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特許7177373無線通信システム、無線通信方法、および端末装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-15
(45)【発行日】2022-11-24
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信方法、および端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20221116BHJP
【FI】
H04W52/02 111
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021562329
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2020039105
(87)【国際公開番号】W WO2022079898
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 健人
(72)【発明者】
【氏名】藤野 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】片山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】宮武 遼
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110691399(CN,A)
【文献】特開2007-202134(JP,A)
【文献】特開平09-200088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を間欠的に検出可能な第1モードと、データの送信または受信が可能な第2モードとの間で動作モードが遷移する1以上の端末装置と、前記1以上の端末装置に対して前記第2モードへの移行を指示する指示フレームを所定の送信間隔で送信するゲートウェイ装置とを備える無線通信システムであって、
前記1以上の端末装置のそれぞれは、
前記指示フレームの検出処理を行う指示フレーム検出部と、
前記指示フレームが検出された回数に基づいて自装置の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに遷移させる制御部と、
を備え
前記制御部は、連続する複数回の検出処理において前記指示フレームが複数回検出された場合に、前記指示フレームを検出した検出処理と前記指示フレームを検出しなかった検出処理との組み合わせに基づいて、自装置を前記第1モードから前記第2モードに遷移させるか否かを判定する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記端末装置は、前記制御部が、自装置を前記第1モードから前記第2モードに遷移させると判定する場合の前記組み合わせのパターンを設定する設定部をさらに備える、
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数回の検出処理を実行する間隔の長さを、前記ゲートウェイ装置が前記指示フレームを送信する間隔に基づいて決定する、
請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記指示フレーム検出部が3回以上の検出処理を行う場合、前記検出処理を実行する間隔の長さを、複数種類の異なる長さに設定する、
請求項1からのいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
無線信号を間欠的に検出可能な第1モードと、データの送信または受信が可能な第2モードとの間で動作モードが遷移する1以上の端末装置と、前記1以上の端末装置に対して前記第2モードへの移行を指示する指示フレームを所定の送信間隔で送信するゲートウェイ装置とを備える無線通信システムにおいて、
前記1以上の端末装置のそれぞれが、
前記指示フレームの検出処理を行う指示フレーム検出ステップと、
前記指示フレームが検出された回数に基づいて自装置の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに遷移させる制御ステップと、
を有し、
前記制御ステップにおいて、連続する複数回の検出処理において前記指示フレームが複数回検出された場合に、前記指示フレームを検出した検出処理と前記指示フレームを検出しなかった検出処理との組み合わせに基づいて、自装置を前記第1モードから前記第2モードに遷移させるか否かを判定する、
無線通信方法。
【請求項6】
無線信号を間欠的に検出可能な第1モードと、データの送信または受信が可能な第2モードとの間で動作モードが遷移する1以上の端末装置と、前記1以上の端末装置に対して前記第2モードへの移行を指示する指示フレームを所定の送信間隔で送信するゲートウェイ装置とを備える無線通信システムにおける前記端末装置のそれぞれであって、
前記指示フレームの検出処理を行う指示フレーム検出部と、
前記指示フレームが検出された回数に基づいて自装置の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに遷移させる制御部と、
を備え
前記制御部は、連続する複数回の検出処理において前記指示フレームが複数回検出された場合に、前記指示フレームを検出した検出処理と前記指示フレームを検出しなかった検出処理との組み合わせに基づいて、自装置を前記第1モードから前記第2モードに遷移させるか否かを判定する、
端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線通信方法、および端末装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)のセンサ端末等は、電池駆動で利用されることが多く、十年を超える長寿命化が求められる場合がある。IoTの通信では特に通信要求や頻度が、他の無線通信に比べて比較的低いことから、端末装置に間欠的に通信を行わせる方法(間欠通信)が提案されている。具体的には、間欠通信は、端末装置の動作モードを、通信が可能な通信モードと、低電力で動作可能なスリープモードとの間で遷移させることによって実現される。間欠通信は、通信要求が定期的に発生する場合には簡単な構成で制御できるため、その設計も比較的容易に行える。一方で、通信要求が任意のタイミングで発生する場合には、送信側と受信側の両方を任意のタイミングで通信モードに遷移させなければならないため、制御が複雑になり、その設計も難しくなる。
【0003】
例えば、端末装置の動作モードをスリープモードから通信モードに遷移させる方法として、端末装置に対してスリープモードから通信モードへの移行を指示するフレーム(以下「起動指示フレーム」という。)を送信する方法がある。以下、スリープモードから通信モードへの移行の指示を起動指示といい、端末装置がスリープモードから通信モードに移行することを「起動」という。また、端末装置がスリープモードから通信モードに移行する処理を「起動処理」といい、起動指示の対象となる端末装置を「対象端末」という。この方法では、ゲートウェイ装置は、対象端末の起動が確認できるまで所定の送信間隔で起動指示フレームを送信し続ける。一方、スリープモードにある対象端末は、定期的に起動指示フレームの検出を試行し、起動指示フレームの検出に成功した場合に通信モードに移行し、起動指示フレームの検出に失敗した場合にはスリープモードでの動作を継続する。
【0004】
また、省電力性のさらなる向上を実現するために、起動指示フレームのプリアンブルを検出させることによって、端末装置に起動指示フレームを検出させる方法も提案されている。この方法では、端末装置の動作モードは、起動指示フレームを検出可能な検出モードと、ゲートウェイ装置と通信が可能な通信モードと、通信を行わないスリープモードとの間で遷移する。ここで、検出モードは、無線信号の検出は可能であるが、フレームの送受信は行わない動作モードであり、通信モードよりも低電力での動作が可能な動作モードである。
【0005】
図6は、従来技術において制御装置(以下「ゲートウェイ装置」という。)が端末装置の動作モードをスリープモードから通信モードに遷移させる動作の流れを説明するタイミングチャートである。この例において、まず、時刻t10において、ゲートウェイ装置が起動指示フレームを送信するが、この起動指示フレームのプリアンブルを検出可能な期間Pにおいては端末装置の検出タイミングが到来しないため、端末装置は依然としてスリープモードのままである。ゲートウェイ装置は、端末装置の起動が確認できなかったため、次の送信タイミングである時刻t12において再度起動指示フレームを送信することを決定する。ここで、時刻t12は、時刻t10から所定の送信間隔TBCNが経過した時刻である。また、起動指示フレームは、送信データを格納するペイロードに、起動指示フレームであることを示すプリアンブルを付加することにより生成される。
【0006】
続いて、時刻t11において、端末装置の検出タイミングが到来する。端末装置は、検出タイミングの到来に応じて検出モードへと移行し、起動指示フレームの検出処理を実行する。しかしながら、このタイミングではゲートウェイ装置が起動指示フレームを送信していないため、端末装置は起動指示フレームを検出することなく、再度スリープモードに移行する。
【0007】
続いて、時刻t12において、ゲートウェイ装置が再度起動指示フレームを送信する。また、この起動指示フレームのプリアンブルを検出可能な期間Pにおいて端末装置の検出タイミングが再度到来する(時刻t13)。端末装置は、検出タイミングの到来に応じて再度検出モードへと移行し、起動指示フレームの検出処理を実行する。このタイミングでは、ゲートウェイ装置が起動指示フレームのプリアンブルを送信しているため、端末装置は起動指示フレームを検出し、それに応じて検出モードから通信モードへと移行する。端末装置は、通信モードに移行すると、検出した起動指示フレームの受信、およびゲートウェイ装置に対するデータフレームの送信を行った後、再度スリープモードへと移行する。一方、ゲートウェイ装置は、端末装置が通信モードに移行した(すなわち起動した)ことが確認できると、後述する受信モードに移行して起動指示フレームの送信を終了する。ゲートウェイ装置は、受信モードに移行した後、端末装置からデータフレーム受信し、端末装置との通信が正常終了するとスリープモードに移行する。
【0008】
図7および図8は、このような従来技術の制御方法を実現する処理の流れを示すフローチャートである。図7は、ゲートウェイ装置の処理の流れを示し、図8は、端末装置の処理の流れを示す。まず、ゲートウェイ装置の処理から説明する(図7)。フローチャートの開始時点において、ゲートウェイ装置は、データ送信が可能な送信モードで動作しており、起動指示フレームの送信タイミングが到来するのを待機している状態である。ゲートウェイ装置は、送信タイミングが到来したら起動指示フレームを送信し(ステップS11)、データの受信が可能な受信モードに移行する(ステップS12)。
【0009】
続いて、ゲートウェイ装置は、端末装置からデータ送信要求が受信されたか否かを判定する(ステップS13)。ここで、データ送信要求が受信されていないと判定した場合(ステップS13-NO)、ゲートウェイ装置は所定時間の待機を行った後(ステップS14)、ステップS11に処理を戻し、再度起動指示フレームを送信する。一方、データ送信要求が受信されたと判定した場合(ステップS13-YES)、ゲートウェイ装置は、端末装置にデータ送信指示を送信する(ステップS15)。ゲートウェイ装置は、データ送信指示に応じて端末装置が送信したデータを受信し(ステップS16)、一連の処理を終了する。
【0010】
続いて、端末装置の処理について説明する(図8)。フローチャートの開始時点において、端末装置は、スリープモードで動作しており、起動指示フレームを検出するタイミングが到来するのを待機している状態である。端末装置は、検出タイミングが到来したら、起動指示フレームの検出が可能な検出モードに移行し、起動指示フレームのプリアンブルの検出処理を実行する(ステップS21)。続いて、端末装置は、起動指示フレームのプリアンブルが検出されたか否かを判定する(ステップS22)。ここで、起動指示フレームのプリアンブルが検出されなかったと判定した場合(ステップS22-NO)、端末装置は再度スリープモードに移行し、次の検出タイミングが到来するのを待機する(ステップS23)。この場合、端末装置は、次の検出タイミングが到来すると再度検出モードに移行して、ステップS21に処理を戻す。
【0011】
一方、起動指示フレームのプリアンブルが検出されたと判定した場合(ステップS22-YES)、端末装置は、ゲートウェイ装置に対してデータ送信要求を送信し(ステップS24)、ゲートウェイ装置からデータ送信指示が受信されるのを待機する(ステップS25)。端末装置は、ゲートウェイ装置からデータ送信指示が受信されたことに応じて、ゲートウェイ装置に対するデータ送信を行う(ステップS26)。
【0012】
図9および図10は、従来技術における端末装置とゲートウェイ装置の状態遷移の概略を示す図である。図9は、ゲートウェイ装置の状態遷移を示し、図10は、端末装置の状態遷移を示す。まず、ゲートウェイ装置の状態遷移について説明する(図9)。ゲートウェイ装置の動作モードは、送信モードと、受信モードと、スリープモードと、の3つの動作モードの間で遷移する。送信モードは、起動指示フレームの送信が可能な状態である。送信モードで動作中のゲートウェイ装置は、端末装置から通信要求が発生すると受信モードに移行する。受信モードは、データの受信(または送受信)が可能な状態である。
【0013】
例えば、ゲートウェイ装置は、受信モードにおいて端末装置からデータを受信する。受信モードで動作中のゲートウェイ装置は、端末装置からのデータ受信が正常終了するとスリープモードに移行する。スリープモードは、低電力で動作する動作モードであり、データの送受信を行わない動作モードである。スリープモードで動作中のゲートウェイ装置は、所定の事象を契機として送信モードに移行する。例えば、スリープモードで動作中(または待機中)のゲートウェイ装置は、通信機能の上位層(例えばアプリケーション層など)から端末装置への通信要求が通知された場合に送信モードに移行する。なお、ゲートウェイ装置に対して省電力性が求められない場合には、ゲートウェイ装置はスリープモードに代えて、単に次の送受信を待機する動作モード(待機モード)に移行してもよい。
【0014】
続いて、端末装置の状態遷移について説明する(図10)。端末装置の動作モードは、検出モードと、通信モードと、スリープモードと、の3つの動作モードの間で遷移する。上述のとおり、検出モードは、起動指示フレームを検出可能な動作モードである。具体的には、端末装置は、起動指示フレームのプリアンブルを検出することにより、起動指示フレームを検出する。検出モードで動作中の端末装置は、起動指示フレームを検出すると通信モードに移行する。また、検出モードで動作中の端末装置は、起動指示フレームが検出されない場合にはスリープモードに移行する。
【0015】
通信モードは、データの送信(または送受信)が可能な状態である。例えば、端末装置は、通信モードにおいてゲートウェイ装置にデータ送信要求を送信し、ゲートウェイ装置からデータ送信指示が受信されたことに応じてゲートウェイ装置にデータを送信する。通信モードで動作中の端末装置は、ゲートウェイ装置との通信が正常終了するとスリープモードに移行する。スリープモードは、低電力で動作する動作モードであり、データの送受信を行わない動作モードである。スリープモードで動作中の端末装置は、所定の事象を契機として検出モードに移行する。例えば、スリープモードで動作中の端末装置において、起動指示フレームの検出タイミングを通知する割り込みが発生した場合に検出モードに移行する。
【0016】
このような制御方法によれば、ゲートウェイ装置が送信する起動指示フレームのプリアンブル長と、端末装置が起動指示フレームのプリアンブルを検出する間隔とを適切に設定することにより、通信要求が任意のタイミングで発生する場合であっても、送信側(図の例では端末装置)と受信側(図の例ではゲートウェイ装置)の両方が、互いに通信可能となるように動作モードに遷移させることができる。
【0017】
しかしながら、電波法では、一つの端末装置が連続して送信可能な時間や、単位時間当たりに占める総送信時間の割合(Duty比ともいう)に制約がある。そのため、非常に長いプリアンブルを持つフレームを複数回送信することで通信装置の動作モードを制御するような方法の実現には、電波法による制約をクリアしなければならないという課題がある。
【0018】
そこで、ゲートウェイ装置が送信する起動指示フレームのプリアンブル長と、フレームの送信間隔、端末装置が起動指示フレームを検出する間隔の設定において、素数の性質を利用する方法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。起動指示フレームを送信する送信機(例えば、上記のゲートウェイ装置)と、起動指示フレームを受信する受信機(例えば、上記の端末装置)とが1対多であることが多いIoT通信システムにおいて、間欠動作している受信機を、送信機から起動指示フレームを送信することによって起動しようとする場合、受信機の数が多くなればなるほど送信機のDuty比に関する制約をクリアすることが難しくなる。このような課題に対して、特許文献1の技術を用いれば、起動指示の対象となる受信機が多数存在する場合であっても、電波法の制約を守りつつ、ゲートウェイ装置および端末装置の間欠動作の間隔を所望の間隔に設定することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】特許第6542959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、従来技術では、受信機が多数存在する場合にも所望の間欠動作間隔を設定することが可能となるものの、受信機が起動指示フレームを誤検知して起動してしまうことを防止することはできない。例えば、受信機は、送信機が送信する起動指示フレームと似た信号(例えば、周波数や変調方式などの特徴が類似する信号)を誤って起動指示フレームと検出する可能性がある。上述のとおり、通信装置の長寿命化を実現するにあたり、受信機が誤って起動してしまうことは無駄な電力消費を発生させるため好ましくない。
【0021】
上記事情に鑑み、本発明は、間欠動作する端末装置が起動指示フレームを誤検知することを抑制することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一態様は、無線信号を間欠的に検出可能な第1モードと、データの送信または受信が可能な第2モードとの間で動作モードが遷移する1以上の端末装置と、前記1以上の端末装置に対して前記第2モードへの移行を指示する指示フレームを所定の送信間隔で送信するゲートウェイ装置とを備える無線通信システムであって、前記1以上の端末装置のそれぞれは、前記指示フレームの検出処理を行う指示フレーム検出部と、前記指示フレームが検出された回数に基づいて自装置の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに遷移させる制御部と、を備える無線通信システムである。
【0023】
本発明の一態様は、無線信号を間欠的に検出可能な第1モードと、データの送信または受信が可能な第2モードとの間で動作モードが遷移する1以上の端末装置と、前記1以上の端末装置に対して前記第2モードへの移行を指示する指示フレームを所定の送信間隔で送信するゲートウェイ装置とを備える無線通信システムにおいて、前記1以上の端末装置のそれぞれが、前記指示フレームの検出処理を行う指示フレーム検出ステップと、前記指示フレームが検出された回数に基づいて自装置の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに遷移させる制御ステップと、を有する無線通信方法である。
【0024】
本発明の一態様は、無線信号を間欠的に検出可能な第1モードと、データの送信または受信が可能な第2モードとの間で動作モードが遷移する1以上の端末装置と、前記1以上の端末装置に対して前記第2モードへの移行を指示する指示フレームを所定の送信間隔で送信するゲートウェイ装置とを備える無線通信システムにおける前記端末装置のそれぞれであって、前記指示フレームの検出処理を行う指示フレーム検出部と、前記指示フレームが検出された回数に基づいて自装置の動作モードを前記第1モードから前記第2モードに遷移させる制御部と、を備える端末装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、間欠動作により無線通信を行う端末装置の消費電力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態の無線通信システムのシステム構成例を示す図である。
図2】実施形態の端末装置が自装置の状態遷移を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
図3】実施形態の無線通信システムによる動作例を示す図である。
図4】実施形態における端末装置の状態遷移の具体例を示す図である。
図5】変形例の無線通信システムによる動作例を示す図である。
図6】従来技術においてゲートウェイ装置が端末装置の動作モードをスリープモードから通信モードに遷移させる動作の流れを説明するタイミングチャートである。
図7】従来技術におけるゲートウェイ装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】従来技術における端末装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】従来技術におけるゲートウェイ装置の通信機能に関する状態遷移を示す図である。
図10】従来技術における端末装置の通信機能に関する状態遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、実施形態の無線通信システム100のシステム構成例を示す図である。無線通信システム100は、端末装置200-1~200-N(Nは1以上の整数)と、ゲートウェイ装置300とを備える。端末装置200と、ゲートウェイ装置300とは、それぞれが無線信号を送受信するためのアンテナを備えており、それぞれのアンテナを介して互いに無線通信可能に接続される。以下では、特に区別しない場合、端末装置200-1~200-Nを端末装置200と記載する。
【0029】
端末装置200は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。端末装置200は、プログラムの実行によって記憶部210、無線アンテナ220、無線通信部230、および制御部240を備える装置として機能する。なお、端末装置200の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0030】
記憶部210は、磁気記憶装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部210は、RAM(Random Access Memory)であってもよいし、フラッシュメモリ等の書き換え可能なROM(Read Only Memory)であってもよい。記憶部210は、端末装置200の動作に必要な各種データを記憶する。
【0031】
無線アンテナ220は、入力された電気信号を無線電波に変換して出力するとともに、無線電波を受信して電気信号に変換する装置である。具体的には、無線アンテナ220は、無線通信部230から出力される送信用の電気信号を無線電波に変換して出力する。また、無線アンテナ220は、受信した無線電波を電気信号に変換し、変換によって得られた電気信号を受信信号として無線通信部230に出力する。
【0032】
無線通信部230は、無線アンテナ220を介して、ゲートウェイ装置300との間で対象データを送受信する機能を有する。具体的には、無線通信部230は、送信部231と、変復調部232と、受信部233と、プリアンブル検出部234と、を備える。
【0033】
送信部231は、送信対象のデータ(以下「対象データ」という。)をゲートウェイ装置300に送信する機能を有する。具体的には、送信部231は、対象データを取得するとともに、取得した対象データを送信するためのフレームを生成する。送信部231は、生成したフレームを変復調部232に出力する。
【0034】
変復調部232は、送信部231から出力されたフレームを変調して送信信号を生成するとともに、生成した送信信号を無線送信の周波数帯域にアップコンバートして無線アンテナ220に出力する。また、変復調部232は、無線アンテナ220から入力する受信信号をダウンコンバートして復調することによりフレームを復元し、復元したフレームを受信部233に出力する。
【0035】
受信部233は、ゲートウェイ装置300が送信した対象データを受信する機能を有する。具体的には、受信部233は、変復調部232から無線信号の復調によって復元されたフレームを取得し、取得したフレームから対象データを取得する。なお、端末装置200が送受信する対象データは特定のデータに限られず、任意のデータであってよい。
【0036】
プリアンブル検出部234は、無線アンテナ220を介して受信された無線信号(以下「受信信号」という。)から起動指示フレームを検出する機能を有する。具体的には、プリアンブル検出部234は、起動指示フレームのプリアンブルを検出することにより起動指示フレームを検出する。起動指示フレームは、端末装置200に対して送信モードへの移行を指示するフレームである。
【0037】
プリアンブル検出部234は、予め定められた時間Tdetの間隔(以下「検出間隔」という。)で起動指示フレームのプリアンブルの検出処理を実行する。例えば、プリアンブル検出部234は、受信信号を予め設定されている信号パターンと比較することによりプリアンブルを検出する。受信信号と比較される信号パターンは、例えば、記憶部210に記憶されていてもよい。プリアンブル検出部234は、プリアンブルの検出結果を制御部240に通知する。例えば、プリアンブルの検出機能は、従来のLoRa変調方式(チャープ拡散変調方式を用いる通信方式の一例)におけるCAD(Channel Activity Detection)機能によって実現されてよい。
【0038】
制御部240は、端末装置200の動作モードを制御する機能を有する。具体的には、端末装置200の動作モードは、スリープモードと、検出モードと、間欠検出モードと、送信モードとの間で遷移する。スリープモードは、端末装置200が無線信号の送受信を行わない動作モードである。検出モードおよび間欠検出モードは、ゲートウェイ装置300が送信する起動指示フレームのプリアンブルを検出可能な動作モードである。検出モードと間欠検出モードとは、プリアンブルの検出間隔が異なる。なお、検出モードおよび間欠検出モードでは、端末装置200は、起動指示フレームのプリアンブルを検出するのみで、フレームの受信処理(復調やデータ取得を含む)までは行わない。送信モードは、データの送信が可能な動作モードである。制御部240が、動作モードの遷移を制御する方法の詳細については後述する。
【0039】
続いて、ゲートウェイ装置300の構成について説明する。ゲートウェイ装置300は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。ゲートウェイ装置300は、プログラムの実行によって記憶部310、無線アンテナ320、無線通信部330、および制御部340を備える装置として機能する。なお、ゲートウェイ装置300の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0040】
記憶部310は、磁気記憶装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部310は、RAMであってもよいし、フラッシュメモリ等の書き換え可能なROMであってもよい。記憶部310は、ゲートウェイ装置300の動作に必要な各種データを記憶する。
【0041】
無線アンテナ320は、入力された電気信号を無線電波に変換して出力するとともに、無線電波を受信して電気信号に変換する装置である。具体的には、無線アンテナ320は、無線通信部330から出力される送信用の電気信号を無線電波に変換して出力する。また、無線アンテナ320は、受信した無線電波を電気信号に変換し、変換によって得られた電気信号を受信信号として無線通信部330に出力する。
【0042】
無線通信部330は、無線アンテナ320を介して、端末装置200との間で対象データを送受信する機能を有する。具体的には、無線通信部330は、制御部340から出力される対象データを変調して送信信号を生成するとともに、生成した送信信号を無線送信の周波数帯域にアップコンバートして無線アンテナ320に出力する。また、無線通信部330は、無線アンテナ320から入力する受信信号をダウンコンバートして復調することによりフレームを復元し、復元したフレームを制御部340に出力する。
【0043】
制御部340は、ゲートウェイ装置300の動作モードを制御する機能を有する。具体的には、ゲートウェイ装置300の動作モードは、スリープモードと、受信モードと、送信モードとの間で遷移する。スリープモードは、ゲートウェイ装置300が無線信号の送受信を行わない動作モードである。送信モードは、起動指示フレームを送信可能な状態である。受信モードは、端末装置200が送信したデータを受信可能な状態である。
【0044】
制御部340は、端末装置200への通信要求が発生した場合に、自装置をスリープモードから送信モードに移行させる。制御部340は、送信モードにおいて、予め定められた時間TBCNの間隔(以下「送信間隔」という。)で起動指示フレームを端末装置200に送信する。制御部340は、起動指示フレームを受信した端末装置200からデータ送信要求が受信された場合に自装置を受信モードに移行させ、端末装置200との通信が正常終了した後、自装置を再度スリープモードに移行させる。なお、送信間隔TBCNは、システム設計に基づいて決定される固定値である。
【0045】
図2は、実施形態の端末装置200が自装置の動作モードを制御する処理の一例を示すフローチャートである。また、図3は、実施形態の無線通信システム100による動作例を示す図である。以下では、図3の動作例を適宜参照しながら、図2のフローチャートの処理の流れを説明する。
【0046】
まず、制御部240が、検出間隔Tdetをゲートウェイ装置300が起動指示フレームを送信する間隔TBCNより長い時間TDRXに設定する(ステップS101)。ここでTDRXは、送信間隔TBCNと同様に、システム設計に基づいて決定される固定値である。例えば、TDRXおよびTBCNは特許文献1に記載の方法により決定することができる。
【0047】
続いて、プリアンブル検出部234が、予め定められた所定の周波数チャネル(以下単に「チャネル」という。)において、起動指示フレームのプリアンブルの検出処理を実行する(ステップS102)。続いて、制御部240が、ステップS102において、起動指示フレームのプリアンブルが検出されたか否かを判定する(ステップS103)。ここで、起動指示フレームのプリアンブルが検出されなかったと判定した場合(ステップS103-NO)、制御部240は、次のプリアンブルの検出タイミングまで、自装置の動作モードをスリープモードに移行させる(ステップS104)。より詳細には、制御部240は、検出間隔Tdet(=TDRX)から検出処理に要した時間(例えばステップS102およびS103の実行に要した時間)を差し引いた時間だけ自装置をスリープモードに移行させた後、再度検出モードに戻してステップS102に処理を戻す。これにより、ステップS102は検出間隔TDRXごとに実行されることになる。
【0048】
一方、起動指示フレームのプリアンブルが検出されたと判定した場合(ステップS103-YES)、制御部240は、検出間隔Tdetを検出モードにおける検出間隔TDRXよりも短い時間Aに変更するとともに、プリアンブルの検出に連続して成功した回数(以下「連続検出回数」という。)であるMを1に初期化する(ステップS105)。なお、ここでの1は、ステップS103において検出された分を表している。例えば、図3の動作例では、プリアンブル検出部234は、時刻t11において送信された起動指示フレームのプリアンブルを検出したことに応じて、検出間隔Tdetを起動指示フレームの送信間隔TBCNに変更している。
【0049】
続いて、制御部240は、ステップS105で変更した検出間隔Tdetの時間を待機した後に起動指示フレームのプリアンブルの検出処理を実行する(ステップS106)。制御部240は、ステップS106において、起動指示フレームのプリアンブルが検出されたか否かを判定する(ステップS107)。ここで、起動指示フレームのプリアンブルが検出されなかったと判定した場合(ステップS107-NO)、制御部240は、検出間隔Tdetを元のTDRXに戻し(ステップS108)、検出間隔Tdet(=TDRX)の時間スリープした後(ステップS104)に、ステップS102に処理を戻す。
【0050】
一方、起動指示フレームのプリアンブルが検出されたと判定した場合(ステップS107-YES)、制御部240は、連続検出回数Mをインクリメントして(ステップS109)、連続検出回数Mが予め定められた所定の回数Nに達したか否かを判定する(ステップS110)。ここで、連続検出回数MがNに達してないと判定した場合(ステップS110-NO)、制御部240は、検出間隔Tdet(ここではA)の時間を待機した後(ステップS111)、ステップS106に処理を戻す。
【0051】
一方、連続検出回数MがNに達したと判定した場合(ステップS110-YES)、制御部240は、ゲートウェイ装置300にデータ送信要求を送信する(ステップS112)とともに、そのデータ送信要求に対する応答としてゲートウェイ装置300からデータ送信指示が受信されるのを待機する(ステップS113)。制御部240は、ゲートウェイ装置300からデータ送信指示を受信すると、ゲートウェイ装置300にデータを送信して(ステップS114)一連の処理を終了する。
【0052】
例えば、図3の動作例では、端末装置200は、検出間隔TDRXでプリアンブルの検出を試行している状態で、時刻t21において1回目のプリアンブルの検出に成功する。これを契機に、制御部240は、検出間隔TdetをTDRXからTBCNに変更し、それ以降、端末装置200はTBCNの検出間隔で起動指示フレームのプリアンブルの検出処理を実行する。その結果、端末装置200は、時刻t11において送信された起動指示フレームを時刻t21において検出し、時刻t12において送信された起動指示フレームを時刻t22において検出し、時刻t13において送信された起動指示フレームを時刻t23において検出している。
【0053】
この場合、例えば、連続検出回数Mの閾値Nが3回であれば、制御部240は、時刻t23においてプリアンブルが検出された(すなわち連続して3回のプリアンブル検出に成功した)ことに応じてゲートウェイ装置300にデータ送信要求を送信することになる。
【0054】
なお、図2のフローチャートにおいて、ステップS104がスリープモードでの動作となり、ステップS101からS103までが検出モードでの動作となる。また、ステップS105からS111までが間欠検出モードでの動作となり、ステップS112からS114までが送信モードでの動作となる。また、送信モードでの動作は、起動後の通信プロトコル(例えばMAC(Media Access Control)プロトコル)によって異なる場合があるため、ステップS112からS114までの処理は起動後の通信プロトコルに応じた処理に置き換えられてよい。図2は一例として、起動後の通信プロトコルがRIT(Receiver Initiated Transmission)方式である場合における送信モードでの動作を示しているが、起動後の通信プロトコルが例えばランダムアクセス方式(ALOHA方式)である場合には、端末装置200は任意のタイミングでゲートウェイ装置300と通信してよい。
【0055】
すなわち、制御部240は、ステップS103において、起動指示フレームのプリアンブルが検出されなかった場合に、端末装置200の動作モードを検出モードからスリープモードに遷移させ、起動指示フレームのプリアンブルが検出された場合に、端末装置200の動作モードを検出モードから間欠検出モードに遷移させる。また、制御部240は、ステップS109において、連続検出回数Mが閾値Nに達した場合に、端末装置200の動作モードを間欠検出モードから送信モードに遷移させる。また、制御部240は、ステップS113のデータの送信が正常終了した後、端末装置200の動作モードを送信モードからスリープモードに遷移させる。
【0056】
なお、端末装置200の送信モードを、起動指示フレームの送受信が可能な状態としてもよい。このようにすれば、端末装置200は、送信モードに移行する直前に検出した起動指示フレームのペイロードを取得することができる。例えば、図3の例は、端末装置200が、時刻t23におけるプリアンブルの検出に応じて送信モードに移行し、時刻t23において検出したプリアンブルを有する起動指示フレームを送信モードへの移行後に受信する様子を表している。
【0057】
図4は、実施形態における端末装置200の動作モードの遷移の具体例を示す図である。上述のとおり、端末装置200の動作モードは、検出モードと、間欠検出モードと、送信モードと、スリープモードと、の4つの動作モードの間で遷移する。検出モードでは、端末装置200は、検出間隔TDRXで起動指示フレームの検出処理を実行する。検出モードにおいて、起動指示フレームが検出されなかった場合には、端末装置200はスリープモードに移行する。一方、検出モードにおいて、起動指示フレームが検出された場合には、端末装置200は間欠検出モードに移行する。
【0058】
間欠検出モードでは、端末装置200は、検出モードでの検出間隔TDRXよりも短い検出間隔で起動指示フレームの検出処理を実行する。間欠検出モードにおいて、起動指示フレームが所定の回数連続して検出された場合には、端末装置200は送信モードに移行する。一方、間欠検出モードにおいて、起動指示フレームの連続検出回数が所定の回数に達する前に起動指示フレームの検出に失敗した場合には、端末装置200は、スリープモードに移行する。
【0059】
送信モードでは、まず、端末装置200が、ゲートウェイ装置300に対してデータ送信要求を送信し、このデータ送信要求に対してゲートウェイ装置300がデータ送信指示を送信する。端末装置200は、データ送信指示を受信すると、ゲートウェイ装置300にデータを送信し、ゲートウェイ装置300との通信が正常終了すると、スリープモードに移行する。
【0060】
このように構成された実施形態の無線通信システム100は、端末装置200が起動指示フレームのプリアンブルを所定の回数連続して検出した場合に、端末装置200を送信モードに移行させることができる。そのため、実施形態の無線通信システム100によれば、間欠動作する端末装置200が起動指示フレームを誤検知することを抑制することが可能となる。
【0061】
なお、上記の実施形態では、端末装置200が、起動指示フレームのプリアンブルを検出する間隔を、検出モードと間欠検出モードとの間での動作モードの遷移に応じて変更する場合について説明したが、検出モードにおけるプリアンブルの検出間隔と、間欠検出モードにおけるプリアンブルの検出間隔とは、別のパラメータとして定義されてもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、検出モードと間欠検出モードを別の動作モードとして定義したが、検出モードと間欠検出モードとは、スリープモードまたは送信モードに移行する条件と、起動指示フレームを検出する間隔とが異なるものの、起動指示フレームの検出が可能な状態という意味では同様の動作状態であり、処理に必要なリソースも同じである。そのため、検出モードと間欠検出モードとは1つの動作モードに統合されてもよい。
【0063】
<変形例>
上記の実施形態では、起動指示フレームが所定の回数連続して検出された場合に、端末装置200が送信モードに移行する形態について説明したが、これは端末装置200の動作モードを送信モードに移行させることを1回の起動指示フレームの検出によって判断するのではなく、複数回の検出をもって判断することにより端末装置200の誤起動を抑制することを目的としたものである。その意味では、端末装置200を送信モードに移行させる条件(以下「移行条件」という。)は、端末装置200が複数の起動指示フレームを予め想定されたタイミングで受信したことであればよく、必ずしも複数の起動指示フレームが所定の回数連続して検出されたことである必要はない。このような考えに基づけば、検出間隔ごとに行われる起動指示フレームの検出の試行において、起動指示フレームが複数回検出されるまでの検出結果のパターン(以下「検出パターン」という。)そのものが移行条件となりうる。
【0064】
図5は、変形例の無線通信システム100による動作例を示す図である。図5の動作例は、間欠検出モードにおける検出間隔をTBCN/2としている点が図3の動作例と異なる。この場合、端末装置200における起動指示フレームの検出パターンは、検出と非検出が交互に現れたものとなることが予想される。この場合、間欠検出モードにおいて、起動指示フレームが複数回検出され、かつ、検出と非検出とが交互に現れていることを移行条件とすることができる。
【0065】
例えば、図5の例では、時刻t31、t33、t35において起動指示フレームが検出され、時刻t32、t34では起動指示フレームが検出されていない。以下、この検出パターンを[〇(検出)、×(非検出)、〇、×、〇]と表す。この場合、間欠検出モードにおいて[〇、×、〇、×、〇]の検出パターンで起動指示フレームが検出されることを移行条件とすることができる。また、この場合、例えば、移行条件の検出パターンを[〇、×、〇]とすれば、端末装置200は、時刻t33における起動指示フレームの検出に応じて送信モードへの移行を決定することになる。
【0066】
また、このような検出パターンを移行条件とする場合、間欠検出モードにおける検出間隔を規則的に変化させることによって、検出パターンのバリエーションを増やすことも可能である。例えば、端末装置200の制御部240は、間欠検出モードにおける検出間隔をTBCNとTBCN/2とで交互に変更し、その検出間隔の変化により想定される検出パターンで起動指示フレームが検出された場合に、送信モードに移行するように構成されてもよい。換言すれば、起動指示フレームの検出の試行が3回以上を行われる場合、各検出間隔の長さは、複数種類の異なる長さに設定されてもよい。また、端末装置200は、自装置に対して検出パターンを設定する設定部を備えてもよい。例えば、設定部は、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置を用いて構成されてもよいし、通信機能により他の装置から検出パターンを示す情報を取得するように構成されてもよい。
【0067】
なお、上記の実施形態における検出モードおよび間欠検出モードは本発明における第1モードの一例である。また、端末装置200の動作モードの1つである送信モードは本発明における第2モードの一例である。また、起動指示フレームは、本発明における指示フレームの一例である。
【0068】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、間欠動作を行う端末装置を含む無線通信システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
100…無線通信システム、200…端末装置、210…記憶部、220…無線アンテナ、230…無線通信部、231…送信部、232…変復調部、233…受信部、234…プリアンブル検出部、240…制御部、300…ゲートウェイ装置、310…記憶部、320…無線アンテナ、330…無線通信部、340…制御部
図1
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図3
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