(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】記録媒体、加飾シート、加飾品、及び加飾品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/52 20060101AFI20221101BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20221101BHJP
B41M 5/382 20060101ALI20221101BHJP
B41M 5/50 20060101ALI20221101BHJP
B44C 1/17 20060101ALI20221101BHJP
G03G 7/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B41M5/52 400
B32B27/00 E
B41M5/382 800
B41M5/50 120
B41M5/50 310
B41M5/50 410
B41M5/52 100
B41M5/52 300
B44C1/17 B
B44C1/17 G
B44C1/17 N
G03G7/00 B
(21)【出願番号】P 2021539271
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2020030365
(87)【国際公開番号】W WO2021029358
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2019148922
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】小林 良正
(72)【発明者】
【氏名】松井 寛人
(72)【発明者】
【氏名】與田 晋也
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-82489(JP,A)
【文献】特開2019-55573(JP,A)
【文献】特開昭62-124977(JP,A)
【文献】特開2000-218931(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021572(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/151378(WO,A1)
【文献】特開2002-254839(JP,A)
【文献】特開2002-254834(JP,A)
【文献】特開平8-276699(JP,A)
【文献】特開平8-276700(JP,A)
【文献】特開2004-178906(JP,A)
【文献】特開2004-122542(JP,A)
【文献】特開2005-161810(JP,A)
【文献】特開平8-39946(JP,A)
【文献】特開2017-115042(JP,A)
【文献】特開2009-255391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/035
B41M 5/26- 5/52
B44C 1/16- 1/175
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加飾シートであって、
支持体、及び前記支持体上に設けられた画像形成用層を有し、
前記加飾シート全体の可視光領域の光線透過率が10%以上であり、
測定角度45°の条件で測定される前記加飾シートの光沢度が60以下であり、
前記画像形成用層に画像が形成され、
前記画像形成用層上に接着層が設けられ、
前記画像形成用層と前記接着層の間に耐久層が設けられ、
前記耐久層が、第1層を含む単層構造、又は積層構造であり、
前記第1層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)が、前記接着層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)より高く、
前記第1層が、紫外線吸収剤を含有している、加飾シート。
【請求項2】
前記支持体が、表面が凹凸構造を有する凹凸層、又は内部にボイドを有するボイド層を含むか、又は、
前記支持体と前記画像形成用層の間に、前記凹凸層、又は前記ボイド層が位置する、請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
前記画像が熱転写画像である、請求項1又は2に記載の加飾シート。
【請求項4】
前記画像がインクジェット印刷方式、又はトナー印刷方式で形成された画像である、請求項1又は2に記載の加飾シート。
【請求項5】
前記接着層上に、前記接着層から剥離できるマスキング部材が設けられ、前記光線透過率、及び前記光沢度が、前記マスキング部材を剥離した後の光線透過率、及び光沢度である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の加飾シート。
【請求項6】
前記第1層が前記接着層と接している、請求項1乃至5の何れか1項に記載の加飾シート。
【請求項7】
前記耐久層が前記第1層を含む積層構造であり、前記第1層が前記接着層から最も近くに位置している、請求項1乃至5の何れか1項に記載の加飾シート。
【請求項8】
最表面に位置する機能層を含む、請求項1乃至7の何れか1項に記載の加飾シート。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の加飾シートの支持体側に、前記加飾シートから分離できる分離部材が設けられた、分離部材付き加飾シート。
【請求項10】
熱エネルギーの印加で、前記加飾シートから前記分離部材を分離できる、請求項9に記載の分離部材付き加飾シート。
【請求項11】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の加飾シートと、加飾対象物とが一体化された加飾品。
【請求項12】
前記加飾シートの前記加飾対象物とは反対側に機能層が設けられた、請求項11に記載の加飾品。
【請求項13】
前記加飾シートと前記機能層の間に接着層が設けられた請求項12に記載の加飾品。
【請求項14】
加飾品の製造方法であって、
加飾シートと加飾対象物とを一体化させる一体化工程と、
前記一体化工程後、前記加飾シートの前記加飾対象物とは反対側の面に、機能層を形成する機能層形成工程と、を含み、
前記加飾シートが、
支持体、及び前記支持体上に設けられた画像形成用層を有し、
前記画像形成用層に画像が形成され、
前記画像形成用層上に接着層が設けられ、
前記画像形成用層と前記接着層の間に耐久層が設けられ、
前記耐久層が、第1層を含む単層構造、又は積層構造であり、
前記第1層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)が、前記接着層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)より高く、
前記第1層が、紫外線吸収剤を含有しており、
前記機能層形成工程が、前記加飾シートと前記機能層との積層体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ測定角度45°の条件で測定される前記積層体の光沢度が60以下となるように機能層を形成する工程である、加飾品の製造方法。
【請求項15】
加飾品の製造方法であって、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の加飾シートと加飾対象物とを一体化させる一体化工程を含む、加飾品の製造方法。
【請求項16】
加飾品の製造方法であって、
請求項9又は10に記載の分離部材付き加飾シートと加飾対象物とを一体化させる一体化工程と、
前記一体化工程の後に、前記分離部材付き加飾シートの前記分離部材を分離する分離工程と、を含む加飾品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録媒体、分離部材付き記録媒体、加飾シート、分離部材付き加飾シート、加飾品、加飾品の製造方法、及び記録媒体と転写シートの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
印画物の製造方法として、記録媒体の画像形成用層に画像を形成する方法が知られている。この画像形成用層には、各種の画像形成方式で画像を形成できる。画像形成方式としては、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式、インクジェット印刷方式、及びトナー印刷方式等が知られている。
【0003】
近似、記録媒体を用いて製造された印画物を加飾シートとし、この加飾シートを加飾対象物である物品の装飾に用いる試みがされている。加飾シートを用いた物品の装飾方法としては、インモールド成形、及びインサート成形等が知られている。特許文献1には、樹脂シート上に、インクジェットインク組成物の硬化画像層を設けた加飾シート、及びこの加飾シートを使用した加飾品の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、斬新な意匠性を有する物品を製造できる記録媒体を提供すること、斬新な意匠性を有する物品を製造できる分離部材付き記録媒体を提供すること、斬新な意匠性を有する加飾品を製造できる加飾シートを提供すること、斬新な意匠性を有する加飾品を製造できる分離部材付き加飾シートを提供すること、斬新な意匠性を有する加飾品を製造できる加飾品の製造方法を提供すること、斬新な意匠性を有する物品を製造できる記録媒体と転写シートの組合せを提供すること、及び斬新な意匠性を有する加飾品の提供を主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態の記録媒体は、画像形成に用いられる記録媒体であって、支持体、及び前記支持体上に設けられた画像形成用層を有し、前記記録媒体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上であり、測定角度45°の条件で測定される前記記録媒体の光沢度が60以下である。
【0007】
本開示の一実施形態の分離部材付き記録媒体は、本開示の記録媒体の支持体側に、前記記録媒体から分離できる分離部材が設けられている。
【0008】
本開示の一実施形態の加飾シートは、支持体、及び前記支持体上に設けられた画像形成用層を有し、前記加飾シート全体の可視光領域の光線透過率が10%以上であり、測定角度45°の条件で測定される前記加飾シートの光沢度が60以下であり、前記画像形成用層に画像が形成され、前記画像形成用層上に接着層が設けられ、前記画像形成用層と前記接着層の間に耐久層が設けられ、前記耐久層が、第1層を含む単層構造、又は積層構造であり、前記第1層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)が、前記接着層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)より高く、前記第1層が、紫外線吸収剤を含有している。
本開示の一実施形態の加飾シートは、支持体、及び前記支持体上に設けられた画像形成用層を有し、前記加飾シート全体の可視光領域の光線透過率が10%以上であり、測定角度45°の条件で測定される前記加飾シートの光沢度が60以下である。
【0009】
本開示の一実施形態の分離部材付き加飾シートは、本開示の加飾シートの支持体側に、前記加飾シートから分離できる分離部材が設けられている。
【0010】
本開示の一実施形態の加飾品は、本開示の加飾シートと加飾対象物が一体化されている。
【0011】
本開示の一実施形態の加飾品の製造方法は、本開示の記録媒体の前記画像形成用層上に画像を形成する画像形成工程と、前記画像形成工程後に、前記記録媒体と加飾対象物とを一体化させる一体化工程とを含む。
【0012】
本開示の一実施形態の加飾品の製造方法は、本開示の分離部材付き記録媒体の前記画像形成用層上に画像を形成する画像形成工程と、前記画像形成工程後に、前記分離部材を分離する分離工程と、前記分離工程後に、前記記録媒体と加飾対象物とを一体化させる一体化工程とを含む。
【0013】
本開示の一実施形態の加飾品の製造方法は、本開示の分離部材付き記録媒体の前記画像形成用層上に画像を形成する画像形成工程と、前記画像形成工程後に、前記分離部材付き記録媒体と加飾対象物とを一体化させる一体化工程と、前記一体化工程後に、前記分離部材を分離する分離工程とを含む。
【0014】
本開示の一実施形態の加飾品の製造方法は、加飾シートと加飾対象物とを一体化させる一体化工程と、前記一体化工程後、前記加飾シートの前記加飾対象物とは反対側の面に、機能層を形成する機能層形成工程と、を含み、前記加飾シートが、支持体、及び前記支持体上に設けられた画像形成用層を有し、前記画像形成用層に画像が形成され、前記画像形成用層上に接着層が設けられ、前記画像形成用層と前記接着層の間に耐久層が設けられ、
前記耐久層が、第1層を含む単層構造、又は積層構造であり、前記第1層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)が、前記接着層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)より高く、前記第1層が、紫外線吸収剤を含有しており、前記機能層形成工程が、前記加飾シートと前記機能層との積層体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ測定角度45°の条件で測定される前記積層体の光沢度が60以下となるように機能層を形成する工程である。
本開示の一実施形態の加飾品の製造方法は、加飾シートと加飾対象物とを一体化させる一体化工程と、前記一体化工程後、前記加飾シートの前記加飾対象物とは反対側の面に、機能層を形成する機能層形成工程とを含み、前記加飾シートが、支持体、及び画像層を有し、前記機能層形成工程が、前記加飾シートと前記機能層との積層体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ測定角度45°の条件で測定される前記積層体の光沢度が60以下となるように機能層を形成する工程である。
【0015】
本開示の一実施形態の記録媒体と転写シートの組合せは、前記記録媒体が、支持体、及び画像層を有し、前記転写シートが、基材、及び前記基材から剥離できる転写層を有し、前記記録媒体上に、前記転写シートの前記転写層を転写することで、可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ測定角度45°の条件で測定される光沢度が60以下の転写物が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の記録媒体、及び本開示の分離部材付き記録媒体は、斬新な意匠性を有する印画物、又は斬新な意匠性を有する加飾シート等を製造できる。本開示の加飾シート、本開示の分離部材付き加飾シート、本開示の加飾品の製造方法、及び本開示の記録媒体と転写シートの組合せは、斬新な意匠性を有する加飾品を製造できる。本開示の加飾品は、意匠性が斬新である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【
図2】本開示の記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【
図3】本開示の記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【
図4】本開示の分離部材付き記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【
図5】本開示の分離部材付き記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【
図6】本開示の加飾シートの一例を示す概略断面図である。
【
図7】本開示の分離部材付き加飾シートの一例を示す概略断面図である。
【
図8】
図8Aは本開示の加飾シートの一例を示す概略断面図であり、
図8Bは本開示の分離部材付き加飾シートの一例を示す概略断面図である。
【
図9】
図9Aは本開示の加飾シートの一例を示す概略断面図であり、
図9Aは本開示の分離部材付き加飾シートの一例を示す概略断面図である。
【
図10】本開示の実施の形態に係る加飾品の一例を示す概略断面図である。
【
図11】本開示の加飾品の製造方法の一例を示す工程図である。
【
図12】本開示の加飾品の製造方法の一例を示す工程図である。
【
図13】本開示の加飾品の製造方法の一例を示す工程図である。
【
図14】本開示の加飾品の製造方法の一例を示す工程図である。
【
図15】本開示の加飾品の製造方法の一例を示す工程図である。
【
図16】転写シートの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。なお、本開示は多くの異なる態様で実施でき、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上又は下等という語句を用いて説明するが、上下方向が逆転してもよい。左右方向についても同様である。
【0019】
<<記録媒体>>
本開示の実施の形態に係る記録媒体(以下、本開示の記録媒体と言う)について、図面を参照して説明する。
【0020】
本開示の記録媒体100は、支持体1と、支持体1上に設けられた画像形成用層10を有する(
図1~
図3参照)。本開示における支持体1は、記録媒体100を構成する構成部材のうち、画像形成用層10以外の全ての構成を意味する。
【0021】
本開示の記録媒体100は、当該記録媒体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上であり、且つ、測定角度45°の条件で測定したときの光沢度が60以下である。本開示の記録媒体100は、透け感、及びマット感を有する。本開示の記録媒体100は、透明性を有し、且つ光沢感が抑えられた記録媒体100とできる。本開示の記録媒体100は、画像形成用層10に画像を形成することで、印画物、及び加飾シートを製造できる。製造された印画物は、斬新な意匠性を有する。製造された加飾シートは、加飾対象物を装飾でき、斬新な意匠性を有する加飾品を製造できる。以下、測定角度45°の条件で測定したときの記録媒体100の光沢度を、記録媒体の光沢度と略記する。
【0022】
本開示における透明性は、無色透明のみならず、半透明、有色透明を含む。
【0023】
本開示における記録媒体全体の可視光領域の光線透過率は、当該記録媒体100を構成する全構成部材の積層体の可視光領域の光線透過率を意味する。可視光領域の光線透過率は、分光光度計(UV-3100PC (株)島津製作所)に、積分球付属装置ISR-3100(島津製作所製)を取り付けた装置により測定したものである。具体的には、この装置の試料光束側に測定対象である記録媒体を設置し、対照光束側にブランクとして厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを設置し、可視光領域である380nmから780nmの光線透過率を測定したものである。本開示における記録媒体100全体の可視光領域の光線透過率が10%以上であるとは、可視光領域の光線透過率が何れも10%以上であることを意味する。
【0024】
本開示における記録媒体100の光沢度は、Haze Meter(VG7000 日本電色工業(株))を用い、JIS-K-7105に準拠した方法により入射角度45°で測定される記録媒体100の光沢度を意味する。
【0025】
記録媒体100の光沢度の測定は、記録媒体100の画像形成用層10側から行ってもよく、支持体1側から行ってもよい。本開示における記録媒体100の光沢度が60以下であるとは、画像形成用層10側、及び支持体1側の何れか一方側から測定したときの光沢度が60以下であることを意味する。
【0026】
本開示の記録媒体100は、当該記録媒体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ、測定角度45°の条件で測定したときの光沢度が60以下となる部分を有すればよい。
本開示の記録媒体100は、当該記録媒体全体の可視光領域の光線透過率が10%未満となる部分を含んでもよい。
本開示の記録媒体100は、測定角度45°の条件で測定したときの記録媒体100の光沢度が60より大きい部分を含んでもよい。
本開示の一例としての記録媒体100は、当該記録媒体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ、測定角度45°の条件で測定したときの記録媒体100の光沢度が60以下となる部分が、有効領域の50%以上である。有効領域とは、本開示の記録媒体100で製造される印画物や、加飾シートを平面視したときの大きさである。
【0027】
以下、本開示の記録媒体100の各構成について一例をあげて説明する。本開示の記録媒体100は、以下で説明する形態に限定されない。
【0028】
本開示の記録媒体100全体の可視光領域の光線透過率は、10%以上80%以下が好ましい。この形態の記録媒体100は、記録媒体100全体がより斬新な透け感を有する。
【0029】
(画像形成用層)
本開示の記録媒体100は、支持体1、及び支持体1上に設けられた画像形成用層10を有する。
画像形成用層10には各種の画像形成方式で画像を形成できる。画像形成用層10は、予め所定の画像を有してもよい。画像形成用層10の種類や、画像形成用層10の成分に限定はなく、画像形成用層10に形成される画像に応じて適宜設定できる。画像形成用層10が含有する成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。
画像形成用層10自体の可視光領域の光線透過率に限定はなく、記録媒体100全体の可視光領域の光線透過率を10%以上とできればよい。一例としての画像形成用層10は、記録媒体100全体の可視光領域の光線透過率を10%以上とできる透明性を有する。
【0030】
プリンタ等を用いて行われる代表的な画像形成方法としては、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式、インクジェット印刷方式、トナー印刷方式(レーザー印刷方式)等を例示できる。
昇華型熱転写方式は、昇華性染料を含有する色材層が設けられた熱転写シートを用い、当該熱転写シートに画像情報に応じた熱エネルギーを印加し、色材層が含有している昇華性染料を画像形成用層10に移行させて画像を形成する画像形成方式である。
溶融型熱転写方式は、溶融インキを含む色材層が設けられた熱転写シートを用い、当該熱転写シートに画像情報に応じた熱エネルギーを印加して、熱エネルギーの印加により溶融、又は軟化した色材層を、画像形成用層10に層ごと転写して画像を形成する画像形成方式である。
インクジェット印刷方式は、ピエゾ駆動で発生させた圧力波で、インクジェット用のインクをノズルから噴出する、又は加熱により管内のインクに気泡を発生させてインクを噴射する等により、このインクを画像形成用層10に付着させて画像を形成する画像形成方式である。トナー印刷方式は、レーザー等の熱によりトナーを静電転写方式で画像形成用層10に定着(融着)させる画像形成方式である。
オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式等で画像を形成してもよい。これ以外の印刷方式で、画像を形成してもよい。
【0031】
一例としての画像形成用層10は、昇華性染料を受容可能な成分を含有している。この形態の画像形成用層10は、昇華型熱転写方式で、鮮明、且つ濃度の高い画像を形成できる。
昇華性染料を受容可能な成分としては、アクリル樹脂、アクリル-スチレン共重合体、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、エチレン、オレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体、アイオノマー、セルロース樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びゼラチン等を例示できる。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン等を例示できる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレート等を例示できる。
好ましい形態の画像形成用層10は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル-スチレン共重合体、ポリエステル、及びエポキシ樹脂の少なくとも1つを含有している。中でも、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含有する画像形成用層10は、昇華型熱転写方式で、より濃度の高い画像を形成できる点で好ましい。
【0032】
画像形成用層10の厚みに限定はなく、画像形成方法等に応じて適宜設定できる。熱転写方式で画像を形成できる画像形成用層10の厚みは、0.1μm以上10μm以下が好ましい。インクジェット印刷方式で画像を形成できる画像形成用層10の厚みは、0.1μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上40μm以下がより好ましく、3μm以上30μm以下がさらに好ましい。また、トナー印刷方式で画像を形成できる画像形成用層10の厚みは、0.01μm以上5μm以下が好ましく、0.05μm以上1μm以下がより好ましい。
【0033】
画像形成用層10の形成方法に限定はなく、支持体1上に画像形成用層10となるフィルム等を貼り合わせて形成してもよく、画像形成用層用塗工液を塗布、乾燥して形成してもよい。
【0034】
(支持体)
本開示の記録媒体100は、支持体1を有する(
図1~
図3参照)。支持体1は、単層構造でもよく(
図1参照)、積層構造でもよい(
図2、
図3参照)。
図2に示す形態の支持体1は、層1A、プライマー層3が積層された積層構造である。
図3Aに示す形態の支持体1は、層1A、層1B、プライマー層3がこの順番で積層された積層構造である。
図3Bに示す形態の支持体1は、層1A、プライマー層3、層1B、プライマー層3がこの順番で積層された積層構造である。支持体1は、図示する形態以外の層を含んでいてもよい。
【0035】
一例としてのプライマー層3は、接着成分を含有している。一例としての支持体1は、プライマー層3を含む積層構造である(
図2、
図3参照)。一例としての支持体1は、複数の基材を含む積層構造であり、何れかの基材間に設けられたプライマー層3を含む。一例としての支持体1は、画像形成用層10側の表面に位置するプライマー層3を含む。接着成分としては、ウレタン樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、シアノアクリレート、及び合成ゴム等を例示できる。ポリオレフィンとしては、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体等を例示できる。接着成分を硬化剤で硬化したものを用いてもよい。接着成分を硬化剤で硬化したものは接着性、及び耐熱性が良好である。硬化剤としては、イソシアネート化合物、脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物等を例示できる。プライマー層3を設けずに、表面が接着性を有する基材、又は表面に接着処理が施された基材を用いてもよい。
【0036】
一例としての支持体1は、フィルム基材を含む。フィルム基材は、樹脂基材、樹脂シート等と称される場合もある。例えば、
図1、
図2に示す形態の層1Aをフィルム基材としてもよい。
図3に示す形態の層1A、層1Bの何れか一方、又は双方をフィルム基材としてもよい。フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、及びポリメチルペンテン等を例示できる。これらフィルム基材は、延伸されたものでもよく、未延伸でもよい。また、支持体1は、3つ以上のフィルム基材を含んでいてもよい。
【0037】
支持体1は、記録媒体100全体の可視光領域の光線透過率を10%以上とできる光線透過率を有すればよい。支持体1が積層構造の場合、支持体1の各構成部材が、記録媒体100全体の可視光領域の光線透過率を10%以上とできる光線透過率を有すればよい。支持体1が、プライマー層3、フィルム基材を含む場合、これらプライマー層や、フィルム基材として、記録媒体100全体の透過率を10%以上とできる透明プライマー層や、透明フィルム基材を用いればよい。また、これら透明プライマー層や、透明フィルム基材を、後述する光沢度調整層としてもよい。
【0038】
(光沢度調整層)
本開示の一例としての記録媒体100は、支持体1が光沢度調整層を含む。光沢度調整層は、記録媒体100の光沢度を60以下に調整するための層である。
【0039】
一例としての記録媒体100は、支持体1が、1つ、又は複数の光沢度調整層を含む。一例としての記録媒体100は、光沢度調整層で、記録媒体100の光沢度が60以下に調整されている。光沢度調整層自体の光沢度(光沢度調整層単体の光沢度)に限定はない。光沢度調整層は、これ以外の構成部材を考慮し、記録媒体の光沢度を60以下とできるものを使用すればよい。光沢度調整層単体の光沢度は60未満でもよく、60以上でもよい。光沢度が60未満の光沢度調整層の1つ、又は複数を組み合わせて、記録媒体100の光沢度を60以下に調整してもよい。光沢度が60以上の光沢度調整層の1つ、又は複数を組み合わせて、記録媒体100の光沢度を60以下に調整してもよい。光沢度が60未満の光沢度調整層の1つ、又は複数と、光沢度が60以上の光沢度調整層の1つ、又は複数を組み合わせて、記録媒体100の光沢度を60以下に調整してもよい。光沢度調整層としては、ボイド層、及び凹凸層を例示できる。
【0040】
(ボイド層)
ボイド層としては、内部にボイドを有するフィルム基材(樹脂基材でもよい)等を例示できる。ボイド層は、ポリマー中に無機粒子を混練し、その混合物を延伸するときに無機粒子を核としてボイドを生じさせたものや、主体とする樹脂に対して非相溶なポリマーを混合し、その混合物を延伸するときにボイドを生じさせたもの等を例示できる。ポリマーは、1種でもよく、2種以上でもよい。ボイド層が有するボイドは、ミクロボイドや、空孔と称される場合もある。ボイド層は、多孔質層、多孔質フィルム等と称される場合もある。
【0041】
ボイド層を光沢度調整層とする場合には、ボイドの大きさ、ボイドが占める割合、ボイド層の厚み等を適宜設定して、当該ボイド層を含む支持体1を有した記録媒体100の光沢度を調整できる。
ボイド層の厚みに限定はない。一例としてのボイド層の厚みは10μm以上150μm以下である。この厚みのボイド層を有する記録媒体100は、より濃度の高い画像を形成できる。
【0042】
(凹凸層)
凹凸層は、表面が凹凸構造を有しており、当該凹凸部分によって光沢度の調整が図られる。凹凸層は、画像形成用層10側に凹凸構造を有してもよく、その反対側に凹凸構造を有してもよい。画像形成用層10側、及びその反対側の双方に凹凸構造を有してもよい。
【0043】
一例としての凹凸層は、粒子を含有しており、粒子の一部が突出している。この凹凸層は、粒子の突出部分と非突出部分で凹凸構造が形成されている。
一例としての凹凸層は、粒子を含有しており、凹凸層の表面が隆起している。この凹凸層は、隆起部分と非隆起部分で凹凸構造が形成されている。
一例としての凹凸層は、粒子を含有するフィルムである。
一例としての凹凸層は、粒子が練りこまれたフィルムである。
一例としての凹凸層は、表面処理が施されたフィルムである。この凹凸層は、表面処理で凹凸構造が賦形されている。
粒子としては、無機粒子、及び有機粒子などを例示できる。このような粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、多孔質粒子、中空粒子、タルク、ジカルボン酸エステルアミド、ポリエチレン等を例示できる。粒子、及びバインダーを適当な溶媒に分散、又は溶解した塗工液を塗布、乾燥して得られる塗工層等を凹凸層としてもよい。凹凸構造を賦形するための表面処理の方法としては、エンボス加工、及びブラスト加工等を例示できる。
【0044】
凹凸層を、光沢度調整層とする場合には、凹凸における凸部の高さ、凹部と凸部の間隔、凹凸層の厚み等を適宜設定して、記録媒体100の光沢度を調整できる。
【0045】
光沢度調整層は、記録媒体100全体の可視光領域の光線透過率を10%以上とできる光線透過率を有する。フィルム基材を、ボイド層や、凹凸層等の光沢度調整層とする場合には、内部にボイドを有する透明フィルム基材や、その表面に凹凸構造を有する透明フィルム基材を使用すればよい。
【0046】
支持体1は、光沢度調整層のみからなる単層構造でもよく、複数の光沢度調整層を含む積層構造でもよい。例えば、
図3A、
図3Bに示す形態の層1A、層1Bの一方、又は双方を、光沢度調整層としてもよい。支持体1は、光沢度調整層以外の層を含んでもよい。
【0047】
プライマー層3を光沢度調整層としてもよい。一例としてのプライマー層3は、表面が凹凸構造を有する。
図3に示す形態において、2つ以上の層を、光沢度調整層としてもよい。例えば、
図3に示す形態の層1A、及び層1Bの何れか一方、又は双方と、プライマー層3を光沢度調整層としてもよい。プライマー層の厚み等を考慮すると、プライマー層3以外の層、例えば、フィルム基材を光沢度調整層とすることが好ましい。
【0048】
好ましい形態の記録媒体100は、支持体1が光沢度調整層を含む積層構造であり、光沢度調整層は画像形成用層10から最も遠くに位置している。一例としての支持体1は、プライマー層3、及び層1A等を含む積層構造であり(
図2、
図3A、
図3B参照)、層1Aが光沢度調整層である。この形態は、記録媒体100の光沢度を容易に60以下に調整できる。この形態は、本開示の記録媒体100で製造される印画物や、加飾シート150を、支持体1側から視認したときの意匠性をより良好にできる。また、この加飾シートと加飾対象物とを一体化させて製造される加飾品を支持体1側から視認したときの意匠性を良好にできる。この場合、画像形成用層10側で加飾対象物と一体化させることが好ましい。さらに、支持体1側から測定される光沢度が60以下であることが好ましい。また、加飾対象物として透明性を有するものを用いた場合には、製造された加飾品を加飾対象物側から視認したときの意匠性を良好にできる。各図に示す一例としての層1Aは、内部にボイドを有する透明フィルム基材(ボイド層)、又は表面が凹凸構造を有する透明フィルム基材(凹凸層)である。
【0049】
支持体1と画像形成用層10の間に、光沢度調整層を設けてもよい。
【0050】
本開示の一例としての記録媒体100は、機能層を含む単層構造、又は積層構造である。一例としての記録媒体100は、支持体1が機能層を含む。一例としての支持体1は、複数の基材を含む積層構造であり、何れかの基材の間に機能層が位置している。一例としての支持体1は、複数の基材を含む積層構造であり、何れかの基材の間に機能層が位置している。機能層は、面方向に所定の間隔をあけて複数位置してもよい。機能層は、厚み方向に複数位置してもよい。複数の機能層は、厚み方向で重なってもよく、重ならなくてもよい。複数の機能層は、同じであってもよく、異なってもよい。本開示の一例としての記録媒体100は、支持体1と画像形成用層10の間に、機能層が位置している。本開示の一例としての記録媒体100は、支持体1と画像形成用層10の間の一部分に、機能層が位置している。本開示の一例としての記録媒体100は、画像形成用層10上に機能層が位置している。本開示の一例としての記録媒体100は、最表面に位置する機能層を含む。
一例としての機能層は、支持体1の画像形成用層10とは反対側の表面に位置している。この機能層としては、触感層、耐指紋性層、帯電防止層等を例示できる。触感層としては、発泡材料等を含む層等を例示できる。上記ボイド層や、凹凸層を触感層としてもよい。耐指紋性層は、耐指紋性を有する。
後述する分離部材付き記録媒体100Xとする場合には、支持体1の画像形成用層10とは反対側の表面に位置する機能層を粘着層としてもよい。一例としての粘着層は、事後的に粘着性が増大、又は事後的に粘着性が発現する。一例としての粘着層は、加熱等で粘着性が増大する、又は加熱等で粘着性が発現する。機能層を、光沢度調整層としてもよい。
【0051】
一例としての機能層は、装飾層である。装飾層としては、粒子含有層、着色層、及び蒸着層等を例示できる。上記ボイド層や、凹凸層を装飾層としてもよい。装飾層を、光沢度調整層としてもよい。
粒子含有層が含有している粒子としては、無機粒子、及び有機粒子を例示できる。このような粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、多孔質粒子、中空粒子、タルク、ジカルボン酸エステルアミド、及びポリエチレン等を例示できる。
一例としての着色層は、着色剤を含有している。着色剤としては、染料、有機着色顔料、蛍光顔料、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、カーボンブラック、酸化鉄、鉄黄、群青、ホログラム粉末、アルミニウム粉末、メタリック顔料、及びパール顔料等を例示できる。
機能層を部分的に位置させてもよい。この場合、機能層が位置する部分の記録媒体全体の可視光領域の光線透過率は10%未満でもよく、測定角度45°の条件で測定したときの記録媒体100の光沢度は60より大きくてもよい。
機能層が位置する部分の記録媒体全体の可視光領域の光線透過率を10%以上、且つ、測定角度45°の条件で測定したときの光沢度を60以下とできる機能層を用いてもよい。
【0052】
一例としての支持体1は、触感層、耐指紋性層、帯電防止層、粘着層、粒子含有層、着色層、及び蒸着層の1つ、又は複数を含む。
【0053】
支持体1の厚みに限定はないが、1μm以上300μm以下が好ましい。記録媒体100の厚みに限定はなく、画像形成用層10に画像を形成するときの画像形成方法等を考慮して適宜決定すればよい。例えば、プリンタ内で画像形成を行う場合には、プリンタの搬送適性を考慮した厚みとすればよい。一例としての記録媒体100の厚みは100μm以下である。この厚みの記録媒体100を用いて加飾品を製造することで、加飾品の見栄え等を良好にできる。記録媒体100の厚みを100μmとしたときのプリンタの搬送適性等が不十分な場合には、本開示の分離部材付き記録媒体100Xを使用し、分離部材の厚み等を適宜決定すればよい。
【0054】
本開示の記録媒体100は、画像形成用層10に画像を形成して斬新な意匠性を有する印画物を製造できる。本開示の記録媒体100の画像形成用層10に画像を形成したものを加飾シート150としてもよい。本開示の記録媒体100から得られる加飾シートは、斬新な意匠性を有する加飾品を製造できる。
【0055】
<<分離部材付き記録媒体>>
次に、本開示の実施の形態に係る分離部材付き記録媒体(以下、本開示の分離部材付き記録媒体)について説明する。本開示の分離部材付き記録媒体100Xは、記録媒体100の支持体1側に分離部材60が設けられている(
図4、
図5参照)。分離部材60は、記録媒体100から分離できる。分離部材60は、熱エネルギーの印加で記録媒体100から分離できるものでもよく、熱エネルギーを印加せずに、記録媒体100から分離できるものでもよい。基材、及び受容層を含む転写層を有する従来公知の中間転写媒体の構成を、本開示の分離部材付き記録媒体100Xに適用してもよい。この場合、中間転写媒体の基材部分を分離部材60とし、中間転写媒体の転写層部分を記録媒体100とすればよい。
【0056】
本開示の分離部材付き記録媒体100Xの記録媒体100は、本開示の記録媒体100をそのまま用いることができる。
【0057】
本開示の記録媒体100の画像形成用層10には画像を形成できる。画像形成をプリンタで行う場合には、記録媒体100の厚みを、プリンタ内の搬送適性を良好にできる厚みとすることが好ましい。一方で、本開示の記録媒体100の画像形成用層10に画像を形成して製造される印画物や、加飾シート等の厚みを薄くしたいとの要求もある。例えば、加飾シートを用いて製造される加飾品の見栄えを考慮し、加飾シートを得るための記録媒体100の厚みを100μm以下とすることが好ましい場合もある。
【0058】
本開示の分離部材付き記録媒体100Xは、分離部材60の厚みで記録媒体100全体の見かけ上の厚みを厚くできる。分離部材60の厚みを適宜調整して、分離部材付き記録媒体100X全体の厚みをプリンタの搬送性に適した厚みにできる。このような本開示の分離部材付き記録媒体100Xは、画像形成時の搬送性等が良好である。このような本開示の分離部材付き記録媒体100Xは、画像形成用層10に鮮明な画像を形成できる。
本開示の分離部材付き記録媒体100Xは、ハンドリング性を良好にできる。
画像形成後に分離部材60を分離することで、記録媒体100で製造された印画物や、記録媒体100で製造された加飾シートの厚みを薄くできる。一例としての分離部材付き記録媒体100Xの記録媒体100の厚みは100μm以下であり、一例としての分離部材付き記録媒体100Xの厚みは100μmより厚い。
【0059】
分離部材60を分離できる対策は、分離部材60側で行ってもよく、支持体1側で行ってもよい。また、双方の側で行ってもよい。
【0060】
一例としての分離部材60は、分離部基材1C、及び分離補助層6を含み、分離補助層6が記録媒体100の支持体1と接している(
図5参照)。
【0061】
(分離部基材)
分離部基材1Cに限定はなく、上記で例示したフィルム基材や、紙基材等を適宜選択して用いることができる。紙基材としては、上質紙、コート紙、レジンコート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、及びセルロース繊維紙等を例示できる。分離部基材1Cは、単層構造でもよく、上記のフィルム基材や、紙基材等が積層された積層構造でもよい。一例としての分離部基材1Cは、分離補助層6と接するプライマー層を含む。なお、分離部材60は、最終的に記録媒体100から分離されることから、分離部材60の光線透過率や、分離部材60の光沢度等の考慮を要しない。例えば、分離部基材1Cとして、安価な紙基材等を用いることで、分離部材付き記録媒体100Xの製造コストを低くしつつ、上記種々の効果を実現できる。
【0062】
一例としての分離部基材1Cは、分離補助層6側から、プライマー層、ボイド層、フィルム基材、紙基材がこの順番で積層された積層構造である。分離部基材1Cを、フィルム基材や、紙基材等を含む積層構造とする場合には、これら基材同士を、プライマー層等を用いて貼り合わせてもよく、ポリエチレン等を使用したECサンドラミネーションで貼り合せてもよい。分離部基材1Cは、単層構造でもよい。
【0063】
(分離補助層)
一例としての分離補助層6は、粘着層として機能する。粘着層が含有する成分としては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂等を例示できる。また、これ以外の接着性を有する成分を用いることもできる。
【0064】
一例としての粘着層は、支持体1と接している。粘着層と支持体1との接着力は、粘着層と分離部基材1Cの構成部材との接着力よりも低い。この形態の粘着層は、支持体1と粘着層の界面で、分離部材60を分離できる。分離部基材1Cの粘着層と接する部分に接着処理を施すことで、この分離を実現できる。接着処理には、プライマー層が含まれる。
【0065】
分離補助層6を溶融押出し樹脂層として、記録媒体100から分離部材60を分離できるようにしてもよい。溶融押出し樹脂層は、溶融した樹脂を、押出機によりフィルム状に押出すことで得られた樹脂層である。押出機としては、Tダイ等を例示できる。押出し法としては、押出しコートラミネート法や、サンドラミネート法、及びタンデムラミネート法等の従来公知の押出し方法を例示できる。
【0066】
分離補助層6を、離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、剥離フィルム、及び剥離紙等とし、分離部材60を記録媒体100から分離できるようにしてもよい。
【0067】
分離補助層6を含む分離部材60にかえて、又はこれとともに、支持体1を構成する層のうち分離部材60と接する層を剥離層としてもよい。この形態では、剥離層と分離部材60の界面を分離界面とでき、記録媒体100から分離部材60を分離できる。例えば、
図1~
図3に示す形態の記録媒体100の支持体1の層1Aを剥離層とし、この剥離層上に、分離部材60を設けてもよい。
【0068】
(剥離層)
剥離層の成分としては、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ-アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド-アミノ樹脂等を例示できる。剥離層の厚みは、0.5μm以上5μm以下が好ましい。
【0069】
剥離層は、記録媒体全体の可視光領域の光線透過率を10%以上、且つ、測定角度45°の条件で測定したときの光沢度を60以下とできるものを用いればよい。剥離層を光沢度調整層としてもよい。このような剥離層としては、分離部材側の面が凹凸構造を有する剥離層、及び内部にボイドを有する剥離層等を例示できる。
【0070】
分離部材60を積層構造とし、当該分離部材60を構成する何れかの構成部材間で分離部材60の一部分を分離できるようにしてもよい。つまり、段階的に分離部材を分離ができるようにしてもよい。例えば、
図5に示す形態において、分離部基材1Cを複数の基材を含む積層構造とし、分離部基材1Cの一部分を分離できるようにしてもよい。例えば、分離部基材1Cを積層構造とし、分離部材60と記録媒体100の支持体1との界面で分離がされるよりも前に、分離部基材1Cの何れかの構成部材間を分離界面として分離部基材1Cの一部分を分離できるようにしてもよい。このような形態は、複数の分離補助層6を使用する、(ii)支持体1が剥離層を含み、分離部基材1Cの構成部材間に分離補助層6を設ける等で実現できる。
【0071】
<<加飾シート>>
次に、本開示の実施の形態に係る加飾シート(以下、本開示の加飾シートという)について説明する。本開示の加飾シート150は、支持体1、及び支持体1上に設けられた画像形成用層10を有する。
【0072】
本開示の加飾シート150は、加飾対象物300に装飾性を付与できる。本開示の加飾シート150は、加飾対象物300と一体化された加飾品の製造に用いることができる。
【0073】
本開示の加飾シート150は、当該加飾シート150全体の可視光領域の光線透過率が10%以上で、測定角度45°の条件で測定したときの光沢度が60以下である。本開示の加飾シート150は、透け感、及びマット感を有する。本開示の加飾シート150は、透明性を有し、且つ光沢感が抑えられた加飾シート150とできる。本開示の加飾シート150によれば、画像形成用層10に画像を形成し、その後、加飾対象物300と一体化させることで、斬新な意匠性を有する加飾品400を製造できる。
【0074】
本開示の加飾シート150の光線透過率や、光沢度の測定方法は、上記本開示の記録媒体100で説明した測定方法と同じである。
【0075】
本開示の加飾シート150は、
図6A、
図6Bに示すように、画像形成用層10に画像50が形成されたものでもよい。本開示の記録媒体100を、本開示の加飾シート150としてもよい。本開示の記録媒体100の画像形成用層10に画像を形成したものを本開示の加飾シート150としてもよい。画像形成用層に画像が形成された加飾シート150の可視光領域の光線透過率や、光沢度の測定は、上記本開示の記録媒体100で説明した測定方法と同じである。この場合、画像が形成されていない領域を測定領域とする。
【0076】
形成される画像に限定はなく、上記本開示の記録媒体100で説明した各種の画像形成方法で形成された画像を例示できる。好ましい形態の加飾シート150は、画像形成用層10に形成された画像50が、昇華型熱転写記録方式、及び溶融型熱転写記録方式で形成された熱転写画像である。より好ましくは、昇華型熱転写記録方式で形成された熱転写画像である。画像形成用層10に形成された画像50を熱転写画像とすることで、より意匠性の高い加飾品を製造可能な加飾シート150とできる。
【0077】
本開示の加飾シート150を用いて製造される加飾品は、本開示の加飾シート150と加飾対象物300とが一体化されたものである。換言すれば、本開示の加飾シート150と加飾対象物300とが貼り合わされたものである。一例としての加飾シート150は、加飾対象物側の表面が接着性を有する。一例としての加飾シート150は、加飾対象物側の表面に接着層が位置する。一例としての加飾シート150は、加飾対象物側の表面に接着処理が施されている。一例としての加飾対象物は、加飾シート150側の表面が接着性を有する。一例としての加飾対象物は、加飾シート150側の表面に接着層が位置する。一例としての加飾対象物は、加飾シート150側の表面に接着処理が施されている。
【0078】
加飾対象物300が接着性を有する場合、本開示の加飾シート150の加飾対象物側の表面は接着性を有しなくてもよい。このような加飾シート150としては、本開示の記録媒体100や、本開示の記録媒体100の画像形成用層10に画像が形成されたもの等を例示できる(
図6A参照)。
【0079】
(接着層)
一例としての加飾シート150は、画像が形成された画像形成用層10上に接着層200が設けられている(
図6B参照)。一例としての加飾シート150は、支持体1を構成する層のうち、画像形成用層10から最も遠くに接着層が位置している(図示しない)。接着層200は、当該加飾シート150全体の可視光領域の光線透過率を10%以上とできる透明性を有すればよい。
【0080】
接着層200が設けられた加飾シート150は、加飾対象物300自体が接着性を有していない場合でも、当該加飾シート150の接着層200側を、加飾対象物300と重ねるだけで、加飾シート150と加飾対象物300とが一体化された加飾品を製造できる。
【0081】
画像形成用層10上に接着層200を設けた場合には、画像形成用層10側で、本開示の加飾シート150と加飾対象物300とを一体化できる。この形態では、一体化して得られる加飾品400は、加飾対象物300、接着層200、画像形成用層10、支持体1がこの順番で設けられた積層構造となる。この形態の加飾品400は、画像形成用層10に形成された画像50を、支持体1で保護できる。
支持体1側の表面を接着層200としてもよい。一例としての支持体1は、最表面に位置する接着層200を含む。この形態では、加飾シート150の支持体1側で、本開示の加飾シート150と加飾対象物300とを一体化できる。本開示の記録媒体100で説明したように、支持体1側の表面を粘着層としてもよい。
【0082】
接着層200は、接着成分を含有している。接着性成分としては、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリイミド、及び合成ゴム等を例示できる。また、接着層200が含有する接着成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。接着層200は、接着フィルムでもよく、接着シートでもよい。接着層200の厚みは、1μm以上1000μm以下が好ましい。
【0083】
接着層200は、単層構造でもよく、接着性を有する層を積層した積層構造でもよい。一例としての接着層は、接着性を有しない部材の両面に接着性を有する層が設けられた積層構造である。一例としての接着層は、フィルム等の両面に接着性を有する層を設けた積層構造である。一例としての接着層は、接着成分を含有する塗工液を塗布・乾燥して形成したものである。
【0084】
(マスキング部材)
図8Aに示す形態の加飾シート150は、
図6Bに示す形態の加飾シート150の接着層200上にマスキング部材210が設けられている。換言すれば、加飾シート150の画像形成用層10上に、マスキング部材付き接着層200Aが設けられている。
図8に示す形態の加飾シート150は、当該加飾シート150を巻き取り保管等したときに、接着層200が、支持体1や、分離部材60と貼りつくことを抑制できる。また、マスキング部材210を剥離した後の加飾シート150を加飾対象物300と重ねるだけで加飾シート150と加飾対象物300とが一体化された加飾品を製造できる。本開示の加飾シート150で規定している可視光領域の光線透過率や、光沢度は、マスキング部材を剥離した後に測定される値である。
【0085】
マスキング部材210としては、離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、剥離フィルム、及び剥離紙等を例示できる。マスクキング部材210は、樹脂層でもよい。一例としてのマスキング部材210は、離型性を有する成分を含有している。離型性を有する成分としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、及びワックス等を例示できる。
【0086】
接着層200は、本開示の記録媒体100の画像形成用層10に画像を形成した後に、画像形成用層10側に、接着層200となるフィルムや、接着層200となるシート等を貼りつけて形成してもよい。
図16Aに示すように、転写シートの基材260上に、当該基材260から剥離できる接着層200が設けられ転写シート250を用い、画像形成用層10上に接着層200を転写で形成してもよい。転写シート250の接着層200は、熱エネルギーの印加で転写できるものでもよく、熱エネルギーを印加せずに転写できるものでもよい。また、画像形成用層10側に、接着成分を適当な溶媒に分散、又は溶解した塗工液を塗布、乾燥して接着層を形成してもよい。接着フィルムや、接着シートを用いた接着層200の形成や、転写による接着層200の形成は、塗工液を塗布、乾燥する方法と比較して、画像形成用層10に形成された画像50の滲みを抑制できる点で好ましい。
【0087】
マスキング部材付き接着層200Aを貼り合わせ、又は転写で形成してもよい。
図16Bは、マスキング部材付き接着層200Aを転写できる転写シート250の一例を示す概略断面図である。
図16Bに示す形態の転写シート250は、基材260上に、当該基材260から剥離できる転写層240が設けられている。転写層240は、基材260側からマスキング部材210、接着層200がこの順番で積層された積層構造である。
図16Bに示す形態の転写シート250は、転写層240を転写して、マスキング部材付き接着層200Aを形成できる。一例としての転写シート250は、基材260と接着層200の間、基材260とマスキング部材210の間に離型層等が設けられている。離型層は、転写層を転写したときに、基材260側に残る層である。
図16A、
図16Bに示す形態の転写シート250を、接着層200や、マスキング部材付き接着層と面順次に、1つ、又は複数の色材層が設けられた転写シート250としてもよい(図示しない)。このような転写シート250によれば、記録媒体100の画像形成用層10への画像の形成、及び記録媒体100上、又は加飾シート300上への接着層200の転写を、1つの転写シートで行える。色材層は、記録媒体100の画像形成用層10へ画像50を形成するときの画像形成方式に応じて適宜決定すればよい。画像形成用層10への画像の形成を昇華型熱転写方式で行う場合、色材層を、イエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料、蛍光染料等の染料を含有する染料層とすればよい。溶融型熱転写方式で行う場合、色材層を、ブラック顔料、メタリック顔料、パール顔料等の着色剤を含有する溶融インキ層とすればよい。また、染料層と、溶融インキ層を面順次に設けた転写シート250としてもよい。
図16C、
図16D、
図16Eに示す、耐久層230や、耐久層230を含む転写層240を有する転写シート250についても同様である。また、各図に示す形態を組み合わせてもよい。
【0088】
接着層200や、マスキング部材付き接着層200Aを、記録媒体100の支持体1側に形成してもよい。本開示の分離部材付き記録媒体100Xを用いる場合には、分離部材60を分離した後に、接着層や、マスキング部材付き接着層を形成すればよい。
【0089】
(耐久層)
接着層200を、画像形成用層10側に設ける場合には、
図9Aに示すように、画像50が形成された画像形成用層10と接着層200の間に耐久層230を設けることが好ましい。この形態の加飾シート150は、画像形成用層10に形成された画像50の成分の接着層200側への移行を抑制できる。これにより、熱転写画像50に滲みが生ずること等を抑制できる。
【0090】
一例としての加飾シート150は、画像形成用層10上に耐久層230が設けられ、耐久層230が表面に位置する(図示しない)。この構成の加飾シート150は、接着層200が設けられた加飾対象物300を用い、加飾シート150の画像形成用層10側で、この加飾対象物300と一体化させるときに、画像形成用層10に形成された画像50の成分が、加飾対象物300が有する接着層200側に移行することを抑制できる。耐久層230を表面に位置させることで、当該加飾シート150の支持体1側で加飾シート150と加飾対象物300とを一体化させて製造される加飾品を、加飾対象物300、支持体1、画像形成用層10、耐久層230がこの順番で積層された積層構造とできる。この形態の加飾品は、画像形成用層10の画像を耐久層230で保護できる。
【0091】
耐久層230の成分としては、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、セルロース樹脂、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルアルコール等を含有している。耐久層230が含有する成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0092】
好ましい形態の耐久層230は、単層構造、又は積層構造であり、以下の関係式(1)を満たす第1層Xを含む。この形態の耐久層230は、画像50の滲みを抑制でき、且つ、耐久層230の熱耐久性を高くできる。熱耐久性の高い耐久層230は、加飾品400を製造する段階での、耐久層230の意図しない溶融や、耐久層230の意図しない軟化等を抑制できる。この形態の耐久層230は、加飾品400を製造する段階での、画像形成用層10に形成された画像50が受けるダメージを低くできる。この形態の耐久層230は、加飾品400を製造する段階での、画像形成用層10と耐久層230の間での意図しない分離や、接着層200と耐久層230の間での意図しない分離等を抑制できる。
一例としての耐久層230は、積層構造であり、少なくとも1つの層が、以下の関係式(1)を満たす第1層Xである。耐久層230が積層構造の場合、接着層200から最も近くに位置する層を、第1層Xとすることが好ましい。一例としての耐久層230は、積層構造であり、耐久層230を構成する全ての層が、第1層Xである。一例としての耐久層230は、接着層200と接している。一例としての耐久層230は、第1層Xが接着層200と接している。
【0093】
接着層の主成分のガラス転移温度(Tg)<第1層Xの主成分のガラス転移温度(Tg)・・・(関係式(1))。
ここでいう主成分とは、接着層200が含有している成分のうち、その含有量が最も多い成分を意味する。耐久層230の主成分も同様である。一例としての第1層Xは、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上、好ましくは、60℃以上の成分を主成分として含有している。
【0094】
好ましい形態の耐久層230は、紫外線吸収剤を含有する層を含む。この形態の耐久層230は、製造された加飾品400の画像50の耐光性が良好である。この形態の耐久層230は、画像形成用層10に形成された画像50が、昇華型熱転写方式で形成された画像である場合に好適である。より好ましい形態の耐久層230は、紫外線吸収剤を含有する層、及び第1層Xを含む積層構造である。より好ましい形態の耐久層230は、紫外線吸収剤を含有する第1層Xを含む単層構造、又は積層構造である。
【0095】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、トリアジン系、及びサリシレート系等を例示できる。
【0096】
耐久層230の厚みは、0.01μm以上5μm以下が好ましい。
【0097】
耐久層230の形成は、(i)画像形成用層10に耐久層230となるシート等を貼り合わせる方法、(ii)画像形成用層10上に耐久層230を転写で形成する方法、(iii)上記の成分等を含む塗工液を、画像形成用層10上に塗布、乾燥して形成する方法等を例示できる。例えば、
図16C、
図16Eに示すように、転写シートの基材260上に、当該基材260から剥離できる耐久層230が設けられた転写シートを用いることで、耐久層230を転写で形成できる。また、
図16Dに示すように、転写シートの基材260上に、接着層200、耐久層230を含む転写層240が設けられた転写シート250を用い、記録媒体100の画像形成用層10側に、転写層240を転写することで、画像形成用層10側から、耐久層230、接着層200がこの順で設けられた加飾シート150とできる。
【0098】
本開示の加飾シート150としては、本開示の記録媒体100や、本開示の記録媒体100の画像形成用層10に画像が形成されたものを例示できる。
【0099】
本開示の一例としての加飾シート150は、支持体1、画像形成用層10、画像上部層を有し、支持体1、及び画像上部層の何れか一方、又は双方が、1つ、又は複数の光沢度調整層を含む。画像上部層としては、耐久層230、接着層200等を例示できる。画像上部層は、これ以外でもよい。本開示の一例としての加飾シート150は、耐久層230、及び接着層200を含み、耐久層230、及び接着層200の何れか一方、又は双方が光沢度調整層である。一例としての耐久層230や、接着層200は、ボイド層、又は凹凸層である。
本開示の一例としての加飾シート150は、機能層を含む。本開示の一例としての加飾シート150は、最表面に位置する機能層を含む。機能層は、本開示の記録媒体100で説明したものを適宜選択して使用できる。一例としての機能層は、接着層上に位置している。一例としての機能層は、耐久層上に位置している。一例としての機能層は、支持体1と画像形成用層10の間に位置している。一例としての機能層は、支持体1の画像形成用層10とは反対側に位置している。一例としての支持体1は、機能層を含む。本開示の一例としての加飾シート150は、複数の機能層を含む。
【0100】
<<分離部材付き加飾シート>>
次に、本開示の実施の形態に係る分離部材付き加飾シート(以下、本開示の分離部材付き加飾シート)について説明する。本開示の分離部材付き加飾シート150Xは、加飾シート150の支持体1側に分離部材60が設けられている(
図7、
図8B、
図9B参照)。分離部材60は、加飾シート150から分離できる。分離部材60は、熱エネルギーを印加して加飾シート150から分離できるものでもよく、熱エネルギーを印加せずに、加飾シート150から分離できるものでもよい。
【0101】
本開示の分離部材付き加飾シート150Xをなす加飾シート150としては、上記で説明した本開示の加飾シート150をそのまま用いることができる。分離部材としては、本開示の分離部材付き記録媒体100Xで説明した分離部材60をそのまま用いることができる。したがって、加飾シート150、及び分離部材60についてのここでの詳細な説明は省略する。
【0102】
図7、
図8B、
図9Bは、本開示の分離部材付き加飾シート150Xの一例を示す概略断面図である。各図に示す形態の分離部材付き加飾シート150Xは、上記本開示の分離部材付き記録媒体100Xの画像形成用層10に画像50が形成されたものである。なお、各図に示す形態では、画像形成用層10に画像50が形成されているが、画像50が形成される前の画像形成用層10でもよい。
【0103】
本開示の分離部材付き加飾シート150Xは、ハンドリング性が良好である。また、各種の転写方式を用いて、分離部材60を分離しながら、又は分離した後に、加飾対象物300と加飾シート150を一体化できる。
【0104】
<<加飾品>>
次に、本開示の実施の形態に係る加飾品(以下、本開示の加飾品という)について説明する。本開示の加飾品400は、
図10A、
図10Bに示すように、加飾シート150と加飾対象物300とが一体化されている。
【0105】
本開示の加飾品400を構成する加飾シート150としては、本開示の加飾シート150を適宜選択して用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
【0106】
図10Aに示す形態の加飾品400は、加飾シートが接着層200を含み、加飾シート150の画像形成用層10側で、加飾対象物300と一体化されている。
図10Bに示す形態の加飾品400は、加飾シート150の支持体1側で、加飾対象物300と一体化されている。本開示の加飾品400は、本開示の加飾シート150を含むことから、加飾品400に斬新な意匠性を付与できる。
図10Aに示す形態の加飾品400の加飾シート150は、支持体1側から測定したときの光沢度が60以下の加飾シート150であることが好ましい。
図10Bに示す形態の加飾品400の加飾シート150は、画像形成用層10側から測定したときの光沢度が60以下の加飾シート150であることが好ましい。
【0107】
(加飾対象物)
加飾対象物300の形状、大きさ、材質等に限定はない。加飾対象物300としては、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、木材、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル等の樹脂板(フィルムでもよい)、アルミ等の金属板、ガラス板、及び陶器等のセラミック板を例示できる。加飾対象物300は、複数の部材が積層されたものでもよい。加飾対象物300は、所定の画像を有してもよい。加飾対象物300は、その全体、又は一部が、曲率や、凹凸構造等を有してもよい。
【0108】
一例としての加飾対象物300は、透明性を有する。この形態の加飾対象物300は、本開示の加飾品400を加飾対象物300側からみたときに、加飾シート150の画像形成用層10に形成された画像を視認できる。加飾対象物300は、一部分が透明性を有するものでもよい。透明性は、無色透明、半透明、及び有色透明を含む。本開示の加飾品400は、本開示の加飾シート150を含むことから、加飾シート150側から画像形成用層10に形成された画像を視認できる。本開示の一例としての加飾シート150は、光沢度調整層等を含む。この形態の加飾シート150を含む加飾品400は、画像形成用層10に形成された画像50の意匠性がより斬新である。
【0109】
<<加飾品の製造方法>>
次に、本開示の実施の形態に係る加飾品の製造方法(以下、本開示の加飾品の製造方法という)について説明する。
【0110】
<第1実施形態の加飾品の製造方法>
本開示の第1実施形態の加飾品の製造方法は、画像形成工程、及び一体化工程を含む。画像形成工程は、記録媒体100の画像形成用層10に画像を形成する工程である(
図11A参照)。一体化工程は、画像形成工程後に、記録媒体100と加飾対象物300とを一体化させる工程である(
図11B参照)。
図11は、本開示の加飾品の製造方法の一例を示す工程図である。
【0111】
本開示の第1実施形態の加飾品の製造方法に用いられる記録媒体100は、上記で説明した本開示の記録媒体100を適宜選択して用いればよい。また、加飾対象物300としては、本開示の加飾品400で説明した加飾対象物300を適宜選択して用いればよい。
【0112】
(画像形成工程)
画像形成工程に限定はなく、上記本開示の記録媒体100で説明した各種の画像形成方法を適宜選択して行えばよい。好ましい形態の加飾品の製造方法は、昇華型熱転写方式や、溶融型熱転写方式で画像の形成を行う。このことは、後述する第2実施形態、及び第3実施形態の加飾品の製造方法も同様である。なお、
図12~
図15に示す形態における画像形成用層10に画像が形成された記録媒体100や、分離部材付き記録媒体100Xは、画像が形成された本開示の加飾シート150や、画像が形成された本開示の分離部材付き加飾シート150Xに対応している。
【0113】
(一体化工程)
一体化工程は、画像形成工程後の記録媒体100と、加飾対象物300とを一体化させる工程である。
図11Bに示す形態では、記録媒体100の画像形成用層10側で、加飾対象物300と一体化させている。記録媒体100の支持体1側で、加飾対象物300と一体化させてもよい。記録媒体100の画像形成用層10側で、加飾対象物300と一体化させた場合には、製造された加飾品400は、加飾対象物300、画像形成用層、支持体1がこの順番で積層された積層構造であり、画像形成用層10に形成された画像を支持体1で保護できる。この場合、製造された加飾品400の表面に光沢度調整層を位置させることができる記録媒体100(加飾シート150)を用いることが好ましい。
【0114】
本開示の加飾品の製造方法に用いられる記録媒体100が、支持体1側から測定したときの光沢度が60以下の記録媒体である場合には、画像形成用層10側で加飾シート300と一体化させることが好ましい。本開示の加飾品の製造方法に用いられる記録媒体100が、画像形成用層10側から測定したときの光沢度が60以下の記録媒体である場合には、支持体1側で加飾シート300と一体化させることが好ましい。このことは、各種形態の加飾品の製造方法についても同様である。
【0115】
(貼合工程)
本開示の第1実施形態の加飾品の製造方法は、記録媒体100の加飾対象物300側に、接着層を貼合する貼合工程を含んでもよい。貼合工程は、一体化工程よりも前に行えばよい。接着層200の貼合を、記録媒体100の画像形成用層10側に行う場合には、画像形成用層形成工程と一体化工程の間に貼合工程を行えばよい。接着層200の貼合を、記録媒体100の支持体側に行う場合には、画像形成工程よりも前に貼合工程を行ってもよい。画像形成工程を考慮すると、画像形成工程よりも後に貼合工程を行うことが好ましい。
【0116】
加飾対象物300側に接着層200を貼合してもよい。予め、接着層が設けられた加飾対象物300を用いてもよい。各図に示す加飾品の製造方法では、接着層200の記載を省略している。
【0117】
接着層200としては、上記本開示の加飾シートで説明した接着層200を適宜選択して用いればよい。接着層200の貼合は、接着フィルムや、接着シート等を押圧して貼合してもよく、接着層を転写できる転写シート等を用いて転写で貼合してもよい。接着成分を含有する塗工液を塗布、乾燥して、接着層を貼合してもよい。
【0118】
接着層200として、マスキング部材付き接着層200Aを用いてもよい。マスキング部材付き接着層Aを用いる場合には、マスキング部材を剥離した後に、一体化工程を行う。接着層として両面にマスキング部材が設けられたマスキング部材付き接着層を用いてもよい。この場合、一方面のマスキング部材を剥離して貼合工程を行い、その後、他方面のマスキング部材を剥離して、一体化工程を行えばよい。
【0119】
<第2実施形態の加飾品の製造方法>
本開示の第2実施形態の加飾品の製造方法は、画像形成工程、分離工程、及び一体化工程を含む。画像形成工程は、分離部材付き記録媒体100Xの画像形成用層10に画像を形成する工程である(
図12A参照)。分離工程は、画像形成工程後に、分離部材付き記録媒体100Xから分離部材60を分離する工程である(
図12B参照)。一体化工程は、分離工程後に、分離部材60が分離された記録媒体100と加飾対象物300とを一体化させる工程である(
図12C参照)。
図12は、本開示の加飾品の製造方法の一例を示す工程図である。
【0120】
(分離工程)
分離工程は、分離部付き記録媒体100Xから分離部材60を分離する工程である。本工程を経ることで、第1実施形態の加飾品の製造方法で説明した記録媒体100と同じ構成となる。この分離は、上記で説明したように、熱エネルギーを印加して行ってもよく、熱エネルギーを印加せずに行ってもよい。
【0121】
一体化工程についても、上記第1実施形態の加飾品の製造方法で説明した方法等を適宜選択して用いることができる。分離部材60が分離された記録媒体100の画像形成用層10側で加飾対象物300と一体化させてもよく(
図12C参照)、支持体1側で加飾対象物300と一体化させてもよい。分離部材60を分離した後の、記録媒体100の支持体1の表面に粘着層等が位置する場合には、当該粘着層を用いて、分離部材60が分離された記録媒体100と加飾対象物300とを一体化できる。この場合、接着層を貼合する貼合工程を特に要しない。この場合、記録媒体100の支持体1側で加飾対象物300と一体化できる。
【0122】
図13Aに示すように、分離部材60を段階的に分離ができる構成(60A、60B)とし、
図13Bに示すように、分離工程において、分離部材60の一部分(60B)を分離部材付き記録媒体100Xから分離する。次いで、
図13Cに示すように、一体化工程を行う。次いで、
図13Dに示すように、記録媒体100側に残っている分離部材60の他の一部分(60A)を、加飾対象物300と一体化されている記録媒体100から分離してもよい。
図14Aに示すように、分離部材60を段階的に分離ができる構成(60A、60B)とし、
図14Bに示すように、分離工程において、分離部材60の一部分(60B)を分離部材付き記録媒体100Xから分離する。次いで、
図14Cに示すように、記録媒体100側に残っている分離部材60の他の一部分(60A)から記録媒体100を分離(剥離)しながら、分離部材の全てが分離された記録媒体100を加飾対象物300側に転写で一体化(密着)させる一体化工程としてもよい。また、分離部材60の他の一部分(60A)を分離した後に、分離部材の全てが分離された記録媒体100を、加飾対象物300と一体化させてもよい。
【0123】
<第3実施形態の加飾品の製造方法>
本開示の第3実施形態の加飾品の製造方法は、
図15Aに示すように、分離部材付き記録媒体100Xの画像形成用層10に画像を形成する画像形成工程と、
図15Bに示すように、画像形成工程後に、分離部材付き記録媒体100Xの画像形成用層10側で、分離部材付き記録媒体100Xと加飾対象物300とを一体化させる工程と、
図15Cに示すように、一体化工程後、加飾対象物300と一体化された分離部材付き記録媒体100Xから分離部材60を分離する工程を含む。
【0124】
本開示の第3実施形態の加飾品の製造方法は、分離工程と、一体化工程の順番が入れ替わる点、及び一体化工程を、分離部材付き記録媒体100の画像形成用層10側で行うことを限定している点で、上記本開示の第2実施形態の加飾品の製造方法と相違している。
【0125】
(耐久層形成工程)
また、上記第1実施形態~第3実施形態の製造方法において、記録媒体100の画像形成用層10側に接着層を貼合、又は転写する場合には、接着層を貼合、又は転写する前に、記録媒体100の画像形成用層10上に耐久層を形成する耐久層形成工程を含むことが好ましい。加飾対象物300側に接着層200を貼合、又は転写し、記録媒体100の画像形成用層10側で、加飾対象物300と一体化をさせる場合にも、一体化工程の前に、記録媒体100の画像形成用層10上に耐久層を形成する耐久層形成工程を含むことが好ましい。耐久層形成工程を含む本開示の製造方法は、記録媒体100の画像形成用層10に形成された画像の成分が、接着層200側に移行して、画像に滲みが生ずることを抑制できる。
【0126】
また、記録媒体100の支持体1側で、加飾対象物300と一体化させる場合にも、画像形成用層10上に耐久層230を形成する耐久層形成工程を含むことが好ましい。この工程を含む製造方法によれば、記録媒体100の支持体1側で、加飾対象物300と一体化させて製造される加飾品400の構成を、加飾対象物300側から、支持体1、画像形成用層10、耐久層230がこの順番で設けられた構成とでき、画像形成用層10の画像を耐久層で保護できる。
【0127】
耐久層としては、上記本開示の加飾シート150で説明した耐久層230を適宜選択して用いることができる。
【0128】
<第4実施形態の加飾品の製造方法>
第4実施形態の加飾品の製造方法は、加飾シート150と加飾対象物300とを一体化させる工程を含む。第4実施形態の加飾品の製造方法は、本開示の加飾シート150、又は分離部材付き加飾シート150Xを用いる。
【0129】
本開示の各加飾品の製造方法は、一体化工程後に、加飾対象物300とは反対側に、各種の機能層を形成する機能層形成工程を含んでもよい。分離部材付き記録媒体100や、分離部材付き加飾シート150Xを用いる場合には、分離部材60を分離する分離工程や、一体化工程よりも後に機能層形成工程を行えばよい。
【0130】
機能層形成工程を含む本開示の加飾品の製造方法は、機能層で加飾品にさらなる機能を付与できる。機能層としては、本開示の記録媒体100で説明した機能層を適宜選択して使用できる。一例としての機能層形成工程は、加飾シート150の加飾対象物300とは反対側に、触感層、耐指紋性層、帯電防止層、ボイド層、及び凹凸層の少なくとも1つを形成する。好ましくは、加飾シート150の加飾対象物300とは反対側に、凹凸フィルムを形成する。
【0131】
機能層の形成は、例えば、上記で説明した接着層200等を用いた貼り合わせ等で形成できる。機能層を転写で形成してもよい。機能層を塗工液の塗布、乾燥で形成してもよい。
【0132】
<別の実施の形態に係る加飾品の製造方法>
本開示の別の実施の形態に係る加飾品の製造方法は、加飾シートと、加飾対象物とを一体化させる一体化工程と、一体化工程後、加飾シートの加飾対象物とは反対側の面に、機能層を形成する機能層形成工程とを含む。機能層形成工程は、加飾シートと機能層との積層体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ測定角度45°の条件で積層体の光沢度を測定したときの値が60以下となるように、機能層を形成する工程である。加飾シートは、支持体と、及び画像層を有する。画像層は、画像形成用層10に画像を形成したもの、又は、画像が予め形成されている層である。
【0133】
本開示の別の実施の形態に係る加飾品の製造方法は、加飾シート150全体の可視光領域の光線透過率や、加飾品の光沢度に限定はなく、一体化工程後に、加飾シートと機能層との積層体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ測定角度45°の条件で測定したときの積層体の光沢度が60以下となるように機能層を形成している点で、上記本開示の加飾品の製造方法と相違する。
【0134】
本開示の別の実施の形態に係る加飾品の製造方法に用いられる加飾シートとしては、加飾シートと機能層との積層体全体の可視光領域の光線透過率を10%以上とできる光線透過率を有するものを用いればよい。機能層は、上記本開示の記録媒体100等で説明した、機能層や、光沢度調整層を適宜選択して用いればよい。本開示の記録媒体100を用いる場合には、積層体の可視光領域の光線透過率や、光沢度が上記の規定を満たすことができる機能層を用いればよい。例えば、透明性を有する機能層等を用いればよい。
【0135】
(切断工程)
本開示の各種実施形態の加飾品の製造方法は、一体化工程より後に、加飾シート150と加飾対象物300の積層体を、厚み方向に切断する切断工程を含んでもよい。
一体化工程より後に切断工程を行うことで、加飾シート150と加飾対象物300の端面が揃った加飾品を製造できる。
各種実施形態の加飾品の製造工程が、機能層形成工程を含む場合、切断工程は、機能層形成工程より前でもよく、機能層形成工程より後でもよい。機能層形成工程より後に切断工程を行う場合、加飾シート150、加飾対象物300、及び機能層の端面が揃った加飾シートを製造でき、好ましい。
一体化工程より前に、加飾シート150、及び加飾対象物300の何れか一方、又は双方を切断してもよい。
各種実施形態の加飾品の製造工程が、分離工程を含み、この分離工程を、一体化工程より後に行う場合、切断工程は、分離工程より前でもよく、分離工程より後でもよい。
【0136】
切断方法に限定はなく、切断刃、レーザーカッター等を例示できる。これ以外の切断方法でもよい。レーザーカッターによる切断は、加飾シート150、加飾対象物300を切断するときに、バリや、滓の発生を抑制でき、好ましい。
【0137】
<<記録媒体と転写シートの組合せ>>
次に、本開示の実施の形態に係る記録媒体と転写シートの組合せ(以下、本開示の組合せと言う)について説明する。
【0138】
本開示の組合せは、支持体と、支持体上に設けられた画像形成用層を有する記録媒体と、基材と、基材から剥離可能に設けられた転写層を有する転写シートとの組合せである。本開示の組合せは、記録媒体上に、転写シートの転写層を転写することで、可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ、測定角度45°の条件で測定したときの光沢度が60以下の転写物を製造できる。
【0139】
本開示の組合せは、斬新な意匠性を有する印画物や加飾シート等を製造できる。
【0140】
本開示の組合せで用いられる記録媒体に限定はない。例えば、上記本開示の記録媒体100をそのまま用いてもよい。画像形成用層に画像が形成された記録媒体でもよい。なお、本開示の組合せで用いられる記録媒体全体の可視光領域における光線透過率や、記録媒体の光沢度に限定はなく、本開示の組合で製造される転写物全体の可視光領域の光線透過率を10%以上とでき、且つ、測定角度45°の条件で測定したときの光沢度を60以下とできればよい。転写層を有する転写シートについても同様である。例えば、本開示の組合せを構成する記録媒体は、上記本開示の記録媒体100で説明した光沢度調整層を含まなくてもよい。この場合、転写シートの転写層を、光沢度調整層を含む転写層とすればよい。
【0141】
一例としての本開示の組合せは、記録媒体が光沢度調整層を含んでいるか、又は転写シートの転写層が光沢度調整層を含む。又は、記録媒体の支持体、及び転写シートの転写層の双方が、光沢度調整層を含む。本開示の一例としての組合せは、転写シートの転写層が、上記本開示の記録媒体100で説明した耐久層230を含み、この耐久層230が光沢度調整層である。一例としての転写層は、ボイドを有する耐久層230、又は表面が凹凸形状を有する耐久層230を含む。転写シートの転写層が光沢度調整層を含む積層構造の場合、転写後の最表面に光沢度調整層を位置できる転写シートが好ましい。具体的には、転写シートの転写層は、転写シートの基材から最も近くに位置する光沢度調整層を含むことが好ましい。転写層は、単層構造でもよく、積層構造でもよい。
【0142】
一例としての転写シートは、基材上に、当該基材から剥離できる耐久層が設けられている。この形態の転写シートは、記録媒体の画像形成用層側に転写層を転写したときに、耐久層で記録媒体の画像形成用層を保護できる。一例としての転写シートは、基材上に、転写層が設けられている。この転写層は、基材から最も近くに位置する接着層、及び耐久層を含む。この形態の転写シートは、画像形成用層を保護でき、且つ、転写物の表面に位置する接着層で加飾対象物等と一体化できる。これらの形態において、耐久層を光沢度調整層としてもよい。また、これ以外の層を含む転写層とし、耐久層以外の層を光沢度調整層としてもよい。転写シートとしては、例えば、
図16C、
図16D、
図16Eに示す形態のものを用いることができる。また、
図16C、
図16D、
図16Eに示す形態の転写シート250において、基材260と耐久層230の間、基材260と接着層200の間、及び基材260と転写層240の間に離型層等を設けてもよい。離型層は、これらの層を転写したときに基材260側に残る層である。
図16C、
図16Eに示す形態において、基材260と耐久層230の間に剥離層を設け、剥離層、及び耐久層を含む転写層としてもよい。この場合、剥離層を光沢度調整層としてもよい。離型層や、剥離層は、転写シートの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができる。
【0143】
好ましい本開示の組合せは、記録媒体の画像形成用層側に、転写シートの転写層を転写することで得られる転写物全体の可視光領域の光線透過率を10%以上80%以下とでき、さらに、転写層側から測定角度45°の条件で測定したときの転写物の光沢度を60%以下とできる。
【0144】
本開示の一実施形態の記録媒体は、画像形成に用いられる記録媒体であって、支持体、及び前記支持体上に設けられた画像形成用層を有し、前記記録媒体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上であり、測定角度45°の条件で測定される前記記録媒体の光沢度が60以下である。
本開示の一実施形態の記録媒体は、前記支持体が、表面が凹凸構造を有する凹凸層、又は内部にボイドを有するボイド層を含むか、又は、前記支持体と前記画像形成用層の間に、前記凹凸層、又は前記ボイド層が位置する。
【0145】
本開示の一実施形態の離型部材付き記録媒体は、本開示の各種実施形態の記録媒体の支持体側に、前記記録媒体から分離できる分離部材が設けられている。
本開示の一実施形態の離型部材付き記録媒体は、熱エネルギーの印加で、前記記録媒体から前記分離部材を分離できる。
【0146】
本開示の一実施形態の加飾シートは、支持体、及び前記支持体上に設けられた画像形成用層を有し、前記加飾シート全体の可視光領域の光線透過率が10%以上であり、測定角度45°の条件で測定される前記加飾シートの光沢度が60以下である。
本開示の一実施形態の加飾シートは、下記(1)~(14)の1つ、又は複数を満たしてもよい。複数を満たす場合、何れを組合せてもよい。
(1)前記支持体が、表面が凹凸構造を有する凹凸層、又は内部にボイドを有するボイド層を含む。
(2)前記支持体と前記画像形成用層の間に、前記凹凸層、又は前記ボイド層が位置する。
(3)前記画像形成用層に画像が形成されている。
(4)前記画像が熱転写画像である。
(5)前記画像が、インクジェット印刷方式、又はトナー印刷方式で形成された画像である。
(6)前記画像形成用層上に接着層が設けられている。
(7)前記接着層上に、前記接着層から剥離できるマスキング部材が設けられ、前記光線透過率、及び前記光沢度が、前記マスキング部材を剥離した後の光線透過率、及び光沢度である。
(8)前記画像形成用層と前記接着層の間に耐久層が設けられている。
前記耐久層が、第1層を含む単層構造、又は積層構造であり、前記第1層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)が、前記接着層が含有している主成分のガラス転移温度(Tg)より高い。
(9)前記第1層が前記接着層と接している。
(10)前記耐久層が前記第1層を含む積層構造であり、前記第1層が前記接着層から最も近くに位置している。
(11)前記画像形成用層上に耐久層が設けられている。
(12)前記耐久層が、紫外線吸収剤を含有している。
(13)前記第1層が、紫外線吸収剤を含有している。
(14)最表面に位置する機能層を含む。
【0147】
本開示の一実施形態の分離部材付き加飾シートは、本開示の各種実施形態の加飾シートの支持体側に、前記加飾シートから分離できる分離部材が設けられている。
本開示の一実施形態の分離部材付き加飾シートは、熱エネルギーの印加で、前記加飾シートから前記分離部材を分離できる。
【0148】
本開示の一実施形態の加飾品は、本開示の各種実施形態の加飾シートと、加飾対象物とが一体化されている。
本開示の一実施形態の加飾品は、下記(15)、(16)の何れか一方、又は双方を満たす。
(15)前記加飾シートの前記加飾対象物とは反対側に機能層が設けられている。機能層は、本開示の機能層を適宜選択して使用できる。
(16)前記加飾シートと前記機能層の間に接着層が設けられている。
【0149】
本開示の一実施形態の加飾品の製造方法は、本開示の各種実施形態の記録媒体の前記画像形成用層上に画像を形成する画像形成工程と、前記画像形成工程後に、前記記録媒体と加飾対象物とを一体化させる一体化工程とを含む。
本開示の一実施形態の加飾品は、下記(17)、(18)の何れか一方、又は双方を満たす。
(17)前記画像形成工程後の前記記録媒体、又は前記加飾対象物に接着層を貼合する貼合工程を含み、この接着層を用いて、前記一体化工程を行う。
(18)前記画像形成用層側で前記記録媒体と加飾対象物とを一体化させる。
【0150】
本開示の一実施形態の加飾品の製造方法は、本開示の各種実施形態の分離部材付き記録媒体の前記画像形成用層上に画像を形成する画像形成工程と、前記画像形成工程後に、前記分離部材を分離する分離工程と、前記分離工程後に、前記記録媒体と加飾対象物とを一体化させる一体化工程とを含む。
本開示の一実施形態の加飾品は、下記(19)、(20)の何れか一方、又は双方を満たす。
(19)前記画像形成工程後の前記分離部材付き記録媒体の前記画像形成用層側、前記分離工程後の前記記録媒体の前記画像形成用層側、及び前記加飾対象物の何れかに接着層を貼合する貼合工程を含み、この接着層を用いて、前記一体化工程を行う。
(20)前記画像形成用層側で前記記録媒体と加飾対象物とを一体化させる。
【0151】
本開示の一実施形態の加飾品の製造方法は、本開示の各種実施形態の分離部材付き記録媒体の前記画像形成用層上に画像を形成する画像形成工程と、前記画像形成工程後に、前記分離部材付き記録媒体と加飾対象物とを一体化させる一体化工程と、前記一体化工程後に、前記分離部材を分離する分離工程とを含む。
本開示の一実施形態の加飾品は、下記(21)、(22)の何れか一方、又は双方を満たす。
(21)前記画像形成工程後の前記分離部材付き記録媒体の前記画像形成用層側、又は前記加飾対象物に接着層を貼合する貼合工程を含み、この接着層を用いて、前記一体化工程を行う。
(22)前記画像形成用層側で前記分離部材付き記録媒体と加飾対象物とを一体化させる。
【0152】
本開示の一実施形態の加飾品の製造方法は、加飾シートと加飾対象物とを一体化させる一体化工程と、前記一体化工程後、前記加飾シートの前記加飾対象物とは反対側の面に、機能層を形成する機能層形成工程と、を含み、前記加飾シートが、支持体、及び画像層を有し、前記機能層形成工程が、前記加飾シートと前記機能層との積層体全体の可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ測定角度45°の条件で測定される前記積層体の光沢度が60以下となるように機能層を形成する工程である。
機能層は、本開示の機能層を適宜選択して使用できる。
【0153】
本開示の一実施形態の記録媒体と転写シートの組合せは、前記記録媒体が、支持体、及び画像層を有し、前記転写シートが、基材、及び前記基材から剥離できる転写層を有し、前記記録媒体上に、前記転写シートの前記転写層を転写することで、可視光領域の光線透過率が10%以上、且つ測定角度45°の条件で測定される光沢度が60以下の転写物が得られる。
本開示の一実施形態の記録媒体と転写シートの組合せは、前記転写シートの転写層が、表面が凹凸構造を有する凹凸層、又は内部にボイドを有するボイド層を含む。
【符号の説明】
【0154】
1・・・支持体
1A、1B・・・支持体構成部材
1C・・・分離部基材
3・・・プライマー層
6・・・分離補助層
10・・・画像形成用層
50・・・画像
60・・・分離部材
100・・・記録媒体
100X・・・分離部材付き記録媒体
150・・・加飾シート
150X・・・分離部材付き加飾シート
200・・・接着層
200A・・・マスキング部材付き接着層
210・・・マスキング部材
230・・・耐久層
240・・・転写層
250・・・転写シート
260・・・転写シートの基材
300・・・加飾対象物
400・・・加飾品