(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】表示システム、表示制御装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 5/14 20060101AFI20221109BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20221109BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221109BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20221109BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20221109BHJP
【FI】
G09G5/14 A
G09G5/36 510A
G09G5/00 510H
G09G5/36 510M
G09G5/00 550X
A61B6/00 360Z
G06F3/04842
(21)【出願番号】P 2019062193
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一郎
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-270328(JP,A)
【文献】特開2009-036587(JP,A)
【文献】特開2006-314702(JP,A)
【文献】国際公開第2017/061155(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00-5/42
A61B 6/00
A61B 5/00
G06F 3/04842
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
表示画面を有し、前記制御部による制御に基づいて当該表示画面に表示を行う表示部と、
入力操作を受け付ける操作受付部と、
を備え、
前記制御部は、複数の異なるタイミングで順番に取得されたX線による連続画像に係るサムネイルを前記表示画面に表示させる場合における前記サムネイルとして、前記連続画像について予め定められた設定に応じた画像を選択
する表示システムであって、
前記サムネイルには、前記連続画像の先頭画像以外のものが含まれ、
前記設定は、少なくとも前記連続画像のオリジナル画像及び当該オリジナル画像を処理した処理画像を含む複数の画像の種別の組み合わせに応じてそれぞれ複数定められ、
前記表示画面には、前記複数の設定の各々に対応付けられた選択ボタンが表示され、
前記制御部は、前記操作受付部が受け付けた入力操作に応じていずれかの
前記選択ボタンが
選択された場合に、当該
選択ボタンに対応付けられた前記設定に応じた前記オリジナル画像及び前記処理画像の前記サムネイルを前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記連続画像の前記オリジナル画像及び当該オリジナル画像を処理した処理画像をも保持する記憶部を備え、
前記制御部は、前記操作受付部で前記設定が指定されない場合、前記記憶部に保持されている前記オリジナル画像及び前記処理画像の種別に応じて前記設定の選択を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記サムネイルとして選択される画像には、前記連続画像の解析結果に係るグラフの表示画像が含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の表示システム。
【請求項4】
前記表示画面には、複数の前記サムネイルを表示可能であり、
前記制御部は、所定の外部命令が取得された場合に、前記表示部に表示させる全ての前記サムネイルを前記設定に応じて再選択する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作受付部が受け付けた入力操作に基づいて前記外部命令を取得する
ことを特徴とする請求項4記載の表示システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記設定に応じて前記連続画像から複数のタイミングの画像を選択し、当該複数のタイミングの画像を順番につないだ動画を前記サムネイルとすることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項7】
前記連続画像は、被験者の胸部の撮影画像であり、
前記設定に基づいて選択される画像には、呼吸時における最大呼気の状態、最大吸気の状態、並びに最大呼気の状態及び最大吸気の状態の間における所定の中間状態のうち少なくともいずれかのタイミングにおける画像を含む
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記入力操作に応じて前記表示画面内で前記サムネイルがポインターにより指示されている場合に、当該サムネイルに係る前記連続画像を表示させる
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項9】
制御部を備え、
前記制御部は、複数の異なるタイミングで順番に取得されたX線による連続画像に係るサムネイルを表示部の表示画面に表示させる場合における前記サムネイルとして、前記連続画像について予め定められた設定に応じた画像を選択
する表示制御装置であって、
前記サムネイルには、前記連続画像の先頭画像以外のものが含まれ、
前記設定は、少なくとも前記連続画像のオリジナル画像及び当該オリジナル画像を処理した処理画像を含む複数の画像の種別の組み合わせに応じてそれぞれ複数定められ、
前記表示画面には、前記複数の設定の各々に対応付けられた選択ボタンが表示され、
前記制御部は、操作受付部でいずれかの
前記選択ボタンが
選択された場合に、当該
選択ボタンに対応付けられた前記設定に応じた前記オリジナル画像及び前記処理画像の前記サムネイルを前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項10】
表示画面を有し、当該表示画面に表示を行う表示部の表示制御方法であって、
外部命令を取得する取得ステップ、
複数の異なるタイミングで順番に取得されたX線による連続画像に係るサムネイルを前記表示画面に表示させる場合における前記サムネイルとして、前記連続画像について予め定められた設定に応じた画像を選択する選択ステップ、
を含み、
前記サムネイルには、前記連続画像の先頭画像以外のものが含まれ、
前記設定は、少なくとも前記連続画像のオリジナル画像及び当該オリジナル画像を処理した処理画像を含む複数の画像の種別の組み合わせに応じてそれぞれ複数定められ、
前記表示画面には、前記複数の設定の各々に対応付けられた選択ボタンが表示され、
操作受付部でいずれかの
前記選択ボタンが
選択された場合に、当該
選択ボタンに対応付けられた前記設定に応じた前記オリジナル画像及び前記処理画像の前記サムネイルを前記表示画面に表示する表示ステップをさらに含む、
ことを特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示システム、表示制御装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影された生体の医療画像を診断用途などで表示することのできるコンピューターがある。医療画像には、X線を用いた画像が含まれる。近年、X線画像において、単独の静止画像による解析、診断だけではなく、呼吸時の肺の伸縮及び血管の移動といった撮影対象部位の変動を連続的に撮影して解析する動態解析がなされている。
【0003】
連続する複数の画像及び動画といった連続画像データでは、通常、診断に重要な画像が当該連続画像データの途中に存在する。これに対し、連続画像中の所望の画像位置に栞を設定し、容易に必要な画像を読み出しやすくする技術がある(特許文献1)。また、過去の画像データに対応付けられた小型のサムネイルを配列表示させ、選択されたサムネイルに対応する画像データを読み出す構成がしばしば用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、連続画像や動画の画像データでは、通常、先頭の画像がサムネイルの画像として設定されている。したがって、どのサムネイルが必要な画像データに対応付けられているのかを容易に判別することができず、必要な画像データを選択して見られるようにするまでに手間を要する場合があるという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、より容易にユーザーが所望の画像データを選択することのできる表示システム、表示制御装置及び表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
制御部と、
表示画面を有し、前記制御部による制御に基づいて当該表示画面に表示を行う表示部と、
入力操作を受け付ける操作受付部と、
を備え、
前記制御部は、複数の異なるタイミングで順番に取得されたX線による連続画像に係るサムネイルを前記表示画面に表示させる場合における前記サムネイルとして、前記連続画像について予め定められた設定に応じた画像を選択する表示システムであって、
前記サムネイルには、前記連続画像の先頭画像以外のものが含まれ、
前記設定は、少なくとも前記連続画像のオリジナル画像及び当該オリジナル画像を処理した処理画像を含む複数の画像の種別の組み合わせに応じてそれぞれ複数定められ、
前記表示画面には、前記複数の設定の各々に対応付けられた選択ボタンが表示され、
前記制御部は、前記操作受付部が受け付けた入力操作に応じていずれかの前記選択ボタンが選択された場合に、当該選択ボタンに対応付けられた前記設定に応じた前記オリジナル画像及び前記処理画像の前記サムネイルを前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする表示システムである。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の表示システムにおいて、
前記連続画像の前記オリジナル画像及び当該オリジナル画像を処理した処理画像を保持する記憶部を備え、
前記制御部は、前記操作受付部で前記設定が指定されない場合、前記記憶部に保持されている前記オリジナル画像及び前記処理画像の種別に応じて前記設定の選択を行う、
ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の表示システムにおいて、
前記サムネイルとして選択される画像には、前記連続画像の解析結果に係るグラフの表示画像が含まれることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、
前記表示画面には、複数の前記サムネイルを表示可能であり、
前記制御部は、所定の外部命令が取得された場合に、前記表示部に表示させる全ての前記サムネイルを前記設定に応じて再選択する
ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の表示システムにおいて、
前記制御部は、前記操作受付部が受け付けた入力操作に基づいて前記外部命令を取得する
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、
前記制御部は、前記設定に応じて前記連続画像から複数のタイミングの画像を選択し、当該複数のタイミングの画像を順番につないだ動画を前記サムネイルとすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、
前記連続画像は、被験者の胸部の撮影画像であり、
前記設定に基づいて選択される画像には、呼吸時における最大呼気の状態、最大吸気の状態、並びに最大呼気の状態及び最大吸気の状態の間における所定の中間状態のうち少なくともいずれかのタイミングにおける画像を含む
ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項8記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、
前記制御部は、前記入力操作に応じて前記表示画面内で前記サムネイルがポインターにより指示されている場合に、当該サムネイルに係る前記連続画像を表示させる
ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、
制御部を備え、
前記制御部は、複数の異なるタイミングで順番に取得されたX線による連続画像に係るサムネイルを表示部の表示画面に表示させる場合における前記サムネイルとして、前記連続画像について予め定められた設定に応じた画像を選択する表示制御装置であって、
前記サムネイルには、前記連続画像の先頭画像以外のものが含まれ、
前記設定は、少なくとも前記連続画像のオリジナル画像及び当該オリジナル画像を処理した処理画像を含む複数の画像の種別の組み合わせに応じてそれぞれ複数定められ、
前記表示画面には、前記複数の設定の各々に対応付けられた選択ボタンが表示され、
前記制御部は、操作受付部でいずれかの前記選択ボタンが選択された場合に、当該選択ボタンに対応付けられた前記設定に応じた前記オリジナル画像及び前記処理画像の前記サムネイルを前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする表示制御装置である。
【0017】
また、請求項10記載の発明は、
表示画面を有し、当該表示画面に表示を行う表示部の表示制御方法であって、
外部命令を取得する取得ステップ、
複数の異なるタイミングで順番に取得されたX線による連続画像に係るサムネイルを前記表示画面に表示させる場合における前記サムネイルとして、前記連続画像について予め定められた設定に応じた画像を選択する選択ステップ、
を含み、
前記サムネイルには、前記連続画像の先頭画像以外のものが含まれ、
前記設定は、少なくとも前記連続画像のオリジナル画像及び当該オリジナル画像を処理した処理画像を含む複数の画像の種別の組み合わせに応じてそれぞれ複数定められ、
前記表示画面には、前記複数の設定の各々に対応付けられた選択ボタンが表示され、
操作受付部でいずれかの前記選択ボタンが選択された場合に、当該選択ボタンに対応付けられた前記設定に応じた前記オリジナル画像及び前記処理画像の前記サムネイルを前記表示画面に表示する表示ステップをさらに含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に従うと、より容易にユーザーが所望の画像データを選択することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】リスト表示画面における他の表示例を示す図である。
【
図4】保持する画像データについて説明する図表である。
【
図5】サムネイルの選択に係るプリセットについて説明する図表である。
【
図6】リスト表示制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の表示制御装置であるコンピューター10を含む表示システム1の機能構成を示すブロック図である。
【0021】
表示システム1は、コンピューター10と、動画撮影装置20とを含み、これらがネットワーク接続されている。ネットワークは、LAN(Local Area Network)を介した有線接続であってもよいし、無線LANなどによる無線接続であってもよい。また、ネットワーク内にはハブ及び/又はルーターなどが含まれて、これらを介してデータの送受信がなされてもよい。表示システム1は、病院情報システム(Hospital Information System)、及び/又は放射線科情報システム(Radiology Information System)の一部であってもよい。
【0022】
動画撮影装置20(モダリティともいう)は、医療診断に用いられる各種画像、ここでは、X線により撮影された被験者の肺(胸部)の画像(X線画像)を連続的に取得する。複数の異なるタイミングで順番に撮影(取得)、配列されたX線画像(連続画像)のデータは、静止画像データの組であってもよいし、動画データであってもよい。ここでいう連続画像の撮影間隔は、撮影部位の変化、例えば、肺の撮影では、呼吸の周期に応じた時間スケールより短い間隔であれば、一般的に規定されている動画のフレーム間隔より広くてもよく、必ずしも全て等間隔でなくてもよい。
【0023】
動画撮影装置20は、図示略の制御部を有し、取得された画像データに対してDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)の規格に基づいてタグを用いて記述された識別情報(撮影機器、撮影日時、撮影対象、撮影条件など)や付帯情報などを含むヘッダーを生成する。動画撮影装置20は、また、撮影されたX線画像データを制御部が解析して、時間的に隣り合う撮影データ間の差分データを取得したり、取得された画像のうち所定のタイミングのものに標識付けしたりすることができる。肺の画像では、被験者の呼吸に応じて周期的な伸縮が生じるので、最も収縮した最大呼気のタイミングと最も拡張した最大吸気のタイミングとが特定される。また、例えば、これらの最大呼気と最大吸気の時間的に中央のタイミングが中間タイミングとして設定されてよい。
【0024】
なお、動画撮影装置20で解析、標識付けされるのではなく、動画撮影装置20とは別の画像解析装置を別途備えて、動画撮影装置20から出力された画像データが当該画像解析装置で解析及び標識付けされてもよい。取得及び標識付けがなされた画像データは、コンピューター10に送信される。
【0025】
コンピューター10は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、操作受付部14と、表示部15などを備える。コンピューター10は、通常のPC(Personal Computer)であってよく、あるいは、医療画像の処理に係る専用のハードウェア構成を備える処理装置であってもよい。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、コンピューター10の動作を統括制御するプロセッサーである。制御部11は、記憶部13に記憶されたプログラムを読み込んで実行することで、画像データの選択及び表示、並びに診断内容に係る所見の入力及び表示などが可能である。また、制御部11は、入力された画像データを再度解析処理することができる。
【0027】
通信部12は、上記ネットワークに接続されて、所定の通信規格に従ってコンピューター10と外部との通信を制御する。通信規格としては、例えば、上記LANに係るTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)などであり、これらに応じたネットワークカードなどを有している。
【0028】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はフラッシュメモリーなどの不揮発性の補助記憶装置を有し、プログラム、設定データ及び撮影データなどを記憶する。記憶部13には、一時的に大容量の画像データ及び/又はその処理データなどを記憶するための揮発性メモリー(RAM)などを有していてもよい。
【0029】
記憶部13に記憶されるデータには、例えば、診断情報131、撮影データ132及びプリセットデータ133(予め定められた設定)などが含まれる。診断情報131は、撮影、取得された画像データに被験者に係る情報を含む。被験者のIDなどにより、撮影データ132との対応付けがなされる。撮影データ132は、動画撮影装置20から取得された画像(X線画像)データを含む。なお、診断情報131及び撮影データ132は、それぞれ別個の又は同一のデータベース装置の記憶部に記憶されていて、必要に応じて読み出され、一時記憶されてもよい。データベース装置又はコンピューター10は、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System;PACS)の一部であってもよい。プリセットデータ133は、後述のように連続画像に対するサムネイルとして適切な当該連続画像中のタイミングに係る設定データである。
【0030】
操作受付部14は、ユーザーなどによる外部からの入力操作を受け付けて、制御部11に入力信号として出力する。操作受付部14は、例えば、キーボードの押下操作、マウスのポイント、クリック、ホイールの回転操作など、及び/又はタッチパネルのタッチ、ドラッグなどの入力操作を受け付ける。
【0031】
表示部15は、デジタル表示画面、例えば、液晶表示画面(LCD)などを有し、制御部11の制御に基づいて当該デジタル表示画面への表示動作を行う。
【0032】
次に、肺を対象とする胸部の連続画像の種別(画像モード)について説明する。連続画像の撮影では、通常に撮影された画像から、注目部位に応じて、注目部位以外の表示を減衰させたり、注目部位を強調表示させたりすることができる。例えば、肺と、肺の周囲の組織、例えば、骨などとの間での呼吸に応じた変動特性の違いに基づいて、骨の表示を選択的に薄める処理などを行うことができる(BSモード(Bone Suppression))。反対に、変動特性の違いに応じて特定の部位の表示を強める処理を行ってもよい(Eモード(Enhanced))。
【0033】
また、肺では、呼吸の状態に応じて肺が伸縮(拡張/収縮)する。このとき、肺の各組織(特定の位置、例えば、左右の上端である肺尖部及び下端である横隔膜部)の移動の状態(移動量及び移動速度)を追跡することができる(Dモード(Diaphragm))。また、肺組織の所定状態からの変動量を求めることもできる(Vモード)。所定状態としては、例えば、最大呼気の状態などとされる。また、肺組織だけでなく、肺血管の所定状態からの差分を求めるなども可能である(Pモード)。この場合、所定状態としては、最大吸気の状態など、呼吸動作内の変動を見る場合の他、心拍といった他の計測結果と連携させて所定状態が定められてもよい。
【0034】
次に、本実施形態のコンピューター10における撮影画像の表示について説明する。
図2は、リスト表示画面の例を示す図である。
リスト表示画面Dにおいて、ここでは、全ての患者のリストが検査リストウインドウD11に表示されている。検査リストウインドウD11には、患者ID、氏名、生年月日、年齢、性別などが表示されている。ここでは、このうち患者ID「120120002」の患者が選択されており、この患者を被験者とする撮影画像のうち、検索フォルダーウインドウD12で設定されている「全て」の撮影画像のサムネイルSが下方のサムネイルウインドウD13に配列されて表示されている。サムネイルSは、本来の画像に比して解像度を低下させたものであってよい。一度設定されたサムネイルSの画像データは、記憶部13に記憶保持されてよい。
【0035】
このサムネイルSは、各連続画像の先頭の画像以外のものが含まれてよく、どのタイミングのものが表示されるかが切り替え可能となっている。画像の種別(モード)ごとに診断に重要なタイミングは概ね定まっているので(上述の最大呼気の状態、最大吸気の状態又は中間状態など)、これらのタイミングは、プリセットデータ133にプリセット1~プリセット3として各々定められている。これらのプリセット内では、それぞれ、画像の種別に応じて適切なタイミングが規定されていてもよいし、画像の種別を問わずに同一のタイミングが規定されるものがあってもよい。これらプリセット1~プリセット3に各々対応付けられたプリセット選択ボタンBがユーザーによるポインターの操作によって選択される(マウスの移動及びクリック操作など、操作受付部14が受け付ける入力操作)ことで外部命令が取得されて、プリセットデータ133においてこの外部命令に応じたプリセット設定により定められたタイミングが特定され、当該タイミングに係る画像のサムネイルSが選択、表示される。ここでは、4枚のサムネイルSが表示されているので、プリセットの設定(ここでは、プリセット2)に係る外部命令が取得されると、当該4枚(表示される全て)のサムネイルSがプリセットデータ133に基づいて再選択される。また、このサムネイルSは、必ずしも連続画像のうち1枚が選択された静止画像である必要はない。複数のタイミングの画像が順番につながれて所定の時間間隔で切り替えられる動画などであってもよい。
【0036】
図3は、リスト表示画面における他の表示例を示す図である。
図3(a)に示すように、サムネイルは、さらに、連続画像のうちのいずれかの画像ではなく、当該連続画像の解析結果、例えばグラフ表示画像などであってもよい。ここでは、サムネイルSaとしてグラフ表示画像が含まれている。医師などのユーザーにとっては、通常、グラフ内容と撮影された連続画像の種別との対応関係が周知であり、グラフ表示画像をサムネイルにより表すことで、いずれの種別の連続画像であるかを容易に認識することができる。
【0037】
図3(b)に示すように、いずれかのサムネイル上にポインターPを配置することで、当該ポインターPにより指示されたサムネイルSbに対応する連続画像Mを拡大表示させることができてもよい。
【0038】
図4は、保持する画像データについて説明する図表である。
撮影データ132には、一の検査に係る固有のID(検査ID:1234.567.890.12345)に係る一連の内容ごとにシリーズIDが付された処理画像や解析データなどが保持されている。ここでは、シリーズIDが「1234.567.890.12345.1」のオリジナル画像のデータに対し、シリーズIDの末尾の数字が一つずつ増加しながら、当該オリジナル画像のデータを処理したVモード、Pモード、BSモード、Eモード、Dモードの各画像のデータに割り当てられている。ここでは、例えば、Vモードのデータが現在処理中(再処理中であってよい)であり、その他のモードについては、処理済となっている。
【0039】
図5は、サムネイルの選択に係るプリセットについて説明する図表である。
プリセットは、ユーザーが明示的に選択指定(手動指定)する場合と、保持されている画像のデータ種別に応じて自動的に指定される場合とがある。この指定方法は、別途設定画面などからユーザーが定める命令(外部命令)を入力可能である。あるいは、初期起動時には自動指定されて、その後ユーザーが任意に手動で切り替え指定する命令を入力可能であってもよい。
図5(a)には、自動的に指定される場合の指定条件を示す図表を示す。オリジナル画像に加えて、当該オリジナル画像に対するVモード、Pモード、BSモード、Eモード、及びDモードの全ての画像が保持されている場合には、プリセット番号「3」が選択される。上記6種類のうちDモード以外の少なくともいずれかがない場合にはプリセット番号「2」が選択される。プリセット番号「2」、「3」のいずれも選択されない場合、すなわち、Dモード画像がない場合には、プリセット番号「1」が選択される。
【0040】
図5(b)は、プリセット番号に応じた各画像のサムネイルの表示順と、サムネイルとされる画像の選択基準について示す図表である。プリセット番号が「1」、「2」の場合には、サムネイルの表示順は、例えば、シリーズID(“SERIES_ID”)により定められる。一方、プリセット番号が「3」の場合には、固定的に、オリジナルの画像、グラフ1、グラフ2の順で表示がなされる。ここでは、例えば、グラフ1がDモードの解析画像であり、グラフ2がPモードにおける解析画像である。これらの各プリセットにおいて、選択されるサムネイルの画像は、上述のように定められる。すなわち、サムネイルとして適切なタイミングは、プリセットデータ133として予め保持されており、ユーザーの希望などに応じて選択切り替えが可能である。
【0041】
表示IDは、各連続画像の種別に対してサムネイルとして選択される画像を示す。
図5(c)に示すように、オリジナルの連続画像では、通常通り先頭の画像がサムネイルの画像として選択される。これに対し、Vモード及びPモードでは、最大呼気の状態を示すタイミングの画像をサムネイルとして選択する。Dモード画像では、当該Dモードによる撮影画像に基づいて得られるグラフ(グラフ1)がサムネイルとされる。
【0042】
図5(b)及び
図5(c)に示した図表の内容は、プリセットの指定が手動か自動かによらない。すなわち、手動で指定されたプリセット番号に対し、各図面の表示順及びサムネイルとして選択される図面の選択は、
図5(b)、(c)に基づいて行われる。
【0043】
図6は、コンピューター10により実行されるリスト表示制御処理の制御部11による制御手順を示すフローチャートである。本実施形態の表示制御処理を含むこの処理は、患者(被験者)の医療用診断画像(ここではX線画像)のリスト表示命令が呼び出された場合に起動される。この処理は、他の処理から呼び出される子プロセスであってもよい。
【0044】
リスト表示制御処理が開始されると、制御部11は、患者(被験者)のリストを検索して、当該患者(被験者)の一覧データを取得する(ステップS101)。制御部11は、取得された患者を表示画面にリスト表示させる命令を表示部15に出力する(ステップS102)。
【0045】
制御部11は、操作受付部14により入力操作が受け付けられたか否かを判別する(ステップS103)。入力操作が受け付けられていないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、制御部11は、ステップS103の処理を繰り返す。入力操作が受け付けられたと判別された場合には(ステップS103で“YES”)、制御部11は、操作内容がリスト更新の命令であるか否かを判別する(ステップS104)。リスト更新命令であると判別された場合には(ステップS104で“YES”)、制御部11の処理は、ステップS101に戻る。
【0046】
操作内容がリスト更新ではないと判別された場合には(ステップS104で“NO”)、制御部11は、入力操作が被験者(患者)の選択操作又は当該選択されている被験者の検査画像に係る検索フォルダーの選択命令であるか否かを判別する(ステップS105)。いずれでもないと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、制御部11は、入力操作の内容に応じたその他の処理(リスト表示制御処理の終了命令を含む)を実行する。
【0047】
入力操作が表示リストからの被験者の選択操作又は当該被験者の検索画像に係る検索フォルダーの選択命令であると判別された場合には(ステップS105で“YES”)、制御部11は、当該被験者の検査画像のうち選択されているフォルダーに該当するものを抽出し、抽出された画像中に連続撮影画像(動態解析画像)が含まれているか否かを判別する(ステップS106)。含まれていないと判別された場合には(ステップS106で“NO”)、制御部11は、各静止画像のサムネイルを取得して、「SERIES_ID」などでソートして表示順を定める(ステップS121)。それから、制御部11の処理は、ステップS112に移行する。
【0048】
連続撮影画像が含まれていると判別された場合には(ステップS106で“YES”)、制御部11は、プリセットが手動指定とされているか否かを判別する(ステップS107)。手動指定ではない(自動指定である)と判別された場合には(ステップS107で“NO”)、制御部11は、抽出されている連続撮影画像の種別に応じてプリセットの選択を行う(ステップS108)。それから、制御部11の処理は、ステップS109へ移行する。手動指定であると判別された場合には(ステップS107で“YES”)、制御部11の処理は、ステップS109へ移行する。
【0049】
ステップS109の処理に移行すると、制御部11は、設定されているプリセットの値に応じたサムネイルの設定を取得する(ステップS109;取得ステップ)。制御部11は、設定に基づいて、サムネイルを表示する連続撮影画像と、その表示の順番を決定する(ステップS110)。制御部11は、表示対象の連続撮影画像に係るサムネイルを選択して取得する(ステップS111;選択ステップ)。それから、制御部11の処理は、ステップS112に移行する。
【0050】
ステップS112の処理に移行すると、制御部11は、設定された表示順で取得された画像をサムネイル表示させる命令を表示部15に出力する(ステップS112)。それから、制御部11の処理は、ステップS103に戻る。
【0051】
図7は、リスト表示画面の他の例を示す図である。
上述のように、コンピューター10では、制御部11が画像データを再度解析することができる。また、画像解析装置が別途備えられ、画像データも他のデータベース装置に記憶されているような場合、リスト表示に並行して再度の解析処理が行われる場合がある。これらの処理は、ユーザーの手動命令によって行わせることも多い。このような場合には、
図7(a)に示すように、サムネイル上に画像処理中である旨を表示させることとしてもよい。さらに、
図7(b)に示すように、画像処理が終了するまでの見込み時間を表示させることとしてもよい。一覧表示におけるサムネイル上にこのような表示を重ねることで、処理中に他の処理を進めながら、容易にユーザーに処理の進行状況を知得させることができる。また、処理の終了後に速やかに当該画像データに基づく診断などを開始することができる。
【0052】
以上のように、本実施形態のコンピューター10を含む表示システム1は、制御部11と、表示画面を有し制御部11による制御に基づいて当該表示画面に表示を行う表示部15と、を備える。制御部11は、複数の異なるタイミングで順番に取得されたX線による連続画像に係るサムネイルを表示画面に表示させる場合におけるサムネイルとして、連続画像について予め定められた設定に応じた画像を選択し、サムネイルには、連続画像の先頭画像以外のものが含まれる。
このように、表示内容を適切に示す画像を連続画像から抽出してサムネイルとすることで、より容易にユーザーが所望の画像データを選択して表示させることができる。このようなサムネイルの設定は、プリセットデータ133として予め設定保持され、表示システム1では、自動指定や手動指定に係る入力された命令などに応じて必要な設定が選択されるので、診断内容や画像種別などに応じて適切に切り替え設定が可能となる。
【0053】
また、サムネイルとして選択される画像には、連続画像の解析結果に係るグラフの表示画像が含まれる。連続画像の種別と解析グラフとの対応関係は、画像に基づく診断を行うものであれば周知であるので、小さいサムネイルとして解析グラフの画像を表示させることでも、ユーザーに効率よく所望の画像の判別を行わせることが可能となる。
【0054】
また、表示画面には、複数のサムネイルを配列して表示可能であり、制御部11は、所定の外部命令が取得された場合に、表示部15に表示させる全てのサムネイルを設定に応じて再選択する。すなわち、一度プリセットが選択されれば各種画像データのサムネイルが一括して再設定されて、変換表示されるので、より手間を低減させて効率的にサムネイルから必要な画像データの選択が可能になる。
【0055】
また、表示システム1は、入力操作を受け付ける操作受付部14を備え、制御部11は、操作受付部14が受け付けた入力操作に基づいて外部命令を取得する。すなわち、マウスなどの操作によって容易にプリセットが選択されるので、手間がかからずに効率的に必要な画像のサムネイルを表示させることができる。
【0056】
また、プリセットは、連続画像の種別に応じて定められている。各種連続画像では、特徴的な画像が撮影されるタイミングが概ね定まっているので、種別に応じてプリセットを定めておくことで、選択肢を必要以上に増やさずに、効率よく必要な画像にサムネイルを切り替えることができる。
【0057】
また、制御部11は、プリセットに基づいて連続画像から複数のタイミングの画像を選択し、当該複数のタイミングの画像を順番につないだ動画をサムネイルとする。すなわち、サムネイルは静止画像である必要はない。動態解析では、連続画像中における各部の変化が注目されるので、どのような変化が注目されているかを示すように複数の画像の一部を抽出して順に表示させることで、ユーザーが所望の画像をより効率よく特定可能となる。
【0058】
また、連続画像は、被験者の胸部(肺)の撮影画像であり、プリセットに基づいて選択される画像には、呼吸時における最大呼気の状態、最大吸気の状態、並びに最大呼気の状態及び最大吸気の状態の間における所定の中間状態のうち少なくともいずれかのタイミングにおける画像を含む。
胸部画像による動態解析では、呼吸に応じた肺及びその周囲の特定部位の移動、変形などの状況が重要な場合が多く、特に、空気を最も吸い込んだ状態及び最も吐き出した状態で顕著に差異が生じやすい。したがって、これらの状態をプリセットに含むことで、サムネイルが所望の画像であるか否かの判別をユーザーがより容易かつ確実に行いやすくなる。
【0059】
また、制御部11は、入力操作に応じて表示画面内でサムネイルがポインターにより指示されている場合に、当該サムネイルに係る連続画像を表示させる。上記のようにサムネイルの表示を適切に定めるのに加えて、更にマウス操作などによりポインター(矢印表示)をサムネイル上に位置させることで、当該サムネイルに対応する連続画像を拡大表示させることで、実際に選択を行わなくてもサムネイルにより選択しようとしている画像が正しいか否かを事前に確認することができるので、選択操作の誤りをより低減させて手間を減らすことができる。
【0060】
また、表示システム1は、選択されたサムネイルを記憶する記憶部13を備える。一度生成されたサムネイルを保持しておくことで、毎回サムネイルを生成する手間を省略し、制御部11の負荷を低減し、また、リスト表示を行わせる際にサムネイルが表示されるまでのタイムラグを抑制することができる。
【0061】
また、上述の制御部11を備えるコンピューター10により、表示内容を適切に示す画像を連続画像から抽出してサムネイルとすることができるので、より容易にユーザーが所望の画像データ、特に連続画像データを選択することできる。このようなサムネイルの設定は、プリセットデータ133として予め設定保持され、制御部11が入力された命令に応じて必要な設定を選択するので、診断内容や画像種別などに応じて適切に切り替え設定が可能となる。
【0062】
また、上述のサムネイルの表示設定に係る表示制御方法を用いることで、予め設定保持されたプリセットデータ133に応じてサムネイルをユーザーにとって好ましい連続画像の中途の適切なタイミングのものなどに切り替えて設定することができるので、より容易にユーザーが所望の画像データを選択することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、操作受付部14及び表示部15は、コンピューター10とは別個の端末装置が有するものであってよく、この場合、コンピューター10は、通信部12を介して操作受付部14(端末装置)からの入力信号を受信し、表示部15(端末装置)への出力信号を送信してもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、プリセット1~3が固定されているものとして説明したが、プリセットの内容自体が変更されてもよい。また、より多くのプリセットのうち、ユーザーが必要なものの選択ボタンのみを表示画面に表示させるようにカスタマイズすることが可能であってもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、連続画像の種別に応じたプリセットと、解析結果のグラフ表示画像を表示させるプリセットとを例に挙げて説明したが、混在してもよい。また、サムネイルとして、選択されてた1枚の静止画像又は複数枚をつないだ動画を例に挙げて説明したが、複数枚を重ねて生成した1枚の合成画像であってもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、全てのサムネイルをプリセットに応じて一括変換するものとして説明したが、ポインターによって指示されている画像のみをプリセットに応じて変換するなどが可能であってもよい。この場合、プリセット選択ボタンBを用いずに選択メニューが一時的に呼び出されてプリセットの指定が可能とされてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、操作受付部14が外部命令を受け付けるものとして説明したが、通信部12を介して外部命令に係る情報が取得されてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、胸部(肺)の撮影画像を例に挙げて説明したが、その他の部位のX線撮影の動態解析に係る画像の表示にも用いられてよい。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、表示内容、表示制御手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 表示システム
10 コンピューター
11 制御部
12 通信部
13 記憶部
131 診断情報
132 撮影データ
133 プリセットデータ
14 操作受付部
15 表示部
20 動画撮影装置