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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】吊上げ装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/42 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
B66C1/42 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019204459
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021075373
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】308026746
【氏名又は名称】旗手 伸生
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】旗手 伸生
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-330282(JP,A)
【文献】特開2012-171777(JP,A)
【文献】実開平3-118991(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0068485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吊り体(40)吊る時に、巻き下げ巻き上げ装置で巻き下げ、巻き上げされることで上下動する線体(11)の下に取り付けられて使用される吊り上げ装置であって、
線体(11)の下動により被吊り体(40)の上部に着座する着座体(20)と、
この着座体(20)に開閉可能に取り付けられ、開閉動作により、前記被吊り体(40)が備える係合部(41)と係脱する吊り部材(23)と、
前記着座体(20)に対し相対的に上下動可能に取り付けられ、着座体(20)に対して相対的に上動したとき前記吊り部材(23)を前記係合部(41)との係合位置方向へ作動させ、着座体(20)に対して相対的に下動したとき前記吊り部材(23)を脱係合位置方向へ作動させる可動体(30)と、
前記可動体(0)において軸回りに回転可能に設けられ、軸と直交する方向に離間した第1,第2面に第1,第2カム面(33a、33b)を有するカム回転子(33)と、前記可動体(30)において、前記カム回転子(33)の第1,第2カム面に当接することで、可動体(30)の動の範囲を規定するとともにカム回転子(33)を所定ピッチ毎に回転させる第1,第2作動子(31,32)と、前記カム回転子(33)に設けられ、第2作動子(32)の前記第2カム面(33b)よりも第1カム面側への移動を許す第2作動子受け入れ溝(33c)とを有するロック・アンロック機構(30L)であって、
(1)
第2 カム面(33b)に第2作動子(32)を当接させることで、着座体(20)に対する可動体(30)の動を阻止して吊り部材(23)を脱係合位置に保持する初期状態(ロック状態)
(2)
線体(11)の下動で着座体(20)が被吊り体(40)上に着座した後の着座体(20)に対する可動体(30)の下動で、第1作動子(30)を第1カム面(33a)に当接させてカム回転子(33)を回動させ、カム回転子(33)の第2作動子受け入れ溝(33c)へ向けての第2作動子(32)の移動を可能とするロック解除状態(アンロック状態)
(3)
線体(11)の上動で、第2作動子(32)が第2作動子受け入れ溝(33c)に入るように可動体(30)が動し、吊り部材(23)を係合位置へ移動させる吊り上げ可能状態および着座体(20)が被吊り体(40)上から離間する吊り上げ状態
(4)
線体(11)の下動で、着座体(20)が被吊り体(40)上に着座した後、第2作動子(32)が第2作動子受け入れ溝(33c)から抜け出すように可動体(30)が移し、第1作動子(31)が第1カム面(33a)に当接することでカム回転子(33)が回動して第2作動子受け入れ溝(33c)が第2作動子(32)から回転方向においてずれるとともに吊り部材(23)が脱係合位置に移動する被吊り体解放状態
(5)
線体(11)の上動で、(1)の初期状態へ戻す動作
を繰り返すロック・アンロック機構(30L)と、
を備えていることを特徴とする吊上げ装置。
【請求項2】
被吊り体(44)を吊る時に、巻き下げ巻き上げ装置で巻き下げ、巻き上げされることで上下動する線体(51)の下に取り付けられて使用される吊り上げ装置であって、
線体(51)の下動により被吊り体(44)の上部に着座する着座体(60)と、
この着座体(60)に開閉可能に取り付けられ、開閉動作により、前記被吊り体(44)が備える係合部(45)と係脱する吊り部材(63)と、
前記着座体(60)に対し相対的に上下動可能に取り付けられ、着座体(60)に対して相対的に上動したとき前記吊り部材(63)を前記係合部(45)との係合位置方向へ作動させ、着座体(60)に対して相対的に下動したとき前記吊り部材(63)を脱係合位置方向へ作動させる可動体(70)と、
前記可動体(70)において鉛直軸回りに回転可能に設けられ、上面および下面にカム面(73a、73b)を有するカム回転子(73)と、前記着座体(60)において、前記カム回転子(73)の上下に設けられ、カム回転子(73)のカム面に当接することで、可動体(70)の上下動の範囲を規定するとともにカム回転子(73)を所定ピッチ毎に回転させる上下の作動子(61,62)と、前記カム回転子(73)に設けられ、上作動子(61)の前記上カム面(73a)よりも下方への移動を許す上作動子受け入れ溝(73c)とを有するロック・アンロック機構(70L)であって、
(1)
上カム面(73a)に上作動子(61)を当接させることで、着座体(60)に対する可動体(70)の上動を阻止して吊り部材(63)を脱係合位置に保持する初期状態(ロック状態)
(2)
線体(51)の下動で着座体(60)が被吊り体(44)上に着座した後の着座体(60)に対する可動体(70)の下動で、下作動子(62)を下カム面(73b)に当接させてカム回転子(73)を回動させ、カム回転子(73)の上作動子受け入れ溝(73c)へ向けての相対的な上作動子61の下方への移動を可能とするロック解除状態(アンロック状態)
(3)
線体(51)の上動で、上作動子61が上作動子受け入れ溝73cに入るように可動体(70)が上動し、吊り部材(63)を係合位置へ移動させる吊り上げ可能状態および着座体(60)が被吊り体(44)上から離間する吊り上げ状態
(4)
線体(51)の下動で、着座体(60)が被吊り体(44)上に着座した後、上作動子(61)が上作動子受け入れ溝(73c)から抜け出すように可動体(70)が下動し、下作動子(62)が下カム面(73b)に当接することでカム回転子(73)が回動して上作動子受け入れ溝(73c)が上作動子(61)から回転方向においてずれるとともに吊り部材(63)が脱係合位置に移動する被吊り体解放状態
(5)
線体(51)の上動で、(1)の初期状態へ戻す動作
を繰り返すロック・アンロック機構(70L)と、
を備えていることを特徴とする吊上げ装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記カム回転子は45度ピッチで回動することを特徴とする吊上げ装置。
【請求項4】
請求項1において、
カム回転子の第1,第2カム面はそれぞれ連続した山形の傾斜面からなり、その谷部に前記第1作動子または第2作動子の受け入れ溝が傾斜面に連なって形成されていることを特徴とする吊上げ装置。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項において、
被吊り体の上部中央には、前記係合部で形成された穴が設けられ、
着座体には、被吊り体の穴に挿通される先細の垂下体が設けられていることを特徴とする吊上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊上げ装置に関するものである。
より詳しくは、荷物等の被吊り体を吊る時に、クレーン(例えばホイスト クレーン)等の巻き下げ巻き上げ装置で巻き下げ、巻き上げされる線体(例えばワイヤーロープ)の下端に取り付けられて使用される吊り上げ装置であって、被吊り体を吊る吊り部材(フックや爪等)の開閉を、ワイヤーロープの上下動に連動させて作動させるようにした吊上げ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の吊り方について図22(a)~(d)を参照して説明する。
図22(a)は被吊り体の一例であるステム40の平面図と正面図である。
ステム40には、吊用の係合部として、吊金具41が設けてある。
図22(b)はステム40に製品Bを入れて、ステム40の上部にある吊り金具41の場所にフック42を差し込んだ状態の図である。
図22(c)はステム40に製品Bを入れて二段積みにした状態図でフック42が高い位置になるためステム40からフック42を外しにくいことを表している。
図22(d)に示すように、ステム40に入れた製品(図示省略)を、例えば乾燥炉Cの中に入れた状態では、フック42をステム40から外しにくいという問題がある。また、玉掛け用のワイロープRでの作業も、とても危険な作業である。
【0003】
従来、被吊り体を吊るクレーンとしては例えば特許文献1の図1に見られるようなホイストクレーンが用いられており、そのクレーンで巻き下げ、巻き上げされる線体(例えばワイヤーロープ)の下端に取り付けられて使用される吊り上げ装置としては、電動式のものが知られている。
【0004】
しかし、電動式のものでは、電気コードが必要になるため、その電気コードがホイストのワイヤーロープに巻きつくことがあるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-018619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、被吊り体を吊る吊り部材の開閉を、電気を用いずに線体の上下動に連動させて作動させることができる吊上げ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の吊上げ装置は、
被吊り体吊る時に、巻き下げ巻き上げ装置で巻き下げ、巻き上げされることで上下動する線体の下に取り付けられて使用される吊り上げ装置であって、
線体の下動により被吊り体の上部に着座する着座体と、
この着座体に開閉可能に取り付けられ、開閉動作により、前記被吊り体が備える係合部と係脱する吊り部材と、
前記着座体に対し相対的に上下動可能に取り付けられ、着座体に対して相対的に上動したとき前記吊り部材を前記係合部との係合位置方向へ作動させ、着座体に対して相対的に下動したとき前記吊り部材を脱係合位置方向へ作動させる可動体と、
前記可動体において軸回りに回転可能に設けられ、軸と直交する方向に離間した第1,第2面に第1,第2カム面を有するカム回転子と、前記可動体において、前記カム回転子の第1,第2カム面に当接することで、可動体の動の範囲を規定するとともにカム回転子を所定ピッチ毎に回転させる第1,第2作動子と、前記カム回転子に設けられ、第2作動子の前記第2カム面よりも第1カム面側への移動を許す第2作動子受け入れ溝とを有するロック・アンロック機構であって、
(1)
第2カム面に第2作動子を当接させることで、着座体に対する可動体の動を阻止して吊り部材を脱係合位置に保持する初期状態(ロック状態)
(2)
線体の下動で着座体が被吊り体上に着座した後の着座体に対する可動体の下動で、第1作動子を第1カム面に当接させてカム回転子を回動させ、カム回転子の第2作動子受け入れ溝へ向けての第2作動子の移動を可能とするロック解除状態(アンロック状態)
(3)
線体(11)の上動で、第2作動子が第2作動子受け入れ溝に入るように可動体が動し、吊り部材を係合位置へ移動させる吊り上げ可能状態および着座体が被吊り体上から離間する吊り上げ状態
(4)
線体の下動で、着座体が被吊り体上に着座した後、第2作動子が第2作動子受け入れ溝から抜け出すように可動体が移し、第1作動子が第1カム面に当接することでカム回転子が回動して第2作動子受け入れ溝が第2作動子から回転方向においてずれるとともに吊り部材が脱係合位置に移動する被吊り体解放状態
(5)
線体の上動で、(1)の初期状態へ戻す動作
を繰り返すロック・アンロック機構と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
この吊り下げ装置は、巻き下げ巻き上げ装置(以下クレーンともいう)で巻き下げ、巻き上げされることで上下動する線体の下に取り付けられて使用され、次のように作動する。
【0009】
(1)カム回転子の第2カム面に第2作動子を当接させた状態とし、着座体に対する可動体の動を阻止して吊り部材を脱係合位置に保持する初期状態とする。
この吊り下げ装置(以下本装置ともいう)が、初期状態のとき、着座体に対する可動体の動が阻止されるので、吊り部材はロック状態となる。
【0010】
(2)クレーンの作動で、本装置を被吊り体の上方へ移動させ、線体を下動させて本装置を下降させ、着座体を被吊り体上に着座させた後、さらに線体を下動させて、着座体に対して可動体を下動させる。
すると、第1作動子がカム回転子の第1カム面に当接してカム回転子を回動させ、カム回転子は、その第2作動子受け入れ溝へ向けての第2作動子の第1カム面側への移動を可能とするロック解除状態(アンロック状態)となる。
【0011】
(3)クレーンの作動で、線体の上動させると、第2作動子がカム回転子の第2作動子受け入れ溝に入るように可動体が動し、これによって吊り部材が、被吊り体の係合部との係合位置へ移動して吊り上げ可能状態となり、さらに線体を上動させると、着座体が被吊り体上から離間するとともに、吊り部材が被吊り体の係合部と係合して、被吊り体を吊り上げた状態となる。
【0012】
(4)クレーンの作動で、被吊り体を所定位置まで搬送し、線体を下動させると、着座体が被吊り体上に着座した後、第2作動子が第2作動子受け入れ溝から抜け出すように可動体が動する。
これによって、吊り部材が被吊り体の係合部から外れるとともに開いた状態となり(脱係合位置となり)、第1作動子がカム回転子の第1カム面に当接することでカム回転子が回動して第2作動子受け入れ溝が第2作動子から回転方向においてずれることで、その後の可動体の着座体に対する動が規制され、吊り部材が脱係合位置に保持されて(ロック状態となり)、被吊り体が解放された状態となる。
【0013】
(5)クレーンの作動で、線体を上動させると、カム回転子の下カム面に下作動子が当接した状態となり、(1)の初期状態に戻る。
【0014】
以上のように、この吊上げ装置によれば、被吊り体を吊る吊り部材の開閉を、電気を用いずに線体の上下動に連動させて作動させることができる。
【0015】
また上記課題を解決するために本発明の吊上げ装置は、
被吊り体を吊る時に、巻き下げ巻き上げ装置で巻き下げ、巻き上げされることで上下動する線体の下端に取り付けられて使用される吊り上げ装置であって、
線体の下動により被吊り体の上部に着座する着座体と、
この着座体に開閉可能に取り付けられ、開閉動作により、前記被吊り体が備える係合部と係脱する吊り部材と、
前記着座体に対し相対的に上下動可能に取り付けられ、着座体に対して相対的に上動したとき前記吊り部材を前記係合部との係合位置方向へ作動させ、着座体に対して相対的に下動したとき前記吊り部材を脱係合位置方向へ作動させる可動体と、
前記可動体において鉛直軸回りに回転可能に設けられ、上面および下面にカム面を有するカム回転子と、前記着座体において、前記カム回転子の上下に設けられ、カム回転子のカム面に当接することで、可動体30の上下動の範囲を規定するとともにカム回転子を所定ピッチ毎に回転させる上下の作動子と、前記カム回転子33に設けられ、上作動子の前記上カム面よりも方への移動を許す上作動子受け入れ溝とを有するロック・アンロック機構であって、
(1)上カム面上作動子を当接させることで、着座体に対する可動体の動を阻止して吊り部材を脱係合位置に保持する初期状態(ロック状態)
(2)線体の下動で着座体が被吊り体上に着座した後の着座体に対する可動体の下動で、下作動子下カム面に当接させてカム回転子を回動させ、カム回転子の上作動子受け入れ溝へ向けての相対的な上作動子方への移動を可能とするロック解除状態(アンロック状態)
(3)線体の上動で、上作動子上作動子受け入れ溝に入るように可動体が上動し、吊り部材を係合位置へ移動させる吊り上げ可能状態および着座体が被吊り体上から離間する吊り上げ状態
(4)線体の下動で、着座体が被吊り体上に着座した後、上作動子上作動子受け入れ溝から抜け出すように可動体が下動し、下作動子下カム面に当接することでカム回転子が回動して上作動子受け入れ溝が上作動子から回転方向においてずれるとともに吊り部材が脱係合位置に移動する被吊り体解放状態
(5)線体の上動で、(1)の初期状態への戻し動作
を繰り返すロック・アンロック機構と、
を備えていることを特徴とする。
【0016】
この吊上げ装置によっても、被吊り体を吊る吊り部材の開閉を、電気を用いずに線体の上下動に連動させて作動させることができる。
【0017】
この吊上げ装置においては、
前記カム回転子は45度ピッチで回動する構成とすることができる。
このように構成すると、カム回転子の構造を簡素化することができる。
【0018】
この吊上げ装置においては、
カム回転子の上下のカム面はそれぞれ連続した山形の傾斜面からなり、その谷部に前記上作動子または下作動子の受け入れ溝が傾斜面に連なって形成されている構成とすることができる。
このように構成すると、カム回転子および上下の作動子の円滑な作動を得ることができる。
【0019】
この吊上げ装置においては、
被吊り体の上部中央には、前記係合部で形成された穴が設けられ、
着座体には、被吊り体の穴に挿通される先細の垂下体が設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、着座体を被吊り体の上部に着座させる際、被吊り体の穴に着座体の垂下体を挿通させることで、被吊り体に対する着座体の位置合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る吊上げ装置の実施の形態を主として示す正面図。
図2】本発明に係る吊上げ装置の実施の形態を示す斜視図。
図3】同じく(a)は側断面図、(b)は図(a)におけるB-B断面図。
図4】同じく(a)は部分省略平面図、(b)は部分切断正面図。
図5】カム回転子を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は図(a)におけるc-c断面図、(d)は斜視図。
図6】使用状態を示す斜視図。
図7】作動説明図で、(a)は正面図、(b)は部分平面図、(c)はカム回転子を180度展開して示した図。
図8】作動説明図で、(a)は正面図、(b1)(b2)は部分平面図、(c1)(c2)はカム回転子を180度展開して示した図。
図9】作動説明図で、(a)は正面図、(b)は部分平面図、(c)はカム回転子を180度展開して示した図。
図10】作動説明正面図。
図11】作動説明図で、(a)は正面図、(b1)(b2)は部分平面図、(c1)(c2)はカム回転子を180度展開して示した図。
図12】他の実施の形態を示す部分切断正面図。
図13】同じく斜視図。
図14】爪開閉金具67の斜視図。
図15】使用状態を示す斜視図。
図16】作動説明図で、正面図とカム回転子を180度展開して示した図と、吊り部材とを一緒に示した図。
図17】作動説明図で、正面図とカム回転子を180度展開して示した図と、吊り部材とを一緒に示した図。
図18】作動説明図で、正面図とカム回転子を180度展開して示した図と、吊り部材とを一緒に示した図。
図19】作動説明図で、正面図とカム回転子を180度展開して示した図と、吊り部材とを一緒に示した図。
図20】作動説明図で、正面図とカム回転子を180度展開して示した図と、吊り部材とを一緒に示した図。
図21】作動説明図で、正面図とカム回転子を180度展開して示した図と、吊り部材とを一緒に示した図。
図22】(a)~(d)は従来技術の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る吊上げ装置の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0022】
図1図4に示すように、この実施の形態の吊上げ装置10は、
被吊り体40を吊る時に、巻き下げ巻き上げ装置(図示しないクレーン等)で巻き下げ、巻き上げされることで上下動する線体11の下端に取り付けられて使用される吊り上げ装置である。
【0023】
この吊り上げ装置10は、着座体20と、吊り部材23と、可動体30と、ロック・アンロック機構30Lとを備えている。
【0024】
着座体20は、線体11(図1)の下動により被吊り体40の上部に着座する。なお、線体11の上動により被吊り体40の上部から離間する。
【0025】
吊り部材23は、着座体20に開閉可能に取り付けられ、開閉動作により、被吊り体40が備える係合部41と係脱する。
【0026】
可動体30は、着座体20に対し相対的に上下動可能に取り付けられ、着座体20に対して相対的に上動したとき吊り部材23を前記係合部41との係合位置方向(図4のR1方向)へ作動させ、着座体20に対して相対的に下動したとき吊り部材23を脱係合位置方向(図4のR2方向)へ作動させる。
【0027】
ロック・アンロック機構30Lは、カム回転子33と、上下(第1,第2)の作動子31,32とを備えている。
【0028】
カム回転子33は、着座体20において鉛直軸回りに回転可能に設けられ、上面(第1面)および下面(第2面)にカム面(第1,第2カム面)33a、33bを有している。
【0029】
上下の作動子31,32は、可動体30において、前記カム回転子33の上下に設けられ、カム回転子33のカム面33a、33bに当接することで、可動体30の上下動の範囲を規定するとともにカム回転子33を所定ピッチ毎に回転させる。
【0030】
カム回転子33には、下作動子32の、下カム面33bよりも上方への移動を許す下作動子受け入れ溝33cが設けられている。
【0031】
ロック・アンロック機構30Lは次の(1)~(5)の状態を繰り返す。
【0032】
(1)下カム面33bに下作動子32を当接させることで、着座体20に対する可動体30の上動を阻止して吊り部材23を脱係合位置(図7参照)に保持する初期状態(ロック状態)
【0033】
(2)線体11の下動で着座体20が被吊り体40上に着座した後の着座体20に対する可動体30の下動で、上作動子31を上カム面33aに当接させてカム回転子33を回動させ、カム回転子33の下作動子受け入れ溝33cへ向けての下作動子32の上方への移動を可能とするロック解除状態(アンロック状態)(図8図9参照)
【0034】
(3)線体11の上動で、下作動子32が下作動子受け入れ溝33cに入るように可動体30が上動し、吊り部材23を係合位置へ移動させる吊り上げ可能状態(図9参照)および着座体20が被吊り体40上から離間する吊り上げ状態(図10参照)
【0035】
(4)線体11の下動で、着座体20が被吊り体40上に着座した後、下作動子32が下作動子受け入れ溝33cから抜け出すように可動体30が下動し(図11(b1)(c1)参照)、上作動子31が上カム面33aに当接することでカム回転子33が回動して下作動子受け入れ溝33cが下作動子32から回転方向においてずれるとともに吊り部材23が脱係合位置に移動する被吊り体40解放状態(図11(a)および(b2)(c2)参照)
【0036】
(5)線体11の上動で、(1)の初期状態(図7)への戻し動作
【0037】
図1図4等を参照して、この実施の形態の吊上げ装置10についてさらに詳しく説明する。
図1において、43は図示しないクレーン等によって昇降されるフックであり、このフック43により、吊り金具12および一対の線体11,11を介して本実施形態の吊り上げ装置10が吊られている。
【0038】
着座体20は、フレーム21と、このフレーム21の中央上部に設けられた中央連結部21cにナット22bで固定され、立設されたシャフト22と、このシャフト22の上端に設けられたストッパ(可動体30の上動範囲を規定するストッパ)としてのナット22aと、フレーム21の中央下部に設けられた着座プレート13と、フレーム21の中央下部において、着座プレート13よりも下方に突出する先細の垂下体14と、シャフト22に回転可能に取り付けられたカム回転子33と、を備えている。
【0039】
吊り部材23は、下端にフック部23aを、上端に係合ピン25を有する、一対のアームであり、上下方向の中間部が、フレーム21に対しピン24で回動可能に取り付けられている。
【0040】
可動体30は、着座体20のシャフト22に対して上下動可能に取り付けられた筒状ケーシング26と、このケーシング26の外周部に固定された一対の、カム穴付きアーム27と、そのカム穴(長穴)27bと、ケーシング26の内周面上下に設けられた上下の作動子31,32と、を有し、カム穴付きアーム27に設けられた穴27aに、連結金具(シャックル等)15を介して、前述した線体(ワイヤーロープ等)11が連結され、吊り上げられる。
【0041】
ケーシング26には、上下の蓋体26b、26cが設けられている。
吊り部材23の上部は側面視(図2参照)で二股状になっており、その二股部を跨ぐように架設された上記係合ピン25が、カム穴付きアーム27のカム穴(長穴)27bに移動可能に入っている。カム穴27bは正面視(図1)でハの字形であり末広がりである。
【0042】
そのため、可動体30(したがってケーシング26およびカム穴付きアーム27)が、着座体20(したがって吊り部材23)に対して、相対的に下動すると、図4(b)に実線で示すように、吊り部材23は、フック部23同士が開くように(矢印R2方向へ)へ回動し、相対的に上動すると、図4(b)に仮想線で示すように、吊り部材23は、フック部23同士が閉じるように(矢印R1方向へ)へ回動する。
【0043】
図3に示すように、シャフト22は、小径部22bと大径部22cとを有しており、カム回転子33は、小径部22bにベアリング34を介して回転可能に取り付けられている。
【0044】
図5に示すように、カム回転子33の上下のカム面33a、33bはそれぞれ連続した山形(波形)の傾斜面33d、33eを有し、下カム面33bの谷部33gに、一つおきに下作動子32の受け入れ溝33cが傾斜面33eに連なって形成されている。
【0045】
上カム面33aの傾斜面33dは45度ピッチで8個設けられており、下カム面33bの傾斜面33eも45度ピッチで8個設けられている。
したがって、上カム面33aの傾斜面33dに上作動子31が当接して傾斜面33dを押圧すると、カム回転子33は45度回転し、下カム面33bの傾斜面33eに下作動子32が当接して傾斜面33eを上方へ押圧すると、やはりカム回転子33は45度回転する。
【0046】
図3図4に示すように、上下の作動子31,32は、可動体30において、カム回転子33の上下に位置するように設けられ、カム回転子33のカム面33a、33bに当接することで、可動体30の上下動の範囲を規定するとともにカム回転子33を45度ピッチで回転させる。
【0047】
上作動子31は、平面視で点対称状に1対(2個)設けられている。
下作動子32も、平面視で点対称状に1対(2個)設けられている。
【0048】
上下の作動子31,32は板状体(キー状)のもので、図2にも示すボルト31b、32bで固定される。
【0049】
上下の作動子31,32は、半径方向の長さが異なっており、上作動子31の方が長い。
このため、下作動子32は受け入れ溝33cに下方から進入可能であるが、上作動子31は、受け入れ溝33cの上端部で上カム面33aの谷部33fに当接し、受け入れ溝33cには進入できないようになっている。
【0050】
以上のような吊り下げ装置10は、巻き下げ巻き上げ装置(以下クレーンともいう)で巻き下げ、巻き上げされることで上下動する線体11の下端に取り付けられて使用され、次のように作動する。
【0051】
(1)図7に示すように、カム回転子33の下カム面33bに下作動子32を当接させた状態とし、着座体20に対する可動体30の上動を阻止して吊り部材23を脱係合位置に保持する初期状態とする。
この吊り下げ装置(以下本装置ともいう)10が、初期状態のとき、着座体20に対する可動体30の上動が阻止されるので、吊り部材23はロック状態となる。
【0052】
(2)クレーンの作動で、図7から図8に示すように、本装置10を被吊り体40の上方へ移動させ、線体11を下動させて本装置10を下降させ、着座体20(着座プレート13)を被吊り体40上に着座させた後、さらに線体11を下動させて(図8)、着座体20に対して可動体30を下動させる。
すると、図7(a)に示す状態から、図8(c1)(c2)に示すように、上作動子31がカム回転子33の上カム面33aに当接してカム回転子33を45度回動させ、カム回転子33は、その下作動子受け入れ溝33cへ向けての下作動子32の上方への移動を可能とするロック解除状態(アンロック状態)となる(図8(c2))。
【0053】
(3)クレーンの作動で、図9に示すように、線体11を上動させると、下作動子32がカム回転子33の下作動子受け入れ溝33cに入るように可動体30が上動し、これによって吊り部材23のピン25が長穴27bでガイドされ、吊り部材23が、被吊り体40の係合部41との係合位置へ移動して吊り上げ可能状態となり、さらに線体11を上動させると、図10に示すように、着座体20(着座プレート13)が被吊り体40上から離間するとともに、吊り部材23が被吊り体40の係合部41と係合して、被吊り体40を吊り上げた状態となる。
【0054】
(4)クレーンの作動で、被吊り体40を所定位置(図示せず)まで搬送し、所定位置にて線体11を下動させると、図11に示すように、着座体20(着座プレート13)が被吊り体40上に着座した後、下作動子32が下作動子受け入れ溝33cから抜け出すように可動体30が下動する。
これによって、吊り部材23のピン25が長穴27bでガイドされ、吊り部材23が回動してフック部23aが被吊り体40の係合部41から外れるとともに、開いた状態となる(脱係合位置となる)。
また、図11(c1)(c2)に示すように、上作動子31がカム回転子33の上カム面33aに当接することでカム回転子33が45度回動して下作動子受け入れ溝33cが下作動子32から回転方向においてずれることで、その後の可動体30の着座体20に対する上動が規制され(図7参照)、吊り部材23が脱係合位置に保持されて(ロック状態となり)、被吊り体40が解放された状態となる。
【0055】
(5)クレーンの作動で、線体11を上動させると、図7に示すように、カム回転子33の下カム面33bに下作動子32が当接した状態となり、(1)の初期状態に戻る。
【0056】
以上のように、この吊上げ装置10によれば、被吊り体40を吊る吊り部材23の開閉を、電気を用いずに線体11の上下動に連動させて作動させることができる。
また、次のような作用効果も得られる。
【0057】
カム回転子33は、45度ピッチで回動する構成となっているので、カム回転子の構造を簡素化することができる。
カム回転子の回動ピッチは例えば22.5度ピッチとすることも可能ではある。
しかし、そうすると、カム面の山数が増えて構造が煩雑化する。
これに対し、この実施の形態では、カム回転子33は、45度ピッチで回動する構成となっているので、カム回転子の構造を簡素化することができる。
【0058】
カム回転子33の上下のカム面33a、33bはそれぞれ連続した山形の傾斜面からなり、下カム面33bの谷部に下作動子32の受け入れ溝33cが傾斜面に連なって形成されているので、カム回転子33および上下の作動子31,32の円滑な作動を得ることができる。
【0059】
被吊り体40の上部中央には、係合部41で形成された穴40h(図3図6等参照)が設けられ、着座体20には、被吊り体40の穴40hに挿通される先細の垂下体14が設けられているので、着座体20を被吊り体40の上部に着座させる際(図7図8参照)、被吊り体40の穴40hに着座体20の垂下体14を挿通させることで、被吊り体40に対する着座体20の位置合わせを容易に行うことができる。
【0060】
次に図12図21を参照して、他の実施の形態について説明する。
この実施の形態の吊り上げ装置が上述した吊り上げ装置と主に異なっている点は、被吊り体の係合部に対し、吊り部材を内側から係脱させるようにした点にあり、そのために、着座体と可動体との相対的な作動関係が逆になっている点にある。また、カム回転子33を上下逆にして用いている。
また、図13に示すように、この実施の形態の吊上げ装置10’で吊られる被吊り体44の係合部45はリング状となっている。
以下、詳しく説明する。
【0061】
この実施の形態の吊上げ装置10’は材63(a、b、c)と、可動体70と、ロック・アンロック機構70Lとを備えている。
【0062】
着座体60は、線体51(図12)の下動により被吊り体44の上部に着座する。なお、線体51の上動により被吊り体44の上部から離間する。
【0063】
吊り部材63は、着座体60に開閉可能に取り付けられ、開閉動作により、被吊り体44が備える係合部45と係脱する。
【0064】
可動体70は、着座体60に対し相対的に上下動可能に取り付けられ、着座体60に対して相対的に上動したとき吊り部材63を前記係合部45との係合位置方向(図12のR1方向)へ作動させ、着座体60に対して相対的に下動したとき吊り部材63を脱係合位置方向(図12のR2方向)へ作動させる。
【0065】
ロック・アンロック機構70Lは、カム回転子(上記カム回転子33を上下逆にしたもの)73と、上下の作動子61,62とを備えている。
【0066】
カム回転子73は、可動体70において鉛直軸回りに回転可能に設けられ、上面および下面にカム面73a(33b)、73b(33a)(図16参照)を有している。
【0067】
上下の作動子61,62は、着座体60において、前記カム回転子73の上下に設けられ、カム回転子73のカム面73a、73bに当接することで、可動体70の上下動の範囲を規定するとともにカム回転子73を所定ピッチ毎に回転させる。
【0068】
カム回転子73には、上作動子61の、上カム面73aよりも下方への相対移動を許す上作動子受け入れ溝73c(図20)が設けられている。
【0069】
ロック・アンロック機構70Lは次の(1)~(5)の状態を繰り返す。
【0070】
(1)上カム面73a上作動子61を当接させることで、着座体60に対する可動体70の相対的動を阻止して吊り部材63を脱係合位置(図16図17)に保持する初期状態(ロック状態)
【0071】
(2)線体51の下動で着座体60が被吊り体44上に着座した後の着座体60に対する可動体70の下動で、下作動子62下カム面73bに当接させてカム回転子73を回動させ(図17)、カム回転子73の上作動子受け入れ溝73cへ向けての相対的な上作動子61方への移動を可能とするロック解除状態(アンロック状態)(図19参照)
【0072】
(3)線体51の上動で、上作動子61上作動子受け入れ溝73cに入るように可動体70が上動し、吊り部材63を係合位置へ移動させる吊り上げ可能状態(図20)および着座体60が被吊り体44上から離間する吊り上げ状態(図21
【0073】
(4)線体51の下動で、着座体60が被吊り体44上に着座した後、上作動子61上作動子受け入れ溝73cから抜け出すように可動体70が下動し、下作動子62下カム面73bに当接することでカム回転子73が回動して上作動子受け入れ溝73c上作動子61から回転方向においてずれるとともに吊り部材63が脱係合位置に移動する被吊り体44解放状態(図16参照)
【0074】
(5)線体51の上動で、(1)の初期状態への戻し動作
【0075】
図12図15等を参照して、この実施の形態の吊上げ装置10’についてさらに詳しく説明する。
図12において、54はアイナットであり、このアイナット54を介して本実施形態の吊り上げ装置10’が吊られている。
【0076】
着座体60は、着地プレート52と、この着地プレート52の中央に固定された筒状ケーシング66と、着地プレート52の中央部において着地プレート52およびケーシング66の外周部に固定された3枚の爪取付板55と、ケーシング66の内周面上下に設けられた上下の作動子61,62と、3枚の爪取付板55の下部にそれぞれピン64で回動可能に取り付けられた吊り部材としての爪63(a、b、c)と、3枚の爪取付板55の下端にボルト53aで固定された、先細の垂下体としての案内板53と、を備えている。
ケーシング66には、上下の蓋体66b、66cが設けられている。
【0077】
可動体70は、着座体60のケーシング66に対して上下動可能に挿通されたシャフト72と、ケーシング66内においてシャフト72に回転可能に取り付けられたカム回転子73と、シャフト72の下端に固定されたストッパとしてのナット62aと、シャフト72の下端に、一体に垂下された爪開閉金具案内棒69と、この爪開閉金具案内棒69に挿通された爪開閉金具67(図14参照)と、この爪開閉金具67の下部において爪開閉金具案内棒69にネジ結合された爪開閉金具ストローク調整ナット69aと、前記ストッパ(ナット62a)と爪開閉金具67との間において爪開閉金具案内棒69に装着され、爪開閉金具69を下方に付勢するスプリング68と、を備えている。
【0078】
図14に示すように、爪開閉金具67は、中心ボス部67dから放射状に、3対のガイド板37fが設けられ、各ガイド板37にガイド長穴67aが設けられている。
【0079】
一方、各爪63(a、b、c)の下端両側にはピン65が設けられており、このピン65が前記ガイド板37のガイド長穴67aに挿通されている。
【0080】
したがって、着座体60に対して移動体70(したがって爪開閉金具67)が相対的に上動すると、ピン65がガイド長穴67に沿ってその内端部67bへ向かうように移動して爪63が開き(図15図20参照)、逆に、着座体60に対して移動体70(したがって爪開閉金具67)が相対的に下動すると、ピン65がガイド長穴67に沿ってその外端部67cへ向かうように移動して爪63が閉じることとなる(図13図16参照)。
なお、図12等において、63dは爪63の開く範囲を規定するストッパである。
【0081】
図12に示すように、シャフト72は、小径部72bと大径部72cとを有しており、カム回転子73は、小径部72bにベアリングを介して回転可能に取り付けられている。
【0082】
カム回転子73、上下の作動子61,62の構成は前述した実施の形態と同様であるが、上下の作動子61,62の半径方向の長さは、上作動子61の方が短く、下作動子62の方が長くなっている。
【0083】
このため、上作動子61は受け入れ溝73cに上方から進入可能であるが、下作動子62は、受け入れ溝73cの下端部で下カム面73bの谷部に当接し、受け入れ溝73cには進入できないようになっている。
【0084】
以上のような吊り下げ装置10’は、巻き下げ巻き上げ装置で巻き下げ、巻き上げされることで上下動する線体51の下端に取り付けられて使用され、次のように作動する。
【0085】
(1)図16に示すように、カム回転子73の上カム面に上作動子61を当接させた状態とし、可動体70に対する着座体60の下動を阻止して吊り部材63を脱係合位置に保持する初期状態とする。
この吊り下げ装置10’が、初期状態のとき、着座体60に対する可動体70の上動が阻止されるので、吊り部材63はロック状態となる。
【0086】
(2)クレーンの作動で、図16から図17に示すように、本装置10’を被吊り体44の上方へ移動させ、線体51を下動させて本装置10’を下降させ、着座体60(着座プレート52)を被吊り体44上に着座させた後、さらに線体51を下動させて(図17)、着座体60に対して可動体70を下動させる。
すると、図17に示す状態から、図18に示すように、下作動子62がカム回転子73の下カム面73bに当接してカム回転子73を45度回動させ、カム回転子73は、その上作動子受け入れ溝73cへ向けての相対的な上作動子61の下方への移動を可能とするロック解除状態(アンロック状態)となる(図18)。
【0087】
(3)クレーンの作動で、図19から図20に示すように、線体51を上動させると、上作動子61がカム回転子73の上作動子受け入れ溝73cに入るように可動体70が上動し、これによって吊り部材63のピン65が爪開閉金具67の長穴67aでガイドされ、吊り部材63が、被吊り体44の係合部45との係合位置へ移動して吊り上げ可能状態となり、さらに線体51を上動させると、図21に示すように、着座体60(着座プレート52)が被吊り体44上から離間するとともに、吊り部材63が被吊り体44の係合部45と係合して、被吊り体44を吊り上げた状態となる。
【0088】
(4)クレーンの作動で、被吊り体44を所定位置(図示せず)まで搬送し、所定位置にて線体51を下動させると、着座体60(着座プレート52)が被吊り体44上に着座した後、上作動子61が下作動子受け入れ溝73cから抜け出すように可動体70が下動する。
これによって、吊り部材63のピン65が爪開閉金具67の長穴67aでガイドされ、吊り部材63が回動して被吊り体44の係合部45から外れるとともに、閉じた状態となる(脱係合位置となる)。
また、下作動子62がカム回転子73の下カム面73bに当接することでカム回転子73が45度回動して上作動子受け入れ溝73cが上作動子71から回転方向においてずれることで、その後の可動体70の着座体60に対する上動が規制され、吊り部材63が脱係合位置に保持されて(ロック状態となり)、被吊り体44が解放された状態となる。
【0089】
(5)クレーンの作動で、線体51を上動させると、図16に示すように、カム回転子73の上カム面73aに上作動子61が当接した状態となり、(1)の初期状態に戻る。
【0090】
以上のように、この吊上げ装置10’によれば、被吊り体44を吊る吊り部材63の開閉を、電気を用いずに線体51の上下動に連動させて作動させることができる。
また、次のような作用効果も得られる。
【0091】
カム回転子73は、45度ピッチで回動する構成となっているので、カム回転子の構造を簡素化することができる。
【0092】
カム回転子73の上下のカム面73a、73bはそれぞれ連続した山形の傾斜面からなり、上カム面73aの谷部に上作動子61の受け入れ溝73cが傾斜面に連なって形成されているので、カム回転子73および上下の作動子61,62の円滑な作動を得ることができる。
【0093】
被吊り体44の上部中央には、係合部45で形成された穴40h(図13等参照)が設けられ、着座体60には、被吊り体44の穴40hに挿通される先細の垂下体53が設けられているので、着座体60を被吊り体44の上部に着座させる際(図13図15参照)、被吊り体44の穴40hに着座体60の垂下体53を挿通させることで、被吊り体44に対する着座体60の位置合わせを容易に行うことができる。
【0094】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。例えば、
【0095】
上記の実施の形態では、カム回転体をシャフトに、上下の作動子をケーシングの内面に設けたが、逆に、カム回転体をケーシングの内面に、上下の作動子をシャフトの外周面に設けてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10、10’: 吊上げ装置
11,51: 線体
14、53: 垂下体
20,60: 着座体
23,63(a、b、c): 吊り部材
30L,70L: ロック・アンロック機構
30,70: 可動体
31,61: 上作動子
32,62: 下作動子
33,73: カム回転子
33a、33b、73a、73b: カム面
33c、73c: 受け入れ溝
40,44: 被吊り体
41、45: 係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22