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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】吐水装置及び洗面台
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20221111BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
E03C1/042 F
A47K1/00 V
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018151782
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020026666
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】成海 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】金 希貞
(72)【発明者】
【氏名】八木 真一
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-060409(JP,A)
【文献】特開2007-085142(JP,A)
【文献】実開平05-007754(JP,U)
【文献】特開2005-016215(JP,A)
【文献】特開2002-143009(JP,A)
【文献】特開2009-235765(JP,A)
【文献】特開2003-105817(JP,A)
【文献】特開2010-229686(JP,A)
【文献】特開2011-089381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0069520(US,A1)
【文献】特開2004-057273(JP,A)
【文献】特開2004-255028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/04-1/06
A47K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向を向く取付け面に固定される台座部と、
後端を前記台座部に接続して延設される管状の吐水管部と、
略管状の吐水口本体及び前記吐水口本体の先端側に設けられた吐水口を有し、前記吐水管部の先端側に着脱可能に設けられる吐水部と、
前記台座部と前記吐水管部の内空の通水孔に挿通し、前記吐水部に接続された給水ホースとを備える吐水装置において、
前記吐水管部が、前記台座部に前記後端の下端を接続して上方に延びる立上り部と、前記立上り部の上端に後端を繋げ、上方に凸の円弧状に形成された湾曲部と、前記湾曲部から直線状に延びるストレート部と、を一体に備えて形成され、
前記吐水口本体は、前記ストレート部の軸線と同軸上に延び、
前記吐水口は、前記吐水口本体の軸線に対して、前方に向かうに従い漸次下方に傾斜し、
前記吐水部が前記吐水管部の先端側に、下方に向けて引き出し可能に保持されている吐水装置。
【請求項2】
前記台座部が、前記取付け面に固定するための固定部と、前記吐水管部の前記立上り部を接続するための接続部とを備え、前記固定部の内空の通水孔の軸線と、前記接続部の内空の通水孔の軸線とが鈍角で交差するように前記固定部と前記接続部が一体形成されている請求項1記載の吐水装置。
【請求項3】
管状に形成された継手部材の下端側の部分を前記台座部の通水孔に嵌合させつつ前記台座部に固定し、前記継手部材の前記台座部の上端から上方に突出する部分を前記吐水管部の通水孔に挿入して嵌合させて、前記吐水管部が前記台座部に前記継手部材を介して回動可能に接続されており、
前記継手部材は、下端の前記吐水口側の前方側に、前記取付け面側の後方側よりも下方に延出して前記台座部に嵌合する延出嵌合部を備えて形成されている請求項1または請求項2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記吐水部は、前記吐水管部の先端側から取り外す際の前記吐水部の引き出し方向に対し、前記吐水口の吐水方向が下方側を向くように構成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吐水装置。
【請求項5】
前記台座部の下端に、前記通水孔と連通する水抜き孔が設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の吐水装置。
【請求項6】
水受け可能なボウル部と、
前記ボウル部の後方に設けられ、上方に突設された壁部とを備え、
前記壁部を前記取付け面とし、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の吐水装置を固定した洗面台。
【請求項7】
横方向を向く取付け面に固定される台座部と、
後端を前記台座部に接続して延設される管状の吐水管部と、
吐水口を有し、前記吐水管部の先端側に着脱可能に設けられる吐水部と、
前記台座部と前記吐水管部の内空の通水孔に挿通し、前記吐水部に接続された給水ホースとを備える吐水装置において、
前記吐水管部が、前記台座部に前記後端の下端を接続して上方に延びる立上り部と、前記立上り部の上端に後端を繋げ、上方に凸の円弧状に形成された湾曲部とを一体に備えて形成され、
前記吐水部が前記吐水管部の先端側に、下方に向けて引き出し可能に保持されており、
管状に形成された継手部材の下端側の部分を前記台座部の通水孔に嵌合させつつ前記台座部に固定し、前記継手部材の前記台座部の上端から上方に突出する部分を前記吐水管部の通水孔に挿入して嵌合させて、前記吐水管部が前記台座部に前記継手部材を介して回動可能に接続されており、
前記継手部材は、下端の前記吐水口側の前方側に、前記取付け面側の後方側よりも下方に延出して前記台座部に嵌合する延出嵌合部を備えて形成されている吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水装置及びこれを備えた洗面台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンカウンターや、トイレ、洗面所の洗面化粧台などには、ハンドル(操作レバー)を備えた水栓装置と、水栓装置から水や湯が供給されて吐出する吐水装置とからなる混合水栓システムが多用されている。また、一般に、水栓装置や吐水装置は、キッチンカウンターや洗面台の天板などに固定して設置されている。
【0003】
一方、特許文献1には、壁面に取り付けられる基部と、先端側に設けられ、湯水を吐水する吐水口を有する可動部(吐水部)と、可動部を可動させる関節部と、基部を通って可動部に接続され、給水源から湯水を吐水口に給水するための通水部材とを備えた水栓装置/吐水装置が開示されている。また、関節部は、通水部材に直交する回転軸を中心に回動するように形成され、関節部の内側において、通水部材が関節部とは別体として配置されている。
【0004】
特許文献1の水栓装置/吐水装置では、洗面化粧台などの壁面から通水部材が前方に突出し、通水部材と別体の関節部を介して先端に可動部が接続して設けられている。このため、可動部(吐水口)の向きを関節部によって自在に変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-20194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の水栓装置/吐水装置においては、洗面台から立ち上がった壁面に基部を取り付け、基部から略水平の横方向前方側に通水部材が延設され、先端に関節部を介して可動部が設けられている。このため、水平に延びて前方に突出する通水部材(吐水管)によって、吐水空間が狭くなり、使い勝手が悪くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、吐水空間を好適に確保することができ、使い勝手を向上させることを可能にした吐水装置及び洗面台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、吐水空間を好適に確保することができる手段を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
(1)本発明の吐水装置は、横方向を向く取付け面に固定される台座部と、後端を前記台座部に接続して延設される管状の吐水管部と、吐水口を有し、前記吐水管部の先端側に着脱可能に設けられる吐水部と、前記台座部と前記吐水管部の内空の通水孔に挿通し、前記吐水部に接続された給水ホースとを備える吐水装置において、前記吐水管部が、前記台座部に前記後端の下端を接続して上方に延びる立上り部と、前記立上り部の上端に後端を繋げ、上方に凸の円弧状に形成された湾曲部とを一体に備えて形成され、前記吐水部が前記吐水管部の先端側に、下方に向けて引き出し可能に保持されていることを特徴とする。
【0010】
(2)本発明の吐水装置は、上記(1)の吐水装置において、前記台座部が、前記取付け面に固定するための固定部と、前記吐水管部の前記立上り部を接続するための接続部とを備え、前記固定部の内空の通水孔の軸線と、前記接続部の内空の通水孔の軸線とが鈍角で交差するように前記固定部と前記接続部が一体形成されていてもよい。
【0011】
(3)本発明の吐水装置は、上記(1)または(2)の吐水装置において、管状に形成された継手部材の下端側の部分を前記台座部の通水孔に嵌合させつつ前記台座部に固定し、前記継手部材の前記台座部の上端から上方に突出する部分を前記吐水管部の通水孔に挿入して嵌合させて、前記吐水管部が前記台座部に前記継手部材を介して回動可能に接続されており、前記継手部材は、下端の前記吐水口側の前方側に、前記取付け面側の後方側よりも下方に延出して前記台座部に嵌合する延出嵌合部を備えて形成されていてもよい。
【0012】
(4)本発明の吐水装置は、上記(1)から(3)のいずれかの吐水装置において、前記吐水部は、前記吐水管部の先端側から取り外す際の前記吐水部の引き出し方向に対し、前記吐水口の吐水方向が下方側を向くように構成されていてもよい。
【0013】
(5)本発明の吐水装置は、上記(4)の吐水装置において、前記台座部の下端に、前記通水孔と連通する水抜き孔が設けられていてもよい。
【0014】
(6)本発明の洗面台は、水受け可能なボウル部と、前記ボウル部の後方に設けられ、上方に突設された壁部とを備え、前記壁部を前記取付け面とし、上記(1)から(5)のいずれかの吐水装置を固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、立上り部と上方に凸円弧状の湾曲部とからなるグースネック形状の吐水装置を、横方向を向く取付け面に台座部を固定して取り付けるようにしたことで、取付け面から前方に延びる吐水装置と比較し、吐水空間を大きく確保することができ、使い勝手を大幅に向上させることができる。
【0016】
また、吐水部が吐水管部の先端側に、下方に向けて引き出し可能に保持されていることにより、さらに吐水空間を大きく確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る洗面台を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る水栓装置と吐水装置からなる混合水栓システム、及び洗面台を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る水栓装置と吐水装置からなる混合水栓システムを洗面器の背面側から見た図である。
図4】本発明の一実施形態に係る吐水装置を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る吐水装置の吐水部(吐水ヘッド)及び給水ホースを引き出した状態を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る吐水装置の吐水管部(及び吐水部)が回動可能に構成されていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1から図6を参照し、本発明の一実施形態に係る吐水装置及び洗面台について説明する。
【0019】
本実施形態の洗面台Aは、例えば、図1及び図2に示すように、下部収納キャビネット1と、下部収納キャビネット1の上方に設けられた洗面器2と、洗面器2内に水や湯を吐出させる混合水栓システムBとを備えて構成されている。なお、本実施形態の洗面台Aは、洗面器2の上方にミラーキャビネット(上部収納キャビネット)を備え、洗面化粧台として構成しても勿論構わない。
【0020】
洗面器2は、水受け可能な洗面ボウルのボウル部3と、ボウル部3の後方に設けられ、且つ左右の幅方向一側端から他側端まで延設されるとともに上方に突設された後方壁部(壁部)4とを備えて形成されている。
【0021】
本実施形態の後方壁部4は、下端から上端に向かうに従い漸次その厚さが小となるように、ボウル部3側の前壁面(横方向を向く取付け面)を下端から上端に向かうに従い漸次後方に傾斜する傾斜面(略垂直の取付け面)として形成されている。
【0022】
混合水栓システムBは、図1図2図3に示すように、水栓本体5及びハンドル6からなる水栓装置B1と、水栓装置B1のハンドル操作に応じて水や湯を吐出する吐水装置B2とで構成されている。
【0023】
水栓本体5は、下方に水及び湯の各々の流入口と水又は湯水の流出口とを備えている。水栓本体5の水及び湯の各々の流入口には、入水管7、入湯管8が挿入して接続されている。流出口には、弾性力を有する連結ホース9が挿入して接続されている。また、入水管7と入湯管8はそれぞれ、給水源、給湯源に接続されている。
【0024】
水栓本体5の内部には、水と湯の混合、水又は湯の開閉を行うバルブユニットが設けられている。そして、水栓本体5に取り付けられたハンドル6を適宜操作することによって、バルブユニットの操作、すなわち、湯の温度調整、吐水、止水操作を行うことができる。
【0025】
本実施形態の吐水装置B2は、図4図1図2図3)に示すように、洗面台Aに取り付けて吐水装置B2を固定するための台座部10と、台座部10に後端を接続して設けられる吐水管部11と、吐水管部11の先端に設けられ、水又は湯を吐出する吐水部12とを備えて構成されている。なお、本実施形態では、図5に示すように、吐水部12が吐水ヘッドとされ、吐水管部11に対して着脱可能に設けられている。
【0026】
図4図1図2図3)に示すように、台座部10は、吐水装置B2を洗面台Aに接続固定するためのものであり、その中心に給水ホース15を挿通する挿通孔(内空の通水孔)16が貫通形成され、略管状(略筒状)に形成されている。また、本実施形態の台座部10は、洗面台Aに固定するための固定部10aと、吐水管部11の後端/下端が接続される接続部10bとを備えている。さらに、固定部10aは、挿通孔16の軸線O1が横方向(略横方向)を向くように形成され、接続部10bは、挿通孔16の軸線O2が上下方向(略上下方向)を向くように形成されている。これにより、本実施形態の台座部10は、固定部10aと接続部10bが屈曲して略L字状に形成されている。
【0027】
さらに、本実施形態の台座部10は、固定部10aの挿通孔16の軸線O1と接続部10bの挿通孔16の軸線O2とが鈍角、すなわち、90度よりも大きな角度θで交差するように形成されている。
【0028】
台座部10は、洗面器2の後方壁部4の前壁(前壁面、取付け面)4aの所定位置に貫通形成された貫通孔17を介して、後方壁部4の前壁4aの背面側、すなわち、後方壁部4の内部に設けられたホースガイド18とビス29を用いて接続されている。そして、後方壁部4の前壁4aを固定部10aとホースガイド18で挟み込むようにして後方壁部4の所定位置に固定して設置されている。なお、このとき、台座部10の固定部10aと後方壁部4の前壁4aの間に止水パッキンが介設され、この部分の止水性能が確保されている。
【0029】
台座部10には、固定部10aの下端/下面に台座部10や吐水管部11の挿通孔16に入り込んだ水を外部に排出するための水抜き孔19が貫通形成されている。
【0030】
ここで、本実施形態の給水ホース15は、樹脂製ホースであり、例えば、架橋ポリエチレン管の外側をポリエチレンテレフタレート樹脂製の繊維織物/繊維シートで一体に被覆するなどして形成されている。これにより、本実施形態の給水ホース15は、従来の塩化ビニル管の外側に金属材を被覆するなどして形成した給水ホースと比較し、非常に軽量で、且つ可撓性に優れたものとなっている。
【0031】
次に、本実施形態の吐水管部11は、一体形成された管状の部材であり、台座部10の接続部10bに下端/後端を接続して上方に延びる立上り部11aと、立上り部11aの上端に後端が繋がり、上方に凸の円弧状に形成された湾曲部11bと、湾曲部11bの先端から軸線O4が前方に向かうに従い漸次下方に傾斜するように直線状に延びるストレート部11cとを備えて形成されている。すなわち、本実施形態の吐水管部11(吐水装置B2)は、いわゆるグースネック形状のスパウト(吐水装置B2)として構成されている。
【0032】
また、吐水管部11には、ストレート部11cの内部に後端側を嵌合固定し、先端側をストレート部11cひいては吐水管部11の先端から軸線O4方向外側に突出した管状の保持部材11dが取り付けられている。
【0033】
本実施形態の吐水管部11の立上り部11aは、その軸線O3方向が水平方向に対して90度±5度となるように垂直(略垂直)に配設されている。
【0034】
吐水管部11は、図4図6に示すように、台座部10の接続部10bに、継手部材20を介して上下方向に延びる軸線O2、O3周りに回動可能に接続されている。
【0035】
より具体的に、継手部材20は、略円管状に形成され、その下端側(略下半部)を台座部10の接続部10bの挿通孔(内空の通水孔)16に互いの軸線が同軸上に配されるように嵌合させ、上端側(略上半部)を接続部10bの上端から上方に突出させて配設されている。また、継手部材20は、止め具であるストップリング21を用いて下端側が台座部10の接続部10bに固定されている。
【0036】
このように台座部10に取り付けられた継手部材20の上端側を、吐水管部11の立上り部11aの下端から挿通孔16内に嵌合させると、吐水管部11が立上り部11aと継手部材20ひいては台座部10の接続部10bの互いの軸線O2、O3が同軸上に配され、この状態で吐水管部11と台座部10が接続される。また、継手部材20と吐水管部11の立上り部11aとが止め具であるストップリング21を用いて結合されるとともに、このストップリング21が継手部材20の上端側に軸線O2、O3周りに回動可能に接続されている。
【0037】
これにより、本実施形態の吐水装置B2では、吐水管部11が台座部10に対して上下方向に延びる軸線O2、O3周りに回動可能に設けられている。
【0038】
継手部材20には、その外面に、径方向内側に凹み、周方向に繋がる環状の止水材保持溝が下端側に1つ、上端側に2つ形成され、これら止水材保持溝にOリングなどの止水部材22が嵌合して取り付けられている。これにより、吐水管部11と台座部10の接続部の止水性能が好適に確保されるとともに、ガタツキがなく、所望の摺動摩擦力(回転操作力)が生じるようにして、好適に吐水管部11が回動可能に設けられている。
【0039】
ここで、継手部材20には、吐水管部11の回動操作時に外力が作用し、この外力を受けて台座部10に伝達する耐力性能が求められる。
【0040】
これに対し、本実施形態の継手部材20は、図4に示すように、下端の前方側の吐水部12側が後方側の洗面器2の後方壁部4側よりも下方に延出して形成されている。この継手部材20の延出部分である延出嵌合部20aが台座部10の接続部10bに大きく入り込んで嵌合する。これにより、吐水管部11を回動可能に構成した場合であっても、継手部材20ひいては吐水管部11と台座部10の接続部分の耐力を十分に確保することができる。
【0041】
本実施形態では、台座部10の接続部10bの前方側の内面に段部23が設けられており、この段部23に係合するように継手部材20にも段部23が設けられている。そして、互いの段部23が係合するように継手部材20の下端側を台座部10の接続部10bに挿入すると、継手部材20が位置決めされて、好適に延出嵌合部20aが台座部10の接続部10bの内部に深く入り込んだ状態で嵌合する。これにより、吐水管部11を回動可能に構成した場合であっても、さらに確実に、継手部材20ひいては吐水管部11と台座部10の接続部分の耐力を確保することができる。
【0042】
本実施形態の継手部材20は、その後方側の下端側に、台座部10の内面の固定部10aと接続部10bを繋ぐ上方部分に形成された内側に凸の屈曲角部24よりも下方に延出してなる角部下方延出部20bが設けられている。
【0043】
角部下方延出部20bが継手部材20に設けられていることによって、給水ホース15の引き出し、引き込みを円滑に行うことができる。また、角部下方延出部20bを備えることで、台座部10の挿通孔16に挿通した樹脂製の給水ホース15が屈曲角部24に直接当たることを防止できる。
【0044】
一方、本実施形態の吐水部12は、吐水管部11に対して着脱可能な吐水ヘッドであり、略管状(略筒状)の吐水部本体12aと、吐水部本体12aの先端側に設けられた吐水口12bとを備えて構成されている。
【0045】
吐水部本体12aは、その内部に切替機構(切替ユニット)26に一端を接続して給水ホース15が挿通配置されている。
【0046】
なお、給水ホース15は、図1図3に示すように、他端が連結部材27を介して連結ホース9に接続されている。給水ホース15には、引き出し量を規定する機能と、引き込みを円滑に行うための錘としての機能を有するストッパ/錘部材28が所定の位置に着脱可能に取り付けられている。
【0047】
吐水部12は、吐水部本体12aの後端側の内部が嵌合凹部とされ、吐水管部11のストレート部11cに取り付けられた保持部材11dの先端側を嵌合凹部に嵌合することによって、吐水管部11に対して着脱可能に保持されている。吐水部本体12aは、吐水管部11に取り付けて保持された状態で、その軸線が吐水管部11のストレート部11cの軸線O4と同軸上に配されるように形成されている。
【0048】
吐水口12bは、ストレートとシャワーなど、吐水状態を切替えるための操作つまみ(レバー)25を有する切替機構26を吐水部本体12aの先端側に取り付けて形成されている。
【0049】
また、切替機構26は、吐水管部11の先端に吐水部12を取り付けた状態で、吐水口12bから吐出される湯水の吐水軸線(吐水方向)O5が吐水部本体12aの軸線O4に対し、前方に向かうに従い漸次下方に傾斜するように設けられている。これにより、吐水管部11の先端に吐水部12を取り付けた状態で吐水を行った際に、湯水が洗面器2のボウル部3の好適な位置に吐出される。
【0050】
本実施形態では、吐水軸線O5が下方を向くように吐水口12b、切替機構26が設けられることにより、切替機構26の下端が吐水部本体12aの下端よりも下方に配され、且つ切替機構26の上端及び操作つまみ25が吐水部本体12aの上端よりも下方に配されるように構成されている。
【0051】
そして、上記構成からなる本実施形態の吐水装置B2及び洗面台Aにおいては、立上り部11aと上方に凸円弧状の湾曲部11bとからなるグースネック形状の吐水装置B2を、洗面器2の後方壁部4の前壁(壁面、横方向を向く取付け面)4aに台座部10を固定して取り付けるようにしたことで、壁面から前方に延びる従来の吐水装置と比較し、吐水空間を大きく確保することができ、使い勝手を大幅に向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態の吐水装置B2及び洗面台Aにおいては、吐水部12が吐水管部11の先端側に、下方に向けて引き出し可能に保持されていることによって、吐水装置B2をさらにコンパクトにすることができる。これにより、さらに吐水空間を大きく確保することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【0053】
さらに、グースネック形状の吐水管部11を用いることで、立上り部11aを短くするなどし、吐水装置B2をコンパクトにすることができる。これにより、例えば、洗面器2の上方にミラーキャビネット(上部収納キャビネット)を備えた場合などにおいても、回動する吐水管部11がミラーキャビネットに干渉しないように吐水装置B2を設置することが可能になる。
【0054】
本実施形態の吐水装置B2及び洗面台Aにおいては、給水ホース15として軽量で可撓性に優れた樹脂製ホースを用いることによって、吐水部12を着脱して引き出したり、引き込んだりする際の操作性を高めることができ、使い勝手をさらによくすることができる。
【0055】
本実施形態の吐水装置B2及び洗面台Aにおいては、台座部10が、壁面に固定して取り付けるための固定部10aの挿通孔16の軸線O1と、上下方向に延びてグースネック形状の吐水管部11を接続するための接続部10bの挿通孔16の軸線O2とが鈍角で交差するように形成されていることにより、挿通孔16内に挿通した給水ホース15の引き出し、引き込みを円滑に行うことが可能になる。特に、樹脂製で軽量の給水ホース15を用いた場合であっても、その引き出し、引き込み(吐水部12の着脱操作)を円滑で好適に行うことが可能になる。
【0056】
本実施形態の吐水装置B2及び洗面台Aにおいては、台座部10に対して吐水管部11を上下方向に延びる軸線O2、O3周りに回動可能に設けることによって、吐水方向を自在に調整することができ、より使い勝手を向上させることができる。
【0057】
また、継手部材20を介して、台座部10に吐水管部11を接続することによって、吐水管部11を好適に上下方向に延びる軸線O2、O3周りに回動可能に設けることができる。
【0058】
このとき、継手部材20の外面に、径方向内側に凹み、周方向に繋がる環状の止水材保持溝を複数設け、これら止水材保持溝にOリングなどの止水部材22が嵌合して取り付けることによって、吐水管部11と台座部10の接続部の止水性能を好適に確保することができ、さらにガタツキがなく、所望の摺動摩擦力(回転操作力)が生じるようにして、好適に吐水管部11を回動可能に設けることができる。
【0059】
継手部材20の下端の前方側を後方側よりも下方に延出し、延出嵌合部20aを備えて形成されていることにより、延出嵌合部20aを台座部10の接続部10bに大きく入り込ませて継手部材20を台座部10に嵌合させることができる。これにより、吐水管部11を回動可能に構成した場合であっても、継手部材20ひいては吐水管部11と台座部10の接続部分の耐力を十分に確保することができる。
【0060】
さらに、継手部材20の後方側の下端側に、台座部10の内面の固定部10aと接続部10bを繋ぐ上方部分に形成された内側に凸の屈曲角部24よりも下方に延出してなる角部下方延出部20bを設けることによって、給水ホース15の引き出し、引き込みを円滑に行うことができる。また、角部下方延出部20bを備えることで、台座部10の挿通孔16に挿通した樹脂製の給水ホース15が屈曲角部24に直接当たることを防止できる。
【0061】
本実施形態の吐水装置B2及び洗面台Aにおいては、吐水装置B2を壁面に取り付けるとともにグースネック形状で構成したことによって、台座部10や吐水管部11の挿通孔16に入り込んだ水を外部に排出するための水抜き孔19を、台座部10の下端(下面)に貫通形成することが可能になる。これにより、吐水装置B2や洗面台Aの使用者から水抜き孔19が見えないようにすることができ、吐水装置B2や洗面台Aの見栄えをよくし、意匠性の向上を図ることが可能になる。
【0062】
したがって、本実施形態の吐水装置B2及び洗面台Aによれば、従来と比較し、吐水空間を大きく確保することができ、見栄えを良くすることができ、使い勝手を大幅に向上させることが可能な吐水装置B2及び洗面台Aを実現することができる。
【0063】
以上、本発明に係る吐水装置及び洗面台の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0064】
例えば、給水ホース15は、必ずしも樹脂製ホースでなくてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、吐水装置B2を取り付ける取付け面4aが傾斜面であるものとしたが、本発明に係る取付け面は横方向を向いている面であればよく、垂直面であっても傾斜面であってもよい。
【0066】
さらに、本発明に係る吐水装置は、その適用を洗面台に限定する必要もない。必ずしも吐水管部11が回動可能に設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 下部収納キャビネット
2 洗面器
3 ボウル部
4 後方壁部(壁部)
4a 前壁(前壁面、横方向を向く取付け面)
5 水栓本体
6 ハンドル
7 入水管
8 入湯管
10 台座部(基台部)
10a 固定部
10b 接続部
11 吐水管部
11a 立上り部
11b 湾曲部
11c ストレート部
11d 保持部材
12 吐水部
12a 吐水部本体
12b 吐水口
15 給水ホース(樹脂製ホース)
16 挿通孔(内空の通水孔)
17 貫通孔
18 ホースガイド
19 水抜き孔
20 継手部材
20a 延出嵌合部
20b 角部下方延出部
21 ストップリング
22 止水部材
24 屈曲角部
25 操作つまみ
26 切替機構(切替ユニット)
27 連結部材
28 ストッパ/錘部材
29 ビス
A 洗面台
B 混合水栓システム
B1 水栓装置
B2 吐水装置
O1 軸線
O2 軸線
O3 軸線
O4 軸線
O5 吐水軸線(吐水方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6