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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】音声取得装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20221109BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221109BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H04R1/02 107
H04N5/225 100
H04N5/225 800
H04N5/232 380
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021120101
(22)【出願日】2021-07-21
(62)【分割の表示】P 2017050710の分割
【原出願日】2017-03-16
(65)【公開番号】P2021168513
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】加賀 良太
【審査官】岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-175099(JP,A)
【文献】特開2006-220759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0070557(US,A1)
【文献】米国特許第07957765(US,B1)
【文献】特開2006-295718(JP,A)
【文献】特開2015-169781(JP,A)
【文献】特開2000-350073(JP,A)
【文献】宇佐見 健,新製品レビュー:RICOH THETA S ハイスペックモデルの新機能と高画質を検証,デジカメ Watch, [online],2015年10月16日,https://dc.watch.impress.cco.jp/docs/review/newproduct/725963.html,[2022年7月7日検索], インターネット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
H04R 1/00 -1/08
1/12 -1/14
1/20 -1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声取得手段と接続手段とを含む音声取得装置であって、
前記接続手段は、回転可能なダイヤルと、該ダイヤルと連動して回転可能に接続された雄ネジとを有し、
前記音声取得手段は、前記ダイヤルの回転により、前記雄ネジを介して、雌ネジを有する撮像装置の底面に接続可能であり、音声を収音する4つの収音部を有し、前記収音した音声をambisonics形式の音声ファイルに変換する、音声取得装置。
【請求項2】
前記接続手段は、前記音声取得装置と前記撮像装置を接続したとき、前記雄ネジのねじ軸上に、前記音声取得装置の音響中心が位置する、
請求項に記載の音声取得装置。
【請求項3】
前記音声取得手段の底面には、雌ネジを有する、
請求項1または2に記載の音声取得装置。
【請求項4】
前記4つの収音部および前記接続手段は同じ筐体に備えている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の音声取得装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、全天球撮像装置である、請求項1~4のいずれか一項に記載の音声取得装置。
【請求項6】
前記接続手段は、前記音声取得装置と前記全天球撮像装置を接続したとき、前記雄ネジのネジ軸上に、前記全天球撮像装置の光学中心が位置する、
請求項に記載の音声取得装置。
【請求項7】
前記全天球撮像装置は、少なくとも2つの魚眼レンズを含む、
請求項5または6に記載の音声取得装置。
【請求項8】
前記全天球撮像装置の2つの魚眼レンズは、前記全天球撮像装置の筐体面から突出している、
請求項5~7のいずれか一項に記載の音声取得装置。
【請求項9】
前記音声取得装置は、前記音声取得手段と前記撮像装置とを電気的に接続する電気的接続手段をさらに有し、該電気的接続手段を介して前記音声取得手段が取得した音声信号を前記撮像装置に送信する、
請求項1~のいずれか一項に記載の音声取得装置。
【請求項10】
音声取得装置と撮像装置とを含むシステムであって、
前記音声取得装置は、回転可能なダイヤルと、該ダイヤルと連動して回転可能に接続された雄ネジとを有し、
前記撮像装置は、縦長の略直方体形状の筐体と、該撮像装置の底面に雌ネジと、少なくとも2つのレンズとを有し、前記レンズは、前記筐体の縦長方向の一方の側に偏って配置され、前記底面の前記雌ネジは、前記筐体の前記縦長方向の他方の側に位置し、
前記音声取得装置は、前記ダイヤルの回転により、前記雄ネジを介して、前記撮像装置の前記底面に接続可能であり、音声を収音する4つの収音部を有し、前記収音した音声をambisonics形式の音声ファイルに変換する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、360度の全天球画像を撮像する全天球撮像装置が広く一般に普及するようになったことに伴い、広範な分野で全天球カメラを利用した様々な用途が提案されている。
【0003】
その一つとして、近年、全天球撮像装置が撮像した全天球動画像を、これと同時に収録した立体音声と同期再生することにより、高い臨場感を演出する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、より臨場感を再現するための音声取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、より臨場感を再現するための音声取得装置につき鋭意検討した結果、以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。
【0006】
すなわち、本発明によれば、全天球撮像装置の底面に固定して立体音声を取得するための音声取得装置であって、前記全天球撮像装置の底面に形成される雌ネジに嵌合する雄ネジと、該底面に形成されるジャックに嵌合するプラグと、該底面に形成される穴に嵌合する位置決め用の突起と、が装置の上面に形成されていることを特徴とする音声取得装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述したように、本発明によれば、より臨場感を再現するための音声取得装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の音声取得装置と全天球撮像装置の外観図。
図2】本実施形態の音声取得装置の上面図と全天球撮像装置の底面図。
図3】音声取得装置と全天球撮像装置が接続された様子を示す図。
図4】位置決めピンの形成位置を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。また、本発明の実施の形態の音声とは、人が発する声に限らず、音楽、機械音、動作音、その他空気の振動によって伝搬する音を総称したものとして参照する。
【0010】
図1(a)は、本発明の実施形態である音声取得装置100の外観図を示す。本実施形態の音声取得装置100は、音声を取得するための装置であり、縦長の若干丸みを帯びた略直方体の形状を有している。
【0011】
音声取得装置100は、4つの指向性マイクロフォンをその筐体内に備えている。ここで、4つの指向性マイクロフォンは、音響中心Gを重心とする正四面体の各頂点に配置されている。隣接するマイクロフォン間の距離を等距離として、正四面体形状で配置することで、4つのマイクロフォンからの音を処理することが単純化できる。なお、正四面体に限らず外接球を持つ多面体であることが好ましい。また、マイクロフォンの数は4つに限定されない。
【0012】
各マイクロフォンは、無指向性のW成分、x軸方向(装置の前後方向)に指向性を有するX成分、y軸方向(装置の幅方向)に指向性を有するY成分、z軸方向(装置の高さ方向)に指向性を有するZ成分を収音する。そして、音声取得装置100は、各指向性マイクロフォンが収音した4成分を、例えば、ambisonics形式の音声ファイルに変換する。マイクロフォンは、指向性マイクロフォンであってもよいし、無指向性マイクロフォンであってもよい。指向性マイクロフォンを用いた場合には、特定の方向の音を取得することができる。無指向性マイクロフォンを用いた場合には、各マイクロフォンのキャリブレーションを容易に行うことができる。さらに、マイクロフォンは、指向性マイクロフォンと無指向性マイクロフォンとを組み合わせて用いてもよい。
【0013】
図1(b)は、全天球撮像装置200(以下、全天球カメラ200という)の外観図を示す。全天球カメラ200は、全天球画像を撮像するための装置であり、音声取得装置100と同様に、縦長の若干丸みを帯びた略直方体の形状を有している。全天球カメラ200は、少なくとも2つの魚眼レンズ25が対向している。2つの魚眼レンズ25は、全天球カメラ200筐体面の一部から突出する形で配置されている。全天球カメラ200の筐体は、魚眼レンズ25を露出する開口が設けられている。2つの魚眼レンズ25は、同一仕様のものであり、それぞれの光軸が合致するように互いに逆向きに組み合わせられる。
【0014】
本実施形態では、音声取得装置100を使用する際に、音声取得装置100の上面10が全天球カメラ200の底面20に固定される。全天球カメラ200の上面ではなく、底面20に接続されることが好ましい。全天球カメラ200の上面に音声取得装置100が固定された場合、音声取得装置100が全天球カメラ200で撮影される画像にうつりこんでしまう可能性があるからである。一方、全天球カメラ200の底面20に音声取得装置が固定された場合、音声取得装置100が全天球カメラ200で撮影される画像にうつりこむ影響は低い。特に、全天球カメラ200は魚眼レンズ25より下部の筐体部分を手で固定して撮影する場合は、手で音声取得装置100が隠れて、全天球カメラ200で撮影される画像にうつりこまない可能性が高い。また、音声取得装置100が生成した音声信号が全天球カメラ200に転送されるようになっている。
【0015】
図2(a)は、音声取得装置100の上面図を示し、図2(b)は、全天球カメラ200の底面図を示す。
【0016】
図2(a)に示すように、音声取得装置100の上面10には、雄ネジ12と、ピンプラグ13と、位置決めピン14が形成されている。
【0017】
雄ネジ12は、固定するためネジである。雄ネジ12は、ピンプラグ13よりも低い高さを有し、上面10の中心に回転自在に固定されている。ダイアル15は、雄ネジ12を回転させるためのダイアルである。ダイアル15は、音声取得装置100の筐体内で雄ネジ12に連結している。ダイアル15の回転に連動して、雄ネジ12は、矢印方向に回転するようになっている。
【0018】
位置決めピン14は、全天球カメラ200の回転方向を位置決めする。例えば、音声取得装置100が無理に回転された場合、ピンプラグ13が壊れてしまうのを防止する。位置決めピン14は、雄ネジ12およびピンプラグ13よりも低い高さを有する突起(突条)であり、金属などの剛性の高い材料で形成されることが好ましい。
【0019】
一方、図2(b)に示すように、全天球カメラ200の底面20には、雄ネジ12に対応する位置に、雄ネジ12に嵌合する雌ネジ22が形成され、ピンプラグ13に対応する位置にピンジャック23が形成され、位置決めピン14に対応する位置に、位置決めピン14が嵌合可能なサイズを有する穴(凹部)である位置決めピン用穴24が形成されている。
【0020】
ここで、全天球カメラ200の底面20に形成された雌ネジ22は、三脚穴として機能してもよく、カメラ用の三脚を取り付けることができる。なお、音声取得装置100の底面には、三脚穴として機能する雌ネジ(全天球カメラ200の雌ネジ22と同径の雌ネジ)が形成されており、全天球カメラ200を固定した音声取得装置100の底面に対してカメラ用の三脚を取り付けることができる。
【0021】
また、ピンプラグ13およびピンジャック23は、その根元を弾性体で支持する、いわゆるフローティング機構を有している。フローティング機構が嵌合時に生じる位置ずれを吸収することで、ピンプラグ13がピンジャック23に対して電気的に確実に接続されるようになっている。
【0022】
以上、音声取得装置100と全天球カメラ200の構成を概略的に説明してきたが、続いて、音声取得装置100を全天球カメラ200に接続する際の手順を説明する。
【0023】
まず、音声取得装置100のピンプラグ13の頭を全天球カメラ200のピンジャック23に嵌入する。
【0024】
続いて、音声取得装置100の雄ネジ12の頭を全天球カメラ200の雌ネジ22の開口部に合わせてダイアル15を回す。これにより、雄ネジ12がねじ軸Rを中心として回転し、その頭が雌ネジ22に捩じ込まれる。その後、ダイアル15の回転(すなわち、雄ネジ12の回転)に伴って、全天球カメラ200の底面20と音声取得装置100の上面10が徐々に接近する。
【0025】
その間、位置決めピン14の直上に位置決めピン用穴24が来るように、全天球カメラ200に対する音声取得装置100の位置関係を調整する。さらに、ダイアル15を回し続けると、最終的に、位置決めピン14が位置決めピン用穴24に嵌合した状態で、底面20と上面10が当接する。
【0026】
このとき、全天球カメラ200と音声取得装置100は、雄ネジ12および雌ネジ22を介して機械的に接続され、ピンプラグ13およびピンジャック23を介して電気的に接続される。そして、この電気的接続を介して、音声取得装置100が生成した音声信号が全天球カメラ200に転送され、音声信号が処理される。
【0027】
そして、本実施形態では、位置決めピン14を介して、全天球カメラ200に対する音声取得装置100の雄ネジ12のねじ軸Rを中心とする回転方向(以下、単に、回転方向という)の位置決めがなされる。
【0028】
図3は、音声取得装置100が全天球カメラ200に固定された状態を示す。本実施形態では、音声取得装置100を全天球カメラ200に固定したときに、雄ネジ12のねじ軸R上に、全天球カメラ200の光学中心Oと音声取得装置100の音響中心Gが位置するようになっている。位置決めピン14によって、全天球カメラ200に対する音声取得装置100の回転方向の位置決めがなされることにより、音声取得装置100のz方向の収音軸が全天球カメラ200の天頂方向に一致する。そして、音声取得装置100のx方向の収音軸が全天球カメラ200の光学系の光軸方向に平行になる。これにより、全天球カメラ200が取得した全天球動画像と音声取得装置100が取得した音声を正確に対応付けることが可能になる。
【0029】
ここで、図4に基づいて、音声取得装置100の位置決めピン14の形成位置について説明する。
【0030】
雄ネジ12のねじ軸R(すなわち、音声取得装置100の回転中心)から位置決めピン14までの距離をLとし、位置決めピン14と位置決めピン用穴24の隙間(ガタ)の大きさをdとする。位置決めピン14が位置決めピン用穴24に嵌合した状態で、音声取得装置100は、全天球カメラ200に対して、回転軸Rを中心として回転角θ=tan-1(d/L)の回転が許容されることになる。これは、距離Lを大きくすればするほど、許容される回転角θが小さくなることを意味する。
【0031】
ここで、ピンプラグ13およびピンジャック23の破損を防止し、且つ、全天球動画像と立体音声の対応付けの精度を向上するためには、回転角θを出来る限り小さくすることが望ましい。したがって、本実施形態においては、音声取得装置100の上面10において、雄ネジ12のねじ軸Rに対して、設計上許容される範囲で、出来る限り遠い位置に位置決めピン14を形成することが望ましい。さらに、少なくとも、ねじ軸Rと位置決めピン14の形成位置の離間距離を、ねじ軸Rとピンプラグ13の形成位置の離間距離よりも大きくすることが望ましい。
【0032】
以上、説明したように、本実施形態によれば、全天球撮像装置に対する音声取得装置の位置関係が固定されるので、全天球動画像と立体音声を同期させる際の精度が向上する。
【0033】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0034】
10…上面
12…雄ネジ
13…ピンプラグ
14…位置決めピン
15…ダイアル
20…底面
22…雌ネジ
23…ピンジャック
24…位置決めピン用穴
100…音声取得装置
200…全天球撮像装置(全天球カメラ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【文献】特許第5777185号公報
図1
図2
図3
図4