態を検知して、検知したかご状態を示す情報等を群管理制御装置10に出力する。なお、以下では、エレベータ制御装置40A~40Fを区別せずに「エレベータ制御装置40」という場合がある。
【0023】
エレベータ制御装置40は、群管理制御装置10などと同様に、制御部、記憶部、入出力インタフェースなどを備えたコンピュータを利用して構成される。
【0024】
1-2-4.行先階登録装置
図3は、行先階登録装置30の電気的構成を示したブロック図である。
図4は、行先階登録装置30の外観を模式的に示した正面図である。
【0025】
行先階登録装置30は、利用者による行先階の登録(指定)を受け付ける装置である。行先階登録装置30は、
図4に示すようなタブレット形状を有するコンピュータを利用して構成され、
図3に示すように、制御部31と、記憶部32と、入出力インタフェース33と、表示部34と、顔認証用カメラ35とを備える。
【0026】
記憶部32は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態の行先階登録装置30の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0027】
制御部31は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部31は、記憶部32から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、行先階登録装置30における後述する各種の機能を実現する。
【0028】
入出力インタフェース33は、例えばLANアダプタ等を利用して構成される。LANは、有線LAN、無線LANのいずれであってもよい。入出力インタフェース33は、行先階登録装置30が群管理制御装置10との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース33は、制御部31から出力された信号を所定の形式の信号に変換して群管理制御装置10に出力する。また、入出力インタフェース33は、群管理制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部31に出力する。
【0029】
表示部34は、制御部31から出力される表示信号に基づく画像等の表示を行う。表示部34は、例えば液晶ディスプレイパネルや有機ELディスプレイパネルを利用して構成される。
【0030】
顔認証用カメラ35は、表示部34の上方に配置され、カメラ前方の所定画角領域の被写体を所定フレームレート、所定解像度で撮像するとともに、撮像された画像(撮像画像)の画像データを生成し、生成した画像データを制御部31に出力する。顔認証用カメラ35は、撮像部の一例である。所定画角領域は、行先階の登録を行おうとする利用者が行先階登録装置30の前にいる際に、利用者の顔を撮像可能な画角に設定されている。所定解像度は、顔認証の際の顔検出及び顔照合を適切に行うことができる解像度であればどのような解像度でもよいが、例えばHD、FHD、4Kなどの解像度とすることができる。フレームレートは、どのようなレートでもよいが、例えば15fpsや30fpsとすることができる。
【0031】
図5は、群管理制御装置10の記憶部12に格納されている利用者DBの構成を示す図である。
【0032】
利用者DBは、利用者の顔データに紐付けて、許可階、及びデフォルト行先階配列1~デフォルト行先階配列5を記録している。これらの情報の利用者DBへの登録は例えばエレベータ管理者やビル管理者により行われる。
【0033】
「顔データ」は、利用者の顔認証において利用されるデータである。「顔データ」は、利用者の顔を区別できるデータである限り、顔の画像データ(顔画像データ)であってもよいし、顔の特徴点データ(顔特徴点データ)であってもよいが、以下では「顔データ」が顔特徴点データである場合について説明する。顔特徴点データとは、例えば、目、眉、鼻、口などの位置、形状や、顔の輪郭などの特徴を示すデータである。顔特徴点データは、利用者DBへの登録のために利用者から提供された顔写真や、登録のために撮像された利用者の顔画像データに基づいて生成することができる。
【0034】
「許可階」は、「顔データ」で特定される利用者の利用が許可される階床である。許可階として、複数の階床を指定することができる。
【0035】
「デフォルト行先階配列1」~「デフォルト行先階配列5」は、出発階(許可階)毎に設定されており、それぞれ、複数のデフォルト行先階の値を格納している。
【0036】
図5に示す例では、顔データ1に紐付けて、許可階として“1,12,13,14,15”が設定され、デフォルト行先階配列1として“1,(12,13,14,15)”が設定され、デフォルト行先階配列2として“12,(1,13,14,15)”が設定され、デフォルト行先階配列3として“13,(1,12,14,15)”が設定され、デフォルト行先階配列4として“14,(1,12,13,15)”が設定され、デフォルト行先階配列5として“15,(1,12,13,14)”が設定されている。デフォルト行先階配列1の“1,(12,13,14,15)における最初の1は、出発階が1階の場合の配列であることを示し、カッコ()内には、第1デフォルト階~第4デフォルト階が順に記載されている。つまり、第1デフォルト階が12階、第2デフォルト階が13階、第3デフォルト階が14階、第4デフォルト階が15階であることを示している。また、デフォルト行先階配列2の“12,(1,13,14,15)における最初の12は、出発階が12階の場合の配列であることを示し、カッコ()内には、第1デフォルト階~第4デフォルト階が順に記載されている。つまり、第1デフォルト階が1階、第2デフォルト階が13階、第3デフォルト階が14階、第4デフォルト階が15階であることを示している。デフォルト行先階配列3~5もデフォルト行先階配列1~2同様のルールにより定義されている。
【0037】
また、
図5に示す例では、顔データ2に紐付けて、許可階として“1,12,13,14,15”が設定され、デフォルト行先階配列1として“1,(15,14,13,12)”が設定され、デフォルト行先階配列2として“12,(1,15)”が設定され、デフォルト行先階配列3として“13,(1,15)”が設定され、デフォルト行先階配列4として“14,(1,15)”が設定され、デフォルト行先階配列5として“15,(1,14,13,12)”が設定されている。デフォルト行先階配列1の“1,(15,14,13,12)における最初の1は、出発階が1階の場合の配列であることを示し、カッコ()内には、第1デフォルト階~第4デフォルト階が順に記載されている。つまり、第1デフォルト階が15階、第2デフォルト階が14階、第3デフォルト階が13階、第4デフォルト階が12階であることを示している。また、デフォルト行先階配列2の“12,(1,15)における最初の12は、出発階が12階の場合の配列であることを示し、カッコ()内には、第1デフォルト階~第2デフォルト階が順に記載されている。つまり、第1デフォルト階が1階、第2デフォルト階が15階であることを示している。なお、第3デフォルト階及び第4デフォルト階は、利用者の希望により、登録されていない。デフォルト行先階配列3~5もデフォルト行先階配列1~2同様のルールにより定義されている。
【0038】
残りの顔データについても同様に、顔データに紐付けて、許可階、及びデフォルト行先階配列1~デフォルト行先階配列5が登録されている。
【0039】
図6A、
図6Bは、群管理制御装置の記憶部に格納されている再登録用DBの構成を示す図である。
【0040】
再登録用DBは、現在エレベータに割当済の呼びに関連するデータを登録している。具体的には、再登録用DBは、当該呼びを発生させた利用者の顔データに紐付けて、現在の割当済出発階、割当済行先階、割当号機、次回行先階、及び呼びの登録時刻を記録している。これらの情報の再登録用DBへの登録は群管理制御装置10により行われる。
【0041】
「顔データ」は、利用者DBで説明した顔データと同様のデータである。
【0042】
「割当済出発階」は、現在、割当済の出発階である。
【0043】
「割当済行先階」は、現在、割当済の行先階である。
【0044】
「割当号機」は、現在、割当済の号機(エレベータ)である。
【0045】
「次回行先階」は、顔データに対応する顔が次に検出された際に設定される行先階である。
【0046】
「登録時刻」は、呼びの登録時刻である。呼びの登録時刻は、呼びの発生時刻と実質的に同じ時刻である。
【0047】
図6Aに示す例では、顔データ1に紐付けて、割当済出発階として“1”が設定され、割当済行先階として“12”が設定され、割当号機として“1”が設定され、次回行先階として“13”が設定され、登録時刻として“2021/04/14/15:30:10”が設定されている。また、顔データ2に紐付けて、割当済出発階として“13”が設定され、割当済行先階として“1”が設定され、割当号機として“2”が設定され、次回行先階として“15”が設定され、登録時刻として“2021/04/14/15:30:12”が設定されている。残りの顔データについても同様に、顔データに紐付けて、現在の割当済出発階、割当済行先階、割当号機、次回行先階、及び呼びの登録時刻が登録されている。
【0048】
図6Bは、顔データ1に対応する利用者に関して、先の呼び登録から所定時間が経過する前に再度顔が検出され、その結果、次のデフォルト行先階に対してエレベータの割当が行われ、顔データ1に関するデータが更新された例を示す。具体的には、割当済出発階は1階のままであるが、割当済行先階が13階に更新され、割当号機が2号機に更新され、次回行先階が14階に更新されている。また、登録時刻が、“2021/04/14/15:30:13”に更新されている。ここで、上記の所定時間は、利用者が異なるデフォルト行先階の変更登録意思を有するか否かを判断するための時間であり、例えば20秒である。
【0049】
2.エレベータシステムの動作
エレベータシステムの動作について、フローチャートを参照してより詳しく説明する。
【0050】
図7は、行先階登録装置30の動作を説明したフローチャートである。
【0051】
行先階登録装置30の制御部31は、表示部34に初期画面を表示させる(S10)。
【0052】
図8は、初期画面の一例を示した図である。
図8の初期画面の例では、「エレベータ利用の際、顔認証を行ってください」というメッセージが表示される。
【0053】
図7に戻り、行先階登録装置30の制御部31は、顔認証用カメラ35から出力される撮像画像に顔が含まれているか否かを判断する(S11)。具体的には、撮像画像の画像データに対して顔検出処理を行う。
【0054】
撮像画像に顔が含まれていない場合(S11でNO)、つまり顔が検出されなかった場合、行先階登録装置30の制御部31は、ステップS11の処理を再度実行する。
【0055】
撮像画像に顔が含まれている場合(S11でYES)、行先階登録装置30の制御部31は、出発階及び顔データを含む割当依頼信号を生成して群管理制御装置10に送信する(S12)。出発階としては当該行先階登録装置30の設置階が利用される。ここでの「顔データ」は、利用者の顔を区別できるデータである限り、顔の画像データ(顔画像データ)であってもよいし、顔の特徴点データ(顔特徴点データ)であってもよいが、以下では「顔データ」が、顔特徴点データであるものとして説明する。送信用の顔データ(顔特徴点データ)は、ステップS11で顔が含まれていると判断された際に撮像画像を解析することにより取得される。顔特徴点データを群管理制御装置10に送信することにより、群管理制御装置10では撮像画像の画像データから顔特徴点データを取得する処理が不要となる。
【0056】
行先階登録装置30の制御部31は、群管理制御装置10から行先階、割当号機名、及び変更フラグを含む割当結果信号を受信したか否かを判断する(S13)。
【0057】
割当結果信号を受信した場合(S13でYES)、行先階登録装置30の制御部31は、変更フラグが“True”であるか否かを判断する(S14)。
【0058】
変更フラグが“True”である場合(S14でYES)、行先階登録装置30の制御部31は、表示部34に割当結果案内画面を一定時間表示させる(S15)。一定時間は、割当結果案内画面の表示内容を利用者が適切に認識可能な時間であり、例えば3秒である。
【0059】
図9Aは、割当結果案内画面の一例を示した図である。
図9Aの割当結果案内画面では、右側の顔画像表示領域A1に、顔認証された利用者の顔画像が表示され、左半分の割当結果表示領域A2に、割当結果を示す情報が表示された例を示している。顔画像としては、撮像画像の全領域のうち検出された顔部分を抽出した領域の画像が表示される。割当結果の情報としては、行先階と割当号機の情報が表示される。
図9Aでは、行先階が12階、割当号機が1号機である場合を示している。領域A1,A2の上方には、メッセージ表示領域A3が設けられている。
図9Aの割当結果案内画面では、メッセージ表示領域A3に何も表示されていない例を示している。
【0060】
変更フラグが“True”でない場合(S14でNO)、つまり“False”である場合、行先階登録装置30の制御部31は、表示部34に割当変更案内画面を一定時間表示させる(S16)。一定時間は、割当変更案内画面の表示内容を利用者が適切に認識可能な時間であり、例えば3秒である。
【0061】
図9Bは、割当変更案内画面の一例を示した図である。割当変更案内画面は、
図9Aの割当結果案内画面と同様の構成を有している。割当変更案内画面では、メッセージ表示領域A3に、行先階を変更したことを示すメッセージが表示される。
図9Bの割当変更案内画面では、「行先階を変更しました」というメッセージが表示された例を示している。
【0062】
ステップS13において、割当結果信号を受信していない場合(S13でNO)、行先階登録装置30の制御部31は、群管理制御装置10からエラー信号を受信したか否かを判断する(S17)。
【0063】
エラー信号を受信していない場合(S17でNO)、行先階登録装置30の制御部31は、ステップS13の判断に戻る。
【0064】
エラー信号を受信した場合(S17でYES)、行先階登録装置30の制御部31は、表示部34にエラー画面を表示させる(S18)。エラー画面とは、顔認証を行った利用者にエレベータを割り当てることができないことを報知するための画面である。一定時間は、エラー画面の表示内容を利用者が適切に認識可能な時間であり、例えば3秒である。
【0065】
図10は、エラー画面の一例を示した図である。
図10のエラー画面の例では、「お客様はエレベータをご利用できません」と表示されている。
【0066】
図11は、群管理制御装置10の動作を説明したフローチャートである。このフローチャートに基づく処理は、各行先階登録装置30について実行される。つまり、各行先階登録装置30について並列処理される。
【0067】
群管理制御装置10の制御部11は、行先階登録装置30から割当依頼信号を受信したか否かを判断する(S31)。
【0068】
行先階登録装置30から割当依頼信号を受信していない場合(S31でNO)、群管理制御装置10の制御部11は、ステップS31の判断を再度実行する。
【0069】
行先階登録装置30から割当依頼信号を受信した場合(S31でYES)、群管理制御装置10の制御部11は、受信した割当依頼信号に含まれる顔データに一定程度以上一致する顔データが利用者DBに登録されているか否かを判断する(S32)。つまり、割当依頼信号に含まれる顔データに係る顔について顔認証を行う。なお、この判断のための顔データの比較においては、公知の種々の方法を利用することができる。例えば、割当依頼信号に含まれる顔データ(顔特徴点データ)と、利用者DBに登録されている各顔データ(顔特徴点データ)とを順次比較(照合)して一致率を求める。そして、割当依頼信号に含まれる顔データに対して所定一致率以上の一致率を有する顔データが利用者DBに登録されているかを判断する。所定一致率以上の一致率を有する顔データが利用者DBに登録されている場合、群管理制御装置10の制御部11は、割当依頼信号に含まれる顔データ(顔特徴点データ)に係る利用者(顔検出された利用者)が、利用者DBに登録されている利用者であると判断し、顔認証が成功したと判断する。
【0070】
受信した顔データに一定程度以上一致する顔データが利用者DBに登録されていない場合(S32でNO)、群管理制御装置10の制御部11は、エラー信号を割当依頼信号の送信元の行先階登録装置30に送信し(S41)、ステップS31の処理に戻る。割当依頼信号の送信元の行先階登録装置30の特定は、割当依頼信号に行先階登録装置30の装置IDなどを含ませることなどにより適宜行うことができる。
【0071】
受信した顔データに一定程度以上一致する顔データが利用者DBに登録されている場合(S32でYES)、群管理制御装置10の制御部11は、利用者DBから、登録されている顔データに紐付けられている各種のデータを取得する(S33)。
【0072】
群管理制御装置10の制御部11は、受信した割当依頼信号に含まれる顔データに一定程度以上一致する顔データが再登録用DBに登録されているか否かを判断する(S34)。この判断は、ステップS32での判断と同様に行うことができる。
【0073】
一定程度以上一致する顔データが再登録用DBに登録されていない場合(S34でNO)、群管理制御装置10の制御部11は、変更フラグに“False”を設定する(S35)。
【0074】
群管理制御装置10の制御部11は、行先階destの設定を行う(S36)。
【0075】
図12は、行先階destの設定処理を説明したフローチャートである。
【0076】
群管理制御装置10の制御部11は、利用者DBから、出発階に対応するデフォルト行先階配列を取得する(S51)。
【0077】
群管理制御装置10の制御部11は、取得したデフォルト行先階配列の先頭の階を行先階destに設定する(S52)。
【0078】
例えば、受信した割当依頼信号に含まれる顔データに一定程度以上一致する顔データが、
図5の利用者DBにおける顔データ1であり、利用者の出発階が1階であるものとすると、ステップS51において、デフォルト行先階配列1を取得する。出発階が1階の場合の複数のデフォルト行先階は(12,13,14,15)であり、ステップS52において、これらのデフォルト行先階のうち先頭の階“12”を行先階destに設定する。
【0079】
群管理制御装置10の制御部11は、ステップS52の処理を完了すると、
図11のフローチャートの処理に戻り、割当依頼信号に含まれる出発階、設定された行先階destに対して割当号機を決定する(S37)。複数台のエレベータ(号機)の中からの最適な割当号機の決定については、公知の技術などを利用して行えばよい。
【0080】
群管理制御装置10の制御部11は、次回行先階nextdestの設定を行う(S38)。
【0081】
図13は、次回行先階nextdestの設定処理を説明したフローチャートである。
【0082】
群管理制御装置10の制御部11は、利用者DBから、出発階に対応するデフォルト行先階配列を取得する(S71)。
【0083】
群管理制御装置10の制御部11は、取得したデフォルト行先階配列において、上記設定された行先階destの次に位置する行先階を次回行先階nextdestに設定する(S72)。
【0084】
例えば、受信した割当依頼信号に含まれる顔データに一定程度以上一致する顔データが、
図5の利用者DBにおける顔データ1であり、利用者の出発階が1階であるものとすると、ステップS71において、デフォルト行先階配列1を取得する。出発階が1階の場合のデフォルト行先階は(12,13,14,15)であり、現在設定されている行先階destが例えば13階であるものとすると、次回行先階nextdestは14階になる。また、現在設定されている行先階destが例えば15階であるものとすると、次回行先階nextdestは12階になる。
【0085】
群管理制御装置10の制御部11は、ステップS72の処理を完了すると、
図11のフローチャートの処理に戻り、上記の受信した割当依頼信号に含まれる顔データに一定程度以上一致する顔データと、割り当てを行った出発階及び行先階destと、割当号機と、設定された次回行先階nextdestと、割当号機の決定時刻とを、再登録用DBに、顔データ、割当済出発階、割当済行先階、割当号機、次回行先階、登録時刻として登録する(S39)。
【0086】
群管理制御装置10の制御部11は、行先階dest、割当号機名、変更フラグを含む割当結果信号を割当依頼信号の送信元の行先階登録装置30に送信する(S40)。
【0087】
ステップS34において一定程度以上一致する顔データが再登録用DBに登録されている場合(S34でYES)、群管理制御装置10の制御部11は、再登録用DBから、当該一定程度以上一致する顔データに紐付けられているデータを取得する(S42)。ここで取得されるデータには、少なくとも割当済出発階、割当済行先階、及び割当号機のデータが含まれる。
【0088】
群管理制御装置10の制御部11は、ステップS42で取得された割当号機のエレベータ制御装置40に、呼びキャンセル信号を送信する(S43)。呼びキャンセル信号は、ステップS42で取得された割当済出発階及び割当済行先階に関する呼びのキャンセルを指令する信号である。呼びキャンセル信号を受信したエレベータ制御装置40は、呼びキャンセル信号に含まれる割当済出発階及び割当済行先階について、対応するエレベータ60への割当をキャンセルする。
【0089】
群管理制御装置10の制御部11は、一定程度以上一致する顔データに関するデータ(レコード)を再登録用DBから削除する(S44)。
【0090】
群管理制御装置10の制御部11は、変更フラグに“True”を設定する(S45)。
【0091】
群管理制御装置10の制御部11は、行先階destとして、ステップS42で取得された次回行先階nextdestを設定し(S46)、前述したステップS37以後の処理を実行する。
【0092】
3.作用/効果等
本実施の形態の作用/効果等について説明する。本実施の形態のエレベータを利用する場合、まず利用者は行先階登録装置30の前に行く。行先階登録装置30は、顔認証用カメラ35で撮像された撮像画像に対して顔検出処理を一定時間間隔で繰り返し行っており、顔を検出すると、顔データを生成して、出発階(当該行先階登録装置30の設置階)に関する情報、生成した顔データを含む割当依頼信号を群管理制御装置10に送信する。群管理制御装置10は、受信した割当依頼信号に含まれる顔データに一定程度以上一致する顔データが利用者DBに登録されているか否かを判断し、登録されている場合、登録されている顔データに紐付けられている各種のデータを利用者DBから取得する。また、受信した割当依頼信号に含まれる顔データに一定程度以上一致する顔データが再登録用DBに登録されているか否かを判断し、判断結果に応じて、以下の(1)または(2)の処理を行う。
【0093】
(1)一定程度以上一致する顔データが再登録用DBに登録されていない場合
一定程度以上一致する顔データが利用者DBには登録されているが再登録用DBには登録されていないことは、利用者が所定時間(前述した通り例えば20秒)以上行先階登録装置30を利用していなかったことを意味する。具体例を挙げると、ビルがオフィスビルである場合に、利用者が出勤時や退勤時に初めて行先階登録装置を利用した状況が想定される。このような場合、群管理制御装置10は、利用者DBから、出発階に対応するデフォルト行先階配列を取得し、取得したデフォルト行先階配列の先頭の階を行先階destに設定し、割当依頼信号に含まれる出発階、設定された行先階destに対して割当号機を決定する。群管理制御装置10は、行先階dest、割当号機名を含む割当結果信号を割当依頼信号の送信元の行先階登録装置30に送信する。行先階登録装置30は、群管理制御装置10から割当結果信号を受信すると、表示部34に、前述した
図9Aのように、行先階dest、割当号機名及び顔画像を含む割当結果案内画面を表示する。これにより、利用者は、自己の行先階及び割当号機名を認識することができる。
【0094】
(2)一定程度以上一致する顔データが再登録用DBに登録されている場合
一定程度以上一致する顔データが利用者DB及び再登録用DBの両方に登録されていることは、利用者が行先階登録装置30を利用後の所定時間(前述した通り例えば20秒)以内に再度同一階の同一または他の行先階登録装置30を利用したことを意味する。つまり、上記の例に沿って説明すれば、利用者が出勤時あるいは退勤時に例えば所定時間以内に2回目の行先階登録装置を利用する場合が想定される。具体例を挙げると、利用者が最初のデフォルト行先階についてエレベータの割当を受けた後、他のデフォルト行先階について割当を受けるために、連続して行先階登録装置30の前に立ち続けた場合が想定される。あるいは、最初のデフォルト行先階についてエレベータの割当を受けた後、他のデフォルト行先階について割当を受けるために、所定時間(前述した通り例えば20秒)以内に、同一階の同一または他の行先階登録装置30の前に戻ってエレベータの割当を受け直した場合が想定される。このような場合、群管理制御装置10は、再登録用DBから、一定程度以上一致する顔データに紐付けられているデータを取得し、行先階destとして、再登録用DBから取得した次回行先階nextdestを設定する。そして、割当依頼信号に含まれる出発階、設定された行先階destに対して割当号機を決定する。群管理制御装置10は、行先階dest、割当号機名を含む割当結果信号を割当依頼信号の送信元の行先階登録装置30に送信する。行先階登録装置30は、群管理制御装置10から割当結果信号を受信すると、表示部34に、前述した
図9Bのように、行先階、割当号機名、行先階変更メッセージ及び顔画像を含む割当変更案内画面を表示する。これにより、利用者は、特別な操作を行うことなく、他のデフォルト行先階についてエレベータの割当を受けて、変更された自己の行先階及び割当号機名を認識することができる。また、群管理制御装置10は、再登録用DBから、上記一定程度以上一致する顔データに紐付けられているデータを削除するとともに、割当号機のエレベータ制御装置40に呼びキャンセル信号を送信する。これにより、割当済の呼びが無駄呼びとして残留するのを防止できる。
【0095】
また、本実施の形態では、利用者DBに出発階毎の複数のデフォルト行先階配列を登録していることにより、出発階毎に異なるデフォルト行先階を設定することができる。利用者は出発階に応じて異なる行先階を希望する場合が多く、これに適切に対応できる。
【0096】
また、本実施の形態では、複数個のデフォルト行先階の各々には、割当の優先順位が設定され、優先順位は、利用者の要望に応じて設定される。これにより、利用者の顔が検出される都度、利用者が希望する順番で異なるデフォルト行先階に対する割当が行われることとなる。そのため、顔検出の都度、異なる行先階を設定する構成を採用した場合において、行先階登録の利便性を向上させることができる。例えば、
図5の利用者DBにおいて顔データ1に紐付けられたデフォルト行先階配列1は出発階が1階のときの配列であるが、この配列では、顔データ1に対応する顔が検出される都度、12階、13階、14階、15階の順番、つまり昇順で行先階が割り当てられることとなる。これに対し、顔データ2に紐付けられたデフォルト行先階配列1は出発階が1階のときの配列であるが、この配列では、顔データ1に対応する顔が検出される都度、15階、14階、13階、12階の順番、つまり降順で行先階が割り当てられることとなる。
【0097】
また、
図5の利用者DBにおいて顔データ1に付けられたデフォルト行先階配列1~5ではいずれも、行先階として4個の階が含まれているが、顔データ2に紐付けられたデフォルト行先階配列2~4では、行先階として1階と15階の2個の階のみが含まれている。本実施の形態では、利用者の要望に応じてこのような設定を許容している。数を少なくすることにより、少ない顔検出回数で目的の行先階に対する割当を受けやすくできる。
【0098】
ここで、従来より、利用者がIDカードなどをカードリーダにかざすことによりデフォルト行先階の登録を行うことが可能なシステムが存在している。しかしながら、デフォルト行先階以外の階へ向かいたい場合には、テンキーなどを備えた行先階登録装置30での行先階登録の必要があり、利便性の点で課題があった。しかしながら、本実施の形態の行先階登録装置30によれば、複数のデフォルト行先階のうち任意の行先階の登録を、一つの行先階登録装置30での顔認証により行うことができる。そのため、行先階登録の利便性を向上させることができる。また、テンキーなどへのタッチ操作等を行う必要がないため、ウイルスや細菌などによる感染症への感染を抑制できる。
【0099】
(その他の実施の形態)
【0100】
前記実施の形態では、利用者DBは群管理制御装置10の記憶部12に格納されているが、ビルによっては、顔認証を利用したセキュリティシステムが設けられる場合がある。このようなセキュリティシステムは、通常、顔認証用の顔データなどを格納するデータベースを有する。そのため、このデータベースの顔データに紐付けて、デフォルト行先階のデータを登録しておき、群管理制御装置10は、このデータベースからデフォルト行先階のデータを取得するようにしてもよい。
【0101】
前記実施の形態では、行先階登録装置30が各階床のエレベータ乗場またはその近傍の建物壁面に配置される例を示したが、ビルにセキュリティゲートが設けられる場合には、セキュリティゲートにも行先階登録装置30を配置してもよい。この場合、群管理制御装置10における顔認証結果に基づいて、セキュリティゲートのフラッパの開閉を制御するようにしてもよい。
【0102】
前記実施の形態では、「顔データ」が顔特徴点データである場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。「顔データ」は、顔の画像データであってもよい。画像データの形式は、bmp形式、jpg形式、gif形式などどのような形式であってもよい。「顔データ」を画像データとする場合には、利用者DBにおける「顔データ」として、顔の画像データを登録すればよい。行先階登録装置30は、
図7のステップS12において、「顔データ」として顔の画像データを含む割当依頼信号を群管理制御装置10に送信する。顔の画像データは、例えば、ステップS11で顔が含まれていると判断された際に撮像画像から取得される。群管理制御装置10は、割当依頼信号を受信すると、割当依頼信号に含まれる顔データに一定程度以上一致する顔データが利用者DB(再登録DB)に登録されているか否かを判断する(S32(S34))。例えば、割当依頼信号に含まれる顔データ(顔画像データ)と、利用者DBに登録されている各顔データ(顔画像データ)とを順次比較(照合)して一致率を求める。そして、割当依頼信号に含まれる顔データに対して所定一致率以上の一致率を有する顔データが利用者DB(再登録DB)に登録されているかを判断する。所定一致率以上の一致率を有する顔データが利用者DB(再登録DB)に登録されている場合、群管理制御装置10の制御部11は、割当依頼信号に含まれる顔データ(顔画像データ)に係る利用者(顔検出された利用者)が、利用者DB(再登録DB)に登録されている利用者であると判断する。
【0103】
前記実施の形態では、複数台のエレベータ60を有するエレベータシステムを例示したが、本発明は、単一のエレベータを有するエレベータシステムにも適用可能である。
【0104】
前記各実施の形態では、各装置の制御部は、CPU、MPU等を利用して構成され、記憶部から読み出したプログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現する。つまり、各制御部は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。しかし、各制御部は、例えば、ハードウェア(電子回路)のみ、FPGA、ASIC等を利用して構成されてもよい。
【0105】
前記各実施の形態では、ネットワークはEthernetであり、各装置の入出力インタフェースはLANアダプタ等を利用して構成されている。しかし、これは一例であり、ネットワークは、例えばIEEE規格に準拠した無線LANで構成され、入出力インタフェースは無線LANアダプタ等で構成されてもよい。
【0106】
前記各実施の形態において、本発明の複数の態様を説明した。しかし、本発明の具体的態様は、上述した実施の形態に限られず、これらを組み合わせたものとすることもできる。
【0107】
(実施の形態についてのまとめ及び効果等)
(1)実施の形態のエレベータシステムは、
エレベータへの乗車前に利用者の行先階の割り当てを行うエレベータシステムであって、
行先階を登録しようとする利用者を撮像する撮像部(例えば、顔認証用カメラ35)と、
前記撮像部で撮像された撮像画像に対して顔検出処理を行い、検出された顔の顔データを生成する顔検出部(例えば、行先階登録装置30の制御部31)と、
顔認証用顔データ(例えば、利用者DBに登録されている顔データ)に紐付けて複数個のデフォルト行先階を利用者毎に予め記憶する第1記憶部(例えば、群管理制御装置10の記憶部12に格納されている利用者DB)と、
顔認証用顔データに紐付けて、エレベータ割当済の行先階呼びに関する情報をエレベータ割当後の所定時間だけ記憶する第2記憶部(例えば、群管理制御装置10の記憶部12に格納されている再登録用DB)と、
行先階呼びをエレベータに割り当てる割当部(例えば、群管理制御装置10の制御部11)と、を備え、
前記割当部は、顔検出部で顔が検出された場合において、
(a)生成された前記顔データに一致する顔認証用顔データが第1記憶部で記憶され、かつ生成された顔データに一定程度以上一致する顔認証用顔データが前記第2記憶部で記憶されていない第1の状況においては、前記第1記憶部で前記顔認証用顔データに紐付けて記憶されている前記複数個のデフォルト行先階のうちの一つのデフォルト行先階を行先階として設定してエレベータの割当を行い、
(b)生成された前記顔データに一致する顔認証用顔データが前記第1記憶部で記憶され、かつ生成された前記顔データに一定程度以上一致する顔認証用顔データが前記第2記憶部で記憶されている第2の状況においては、前記第1記憶部で前記顔認証用顔データに紐付けて記憶されている前記複数個のデフォルト行先階のうち前記一つのデフォルト行先階とは異なる他の一つのデフォルト行先階を行先階として設定してエレベータの割当を行う。
【0108】
この構成により、行先階登録の利便性を向上させることができる。
【0109】
(2)実施の形態のエレベータシステムにおいて、
前記割当部(例えば、群管理制御装置10の制御部11)は、
前記第2の状況において、前記一つのデフォルト行先階に対するエレベータの割当をキャンセルする。
【0110】
この構成により、第1の状況で割当済の呼びが無駄呼びとして残留するのを防止できる。
【0111】
(3)実施の形態のエレベータシステムにおいて、
前記複数個のデフォルト行先階は、出発階毎に設定されている。
【0112】
この構成により、利用者の出発階に応じたデフォルト行先階に対する割当を行うことができる。
【0113】
(4)実施の形態のエレベータシステムにおいて、
前記複数個のデフォルト行先階の各々には、割当の優先順位が設定され、
前記優先順位は、利用者の要望に応じて設定される。
【0114】
この構成により、利用者の顔が検出される都度、利用者が希望する順番で異なるデフォルト行先階に対するエレベータの割当が行われることとなる。
【0115】
(5)実施の形態のエレベータシステムにおいて、
エレベータの割当結果を表示する表示部(例えば、行先階登録装置30の表示部34)を備え、
前記割当部(例えば、群管理制御装置10の制御部11)は、
前記第2の状況において、前記表示部に、他の一つのデフォルト行先階の値と、行先階を変更したことを示すメッセージとを表示させる。
【0116】
この構成により、利用者が、変更された行先階と、行先階が変更されたこととを適切に認識できる。
【符号の説明】
【0117】
10 群管理制御装置
11 制御部
12 記憶部
13 入出力インタフェース
30 行先階登録装置
31 制御部
32 記憶部
33 入出力インタフェース
34 表示部
35 顔認証用カメラ
40、40A~40F エレベータ制御装置
60、60A~60F エレベータ
【要約】
【課題】行先階登録の利便性を向上させる。
【解決手段】割当部は、顔検出部で顔が検出された場合において、(a)生成された顔データに一致する顔認証用顔データが第1記憶部で記憶され、かつ生成された顔データに一定程度以上一致する顔認証用顔データが第2記憶部で記憶されていない第1の状況においては、第1記憶部で顔認証用顔データに紐付けて記憶されている複数個のデフォルト行先階のうちの一つのデフォルト行先階を行先階として設定してエレベータの割当を行い、(b)生成された顔データに一致する顔認証用顔データが第1記憶部で記憶され、かつ生成された顔データに一定程度以上一致する顔認証用顔データが第2記憶部で記憶されている第2の状況においては、第1記憶部で顔認証用顔データに紐付けて記憶されている複数個のデフォルト行先階のうち他の一つのデフォルト行先階を行先階として設定してエレベータの割当を行う。
【選択図】
図11