IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ベークライト株式会社の特許一覧

特許7180644紙容器用ラミネートフィルム及びラミネート紙容器
<>
  • 特許-紙容器用ラミネートフィルム及びラミネート紙容器 図1
  • 特許-紙容器用ラミネートフィルム及びラミネート紙容器 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】紙容器用ラミネートフィルム及びラミネート紙容器
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20221122BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20221122BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20221122BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B32B27/00 H
B32B27/10
B32B27/32 A
B65D65/40 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020122026
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018713
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-02-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(72)【発明者】
【氏名】大槻 彰良
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-016773(JP,A)
【文献】特開昭53-124578(JP,A)
【文献】特開2020-069787(JP,A)
【文献】特開2009-096075(JP,A)
【文献】特開昭63-104835(JP,A)
【文献】特開2000-238758(JP,A)
【文献】特開昭58-112976(JP,A)
【文献】特開2004-268441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
B29C39/00-51/46
B31B50/00-70/99
B31C1/00-99/00
B31D1/00-99/00
B65D23/00-85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙容器用ラミネートフィルムであって、
前記紙容器用ラミネートフィルムは、ポリエチレンを含む外層と、シーラント層と、を備え、
前記紙容器用ラミネートフィルムのゲル分率が、30%以上であり、
前記ポリエチレンが、密度0.945g/cm以下の低密度ポリエチレンであり、
前記紙容器用ラミネートフィルムが、吸収線量20~300kGyの条件で電子線照射されたものである、紙容器用ラミネートフィルム。
【請求項2】
前記紙容器用ラミネートフィルムの厚さに対する、前記外層の厚さの割合が10%以上である、請求項1に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
【請求項3】
前記紙容器用ラミネートフィルムが、さらに、アイオノマーを含み、かつ前記外層に隣接する機能層を備えている、請求項1または2に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
【請求項4】
前記紙容器用ラミネートフィルムの厚さに対する、前記機能層の厚さの割合が10%以上である、請求項に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
【請求項5】
前記シーラント層が、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
【請求項6】
前記紙容器用ラミネートフィルムの厚さが60μm以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
【請求項7】
前記紙容器用ラミネートフィルムが、さらに、酸素バリア層を備えている、請求項1~のいずれか一項に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
【請求項8】
前記酸素バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む、請求項に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
【請求項9】
前記酸素バリア層が、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体を、前記酸素バリア層の全質量の3質量%以上、25質量%以下含む、請求項に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の紙容器用ラミネートフィルム中のシーラント層と、紙容器と、がラミネートされて構成された、ラミネート紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器用ラミネートフィルム及びラミネート紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、包装材料の環境問題から、使用済容器の易廃棄性や、リサイクル適正が求められている。この点において、紙容器は、容器を展開して折り畳むことが可能なため、嵩張らず、また軽量で、易燃焼性であるため、易廃棄性やリサイクル適正に優れており、例えば、乳飲料、果実飲料、酒等の液体用容器として広く用いられている。
【0003】
これらの紙容器には、内容物の保存性を保つため、水蒸気や酸素に対するバリア性を有するフィルムが紙容器の内面側にラミネートされている。この紙容器用ラミネートフィルムとしては、水蒸気や酸素に対するバリア性の他、容易成形性を有するものが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-268441号公報
【文献】特開2006-205593号公報
【文献】特開2003-334893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紙容器用ラミネートフィルムの場合、紙容器と加熱密着させて成形するが、紙容器とラミネートフィルムの密着性が不十分で浮きが生じるという問題があった。また、昨今、内容物を加熱するに当たり、紙容器ごと電子レンジで加熱することが主流となっているが、ラミネート紙容器に内容物を入れて電子レンジで加熱すると、ラミネート紙容器のフィルム表面が一部融解するという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、紙容器への密着性及び耐熱性に優れた紙容器用ラミネートフィルムと、これを用いたラミネート紙容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].紙容器用ラミネートフィルムであって、前記紙容器用ラミネートフィルムは、ポリエチレンを含む外層と、シーラント層と、を備え、前記紙容器用ラミネートフィルムのゲル分率が、30%以上である、紙容器用ラミネートフィルム。
[2].前記紙容器用ラミネートフィルムが、吸収線量20~300kGyの条件で電子線照射されたものである、[1]に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
[3].前記紙容器用ラミネートフィルムの厚さに対する、前記外層の厚さの割合が10%以上である、[1]または[2]に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
[4].前記紙容器用ラミネートフィルムが、さらに、アイオノマーを含み、かつ前記外層に隣接する機能層を備えている、[1]~[3]のいずれか1つに記載の紙容器用ラミネートフィルム。
[5].前記紙容器用ラミネートフィルムの厚さに対する、前記機能層の厚さの割合が10%以上である、[4]に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
[6].前記シーラント層が、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載の紙容器用ラミネートフィルム。
【0008】
[7].前記紙容器用ラミネートフィルムの厚さが60μm以上である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の紙容器用ラミネートフィルム。
[8].前記ポリエチレンが、密度0.945g/cm以下の低密度ポリエチレンである、[1]~[7]のいずれか1つに記載の紙容器用ラミネートフィルム。
[9].前記紙容器用ラミネートフィルムが、さらに、酸素バリア層を備えている、[1]~[8]のいずれか1つに記載の紙容器用ラミネートフィルム。
[10].前記酸素バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む、[9]に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
[11].前記酸素バリア層が、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体を、前記酸素バリア層の全質量の3質量%以上、25質量%以下含む、[10]に記載の紙容器用ラミネートフィルム。
[12].[1]~[11]のいずれか1つに記載の紙容器用ラミネートフィルム中のシーラント層と、紙容器と、がラミネートされて構成された、ラミネート紙容器。
【発明の効果】
【0009】
本発明の紙容器用ラミネートフィルムは、ポリエチレンを含む外層と、シーラント層と、を備え、前記紙容器用ラミネートフィルムのゲル分率が、30%以上であるため、紙容器への密着性及び耐熱性に優れている。
また、本発明のラミネート紙容器は、本発明の紙容器用ラミネートフィルム中のシーラント層と、紙容器と、がラミネートされて構成されているため、耐熱性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る紙容器用ラミネートフィルムを模式的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るラミネート紙容器を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<<紙容器用ラミネートフィルム>>
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る紙容器用ラミネートフィルムを模式的に示す断面図である。
【0014】
ここに示す紙容器用ラミネートフィルム1は、外層11と、シーラント層17と、を備えている。紙容器用ラミネートフィルム1において、外層11は一方の最表層であり、シーラント層17は他方の最表層である。
【0015】
紙容器用ラミネートフィルム1が、ポリエチレンを含む外層11と、シーラント層17と、を備えていることにより、紙容器用ラミネートフィルム1の大部分をポリエチレンのみで構成することができるため、リサイクル適正に優れた紙容器用ラミネートフィルム1を得ることができる。
【0016】
さらに、紙容器用ラミネートフィルム1は、シーラント層17側から外層11側へ向けて、第2機能層16と、第2機能層16上に配置された接着層15と、接着層15上に配置された酸素バリア層14と、酸素バリア層14上に配置された接着層13と、接着層13上に配置された第1機能層12と、を備えていてもよい。
【0017】
<外層>
紙容器用ラミネートフィルム1は、外層11を備えている。外層11は、紙容器の内容物と直接接する層である。
【0018】
加圧成型によりラミネート紙容器を製造するに際して、紙容器用ラミネートフィルム1は、熱板で加熱軟化させた後に、加圧成型し、紙との接着を行うが、熱板に隣接する外層11の加熱軟化時のドローダウンによる熱板への残存を防止するため、耐熱性は高いことが好ましい。また、昨今、内容物を加熱するに当たり、紙容器ごと電子レンジで加熱することが主流となっているため、内容物に接する外層11は、電子レンジ加熱時に耐熱性が高いことが好ましい。
【0019】
外層11は、ポリエチレンを含む。外層11がポリエチレンを含むことにより、紙容器用ラミネートフィルム1を外層11側から電子線照射した場合に、外層11の架橋密度を向上させることができる。
【0020】
外層11が含むポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(以下、LDPEと記載することがある。)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと記載することがある。)、中密度ポリエチレン(以下、MDPEと記載することがある。)、高密度ポリエチレン(以下、HDPEと記載することがある。)等が挙げられる。
【0021】
外層11が含むポリエチレンは、密度0.945g/cm以下のLDPEであることが好ましく、密度0.943g/cm以下のLDPEであることがより好ましく、密度0.941g/cm以下のLDPEであることがさらに好ましい。このようなLDPEを含むことで、紙容器用ラミネートフィルム1を外層11側から電子線照射した場合に、外層11の架橋密度をより向上させることができる。
【0022】
なお、前記LLDPEは、メタロセン触媒を用いて製造されたメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)も含む。
【0023】
外層11が含むポリエチレンは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0024】
外層11は、ポリエチレンのみを含んでいてもよい(すなわち、ポリエチレンからなるものであってもよい)し、ポリエチレンと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、ポリエチレンと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0025】
外層11における、外層11の全質量に対する、ポリエチレンの含有量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
【0026】
前記割合が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1を外層11側から電子線照射した場合に、外層11の架橋密度をより向上させることができる。
【0027】
外層11が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
【0028】
樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、ポリエチレン以外のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0029】
前記ポリエチレン以外のポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン(以下、PPと記載することがある。)等のポリオレフィン系樹脂、及び、エチレン共重合体である、エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」と記載することがある。)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(以下、「EMMA」と記載することがある。)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(以下、「EEA」と記載することがある。)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(以下、「EMA」と記載することがある。)、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(以下、「E-EA-MAH」と記載することがある。)、エチレン-アクリル酸共重合体(以下、「EAA」と記載することがある。)、エチレン-メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA」と記載することがある。)、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂が好適である。
【0030】
なかでも、ポリプロピレンを用いることで、前記紙容器用ラミネートフィルム又はラミネート紙容器の耐熱性をより良好にすることができる。とくに、ポリプロピレンは、電子レンジでの加熱において耐熱性を有するため好ましい。
【0031】
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0032】
外層11が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0033】
外層11は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。外層11が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0034】
外層11の厚さは、4μm以上146μm以下であることが好ましく、7μm以上143μm以下であることがより好ましく、10μm以上140μm以下であることがさらに好ましい。
【0035】
外層11の厚さが前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1を外層11側から電子線照射した場合に、外層11の架橋密度をより向上させることができる。外層11の厚さが前記上限値以下であることで、外層11が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0036】
ここで、「外層11の厚さ」とは、外層11全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる外層11の厚さとは、外層11を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0037】
紙容器用ラミネートフィルム1の厚さに対する、外層11の厚さの割合は、特に限定されないが、10%以上であることが好ましく、12%以上88%以下であることがより好ましく、14%以上86%以下であることがさらに好ましい。
【0038】
前記割合が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1を外層11側から電子線照射した場合に、外層11の架橋密度をより向上させることができる。前記割合が前記上限値以下であることで、外層11が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0039】
紙容器用ラミネートフィルム1は、外層11側から電子線照射した場合に、外層11の架橋密度をより向上させることができる。その結果、紙容器用ラミネートフィルム1の紙容器への密着性をより向上させることができる。また、紙容器用ラミネートフィルム1の耐熱性をより向上させることができる。
【0040】
<機能層>
紙容器用ラミネートフィルム1は、アイオノマーを含み、かつ外層11に隣接する第1機能層12を備えていてもよい。
アイオノマー(以下、「ION」と記載することがある。)とは、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体を、酸部分と金属イオンとの塩形成によってイオン橋かけ構造にしたものを意味する。IONの分子鎖間を架橋する金属陽イオンとしてはNa+、Zn2+等があるがいずれのタイプでもよい。
【0041】
第1機能層12がIONを含むことにより、紙容器用ラミネートフィルム1を外層11側から電子線照射した場合に、第1機能層12の架橋密度をより向上させることができる。
【0042】
第1機能層12が含むIONとしては、例えば、エチレンとそれ以外のモノマーとの共重合体構造を有するエチレン系IONが挙げられる。
【0043】
第1機能層12が含むIONは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0044】
第1機能層12は、IONのみを含んでいてもよい(すなわち、IONからなるものであってもよい)し、IONと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、IONと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0045】
第1機能層12が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、ION以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
【0046】
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0047】
第1機能層12が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0048】
第1機能層12における、第1機能層12の全質量に対する、IONの含有量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
【0049】
前記割合が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1を外層11側から電子線照射した場合に、第1機能層12の架橋密度をより向上させることができる。
【0050】
第1機能層12は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第1機能層12が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0051】
第1機能層12の厚さは、4μm以上146μm以下であることが好ましく、7μm以上143μm以下であることがより好ましく、10μm以上140μm以下であることがさらに好ましい。
【0052】
第1機能層12の厚さが前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1を外層11側から電子線照射した場合に、第1機能層12の架橋密度をより向上させることができる。第1機能層12の厚さが前記上限値以下であることで、第1機能層12が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0053】
ここで、「第1機能層12の厚さ」とは、第1機能層12全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1機能層12の厚さとは、第1機能層12を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0054】
紙容器用ラミネートフィルム1の厚さに対する、第1機能層12の厚さの割合は、特に限定されないが、10%以上であることが好ましく、11%以上89%以下であることがより好ましく、12%以上88%以下であることがさらに好ましい。
【0055】
前記割合が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1を外層11側から電子線照射した場合に、第1機能層12の架橋密度をより向上させることができる。前記割合が前記上限値以下であることで、第1機能層12が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0056】
紙容器用ラミネートフィルム1は、外層11側から電子線照射した場合に、第1機能層12の架橋密度をより向上させることができる。その結果、紙容器用ラミネートフィルム1の紙容器への密着性をより向上させることができる。また、紙容器用ラミネートフィルム1の耐熱性をより向上させることができる。
【0057】
紙容器用ラミネートフィルム1は、シーラント層17に隣接する第2機能層16を備えていてもよい。
第2機能層16は、紙容器用ラミネートフィルム1に成形加工性を付与し、また、紙容器用ラミネートフィルム1においてピンホールの発生を抑制する。
【0058】
第2機能層16は、その構成材料として、低温で成形できる樹脂を含むことが好ましい。
前記樹脂としては、例えば、ION、EMAA、EVA等が挙げられるが、IONがより好ましい。これらの樹脂は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
第2機能層16が含むIONとしては、例えば、エチレンとそれ以外のモノマーとの共重合体構造を有するエチレン系IONが挙げられる。
【0060】
第2機能層16が含む前記樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0061】
紙容器用ラミネートフィルム1は、加圧成型によりラミネート紙容器を製造するに際して、熱板で加熱軟化させた後に、加圧成型し、紙との接着を行うため、高温で紙と接着させると紙が焼ける可能性がある。そのため、第2機能層16としては、低温で成形できる上述の樹脂が好ましい。
【0062】
第2機能層16において、第2機能層16の総質量に対する、前記樹脂の含有量の割合は、50~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましい。
前記割合が前記下限値以上であることで、低温で成形できる効果が、より高くなる。
【0063】
第2機能層16は、その効果を損なわない範囲で、前記樹脂以外に、他の成分を含有していてもよい。前記他の成分としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
【0064】
第2機能層16が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0065】
第2機能層16は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。第2機能層16が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0066】
第2機能層16の厚さは、3~40μmであることが好ましく、5~30μmであることがより好ましく、10~25μmであることが特に好ましい。
【0067】
第2機能層16の厚さが前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1が第2機能層16を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、第2機能層16が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0068】
ここで、「第2機能層16の厚さ」とは、第2機能層16全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第2機能層16の厚さとは、第2機能層16を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0069】
紙容器用ラミネートフィルム1の厚さに対する、第2機能層16の厚さの割合は、特に限定されないが、10%以上50%以下であることが好ましく、12%以上45%以下であることがより好ましく、14%以上40%以下であることがさらに好ましい。
【0070】
前記割合が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1が第2機能層16を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、第2機能層16が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0071】
<接着層>
紙容器用ラミネートフィルム1は、各層の間に接着層を備えていてもよい。接着層は、その両面に隣接する2層を接着する。
【0072】
紙容器用ラミネートフィルム1において、例えば、第2機能層16と酸素バリア層14との間に配置されている接着層15は、第2機能層16と酸素バリア層14とを接着し、酸素バリア層14と第1機能層12との間に配置されている接着層13は、酸素バリア層14と第1機能層12とを接着している。
これら2箇所の接着層は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0073】
接着層13は、接着剤を含む。前記接着剤は、接着対象の2層を十分な強度で接着できるものであれば、特に限定されない。
【0074】
前記接着剤としては、例えば、オレフィン系樹脂(すなわち、1種又は2種以上のモノマーであるオレフィンの重合体)等の接着樹脂が挙げられる。
【0075】
前記オレフィン系樹脂として、より具体的には、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体等が挙げられる。
前記エチレン系共重合体とは、エチレンと、エチレン以外のモノマーと、の共重合体である。
前記プロピレン系共重合体とは、プロピレンと、プロピレン以外のモノマーと、の共重合体である。
前記ブテン系共重合体とは、ブテンと、ブテン以外のモノマーと、の共重合体である。
【0076】
前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0077】
エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体としては、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、EVA、EMMA、EEA、EMA、E-EA-MAH、EAA、EMAA、ION、エチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0078】
接着層13が含む接着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0079】
接着層13は、接着剤のみを含んでいてもよい(すなわち、接着剤からなるものであってもよい)し、接着剤と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、接着剤と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0080】
前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
【0081】
前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0082】
接着層13における、接着層13の全質量に対する、接着剤の含有量の割合は、例えば、50質量%以上100質量%以下であってもよい。
【0083】
接着層13は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層13が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0084】
接着層13の厚さは、4μm以上96μm以下であることが好ましく、7μm以上93μm以下であることがより好ましく、10μm以上90μm以下であることがさらに好ましい。
【0085】
接着層13の厚さが前記下限値以上であることで、接着対象の2層の接着強度がより高くなる。接着層13の厚さが前記上限値以下であることで、接着層13が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0086】
ここで、「接着層13の厚さ」とは、接着層13全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層13の厚さとは、接着層13を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0087】
接着層15は、接着剤を含む。前記接着剤は、接着対象の2層を十分な強度で接着できるものであれば、特に限定されない。
【0088】
前記接着剤としては、例えば、接着層13が含むものとして先に説明した接着樹脂と、同様のものが挙げられる。
接着層15が含む接着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0089】
接着層15は、接着剤のみを含んでいてもよい(すなわち、接着剤からなるものであってもよい)し、接着剤と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、接着剤と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0090】
前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
【0091】
前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0092】
接着層15における、接着層15の全質量に対する、接着剤の含有量の割合は、例えば、50質量%以上100質量%以下であってもよい。
【0093】
接着層15は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層15が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0094】
接着層15の厚さは、4μm以上96μm以下であることが好ましく、7μm以上93μm以下であることがより好ましく、10μm以上90μm以下であることがさらに好ましい。
【0095】
接着層15の厚さが前記下限値以上であることで、接着対象の2層の接着強度がより高くなる。接着層15の厚さが前記上限値以下であることで、接着層15が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0096】
ここで、「接着層15の厚さ」とは、接着層15全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層15の厚さとは、接着層15を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0097】
接着層13と接着層15は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0098】
<酸素バリア層>
紙容器用ラミネートフィルム1は、酸素バリア層14を備えていてもよい。紙容器用ラミネートフィルム1が酸素バリア層14を備えていることにより、紙容器用ラミネートフィルム1に強い酸素バリア性(換言すると、酸素ガスの透過を抑制する性質)を付与することができる。
【0099】
酸素バリア層14は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物、本明細書においては、「EVOH」と略記することがある。)を含むことが好ましい。EVOHを含む酸素バリア層14は、紙容器用ラミネートフィルム1に、より強い酸素バリア性を付与することができる。
【0100】
酸素バリア層14は、EVOHのみを含んでいてもよい(すなわち、EVOHからなるものであってもよい)し、EVOHと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、EVOHと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0101】
酸素バリア層14が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、EVOH以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
【0102】
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0103】
酸素バリア層14が含む他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0104】
酸素バリア層14における、酸素バリア層14の全質量に対する、EVOHの含有量の割合は、3質量%以上25質量%以下であることが好ましく、4質量%以上24質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上23質量%以下であることがさらに好ましい。
【0105】
前記割合が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1により強い酸素バリア性を付与することができる。前記割合が前記上限値以下であることで、紙容器用ラミネートフィルム1中のEVOHの量を抑え、その結果、紙容器用ラミネートフィルム1の大部分をポリエチレンのみで構成することができるため、リサイクル適正により優れた紙容器用ラミネートフィルム1を得ることができる。
【0106】
酸素バリア層14は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。酸素バリア層14が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0107】
酸素バリア層14の厚さは、2μm以上100μm以下であることが好ましく、3μm以上90μm以下であることがより好ましく、4μm以上80μm以下であることがさらに好ましい。
【0108】
酸素バリア層14の厚さが前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1により強い酸素バリア性を付与することができる。酸素バリア層14の厚さが前記上限値以下であることで、紙容器用ラミネートフィルム1中の酸素バリア層の厚さを抑え、その結果、紙容器用ラミネートフィルム1の大部分をポリエチレンのみで構成することができるため、リサイクル適正により優れた紙容器用ラミネートフィルム1を得ることができる。
【0109】
ここで、「酸素バリア層14の厚さ」とは、酸素バリア層14全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる酸素バリア層14の厚さとは、酸素バリア層14を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0110】
紙容器用ラミネートフィルム1の厚さに対する、酸素バリア層14の厚さの割合は、特に限定されないが、1%以上であることが好ましく、2%以上30%以下であることがより好ましく、3%以上25%以下であることがさらに好ましい。
【0111】
前記割合が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1により強い酸素バリア性を付与することができる。前記割合が前記上限値以下であることで、紙容器用ラミネートフィルム1中の酸素バリア層の割合を抑え、その結果、紙容器用ラミネートフィルム1の大部分をポリエチレンのみで構成することができるため、リサイクル適正により優れた紙容器用ラミネートフィルム1を得ることができる。
【0112】
<シーラント層>
紙容器用ラミネートフィルム1は、シーラント層17を備えている。シーラント層17の、第2機能層16側とは反対側の露出面は、シール面である。すなわち、シーラント層17は、紙容器と接着する層であり、紙との接着性を有する。
【0113】
シーラント層17は、極性基を有する変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びエチレンメタクリル酸共重合体からなる群より選択される1種または2種以上のシール樹脂を含んでいてもよい。シーラント層17が前記シール樹脂を含むことによって、紙容器との接着性をより向上させることができる。
【0114】
極性基を有する変性ポリオレフィン系樹脂は、カルボキシ基、又は2個のカルボキシ基が無水物化された基、を有するモノマーから誘導された構成単位を有することが好ましい。
【0115】
カルボキシ基、又は2個のカルボキシ基が無水物化された基、を有するモノマーから誘導された構成単位を有する変性ポリオレフィン系樹脂としては、変性ポリプロピレン系樹脂、変性ポリエチレン系樹脂が好ましい。変性ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体、プロピレンとエチレンとα-オレフィンとの3元共重合体等のポリプロピレン系樹脂に、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸又はその酸無水物を、グラフト共重合した変性重合体等が挙げられる。変性ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-αオレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂に、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸又はその酸無水物を、グラフト共重合した変性重合体等が挙げられる。
【0116】
シーラント層17は、前記シール樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、前記シール樹脂からなるものであってもよい)し、前記シール樹脂と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、前記シール樹脂と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0117】
シーラント層17が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、前記シール樹脂以外の樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
【0118】
樹脂成分である前記他の成分として、より具体的には、例えば、アイオノマー、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体等が挙げられる。これら他の成分(樹脂成分)を含むシーラント層17は、被着体との擬似接着性発現によるイージーピール性がより向上する。
【0119】
シーラント層17は、エチレン酢酸ビニル共重合体またはエチレンメタクリル酸共重合体を含む場合、被着体との擬似接着性発現によるイージーピール性が、特に向上する。
【0120】
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0121】
シーラント層17が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0122】
シーラント層17における、シーラント層17の全質量に対する、前記シール樹脂の含有量の割合は、85質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
前記割合が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1と紙容器との接着性がより高くなる。
【0123】
シーラント層17は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。シーラント層17が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0124】
なお、本明細書においては、シーラント層17の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
【0125】
シーラント層17の厚さは、4μm以上96μm以下であることが好ましく、7μm以上93μm以下であることがより好ましく、10μm以上90μm以下であることがさらに好ましい。
【0126】
シーラント層17の厚さが前記下限値以上であることで、シーラント層17の強度がより高くなる。シーラント層17の厚さが前記上限値以下であることで、シーラント層17が過剰な厚さとなることが抑制されるとともに、紙容器用ラミネートフィルム1を加熱によりシールしたときに、シール強度がより高くなる。
【0127】
ここで、「シーラント層17の厚さ」とは、シーラント層17全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるシーラント層17の厚さとは、シーラント層17を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0128】
紙容器用ラミネートフィルム1の厚さに対する、シーラント層17の厚さの割合は、特に限定されないが、5%以上であることが好ましく、7%以上50%以下であることがより好ましく、10%以上30%以下であることがさらに好ましい。
【0129】
前記割合が前記下限値以上であることで、紙との接着強度をより向上させることができる。前記割合が前記上限値以下であることで、シーラント層17が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0130】
<紙容器用ラミネートフィルムの特性>
紙容器用ラミネートフィルム1は、ゲル分率が30%以上である。紙容器用ラミネートフィルム1のゲル分率は、30%以上90%以下であることが好ましく、32%以上78%以下であることがより好ましく、34%以上76%以下であることがさらに好ましい。
【0131】
紙容器用ラミネートフィルム1のゲル分率が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1の溶融張力が向上し、その結果、紙容器への密着性が向上する。また、紙容器用ラミネートフィルム1の耐熱性も向上する。一方、紙容器用ラミネートフィルム1のゲル分率が前記上限値以下であることで、紙容器用ラミネートフィルム1が過剰な強度となることが抑制される。
【0132】
紙容器用ラミネートフィルム1のゲル分率は、JIS K6769に準ずる方法により測定することができる。すなわち、架橋部分が溶剤に溶解しないことを利用して、紙容器用ラミネートフィルム1をキシレン等の有機溶媒中に浸漬し、溶解せずに残った不溶フィルムを乾燥後、質量を測定して、溶解前の多層フィルムおよび乾燥後の不溶フィルムの質量からゲル分率を算出することができる。
【0133】
具体的には、まず、多層フィルムXgを、Ygのステンレス金網で包み、溶剤中で加熱、浸漬させ、ステンレス金網で包まれた多層フィルムを取り出す。次いで、これを真空乾燥させ、乾燥後のステンレス金網で包まれた多層フィルムの質量(Zg)を測定する。そして、下記式(1)からゲル分率を測定することができる。
ゲル分率(質量%)=(Z-Y)/X×100 (1)
【0134】
紙容器用ラミネートフィルム1のゲル分率は、例えば、外層11や第1機能層12への電子線照射の条件で調節できる。
【0135】
紙容器用ラミネートフィルム1は、吸収線量20kGy以上300kGy以下の条件で電子線照射されたものであることが好ましい。紙容器用ラミネートフィルム1を20kGy以上300kGy以下で電子線照射することにより、紙容器用ラミネートフィルム1(特に、外層11及び第1機能層12)の架橋密度を向上させることができる。その結果、紙容器用ラミネートフィルム1の溶融張力が向上し、その結果、紙容器への密着性に優れた紙容器用ラミネートフィルム1を得ることができる。また、耐熱性に優れた紙容器用ラミネートフィルム1を得ることができる。
【0136】
電子線照射により紙容器用ラミネートフィルム1の架橋密度が向上する理由は定かではないが、以下のように考えられる。すなわち、紙容器用ラミネートフィルム1に電子線が照射されると、紙容器用ラミネートフィルム1の外層11に含まれるポリエチレン中の炭素-水素結合が切断され、切断された結合末端にラジカルが発生する。発生したラジカルは、分子鎖の分子運動により、他のポリエチレン分子鎖に接触し、水素原子を引き抜いてポリエチレン分子鎖中の炭素原子と結合し、その結果、架橋構造が形成されるものと考えられる。第1機能層12でも同様の現象が起きているものと推測される。
すなわち、外層11はポリエチレンの架橋物を含んでいてもよく、第1機能層12はアイオノマーの架橋物を含んでいてもよい。
【0137】
電子線照射の吸収線量は、20kGy以上300kGy以下であることがより好ましく、25kGy以上250kGy以下であることがさらに好ましい。
【0138】
電子線照射の吸収線量が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1の架橋密度をより向上させることができる。電子線照射の吸収線量が前記上限値以下であることで、紙容器用ラミネートフィルム1が過剰な強度となることが抑制される。
【0139】
電子線照射の加速電圧は、100kV以上300kV以下であることが好ましく、120kV以上280kV以下であることがより好ましく、140kV以上260kV以下であることがさらに好ましい。
【0140】
電子線照射の加速電圧が前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1の架橋密度をより向上させることができる。電子線照射の加速電圧が前記上限値以下であることで、紙容器用ラミネートフィルム1が過剰な強度となることが抑制される。
【0141】
紙容器用ラミネートフィルム1の厚さは、60μm以上であることが好ましく、70μm以上400μm以下であることがより好ましく、80μm以上300μm以下であることがさらに好ましい。
【0142】
紙容器用ラミネートフィルム1の厚さが前記下限値以上であることで、紙容器用ラミネートフィルム1の強度を向上させることができる。紙容器用ラミネートフィルム1の厚さが前記上限値以下であることで、紙容器用ラミネートフィルム1が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0143】
<他の層>
紙容器用ラミネートフィルム1は、本発明の効果を損なわない範囲内において、外層11と、第1機能層12と、接着層13と、酸素バリア層14と、接着層15と、第2機能層16と、シーラント層17と、のいずれにも該当しない、他の層を備えていてもよい。
前記他の層は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
また、紙容器用ラミネートフィルム1は、前記他の層を備えている場合、前記他の層をそれ以外の層と接着するための接着層をさらに備えていてもよい。
【0144】
本実施形態の紙容器用ラミネートフィルムは、上述のものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
【0145】
<<紙容器用ラミネートフィルムの製造方法>>
本実施形態の紙容器用ラミネートフィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
【0146】
また、本実施形態の紙容器用ラミネートフィルムは、その中のいずれかの層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を、紙容器用ラミネートフィルムを構成するための別の層の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、紙容器用ラミネートフィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
【0147】
また、本実施形態の紙容器用ラミネートフィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層を形成可能なものを用いてもよい。
【0148】
また、本実施形態の紙容器用ラミネートフィルムは、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
【0149】
本実施形態の紙容器用ラミネートフィルムを製造するときには、ここまでに挙げた、紙容器用ラミネートフィルム中のいずれかの層(フィルム)の形成方法を、2以上組み合わせてもよい。
【0150】
<<ラミネート紙容器>>
本発明の一実施形態に係るラミネート紙容器は、上述の本発明の一実施形態に係る紙容器用ラミネートフィルムを備えたものである。
【0151】
図2は、本発明の一実施形態に係るラミネート紙容器を模式的に示す断面図である。
なお、図2において、図1に示すものと同じ構成要素には、図1の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0152】
ここに示すラミネート紙容器10は、図1に示す紙容器用ラミネートフィルム1中のシーラント層と、紙容器2と、がラミネートされて構成されている。
紙容器用ラミネートフィルム1が紙容器2への密着性に優れているため、ラミネート紙容器10においては、紙容器用ラミネートフィルム1と紙容器2との密着性が高い。また、紙容器用ラミネートフィルム1が耐熱性に優れているため、ラミネート紙容器10の耐熱性も高い。
なお、図2においては、紙容器用ラミネートフィルム1中の各層の表示を省略している。
【0153】
紙容器2を製造する際の基材としては、古紙パルプでもバージンパルプでもよく、これらを適宜混合したパルプを使用してもよく、例えば、カード紙、パルプモールド等が挙げられる。紙容器2は、例えば、板紙を、所望の形状となるように切込みを入れ、組み立てたものであってもよく、所望の形状になるように型に入れて成形したものであってもよい。
【0154】
紙容器2の坪量は、100~600g/mであることが好ましく、150g~550g/mであることがより好ましく、200~500g/mであることがさらに好ましい。紙容器用の坪量が前記下限値以上であることで、紙容器の強度を向上させることができる。紙容器の坪量が前記上限値以下であることで、紙容器2が過剰な厚さとなることが抑制される。
【0155】
本実施形態のラミネート紙容器は、上述のものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
【0156】
<<ラミネート紙容器の製造方法>>
本実施形態のラミネート紙容器は、前記紙容器を成形型にセットし、紙容器の上部に前記紙容器用ラミネートフィルムを、そのシーラント層側が紙容器に相対するように配置し、熱板で紙容器用ラミネートフィルムを205~216℃で加熱軟化させ、圧力1.0~2.5kgf、好ましくは、1.5~2.0kgfで加圧して、紙容器用ラミネートフィルムを紙容器に密着させ、その状態で5~10秒間保持し、紙容器用ラミネートフィルムと紙容器とを接着することにより、製造できる。
【0157】
紙容器の重量に対する紙容器用ラミネートフィルムの重量の比率(紙容器用ラミネートフィルム重量/紙容器重量;以下プラ率と称する)は、50%以下、好ましくは、25%以下である。プラ率が上限値以下であると、本紙容器の材質を紙材として分別廃棄が可能となる。
【実施例
【0158】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0159】
<<紙容器用ラミネートフィルム及びラミネート紙容器の製造>>
[実施例1]
以下に示す手順で、図1に示す構造の紙容器用ラミネートフィルム、及び、図2に示す構造のラミネート紙容器を製造した。
【0160】
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
シーラント層を構成する樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体(エチレン:酢酸ビニルの共重合比=84:16、三井ダウポリケミカル株式会社製、V5714C)を準備した。
外層を構成する樹脂として、ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン製、4040FC)を準備した。
機能層を構成する物質として、アイオノマー(三井ダウポリケミカル株式会社製、1601)を準備した。
酸素バリア層を構成する樹脂として、エチレン-ビニルアルコール共重合体(三菱ケミカル株式会社製、GH3804B)を準備した。
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン樹脂(三井化学株式会社製、NF536)を準備した。
次いで、シーラント層、機能層、接着層、酸素バリア層、接着層、機能層、及び外層を、この順で共押出成形することにより、紙容器用ラミネートフィルムを製造した。
得られた紙容器用ラミネートフィルムは、シーラント層(厚さ=24μm)、機能層(厚さ=29μm)、接着層(厚さ=8μm)、酸素バリア層(厚さ=10μm)、接着層(厚さ=8μm)、機能層(厚さ=17μm)、及び外層(厚さ=24μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、厚さが120μmのものであった。
【0161】
次いで、紙容器用ラミネートフィルムの外層側から電子線照射を行った(吸収線量30kGy、加速電圧160kV)。
次いで、JISK6769に準ずる方法により、紙容器用ラミネートフィルムのゲル分率を測定した。すなわち、上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを3cm×3cm(約0.09g)となるようにカットしてサンプル片を作成し、100gの400メッシュステンレス金網で包み、キシレン18ml中に110℃で24時間浸漬した。その後、ステンレス金網で包んだサンプル片を110℃で24時間、1.7kPaの圧力下で真空乾燥した後、質量を測定し、ゲル分率を求めた。ゲル分率は40%であった。
【0162】
<ラミネート紙容器の製造>
310g/mのカード紙を折り曲げ成形して、142mm×183mm、高さ20mm、の紙容器を作成した。この紙容器を金型にセットし、上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを、そのシーラント層が紙容器に相対するように配置し、紙容器用ラミネートフィルムと紙容器を、205~216℃にて加熱し、圧力1.5kgfで加圧成形することにより、紙容器用ラミネートフィルムを紙容器に密着させ、8秒間保持することにより、紙容器用ラミネートフィルムと紙容器とを接着し、ラミネート紙容器を製造した。
【0163】
[実施例2]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
電子線照射の吸収線量を30kGyから60kGyに変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は51%であった。
【0164】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0165】
[実施例3]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
電子線照射の吸収線量を30kGyから90kGyに変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は61%であった。
【0166】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0167】
[実施例4]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
電子線照射の吸収線量を30kGyから120kGyに変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は72%であった。
【0168】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0169】
[実施例5]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
電子線照射の吸収線量を30kGyから175kGyに変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は81%であった。
【0170】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0171】
[実施例6]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
酸素バリア層を構成する樹脂として、ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、4040FC)を使用した点以外は、実施例5の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は78%であった。
【0172】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0173】
[実施例7]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
シーラント層、機能層、接着層、酸素バリア層、接着層、及び外層を、この順で共押出成形すること以外は、実施例5の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は75%であった。
得られた紙容器用ラミネートフィルムは、シーラント層(厚さ=24μm)、機能層(厚さ=46μm)、接着層(厚さ=8μm)、酸素バリア層(厚さ=10μm)、接着層(厚さ=8μm)、及び外層(厚さ=24μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、厚さが120μmのものであった。
【0174】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0175】
[実施例8]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
シーラント層、機能層、接着層、機能層、及び外層を、この順で共押出成形すること以外は、実施例5の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は72%であった。
得られた紙容器用ラミネートフィルムは、シーラント層(厚さ=24μm)、機能層(厚さ=32μm)、接着層(厚さ=8μm)、機能層(厚さ=32μm)、及び外層(厚さ=24μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、厚さが120μmのものであった。
【0176】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0177】
[実施例9]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
シーラント層、機能層、及び外層を、この順で共押出成形すること以外は、実施例5の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は74%であった。
得られた紙容器用ラミネートフィルムは、シーラント層(厚さ=24μm)、機能層(厚さ=72μm)、及び外層(厚さ=24μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、厚さが120μmのものであった。
【0178】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0179】
[実施例10]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
シーラント層を構成する樹脂として、エチレン-メタクリル酸共重合体(三井ダウポリケミカル株式会社製、N0903HC)を使用した点以外は、実施例5の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は80%であった。
【0180】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0181】
[比較例1]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
電子線照射を行わなかった点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は17%であった。
【0182】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0183】
[比較例2]
<紙容器用ラミネートフィルムの製造>
電子線照射の吸収線量を30kGyから15kGyに変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、紙容器用ラミネートフィルムを製造し、ゲル分率を測定した。ゲル分率は28%であった。
【0184】
<ラミネート紙容器の製造>
上記で得られた紙容器用ラミネートフィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、ラミネート紙容器を製造した。
【0185】
<<密着性の評価>>
実施例1~10並びに比較例1及び2のラミネート紙容器について、密着性を評価した。評価基準は下記のとおりである。
A:紙容器とラミネートフィルムが隙間なく密着している。
B:紙容器とラミネートフィルムの密着が不十分で浮きが生じている。
【0186】
<<耐熱性の評価>>
実施例1~10並びに比較例1及び2のラミネート紙容器について、耐熱性を評価した。
実施例1~10並びに比較例1及び2のラミネート紙容器に唐揚げ200gを入れて、電子レンジ(600W)で4分間加熱し、フィルム表面を観察した。評価基準は下記のとおりである。
A:フィルム表面に融解が無い。
B:フィルム表面が一部融解している。
【0187】
実施例1~10並びに比較例1及び2のラミネート紙容器について、密着性及び耐熱性を評価した結果を以下の表1に示す。
【0188】
【表1】
PE:ポリエチレン
ION:アイオノマー
AD:変性ポリオレフィン樹脂
EVOH:エチレン-ビニルアルコール共重合体
EVA:エチレン-酢酸ビニル共重合体
EMAA:エチレン-メタクリル酸共重合体
【0189】
上記結果から明らかなように、実施例1~10のラミネート紙容器では、紙容器とラミネートフィルムの密着性が良好であった。また、電子レンジで加熱した後のフィルム表面に融解が無かった。
【0190】
これに対して、比較例1のラミネート紙容器では、ラミネートフィルムのゲル分率が17%であるため、ラミネートフィルムのゲル分率が30%以上の条件を満たす(40~81%である)実施例1~10のラミネート紙容器よりも、紙容器とラミネートフィルムの密着性が不十分であり、耐熱性も劣っていた。
【0191】
また、比較例2のラミネート紙容器では、紙容器とラミネートフィルムの密着性は良好であったが、ラミネートフィルムのゲル分率が28%であるため、ラミネートフィルムのゲル分率が30%以上の条件を満たす実施例1~10のラミネート紙容器よりも、耐熱性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明の紙容器用ラミネートフィルムは、紙容器への密着性及び耐熱性に優れていることから、乳飲料、果実飲料、酒等の飲料や食品等の広い分野のラミネート紙容器として利用可能である。
【符号の説明】
【0193】
1・・・紙容器用ラミネートフィルム
2・・・紙容器
10・・・ラミネート紙容器
11・・・外層
12・・・第1機能層
13・・・接着層
14・・・酸素バリア層
15・・・接着層
16・・・第2機能層
17・・・シーラント層
図1
図2