(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】マウントロック機構
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20221108BHJP
【FI】
G03B17/14
(21)【出願番号】P 2018190925
(22)【出願日】2018-10-09
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】321001056
【氏名又は名称】OMデジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】安富 暁
(72)【発明者】
【氏名】弓削 一憲
(72)【発明者】
【氏名】上 高明
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-182294(JP,A)
【文献】実開平07-039040(JP,U)
【文献】特開平04-242732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラマウントとレンズマウントの一方に配置されたロックピンと、上記カメラマウントと上記レンズマウントの他方に配置されていて上記ロックピンが係合するロック溝と、を有し、上記カメラマウントと上記レンズマウントとがバヨネット結合するカメラに適用されるマウントロック機構において、
上記ロックピンが上記ロック溝に挿
入される挿入開口の第1の溝幅は、上記ロック溝に上記ロックピンが係合完了した際に上記ロックピンの先端部が位置する上記ロック溝の一部位の第2の溝幅よりも小
さく形成され、かつ、
上記ロックピンの挿入方向に平行な断面形状において、上記第1の溝幅を有する部位から上記第2の溝幅を有する部位までの間は溝幅が徐々に増加する傾斜面を形成していることを特徴とするマウントロック機構。
【請求項2】
上記ロックピンの挿入方向に平行な断面形状において、上記第1の溝幅を有する部位から上記第2の溝幅を有する部位までの間の、溝幅が段階的に大きくなっていることを特徴とする請求項1記載のマウントロック機構。
【請求項3】
上記ロック溝は、最深部の溝幅が一番大きいことを特徴とする請求項
1又は請求項2に記載のマウントロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラマウントとレンズマウントとがバヨネット結合するカメラに具備されるマウント装置に適用され、ロックピンと当該ロックピンが係合するロック溝とを有して構成されるマウントロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像光学系(レンズ)を備えたレンズ鏡筒を撮像装置(カメラ)本体に対して着脱自在に構成した形態のいわゆるレンズ交換式撮像装置が一般に実用化され広く普及している。
【0003】
この種のレンズ交換式撮像装置において、装置本体(以下、カメラ本体という)に対してレンズ鏡筒を着脱自在とするための結合機構としては、例えばカメラ本体側のカメラマウントとレンズ鏡筒側のレンズマウントとがバヨネット結合するタイプのいわゆるバヨネット式マウント装置が一般に普及している。このバヨネット式マウント装置は、カメラ本体に対してレンズ鏡筒が装着されたときには、当該レンズ鏡筒の装着状態を維持すると共に、当該レンズ鏡筒がカメラ本体に対して光軸回りに回転しないように、レンズ鏡筒の回転位置を規制するマウントロック機構を有しているのが普通である。
【0004】
従来のマウント装置におけるマウントロック機構としては、例えばカメラマウントとレンズマウントの一方に配置されたロックピンと、カメラマウントとレンズマウントの他方に配置され上記ロックピンが係合するロック溝とを有して構成されるものがある。この構成の場合、ロックピンをロック溝に係合させることで、カメラ本体に対するレンズ鏡筒の光軸回りの回転を所定の位置で規制するように構成されている。具体的な構成例としては、例えば光軸に沿う方向に突没自在に設けたロックピンと、当該ロックピンの突没方向に相対する面に設けられ光軸に沿う方向に向けた凹部からなり、上記ロックピンを係合させるロック溝を設けて構成される形態のものが一般である。
【0005】
このような従来の形態のマウントロック機構においては、カメラ本体にレンズ鏡筒が装着された状態にあるときに、ロックピンとロック溝との係合部分に大きな外力が加わる状況がある。
【0006】
例えば、手動フォーカス操作や手動ズーム操作等を行う場合には、各操作リングは所定の回転範囲内で回転するように構成されているのが普通である。ここで、例えば操作リングが所定の回転範囲内における一方の端部に到達しているにも関わらず、さらに当該操作リングを同じ方向へ回転させようとすると、操作リングはそれ以上回らない。したがって、この場合、操作リングへの操作力量を受けてレンズ鏡筒自体が光軸回りに回転しようとする。このとき、ロックピンとロック溝との係合部分には大きな外力が加わる。
【0007】
また、例えば、カメラ本体からレンズ鏡筒を取り外す操作を行う場合には、まず、ロックピンのロック解除操作を行って、ロックピンとロック溝との係合状態を解除した上で、カメラ本体に対してレンズ鏡筒を光軸回りに回転させる手順となっている。この場合において、例えば、ロックピンのロック解除操作を行わずに、若しくは不完全なロック解除操作のままカメラ本体に対してレンズ鏡筒を光軸回りに回転させる力量を加えると、ロックピンとロック溝との係合部分に対して大きな外力が加わることになる。
【0008】
このように、カメラのマウントロック機構において、ロックピンとロック溝との係合部分に大きな外力が加わった場合や、カメラ本体と各種のレンズ鏡筒との着脱操作を繰り返し行った場合、ロックピンが当接するロック溝の挿入開口部に変形が生じたり、溝開口幅を拡張してしまうことがある。そして、当該変形が進行した場合、カメラ本体にレンズ鏡筒を装着したときのレンズ鏡筒の回転ロック状態を維持できないようになってしまう場合がある。
【0009】
そこで、従来、例えばロックピンがロック溝に係合している状態で、当該係合部分に外力が加わった場合に、ロック溝の挿入開口部の変形を抑止し、またロック溝の開口幅の拡張を抑えるための工夫が、例えば特開平7-333703号公報,特開平3-231726号公報,特開平4-24273号公報等によって種々提案されている。
【0010】
上記特開平7-333703号公報,特開平3-231726号公報等によって開示されているマウントロック機構は、ロック溝に相当する部分をマウント部材とは異なる別体の部品で形成すると共に、当該別体部品をロックピンよりも硬質な素材(例えば金属部品)で形成している。
【0011】
上記特開平4-24273号公報等によって開示されているマウントロック機構は、ロック溝の開口幅が、当該ロック溝の最底面部幅よりも広くなるように形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開平7-333703号公報
【文献】特開平3-231726号公報
【文献】特開平4-24273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、上記特開平7-333703号公報,特開平3-231726号公報等によって開示されているマウントロック機構においては、ロック溝を含む別体部品をマウント部の所定の部位に取り付ける場合、例えば圧入接合等の組み付け手段が用いられることになる。この場合、当該装置を使用しているうちに、ロックピンとロック溝との間にガタが発生し、所定のロック状態を維持できなくなってしまうという問題点がある。そして、カメラ本体とレンズ鏡筒との結合状態が使用中に外れてしまう等の問題点が生じる場合がある。
【0014】
また、圧入接合等によって上記別体部品を取り付ける場合、例えば他の部品に施された鍍金等の処理が剥がれてしまう等の問題が生じることがある。この場合、生産性が低下し、製造コストが高くつくという問題点がある。
【0015】
さらに、圧入接合等によって上記別体部品を取り付ける場合、必要とする圧入力量を確保するためには、別体部品とマウント部との嵌合長を長くとる必要がある。このことから、装置が大型化してしまうという問題点がある。
【0016】
一方、上記特開平4-24273号公報等によって開示されているマウントロック機構においては、ロックピンとロック溝との係合部分に外力が加わってロック溝の挿入開口部に変形が生じた場合、ロックピンとロック溝の挿入開口部との間の寸法差が広がって、ガタが発生してしまうという問題点がある。このようなガタが発生した場合、カメラ本体とレンズ鏡筒とを確実に結合させることができなくなるという問題が生じる場合がある。
【0017】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、カメラマウントとレンズマウントとがバヨネット結合するカメラに具備されるマウント装置に適用され、ロックピンと当該ロックピンが係合するロック溝とを有して構成されるマウントロック機構において、カメラマウントとレンズマウントとが結合状態にあるときに、ロックピンとロック溝との係合部分に外力が加わってロック溝の挿入開口部に変形が生じたとしても、カメラ本体に対するレンズ鏡筒の回転ロック状態を確実に維持することができるマウントロック機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の一態様のマウントロック機構は、カメラマウントとレンズマウントの一方に配置されたロックピンと、上記カメラマウントと上記レンズマウントの他方に配置されていて上記ロックピンが係合するロック溝と、を有し、上記カメラマウントと上記レンズマウントとがバヨネット結合するカメラに適用されるマウントロック機構において、上記ロックピンが上記ロック溝に挿入される挿入開口の第1の溝幅は、上記ロック溝に上記ロックピンが係合完了した際に上記ロックピンの先端部が位置する上記ロック溝の一部位の第2の溝幅よりも小さく形成され、かつ、上記ロックピンの挿入方向に平行な断面形状において、上記第1の溝幅を有する部位から上記第2の溝幅を有する部位までの間は溝幅が徐々に増加する傾斜面を形成している。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カメラマウントとレンズマウントとがバヨネット結合するカメラに具備されるマウント装置に適用され、ロックピンと当該ロックピンが係合するロック溝とを有して構成されるマウントロック機構において、カメラマウントとレンズマウントとが結合状態にあるときに、ロックピンとロック溝との係合部分に外力が加わってロック溝の挿入開口部に変形が生じたとしても、カメラ本体に対するレンズ鏡筒の回転ロック状態を確実に維持することができるマウントロック機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態のマウントロック機構を適用したレンズ鏡筒の外観斜視図
【
図4】
図3の矢印[4]で示す円形領域を拡大して示す要部拡大図
【
図5】
図4の矢印[5]-[5]線に沿う断面を示す要部拡大断面図
【
図6】
図5の矢印[6]で示す円形領域を拡大して(ロック溝の断面形状を特に)示す要部拡大断面図
【
図7】
図1のレンズ鏡筒のレンズマウントに対応する撮像装置(カメラ)側のカメラマウントを示す平面図
【
図8】
図7に示すレンズ鏡筒側のロック溝に対し、対応するカメラマウント側のロックピンが係合している状態を示す要部拡大断面図
【
図9】
図8の矢印[9]で示す楕円領域をさらに拡大して示す要部拡大断面図
【
図10】本発明の第2の実施形態のマウントロック機構におけるロック溝が形成される近傍を拡大して示す要部拡大平面図
【
図11】
図10の矢印[11]-[11]線に沿う断面を示す要部拡大断面図
【
図12】本発明の第3の実施形態のマウントロック機構を適用したレンズ鏡筒の外観斜視図
【
図15】
図14の矢印[15]で示す円形領域を拡大して示す要部拡大図
【
図16】
図14のレンズ鏡筒から一部の部材を取り外した状態を示す要部拡大図
【
図17】
図12のレンズ鏡筒に適用されるマウントロック機構のロック溝ユニットを取り出して示す外観斜視図
【
図19】本発明の第4の実施形態のマウントロック機構において、ロック溝が形成される近傍を拡大して示す要部拡大断面図
【
図20】従来形態のマウントロック機構において、ロック溝に対してロックピンが係合し、ロック溝が変形している状態を示す要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、各図面に記載された各構成要素の数量や各構成要素の形状や各構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関して、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0022】
以下に説明する本発明の各実施形態は、撮像装置(カメラ)側のカメラマウントとレンズ鏡筒側のレンズマウントとがバヨネット結合するカメラに具備されるマウント装置に適用され、カメラマウントに配置されたロックピンと、レンズマウントに配置され上記ロックピンが係合するロック溝とを有して構成されるマウントロック機構についての各種の形態の例示である。
【0023】
本発明を実現するための構成は、以下に例示する各実施形態のみに限られるものではない。以下に説明する各実施形態とは異なる形態、例えば、撮像装置(カメラ)側のカメラマウントにロック溝を配置し、レンズ鏡筒側のレンズマウントにロックピンを配置した形態のマウントロック機構として構成することによっても、本発明は全く同様に適用することができる。
【0024】
[第1の実施形態]
図1~
図9は、本発明の第1の実施形態のマウントロック機構を示す図である。このうち、
図1は本発明の第1の実施形態のマウントロック機構を適用したレンズ鏡筒の外観斜視図である。
図2は
図1のレンズ鏡筒の分解斜視図である。なお、
図2においては、レンズ鏡筒に含まれる撮像光学系等、本発明に直接関連しない一部の部材を省略して図示している。
【0025】
図3は、
図1の矢印[3]方向から見た矢視図である。即ち、
図3は本発明の一実施形態のマウントロック機構を備えたレンズ鏡筒におけるレンズマウントの平面図である。
図4は
図3の矢印[4]で示す円形領域を拡大して示す要部拡大図である。
図5は
図4の矢印[5]-[5]線に沿う断面を示す要部拡大断面図である。
図6は
図5の矢印[6]で示す円形領域を拡大して(ロック溝の断面形状を特に)示す要部拡大断面図である。
【0026】
図7は
図1のレンズ鏡筒のレンズマウントに対応する撮像装置(カメラ)側のカメラマウントを示す平面図である。なお、
図7に示すカメラマウントは、本発明の一実施形態のマウントロック機構の一部を構成するロックピンを含んで構成されている。
【0027】
図8は
図7に示すレンズ鏡筒側のロック溝に対し、対応するカメラマウント側のロックピンが係合している状態を示す要部拡大断面図である。
図9は
図8の矢印[9]で示す楕円領域をさらに拡大して示す要部拡大断面図である。そして、
図9においては、ロックピンとロック溝との係合部分に外力が加わったときに、ロックピンによってロック溝の挿入開口部の内周縁部が変形した場合の具体例を示している。
【0028】
まず、本発明の一実施形態のマウントロック機構を適用したレンズ鏡筒の概略構成について、主に
図1~
図3を用いて以下に説明する。
【0029】
本実施形態のマウントロック機構を適用したレンズ鏡筒1は、主に
図1~
図3に示すように、マウントリング11と、筒本体12と、固定筒13と、接点ユニット14と、撮像光学系16(
図2には不図示)等を有して構成されている。
【0030】
マウントリング11は、撮像装置本体(以下、カメラ本体という)側のカメラマウント50(
図7参照)に対してバヨネット結合するためのレンズ鏡筒1側のマウント部である。
【0031】
マウントリング11は、略円環形状に形成され、主に
図2に示すように、開口11dと、外向フランジ部11eと、内向フランジ部11fと、複数のバヨネット爪11g等を有して構成されている。
【0032】
開口11dは、被写体光束を通過させる貫通孔である。
【0033】
外向フランジ部11eは、マウントリング11を筒本体12に対して固定する固定部位である。そのために、この外向フランジ部11eには、複数のビス挿通孔11aが形成されている。そして、マウントリング11は、複数のビス挿通孔11aに挿通される複数のビス21のそれぞれを、筒本体12の複数のビス孔12aのそれぞれに締結されることによって固定されている。
【0034】
また、外向フランジ部11eには、ロック溝11cが形成されている。このロック溝11cは、後述するカメラ本体側のカメラマウント50に配置されるロックピン53(
図7参照))と共に、本実施形態のマウントロック機構の主要構成部である。なお、ロック溝11cの構成の詳細は後述する。
【0035】
上述のマウント面とは、レンズ鏡筒1がカメラ本体(不図示)のカメラマウント50(
図7参照)に対して装着される際に、当該マウントリング11がカメラマウント50側のマウントリング51(後述;
図7参照)に相対する面を指すものとする(
図3で示されている面が相当する)。
【0036】
内向フランジ部11fは、固定筒13をマウントリング11に対して固定する固定部位である。そのために、この内向フランジ部11fには、複数のビス孔11bが形成されている。そして、固定筒13は、複数のビス22のそれぞれを、後述する複数のビス挿通孔13aのそれぞれに挿通させた後に、マウントリング11の複数のビス孔11bのそれぞれに締結させることによって、当該マウントリング11に固定されている。
【0037】
複数のバヨネット爪11gは、カメラマウント50側のマウントリング51のバヨネット爪51g(
図7参照)に対してバヨネット結合するための複数の爪部である。なお、マウントリング11におけるバヨネット結合を実現するための構成は、従来のレンズ鏡筒等において適用されるものと略同様構成を有するものである。したがって、その詳細説明は省略する。
【0038】
筒本体12は、全体として円筒形状に形成され、内周面沿って形成される内向フランジ部12dと、円周状壁部12eとを有して構成される固定部材である。この筒本体12の内部には撮像光学系16(
図1,
図3参照;
図2には不図示)や、撮像光学系16の一部を駆動するための駆動ユニット(不図時)等、各種の構成部材を収納している。なお、筒本体12の内部構成については、本発明に直接関連しない部分であるので、その図示及び詳細説明は省略する。
【0039】
筒本体12の内向フランジ部12dには、マウントリング11を固定するための複数のビス孔12aが設けられている。
【0040】
円周状壁部12eは、内向フランジ部12dの外周に沿って形成された円周状の壁状部位である。この円周状壁部12e内には、マウントリング11が配置される。したがって、円周状壁部12eの内径寸法は、マウントリング11が当該円周状壁部12e内部に収納され得るように、当該マウントリング11の外径寸法と略同等で、かつマウントリング11の外径寸法よりも若干大径となるように形成されている。
【0041】
したがって、筒本体12の円周状壁部12eの内部にマウントリング11を配置したとき、円周状壁部12eは、マウントリング11の外周の位置を位置決めする位置決め部として機能する。
【0042】
固定筒13は、マウントリング11の内周側に配設される筒状部材である。この固定筒13は、接点ユニット14の両端を保持する固定部材である。固定筒13は、上述したように、マウントリング11の内向フランジ部11fの複数のビス孔11bに対して複数のビス22を用いて固定されている。
【0043】
そのために、固定筒13には、外周面上に沿って外向フランジ部13bが形成されている。この外向フランジ部13bは、接点ユニット14を配置するために、一部が切り欠かれて形成される切欠部13cが設けられている。そして、当該外向フランジ部13bには、複数のビス22をそれぞれ挿通させる複数のビス挿通孔13aが形成されている。
【0044】
これにより、固定筒13は、マウントリング11の内周側に配設される際には、外向フランジ部13bが当該マウントリング11の内向フランジ部11fに対向するように配置される。そして、この状態で、固定筒13の複数のビス挿通孔13aのそれぞれに複数のビス22のそれぞれを挿通した後、当該複数のビス22のそれぞれは、マウントリング11の内向フランジ部11fの複数のビス孔11bのそれぞれに締結される。これによって、固定筒13は、マウントリング11に固定される。
【0045】
接点ユニット14は、複数の電子接点14aを有して構成される電気部品である。この接点ユニット14は、レンズ鏡筒1がカメラ本体(不図示)に対して装着されたときに、カメラ本体側の接点ユニット54の複数の電子接点54a(
図7参照)と電気的に接触することで、レンズ鏡筒1とカメラ本体との間の電気的な接続を確保し、各種の通信等を行うために設けられている。そのために、これら複数の電子接点14aは、レンズ鏡筒1の内部に設けられる電子回路(不図示)から延設されるフレキシブルプリント基板(不図示)に対し内部において電気的に接続されている。
【0046】
接点ユニット14は、マウントリング11の内周面に沿うようにして、固定筒13の切欠部13cに配置されている。この状態で、接点ユニット14の両端は、固定筒13の固定部に対して固定保持されている。そして、接点ユニット14は、マウントリング11の外周側から内周に向けて穿設されたビス挿通孔(不図示)に挿通されたビス(不図示)を用いて固定されている。
【0047】
次に、マウントリング11に形成されているロック溝11cの構成について、さらに
図4~
図6等を用いて詳述する。
【0048】
このロック溝11cは、カメラマウント50(
図7参照)側のマウントリング51に配置されるロックピン53(
図7参照)と係合する凹溝部である。このロック溝11cは、上述したようにロックピン53と共に、本実施形態のマウントロック機構の主要構成部である。
【0049】
ロック溝11cは、マウントリング11の外向フランジ部11eの平面(マウント面)から撮像光学系16の光軸に沿う方向において凹溝として形成されている。
【0050】
また、ロック溝11cは、マウントリング11の外向フランジ部11eに形成され、当該マウントリング11の周方向に対して略直交する方向に長軸を有する長孔として形成されている。
【0051】
ロック溝11cは、主に
図5,
図6に示すように、挿入開口部11caと、ピン当接領域11cbと、傾斜面部11ccと、溝底面部11cd等を有して形成されている。
【0052】
挿入開口部11caは、ロックピン53が挿入される側の開口として形成される部位を指すものとする。この場合において、挿入開口部11caは、マウントリング11の周方向に対して略直交する方向の長軸を有する長孔である。
【0053】
ピン当接領域11cbは、挿入開口部11caの内周縁部のうちマウントリング11の周方向に対して略直交する線に沿う所定の範囲の部位を指すものとする。ここで、ピン当接領域11cbは、ロック溝11cにロックピン53が係合した状態で、例えば、当該ロック溝11cとロックピン53との係合部分に外力が加わって、レンズ鏡筒1が光軸回りに回転しようとするとき、ロックピン53が当接する部位となっている。
【0054】
傾斜面部11ccは、挿入開口部11caの内周縁部のピン当接領域11cbから溝底面部11cdの周縁部までの間に連続的に形成される斜面を指すものとする。
【0055】
溝底面部11cdは、ロック溝11cにロックピン53が係合完了した際に、当該ロックピン53の先端部が位置するロック溝11c内における一部位である。そして、この溝底面部11cdは、当該ロック溝11cの凹状における最深部に位置するものとする。
【0056】
ここで、ロック溝11cにおいて、挿入開口部11caの長軸に対して略直交する方向の短軸の溝幅を第1の溝幅というものとし、
図6に示すように、当該第1の溝幅に符号D1を付する。また、溝底面部11cdにおいて、上記第1の溝幅D1と同方向の溝幅を第2の溝幅というものとし、
図6に示すように、当該第2の溝幅には符号D2を付する。
【0057】
なお、ここで、第1の溝幅D1は、当該ロック溝11cに係合するロックピン53の直径と略同径若しくは若干大径に形成されている。
【0058】
この場合において、本実施形態のマウントロック機構におけるロック溝11cは、挿入開口部11caの第1の溝幅D1が、溝底面部11cdの第2の溝幅D2よりも小さくなるように形成されている(D1<D2)。
【0059】
そして、この場合において、ロック溝11cは、
図5,
図6に示すように、ロックピン53の挿入方向に平行な断面形状において、第1の溝幅D1を有する部位(挿入開口部11caに平行な面)から第2の溝幅D2を有する部位(溝底面部11cdに平行な面)までの間は、溝幅が徐々に増加する傾斜面(開口11caから底面部11cdに向けて拡がるテーパー面)を形成している。つまり、ロック溝11cは、挿入開口部11caの溝幅D1に対して最深部である溝底面部11cdの溝幅D2が一番大きくなるように構成されている。
【0060】
一方、本実施形態のマウントロック機構は、上述のロック溝11cと、当該ロック溝11cに係合するロックピン53によって構成されている。このロックピン53は、
図7に示すように、カメラマウント50のマウントリング51の所定の位置に配置されている。 ここで、ロックピン53自体の構成については、従来のカメラ本体において適用されるものと略同様構成を有するものとして、以下に簡単に説明する。
【0061】
ロックピン53は、カメラマウント50のマウントリング51の平面(マウント面)から、当該カメラ本体に装着された状態のレンズ鏡筒1の撮像光学系の光軸に平行な方向に突没自在に配設され、例えば円柱形状に形成された棒状部材である。ロックピン53を突没させる機構の構成については、従来のものと同様のものが適用されているものとして、その説明は省略する。
【0062】
ロックピン53は、カメラ本体にレンズ鏡筒1が装着された状態とされたとき、所定のタイミングでレンズ鏡筒1側のレンズマウントのマウントリング11に配設されたロック溝11cに係合する。これにより、ロックピン53は、当該カメラ本体に対するレンズ鏡筒1の回転規制を行う。
【0063】
ここで、カメラマウント50の構成について以下に簡単に説明する。
図7は、カメラ本体(不図示)側に設けられ、上記レンズ鏡筒1が装着されるカメラマウント50を模式的に示している。
【0064】
カメラマウント50は、マウントリング51と、ロックピン53と、カメラ側接点ユニット54と、ロック解除操作部材55等を有して構成されている。
【0065】
マウントリング51は、カメラ本体(不図示)の前面側に対し、複数のビス59を用いて固定されている。このマウントリング51は、略略円環形状に形成され、開口51dと、複数のバヨネット爪51g等を有し、所定の位置にロックピン53を配置して構成されている。
【0066】
開口51dは、被写体光束を通過させると共に、撮像素子60の撮像面を露呈させる貫通孔である。
【0067】
この開口51dの内周縁には、複数のバヨネット爪51gが設けられている。この複数のバヨネット爪51gは、レンズ鏡筒1のマウントリング11の複数のバヨネット爪11gに対してバヨネット結合するための複数の爪部である。
【0068】
また、マウントリング51には、ロックピン53が配置されている。上述したように、カメラ本体にレンズ鏡筒1が装着された時、ロックピン53はロック溝11cに係合して、レンズ鏡筒1の回転規制を行う。
【0069】
なお、ロックピン53の先端部分には、面取部53aが形成されている。この面取部53aは、ロックピン53がロック溝11cに対して円滑に係合し得るようにするための工夫である。
【0070】
さらに、マウントリング51の開口51dの内側部位において、カメラ本体の固定部にはカメラ側接点ユニット54が配設されている。このカメラ側接点ユニット54は、複数の電子接点54aを有して構成される電気部品である。このカメラ側接点ユニット54は、カメラ本体に対してレンズ鏡筒1が装着されたときに、レンズ鏡筒1側の接点ユニット14の複数の電子接点14aと電気的に接触することで、カメラ本体とレンズ鏡筒1との間の電気的な接続を確保して、各種の通信等を行うために設けられている。
【0071】
なお、ロック解除操作部材55は、ロックピン53とロック溝11cとの係合状態を解除するための操作部材である。
【0072】
このように構成された本実施形態のマウントロック機構においては、カメラ本体に対してレンズ鏡筒1を従前の所定の手順によってバヨネット結合させて、その結合が完了したときには、
図8に示すように、カメラ本体側のカメラマウント50のマウントリング51に配置されたロックピン53がレンズ鏡筒1側のレンズマウントのマウントリング11に配置されたロック溝11cに係合する。これにより、レンズ鏡筒1は、カメラ本体に対して光軸周りの回転が規制されたロック状態となる。
【0073】
こうして、カメラ本体とレンズ鏡筒1が結合状態とされたときに、例えばレンズ鏡筒1を光軸回りに回転させるような外力が加わると、ロック溝11cとロックピン53との係合部分には大きな外力が加わることになる。そして、このような状況が繰り返される等すると、マウントリング11のロック溝11cにおいては、ロックピン53が当接している部位、即ち挿入開口部11caの内周縁部のうちピン当接領域11cb(
図9の符号H1で示す斜線領域)の一部に変形が生じ、その結果、挿入開口部11caのピン当接領域11cbは、
図9の符号H2で示す斜線領域のような形態に変形してしまうことがある。
【0074】
ここで、
図20は、従来形態のマウントロック機構において、ロック溝11xcに対してロックピン53が係合している状態を示している。従来の形態のロック溝11xcは、挿入開口部の周縁部のピン当接領域11xcbから溝底面部11xcdの周縁部の間に傾斜面が形成されていないものとしている。
【0075】
このような従来形態のロック溝11xcにロックピン53が係合した状態で、当該係合部分に外力が繰り返し加わると、
図20の符号Hx1で示す斜線領域に変形が生じ、その結果、挿入開口部のピン当接領域11xcbは、
図20の符号Hx2で示す斜線領域のような形態に変形してしまう。
【0076】
この場合、当該係合部分に外力が加わり続けると、やがて、その変形部分が結合完了位置にあるロックピン53の先端部分の面取部53aにまで到達する。すると、当該変形によって形成された斜面11xcc1に沿って、ロックピン53の面取部53aが移動し、その結果、当該ロックピン53がロック溝11xcの外に離脱してしまう可能性がある。
【0077】
なお、
図20に例示の別の形態として、図示してはいないが、挿入開口部の周縁部のピン当接領域11xcbから溝底面部11xcdの周縁部の間に、徐々に拡がる傾斜面を構成した場合(D1>D2の場合)が考えられる。この場合にも同様の作用によって、ロック溝11xcからのロックピン53の離脱の可能性がある。
【0078】
一方、本実施形態のマウントロック機構によれば、ロック溝11cは、上述したように、挿入開口部11caの内周縁部のピン当接領域11cbから溝底面部11cdの周縁部までの間を連続的に形成される傾斜面部11ccで構成している。かつ、当該傾斜面部11ccは、挿入開口部11caの溝幅D1に対して最深部である溝底面部11cdの溝幅D2が一番大きくなるように構成している。
【0079】
したがって、このような構成を採ることによって、本実施形態のマウントロック機構においては、ロックピン53によってロック溝11cのピン当接領域11cbが、
図9の符号H2に示すように変形したとしても、その変形部分が結合完了位置にあるロックピン53の先端部分の面取部53aにまで到達しない限りは、レンズ鏡筒1の回転外力を受けても、当該ロックピン53がロック溝11cから抜け出てしまうことを抑止することができる。
【0080】
以上説明した上記第1の実施形態によれば、ロックピン53がロック溝11cに挿入される挿入開口部caの第1の溝幅D1は、ロック溝11cにロックピン53が係合完了した際にロックピン53の先端部が位置するロック溝11cの一部位である溝底面部11cdの第2の溝幅D2よりも小さくなるように構成した(D1<D2)。
【0081】
したがって、例えばカメラマウント側のロックピン53とレンズ鏡筒1側のロック溝11cとの係合部分に大きな外力が加わって、当該係合部分が変形したとしても、ロックピン53がとロック溝11cから抜け落ちてしまうことを抑止することができる。
【0082】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、レンズ鏡筒側のレンズマウントに配置されるロック溝の一形態として、マウントリングの一部位にロック溝を一体に形成した構成例を示した。
【0083】
次に説明する本発明の第2の実施形態は、レンズ鏡筒側のレンズマウントに配置されるロック溝の別の一形態として、マウントリングとは別体部材にロック溝を形成し、当該別体部材(ロック溝ユニット)をマウントリングの所定の部位に対して圧入接合等により組み付ける構成例である。
【0084】
本発明の第2の実施形態は、基本的には上述の第1の実施形態と略同様の構成からなり、マウントリング及びロック溝近傍の構成が異なるのみである。したがって、上述の第1の実施形態と同じ構成部材については、同じ符号を付して、その詳細説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に説明する。なお、説明を省略した部分については、上述の第1の実施形態の説明及び図面を参照する。
【0085】
図10,
図11は、本発明の第2の実施形態を示す図である。このうち
図10は、本実施形態のマウントロック機構におけるロック溝が形成される近傍を拡大して示す要部拡大平面図である。なお、
図10は上述の第1の実施形態における
図4に相当する図である。
図11は
図10の矢印[11]-[11]線に沿う断面を示す要部拡大断面図である。即ち、
図11は本実施形態のマウントロック機構におけるロック溝の断面形状(ロックピンの挿入方向に平行な断面形状)を示している。
【0086】
本実施形態のマウントロック機構においても、レンズ鏡筒1A側のレンズマウントにロック溝15cが配置され、カメラ本体(不図示)側のカメラマウントにロックピン(不図示;
図7等参照)が配置されているものとする。
【0087】
本実施形態において、レンズ鏡筒1A側のレンズマウントに設けられるロック溝15cは、マウントリング11Aとは別体部材であるロック溝ユニット15Aに形成されている。そして、このロック溝ユニット15Aが、マウントリング11Aのロック溝配置孔11Acに対して圧入接合等の組み付け手段によって配設されている。
【0088】
ここで、ロック溝ユニット15Aは、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cと略同形態に形成されるロック溝15cを有する部材である。
【0089】
即ち、ロック溝15cは、
図10,
図11に示すように、挿入開口部15caと、ピン当接領域15cbと、傾斜面部15ccと、溝底面部15cd等を有して形成されている。
【0090】
挿入開口部15caは、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cの挿入開口部11caに相当する。即ち、挿入開口部15caは、ロックピンが挿入される側の開口として形成される部位である。挿入開口部15caは、マウントリング11Aの周方向に対して略直交する方向に延びる溝の開口として形成されている。
【0091】
ピン当接領域15cbは、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cのピン当接領域11cbに相当する。ピン当接領域15cbは、挿入開口部15caの内周縁部のうちマウントリング11Aの周方向に対して略直交する線に沿う所定の範囲の部位である(
図10参照)。
【0092】
傾斜面部15ccは、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cの傾斜面部11ccに相当する。傾斜面部15ccは、挿入開口部15caの内周縁部のピン当接領域15cbから溝底面部15cdの周縁部までの間に連続的に形成される斜面である。
【0093】
溝底面部15cdは、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cの溝底面部11cdに相当する。溝底面部15cdは、ロック溝15cにロックピンが係合完了した際に、当該ロックピンの先端部が位置するロック溝15c内における一部位である。そして、この溝底面部15cdは、当該ロック溝15cの凹状における最深部に位置するものである。
【0094】
ここで、ロック溝15cにおいて、挿入開口部15caの長軸に対して略直交する方向の短軸の溝幅を第1の溝幅D1というものする(
図6参照)。また、溝底面部15cdにおいて、第1の溝幅D1と同方向の溝幅を第2の溝幅D2というものとする(
図6参照)。
【0095】
この場合において、本実施形態のマウントロック機構におけるロック溝15cは、挿入開口部15caの第1の溝幅D1が、溝底面部15cdの第2の溝幅D2よりも小さくなるように形成されている(D1<D2)。
【0096】
そして、この場合において、ロック溝15cは、
図10,
図11に示すように、ロックピンの挿入方向に平行な断面形状において、第1の溝幅D1を有する部位(挿入開口部15caに平行な面)から第2の溝幅D2を有する部位(溝底面部15cdに平行な面)までの間は、溝幅が徐々に増加する傾斜面(開口15caから底面部15cdに向けて拡がるテーパー面)を形成している。つまり、ロック溝15cは、挿入開口部15caの溝幅D1に対して最深部である溝底面部11cdの溝幅D2が一番大きくなるように構成されている。
【0097】
なお、本実施形態のマウントロック機構において、上記ロック溝15cに係合するロックピンは、上述の第1の実施形態と略同様の構成を有する(
図7参照)。
【0098】
このように構成されたロック溝ユニット15Aは、マウントリング11Aのロック溝配置孔11Acに対して、例えば圧入接合等の組み付け手段によって配設されている。その他の構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0099】
以上説明した上記第2の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
また、本実施形態によれば、マウントリング11Aとは別体部材であるロック溝ユニット15Aを用いてロック溝15cを形成するようにしている。この場合、ロック溝ユニット15Aについては、マウントリング11Aよりも硬い材質の部材を用いて形成すれば、ロックピンがロック溝ユニット15Aのロック溝15cに係合したとき、当該係合部分に大きな外力が加わったとしても、ロック溝15cの変形を抑止することができる。
【0101】
[第3の実施形態]
上述の第2の実施形態では、レンズ鏡筒側のレンズマウントに配置されるロック溝の一形態として、マウントリングとは別体部材にロック溝を形成し、当該別体部材(ロック溝ユニット)をマウントリングの所定の部位に対して圧入接合等により組み付ける構成例を示した。
【0102】
次に説明する本発明の第3の実施形態は、レンズ鏡筒側のレンズマウントに配置されるロック溝の別の一形態として、マウントリングとは別体部材のロック溝ユニットにロック溝を形成し、当該別体部材をマウントリングの所定の部位に対してビス止め接合等により組み付ける構成例である。
【0103】
本発明の第3の実施形態は、基本的には上述の第2の実施形態と略同様の構成からなり、マウントリング及びロック溝ユニット,筒鏡体の構成が異なるのみである。したがって、上述の第1,第2の実施形態と同じ構成部材については、同じ符号を付して、その詳細説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に説明する。なお、説明を省略した部分については、上述の第1,第2の実施形態の説明及び図面を参照する。
【0104】
図12~
図18は、本発明の第3の実施形態を示す図である。このうち、
図12は、本実施形態のマウントロック機構を適用したレンズ鏡筒の外観斜視図である(
図1に相当)。
図13は
図12のレンズ鏡筒の分解斜視図である(
図2に相当)。なお、
図13においては、レンズ鏡筒に含まれる撮像光学系等、本発明に直接関連しない一部の部材を省略して図示している。
図14は、
図12の矢印[14]方向から見た矢視図である(
図3に相当)。即ち、
図14は本発明の一実施形態のレンズマウントの平面図である。
図15は
図14の矢印[15]で示す円形領域を拡大して示す要部拡大図である(
図4に相当)。
図16は
図14のレンズ鏡筒から一部の部材(マウントリング及び接点ユニット,固定筒)を取り外した状態を示し、
図15と同じ領域を示す要部拡大図である。
図17は本実施形態のマウントロック機構におけるロック溝ユニットを取り出して示す外観斜視図である。
図18は
図17の矢印[18]方向から見た矢視図である。
【0105】
まず、本発明の第3の実施形態のマウントロック機構を適用したレンズ鏡筒の概略構成について、主に
図12~
図14を用いて以下に説明する。
【0106】
本実施形態のマウントロック機構を適用したレンズ鏡筒1Bは、図示のように、マウントリング11Bと、筒本体12Bと、固定筒13と、接点ユニット14と、ロック溝ユニット15Bと、撮像光学系16等を有して構成されている。
【0107】
マウントリング11Bは、カメラ本体側のマウント部であるカメラマウント(不図示)に対してバヨネット結合するためのレンズ鏡筒1B側のマウント部である。
【0108】
マウントリング11Bは、略円環形状に形成され、開口11dと、外向フランジ部11eと、内向フランジ部11fと、複数のバヨネット爪11g等を有して構成されている。
【0109】
開口11dは、被写体光束を通過させる貫通孔である。
【0110】
外向フランジ部11eは、マウントリング11Bを筒本体12Bに対して固定する固定部位である。そのために、この外向フランジ部11eには、複数のビス挿通孔11aが形成されている。そして、マウントリング11Bは、複数のビス挿通孔11aに挿通される複数のビス21のそれぞれを、筒本体12Bの複数のビス孔12aのそれぞれに締結されることによって固定されている。
【0111】
また、外向フランジ部11eには、ロック溝配置孔11Bcが形成されている。このロック溝配置孔11Bcは、マウントリング11Bの外向フランジ部11eにおける周方向に長軸を有する長孔として形成されている。そして、当該ロック溝配置孔11Bcは、マウントリング11Bを筒本体12Bに組み付けたときに、マウントリング11Bと筒本体12Bとの間に設けられるロック溝ユニット15B(詳細後述)の一部(一対の凸状部15a及びロック溝15d)を、マウントリング11Bのマウント面から外部に露呈させるための長孔であり貫通孔である。ここで、マウント面とは、レンズ鏡筒1Bがカメラ本体(不図示)に装着される際に、当該マウントリング11Bがカメラマウント(不図示)側のマウント部に相対する面を指している(
図3で示す面参照)。
【0112】
内向フランジ部11fは、固定筒13をマウントリング11Bに対して固定する固定部位である。そのために、この内向フランジ部11fには、複数のビス孔11bが形成されている。そして、固定筒13は、複数のビス22のそれぞれを、後述する複数のビス挿通孔13aのそれぞれに挿通させた後に、マウントリング11Bの複数のビス孔11bのそれぞれに締結させることによって、当該マウントリング11Bに固定されている。
【0113】
バヨネット爪11gは、カメラマウント(不図示)側のバヨネット爪(不図示)に対してバヨネット結合するための複数の爪部である。なお、マウントリング11Bにおけるバヨネット結合を実現するための構成は、従来のレンズ鏡筒等において適用されるものと略同様構成を有するものである。したがって、その詳細説明は省略する。
【0114】
筒本体12Bは、全体として円筒形状に形成され、内周面沿って形成される内向フランジ部12dと、円周状壁部12eとを有して構成される固定部材である。この筒本体12Bの内部には撮像光学系16(
図1,
図3参照;
図2には不図示)や、撮像光学系16の一部を駆動するための駆動ユニット(不図時)等、各種の構成部材を収納している。なお、筒本体12Bの内部構成については、本発明に直接関連しない部分であるので、その図示及び詳細説明は省略する。
【0115】
筒本体12Bの内向フランジ部12dには、ロック溝ユニット15B(詳細後述)を、その平面上に位置決めするための位置決めピン12ba,12bbが複数(本例では2つ)設けられている。また、筒本体12Bの内向フランジ部12dには、同ロック溝ユニット15B(詳細後述)を筒本体12Bに対して固定するための複数のビス孔12cが設けられている(本例では2つ)。
【0116】
詳細は後述するが、これにより、ロック溝ユニット15Bは、筒本体12Bの内向フランジ部12dの平面上の所定の位置に対し、複数の位置決めピン12ba,12bbによって位置決めされた状態で、複数のビス23のそれぞれが複数のビス孔12cのそれぞれに締結されることによって筒本体12Bに固定される。
【0117】
また、円周状壁部12eは、当該筒本体12Bにおいて、上記内向フランジ部12dの外周に沿って形成された円周状の壁状部位である。この円周状壁部12e内には、マウントリング11Bが配置される。したがって、円周状壁部12eの内径寸法は、マウントリング11Bが当該円周状壁部12e内部に収納され得るように、当該マウントリング11Bの外径寸法と略同等で、かつマウントリング11Bの外径寸法よりも若干大径となるように形成されている。
【0118】
したがって、筒本体12Bの円周状壁部12eの内部にマウントリング11Bを配置したとき、円周状壁部12eは、マウントリング11Bの外周の位置を位置決めする。
【0119】
固定筒13,接点ユニット14は、上述の第1の実施形態と同様の構成を備える。したがって、その詳細説明は省略する。
【0120】
次に、ロック溝ユニット15Bについて詳述する。ロック溝ユニット15Bは、カメラマウント(不図示)側に配置されたロックピン(不図示;ロック機構の一部)と係合するロック溝15d(ロック機構の一部)を形成すると共に、後述するマウントリング11Bの回転位置決め部となる突状壁(15e,15f)を有して形成され、筒本体12Bに対して所定の手段で位置決め固定される固定部材である。
【0121】
ロック溝ユニット15Bは、マウントリング11Bとは別体に別部品として構成されている。そして、当該ロック溝ユニット15Bは、マウントリング11Bよりも硬い材質の部材を用いて形成されている。
【0122】
上述したように、ロック溝ユニット15Bは、筒本体12Bの内向フランジ部12dの平面上の所定の位置に位置決めされた状態で固定されている。そのために、ロック溝ユニット15Bには、
図17に示すように、位置決め用嵌合部としての嵌合孔15baと、切欠部15bbと、複数のビス挿通孔15cが形成されている。
【0123】
そして、
図16に示すように、嵌合孔15ba及び切欠部15bbに対して、筒本体12Bの内向フランジ部12dの位置決めピン12ba,12bbのそれぞれが嵌合する。これにより、ロック溝ユニット15Bは、筒本体12Bの内向フランジ部12dの平面上の所定の位置に位置決めされる。
【0124】
このようにして、ロック溝ユニット15Bが筒本体12Bに対して位置決めされた状態で、
図16に示すように、複数のビス挿通孔15cのそれぞれに複数のビス23が挿通され、筒本体12Bの複数のビス孔12cのそれぞれに締結される。これによって、ロック溝ユニット15Bは、筒本体12Bの内向フランジ部12dの平面上に固定される。
【0125】
さらに、ロック溝ユニット15Bは、
図17に示すように、一対の凸状部15aを有して形成されている。この一対の凸状部15aは、所定の間隔を置いて互いに対向して配置される第1凸状部15aaと第2凸状部15abとによって構成されている。そして、第1凸状部15aaと第2凸状部15abとの間には、カメラマウント(不図示)側に配置されたロックピン(不図示)と係合するロック溝15dが形成されている。
【0126】
ここで、ロック溝15dは、一対の凸状部15aにおける第1凸状部15aaと第2凸状部15abとの相対する壁によって形成されている。そして、当該ロック溝15dは、マウントリング11Bの周方向に対して略直交する方向に延びる溝として形成されている。
【0127】
そして、ロック溝ユニット15Bが筒本体12Bの内向フランジ部12dに位置決め固定された状態で、筒本体12Bの円周状壁部12eに対しマウントリング11Bが、当該ロック溝ユニット15Bを覆うようにして配置されている。これにより、マウントリング11Bは、外周の位置が円周状壁部12eによって位置決めされる。
【0128】
さらに、このとき、ロック溝ユニット15Bの一対の凸状部15aは、マウントリング11Bのロック溝配置孔11Bc(長孔)に係合している。これによって、マウントリング11Bの回転方向の移動は、一対の凸状部15aによって規制され、当該マウントリング11Bの回転方向の位置決めがなされる。
【0129】
即ち、この状態においては、一対の凸状部15aにおける第1凸状部15aaと第2凸状部15abとの各々は、ロック溝ユニット15Bのロック溝15dを形成する側の壁とは反対側の突状壁(15e,15f)のそれぞれがマウントリング11Bのロック溝配置孔11Bc(長孔)の内縁に当接している。これによって、一対の凸状部15aは、当該ロック溝配置孔11Bcの位置、即ちマウントリング11Bの回転方向の位置決めをしている。
【0130】
ここで、突状壁15e,15fは、ロック溝15dを形成する側の壁と並行に延びる壁である。ロック溝15dは、上述したように、マウントリング11Bの周方向に対して略直交する方向に延びる溝である。したがって、突状壁15e,15fも、マウントリング11Bの周方向に対して略直交する方向に延びる壁として形成されている。
【0131】
このような構成により、マウントリング11Bは、外周が筒本体12Bの円周状壁部12eにより筒本体12Bに対して位置決めされていると共に、ロック溝配置孔11Bcが突状壁15e,15fによって筒本体12Bに対して位置決めされる。
【0132】
このように、マウントリング11Bは、筒本体12Bに対して位置決めされた状態とされる。この状態で、ロック溝ユニット15Bに形成された一対の凸状部15aのロック溝15dは、マウント面のロック溝配置孔11cから外部に露呈するように構成されている。これにより、レンズ鏡筒1側のレンズマウントとカメラ本体側のカメラマウント(不図示)とがバヨネット結合する際には、レンズマウント側のロック溝15dに、カメラマウント側のロックピン(不図示)が係合するようになっている。
【0133】
さらに、ロック溝ユニット15Bに形成されるロック溝15d自体の形状は、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cや上述の第2の実施形態におけるロック溝15cと同形態に形成されている。
【0134】
即ち、ロック溝15dは、
図18等に示すように、挿入開口部15caと、ピン当接領域15cbと、傾斜面部15ccと、溝底面部15cd等を有して形成されている。
【0135】
挿入開口部15caは、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cの挿入開口部11caに相当する。即ち、挿入開口部15caは、ロックピンが挿入される側の開口として形成される部位である。挿入開口部15caは、マウントリング11Bの周方向に対して略直交する方向に延びる溝の開口として形成されている。
【0136】
ピン当接領域15cbは、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cのピン当接領域11cbに相当する。ピン当接領域15cbは、挿入開口部15caの内周縁部のうちマウントリング11Bの周方向に対して略直交する線に沿う所定の範囲の部位である。
【0137】
傾斜面部15ccは、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cの傾斜面部11ccに相当する。傾斜面部15ccは、挿入開口部15caの内周縁部のピン当接領域15cbから溝底面部15cdの周縁部までの間に連続的に形成される斜面である。
【0138】
溝底面部15cdは、上述の第1の実施形態におけるロック溝11cの溝底面部11cdに相当する。溝底面部15cdは、ロック溝15dにロックピンが係合完了した際に、当該ロックピンの先端部が位置するロック溝15d内における一部位である。そして、この溝底面部15cdは、当該ロック溝15dの凹状における最深部に位置するものである。
【0139】
ここで、ロック溝15dにおける挿入開口部15caの第1の溝幅D1は、溝底面部15cdの第2の溝幅D2よりも小さくなるように形成されている(D1<D2)。
【0140】
そして、この場合において、ロック溝15dは、
図18に示すように、ロックピンの挿入方向に平行な断面形状において、第1の溝幅D1を有する部位(挿入開口部15caに平行な面)から第2の溝幅D2を有する部位(溝底面部15cdに平行な面)までの間は、溝幅が徐々に増加する傾斜面(開口15caから底面部15cdに向けて拡がるテーパー面)を形成している。つまり、ロック溝15dは、挿入開口部15caの溝幅D1に対して最深部である溝底面部15cdの溝幅D2が一番大きくなるように構成されている。
【0141】
なお、本実施形態のマウントロック機構において、上記ロック溝15cに係合するロックピンは、上述の第1の実施形態と略同様の構成を有する(
図7参照)。また、その他の構成は、上述の各実施形態と略同様である。
【0142】
以上説明したように上記第3の実施形態によれば、レンズマウントにおけるマウントリング11Bは、円周状壁部12eによって外周の位置が位置決めされると同時に、突状壁15e,15fによってロック溝配置孔11Bc(長孔)の位置が位置決めされる。
【0143】
この構成により、マウントリング11Bを確実に位置決めするように構成したので、カメラマウント側のロックピン(不図示)とロック溝ユニット15Bのロック溝15dとの係合部分に大きな外力が加わったとしても、当該係合部分の変形を抑止でき、よって、ロックピン(不図示)とロック溝15dとの間にガタが生じることを抑止することができる。
【0144】
また、カメラマウント側のロックピン(不図示)とロック溝15dとを係合状態としたときに、ロックピン(不図示)に係合するロック溝15dは、マウントリング11の回転規制を行っている。したがって、マウントリング11が回転してレンズ鏡筒1が全体として光軸回りに回転することを抑止できる。
【0145】
つまり、マウントリング11Bの位置決めを精度良く確実に行うことができるので、ロックピン(不図示)とロック溝15dとの間に生じるガタの発生を抑止できる。
【0146】
また、ロック溝ユニット15Bはマウントリング11Bとは別体に別部品として構成すると共に、ロック溝ユニット15Bは筒本体12Bとマウントリング11Bとの間に挟まれるように配設したので、装置が大型化することを抑止することができる。
【0147】
さらに、ロック溝ユニット15Bは、マウントリング11Bよりも硬い材質の部材を用いて形成したので、カメラマウント側のロックピン(不図示)がロック溝ユニット15Bのロック溝15dに係合しているときに、当該係合部分に大きな外力が加わったとしても、ロック溝15dの変形を抑止することができる。
【0148】
これらに加えて、本実施形態においては、ロック溝15dのロックピンの挿入方向に平行な断面形状として、挿入開口部15caの内周縁部のピン当接領域15cbから溝底面部15cdの周縁部までの間に連続的に形成される傾斜面部15ccを設けている。この場合において、傾斜面部15ccは、挿入開口部15caの第1の溝幅D1が、溝底面部15cdの第2の溝幅D2よりも小さくなるように(D1<D2)形成されている。
【0149】
この構成により、カメラマウント側のロックピン(不図示)とロック溝ユニット15Bのロック溝15dとが係合しているときに、当該係合部分に大きな外力が加わって変形が生じたとしても、ロックピン(不図示)がロック溝15dから抜け出てしまうことを抑止することができる。
【0150】
[第4の実施形態]
上述の第1~第3の実施形態では、レンズ鏡筒側のレンズマウントに配置されるロック溝の一形態として、ロック溝(11c,15c,15d)のロックピンの挿入方向に平行な断面形状が、挿入開口部15caの内周縁部のピン当接領域15cbから溝底面部15cdの周縁部までの間に連続的に形成される傾斜面部15ccを設け、この傾斜面部15ccは、挿入開口部15caの第1の溝幅D1が、溝底面部15cdの第2の溝幅D2よりも小さくなるように(D1<D2)形成した構成例を示した。
【0151】
次に説明する本発明の第4の実施形態は、レンズ鏡筒側のレンズマウントに配置されるロック溝の別の一形態として、ロック溝(11c,15c,15d)のロックピンの挿入方向に平行な断面形状が、挿入開口の第1の溝幅D1を有する部位から溝底面部の第2の溝幅D2を有する部位までの間の溝幅が段階的に大きくなるように構成した構成例である。
【0152】
本発明の第4の実施形態は、基本的には上述の各実施形態と略同様の構成からなり、ロック溝の形状が異なるのみである。したがって、上述の各実施形態と同じ構成部材については、同じ符号を付して、その詳細説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に説明する。なお、説明を省略した部分については、上述の各実施形態の説明及び図面を参照する。
【0153】
図19は、本発明の第4の実施形態のマウントロック機構において、ロック溝が形成される近傍を拡大して示す要部拡大断面図である。この
図19は上述の第1の実施形態における
図5、又は第2の実施形態における
図11にそれぞれ相当する図である。
【0154】
本実施形態のマウントロック機構を適用したレンズ鏡筒1Cにおいては、マウントリング11Cとは別体に別部品として構成され、ロック溝15Cdが形成されたロック溝ユニット15Cを有して構成されている。このロック溝ユニット15Cは、マウントリング11Cの所定の部位に対して圧入接合等により組み付けられている。
【0155】
ロック溝ユニット15Cに形成されるロック溝15Cdは、
図19に示すように、挿入開口部15caと、ピン当接領域15cbと、溝内壁部15m,15nと、溝底面部15cd等を有して形成されている。
【0156】
挿入開口部15caは、ロックピンが挿入される側の開口である。挿入開口部15caは、マウントリング11Cの周方向に対して略直交する方向に延びる溝の開口として形成されている。
【0157】
ピン当接領域15cbは、挿入開口部15caの内周縁部のうちマウントリング11Cの周方向に対して略直交する線に沿う所定の範囲の部位である。このピン当接領域15cbは、ロック溝15Cdにロックピンが係合した状態で、例えばロック溝15Cdとロックピンとの係合部分に外力が加わったときにロックピンが当接する部位である。
【0158】
溝内壁部15mは、挿入開口15caに繋がる溝内壁面である。この溝内壁部15mの溝幅を第1の溝幅D1としている。溝内壁部15nは、溝底面部15cdに繋がる溝内壁面である。この溝内壁部15nの溝幅を第2の溝幅D2としている。そして、溝内壁部15mと溝内壁部15nとの間には、階段状の段差が形成されている。
【0159】
溝底面部15cdは、ロック溝15Cdにロックピンが係合完了した際に、当該ロックピンの先端部が位置するロック溝15Cd内における一部位である。つまり、この溝底面部15cdは、当該ロック溝15Cdの凹状における最深部である。
【0160】
そして、ロック溝15dにおける挿入開口部15caの第1の溝幅D1は、溝底面部15cdの第2の溝幅D2よりも小さくなるように形成されている(D1<D2)。
【0161】
換言すると、本実施形態のマウントロック機構において、ロック溝15Cdは、
図19に示すように、ロックピン(不図示)の挿入方向に平行な断面形状において、第1の溝幅D1を有する部位(挿入開口部15caに平行な面)と、第2の溝幅D2を有する部位(溝底面部15cdに平行な面)との間で、溝幅が段階的に大きくなるような段差を設けて形成されている。そして、ロック溝15Cdは、挿入開口部15caの溝幅D1に対して最深部である溝底面部15cdの溝幅D2が一番大きくなるように構成されている。その他の構成は、上述の各実施形態と略同様である。
【0162】
以上説明した構成の上記第4の実施形態においても、上述の各実施形態と同様に、ロック溝15Cdとロックピンとの係合部分に対して外力が加わる等によって、変形が生じたとしても、係合状態のロックピンが抜け出てしまうことを抑止することができる。
【0163】
なお、本実施形態においては、マウントリング11Cとは別体の別部品としてのロック溝ユニット15Cにロック溝15Cdを形成した構成例を示したが、この形態に限られることはない。例えば、上述の第1の実施形態と同様に、マウントリング自体に、本実施形態と同形状のロック溝を形成する形態であってもよい。また、上述の第3実施形態と同様の形態のロック溝ユニットを採用し、このロック溝ユニットに本実施形態と同形状のロック溝を形成する形態であってもよい。
【0164】
本発明の各実施形態においては、本発明のマウントロック機構を適用し得る機器の一例として、レンズ交換式撮像装置における交換用レンズ鏡筒を示して説明しているが、本発明のマウントロック機構を適用し得る機器としては、上述のレンズ交換式撮像装置に限られることはない。即ち、バヨネット結合で接続される機器同士の間に介在するマウント装置におけるマウントロック機構に広く適用することができる。
【0165】
本発明のマウントロック機構は、本実施形態で例示されるレンズ鏡筒のみに限らず、例えば、撮像装置本体(カメラ本体)に着脱自在に構成され略筒形状を有する形態のアクセサリ類であって、例えばリアコンバージョンレンズ(テレコンバーター)や接写用中間リング(エクステンションチューブ)又はレンズアダプター等に対しても全く同様に適用することができる。
【0166】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施することができることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。
【符号の説明】
【0167】
1,1A,1B,1C……レンズ鏡筒
11,11A,11B,11C……マウントリング
11c,11Ac,11Bc……ロック溝配置孔
11a……ビス挿通孔
11b……ビス孔
11c……ロック溝11c
11ca,15ca……挿入開口部
11cb,15cb……ピン当接領域
11cc,15cc……傾斜面部
11cd,15cd……溝底面部
11d……開口
11e……外向フランジ部
11f……内向フランジ部
11g……バヨネット爪
12,12B……筒本体
12a……ビス孔
12ba,12bb……位置決めピン
12c……ビス孔
12d……内向フランジ部
12e……円周状壁部
13……固定筒
13a……ビス挿通孔
13b……外向フランジ部
13c……切欠部
14……接点ユニット
14a……電子接点
15,15A,15B,15C……ロック溝ユニット
15a……凸状部
15aa……第1凸状部
15ab……第2凸状部
15ba……嵌合孔
15bb……切欠部
15c,15d,15Cd……ロック溝
15e,15f……突状壁
15m,15n……溝内壁部
15h……ビス挿通孔15c
16……撮像光学系
21,22,23……ビス
50……カメラマウント
51……マウントリング
51d……開口部
51g……バヨネット爪
53……ロックピン
53a……面取部
54……カメラ側接点ユニット
54a……電子接点
55……ロック解除操作部材
59……ビス
60……撮像素子