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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】マニピュレータの駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20221114BHJP
   B25J 9/12 20060101ALI20221114BHJP
   B25J 19/02 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
B25J17/00 E
B25J9/12
B25J19/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018555519
(86)(22)【出願日】2017-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2017059446
(87)【国際公開番号】W WO2017182592
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-04-15
(31)【優先権主張番号】102016004810.7
(32)【優先日】2016-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518052049
【氏名又は名称】クベー アーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】518052050
【氏名又は名称】ハダディン サミ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハダディン サミ
(72)【発明者】
【氏名】ロカール ティム
(72)【発明者】
【氏名】レイエンデッカー パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ベーム ニクラス
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0289591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットシステムのマニピュレータの二つのアーム部材の間に配置されたジョイントに用いる駆動ユニットであって、
一方の前記アーム部材を他方の前記アーム部材に対して回転駆動させるように働き、かつ、
駆動シャフト(8)を駆動するモータ(7)と、前記一方のアーム部材に連結され、直接的、又は間接的に前記駆動シャフト(8)によって回転する出力部品(3、4)と、一つの回路基板(13)と、を有し、
該一つの回路基板(13)には、前記駆動シャフト(8)によって提供される駆動量検出用のセンサ・デバイス(18)と、前記出力部品(3、4)によって提供される出力検出用のセンサ・デバイス(22)と、が配置されており、
前記駆動量検出用の前記センサ・デバイス(18)と前記出力検出用の前記センサ・デバイス(22)とは、前記回路基板上の互いに反対側の面に配置されており、
前記駆動シャフト(8)が中空シャフトとして形成され、
前記出力部品(3、4)がセンサ・シャフト(16)と一緒に回転可能なように該センサ・シャフト(16)に固定連結され、
前記センサ・シャフト(16)は、半径方向に間隔をおいて前記駆動シャフト(8)を貫通し、前記回路基板(13)まで延在しており、
センサ・リング(20)が、前記回路基板(13)の上方の、前記センサ・シャフト(16)の正面の軸方向端部に配置され、前記センサ・リング(20)は、前記出力検出用の前記センサ・デバイス(22)と相互作用し、
前記駆動シャフト(8)の正面側の軸方向端部に配置されたセンサ・リング(17)であって、該軸方向端部は前記回路基板(13)に対向しており、かつ、前記駆動量検出用の前記センサ・デバイス(18)と相互作用するセンサ・リング(17)を有する
ことを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項2】
前記センサ・リング(20)用のスライドガイド(23)が前記回路基板(13)上に配置されていること
を特徴とする、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記スライドガイド(23)のハウジングは、配線部品を固定するための手段を含むこと
を特徴とする、請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記センサ・シャフト(16)が、配線部品を収容するための中空シャフトとして形成されること
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記駆動シャフト(8)は前記回路基板(13)まで延在し、前記駆動量検出用の前記センサ・デバイス(18)は、前記回路基板(13)の、前記モータ(7)に対向する面に配置されていること
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記駆動シャフト(8)は、スラスト・ベアリング(10)によって支持され、該スラスト・ベアリング(10)は前記センサ・リング(17)のできるだけ近くに配置されること
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記駆動量検出用の前記センサ・リング(17)と前記出力検出用の前記センサ・リング(20)とは、前記回路基板(13)の両側に、重なるように、互いに対向して配置されていること
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記出力検出用の前記センサ・リング(20)と相互作用するセンサ・デバイス(22)と、前記駆動量検出用の前記センサ・リング(17)と相互作用するセンサ・デバイス(18)とが、前記回路基板(13)の両面のそれぞれの、互いに対向する位置に配置されること
を特徴とする、請求項7に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記回路基板(13)は、該回路基板(13)が前記センサ・リング(17、20)に対して正確に平行な向きに配置されるように、前記モータ(7)のハウジング(6)と相補的に係合する連結部品(12)を有すること
を特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
前記マニピュレータの前記一方のアーム部材と一緒に回転可能なよう該一方のアーム部材と固定連結された前記出力部品(4)としてのハウジング(4)を有する第2駆動モジュール(M2)と、前記マニピュレータの前記他方のアーム部材と一緒に回転可能なよう該他方のアーム部材に固定連結されたハウジング(2)を有する第1駆動モジュール(M1)と、を有し、
前記第2駆動モジュール(M2)のハウジング(4)は、前記第1駆動モジュール(M1)のハウジング(2)に対して回転可能に支持され、
前記第1駆動モジュール(M1)は前記ハウジング(2)に収容されたギア(1)を含み、該ギア(1)の出力部品は、前記第2駆動モジュール(M2)に含まれる前記出力部品(3)によって、前記第2駆動モジュール(M2)の前記ハウジング(4)と一緒に回転可能なよう該ハウジング(4)に固定連結されていること
を特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項11】
第3駆動モジュール(M3)が前記第1駆動モジュール(M1)に固定され、該第3駆動モジュール(M3)は前記モータ(7)を有し、
第4駆動モジュール(M4)が前記第3駆動モジュール(M3)に固定され、該第4駆動モジュール(M4)は回路基板(13)を有すること
を特徴とする、請求項10に記載の駆動ユニット。
【請求項12】
前記第1駆動モジュール(M1)、前記第2駆動モジュール(M2)、前記第3駆動モジュール(M3)、および前記第4駆動モジュール(M4)は、軸方向に沿って、機能的に連動し、かつ互いに係合すること
を特徴とする、請求項11に記載の駆動ユニット。
【請求項13】
前記第1駆動モジュール(M1)、前記第2駆動モジュール(M2)、前記第3駆動モジュール(M3)、および前記第4駆動モジュール(M4)は、個別に交換可能であること
を特徴とする、請求項12に記載の駆動ユニット。
【請求項14】
複数のアーム部材から構成されるマニピュレータと、
該マニピュレータのアーム部材の間に配置される少なくとも一つのジョイントの中に、請求項1~13のいずれか一項に記載の駆動ユニットと、を有すること
を特徴とする、ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムのマニピュレータの二つのアーム部材、又は軸部材の間に配置されたジョイント用の駆動デバイス、すなわち駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動ユニットは、ロボットシステムのマニピュレータ、及びロボット・アームで、個々に使用されるが、一つの軸部材、又はアーム部材を、ロボット・アームの後続のアーム部材に対して相対的に移動可能に、好ましくは回転可能に配置することを意図している。前記軸部材、又はアーム部材は複数の回転軸で構成される。これにより、隣接する二つのアーム部材間の可動性が実現され、ロボットシステムの自由度は、マニピュレータのアーム部材の数に応じて決まる。
【0003】
これに関連して、産業ロボット用の駆動ユニットでは、長手方向の延設部に垂直な軸を中心にしてアーム部材が回転可能なものが使用されている。さらに別の駆動ユニットは、前記アーム部材の長手方向の軸を中心にした回転を可能にするように構成される。この目的のために、通常は、適切な寸法の電気モータが使用され、必要な場合には、適切な減速ギアと連動する。
【0004】
軽量ロボットに関しては、駆動ユニットは、アーム部材の閉じたハウジングの内部に取り付けられる。この理由は、この種のロボットのマニピュレータのハウジングは、基本的には外骨格として構成されるからである。
【0005】
通常、従来技術で知られているような駆動ユニットの中には、一つのアーム部材を他のアーム部材に対して回転させる出力部品の位置、トルク、及び/又は回転速度を検出するために、出力側に少なくとも一つのセンサ・デバイスが設けられているものがある。さらに、入力、すなわち駆動量の回転速度、駆動トルク、及び/又は、モータによって駆動される入力シャフト、すなわち駆動シャフトの位置を検出するために、別のセンサ・デバイスが、モータ側、及び入力側にそれぞれ設けられる。
【0006】
各センサ・デバイスは、通常、別々の回路基板、又はプリント回路基板(PCB、Printed Circuit Board)上に配置され、これらの回路基板は、駆動ユニット内の検出対象に対応する位置に配置される。
【0007】
上記目的のために前記入力に対するセンサ・デバイスを有する一つの回路基板が、モータ、又はモータによって駆動される駆動シャフトの領域に配置される。該領域では、前記モータは、他のアーム部材に対して回転可能に支持されたアーム部材の中に収容される。したがって、前記回路基板は、また、前記駆動ユニット用の制御エレクトロニクス・アセンブリ全体を搭載する可能性があるが、前記入力、又は駆動量の検出のためだけに一つ目のセンサを有することになる。
【0008】
出力の検出は、別個の回路基板上に置かれた二つ目のセンサによって実行され、該別個の回路基板は、前記一つ目のセンサを含む回路基板から、空間的、かつ信号伝達の両方の側面に関して完全に分離して構成される。この回路基板は、駆動ユニット内の前記出力領域に配置される。すなわち、該回路基板は、通常は回転可能に支持されている前記アーム部材のハウジングの中に設けられている出力部品、例えば出力フランジ、又は出力ハウジングと連動するように、配置される。
【0009】
しかしながら、位置センサを含むスタンド・アロンの回路基板と一緒に前記領域に配置された前記位置センサを使用することには、不都合がある。すなわち、一方では前記二つ目の位置センサが駆動ユニット内で正確に位置合わせされなければならならず、不良に結びつき易い。他方では、前記二つ目の位置センサによって生成された信号は、配線を介して駆動量を検出する一つ目の位置センサのある回路基板に伝送する必要があるが、該回路基板は、出力とは軸方向に反対側の位置に配置され、かつ、制御用及び評価用の電子回路アセンブリを含んでいる。
【0010】
したがって、回路基板毎に唯一つの位置センサしか、前記評価用の電子回路アセンブリによって読み取ることができない。
【0011】
しかしながら、軽量ロボットシステムの外骨格型ハウジングに関しては、自己充足型の完全に覆われたハウジング構造をしているため、全ての構成要素の入った駆動ユニットをアーム部材のハウジングの中に軸方向に挿入しなければならず、かつ、内部アクセスが非常に制限されているために、前記ハウジング内への取り付けは手間のかかる作業になる。これは、出力側から入力駆動部側に敷設される配線についても、又、同じことが言える。
【0012】
さらに、出力側センサ・デバイスが生成する信号を直接検出するためには、単純な配線では不十分であるという問題がある。この理由は、前記出力側センサ・デバイスから出た信号が、前記駆動ユニットの中を、前記駆動側の位置センサを搭載した前記回路基板まで、前記電気モータを横切って行く経路上で信号が劣化する可能性がある。したがって、通常、このような信号線を通すことができるデータバスが必要であり、これによって、上記のような駆動ユニットのための電子回路アセンブリに対するコストが増大する。
【0013】
さらに、駆動ユニットの可動部品、従ってアーム部材が相互に回転する場合、前記出力側回路基板から前記入力側回路基板にひかれた配線に、ねじり応力が働く。該ねじり応力は、駆動シャフトの全長に亘ってではないにしても、少なくとも該駆動ユニットの全長の一部に広がる。一定の期間の後、このねじり応力によって、前記配線の不良が起こる可能性がある。
【0014】
さらに、トルク・センサを駆動ユニット内で使用する場合、該トルク・センサ自体はスタンド・アロン回路基板上に配置されるが、前記駆動ユニット内には今や3つの異なる回路基板を配置することになり、前記トルク・センサの使用は、必要なアセンブリ・スペースを増加させるか、又はアーム部材のハウジング構造によっては、実際に使用可能な組立スペースを減少させる。これにより、配線がさらに複雑になる。
【0015】
最後に、従来技術で周知の駆動ユニットに関しては、単体のセンサ・デバイス用の回路基板の数、及び必要とされる配線は、基本的には、単体のメカトロニクス部品に関連する組立作業を増加させるので、メカトロニクス部品、及びメカニック部品の製造コストだけでなく、前記駆動ユニットの組立、及びメンテナンス用の費用も大幅に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記従来技術の問題点に基づいて、本発明の目的は、ロボットシステム、特に軽量タイプのロボットシステム(これに限定されない)の、マニピュレータの二つのアーム部材の間のジョイントに対する駆動ユニットであって、従来技術から周知の上述の欠点を解決する駆動ユニット、特に、センサ・デバイスの組立、及びメンテナンスを簡単化すると共に、入力側、及び出力側の関連するパラメータの検出の信頼性を向上させることができる駆動ユニット、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、請求項1に記載の駆動ユニットによって達成される。
【0018】
したがって、本発明は、ロボットシステムのマニピュレータの二つのアーム部材の間に配置されたジョイントに用いる駆動ユニットに関し、該駆動ユニットは一方の前記アーム部材を他方の前記アーム部材に対して回転駆動させることを目的とし、該駆動ユニットは、駆動シャフトを駆動するモータと、前記一方のアーム部材に連結され、直接的、又は間接的に前記駆動シャフトによって回転される出力部品と、回路基板、又はプリント回路基板(PCB)と、を有し、該回路基板には、前記駆動シャフトによって提供される駆動量検出用のセンサ・デバイスと、前記出力部品によって提供される出力検出用のセンサ・デバイスと、が配置されている。
【0019】
従って、従来技術とは異なり、本願発明では、すべての必要なセンサ部品を搭載した単一の回路基板が用いられる。該単一の回路基板は、駆動量に関する少なくとも一つの位置センサと、出力に関する少なくとも一つの位置センサとを有し、必要に応じて、トルク・センサのようなさらに別のセンサを有する。
【0020】
本願発明による、好ましい一実施形態によれば、駆動量検出用のセンサ・デバイスと出力検出用のセンサ・デバイスとは、前記回路基板の互いに反対側に配置する必要がある。
【0021】
両方のセンサ・デバイスが単一の回路基板に直接搭載されることの利点は、該回路基板は、前記駆動ユニットの出力部品と軸方向反対側、例えば、モータ用ハウジングに、又はモータ用ハウジングの上部に配置されるが、例えば全てのセンサに対してファームウェアを更新する処理を一度で実行すればよいということにある。これが可能な理由は、出力検出用の位置センサは、この回路基板から空間的に分離されておらず、かつ、別の回路基板上に配置されてもいないからである。
【0022】
複雑な配線はもはや必要ではなく、このような配線に伴う、スペースの必要性、ねじり応力等の欠点は完全に消失する。
【0023】
センサ・デバイスの電源、及び評価用電子回路アセンブリは、単一の回路基板上に直接配置される。これにより、前記駆動ユニット内に広がる電気的構成要素、及び電気的接続が少なくなるので、このような駆動ユニットは、基本的に、耐故障性が改善される。
【0024】
センサ・デバイスの較正は、組み立てられた駆動ユニットに対して直接、簡単な方法で行うことができ、両方のセンサ・デバイスの制御、較正等に関するすべてのデータを前記回路基板の一つの共通メモリに格納することができる。
【0025】
駆動側、及び出力側の関連するパラメータが、単一の回路基板上に配置されたセンサ・デバイスによって検出することができるようにするために、本発明によれば、前記モータによって作動される前記駆動シャフトは空洞シャフトとして構成され、かつ、前記出力部品は、回転可能に固定されるように、すなわちトルク伝達可能なようにセンサ・シャフトに連結され、前記センサ・シャフトは半径方向に間隔をおいて前記駆動シャフトを貫通し、前記回路基板まで延在する。
【0026】
前記センサ・シャフトは、前記回路基板にある開口部を通って、前記回路基板の、前記モータとは反対側の面に延在することができ、同時に、前記モータの駆動シャフトは、前記回路基板の前記モータに対向する面まで延在することができる。
【0027】
本発明によれば、センサ・リングが、前記回路基板の上方の、前記センサ・シャフトの正面の軸方向端部に配置され、該センサ・リングは、前記出力検出用のセンサ・デバイスと相互作用する。該センサ・デバイスは、前記回路基板の前記モータとは反対側の前記面に配置されている。
【0028】
同様にして、前記駆動シャフトも、又、前記回路基板に対向する正面側の軸方向の端部にセンサ・リングを有し、該センサ・リングは、前記回路基板の前記モータに対向する面に配置された、駆動量/入力検出用のセンサ・デバイスと相互作用する。
【0029】
前記複数のセンサ・リングは、各々、少なくとも一つの磁気素子、又は磁気素子の組を含むことができ、相互作用する前記センサ・デバイス、又は前記センサ・チップは、それぞれ、ホール効果を使用して前記磁気素子を含むセンサ・リングのそれぞれの位置を検出するように構成される。
【0030】
好ましくは、前記出力検出用、及び入力検出用の両方の前記センサ・デバイスは、同じタイプのセンサにする方がよく、これによって前記評価用電子回路がさらに改善される。
【0031】
前記出力は、前記センサ・リングが最大360°、又は360°未満しか回転しないので、該出力用の該センサ・リングの実際の位置を基に絶対位置で検出される。これに対し前記駆動量/入力、すなわち前記モータの位置は、前記駆動シャフトの回転数から、前記出力部品の前記実際の位置と関連付けて、かつ、通常、前記駆動シャフトと結合して用いられる減速ギアのギア比を考慮して、計算される。
【0032】
前記出力と前記入力の両方の信号の検出誤差を可能な限り小さくするために、前記センサ・リングと前記センサ・チップとの間の距離を一定の許容誤差の限度内に保つことは有利である。さらに、前記センサ・リングが前記センサ・チップに対して傾斜することは避けるべきである。
【0033】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、前記入力に対する前記センサ・リング、及び前記出力に対する前記センサ・リングは、前記回路基板の両面に同じように配置され、より好ましくは、前記出力用の前記センサ・リングと相互作用するセンサ・デバイスと、前記入力用の前記センサ・リングと相互作用するセンサ・デバイスとが、前記回路基板の両面の正反対の位置に配置されることが望ましく、それによって、前記センサ・デバイスの相互干渉を可能な限り排除することができる。
【0034】
さらに、前記センサ・リングと相互作用するセンサ・デバイスに対して、該センサ・リングを、それぞれ正確に平行に方向付けすることができるように、本発明は以下に説明する方策を提案する。
【0035】
前記出力用センサ・リングを正確にガイドするための、リング形状のスライド・ガイド溝が、前記回路基板の、前記モータと反対側の、前記出力用センサ・リングが配置される面に設けられる。さらに、前記スライド・ガイド溝のハウジングは、前記回路基板のケーブル等の配線用構成要素の固定、及びガイドのための手段を有することができる。
【0036】
本発明によれば、前記モータの前記ハウジング内の前記駆動シャフトを、前記出力の軸方向反対側にガイドするスラスト・ベアリングは、前記センサ・リングに、構造的かつ空間的に可能な限り接近して配置され、前記入力/駆動量検出用センサ・リングを正確に平坦にガイドすることができる。
【0037】
前記出力用の前記センサ・リングに対してスライド・ベアリングを設け、前記駆動シャフト用の上側スラスト・ベアリングの前記センサ・リングに対応する位置を決めることによって、両方のセンサ・リングを、該センサ・リングと対応するセンサ・チップに対して可能な限り平行かつ同心状に配置することが可能になり、その結果、公差に対する軸方向偏差、及び角度偏差を非常に小さくすることができ、検出誤差がほとんど発生しないようにすることができる。
【0038】
前記回路基板は、前記入力用センサ・リングに対して正確に平行に並ぶように配置することができる。このとき、該回路基板に設けられる連結部品は、前記モータのハウジングと該回路基板との間の距離を正確に維持するように前記モータのハウジングと相補的に係合するように構成される。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、センサ・シャフトは、配線部品を収容するための中空シャフトとして構成される。これらの配線部品は、マニピュレータの隣接する複数のアーム部材の間に配置された別の駆動ユニットから出た配線部品(ケーブル、データバス)でよい。これにより、配線部品をマニピュレータの内部に安全に通すことができ、駆動ユニットの機械部品から保護することができる。
【0040】
本発明は、ジョイントごとに一枚だけ集積回路基板を使用し、該回路基板は前記ジョイントのみを全体的に制御するように働くという利点を有する特徴がある。これによって、また、一つのジョイントの一つの回路基板を、他のジョイントの他の回路基板と電源線、及び信号バス線によって連結することにより、他のジョイントとの連結を簡単に形成することが可能になる。
【0041】
複雑な配線と、出力側センサ・デバイス用の少なくとも一つの別の回路基板と、の省略により、全体として、よりコンパクトな、従ってより軽い構造の駆動ユニットを実現することができる。全体として、必要な部品が削減され、これにより、組立の時間と、必要な場合にはメンテナンス時間が短縮され、両方の時間の短縮はコスト削減に結びつく。
【0042】
同時に、依然必要な配線部品を敷設するための、駆動ユニットの中心にある前記中空センサ・シャフトは、前記配線に対して一種の保護用鞘管として働く。
【0043】
出力検出用のセンサ・デバイスと駆動/入力用のセンサ・デバイスとの両方を単一の回路基板に配置することは、故障の影響を受けにくく、エラーを起こしにくいことは明らかである。評価アルゴリズムのプログラミングは実質的に簡単化される。
【0044】
したがって、上記文脈において、本発明は、複数のアーム部材を具備するマニピュレータを有するロボットに関し、該ロボットは、前記マニピュレータのアーム部材間に配置された少なくとも一つのジョイントにおける前記実施形態に基づく駆動ユニットを含む。
【図面の簡単な説明】
【0045】
さらに別の利点、及び特徴は、添付の図面に示されている実施形態の説明から明らかになる。
図1】本発明による駆動ユニットの軸に沿う長手方向の断面図である。
図2】本願発明の実施形態の分解図である。
図3】駆動シャフトのセンサ・リングとセンサ・シャフトのセンサ・リングとの配置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
説明例として、図1は、本発明による駆動ユニットの実施形態を、回転軸に沿った断面図、すなわち該駆動ユニットの長手方向の断面図で示す。
【0047】
図からわかるように、該駆動ユニットは、実質的に、回転対称に構成された構成要素、及び部品によって形成されている。
【0048】
本発明によれば、数個のモジュールが、軸方向に沿って、機能的に連動し、かつ互いに係合するモジュール型の構成が提供される。このようなモジュールの各々は、個別に交換することができ、本願発明に従って、相補的な構造、構成にされた連結技術によって連結することができる。
【0049】
図1、及び図2に示す駆動ユニットは、概略、機能の異なる4つの駆動モジュールを有する。
【0050】
第1駆動モジュールM1は、ハウジング2に収容されたギア1、例えば波動ギアを含む。ギア1の出力部品は、出力シャフト3によって第2駆動モジュールM2のハウジング4に、回転可能に固定、すなわちトルク伝達可能に連結されている。
【0051】
第2駆動モジュールM2は出力として働き、この目的のために、図示していない、マニピュレータ、又はロボット・アームの軸部材、又はアーム部材に回転可能に固定連結される。これに対し、第1駆動モジュールM1のハウジング2は、図示されていない、前記マニピュレータのさらに別のアーム部材に連結される。第2駆動モジュールM2のハウジング4は、ラジアル・ベアリング5によって、第1駆動モジュールM1のハウジング2に対して回転可能に支持されている。
【0052】
第2駆動モジュールM2の軸方向反対側で、第3駆動モジュールM3が第1駆動モジュールM1に固定され、該第3駆動モジュールM3はハウジング6を含み、ハウジング6の内部にモータ7が配置され、該モータ7はモータ・シャフト、すなわち駆動シャフト8を駆動する。
【0053】
駆動シャフト8は、ギア1の近くにある第1スラスト・ベアリング9とハウジング6を覆うカバー11の内側にある第2スラスト・ベアリング10とによって回転可能に支持され、それにより前記駆動ユニット内に中心位置で支持されている。
【0054】
第3駆動モジュールM3のハウジング6、又はハウジング6に結合されたカバー11の頂部に、第4駆動モジュールM4が連結支持部兼スペーサ12によって固定される。第4駆動モジュールM4は、センサ電子回路アセンブリ、及び制御電子回路アセンブリを搭載する回路基板13、又はPCBを有する。
【0055】
モータ7の駆動シャフト8は、中空軸として形成され、カバー11を貫通して、回路基板13のカバー11と対向する面まで延在している。
【0056】
第2駆動モジュールM2のハウジング4は、その正面側で、フランジ14によって、センサ・シャフト16のフランジ15と回転可能にネジ留めされている。
【0057】
図1でわかるように、センサ・シャフト16は、出力シャフト3、及びモータ7の入力/駆動シャフト8を、半径方向に間隔を空けて貫通し、回路基板13の開口部を通って、回路基板13の、第3駆動モジュールM3とは反対側の面まで延在する(図3では、中空の駆動シャフト8の内部の配置を図示するために、センサ・シャフト16は奥まった位置に図示されている)。
【0058】
駆動シャフト8の、回路基板13に対向する正面の軸方向端部は、センサ・リング17を有し、回路基板13上にはセンサ・チップ18が配置されている。センサ・チップ18は、相補的な方法でセンサ・リング17と相互作用する。このセンサ・リング17は、支持リング19によって支持リング19の上に固定され、駆動シャフト8に連動して一緒に回転する。
【0059】
また、センサ・シャフト16は、その正面の軸方向端部にセンサ・リング20を有する。該センサ・リング20は、又、対応する支持リング21内に固定されることによって回路基板13のセンサ・チップ22の上方で回転し、センサ・チップ22は、センサ・リング20と相互作用する。
【0060】
センサ・リング17とセンサ・リング20とは、少なくとも一つの磁気素子(不図示)を有し、センサ・チップ18とセンサ・チップ22との各々は、駆動シャフト8とセンサ・シャフト16との位置を、それぞれ、ホール効果を応用して検出するように構成される。
【0061】
センサ・シャフト16のセンサ・リング20を、センサ・チップ22に対して正確に同心状かつ平行になるようガイドするために、放射状ガイド溝23、すなわちガイド部23が回路基板13の上に配置され、スペーサ12と一緒にボルト留めされたている。
【0062】
駆動シャフト8のセンサ・リング17をセンサ・チップ18に対して正確に同心状かつ平行にガイドするために、第3駆動モジュールM3の第2スラスト・ベアリング10が回路基板13の可能な限り近傍に配置される。
図1
図2
図3