(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-11
(45)【発行日】2022-11-21
(54)【発明の名称】空調機システム
(51)【国際特許分類】
F25B 47/02 20060101AFI20221114BHJP
F25B 43/00 20060101ALI20221114BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20221114BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20221114BHJP
F25B 41/26 20210101ALI20221114BHJP
【FI】
F25B47/02 530C
F25B43/00 C
F25B13/00 S
F25B1/00 331Z
F25B1/00 321A
F25B13/00 331A
F25B13/00 N
F25B1/00 101D
F25B43/00 B
F25B41/26 A
(21)【出願番号】P 2020535568
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2018115747
(87)【国際公開番号】W WO2019128516
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】201711474368.1
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372472
【氏名又は名称】青島海尓空調器有限総公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER AIR CONDITIONER GENERAL CORP.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park,No.1 Haier Road,Laoshan District Qingdao,Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】王 飛
(72)【発明者】
【氏名】付 裕
(72)【発明者】
【氏名】羅 栄邦
(72)【発明者】
【氏名】許 文明
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/129361(WO,A1)
【文献】特開2009-228979(JP,A)
【文献】国際公開第2010/082325(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/059696(WO,A1)
【文献】特開2017-146015(JP,A)
【文献】国際公開第2015/162689(WO,A1)
【文献】特開2002-089988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F25B 43/00
F25B 13/00
F25B 1/00
F25B 41/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続されている、コンプレッサーと、室内熱交換器と、第一の絞り装置と、室外熱交換器と、がメイン回路に含まれる空調機システムであって、
前記メイン回路に、熱交換器と第一の気液分離器とがさらに設置され、かつ、前記コンプレッサーと前記室外熱交換器との間に迂回除霜回路が設置され、
前記第一の絞り装置と前記室内熱交換器との間に第一の管路があり、前記第一の絞り装置と前記室外熱交換器との間の第二の管路があり、
前記熱交換器の一の側が
前記第一の管路に接続され、前記熱交換器の他の側が
前記第二の管路に接続されることにより、前記第一の管路を通過した冷媒、及び、前記第二の管路を通過した冷媒は前記熱交換器に熱交換を行うことができるようにし、
前記第一の気液分離器は、前記熱交換器と前記室外熱交換器との間における
前記第二の管路の部分に位置し、かつ、前記第一の気液分離器と前記コンプレッサーとの間に迂回管路を設置し、
前記迂回除霜回路は、空調が暖房している過程に、前記室外熱交換器に除霜の操作を行うためのものであ
り、
さらに、前記空調機システムが暖房運転している際に、気体の冷媒の流量をコントロールするための第二の絞り装置が設置される、
空調機システム。
【請求項2】
前記第一の管路は、前記熱交換器の一の側を通り抜け、及び/又は、前記第二の管路は、前記熱交換器の他の側を通り抜ける、
請求項1に記載の空調機システム。
【請求項3】
前記メイン回路には、前記熱交換器と前記室内熱交換器との間における第一の管路の部分に位置する第三の絞り装置がさらに設置される、
請求項
2に記載の空調機システム。
【請求項4】
前記空調機システムが暖房運転している際に、前記第三の絞り装置が全開の状態になり、前記第一の絞り装置が冷媒を絞るためのものである、
請求項
3に記載の空調機システム。
【請求項5】
前記空調機システムが冷房運転している際に、前記第一の絞り装置が全開の状態になり、前記第三の絞り装置が冷媒を絞るためのものである、
請求項
3に記載の空調機システム。
【請求項6】
前記迂回除霜回路には、絞り弁が設置され、
前記室外熱交換器に除霜を行う必要がある場合に、前記絞り弁をオンにし、前記コンプレッサーから流出された冷媒が前記迂回除霜回路を通過して前記室外熱交換器に除霜の操作を行うようにし、
前記室外熱交換器に除霜を行う必要が無くなる場合に、前記絞り弁をオフにする、
請求項1に記載の空調機システム。
【請求項7】
前記コンプレッサーには、第二の気液分離器が設置され、
冷媒は、前記第二の気液分離器を経た後に、前記コンプレッサーへ回流する、
請求項1から
6のいずれか一つに記載の空調機システム。
【請求項8】
前記迂回管路は、前記第二の気液分離器の上流に接続される、
請求項
7に記載の空調機システム。
【請求項9】
前記空調機システムには、冷房モードと暖房モードとの間に前記空調機システムを切り替えるための四方弁が含まれる、
請求項1から
6のいずれか一つに記載の空調機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機の技術分野に関し、特に空調機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空調機システムは、一般的に、コンデンサーと、絞り装置と、蒸発器と、コンプレッサーとにより、冷房/暖房の循環回路を形成している。コンプレッサーから排出された高温・高圧の気体冷媒は、コンデンサーに低温・高圧の液体として凝縮され、しかも、絞り装置により低温・低圧の液体として絞られる。次に、蒸発器に入り、吸熱して蒸発されると、一つの冷房/暖房のサイクルが完了することになる。
【0003】
空調機が暖房運転している際に、高温・高圧の気体冷媒は、コンデンサーにより熱交換された後に、低温・高圧の液体の冷媒になり、また、絞り装置により絞って降圧された後に、低温・低圧の気体相と液体相が共に存在しているものになり、蒸発器に入り熱交換を行うことになる。蒸発の面積は、大きいほど、相対的に蒸発の能力が高い。なお、低温・高圧の液体の冷媒は、放熱しつつあると、超冷却度が高くなり、システムの循環における冷房・暖房量を増加させることになる。冷却材は、熱交換が行われると、95%以上の熱交換量がその気体相と液体相の気化潜熱によるものであり、単一の相(単純な液体や気体)の定圧比熱容量が相当に小さく、熱交換量がシステムの循環の全体に占める比は小さい。また、気体の冷却材は、管路内の降圧が大きく、システムの循環における圧力損失の主な源であり、循環の電力消費量が増加し、システムの循環におけるエネルギー消費が増加してしまう恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
なお、
図3を参照すると、
図3は、従来の空調機が暖房運転している際の循環の原理図である。
図3に示されるように、空調機が暖房運転する実際の運転の温度点については、一般的に、冷媒は、A点で70℃の高温の気体となり、室内熱交換器に入ると20℃の室内の環境と熱交換を行い、温度が30℃まで低下し、機器接続管を通過した後に絞り装置に入る。また、B点と絞り装置との間の温度(30℃程度)が7℃の室外環境温度よりも遥かに高く、余熱が無駄になってしまう。そして、余熱が吸収されて利用されると、システムの循環における超冷却度を増加することができる。本発明は、このことに鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術における上記の課題を解決するために、即ち、空調機の暖房サイクルの効果を向上させるために、本発明が提供する空調機システムは、直列接続されている、コンプレッサーと、室内熱交換器と、第一の絞り装置と、室外熱交換器とがメイン回路に含まれ、前記メイン回路に、熱交換器と第一の気液分離器とがさらに設置され、かつ、前記コンプレッサーと前記室外熱交換器との間に迂回除霜回路が設置され、前記熱交換器の一の側が前記第一の絞り装置と前記室内熱交換器との間における第一の管路に接続され、前記熱交換器の他の側が前記第一の絞り装置と前記室外熱交換器との間における第二の管路に接続されることにより、前記第一の管路を通過した冷媒、及び、前記第二の管路を通過した冷媒は前記熱交換器に熱交換を行うことができるようにし、前記第一の気液分離器は、前記熱交換器と前記室内熱交換器との間における第二の管路の部分に位置し、かつ、前記第一の気液分離器と前記コンプレッサーとの間に迂回管路を設置し、前記迂回除霜回路は、空調が暖房している過程に、前記室外熱交換器に除霜の操作を行うためのものである。
【0006】
上記の空調機システムに係る好ましい実施形態において、前記迂回管路には、前記空調機システムが暖房運転している際に、気体の冷媒の流量をコントロールするための第二の絞り装置が設置される。
【0007】
上記の空調機システムに係る好ましい実施形態において、前記第一の管路は、前記熱交換器の一の側を通り抜け、及び/又は、前記第二の管路は、前記熱交換器の他の側を通り抜ける。
【0008】
上記の空調機システムに係る好ましい実施形態において、前記メイン回路には、前記熱交換器と前記室内熱交換器との間における第一の管路の部分に位置する第三の絞り装置がさらに設置される。
【0009】
上記の空調機システムに係る好ましい実施形態において、前記空調機システムが暖房運転している際に、前記第三の絞り装置が全開の状態になり、前記第一の絞り装置が冷媒を絞るためのものである。
【0010】
上記の空調機システムに係る好ましい実施形態において、前記空調機システムが冷房運転している際に、前記第一の絞り装置が全開の状態になり、前記第三の絞り装置が冷媒を絞るためのものである。
【0011】
上記の空調機システムに係る好ましい実施形態において、前記迂回除霜回路には、絞り弁が設置され、前記室外熱交換器に除霜を行う必要がある場合に、前記絞り弁をオンにし、前記コンプレッサーから流出された冷媒が前記迂回除霜回路を通過して前記室外熱交換器に除霜の操作を行うようにし、前記室外熱交換器に除霜を行う必要が無くなる場合に、前記絞り弁をオフにする。
【0012】
上記の空調機システムに係る好ましい実施形態において、前記コンプレッサーには、第二の気液分離器が設置され、冷媒は、前記第二の気液分離器を経た後に、前記コンプレッサーへ回流する。上記の空調機システムに係る好ましい実施形態において、前記迂回管路は、前記第二の気液分離器の上流に接続される。
【0013】
上記の空調機システムに係る好ましい実施形態において、前記空調機システムには、冷房モードと暖房モードとの間に前記空調機システムを切り替えるための四方弁が含まれる。
【0014】
本発明に係る技術の形態は、空調機システムに熱交換器が追加され、当該熱交換器の両側のそれぞれが第一の管路と第二の管路に接続されることから、第一の管路における冷媒及び第二の管路における冷媒は、熱交換器に熱交換を行うことができる。そして、第一の管路における冷媒の超冷却度を効果に増やすことができるのみならず、第二の管路における冷媒の蒸発を促進してシステムの暖房量を増加することができる。また、本発明に係る第一の気液分離器とコンプレッサーとの間には、迂回管路が設置される。気液分離器を経た気体冷媒は、当該迂回管路を通過してからコンプレッサーの吸気口に入ることができる。そして、この部分の気体冷媒が、暖房サイクルにおける圧力損失を減少することは、コンプレッサーにおける吸気口の圧力を増加することに相当することから、コンプレッサーの電力消費を減少し、空調機システムが暖房サイクルを行う際の冷媒の循環量を増加し、暖房量を増加する、という目的を実現することができる。本発明は、迂回除霜回路をさらに追加することにより、空調機が除霜している過程に、冷媒が室内熱交換器に入り暖房を行いつつあるようにすることができる。即ち、空調機が依然として暖房の状況を維持し、空調機の運転が停止されなくても除霜ができる、という目的を達成することができる。また、本発明に係る空調機は、第三の絞り装置を設置する形態により、空調機が冷房モードに切り替えられた時に、第一の絞り装置(この時に、第一の絞り装置が全開の状態にある)に代わり、当該第三の絞り装置を利用し、冷媒を絞ることから、冷房サイクルを行う際に、冷房量が低下してしまう現象を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る空調機システムの実施例一の構成の原理図である。
【
図2】本発明に係る空調機システムの実施例二の構成の原理図である。
【
図3】従来の空調機が暖房運転している際の循環の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る実施例、技術の形態及び利点をより明確にするように、以下に、図面に基づいて、本発明に係る技術の形態を明確にかつ完全に説明する。この実施例が、本発明に係る実施例のすべてでなく、その一部だけに過ぎないことも自明である。これらの実施形態は、本発明に係る保護範囲を限定するものではなく、あくまでも本発明に係る技術原理を説明するためのものであることも、当業者にとって理解するべきである。
【0017】
まず、
図1を参照すると、
図1は、本発明に係る空調機システムの実施例一の構成の原理図である。
図1に示されるように、本発明に係る空調機システムでは、直列接続されるコンプレッサー1と、室内熱交換器2と、第一の絞り装置3と、室外熱交換器4と、がメイン回路に含まれる。当該メイン回路に、さらに、熱交換器5が設置される。説明を便宜にするように、第一の絞り装置3と室内熱交換器2との間における管路を第一の管路Mとし、第一の絞り装置3と室外熱交換器4との間における管路を第二の管路Nとし、熱交換器5の一の側を第一の管路Mに接続し、熱交換器5の他の側を第二の管路Nに接続する。
図1に示されるように、その接続は、第一の管路Mが熱交換器5の一の側を通り抜け、第二の管路Nが熱交換器Nの他の側を通り抜けるという方式になる。しかも、第一の管路Mを通過した冷媒及び第二の管路Nを通過した冷媒は、熱交換器5に熱交換を行うことができる。また、メイン回路には、さらに、熱交換器5と室外熱交換器4との間における第二の管路Nの部分に位置し、コンプレッサー1との間に迂回管路Lを設置する第一の気液分離器6が設置される。また、本発明に係る空調機システムでは、コンプレッサー1と室外熱交換器4との間に、空調暖房サイクルにある過程において、室外熱交換器4に除霜の操作を行わせるための迂回除霜回路Pがさらに設置される。
【0018】
例示すると、
図1に示されるように、迂回除霜回路Pに、絞り弁9を設置し、室外熱交換器4に除霜を行う必要がある場合に、絞り弁9をオンにし、冷媒に迂回除霜回路Pを通過させ、室外熱交換器4に除霜の操作を行う一方、室外熱交換器4に除霜を行う必要が無くなる場合に、絞り弁9をオフにする。迂回除霜回路Pを追加することにより、空調機が除霜している過程に、冷媒が室内熱交換器2に入り暖房を行いつつあるようにすることができる。即ち、空調機が依然として暖房の状況を維持し、空調機の運転が停止されなくても除霜できる、という目的を達成することができる。
【0019】
空調機が暖房サイクルにある過程では、コンプレッサー1から排出された高温・高圧の気体の冷媒は、室内熱交換器2へ流出し、室内熱交換器2に熱交換を行って、低温・高圧の液体の冷媒になる。冷媒は、第一の管路Mに沿ってC点に到着すると、冷媒の温度が20℃程度となる(ここでの熱量は、十分に利用されていない廃棄熱である)。次に、冷媒は、第一の絞り装置3に絞られた後に、第二の管路Nに入ると、D点での冷媒(絞られた冷媒)の温度は5℃程度となる。第一の管路Mにおける冷媒と第二の管路Nにおける冷媒との間に温度差が存在しており、いずれも熱交換器5を通過するため、第一の管路Mにおける冷媒及び第二の管路Nにおける冷媒は、熱交換器5に熱交換を行うことになる。そして、第一の管路Mにおける冷媒の超冷却度(即ち、C点から第一の絞り装置3までの冷媒が放熱して温度が下がりつつあること)を効果的に増やすことができるのみならず、第二の管路Nにおける冷媒の蒸発(即ち、D点での低温の冷媒は、C点での余熱を蒸発して吸熱することができるため、これは、蒸発の面積を増加させて熱交換の能力を効果的に向上させることに相当する)を促進して暖房量を増加することができる。
【0020】
次に、熱交換器5により熱交換された冷媒は、第一の気液分離器6に入り、第一の気液分離器6により分離された気体冷媒は、そのまま迂回管路Lに沿ってコンプレッサー1へ回流する。そして、この部分の気体冷媒が、暖房サイクルの圧力損失を減少することは、コンプレッサー1における吸気口の圧力を増加することに相当することから、コンプレッサー1の電力消費を減少させ、空調機システムが暖房サイクルを行う際の冷媒の循環量を増加させ、暖房量を増加する、という目的を実現することができる。第一の気液分離器6を経た液体冷媒は、室外熱交換器4を通過してからコンプレッサー1へ回流する。このような設計によれば、空調機が暖房運転している過程において、廃棄熱を再度利用できるのみならず、システムにおける電力消費を低下させ、空調機システムが暖房サイクルを行う際の冷媒の循環量を増加し、システム全体の暖房量を増加することができる。
【0021】
例示すると、迂回管路Lには、空調が暖房運転している際に、気体の冷媒の流量をコントロールするための第二の絞り装置7が設置される。即ち、実際の運転の状況に従って、気体の冷媒が通過する量を自由にコントロールするように、第二の絞り装置7の開度を調整してもよい。冷房サイクルを行う際に、迂回管路Lが冷房サイクルに関与しないように、第二の絞り装置7をオフにしてもよい。
【0022】
注意されたいことは、上記に記載される熱交換器5は、水を貯める水タンクであってもよく、第一の絞り装置3における上流と下流の冷媒に熱交換を行わせるものであれば、他の任意の適当なものであってもよい。また、上記の設計は、暖房サイクルの暖房量を効果的に向上させる一方、冷房サイクルの際に冷房量を低下させるものである。
【0023】
例示すると、本発明に係る空調機システムは、冷房モードと暖房モードとの間に空調機システムを切り替えるためのモード切り替え装置(例えば、
図1に示される四方弁Q)をさらに含む。
【0024】
例示すると、
図2を参照し、
図2は本発明に係る空調機システムの実施例二の構成の原理図である。
図2に示されるように、本発明に係る空調機システムは、さらに、熱交換器5と室内熱交換器2との間における第一の管路M部分に位置する第三の絞り装置8がメイン回路に設置される。空調機が暖房運転している際に、第三の絞り装置8は、全開の状態になり、第一の絞り装置3は、冷媒を絞るためのものである。この時、実施例一に係る空調機システムの原理と同様に、四方弁Qにより空調機システムを冷房の運転に切り替えると、第一の絞り装置3は、全開の状態になり、第三の絞り装置8は、冷媒を絞るためのものである。それと同時に、第二の絞り装置7をオフにする。この時、熱交換器5における両側の冷媒は、温度差がほぼなくなる。即ち、熱交換器5が冷房サイクルを行う過程において機能せず、冷房サイクルの全体が通常の冷房サイクルとなる。そして、冷房が運転している際の冷房量が低下してしまうことを避けることができる。
【0025】
好ましくは、
図1と
図2を参照すると、コンプレッサー1に気液分離器11を設置し、コンプレッサー1に入った気体の冷媒は、まず、当該気液分離器11を経て、次に、コンプレッサー1に吸入されると、次のサイクルをスタートさせることになる。また、迂回管路Lは、第二の気液分離器11の上流に接続される。
【0026】
以上より、本発明に係る空調機システムは、熱交換器を追加すると共に、当該熱交換器の両側のそれぞれが第一の管路と第二の管路に接続されることから、第一の管路における冷媒及び第二の管路における冷媒は、熱交換器に熱交換を行うことができる。第一の管路における冷媒の超冷却度を効果的に増やすことができるのみならず、第二の管路における冷媒の蒸発を促進してシステムの暖房量を増加することができる。しかも、本発明に係る第一の気液分離器とコンプレッサーとの間に迂回管路を設置し、第一の気液分離器を通過した気体冷媒は、当該迂回管路を通過してからコンプレッサーの吸気口に入ることができる。そして、この部分の気体冷媒が暖房サイクルにおける圧力損失を減少することは、コンプレッサーの吸気口の圧力を増加することに相当し、コンプレッサーの電力消費を低下させ、空調機システムが暖房サイクルを行う際の冷媒の循環量を増加させ、暖房量を増加する、という目的を実現することができる。本発明は、さらに、迂回除霜回路を追加し、空調機が除霜している過程に、冷媒が室内熱交換器に入り暖房を行いつつあるようにすることができる。即ち、空調機が依然として暖房の状況を維持し、空調機の運転が停止されなくても除霜できる、という目的を達成することができる。また、本発明に係る空調機は、第三の絞り装置をさらに設置する形態により、空調機が冷房モードに切り替えられた時に、第一の絞り装置(この時に、第一の絞り装置が全開の状態にある)に代わり、当該第三の絞り装置を利用し、冷媒を絞ることから、冷房サイクルを行う際に、冷房量が低下してしまう現象を避けることができる。
【0027】
なお、図面に示される好ましい実施形態を組み合わせて、本発明に係る技術の形態を説明したが、本発明に係る保護の範囲がこれらの具体的な実施形態に限られていないことも、当業者にとって容易に理解され得る。本発明に係る原理を逸脱しないという前提で、当業者が関連技術の特徴に同等の変形や代替を行ってもよく、これらの変形や替換が行われた技術の形態も本発明に係る保護範囲に含まれている。