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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/02 20060101AFI20221110BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B66B3/02 K
B66B3/00 H
B66B3/00 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021125057
(22)【出願日】2021-07-30
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】濱口 萌子
(72)【発明者】
【氏名】北村 美和子
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532609(JP,A)
【文献】実開昭62-186873(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00- 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場に配置される表示装置であって、
少なくとも当該表示装置が配置された前記乗場において乗場呼びが登録されたときから該乗場にかごが停止するまでの間、前記かごの停止が予定されている停止予定階を、該乗場へのかごの停止前に停止が予定されている第一の停止予定階と、該乗場へのかごの停止後に停止が予定されている第二の停止予定階と、に区別して表示する表示部を備え
この表示部は、停止予定階のみをかごの停止する順に並ぶように表示する、表示装置。
【請求項2】
エレベータの乗場に配置される表示装置であって、
少なくとも当該表示装置が配置された前記乗場において乗場呼びが登録されたときから該乗場にかごが停止するまでの間、前記かごの停止が予定されている停止予定階を、該乗場へのかごの停止前に停止が予定されている第一の停止予定階と、該乗場へのかごの停止後に停止が予定されている第二の停止予定階と、に区別して表示する表示部を備え
前記表示部は、前記第一の停止予定階と前記第二の停止予定階とを異なる色で表示する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗場に配置されてかごの昇降に関する情報を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータの乗場等に配置され、かごの停止が予定されている乗場階(停止予定階)を表示する表示装置が知られている(特許文献1参照)。この表示装置が配置されたエレベータでは、利用者が乗場で呼びボタンの操作(乗場呼びの登録)を行ったときに、表示される停止予定階の数等によって、該乗場にかごが到着するまでのおおよその待ち時間を推測することができる。
【0003】
また、乗場で行先階を登録すると、最適なかごが割り当てられるエレベータが開発されており、このようなエレベータでは、乗場の表示装置において行先階(換言すると、かごが当該乗場で停止した後に停止を予定している停止予定階)を表示させることで、複数のかごが昇降している場合でも、利用者の乗り間違いを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平8-25698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
更なる利用者の利便性の向上等を図るために、エレベータの乗場の表示装置において、停止予定階と行先階の両方を表示させることが考えられる。
【0006】
しかし、この場合、表示装置の表示を見た利用者が停止予定階と行先階とを混同してしまい、乗り間違いが発生することが懸念される。
【0007】
そこで、本発明は、乗場での停止前と停止後の両方の停止予定階を表示しつつも利用者の乗り間違いを防ぐことができる表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、
エレベータの乗場に配置される表示装置であって、
少なくとも当該表示装置が配置された前記乗場において乗場呼びが登録されたときから該乗場にかごが停止するまでの間、前記かごの停止が予定されている停止予定階を、該乗場へのかごの停止前に停止が予定されている第一の停止予定階と、該乗場へのかごの停止後に停止が予定されている第二の停止予定階と、に区別して表示する表示部を備える。
【0009】
このように、第一の停止予定階と第二の停止予定階とを区別して表示することで、当該表示装置が配置された乗場での停止前の停止予定階(第一の停止予定階)と停止後の停止予定階(第二の停止予定階)との両方の停止予定階が表示装置において表示されていても、利用者がこれらを混同することが防がれ、これにより、該利用者の乗り間違いが効果的に防がれる。
【0010】
また、前記表示装置では、
前記表示部は、前記第一の停止予定階と前記第二の停止予定階とを異なる色で表示してもよい。
【0011】
このように、第一の停止予定階と第二の停止予定階とが異なる色で表示されることで、利用者が第一の停止予定階と第二の停止予定階とを容易に区別する(認識)することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上より、本発明によれば、利用者の乗り間違いを防ぐことができる表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、表示装置の正面図である。
図2図2(a)は、二つのかごを備えるエレベータの所定階の乗場に配置される表示装置であって、一方のかごに対応する表示装置の表示の一例を示す図であり、図2(b)は、二つのかごを備えるエレベータの前記所定階の乗場に配置される表示装置であって、他方のかごに対応する表示装置の表示の一例を示す図である。
図3図3は、他実施形態に係る表示装置の正面図である。
図4図4は、他実施形態に係る表示装置の正面図である。
図5図5(a)は、他実施形態に係る表示装置の表示部において第一の停止予定階が表示された状態を示す図であり、図5(b)は、前記表示装置の表示部において第二の停止予定階が表示された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図1図2(b)を参照しつつ説明する。
【0015】
本実施形態に係る表示装置は、複数のかごが群管理されているエレベータの乗場(乗場階)に配置される。この表示装置は、各乗場(乗場階における各かごへの乗降位置の近傍)に一つずつ配置されている。尚、本発明における群管理とは、複数のかごの運行を管理する制御であり、各かごの運航効率(利用者の運搬効率)の観点から、乗場呼びが登録された乗場に停止するかごの割り当てを行う。このかごの割り当ては、各乗場での乗場呼びの登録状況や、各かご内からの行先階の登録状況の変化によって変更される。
【0016】
表示装置は、例えば、乗場においてかごへ乗降する出入口の上方(乗場ドアの上方)等の利用者が見やすい位置に配置される。この表示装置は、図1に示すように、かごの停止が予定されている乗場(以下、「停止予定階」と称する。)についての情報を表示可能な表示部2を備える。
【0017】
表示部2は、例えば液晶ディスプレイ等によって構成される。この表示部2は、群管理によって割り当てられた、即ち、当該かごの停止が予定されている停止予定階を、当該表示装置1の配置された乗場へのかごの停止前に当該かごの停止が予定されている第一の停止予定階と、該乗場へのかごの停止後に該かごの停止が予定されている第二の停止予定階(行先階)と、に区別して表示する。
【0018】
詳しくは、停止予定階とは、呼びボタン(上ボタンや下ボタン等)が操作されることで登録された乗場(詳しくは、該乗場の階床を示す数字)、即ち、乗場呼びが登録された乗場のうちから、当該かご(表示部2に表示されるかご)に割り当てられた乗場と、当該かご(表示部2に表示されるかご)内の行先階ボタンによって登録された行先階(乗場)と、を含む。尚、本実施形態の表示部2は、表示装置1が配置された乗場において乗場呼びが登録されたときから該乗場にかごが停止するまでの間、停止予定階を表示する。
【0019】
また、第一の停止予定階とは、該表示装置1が配置された乗場において乗場呼びが登録されたときから該乗場にかごが停止するまでの間に該かごの停止が予定されている乗場(階床)であり、第二停止予定階とは、該表示装置1が配置された乗場において乗場呼びが登録されて該乗場にかごが停止した後に該かごの停止が予定されている乗場(階床)である。
【0020】
以下、表示部2における停止予定階の具体的な表示について説明する。
【0021】
この表示部2において、複数の停止予定階を表す数字(以下、単に「停止予定階」とも称する。)が表示されるときには、これら複数の停止予定階は、かごの停止する順に並ぶ。本実施形態の表示部2では、停止予定階は、上の段の左端から右に向かって並び、右端まで並ぶと、下の段の左端から右に向かって順に並ぶ。例えば、図1の表示装置1は、5階の乗場に配置されており、表示部2には、かごが5階に到着するまでに、10階、9階、7階に順に停止する予定であることが示されている。
【0022】
この図1に示す状態から、かごが5階に向けて下降するのに伴って各段の数字が左に順に移動する。例えば、かごが9階まで下降したときには、上の段の左端が9となり、残りの停止予定階である7、5、3、2が順に右側に並んだ状態となる。
【0023】
また、図1に示す状態から、群管理によって新たな停止予定階が割り当てられたときには、前記新たに割り当てられた停止予定階が表示部2において対応する位置に追加される。例えば、8階が新たに割り当てられた場合には、表示部2において9の右側に8が追加され、7、5、3、2は、順にずれる。
【0024】
また、かご内の利用者によって行先階が登録されたときにも、登録された行先階(乗場階)が停止予定階として対応する位置に追加される。例えば、行先階として4階が登録された場合には、表示部2において5の右側に4が追加され、3、2は、順にずれる。
【0025】
本実施形態の表示部2は、第一の停止予定階と第二の停止予定階とを異なる色の数字で表示することで、第一の停止予定階と第二の停止予定階とを区別して表示する。例えば、図1に示す例では、表示装置1が配置された乗場が5階であり、該表示装置1の表示部2は、第一の停止予定階を青色の数字で示し、第二の停止予定階を赤色の数字で示している(尚、図1においては、数字の色の違いをドットの違いで示す。)。具体的には、表示部2に示される複数の停止予定階のうち、第一の停止予定階が10階、9階、7階であり、第二の停止予定階が3階、2階である。
【0026】
また、群管理により割り当てが変更されて停止せずに通過することになった停止予定階は、前記割り当てが変更された時点で表示部2から消え、消えた停止予定階より後ろ側に並んでいた停止予定階(数字)が前側に順にずれる。例えば、図1に示す状態から、7階の乗場呼び登録に対するかごの割り当てが変更されて他のかごが停止することになった場合には、当該停止予定階を示す7が消えて、その後ろ側に並ぶ停止予定階(5階、3階、2階)が前側に順にずれる。
【0027】
以上の表示装置1によれば、表示部2が第一の停止予定階と第二の停止予定階とを区別して表示することで、当該表示装置1が配置された乗場(図1に示す例では5階)での停止前の停止予定階(第一の停止予定階:図1に示す例では、10階、9階、7階)と停止後の停止予定階(第二の停止予定階:図1に示す例では、3階、2階)との両方の停止予定階が表示装置1(表示部2)において表示されていても、利用者がこれらを混同することが防がれ、これにより、該利用者の乗り間違いが効果的に防がれる。
【0028】
また、複数(図2(a)及び図2(b)に示す例では二つ)のかごが停止可能な乗場階においては、かごへの乗降位置(対応するかご)毎に表示装置1が一つずつ配置されており、各表示部2(図2(a)に示す表示部2と図2(b)に示す表示部2)を見ることで、各かごが当該乗場に到着するまでに停止する乗場(第一の停止予定階)の数がそれぞれ容易に認識できるため、いずれのかごが先に当該乗場に到着するか(到着するまでの時間)が予想しやすくなる。具体的には、各表示装置1の表示部2を見ることで、図2(a)に示す表示装置1に対応するかご(一方のかご)は、当該乗場(5階)に着くまでに三つの乗場(第一の停止予定階:10階、9階、7階)に停止することがわかり、図2(b)に示す表示装置に対応するかご(他方のかご)は、当該乗場(5階)に着くまでに二つの乗場(第一の停止予定階:1階、2階)に停止することがわかる。
【0029】
しかも、複数のかごが停止可能な乗場階において各表示装置1の表示部2を見ることで、一方のかごは、当該乗場(5階)に停止した後、当該乗場より下方の停止予定階(第二の停止予定階:3階、2階)に停止し、他方のかごは、当該乗場(5階)に停止した後、当該乗場より上方の停止予定階(第二の停止予定階:10階)に停止することが容易に認識できる。このように、利用者は、各表示装置1の表示部2を見るだけで、各かごが当該乗場に停止した後、該かごが上方と下方のいずれの方向に向かうか、及びいずれの乗場(階)に停止するかが容易にわかり、その結果、利用者の乗り間違いが効果的に防がれる。
【0030】
また、本実施形態の表示装置1では、表示部2が、第一の停止予定階と第二の停止予定階とを異なる色で表示する。このため、利用者は、表示部2を見たときに、第一の停止予定階と第二の停止予定階とを容易に区別する(認識)することができる。
【0031】
尚、本発明のエレベータ用の表示装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0032】
上記実施形態の表示装置1に表示される第二の停止予定階は、異なる乗場(階)での乗場呼び登録やかご内からの行先階登録によって登録された乗場(階)であるが、この構成に限定されない。乗場において行先階を登録できるエレベータでは、第二の停止予定階として、乗場で登録された行先階も表示される構成でもよい。
【0033】
上記実施形態の表示装置1は、複数のかごが停止可能な乗場に配置されているが、この構成に限定されない。一つのかごが停止可能な乗場に配置されてもよい。また、上記実施形態の表示装置1は、複数のかごが停止可能な乗場においてかご毎に配置されているが、一つの表示装置1(表示部2)に複数のかごの停止予定階をそれぞれ表示する構成でもよい。
【0034】
また、上記実施形態の表示装置1は、表示装置1が配置された乗場において乗場呼びが登録されたときから該乗場にかごが停止するまでの間、表示部2において停止予定階を表示するが、この構成に限定されない。表示装置1は、停止予定階がある間(乗場呼び登録及び行先階登録の全てがなくなったとき以外)、表示部2に表示予定階を表示し続ける構成でもよい。即ち、表示装置1は、少なくとも表示装置1が配置された乗場において乗場呼びが登録されたときから該乗場にかごが停止するまでの間、表示部2において停止予定階を表示すればよい。
【0035】
上記実施形態の表示装置1では、第一の停止予定階と第二の停止予定階とが異なる色で表示されるが、この構成に限定されない。例えば、表示装置1の表示部2において、第一の停止予定階と第二の停止予定階とが異なる領域(図3に示す例では、第一の停止予定階が表示部2の上部領域21、第二の停止予定階が表示部2の下部領域22)に分けて表示される構成でもよい。また、表示装置1は、第一の停止予定階を表示する第一の表示部と、第二の停止予定階を表示する第二の表示部とを備えていてもよい。また、図4に示すように、第一の停止予定階(詳しくは、第一の停止予定階を表す数字)が並ぶ方向と第二の停止階(詳しくは、第二の停止予定階を表す数字)の並ぶ方向とが異なる表示でもよい。また、第一の停止予定階の表示(図5(a)参照)と、第二の停止予定階の表示(図5(b)参照)とが共通の表示部2に交互に表示される構成でもよい。即ち、表示装置1は、停止予定階を第一の停止予定階と第二の停止予定階とに区別して表示する構成であればよい。
【符号の説明】
【0036】
1…表示装置、2…表示部、21…上部領域、22…下部領域
【要約】
【課題】利用者の乗り間違いを防ぐことができる表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、エレベータの乗場に配置される表示装置であって、少なくとも当該表示装置が配置された乗場において乗場呼びが登録されたときから該乗場にかごが停止するまでの間、かごの停止が予定されている停止予定階を、該乗場へのかごの停止前に停止が予定されている第一の停止予定階と、該乗場へのかごの停止後に停止が予定されている第二の停止予定階と、に区別して表示する、ことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5