(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】衣料用ケア組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/37 20060101AFI20221109BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20221109BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20221109BHJP
C11D 1/22 20060101ALI20221109BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20221109BHJP
C11D 1/94 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D1/14 ZAB
C11D1/29
C11D1/22
C11D1/04
C11D1/94
(21)【出願番号】P 2018239530
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】黎 俊傑
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/142869(WO,A1)
【文献】特表2017-524048(JP,A)
【文献】特表2016-518314(JP,A)
【文献】特開平11-148091(JP,A)
【文献】特開2012-087421(JP,A)
【文献】特表2007-533866(JP,A)
【文献】特開2010-095811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
D06M10/00-23/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分を
7質量%以上
25質量%以下、(b)成分を0.1質量%以上5質量%以下及び水を含有する衣料用ケア組成物
であって、
(a)成分として、(a1)アニオン界面活性剤〔以下、(a1)成分という〕を含有し、
(a1)成分が、下記(a1-1)成分、(a1-2)成分、(a1-3)成分、及び(a1-4)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤であり、
(a)成分中、(a1)成分の含有量が80質量%以上である、
衣料用ケア組成物。
(a)成分:イオン性界面活性剤を含む界面活性剤
(b)成分:ヒドロキシエチルセルロース
(a1-1)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(a1-2)成分:炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(a1-3)成分:アルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩
(a1-4)成分:(a1-3)成分以外のスルホン酸塩
【請求項2】
前記衣料用ケア組成物の30℃でのpHが2以上10以下である、請求項1に記載の衣料用ケア組成物。
【請求項3】
イオン性界面活性剤が、(a1)アニオン界面活性剤、(a2)カチオン界面活性剤及び(a3)両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤である、請求項1又は2に記載の衣料用ケア組成物。
【請求項4】
(a1)成分中の、(a1-1)成分、(a1-2)成分及び(a1-4)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤の合計量が50質量%以上である、請求項
1~3の何れかに記載の衣料用ケア組成物。
【請求項5】
(a)成分中の、炭素数12以上24以下の脂肪族炭化水素基を2つ又は3つ有するカチオン界面活性剤の含有量が
20質量%以下である、請求項1~
4の何れかに記載の衣料用ケア組成物。
【請求項6】
(a)成分中の(a1-4)成分の含有量が、95質量%以下である、請求項
1~
5の何れかに記載の衣料用ケア組成物。
【請求項7】
衣料が木綿繊維を含む衣料である、請求項1~
6の何れかに記載の衣料用ケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用ケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用洗浄剤に、衣料の毛羽・毛玉を減少することができるケア化合物としてセルロース誘導体を使用することが知られている。繊維製品の着用などの使用前に予め繊維製品にケア化合物を付着させることで、繊維製品の使用時の毛羽や毛玉の生成を抑制することができる。
特許文献1には、洗剤界面活性剤、有機または無機洗浄性ビルダー及び疎水的に変性された非イオン性セルロースエーテルを含有し、毛玉/毛羽減少、退色防止、改善された耐摩耗性および/または高められた柔軟性から選ばれる布帛外観上の利益を、それから調製された水性洗浄液中で洗濯された布帛および布類に付与する洗濯洗剤組成物が記載されている。特許文献2には、カチオン柔軟剤、非イオン性界面活性剤、任意の増粘剤としてヒドロキシエチルセルロースを含有する洗浄液体洗濯洗剤組成物が記載されている。特許文献3には、アルキルグリコシド、ヒドロキシエチルセルロース等の成分を含有する環境にやさしい洗濯洗剤が記載されている。特許文献4には、ナノ活性炭、アクリル変性水性ポリウレタン、界面活性剤、ヒドロキシエチルセルロースを5~10重量%を含有する水を含む環境にやさしい洗浄剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2001-507396号公報
【文献】中国特許出願公開第101812381号明細書
【文献】中国特許出願公開第106350248号明細書
【文献】中国特許出願公開第106479685号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水中で衣料と衣料又は衣料と他の物体とを接触させ擦っても、摩擦が低減する効果、摩擦が低減することで毛羽が立ちにくい効果といった衣料ケア効果を有する、衣料用ケア組成物を提供する。本発明の衣料用ケア組成物は、例えば、水中で衣料に適用する摩擦低下剤組成物又は水中で衣料に適用する衣料用洗浄剤組成物として用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記(a)成分を4質量%以上30質量%以下、(b)成分を0.1質量%以上5質量%以下及び水を含有する衣料用ケア組成物に関する。
(a)成分:イオン性界面活性剤を含む界面活性剤
(b)成分:ヒドロキシエチルセルロース
【発明の効果】
【0006】
本発明は、水中で衣料と衣料同士又は衣料と他の物体とを接触させ擦っても、滑りやすくなることで衣料が傷みにくい衣料用ケア組成物を提供する事ができる。本発明の衣料用ケア組成物は、例えば、水中で衣料に適用する摩擦低下剤組成物、水中で衣料に適用する衣料用仕上げ剤組成物又は水中で衣料に適用する衣料用洗浄剤組成物として提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の(b)成分には、乾燥状態において物と物とを適度に接着させる糊剤としての作用効果や物の表面を被覆することで、被覆された物体の表面が他の物体と乾燥状態で接触しても損傷が少なくする化合物として知られているものがある。しかしながら、(b)成分が本発明の(a)成分と水中で共存することで、(a)成分により(b)成分が摩擦低下作用を発現することが明らかとなった。そして、(a)成分が水中で(b)成分の摩擦低下作用を高めることで、衣料同士が擦れても毛羽立ちなどの損傷が抑制できることが見出された。本発明において摩擦低下とは、具体的には、例えば平均動摩擦係数の低下として認識される。
【0008】
<(a)成分>
(a)成分はイオン性界面活性剤を含む界面活性剤である。本発明の(a)成分は、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制する作用を有する。
【0009】
イオン性界面活性剤としては、(a1)アニオン界面活性剤〔以下、(a1)成分という場合もある〕、(a2)カチオン界面活性剤〔以下、(a2)成分という場合もある〕及び(a3)両性界面活性剤〔以下、(a3)成分という場合もある〕から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
また、(a)成分中に含まれるイオン性界面活性剤以外の任意の界面活性剤として(a4)ノニオン界面活性剤〔以下、(a4)成分という場合もある〕が挙げられる。
【0010】
<(a1)アニオン界面活性剤>
(a1)成分のアニオン界面活性剤の具体例としては、下記(a1-1)成分、(a1-2)成分、(a1-3)成分、(a1-4)成分、及び(a1-5)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、好ましい(a1)成分のアニオン界面活性剤は、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩から選ばれる基を有するアニオン界面活性剤である。この観点で、(a1)アニオン界面活性剤は、下記(a1-1)成分、(a1-2)成分、(a1-3)成分、(a1-4)成分、及び(a1-5)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましい。
(a1-1)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(a1-2)成分:炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(a1-3)成分:アルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩
(a1-4)成分:(a1-3)成分以外のスルホン酸塩
(a1-5)成分:炭素数12以上24以下の脂肪酸又はその塩
【0011】
本発明の衣料用ケア組成物がアニオン界面活性剤を含む場合には、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、アニオン界面活性剤は、上記(a1-2)成分、(a1-3)成分及び(a1-4)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を含むことが好ましい。
【0012】
(a1-1)成分である、アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキル硫酸エステル塩、及びアルケニル基の炭素数が10以上18以下のアルケニル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、(a1-1)成分は、アルキル基の炭素数が12以上16以下のアルキル硫酸エステル塩、及びアルケニル基の炭素数が12以上16以下のアルケニル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましい。
【0013】
(a1-2)成分である、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下、及びアルキレンオキシド平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルケニル基の炭素数が10以上18以下、及びアルキレンオキシド平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。なお、ここでの付加モル数は平均値であることから、(a1-2)成分は、平均付加モル数が1の場合も、便宜的にポリオキシアルキレンと表記する。オキシアルキレン基としては炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基が挙げられる。炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基及びオキシエチレン基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、(a1-2)成分は、アルキル基の炭素数が12以上16以下、及びエチレンオキシド平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルケニル基の炭素数が12以上18以下、及びエチレンオキシド平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましい。エチレンオキシドの平均付加モル数としては、前記と同じ観点から、好ましくは2.5モル以下であり、より好ましくは2モル以下であり、更に好ましくは1.5モル以下であり、そして好ましくは1モル以上である。
【0014】
(a1-3)成分である、アルキルベンゼンスルホン酸塩として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニル基の炭素数が10以上18以下のアルケニルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0015】
水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、(a1-3)成分は、アルキル基の炭素数が11以上16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、アルキル基の炭素数が11以上16以下のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0016】
(a1-4)成分である、(a1-3)成分以外のスルホン酸塩として、より具体的には、任意に水酸基を有していてもよい炭素数が10以上18以下のアルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α-オレフィン部分の炭素数が10以上18以下のα-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィン部分の炭素数が16以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下のα-スルホ脂肪酸塩、及び脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下であり、エステル部分の炭素数が1以上5以下であるα-スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0017】
(a1-5)成分は炭素数12以上24以下の脂肪酸又はその塩である。炭素数12以上24以下の脂肪酸又はその塩は、炭素数11以上23以下の脂肪族炭化水素基を疎水基とし、カルボン酸又はその塩を親水基として有するアニオン界面活性剤である。(a1-5)成分としてより具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
【0018】
(a1)成分であるアニオン界面活性剤の塩としては、アルカリ金属及び炭素数2以上6以下のアルカノールアミンから選ばれる1種以上の化合物の塩が挙げられる。アルカリ金属としては、ナトリウム及びカリウムから選ばれる1種以上の化合物が好ましい。炭素数2以上6以下のアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルモノエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン及びN,N-ジメチルモノエタノールアミンから選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
【0019】
本発明の(a1)成分は、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、(a1-2)成分、(a1-3)成分及び(a1-4)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を含むことが好ましい。本発明の(a1)成分は、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、(a1)成分中の、(a1-2)成分、(a1-3)成分及び(a1-4)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤の合計量が50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上がより更に好ましく、90質量%以上がより更に好ましく、そして、100質量%以下が好ましい。(a1)成分の全てが(a1-2)成分、(a1-3)成分及び(a1-4)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤であってもよい。すなわち、(a1)成分中の、(a1-1)成分、(a1-2)成分及び(a1-4)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤の合計量が100質量%であってもよい。
【0020】
<(a2)成分:カチオン界面活性剤>
(a2)成分は、カチオン界面活性剤である。
(a2)成分のカチオン界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、炭素数8以上22以下の脂肪族炭化水素基を1つ以上3つ以下含有するカチオン界面活性剤が挙げられる。より具体的には、例えば下記一般式(a2-1)で表される第4級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0021】
【0022】
〔式中、R1は、炭素数8以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数8以上24以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基及びベンジル基から選ばれる基であり、R4は、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基及びベンジル基から選ばれる基であり、X-は陰イオンである。〕
【0023】
一般式(a2-1)中、R1及び場合によりR2、R3は、炭素数8以上24以下の脂肪族炭化水素基である。水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、それらの基の炭素数は8以上、好ましくは10以上、そして、24以下、好ましくは22以下、更に好ましくは20以下、より好ましくは18以下、より更に好ましくは16以下である。R2、R3、R4のうち、炭素数1以上3以下のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。R2、R3、R4のうち、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基が挙げられる。X-は陰イオンであり、ハロゲンイオン、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、クロルイオン、ブロモイオン、ヨウ素イオンが挙げられる。炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンとしては、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンが挙げられる。
【0024】
本発明の衣料用ケア組成物は、衣料の本来の肌触りを維持しつつ、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、(a)成分中の、炭素数12以上24以下の脂肪族炭化水素基を2つ又は3つ有するカチオン界面活性剤の含有量は、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは15質量%以下であり、より更に好ましくは10質量%以下であり、より更に好ましくは5質量%以下である。この含有量の下限値は0質量%以上とすることができる。(a)成分中の、炭素数12以上24以下の脂肪族炭化水素基を2つ又は3つ有するカチオン界面活性剤の含有量は、0質量%であってもよい。
【0025】
<(a3)両性界面活性剤>
(a3)成分の両性界面活性剤としては、アミンオキシド及びベタインから選ばれる1種以上の両性界面活性剤が挙げられる。アミンオキシドそのものはイオンを有しないが、水中で分極してδ+及びδ-となりえることから本発明においてはイオン性界面活性剤に分類する。アミンオキシドとしては、炭素数7以上18以下の脂肪族炭化水素基を有するアミンオキシドが好ましい。具体的には、下記一般式(a3-1)で表される化合物が挙げられる。
【0026】
【0027】
〔式中、R5は、kが0の場合又はkが1でXが-O(CO)-、-(NH)(CO)-から選ばれる基である場合は、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、kが1でXが-(CO)O-、-(CO)(NH)-から選ばれる基である場合は、炭素数7以上17以下の脂肪族炭化水素基であり、R6は炭素数1以上6以下のアルキレン基であり、Xは-(CO)O-、-(CO)(NH)-、-O(CO)-、-(NH)(CO)-から選ばれる基である。kは0又は1の数であり、R7、R8は、それぞれ炭素数1以上3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。〕
【0028】
一般式(a3-1)において、R5は、kが0の場合又はkが1でXが-O(CO)-、-(NH)(CO)-から選ばれる基の場合は、炭素数8以上16以下の脂肪族炭化水素基が挙げられ、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、炭素数10以上16以下の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数10以上14以下のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましく、炭素数12以上14以下のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。
【0029】
また、一般式(a3-1)において、R5は、kが1でXが-(CO)O-、-(CO)(NH)-から選ばれる基である場合は、炭素数7以上17以下の脂肪族炭化水素基が挙げられる。水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、炭素数7以上15以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数9以上15以下の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数9以上13以下のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましく、炭素数11以上13以下のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましい。
一般式(a3-1)において、Xは、-(CO)O-又は-(CO)(NH)-が好ましい。
R6の炭素数は、好ましくは2又は3である。R7、R8は、好ましくはメチル基である。
【0030】
アミンオキシドのより好ましい具体的な化合物としては、N-ラウリル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ミリスチル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-パルミチル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ラウロイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ミリストイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-パルミトイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ラウリル-N-エチル-N-メチルアミンオキシド、N-ラウリル-N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、N-ミリスチル-N-エチル-N-メチルアミンオキシド、N-ミリスチル-N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、N-パルミチル-N-エチル-N-メチルアミンオキシド、N-パルミチル-N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、N-ラウロイルアミノプロピル-N-エチル-N-メチルアミンオキシド、N-ラウロイルアミノプロピル-N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、N-ミリストイルアミノプロピル-N-エチル-N-メチルアミンオキシド、N-ミリストイルアミノプロピル-N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、N-パルミトイルアミノプロピル-N-エチル-N-メチルアミンオキシド及びN-パルミトイルアミノプロピル-N-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0031】
アミンオキシドの更に好ましい具体的な化合物としては、N-ラウリル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ミリスチル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-パルミチル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ラウロイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ミリストイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、及びN-パルミトイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシドから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0032】
ベタインとしては、炭素数7以上18の炭化水素基を有するベタインが好ましい。具体的には、下記一般式(a3-2)で表される化合物が挙げられる。
【0033】
【0034】
〔式中、R9は、jが0の場合又はjが1でYが-O(CO)-、-(NH)(CO)-から選ばれる基である場合は、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、jが1でYが-(CO)O-、-(CO)(NH)-から選ばれる基である場合は、炭素数7以上17以下の脂肪族炭化水素基である。R10は炭素数1以上6以下のアルキレン基である。Yは-(CO)O-、-(CO)(NH)-、-O(CO)-、-(NH)(CO)-、-O-から選ばれる基であり、jは0又は1の数である。R11、R12は、それぞれ炭素数1以上3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R13はヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1以上5以下のアルキレン基である。Zは-SO3
-、-OSO3
-、-COO-から選ばれる基である。〕
【0035】
一般式(a3-2)において、R9は、jが0の場合、又はjが1でYが-O(CO)-、-(NH)(CO)-から選ばれる基の場合は、炭素数8以上16以下の脂肪族炭化水素基が挙げられ、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、10以上16以下の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数10以上14以下のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましい。
【0036】
また、一般式(a3-2)において、R9は、jが1でYが-(CO)O-、-(CO)(NH)-から選ばれる基である場合は、炭素数7以上17以下の脂肪族炭化水素基であり、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、炭素数7以上15以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数9以上15以下の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数9以上13以下のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましい。
【0037】
一般式(a3-2)において、R10は、製造の容易性の点で炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、より好ましくは2又は3のアルキレン基である。また、R11、R12は、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基である。R13はヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1以上3以下のアルキレン基が好ましい。
また、一般式(a3-2)において、jは、好ましくは0である。
また、一般式(a3-2)において、Zは、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、好ましくは-SO3
-である。
【0038】
ベタインのより好ましい具体的な化合物としては、ラウリル(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)ジメチルベタイン、ミリスチル(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)ジメチルベタイン、及びパルミチル(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)ジメチルベタインから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0039】
本発明の衣料用ケア組成物は、(a)成分中のイオン性界面活性剤の含有量が、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下であり、100質量%であってよい。
【0040】
本発明の衣料用ケア組成物は、(a)成分中の(a1)アニオン界面活性剤の含有量が、水中で(b)成分に摩擦低下作用を発現させ、毛羽立ちを抑制できる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下であり、100質量%であってよい。
【0041】
<(a4)ノニオン界面活性剤:任意の界面活性剤>
本発明の衣料用ケア組成物は、本発明の摩擦低下作用又は衣料ケア効果を妨げない範囲で、(a4)成分として、ノニオン界面活性剤を含むことができる。ノニオン界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、本発明の摩擦低下作用又は衣料ケア効果を妨げない観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤が好ましく、更に好ましくは、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤である。また、(a4)成分として、脂肪酸アルカノールアミドを含有することもできる。(a4)ノニオン界面活性剤としては、具体的には、下記一般式(a4-1)の化合物が挙げられる。
R14-O[(EO)a/(PO)b]-H (a4-1)
〔式中、R14は炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基である。aはEO基の数平均付加モル数であり、bはPO基の数平均付加モル数である。aとbの合計の数は、好ましくは5以上100以下の数である。aは5以上100以下の数が好ましく、bは0以上10以下の数が好ましい。但し、a及びbの両者が0の場合を除く。〕
一般式(a4-1)中、EOとPOはランダム結合でもブロック結合でも、いずれでもよい。一般式(a4-1)のノニオン界面活性剤は、EOを含むことが好ましい。
【0042】
本発明の(a)成分中の(a4)成分の含有量は、本発明の摩擦低下作用又は衣料ケア効果を妨げない観点から、好ましくは40質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、より更に好ましくは10質量%以下である。また、本発明の衣料用ケア組成物を衣料用洗浄剤組成物として使用する場合には、衣料に付着した汚れの洗浄性を高め、洗浄性と本発明の効果を両立できる観点から、本発明の(a)成分中の(a4)成分の含有量は、好ましくは5質量%以上である。
【0043】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、ヒドロキシエチルセルロースである。ヒドロキシエチルセルロースは、(a)成分であるイオン性界面活性剤を含む界面活性剤と水と共に用いることで、衣料同士又は衣料と他の接触体との間の摩擦を低減し、衣料の傷みを抑制することができる。ヒドロキシエチルセルロースとしては、衣料同士又は衣料と他の接触体との間の摩擦を低減し、衣料の傷みを抑制する観点から、2質量%水溶液(20℃)の粘度が50mPa以上50万mPa以下であることが好ましく、より好ましくは200mPa以上であり、更に好ましくは500mPa・s以上であり、そして好ましくは10万mPa・s以下であり、更に好ましくは5万mPa・s以下であり、より好ましくは2mPa・s以下であり、より更に好ましくは1万mPa・s以下である。ヒドロキシエチルセルロースの粘度は以下の測定方法で測定することができる。
【0044】
〔ヒドロキシエチルセルロールの粘度の測定方法〕
ヒドロキシエチルセルロース10gをイオン交換水490gに溶解し、2質量%ヒドロキシエチルセルロース水溶液を調製した。当該水溶液の温度を20±0.5℃の温度範囲に調整し、1時間静置した。ブルックフィールド型回転粘度計〔東機産業(株)製、品番:BM型〕を用いて、30r/m(No.4ローター)の条件で測定した。粘度は測定開始から1分後の値を読み取った。粘度が1000mPa・sを下回る場合は、No.3ローターを用い、粘度が18000mPa・sを超える場合は、回転数を12r/mに設定して測定した。
【0045】
本発明の(b)成分の重量平均分子量は、水中での摩擦低下作用を高める観点、毛羽立ちを抑制できる観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは3万以上、より更に好ましくは5万以上、より更に好ましくは7万以上、より更に好ましくは10万以上、より更に好ましくは30万以上であり、そして、取扱いの容易性の観点から、好ましくは300万以下、より好ましくは250万以下である。この前駆化合物の多糖誘導体の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によるポリエチレングリコール換算により算出することができる。
【0046】
<水>
本発明の衣料用ケア組成物は、水を含有することが好ましく、水を含有する液体組成物であることがより好ましい。本発明の衣料用ケア組成物に用いる水としては、イオン交換水、蒸留水、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩を0.1mg/kg以上10mg/kg以下含有する水を用いることができる。
【0047】
<衣料>
本発明において衣料とは、前記の化学繊維や天然繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、ワイシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品を意味する。衣料は、木綿繊維を含む衣料が好ましい。
【0048】
<繊維>
本発明の衣料用ケア組成物の対象となる衣料を構成する繊維は、化学繊維、天然繊維のいずれでもよい。化学繊維としては、例えば、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)などが挙げられる。天然繊維としては、種子毛繊維(綿、もめん、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が挙げられる。本発明の対象となる繊維は、天然繊維を含む、更に木綿繊維を含むことが好ましい。
【0049】
<衣料用ケア剤組成物>
本発明の衣料用ケア剤組成物は、水中で、衣料と衣料同士又は衣料と他の物体とが接触する時の摩擦係数を低下することで、衣料の損傷を抑制、例えば衣料の毛玉を抑制する作用を有する組成物を意味する。また、衣料用ケア組成物の作用として、着用中に付着した汚れを含む衣料と、本発明の衣料用ケア組成物と新たに添加された水を含む液とを接触することで、衣料に付着した汚れを低減する作用を有していてもよい。例えば、本発明の衣料用ケア組成物を衣料のケア効果を有する衣料用洗浄剤組成物として使用することが出来る。また、本発明の衣料用ケア組成物を、水中で衣料に適用し、衣料と衣料同士又は衣料と他の物体とを接触する時の摩擦係数を低下する摩擦低下剤組成物として使用することができる。
【0050】
<組成等>
本発明の衣料用ケア剤組成物中の(a)成分の含有量は、(b)成分に水中での衣料と衣料同士又は衣料と他の物体との間の摩擦低下作用を発現させることで、衣料の損傷を抑制し、例えば衣料に毛玉が発生することを抑制できる観点で、4質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、(b)成分を含む本発明の衣料用ケア組成物の安定性を高める観点から、30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは17質量%以下である。
【0051】
本発明の衣料用ケア組成物中の(b)成分の含有量は、水中での衣料と衣料との間又は衣料と他の物体との間の摩擦低下作用を発現させ、平均動摩擦係数をより低下できる観点で、0.1質量%以上であり、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは0.7質量%以上であり、より更に好ましくは1質量%以上であり、より更に好ましくは2質量%以上であり、そして、(b)成分の質量あたりの摩擦低下度合がより高く、(b)成分をより効率的に使用できる観点から、5質量%以下であり、好ましくは5質量%未満であり、より好ましくは4質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、より更に好ましくは2質量%以下であり、より更に好ましくは1.5質量%以下であり、より更に好ましくは1質量%以下である。また、本発明の衣料用ケア組成物が水を含む液体組成物の場合に、該組成物の粘度が高くなりすぎない観点から、本発明の衣料用ケア組成物中の(b)成分の含有量は、5質量%以下であり、好ましくは5質量%未満であり、より好ましくは4質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、より更に好ましくは2.5質量%以下であり、より更に好ましくは2質量%以下である。また、水中での衣料と衣料との間又は衣料と他の物体との間の摩擦低下作用を発現させることで、衣料の損傷を抑制し、例えば衣料に毛玉が発生することを抑制できる観点で、本発明の衣料用ケア組成物中の(b)成分の含有量は、0.1質量%以上であり、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは0.7質量%以上であり、より更に好ましくは1質量%以上であり、摩擦が低下しすぎることで逆に毛玉が増える可能性があるため、その観点から、(b)成分の含有量の上限値は5質量%以下であり、好ましくは5質量%未満であり、より好ましくは4質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。
【0052】
本発明の衣料用ケア組成物中の(b)成分に水中での摩擦低下効果を発現させ、更に摩擦低下効果をより高める観点から、本発明の衣料用ケア組成物中の(b)成分の含有量に対する(a)成分の含有量の質量比である、(a)成分/(b)成分は、好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上であり、更に好ましくは2.5以上であり、より更に好ましくは4以上であり、そして、同じ観点から、好ましくは30以下であり、より好ましくは25以下であり、更に好ましくは20以下であり、より更に好ましくは18以下であり、より更に好ましくは15以下である。
【0053】
本発明の衣料用ケア組成物の30℃におけるpHは、衣料に発生する毛玉をより抑制できる観点から、好ましくは10以下であり、より好ましくは9以下であり、更に好ましくは8.5以下であり、より更に好ましくは8以下であり、より更に好ましくは7.5以下であり、より更に好ましくは7以下であり、より更に好ましくは6.5以下であり、そして同じ観点から、好ましくは2以上であり、より好ましくは2.5以上であり、更に好ましくは3以上である。当該pHは、以下の方法で測定することができる。
【0054】
〔pHの測定法〕
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーター F-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入する。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用する。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、30℃の恒温槽に30分間浸漬する。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行う。測定対象となるサンプルを30℃に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定する。
【0055】
本発明の衣料用ケア組成物の30℃における粘度は、当該衣料用ケア組成物を使用しやすい観点から、好ましくは50mPa・s以上であり、より好ましくは100mPa・s以上であり、そして、好ましくは10万mPa・s以下であり、より好ましくは5万mPa・s以下であり、更に好ましくは5000mPa・s以下である。
【0056】
この他に、本発明の衣料用ケア組成物には、下記(c1)~(c7)成分を配合してもよい。
(c1)ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロースなどの再汚染防止剤及び分散剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下。
(c2)過酸化水素、過炭酸ナトリウム又は過硼酸ナトリウム等の漂白剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下
(c3)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6-316700号の一般式(I-2)~(I-7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下、
(c4)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ及びリパーゼから選ばれる1種以上の酵素、好ましくはアミラーゼ及びプロテアーゼから選ばれる1種以上の酵素を組成物中0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、2質量%以下、好ましくは1質量%以下
(c5)蛍光染料、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料を組成物中0.001質量%以上1質量%以下
(c6)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤を組成物中0.01質量%以上2質量%以下
(c7)色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤を適量。
【0057】
本発明は、本発明の衣料用ケア組成物及び水を含有するケア液で衣料を処理する、衣料のケア法を提供する。このケア法には、本発明のケア法で述べた事項を適宜適用することができる。衣料の処理は、衣料が水中で擦れ合うような状態が生じる処理が挙げられる。本発明のケア方法を手洗い洗浄の際に適用してもよい。
【0058】
本発明の衣料のケア方法に使用する水は、硬度を有する水が好ましい。水の硬度は、衣料等の繊維製品に対する風合い付与効果をより向上できる観点から、ドイツ硬度で、好ましくは1°dH以上、より好ましくは2°dH以上、更に好ましくは3.5°dH以上、より更に好ましくは5°dH以上、より更に好ましくは7°dH以上、そして、好ましくは20°dH以下、より好ましくは18°dH以下、更に好ましくは15°dH以下である。ここで、本明細書におけるドイツ硬度(°dH)とは、水中におけるカルシウム及びマグネシウムの濃度を、CaCO3換算濃度で1mg/L(ppm)=約0.056°dH(1°dH=17.8ppm)で表したものを指す。
【0059】
このドイツ硬度のためのカルシウム及びマグネシウムの濃度は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を使用したキレート滴定法で求められる。
【0060】
本明細書における水のドイツ硬度の具体的な測定方法を下記に示す。
[水のドイツ硬度の測定方法]
〔試薬〕
・0.01mol/l EDTA・2Na溶液:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの0.01mol/l水溶液(滴定用溶液、0.01 M EDTA-Na2、シグマアルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製)
・Universal BT指示薬(製品名:Universal BT、(株)同仁化学研究所製)
・硬度測定用アンモニア緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを28w/v%アンモニア水570mlに溶解し、イオン交換水で全量を1000mlとした溶液)
〔硬度の測定〕
(1)試料となる水20mlをホールピペットでコニカルビーカーに採取する。
(2)硬度測定用アンモニア緩衝液2ml添加する。
(3)Universal BT指示薬を0.5ml添加する。添加後の溶液が赤紫色であることを確認する。
(4)コニカルビーカーをよく振り混ぜながら、ビュレットから0.01mol/l EDTA・2Na溶液を滴下し、試料となる水が青色に変色した時点を滴定の終点とする。
(5)全硬度は下記の算出式で求める。
硬度(°dH)=T×0.01×F×56.0774×100/A
T:0.01mol/l EDTA・2Na溶液の滴定量(mL)
A:サンプル容量(20mL、試料となる水の容量)
F:0.01mol/l EDTA・2Na溶液のファクター
【0061】
本発明で用いられるケア液は、(a)成分、(b)成分、及びドイツ硬度が1°dH以上20°dH以下の水を混合して得られたケア液が好ましい。
【0062】
本発明の衣料のケア方法において、衣料の質量(kg)とケア液の量(リットル)の比で表される浴比の値、すなわちケア液の量(リットル)/衣料の質量(kg)(以下、この比を浴比とする場合もある)の値は、衣料に発生する毛玉を抑制できる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、そして、好ましくは100以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは10以下である。
【0063】
本発明の衣料のケア方法は、衣料をケア液と接触させて処理することが好ましい。衣料をケア液と接触させる時間は、本発明の効果の観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、更に好ましくは3分以上、そして、好ましくは6時間以下、より更に好ましくは3時間以下、より更に好ましくは1時間以下である。
【0064】
本発明の衣料ケア組成物を用いた態様として、例えば、
(1)手洗い洗濯時に洗濯液中に、本発明の衣料用ケア組成物を1g/L以上20g/L以下の範囲で存在させて、手洗い洗濯液中の衣料のすべり性を改善する方法
(2)手洗い洗濯時に洗濯液中に、(a)成分を0.02g/L以上3g/L以下、(b)成分を0.02g/L以上1g/L以下の範囲で存在させて、手洗い洗濯液中の衣料のすべり性を改善する方法
(3)本発明の衣料用ケア組成物を1g/L以上20g/L以下の範囲で含有する洗濯液を用いて衣料の手洗い洗濯を行う、洗濯方法
(4)(a)成分を0.02g/L以上3g/L以下、(b)成分を0.02g/L以上1g/Lの範囲で含有する洗濯液を用いて衣料の手洗い洗濯を行う、洗濯方法
などが挙げられる。
【実施例】
【0065】
<配合成分>
〔(a)成分:イオン性界面活性剤〕
LAS・Na:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数は11~18の混合アルキル基)
AS・Na:アルキル硫酸ナトリウム塩(アルキル基は炭素数12以上16以下の混合アルキル基)
AES・Na(1):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(オキシエチレン基の平均付加モル数は1モル、アルキル基は炭素数12以上16以下の混合アルキル基)
AES・Na(2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(オキシエチレン基の平均付加モル数は2モル、アルキル基は炭素数12以上16以下の混合アルキル基)
AES・Na(3):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(オキシエチレン基の平均付加モル数は3モル、アルキル基は炭素数12以上16以下の混合アルキル基)
IOS・Na:炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム
【0066】
〔(a)成分:その他の界面活性剤〕
AE(1):ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数は6モル)
AE(2):ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数は10モル)
【0067】
〔(b)成分〕
HEC(1):ヒドロキシエチルセルロース(4800~6000mPa・s/2質量%水溶液/20℃)
HEC(2):ヒドロキシエチルセルロース(200~300mPa・s/2質量%水溶液/20℃)
HEC(3):ヒドロキシエチルセルロース(800~1500mPa・s/2質量%水溶液/20℃)
【0068】
〔(b’)成分:(b)成分の比較化合物〕
CMC:カルボキシメチルセルロースナトリウム(n=1050、(株)東京化成製)
PEG(1):ポリエチレングリコール500000(和工純薬工業(株)製、重量平均分子量500000)
PEG(2):ポリエチレングリコール2000000(和工純薬工業(株)製、重量平均分子量2000000)
【0069】
〔任意成分〕
・水酸化ナトリウム(10質量%水酸化ナトリウム水溶液として使用)
・クエン酸(10質量%クエン酸水溶液として使用)
・安息香酸Na
・フェノキシエタノール
【0070】
〔水〕
イオン交換水
【0071】
<衣料用ケア組成物の調製>
上記の配合成分を用いて、表1~表4に示す衣料用ケア組成物を調製し、以下の項目について評価を行った。結果を表1~表4に示す。
表1~表4に示す衣料用ケア組成物は、具体的には次の通り調製した。200mL容量のガラス製ビーカーに長さ5cmのテフロン(登録商標)製スターラーピースを投入し質量を測定した。次に20℃のイオン交換水80g、(a)成分、(b)成分又は(b’)成分、任意成分を投入し、ビーカーの上面をサランラップ(登録商標)で封をした。
内容物が入ったビーカーをマグネチックスターラーに設置した60℃のウォーターバスに入れ、ウォーターバス内の水の温度が60±2℃の温度範囲内で、100r/minで30分間撹拌した。次に、ウォーターバス内の水を5℃の水道水に替え、ビーカー内の該組成物の温度が20℃になるまで冷却した。次に、サランラップ(登録商標)を外し、内容物の質量が100gになるように、イオン交換水を入れ、再度、100r/minで30秒間撹拌し、表1~表4に記載の衣料用ケア組成物を得た。なお、各衣料用ケア組成物のpH(30℃)は、前記のpH測定方法で測定した結果、4~6の範囲であった。
【0072】
<衣料ケア効果の評価方法>
・装置:ハンディトライポマスター Type:TL201Ts、静・動摩擦測定器、株式会社トリニティラボ製、液受けバット、面接触子(接触面積2cm×2cm)
・測定条件:荷重100g、速度50mm/sec、測定距離70mm、往復回数100回、布含水率450~500質量%
・試験布(I):綿メリヤス(茶、小倉産業より購入(綿ニット未シル))
・試験布(II):化繊布(ポリエステルファイユ、繊維構成:ポリエステル100%、染色試材(株))
・試験布の前処理
試験布(I)又は(II)2.0kgを市販洗剤(アタックバイオEX、花王株式会社)で5回繰り返し洗濯した(洗剤濃度、1.5g/L、水量40リットル、洗い6分、注水すすぎ2回、脱水3分、洗濯機:NA-F70PX9、Panasonic(株)製)。洗濯後の試験布を室内(15~25℃/30~60%RH)で24時間乾燥させた。
・サンプル液:衣料用ケア組成物を、濃度5g/Lで、硬度5°DH、アルカリ度30の水と混合して得たサンプル液
・評価方法
1.液受けバット側の試験布に摩擦範囲の印をつけた。
2.面接触子側の試験布と液受けバット側の試験布を1分間サンプル液に浸漬した。
3.布を濡れた状態で、面接触子に面接触子側の試験布を固定し、液受けバットに液受けバット側の試験布をのせた。
4.摩擦測定器の測定条件を設定し、湿潤時布間摩擦を行った。
5.擦り後の液受けバット側の試験布を和歌山県水道水で2回すすいだ後、自然乾燥した。
6.基準サンプルの調整:比較例1の衣料用ケア組成物を用いて、60回往復した基準サンプル5(評価点5)、80回往復した基準サンプル4(評価点4)、100回往復した基準サンプル3(評価点3)、120回往復した基準サンプル2(評価点2)、140回往復した基準サンプル1(評価点1)を作製した。衣料の毛羽立ち度合は、基準サンプル1の評価1点が最も毛羽立ちが多く、基準サンプル5の評価点5が最も毛羽立ち度合が少なかった。
7.乾燥後の実施例または比較例の衣料用ケア組成物で処理した試験サンプルの毛羽の立ち具合を、基準サンプル1(評価点1)~基準サンプル5(評価点5)を基準として、印をつけた範囲での目視レベル判定評価を行った。評価点が大きいほど、試験布表面の毛羽立ち抑制効果に優れる。
【0073】
<湿潤時の布間摩擦の測定方法(平均動摩擦係数の測定)>
・装置:TL201Ts、静・動摩擦測定器、液受けバット、面接触子(接触面積2cm×2cm)
・測定条件:荷重100g、速度2mm/sec、測定距離50mm、往復回数5回、布含水率450~500質量%
・試験布:綿メリヤス(茶)、小倉産業より購入(綿ニット未シル)
・試験布の前処理:前記衣料ケア効果の評価方法と同様に行った。
・サンプル液:衣料用ケア組成物を、濃度5g/Lで、硬度5°DH、アルカリ度30の水と混合して得たサンプル液
・評価方法
1.面接触子側の試験布と液受けバット側の試験布を1分間サンプル液に浸漬した。
2.布を濡れた状態で、面接触子に面接触子側の試験布を固定し、液受けバットに液受けバット側の試験布をのせた。
3.摩擦測定器の測定条件を設定し、湿潤時布間摩擦を行った。
4.動摩擦係数の5回平均値を算出した。
【0074】
<洗浄力の評価方法>
〔モデル皮脂汚れの調製〕
以下の組成を有するモデル皮脂汚れ(人工汚垢のAに相当)を作製し、モデル皮脂汚れを含む人工汚垢を人工汚染布及び評価用衣料の作製に用いた。
・モデル皮脂汚れ組成:
ラウリン酸0.44質量部、ミリスチン酸3.15質量部、ペンタデカン酸2.35質量部、パルチミチン酸6.31質量部、ヘプタデカン酸0.44質量部、ステアリン酸1.6質量部、オレイン酸7.91質量部、トリオレイン13.33質量部、パルミチン酸n-ヘキサデシル2.22質量部、スクアレン6.66質量部
【0075】
〔人工汚染布の作製〕
・人工汚垢
下記A、B、C、D、Eを含有する組成物を人工汚垢とした。それぞれの質量%は、最終組成の人工汚垢中の割合であり、合計が100質量%となるようにBの量を調節した。
A:モデル皮脂汚れ(人工汚垢中の質量%が、ラウリン酸0.44質量%、ミリスチン酸3.15質量%、ペンタデカン酸2.35質量%、パルチミチン酸6.31質量%、ヘプタデカン酸0.44質量%、ステアリン酸1.6質量%、オレイン酸7.91質量%、トリオレイン13.33質量%、パルミチン酸n-ヘキサデシル2.22質量%、スクアレン6.66質量%となる量で用いる)
B:塩化カルシウムの2水塩105mgを秤量し、蒸留水に溶かして1,000mlとして得た硬水
C:卵白レシチン液晶物1.98質量%(蒸留水80mlにアルギニン塩酸塩11.37g、ヒスチジン4.20g、セリン2.44gを溶解し、濃塩酸でpHを5.0に調整した後、この溶液と卵白レシチンをミキサーで十分混ぜ合わせて得た卵白レシチン液晶物)D:鹿沼赤土8.11質量%
E:カーボンブラック0.025質量%
使用した人工汚染布は、6cm×6cmの木綿/ポリエステルブロード混紡染着布(木綿/ポリエステル比=35/65、谷頭商店より購入)に、上記組成から成る人工汚垢を1枚当り100mgになるようグラビア塗工したものである。
【0076】
〔洗浄条件〕
モデル水道水として、イオン交換水に硬度成分を5DH°(Ca/Mg=7/3、質量比)になるように加えた水を使用した。このモデル水道水0.6リットルに、表4の衣料用ケア組成物を0.6g加え、人工汚染布を4枚入れた。ターゴトメーターで、100回転、10分間の条件で洗浄した。
洗浄力は、汚染前の原布、及び洗浄前後の550nmにおける反射率を測色色差計(日本電色株式会社製Z-300A)にて測定し、次式によって洗浄率(%)を求めた。汚染布4枚についてそれぞれ測定し平均値を求めた。洗浄率は30%以上が合格ラインであり、数値が高い方がより好ましい。
洗浄率(%)=100×[(洗浄後の反射率-洗浄前の反射率)/(原布の反射率-洗浄前の反射率)]
【0077】
【0078】
表1に記載の本発明の衣料用ケア組成物は、水中での平均動摩擦係数を低下していることが判り、衣料用摩擦低下剤組成物として使用できる。
また、表1の組成物の毛羽立ち抑制効果について、後述する表2によれば、平均動摩擦係数が低い組成物は、衣料の毛羽立ちが少なくなっていることから、表2の実施例に記載の組成物は比較例に記載の組成物よりも、毛羽立ち抑制効果を有すると考えられる。
また、表1の組成物の洗浄性について、後述する表4によれば、表1に記載の実施例4、5、6、10、11に記載の組成物は、衣料に付着した汚れが洗浄できることが示されていることから、表1に記載の他の組成物も衣料に付着した汚れの洗浄性を有すると考えられる。
【0079】
【0080】
表2の実施例に記載の衣料用ケア組成物は、比較例に記載の組成物よりも、水中で衣料を洗浄する際に生じる衣料の毛羽立ちを抑制することができる。また、実施例5、実施例9、実施例10によれば水中での平均動摩擦係数が低い程、水中で衣料同士が擦れることで生じる毛羽立ちが、抑制できることが判る。また、実施例10と実施例11によれば、(b)成分による効果は、実施例11の配合量でほぼ飽和になると考えられる。
【0081】
【0082】
試験群Iは、木綿繊維で構成された試験布(I)を使用し、試験群IIは化繊で構成された試験布(II)を使用した。
それぞれの試験群において、比較例の衣料用ケア組成物と本発明の衣料用ケア組成物の水中での衣料の平均動摩擦係数の差を比べると、木綿衣料の方が平均動摩擦係数の差が大きく、摩擦係数低下効果がより高い。また、衣料の毛羽立ちも木綿衣料の方が少なかった。本発明の衣料用ケア組成物は、衣料のケア効果が大きい観点から、木綿繊維を含む衣料に適用することがより好ましいことが判る。
【0083】
【0084】
表4に記載の実施例に記載の衣料用ケア組成物は、比較例に記載の組成物に比べて、水中で衣料同士が擦れた時の平均動摩擦係数が低く、衣料の毛羽立ちを抑制する効果を有し、且つ良好な洗浄力を示している。実施例の組成物は、衣料のケア効果を発揮しつつ、衣料に付着した汚れを洗浄することができる、衣料用洗浄剤組成物として使用することができることが判る。
また、実施例5((b)成分1質量%、平均動摩擦係数0.987)、実施例10((b)成分3質量%、平均動摩擦係数0.953)、実施例11((b)成分5質量%、平均動摩擦係数0.931)及び比較例5((b)成分0質量%、平均動摩擦係数1.101)から、下記式で算出される、(b)成分の単位質量あたりの平均動摩擦係数の低下度合は、下記の様になり、所定の含有量の範囲では、(b)成分の量が少ない程、(b)成分の単位質量あたりの平均動摩擦係数の低下度合が大きく、より効率的に(b)成分が使用される点で好ましいことが判る。
実施例5 ((b)成分1質量%):0.114
実施例10((b)成分3質量%):0.0493
実施例11((b)成分5質量%):0.0340
(比較例5の平均動摩擦係数-各実施例の平均動摩擦係数)/各実施例の(b)成分の質量%