(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-01
(45)【発行日】2022-11-10
(54)【発明の名称】現場打設根固め型枠および根固め工法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/08 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
E02B3/08
(21)【出願番号】P 2021061041
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2021-11-04
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515162442
【氏名又は名称】旭化成アドバンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】関下 啓誠
(72)【発明者】
【氏名】鍋嶋 靖浩
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-046819(JP,A)
【文献】特開2001-064972(JP,A)
【文献】実開昭62-072323(JP,U)
【文献】実開昭58-183857(JP,U)
【文献】特開2003-129443(JP,A)
【文献】特開2006-000750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網状部材からなる外枠の中に合成繊維シートで作製した袋体を取り付け一体化させた現場打設根固め型枠であって、
前記袋体は、上布、下布および側面布が箱型に縫製されてなり、
前記袋体の内側に、厚み拘束用布が、該袋体の対向する面を結ぶように縫製により取り付けられており、
前記厚み拘束用布は、前記上布の中心点と前記下布の中心点との間に亘って、前記側面布と同じ高さで取り付けられて
おり、
前記厚み拘束用布の幅は3cm以上であり、
前記厚み拘束用布は、前記上布と前記下布との間に亘って前記側面布と同じ高さで取り付けられており、
前記厚み拘束用布は、前記上布の中心点から該上布の一辺の中点を結ぶ第1の仮想線、および、前記下布の中心点から該下布の一辺の中点を結ぶ第2の仮想線に沿って取り付けられており、
前記厚み拘束用布の合計長さは、該厚み拘束用布に平行な上布および下布の一辺の長さに対し1.5%~85%であることを特徴とする現場打設根固め型枠。
【請求項2】
前記厚み拘束用布は、前記袋体の中心点から前記側面布の高さの中央を結ぶ第3の仮想線に沿って取り付けられている、請求項
1に記載の現場打設根固め型枠。
【請求項3】
前記厚み拘束用布は、前記袋体を上面視したときに、中心点に対して点対称になるように配されている、請求項1
または2に記載の現場打設根固め型枠。
【請求項4】
前記厚み拘束用布は、前記袋体と同一の合成繊維シートで構成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の現場打設根固め型枠。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の現場打設根固め型枠を用いた根固め工法であり、現場打設根固め型枠を、施工箇所に据え付け、据え付け後、コンクリートを打設することを特徴とする根固め工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場打設根固め型枠および根固め工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海岸、河川、湖、池等での洗堀防止、浸食防止等のためとして、根固め工法、護床保護工、のり覆い工、水制工等の工法(以下、単に「根固め工法」という)等の諸工法が採用されている。
【0003】
このような根固め工法において、網状部材からなる外枠の中に合成繊維シートで作製した袋体を取り付け一体化させた型枠を用い、施工箇所に型枠を据え付け、据え付け後コンクリートを打設して根固めブロックとする現場打設工法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、袋体内にコンクリートを適切な量で注入することは難しく、充填不足を回避するために過剰気味に注入することが多い。これにより過剰気味に注入されたコンクリートによる袋体ひいては枠体も含む型枠全体の膨らみが問題となっている。
【0006】
特に、型枠を複数、並べたり重ねたりして打設するような場合には、二段目以降の打設において上面または側面の膨らみが障害となり、施工性を低下させる原因ともなっていた。
【0007】
また、川底などに据え付けられる場合には、コンクリートの注入は水中での作業となるため、袋体の膨らみの状況を目視で確認し、コンクリートの注入量を細かく調節することも難しい。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、本発明の目的は、コンクリートを打設する際の袋体の膨らみを抑制して、施工性を向上させた現場打設根固め型枠および根固め工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]
網状部材からなる外枠の中に合成繊維シートで作製した袋体を取り付け一体化させた現場打設根固め型枠であって、
前記袋体は、上布、下布および側面布が箱型に縫製されてなり、
前記袋体の内側に、厚み拘束用布が、該袋体の対向する面を結ぶように縫製により取り付けられており、
前記厚み拘束用布は、前記上布の中心点と前記下布の中心点との間に亘って、前記側面布と同じ高さで取り付けられていることを特徴とする現場打設根固め型枠。
[2]
前記厚み拘束用布の幅は3cm以上である、[1]に記載の現場打設根固め型枠。
[3]
前記厚み拘束用布は、前記上布と前記下布との間に亘って前記側面布と同じ高さで取り付けられており、
前記厚み拘束用布は、前記上布の中心点から該上布の一辺の中点を結ぶ第1の仮想線、および、前記下布の中心点から該下布の一辺の中点を結ぶ第2の仮想線に沿って取り付けられている、[1]または[2]に記載の現場打設根固め型枠。
[4]
前記厚み拘束用布は、前記袋体の中心点から前記側面布の高さの中央を結ぶ第3の仮想線に沿って取り付けられている、[1]~[3]のいずれかに記載の現場打設根固め型枠。
[5]
前記厚み拘束用布は、前記袋体を上面視したときに、中心点に対して点対称になるように配されている、[1]~[4]のいずれかに記載の現場打設根固め型枠。
[6]
前記厚み拘束用布は、前記袋体と同一の合成繊維シートで構成されている、[1]~[5]のいずれかに記載の現場打設根固め型枠。
[7]
厚み拘束用布の合計長さは、該厚み拘束用布に平行な上布および下布の一辺の長さに対し1.5%~85%である、[1]~[6]のいずれかに記載の現場打設根固め型枠。
[8]
[1]~[7]のいずれかに記載の現場打設根固め型枠を用いた根固め工法であり、現場打設根固め型枠を、施工箇所に据え付け、据え付け後、コンクリートを打設することを特徴とする根固め工法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンクリートを打設する際の袋体の膨らみを抑制して、施工性を向上させた現場打設根固め型枠および根固め工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の現場打設根固め型枠の一構成例を表す斜視図である。
【
図2】本発明の現場打設根固め型枠に使用する袋体の一構成例を表す斜視図である。
【
図3】本発明の現場打設根固め型枠に使用する袋体の一構成例を表す斜視図である。
【
図4】本発明の現場打設根固め型枠に使用する袋体の一構成例を表す斜視図である。
【
図5】本発明の現場打設根固め型枠に使用する袋体の一構成例を表す斜視図である。
【
図6】本発明の現場打設根固め型枠に使用する袋体の一構成例を表す斜視図である。
【
図7】本発明の現場打設根固め型枠に使用する鉄線、異型鉄線、エキスパンドメタルや有孔金網等の一構成例を表す斜視図である。
【
図8】本発明の現場打設根固め型枠に使用する鉄線、異型鉄線、エキスパンドメタルや有孔金網等の一構成例を表す斜視図である。
【
図9】現場打設根固め型枠の外枠組立て後を表す斜視図である。
【
図10】現場打設根固め型枠の袋体の一構成例を表す斜視図である。
【
図11】現場打設根固め型枠の袋体の一構成例を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための実施の形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「~」で表される数値範囲は、前後の数値を含むものとする。
また、「平行」「中心」「中央」「対称」「同じ」といった概念は、実質的に「平行」「中心」「中央」「対称」「同じ」とみなせるものであればよく、正確なものでなくても構わない。
【0013】
図1は、本発明の現場打設根固め型枠の一構成例を表す斜視図である。
現場打設根固め型枠1は、網状部材からなる外枠2の中に合成繊維シートで作製した袋体3を取り付け一体化させてなる。袋体3は、上布31、下布32および側面布33が箱型に縫製されてなる。
【0014】
そして本発明の現場打設根固め型枠1は、袋体3の内側に、袋体3の対向する面を結ぶように厚み拘束用布34が縫製により取り付けられてなることを特徴とする。
【0015】
これによれば、現場打設において、袋体3の内部にコンクリートを注入する際の、袋体3の膨らみを抑制することができる。特に袋体3の上面および/または側面が凸に膨らんでしまうことを抑制できる。これにより、施工性を向上することができる。
【0016】
網状部材としては、通水性、通気性を有し、かつ、袋体3を支持するに必要な強度を有する材料であれば金属材料、樹脂、繊維等の有機高分子材料等またはそれらを組みあわせた複合材料等、任意の材料を用いることができる。金属材料としては鉄線、異型鉄線、エキスパンドメタル、有孔金網等の金属材料が好ましく用いられる。より好適なのは線径や間隔が自由に設定できる鉄線、鉄筋である。この鉄線の線径は2.6~8.0mm、間隔は50~250mmのものが用いられる。また鉄筋においては呼び径D10~D16、間隔は100~300mmのものが用いられる。最も好適なのは鉄線であり、線径は5.0~8.0mmで間隔が100~200mmのものであり、この線径、間隔にすることにより、正確な寸法に形状保持が可能である。
【0017】
外枠2内に取り付けられる袋体3は、上布31、下布32および側面布33が箱型に縫製されてなる。
【0018】
袋体3を構成する合成繊維シートは、織布や不織布が通常用いられ、織布のものが好ましく用いられる。ここで、織布としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の糸を、経糸と緯糸と交差させて織り上げたものが用いられ、特にポリエステルのものが好ましく用いられる。またこの糸の太さは500~5,000dtex、織密度は10~40本/インチのものが用いられ、特に糸の太さが1,500~2,000dtex、織密度が20~30本/インチのものが好ましく用いられる。このような織布は、引張り強さの大きいことと適度な伸びがあることから極めてタフであり高度の耐衝撃性を有し、常態では勿論のこと、水中など湿潤時においても引張り強さの低下はほとんどなく、コンクリート打設に充分耐え得るものである。
【0019】
そして、袋体3の内側には、袋体3の対向する面を結ぶように厚み拘束用布34が縫製により取り付けられている。
図2~
図6は、本実施形態の現場打設根固め型枠1に使用される袋体3の一構成例を表す斜視図である。なお、図では、後述する注入口4および排出口5の図示は省略している。
【0020】
まず、
図2に示す例では、袋体3A(3)は、厚み拘束用布34A(34)が、上布31の中心点と下布32の中心点とを結ぶように、上布31と下布32との間に亘って、側面布33と同じ高さ(すなわち、袋体3と同じ高さ)で取り付けられている。
なお、厚み拘束用布34の「布」には、広幅のものは勿論のこと、狭幅のいわゆるリボン状、紐状のものも含む。
【0021】
これにより、現場打設において、袋体3の内部にコンクリートを注入する際の、袋体3の厚み方向の膨らみを抑制することができる。特に、袋体3の上面中央部の膨らみを抑制できる。
【0022】
また、
図3に示す袋体3B(3)、および
図4に示す袋体3C(3)では、厚み拘束用布34A(34)に加えて、厚み拘束用布34B(34)が、上布31と下布32との間に亘って、側面布33と同じ高さで取り付けられている。
【0023】
このとき、厚み拘束用布34B(34)は、上布31の中心点から上布31の一辺の中点を結ぶ第1の仮想線L1、および、下布32の中心点から該下布32の一辺の中点を結ぶ第2の仮想線L2に沿って、取り付けられている。
【0024】
なお、
図1~6では、袋体3(上布31および下布32)が、上面視で略正方形の場合を例として挙げているが、これに限定されず、袋体3(上布31および下布32)は、上面視で長方形であってもよい。この場合、仮想線は、それぞれの辺に対して規定される。
後述する、厚み拘束用布34の合計長さの、上布31および下布32の一辺の長さに対する割合についても同様である。
【0025】
図3に示す例では、厚み拘束用布34B(34)が1方向に取り付けられており、
図4に示す例では、厚み拘束用布34B(34)が2方向に、すなわち十字形状に取り付けられている。
【0026】
これにより、現場打設において、袋体3の内部にコンクリートを注入する際の、袋体3の厚み方向の膨らみを効果的に抑制することができる。すなわち、袋体3の上面が凸に膨らんでしまうことを効果的に抑制できる。
【0027】
図4に示すように、厚み拘束用布34B(34)を2方向に取り付けることで、袋体3の膨らみを偏りなく抑制することができる。すなわち、袋体3の上面がより平らになるように規制することができる。
【0028】
また、
図5に示す袋体3D(3)では、厚み拘束用布34C(34)が、側面布33の対向する面を結ぶように取り付けられている。厚み拘束用布34C(34)は、袋体3の中心点から、側面布33の高さの中央を結ぶ第3の仮想線L
3に沿って取り付けられている。
これにより、現場打設において、袋体3の内部にコンクリートを注入する際の、袋体3の横方向の膨らみを効果的に抑制することができる。すなわち、袋体3の側面が凸に膨らんでしまうことを効果的に抑制できる。
【0029】
なお、
図5に示す例では、厚み拘束用布34B(34)が2方向に、すなわち十字形状に取り付けられている。これにより、袋体3の膨らみを偏りなく抑制することができる。しかし、厚み拘束用布34B(34)は、1方向のみに取り付けられたものであっても構わない。
【0030】
さらに、
図6に示す袋体3E(3)では、厚み拘束用布34A(34)が、上布31の中心点と下布32の中心点を結ぶように取り付けられており、さらに、厚み拘束用布34C(34)が、袋体3の中心点から、側面布33の高さの中央を結ぶ第3の仮想線L
3に沿って十字形状に取り付けられている。
これにより、現場打設において、袋体3の内部にコンクリートを注入する際の、袋体3の厚み方向の膨らみおよび横方向の膨らみをより効果的に抑制することができる。すなわち、袋体3の側面および上面が凸に膨らんでしまうことをより効果的に抑制できる。
【0031】
これらの厚み拘束用布34は、袋体3を上面視したときに、上布31の中心点に対して点対称になるように配されていることが好ましい。
これにより、袋体3の内部にコンクリートを注入する際に、袋体3の内部に偏りなくコンクリートを充填することができるとともに、袋体3の膨らみも偏りなく抑制することができる。すなわち、袋体3の上面がより平らになるように規制することができる。
【0032】
これらの厚み拘束用布34は、袋体3の本体と同一の合成繊維シートで構成されていることが好ましい。
上述した合成繊維シートは、引張り強さの大きいことと適度な伸びがあることから極めてタフであり高度の耐衝撃性を有する。厚み拘束用布34をこのような合成繊維シートで構成することで、コンクリート打設において、袋体3を内側から十分強力な力で引張ることができ袋体3の膨らみを好適に抑制することができる。
【0033】
なお、厚み拘束用布34を、袋体3の本体と別個のシートで構成する場合であっても、袋体3の本体と同等以上の特性(例えば、引張り強さ、破断時伸び、透水係数等)を有しているシートを用いることが好ましい。
【0034】
厚み拘束用布34の幅は3cm以上であることが好ましく、5cm以上であることがより好ましい。
厚み拘束用布34の幅が短いと、袋体3の対向する面同士を内側から引張る力が弱く、袋体3の膨らみを抑制する効果が十分に得られない。厚み拘束用布34の幅を上記範囲とすることで、袋体3の膨らみを効果的に抑制することができる。
【0035】
厚み拘束用布34の合計長さは、厚み拘束用布34に平行な上布31および下布32の一辺の長さに対し1.5%~85%であることが好ましく、50%~75%であることがより好ましい。
厚み拘束用布34の合計長さが短いと、袋体3の対向する布同士を内側から引張る力が弱く、袋体3の膨らみを抑制する効果が十分に得られない。一方、厚み拘束用布34の合計長さが長すぎると、袋体3の内部にコンクリートを注入する際に、袋体3の内部でのコンクリートの移動を阻害してしまい、袋体3の隅々まで均一にコンクリートを充填することが難しくなってしまう。厚み拘束用布34の合計長さを上記範囲とすることで、袋体3の内部に均一にコンクリートを充填することができるとともに、袋体3の膨らみを効果的に抑制することができる。
【0036】
袋体3には、コンクリートの注入口4と、型枠1内の水を排出させたい場合は排出口5を取り付けるが、材質は袋体3に使用する合成繊維シートが用いられ、形状、サイズは、コンクリート注入ホースの形状、サイズに合わせ、任意に替えたものを取り付け可能である。
【0037】
このような袋体3は、例えば、以下のようにして製造することができるが、これらの例に限定されるものではない。
まず、
図2~
図4に示す構成の袋体3の場合、上布31と下布32の縫製箇所に、所定厚み(完成後の袋体3の厚み)の厚み拘束用布34A(34)および/または厚み拘束用布34B(34)をミシンにより縫製する。上布31、下布32および厚み拘束用布34を縫製加工の後、側面布33を縫製することにより、袋体3とする。
【0038】
また、
図5に示す構成の袋体3の場合、側面布33の対向する面同士を結ぶように、所定の寸法に加工した厚み拘束用布34C(34)を縫製加工する。その後、上布31、下布32と側面布33とを縫製加工する。
【0039】
また、
図6に示す構成の袋体3の場合、上布31と下布32の縫製箇所に、所定厚み(完成後の袋体3の厚み)の厚み拘束用布34をミシンにより縫製する。次に、側面布33の対向する面同士を結ぶように、所定の寸法に加工した厚み拘束用布34C(34)を縫製加工する。その後、上布31、下布32と側面布33とを縫製加工する。
【0040】
本実施形態の根固め工法は、上述したような現場打設根固め型枠1を、施工箇所に据え付け、据え付け後、コンクリートを打設する。
【0041】
図7、
図8に網状部材よりなる外枠2の組立て方法の例を示す。外枠2の組立ては、工場、作業ヤード、施工現場近くの陸上、または施工現場近くの船上等の任意の場所で実施することができる。また、外枠2の組立て方法としては、網状部材から直接外枠2を組立てることもできるが、網状部材からパネルを作成し、これを組み立てて箱型とすることが好ましい。網状部材を箱型にして現場に搬入せず、パネル6,7を搬入し箱型に組み立て固定することにより、運送容積を稼いで運送コストの低減が図れるのでより好ましい。パネルの形状としては、
図7のようにコの字パネル6の2つを組立てる方法や、
図8のように6枚の平パネル7を組立てる方法がある。好適なのはコの字パネル6を2つ組立てる方法である。パネルの固定方法としては、点溶接8(
図9参照)、結束線、金属結束タイ等があるが、外枠2の大きさにより適宜使い分ける。
【0042】
この合成繊維シートで製作した袋体3の外枠2へ取り付け一体化する方法としては、外枠2、袋体3にあらかじめ取り付けた連結治具同士を連結する方法や、ベルト、ロープ等で結束する方法等任意の方法を用いることができる。例えば、袋体3にあらかじめ結束ベルト10(
図11参照)や穴開ベルト9を取り付けて外枠2に結束する方法や、袋体3に穴開ベルト9(
図10参照)をあらかじめ取り付けて穴開ベルト9にロープ等を通し、外枠2と結束する方法が好ましく用いられ、袋体3にあらかじめ結束ベルト10を取り付け、外枠2に結束する方法がより好ましく用いられる。
【0043】
現場打設根固め型枠1へのコンクリート注入の方法は、あらかじめ施工箇所に並べて据え付けられた現場打設根固め型枠1の注入口4に、コンクリート注入ホースを指し込み、注入口4と注入ホースを接続し、その後型枠1内にコンクリートを注入し、型枠1内に所定のコンクリートが充填されたら、注入口4からコンクリート注入ホースを抜き取り、注入口4を閉鎖する。注入口4と注入ホースとの取付け、及び注入口4の閉鎖には、注入口4に取り付けたロープを用いるのが好ましい。順次、連続して現場打設根固め型枠1内にコンクリートの注入を行う。
【0044】
水中における施工方法に関しては、現場打設根固め型枠1を水中に入れつつ型枠1内に水を入れながら施工箇所に据え付けを行う。型枠1内に水を入れることにより、型枠1の浮力がなく、水中において容易に据え付けを行うことが可能である。また水中では、コンクリートを注入時に型枠1内の水を排出する必要があるため、注入口4とは別に排出口5をあらかじめ取り付けておく必要がある。
【0045】
本実施形態の根固め型枠1を用いることで、袋体3の内側に、厚み拘束用布34が、袋体3の対向する面を結ぶように縫製により取り付けられているので、現場打設において、袋体3の内部にコンクリートを注入する際の、袋体3の膨らみを抑制することができる。特に袋体3の上面および/または側面が凸に膨らんでしまうことを抑制できる。
特に、型枠1を複数、並べたり重ねて打設するような場合において、上面または側面の膨らみが好適に抑えられているので、打設の障害にならず、施工性を向上することができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明による根固め型枠を用いることで、袋体の内部にコンクリートを注入する際の袋体の膨らみを抑制することができ、現場打設根固め型枠として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 現場打設根固め型枠
2 外枠
3 袋体
31 上布
32 下布
33 側面布
34 厚み拘束用布
4 注入口
5 排出口
6 コの字パネル
7 平板パネル
8 点溶接箇所
9 穴開ベルト
10 結束ベルト
L1 第1の仮想線
L2 第2の仮想線
L3 第3の仮想線