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特許7170584親局側光回線終端装置、子局側光回線終端装置及び光通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-04
(45)【発行日】2022-11-14
(54)【発明の名称】親局側光回線終端装置、子局側光回線終端装置及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20221107BHJP
   H04L 61/5038 20220101ALI20221107BHJP
   H04L 61/5061 20220101ALI20221107BHJP
【FI】
H04L12/44 200
H04L61/5038
H04L61/5061
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019096667
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020191571
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083840
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 実
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】三島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】松竹 俊和
(72)【発明者】
【氏名】成川 聖
(72)【発明者】
【氏名】阿部 拓也
(72)【発明者】
【氏名】池田 智彦
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101277320(CN,A)
【文献】特開2019-029839(JP,A)
【文献】特開2016-063427(JP,A)
【文献】特開2006-262129(JP,A)
【文献】国際公開第2012/070127(WO,A1)
【文献】特開2016-012823(JP,A)
【文献】特開2012-156954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04L 61/5038
H04L 61/5061
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の子局側光回線終端装置と通信するために用いられる光ファイバーケーブルに接続され、前記複数の子局側光回線終端装置の内の一つの子局側光回線終端装置である対象子局側光回線終端装置から、前記対象子局側光回線終端装置が必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む第1の制御フレームを含む光信号を受信し、前記受信された光信号を電気信号に変換する光電気変換部、前記変換された電気信号から前記第1の制御フレームを分離する多重分離部、及び、前記第1の制御フレームから前記論理リンク数を特定する論理リンク制御部をそれぞれが含む複数の光通信装置と、
複数のMACアドレスを記憶する記憶部と、
前記特定された論理リンク数に基づいて、前記複数の光通信装置の内の前記対象子局側光回線終端装置に接続されている一つの光通信装置を除く前記複数の光通信装置で使用されているMACアドレスとは重複しても、前記一つの光通信装置に接続されている前記複数の子局側光回線終端装置で使用されている何れのMACアドレスとも重複しないように、前記複数のMACアドレスから少なくとも一つのMACアドレスを選択するMACアドレス処理部と、を備え、
前記論理リンク制御部は、前記選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む第2の制御フレームを生成し、
前記多重分離部は、前記第2の制御フレームを多重することで、電気信号を生成し、
前記光電気変換部は、前記生成された電気信号を光信号に変換し、前記変換された光信号を前記対象子局側光回線終端装置に送信すること
を特徴とする親局側光回線終端装置。
【請求項2】
複数の子局側光回線終端装置と通信するために用いられる光ファイバーケーブルに接続され、前記複数の子局側光回線終端装置の内の一つの子局側光回線終端装置である対象子局側光回線終端装置から、前記対象子局側光回線終端装置が必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む第1の制御フレームを含む光信号を受信し、前記受信された光信号を電気信号に変換する光電気変換部、前記変換された電気信号から前記第1の制御フレームを分離する多重分離部、前記第1の制御フレームから前記論理リンク数を特定する論理リンク制御部、複数のMACアドレスを記憶する記憶部、及び、前記特定された論理リンク数に基づいて、前記複数の子局側光回線終端装置で使用されている何れのMACアドレスとも重複しないように、前記複数のMACアドレスから少なくとも一つのMACアドレスを選択するMACアドレス処理部をそれぞれが含む複数の光通信装置を備え
前記論理リンク制御部は、前記選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む第2の制御フレームを生成し、
前記多重分離部は、前記第2の制御フレームを多重することで、電気信号を生成し、
前記光電気変換部は、前記生成された電気信号を光信号に変換し、前記変換された光信号を前記対象子局側光回線終端装置に送信し、
前記複数の光通信装置の内の一つの光通信装置に含まれている前記記憶部に記憶されている前記複数のMACアドレスの少なくとも一つのMACアドレスは、前記一つの光通信装置を除く前記複数の光通信装置に含まれている前記記憶部に記憶されている前記複数のMACアドレスの何れかと重複すること
を特徴とする親局側光回線終端装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶されている複数のMACアドレスが、前記親局側光回線終端装置内で生成されたローカルMACアドレスであること
を特徴とする請求項1又は2に記載の親局側光回線終端装置。
【請求項4】
前記論理リンク制御部は、前記光電気変換部及び前記多重分離部を介して、前記対象子局側光回線終端装置との間で最初に構築する論理リンクである基本論理リンクを構築することで、前記第1の制御フレームを取得するとともに、前記第2の制御フレームを前記対象子局側光回線終端装置に送り、
前記選択された少なくとも一つのMACアドレスは、前記基本論理リンクが有効な場合にのみ、使用可能であること
を特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の親局側光回線終端装置。
【請求項5】
親局側光回線終端装置に接続された光ファイバーケーブルを介して、前記親局側光回線終端装置と通信を行う子局側光回線終端装置であって、
前記親局側光回線終端装置と通信するために必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む第1の制御フレームを生成する論理リンク制御部と、
前記第1の制御フレームを多重することで、電気信号を生成する多重分離部と、
前記生成された電気信号を光信号に変換し、前記変換された光信号を前記親局側光回線終端装置に送信する光電気変換部と、を備え、
前記光電気変換部は、前記論理リンク数に基づいて、前記親局側光回線終端装置に接続されているが、前記子局側光回線終端装置と前記光ファイバーケーブルを共用しない他の子局側光回線終端装置で使用されているMACアドレスとは重複しても、前記子局側光回線終端装置と前記光ファイバーケーブルを共用する他の子局側光回線終端装置で使用されているMACアドレスと重複しないように、前記親局側光回線終端装置において選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む第2の制御フレームを含む光信号を受信し、前記受信された光信号を電気信号に変換し、
前記多重分離部は、前記変換された電気信号から前記第2の制御フレームを分離し、
前記論理リンク制御部は、前記第2の制御フレームに含まれている前記少なくとも一つのMACアドレスを用いて、前記光電気変換部及び前記多重分離部を介して、前記親局側光回線終端装置と少なくとも一つの論理リンクを構築すること
を特徴とする子局側光回線終端装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つのMACアドレスが、前記親局側光回線終端装置内で生成されたローカルMACアドレスであること
を特徴とする請求項に記載の子局側光回線終端装置。
【請求項7】
前記論理リンク制御部は、前記光電気変換部及び前記多重分離部を介して、前記親局側光回線終端装置との間で最初に構築する論理リンクである基本論理リンクを構築することで、前記第1の制御フレームを前記親局側光回線終端装置に送るとともに、前記第2の制御フレームを受け取り、
前記少なくとも一つのMACアドレスは、前記基本論理リンクが有効な場合にのみ、使用可能であること
を特徴とする請求項又はに記載の子局側光回線終端装置。
【請求項8】
親局側光回線終端装置、及び、前記親局側光回線終端装置に接続された複数の光ファイバーケーブルの内の一つの光ファイバーケーブルを共用する複数の子局側光回線終端装置を備える光通信システムであって、
前記複数の子局側光回線終端装置の内の何れか一つの子局側光回線終端装置である対象子局側光回線終端装置は、
前記親局側光回線終端装置と通信するために必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む第1の制御フレームを生成する子局側論理リンク制御部と、
前記第1の制御フレームを多重することで、第1の電気信号を生成する子局側多重分離部と、
前記第1の電気信号を第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を前記親局側光回線終端装置に送信する子局側光電気変換部と、を備え、
前記親局側光回線終端装置は、
前記一つの光ファイバーケーブルに接続され、前記第1の光信号を受信し、前記第1の光信号を第2の電気信号に変換する親局側光電気変換部、
前記第2の電気信号から前記第1の制御フレームを分離する親局側多重分離部、及び、
前記第1の制御フレームから前記論理リンク数を特定する親局側論理リンク制御部をそれぞれが含む複数の光通信装置と、
複数のMACアドレスを記憶する記憶部と、
前記特定された論理リンク数に基づいて、前記複数の光通信装置の内の前記対象子局側光回線終端装置に接続されている一つの光通信装置を除く前記複数の光通信装置で使用されているMACアドレスとは重複しても、前記一つの光通信装置に接続されている前記複数の子局側光回線終端装置で使用されている何れのMACアドレスとも重複しないように、前記複数のMACアドレスから少なくとも一つのMACアドレスを選択するMACアドレス処理部と、を備え、
前記親局側論理リンク制御部は、前記選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む第2の制御フレームを生成し、
前記親局側多重分離部は、前記第2の制御フレームを多重することで、第3の電気信号を生成し、
前記親局側光電気変換部は、前記第3の電気信号を第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を前記対象子局側光回線終端装置に送信し、
前記子局側光電気変換部は、前記第2の光信号を受信し、前記第2の光信号を第4の電気信号に変換し、
前記子局側多重分離部は、前記第4の電気信号から前記第2の制御フレームを分離し、
前記子局側論理リンク制御部は、前記第2の制御フレームに含まれている前記少なくとも一つのMACアドレスを用いて、前記子局側光電気変換部及び前記子局側多重分離部を介して、前記親局側光回線終端装置と少なくとも一つの論理リンクを構築すること
を特徴とする光通信システム。
【請求項9】
親局側光回線終端装置、及び、前記親局側光回線終端装置に接続された複数の光ファイバーケーブルの内の一つの光ファイバーケーブルを共用する複数の子局側光回線終端装置を備える光通信システムであって、
前記複数の子局側光回線終端装置の内の何れか一つの子局側光回線終端装置である対象子局側光回線終端装置は、
前記親局側光回線終端装置と通信するために必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む第1の制御フレームを生成する子局側論理リンク制御部と、
前記第1の制御フレームを多重することで、第1の電気信号を生成する子局側多重分離部と、
前記第1の電気信号を第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を前記親局側光回線終端装置に送信する子局側光電気変換部と、を備え、
前記親局側光回線終端装置は、
前記一つの光ファイバーケーブルに接続され、前記第1の光信号を受信し、前記第1の光信号を第2の電気信号に変換する親局側光電気変換部、前記第2の電気信号から前記第1の制御フレームを分離する親局側多重分離部、前記第1の制御フレームから前記論理リンク数を特定する親局側論理リンク制御部、複数のMACアドレスを記憶する記憶部、前記特定された論理リンク数に基づいて、前記複数の子局側光回線終端装置で使用されている何れのMACアドレスとも重複しないように、前記複数のMACアドレスから少なくとも一つのMACアドレスを選択するMACアドレス処理部をそれぞれが含む複数の光通信装置を備え、
前記親局側論理リンク制御部は、前記選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む第2の制御フレームを生成し、
前記親局側多重分離部は、前記第2の制御フレームを多重することで、第3の電気信号を生成し、
前記親局側光電気変換部は、前記第3の電気信号を第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を前記対象子局側光回線終端装置に送信し、
前記子局側光電気変換部は、前記第2の光信号を受信し、前記第2の光信号を第4の電気信号に変換し、
前記子局側多重分離部は、前記第4の電気信号から前記第2の制御フレームを分離し、
前記子局側論理リンク制御部は、前記第2の制御フレームに含まれている前記少なくとも一つのMACアドレスを用いて、前記子局側光電気変換部及び前記子局側多重分離部を介して、前記親局側光回線終端装置と少なくとも一つの論理リンクを構築し、
前記複数の光通信装置の内の一つの光通信装置に含まれている前記記憶部に記憶されている前記複数のMACアドレスの少なくとも一つのMACアドレスは、前記一つの光通信装置を除く前記複数の光通信装置に含まれている前記記憶部に記憶されている前記複数のMACアドレスの何れかと重複すること
を特徴とする光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親局側光回線終端装置、子局側光回線終端装置及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
親局側光回線終端装置と、子局側光回線終端装置とから構成される光通信システムがある。例えば、OSU(Optical Subscriber Unit)を備える親局側光回線終端装置としてのOLT(Optical Line Terminal)と、子局側光回線終端装置であるONU(Optical Network Unit)とを備えるPON(Passive Optical Network)システムがある。
【0003】
PONシステムにおいては、ONUは、OSUとの間に論理リンクを確立した上で通信を行う。論理リンクを確立するにあたり、ONUにはMAC(Media Access Control)アドレスが必ず一つ以上必要である。通常、ONUは、そのONUが対応する論理リンク数分のMACアドレスが書き込まれた状態で出荷される。
【0004】
ここで、IEEE(Institute of Electical and Electronics Engineers)により定められているIEEE Std 802.3に規定されているように、ONUのMACアドレスは、論理リンクの識別に使用されるため、一つのOSUに接続される複数のONUにおいて重複していないことが求められる。
【0005】
通常、ハードウェアとしては複数の論理リンクに対応していても、一つの論理リンクのみ動作させることが前提のファームウェアを搭載してONUを出荷する場合には、ONUは、一つのMACアドレスのみ書き込まれた状態で出荷されていた。そのため、運用中に複数の論理リンクに対応したファームウェアに更新されても、必要な数のMACアドレスが書き込まれていないため、そのONUは、複数の論理リンクに対応させることができない。
【0006】
これに対して、複数の論理リンクを確立させるためには、本来、複数のMACアドレスが必要であるが、特許文献1には、一つのMACアドレスのみ書き込まれている装置内で、一つのMACアドレスから必要な数のローカルMACアドレスを生成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-12823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、一つのMACアドレスから複数のローカルMACアドレスを生成できるが、ローカルMACアドレスの生成方法によっては、一つのOSUに接続される複数のONUにおいて、MACアドレスが重複する可能性がある。
【0009】
そこで、本発明の一又は複数の態様は、複数のONUにおいて、MACアドレスが重複しないように、ONUにMACアドレスを割り当てることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る親局側光回線終端装置は、複数の子局側光回線終端装置と通信するために用いられる光ファイバーケーブルに接続され、前記複数の子局側光回線終端装置の内の一つの子局側光回線終端装置である対象子局側光回線終端装置から、前記対象子局側光回線終端装置が必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む第1の制御フレームを含む光信号を受信し、前記受信された光信号を電気信号に変換する光電気変換部、前記変換された電気信号から前記第1の制御フレームを分離する多重分離部、及び、前記第1の制御フレームから前記論理リンク数を特定する論理リンク制御部をそれぞれが含む複数の光通信装置と、複数のMACアドレスを記憶する記憶部と、前記特定された論理リンク数に基づいて、前記複数の光通信装置の内の前記対象子局側光回線終端装置に接続されている一つの光通信装置を除く前記複数の光通信装置で使用されているMACアドレスとは重複しても、前記一つの光通信装置に接続されている前記複数の子局側光回線終端装置で使用されている何れのMACアドレスとも重複しないように、前記複数のMACアドレスから少なくとも一つのMACアドレスを選択するMACアドレス処理部と、を備え、前記論理リンク制御部は、前記選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む第2の制御フレームを生成し、前記多重分離部は、前記第2の制御フレームを多重することで、電気信号を生成し、前記光電気変換部は、前記生成された電気信号を光信号に変換し、前記変換された光信号を前記対象子局側光回線終端装置に送信することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る子局側光回線終端装置は、親局側光回線終端装置に接続された光ファイバーケーブルを介して、前記親局側光回線終端装置と通信を行う子局側光回線終端装置であって、前記親局側光回線終端装置と通信するために必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む第1の制御フレームを生成する論理リンク制御部と、前記第1の制御フレームを多重することで、電気信号を生成する多重分離部と、前記生成された電気信号を光信号に変換し、前記変換された光信号を前記親局側光回線終端装置に送信する光電気変換部と、を備え、前記光電気変換部は、前記論理リンク数に基づいて、前記親局側光回線終端装置に接続されているが、前記子局側光回線終端装置と前記光ファイバーケーブルを共用しない他の子局側光回線終端装置で使用されているMACアドレスとは重複しても、前記子局側光回線終端装置と前記光ファイバーケーブルを共用する他の子局側光回線終端装置で使用されているMACアドレスと重複しないように、前記親局側光回線終端装置において選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む第2の制御フレームを含む光信号を受信し、前記受信された光信号を電気信号に変換し、前記多重分離部は、前記変換された電気信号から前記第2の制御フレームを分離し、前記論理リンク制御部は、前記第2の制御フレームに含まれている前記少なくとも一つのMACアドレスを用いて、前記光電気変換部及び前記多重分離部を介して、前記親局側光回線終端装置と少なくとも一つの論理リンクを構築することを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る光通信システムは、親局側光回線終端装置、及び、前記親局側光回線終端装置に接続された複数の光ファイバーケーブルの内の一つの光ファイバーケーブルを共用する複数の子局側光回線終端装置を備える光通信システムであって、前記複数の子局側光回線終端装置の内の何れか一つの子局側光回線終端装置である対象子局側光回線終端装置は、前記親局側光回線終端装置と通信するために必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む第1の制御フレームを生成する子局側論理リンク制御部と、前記第1の制御フレームを多重することで、第1の電気信号を生成する子局側多重分離部と、前記第1の電気信号を第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を前記親局側光回線終端装置に送信する子局側光電気変換部と、を備え、前記親局側光回線終端装置は、前記一つの光ファイバーケーブルに接続され、前記第1の光信号を受信し、前記第1の光信号を第2の電気信号に変換する親局側光電気変換部、前記第2の電気信号から前記第1の制御フレームを分離する親局側多重分離部、及び、前記第1の制御フレームから前記論理リンク数を特定する親局側論理リンク制御部をそれぞれが含む複数の光通信装置と、複数のMACアドレスを記憶する記憶部と、前記特定された論理リンク数に基づいて、前記複数の光通信装置の内の前記対象子局側光回線終端装置に接続されている一つの光通信装置を除く前記複数の光通信装置で使用されているMACアドレスとは重複しても、前記一つの光通信装置に接続されている前記複数の子局側光回線終端装置で使用されている何れのMACアドレスとも重複しないように、前記複数のMACアドレスから少なくとも一つのMACアドレスを選択するMACアドレス処理部と、を備え、前記親局側論理リンク制御部は、前記選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む第2の制御フレームを生成し、前記親局側多重分離部は、前記第2の制御フレームを多重することで、第3の電気信号を生成し、前記親局側光電気変換部は、前記第3の電気信号を第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を前記対象子局側光回線終端装置に送信し、前記子局側光電気変換部は、前記第2の光信号を受信し、前記第2の光信号を第4の電気信号に変換し、前記子局側多重分離部は、前記第4の電気信号から前記第2の制御フレームを分離し、前記子局側論理リンク制御部は、前記第2の制御フレームに含まれている前記少なくとも一つのMACアドレスを用いて、前記子局側光電気変換部及び前記子局側多重分離部を介して、前記親局側光回線終端装置と少なくとも一つの論理リンクを構築することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一又は複数の態様によれば、複数のONUにおいて、MACアドレスが重複しないように、ONUにMACアドレスを割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係るPONシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】PONシステムにおけるONUの論理リンク構築動作を示すシーケンス図である。
図3】実施の形態1におけるONUの構成を概略的に示すブロック図である。
図4】(A)及び(B)は、ハードウェア構成例を示す概略図である。
図5】実施の形態1におけるMACアドレス管理テーブルを示す概略図である。
図6】実施の形態1におけるOSUの構成を概略的に示すブロック図である。
図7】実施の形態1において、ONUとOLTとの間で論理リンクを構築する動作を示すシーケンス図である。
図8】ONUの論理リンク制御部の動作を示すフローチャートである。
図9】実施の形態2に係るPONシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
図10】実施の形態2におけるOSUの構成を概略的に示すブロック図である。
図11】実施の形態2におけるMACアドレス管理テーブルを示す概略図である。
図12】実施の形態2において、ONUとOSUとの間で論理リンクを構築する動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る光通信システムであるPONシステム100の構成を概略的に示すブロック図である。
PONシステム100は、複数のONU110と、OLT130とを備える。
【0016】
図1に示されているように、OLT130は、複数のOSU140を備え、一つのOSU140には、光ファイバーケーブル101及び光スプリッタ102を介して、複数のONU110が接続されている。OLT130は、親局側光回線終端装置として機能する。
【0017】
OLT130は、上位ネットワークから受信したデータ(以下、下りデータという)のONU110への送信と、ONU110から受信したデータ(以下、上りデータという)の上位ネットワークへの送信とを行う。また、OLT130は、ONU110からの要求で、ONU110に対してMACアドレスの払い出しを行う。
【0018】
ONU110は、OSU140から受信した下りデータのユーザネットワークへの送信と、ユーザネットワークから受信したデータのOSU140への送信とを行う。ONU110は、子局側光回線終端装置として機能する。
【0019】
ここで、図1では、PONシステム100の構成として、OLT130に複数のOSU140が収容され、一つのOSU140に複数のONU110が接続されている例、言い換えると、一つのOSU140に接続されている一つの光ファイバーケーブル101を複数のONU110が共用している例を示しているが、OSU140の数は、一つ以上であればよく、ONU110の数も、一つ以上であればよい。
【0020】
図2は、PONシステム100におけるONU110の論理リンク構築動作を示すシーケンス図である。
まず、OSU140は、Discovery Informationを格納したGATEフレームであるDiscovery GATEフレームを、ONU110に対して送信して、ONU110に送信タイミングを通知する(S10)。
【0021】
次に、ONU110は、Discovery GATEフレームを受信すると、ONU110からの登録要求であるREGISTER REQフレームを送信する(S11)。
次に、OSU140は、REGISTER REQフレームの受信に応じて、REGISTER REQフレームの送信元のONU110の識別子であるLLIDを新規に登録し、登録したLLIDをONU110に通知するためのREGISTERフレームを送信する(S12)。
【0022】
次に、OSU140は、送信帯域及び伝送タイミングをONU110に通知するためのNormal GATEフレームを送信する(S13)。
次に、ONU110は、ステップS13で得られた送信帯域及び伝送タイミングで、REGISTER ACKフレームを返送する(S14)。
【0023】
上記のステップS10~S14で、論理リンクを構築する動作であるMPCP Discoveryシーケンスが実現され、論理リンクが確立される(S15)。
【0024】
ここで、Discovery Gateフレーム、Register Reqフレーム、Registerフレーム、Normal Gateフレーム、Register Ackフレームは、IEEE802.3規格で規定されているGE-PONの制御フレームである。MPCP Discoveryシーケンスでは、一連の制御フレームの送受信にMACアドレスが必要になる。ここで、ONU110から送信される制御フレームを第1の制御フレームともいい、OLT130から送信される制御フレームを第2の制御フレームともいう。
【0025】
また、論理リンクの確立(S15)後、ONU110及びOSU140は、周期的にInformation OAMフレームをやり取りし(S16、S17)、相互に死活監視を行う。
【0026】
図3は、実施の形態1におけるONU110の構成を概略的に示すブロック図である。
ONU110は、光電気変換部111と、多重分離部112と、フレーム処理部113と、ユーザネットワークインタフェース部(以下、ユーザネットワークI/F部という)114と、論理リンク制御部115と、記憶部116とを備える。
【0027】
光電気変換部111は、OSU140から受信した下りデータの光信号を電気信号に変換して、その下りデータを多重分離部112に与える。
また、光電気変換部111は、多重分離部112から与えられた上りデータの電気信号を光信号に変換してOSU140に送信する。
なお、光電気変換部111を、子局側光電気変換部ともいう。光電気変換部111は、光通信インタフェースで構成することができる。
【0028】
多重分離部112は、光電気変換部111から与えられた下りデータを、ユーザフレームと、PONプロトコルに関わる制御フレーム(GATEフレーム、OAMフレーム等)とに分離する。そして、多重分離部112は、そのユーザフレームをフレーム処理部113に与え、その制御フレームを論理リンク制御部115に与える。
また、多重分離部112は、フレーム処理部113から与えられたユーザフレームと、論理リンク制御部115から与えられたPONプロトコルに関わる制御フレーム(Reportフレーム、OAMフレーム等)とを多重し、光電気変換部111に上りデータとして送る。
なお、多重分離部112を、子局側多重分離部ともいう。
【0029】
また、多重分離部112は、論理リンク制御部115から与えられる論理リンク状態に従って、OSU140との間で論理リンクが構築されていない場合には、フレーム処理部113とのユーザフレームの受け渡しを停止する。一方、多重分離部112は、論理リンク制御部115から与えられる論理リンク状態に従って、OSU140との間で論理リンクが構築されている場合には、フレーム処理部113とのユーザフレームの受け渡しを実施する。
【0030】
フレーム処理部113は、多重分離部112から与えられたユーザフレームをユーザネットワークで使われるデータフォーマットに変換することで、ユーザ送信フレームを生成し、そのユーザ送信フレームをユーザネットワークI/F部114に与える。
また、フレーム処理部113は、ユーザネットワークI/F部114から与えられたユーザ受信フレームを、PONシステム100で使われるデータフォーマットに変換することで、ユーザフレームを生成し、そのユーザフレームを多重分離部112に与える。
なお、フレーム処理部113を、子局側フレーム処理部ともいう。
【0031】
ユーザネットワークI/F部114は、フレーム処理部113から与えられたユーザ送信フレームを、ユーザネットワークで使われる信号形式の信号であるユーザ送信信号に変換し、そのユーザ送信信号をユーザネットワークに送信する通信インタフェースである。
また、ユーザネットワークI/F部114は、ユーザネットワークからユーザ受信信号を受信し、そのユーザ受信信号を、ONU110内部で使用される信号形式である電気信号に変換することで、ユーザ受信フレームを生成する。そして、ユーザネットワークI/F部114は、そのユーザ受信フレームをフレーム処理部113に与える。
なお、ユーザネットワークで使われる信号形式の信号は、電気信号であっても、光信号であってもよい。
【0032】
論理リンク制御部115は、PONプロトコルに関わる制御フレーム(Gateフレーム、Reportフレーム又はOAMフレーム等)を送受信し、OSU140との間で論理リンクの構築を行う。ここで、OSU140との間で構築する論理リンクの数は、一つの場合もあれば、複数の場合もある。例えば、論理リンク制御部115は、記憶部116に記憶されているMACアドレスを使って、OSU140との間の論理リンクを確立する。
なお、論理リンク制御部115を、子局側論理リンク制御部ともいう。
【0033】
具体的には、論理リンク制御部115は、予めONU110に設定されている一つのMACアドレスを用いて、OLT130との間で最初に構築する論理リンクである基本論理リンクを構築する。
そして、論理リンク制御部115は、OLT130と通信するために必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む制御フレームを生成して、その制御フレームを、多重分離部112及び光電気変換部111を介して、OLT130に送る。
【0034】
論理リンク制御部115は、光電気変換部111及び多重分離部112を介して、OLT130に送った論理リンク数に基づいて、ONU110とOLT130に接続されている光ファーバーケーブルを共用する他のONU110で使用されているMACアドレスと重複しないように、OLT130において選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む制御フレームを取得する。
【0035】
そして、論理リンク制御部115は、取得された制御フレームに含まれている少なくとも一つのMACアドレスを用いて、光電気変換部111及び多重分離部112を介して、OLT130と少なくとも一つの論理リンクを構築する。
【0036】
記憶部116は、ONU110での処理に必要なプログラム及び情報を記憶する。例えば、記憶部116は、ONU110で使用するMACアドレスを記憶する。
記憶部116は、不揮発メモリ117と、揮発メモリ118とを備える。
【0037】
不揮発メモリ117は、ONU110での動作に必要なソフトウェアのプログラム及びパラメータを記憶する。本実施の形態では、不揮発メモリ117には、論理リンクの構築に必要となる一つのMACアドレスが書き込まれている。
【0038】
揮発メモリ118は、論理リンク制御部115のワークメモリとして使用され、不揮発メモリ117から読み出したプログラムの実行及び一時的に使用するパラメータ等の格納に使用される。本実施の形態では、揮発メモリ118に、OLT130から取得されたMACアドレスが書き込まれる。
【0039】
以上に記載された多重分離部112、フレーム処理部113及び論理リンク制御部115の一部又は全部は、例えば、図4(A)に示されているように、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路10で構成することができる。
【0040】
また、多重分離部112、フレーム処理部113及び論理リンク制御部115の一部又は全部は、例えば、図4(B)に示されているように、メモリ11と、メモリ11に格納されているプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ12とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0041】
図1に示されているように、OLT130は、MACアドレスプール131と、MACアドレス処理部132と、複数のOSU140とを備える。
MACアドレスプール131は、ONU110に払い出す複数のMACアドレスを記憶する記憶部として機能する。例えば、MACアドレスプール131は、ONU110に払い出すMACアドレスを管理するためのMACアドレス管理情報を記憶する。
【0042】
図5は、MACアドレス管理情報の一例として、MACアドレス管理テーブル119を示す概略図である。
図5に示されているMACアドレス管理テーブル119は、エントリ番号列119aと、MACアドレス列119bと、払い出し状況列119cとを有する。MACアドレス管理テーブル119は、一つの行が一つのエントリに対応し、一つのエントリで一つのMACアドレスを管理するようになっている。
【0043】
エントリ番号列119aは、エントリを識別するためのエントリ識別情報であるエントリ番号を格納する。
MACアドレス列119bは、MACアドレスを格納する。
払い出し状況列119cは、MACアドレスの払い出し状況を示す情報を格納する。払い出し状況列119cは、OSU番号列119dと、ONU番号列119eとを備える。
【0044】
OSU番号列119dは、複数のOSU140の各々を識別するために複数のOSU140の各々に割り振られている複数のOSU番号の各々に対応する個別列が設けられており、個別列にチェックマークを付すことにより、その個別列に対応するOSU140で、同じエントリのMACアドレス列119bに格納されているMACアドレスが使用されていることを示す。
ONU番号列119eは、同じエントリのMACアドレス列119bに格納されているMACアドレスを使用しているONU110を識別するためのONU識別情報であるONU番号を格納する。ONU110には、そのONU110を識別するためのONU番号が割り振られているものとする。例えば、ONU番号は、ONU110が基本論理リンクの構築に使用したMACアドレス、又は、ONU110が接続されているOSU番号とONU110の基本論理リンクに対応したLLID等から生成することができる。
【0045】
以上のように、MACアドレス管理テーブル119によれば、MACアドレスと、そのMACアドレスを使用しているONU110と、そのONU110が接続されているOSU140とを対応付けることができる。
【0046】
図1に戻り、MACアドレス処理部132は、ONU110からの要求に応じて、ONU110が必要としている論理リンク数に基づいて、MACアドレス管理情報を参照し、各々のOSU140に接続されているONU110において重複しないように、MACアドレスを選択する。
【0047】
OSU140は、ONU110との間の通信を実行する光通信装置である。
図6は、実施の形態1におけるOSU140の構成を概略的に示すブロック図である。
OSU140は、光電気変換部141と、多重分離部142と、フレーム処理部143と、上位ネットワークインタフェース部(以下、上位ネットワークI/F部という)144と、論理リンク制御部145とを備える。
【0048】
光電気変換部141は、ONU110から受信した上りデータの光信号を電気信号に変換して、その上りデータを多重分離部142に与える。
また、光電気変換部141は、多重分離部142から与えられた下りデータの電気信号を光信号に変換することで、その光信号の下りデータをONU110に送信する。
なお、光電気変換部141を、親局側光電気変換部ともいう。光電気変換部141は、光通信インタフェースで構成することができる。
【0049】
多重分離部142は、光電気変換部141から受信した上りデータを、ユーザフレームと、PONプロトコルに関わる制御フレームとに分離し、そのユーザフレームをフレーム処理部143に与え、その制御フレームを論理リンク制御部145に与える。
また、多重分離部142は、フレーム処理部143から与えられたユーザフレームと、論理リンク制御部145から与えられた、PONプロトコルに関わる制御フレームとを多重し、光電気変換部141に下りデータとして与える。
なお、多重分離部142を、親局側多重分離部ともいう。
【0050】
さらに、多重分離部142は、論理リンク制御部145から与えられる論理リンク状態に従って、ONU110との間で論理リンクが構築されていない場合には、フレーム処理部143とのユーザフレームの受け渡しを停止する。
一方、多重分離部142は、論理リンク制御部145から与えられる論理リンク状態に従って、ONU110との間で論理リンクが構築されている場合には、フレーム処理部143とのユーザフレームの受け渡しを実施する。
【0051】
フレーム処理部143は、多重分離部142から与えられたユーザフレームを上位ネットワークで使われるデータフォーマットに変換することで、上位送信フレームを生成し、その上位送信フレームを上位ネットワークI/F部144に与える。
また、フレーム処理部143は、上位ネットワークI/F部144から与えられた上位受信フレームを、PONシステム100で使われるデータフォーマットに変換することで、ユーザフレームを生成し、そのユーザフレームを多重分離部142に与える。
なお、フレーム処理部143を、親局側フレーム処理部ともいう。
【0052】
上位ネットワークI/F部144は、フレーム処理部143から与えられた上位送信フレームを、上位ネットワークで使われる信号形式の信号である上位送信信号に変換し、その上位送信信号を上位ネットワークに送信する。
上位ネットワークI/F部144は、上位ネットワークから上位受信信号を受信し、その上位受信信号を、OSU140内部で使用される信号形式である電気信号に変換することで、上位受信フレームを生成する。そして、上位ネットワークI/F部144は、その上位受信フレームをフレーム処理部143に与える。
なお、上位ネットワークで使われる信号形式の信号は、電気信号であっても、光信号であってもよい。
【0053】
論理リンク制御部145は、PONプロトコルに関わる制御フレームを受け渡し、ONU110との間で論理リンクの構築を行う。
また、論理リンク制御部145は、ONU110から通知される論理リンク数をMACアドレス処理部132に与えて、OLT130のMACアドレスプール131からMACアドレスを払い出させ、そのMACアドレスをONU110に制御フレームを使って通知を行う。
なお、論理リンク制御部145を、親局側論理リンク制御部ともいう。
【0054】
具体的には、論理リンク制御部145は、光電気変換部141及び多重分離部142を介して、ONU110との間で最初に構築する論理リンクである基本論理リンクを構築する。そして、論理リンク制御部145は、そのONU110から、そのONU110が必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む制御フレームを取得する。
【0055】
そして、論理リンク制御部145は、MACアドレス処理部132に、その論理リンク数を通知する。MACアドレス処理部132は、そのような論理リンク数に基づいて、対応するOSU140に接続されている複数のONU110で使用されている何れのMACアドレスとも重複しないように、MACアドレスプール131に記憶されている複数のMACアドレスから少なくとも一つのMACアドレスを選択する。
【0056】
論理リンク制御部145は、MACアドレス処理部132により選択された少なくとも一つのMACアドレスを含む制御フレームを生成し、その制御フレームを、多重分離部142及び光電気変換部141を介して、ONU110に送る。
【0057】
以上に記載されたMACアドレス処理部132、多重分離部142、フレーム処理部143及び論理リンク制御部145の一部又は全部は、例えば、図4(A)に示されているように、処理回路10で構成することができる。
また、MACアドレス処理部132、多重分離部142、フレーム処理部143及び論理リンク制御部145の一部又は全部は、例えば、図4(B)に示されているように、メモリ11と、メモリ11に格納されているプログラムを実行するプロセッサ12とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
なお、MACアドレスプール131は、不揮発メモリ等により構成することができる。
【0058】
次に動作について説明する。
図7は、実施の形態1において、ONU110とOLT130との間で論理リンクを構築する動作を示すシーケンス図である。
ONU110は、OSU140との間に複数の論理リンクを構築可能だが、MACアドレスは論理リンク#1用のものしか持っていないものとする。ここでは、四つの論理リンクを構築する例を示す。
なお、ここでは、論理リンク#1は、ONU110とOSU140との間で、最初に構築される論理リンクであり、基本論理リンクともいう。また、MACアドレスを要求するONU110を、対象子局側光回線終端装置ともいう。
【0059】
まず、ONU110の論理リンク制御部115は、不揮発メモリ117から論理リンク#1用のMACアドレスを読み出す(S20)。
次に、論理リンク制御部115は、ステップS20で読み出したMACアドレスを用いて、MPCP Discoveryシーケンスにより、OLT130のOSU140との間で論理リンク#1の構築を行う(S21)。MPCP Discoveryシーケンスについては、図2を用いて説明されている。
【0060】
論理リンク#1が構築されると、図2で説明したように、例えば、OSU140は、Information OAMフレームをONU110に送信することで(S22)、死活監視を行う。なお、図7では、Information OAMフレームを単に「Info OAM」と記載している。
【0061】
そして、論理リンク制御部115は、IEEE802.3規格で規定されているGE-PONにおける監視及び制御チャネルの一つであるInformation OAMフレームを用いて、OSU140に論理リンク数を通知する(S23)。
【0062】
ここでは、論理リンク制御部115は、必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む制御フレームを生成し、その制御フレームを多重分離部112に与える。多重分離部112は、その制御フレームを多重することで第1の電気信号を生成し、その第1の電気信号を光電気変換部111に与える。光電気変換部111は、その第1の電気信号を第1の光信号に変換して、光ファイバーケーブル101に出力する。
【0063】
ONU110からの第1の光信号を受信したOSU140では、光電気変換部141が、その第1の光信号を第2の電気信号に変換して、その第2の電気信号を多重分離部142に与える。多重分離部142は、その第2の電気信号から、論理リンク数を含む制御フレームを分離して、論理リンク制御部145に与える。
【0064】
論理リンク制御部145は、多重分離部142から与えられた制御フレームに含まれている論理リンク数をMACアドレス処理部132に通知する。MACアドレス処理部132は、論理リンク数から、ONU110が必要としている論理リンク数(ここでは、3)を特定して、MACアドレスプール131から論理リンク#2~#4用のMACアドレス“MAC#A”、“MAC#B”及び“MAC#C”を払い出して、それらを論理リンク制御部145に与える。この際、MACアドレス処理部132は、図5に示されているMACアドレス管理テーブル119を参照することで、ステップS23でフレームを受信したOSU140において、MACアドレスが重複しないように、MACアドレスを選択し、OSU番号列119dの対応する欄にチェックマークを付すとともに、ONU番号列119eの対応する欄に、ステップS23でフレームを送信してきたONU110のONU番号を格納する。そして、論理リンク制御部145は、論理リンク#1を通して、Information OAMフレームを使って、論理リンク#2~#4用のMACアドレスをONU110に通知する(S24)。
【0065】
ここでは、論理リンク制御部145は、MACアドレス処理部132により選択されたMACアドレスを含む制御フレームを生成し、その制御フレームを多重分離部142に与える。多重分離部142は、その制御フレームを多重することで第3の電気信号を生成し、その第3の電気信号を光電気変換部111に与える。光電気変換部111は、その第3の電気信号を第2の光信号に変換して、光ファイバーケーブル101に出力する。
【0066】
OLT130からの第2の光信号を受信したONU110では、光電気変換部111が、その第2の光信号を第4の電気信号に変換して、その第4の電気信号を多重分離部112に与える。多重分離部112は、その第4の電気信号から、MACアドレスを含む制御フレームを分離して、論理リンク制御部115に与える。
【0067】
論理リンク#2~#4のMACアドレスを受信したONU110の論理リンク制御部115は、揮発メモリ118にMACアドレス“MAC#A”、“MAC#B”及び“MAC#C”を記憶する(S25)。
そして、揮発メモリ118にOSU140から受信したMACアドレスを記憶した後、論理リンク制御部115は、OSU140にMACアドレスを受信したことをInformation OAMフレームを使って通知する(S26)。
【0068】
次に、論理リンク制御部115は、揮発メモリ118からMACアドレス“MAC#A”、“MAC#B”及び“MAC#C”を読み出す(S27、S28、S29)。
そして、論理リンク制御部115は、MPCP Discoveryシーケンスを通して、MACアドレス“MAC#A”を使って、論理リンク#2の論理リンク構築を行う(S30)。
【0069】
また、論理リンク制御部115は、MPCP Discoveryシーケンスを通して、MACアドレス“MAC#B”を使って、論理リンク#3の論理リンク構築を行う(S31)。
さらに、論理リンク制御部115は、MPCP Discoveryシーケンスを通して、MACアドレス“MAC#C”を使って、論理リンク#4の論理リンク構築を行う(S32)。
【0070】
揮発メモリ118に記憶されたMACアドレス“MAC#A”、“MAC#B”及び“MAC#C”は、論理リンク#1が有効の間は継続使用される。論理リンク#1が切れた場合には、論理リンク制御部115は、揮発メモリ118からMACアドレス“MAC#A”、“MAC#B”及び“MAC#C”を消去し、再度、論理リンク#1の構築動作から開始する。言い換えると、MACアドレス“MAC#A”、“MAC#B”及び“MAC#C”は、論理リンク#1が有効な場合にのみ、使用可能である。
【0071】
図7では、論理リンク数が4つの場合を説明したが、論理リンク数はいくつでも適用可能である。
【0072】
図8は、実施の形態1におけるONU110の論理リンク制御部115の動作を示すフローチャートである。
論理リンク制御部115は、不揮発メモリ117から、OLT130との間で最初に構築する論理リンクである基本論理リンク用のMACアドレスを読み出す(S40)。
そして、論理リンク制御部115は、MPCP Discoveryシーケンスを通してOSU140との間で、基本論理リンクの構築を行う(S41)。
【0073】
そして、論理リンク制御部115は、基本論理リンクの構築が完了したか否かを判断する(S42)。そして、基本論理リンクの構築が完了した場合(S42でYes)には、処理はステップS43に進む。
【0074】
ステップS43では、論理リンク制御部115は、Information OAMフレームを使って、OSU140に必要とする論理リンク数を通知する(S43)。
そして、論理リンク制御部115は、OSU140から、論理リンクの構築に必要なMACアドレスを受信したか否かを判断する(S44)。MACアドレスが受信された場合(S44でYes)には、処理はステップS45に進む。
【0075】
ステップS45では、論理リンク制御部115は、受信されたMACアドレスを揮発メモリ118に記憶する。
そして、論理リンク制御部115は、OSU140にMACアドレスを受信したことを、Information OAMフレームを使って通知する(S46)。
【0076】
次に、論理リンク制御部115は、OSU140との間で、基本論理リンクが確立されているか否かを判断する(S47)。論理リンク制御部115は、図2のステップS16及びS17で説明した死活監視で、この判断を行うことができる。そして、基本論理リンクが確立されている場合(S47でYes)には、処理はステップS48に進み、基本論理リンクが確立されていない場合(S47でNo)には、処理はステップS51に進む。
【0077】
ステップS48では、論理リンク制御部115は、OSU140から通知されたMACアドレスを、揮発メモリ118から読み出す。
そして、論理リンク制御部115は、読み出されたMACアドレスを用いて、MPCP Discoveryシーケンスを通して、追加の論理リンクの構築を行う(S49)。
【0078】
次に、論理リンク制御部115は、OSU140との間で、基本論理リンクが確立されているか否かを判断する(S50)。基本論理リンクが確立されていない場合(S50でNo)には、処理はステップS51に進む。
【0079】
ステップS51では、論理リンク制御部115は、揮発メモリ118から、ステップS45で記憶したMACアドレスを消去する。そして、処理はステップS40に戻る。
【0080】
以上のように、実施の形態1によれば、ONU110から論理リンク数をOSU140に通知し、ONU110からの通知内容に従ってOSU140からONU110に対してMACアドレスを払い出すように構成したので、ONU110が持つMACアドレスが一つの場合でも複数の論理リンクを構築することが可能となる。
【0081】
また、OSU140からMACアドレスをONU110に払い出すように構成したので、OSU140側でMACアドレスが重複しないように、管理することができる。
【0082】
さらに、OSU140から受信されたMACアドレスは、基本論理リンクが消滅した場合に、揮発メモリ118から消去されるため、ONU110の電源を入れたまま、別のOLTに接続し直した場合でも、別のOLTとの間で、再度MACアドレスを取得するため、MACアドレスの重複等の問題を回避することができる。
【0083】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係るPONシステム200の構成を概略的に示すブロック図である。
PONシステム200は、複数のONU110と、OLT230とを備える。
実施の形態2におけるPONシステム200におけるONU110は、実施の形態1におけるPONシステム100におけるONU110と同様である。
【0084】
図9に示されているように、OLT230は、複数のOSU240を備え、一つのOSU240には、光ファイバーケーブル101及び光スプリッタ102を介して、複数のONU110が接続されている。
【0085】
ここで、図9では、PONシステム200の構成として、OLT230に複数のOSU240が収容され、一つのOSU240に複数のONU110が接続されている例を示しているが、OSU240の数は、一つ以上であればよく、ONU110の数も、一つ以上であればよい。
【0086】
図10は、実施の形態2におけるOSU240の構成を概略的に示すブロック図である。
OSU240は、光電気変換部141と、多重分離部142と、フレーム処理部143と、上位ネットワークI/F部144と、論理リンク制御部245と、MACアドレス処理部246と、MACアドレスプール247とを備える。
【0087】
実施の形態2におけるOSU240の光電気変換部141、多重分離部142、フレーム処理部143及び上位ネットワークI/F部144は、実施の形態1におけるOSU140の光電気変換部141、多重分離部142、フレーム処理部143及び上位ネットワークI/F部144と同様である。
【0088】
なお、実施の形態1ではOLT130にMACアドレスプール131を設け、各OSU140の論理リンク制御部145からの通知に従って、MACアドレスプール131からMACアドレスを払い出しているが、実施の形態2では、OLT230を構成するOSU240内に、MACアドレス処理部246及びMACアドレスプール247が設けられている。
【0089】
論理リンク制御部245は、PONプロトコルに関わる制御フレームを受け渡し、ONU110との間で論理リンクの構築を行う。
また、論理リンク制御部245は、ONU110から通知された論理リンク数をMACアドレス処理部246に与えて、MACアドレスプール247からMACアドレスを払い出させ、そのMACアドレスをONU110に制御フレームを使って通知を行う。
なお、論理リンク制御部245を、親局側論理リンク制御部ともいう。
【0090】
MACアドレス処理部246は、OSU240の実装位置情報(例えば、スロット番号等)に基づき、OSU240内で使用するMACアドレスをOSU240が収容可能な論理リンクの最大数分生成する。そして、MACアドレス処理部246は、後述するMACアドレス管理情報を生成して、MACアドレスプール131に格納させて、ONU110の論理リンク構築状況(例えば、確立済み及び未確立)とONU110へのMACアドレス払い出し状況とを管理する。
MACアドレス処理部246は、論理リンク制御部245から与えられる論理リンク数に従って、MACアドレスプール247から、接続されているONU110において重複しないように、MACアドレスを払い出す。
【0091】
MACアドレスプール247は、ONU110に払い出すMACアドレスを記憶するMACアドレス記憶部として機能する。例えば、MACアドレスプール131は、ONU110に払い出すMACアドレスを管理するためのMACアドレス管理情報を記憶する。
【0092】
図11は、MACアドレス管理情報の一例として、MACアドレス管理テーブル248を示す概略図である。
図11に示されているMACアドレス管理テーブル248は、エントリ番号列248aと、MACアドレス列248bと、払い出し状況列248cとを有する。MACアドレス管理テーブル248は、一つの行が一つのエントリに対応し、一つのエントリで一つのMACアドレスを管理するようになっている。
【0093】
エントリ番号列248aは、エントリを識別するためのエントリ識別情報であるエントリ番号を格納する。
MACアドレス列248bは、MACアドレスを格納する。
払い出し状況列248cは、MACアドレスの払い出し状況を示す情報を格納する。ここでは、対応するMACアドレスが使用されているか否か、言い換えると、対応するMACアドレスが払い出されているか否か、及び、対応するMACアドレスを使用しているONU110のONU番号が格納される。
【0094】
以上のように、MACアドレス管理テーブル248によれば、MACアドレスと、そのMACアドレスを使用しているONU110とを対応付けることができる。
【0095】
以上に記載された多重分離部142、フレーム処理部143、論理リンク制御部245及びMACアドレス処理部246の一部又は全部は、例えば、図4(A)に示されているように、処理回路10で構成することができる。
また、多重分離部142、フレーム処理部143、論理リンク制御部245及びMACアドレス処理部246の一部又は全部は、例えば、図4(B)に示されているように、メモリ11と、メモリ11に格納されているプログラムを実行するプロセッサ12とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
なお、MACアドレスプール247は、不揮発メモリ等により構成することができる。
【0096】
次に動作について説明する。
図12は、実施の形態2において、ONU110とOSU240との間で論理リンクを構築する動作を示すシーケンス図である。ここで、MACアドレスを要求するONU110を、対象子局側光回線終端装置ともいう。
ONU110は、OSU240との間に複数の論理リンクを構築可能だが、MACアドレスは論理リンク#1用のものしか持っていないものとする。ここでは、四つの論理リンクを構築する例を示す。
また、OSU240のMACアドレス処理部246は、OSU240の起動とともに、OSU240が収納可能なリンク数分のMACアドレスを生成し、MACアドレスプール247に記憶する。
【0097】
まず、ONU110の論理リンク制御部115は、不揮発メモリ117から論理リンク#1用のMACアドレスを読み出す(S60)。
次に、論理リンク制御部115は、ステップS60で読み出したMACアドレスを用いて、MPCP Discoveryシーケンスにより、OSU240との間で論理リンク#1の構築を行う(S61)。
【0098】
論理リンク#1の論理リンクが構築されると、図2で説明したように、例えば、OSU240は、Information OAMフレームをONU110に送信することで(S62)、死活監視を行う。なお、図12では、Information OAMフレームを単に「Info OAM」と記載している。
【0099】
そして、論理リンク制御部115は、Information OAMフレームを用いて、OSU240に論理リンク数を通知する(S63)。
ここでは、論理リンク制御部115は、必要とする論理リンク数を特定することのできる情報を含む制御フレームを生成し、その制御フレームを多重分離部112に与える。多重分離部112は、その制御フレームを多重することで第1の電気信号を生成し、その第1の電気信号を光電気変換部111に与える。光電気変換部111は、その第1の電気信号を第1の光信号に変換して、光ファイバーケーブル101に出力する。
【0100】
ONU110からの第1の光信号を受信したOSU140では、光電気変換部141が、その第1の光信号を第2の電気信号に変換して、その第2の電気信号を多重分離部142に与える。多重分離部142は、その第2の電気信号から、論理リンク数を含む制御フレームを分離して、論理リンク制御部245に与える。
【0101】
多重分離部142から制御フレームを取得した論理リンク制御部245は、その論理リンク数をMACアドレス処理部246に通知する。MACアドレス処理部246は、MACアドレスプール247から論理リンク#2~#4用のMACアドレス“MAC#A”、“MAC#B”及び“MAC#C”を払い出して、それらを論理リンク制御部245に与える。この際、MACアドレス処理部246は、図11に示されているMACアドレス管理テーブル248を参照することで、払い出し状況列248cが“未使用”となっているMACアドレスを選択する。これにより、MACアドレス処理部246は、MACアドレスが重複しないように、MACアドレスを選択する。なお、MACアドレス処理部246は、払い出したMACアドレスにおける払い出し状況列248cの欄を“使用中”に更新して、使用中のONU110のONU番号を格納する。そして、論理リンク制御部245は、論理リンク#1を通して、Information OAMフレームを使って、論理リンク#2~#4用のMACアドレスをONU110に通知する(S64)。
【0102】
ここでは、論理リンク制御部245は、MACアドレス処理部246により選択されたMACアドレスを含む制御フレームを生成し、その制御フレームを多重分離部142に与える。多重分離部142は、その制御フレームを多重することで第3の電気信号を生成し、その第3の電気信号を光電気変換部111に与える。光電気変換部111は、その第3の電気信号を第2の光信号に変換して、光ファイバーケーブル101に出力する。
【0103】
OLT230からの第2の光信号を受信したONU110では、光電気変換部111が、その第2の光信号を第4の電気信号に変換して、その第4の電気信号を多重分離部112に与える。多重分離部112は、その第4の電気信号から、MACアドレスを含む制御フレームを分離して、論理リンク制御部115に与える。
【0104】
多重分離部112から論理リンク#2~#4のMACアドレスを含む制御フレームを受け取った論理リンク制御部115は、揮発メモリ118にMACアドレス“MAC#A”、“MAC#B”及び“MAC#C”を記憶する(S65)。
そして、揮発メモリ118にOSU240から受信したMACアドレスを記憶した後、論理リンク制御部115は、OSU240にMACアドレスを受信したことをInformation OAMフレームを使って通知する(S66)。
【0105】
次に、論理リンク制御部115は、揮発メモリ118からMACアドレス“MAC#A”、“MAC#B”及び“MAC#C”を読み出す(S67、S68、S69)。
そして、論理リンク制御部115は、MPCP Discoveryシーケンスを通して、MACアドレス“MAC#A”を使って、論理リンク#2の論理リンク構築を行う(S70)。
【0106】
また、論理リンク制御部115は、MPCP Discoveryシーケンスを通して、MACアドレス“MAC#B”を使って、論理リンク#3の論理リンク構築を行う(S71)。
さらに、論理リンク制御部115は、MPCP Discoveryシーケンスを通して、MACアドレス“MAC#C”を使って、論理リンク#4の論理リンク構築を行う(S72)。
【0107】
以上のように、実施の形態2によれば、OLT230を構成するOSU240内にMACアドレス処理部246とMACアドレスプール247とが設けられているため、OLT230内に搭載するOSU240の台数が増えた場合でも、一つのMACアドレスプール247に格納するMACアドレスの数は一定数となり、MACアドレスの管理に必要なリソースを削減することができるとともに、OSU240側でのMACアドレスの重複排除をより容易に行うことができる。
【0108】
実施の形態1及び2では、上述のように、四つの論理リンクを構築するシーケンスを示したが、論理リンク数はこのような例に限定されない。
【0109】
なお、実施の形態1及び2では、基本となる論理リンクが確立されなくなった場合には、OSU140、240から受信したMACアドレスを削除しているが、実施の形態1及び2は、このような例に限定されない。例えば、基本となる論理リンクが確立されなくなった場合でも、揮発メモリ118からMACアドレスを消去しないようにし、ONU110の電源が投入され続けている間は、論理リンク制御部115は、OSU140、240から受信したMACアドレスを使用し続けるようにしてもよい。また、OSU140、240から受信したMACアドレスは、不揮発メモリ117に記憶されてもよい。
【0110】
また、実施の形態1及び2では、論理リンク制御部115は、論理リンク数をOSU140、240に通知しているが、実施の形態1及び2は、このような例に限定されない。例えば、論理リンク制御部115は、ONU110が必要とするMACアドレスの数を特定できる情報をOSU140、240に通知してもよい。
【0111】
また、MACアドレスプール131、247に格納するMACアドレスは、グローバルMACアドレス(例えば、U/Lビット=0)、ローカルMACアドレス(例えば、U/Lビット=1)のどちらでもよい。ローカルMACアドレスは、OLT130、230内で生成されてもよい。
【0112】
また、ONU110からの論理リンク数の通知、OSU140、240からONU110へのMACアドレスの通知には、Information OAMフレーム以外の制御フレームが使用されてもよい。
【符号の説明】
【0113】
100,200 PONシステム、 101 光ファイバーケーブル、 102 光スプリッタ、 110 ONU、 111 光電気変換部、 112 多重分離部、 113 フレーム処理部、 114 ユーザネットワークI/F部、 115 論理リンク制御部、 116 記憶部、 117 不揮発メモリ、 118 揮発メモリ、 130 OLT、 130,230 OLT、 131 MACアドレスプール、 132 MACアドレス処理部、 140,240 OSU、 141 光電気変換部、 142 多重分離部、 143 フレーム処理部、 144 上位ネットワークI/F部、 145,245 論理リンク制御部、 246 MACアドレス処理部、 247 MACアドレスプール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12