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特許7174709ファルネソイドX受容体アゴニストおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ファルネソイドX受容体アゴニストおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/12 20060101AFI20221110BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 231/56 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/416 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 231/04 20060101ALN20221110BHJP
【FI】
C07D231/12 A
C07D401/04
C07D405/04
C07D231/56 D
C07D401/12
C07D405/12
C07D401/14
C07D471/04 104Z
A61K31/415
A61K31/416
A61K31/4439
A61K31/437
A61P1/16
A61P31/12
A61P1/04
A61P43/00
A61P43/00 111
A61K45/00
C07D231/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019547662
(86)(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018022489
(87)【国際公開番号】W WO2018170166
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】62/471,517
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518093226
【氏名又は名称】メタクリン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ニコラス ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴベク,スティーブン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ナガサワ,ジョニー ワイ.
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/170182(WO,A1)
【文献】特許第6905530(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/138969(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/046162(WO,A2)
【文献】国際公開第2004/045511(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/149111(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物であって、
【化1】
式中、
はCHまたはNであり
はH、D、ハロゲン、CN、-OH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、-NR15C(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、あるいは置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり
はCRまたはNであり
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、-NR15C(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり
あるいは、RとRは、介在する原子と一体となって、環に0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する、置換または非置換の縮合5員環を形成し、
はCRまたはNであり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、またはC-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキルであり、
はそれぞれ独立してCHまたはNであり、
はH、D、F、または-CHであり、
はH、D、F、または-CHであり、
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し、
はそれぞれ独立してH、D、F、-OH、または-CHであり、
mは0、1、または2であり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり、
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり、
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR15-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR15-、-NR15C(=O)-、-OC(=O)NR15-、-NR15C(=O)O-、-NR15C(=O)NR15-、-NR15S(=O)-、または-NR15-であり、
は存在しないか、置換または非置換のC-Cアルキレンであり、
はNR あり、
はH、D、C-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、-C(=O)(C-Cアルキル)、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、あるいは置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
はH、D、F、または-CHであり、
Yは-CR1011-、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、または、-NR17-であり、
10はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、-SR12、-S(=O)R14、-S(=O)14、または-N(R12であり、
11はH、D、F、または-CHであり、
あるいは、RとR11は一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し、
12はそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
14はC-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、あるいは、置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
15はHあるいは置換または非置換のC-Cアルキルであり、
16はそれぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
nは0、1、または2であり、
17は-L-R14であり、および、
は存在しないか、-S(=O)-、-C(=O)-、-CO-、または-C(=O)N(R15)-であり、
ここで、「置換」との用語は、参照された基がD、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-OH、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)NH(C-Cアルキル)、-C(=O)N(C-Cアルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(C-Cアルキル)、-S(=O)N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルコキシ、-SC-Cアルキル、-S(=O)C-Cアルキル、および-S(=O)-Cアルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されることを意味する、
化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項2】
Yが-CR1011-であり、
はHであり、
11はHであり、
あるいは、RとR11は一体となって、-CHCH-である架橋を形成し、
はHであり、
はHであり、
あるいは、RとRは一体となって、-CHCH-である架橋を形成する、
請求項1に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項3】
Lは、存在しないか、-O-、-S-、-CH-、-CHCH-、-CHO-、-OCH-、-CHNR15-、-NR15CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR15-、-NR15C(=O)-、-OC(=O)NR15-、-NR15C(=O)O-、-NR15C(=O)NR15-、-NR15S(=O)-、-NR15-、シクロプロピレン、シクロブチレン、あるいはビシクロ[1.1.1]ペンチレンである、請求項1または2に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項4】
式(II)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物であって、
【化2】
式中
10はH、D、F、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、あるいは-N(R12であり、
はCRであり、
はCRまたはNであり、
はそれぞれCHであり、あるいは、XはそれぞれNでありあるいは、1つのXはNであり、もう一方のXはCHである、
請求項1-3のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項5】
式(III)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物であって、
【化3】
式中
10はH、D、F、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、あるいは-N(R12であり、
はCRであり、
はCRまたはNであり、
はそれぞれCHであり、あるいは、XはそれぞれNでありあるいは、1つのXはNであり、もう一方のXはCHである、
請求項1-3のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項6】
式(IV)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物であって、
【化4】
式中
10はH、D、F、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、あるいは-N(R12であり、
はCRであり、
はCRまたはNであり、
はそれぞれCHであり、あるいは、XはそれぞれNでありあるいは、1つのXはNであり、もう一方のXはCHである、
請求項1-3のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項7】
式(V)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物であって、
【化5】
式中
10はH、D、F、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、あるいは-N(R12であり、
はCRであり、
はCRまたはNであり、
はそれぞれCHであり、あるいは、XはそれぞれNでありあるいは、1つのXはNであり、もう一方のXはCHである、
請求項1-3のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項8】
はH、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHであり、
はH、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHであり、
あるいは、RとRは、介在する原子と一体となって、環に0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する、置換または非置換の縮合5員環を形成し、すなわち、置換または非置換のジヒドロフラニル、置換または非置換のジオキソリル、置換または非置換のフラニル、置換または非置換のチエニル、置換または非置換のピロリル、置換または非置換のオキサゾリル、置換または非置換のチアゾリル、置換または非置換のイミダゾリル、置換または非置換のピラゾリル、置換または非置換のトリアゾリル、置換または非置換のイソキサゾリル、あるいは置換または非置換のイソチアゾリルであり、
はH、D、F、Cl、-CN、-OH、-SH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHであり、
はH、D、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CH(CH)CHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CHFCH、-CHCHF、-CHCHOH、-CHCHOCH、-CHCHNH,-CHCHNHCH、-CHCHN(CH、-C(=O)CH、-C(=O)CHCH、-C(=O)CH(CH、-COCH、-COCHCH、-COCH(CH、-C(=O)NHCH、-S(=O)CH、-S(=O)NHCH、置換または非置換のシクロプロピル、置換または非置換のシクロブチル、置換または非置換のシクロペンチル、置換または非置換のシクロヘキシル、置換または非置換のオキセタニル、置換または非置換のテトラヒドロフラニル、置換または非置換のテトラヒドロピラニル、あるいは置換または非置換のテトラヒドロチオピラニルであり、および、
16はそれぞれ独立して、H、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-C(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-CH=CH、-CH=CHCH、-C≡CH、-C≡CCH、-C≡CCHCH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-S(=O)CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHCHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、あるいは-CHN(CH、置換または非置換のシクロプロピル、置換または非置換のシクロブチル、置換または非置換のシクロペンチル、置換または非置換のシクロヘキシル、置換または非置換のアジリジニル、置換または非置換のアゼチジニル、置換または非置換のピロリジニル、置換または非置換のピペリジニル、置換または非置換のテトラヒドロフラニル、置換または非置換のテトラヒドロピラニル、置換または非置換のテトラヒドロチオピラニル、置換または非置換のモルホリニル、置換または非置換のチオモルホリニル、あるいは置換または非置換のピペラジニルである、
請求項1-7のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項9】
は、H、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-CHCH、-OCH、-OCHCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいは-OCHCFであり、
はH、D、F、Cl、-CH、-CHCH、-OCH、-OCHCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいは-OCHCFであり、
はH、D、F、Cl、-CH、-OCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、あるいは-OCFであり、
は-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CH(CH)CHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CHFCH、-CHCHF、-CHCHOH、-CHCHOCH、-CHCHNH、-CHCHNHCH、-CHCHN(CH、置換または非置換のシクロプロピル、置換または非置換のシクロブチル、置換または非置換のシクロペンチル、置換または非置換のシクロヘキシル、置換または非置換のオキセタニル、置換または非置換のテトラヒドロフラニル、あるいは置換または非置換のテトラヒドロピラニルであり、
16はそれぞれ独立して、H、D、F、Cl、-CH、-CHCH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、あるいは-CHCFである、
請求項1-8のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項10】
は-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-OCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいはOCHCFであり、
はH、D、F、Cl、-CH、-CD、-CHF、-CHF、あるいは-CFであり、
はHである、
請求項1-9のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項11】
【化6】
は、
【化7】
である、請求項1-10のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項12】
【化8】
は、
【化9】
である、請求項1-10のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項13】
mは0である、請求項1-12のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項14】
nは0である、請求項1-13のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項15】
10は-OHである、請求項1-14のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項16】
ランス-N-((トランス-4-(3-シアノ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-((トランス-4-(3-シアノ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-4-ヒドロキシ-N-(3-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-((トランス-4-(3-シアノ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-(3-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-(3-(1-イソブチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-プロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-(3-(1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-シクロブチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-(オキセタン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-(2-フルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-(sec-ブチル)-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-((1H-ピラゾール-4-イル)エチニル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-((1H-ピラゾール-3-イル)エチニル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(3-フルオロ-1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)シクロヘキシル)メチル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド
ランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(6-(ジメチルアミノ)ピリジン-3-イル)シクロヘキシル)メチル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-((トランス-4-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド
トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタノ-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
トランス-4-アミノ-N-(3-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミドまたは、
トランス-4-アミノ-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタノ-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
である、請求項1に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【請求項17】
以下の構造請求項1に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物。
【化10】
【請求項18】
請求項1-17のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
哺乳動物の肝臓の疾患または疾病、
哺乳動物の肝線維症、
哺乳動物の肝臓炎、あるいは
哺乳動物の胃腸の疾患または疾病
を処置または予防するための薬剤の製造における、請求項1-17のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の使用。
【請求項20】
肝臓の疾患または疾病は、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、胆汁うっ滞、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、脂肪肝(脂肪症)、肝硬変、アルコール性肝炎、肝内胆汁うっ滞、または肝外胆汁うっ滞であり
肝線維症は、C型肝炎ウイルス(HCV)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝硬変、ウィルソン病、B型肝炎ウイルス(HBV)、HIV関連の脂肪性肝炎と肝硬変、慢性ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、または胆汁性肝硬変と診断される哺乳動物におけるものであり
肝臓炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝硬変、ウィルソン病、B型肝炎ウイルス(HBV)、HIV関連の脂肪性肝炎と肝硬変、慢性ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、または胆汁性肝硬変と診断される哺乳動物におけるものであるかあるいは、
肝臓炎は炎症性腸疾患と診断される哺乳動物におけるものであるかあるいは、
肝臓炎は胃腸管の炎症に関連付けられ
胃腸の疾患または疾病は、壊死性腸炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、胃腸炎、放射線により誘発された小腸炎、偽膜性大腸炎、化学療法により誘発された小腸炎、胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍、非潰瘍性消化不良(NUD)、セリアック病、腸のセリアック病、術後の炎症、胃発癌、移植片対宿主病、あるいはこれらの任意の組み合わせであるかあるいは、
胃腸の疾患または疾病は、下痢を伴う過敏性腸症候群(IBS-D)、便秘を伴う過敏性腸症候群(IBS-C)、混合型IBS(IBS-M)、分類不能型IBS(IBS-U)、あるいは胆汁酸性下痢(BAD)である、
請求項19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2017年3月15日に出願された米国仮特許出願第62/471,517号の利益を主張するものであり、これは全体として引用によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書には、ファルネソイドX受容体アゴニストである化合物、そのような化合物を作る方法、そのような化合物を含む医薬組成物および薬剤、ならびにファルネソイドX受容体活性に関連する疾病、疾患、または障害の処置において上記化合物を使用する方法が記載される。
【背景技術】
【0003】
ファルネソイドX受容体(FXR)は、肝臓、腸、腎臓、副腎、および脂肪組織中で高度に発現される核受容体である。FXRは、胆汁酸の合成と輸送、脂質代謝、およびグルコース恒常性の制御に関与する多種多様な標的遺伝子を調節する。FXRアゴニズムは、多くの代謝障害、肝臓の疾患または疾病、炎症性の疾病、胃腸疾患、あるいは細胞増殖疾患のための処置様式である。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様では、本明細書にはファルネソイドX受容体アゴニストおよびその使用が記載される。1つの態様では、式(I)の構造を有する化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物が本明細書に記載され、
【0005】
【化1】
式中、
はCHまたはNであり;
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-SH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、-NR15C(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、あるいは置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
はCRまたはNであり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-SH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、-NR15C(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキル、あるいは、置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
あるいは、RとRは、介在する原子と一体となって、環に0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する、置換または非置換の縮合5員環、あるいは置換または非置換の縮合6員環を形成し、
はCRまたはNであり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-SH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、ーC(=O)N(R15、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、あるいは、置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり、
はそれぞれ独立してCHまたはNであり、
はH、D、F、または-CHであり、
はH、D、F、または-CHであり、
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し、
はそれぞれ独立してH、D、F、-OH、または-CHであり、
mは0、1、または2であり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり、
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり、
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR15-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR15-、-NR15C(=O)-、-OC(=O)NR15-、-NR15C(=O)O-、-NR15C(=O)NR15-、-NR15S(=O)-、または-NR15-であり、
は存在しないか、置換または非置換のC-Cアルキレンであり、
はNRまたはNであり、
はH、D、C-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、-C(=O)(C-Cアルキル)、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、あるいは置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
はH、D、F、または-CHであり、
Yは-CR1011-、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、または、-NR17-であり、
10はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、-SR12、-S(=O)R14、-S(=O)14、または-N(R12であり、
11はH、D、F、または-CHであり、
あるいは、RとR11は一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し、
12はそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
14はC-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、あるいは、置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
15はHあるいは置換または非置換のC-Cアルキルであり、
16はそれぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、ーOH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
nは0、1、または2であり、
17は-L-R14であり、および、
は存在しないか、-S(=O)-、-C(=O)-、-CO-、または-C(=O)N(R15)である。
【0006】
様々な変数について上に記載された基の任意の組み合わせが本明細書で企図される。明細書全体にわたって、基とその置換基は、安定した部分と化合物を提供するために当業者によって選択される。
【0007】
1つの態様において、本明細書に記載される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与、皮下投与、経口投与、吸入、経鼻投与、皮膚投与、または経眼投与による哺乳動物への投与のために製剤される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は静脈内投与、皮下投与、または経口投与による哺乳動物への投与のために製剤される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は経口投与による哺乳動物への投与のために製剤される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、液体、懸濁液、ゲル、分散剤、溶液、エマルジョン、軟膏、またはローション剤の形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセルの形態をしている。
【0008】
別の態様では、本明細書には、FXRアゴニズムから恩恵を得ることになる哺乳動物の疾患または疾病を処置する方法が記載され、該方法は、本明細書に記載されるような化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、それを必要としている哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患または疾病は、代謝疾患である。いくつかの実施形態では、上記疾患または疾病は、肝臓疾患である。
【0009】
いくつかの実施形態において、化合物は、静脈内投与、皮下投与、経口投与、吸入、経鼻投与、経皮投与、あるいは眼投与によって哺乳動物に投与される。
【0010】
1つの態様では、本明細書では、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、それを必要としている哺乳動物に投与する工程を含む、本明細書に記載される疾患または疾病の任意の1つを処置または予防する方法が記載されている。
【0011】
1つの態様では、本明細書には、哺乳動物における代謝または肝臓の疾患の処置または予防のための方法が記載され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、それを必要としている哺乳動物に投与する工程を含む。他の実施形態では、代謝または肝臓の疾患は、FXRアゴニストによる処置に反応しやすい。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物に加えて、哺乳動物に第2の治療剤を投与する工程をさらに含む。
【0012】
1つの態様では、哺乳動物における肝臓の疾患または疾病を処置または予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または疾病は、アルコール性または非アルコール性の肝臓疾患である。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または疾病は、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、胆汁うっ滞、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態では、アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、脂肪肝(脂肪症)、肝硬変、またはアルコール性肝炎である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、または非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、肝線維症を伴う。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、肝線維症を伴わない非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、肝内胆汁うっ滞または肝外胆汁うっ滞である。
【0013】
1つの態様では、哺乳動物における肝線維症の疾患またはを処置または予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、C型肝炎ウイルス(HCV)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝硬変、ウィルソン病、B型肝炎ウイルス(HBV)、HIV関連の脂肪性肝炎と肝硬変、慢性ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、あるいは胆汁性肝硬変と診断される。いくつかの実施形態では、哺乳動物は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と診断される。
【0014】
1つの態様では、哺乳動物における肝臓炎を処置または予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、C型肝炎ウイルス(HCV)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝硬変、ウィルソン病、B型肝炎ウイルス(HBV)、HIV関連の脂肪性肝炎と肝硬変、慢性ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、あるいは胆汁性肝硬変と診断される。いくつかの実施形態では、哺乳動物は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と診断される。いくつかの実施形態では、肝臓炎は胃腸管の炎症に関連付けられる。いくつかの実施形態では、哺乳動物は炎症性腸疾患と診断される。
【0015】
1つの態様では、哺乳動物における胃腸の疾患または疾病を処置または予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、胃腸の疾患または疾病は、壊死性腸炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、胃腸炎、放射線により誘発された小腸炎、偽膜性大腸炎、化学療法により誘発された小腸炎、胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍、非潰瘍性消化不良(NUD)、セリアック病、腸のセリアック病、術後の炎症、胃発癌、移植片対宿主病、あるいはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、胃腸疾患は、過敏性腸症候群(IBS)、下痢を伴う過敏性腸症候群(IBS-D)、便秘を伴う過敏性腸症候群(IBS-C)、混合型IBS(IBS-M)、分類不能型IBS(IBS-U)、あるいは胆汁酸性下痢(BAD)である。
【0016】
1つの態様では、FXRアゴニストを用いる処置から利益を得ることになる哺乳動物の疾患または疾病を処置または予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物に加えて、少なくとも1つの追加の治療剤を投与する工程をさらに含む。
【0017】
前述の態様のいずれかにおいて、有効な量の本明細書に記載される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩は、(a)哺乳動物に全身に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与され、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または、(d)吸入によって投与され、および/または、(e)経鼻投与によって投与され;あるいは、および/または、(f)哺乳動物へ注入によって投与され、および/または、(g)哺乳動物に局所的に投与され、および/または、(h)点眼によって投与され、および/または、(i)哺乳動物に直腸で投与され、および/または、(j)哺乳動物に非全身的にあるいは局所的に投与される。
【0018】
前述の態様のいずれかにおいて、有効な量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態は、化合物が哺乳動物へ一日に一度投与されるか、または化合物が1日のスパンにわたって哺乳動物に複数回投与されるさらなる実施形態を含んでいる。いくつかの実施形態では、化合物は連続的な投薬スケジュールで投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、連続的な毎日の投薬スケジュールで投与される。
【0019】
疾患または疾病の処置に関する前述の態様のいずれかにおいて、本明細書に記載される式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与に加えて、少なくとも1つの追加の薬剤の投与を含む、さらなる実施形態がある。様々な実施形態では、それぞれの薬剤は同時を含む任意の順に投与される。
【0020】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、哺乳動物または被験体は、ヒトである。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物はヒトに投与される。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物は経口で投与される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書には、被験体の代謝障害を処置または予防する方法が記載され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物の1つ以上、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、被験体の胃腸管に投与する工程であって、それによって、腸内のファルネソイドX受容体(FXR)を活性化し、被験体の代謝障害を処置または予防する工程を含む。いくつかの実施形態では、化合物の吸収は、優先的に腸の内部に制限される。いくつかの実施形態では、該方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、肝臓または腎臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強しない。いくつかの実施形態では、該方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、送達された化合物の全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、該方法は、腸と肝臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、送達された化合物の全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、該方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、肝臓または腎臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強せず、全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、該方法は、腸と肝臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、送達された化合物の全身の血漿レベルの保持をもたらす。いくつかの実施形態では、該方法は、食事による体重の増加を減少または予防する。いくつかの実施形態では、該方法は、被験体における代謝率を増大させる。いくつかの実施形態では、代謝率の増大は、被験体において酸化的リン酸化を増強することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、被験体においてグルコースおよび/または脂質の恒常性を改善する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、結果的に被験体における食物摂取量および/または脂肪消費量の大きな変化を引き起こさない。いくつかの実施形態では、該方法は、被験体における食欲の大きな変化を引き起こさない。いくつかの実施形態では、代謝障害は、肥満症、糖尿病、インスリン抵抗性、脂質異常症またはそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、代謝障害は、インスリン非依存性糖尿病である。いくつかの実施形態では、該方法は、食事による体重の増加を防ぐか、炎症を減少させるか、熱産生を増強するか、肝臓におけるインスリン感受性を増強するか、肝臓脂肪症を減少させるか、BATの活性化を促進するか、血糖を低下させるか、体重減少を増大させるか、またはそれらの任意の組み合わせをもたらす。いくつかの実施形態では、該方法は、肝臓におけるインスリン感受性を増強し、褐色脂肪組織(BAT)活性化を促進する。いくつかの実施形態では、該方法は、インスリン抵抗性改善剤、インスリン分泌促進薬、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴン様ペプチド(GLP)アゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤、ニコチンアミドリボヌクレオシド、ニコチンアミドリボヌクレオシドのアナログ、またはそれらの組み合わせを被験体に投与する工程をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、本明細書には、被験体の腸内領域における炎症を処置または予防する方法が記載され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物の1つ以上、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、被験体の胃腸管に投与する工程であって、それによって、腸内のFXR受容体を活性化する工程、および被験体の腸内領域における炎症を処置または予防する工程を含む。いくつかの実施形態では、化合物の吸収は、優先的に腸の内部に制限される。いくつかの実施形態では、該方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、肝臓または腎臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強しない。いくつかの実施形態では、炎症は、壊死性腸炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、胃腸炎、放射線誘発性腸炎、偽膜性大腸炎、化学療法誘発性腸炎、胃食道逆流疾患(GERD)、消化性潰瘍、非潰瘍性消化不良(NUD)、セリアック病、腸のセリアック病、手術後の炎症、胃発癌、またはそれらの任意の組み合わせから選択される臨床症状に関連付けられている。いくつかの実施形態において、1つ以上のFXR標的遺伝子は、IBABP、OSTα、Per1、FGF15、FGF19、SHP、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、治療上有効な量の抗生物質治療薬(antibiotic therapy)を被験体に投与する工程をさらに含み、ここで該方法は、被験体の偽膜性大腸炎に関連付けられた炎症を処置または予防する。いくつかの実施形態では、該方法は、治療上有効な量の経口コルチコステロイド、他の抗炎症治療薬または免疫調節治療薬(anti-inflammatory or immunomodulatory therapy)、ニコチンアミドリボヌクレオシド、ニコチンアミドリボヌクレオシドのアナログ、またはそれらの組み合わせを被験体に投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、HSLリン酸化およびβ3-アドレナリン受容体発現を増大させる。いくつかの実施形態では、被験体における化合物の血清中濃度は、化合物の投与後にそのEC50を下回ったままである。
【0025】
いくつかの実施形態において、本明細書には、被験体の細胞増殖性疾患を処置または予防する方法が記載され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物の1つ以上あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を被験体の胃腸管に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、細胞増殖性疾患は腺癌である。いくつかの実施形態では、腺癌は結腸癌である。いくつかの実施形態では、腺癌を処置することで、腺癌のサイズ、腺癌の体積、腺癌の数、腺癌による悪液質を減少させ、腺癌の進行を遅らせ、被験体の生存率を上昇させ、またはこれらの組み合わせを引き起こす。いくつかの実施形態では、該方法は、化学療法薬、生物製剤、放射線治療薬、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される追加の治療用化合物を被験体に投与する工程をさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、本明細書には、被験体の肝臓の疾患または疾病を処置または予防する方法が記載され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物の1つ以上、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または疾病は、アルコール性または非アルコール性の肝臓疾患である。いくつかの実施形態では、肝臓の疾患または疾病は、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、胆汁うっ滞、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態では、アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、脂肪肝(脂肪症)、肝硬変、またはアルコール性肝炎である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、または非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態では、非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、肝内胆汁うっ滞または肝外胆汁うっ滞である。
【0027】
パッケージング材、パッケージング材内の本明細書に記載される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、および上記化合物または組成物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、薬学的にな代謝産物、薬学的に許容可能なプロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物が、FXRアゴニズムから恩恵を得ることになる疾患または疾病の1つ以上の症状の処置、予防、または改善のために使用されることを示すラベルを含む、製品が提供される。本明細書に記載される化合物、方法、および組成物の他の目標、特徴、および利点は、以下の詳細な記載から明らかとなる。しかしながら、本開示の精神と範囲内の様々な変更と修正が詳細な説明から当業者に明らかとなるため、詳細な説明と特定の実施例は特定の実施形態を示しつつも一例として与えられるものに過ぎないことが理解されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
核ホルモン受容体のファルネソイドX受容体(FXRまたは核受容体のサブファミリー1、群H、メンバー4(NR1H4)としても知られている)(OMIM:603826)は、胆汁酸代謝のための制御因子として機能する。FXRは、副腎、腎臓、胃、十二指腸、空腸、回腸、結腸、胆嚢、肝臓、マクロファージ、および白色および褐色の脂肪組織を含む多様な組織において発現されたリガンド活性化転写受容体である。FXRは、肝臓、腸、および腎臓などの胆汁酸の代謝に関与する組織で高度に発現される。胆汁酸は、FXRのための内因性リガンドとして機能し、その結果、胆汁酸の腸溶および全身の放出が、遺伝子発現ネットワークにおけるFXR配向の変化を誘発する。胆汁酸は、コレステロールの一次的な酸化生成物であり、場合によっては、腸内への分泌で、コレステロール吸収の制御因子となる。胆汁酸へのコレステロールの転換のための律速段階は、チトクロムp450酵素コレステロール7-α-ヒドロキシラーゼ(CYP7A1)によって触媒され、肝臓において生じる。シトクロムP450酵素ステロール12-α-ヒドロキシラーゼ(CYP8B1)は、コール酸の産生を媒介し、2つの主要な胆汁酸、コール酸とケノデオキシコール酸の相対量を決定する。FXRの活性化は、肝小ヘテロ二量体パートナー(hepatic small heterodimer partner)(SHP)(核受容体サブファミリー0、群B、メンバー2;またはNR0B2としても知られている)の発現レベル、および、マウスにおける線維芽細胞増殖因子15(FGF15)とヒトにおける線維芽細胞増殖因子19(FGF19)の腸内の発現を増大させることによって、CYP7A1とCYP8B1の転写を抑制することができる。SHPは肝臓受容体ホモログ(LRH-1)および肝細胞核因子4alpha(HNFa4)、CYP7A1とCYP8B1の遺伝子発現を調節する転写因子を抑制する。FXRによるCYP8B1抑制は、種特異的であり得、FXR活性化は、場合によっては、ヒトでCYP8B1発現を増大させることがある(Sanyal et al PNAS、2007、104、15665)。場合によっては、腸から放出されたFGF15/19は、その後、肝臓において線維芽細胞増殖因子受容体4を活性化し、これは、Cyp7A1とCYP8B1を抑制するマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路の活性化につながる。
【0029】
いくつかの実施形態では、胆汁酸の高いレベルは、インスリン抵抗性に関係している。例えば、インスリン抵抗性は、しばしば血液からのグルコースの取り込みの減少、および肝臓における新規のグルコース産生の増加につながる。いくつかの例では、胆汁酸の腸内の隔離は、腸内のL細胞からのグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)の分泌を促進することによってインスリン抵抗性を改善することが示された。GLP-1は、プログルカゴン遺伝子の転写産物に由来するインクレチンである。それは、食物の摂取に応じて放出され、食欲および胃腸機能の制御を行い、膵臓からのインスリン分泌を促進する。GLP-1の生物学的に活性な形態は、GLP-1-(7-37)およびGLP-1-(7-36)NHを含み、これは、結果としてプログルカゴン分子の選択的な切断をもたらす。そのような場合、胆汁酸の産生の減少につながるFXRの活性化は、インスリン抵抗性の低減に相関している。
【0030】
いくつかの実施形態では、FXRの活性化はペプチドYY(PYYまたはPYY3-36)などの膵臓ポリペプチドの倍(-fold)の分泌にも相関している。いくつかの例では、ペプチドYYは、報酬処理(reward processing)に関係する脳の領域である、視床下部および脳幹内のニューロン活性を調節する消化管ホルモンペプチドである。いくつかの例では、PYYのレベルの低下は、食欲および体重増加の増大に相関している。
【0031】
いくつかの例では、FXRの活性化は、間接的に血漿トリグリセリドの減少につながる。血流からのトリグリセリドのクリアランスは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)によるものである。LPL活性は、その活性化因子、アポリポタンパク質CIIの誘導によって増強され、肝臓におけるその阻害剤、アポリポタンパク質CIIIの抑制は、FXR活性化で生じる。
【0032】
場合によっては、FXRの活性化はさらに、脂肪細胞の分化および機能などのエネルギー消費を調節する。脂肪組織は、含脂肪細胞または脂肪細胞を含む。いくつかの例では、脂肪細胞は、褐色脂肪組織(BAT)または白色脂肪組織(WAT)へとさらに分化される。BATの機能は体熱を発することであるが、WATは脂肪蓄積組織として機能する。
【0033】
いくつかの例では、FXRは腸内で広く発現される。場合によっては、FXRの活性化は、腸内のFGF19(またはマウスにおけるFGF15)の発現および分泌を誘発することが示されている。FGF19は、胆汁酸合成を調節するほかに、グルコース代謝、脂質代謝、およびエネルギー消費に対して効果を発揮するホルモンである。いくつかの例では、FGF19は、脂肪細胞の機能および分化を調節することも観察された。実際に、試験では、高脂肪食を与えたマウスへのFGF19の投与によって、エネルギー消費が増加し、脂肪細胞の分化および機能が調節され、体重増加が逆転し、インスリン抵抗性が改善されたことが示されている(Fu et al.,“Fibroblast growth factor 19 increases metabolic rate and reverses dietary and leptin-deficient diabetes.”Endocrinology 145:2594-2603(2004)を参照)。
【0034】
場合によっては、腸内のFXR活性は、食物摂取間などのマイクロバイオームの異常増殖の低減にも関与することが示されている(Li et al.,Nat Commun 4:2384,2013)。例えば、FXRの活性化が、Ang2、iNos、およびIl18などの回腸におけるいくつかの遺伝子の発現の増加に相関しており、これによって抗菌作用が確立されたことを、試験は示した(Inagaki et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 103:3920-3925,2006)。
【0035】
場合によっては、FXRは腸における障壁機能と免疫調節に関与している。FXRは、肝臓と腸における胆汁塩の合成、輸送、および代謝に関与する遺伝子の転写を調節し、場合によっては、腸の炎症の改善と、胃腸管への細菌移行の予防につながることが示されている(Gadaleta et al.,Gut. 2011 Apr; 60(4):463-72)。
【0036】
場合によっては、胆汁酸の過剰産生、または胆汁酸の不適切な輸送および再循環は、下痢を引き起こすことがあり得る。FXRは、肝臓と腸における胆汁塩の合成、輸送、および代謝に関与する遺伝子の転写を調節し、場合によっては、下痢の改善をもたらすこともある(Camilleri、Gut Liver. 2015 May; 9(3): 332ー339)
【0037】
Gタンパク質共役型胆汁酸受容体1(GPBAR2、GPCR19、胆汁酸に対する膜型受容体またはM-BAR、あるいはTGR5としても知られている)は、胆汁酸に対する細胞表面受容体である。胆汁酸による活性化で、TGRは、細胞内cAMPの産生を誘発し、これは、その後、BATにおける脱ヨード酵素(DIO2)の活性化が原因のトリヨードサイロニンの増加を引き起こし、結果としてエネルギー消費が増大する。
【0038】
したがって、いくつかの実施形態では、胆汁酸合成、胆汁酸循環、グルコース代謝、脂質代謝、またはインスリン感受性などの代謝プロセスの調節は、FXRの活性化によって調節される。さらに、いくつかの実施形態では、胆汁酸合成、胆汁酸循環、グルコース代謝、脂質代謝、またはインスリン感受性などの代謝プロセスの調節不全は、結果として、糖尿病または糖尿病関連の疾病または障害、アルコール性または非アルコール性の肝臓の疾患または疾病、腸の炎症、または細胞増殖性障害などの、代謝疾患をもたらす。
【0039】
本明細書には、特定の実施形態において、FXRアゴニストとしての活性を有する化合物が開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、胆汁酸、他の合成FXRリガンド、および他の天然FXRリガンドとは構造的に異なる。
【0040】
いくつかの実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のFXRアゴニストを投与することによって、糖尿病、肥満症、耐糖能障害、脂質異常症、またはインスリン抵抗性などの代謝障害を処置または予防する方法が開示される。いくつかの例では、化合物は被験体のGI管に投与される。
【0041】
追加の実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のFXRアゴニストを(例えば、GI管経由で)それを必要としている被験体に投与することによって、アルコール性または非アルコール性の肝臓の疾患または疾病(例えば、胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変、脂肪症、肝硬変、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、原発性硬化性胆管炎(PSC)または肝酵素の上昇)を処置または予防する方法が開示される。追加の実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のFXRアゴニストをそれを必要としている被験体に投与することによって、胆汁うっ滞、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、または原発性硬化性胆管炎(PSC)を処置または予防する方法が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のFXRアゴニストをそれを必要としている被験体に投与することによって、胆汁うっ滞を処置または予防する方法が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のFXRアゴニストをそれを必要としている被験体に投与することによって、原発性胆汁性肝硬変を処置または予防する方法が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のFXRアゴニストをそれを必要としている被験体に投与することによって、NASHを処置または予防する方法が開示される。いくつかの実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のFXRアゴニストをそれを必要としている被験体に投与することによって、NAFLDを処置または予防する方法が開示される。
【0042】
さらなる実施形態において、本明細書には、治療上有効な量のFXRアゴニストを(例えば、GI管経由で)それを必要としている被験体に投与することによって、腸における炎症および/または癌などの細胞増殖性障害を処置または予防する方法が開示される。
【0043】
またさらなる実施形態において、本明細書には、例えば、FGF19(マウスにおけるFGF15)の活性の増加、GLP-1の分泌の増加、またはPYYの分泌の増加などの、胆汁酸合成、グルコース代謝、脂質代謝、またはインスリン感受性などの代謝プロセスに関連付けられたタンパク質または遺伝子の1つ以上を調節するFXRアゴニストが開示される。
【0044】
<代謝障害>
本明細書には、特定の態様において、必要としている被験体の代謝障害を処置する方法が開示される。本明細書には、必要としている被験体の代謝障害を予防する方法も記載される。いくつかの例では、これらの方法は、本明細書に開示される治療上有効な量の化合物の1つ以上をそれを必要としている被験体に投与する工程を含む。いくつかの例では、本明細書に開示される1つ以上の化合物は、胃腸(GI)管に吸収される。さらなる例では、GI管に吸収された1つ以上の開示された化合物は、FXR受容体を活性化し、それによって、被験体の代謝障害を処置または予防する。
【0045】
いくつかの実施形態では、開示された化合物は、全身暴露を実証する。いくつかの例では、開示された化合物は、腸内に局所暴露を有するが、肝臓または全身での暴露は限定される。いくつかの実施形態では、腸内の開示された化合物の局所暴露は、腸内のFXR標的遺伝子の調節によって実証され得る。いくつかの実施形態では、標的遺伝子は、SHP、FGF19(FGF15)、IBABP、C3、OST α/βを含み得る。いくつかの実施形態では、開示された化合物の暴露は、腸内における約40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、99.5%、またはそれ以上である。いくつかの例では、開示された化合物の暴露は、体循環における約0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、またはそれ以下である。いくつかの実施形態では、腸管腔内のFXRアゴニストの暴露は、全身作用に起因する副作用の確率を低下させ、それによって、治療の安全性プロフィールが改善される。追加の実施形態では、開示された化合物は、腸内のFXR標的遺伝子発現を増強する。追加の実施形態では、開示された化合物は、例えば、肝臓内のCYP7A1およびCYP8B1遺伝子の発現を阻害するFGF19(FGF15)などの、FXR媒介性の経路における遺伝子の発現をさらに調節する。いくつかの例では、開示された化合物は、FXR媒介性の経路において遺伝子発現を増強する。他の例では、開示された化合物は、FXR媒介性の経路における遺伝子発現を低減または阻害する。いくつかの例では、開示された化合物の不存在下での遺伝子発現に対して、腸、肝臓、腎臓、または他の組織内の遺伝子発現における増強は、約1%、5% 10% 15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、500%、1,000%、5,000%、10,000%、50,000%、100,000%、500,000%、またはそれ以上である。場合によっては、開示された化合物の不存在下での遺伝子発現に対して、腸、肝臓、腎臓、または他の組織内の遺伝子発現における低減は、約100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、またはそれ以下である。
【0046】
いくつかの実施形態では、該方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を著しく増強し、その一方で、送達された化合物の全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、該方法は、腸と肝臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、送達された化合物の全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、該方法は、腸内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、その一方で、肝臓または腎臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強せず、全身の血漿レベルを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、該方法は、腸と肝臓内のFXR標的遺伝子発現を実質的に増強し、送達された化合物の全身の血漿レベルの保持をもたらす。
【0047】
いくつかの実施形態では、代謝障害は、炭水化物、脂質、タンパク質、核酸、またはそれらの組み合わせの正常な代謝の変更を伴う障害を指す。いくつかの例では、代謝障害は、代謝経路の不足または過剰のいずれかに関係し、これは、結果として、核酸、タンパク質、脂質、および/または炭水化物の代謝の不均衡をもたらす。代謝に影響を与える因子は、限定されないが、内分泌(ホルモン)制御系(例えば、インスリン経路、GLP-1、オキシントモジュリン、PYYなどを含む腸内分泌ホルモン)、または神経制御系(例えば、脳内のGLP-1)を含む。典型的な代謝障害は、限定されないが、糖尿病、インスリン抵抗性、脂質異常症、肝臓疾患、炎症関連の腸疾患、細胞増殖性障害などを含む。
【0048】
<真性糖尿病および糖尿病関連の疾病または障害>
いくつかの実施形態において、本明細書には、本明細書に記載されるFXRアゴニストの投与によって、真性糖尿病または糖尿病関連の疾病または障害を有する被験体を処置する方法が開示される。いくつかの例では、糖尿病は、II型糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)である。いくつかの例では、糖尿病関連の疾病または障害は、肥満症、耐糖能障害、脂質異常症、およびインスリン抵抗性を含む。いくつかの例では、糖尿病関連の疾病または障害は、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、脂肪性肝疾患、盲目症、胆嚢疾患、または多嚢胞性卵巣疾患などの、二次的な合併症をさらに含む。場合によっては、FXRアゴニストは、II型糖尿病、肥満症、耐糖能障害、脂質異常症、インスリン抵抗性、またはアテローム性動脈硬化症、脳卒中、脂肪性肝疾患、盲目症、胆嚢疾患、または多嚢胞性卵巣疾患などの二次的な合併症の処置のために投与される。
【0049】
いくつかの実施形態では、糖尿病の被験体(例えば、II型糖尿病の被験体)はさらに、25~29、30~34、または35~40の肥満度指数(BMI)などの、25以上、30以上、35以上、40以上のBMIを特徴とする。
【0050】
いくつかの例では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、被験体の体重増加を減少または予防する。いくつかの例では、体重増加は、食事性の体重増加である。他の例では、体重増加は、家族性/遺伝性の肥満症または薬物に起因する肥満症など、食事に関連しないものである。いくつかの例では、そのような方法は、被験体の体重増加を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上低減または予防する。いくつかの例では、体重増加は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%低減または予防される。場合によっては、体重増加の低減または予防は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察された体重増加の低減または予防に関連している。
【0051】
同様に、場合によっては、FXRアゴニストは被験体のBMIを低下させる。いくつかの例では、そのような方法は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体と比較して、被験体のBMIを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、またはそれ以上低下させる。いくつかの例では、被験体は、体重過多であるが肥満ではない。他の例では、被験体は、体重過多でも肥満でもない。
【0052】
いくつかの例では、FXRアゴニストの投与は血清脂質の量の減少をもたらす。いくつかの例では、血清脂質の量の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上である。場合によっては、血清脂質の量の減少は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%である。場合によっては、血清脂質の量の減少は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察された血清脂質の量に関連している。
【0053】
いくつかの例では、FXRアゴニストの投与は、結果としてトリグリセリド(例えば、肝性トリグリセリド)レベルの低下をもたらす。いくつかの例では、トリグリセリド(例えば肝性トリグリセリド)レベルの低下は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上である。いくつかの例では、トリグリセリド(例えば肝性トリグリセリド)レベルの低下は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%である。場合によっては、トリグリセリド(例えば肝性トリグリセリド)レベルの低下は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察されたトリグリセリド(例えば肝性トリグリセリド)レベルに関連している。
【0054】
いくつかの例では、FXRアゴニストの投与は、肝臓におけるインスリンに対するインスリン感受性の増大をもたらす。いくつかの例では、インスリン感受性の増大は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上である。場合によっては、インスリン感受性の増大は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%である。場合によっては、インスリン感受性の増大は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察された感受性に関連している。
【0055】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストの投与は、結果として被験体における血清インスリンの量の減少をもたらす。いくつかの例では、血清インスリンの減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上である。いくつかの例では、血清インスリンは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%減少される。場合によっては、血清インスリンレベルの低下は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察されたレベルに関連している。
【0056】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストの投与は、結果として被験体における血清グルコースの量の減少をもたらす。いくつかの例では、血清グルコースの減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上である。いくつかの例では、血清グルコースは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%減少される。場合によっては、血清グルコースレベルの低下は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察されたレベルに関連している。
【0057】
いくつかの例では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、被験体の白色脂肪組織の褐色化を増加させる。いくつかの例では、被験体の白色脂肪組織の褐色化の増加率は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上である。
【0058】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストの投与は、被験体の食物摂取量および/または脂肪消費量の著しい変化をもたらさない。いくつかの例では、食物摂取量および/または脂肪消費量は、例えば、15%未満、10%未満、または5%未満減少される。いくつかの実施形態では、被験体の食欲の著しい変化は生じない。他の実施形態では、被験体によって報告された食欲の低下は最小である。
【0059】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニストの投与は、被験体の代謝率の増加をもたらす。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体において代謝率を増加させる。場合によっては、被験体における代謝率は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上増加する。いくつかの例では、代謝率は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%増加する。場合によっては、代謝率の増加は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察された代謝率に関連している。
【0060】
いくつかの実施形態では、代謝における増加は、被験体における酸化的リン酸化の増強から結果として生じ、これは(BATなどの)組織におけるエネルギー消費の増大につながる。そのような事例では、FXRアゴニストは、BATの活性を増大させる助けとなる。いくつかの例では、BATの活性は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、またはそれ以上増加する。いくつかの例では、BATの活性は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、約10%~約70%、または約10%~約30%増加する。場合によっては、BATの活性の増大は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体において観察されたBATの活性に関連している。
【0061】
<アルコール性および非アルコール性の肝臓の疾患または疾病> 本明細書には、アルコール性または非アルコール性の肝臓の疾患または疾病を処置するおよび/または予防する方法が開示される。典型的なアルコール性または非アルコール性の肝臓の疾患または疾病は、限定されないが、胆汁うっ滞、肝硬変、脂肪症、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝酵素の上昇、およびトリグリセリドレベルの上昇を含む。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、アルコール性または非アルコール性の肝臓疾患の予防または処置に使用される。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、胆汁うっ滞、肝硬変、脂肪症、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、または原発性硬化性胆管炎(PSC)の予防または処置に使用される。
【0062】
<胆汁うっ滞>
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の胆汁うっ滞の処置に使用される。胆汁の流れの障害または休止である、胆汁うっ滞は、場合によっては、肝臓における胆汁酸および他の毒素の蓄積により肝毒性を引き起こす。いくつかの例では、胆汁うっ滞は、胆石症、妊娠時胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、および原発性硬化性胆管炎(PSC)を含む、多くの肝臓疾患の要素である。いくつかの例では、閉塞症は、胆石、胆汁外傷、薬物、1つ以上の追加の肝臓疾患、または癌が原因である。場合によっては、胆汁酸の腸肝循環によって、腸から脂肪および脂溶性ビタミンを吸収することができ、肝臓からのコレステロール、毒素、およびビリルビンなどの代謝副産物の除去が可能になる。場合によっては、FXRの活性化は、小管の胆汁輸送体BSEP(ABCB11)と多剤耐性関連タンパク質2(MRP2;ABCC2、cMOAT)の発現を引き起こし、例えば、ステロール12α-ヒドロキシラーゼ(CYP8B1)とCYP7A1などの胆汁酸生合成に含まれる遺伝子を抑制する。
【0063】
いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の胆汁うっ滞を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、胆汁うっ滞は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、胆汁うっ滞のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における胆汁うっ滞のレベルに関連している。
【0064】
<原発性胆汁性肝硬変および肝硬変>
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の原発性胆汁性肝硬変(PBC)の処置に使用される。PBCは、主として肝臓から胆汁酸(BA)を輸送する胆管の自己免疫破壊から生じ、胆汁うっ滞をもたらす肝臓疾患である。PBCが進行すると、BAの持続的な毒性の蓄積が進行性の肝損傷を引き起こす。慢性の炎症および線維症は、肝硬変を進行させかねない。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体のPBCを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、PBCは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、PBCのレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体におけるPBCのレベルに関連している。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の肝硬変を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の肝硬変を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、肝硬変は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、肝硬変のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における肝硬変のレベルに関連している。
【0066】
<非アルコール性脂肪性肝疾患および非アルコール性脂肪性肝炎>
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓における脂肪過多(脂肪症)に関係し、場合によってはNASHへと進行し、これは、炎症、細胞死、および線維症の組織学的特徴によって定義される。いくつかの例では、原発性のNASHはインスリン抵抗性に関係し、一方で二次的なNASHは、医学的または外科的な状態、あるいは限定されないが、タモキシフェンなどの薬物によって引き起こされる。場合によっては、NASHは、進行性の線維症、肝細胞癌、または肝臓移植を必要とする末期の肝臓疾患に進行する
【0067】
いくつかの例では、NASHはトリグリセリド(TG)不均衡の結果として進行する。例えば、機能不全の脂肪細胞は、サイトカインおよびケモカインなどの炎症促進性の分子を分泌し、これは、インスリン抵抗性および脂肪細胞における脂肪分解抑制の失敗につながる。いくつかの例では、脂肪分解抑制のこの失敗は、遊離脂肪酸(FFA)の循環への放出および肝臓内の取り込みにつながる。場合によっては、脂肪滴におけるトリグリセリド(TG)の形態でのFFAの過剰蓄積は、酸化ストレス、ミトコンドリアの機能不全、および炎症促進性の分子のアップレギュレーションにつながる。
【0068】
いくつかの例では、FXRの活性化は、SHPの活性化を介してステロール調節エレメント結合タンパク質1c(SREBP1c)を抑制することによって促進されたトリグリセリド(TG)/脂肪酸(FA)合成を阻害する。場合によっては、FXRは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)活性の刺激によってTGのクリアランスを、およびシンデカン1(SDC1)およびVLDL受容体(VLDLR)の誘導によってレムナントおよび低密度リポタンパク質の肝摂取を増大させる。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置に使用される。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体のNASHを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、NASHは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、NASHのレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体におけるNASHのレベルに関連している。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、NAFLDの処置に使用される。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体のNAFLDを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、NAFLDは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、NAFLDのレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体におけるNAFLDのレベルに関連している。
【0071】
<脂肪症>
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の脂肪肝(脂肪症)を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体中の脂肪症を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、脂肪症は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、脂肪症のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における脂肪症のレベルに関連している。
【0072】
<バルーン障害>
細胞の損傷を表す特徴である肝細胞バルーン障害はNASHの特徴である。バルーン障害は進行性のNAFL(3型および4型)を意味する特徴である。この用語は肥大した肝細胞(腫れたように見える肝細胞)に当てはまり、罹患した細胞は、脂肪過多症の領域、および古典的脂肪性肝炎、細静脈周囲領域でしばしば混ざりあっている。肝細胞性のバルーン障害は、H&Eで検知できる類洞周囲線維症の領域で最も一般的に見られる。バルーン障害の肝細胞は、(典型的な、あるいは、形成不良の)MHを含むときに、最も容易に分かる。肝細胞バルーン障害は微小管の破壊と重度の細胞障害の構造的な徴候である。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の肝臓バルーン障害を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の肝臓バルーン障害を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、肝臓バルーン障害は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、肝臓バルーン障害は、FXRアゴニストでは処置されなかった被験体における肝臓バルーン障害のレベルに関連している。
【0074】
<アルコール性肝炎>
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体のアルコール性肝炎を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体のアルコール性肝炎を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、アルコール性肝炎のレベルは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、アルコール性肝炎のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体におけるアルコール性肝炎のレベルに関連している。
【0075】
<原発性硬化性胆管炎>
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、原発性硬化性胆管炎(PSC)の処置に使用される。PSCは、慢性および進行性の胆汁うっ滞性肝疾患である。PSCは、肝管における進行性の炎症、線維症、および狭窄形成を特徴とする。一般的な症状は、そう痒症および黄疸を含む。該疾患は、炎症性腸疾患(IBD)に強く関係しており、潰瘍性大腸炎の患者の約5%はPSCを有する。PSCの患者の最大70%までは、IBD、最も一般には潰瘍性大腸炎を有している。
【0076】
<さらなるアルコール性および非アルコール性の肝臓の疾患または疾病>
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の肝酵素を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の肝酵素(例えば、血清ALTおよび/またはASTのレベル)を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、肝酵素のレベルは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、肝酵素のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における肝酵素のレベルに関連している。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の肝臓トリグリセリドを減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の肝臓トリグリセリドを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、肝臓トリグリセリドのレベルは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、肝臓トリグリセリドのレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における肝臓トリグリセリドのレベルに関連している。
【0078】
<炎症性腸疾患>
本明細書には、炎症性腸疾患を処置または予防する方法が開示される。典型的な炎症性の疾病は、壊死性腸炎(NEC)、胃炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、偽膜性大腸炎、胃腸炎、放射線誘発性腸炎、化学療法誘発性腸炎、胃食道逆流疾患(GERD)、消化性潰瘍、非潰瘍性消化不良(NUD)、セリアック病、腸のセリアック病、肥満手術後の胃腸管の合併症、胃発癌、あるいは胃または腸の切除後の胃発癌を含む。いくつかの実施形態では、炎症性の疾病はNECであり、被験体は新生児または未熟で出生した幼児である。いくつかの実施形態では、被験体は経腸栄養児または人工栄養児である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、炎症性腸疾患を抱える被験体に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、壊死性腸炎(NEC)、胃炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、偽膜性大腸炎、胃腸炎、放射線誘発性腸炎、化学療法誘発性腸炎、胃食道逆流疾患(GERD)、消化性潰瘍、非潰瘍性消化不良(NUD)、セリアック病、腸のセリアック病、肥満手術後の胃腸管の合併症、胃発癌、あるいは胃または腸の切除後の胃発癌を有する被験体に投与される。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体(ヒトなど)の腸の炎症を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の腸の炎症を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、腸の炎症は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、腸の炎症のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における腸の炎症のレベルに関連している。
【0081】
<胃腸疾患>
本明細書では、特定の実施形態において、被験体の胃腸疾患を処置または予防する方法開示され、該方法は、本明細書に記載されるようなファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、胃腸疾患は、過敏性腸症候群(IBS)、下痢を伴う過敏性腸症候群(IBS-D)、便秘を伴う過敏性腸症候群(IBS-C)、混合型IBS(IBS-M)、分類不能型IBS(IBS-U)、あるいは胆汁酸性下痢(BAD)である。
【0082】
<過敏性大腸症候群>
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛症を含む症状と、長期間、しばしば数年にわたって存続する排便パターンの変化との組み合わせである。IBSの原因は依然として不明であり、しかしながら、腸運動性に関する問題、食物アレルギー、遺伝因子、小腸細菌の過剰成長、および腸ー脳の軸に関する問題は、潜在的な役割を持つものと考えられている。いくつかの例では、IBSは下痢を伴い、下痢を伴うIBS(IBSD)として分類される。いくつかの例では、IBSは便秘を伴い、便秘を伴うIBS(IBSーC)として分類される。いくつかの例では、IBSは下痢と便秘の交互のパターンを伴い、混合IBS(IBS-M)として分類される。いくつかの例では、IBSは下痢または便秘のいずれかを伴い、分類不能型IBS(IBS-U)として分類される。いくつかの例では、IBSには4つの異なる変形:IBS-D、IBS-C、IBS-M、およびIBS-Uがある。
【0083】
いくつかの実施形態において、IBSの症状は異なる疾病によって模倣される。いくつかの実施形態において、糖消化不良症、セリアック病、セリアック病のないグルテン不耐性、膵臓の外分泌腺機能不全、小腸細菌の過剰成長、顕微鏡的大腸炎、あるいは胆汁酸吸収不良(BAM)が、IBS-Dを模倣する。いくつかの実施形態では、アニスムス、骨盤底協調障害または、恥骨直腸筋痙攣、あるいは下へ向かって行く会陰症候群はIBS-Cを模倣する。
【0084】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物におけるIBSあるいはその変形のいずれかの処置で使用される。いくつかの例では、FXRアゴニスト治療剤は、哺乳動物におけるIBS障害を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。
【0085】
<胆汁酸吸収不良>
胆汁酸性下痢(BAD)、胆汁酸により引き起こされた下痢、胆汁性下痢あるいは胆汁分泌性の腸疾患、または胆汁塩吸収不良としても知られている胆汁酸吸収不良(BAM)は、結腸中の胆汁酸の存在が下痢を引き起こす疾病である。BAMはクローン病、胆嚢摘出術、小児脂肪便症、放射線療法、および膵臓病などの多くの疾病によって引き起こされる。いくつかの例では、BAMはメトホルミンなどの薬物によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、BAMは胆汁酸の過剰生産によって引き起こされる。胆汁酸合成は、回腸のホルモン線維芽細胞成長因子19(FGF-19)によって負に調節され、低レベルのFGF-19は胆汁酸の増大を引き起こす。FXR活性化はFGF-19の合成を促し、結果的に、胆汁酸のレベルを低下させる。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物のBAMの処置に使用される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されたFXRアゴニストは胆汁酸合成を減少させる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されたFXRアゴニストは胆汁酸レベルを減少させる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるFXRアゴニストおよび追加の治療剤はBADを防ぐ。いくつかの例では、FXRアゴニストは、哺乳動物におけるBAMを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。
【0087】
<移植片対宿主病(GvHD)>
移植片対宿主病(GvHD)は、組織不適合性のドナー(つまり、遺伝学的にあるいは免疫学的に異なるドナー)の組織あるいは細胞の移植の後に発生する医学的合併症である。外国のものとして、提供された組織中の免疫細胞あるいは細胞(移植片)は、レシピエント(宿主)を異物として認識し、惹起し、攻撃する。GvHDを生じさせる移植組織あるいは細胞の非限定的な例は血液製剤、骨髄細胞などの幹細胞、および臓器である。症状がどこで現れ、あるいは、進行するかに基づいて、様々なタイプのGvHD:皮膚GvHD、肝臓GvHD、眼GvHD、神経筋GvHD、尿生殖器GvHD、および胃腸(GI)管GvHDがある。GI管GvHDの症状は、嚥下障害、嚥下に伴う痛み、体重減少、悪心、嘔吐、下痢、および/または腹部痙攣を含む。GI管GvHDは粘膜および重度の腸の炎症の皮膚脱落を引き起こす。胆管上皮の炎症は、グルココルチコイド受容体(GR)、FXR、あるいはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)などの核受容体によって制御されやすい。
【0088】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物におけるGvHDあるいはGvHD合併症の処置で使用される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物におけるGI管GvHDあるいはGI管GvHD合併症の処置で使用される。いくつかの例では、FXRアゴニストは、哺乳動物におけるGI管GvHDあるいはGI管GvHD合併症を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。場合によっては、GI管GvHDあるいはGI管GvHD合併症は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されたFXRアゴニストは、GI管GvHDによって引き起こされた腸の炎症を減少させる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるFXRアゴニストは、GI管GvHDによって引き起こされる腸の炎症を、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少させる。
【0089】
<腎臓病>
本明細書では、特定の実施形態において、被験体の腎臓病を処置または予防する方法が開示され、該方法は、本明細書に記載されるようなファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストを被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、腎臓病は肝臓病に関連する。いくつかの実施形態において、腎臓病は線維性の肝疾患に関連する。いくつかの実施形態において、腎臓病は代謝性の肝疾患に関連する。いくつかの実施形態において、腎臓病は、限定されないが、糖尿病、メタボリックシンドローム、NAFLD、インスリン抵抗性、脂肪酸代謝障害、および胆汁うっ滞などの代謝性疾病に関連する。いくつかの実施形態において、腎臓病は、糖尿病腎症、線維症に関連する腎臓病、線維症に関連しない腎臓病、腎線維症、あるいは任意の組み合わせである。
【0090】
<糖尿病腎症>
糖尿病腎症は腎臓の糸球体への損傷を特徴とする腎臓病である。糖尿病は、活性酸素種の生産過剰に寄与し、これは、。ネフローゼ症候群と糸球体の瘢痕につながる。糖尿病腎症が進行するにつれ、糸球体濾過障壁(GFB)はますます破損し、結果的に、血液中のタンパク質は障壁から漏れて、ボーマン腔に蓄積する。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体の胆汁うっ滞の処置に使用される。
【0092】
<腎線維症>
腎線維症は、線維芽細胞の活性化、および腎臓中の細胞外マトリックスあるいは結合組織の過度の沈着を特徴とし、これは慢性腎臓病の特徴である。FXRは腎線維症を防ぐ際に重要な役割を果たす。FXRの活性化は腎線維症を抑え、腎臓中の細胞外マトリックスタンパク質の蓄積を減少させる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、哺乳動物の腎線維症の処置に使用される。
【0094】
1つの態様では、哺乳動物における腎臓の疾患または疾病を処置または予防する方法が本明細書に記載され、該方法は、本明細書に開示されるFXRアゴニスト、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、腎臓の疾患または疾病は、糖尿病腎症、線維症を伴う腎臓病、線維症を伴わない腎臓病、腎線維症、代謝疾患に関連する腎臓病、慢性腎臓病、多発性嚢胞腎、急性腎臓病、あるいはこれらの任意の組み合わせである。
【0095】
<細胞増殖性疾患>
本明細書には、例えば、特定のタイプの癌において細胞増殖性疾患を予防または処置する方法が開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、腺癌、あるいは腺組織に由来するまたは腫瘍細胞が認識可能な腺構造を形成する癌腫の予防または処置に使用される。いくつかの実施形態では、腺癌は、乳頭、肺胞としての、細胞配置の優性パターンのに従って、または粘液性腺癌としての細胞の特定の生成物に従って分類される。いくつかの例では、腺癌は、例えば、結腸、腎臓、乳房、頚部、食道、胃、膵臓、前立腺、または肺において観察される。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、結腸癌、例えば、結腸(大腸の最長部分)の組織で形成される癌、あるいは空腸および/または回腸などの、腸の別の部分の癌などの腸の癌の予防または処置に使用される。いくつかの例では、結腸癌はまた「大腸癌」とも呼ばれる。いくつかの例では、最も一般的なタイプの結腸癌は、結腸腺癌である。
【0097】
場合によっては、癌進行は、ステージ、または身体中の癌の範囲を特徴とする。ステージ分類は、通常、腫瘍のサイズ、リンパ節における癌の存在、および原発性癌の部位以外の部位における癌の存在に基づいている。結腸癌のステージは、ステージI、ステージII、ステージIII、およびステージIVを含む。いくつかの実施形態では、結腸腺癌はあらゆるステージから生じる。他の実施形態では、結腸腺癌は、ステージIの癌、ステージIIの癌またはステージIIIの癌である。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの癌を有する被験体に投与される。いくつかの例では、本明細書に記載されるFXRアゴニストは、ステージI、ステージII、またはステージIIIの結腸腺癌を有する被験体に投与される。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストはさらに、被験体の腫瘍量を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の腫瘍量(結腸腫瘍量など)を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、腫瘍量は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、腫瘍量のレベルは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体における腫瘍量のレベルに関連している。
【0100】
いくつかの例では、本明細書に開示されるFXRアゴニストはさらに、被験体の腫瘍のサイズおよび/または量を減少させる。場合によっては、FXRアゴニストは、被験体の腫瘍のサイズおよび/または量(結腸腫瘍など)を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、腫瘍サイズは、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、腫瘍サイズは、FXRアゴニストで処置されなかった被験体の腫瘍サイズに関連している。
【0101】
追加の実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、被験体における腫瘍による悪液質の効果を減少させる。いくつかの例では、FXRアゴニストは、被験体の悪液質(結腸腫瘍などが原因)の効果を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上減少させる。いくつかの例では、悪液質の効果は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%減少する。いくつかの例では、悪液質の効果は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体の悪液質の効果に関連している。
【0102】
他の実施形態では、本明細書に開示されるFXRアゴニストは、腫瘍を抱える被験体の生存率を増加させる。場合によっては、FXRアゴニストは、被験体の腫瘍(結腸癌など)を有する被験体の生存率を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上増加させる。いくつかの例では、生存率は、約5%~約50%、約5%~約25%、約10%~約20%、または約10%~約30%増加する。いくつかの例では、生存率は、FXRアゴニストで処置されなかった被験体の生存率に関連している。
【0103】
化合物
薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性な代謝産物、および薬学的に許容可能な溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、ファルネソイドX受容体アゴニストである。
【0104】
一態様において、本明細書にはファルネソイドX受容体アゴニストおよびその使用が記載される。1つの態様では、式(I)の構造を有する化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物が本明細書に記載され、
【0105】
【化2】
式中、XはCHまたはNであり;
はH、D、ハロゲン、CN、-OH、-SH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、-NR15C(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、あるいは置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
はCRまたはNであり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-SH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、-NR15C(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキル、あるいは、置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり;
あるいは、RとRは、介在する原子と一体となって、環に0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する、置換または非置換の縮合5員環、あるいは置換または非置換の縮合6員環を形成し、
はCRまたはNであり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-SH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、ーC(=O)N(R15、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、あるいは、置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり、
はそれぞれ独立してCHまたはNであり、
はH、D、F、または-CHであり、
はH、D、F、または-CHであり、
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し、
はそれぞれ独立してH、D、F、-OH、または-CHであり、
mは0、1、または2であり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、またはC-Cヘテロアルキルであり、
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり、
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR15-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR15-、-NR15C(=O)-、-OC(=O)NR15-、-NR15C(=O)O-、-NR15C(=O)NR15-、-NR15S(=O)-、または-NR15-であり、
は存在しないか、置換または非置換のC-Cアルキレンであり、
はNRまたはNであり、
はH、D、C-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、-C(=O)(C-Cアルキル)、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、あるいは置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
はH、D、F、または-CHであり、
Yは-CR1011-、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、または、-NR17-であり、
10はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、-SR12、-S(=O)R14、-S(=O)14、または-N(R12であり、
11はH、D、F、または-CHであり、
あるいは、RとR11は一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し、
12はそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
14はC-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、あるいは、置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
15はHあるいは置換または非置換のC-Cアルキルであり、
16はそれぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、ーOH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
nは0、1、または2であり、
17は-L-R14であり、および、
は存在しないか、-S(=O)-、-C(=O)-、-CO-、または-C(=O)N(R15)である。
【0106】
別の態様において、式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物が本明細書に記載され、
【0107】
【化3】
式中、XはCHまたはNであり;
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、-NR15C(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、あるいは、置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキルであり、XはCRまたはNであり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、-NR15C(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、あるいはC-Cヘテロアルキルであり、
あるいは、RとRは、介在する原子と一体となって、環に0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する、置換または非置換の縮合5員環を形成し、
はCRまたはNであり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、あるいはC-Cヘテロアルキルであり、Xはそれぞれ独立してCHまたはNであり、
はH、D、F、または-CHであり、
はH、D、F、または-CHであり、
あるいは、RとRは一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し、
はそれぞれ独立してH、D、F、-OH、または-CHであり、
mは0、1、または2であり、
はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、あるいはC-Cヘテロアルキルであり、
Lは、存在しないか、-Y-L-、-L-Y-、シクロプロピレン、シクロブチレン、またはビシクロ[1.1.1]ペンチレンであり、
は、存在しないか、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)NR15-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR15-、-NR15C(=O)-、-OC(=O)NR15-、-NR15C(=O)O-、-NR15C(=O)NR15-、-NR15S(=O)-、または-NR15-であり、
は存在しないか、置換または非置換のC-Cアルキレンであり、
はNRまたはNであり、
はH、D、C-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、-C(=O)(C-Cアルキル)、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-S(=O)(C-Cアルキル)、-S(=O)N(R15、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、あるいは置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
はH、D、あるいは-CHであり、
Yは-CR1011-、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、または、-NR17-であり、
10はH、D、ハロゲン、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、-SR12、-S(=O)R14、-S(=O)14、あるいは-N(R12であり、
11はH、D、あるいは-CHであり、
あるいは、RとR11は一体となって、-CH-または-CHCH-である架橋を形成し、
12はそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
14はC-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、あるいは、置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
15はHあるいは置換または非置換のC-Cアルキルであり、
16はそれぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-OH、-N(R15、-NR15S(=O)(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-S(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)(C-Cアルキル)、-OC(=O)(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-NR15C(=O)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(R15、-NR15C(=O)O(C-Cアルキル)、-OC(=O)N(R15、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルコキシ、C-C重水素化アルキル、C-C重水素化アルコキシ、C-Cフルオロアルキル、C-Cフルオロアルコキシ、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換の単環式のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールであり、
nは0、1、または2であり、
17は-L-R14であり、および、
は存在しないか、-S(=O)-、-C(=O)-、-CO-、または-C(=O)N(R15)である。
【0108】
実施形態の任意のあるいはすべてについて、置換基は列挙された代替物の部分集合の中から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、Yは-CR1011-、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、または-NR17-である。他の実施形態では、Yは、-CR1011-、-O-、あるいは-NR17-である。いくつかの実施形態では、Yは-CR1011-である。
【0109】
いくつかの実施形態では、mは0、1、または2である。いくつかの実施形態において、mは0または1である。いくつかの実施形態では、mは0である。いくつかの実施形態では、nは0、1、または2である。いくつかの実施形態において、nは0、1、または2である。いくつかの実施形態において、nは0である。
【0110】
いくつかの実施形態では、Lは、存在しないか、-O-、-S-、-CH-、-CHCH-、-CHO-、-OCH-、-CHNR15-、-NR15CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR15-、-NR15C(=O)-、-OC(=O)NR15-、-NR15C(=O)O-、-NR15C(=O)NR15-、-NR15S(=O)-、-NR15-、シクロプロピレン、シクロブチレン、あるいはビシクロ[1.1.1]ペンチレンである。
【0111】
いくつかの実施形態では、Lは存在しないか、-O-、-S-、-CH-、-CHCH-、-CHO-、-OCH-、-CHNR15-、-NR15CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-C(=O)NR15-、-NR15C(=O)-、-OC(=O)NR15-、-NR15C(=O)O-、-NR15C(=O)NR15-、-NR15S(=O)-、-NR15-、シクロプロピレン、シクロブチレン、あるいはビシクロ[1.1.1]ペンチレンである。
【0112】
いくつかの実施形態では、Lは存在しないか、あるいは、-C≡C-である。
【0113】
いくつかの実施形態では、RはHであり、R11はHであり、あるいは、RとR11は一体となって、-CHCH-である架橋を形成する。いくつかの実施形態では、RはHであり、および、R11はHである。
【0114】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(II)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を有する:
【0115】
【化4】
【0116】
いくつかの実施形態では、Lは存在しない。
【0117】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(III)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を有する:
【0118】
【化5】
【0119】
いくつかの実施形態では、Rは、Hであり;RはHであり、あるいは、RとRは一体となって、-CHCH-である架橋を形成する。
【0120】
いくつかの実施形態では、Rは、Hであり;RはHである
【0121】
いくつかの実施形態では、RとRは一体となって、-CHCH-である架橋を形成する。
【0122】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(III)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を有する:
【0123】
【化6】
【0124】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(VII)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を有する:
【0125】
【化7】
【0126】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(VI)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を有し:
【0127】
【化8】
【0128】
いくつかの実施形態では、Rは、Hであり;RはHであり、あるいは、RとRは一体となって、-CHCH-である架橋を形成する。
【0129】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(VII)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を有する:
【0130】
【化9】
【0131】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(VI)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を有し:
【0132】
【化10】
【0133】
いくつかの実施形態では、R10はH、D、F、-CN、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルキル、あるいは-N(R12である。いくつかの実施形態では、R10はH、D、F、-OH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、あるいは-N(R12であるいくつかの実施形態では、R10はH、D、F、-CN、-OH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-NH、-NH(CH)、あるいは-N(CHである。いくつかの実施形態では、R10はH、-OH、-CH、-OCH、-NH、-NH(CH)、あるいは-N(CHである。いくつかの実施形態では、R10はH、-OH、あるいは-NHである。
【0134】
いくつかの実施形態において、R10は-OHである。
【0135】
いくつかの実施形態において、2以下のX、X、X、XがNである。
【0136】
いくつかの実施形態では、両方のXがNである場合、XはCRであり、XはCRであり、あるいは、1つのXがNであり、もう一方のXがCHである場合、XとXのうちの1つだけがNである。
【0137】
いくつかの実施形態において、X、X、X、Xを含む6員環は、環中に2以下のN原子を有する。
【0138】
いくつかの実施形態では、Xは、CRであり;XはCRまたはNであり、XはそれぞれCHであり、あるいは、XはそれぞれNであり;あるいは、1つのXはNであり、もう一方のXはCHである。
【0139】
いくつかの実施形態において、XはCRであり、XはCRであり、XはそれぞれCHであり、あるいは、XはそれぞれNであり;あるいは、1つのXはNであり、もう一方のXはCHである。
【0140】
いくつかの実施形態では、XはCRであり、XはCRであり、XはそれぞれCHである。
【0141】
いくつかの実施形態では、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-SH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-SCH、-SCHCH、-SCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHであり、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-SH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-SCH、-SCHCH、-SCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHであり、あるいは、RとRは、介在する原子と一体となって、環に0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する、置換または非置換の縮合5員環あるいは置換または非置換の縮合6員環を形成し、すなわち、置換または非置換のジヒドロフラニル、置換または非置換のジヒドロピロリル、置換または非置換のジオキソリル、置換または非置換のフラニル、置換または非置換のチエニル、置換または非置換のピロリル、置換または非置換のオキサゾリル、置換または非置換のチアゾリル、置換または非置換のイミダゾリル、置換または非置換のピラゾリル、置換または非置換のトリアゾリル、置換または非置換のイソキサゾリル、あるいは置換または非置換のイソチアゾリル、置換または非置換のピペリジニル、置換または非置換のピペラジニル、置換または非置換のピリジニル、置換または非置換のピリミジニル、置換または非置換のピラジニル、あるいは置換または非置換のピリダジニルであり、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-SH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-SCH、-SCHCH、-SCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHである。
【0142】
いくつかの実施形態では、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHであり、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHであり、あるいは、RとRは、介在する原子と一体となって、環に0-3のN原子と0-2のOまたはS原子を有する、置換または非置換の縮合5員環を形成し、すなわち、置換または非置換のジヒドロフラニル、置換または非置換のジオキソリル、置換または非置換のフラニル、置換または非置換のチエニル、置換または非置換のピロリル、置換または非置換のオキサゾリル、置換または非置換のチアゾリル、置換または非置換のイミダゾリル、置換または非置換のピラゾリル、置換または非置換のトリアゾリル、置換または非置換のイソキサゾリル、あるいは置換または非置換のイソチアゾリルであり、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHである。
【0143】
いくつかの実施形態では、Rは、H、D、F、Cl、-CN、-OH、-SH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-CHCH、-OCH、-OCHCH、-SCH、-SCHCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいは-OCHCFであり、RはH、D、F、Cl、-CH、-CHCH、-OCH、-OCHCH、-SCH、-SCHCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいは-OCHCFであり、RはH、D、F、Cl、-CH、-OCH、-SCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、あるいは-OCFである。
【0144】
いくつかの実施形態では、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-CHCH、-OCH、-OCHCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいはOCHCFであり、RはH、D、F、Cl、-CH、-CHCH、-OCH、-OCHCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいは-OCHCFであり、RはH、D、F、Cl、-CH、-OCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、あるいは-OCFである。
【0145】
いくつかの実施形態では、Rは-OH、-SH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-OCH、-SCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいはOCHCFであり、RはH、D、F、Cl、-CH、-CD、-CHF、-CHF、あるいは-CFであり、RはHである
【0146】
いくつかの実施形態では、Rは-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-OCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいはOCHCFであり、RはH、D、F、Cl、-CH、-CD、-CHF、-CHF、あるいは-CFであり、RはHである
【0147】
いくつかの実施形態では、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、あるいは-OCFであり、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、あるいは-OCFである。
【0148】
いくつかの実施形態では、Rは、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-OCH、-OCD、-OCHF、-OCHF、あるいは-OCFであり、RはF、Cl、-CN、-OH、-CH、-OCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、あるいは-OCFである。いくつかの実施形態では、Rは-OHあるいは-OCHであり、RはH、D、F、Cl、-CH、あるいは-CFである。
【0149】
いくつかの実施形態では、
【0150】
【化11】
【0151】
【化12】
である。いくつかの実施形態では、
【0152】
【化13】
【0153】
【化14】
である。
【0154】
いくつかの実施形態では、
【0155】
【化15】
【0156】
【化16】
である。
【0157】
いくつかの実施形態において、
【0158】
【化17】
【0159】
【化18】
である。
【0160】
いくつかの実施形態では、
【0161】
【化19】
【0162】
【化20】
である。
【0163】
いくつかの実施形態では、
【0164】
【化21】
【0165】
【化22】
である。
【0166】
いくつかの実施形態では、
【0167】
【化23】
【0168】
【化24】
である。
【0169】
いくつかの実施形態では、XはNであり、XはNであり、XはそれぞれCHである。
【0170】
いくつかの実施形態では、
【0171】
【化25】
【0172】
【化26】
である。
【0173】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IX)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物を有する:
【0174】
【化27】
【0175】
いくつかの実施形態では、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-SH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-SCH、-SCHCH、-SCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHである。
【0176】
いくつかの実施形態では、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、NHS(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CHである。
【0177】
いくつかの実施形態では、Rは、H、D、F、Cl、-CN、-OH、-SH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-CHCH、-OCH、-OCHCH、-SCH、-SCHCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいは-OCHCFである。
【0178】
いくつかの実施形態では、RはH、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-CHCH、-OCH、-OCHCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいは-OCHCFである。
【0179】
いくつかの実施形態では、Rは-OH、-SH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-OCH、-SCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいはOCHCFである。
【0180】
いくつかの実施形態では、Rは-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-OCH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-OCHF、-OCHF、-OCF、あるいはOCHCFである。
【0181】
いくつかの実施形態では、RはH、D、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CH(CH)CHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CHFCH、-CHCHF、-CHCHOH、-CHCHOCH、-CHCHNH,-CHCHNHCH、-CHCHN(CH、-C(=O)CH、-C(=O)CHCH、-C(=O)CH(CH、-COCH、-COCHCH、-COCH(CH、-C(=O)NHCH、-S(=O)CH、-S(=O)NHCH、置換または非置換のシクロプロピル、置換または非置換のシクロブチル、置換または非置換のシクロペンチル、置換または非置換のシクロヘキシル、置換または非置換のオキセタニル、置換または非置換のテトラヒドロフラニル、置換または非置換のテトラヒドロピラニル、あるいは置換または非置換のテトラヒドロチオピラニルである。
【0182】
いくつかの実施形態では、RはH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CH(CH)CHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CHFCH、-CHCHF、-CHCHOH、-CHCHOCH、-CHCHNH,-CHCHNHCH、-CHCHN(CH、置換または非置換のシクロプロピル、置換または非置換のシクロブチル、置換または非置換のシクロペンチル、置換または非置換のシクロヘキシル、置換または非置換のオキセタニル、置換または非置換のテトラヒドロフラニル、あるいは置換または非置換のテトラヒドロピラニルである。
【0183】
いくつかの実施形態では、Rは-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CH(CH)CHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CHFCH、-CHCHF、-CHCHOH、-CHCHOCH、-CHCHNH,-CHCHNHCH、-CHCHN(CH、置換または非置換のシクロプロピル、置換または非置換のシクロブチル、置換または非置換のシクロペンチル、置換または非置換のシクロヘキシル、置換または非置換のオキセタニル、置換または非置換のテトラヒドロフラニル、あるいは置換または非置換のテトラヒドロピラニルである。
【0184】
いくつかの実施形態では、RはH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CH(CH)CHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CHFCH、-CHCHF、-CHCHOH、-CHCHOCH、-CHCHNH、-CHCHNHCH、-CHCHN(CH、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、あるいはテトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、RはH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、あるいはテトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態では、Rは-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、あるいはシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、Rは-CH(CHあるいはシクロプロピルである。
【0185】
いくつかの実施形態では、R12はそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、C-C重水素化アルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R12はそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、置換または非置換の単環式のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R12はそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、あるいは置換または非置換の単環式のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R12はそれぞれ独立してH、C-Cアルキル、あるいは置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R12はそれぞれHまたはC-Cアルキルである。
【0186】
いくつかの実施形態では、2つのR12がN原子に結合している場合、1つのR12はHあるいはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態において、2つのR12がN原子に結合している場合、1つのR12はHあるいはC-Cアルキルであり、もう一方のR12はH、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、置換または非置換の単環式のヘテロアリールである。
【0187】
いくつかの実施形態において、2つのR12がN原子に結合している場合、1つのR12はHあるいはC-Cアルキルであり、もう一方のR12はH、C-Cアルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、あるいは、置換または非置換の単環式のヘテロアリールである。
【0188】
いくつかの実施形態において、2つのR12がN原子に結合している場合、1つのR12はHあるいはC-Cアルキルであり、もう一方のR12はH、C-C重水素化アルキル、C-Cヘテロアルキル、置換または非置換のC-Cシクロアルキル、置換または非置換のC-Cヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、置換または非置換の単環式のヘテロアリールである。
【0189】
いくつかの実施形態では、R16はそれぞれ独立して、H、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-C(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCH(CH、-C(CH、-CH=CH、-CH=CHCH、-C≡CH、-C≡CCH、-C≡CCHCH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-SCH、-SCHCH、-SCH(CH、-S(=O)CH、-S(=O)CHCH、-S(=O)CH(CH、-S(=O)CH、-S(=O)CHCH、-S(=O)CH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHCHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、あるいは-CHN(CH、置換または非置換のシクロプロピル、置換または非置換のシクロブチル、置換または非置換のシクロペンチル、置換または非置換のシクロヘキシル、置換または非置換のアジリジニル、置換または非置換のアゼチジニル、置換または非置換のピロリジニル、置換または非置換のピペリジニル、置換または非置換のテトラヒドロフラニル、置換または非置換のテトラヒドロピラニル、置換または非置換のテトラヒドロチオピラニル、置換または非置換のモルホリニル、置換または非置換のチオモルホリニル、あるいは置換または非置換のピペラジニルである。
【0190】
いくつかの実施形態では、R16はそれぞれ、H、D、F、Cl、-CN、-OH、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-NHS(=O)CH、-S(=O)CH、-C(=O)CH、-OC(=O)CH、-COH、-COCH、-NHC(=O)CH、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCHCH、-CHCHCH(CH、-C(CH、-CH=CH、-CH=CHCH、-C≡CH、-C≡CCH、-C≡CCHCH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-CD、-OCD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-OCHF、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-CHOH、-CHCHOH、-CHOCH、-CHOCHCH、-CHNH、-CHNHCH、または-CHN(CH、置換または非置換のシクロプロピル、置換または非置換のシクロブチル、置換または非置換のシクロペンチル、置換または非置換のシクロヘキシル、置換または非置換のアジリジニル、置換または非置換のアゼチジニル、置換または非置換のピロリジニル、置換または非置換のピペリジニル、置換または非置換のテトラヒドロフラニル、置換または非置換のテトラヒドロピラニル、置換または非置換のテトラヒドロチオピラニル、置換または非置換のモルホリニル、置換または非置換のチオモルホリニル、あるいは置換または非置換のピペラジニルである。
【0191】
いくつかの実施形態では、R16はそれぞれ独立して、H、D、F、Cl、-CH、-CHCH、-CH(CH、-C(CH、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH、-SCH、-SCHCH、-SCH(CH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、置換または非置換のシクロプロピル、あるいは置換または非置換のシクロブチルである。
【0192】
いくつかの実施形態では、R16はそれぞれ独立して、H、D、F、Cl、-CH、-CHCH、-CH(CH、-C(CH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、置換または非置換のシクロプロピル、あるいは置換または非置換のシクロブチルである。
【0193】
いくつかの実施形態では、R16はそれぞれ独立して、H、D、F、Cl、-CH、-CHCH、-CD、-CHF、-CHF、-CF、または-CHCFである。
【0194】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(X)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を有する:
【0195】
【化28】
【0196】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(XI)の構造、あるいはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を有する:
【0197】
【化29】
【0198】
様々な変形について上述される基の任意の組み合わせが、本明細書で考慮される。明細書全体にわたって、基とその置換基は、安定した部分と化合物を提供するために当業者によって選択される。
【0199】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、表1に記載される化合物を含む。
【0200】
【表1-1】
【0201】
【表1-2】
【0202】
【表1-3】
【0203】
【表1-4】
【0204】
【表1-5】
【0205】
【表1-6】
【0206】
【表1-7】
【0207】
【表1-8】
【0208】
【表1-9】
【0209】
【表1-10】
【0210】
いくつかの実施形態において、表1に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩または溶媒和物が本明細書で提供される。
【0211】
1つの態様において、本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態である。同様に、同じタイプの活性を有するこうした化合物の活性代謝物は、本開示の範囲内に含まれている。加えて、本明細書に記載される化合物は、非溶媒和形態だけでなく、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態で存在することができる。本明細書に提示の化合物の溶媒和形態は、同様に本明細書で開示されるものとみなされる。
【0212】
「薬学的に許容可能な」は、本明細書で使用されるように、担体または希釈剤などの物質を指し、これは、化合物の生物活性または特性を抑制せず、比較的無毒である、すなわち、この物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こさずに、または物質が含まれる組成物のいかなる成分とも有害な方法では相互作用せずに、個体に投与される。
【0213】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、適切なアニオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のカチオン形態、または代替的な実施形態では、適切なカチオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のアニオンの形態からなる治療上活性な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use. International Union of Pure and Applied Chemistry, Wiley-VCH 2002. S.M. Berge, L.D. Bighley, D.C. Monkhouse, J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19. P. H. Stahl and C. G. Wermuth, editors, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, Weinheim/Zurich: Wiley-VCH/VHCA, 2002.薬学的な塩は、典型的には非イオン種よりも溶けやすく、胃液および腸液中では急速に溶けやすく、ゆえに、固体剤形に有用である。さらに、その溶解度がしばしばpHに影響されるため、消化管の1つの部分または別の部分における選択的な溶解が可能であり、この能力は、遅延放出性および徐放性の挙動の一態様として操作することができる。さらに、塩成形分子が中性の形態と平衡状態にあり得るため、生体膜の通過を調節することができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、「薬学的に許容可能な酸付加塩」を提供するために、本明細書に記載される化合物を酸と反応させることによって得られる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物(つまり遊離塩基形態)は塩基性であり、有機酸または無機酸と反応させる。無機酸としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、およびメタリン酸が挙げられる。有機酸は、限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2,2-ジクロロ酢酸;2-ヒドロキシエタンスルホン酸;2-オキソグルタール酸;4-アセトアミド安息香酸;4-アミノサリチル酸;酢酸;アジピン酸;アスコルビン酸(L);アスパラギン酸(L);ベンゼンスルホン酸;安息香酸;樟脳酸(+);カンフル-10-スルホン酸(+);カプリン酸(デカン酸);カプロン酸(ヘキサン酸);カプリル酸(オクタン酸);炭酸;桂皮酸;クエン酸;シクラミン酸;ドデシル硫酸;エタン-1,2-ジスルホン酸;エタンスルホン酸;ギ酸;フマル酸;ガラクタル酸;ゲンチシン酸;グルコヘプトン酸(D);グルコン酸(D);グルクロン酸(D);グルタミン酸;グルタル酸;グリセロリン酸;グリコール酸;馬尿酸;イソ酪酸;乳酸(DL);ラクトビオン酸;ラウリン酸;マレイン酸;リンゴ酸(-L);マロン酸;マンデル酸(DL);メタンスルホン酸;フマル酸モノメチル、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸;ナフタレン-2-スルホン酸;ニコチン酸;オレイン酸;シュウ酸;パルミチン酸;パモ酸;リン酸;プロピオン酸;ピログルタミン酸(-L);サリチル酸;セバシン酸;ステアリン酸;コハク酸;硫酸;酒石酸(+L);チオシアン酸;トルエンスルホン酸(p);および、ウンデシレン酸を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、塩化物塩、硫酸塩、臭化物塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩として調製される。
【0216】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、「薬学的に許容可能な塩基付加塩」を提供するために、本明細書に記載される化合物を塩基と反応させることによって得られる。
【0217】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、酸性であり、塩基と反応させられる。こうした状況下で、本明細書で記載される化合物の酸性プロトンは、金属イオン、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオンと取り替えられる。いくつかの場合、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メグルミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と協調する。他の場合では、本明細書に記載される化合物は、アルギニン、リジンなどのアミノ酸とともに塩を形成する。酸性プロトンを含む化合物とともに塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基は、限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、N-メチルグルカミン塩、またはアンモニウム塩として調製される。
【0218】
薬学的に許容可能な塩に対する言及が、溶媒付加形態を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態では、溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量いずれかの溶媒を含有し、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒で化合物を分離するまたは精製するプロセス中に形成される。水和物は溶媒が水である場合に形成され、アルコラートは溶媒がアルコールの際に形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に都合よく調製されるか、または形成される。加えて、本明細書で提供される化合物は随意に、溶媒和形態と同様に非溶媒和形態で存在する。
【0219】
本明細書に記載される方法と製剤は、本明細書に記載される化合物のN-オキシド(適切な場合)、結晶形態(多形体としても知られている)、あるいは薬学的に許容可能な塩と同様に、同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用を含む。
【0220】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物の有機ラジカル(例えば、アルキル基、芳香族環)の部位は、様々な代謝反応に弱い。有機ラジカルへの適切な置換基の取り込みにより、この代謝経路は減らされ、最小限に抑えられ、または除去される。特定の実施形態では、代謝反応に対する芳香環の感受性を減らすまたは取り除くための適切な置換基は、一例として、ハロゲン、ジューテリウム、アルキル基、ハロアルキル基、または重水素化アルキル基である。
【0221】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、同位体で(例えば、放射性同位体で)、あるいは、限定されないが、発色団あるいは蛍光性部分、生物発光標識、または化学発光標識の使用を含む他の手段によって、標識される。
【0222】
本明細書に記載される化合物は同位体標識された化合物を含み、これは、1つ以上の原子が自然界で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子と取り替えられるという事実を除けば、本明細書で提示される様々な式と構造において詳述されるものと同一である。本発明の化合物に取り込むことが出来る同位体の例としては、例えば、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、および塩素の同位体が挙げられる。1つの態様では、本明細書に記載される同位体標識された化合物、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物は、薬物および/または基質組織の分布アッセイに有用である。1つの態様では、重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボでの半減期の延長または必要用量の減少などの、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の1つ以上の水素原子は、重水素と交換される。
【0223】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、1つ以上の立体中心を有し、各立体中心はRあるいはS配置のいずれかで独立して存在する。本明細書で提示される化合物は、すべてのジアステレオマー形態、エナンチオマー形態、アトロプ異性体、およびエピマー形態と、これらの適切な混合物を含む。本明細書で提供される化合物と方法は、すべてのシス(cis)、トランス(trans)、syn、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)の異性体と、これらの適切な混合物を含む。
【0224】
個々の立体異性体は、必要に応じて、キラルクロマトグラフィーカラムによる立体選択的な合成および/または立体異性体の分離などの方法によって得られる。ある実施形態では、本明細書に記載される化合物は、一対のジアステレオマー異性体化合物/塩を形成するために光学的に活性な分割剤に化合物のラセミ混合物を反応させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回復させることにより、その個々の立体異性体として調製される。いくつかの実施形態では、エナンチオマーの分解は、本明細書に記載される化合物の共有結合のジアステレオマー誘導体を用いて実行される。別の実施形態では、ジアステレオマーは溶解度の差に基づいて分離/分解技術によって分離される。他の実施形態では、立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって、またはジアステレオマー塩の分離、および再結晶化またはクロマトグラフィーまたはその任意の組み合わせによる分離によって行われる。Jean Jacques,Andre Collet,Samuel H. Wilen,”Enantiomers,Racemates and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981.いくつかの実施形態では、立体異性体は立体選択的な合成によって得られる。
【0225】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物はプロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」はインビボで親薬物に変換された薬剤を指す。状況によってはプロドラッグは親薬物よりも投与しやすいため、役に立つことがしばしばある。プロドラッグは、例えば、経口投与により生物学的に利用可能であるが、親薬物はそうではない。プロドラッグは輸送体用の基質であってもよい。さらにまたは代替的に、プロドラッグは親薬物よりも医薬組成物中での溶解度が改善されている。いくつかの実施形態では、プロドラッグの設計は効果的な水溶解度を増大させる。プロドラッグの一例は、限定されないが、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後代謝的に加水分解され活性な実体を与える本明細書に記載される化合物である。プロドラッグのさらなる例は、酸性基に結合される短ペプチド(ポリアミノ酸)であり、このペプチドは代謝されることで活性な部分を暴露する。ある実施形態では、インビボ投与後、プロドラッグは、化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態に化学変換される。ある実施形態では、プロドラッグは、化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態へと1つ以上の工程またはプロセスによって酵素で代謝される。
【0226】
本明細書に記載される化合物のプロドラッグとしては、限定されないが、エステル、エーテル、炭酸塩、チオ炭酸塩、N-アシル誘導体、N-アシルオキシアルキル誘導体、3級アミンの4級誘導体、N-Mannich塩基、シッフ塩基、アミノ酸抱合体、リン酸エステル、およびスルホン酸塩エステルが挙げられる。例えば、Design of Prodrugs, Bundgaard, A. Ed., Elseview, 1985 and Method in Enzymology, Widder, K. et al., Ed.; Academic, 1985, vol. 42, p. 309-396; Bundgaard, H. “Design and Application of Prodrugs” in A Textbook of Drug Design and Development, Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Ed., 1991, Chapter 5, p. 113-191; and Bundgaard, H., Advanced Drug Delivery Review, 1992, 8, 1-38(これらの文献はそれぞれ引用により本明細書に組み込まれる)を参照。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される化合物のヒドロキシル基はプロドラッグを形成するために用いられ、ヒドロキシル基はアシルオキシアルキルエステル、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル、アルキルエステル、アリールエステル、リン酸エステル、糖エステル、エーテルなどには組み入れられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物中のヒドロキシル基はプロドラッグであり、ヒドロキシルはインビボで代謝されることでカルボン酸基が提供される。いくつかの実施形態では、カルボキシル基を用いてエステルまたはアミド(つまりプロドラッグ)を提供し、これはその後インビボで代謝されることでカルボン酸基が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、アルキルエステルプロドラッグとして調製される。
【0227】
本明細書に記載される化合物のプロドラッグ形態であって、本明細書で説明されるように本明細書に記載される化合物を生成するためにインビボで代謝されるプロドラッグ形態は、請求項の範囲内に含まれる。ある場合には、本明細書に記載される化合物のいくつかは別の誘導体または活性化合物のプロドラッグである。
【0228】
本明細書に記載される化合物のプロドラッグ形態であって、本明細書で説明されるように本明細書に記載される化合物を生成するためにインビボで代謝されるプロドラッグ形態は、請求項の範囲内に含まれる。ある場合には、本明細書に記載される化合物のいくつかは別の誘導体または活性化合物のプロドラッグである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された化合物のプロドラッグは、胃腸管の特定の領域への化合物の標的送達を可能にする。薬物の結腸代謝による薬理学的に活性な代謝物の形成は、結腸に特異的な薬物送達システムのための一般に用いられている「プロドラッグ」アプローチである。
【0229】
いくつかの実施形態では、プロドラッグは、経口投与の際に、その部分が胃と小腸で無傷で無傷のままであるように、薬物と担体との間の共有結合の形成によって形成される。このアプローチは、活性な薬剤を放出するために生物学的環境において自発的または酵素的な形質転換を必要とする親薬物分子の薬理学的に不活性な誘導体である、プロドラッグの形成に関与している。プロドラッグの形成は親薬物分子以上に送達特性を改善した。上部消化管の劣悪環境に由来する薬物の安定性の問題は、結腸に達すると親薬物分子に変換されるプロドラッグ形成によって取り除くことが可能である。部位特異的なプロドラッグ活性化による部位特異的な薬物送達は、プロドラッグ-薬物転換のための非標的組織に対する特定の酵素の改変されたpHあるいは高活性などの標的部位における複数の特異的な特性の利用によって達成されることもある。
【0230】
いくつかの実施形態では、担体による薬物の共有結合により、抱合体が形成される。こうした抱合体としては、限定されないが、アゾ結合抱合体、グリコシド抱合体、グルクロニド抱合体、シクロデキストリン抱合体、デキストラン抱合体、あるいはアミノ酸抱合体が挙げられる。
【0231】
追加の実施形態またはさらなる実施形態では、本明細書に記載される化合物は、生物への投与時に代謝されることで代謝産物が生成され、これを用いて望ましい治療効果を含む所望の効果を生み出す。
【0232】
本明細書で開示される化合物の「代謝産物」は、化合物が代謝される際に形成されるその化合物の誘導体である。用語「活性代謝物」は、化合物が代謝されるときに形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。用語「代謝される(metabolized)」は、本明細書で使用されるように、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応および酵素によって触媒される反応を含む)の全体を指す。したがって、酵素は、化合物への具体的な構造的変化をもたらし得る。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。本明細書に開示される化合物の代謝産物は、随意に、宿主への化合物の投与および宿主からの組織サンプルの解析、または肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーションおよびその結果生じる化合物の解析のいずれかによって特定される。
【0233】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、消化管からの吸収後に、FXRアゴニスト活性を大幅に減少させた代謝産物へと急速に代謝される。
【0234】
追加のまたはさらなる実施形態では、化合物は、血漿中で急速に代謝される。
【0235】
追加のまたはさらなる実施形態では、化合物は、腸によって急速に代謝される。
【0236】
追加のまたはさらなる実施形態では、化合物は、肝臓によって急速に代謝される。<化合物の合成>
【0237】
本明細書に記載される化合物は、標準的な合成技術を使用して、または、本明細書に記載される方法と組み合わせて当該技術分野で知られている方法を使用して、合成される。
【0238】
別段の定めのない限り、質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換DNA技術、および薬理学の従来の方法が使用される。
【0239】
化合物は、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry,6th Edition,John Wiley and Sons,Incに記載されるような標準的な有機化学技術を用いて調製される。溶媒、反応温度、反応時間の変化、および様々な化学試薬や他の反応条件などの本明細書に記載される合成形質転換の代替的な反応条件が用いられることもある。出発物質は市販の供給源から入手可能であるか、または容易に調製される。
【0240】
本明細書に記載される化合物の調製に役立つ反応物の合成を詳述する、または調製について記載した記事を引用する、適切な参考文献や論文は、例えば、“Synthetic Organic Chemistry”, John Wiley & Sons, Inc., New York; S. R. Sandler et al., “Organic Functional Group Preparations,” 2nd Ed., Academic Press, New York, 1983; H. O. House, “Modern Synthetic Reactions”, 2nd Ed., W. A. Benjamin, Inc. Menlo Park, Calif. 1972; T. L. Gilchrist, “Heterocyclic Chemistry”, 2nd Ed., John Wiley & Sons, New York, 1992; J. March, “Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure”, 4th Ed., Wiley Interscience, New York, 1992。本明細書に記載される化合物の調製に有用な反応物の合成を詳述する、または調製について記載する記事を参照する、追加の適切な参考文献および論文は、例えば、Fuhrhop, J. and Penzlin G. “Organic Synthesis: Concepts, Methods, Starting Materials”, Second, Revised and Enlarged Edition (1994) John Wiley & Sons ISBN: 3 527-29074-5; Hoffman, R.V. “Organic Chemistry, An Intermediate Text” (1996) Oxford University Press, ISBN 0-19-509618-5; Larock, R. C. “Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations” 2nd Edition (1999) Wiley-VCH, ISBN: 0-471-19031-4; March, J. “Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure” 4th Edition (1992) John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-60180-2; Otera, J. (editor) “Modern Carbonyl Chemistry” (2000) Wiley-VCH, ISBN: 3-527-29871-1; Patai, S. “Patai’s 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups“ (1992) Interscience ISBN: 0-471-93022-9; Solomons, T. W. G. “Organic Chemistry” 7th Edition (2000) John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-19095-0; Stowell, J.C., “Intermediate Organic Chemistry” 2nd Edition (1993) Wiley-Interscience, ISBN: 0-471-57456-2; 全8巻の“Industrial Organic Chemicals: Starting Materials and Intermediates: An Ullmann’s Encyclopedia” (1999) John Wiley & Sons, ISBN: 3-527-29645-X; 55巻にわたる“Organic Reactions” (1942-2000) John Wiley & Sons, in over 55 volumes; および、全73巻の“Chemistry of Functional Groups” John Wiley & Sons を含む。
【0241】
本明細書に記載される化合物は、以下の模式図1-11に記載される一般的な合成経路によって調製される。
【0242】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、模式図1に概説されるように調製される。
【0243】
【化30】
【0244】
模倣図1では、置換基X、X、X、R、およびRは本明細書に記載された通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。いくつかの実施形態において、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、Xはクロロ、ブロモ、またはヨードである。
【0245】
いくつかの実施形態では、ボロン酸エステルI-2を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、ハロゲン化物I-1と反応させることで、I-3が得られる。いくつかの実施形態において、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムの使用を含む。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件は、適切な時間のあいだ、および適切な温度で、適切な溶媒または溶媒混合物を伴う、適切な塩基を有するPd(dppf)ClまたはPd(PPhを含む。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、無機塩基はNaCOまたはCsCOなどの炭酸塩基である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒または溶媒混合物はジオキサン、アセトニトリル、DME/EtOH、あるいはエタノールである。いくつかの実施形態では、適切な時間と適切な温度は約50°Cあるいは約100°Cで約2時間から約18時間(夜通し)である。
【0246】
いくつかの実施形態では、I-3は、適切な水素化条件下にさらされ、その後、適切な酸性条件下で処理されることで、シクロヘキサノンI-4が得られる。いくつかの実施形態では、適切な水素化条件はパラジウムの使用を含む。パラジウム触媒性の水素化条件は、適切な時間および適切な温度で、EtOAc、エタノール、メタノール、あるいはこれらの溶媒の組み合わせなどの適切な溶媒中に水素(1atm)を有する10%のPd/Cの使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な時間はほぼ室温で約4.5時間から約18時間(夜通し)である。いくつかの実施形態では、適切な酸性条件は、適切な温度での適切な時間の水およびトルエン中のギ酸を含む。いくつかの実施形態では、適切な温度での適切な時間は、約120°Cでの約4時間である。いくつかの実施形態では、適切な温度での適切な時間は、還流での約18時間(夜通し)である。いくつかの実施形態では、適切な酸性条件は、適切な温度での適切な時間のアセトンおよび水中のPPTSを含む。いくつかの実施形態では、適切な温度での適切な時間は、約60°Cでの約10時間である。いくつかの実施形態では、適切な酸性条件は、適切な温度での適切な時間にわたって3MのHClとTHFを含む。いくつかの実施形態では、適切な温度での適切な時間は、約60°Cでの約3時間~ほぼ夜通しである。
【0247】
いくつかの実施形態では、I-4を、適切な一炭素ホモログ反応条件下で反応させることで、I-5が得られる。いくつかの実施形態において、適切な一炭素ホモログ反応条件は、ホスホニウム試薬の使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な一炭素ホモログ反応条件は、シクロヘキサノンI-4の付加前に、適切な温度での適切な時間にわたって適切な溶媒を用いて、適切な塩基で、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウム[PhCHOCHCl]をあらかじめ処理することを含む。いくつかの実施形態では、適切な塩基はNaHMDSである。いくつかの実施形態では、適切な塩基はKHMDSまたはLiHMDSである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態において、適切な温度でのシクロヘキサノンI-4の添加前の適切な時間は、約0°Cで約30分~約2時間である。いくつかの実施形態では、I-4が加えられた後、反応物を約0°Cでさらに約30分~約3時間継続させる。いくつかの実施形態において、反応物を夜通しほぼ室温まで温める。
【0248】
いくつかの実施形態では、I-5がその後、適切な酸性条件下に晒されることで、シスおよびトランスのアルデヒドI-6の混合物が得られる。いくつかの実施形態では、適切な酸性条件は、約2時間~ほぼ夜通し、約120°C~約130°Cでの水/トルエン中のギ酸を含む。いくつかの実施形態では、適切な酸性条件は、約1時間あるいは約6時間にわたって約60°CのTHF中にHClを含む。いくつかの実施形態では、アルデヒドI-6を適切な塩基条件下にさらに晒すことで、ほとんどがトランスのアルデヒドI-6が得られる。いくつかの実施形態では、適切な塩基条件は、適切な温度での適切な時間にわたって、HO、EtOH、およびPhMeなどの適切な混合溶媒中のNaOHを含む。いくつかの実施形態において、THFはPhMeの代わりに使用される。いくつかの実施形態では、適切な温度での適切な時間は、ほぼ室温で約5.5時間~ほぼ夜通しである。いくつかの実施形態では、適切な塩基条件は、適切な温度での適切な時間にわたって、MeOHなどの適切な溶媒中のNaOMeを含む。いくつかの実施形態では、適切な温度での適切な時間は、ほぼ室温で約4時間~約18時間である。いくつかの実施形態では、結晶化またはクロマトグラフィーによるさらなる精製によって、純粋なトランスアルデヒドI-6が得られる。
【0249】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、模倣図2に概説されるように調製される。
【0250】
【化31】
【0251】
模倣図2では、置換基X、X、X、R、R、およびmは本明細書に記載された通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。いくつかの実施形態では、Xはハロゲンである。いくつかの実施形態では、Xはクロロ、ブロモ、またはヨードである。
【0252】
いくつかの実施形態では、II-1を適切な温度まで冷却し、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒を用いる適切な金属ハロゲン交換条件下で反応させ、その後、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切なケトンII-2と反応させることで、II-3を得た。いくつかの実施形態では、適切な金属ハロゲン交換条件は有機金属試薬を含む。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、有機金属試薬はアルキルリチウムである。いくつかの実施形態では、アルキルリチウムはn-ブチルリチウムである。いくつかの実施形態では、有機金属試薬の添加前に、II-1を約-78°Cに冷却する。いくつかの実施形態では、適切なケトンII-2の添加前に、II-1を約-78°Cで約2時間反応させる。いくつかの実施形態では、ケトンII-2の添加後に、中間体有機金属試薬を約3時間反応させる。いくつかの実施形態では、ケトンII-2の添加後に、中間体有機金属試薬を約-78°Cで反応させる。
【0253】
いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒を用いる適切な還元条件下でアルコールII-3を反応させて、脱水した生成物と還元した生成物の混合物を形成する。いくつかの実施形態では、条件は、トリフルオロ酢酸とシリル水素化物の使用を含む。いくつかの実施形態では、シリル水素化物はトリエチルシランである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒和物はジクロロメタンである。いくつかの実施形態において、温度は約0°Cからほぼ室温または約0°Cまでである。いくつかの実施形態では、適切な時間は、夜通し~約1時間である。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒を用いる適切な条件下で、脱水した生成物と還元した生成物の混合物を反応させて、ケトンを形成する。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はギ酸、トルエン、および水混合物である。いくつかの実施形態では、適切な温度は約130°Cである。いくつかの実施形態では、適切な時間はほぼ夜通しである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はギ酸、THF、および水混合物である。いくつかの実施形態では、適切な温度は約80°Cである。いくつかの実施形態では、適切な時間は約18時間である。いくつかの実施形態では、脱水した副産物を含むこのケトンを、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒を用いる適切な還元条件下で完全に還元することで、II-4を形成する。いくつかの実施形態では、適切な還元条件は、還元剤として水素の使用を含む。いくつかの実施形態では、水素は、約15psiあるいは約30psiの圧力である。いくつかの実施形態では、アルケン還元はパラジウム触媒の使用を含む。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒は10%のパラジウム炭素である。いくつかの実施形態において、溶媒は酢酸エチルおよび濃縮されたHClである。いくつかの実施形態において、溶媒は酢酸エチルである。いくつかの実施形態では、温度はほぼ室温である。いくつかの実施形態では、適切な時間は、約30分から約18時間である。
【0254】
いくつかの実施形態では、適切な溶媒において、および、適切な温度で、II-4を求電子試薬RXであらかじめ処置する。いくつかの実施形態では、求電子試薬はハロゲン化アルキルである。いくつかの実施形態では、Xはクロロ、ブロモ、またはヨードである。いくつかの実施形態では、求電子試薬はヨウ化メチルである。いくつかの実施形態では、温度は約-78°Cである。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、および適切な温度で、混合物を塩基とさらに反応させて、アルキル化生成物を形成する。いくつかの実施形態において、塩基はリチウムジイソプロピルジアミドである。いくつかの実施形態では、適切な時間は約2時間である。いくつかの実施形態では、温度は約-78°Cである。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、混合物をほぼ室温までさらに温める。いくつかの実施形態では、適切な時間はほぼ夜通しである。
【0255】
いくつかの実施形態では、ケトンII-4を、模倣図1に記載されるようにアルデヒドII-7に転換させる。
【0256】
代替的に、いくつかの実施形態では、II-4を、適切な一炭素ホモログ反応条件下で反応させることで、アルケンII-5を得る。いくつかの実施形態において、適切な一炭素ホモログ反応条件は、ホスホニウム試薬の使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な一炭素ホモログ反応条件は、シクロヘキサノンI-4の付加前に、適切な温度での適切な時間にわたって、適切な溶媒中の適切な塩基で、メチルトリフェニルホスホニウム臭化物[PhCHBr]をあらかじめ処理することを含む。いくつかの実施形態において、適切な塩基は有機塩基である。いくつかの実施形態において、適切な塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、適切な塩基はカリウムtert-ブトキシドである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態では、ケトンを加える前の適切な時間は約30分である。いくつかの実施形態では、ケトンを加える前の反応の温度は約100°Cである。いくつかの実施形態では、ケトンII-4は、適切な温度で、および適切な時間にわたって、適切な溶媒に加えられる。いくつかの実施形態では、反応温度はケトンの添加後で約50°Cである。いくつかの実施形態において、ケトンはトルエン中に加えられる。いくつかの実施形態では、ケトンを、適切な時間にわたって適切な温度で反応させる。いくつかの実施形態では、ケトンを約100°Cでさらに反応させる。いくつかの実施形態では、ケトンを約2時間さらに反応させる。
【0257】
いくつかの実施形態では、アルケンII-5を水和条件に晒してII-6を形成する。いくつかの実施形態では、水和条件は、還元剤を用いる処置と、その後の、酸化剤による処置を含む。還元剤を、適切な温度で、および適切な時間にわたって、適切な溶媒中のII-5と反応させる。いくつかの実施形態において、還元剤はボランである。いくつかの実施形態において、還元剤はBH3-SMe2である。いくつかの実施形態では、還元剤をTHF中のII-5と反応させる。いくつかの実施形態において、反応温度は約0°Cである。いくつかの実施形態では、反応は還元剤の添加後、約1時間進行する。いくつかの実施形態では、反応はほぼ室温で継続する。いくつかの実施形態では、反応は約3時間さらに継続する。いくつかの実施形態では、中間体のボラン生成物を、酸化剤とさらに酸化させることで、適切な温度で、および適切な時間にわたって、適切な溶媒中でアルコールII-6を形成する。いくつかの実施形態では、酸化剤は30%のHO2である。いくつかの実施形態では、酸化反応は塩基の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、塩基はNaOHである。いくつかの実施形態において、溶媒はHOである。いくつかの実施形態において、適切な時間はほぼ夜通しである。いくつかの実施形態では、適切な温度はほぼ室温である。
【0258】
いくつかの実施形態において、アルコールII-6を酸化剤に晒してアルデヒドII-7を形成する。いくつかの実施形態では、酸化剤は、適切な温度で、および適切な時間にわたって、適切な溶媒中のSwern酸化剤である。いくつかの実施形態では、Swern酸化剤はDMSOと塩化オキサリルで形成される。いくつかの実施形態において、適切な溶媒和物はジクロロメタンである。いくつかの実施形態では、Swern酸化剤の形成のための適切な温度は約-78°Cである。いくつかの実施形態では、Swern酸化剤の形成のための適切な時間は30分である。いくつかの実施形態では、II-6を約78°CでSwern酸化剤と反応させる。いくつかの実施形態では、II-6を約1時間Swern酸化剤と反応させる。いくつかの実施形態では、塩基は、適切な温度で、および適切な時間にわたって添加される。いくつかの実施形態において、塩基はアミン塩基である。いくつかの実施形態において、アミン塩基はトリエチルアミンである。いくつかの実施形態では、適切な温度は約-78°Cである。いくつかの実施形態では、塩基の添加後の適切な反応時間は約1時間である。いくつかの実施形態では、酸化はシスとトランスの異性体の混合物としてII-7を生成する。
【0259】
いくつかの実施形態では、II-7のシス/トランスの混合物を、適切な溶媒において、適切な温度で、および適切な時間にわたって、適切な試薬を用いて、トランスII-7と平衡に保たれる。いくつかの実施形態において、適切な試薬は塩基である。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態において、塩基は水酸化ナトリウムである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はHO、EtOH、およびPhMeなどの混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間は約3時間である。いくつかの実施形態では、適切な温度はほぼ室温である。いくつかの実施形態では、結晶化またはクロマトグラフィーによるさらなる精製によって、純粋なトランスアルデヒドII-7が得られる。
【0260】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、模倣図3に概説されるように調製される。
【0261】
【化32】
【0262】
模倣図3では、置換基X、X、X、R、R、およびmは、本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。
【0263】
いくつかの実施形態では、ケトンIII-1を、塩基で処理することで、適切な塩基を用いて、適切な溶媒において、適切な時間にわたって、および適切な温度で、エノラートを形成する。いくつかの実施形態において、塩基は有機塩基である。いくつかの実施形態において、有機塩基はLiHMDSである。いくつかの実施形態では、エノラート形成は約-78°Cで起こる。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、適切な時間は約1時間である。いくつかの実施形態では、ケトンIII-1のエノラートを適切な溶媒中の適切な求電子試薬と反応させることで、適切な温度で、および、適切な時間にわたって、エノールエーテルIII-2を形成する。いくつかの実施形態において、求電子試薬は硫酸エステルを形成する。いくつかの実施形態では、求電子試薬はPhNTf2である。いくつかの実施形態では、適切な温度は約-78°Cであり、適切な時間は約2時間である。いくつかの実施形態では、反応物を、適切な時間をかけて適切な温度までさらに温める。いくつかの実施形態では、適切な温度はほぼ夜通しでほぼ室温である。
【0264】
いくつかの実施形態では、ボロン酸III-3を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、エノールトリフレートIII-2と反応させることで、III-4が得られる。いくつかの実施形態において、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件は、適切な時間の間および適切な温度での適切な溶媒を用いて、適切な塩基を有するPd(dppf)Clを含む。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態において、無機塩基はNaCOなどの炭酸塩基である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はジオキサン/水混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約30°Cで約6時間である。
【0265】
いくつかの実施形態では、III-4を、適切なオレフィン還元条件下で晒し、その後、適切な酸性条件下で晒すことで、シクロヘキサノンIII-5が得られる。いくつかの実施形態では、適切な還元条件は、パラジウム触媒性の水素化条件を含む。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒性の水素化条件は、適切な温度で適切な時間にわたって、EtOAcなどの適切な溶媒中の水素(1気圧)を有する10%のPd/Cの使用を含む。いくつかの実施形態において、適切な時間はほぼ室温でほぼ夜通しである。いくつかの実施形態では、適切な酸性条件は、適切な温度で適切な時間のあいだの水およびトルエン中のギ酸の使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な温度での適切な時間は約120°Cでほぼ夜通しである。
【0266】
いくつかの実施形態では、ケトンIII-5を、模倣図1および模倣図2でそれぞれ示されるように、アルデヒドI-6あるいはII-7に転換する。
【0267】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、模倣図4で概説されるように調製される。
【0268】
【化33】
【0269】
模倣図4では、置換基Y、X、X、X、X、R、R、およびRは、本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。いくつかの実施形態において、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、Xはヨードまたはブロモである。
【0270】
いくつかの実施形態では、トランスアルデヒドIV-1を、適切な還元アミノ化条件下で、適切なアニリンIV 2と反応させる。いくつかの実施形態では、適切な還元アミノ化条件は、適切な時間の間、適切な温度での、DCEまたはDCMなどの適切な溶媒中の酢酸および適切な還元試薬の使用を含む。いくつかの実施形態では、NaBH(OAc)は還元剤として使用される。いくつかの実施形態では、適切な温度はほぼ室温である。いくつかの実施形態では、適切な時間は、約1時間から約2.5時間である。いくつかの実施形態では、適切な反応条件は、還元剤の添加前の、適切な時間にわたって、適切な温度での、メタノールなどの適切な溶媒中の酢酸を含む。いくつかの実施形態では、適切な温度と時間は約5分間から約4時間までほぼ室温である。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、および、適切な温度でNaBHCNなどの適切な還元剤に反応をさらに晒す。いくつかの実施形態において、適切な時間はほぼ室温でほぼ夜通しである。
【0271】
いくつかの実施形態では、塩化アシルを用いるアミンIV-3のアシル化により、化合物IV-4が得られる。適切なアシル化条件は、限定されないが、適切な時間および適切な温度で、例えば、約1時間からほぼ夜通しで、ほぼ室温から約80°Cで、DCMまたはトルエンなどの適切な溶媒中のTEAまたはピリジンなどの適切な塩基の使用を含む。いくつかの実施形態では、ピリジンは塩基と溶媒の両方として使用される。他の適切な条件は、DMAPの追加を含む。
【0272】
ボロン酸エステルIV-5は、いくつかの実施形態では、ホウ素ハロゲン交換条件を用いてIV-4から調製されることもある。適切なホウ素ハロゲン交換条件は、限定されないが、適切な有機金属試薬と適切なホウ素試薬の使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な有機金属試薬はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、適切なホウ素試薬はビス(ピナコラート)ジボロンを含む。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のホウ素ハロゲン交換条件は、適切な時間の間、および、適切な温度で、適切な溶媒において、適切な塩基を有するPd(dppf)Clを含む。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態において、無機塩基はKOAcなどの酢酸塩基である。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態では、適切な時間と適切な温度は約100°Cから約115°Cで約4時間からほぼ夜通しである。
【0273】
いくつかの実施形態では、ボロン酸エステルIV-5を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、ヘテロアリールハロゲン化物-と反応させることで、IV-6が得られる。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールハロゲン化物はヘテロアリール臭化物である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール・ハロゲン化物はピラゾリルハロゲン化物である。いくつかの実施形態において、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムの使用を含む。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件は、適切な時間のあいだ、および適切な温度で、適切な溶媒を用いて、適切な塩基を有するPd(dppf)ClまたはPd(PPhを含む。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、無機塩基はKCO、NaCO、またはCsCOなどの炭酸塩基である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は、ジオキサンまたはDMFである。いくつかの実施形態において、水は共溶媒である。いくつかの実施形態では、適切な時間と適切な温度は約50°Cから約80°Cで約10分から約4時間である。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約80°Cで約0.5時間から約6時間である。
【0274】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アリールIV-4を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、ホウ素試薬と反応させることで、IV-6が得られる。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はヘテロアリールボロン酸である。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はヘテロアリールボロン酸エステルである。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はヘテロアリールピナコリルボロン酸エステルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールホウ素試薬はピラゾリルホウ素試薬である。いくつかの実施形態において、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件は、適切な時間のあいだ、および適切な温度で、適切な溶媒を用いて、適切な塩基を有するPd(dppf)ClまたはPd(PPhを含む。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態では、無機塩基はCsCO、NaCO、またはKCOなどの炭酸塩基である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はジオキサン/水またはDMF/水混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間と適切な温度は約50°Cから約100または80°Cで約10分から約2時間である。
【0275】
いくつかの実施形態では、Yは保護れたアルコールを含んでいる。いくつかの実施形態では、Yはシリルエーテルで保護される。いくつかの実施形態では、保護基は、IV-6を生成するための適切な溶媒、温度、および時間を含む適切な脱保護条件を使用して遊離アルコールを生成するために取り除かれる。いくつかの実施形態では、適切な脱保護条件はHCl水溶液の使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は、水、THF、メタノール、あるいは溶媒の組み合わせである。いくつかの実施形態では、適切な時間と適切な温度は約0°Cからほぼ室温で約30分から約1時間である。
【0276】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、模倣図5で概説されるように調製される。
【0277】
【化34】
【0278】
模倣図5では、置換基Y、X、X、X、X、R、R、R、R、R、R、およびmは本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。いくつかの実施形態において、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、Xはヨードまたはブロモである。いくつかの実施形態において、Rはアルキル基である。いくつかの実施形態において、Rは水素である。
【0279】
いくつかの実施形態では、ホウ素試薬V-1を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、ヘテロアリールハロゲン化物V2と反応させることで、IV-3が得られる。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールハロゲン化物はヘテロアリール臭化物またはヘテロアリールヨウ化物である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール・ハロゲン化物はピラゾリルハロゲン化物である。いくつかの実施形態において、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件は、適切な時間の間および適切な温度での適切な溶媒を用いて、適切な塩基を有するPd(dppf)Clを含む。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態において、無機塩基はKCOなどの炭酸塩基である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はジオキサン/水混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約80°Cで約4時間である。
【0280】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化アリールV-4を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、ホウ素試薬V5と反応させることで、IV-3が得られる。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はヘテロアリールボロン酸である。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はヘテロアリールボロン酸エステルである。いくつかの実施形態では、ホウ素試薬はヘテロアリールピナコリルボロン酸エステルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールホウ素試薬はピラゾリルホウ素試薬である。いくつかの実施形態において、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件は、適切な時間の間および適切な温度での適切な溶媒を用いて、適切な塩基を有するPd(dppf)Clを含む。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態において、無機塩基はKCOなどの炭酸塩基である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はジオキサン/水混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約90°Cで約20分である。
【0281】
いくつかの実施形態では、適切な還元アミノ化条件下でアルデヒドをアニリンV-3と反応させることで、アミンV-9を形成する。いくつかの実施形態では、適切な還元アミノ化条件は、適切な時間の間、適切な温度での、DCEまたはDCMなどの適切な溶媒中の適切な還元剤の使用を含む。いくつかの実施形態において、酢酸が加えられる。いくつかの実施形態では、NaBH(OAc)は還元剤として使用される。いくつかの実施形態では、適切な温度はほぼ室温である。いくつかの実施形態では、適切な時間は約1時間からほぼ夜通しである。いくつかの実施形態では、適切な反応条件は、還元剤の添加前の、適切な時間にわたって、適切な温度での、メタノールなどの適切な溶媒中の酢酸を含む。いくつかの実施形態では、適切な温度と時間は約5分間から約4時間までほぼ室温である。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、および、適切な温度でNaBHCNなどの適切な還元剤に反応を晒す。いくつかの実施形態において、適切な時間はほぼ室温でほぼ夜通しである。
【0282】
いくつかの実施形態では、塩化アシルを用いるアニリンIV-9のアシル化により、アミドV-10が得られる。適切なアシル化条件は、限定されないが、適切な時間および適切な温度で、例えば、約10分からほぼ夜通しで、ほぼ0°Cから約50°Cで、または、ほぼ0°Cから約80°Cで、DCM、トルエン、またはピリジンなどの適切な溶媒中のTEAまたはピリジンなどの適切な塩基の使用を含む。他の適切な条件は、DMAPの追加を含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、Yは保護れたアルコールを含んでいる。いくつかの実施形態では、Yはシリルエーテルで保護される。いくつかの実施形態では、保護基は、IV-10を生成するための適切な溶媒、温度、および時間を含む適切な脱保護条件を使用して遊離アルコールを生成するために取り除かれる。いくつかの実施形態では、適切な脱保護条件はHCl水溶液の使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は、水、THF、メタノール、あるいは溶媒の組み合わせである。いくつかの実施形態では、適切な時間と適切な温度は約0°Cからほぼ室温で約30分から約1時間である。
【0284】
いくつかの実施形態では、ホウ素試薬V-6を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、ヘテロアリールハロゲン化物V7と反応させることで、IV-8が得られる。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールハロゲン化物はヘテロアリール臭化物またはヘテロアリールヨウ化物である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール・ハロゲン化物はピラゾリルハロゲン化物である。いくつかの実施形態において、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件は、適切な時間の間および適切な温度での適切な溶媒を用いて、適切な塩基を有するPd(dppf)Clを含む。いくつかの実施形態において、塩基は無機塩基である。いくつかの実施形態において、無機塩基はNaCOなどの炭酸塩基である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は、ジオキサン、エタノール、および水の混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約80°Cでほぼ夜通しである。
【0285】
いくつかの実施形態では、V-8を適切な酸性還元条件下に晒すことで、アニリンV-3が得られる。適切なニトロ還元条件はパラジウム触媒性の水素化条件を含む。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性の水素化条件は、適切な温度で適切な時間にわたって、メタノールなどの適切な溶媒中の水素(1気圧)を有する10%のPd/Cの使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な条件は水へのHClの添加を含む。いくつかの実施形態では、適切な時間はほぼ室温で約1時間である。
【0286】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、模倣図6で概説されるように調製される。
【0287】
【化35】
【0288】
模倣図6では、置換基X、X、X、X、R、R、R、R、R、R、R12、およびmは本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。
【0289】
いくつかの実施形態では、化合物VI-2は、適切な時間にわたって適切な温度で、THFなどの適切な溶媒で、適切な塩基であるR12Xを用いるVI-1のO-アルキル化から調製される。いくつかの実施形態において、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、適切な塩基はNaHである。いくつかの実施形態では、化合物II-1は、ハロゲン化物R12Xを加える前に、約0°Cで約0.5時間などの適切な温度で適切な時間にわたって適切な塩基であらかじめ処理される。いくつかの実施形態では、適切な時間および温度は、約60°Cでほぼ夜通しである。
【0290】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、模倣図7で概説されるように調製される。
【0291】
【化36】
【0292】
模倣図7では、置換基X、X、X、X、R、R、R、R、R、R、およびmは本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。
【0293】
いくつかの実施形態では、VII-1を、適切な酸性条件下に晒すことでアミンVII-2が得られる。いくつかの実施形態では、適切な酸性条件は、適切な温度で適切な時間にわたって、DCMなどの適切な溶媒におけるTFAの使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な酸性条件は、適切な温度で適切な時間にわたって、ジオキサンなどの適切な溶媒におけるHClの使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、約0.5時間から約2時間にわたって約0°Cからほぼ室温である。
【0294】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、模倣図8に概説されるように調製される。
【0295】
【化37】
【0296】
模倣図8では、置換基X、X、X、R、およびRは本明細書に記載された通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。いくつかの実施形態において、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、Xはクロロ、ブロモ、またはヨードである。
【0297】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化物VIIIを適切な温度まで冷却し、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒を用いる適切な金属ハロゲン交換条件下で反応させ、その後、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切なケトンVIII-2と反応させることで、3級アルコールを得る。いくつかの実施形態では、適切な金属ハロゲン交換条件は有機金属試薬を含む。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、有機金属試薬はアルキルリチウムである。いくつかの実施形態では、アルキルリチウムはn-ブチルリチウムである。いくつかの実施形態では、有機金属試薬の添加前に、VIII-1を約-78°Cに冷却する。いくつかの実施形態では、適切なケトンIII-2の添加前に、VIII-1を約-78°Cで約1時間反応させる。いくつかの実施形態では、ケトンVIII-2の添加後に、VIII-1を約2時間反応させる。いくつかの実施形態では、VIII-1とケトンVIII-2を反応させるための適切な温度は、約-78°Cである。いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な溶媒において、アリル化試薬とルイス酸の使用を含む適切なアリル化条件下で、3級アルコールを反応させることで、VIII-3を形成する。いくつかの実施形態において、適切なアリル化試薬はアリルトリメチルシランである。いくつかの実施形態では、適切なルイス酸はBF3-OEt2である。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、約1時間にわたって約-78°Cである。いくつかの実施形態では、反応物をほぼ夜通しでほぼ室温までさらに温める。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、ほぼ夜通しで約0°Cである。
【0298】
いくつかの実施形態では、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度で、VIII-3を適切な酸化的開裂条件下で反応させることで、VIII-4を得る。いくつかの実施形態では、酸化的開裂条件は、中間体のジオールを形成するためのオスミウム試薬とN-メチルモルホリンN-オキシドの使用を含む。いくつかの実施形態では、オスミウム試薬はOsOあるいはKOsOOである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はACN/水混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、ほぼ夜通しで約0°Cからほぼ室温である。いくつかの実施形態では、ジオールは、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度で適切な酸化的開裂条件下でVIII-4を形成するために切断される。いくつかの実施形態では、適切な酸化的開裂条件はNaIO4の使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHF/水混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、ほぼ夜通しで約0°Cからほぼ室温である。
【0299】
いくつかの実施形態では、VIII-4は適切な還元条件下で1級アルコールに還元され、その後、適切なハロゲン化条件下でハロゲン化されることでVIII-5を生成する。いくつかの実施形態では、適切な還元条件は水素化ホウ素試薬の使用を含む。いくつかの実施形態では、還元条件は、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度でNaBHの使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、約1時間にわたって約0°Cである。いくつかの実施形態では、反応物をほぼ夜通しでほぼ室温まで温める。いくつかの実施形態では、適切なハロゲン化条件下でアルコールを反応させることで、ハロゲン化アルキルを生成する。いくつかの実施形態では、適切なハロゲン化条件は、適切な当初温度での適切な溶媒中でのCBrの使用と、その後の、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度でのPPhの使用を含む臭素化条件である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMなどのハロゲン化溶媒である。いくつかの実施形態では、適切な当初温度は約0°Cである。いくつかの実施形態では、PPhの添加後の適切な温度と適切な時間は約1時間約0°Cである。いくつかの実施形態では、PPhの添加のための適切な溶媒はTHFである。いくつかの実施形態では、反応物をほぼ夜通しでほぼ室温までさらに温める。
【0300】
いくつかの実施形態では、VIII-5を分子内アルキル化条件に晒すことでVIII-6を形成する。いくつかの実施形態では、分子内アルキル化条件は適切な塩基を含む。いくつかの実施形態では、適切な塩基は、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度のリチウムジイソプロピルアミドである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はHMPAとTHFの混合物である。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、約3時間で約-78°C、あるいはほぼ夜通しで約-78°Cから室温である。
【0301】
エステルVIII-6は適切な還元条件によってアルコールに還元され、いくつかの実施形態では、その後、適切な酸化条件によってアルデヒドVIII-7に酸化される。いくつかの実施形態では、適切な還元条件は、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度でDIBALHの使用を含む。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、約1時間にわたって約-78°Cである。いくつかの実施形態では、反応物を約2時間にわたってほぼ室温までさらに温めることで、アルコールを生成する。いくつかの実施形態では、適切な酸化条件はクロムベースの酸化である。いくつかの実施形態では、適切な酸化条件は、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度でのPCCの使用を含む。いくつかの実施形態において、シリカゲルが加えられる。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な温度は約2時間にわたってほぼ室温である。代替的に、いくつかの実施形態では、酸化条件は、適切な時間にわたって、適切な温度、および適切な溶媒におけるアミン塩基を用いる、塩化オキサリルおよびDMSOの使用を含む。いくつかの実施形態において、適切なアミン塩基はTEAである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はDCMである。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、約1時間で約-78°Cである。
【0302】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の調製に使用される中間体は、模倣図9に概説されるように調製される。
【0303】
【化38】
【0304】
いくつかの実施形態では、IX-1は、ビス・シリル中間体を形成するためにアルコール保護条件に晒され、その後、IX-2を形成するために加水分解条件に晒される。いくつかの実施形態では、アルコール保護条件は、適切な時間にわたって、適切な温度で、適切な溶媒において、TBSClと適切な塩基の使用を含む。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はDMFである。いくつかの実施形態では、適切な塩基はイミダゾールである。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、約2時間にわたってほぼ室温である。いくつかの実施形態では、中間体のシリルエステルは加水分解条件に晒されることで、IX-2を形成する。いくつかの実施形態では、加水分解条件は、適切な時間にわたって、適切な温度で、および適切な溶媒における塩基を用いる処置を含む。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はEtOH、HO、THF混合物である。いくつかの実施形態では、適切な塩基はKCOである。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、約3時間にわたってほぼ室温である。
【0305】
化合物IX-2は、いくつかの実施形態では、塩素殺菌条件下で酸塩化物IX-3に変換される。いくつかの実施形態では、塩素殺菌条件は、適切な溶媒における、適切な温度での(クロロメチレン)ジメチルイミニウム塩化物と塩基の使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な塩基は無水KCOである。いくつかの実施形態では、適切な温度は約0°Cである。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態では、IX-2が添加され、混合物が適切な時間にわたって適切な温度で撹拌されることで、IX-3が生成される。いくつかの実施形態では、適切な時間の適切な温度は、約0.5時間から約1時間にわたってほぼ室温である。
【0306】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、模倣図10で概説されるように調製される。
【0307】
【化39】
【0308】
模倣図10では、置換基Y、X、X、X、X、R、R、R、R、およびmは本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。
【0309】
アルコールX-1を、いくつかの実施形態では、適切なハロゲン化条件下で反応させることで、ハロゲン化アルキルX-2が生成される。いくつかの実施形態では、適切なハロゲン化条件は、適切な当初温度での適切な溶媒中でのCBrの使用と、その後の、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度でのPPhの使用を含む、臭素化条件である。いくつかの実施形態では、適切な溶媒はDCMなどのハロゲン化溶媒である。いくつかの実施形態では、適切な当初温度は約0°Cである。いくつかの実施形態では、PPhの添加後の適切な温度と適切な時間は約1時間約0°Cである。いくつかの実施形態では、反応物をほぼ夜通しでほぼ室温までさらに温める。
【0310】
いくつかの実施形態では、塩化アシルを用いるアミンX-3のアシル化により、化合物X-4が得られる。適切なアシル化条件は、限定されないが、0°Cなどの適切な温度でのDCMあるいはトルエンなどの適切な溶媒中のピリジンなどの適切な塩基の使用を含む。いくつかの実施形態では、塩化アシルは、適切な時間にわたって、適切な溶媒において、および適切な温度で加えられる。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態では、適切な温度は約0°Cであり、その後、ほぼ夜通しで室温まで温められる。
【0311】
いくつかの実施形態では、化合物X-5は、適切な時間にわたって適切な温度で、DMFなどの適切な溶媒中の適切な塩基と臭化物I-2を用いるX-4のNアルキル化から調製される。適切な塩基はNaHを含む。いくつかの実施形態では、化合物X-4は、臭化物X-2を加える前に、約0°Cからほぼ室温で約2時間などの適切な温度で適切な時間にわたって適切な塩基であらかじめ処理される。いくつかの実施形態では、臭化物X-2の添加後の適切な時間と温度は、ほぼ夜通しでほぼ室温である。いくつかの実施形態では、Yは保護されたアルコールを含んでいる。いくつかの実施形態では、Yはシリルエーテルで保護される。いくつかの実施形態では、保護基は、X-5を生成するための適切な溶媒、温度、および時間を含む適切な脱保護条件を使用して遊離アルコールを生成するために取り除かれる。いくつかの実施形態では、適切な脱保護条件はフッ化物試薬の使用を含む。いくつかの実施形態において、フッ化物試薬はNHFである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はメタノールである。いくつかの実施形態では、適切な温度での適切な時間は約60°Cでほぼ夜通しである。
【0312】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、模倣図11で概説されるように調製される。
【0313】
【化40】
【0314】
模倣図11では、置換基Y、X、X、X、X、R、R、R、R、R、R、およびmは本明細書に記載される通りである。いくつかの実施形態において、XはC-Rであり、XはC-Hであり、XはそれぞれC-Hである。いくつかの実施形態では、Xは適切なクロスカップリング置換基である。いくつかの実施形態において、Xはハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、Xはクロロ、ブロモ、またはヨードである。
【0315】
いくつかの実施形態では、化合物X-1を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で、適切なアセチレン源と反応させることで、XI-2が得られる。いくつかの実施形態において、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、適切なアセチレン源はトリメチルシリルアセチレンである。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件は、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な塩基を有する、Pd(PPhCl(銅触媒)を含む。いくつかの実施形態では、銅触媒はCuIである。いくつかの実施形態において、塩基はTEAなどのアミン基である。いくつかの実施形態では、適切な時間および適切な温度は、約90°Cで約6時間である。いくつかの実施形態では、TMS基は、XI-2を生成するための適切な溶媒、温度、および時間を含む適切な脱保護条件下でクロスカップリングの後に取り除かれる。いくつかの実施形態では、適切な脱保護条件はフッ化物試薬の使用を含む。いくつかの実施形態において、フッ化物試薬はNHFである。いくつかの実施形態において、適切な溶媒はメタノールである。いくつかの実施形態では、適切な時間は約60°Cで約1時間である。
【0316】
いくつかの実施形態では、アセチレンXI-2を、適切な金属触媒性のクロスカップリング反応条件下で適切なヘテロ芳香族ハロゲン化物と反応させることで、XI-3が得られる。いくつかの実施形態において、適切な金属触媒性のクロスカップリング条件はパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、ヘテロ芳香族ハロゲン化物はピラゾリルハロゲン化物である。いくつかの実施形態において、ヘテロ芳香族ハロゲン化物はヘテロ芳香族ヨウ化物である。いくつかの実施形態では、適切なパラジウム触媒性のクロスカップリング反応条件は、適切な時間にわたって、および適切な温度で、適切な塩基を有する、Pd(PPhCl(銅触媒)を含む。いくつかの実施形態では、銅触媒はCuIである。いくつかの実施形態において、塩基はTEAなどのアミン基である。いくつかの実施形態では、適切な時間と適切な温度は、約80°Cから約90°Cまたは約70°Cから約90°Cで約1時間である。
【0317】
いくつかの実施形態では、Yは保護れたアルコールを含んでいる。いくつかの実施形態では、Yはシリルエーテルで保護される。いくつかの実施形態では、保護基は、XI-3を生成するための適切な溶媒、温度、および時間を含む適切な脱保護条件を使用して遊離アルコールを生成するために取り除かれる。いくつかの実施形態では、適切な脱保護条件はHCl水溶液の使用を含む。いくつかの実施形態では、適切な溶媒は、水、THF、メタノール、あるいは溶媒の組み合わせである。いくつかの実施形態では、適切な時間と適切な温度は約0°Cからほぼ室温で約30分から約1時間である。
【0318】
いくつかの実施形態において、実施例に記載されるように、化合物は調製される。特定の用語
【0319】
別段の定めのない限り、本出願で使用される以下の用語の定義を下に示す。用語「含むこと(including)」に加えて、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んだ(included)」などの他の形態の使用は、限定しない。本明細書に使用される段落の見出しは、組織化するためのものに過ぎず、記載される主題を制限するものと解釈されてはならない。
【0320】
本明細書で使用されるように、C-Cは、C-C、C-C...C-Cを含む。ほんの一例として、「C-C」として指定された基は、その部分に1乃至4の炭素原子があることを示す(すなわち、基は、1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子、または4つの炭素原子を含有する)。したがって、ほんの一例として、「C-Cアルキル」は、アルキル基に1乃至4の炭素原子があることを示す(すなわち、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルから選択される)。
【0321】
「アルキル」基とは脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は分枝鎖または直鎖である。いくつかの実施形態では、「アルキル」基は、1乃至10の炭素原子、すなわち、C1-C10アルキルを有する。「1乃至10」などの数の範囲は、本明細書で出てくるときは常に、所定の範囲内の各々の整数を指す;例えば、「1乃至10の炭素原子」は、アルキル基が、1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子、4つの炭素原子、5つの炭素原子、6つの炭素原子などから、最大10の炭素原子までの炭素原子からなることを意味するが、本定義はさらに、数の範囲が指定されていない用語「アルキル」の出現も包含する。いくつかの実施形態では、アルキルはC-Cアルキルである。1つの態様では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、またはt-ブチルである。典型的なアルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、三級ブチル、ペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルが挙げられる。
【0322】
「アルキレン」基は二価アルキルラジカルを指す。上記の一価アルキル基のいずれかがアルキルからの第2の水素原子の除去によるアルキレンであってもよい。いくつかの実施形態では、アルキレンは、C-Cアルキレンである。他の実施形態では、アルキレンはC-Cアルキレンである。特定の実施形態では、アルキレンは、1~4の炭素原子(例えばC-Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは1~3の炭素原子(例えばC-Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは1~2の炭素原子(例えばC-Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは1つの炭素原子(例えばC1アルキレン)を含む。他の実施形態では、アルキレンは、2つの炭素原子(例えばC2アルキレン)を含む。他の実施形態では、アルキレンは、2~4の炭素原子(例えばC-Cアルキレン)を含む。典型的なアルキレン基は、限定されないが、-CH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-CHCH-、-CHCH(CH)-、-CHC(CH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-などを含む。
【0323】
「重水素化アルキル」は、アルキルの1つ以上の水素原子が重水素と取り替えられる場合のアルキル基を指す。
【0324】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素炭素二重結合が存在するアルキル基の一種を指す。1つの実施形態では、アルケニル基は、式-C(R)=CRを有し、Rはアルケニル基の残りの部分を指し、それは同じこともあれば、異なることもある。いくつかの実施形態では、RはHまたはアルキルである。いくつかの実施形態では、アルケニルは、エテニル(すなわち、ビニル)、プロペニル(すなわち、アリル)、ブテニル、ペンテニル、ペンタジエニルなどから選択される。アルケニル基の非限定的な例としては、-CH=CH、-C(CH)=CH、-CH=CHCH、-C(CH)=CHCH、および-CHCH=CHが挙げられる。
【0325】
用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素炭素三重結合が存在するアルキル基の一種を指す。1つの実施形態では、アルケニル基は式-C≡CRを有し、Rはアルキニル基の残りの部分を指す。いくつかの実施形態では、RはHまたはアルキルである。いくつかの実施形態では、アルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどから選択される。アルキニル基の非限定的な例としては、-C≡CH、-C≡CCH、-C≡CCHCH、-CHC≡CHが挙げられる。
【0326】
「アルコキシ」基は(アルキル)O-基を指し、アルキルは本明細書で定義される通りである。
【0327】
用語「アルキルアミン」は-N(アルキル)xHy基を指し、xが0であり、yが2であるか、あるいはxが1であり、yが1であるか、あるいは、xが2であり、yが0である。
【0328】
用語「芳香族」とは、4n+2π電子(nは整数である)を含む、非局在化されたπ-電子系を有する平面環を指す。用語「芳香族」は、炭素環式アリール(「アリール」、例えば、フェニル)と複素環式アリール(または「ヘテロアリール」または「複素環式芳香族」)基(例えばピリジン)の両方を含んでいる。この用語は単環式または縮合環の多環式(つまり、炭素または窒素の原子の隣接する対を共有する環)基を含んでいる。
【0329】
用語「炭素環式」あるいは「炭素環」は、環の骨格を形成する原子がすべて炭素原子である、環または環系を指す。したがって、該用語は、環骨格が炭素とは異なる少なくとも1つの原子を含有している「複素環式」または「複素環」と、炭素環式とを区別している。いくつかの実施形態では、二環式の炭素環の2つの環の少なくとも1つは、芳香族である。いくつかの実施形態では、二環式の炭素環の両方の環は、芳香族である。炭素環は、シクロアルキルおよびアリールを含む。
【0330】
本明細書で使用されるように、用語「アリール」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である、芳香族環を指す。1つの態様では、アリールは、フェニルまたはナフチルである。いくつかの実施形態では、アリールはフェニルである。いくつかの実施形態では、アリールはC6-C10アリールである。構造によっては、アリール基はモノラジカルまたはジラジカル(つまり、アリーレン基)である。
【0331】
用語「シクロアルキル」は、単環式または多環式の脂肪族の非芳香族ラジカルを指し、環を形成する原子(つまり骨格原子)の各々は炭素原子である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、スピロ環状化合物または架橋化合物である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、随意に芳香環で縮合され、付着点は、芳香環炭素原子ではない炭素にある。シクロアルキル基は、3~10の環状原子を有する基を含む。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、スピロ[2.2]ペンチル、ノルボルニルおよびビシクロ[1.1.1]ペンチルの中から選択される。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C-Cシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、単環式シクロアルキルである。単環式シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含むが、これらに限定されない。多環式シクロアルキルは、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(すなわち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル(decalinyl)、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを含む。
【0332】
用語「ハロ」あるいは代替的に「ハロゲン」または「ハロゲン化物」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、あるいはヨードを意味する。いくつかの実施形態では、ハロはフルオロ、クロロ、またはブロモである。
【0333】
用語「ハロアルキル」は、1つ以上の水素原子がハロゲン原子と取り替えられるアルキルを指す。一態様では、フルオロアルキルは、C-Cフルオロアルキルである。
【0334】
用語「フルオロアルキル」は、1つ以上の水素原子がフッ素原子と取り替えられるアルキルを指す。一態様では、フルオロアルキルは、C-Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態において、フルオロアルキルはトリフルオロメチルから選択される、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2、2、2、トリフルオロエチル、1つのフルオロメチル2フルオロエチルなど。
【0335】
用語「ヘテロアルキル」は、アルキルの1つ以上の骨格原子が炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素(例えば、-NH-、-N(アルキル)-、硫黄、あるいはこれらの組み合わせ)から選択されるアルキル基を指す。ヘテロアルキルはヘテロアルキルの炭素原子で分子の残りに付けられる。1つの態様では、ヘテロアルキルはC-Cヘテロアルキルである。
【0336】
用語「ヘテロアルキレン」とは二価ヘテロアルキルラジカルを指す。
【0337】
用語「複素環」あるいは「複素環式」とは、環に1~4つのヘテロ原子を含む芳香族複素環(ヘテロアリールとしても知られている)およびヘテロシクロアルキル環(ヘテロ脂環式基としても知られている)を指し、ここで、環のヘテロ原子はO、S、およびNから選択され、ここで、環の各複素環基は、その環系中に3~10の原子を有し、ただし、どの環も2つの隣接するOあるいはS原子を含んでいないものとする。いくつかの実施形態では、複素環は、単環式、二環式、多環式、スピロ環、または架橋の化合物である。非芳香族複素環基(ヘテロシクロアルキルとしても知られる)は、その環系に3乃至10の原子を有する環を含み、芳香族複素環基は、その環系に5乃至10の原子を有する環を含む。複素環式基はベンゾ縮合環系を含む。非芳香族複素環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、オキサゾリジノニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、ピロリン(pyrrolin)-2-イル、ピロリン(pyrrolin)-3-イル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H-インドリル、インドリン-2-オニル(onyl)、イソインドリン-1-オニル、イソインドリン-1,3-ジオニル、3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オニル、3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オニル、イソインドリン-1,3-ジチオニル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オニル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オニル、およびベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オニル、およびキノリジニルである。芳香族複素環式基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルである。前述の基は、可能であれば、C結合される(またはC連結される)か、あるいはN結合される。例えば、ピロールに由来する基は、ピロール-1-イル(N結合された)またはピロール-3-イル(C結合された)を含む。さらに、イミダゾールに由来する基は、イミダゾール-1-イルまたはイミダゾール-3-イル(両方ともN結合された)またはイミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イルまたはイミダゾール-5-イル(すべてC結合された)を含む。複素環式基はベンゾ縮合環系を含む。非芳香族複素環は、ピロリジン-2-オンなどの、1つまたは2つのオキソ(=O)部分と随意に置換される。いくつかの実施形態では、二環式の複素環の2つの環の少なくとも1つは芳香族である。いくつかの実施形態では、二環式の複素環の両方の環は芳香族である。
【0338】
「ヘテロアリール」あるいは代替的には「ヘテロ芳香族」との用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択された1つ以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。ヘテロアリール基の実例は、単環式ヘテロアリールおよび二環式ヘテロアリールを含む。単環式のヘテロアリールは、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、およびフラザニルを含む。二環式のヘテロアリールは、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン、およびプテリジンを含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に0-4のN原子を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に1-4のN原子を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に0-4のN原子、0-1のO原子、および0-1のS原子を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に1-4のN原子、0-1のO原子、および0-1のS原子を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールはC-Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式のヘテロアリールはC-Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式のヘテロアリールは5-員または6-員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、二環式のヘテロアリールはC-Cヘテロアリールである。
【0339】
「ヘテロシクロアルキル」あるいは「ヘテロ脂環式」基は、窒素、酸素、および硫黄から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルはアリールまたはヘテロアリールで縮合される。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、オキサゾリジノニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジン-2-オニル、ピロリジン-2,5-ジチオニル、ピロリジン-2,5-ジオニル、ピロリジノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリジン-2-オニル、またはチアゾリジン-2-オニルである。ヘテロ脂環式との用語は、限定されないが、単糖類、二糖類、および少糖類を含む、炭水化物の環状形態もすべて含んでいる。1つの態様では、ヘテロシクロアルキルはC-C10ヘテロシクロアルキルである。別の態様では、ヘテロシクロアルキルはC-C10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは環に0-2のN原子を含有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは環に0-2のN原子、0-2のO原子、および0-1のS原子を含有する。
【0340】
用語「結合」あるいは「単結合」とは、結合によって結合された原子がより大きな下部構造の一部であると考えられるときの2つの原子間あるいは2つの部分間の化学結合を指す。1つの態様では、本明細書に記載される基が単結合であるときに、参照された基は存在せず、それによって、残りの特定された基の間での単結合の形成が可能になる。
【0341】
用語「部分」は、分子の特定のセグメントまたは官能基を指す。化学的部分は、分子に埋め込まれたまたは付加された化学物質と認識されることが多い。
【0342】
「随意に置換された」または「置換された」との用語は、参照された基がD、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、およびアリールスルホンから選択される個々に、かつ独立して選択された1つ以上の追加の基で随意に置換されることを意味する。いくつかの他の実施形態では、随意の置換基は、D、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-OH、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)NH(C-Cアルキル)、-C(=O)N(C-Cアルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(C-Cアルキル)、-S(=O)N(C-Cアルキル)、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cフルオロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cフルオロアルコキシ、-SC-Cアルキル、-S(=O)C-Cアルキル、および-S(=O)-Cアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、随意の置換基は、D、ハロゲン、-CN、-NH、-OH、-NH(CH)、-N(CH、-CH、-CHCH、-CF、-OCH、および-OCFから独立して選択される。いくつかの実施形態では、置換された基は、前述の基の1つまたは2つで置換される。いくつかの実施形態では、脂肪族炭素原子(非環式または環式)上の随意の置換基は、オキソ(=O)を含む。
【0343】
本明細書で使用されるような、製剤、組成物、または成分に関する用語「許容可能な」とは、処置されている被験体の健康状態に対して持続的な有害効果がないことを意味する。
【0344】
本明細書で使用されるような用語「調節する(modulate)」は、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を拡大することを含んで、標的の活性を変更するように、直接的または間接的に標的と相互作用することを意味する。
【0345】
本明細書で使用されるような用語「モジュレーター」は、直接的または間接的に標的と相互作用する分子を指す。相互作用は、限定されないが、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、分解剤(degrader)、またはそれらの組み合わせの相互作用を含む。いくつかの実施形態では、モジュレーターはアゴニストである。
【0346】
本明細書で使用されるような用語「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などは、生物学的作用の望ましい部位への化合物または組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注入(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、または点滴を含む)、局所投与、および直腸投与を含む。当業者は、本明細書に記載される化合物および方法を用いて使用され得る投与技術に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、経口で投与される。
【0347】
用語「同時投与」などは、本明細書で使用されるように、一人の患者に対する選択された治療薬の投与を包含することを意味しており、同じあるいは異なる投与経路によって、または同じあるいは異なるときに薬剤が投与される治療レジメンを含むことを意図している。
【0348】
「有効な量」あるいは「治療上有効な量」という用語は、本明細書で使用されるように、処置されている疾患または疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、投与されている十分な量の薬剤あるいは化合物を指す。結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少および/または緩和、あるいは生体系の他の所望の変化を含む。例えば、治療用途のための「有効な量」は、疾患症状を臨床的に有意に減少させるために必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。個々のケースでの適切な「有効な」量は、用量漸増試験などの技術を使用して随意に決定される。
【0349】
用語は「増強する(enhance)」あるいは「増強すること(enhancing)」は、本明細書で使用されるように、効能または持続時間のいずれかにおいて所望の効果を増加させるか延長することを意味する。したがって、治療薬の効果を増強することに関して、用語「増強する」は、効能または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療薬の効果を増大させるまたは延長する能力を指す。本明細書で使用されるような「増強有効量」は、望ましい系において別の治療薬の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0350】
本明細書で使用されるような用語「薬学的な組み合わせ(pharmaceutical combination)」は、1つを超える有効成分の混合または併用に起因し、かつ、有効成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせを含む生成物を意味する。用語「固定された組み合わせ」は、有効成分、例えば、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、単一の実体または用量の形態で同時に患者に両方とも投与されることを意味する。用語「固定されていない組み合わせ」は、有効成分、例えば、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、特定の介在する時間制限なく、同時に、同時発生的に、また連続して、別々の実体として患者に投与されることを意味し、こうした投与は、患者の身体に有効レベルの2つの化合物を提供する。後者の用語はカクテル療法、例えば、3以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0351】
用語「キット」および「製品」は、同義語として使用される。
【0352】
用語「被験体」または「患者」は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、以下の哺乳動物のクラスのメンバーを含む:ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、および他の類人猿ならびにサル類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物、ラット、マウスおよびモルモットなどの、げっ歯類を含む実験動物。1つの態様では、哺乳動物はヒトである。
【0353】
用語「処置する」、「処置すること」、あるいは、「処置」は、本明細書で使用されるように、疾患または疾病の少なくとも1つの症状を緩和するか、軽減するか、あるいは改善すること、追加の症状を防ぐこと、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の発現を抑えること、疾患または疾病を軽減すること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされた状態を軽減すること、あるいは疾患または疾病の症状を予防的におよび/または治療的に止めることを含む。
【0354】
医薬組成物
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は医薬組成物へ製剤される。医薬組成物は、薬学的に使用される調製物への活性化合物の処理を促進する1つ以上の薬学的に許容可能な不活性成分を使用して、従来の方法で製剤される。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば:Remington: The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.: Mack Publishing Company,1995); Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975; Liberman,H.A. and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980; and Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)において見られ、これらは上記の開示のための引用によって本明細書に組み込まれる。
【0355】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、単独で、あるいは、医薬組成物において、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と組み合わせて、投与される。本明細書に記載される化合物および組成物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする方法によって達成され得る。これらの方法は、限定されないが、腸内経路(経口、胃または十二指腸の栄養管、肛門坐剤および直腸の浣腸を含む)、非経口経路(動脈内、心臓内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、鞘内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外および皮下を含む、注射または注入)、吸入、経皮、経粘膜、舌下、頬側、および局所(上皮、真皮、浣腸、点眼、点耳、鼻腔内、膣を含む)の投与を介した送達を含むが、最も適切な経路は、例えばレシピエントの疾病または障害に左右され得る。ほんの一例として、本明細書に記載される化合物は、例えば、手術中の局所注入、クリーム剤または軟膏剤などの局所適用、注射、カテーテル、または移植によって、処置を必要としている領域へと局所的に投与され得る。投与は病変組織または臓器の部位での直接注射によるものでもあり得る。
【0356】
いくつかの実施形態において、経口投与に適した医薬組成物は、各々があらかじめ決められた量の有効成分を含む、カプセル、カシェ、あるいは錠剤などの分散単位として、粉末または顆粒として;水性液または非水性の液体中の溶液または懸濁液として;あるいは、水中油型エマルションまたは油液中の油中水型エマルションとして提示される。いくつかの実施形態では、有効成分は、ボーラス剤(bolus)、舐剤あるいはペースト剤として提供される。
【0357】
経口で使用することができる医薬組成物は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル、同様に、ゼラチンとグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とで作られた密閉されたソフトカプセルを含む。錠剤は、随意に1つ以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られてもよい。圧縮錠剤は、随意に結合剤、不活性希釈剤、平滑剤、表面活性剤または分散剤と混合して、粉末または顆粒などの自由流動形態で有効成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。湿製錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作られ得る。いくつかの実施形態では、錠剤はコーティングされるかスコア化され、製剤されることで、その中の有効成分の遅延放出または制御放出をもたらす。経口投与のためのすべての製剤はこうした投与に適した量でなければならない。押し出し型のカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/または滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および随意に安定化剤と組み合わせて活性成分を含むことができる。ソフトカプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体のポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解または懸濁され得る。いくつかの実施形態では、安定剤が加えられる。糖衣錠コアは適切なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは随意に、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合液を含有し得る。染料または色素は、識別のために、または活性化合物の投与量の様々な組み合わせを特徴付けるために、錠剤またはドラゼーコーティングに加えられ得る。
【0358】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、例えば、ボーラス注入または持続注入などの注入によって非経口投与のために製剤される。注入のための製剤は、追加の保存剤とともに、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回投与用容器で提供されてもよい。組成物は、油性または水性のビヒクル中で懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調合剤を含有し得る。組成物は、単位投与用また複数回投与用の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアル中に提供されてもよく、使用の直前に、粉末形態で、あるいは無菌の液体担体、例えば、生理食塩水または発熱性物質を含まない蒸留水の付加のみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保存され得る。即席の注射液および懸濁液は、以前に記載された種類の無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製されてよい。
【0359】
非経口投与のための医薬組成物は、製剤を所望のレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌薬および溶質を含み得る、活性化合物の水性および非水性(油性)の無菌注入溶液、および、懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌の懸濁液を含む。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性の注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。随意に、懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤または薬剤も含んでもよい。
【0360】
医薬組成物はデボー製剤としても製剤されることがある。そのような長時間作用型の製剤は、移植によって(例えば皮下または筋肉内)または筋肉内注射によって投与されてもよい。したがって、例えば、化合物は、適切な高分子材料または疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂で、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤されてもよい。
【0361】
頬側投与または舌下投与については、組成物は、従来の方法で製剤された錠剤、ロゼンジ、パステル剤あるいはゲル剤の形態をとることがある。そのような組成物は、スクロースおよびアカシアまたはトラガントなどの香味をつけた(flavored)主成分中の有効成分を含み得る。
【0362】
医薬組成物は、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールあるいは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含むなどの、坐剤または保持浣腸剤などの直腸組成物でも製剤されることがある。
【0363】
医薬組成物は局所的に、すなわち、非全身投与によって投与されることがある。これは、外部の表皮または頬腔への本発明の化合物の投与およびそのような化合物の耳、目、および鼻への滴下を含み、その結果、化合物は、血流に著しく入ることはない。対照的に、全身投与とは経口、静脈内、腹腔内、および筋肉内の投与を指す。
【0364】
局所投与に適した医薬組成物は、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、あるいはペースト剤、および、目、耳、あるいは鼻への投与に適した液滴などの、皮膚を通って炎症部位へ浸透するのに適した液体あるいは半液体の製剤を含む。有効成分は、局所投与のために製剤の0.001%乃至10%重量w/w、例えば、1%乃至2重量%を含み得る。
【0365】
吸入による投与のための医薬組成物は、注入器、噴霧器、加圧されたパック、あるいはエアロゾルスプレーを送達する他の便利な手段から都合良く送達される。加圧されたパックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体などの、適切な噴霧剤(propellant)を含み得る。加圧されたエアロゾルの場合、投与単位は、測定された量を送達するためのバルブを設けることによって決定されてもよい。代替的に、吸入または通気による投与のために、製剤は、乾燥粉組成物、例えば、化合物の粉末混合物、およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤の形態をとってもよい。粉末組成物は、粉末が吸入器または注入器を用いて投与され得る単位剤形、例えば、カプセル剤、カートリッジ、ゼラチン、またはブリスターパックで提供され得る。
【0366】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、胃腸管の特定の領域への送達が達成されるように製剤される。例えば、本明細書に開示される化合物は、胃腸管の特定の領域への化合物の送達を達成するために、生体接着性ポリマー、pH感受性コーティング、時間依存性の生分解性ポリマー、ミクロフローラ活性化システムなどによる経口送達のために製剤される。
【0367】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の制御放出をもたらすために製剤される。制御放出とは、本明細書に記載される化合物が長期間にわたって所望のプロファイルにしたがって組みこまれる剤形からの本明細書に記載される化合物の放出を指す。制御放出特性は、例えば、持続放出、長期放出、パルス放出、および遅延放出の特性を含む。即時放出組成物とは対照的に、制御放出組成物は、あらかじめ定められた特性に従って、長期間にわたる被験体への薬剤の送達を可能にする。そのような放出速度は、長期間、治療上有効なレベルの薬剤を提供し、その結果として、より長期間の薬理反応を提供し、一方で、従来の急速放出剤形と比較して、副作用を最小限に抑える。こうした長期間の反応により、対応する短時間作用性の即時放出調合剤では達成されない多くの固有の利益がもたらされる。
【0368】
胃腸管(例えば、結腸など)の特定の領域に無傷の治療用化合物を送達するためのアプローチは、以下のものを含む:
【0369】
(i)ポリマーによるコーティング:無傷の分子は、結腸でのみ分解する適切なポリマーを用いる薬物分子のコーティングにより、腸の上部部分で吸収されることなく、結腸に送達可能である。
【0370】
(ii)pH感受性ポリマーによるコーティング:腸溶性の、および、結腸を標的とした送達系の大半は、従来のハードカプセルへ充填される錠剤またはペレット剤のコーティングに基づく。最も一般的に使用されるpH依存性コーティング高分子はメタクリル酸コポリマーであり、一般的には、Eudragit(登録商標)Sとして知られており、より具体的には、Eudragit(登録商標)LおよびEudragit(登録商標)Sとして知られている。Eudragit(登録商標)L100とS100はメタクリル酸とメタクリル酸メチルのコポリマーである。
【0371】
(iii)生分解性ポリマーによるコーティング;
【0372】
(iv)細胞外マトリックスへの埋め込み;
【0373】
(v)生物分解性細胞外マトリックスおよびヒドロゲルへの埋め込み;
【0374】
(vi)pH感受性細胞外マトリックスへの埋め込み;
【0375】
(vii)徐放系;
【0376】
(viii)Redox感受性ポリマー;
【0377】
(ix)生体接着系;
【0378】
(x)微粒子によるコーティング;
【0379】
(xi)浸透圧制御された薬物送達;
【0380】
結腸を標的とした薬物送達または制御放出系に対する別のアプローチは、薬物を捕捉して結腸中で放出するためにポリマーマトリクスに薬物を埋め込むことを含む。これらの細胞外マトリックスはpH感受性であり得るか、生分解性であり得る。マルチマトリックス(MMX)に基づく遅延放出錠剤などのマトリックスに基づく系は、結腸での薬物放出を確かなものにする。
【0381】
胃腸管の特定の領域に対する治療薬の標的送達へのさらなる薬学的アプローチが知られている。Chourasia MK, Jain SK, Pharmaceutical approaches to colon targeted drug delivery systems., J Pharm Pharm Sci. 2003 Jan-Apr; 6(1):33-66. Patel M, Shah T, Amin A. Therapeutic opportunities in colon-specific drug-delivery systems Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 2007; 24(2):147-202. Kumar P, Mishra B. Colon targeted drug delivery systems--an overview. Curr Drug Deliv. 2008 Jul; 5(3):186-98. Van den Mooter G. Colon drug delivery. Expert Opin Drug Deliv. 2006 Jan; 3(1):111-25. Seth Amidon, Jack E. Brown, and Vivek S. Dave, Colon-Targeted Oral Drug Delivery Systems: Design Trends and Approaches, AAPS PharmSciTech. 2015 Aug; 16(4): 731-741.
【0382】
例えば、とりわけ上で言及された成分に加えて、本明細書に記載される化合物と組成物は、問題の製剤のタイプを考慮して当該技術分野で従来の他の薬剤を含むことがあり、例えば、経口投与に適した薬剤は香料を含むことがあることを理解されたい。
【0383】
<投薬方法と処置レジメン>
一実施形態では、本明細書に記載される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩は、FXRアゴニストの投与から利益を得ることになる、哺乳動物における疾患または疾病の処置のための薬物の調製に使用される。そのような処置を必要としている哺乳動物において本明細書に記載される疾患または疾病のいずれかを処置するための方法は、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、活性代謝物、プロドラッグ、または薬学的に許容可能な溶媒和物を、治療上有効な量で哺乳動物に投与する工程を含む。
【0384】
本明細書には、追加の治療薬と組み合わせてFXRアゴニストを投与する方法が開示される。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、糖尿病または糖尿病関連の疾患または疾病、アルコール性または非アルコール性の肝疾患、炎症関連の腸疾患、または細胞増殖性障害の処置のための治療薬を含む。
【0385】
ある実施形態では、本明細書に記載される化合物を含む組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与される。特定の治療用途では、組成物は、疾患または疾病の症状の少なくとも1つを治癒するまたは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、疾患または疾病に既に苦しんでいる患者に投与される疾病。この使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物に対する反応、並びに処置する医師の判断に依存する。治療上有効な量は、限定されないが、用量漸増および/または投与量決定の臨床試験を含む方法によって随意に決定される。
【0386】
予防的な適用では、本明細書に記載される化合物を含む組成物は、特定の疾患、障害、あるいは疾病になりやすい、あるいはそのリスクのある患者に投与される。こうした量は「予防的に有効な量または投与量」であると定義される。この用途では、正確な量は患者の容態、体重などによって変わる。患者に使用される際、この使用のための有効な量は、疾患、障害、または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する反応、並びに処置する医師の判断に依存する。1つの態様では、予防処置は、疾患または疾病の症状の再発を防ぐために、処置されている疾患の少なくとも1つの症状を以前に経験し、現在寛解期にある哺乳動物に、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む。
【0387】
患者の状態が改善されない特定の実施形態では、患者の疾患または疾病の症状を改善するために、あるいはそうでなければ管理または制限するために、医師の裁量により、化合物は、慢性的に、つまり患者の生涯を含む長時間にわたって投与される。
【0388】
患者の状態が改善している特定の実施形態では、投与されている薬の投与量は、一時的に減らされるか、あるいは一定の期間、一時的に止められる(つまり「休薬日」)。特定の実施形態では、休薬期間の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日以上を含む、2日から1年の間である。休薬期間中の用量減少は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む、ほんの一例として、10%-100%である。
【0389】
いったん患者の状態が改善すると、必要に応じて維持量が投与される。続いて、具体的な実施形態では、投与の用量または頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、改善された疾患、障害または疾病が保持されるレベルまで減少される。しかしながら、特定の実施形態では、患者は、症状の再発で長期間にわたって間欠処置を必要とする。
【0390】
そのような量に相当する所定の薬剤の量は、特定の化合物、疾患の状態およびその重症度、治療を必要とする被験体または宿主の独自性(例えば、体重、性別)などの因子に依存して変わるが、それにもかかわらず、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている被験体または宿主を含むそのケースを取り巻く特別な状況に応じて決定される。
【0391】
しかしながら、一般に、成人のヒトの処置に使用される投与量は典型的には、1日当たり0.01mg-5000mgの範囲である。1つの態様では、成人のヒトの処置に利用される投与量は、1日当たり約1mg乃至約1000mgである。1つの実施形態では、所望の投与量は、単回投与で、あるいは、同時にまたは適切な間隔で投与される分割量で、例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上のサブ用量として、好適に提供される。
【0392】
1つの実施形態において、本明細書に記載される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩に対して適切な毎日の投与量は、体重1kg当たり約0.01-約50mgである。いくつかの実施形態において、剤形中の有効成分の毎日の投与量は、個々の処置レジメンに関する多くの変数に基づいて、本明細書に示される範囲より少なくなるかまたは高くなる。様々な実施形態では、毎日の投与量および単位用量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の被験体の必要条件、処置されている疾患または疾病の重症度、および開業医の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
【0393】
こうした治療レジメンの毒性と治療の有効性は、限定されないが、LD50とED50の決定を含む、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これはLD50とED50との間の比率として表される。特定の実施形態では、細胞培養アッセイと動物研究から得られたデータは、ヒトを含む哺乳動物で使用するための治療上有効な毎日の投与量範囲および/または治療上有効な単位用量の製剤で使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の毎日の投与量は、最小限の毒性のED50を含む血中濃度の範囲内にある。ある実施形態では、毎日の投与量範囲および/または単位用量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動する。
【0394】
前述の態様のいずれかにおいて、本明細書に記載される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩の有効な量が、(a)哺乳動物に全身に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与され、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または、(d)哺乳動物に注入によって投与される、および/または、(e)哺乳動物に局所的に投与される、および/または、(f)哺乳動物に非全身的または局所的に投与される、さらなる実施形態がある。
【0395】
前述の態様のいずれかにおいて、(i)化合物が一日に一度投与される、または、(ii)化合物が1日にわたって哺乳動物に複数回投与される、さらなる実施形態を含む、有効な量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態がある。
【0396】
前述の態様のいずれかにおいて、(i)化合物が継続的にあるいは断続的に単回投与でのように投与され;(ii)複数回投与の間隔が6時間ごとであり、(iii)化合物が8時間ごとに哺乳動物に投与される、(iv)化合物が12時間ごとに哺乳動物に投与される、(v)化合物が24時間ごとに哺乳動物に投与される、さらなる実施形態を含む、有効な量の化合物の複数回投与を含むさらなる実施形態がある。さらなるまたは代替的な実施形態において、方法は、休薬期間を含み、ここで、化合物の投与は一時的に中断されるか、または投与されている化合物の量は、一時的に減らされ、休薬期間の終わりに、化合物の投与が再開される。1つの実施形態において、休薬期間の長さは2日から1年と様々である。
【0397】
ある例では、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩を、1つ以上の他の治療薬と組み合わせて投与することが適切である。
【0398】
1つの実施形態において、本明細書に記載される化合物の1つの治療効果は、アジュバントの投与によって増強される(つまり、アジュバントはそれ自体では最小限の治療的利点しか有していないが、別の治療薬と組み合わせると、患者への全体的な治療上の利点が増強される)。あるいは、いくつかの実施形態では、患者が受ける効果は、本明細書に記載される化合物の1つを、同様に治療効果を有する別の薬剤(これは治療レジメンも含む)とともに投与することによって増加する。
【0399】
1つの特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩は、第2の治療薬と同時投与され、ここで、本明細書に記載される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩と第2の治療薬は、処置されている疾患、障害、または疾病の様々な態様を調節し、それによっていずれかの治療薬のみを投与した場合よりも大きな全体的な利点を与える。
【0400】
いずれの場合にも、治療されている疾患、傷害、あるいは疾病にかかわらず、患者が経験する全体的な利点は、2つの治療薬の相加的なものであるか、あるいは、患者は相乗的な利点を経験することがある。
【0401】
ある実施形態では、本明細書で開示される化合物の様々な治療上有効な量は、医薬組成物を製剤する際に、および/または、本明細書で開示される化合物が追加の治療上有効な薬物、アジュバントなどの1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて投与されるときの処置レジメンにおいて、利用される。併用療法レジメンで使用される薬物および他の薬剤の治療上有効な量は、随意に、有効成分自体に対して上に明記された手段と類似した手段によって決定される。さらに、本明細書に記載される予防/処置の方法は、規則正しい(metronomic)投薬の使用を包含する、つまり、毒性の副作用を最小限に抑えるために、より頻繁且つ少ない投与量を提供する。いくつかの実施形態では、併用療法レジメンは、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の投与は本明細書に記載される第2の薬剤での処置の前に、最中、または後に始められ、第2の薬剤による処置の間または第2の薬剤による処置の終了後のあらゆる時点まで継続する処置レジメンを包含する。併用療法レジメンは、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および組み合わせて使用されている第2の薬剤が、同時にまたは異なる時間に、および/または処置期間の増減する間隔で投与される処置を含む。併用処置はさらに、患者の臨床管理を援助するために様々な時点で開始および停止される定期的処置も含む。
【0402】
救済が求められる疾病を処置するか、予防するか、改善するための投与レジメンは、様々な因子(例えば、被験体が苦しんでいる疾患、障害、あるいは疾病;被験体の年齢、体重、性別、食事および病状)に合わせて修正されることを理解されたい。したがって、いくつかの例では、実際に利用される投与レジメンは変化し、いくつかの実施形態では、本明細書に明記される投与レジメンから逸脱する。
【0403】
本明細書に記載される併用療法に関して、同時投与された化合物の投与量は、使用される特定の共薬、使用された特定の薬物、処置されている疾患または疾病などによって変わる。追加の実施形態では、1つ以上の他の治療剤と同時投与されたときに、本明細書に提供される化合物は、1つ以上の他の治療剤と同時に、または連続してのいずれかで投与される。
【0404】
併用療法では、複数の治療薬(その1つは本明細書に記載される化合物の1つである)は、任意の順序で、あるいは同時でも投与される。投与が同時である場合、複数の治療剤は、ほんの一例として、単一の統一した形態で、または複数の形態で(例えば、単一の丸剤、または2つの別個の丸剤として)提供される。
【0405】
本明細書に記載される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩は、併用療法と同様に、疾患または疾病の発生の前、最中、あるいは後に投与され、化合物を含む組成物を投与するタイミングは変わる。したがって、1つの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、疾患または疾病の発症を防ぐために予防薬として使用され、疾患または疾病にかかる傾向のある被験体に継続的に投与される。別の実施形態では、化合物および組成物は、症状の発症の間にまたはその後できるだけすぐに被験体に投与される。特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、疾患または疾病の発症が検知されたまたは疑われた後に実用可能となってすぐに、および疾患の処置に必要な期間にわたって、投与される。いくつかの実施形態では、処置に必要な期間は様々であり、処置期間は各被験体の具体的なニーズに合わせて調節される。例えば、具体的な実施形態では、本明細書に記載される化合物または化合物を含有している製剤は、少なくとも2週間、約1か月から約5年間投与される。
【0406】
いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、糖尿病または糖尿病関連の疾患または疾病の処置のための追加の治療薬と組み合わせて投与される。
【0407】
いくつかの例において、追加の治療薬は、スタチン、インスリン抵抗性改善剤、インスリン分泌促進剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、GLPアゴニスト、DPP-4阻害剤(シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン(anaglptin)、テネリグリプチン、アログリプチン、ゲミグリプチン(gemiglptin)、またはデュトグリプチン(dutoglpitin)など)、カテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン、またはドーパミンなど)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-ガンマアゴニスト(例えば、チアゾリジンジオン(TZD)[ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、またはトログリタゾンなど]、アレグリタザル、ファルグリタザル、ムラグリタザル、またはテサグリタザル)、またはそれらの組み合わせを含む。場合によっては、スタチンは、HMG-CoA還元酵素阻害剤である。他の例では、追加の治療薬は、魚油、フィブラート、ナイアシン、レチノイン酸(例えば、9シス-レチノイン酸)、ニコチンアミドリボヌクレオシド、またはそれらのアナログなどのビタミン、あるいいはそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、NAD+の産生を促進するニコチンアミドリボヌクレオシドまたはそのアナログ、すなわち、多くの酵素反応のための基質は、FXRに対する標的であるp450を含む(例えば、Yang et al.,J. Med. Chem. 50:6458-61,2007を参照)。
【0408】
いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、糖尿病または糖尿病関連の障害または疾病の処置のために、スタチン、インスリン抵抗性改善剤、インスリン分泌促進剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、GLPアゴニスト、DPP-4阻害剤(シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、ゲミグリプチン、またはデュトグリプチンなど)、カテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン、またはドーパミンなど)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-ガンマアゴニスト(例えば、チアゾリジンジオン(TZD)[ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、またはトログリタゾンなど]、アレグリタザル、ファルグリタザル、ムラグリタザル、またはテサグリタザル)、あるいはそれらの組み合わせなどの、追加の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、糖尿病または糖尿病関連の障害または疾病の処置のために、魚油、フィブラート、ナイアシン、レチノイン酸(例えば、9シス-レチノイン酸)、ニコチンアミドリボヌクレオシド、またはそれらのアナログなどのビタミン、あるいはそれらの組み合わせなどの、追加の治療薬と組み合わせて投与される。
【0409】
いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、脂質異常症の処置のために、HMG-CoA還元酵素阻害剤などのスタチン、魚油、フィブラート、ナイアシン、またはそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0410】
追加の実施形態において、FXRアゴニストは、増量した体重の減少および/または食物摂取から上昇した血糖の低下など、糖尿病および糖尿病関連の障害または疾病の処置のために、レチノイン酸などのビタミンと組み合わせて投与される。
【0411】
いくつかの実施形態において、ファルネソイドX受容体アゴニストは、少なくとも1つの追加の治療薬と共に投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療は血糖降下薬である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、抗肥満剤である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アゴニスト(ガンマ、デュアル、またはパン)、ジペプチジルペプチダーゼ(IV)阻害剤、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-I)アナログ、インスリンまたはインスリンアナログ、インスリン分泌促進薬、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤、グルコファージ(glucophage)、ヒトアミリンアナログ、ビグアニド、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、メグリチニド(meglitinide)、チアゾリジンジオン、およびスルホニル尿素の中から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療は、メトホルミン、シタグリプチン、サキサグリプチン、レパグリニド、ナテグリニド、エキセナチド、リラグルチド、インスリンスリプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリンイソフェン、およびグルカゴン様ペプチド1、ならびにその任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療は脂質を低下する薬剤である。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ファルネソイドX受容体アゴニストとして同時に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ファルネソイドX受容体アゴニストほど頻繁には投与されない。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ファルネソイドX受容体アゴニストよりも頻繁に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ファルネソイドX受容体アゴニストの投与前に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、ファルネソイドX受容体アゴニストの投与後に投与される。
【0412】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、化学療法剤、抗炎症剤、放射線療法剤、モノクローナル抗体、またはこれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0413】
いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、アルコール性または非アルコール性の肝疾患の処置のための追加の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、酸化防止剤、コルチコステロイド、抗腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0414】
いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、アルコール性または非アルコール性の肝疾患の処置のために、酸化防止剤、コルチコステロイド、抗腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらの組み合わせなどの追加の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、アルコール性または非アルコール性の肝疾患の処置のために、酸化防止剤、ビタミン前駆体、コルチコステロイド、抗腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0415】
いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、炎症関連の腸疾病の処置のための追加の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの例では、追加の治療薬は、抗生物質(メトロニダゾール、バンコマイシン、および/またはフィダキソマイシンなど)、コルチコステロイド、あるいは追加の抗炎症または免疫調節の治療薬を含む。
【0416】
いくつかの例において、FXRアゴニストは、炎症関連の腸疾病の処置のために、抗生物質、コルチコステロイド、または追加の抗炎症剤あるいは免疫調節治療薬などの追加の治療薬と組み合わせて投与される。場合によっては、FXRアゴニストは、炎症関連の腸疾患の処置のために、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン、コルチコステロイド、またはそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0417】
上記で議論されるように、炎症はしばしば偽膜性大腸炎に関連する。いくつかの例では、偽膜性大腸炎は、細菌過剰繁殖(クロストリジウム・ディフィシル(C.dificile)の過剰繁殖など)に関連付けられる。いくつかの実施形態では、FXRアゴニストは、細菌過剰繁殖に関連付けられた炎症(例えば偽膜性大腸炎)の処置のために、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン、またはそれらの組み合わせなどの抗生物質と組み合わせて投与される。
【0418】
いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、細胞増殖性障害の処置のための追加の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、化学療法剤、生物製剤(biologic)(例えば、抗体、例えば、ベバシズマブ、セツキシマブ、またはパニツムマブ)、放射線治療薬(例えば、FOLFOX、FOLFIRI、CapeOX、5-FU、ロイコボリン、レゴラフェニブ、イリノテカン、またはオキサリプラチン)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0419】
いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、原発性胆汁性肝硬変の処置のための追加の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、付加的な治療薬は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)を含む。
【0420】
いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、細胞増殖性障害の処置のために、生物剤、化学療法薬、放射線治療薬、またはそれらの組み合わせなどの追加の治療薬と組み合わせて投与される。いくつかの例では、FXRアゴニストは、細胞増殖性障害の処置のために、抗体(例えば、ベバシズマブ、セツキシマブ、またはパニツムマブ)、化学療法剤、FOLFOX、FOLFIRI、CapeOX、5-FU、ロイコボリン、レゴラフェニブ、イリノテカン、オキサリプラチン、またはそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【実施例
【0421】
以下の例は説明の目的のためにだけ提供され、本明細書で提供される請求項の範囲を限定するものではない。
【0422】
上で使用されたように、および、本発明の記載全体にわたって、特段の明記のない限り、以下の略語は次の意味を有すると理解されるものとする:
ACNまたはMeCN アセトノトリル
AcOH 酢酸
Ac アセチル
BINAP 2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン
Bn ベンジル
BOCまたはBoc tert-ブチルカルバメート
t-Bu tert-ブチル
Cy シクロヘキシル
DBAまたはdba ジベンジリデンアセトン
DCE ジクロロエタン(ClCHCHCl)
DCM ジクロロメタン(CHCl
DIPEAまたはDIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン
DME 1,2-ジメトキシエタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMA N,N-ジメチルアセトアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
Dppfまたはdppf 1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EEDQ 2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン
eq 当量(複数)
Et エチル
Et2O ジエチルエーテル
EtOH エタノール
EtOAc エチル酢酸塩
HATU 1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸塩
HMPA ヘキサメチルホスホルアミド
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
NaHMDS カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
NaHMDS ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
LiHMDS リチウム(トリメチルシリル)アミド
LAH リチウムアルミニウム無水物
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
Me メチル
MeOH メタノール
MS 質量分析
Ms メシル
NBS N-ブロモスクシンイミド
NMM N-メチル-モルホリン
NMP N-メチル-ピロリジン-2-オン
NMR 核磁気共鳴
PCC クロロクロム酸ピリジニウム
Ph フェニル
PPTS ピリジウムp-トルエンスルホン酸塩
i-Pr iso-プロピル
TBS tert-ブチルジメチルシリル
RP-HPLC 逆相高圧液体クロマトグラフィー
TFA トリフルオロ酢酸
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0423】
中間体1
トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド
【0424】
【化41】
工程1:8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン
【0425】
1,4-ジオキサ-スピロ[4,5]デカ-7-エン-8-ボロン酸ピナコールエステル(25.0g、93.9mmol)、4-ヨード-2-メチルアニソール(28.0g、113mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(1.38g、1.89mmol)、ジオキサン(470mL)、および1MのNaCO(282mL、282mmol)の混合物を、3回の真空/Nのサイクルで脱気し、50°Cで2.5時間撹拌し、その後、室温まで冷ました。混合物をEtOAc(500mL)で希釈し、飽和したNaHCO(2×500mL)で洗浄した。水層をEtOAc(200mL)で逆抽出した。組み合わせたEtOAc抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0-5%のEtOAc)により精製して、8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン(19.9g、81%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 7.21-7.16(m,2H),6.85(d,1H),5.89-5.84(m,1H),3.90(s,4H),3.76(s,3H),2.52-2.47(m,2H),2.32(br s,2H),2.13(s,3H),1.77(t,2H);LCMS:261.1[M+H]
【0426】
工程2:8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン
【0427】
パラジウム炭素(10wt%、8.08g、7.59mmol)を、N下で、室温でEtOAc(300mL)中の8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン(19.8g、76.1mmol)の溶液に加えた。N入口(N inlet)をHのバルーンと取り替えた。反応物を4.5時間撹拌し、EtOAcを用いてセライトに通して濾過し、その後、濃縮して、白色固形物として8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン(18.2g;13%のケトンを含有する)を得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 7.00-6.95(m,2H),6.81(d,1H),3.91-3.84(m,4H),3.73(s,3H),2.49-2.42(m,1H),2.11(s,3H),1.76-1.68(m,4H),1.67-1.55(m,4H);LCMS:263.1[M+H]
【0428】
工程3:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサノン
【0429】
ギ酸(96%、14mL、356mmol)、および次に水(2.20mL、122mmol)を、N下において、室温でトルエン(60mL)中の8-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン(18.2g)の溶液に加えた。反応物を4時間120°Cで加熱し、室温に冷まし、その後、200mLのHOおよび200mLのトルエンに注いだ。トルエン層を200mLのHOで洗浄し、その後、200mLの飽和したNaHCOで洗浄した。水層を100mLのトルエンで逆抽出した。組み合わせたトルエン抽出物を、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮し、白色固形物として4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサノン(工程にわたって15.5g、288%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 7.08-7.03(m,2H),6.84(d,1H),3.74(s,3H),3.00-2.91(m,1H),2.61-2.51(m,2H),2.28-2.20(m,2H),2.12(s,3H),2.06-1.98(m,2H),1.88-1.76(m,2H);LCMS:219.0[M+H]
【0430】
工程4:1-メトキシ-4-(4-(メトキシメチレン)シクロヘキシル)-2-メチルベンゼン
【0431】
下の(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(35.74g、104.3mmol)およびTHF(260mL)の混合物を、氷/ブラインの槽の中で-2.2°Cに冷却した。ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(THF中で2M、50mL、100mmol)を、THFですすぎ(5mL)ながら、12分間にわたって追加の漏斗(内部温度≦0.6°C)を通して液滴で加えた。反応物を30分間撹拌し、その後、4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサノン(14.5g、66.6mmol)を5分間かけて液滴で加えた(7.3°Cまでの発熱)。残りのシクロヘキサノンを、THF(20mL)を含む反応物へと洗い流した。反応物を25分間0°Cで撹拌し、その後、400mLのHOおよび400mLのトルエンに注いだ。トルエン層を400mLのHOで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0-5%のEtOAc)により精製して、薄金色の油として1-メトキシ-4-(4-(メトキシメチレン)シクロヘキシル)-2-メチルベンゼン(15.6g、95%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 6.99-6.94(m,2H),6.80(d,1H),5.87(s,1H),3.73(s,3H),3.48(s,3H),2.78-2.71(m,1H),2.56-2.44(m,1H),2.10(s,3H),2.17-2.09(m,1H),2.01-1.91(m,1H),1.83-1.73(m,2H),1.72-1.63(m,1H),1.38-1.23(m,2H);LCMS:247.1[M+H]
【0432】
工程5:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド
【0433】
ギ酸(96%、12.5mL、331mmol)、および次に水(2.5mL、139mmol)を、N下において、トルエン(130mL)中の1-メトキシ-4-(4-(メトキシメチレン)シクロヘキシル)-2-メチルベンゼン(16.05g、65.15mmol)の溶液に加えた。反応物を2時間120°Cで加熱し、室温に冷まし、その後、350mLのEtOAcおよび350mLのHOに注いだ。有機質層を、350mLのHOで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮して、1:1の立体異性体の混合物として4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド(15.05g)を得た。
【0434】
工程6:トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド
【0435】
水酸化ナトリウム水溶液(3.2M、31mL、99mmol)を、室温で、工程5からの粗製混合物(14.68g、63.19mmol)、トルエン(60mL)、およびエタノール(250mL)に加えた。反応物を5.5時間撹拌し(平衡をNMRによってモニタリング)、その後、350mLのHOと350mLのEtOAcに注いだ。有機質層を350mLのHOで洗浄し、水層を150mLのEtOAcで逆抽出した。組み合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0-5%のEtOAc)により精製して、白色固形物としてトランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド(10.17g、69%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 9.60(s,1H),7.01-6.97(m,2H),6.82(d,1H),3.74(s,3H),2.41-2.27(m,2H),2.12(s,3H),2.03-1.96(m,2H),1.87-1.80(m,2H),1.51-1.39(m,2H),1.35-1.23(m,2H);LCMS:233.0[M+H]
【0436】
以下の中間体は、中間体1について記載された手順に従って、適切なハロゲン化アリール(SMまたは中間体)から合成された。
【0437】
【表2】
【0438】
中間体2
トランス-4-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド
【0439】
【化42】
工程1:8-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカノ-8-オール
【0440】
3首の丸底フラスコに、4-ブロモ-2-クロロ-1-メトキシ-ベンゼン(45.00g、203.18mmol)およびTHF(450mL)、n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、90.21mL、1.11当量)を-78°Cで加えた。混合物を-78°Cで2時間撹拌した。THF(90mL)中の1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカノ-8-オンの溶液(34.91g、223.50mmol)を反応混合物に液滴で加えた。結果として生じた混合物を-78°Cで3時間撹拌した。反応物をNHCl水溶液(100mL)でクエンチし、EtOAc(500mL×3mL)で抽出した。有機質層を乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。残留物をヘキサン(350mL)で洗浄し、濾過し、高真空下で乾燥させた。固形物をヘキサン(15mL)を用いて粉砕し、濾過し、高真空下で濃縮することで、白色固形物として8-(3-クロロ-4-メトキシ-フェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカノ-8-オールの(37g、61%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.31 (d, 1H), 7.29 (dd, 1H), 7.10 (d, 1H), 3.90-3.92 (m, 4H), 3.89 (s, 3H), 1.99-2.02 (m, 4H), 1.70-1.73 (m, 4H);LCMS:281.2[M-OH]
【0441】
工程2:8-(3-クロロ-4-メトキシメチルフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン
【0442】
トリエチルシラン(19.26g、165.6mmol)、TFA(25.18g、220.8mmol)、およびDCM(1mL)の溶液を、0°Cで、8-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカノ-8-オール(31.0g、110.4mmol)とDCM(200mL)の溶液に液滴で加えた。反応混合物を室温で夜通し撹拌し、その後、0°Cに冷やした。pHをNaHCO水溶液で~8に調節し、混合物をDCM(2×100mL)で抽出した。有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮することで、黄色油として、少量の8-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン(38g、粗製物)を含有する8-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカンを得た。LCMS:283.1[M+H]
【0443】
工程3:4-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサノン
【0444】
8-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン(38.0g、134mmol)、ギ酸(32.3g、672mmol)、HO(4.84g、269mmol)、およびトルエン(400mL)を3回の真空/Nサイクルで脱気し、130°Cで夜通し撹拌し、その後、HO(200mL)と飽和したNaHCO(200mL)で洗浄した。組み合わせた水層をトルエン(300mL)で抽出した。有機質層を乾燥し(NaSO)、濾過し、乾燥するまで濃縮した。残留物を粉砕して(PE:EtOAc=10:1、80mL)、淡黄色固形物として、少量の3’-クロロ-4’-メトキシ-5,6-ジヒドロ-[1,1’-ビフェニル]-4(3H)-オン(20g、54%)を含有する4-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサノンを得た。この固形物(5.00g、21.12mmol)を、Pd/C(10重量%、820mg、0.77mmol)、HCl(12M、1.00mL)、およびEtOAc(1mL)の混合物に加えた。結果として生じた混合物を3回の真空/H2サイクルで脱気し、H(15psi)下で30分間室温で撹拌し、濾過し、その後、EtOAc(50mL)で希釈した。混合物を水(100mL)で洗浄し、飽和したNaHCO(100mL)で洗浄した。水相をEtOAc(100mL×2)で抽出した。結合した有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、乾燥するまで濃縮して、黄色固形物として4-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサノン(4.60g、84%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.24 (d, 1H), 7.09 (dd, 1H), 6.88 (d, 1H), 3.90 (s, 3H), 2.88-3.05 (m, 1H), 2.44-2.54 (m, 4H), 2.12-2.25 (m, 2H), 1.79-1.96 (m, 2H);LCMS:239.1[M+H]
【0445】
工程4:2-クロロ-1-メトキシ-4-(4-(メトキシメチレン)シクロヘキシル)ベンゼン
【0446】
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1M、36mL)を、0°Cでメトキシメチル(トリフェニル)ホスホニウム塩化物(12.24g、35.71mmol)とTHF(80mL)の混合物に液滴で加えた。混合物を0°Cで2時間撹拌した。THF(20mL)中の4-(3-クロロ-4-メトキシ-フェニル)シクロヘキサノン(5.50g、23.04mmol)の溶液を0°Cで液滴で加えた。結果として生じた混合物を0°Cで3時間撹拌した。反応混合物をHO(100mL)でクエンチし、EtOAc(3×100mL)で抽出した。結合した有機質層をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、および、シリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20:1)によって精製することで、黄色油として2-クロロ-1-メトキシ-4-(4-(メトキシメチレン)シクロヘキシル)ベンゼン(5g、77%)を得た。LCMS:267.1[M+H]
【0447】
工程5:4-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド
【0448】
2-クロロ-1-メトキシ-4-(4-(メトキシメチレン)シクロヘキシル)ベンゼン(5.00g、18.74mmol)、ギ酸(4.50g、93.7mmol)、HO(675.5mg、37.48mmol)、およびトルエン(100mL)の混合物を、3回の真空/Nサイクルで脱気し、夜通し、130°Cで撹拌し、室温に冷まし、その後、HO(200mL)で洗浄して、飽和したNaHCO(200mL)で洗浄した。組み合わせた水層をトルエン(300mL)で抽出した。有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、および、乾燥するまで濃縮することで、黄色油として、シス/トランス異性体の混合物である4-(3-クロロ-4-メトキシ-フェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド(5.60g、粗製物)を得た。
【0449】
工程6:トランス-4-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド
【0450】
O(12mL)中のNaOH(992.6mg、24.82mmol)の溶液を、工程5からの粗製混合物(5.60g、15.51mmol)、EtOH(90mL)、およびトルエン(15mL)に加えた。その混合物を室温で夜通し撹拌し、HO(100mL)でクエンチし、その後、EtOAc(3×100mL)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、乾燥するまで濃縮することで、残留物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20:1)で精製し、その後、MTBE(20mL)で粉砕して、白色固形物としてトランス-4-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサンカルバルデヒド(1.96g、49%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 9.60 (s, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.16 (dd, 1H), 7.05 (d, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.43 (m, 1H), 2.27-2.37 (m, 1H), 1.95-2.05 (m, 2H), 1.84 (m, 2H), 1.45 (m, 2H), 1.21-1.35 (m, 2H);LCMS:253.1[M+H]
【0451】
以下の中間体は、中間体2について記載された手順に従って、4-ブロモ-1-メトキシ-2-メチルベンゼンから合成された。
【0452】
【表3】
【0453】
中間体3
4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド
【0454】
【化43】
工程1:エチル4-ヒドロキシ-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0455】
n-ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5M、60mL、150.0mmol)を、-78°CでTHF(300mL)中の4-ブロモ-1-メトキシ-2-メチルベンゼン(27.78g、138.2mmol)の溶液に液滴で加えた。混合物を1時間-78°Cで撹拌し、その後、-78°CでTHF(300mL)中のエチル4-オキソシクロヘキサンカルボキシレート(22.34g、131.3mmol)の溶液に液滴で加えた。混合物を2時間-78°Cで撹拌し、飽和したNHCl(600mL)に加え、その後、EtOAc(2×600mL)で抽出した。結合した有機抽出物を水(400mL)で洗浄し、ブライン(400mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/EtOAc=10/1)によって精製することで、黄色油としてエチル 4-ヒドロキシ-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(18.9g、45%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO):δ 7.11-7.26 (m, 2H), 6.75-6.84 (m, 1H), 4.59-4.64(m, 1H), 3.98-4.11 (m, 2H), 3.72(s, 3H), 2.25-2.39(m, 1H), 2.07-2.13 (s, 3H), 1.77-1.93(m, 3H), 1.42-1.75 (m, 5H), 1.11-1.23 (m, 3H);LCMS:275.2[M-OH]
【0456】
工程2:エチル4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0457】
三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(24.85g、84.03mmol)を、-78°CのDCM(400mL)中のエチル4-ヒドロキシ-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(18.90g、64.64mmol)とアリルトリメチルシラン(11.82g、103.42mmol)の溶液に加えた。混合物を1時間-78°Cで撹拌し、室温で夜通し撹拌し、その後、ブライン(200mL)とDCM(200mL)で加えた。有機質層を分離し、飽和したNaHCO(2×200mL)で洗浄し、ブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/EtOAc=20/1)によって精製することで、黄色油として、エチル4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(15g、71%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.00-7.10 (m, 2H), 6.76 (d, 1H), 5.26-5.50 (m, 1H), 4.81-4.98 (m, 2H), 4.15 (q, 0.5H), 4.03 (q, 1.5H), 3.81 (s, 3H), 2.26-2.42 (m, 3H), 2.21 (s, 3H), 2.15 (d, 1.5H), 1.98 (d, 0.5H), 1.75-1.88 (m, 2.5H), 1.60-1.72 (m, 0.5H), 1.33-1.55 (m, 3H), 1.27 (t, 0.8H), 1.18 (t, 2.2H);LCMS:339.3[M+Na]
【0458】
工程3:エチル 4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0459】
四酸化オスミウム(tert-ブタノール中0.1M、7.6mL、0.76mmol)を、0°Cのエチル 4-アリル-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(4.81g、15.2mmol)、4-メチルモルホリン N-オキシド(2.67g、22.8mmol)、CHCN(100mL)、およびHO(25mL)の溶液に加えた。その混合物を室温で夜通し撹拌した。飽和したNaSO(50mL)を混合物に加えた。混合物を30分間室温で撹拌し、濃縮し、水(80mL)に溶かし、EtOAc(2×100mL)を用いて抽出した。有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/EtOAc=1/1)によって精製することで、黄色油として、エチル4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(5.23g、94%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.05-7.16(m, 2H), 6.78(d, 1H), 4.06-4.17(m, 0.5H), 3.95-4.05(m, 1.5H), 3.80(s, 3H), 3.48-3.66(m, 1H), 3.18-3.32(m, 2H), 2.40-2.53(m, 2H), 2.27-2.37(m, 1H), 2.19(s, 3H), 1.80(t, 3H), 1.32-1.68(m, 7H), 1.24-1.25(m, 0.8H), 1.17(t, 2.2H);LCMS:373.3[M+Na]
【0460】
工程4:エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-4-(2-オキソエチル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0461】
過ヨウ素酸ソーダ(3.83g、17.90mmol)を、0°Cのエチル4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(5.23g、14.9mmol)、THF(70mL)、およびHO(35mL)の溶液に加えた。混合物を室温で夜通し撹拌し、その後、水(50mL)とEtOAc(2×100mL)に加えた。有機質層を分離し、水(80mL)で洗浄し、ブライン(80mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/EtOAc=5/1)によって精製することで、黄色油として、エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-4-(2-オキソエチル)シクロヘキサンカルボキシレート(3.95g、82%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 9.28-9.42 (m, 1H), 7.07-7.19 (m, 2H), 6.79 (d, 1H), 4.15 (q, 0.5H), 4.04 (q, 1.5H), 3.82 (s, 3H), 2.41-2.52 (m, 3H), 2.33 (s, 1H), 2.21 (s, 3H), 1.75-1.92 (m, 3H), 1.46-1.63 (m, 4H), 1.23-1.31 (t, 0.5H), 1.19 (t, 2.5H);LCMS:341.3[M+Na]
【0462】
工程5:エチル4-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0463】
水素化ホウ素ナトリウム(704mg、18.6のmmol)を、0°CのTHF(100mL)中のエチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)-4-(2-オキソエチル)シクロヘキサンカルボキシレート(3.95g、12.41mmol)の溶液に加えた。混合物を1時間0°Cで撹拌し、室温で夜通し撹拌し、その後、水(1mL)で希釈した。有機溶媒を減圧下で取り除き、水層をDCM(2×300mL)で抽出した。有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル:EtOAc=3:1)によって精製することで、黄色油として、エチル4-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(3.11g、67%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 6.96-7.04(m, 2H), 6.71(d, 1H), 4.03-4.12(q, 0.4H), 3.97(q, , 1.6H), 3.74(s, 3H), 3.28-3.38(m, 2H), 2.19-2.39(m, 3H), 2.14(s, 3H), 1.71-1.80(m, 2H), 1.60-1.70(m, 2H), 1.28-1.50(m, 4H), 1.17-1.24 (t, 1H), 1.12 (t, 2H),(OHプロトンは検出されなかった);LCMS:343.2[M+Na]
【0464】
工程6:エチル4-(2-ブロモエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート
【0465】
DCM(20mL)中のトリフェニルフォスフィン(4.60g、17.54mmol)を、0°Cのエチル4-(2-ヒドロキシエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(2.81g、8.77mmol)、CBr(4.36g、13.16mmol)、およびDCM(40mL)の溶液に液滴で加えた。混合物を1時間0°Cで撹拌し、夜通し室温で撹拌し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/EtOAc=20/1)によって精製することで、黄色油としてエチル4-(2-ブロモエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(2.62g、77%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 6.96-7.08(m, 2H), 6.77(d, 1H), 4.15(q, 0.3H), 4.03(q, 1.7H), 3.81(s, 3H), 2.91-3.06(m, 2H), 2.24-2.41(m, 3H), 2.15-2.24(s, 3H), 1.95-2.06(m, 2H), 1.77-1.87(m, 2H), 1.34-1.53(m, 4H), 1.27(t, 1H), 1.18(t, 2H);LCMS:405.1[M+Na]
【0466】
工程7:エチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸塩
【0467】
リチウムジイソプロピルアミド(THF中2M、4.8mL、9.60mmol)を、-78°Cのエチル4-(2-ブロモエチル)-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンカルボキシレート(1.81g、4.72mmol)、HMPA(4.23g、23.61mmol)、およびTHF(90mL)の溶液に液滴で加えた。混合物を3時間-78°Cで撹拌し、飽和したNHCl(90mL)に加え、その後、EtOAc(2×150mL)で抽出した。結合した有機質層を水(100mL)で洗浄し、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/EtOAc=30/1)によって精製することで、黄色固形物としてエチル 4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸塩(1.17g、82%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 6.98-7.05 (m, 2H), 6.69 (d, 1H), 4.05 (q, 2H), 3.73 (s, 3H), 2.14 (s, 3H), 1.70-1.87 (m, 12H), 1.18 (t, 3H);LCMS:303.3[M+H]
【0468】
工程8:(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタノ-1-イル)メタノール
【0469】
ジイソブチルアルミニウム水素化物(トルエン中の1M、14mL、14.0mmol)を、-78°CのDCM(1mL)中のエチル4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸塩(1.64g、5.42mmol)の溶液に加えた。混合物を1時間-78°Cで撹拌し、2時間室温で撹拌し、その後、氷水(80mL)に加えた。混合物を1NのHClで(pH=6)に調節し、濾過した。有機質層を分離し、水層をDCM(2×200mL)で抽出した。組み合わせた有機質層を水(100mL)で洗浄し、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマドグラフィーで精製することで(石油エーテル/EtOAc=10/1)、黄色固形物として、(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタノ-1-イル)メタノール(1.22g、82%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 6.99-7.07 (m, 2H), 6.64-6.72 (m, 1H), 3.73 (s, 3H), 3.25 (s, 2H), 2.14 (s, 3H), 1.69-1.81 (m, 6H), 1.40-1.50 (m, 6H);LCMS:261.2[M+H]
【0470】
工程9:4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド
【0471】
クロロクロム酸ピリジニウム(1.03g、4.78mmol)を、(4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタノ-1-イル)メタノール(621.1mg、2.39mmol)、SiO2(1.93g、32.19mmol)、およびDCM(120mL)の混合物に加えた。混合物を2時間室温で撹拌し、中性のアルミナプラグを通して濾過し、濃縮することで、白色固形物として4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルバルデヒド(601.3mg、93%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 9.48-9.56 (s, 1H), 7.06-7.11 (m, 2H), 6.72-6.78 (m, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 1.83-1.91 (m, 6H), 1.71-1.80 (m, 6H);LCMS:259.3[M+H]
【0472】
以下の中間体は、中間体3について記載された手順に従って、5-ブロモ-N,N-ジメチルピリジン-2-アミンから合成された。
【0473】
【表4】
【0474】
中間体4
3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アニリン
【0475】
【化44】
【0476】
3-ヨードアニリン(63.36g、289.9mmol)、Pd(dppf)Cl(7.05g、9.63mmol)、KCO(2.2M、265mL、583.0mmol)、およびジオキサン(340mL)の混合物を、真空/Nサイクル(3×)で脱気した。1-シクロプロピル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(~90%、50.09g、192.6mmol)を加え、混合物を20分間あらかじめ加熱した油浴(90°C)で熱した(内部温度@20分間は72°Cであった)。反応物を室温に冷まし、EtOAc(800mL)とHO(800mL)で希釈し、その後、EtOAc洗浄(~400mL)でセライトを介して濾過した。層を分離させ、有機質層を洗浄し(800mLのHO)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した(73.88g)。残留物をシリカゲルに乾燥充填(dry load)し、シリカゲルクロマドグラフィー(ヘキサン中の20-60%のEtOAc)によって精製することで、ベージュ色の固形物として3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アニリン(31.5g、82%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 8.03(s, 1H), 7.66(d, 1H),6.97(t,1H),6.73-6.72(m,1H),6.71-6.68(m,1H),6.42-6.38(m,1H),5.00(s,2H),3.75-3.68(m,1H),1.08-1.00(m,2H),1.00-0.92(m,2H);LCMS:200.3[M+H]
【0477】
以下の中間体は、中間体4について記載された手順に従って、適切なハロゲン化アリールと適切なボロン酸/エステルから合成された。
【0478】
【表5】
【0479】
中間体5
3-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)アニリン
【0480】
【化45】
工程1:3-メチル-1-(3-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール
【0481】
1-フルオロ-3-ニトロベンゼン(2.00g、14.17mmol)、3-メチル-1H-ピラゾール(2.33g、28.34mmol)、KCO(1.96g、14.17mmol)、およびDMSO(20mL)の混合物を、120°Cで夜通し加熱した。反応混合物を濾過し、濾液をRP-HPLC[水(10mMのNH4HCO3)-MeCN]によって精製することで、淡黄色固形物として、3-メチル-1-(3-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール(2.0g、69%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ: 8.50 (t, 1H), 7.99-8.14 (m, 2H), 7.91 (d, 1H), 7.60 (t, 1H), 6.32 (d, 1H), 2.39 (s, 3H);LCMS:203.9[M+H]
【0482】
工程2:3-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)アニリン
【0483】
パラジウム炭素(10重量%、50mg、0.047mmol)を、N下でMeOH(5mL)中の3-メチル-1-(3-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール(1.0g、4.92mmol)の溶液に加えた。混合物を3回の真空/H2サイクルで脱気して、2時間H(15psi)下において室温で撹拌し、濾過し、高真空下で濃縮することで、淡黄色油として、3-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)アニリン(400mg、粗製物)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ: 7.77 (d, 1H), 7.18 (t, 1H), 7.07 (t, 1H), 6.95 (dd, 1H), 6.56 (dd, 1H), 6.22 (d, 1H), 3.81 (s, 2H), 2.37 (s, 3H);LCMS:174.1[M+H]
【0484】
中間体6
3-ヨード-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)アニリン
【0485】
【化46】
【0486】
トリ酢酸水素化ホウ素ナトリウム(3.74g、17.6のmmol)を、N下の室温で中間体1(2.56g、11.0mmol)、3-ヨードアニリン(2.56g、11.7mmol)、酢酸(1.3mL、23mmol)、およびジクロロエタン(45mL)の溶液に加えた。反応物を80分間撹拌し、50mLの飽和したNaHCOへ注ぎ、50mLのEtOAcで抽出した。EtOAc層を50mLの飽和したNaHCOで洗浄し、50mLのブラインで洗浄した。水層を組み合わせて、25mLのEtOAcで逆抽出した。組み合わせた有機物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0-5%のEtOAc)により精製して、黄色油として3-ヨード-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)アニリン(4.43g、88%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 7.01-6.95 (m, 2H), 6.91 (s, 1H), 6.86-6.77 (m, 3H), 6.57 (d, 1H), 5.92 (t, 1H), 3.73 (s, 3H), 2.85 (t, 2H), 2.42-2.31 (m, 1H), 2.11 (s, 3H), 1.94-1.85 (m, 2H), 1.82-1.73 (m, 2H), 1.63-1.50 (m, 1H), 1.45-1.31 (m, 2H), 1.14-1.00 (m, 2H);LCMS:436.4[M+H]
【0487】
中間体7
3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタノ-1-イル)メチル)アニリン
【0488】
【化47】
【0489】
ジクロロエタンをN下において氷/水浴で冷やした。 中間体3(151mg、0.58mmol)、中間体4(118mg、0.59mmol)、およびその後、トリアセトキシボロヒドリドナトリウム(198mg、0.93mmol)を0°Cで反応に加えた。反応物を室温に温め、85分間室温で撹拌し、20mLの飽和したNaHCOに注ぎ、その後、20mLのEtOAcで抽出した。有機質層を20mLのブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(ヘキサン中の10-30%のEtOAc)によって精製することで、白色泡として3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタノ-1-イル)メチル)アニリン(233mg、90%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 8.09 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.11-7.05 (m, 2H), 7.00 (t, 1H), 6.84-6.76 (m, 2H), 6.68 (d, 1H), 6.47 (d, 1H), 5.32 (t, 1H), 3.75-3.68 (m, 4H), 2.83 (d, 2H), 2.12 (s, 3H), 1.78-1.69 (m, 6H), 1.62-1.52 (m, 6H), 1.10-1.04 (m, 2H), 1.00-0.93 (m, 2H);LCMS:442.3[M+H]
【0490】
以下の中間体は、中間体6および中間体7について記載された手順に従って、適切なアミン(SMまたは中間体)と適切なアルデヒド中間体から合成された。
【0491】
【表6-1】
【0492】
【表6-2】
【0493】
【表6-3】
【0494】
【表6-4】
【0495】
【表6-5】
【0496】
中間体8
トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボニルクロリド
【0497】
【化48】
【0498】
工程1:トランス-tert-ブチルジメチルシリル4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
【0499】
tert-ブチルジメチルシリルクロリド(31.47g、208.8mmol)を、N下において室温で、トランス-4-ヒドロキシ-シクロヘキサンカルボン酸(10.03g、69.57mmol)、イミダゾール(18.96g、278.5mmol)、およびDMF(140mL)の混合物に加えた(反応物を32°Cまで発熱させた)。反応物を2時間室温で撹拌し、その後、300mLのジエチルエーテルで希釈した。有機質層を1NのHCl(2×300mL)で洗浄し、300mLのブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO4)、濾過し、濃縮することで、透明な油としてトランス-tert-ブチルジメチルシリル4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(31.5g)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 3.61-3.53(m,1H),2.26-2.18(m,1H),2.04-1.96(m,2H),1.92-1.85(m,2H),1.51-1.39(m,2H),1.39-1.27(m,2H),0.94(s,9H),0.89(s,9H),0.26(s,6H),0.06(s,6H)。
【0500】
工程2:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボン酸
【0501】
水(300mL)中の炭酸カリウム(58.01g、419.7mmol)を、N下において室温で、トランス-tert-ブチルジメチルシリル4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(31.5g、粗製、69.6mmol)、エタノール(1000mL)、およびTHF(300mL)の混合物に加えた。反応物を3時間室温で撹拌し、300mLが残るまで濃縮し、600mLのブラインで希釈し、その後、20%のNaHSO(550mL)でpH2-3に酸性化した。水層を800mLのジエチルエーテルで抽出した。有機質層を、800mLのブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮し、白色固形物としてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボン酸(2工程にわたって17.3g、96%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ12.30(br s,1H),3.59-3.51(m,1H),2.15-2.05(m,1H),1.88-1.74(m,4H),1.41-1.29(m,2H),1.28-1.16(m,2H),0.84(s,9H),0.02(s,6H)。
【0502】
工程3:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボニルクロリド
【0503】
(クロロメチレン)ジメチルイミニウムクロリド(34.02g、265.78mmol)を量を量って1000mLの丸底フラスコ(3首)へ入れ、真空/Nサイクル(3×)で脱気した。トルエン(240mL)をフラスコに加え、混合物を氷浴で冷やした(1.3°C)。無水の炭酸カリウム*(68.71g、497.14mmol)とトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロヘキサンカルボン酸(34.29g、132.69mmol)を反応に連続して加えた。氷槽を取り除き、混合物を35分間撹拌した。セライト(7g)を反応に加え、その後、反応物をトルエン洗浄剤(3×100mL)を用いてセライト(70g、およびChemglassの465mLのフリット漏斗)を介して濾過した。この溶液(451g、8.5%酸塩化物、100%の収率、72mg/mL)をアシル化反応においてすぐに使用した。H NMR(400MHz、CDCl):δ 3.77-3.68 (m, 1H), 2.83-2.74 (m, 1H), 2.31-2.22 (m, 2H), 2.09-1.99 (m, 2H), 1.76-1.63 (m, 2H),
*炭酸カリウムは、~5分のヒートガンで加熱することにより、その後、夜通し冷ますことによって、真空下で乾燥させた。
【0504】
中間体8について記載された手順に従って、適切な出発物質から以下の中間体を合成した。
【0505】
【表7】
【0506】
中間体9
トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-ヨードフェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0507】
【化49】
【0508】
中間体8(トルエン中の74mg/mL、43mL、11.49mmol)を、中間体6(3.32g、7.63mmol)、ピリジン(2.5mL(31mmol)、およびトルエン(15mL)の溶液に加えた。混合物を90分間、室温で撹拌し、EtOAc(50mL)で希釈し、洗浄した(50mLのHO、50mLの飽和したNaHCO、および50mLのブライン)。有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、およびシリカゲルクロマドグラフィー(ヘキサン中の0-10%のEtOAc)によって精製することで、白色泡として、トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-ヨードフェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(4.05g、79%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 7.76 (d, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.27 (t, 1H), 6.97-6.92 (m, 2H), 6.80-6.76 (m, 1H), 3.72 (s, 3H), 3.60-3.40 (m, 3H), 2.37-2.27 (m, 1H), 2.09 (s, 3H), 2.01-1.91 (m, 1H), 1.78-1.67 (m, 6H), 1.65-1.56 (m, 2H), 1.49-1.21 (m, 5H), 1.10-0.94 (m, 2H), 0.92-0.76 (m, 11H), -0.01 (s, 6H);LCMS:676.6[M+H]
【0509】
中間体9について記載された手順に従って、適切な中間体から以下の中間体を合成した。
【0510】
【表8】
【0511】
中間体10
トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0512】
【化50】
【0513】
ビス(ピナコラート)ジボロン(1.42g、5.59mmol)、酢酸カリウム(1.45g、14.8mmol)、Pd(dppf)Cl(135mg、0.18mmol)、およびトルエン(23mL)の混合物を、3回の真空/Nサイクルで脱気した。中間体9(2.50g、3.70mmol)を混合物に加え、反応物を2回の真空/Nサイクルで脱気し、3.5時間115°Cで加熱し、その後、室温に冷ました。混合物を75mLのEtOAcで希釈した。有機物を飽和したNaHCO(2×75mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、高真空下で夜通し乾燥させることで、茶色固形物として、トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(2.99g、120%の粗製生成物)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.82-7.78 (m, 1H), 7.61-7.57 (m, 1H), 7.43 (t, 1H), 7.27-7.24 (m, 1H), 6.99-6.94 (m, 2H), 6.74 (d, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.72-3.45 (m, 3H), 2.44-2.33 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 2.11-2.01 (m, 1H), 1.90-1.76 (m, 6H), 1.75-1.65 (m, 3H), 1.58-1.47 (m, 2H), 1.42-1.32 (m, 14H), 1.24-1.10 (m, 2H), 1.06-0.92 (m, 2H), 0.84 (s, 9H), 0.01 (s, 6H);LCMS:676.6[M+H]。注:中間体10も中間体9の臭化物バージョンから合成された。
【0514】
中間体11
トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-エチニルフェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0515】
【化51】
【0516】
工程1:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(トリメチルシリル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0517】
エチニル(トリメチル)シラン(7.56g、76.95mmol、10.65mL)、CuI(733mg、3.85mmol)、および、Pd(PPhCl(2.70g、3.85mmol)を、N下においてEtN(260mL)中の中間体9(26g、38.48mmol)の溶液に加えた。混合物を6時間90°Cで撹拌し、室温に冷まして、その後、酢酸エチル(250mL)で希釈した。混合物を250mLのHOで洗浄した。有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20:1~5:1)によって精製することで、黄色油として、トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-((トリメチルシリル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(21.5g、78%の収率)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.45-7.47 (m, 1H), 7.34-7.38 (m, 1H), 7.26-7.27 (m, 1H), 7.12-7.14 (m, 1H), 6.95-6.97 (m, 2H), 6.73-6.75 (m, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.50-3.58 (m, 3H), 2.35-2.38 (m, 1H), 2.19 (s, 3H), 1.84-1.88 (m, 1H), 1.77-1.84 (m, 6H), 1.56-1.66 (m, 4H), 1.34-1.37 (m, 3H), 1.13-1.16 (m, 2H), 1.00-1.04 (m, 2H), 0.84 (s, 9H), 0.29 (s, 9H), 0.01 (s, 6H);LCMS:646.5[M+H]
【0518】
工程2:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-エチニルフェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0519】
フッ化アンモニウム(2.87g、77.39mmol)を、MeOH(1mL)中のトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-((トリメチルシリル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(10g、15.48mmol)の溶液に加えた。混合物を1時間60°Cで撹拌し、その後、濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~10:1)によって精製することで、黄色油としてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-エチニルフェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(7.8g、88%の収率)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.49-7.51 (m, 1H), 7.40-7.42 (m, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.17-7.19 (m, 1H), 6.95-6.97 (m, 2H), 6.73-6.75 (m, 1H),3.80 (s, 3H), 3.50-3.60 (m, 3H), 3.17 (s, 1H), 2.38-2.41 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 1.86-1.89 (m, 1H), 1.77-1.85 (m, 6H), 1.61-1.66 (m, 4H), 1.34-1.37 (m, 3H), 1.14-1.17 (m, 2H), 1.00-1.04 (m, 2H), 0.84 (s, 9H), 0.01 (s, 6H).
【0520】
中間体12;中間体1.04のためのSM6-クロロ-3-メトキシピコリノニトリル
【0521】
【化52】
【0522】
工程1:2-シアノ-3-メトキシピリジン1-オキシド
【0523】
3-クロロ過安息香酸(90.8g、447mmol、85%の純度)を、室温でDCE(500mL)中の3-メトキシピコリノニトリル(50g、373mmol)溶液に加えた。反応混合物を65°Cで夜通し加熱し、その後、室温に冷ました。混合物をNaHCO(5×300mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、その後、石油エーテル/EtOAc=5/1(300mL)において粉砕して、黄色固形物として2-シアノ-3-メトキシピリジン1-オキシド(50g、89%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.95 (d, 1H), 7.37 (t, 1H), 6.90 (d, 1H), 4.03 (s, 3H);LCMS:151.0[M+H]
【0524】
工程2:6-クロロ-3-メトキシピコリノニトリル
【0525】
2-シアノ-3-メトキシピリジン1-オキシド(30g、200mmol)とPOCl3(333g、2.17mol)の混合物を、N下において2時間100°Cに加熱した。混合物を乾燥するまで濃縮し、NaHCO(300mL)で希釈し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。有機質層を組み合わせ、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、その後、シリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/EtOAc=2/1)によって精製することで、黄色固形物として6-クロロ-3-メトキシピコリノニトリル(20g、59%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.51 (d, 1H), 7.38 (d, 1H), 3.99 (s, 3H);LCMS:169.0[M+H]
【0526】
中間体13;中間体1.09のためのSM5-ブロモ-1-メチル-ピロロ[2,3-c]ピリジン
【0527】
【化53】
【0528】
水素化ナトリウム(3.65g、91.36mmol、60%の純度)を、N下において0°CのDMF(1mL)中で5-ブロモ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(9g、45.68mmol)の溶液に加えた。反応物を0.5時間撹拌し、その後、MeSO(5.76g、45.68mmol)をN下において0°Cで液滴で加えた。反応物を2時間室温に温め、水(200mL)へ注ぎ、EtOAc(5×100mL)で抽出した。結合した有機質層を水(2×100mL)で洗浄し、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、その後、シリカゲル(石油エーテル/EtOAc=4/1)でのクロマトグラフィーによって精製することで、黄色固形物として5-ブロモ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(9.6g、99.5%)を得た。H NMR(400MHzおよびDMSO-d6):δ 8.64(s,1H),7.73(s,1H),7.63(d,1H),6.47(d,1H),3.89(s,3H);LCMS:211.0[M+H]
【0529】
中間体14;中間体1.03のためのSM5-ブロモ-3-フルオロ-1-メチル-1H-インダゾール
【0530】
【化54】
【0531】
1-(クロロメチル)-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイウムテトラフルオロホウ酸塩(16.11g、45.48mmol)を、室温でCHCN(80mL)中の5-ブロモ-1-メチル-1H-インダゾール(8.00g、37.90mmol)溶液に加えた。混合物を80°Cで夜通し撹拌し、室温でHO(50mL)でクエンチし、その後、EtOAc(50mL)で希釈した。混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機質層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することで、残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50~5:1に)によって精製することで、白色固形物として5-ブロモ-3-フルオロ-1-メチル-1H-インダゾールを得た(3.95g、46%)。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 7.93(s,1H),7.53-7.65(m,2H),3.90(s,3H).
【0532】
化合物1
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0533】
【化55】
【0534】
工程1:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0535】
Cu2O(2.6mg、0.019mmol)、CsCO(241mg、0.740mmol)、サリチルアルドキシム(10mg、0.074mmol)、および4-メチル-1H-ピラゾール(45.5mg、0.555mmol)の混合物を、CHCN(10mL)中の中間体9(250mg、0.370mmol)の溶液に加えた。結果として生じた混合物をN下において80°Cで夜通し撹拌し、室温に冷まし、濾過し、真空内で濃縮した。粗製生成物を分取TLC(PE/EA=10/1)によって精製することで、淡黄色油としてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(100mg、43%)を得た。LCMS:630.5[M+H]
【0536】
工程2:トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0537】
塩酸水溶液(1M、0.5mL)を、MeOH(4mL)中のトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(80.0mg、0.127mmol)の溶液に加えた。混合物を0.5時間室温で撹拌し、10mLの冷水へ注ぎ、その後、DCM(15mL)中の5%MeOHで抽出した。有機質層は10mLのブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、分取TLC(PE/EA=1/1)によって精製することで、白色固形物としてトランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(4-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(21mg、32%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 8.37 (s, 1H), 7.77-7.86 (m, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.52-7.62 (m, 2H), 7.20 (d, 1H), 6.92-6.96 (m, 2H), 6.78 (d, 1H), 4.35-4.42 (m, 1H), 3.72 (s, 3H), 3.54-3.61 (m, 2H), 3.26-3.30 (m, 1H), 2.00-2.12 (m, 7 H), 1.69-1.80 (m, 6H), 1.59-1.68 (m, 2H), 1.22-1.49 (m, 6H), 0.99-1.12 (m, 2H), 0.70-0.85 (m, 2H);LCMS:516.2[M+H]
【0538】
化合物2
トランス-N-((トランス-4-(3-シアノ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド
【0539】
【化56】
工程1:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(3-シアノ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0540】
中間体9.01(101mg、0.15mmol)、(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)ボロン酸(33mg、0.24mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg、0.02mmol)、ジオキサン(1.5mL)、および0.4MのKCO(1.1mL、0.44mmol)の混合物を、3回の真空/Nサイクルで脱気し、25分間80°Cで撹拌し、室温に冷まし、20mLの飽和したNaHCOへ注ぎ、その後、20mLのEtOAcで抽出した。有機物を20mLのブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、および、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で20-50%の酢酸エチル)により精製することで、トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(3-シアノ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-エチル-1H-ピラゾール4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(79mg、81%)を得た。LCMS:655.5[M+H]
【0541】
工程2:トランス-N-((トランス-4-(3-シアノ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド
【0542】
塩酸水溶液(1N、0.17mL、0.17mmol)を、0°Cでトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(3-シアノ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(79mg、0.12mmol)、メタノール(0.5mL)、およびテトラヒドロフラン(0.5mL)の溶液に加えた。反応物を室温に温め、1時間室温で撹拌し、20mLの冷たい飽和したNaHCOに注ぎ、その後、20mLのEtOAcで抽出した。有機質層を20mLの飽和したNaHCOで洗浄し、20mLのブラインで洗浄した。組み合わせた水層を20mLのEtOAcで逆抽出した。結合した抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(DCM中の0-7%メタノール)によって精製することで、黄色泡としてトランス-N-((トランス-4-(3-シアノ-4-メトキシフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド(60mg、92%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 8.29(s, 1H),7.94(s, 1H),7.59(d, 1H),7.56-7.48(m, 3H),7.45(t, 1H),7.15-7.06(m, 2H),4.39(d, 1H),4.15(q, 2H),3.86(s, 3H),3.66-3.46(m, 2H),3.32-3.20(m, 1H),2.49-2.40(m, 1H),2.11-2.00(m, 1H), 1.81-1.68(m, 6H),1.68-1.59 (m, 2H), 1.48-1.27(m, 8H),1.12-0.99(m, 2H), 0.82-0.68(m, 2H);LCMS:541.4[M+H]
【0543】
以下の化合物は、化合物2について記載された手順に従って、適切な中間体と適切なボロン酸またはボロン酸エステルから合成された。
【0544】
【表9-1】
【0545】
【表9-2】
【0546】
化合物3
トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0547】
【化57】
【0548】
工程1:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0549】
4-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ピラゾール(65mg、0.35mmol)、中間体10(163mg、0.20mmol)、CsCO(196mg、0.60mmol)、Pd(dppf)Cl、DMF(2mL)、およびHO(20μL)の混合物を、3回の真空/Nサイクルで脱気し、110分間80°Cで加熱し、室温に冷ました。反応物を20mLの飽和したNaHCOへ注ぎ、その後、EtOAc(2×20mL)で抽出した。結合した有機物を20mLのブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(ヘキサン中の10-30%の酢酸エチル)によって精製することで、白色泡としてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(63mg、48%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 8.34(s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.61(d, 1H), 7.56-7.52(m, 1H), 7.43 (t, 1H), 7.08(d, 1H), 6.98-6.91(m, 2H), 6.81-6.75 (m, 1H), 3.77-3.69(m, 4H), 3.64-3.45(m, 3H), 2.38-2.28(m, 1H), 2.13-2.02(m, 4H), 1.81-1.68(m, 6H), 1.68-1.59(m, 2H), 1.51-1.36(m, 3H), 1.36-1.22(m, 2H), 1.12-0.95(m, 6H), 0.89-0.74 (m, 11H), -0.03 (s, 6H);LCMS:656.6[M+H]
【0550】
工程2:トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0551】
塩酸水溶液(6N、0.13mL、0.78mmol)を、0°Cにおいてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(62mg、0.095mmol)、メタノール(0.5mL)およびテトラヒドロフラン(0.5mL)の溶液に加えた。反応物を室温に温め、40分間撹拌し、20mLの冷たい飽和したNaHCOに注ぎ、その後、EtOAcで抽出した。有機質層を20mLの飽和したNaHCOで洗浄し、20mLのブラインで洗浄した。最初の水性洗浄液を20mLのEtOAcで逆抽出した。結合した抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマドグラフィー(DCM中0-7%のMeOH)によって精製することで、オフホワイトの泡としてトランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(50mg、98%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 8.34 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.56-7.51 (m, 1H), 7.44 (t, 1H), 7.09 (d, 1H), 6.98-6.92 (m, 2H), 6.81-6.75 (m, 1H), 4.39 (d, 1H), 3.78-3.69 (m, 4H), 3.63-3.48 (m, 2H), 3.30-3.20 (m, 1H), 2.38-2.28 (m, 1H), 2.09 (s, 3H), 2.08-1.99 (m, 1H), 1.80-1.68 (m, 6H), 1.67-1.58 (m, 2H), 1.48-1.37 (m, 3H), 1.32-1.20 (m, 2H), 1.11-0.95(m, 6H), 0.81-0.67(m, 2H);LCMS:542.5[M+H]
【0552】
以下の化合物は、中間体3について記載された手順に従って、中間体10と適切なハロゲン化アリールから合成された。
【0553】
【表10-1】
【0554】
【表10-2】
【0555】
化合物4
トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0556】
【化58】
【0557】
工程1:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0558】
中間体11(301mg、0.525mmol)、4-ヨード-1-メチル-1H-ピラゾール(131mg、0.629mmol)、CuI(10mg、0.053mmol)、Pd(PPhCl(37mg、0.052mmol)、およびEtN(5mL)の混合物を、N下において1時間80°Cで撹拌し、室温に冷まし、水(30mL)へ注ぎ、その後、EtOAc(3×20mL)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマドグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=25:1~5:1)で精製することで、黄色油としてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(115mg、29%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.69 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.36-7.50 (m, 2H), 7.28-7.33 (m, 1H), 7.12 (d, 1H), 6.91-7.02 (m, 2H), 6.75 (d, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 3.48-3.65 (m, 3H), 2.35-2.43 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 2.05-2.14 (m, 1H), 1.77-1.90 (m, 8H), 1.49-1.73 (m, 8H), 1.25-1.42 (m, 3H), 1.11-1.22 (m, 2H), 0.97-1.09 (m, 2H), 0.81-0.89 (m, 9H);LCMS:654.3[M+H]
【0559】
工程2:トランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0560】
塩酸水溶液(1M、0.30mL)を、0°Cにおいてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(111mg、0.170mmol)、MeOH(2mL)、およびTHF(2mL)の溶液に加えた。氷/水浴槽を取り除き、反応物を室温に温めた。混合物を1時間室温で撹拌し、飽和したNaHCO(40mL)へ注ぎ、EtOAc(3×20mL)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をRP-HPLC[水(10mMのNH4HCO3)-MeCN]によって精製することで、白色固形物としてトランス-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)-N-(3-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチニル)フェニル)シクロヘキサンカルボキサミド(47.8mg、52%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 8.09 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.48-7.52 (m, 2H), 7.42 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 6.93-6.95 (m, 2H), 6.72-6.83 (m, 1H), 4.34-4.47 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.72 (s, 3H), 3.51-3.61 (m, 2H), 3.30-3.32 (m, 1H), 2.24-2.38 (m, 1H), 2.09 (s, 3H), 1.90-2.01 (m, 1H), 1.67-1.79 (m, 6H), 1.55-1.67 (m, 2H), 1.21-1.49 (m, 5H), 0.97-1.12 (m, 2H), 0.70-0.84 (m, 2H);LCMS:540.3[M+H]
【0561】
以下の化合物は、化合物4について記載された手順に従って、中間体11と適切なハロゲン化物から合成された。
【0562】
【表11】
【0563】
化合物5
トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(3-フルオロ-1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)シクロヘキシル)メチル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド
【0564】
【化59】
【0565】
工程1:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(3-フルオロ-1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0566】
中間体8(トルエン溶液中の75mg/mL、1.7mL、0.461mmol)を、室温の水浴槽において中間体7.06(130mg、0.293mmol)、ピリジン(95mL、1.17mmol)、およびトルエン(2.5mL)の溶液に加えた。混合物を2時間室温で撹拌し、EtOAc(1mL)で希釈し、洗浄し(20mLのNaHCO、その後、20mLのブライン)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマドグラフィーで精製することで(ヘキサン中の0-40%EtOAc)、白色泡としてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(3-フルオロ-1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(184mg、90%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 8.34 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.50 (dd, 1H), 7.48-7.41 (m, 2H), 7.36 (d, 1H), 7.10 (d, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.77-3.70 (m, 1H), 3.68-3.42 (m, 3H), 2.61-2.52 (m, 1H), 2.13-2.02 (m, 1H), 1.84-1.75 (m, 4H), 1.75-1.68 (m, 2H), 1.68-1.59 (m, 2H), 1.54-1.33 (m, 5H), 1.14-1.03 (m, 4H), 1.02-0.92 (m, 2H), 0.90-0.72 (m, 11H), -0.03 (s, 6H);LCMS:684.2[M+H]
【0567】
工程2:トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(3-フルオロ-1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)シクロヘキシル)メチル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド
【0568】
塩酸水溶液(1N、0.5mL、0.5mmol)を、0°Cにおいてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(3-フルオロ-1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(180mg、0.263mmol)、THF(1mL)、およびMeOH(1mL)の溶液に加えた。氷浴槽を10分後に取り除き、反応物を50分間撹拌した。混合物をEtOAc(1mL)で希釈し、洗浄し(2×20mLの飽和したNaHCO、その後、20mLのブライン)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマドグラフィーで精製することで(DCM中の0-5%のMeOH)、白色泡として、トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(3-フルオロ-1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)シクロヘキシル)メチル)-4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボキサミド(150mg、100%、純粋な95%)を得た。H NMR(400 MHz,DMSO-d):δ 8.34(s, 1H), 7.94(s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.54(s, 1H), 7.50(dd, 1H), 7.48-7.41(m, 2H), 7.36(dd, 1H), 7.10(d, 1H), 4.38(d, 1H), 3.86(s, 3H), 3.77-3.70(m, 1H), 3.68-3.43(m, 2H), 3.31-3.20(m, 1H), 2.61-2.52(m, 1H), 2.16-2.00(m, 1H), 1.84-1.68(m, 6H), 1.68-1.59(m, 2H), 1.52-1.33(m, 5H), 1.15-1.04(m, 4H), 1.02-0.96(m, 2H), 0.81-0.67(m, 2H);LCMS:570.4[M+H]
【0569】
以下の化合物は、化合物5について記載された手順に従って、適切な中間体から合成された。
【0570】
【表12-1】
【0571】
【表12-2】
【0572】
【表12-3】
【0573】
【表12-4】
【0574】
【表12-5】
【0575】
化合物6
トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0576】
【化60】
工程1:トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0577】
中間体7(114mg、0.258mmol)、ピリジン(0.1mL(1.2のmmol))、およびDCM(2.0mL)の溶液に、中間体8(44mg/mLのトルエン溶液、2.5mL、0.397のmmol)の溶液を室温で加えた。その混合物を室温で135分間撹拌し、追加の中間体8(44mg/mLのトルエン溶液、0.5mL、0.079mmol)を加えた。その混合物を90分間撹拌し、EtOAc(20mL)で希釈し、洗浄し(2×20mLの飽和NaHCO、次に15mLのブライン)、乾燥させ(NaSO)、および濾過した。残留物をシリカゲルクロマドグラフィーで精製して(ヘキサン中の0-35%のEtOAc)、白色泡としてトランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(155mg、88%)を得た。LCMS:682.5 [M+H]
【0578】
工程2:トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0579】
塩酸水溶液(1M、0.5 mL、0.5mmol)を、トランス-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(150mg、0.220mmol)、THF(1mL)、およびMeOH(1mL)の混合物に0℃でに加えた。反応物を1時間撹拌し、EtOAc(20mL)で希釈し、洗浄し(2×20mLの飽和NaHCO、次に20mLブライン)、乾燥させ(NaSO)、濾過した。残留物をシリカゲルクロマドグラフィー(DCM中の0-5%のMeOH)で精製して、白色泡としてトランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(109mg、89%)を与た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.34(s,1H),7.94(s,1H),7.59(s,1H),7.54(d,1H),7.40(t,1H),7.16(d,1H),7.03-6.97(m,2H),6.76(d,1H),4.40(s,1H),3.76-3.71(m,2H),3.70(s, 3H),3.62-3.32(m,1H),3.31-3.20(m,1H),2.22-2.11(m,1H),2.08(s,3H),1.80-1.68(m,2H),1.66-1.55(m,8H),1.46-1.31(m,8H),1.11-0.99(m,4H),0.83-0.66(m,2H);LCMS:568.4[M+H]
【0580】
下記の化合物を、化合物6について記載される手順に従い、適切な中間体から合成した。
【0581】
【表13】
【0582】
化合物7
トランス-4-アミノ-N-(3-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0583】
【化61】
工程1:tert-ブチル((トランス-4-((3-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)カルバモイル)シクロヘキシル)カルバマート)
【0584】
中間体7.21(418mg、1.001mmol)、ピリジン(0.33 mL(4.08mmol))、およびDCM(4mL)の溶液に、中間体8.02(トルエン中の58mg/mL、9mL、2.006mmol)を室温で加えた。結果として生じる混合物を、室温で60分間撹拌し、50mLのEtOAcで希釈し、洗浄し(50mLのHO、50mLの飽和したNaHCO、次に、50mLのブライン)、乾燥させ(NaSO)、濾過し、その後、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマドグラフィーで精製して(ヘキサン中の10-50%のEtOAc)、白色泡としてtert-ブチル(トランス-4-((3-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)カルバモイル)シクロヘキシル)カルバマート(622mg、96%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ8.32(s,1H),7.94(s,1H),7.60(d,1H),7.55-7.52(m,1H),7.44(t,1H),7.09(d,1H),6.98-6.92(m,2H),6.81-6.75(m,1H),6.53(d,1H),4.56-4.44(m,1H),3.71(s,3H), 3.68-3.35(m,2H),3.20-3.00(m,1H),2.38-2.28(m,1H),2.12-2.00(m,4H),1.80-1.62(m,8H),1.50-1.21(m,20H),1.13-0.98(m,2H),0.89-0.79(m,2H);LCMS:665.5[M+Na]
工程2:トランス-4-アミノ-N-(3-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0585】
tert-ブチル(トランス-4-((3-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)カルバモイル)シクロヘキシル)カルバマート(617mg、0.960mmol)およびトリフルオロ酢酸(DCM中の20%、10mL)の溶液を、室温で35分間撹拌し、DCM(50mL)で希釈し、洗浄した(2×50mLの飽和したNaHCO、次に50のmLブライン)。有機質層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、その後、濃縮することで、白色泡としてトランス-4-アミノ-N-(3-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-N-((トランス-4-(4-メトキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド(515mg、99%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ8.32(s,1H),7.94(s,1H),7.60(d,1H),7.56-7.52(m,1H),7.44(t,1H),7.09(d,1H),6.97-6.92(m,2H),6.80-6.76(m,1H),4.56-4.44(m,1H),3.71(s,3H),3.66-3.37(m,2H),3.11-2.87(m,2H),2.48-2.40(m,1H),2.38-2.28(m,1H),2.13-2.00(m,4H),1.80-1.60(m,8H),1.49-1.35(m,9H),1.35-1.21(m,2H),1.13-0.99(m,2H),0.77-0.60(m,2H);LCMS:543.6[M+H]
【0586】
下記の化合物を、化合物7について記載される手順に従って、中間体7から合成した。
【0587】
【表14】
【0588】
化合物8
トランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド
【0589】
【化62】
【0590】
BBr(4.0mL、DCM中の1M)の溶液を、化合物3(1.007g、1.858mmol)および無水のDCM(40mL)の溶液に30℃で2分にわたって液滴で加えた。その反応物は白色の塊状の固形物で厚くなり、これを勢いよく撹拌した。6時間後、追加のDCM(5ml)およびBBr(1ml)を加えた。24時間の合計反応時間の後、CHOH/HOの混合物(20mL、19:1)を加えた。その反応物を濃縮し、その後、シリカゲルクロマドグラフィー(DCM中の1-20%のCHOH)によって精製することで、二級アミン(脱アシル化)を含む混合物を得た。この混合物は、逆相HPLC(Waters SunFireカラム;55%のCHCN/0.1%のTFAを含む45%のHO)によって精製し、および濃縮された画分をEtOAc(60ml)で希釈し、飽和したNaHCO(50mL)で洗浄した。有機総層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、その後、真空下で(0.1mTorr)数日間保持することで、白色泡としてトランス-N-(3-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-N-((トランス-4-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミドを得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ8.92(s,1H),8.34(s,1H),7.93(s,1H),7.60(d,1H),7.53(s,1H),7.44(t,1H),7.08(d,1H),6.85(s,1H),6.77(d,1H),6.63(d,1H),4.38(d,1H),3.78-3.71(m,1H),3.55(br,2H),3.32-3.21(m,1H),2.33-2.23(m,1H),2.06(s,3H),2.08-1.99(m,1H),1.79-1.67(m,6H),1.67-1.58(m,2H),1.48-1.33(m,3H),1.33-1.20(m,2H),1.10-0.95(m,6H),0.81-0.68(m,2H);LCMS:528.4[M+H]
【0591】
実施例A-1:非経口医薬組成物
注射(皮下、静脈内)による投与に適した非経口医薬組成物を調製するために、本明細書に記載される1-1000mgの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を、滅菌水中に溶解し、その後、10mLの0.9%の滅菌生理食塩水と混合した。適切な緩衝液を、随意に、随意の酸または塩基とともに加えて、pHを調整した。混合物を、注射による投与に適した単位剤形に組み込む。
【0592】
実施例A-2:経口溶液
経口送達用の医薬組成物を調製するために、十分な量の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容な塩を、(随意の可溶化剤、随意の緩衝液、および味覚マスキング賦形剤と共に)水に加え、20mg/mLの溶液を得る。
【0593】
実施例A-3:経口錠剤
20-50重量%の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、20-50重量%の微結晶性セルロース、1-10重量%の低置換ヒドロキシプロピルセルロース、および1-10重量%のステアリン酸マグネシウムまたは他の適切な賦形剤を混合することによって、錠剤を調製する。錠剤は直接の圧縮によって調製される。圧縮錠剤の全重量を、100-500mgで維持する。
【0594】
実施例A-4:経口カプセル
経口送達用の医薬組成物を調製するために、10-500mgの本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、デンプンまたは他の適切な粉末混合物と混合する。混合物を、経口投与に適した、ハードゼラチンカプセルなどの経口剤形に組み込む。
【0595】
別の実施形態において、10-500mgの本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、サイズ4のカプセル、またはサイズ1のカプセル(ヒプロメロースまたはハードゼラチン)に入れ、そのカプセルを閉じる。
【0596】
実施例A-5:局所ゲル組成物
医薬用の局所ゲル組成物を調製するために、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、イソプロピルミリステート、および精製アルコールUSPと混合する。その後、結果として生じたゲル混合物を、局所投与に適した、例えばチューブなどの容器に組み込む。
【0597】
実施例B-1:インビトロでのFXRアッセイ(TK)
<播種>
DMEM+10%のチャコール二重処理済みFBSを含むT175フラスコの中で、2,000,000の細胞の密度でCV-1細胞を播種し、(O/N)5%のCOにおいて37℃で18時間インキュベートした。
【0598】
<トランスフェクション>
18時間のインキュベーションの後、T175フラスコ中の培地を、新鮮なDMEM+10%のチャコール超処理した血清で変更した。ポリプロピレンチューブにおいて、2500μLのOptiMEM(Life Technologies、Cat# 31985-062)を、hFXR、hRXR、TK-ECRE-luc、およびpCMX-YFPのための発現プラスミドと組み合わせた。その後、そのチューブを、短時間ボルテックスし、室温で5分間インキュベートした。トランスフェクション試薬(Roche社のX-tremeGENE HP、Cat# 06 366 236 001)を、OptiMEM/プラスミドの混合物に加え、ボルテックスし、室温で20分間インキュベートした。インキュベーション後、トランスフェクション試薬/DNAの混合物の複合体を、T175フラスコ中の細胞に加え、該細胞を5%のCOにおいて37℃で18時間(O/N)インキュベートした。
【0599】
<試験化合物>
化合物をDMSOにおいて連続的に希釈し、トランスフェクトしたCV-1細胞に加えた。その後、該細胞を18時間インキュベートした。翌日、該細胞を溶解し、発光に関して検査した。
【0600】
本明細書に開示される典型的な化合物に関する代表的なデータを、以下の表に示す。
【0601】
【表15-1】
【0602】
【表15-2】
【0603】
【表15-3】
【0604】
実施例B-2:インビトロでのFXRアッセイ(hSHP)
<播種>
DMEM+10%のチャコール二重処理済みFBSを含むT175フラスコの中で、2,000,000の細胞の密度でCV-1細胞を播種し、5%のCOにおいて37℃で18時間(O/N)インキュベートした。
【0605】
<トランスフェクション>
18時間のインキュベーションの後、T175フラスコ中の培地を、新鮮なDMEM+10%のチャコール超処理した血清で変更した。ポリプロピレンチューブにおいて、2500μLのOptiMEM(Life Technologies, Cat# 31985-062)を、hFXR、hRXR、hSHP-luc、およびpCMX-YFPのための発現プラスミドと組み合わせた。その後、該チューブを、短時間ボルテックスし、室温で5分間インキュベートした。トランスフェクション試薬(Roche社のX-tremeGENE HP、Cat#06 366 236 001)を、OptiMEM/プラスミド混合物に加え、ボルテックスし、室温で20分間インキュベートした。インキュベーション後、トランスフェクション試薬/DNAの混合物の複合体を、T175フラスコ中の細胞に加え、該細胞を5%のCOにおいて37℃で18時間(O/N)インキュベートした。
【0606】
<試験化合物>
化合物をDMSOにおいて連続的に希釈し、トランスフェクトしたCV-1細胞に加えた。その後、該細胞を18時間インキュベートした。翌日、細胞を溶解し、発光に関して検査した。
【0607】
実施例B-3:NASH活性研究(STZモデル)
生後2日で200ugのSTZを1回皮下注入し、その後、4週齢後に自由に高脂肪食(HFD)を給餌することによって、雄のC57BL/6にNASHを誘発させることができる。HFDを継続している間、化合物が4-8週間投薬され、NASHに対する効果が判定することができる。空腹時血糖は、手持ち式のグルコース計を用いて研究の全体を通して測定され得る。血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、およびトリグリセリド(TG)を、臨床化学分析器によって測定することができる。肝臓組織中のTGの含有量を、トリグリセリドE-試験キット(Wako,Tokyo,Japan)を使用して測定することができる。肝切片の組織学的分析を、Tissue-TEK O.C.T.化合物に埋め込まれた組織上で行い、液体窒素中で急速凍結し、-80℃で保存することができる。該切片を切断し(5μm)、空気乾燥し、およびアセトン中に固定することができる。ヘマトキシリン-エオジン染色のために、肝切片は、ブアン液によってあらかじめ固定され、その後、ヘマトキシリン-エオジン溶液で染色することができる。(ゾーン-3)肝繊維症の程度を、シリウスレッド染色で評価することができる。
【0608】
実施例B-4:NASH活性試験(AMLNモデル)
NASHを、AMLN食(DIO-NASH)(D09100301,Research Diet,USA)(40%の脂肪(18%のトランス脂肪)、40%の炭水化物(20%のフルクトース)、および2%のコレステロール)での食事誘発によって雄のC57BL/6マウスにおいて誘発する。動物は29週間その食事を継続する。26週間の食事誘発の後、疾患進行(脂肪肝と線維症)のベースラインの組織学的評価のために肝生検を行い、肝線維症のステージ、脂肪症スコア、および体重に従って処置群へと階層化および無作為化する。生検の3週間後、マウスを処置群に階層化し、強制経口投与によりFXRアゴニストを8週間毎日投薬する。研究の終わりに、肝生検を行い、それぞれ、H&Eおよびシリウスレッドで染色した組織切片を検査することによって脂肪肝および線維症を評価する。肝臓における全体のコラーゲン含有量を、コラーゲンの酸加水分解によるヒドロキシプロリン残基の比色定量によって測定する。肝臓のホモジネートにおけるトリグリセリドおよび総コレステロールの含有量を、製造業者の指示に従って市販のキット(Roche Diagnostics,Germany)を備えた自動分析器Cobas C-111を使用して1回の判定で測定する。
【0609】
実施例B-5:CCl線維症モデル
腹腔内注入によって投与されるCClの隔週の投与によって、BALB/c雄マウスにおいて線維症を引き起こすことができる。油中でCClを1:1で製剤し、1ml/kgでIP注入する。線維症誘発の2-4週間後、CClの投与を継続しながら、2-6週間の処置のために強制経口投与によって化合物を毎日投与することができる。試験終了時に、肝臓を、ホルマリン固定し、線維症の組織病理学の評価のためにシリウスレッドステインで染色することができる。全体のコラーゲン含有量を、コラーゲンの酸加水分解によるヒドロキシプロリン残基の比色定量によって測定する。臨床化学分析器によって、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を測定することができる。
【0610】
実施例B-6:肝内胆汁うっ滞モデル
げっ歯類における17a-エチニルエストラジオール(EE2)処置により誘発された実験的な肝内胆汁うっ滞を、インビボモデルに広く使用して、エストロゲンで誘発された胆汁うっ滞に関与する機構を調べる。10mg/kgの17a-エチニルエストラジオール(E2)を5日間毎日皮下注入することによって、肝内胆汁うっ滞を雄の成体マウスにおいて誘発することができる。胆汁うっ滞のE2誘発中の化合物の投与によって、FXRリガンドの試験を行うことができる。肝臓/体重の比率を評価するおよび血清の総胆汁酸を測定することによって、胆汁うっ滞性の効果を定量化することができ、アルカリフォスファターゼレベルを、Diagnostic ChemicalsLtd.の試薬と対照、およびCobas Mira plus CC分析器(Roche Diagnostics)を使用して測定することができる。組織学的測定および有糸分裂の測定のために、各マウスからの肝臓サンプルを、10%の中性緩衝ホルマリン中に固定することができる。スライドを、標準のプロトコルを使用してヘマトキシリン-エオジンで染色し、構造変化について顕微鏡で検査する。肝細胞増殖を、Ki67に対する免疫組織化学的染色によって評価する。
【0611】
実施例B-7:直接的な標的遺伝子の調節
マウスに化合物を急性的にまたは慢性的に投薬し、かつ投薬後の様々な時点で組織を集めることにより、FXRリガンドによる直接的な標的遺伝子調節を評価することができる。RNAを回腸および肝臓などの組織から単離し、および文献中で知られている遺伝子の定量的なPCR分析のためにcDNAに逆転写して、SHP、BSEP、IBABP、FGF15、CYP7a1、CUP8b1、ならびにC3などのFXRによって直接的および間接的に調節することができる。
【0612】
実施例B-8:マウスPK研究
試験物として本明細書に開示される化合物のいずれか1つの血漿薬物動態を、マウス(CD-1、C57BL、および食事誘発性の肥満症マウス)への単一のボーラスの静脈投与および経口投与後に測定する。試験物を、DMSO、PEG400、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)のビヒクル溶液中の静脈内投与のために製剤し、選択された用量レベルで(例えば、3mL/kgの投与量で)投与する。経口投与製剤を、適切な経口投与ビヒクル(植物油、PEG400、ソルトール(Solutol)、クエン酸塩緩衝液、またはカルボキシメチルセルロース)中で調製し、選択された用量レベルでの5~10mL/kgの投与量で投与する。血液サンプル(およそ0.15mL)を、EDTAを含有するチューブへの静脈内または経口投与後のあらかじめ決められた時間間隔での頬袋法(cheek pouch method)によって収集する。血液の遠心分離により血漿を10,000gで5分間単離し、アリコートを96ウェルのプレートに移し、分析まで-60℃以下で保存した。
【0613】
被験物質の較正標準を、濃度域においてDMSOでDMSO保存溶液を希釈することにより調製する。DMSO中の較正標準の分割量を、血漿中の較正標準の最終濃度がDMSO中の較正標準より10倍低くなるように、ナイーブマウスからの血漿と組み合わせる。PK血漿サンプルを、ブランクDMSOと組み合わせて、マトリックスと一致させる。較正標準およびPKサンプルを、分析的な内部標準を含有している氷冷のアセトニトリルと組み合わせ、4℃で30分間1850gで遠心分離する。上清の画分をLC/MS/MSによって分析し、較正曲線に対して定量化する。薬物動態パラメーター(曲線下面積(AUC)、Cmax、Tmax、排出半減期(T1/2)、クリアランス(CL)、定常状態分布容積(Vdss)、および平均滞留時間(MRT))を、Microsoft Excel(2013年版)を使用して非コンパートメント解析によって計算する。
【0614】
実施例B-9:ラットANITモデル
本明細書に記載される化合物を、(例えば、0.01~100mg/kgの範囲の)投与量の範囲にわたり胆汁うっ滞の慢性的処置モデルで評価する。このモデルを使用して、胆汁酸吸収不良(例えば、原発性または二次的な肝汁酸性下痢)、胆汁逆流胃炎、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、空置大腸炎(diversion colitis)、不確定大腸炎、アラジール症候群、胆道閉鎖症、胆管減少性の肝移植片拒絶(ductopenic liver トランスplant rejection)、骨髄または幹細胞の移植に関連する移植片対宿主病、嚢胞性線維症肝疾患(cystic fibrosis liver disease)、および非経口栄養に関連する肝疾患などの、胆汁うっ滞性肝障害の処置のための、FXRアゴニスト、例えば本明細書に記載される化合物の使用の適合性を評価する。
【0615】
本明細書に記載される化合物を用いた処置に先立って、(例えば、0.01~100mg/kgの範囲中の投与の)投与の範囲で、食物中のα-ナフチルイソチオシアネート(ANIT)(0.1%w/w)でラットを3日間処置する。非胆汁うっ滞性の対照群に、ANITなしの標準の通常食(chow diet)を与え、非胆汁うっ滞性の対照動物(「対照」)として機能する。14日間の経口投薬後に、分析物のレベルに関してラットの血清を分析する。LLQ(定量下限)。平均±SEM;n=5。
【0616】
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ビリルビン、および胆汁酸を循環させる高いレベルなどの、肝胆道の損傷の指標のレベルを、ラットの血清の中で測定する。ANIT暴露によって、深刻な胆汁うっ滞および肝細胞損傷を誘発する。これらの指標の多くを改善する化合物は、上記の疾患または疾病の処置に有用である。
【0617】
肝臓における胆汁酸の蓄積の減少、胆管における胆汁酸排出の増大、および胆汁酸合成の阻害は、FXRアゴニストの薬理作用と一致している。血清抱合型ビリルビン(肝臓機能のための直接的な指標)の改善は、胆汁排出が改善された胆汁うっ滞からの回復を示唆している。
【0618】
さらに、血清FGF15線維芽細胞増殖因子15(げっ歯類におけるFGF15;ヒトにおけるFGF19)の発現、つまり門脈の血液の中で分泌され且つSHPによりCyp7a1発現を相乗的に抑制するホルモンに対する、本明細書に記載される化合物の効果を確認するために分析を行う。FGF15/19の抗胆汁うっ滞性の特性とともにFGF15/19の直接的なFXR依存性誘発は、FXRアゴニストの標的結合を検知するために好適な血清バイオマーカーとなる。
【0619】
血清FGF15のレベルを、FGF15 Meso Scale Discovery(MSD)アッセイを使用して定量化する。例えば、R&DシステムからのマウスFGF15抗体(AF6755)を、このアッセイにおいて捕捉抗体および検出抗体の両方として使用する。MSD SULFO-TAG NHS-Esterを使用して、FGF15抗体を標識化する。MSDの標準の96ウェルのプレートを、FGF15捕捉抗体でコーティングし、該プレートをMSD Blocker A(R93AA-2)でブロックする。PBS+0.05%のTween20でプレートを洗浄した後、MSD希釈液4を各ウェルに分配し、30分間インキュベートする。25piのキャリブレーター希釈液またはサンプル(血清またはEDTA血漿)を、各ウェルに分配し、室温で振盪しながらインキュベートする。
【0620】
洗浄後、検出抗体を加え、振盪しながら室温で1時間インキュベートする。洗浄およびMSD Read緩衝液(R92TC-2)の追加後、プレートを、MSD SECTOR Imager 6000で読み取る。標準曲線と未知のサンプルのプロットを、MSDデータ分析ソフトウェアを使用して計算する。
【0621】
本明細書に記載される実施例および実施形態は説明の目的のためのものに過ぎず、当業者に示唆される様々な修飾や変化は、本明細書の精神と範囲、および添付の請求項の範囲内に含まれるものとする。
【0622】
実施例B-10:マウスの慢性的DSS大腸炎モデル
慢性のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発マウスは、炎症性腸疾患(IBD)に対する化合物の治療可能性をテストするために使用することができる。マウスに飲料水中のDSSを給餌することにより、慢性的な大腸炎を誘発することができる。例えば、マウスに5日間分の飲料水中の2%のDSSを与え、および5日間分の通常の飲料水を与えた場合、この給餌サイクルをもう2回、高い濃度のDSS(それぞれ2.5%および3%)で合計3サイクル繰り返すことができる。大腸炎は、およそDSS給餌の第1のサイクル後に発症し、それは、体重の減少、便の硬さ、および直腸出血によってモニタリングすることができる。FXRアゴニストを、2%のDSSの給餌を開始すると同時に、マウスに投与することによって試験することができる。あるいは、2%のDSSの水および通常の水の第1の給餌サイクル後に、FXRアゴニストの試験を実施することができる。マウスへのFXRアゴニストの投与期間中、体重、便の硬さ、および直腸出血の観察によって、治療効果をモニタリングすることができる。安楽死後、結腸の重量および長さの測定、粘膜中の炎症および構造変化のH&E染色による結腸組織学的検査、ならびにその疾患に関連する遺伝子のタンパク質およびRNAの発現によって、疾患の進行およびFXRアゴニストの効果をさらに定量化することができる。
【0623】
実施例B-11:養子T細胞移植大腸炎マウスモデル
養子T細胞移植大腸炎モデルは、ヒト炎症性腸疾患(IBD)用の関連するマウスモデルとして認められる。このモデルにおいて大腸炎を誘導するために、CD4Tリンパ球集団をドナーマウスの脾臓から単離し、続いて、フローサイトメトリーを使用して、CD4+CD45RB高T細胞の亜集団を細胞選別することによって精製する。精製されたCD4+CD45RB高T細胞を、レシピエントSCIDマウスの腹膜腔に注入する。大腸炎はT細胞移植後およそ3~6週間で発症し、それは、体重の減少(体重の減少は可変的ではあるが)、一貫性のない便通、または出血性下痢によってモニタリングすることができる。FXRアゴニストの試験は、レシピエントSCIDマウスに精製されたCD4+CD45RB高細胞を注入するのと同時に開始することができる。あるいは、モデルにおいて大腸炎が既に進行している場合、T細胞移植後2週間あるいは3週間でFXRアゴニストを投与することができる。マウスへのFXRアゴニストの投与期間中、体重、便の硬さ、および直腸出血の観察によって、治療効果をモニタリングすることができる。安楽死後、結腸の重量および長さの測定、粘膜中の炎症および構造変化のH&E染色による結腸および回腸の組織学的検査、ならびにその疾患に関連する遺伝子のタンパク質およびRNAの発現によって、疾患の進行およびFXRアゴニストの効果をさらに定量化することができる。
【0624】
実施例B-12:Mdr1a-/-マウスモデル
Mdr1a-/-マウスモデルは、ヒトIBDの新しい治療法の試験に使用されている自発性大腸炎モデルである。このモデルにおけるMdr1a遺伝子の損失によって、腸のバリア機能が損なわれ、それは腸バクテリアの浸潤および後の大腸炎の増加をもたらす。適切な飼育環境下では、Mdr1a-/-マウスは、約8~13週齢で大腸炎を発症する。病気進行中、直腸脱、便通の硬さ、および直腸出血の臨床観察スコアを合計する疾患活動指数(DAI)を、その疾患をモニタリングするために使用することができる。FXRアゴニストの試験は、疾患の初期段階で開始することができ、通常、DAIスコアは1.0未満である。あるいは、大腸炎が進行している場合、FXRアゴニストの投与を開始することができ、典型的に、DAIスコアは2.0以上である。FXRアゴニストの治療効果はDAIの測定によりモニタリングすることができ、および所望の疾患重症度が達成されている場合、試験を終了することができ、通常、DAIスコアは約5.0である。安楽死後、結腸の重さおよび長さの測定、粘膜中の炎症および構造変化を染色するH&Eによる結腸組織学的検査、ならびにその病気に関連する遺伝子のタンパク質およびRNAの発現によって、病気の進行およびFXRアゴニストの効果をさらに定量化することができる。
【0625】
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