(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】廃トナー搬送ダクト及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/10 20060101AFI20221109BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G03G21/10
G03G15/16
(21)【出願番号】P 2019034157
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】村松 武流
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-092124(JP,A)
【文献】特開2007-256740(JP,A)
【文献】特開2014-095819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/02
G03G 13/14-13/16
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/14-15/16
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/10-21/12
G03G 21/14
G03G 21/16-21/18
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式の画像形成装置に配置されたクリーニング装置より回収した廃トナーを搬送する廃トナー搬送ダクトであって、
前記廃トナー搬送ダクトは、廃トナー搬送方向に沿った長い長手部材であり、それぞれ反りの発生が許容された上側ダクト部材と下側ダクト部材とを組付けることにより構成され、
前記廃トナー搬送ダクトの内部に設けられ、回収した前記廃トナーを搬送する搬送部材を備え、
前記反りの発生により、前記上側ダクト部材と前記下側ダクト部材との距離が遠くなる部位の両部材の嵌合部に、該両部材の一定量の離間を可能とする隙間を設けた廃トナー搬送ダクト。
【請求項2】
前記上側ダクト部材と前記下側ダクト部材とは、それぞれ樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の廃トナー搬送ダクト。
【請求項3】
前記上側ダクト部材は、前記クリーニング装置より回収した前記廃トナーを受け入れる廃トナー受入口を上側に有する略箱状の部材であり、
前記下側ダクト部材は、前記搬送部材の外径よりも大きな内径を有する略半円筒状の部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃トナー搬送ダクト。
【請求項4】
前記上側ダクト部材は上反り、前記下側ダクト部材は下反りであることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の廃トナー搬送ダクト。
【請求項5】
前記上側ダクト部材は下反り、前記下側ダクト部材は上反りであることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の廃トナー搬送ダクト。
【請求項6】
前記隙間の量は、前記両部材の上下間より前記廃トナーが漏れる隙間量よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1~5の何れか1つに記載の廃トナー搬送ダクト。
【請求項7】
前記隙間の量は、前記上側ダクト部材の前記反り量よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項6に記載の廃トナー搬送ダクト。
【請求項8】
複数の潜像担持体にそれぞれ対応して配置され、複数の前記潜像担持体上の転写残トナーをクリーニングする潜像担持体クリーニング装置と、複数の前記潜像担持体上のトナー像を転写体に転写した後の前記転写体上の転写残トナーをクリーニングする転写体クリーニング装置とを有する画像形成装置において、
請求項1~7の何れか1つに記載の廃トナー搬送ダクトを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃トナー搬送ダクト及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、感光体や転写ベルト表面に残った転写残トナーを(以下、「廃トナー」ともいう)廃トナー容器に送り回収する技術が既知である。感光体や転写ベルトの各クリーニング装置より落下した廃トナーを、スクリューを内包するダクトにて搬送し、ダクトの鉛直下方に配置した廃トナー収納容器(以下、「廃トナー回収容器」ともいう)のトナー受入口に廃トナーを落下させる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の廃トナー搬送ダクトにおいて、トナー詰まりを起こさないためには、ダクトへの廃トナーの流入量よりも搬送能力が上回る必要がある。スクリューの羽根の外側の廃トナーは搬送できないので、搬送能力を高くするには廃トナー搬送路であるダクト下の内径とスクリューの外径の差は小さいことが望ましい。
【0004】
一般的な廃トナー搬送ダクトは、廃トナー搬送ダクトを構成する部品や部材のコスト、及び成型しやすい金型形状を考慮して上下に分割された樹脂部品の組合せで構成されることが多く、クリーニング装置からの廃トナーの受入口を設けるとともに略箱状に形成された上側部品と、廃トナー回収容器への廃トナーの受渡口を設けるとともに略半円筒形状に形成された下側部品との組合せにて構成される。
【0005】
上記の廃トナー搬送ダクトを構成する樹脂部品は、フルカラー機においては4色分の感光体と転写ベルトの各クリーニング装置からの廃トナーを受け入れるため、感光体及び転写ベルトの駆動軸と直交する方向に長い部品である。
電子写真装置本体の小型化の需要もあり、廃トナー搬送ダクトを構成する上下2部品についても廃トナー搬送の機能上必要となる最低限の断面積となることが多く、部品の反りを防止するための形状追加が困難である。
【0006】
廃トナー搬送ダクトは、内側に設けたスクリューにて、ダクト内の廃トナーを搬送する部品であるため、廃トナー漏れのリスクを下げるためにも上下2部品間は隙間無しで組み合わせる構成が一般的である。
これら2つの長手の樹脂部品を組み合わせると、剛性の高い部品の反り形状に剛性の低い部品形状が倣う。
【0007】
廃トナー搬送ダクトを構成する上側部品(以下、「上側ダクト部材」と言い替える)は、廃トナーの受入口を備えることから略箱型の形状であり、下側部品(以下、「上側ダクト部材」と言い替える)は、廃トナーが溜まる搬送路となる部材のため、内包するスクリュー外径よりも大きい内径を備えた略半円筒形状である。
箱型で且つ断面積の大きい上側ダクト部材の方が剛性が高くなりやすい。また、部材の形状により上側ダクト部材は上反り、下側ダクト部材は下反りになりやすい傾向にある。
【0008】
これら2部材を隙間無く組み合わせた場合、剛性の高い上側ダクト部材の上反りに倣い廃トナー搬送ダクト全体としては上反りとなる。これにより、廃トナー搬送ダクトの長手方向の中央近傍で内包するスクリュー外径と、下側ダクト部材の内径が接近し、バラツキによっては接触し、異音の原因になるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、廃トナー搬送方向に沿って長い長手部材で、それぞれ反りが許容される上側ダクト部材と下側ダクト部材との組合せで構成される廃トナー搬送ダクトにおいて、剛性が高い側の一方のダクト部材が反りを有していても、組合せ状態において、剛性が低い側の他方のダクト部材が剛性の高い側の一方のダクト部材の反り形状に倣うことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、電子写真方式の画像形成装置に配置されたクリーニング装置より回収した廃トナーを搬送する廃トナー搬送ダクトであって、前記廃トナー搬送ダクトは、廃トナー搬送方向に沿った長い長手部材であり、それぞれ反りの発生が許容された上側ダクト部材と下側ダクト部材とを組付けることにより構成され、前記廃トナー搬送ダクトの内部に設けられ、回収した前記廃トナーを搬送する搬送部材を備え、前記反りの発生により、前記上側ダクト部材と前記下側ダクト部材との距離が遠くなる部位の両部材の嵌合部に、該両部材の一定量の離間を可能とする隙間を設けた廃トナー搬送ダクトにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、剛性が高い側の一方のダクト部材が反りを有していても、組合せ状態において、剛性が低い側の他方のダクト部材が剛性の高い側の一方のダクト部材の反り形状に倣うことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態を適用する画像形成装置の概略的な構成図である。
【
図2】従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの構成を説明する図である。
【
図3】従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの一般的な実装状態及び構成を説明する一部断面斜視図である。
【
図4】従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの構成を説明する断面図である。
【
図5】従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの一般的な構成を説明する図である。
【
図6】従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの嵌合部を示す一部断面斜視図である。
【
図7】従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの上下ダクト部材の接触部形状を示す一部断面拡大斜視図である。
【
図8】実施例1に係る廃トナー搬送ダクトの図である。
【
図9】実施例1に係る廃トナー搬送ダクトにおいて、上側ダクト、下側ダクトに発生している反りを説明する図である。
【
図10】実施例1に係る廃トナー搬送ダクトの嵌合部の構成を説明する斜視図である。
【
図11】実施例2に係る廃トナー搬送ダクトの図である。
【
図12】実施例2に係る廃トナー搬送ダクトにおいて、上側ダクト、下側ダクトに発生している反りを説明する図である。
【
図13】実施例2に係る廃トナー搬送ダクトの嵌合部の構成を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能及び形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図及び説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。
【0014】
図1を用いて、本発明の一実施形態を適用する電子写真方式の画像形成装置の一例としての複写機について説明する。
図1は本発明の一実施形態を適用する画像形成装置の概略的な構成図である。
図1に示すように、画像形成装置500は、画像形成装置本体に設けられた画像形成部としてのプリンタ部100、給紙テーブルとしての給紙部200及びプリンタ部100上に取り付けられたスキャナとしてのスキャナ部300を有する。
給紙部200は、シートないし転写材としての転写紙Pを積載収容している上下2段の給紙カセット10a,10bと、各給紙カセット10a,10bに積載されている最上の転写紙Pを給送する給紙ローラ11とを備えている。
【0015】
プリンタ部100は、4つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)と、
図1中の矢印A方向に移動する転写体ないし中間転写体としての中間転写ベルト7と、露光手段としての露光装置6と、定着手段としての定着装置12等とを備えている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラに張架されて
図1中の矢印A方向に移動するように構成されている。
4つのプロセスカートリッジ1の、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー用、マゼンタ用、シアン用、黒(ブラック)用部材の仕様であることを示している。4つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、以下、Y,M,C,Kという添字を省略して説明する。
【0016】
プロセスカートリッジ1は、潜像担持体であるドラム状の感光体2、帯電手段である帯電部材3、現像手段である現像装置4、及びクリーニング手段・クリーニング装置である感光体クリーニング装置5を一体的に支持してユニット化した構成となっている。各プロセスカートリッジ1は、それぞれに配置されている着脱手段であるストッパー部材を解除することにより、画像形成装置本体に対して着脱可能となっている。感光体クリーニング装置5には、感光体2上に残った残留トナーを回収搬送する回収トナー搬送スクリュ60が設けられている。
【0017】
感光体2は、
図1中矢印で示すように、図中の時計回り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。帯電部材3には、作像時において、高圧電源により所定の帯電バイアスが印加され、感光体2の表面を一様に帯電する。本実施形態1のプロセスカートリッジ1は、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式のものを用いてもよい。
【0018】
露光装置6は、スキャナ部300で読み込んだ原稿画像の画像情報又はパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、感光体2の表面に対して露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置6は、レーザダイオードを用いたレーザビームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でもよい。
潜像担持体クリーニング装置としての感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナー等のクリーニングを行う。
【0019】
4つのプロセスカートリッジ1は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色ごとのトナー像を感光体2上に形成する。4つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
【0020】
図1において、各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されている。一次転写ローラ8には、高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが、配置されている駆動モータによって回転駆動されることによって、中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
【0021】
4つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に二次転写ローラ9が配置されている。この二次転写ローラ9と中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成するとともに、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。そして、給紙部200における給紙カセット10a,10bの何れかから転写紙Pを給送するよう制御部から出力される信号に基づいて、給紙カセット10a,10bの何れか一方から転写紙Pが給紙される。次いで、
図1中の矢印S方向に搬送される転写紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に形成された二次転写電界によって転写紙Pに転写される。
【0022】
二次転写ニップに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した転写紙Pは定着装置12に到達し、定着装置12における加熱及び加圧によって転写紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された転写紙Pは画像形成装置500の装置外に出力される。
一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留した残留トナー等は、転写体クリーニング装置としての転写ベルトクリーニング装置13によって回収される。
【0023】
図1に示すように、中間転写ベルト7の上方には、各色トナーを収容するトナーボトル400(Y,M,C,K)が画像形成装置本体に対して着脱可能に配置されている。各色のトナーボトル400に収容された現像剤であるトナーは、各色に対応するトナー補給装置(各色のトナーボトル400と対応する各色の現像装置4とを繋ぐ装置である)によって、各色の現像装置4に供給される。本実施形態の現像装置4は、一成分現像方式であり、現像剤としてトナーだけで構成される一成分系現像剤が用いられる。また、トナーとしては、低温定着可能なものを用いている。
【0024】
図2~
図7を用いて、
図1の画像形成装置に配設される廃トナー搬送ダクトの従来技術例について説明する。
図2は従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの構成を説明する図であって、
図2(a)は従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの外観正面図、
図2(b)は
図2(a)の断面図、
図2(c)は廃トナー搬送ダクトを構成する部材の反り及び問題点を説明する図である。
図3は従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの一般的な実装状態及び構成を説明する一部断面斜視図、
図4は従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの構成を説明する断面図、
図5(a)は従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの一般的な構成を説明する正面図、
図5(b)は
図5(a)のS5-S5断面図である。
図6は従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの嵌合部を示す一部断面斜視図、
図7は従来技術例に係る廃トナー搬送ダクトの上下ダクト部材の接触部形状を示す一部断面拡大斜視図である。
なお、
図4の断面図や
図6の一部断面斜視図においては、図の簡明化のため断面ハッチングは一部(搬送スクリュの軸及び嵌合部)にのみ付している(後述の
図10や
図13でも同じ)。
【0025】
図2(a)、
図2(b)に示す従来技術例に係る廃トナー搬送ダクト55は、廃トナー搬送方向Bに沿って長い長手部材で構成されていて、
図1に示した4つのプロセスカートリッジ1と露光装置6との間に配置される。
図1において、X方向は廃トナー搬送ダクト55の長手方向であり、Z方向はX方向と直交する上下(高さ)方向である。
廃トナー搬送ダクト55は、それぞれ樹脂で形成された長手部材である上側ダクト部材としての上側ダクト16と、下側ダクト部材としての下側ダクト26との嵌合・組み付けにて構成される。
【0026】
上側ダクト16は、
図2(a)、
図2(b)に示すように、
図1に示した各色の感光体クリーニング装置5より自由落下する廃トナーの受入口である複数の廃トナー受入口17(Y,M,C,K)と、転写ベルトクリーニング装置13より自由落下する廃トナーの廃トナー受入口18とを有する。上側ダクト16は、
図3~
図6に示すように、略箱状の形状で形成されている。
【0027】
図2、
図3に示すように、廃トナー搬送ダクト55は、上側ダクト16が上側ダクト16と一体的に形成された取付ブラケット19が装置本体である
図1のプリンタ部100に配置されている側板56にネジで締結されることで、取付・固定される。
【0028】
下側ダクト26は、
図2(a)、
図2(b)に示すように、廃トナー回収容器28に廃トナーを受け渡す廃トナー供給口27を有している。また、下側ダクト26には、廃トナー搬送方向Bに廃トナーを搬送する搬送部材としての搬送スクリュ29が設けられている。廃トナーの搬送能力を確保するために長手形状の下側ダクト26の大部分は、搬送スクリュ29の外径に対して隙間を設けた内径を有する略半円筒の形状で形成されている(
図3~
図6参照)。
【0029】
図2に示す廃トナー搬送ダクト55は、上記したように、上側ダクト16と下側ダクト26との長手方向である廃トナー搬送方向Bの複数箇所の嵌合・組み付けにて構成されている。
図2(a)に示すように、上側ダクト16と下側ダクト26との嵌合部20は、紙面の手前側に4箇所、紙面の奥側に4箇所の計8箇所設けられている。
ここで、理解しやすくするために、
図2(a)に示した計8箇所の嵌合部20に代えて、
図5に示すように、紙面の手前側に3箇所、紙面の奥側に3箇所の計6箇所の嵌合部20を設けた廃トナー搬送ダクト55について以下説明する。
【0030】
嵌合部20は、
図5、
図6に示すように、上側ダクト16に一体形成された凸部21と、凸部21と嵌合可能であって、下側ダクト26に一体形成された凹部30とによって構成されている。凸部21は、上側ダクト16の外壁面から外側へ向けて突起状に突出して形成されている。凹部30は、下側ダクト26の外壁面から突出し、上方向に延びて凸部21を貫通させるような枠形状で形成されている。
【0031】
図5(b)において、符号Tは廃トナーの粉面を示している。
図5(b)では嵌合状態を見やすくするために、正面図である
図5(a)に示す凸部21と比べて、凸部21を上下方向に故意に小さくして図示している。また、
図5(b)では、上側ダクト16と下側ダクト26の部材の厚さを省略して図示している(これらは後述する実施例1、2の
図8、
図11でも同じ)。
【0032】
従来技術例の廃トナー搬送ダクト55では、嵌合部20には、凸部21と凹部30とが上下方向に離れる方向での積極的な隙間は設けていない。換言すれば、設計上での嵌合部20の隙間は無しで、関連寸法を片側公差とすることで、バラツキによる嵌合不可を回避している。廃トナー搬送ダクト55の長手方向端部には、搬送スクリュ29の軸29bを支持する軸受22が組み付けられている。
【0033】
図7に示すように、上側ダクト16と下側ダクト26とが接触する接触部には、上側ダクト16に形成されたテーパ部23と、下側ダクト26に形成されたテーパ部31とが互いに接触することで、上側ダクト16と下側ダクト26とが上下方向に離間しても隙間は発生しにくい構成となっている。
【0034】
搬送スクリュ29と下側ダクト26(下側ダクト26の底壁内面)との間の隙間は、狭いほうが廃トナーの搬送性能が高くなるため、極力狭くなるように設計される。しかしながら、下側ダクト26の反り、バラツキ等により接触すると異音が発生するリスクがあるため、これを回避することが必要となる(
図4で破線四角枠で囲んだ部位参照)。
【0035】
具体的には、
図2(c)に模式的に示すように、略箱状で剛性が相対的に高い上側ダクト16に上反りが発生している状態で、複数箇所(紙面手前側で4箇所、紙面奥側で4箇所)の組付部(隙間を設けない嵌合部20)にて上側ダクト16と下側ダクト26とを組み付けた場合、略半円筒状で剛性が相対的に低い下側ダクト26の形状は上側ダクト16に追従し上反りとなる。その結果、搬送スクリュ29の長手方向の中央部付近の搬送スクリュ下端部29aが下側ダクト26(の底壁内面)に接触して異音が発生してしまう。
【0036】
そこで、上述した従来技術例の問題点を解消した実施例について以下に説明にする。
(実施例1)
図8~
図10を用いて、実施例1に係る廃トナー搬送ダクトについて説明する。
図8(a)は実施例1に係る廃トナー搬送ダクトの正面図、
図8(b)は
図8(a)のS8-S8断面図である。
図9は上側ダクト16、下側ダクト26に発生している反りを説明する図、
図10は実施例1に係る廃トナー搬送ダクトの嵌合部の構成を説明する斜視図である。
図8に示す実施例1に係る廃トナー搬送ダクト15は、
図2~
図7に示した従来技術例に係る廃トナー搬送ダクト55と比較して、第1に、
図9に示すように、上側ダクト16は上反り、下側ダクト26は下反りになっていることを特定した点が相違する。第2に、上側ダクト16及び下側ダクト26の上記反りの発生により、上側ダクト16と下側ダクト26との上下方向の距離が遠くなる部位(長手方向の中央部)の両部材の嵌合部20に、該両部材の一定量の離間を可能とする隙間CLを設けた点が主に相違する。
【0037】
図9に示すように、剛性の高い略箱状の上側ダクト16が上反り、剛性の低い略半円筒状の下側ダクト26が下反りになっている。従来技術例のように嵌合部20に隙間を設けない場合、下側ダクト26の反り形状は上側ダクト16に追従し上反りとなる。
実施例1を適用した廃トナー搬送ダクト15では、
図8に示すように、長手方向3箇所の嵌合部20(図示しない紙面奥側を含めると計6箇所)の中央部近傍の嵌合部に、すなわち上側ダクト16と下側ダクト26との上下方向の距離が遠くなる部位の両部材の嵌合部20に、該両部材の一定量の離間を可能とする隙間CLを積極的に設けている。
【0038】
実施例1によれば、嵌合部20に隙間CLを設けた分だけ、上側ダクト16の上反り形状への下側ダクト26の追従を軽減ないしは回避することができる。これにより、搬送スクリュ29の長手方向の中央部付近で上反りとなった下側ダクト26に接触して異音が発生してしまう不具合を未然に防止することができる。
【0039】
(実施例2)
図11~
図13を用いて、実施例2に係る廃トナー搬送ダクトについて説明する。
図11(a)は実施例2に係る廃トナー搬送ダクトの正面図、
図11(b)は
図11(a)のS11-S11断面図である。
図12は上側ダクト16、下側ダクト26に発生している反りを説明する図、
図13は実施例2に係る廃トナー搬送ダクトの嵌合部の構成を説明する斜視図である。
図11に示す実施例2に係る廃トナー搬送ダクト15は、
図8~
図10示した実施例1に係る廃トナー搬送ダクト15と比較して、第1に、上側ダクト16は下反り、下側ダクト26は上反りになっていることを特定した点が相違する。第2に、上側ダクト16及び下側ダクト26の上記反りの発生により、上側ダクト16と下側ダクト26との上下方向の距離が遠くなる部位(長手方向の左右両端部)の両部材の嵌合部20に、該両部材の一定量の離間を可能とする隙間CLを設けた点が主に相違する。
【0040】
図12に示すように、剛性の高い略箱状の上側ダクト16が下反り、剛性の低い略半円筒状の下側ダクト26が上反りになっている。従来技術例のように嵌合部20に隙間を設けない場合、下側ダクト26の反り形状は上側ダクト16に追従し下反りとなるが、樹脂成型型での成形条件や樹脂材料によっては、実施例2のような場合も考えられるので、上記のように規定した。
【0041】
実施例2を適用した廃トナー搬送ダクト15では、
図11に示すように、長手方向3箇所の嵌合部20(図示しない紙面奥側を含めると計6箇所)の左右両端部の嵌合部20に、すなわち上側ダクト16と下側ダクト26との上下方向の距離が遠くなる部位の両部材の嵌合部20に、該両部材の一定量の離間を可能とする隙間CLを積極的に設けている。これにより、実施例2でも隙間CLを設けた分だけ、上側ダクト16の下反り形状への下側ダクト26の追従を軽減することができる。
【0042】
次に、実施例1及び2に共通する構成について説明する。剛性の高い略箱状の上側ダクト16と、相対的に剛性の低い半円筒状の下側ダクト26とを嵌合部で嵌合した場合、両部材間に隙間を設けない場合、剛性の低い下側ダクト26が剛性の高い上側ダクト16の反り形状に追従する。この際、実施例1のように上側ダクト16が上反りの場合、下側ダクト26も追従して上反りとなり、内包する搬送スクリュ29と下側ダクト26間の隙間が長手方向の中央近傍で狭くなり接触しやすくなる。
これを回避するために、嵌合部に隙間を設け上下両ダクトを嵌合しても、剛性の低い下側ダクト26が剛性の高い上側ダクト16の反り形状に追従しなくなる。しかしながら、本来の廃トナー搬送機能を維持するためにはトナー漏れが発生しない範囲での隙間量を設定する必要がある。
【0043】
上記した点を踏まえると、実施例1及び2共に、両部材の一定量の離間を可能とする嵌合部20の隙間CLの寸法・量は、両部材の上下間より廃トナーが漏れる隙間量よりも小さく設定されていること(両部材の上下間より廃トナーが漏れる隙間量>両部材の一定量の離間を可能とする隙間CLの寸法・量)が前提となる。
【0044】
また、上記した点を踏まえると、実施例1及び2共に、両部材の一定量の離間を可能とする嵌合部20の隙間CLの寸法・量は、上側ダクト16の反り量よりも大きく設定されていること(両部材の上下間より廃トナーが漏れる隙間量>両部材の一定量の離間を可能とする隙間CLの寸法・量>上側ダクト16の反り量)が必要である。
これにより、アセンブリ・組み付け状態の廃トナー搬送ダクト15において、上側ダクト16の反り量は下側ダクト26の反り形状にまったく影響を与えなくなる。
【0045】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記実施形態や実施例等に記載した技術事項を適宜組み合わせたものであってもよい。
【0046】
本発明を適用する廃トナー搬送ダクトは、上側ダクト部材及び下側ダクト部材が樹脂で形成されたものに限らず、一般的に反りが許容される樹脂以外の材料で形成ないしは構成されていてもよい。
また、本発明を適用する電子写真方式の画像形成装置は、
図1に示したタンデム型の中間転写方式の画像形成装置に限らず、タンデム型の直接転写方式の画像形成装置等にも適用できる。
【0047】
本発明の実施の形態に適宜記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0048】
1 プロセスカートリッジ
2 感光体(潜像担持体)
3 帯電部材
4 現像装置
5 感光体クリーニング装置(潜像担持体クリーニング装置の一例)
6 露光装置
7 中間転写ベルト
13 転写ベルトクリーニング装置(転写体クリーニング装置の一例)
15 廃トナー搬送ダクト
16 上側ダクト(上側ダクト部材の一例)
17 廃トナー受入口
18 廃トナー受入口
20 嵌合部
21 凸部(嵌合部の構成要素)
26 下側ダクト(下側ダクト部材の一例)
27 廃トナー供給口
28 廃トナー回収容器
29 搬送スクリュ(搬送部材の一例)
30 凹部(嵌合部の構成要素)
500 画像形成装置
B 廃トナー搬送方向
CL 隙間
T 廃トナー
Z 上下方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】