(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】変形試験器
(51)【国際特許分類】
G01N 3/34 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
G01N3/34 C
G01N3/34 Q
(21)【出願番号】P 2018203662
(22)【出願日】2018-10-30
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】511017195
【氏名又は名称】ユアサシステム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107917
【氏名又は名称】笠原 英俊
(72)【発明者】
【氏名】安藤 直継
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 寿朗
(72)【発明者】
【氏名】兵頭 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 恭久
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1762141(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0048642(KR,A)
【文献】特開平10-202736(JP,A)
【文献】特開2015-025786(JP,A)
【文献】特開2016-080694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 - 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体が取り付けられる第1取付面と、第1取付面の縁部であり第1取付面に存在する第1線分に沿った第1縁部と、を有する第1取付板と、
試験体が取り付けられる第2取付面と、第2取付面の縁部であり第2取付面に存在する第2線分に沿った第2縁部と、を有する第2取付板と、
試験体が架け渡される隙間が第1縁部と第2縁部との間に形成されるように、第1線分と第2線分とが互いに平行で相対的位置を保持しつつ、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動可能であり、及び、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動可能であるように、第1取付板と第2取付板とを支持する支持手段と、
第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動させ、及び、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動させる回動手段と、
第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分の状態を検出する検出器を支持する検出器支持手段と、を備えてなる変形試験器であって、
第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動させ、及び、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動させることで、第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分を変形させる変形試験において、第1線分と第2線分とを2辺とする仮想上の四角形である対象領域の位置が変化するものであり、
支持手段は、第1線分が含まれる第1直線の周りに回動可能に第1取付板が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2線分が含まれる第2直線の周りに回動可能に第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられ、第1直線と第2直線との間の距離を一定に保持する両縁部位置関係保持部材を有し、
検出器支持手段が、両縁部位置関係保持部材に取り付けられ、
対象領域の該位置の変化に関わらず、検出器支持手段に支持される検出器に対する対象領域の相対的位置が、略同じである、変形試験器。
【請求項2】
支持手段は、第1線分の一端側の第1取付板と第2線分の一端側の第2取付板とに取り付けられる一端側の両縁部位置関係保持部材と、第1線分の他端側の第1取付板と第2線分の他端側の第2取付板とに取り付けられる他端側の両縁部位置関係保持部材と、を含んでなり、
検出器支持手段が、一端側の両縁部位置関係保持部材と他端側の両縁部位置関係保持部材とに取り付けられるものである、請求項1に記載の変形試験器。
【請求項3】
支持手段は、第1線分と平行な第1回動軸の周りに回動可能に第1取付板を支持すると共に、第2線分と平行な第2回動軸の周りに回動可能に第2取付板を支持し、第1直線と第2直線との間の距離を一定に保ちつつ、第1回動軸と第2回動軸との間の距離が変化可能なものである取付板支持手段を有する、請求項1又は2に記載の変形試験器。
【請求項4】
取付板支持手段は、第1回動軸の周りに回動可能に第1取付板を支持する第1回動棒を有してなり、
回動手段は、第1回動棒を第1回動軸の周りに回動させる第1回動棒が取り付けられた回動駆動手段と、第1回動棒の回動により第2取付板を第2回動軸の周りに従動的に回動させるリンク機構と、を備えてなり、
検出器支持手段が、リンク機構に取り付けられるものである、請求項3に記載の変形試験器。
【請求項5】
前記リンク機構は、第2回動軸の周りに第2取付板が回動するように両縁部位置関係保持部材を移動させるものである、請求項4に記載の変形試験器。
【請求項6】
第1回動軸の位置は不変であると共に、第2回動軸の位置が移動することで、第1回動軸と第2回動軸との間の距離が変化するものである、請求項4又は5に記載の変形試験器。
【請求項7】
第1回動軸と第2回動軸とを含む平面である回動軸存在面への第1線分の正投影と、回動軸存在面への第2線分の正投影と、が第1回動軸と第2回動軸との間に存し、
回動手段は、回動軸存在面に対し垂直方向に両縁部位置関係保持部材を往復動させる往復駆動手段を有するものである、請求項3に記載の変形試験器。
【請求項8】
第1線分と第2線分とを含む平面に対して垂直かつ第1線分からの距離と第2線分からの距離とが等しい平面である基準面と第1回動軸との第1距離が、基準面と第2回動軸との第2距離に等しくなるように、第1回動軸及び第2回動軸のいずれも位置が変化する、請求項7に記載の変形試験器。
【請求項9】
検出器支持手段に支持される検出器の方向及び/又は位置が変化可能である、請求項1乃至8のいずれか1に記載の変形試験器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形試験器に関し、より詳細には、携帯電話等の基板や有機EL等のフレキシブルディスプレーに用いられる薄いガラス板や樹脂板等の試験体を変形させてその耐久度を試験する変形試験器に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、携帯電話等の基板や有機EL等のフレキシブルディスプレーに用いられる薄いガラス板や樹脂板等の面状の試験体を変形させてその耐久度を試験する変形試験器が知られている(例えば、特許文献1~特許文献6参照)。
【0003】
特許文献1は、「彎曲試験を機械でできるようにしたもので、これにおいて、彎曲の曲率半径や弧長が違っていても、わずかな調整で機械が作動できるようにしたもの」(特許文献1の段落番号0005)であり、具体的には「略四角形のフレームの中に固定壁と移動壁とを対向して設け、両壁の頂上にワークを取り付ける取付部を固定壁と移動壁に対してそれぞれ鉛直面内で回動可能に設けるとともに、両取付部にワークとワークの他に板ばねのそれぞれ両端を取り付けて固定壁と移動壁との間に彎曲状態に渡し、移動壁を固定壁に対して遠近させてワークを繰り返し彎曲することを特徴とする彎曲試験機」(特許文献1の段落番号0006)を開示している。かかる特許文献1の彎曲試験機によれば、「固定壁と移動壁に薄いガラス板や樹脂板といったワークを彎曲状態で渡し、移動壁を固定壁に対して遠近させてをワークを繰り返して彎曲するものである。このとき、ワークの彎曲の曲率半径等の形状要件を変えることがあるが、移動壁を移動させるアクチュエータによるストロークと両壁の初期位置を変えること等でそれを可能にする。また、ワークを取り付ける取付部が移動壁又は固定壁に対して鉛直面内で回動可能(相手方に向かって傾動可能なこと)にすることで内部応力を残さずにストローク変化にも対応できるようにしている。さらに、彎曲の速度も調整できなければならないが、アクチュエータの速さを変えることでそれができる。」(特許文献1の段落番号0008)というものである。
【0004】
特許文献4は、面状の試験体を繰り返し捩じり(捩回)試験を行うものである。
特許文献2及び特許文献5は、面状の試験体を繰り返し折り曲げたり延ばしたりを繰り返す試験を行うものである。
特許文献3は、シート状の試験体をU字形に垂らして一方を固定し、他方を上下に動かすことで折り曲げ部分を試験体において移動させる試験を行うものである。
【0005】
本出願人の特許出願である特許文献6(本願出願時未公開文献)は、「面状の試験体を小さな曲げ半径により折り曲げられたり延ばされたりを繰り返すことができる変形試験器を提供することを目的」(特許文献6の段落番号0005最終段落)としてなされたもので、具体的には「試験体が取り付けられる第1取付面と、第1線分の上に存する第1取付面の縁部である第1縁部と、を有する第1取付板と、試験体が取り付けられる第2取付面と、第2線分の上に存する第2取付面の縁部である第2縁部と、を有する第2取付板と、試験体が架け渡される隙間が第1縁部と第2縁部との間に形成されるように、第1線分と第2線分とが互いに平行で相対的位置を保持しつつ、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動可能であり、及び/又は、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動可能であるように、第1取付板と第2取付板とを支持する支持手段と、そして第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動させ、及び/又は、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動させる回動手段と、を備えてなる、変形試験器」(特許文献6、段落番号0006)を開示している。かかる特許文献6の変形試験機によれば、「第1取付面と第2取付面とに試験体が取り付けられ、第1取付面の第1縁部と第2取付面の第2縁部との間に試験体が架け渡された状態において、第1縁部を規定する第1線分と、第2縁部を規定する第2線分と、が互いに平行で相対的位置を保持したまま、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動させ、及び/又は、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動させることにより、意図した曲げを試験体が生じる以外の力(例えば、試験体が不意に不均一に曲がる力、試験体を引っぱる力や圧縮する力)が試験体に加わることを防止又は減少させることができる(特許文献1中の板バネ12を用いることなく、意図した曲げを試験体が生じる以外の力が試験体に加わることを防止又は減少させる。)と共に、第1縁部と第2縁部との距離が極小(理論的には0に限りなく近づけることができる。)になるまで両縁部を容易に近接させることができるので、試験体をどのような小さな曲げ半径であっても曲げたり延ばしたりを繰り返して試験することができる。」(特許文献6、段落番号0009)というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-80694号公報
【文献】特開2016-42048号公報
【文献】特開2013-125002号公報
【文献】特開2013-64658号公報
【文献】特開2013-57538号公報
【文献】特願2017-160949号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように特許文献6の試験機によれば、第1取付面の第1縁部と第2取付面の第2縁部との間に試験体が架け渡された状態において、試験体を曲げたり延ばしたりを繰り返して試験することができる。
このような試験体を繰り返し曲げたり延ばしたりする試験において、試験体に生じる変化を把握するため、曲げ延ばしされる試験体の状態(例えば、外観、温度、音等)を検出することが求められる場合がある。
そこで、本発明では、第1取付面の第1縁部と第2取付面の第2縁部との間に架け渡された試験体が曲げたり延ばしたりされる間の該試験体の状態をうまく検出することができる変形試験器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の変形試験器(以下「本試験器」という。)は、試験体が取り付けられる第1取付面と、第1線分の上に存する第1取付面の縁部である第1縁部と、を有する第1取付板と、試験体が取り付けられる第2取付面と、第2線分の上に存する第2取付面の縁部である第2縁部と、を有する第2取付板と、試験体が架け渡される隙間が第1縁部と第2縁部との間に形成されるように、第1線分と第2線分とが互いに平行で相対的位置を保持しつつ、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動可能であり、及び/又は、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動可能であるように、第1取付板と第2取付板とを支持する支持手段と、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動させ、及び/又は、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動させる回動手段と、第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分の状態を検出する検出器を支持する検出器支持手段と、を備えてなる変形試験器であって、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動させ、及び/又は、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動させることで、第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分を変形させる変形試験において、第1線分と第2線分とを2辺とする仮想上の四角形である対象領域の絶対位置が変化するものであり、対象領域の該絶対位置の変化に関わらず、検出器支持手段に支持される検出器に対する対象領域の相対的位置が、略同じである、変形試験器である。
【0009】
本試験器は、大まかには、第1取付板と、第2取付板と、支持手段と、回動手段と、検出器支持手段と、を備えてなる。
第1取付板は、第1取付面と、第1取付面の縁部である第1縁部と、を有する。第1取付面は、試験体が取り付けられる面であり、例えば、シート状、フィルム状、膜状、板状等のように主表面を有する試験体が、該主表面の一部が第1取付面に接着等によって取り付けられる。第1縁部は、第1取付面の縁部であって第1線分上に存する真っ直ぐな縁である。
第2取付板は、第2取付面と、第2取付面の縁部である第2縁部と、を有する。第2取付面は、試験体が取り付けられる面であり、例えば、シート状、フィルム状、膜状、板状等のように主表面を有する試験体が、該主表面の一部が第2取付面に接着等によって取り付けられる。第2縁部は、第2取付面の縁部であって第2線分上に存する真っ直ぐな縁である。
このような第1取付板の第1取付面と、第2取付板の第2取付面と、に試験体が取り付けられ、第1縁部と第2縁部との間に試験体が架け渡される。
【0010】
支持手段は、(a)第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動可能であること、(b)第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動可能であること、のうち一方又は両方が満たされるように第1取付板と第2取付板とを支持する。この(a)(b)の一方又は両方の回動を生じても、試験体が架け渡される隙間が第1縁部と第2縁部との間に形成されると共に、第1線分と第2線分とが互いに平行で両線分の相対的位置が保持される。なお、第1線分と第2線分との両線分の相対的位置は、両線分間の距離や、両線分の一方に対する他方の、両線分の平行方向に関する位置(該一方を含む直線に該他方が含まれるように平行移動させた際、該一方に対する該平行移動させた他方の位置)を含む。
回動手段は、(c)第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動させること、(d)第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動させること、のうち一方又は両方を行う。
【0011】
検出器支持手段は検出器を支持し、検出器は、第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分の状態を検出する。検出器が検出する該部分の状態は、いかなるものであってもよく何ら限定されるものではないが、例えば、外観、温度、発生音等を挙げることができる。外観を目的とする場合は検出器として撮像装置(動画及び静止画のいずれも含む。)を用いればよく、温度を目的とする場合は検出器として非接触温度計を用いればよく、発生音を目的とする場合は検出器としてマイクロフォンを用いればよい。
このような検出器が、第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分(検出対象とする部分)の状態を検出できるように検出器支持手段によって支持される。
【0012】
そして、本試験器においては、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動させ、及び/又は、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動させることで、第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分を変形させる変形試験が行われる。
かかる本試験器の変形試験において、第1線分と第2線分とを2辺とする仮想上の四角形である対象領域の絶対位置が変化する。しかしながら、本試験器においては、この変形試験における対象領域の絶対位置の変化に関わらず、検出器支持手段に支持される検出器に対する対象領域の相対的位置が略同じにされる。
【0013】
このように第1取付面と第2取付面とに試験体が取り付けられ、第1取付面の第1縁部と第2取付面の第2縁部との間に試験体が架け渡された状態において、第1縁部を規定する第1線分と、第2縁部を規定する第2線分と、が互いに平行で相対的位置を保持したまま、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動させ、及び/又は、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動させることにより、意図した曲げを試験体が生じる以外の力(例えば、試験体が不意に不均一に曲がる力、試験体を引っぱる力や圧縮する力)が試験体に加わることを防止又は減少させることができる(特許文献1中の板バネ12を用いることなく、意図した曲げを試験体が生じる以外の力が試験体に加わることを防止又は減少させる。)と共に、第1縁部と第2縁部との距離が極小(理論的には0に限りなく近づけることができる。)になるまで両縁部を容易に近接させることができるので、試験体をどのような小さな曲げ半径であっても曲げたり延ばしたりを繰り返して試験することができる。
そして、検出器支持手段に支持される検出器から見て、対象領域(第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分が対象領域の近くに存在する。)の相対的位置(距離、方向)が略同じに保たれるので、変形試験における対象領域の絶対位置が変化しても、第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分に対する検出器の相対的な位置(距離、方向)がほぼ同じに保たれることから、検出器よって対象とする該部分の状態を安定的かつ正確に検出することができる。
【0014】
本試験器においては、検出器支持手段が、絶対位置が変化する第1縁部及び/又は第2縁部に取り付けられるもの(以下「縁部取付本試験器」という。)であってもよい。
このように検出器支持手段を、絶対位置が変化する第1縁部及び/又は第2縁部に取り付けるという簡単な構成によって、第1線分と第2線分とを2辺とする対象領域の絶対位置変化に合わせて検出器支持手段の絶対位置を変化させ、検出器支持手段に支持される検出器に対する対象領域の相対的位置を略同じに保つことができる。なお、絶対位置が変化する第1縁部及び/又は第2縁部への検出器支持手段の取付は、直接的(他の物を介することなく取り付ける)及び間接的(他の物を介して取り付ける)のいずれであってもよい。
【0015】
縁部取付本試験器においては、支持手段は、第1線分が含まれる第1直線の周りに回動可能に第1取付板が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2線分が含まれる第2直線の周りに回動可能に第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられ、第1直線と第2直線との間の距離を一定に保持する両縁部位置関係保持部材を有し、検出器支持手段が、両縁部位置関係保持部材に取り付けられるもの(以下「両縁部位置関係保持部材本試験器」という。)であってもよい。
支持手段は、試験体が架け渡される隙間が第1縁部と第2縁部との間に形成されるように、第1線分と第2線分とが互いに平行で相対的位置を保持しつつ、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動可能であり、及び/又は、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動可能であるように、第1取付板と第2取付板とを支持するものであるが、支持手段は両縁部位置関係保持部材を有するようにしてもよい。即ち、両縁部位置関係保持部材は、第1取付板及び第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられるが、第1取付板に対し第1直線(第1線分を含む)の周りに回動可能に第1取付板が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2取付板に対し第2直線(第2線分を含む)の周りに回動可能に第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられる。そして、両縁部位置関係保持部材は、第1取付板に対する回動可能な軸である第1直線と、第2取付板に対する回動可能な軸である第2直線と、の間の距離を一定に保持する。かかる両縁部位置関係保持部材を支持手段が有することで、支持手段を簡単に構成することができる。
そして、検出器支持手段が、第1線分及び第2線分と共に動く両縁部位置関係保持部材に取り付けられることで、第1線分と第2線分とを2辺とする対象領域の絶対位置変化に合わせて検出器支持手段の絶対位置をうまく変化させて、検出器支持手段に支持される検出器に対する対象領域の相対的位置を略同じに保つことができる。
【0016】
両縁部位置関係保持部材本試験器においては、支持手段は、第1線分の一端側の第1取付板と第2線分の一端側の第2取付板とに取り付けられる一端側の両縁部位置関係保持部材と、第1線分の他端側の第1取付板と第2線分の他端側の第2取付板とに取り付けられる他端側の両縁部位置関係保持部材と、を含んでなり、検出器支持手段が、一端側の両縁部位置関係保持部材と他端側の両縁部位置関係保持部材とに取り付けられるものであってもよい。
こうすることで、両縁部位置関係保持部材として、第1線分の一端側の第1取付板と第2線分の一端側の第2取付板とに取り付けられる一端側の両縁部位置関係保持部材と、第1線分の他端側の第1取付板と第2線分の他端側の第2取付板とに取り付けられる他端側の両縁部位置関係保持部材と、を含むので、一端側と他端側との両方において、第1縁部(第1線分)と第2縁部(第2線分)との位置関係が確実に保持される。
そして、検出器支持手段が、一端側の両縁部位置関係保持部材と他端側の両縁部位置関係保持部材とに取り付けられるので、変形試験における対象領域の絶対位置変化に伴って検出器支持手段の絶対位置を確実に変化させ、検出器支持手段に支持される検出器に対する対象領域の相対的位置を略同じにうまく保つことができる。
【0017】
本試験器においては、支持手段は、第1線分と平行な第1回動軸の周りに回動可能に第1取付板を支持すると共に、第2線分と平行な第2回動軸の周りに回動可能に第2取付板を支持し、第1回動軸と第2回動軸との間の距離が変化可能なものである取付板支持手段を有するもの(以下「取付板支持手段本試験器」という。)であってもよい。
このような支持手段が有する取付板支持手段によって、第1線分と平行な第1回動軸の周りに第1取付板が回動可能に支持され、第2線分と平行な第2回動軸の周りに第2取付板が回動可能に支持されると共に、第1回動軸と第2回動軸との間の距離が変化可能になるので、第1線分と第2線分とが互いに平行で相対的位置を保持しつつ、第1取付板を第2線分に対して相対的に第1線分を中心に回動可能にし、第2取付板を第1線分に対して相対的に第2線分を中心に回動可能にした状態で第1取付板と第2取付板とを支持することができる。
【0018】
取付板支持手段本試験器においては、取付板支持手段は、第1回動軸の周りに回動可能に第1取付板を支持する第1回動棒を有してなり、回動手段は、第1回動棒を第1回動軸の周りに回動させる第1回動棒が取り付けられた回動駆動手段と、第1回動棒の回動により第2取付板を第2回動軸の周りに従動的に回動させるリンク機構と、を備えてなり、検出器支持手段が、リンク機構に取り付けられるもの(以下「リンク機構本試験器」という。)であってもよい。
こうすることで取付板支持手段が有する第1回動棒が、第1回動軸の周りに回動可能に第1取付板を支持し、回動手段が備える回動駆動手段が、それに取り付けられた第1回動棒を第1回動軸の周りに回動させるので、第1回動軸の周りに第1取付板が回動される。そして、回動手段が備えるリンク機構が、第1回動棒の回動により第2取付板を第2回動軸の周りに従動的に回動させるので、第1回動軸の周りの第1取付板の回動と、第2回動軸の周りの第2取付板の回動と、を生じさせる別個の回動駆動手段を設ける必要がなく、別個の回動駆動手段を設ける場合に比し、回動駆動手段の個数を減少させると共に別個の回動駆動手段の動作を同期させる機構も要さないので、本試験器を簡単に構成することができる。
そして、検出器支持手段をリンク機構に取り付けることで、第1回動棒の回動と第2回動軸の周りの回動(これら両回動により、第1取付板を第1線分を中心に回動させると共に、第2取付板を第2線分を中心に回動させる。)とに合わせて、検出器支持手段の絶対位置を確実に変化させ、検出器支持手段に支持される検出器に対する対象領域の相対的位置をうまく保持することができる。
【0019】
リンク機構本試験器においては、支持手段は、第1線分が含まれる第1直線の周りに回動可能に第1取付板が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2線分が含まれる第2直線の周りに回動可能に第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられ、第1直線と第2直線との間の距離を一定に保持する両縁部位置関係保持部材を有し、前記リンク機構は、第2回動軸の周りに第2取付板が回動するように両縁部位置関係保持部材を移動させるものであってもよい。
両縁部位置関係保持部材は、第1取付板及び第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられるが、第1取付板に対し第1直線(第1線分を含む)の周りに回動可能に第1取付板が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2取付板に対し第2直線(第2線分を含む)の周りに回動可能に第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられる。そして、両縁部位置関係保持部材は、第1取付板に対する回動可能な軸である第1直線と、第2取付板に対する回動可能な軸である第2直線と、の間の距離を一定に保持する。かかる両縁部位置関係保持部材を支持手段が有すれば、支持手段を簡単に構成することができる。
そして、リンク機構は、第2回動軸の周りに第2取付板が回動するように両縁部位置関係保持部材を移動させ、両縁部位置関係保持部材が取り付けられた第1取付板の部分(第1直線上)及び第2取付板の部分(第2直線上)を移動させ(第1線分と第2線分とを含む平面が平行移動する。)、第2回動軸の周りに第2取付板を回動させることができる。
【0020】
リンク機構本試験器においては、第1回動軸の絶対的位置は不変であると共に、第2回動軸の絶対的位置が移動することで、第1回動軸と第2回動軸との間の距離が変化するものであってもよい。
このように回動駆動手段が取り付けられた第1回動棒の回動軸である第1回動軸の絶対的位置は不変で、第2回動軸の絶対的位置を移動させて第1回動軸と第2回動軸との間の距離を変化させることにより、回動駆動手段が取り付けられた第1回動棒を移動させる必要がないので本試験器を簡単な構成にすることができる(回動駆動手段が取り付けられた第1回動棒を移動させるには、回動駆動手段と第1回動棒とを含め一体として移動させれば移動部分が大形で重くなる問題があり、回動駆動手段は移動させず第1回動棒のみを移動させるには回動駆動手段から第1回動棒への動力伝達が複雑になる問題がある。)。
【0021】
取付板支持手段本試験器においては、第1回動軸と第2回動軸とを含む平面である回動軸存在面への第1線分の正投影と、回動軸存在面への第2線分の正投影と、が第1回動軸と第2回動軸との間に存し、支持手段は、第1線分が含まれる第1直線の周りに回動可能に第1取付板が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2線分が含まれる第2直線の周りに回動可能に第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられ、第1直線と第2直線との間の距離を一定に保持する両縁部位置関係保持部材を有し、回動手段は、回動軸存在面に対し垂直方向に両縁部位置関係保持部材を往復動させる往復駆動手段を有し、検出器支持手段が、両縁部位置関係保持部材に取り付けられるもの(以下「往復駆動本試験器」という。)であってもよい。
支持手段が有する両縁部位置関係保持部材は、第1取付板及び第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられるが、第1取付板に対し第1直線(第1線分を含む)の周りに回動可能に第1取付板が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2取付板に対し第2直線(第2線分を含む)の周りに回動可能に第2取付板が直接的又は間接的に取り付けられる。そして、両縁部位置関係保持部材は、第1取付板に対する回動可能な軸である第1直線と、第2取付板に対する回動可能な軸である第2直線と、の間の距離を一定に保持する。かかる両縁部位置関係保持部材を支持手段が有すれば、支持手段を簡単に構成することができる。
そして、第1回動軸と第2回動軸とを含む平面である回動軸存在面への第1線分の正投影と、回動軸存在面への第2線分の正投影と、が回動軸存在面において第1回動軸と第2回動軸との間に存し(即ち、回動軸存在面のうち、第1回動軸を含む直線と第2回動軸を含む直線とに挟まれた領域に、第1線分の正投影と、第2線分の正投影と、が存する。)、回動手段が有する往復駆動手段が、回動軸存在面に対し垂直方向に両縁部位置関係保持部材を往復動させれば、第1回動軸の周りに第1取付板が回動すると共に第2回動軸の周りに第2取付板が回動するようにでき、両縁部位置関係保持部材を往復動させる往復駆動手段という簡単な構成により本試験器を構成できる。
加えて、検出器支持手段が、両縁部位置関係保持部材に取り付けられることで、第1回動軸の周りの第1取付板の回動と第2回動軸の周りの第2取付板の回動(これら両回動により、第1取付板を第1線分を中心に回動させると共に、第2取付板を第2線分を中心に回動させる。)とに合わせて、検出器支持手段の絶対位置を確実に変化させ、検出器支持手段に支持される検出器に対する対象領域の相対的位置をうまく保持することができる。
【0022】
往復駆動本試験器においては、第1線分と第2線分とを含む平面に対して垂直かつ第1線分からの距離と第2線分からの距離とが等しい平面である基準面と第1回動軸との第1距離が、基準面と第2回動軸との第2距離に等しくなるように、第1回動軸及び第2回動軸のいずれも絶対的位置が変化するものであってもよい。
第1線分と第2線分とを含む平面に対して垂直かつ第1線分及び第2線分に平行な平面であって、第1線分からの距離と第2線分からの距離とが等しい平面である基準面と第1回動軸との第1距離と、基準面と第2回動軸との第2距離と、が互いに等しくなるように、第1回動軸及び第2回動軸のいずれも絶対的位置が変化するので、試験体が基準面の両側で同じように曲げられ、試験体が不意に不均一に曲がることを防止又は減少させることができる。
【0023】
本試験器においては、検出器支持手段に支持される検出器の方向及び/又は位置が変化可能であってもよい。
こうすることで、検出器支持手段に支持される検出器の方向を適した方向に容易に調節でき、及び/又は検出器支持手段に支持される検出器の位置を適した位置に容易に調節できるので、第1縁部と第2縁部との間に存する試験体の部分の状態を検出器により的確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の変形試験器(本試験器)を構成する一例の試験器本体を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1の試験器本体を別の方向から見た斜視図であり、
図2(b)は、
図1の試験器本体の正面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1の試験器本体の平面図であり、
図3(b)は、
図1の試験器本体の右側面図である。
【
図4】
図1の試験器本体のうち、駆動部、ガイドレール、一方支持軸部、一方試験片取付部、駆動軸、他方試験片取付部及びリンク部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図5】
図1の試験器本体の動作を説明する拡大斜視図である。
【
図6】
図1の試験器本体の動作を説明する拡大斜視図である。
【
図7】
図6に示した状態の
図1の試験器本体を示す斜視図である。
【
図8】X軸に平行な方向から他方取付板、一方取付板及びそれらに取り付けられた試験片を見たところを示す図である。
【
図9】本発明の変形試験器(本試験器)を構成する別の試験器本体を示す斜視図である。
【
図10】
図10(a)は、
図9の試験器本体を別の方向から見た斜視図であり、
図10(b)は、
図9の試験器本体の正面図(一部)である。
【
図12】
図9の試験器本体のうち、駆動部、ガイドレール、一方支持軸部、一方試験片取付部、駆動棒、他方試験片取付部及びリンク部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図13】
図9の試験器本体の動作を説明する拡大斜視図である。
【
図14】
図9の試験器本体の動作を説明する拡大斜視図である。
【
図16】一例の本発明の変形試験器(本試験器)を示す斜視図である。
【
図17】
図16の状態における本試験器の駆動部、ガイドレール、一方支持軸部、一方試験片取付部、駆動軸、他方試験片取付部、リンク部及び検出器支持部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図18】
図16の本試験器の動作を説明する拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
【0026】
本発明に係る変形試験器(本試験器)は、試験器本体と検出器支持部とを含んでなる。ここでは試験器本体は、試験片を繰り返し折り曲げることで耐久性を試験するための装置であり、検出器支持部は、試験器本体にて試験される試験片の繰り返し折り曲げられる部分を撮像するためのカメラや非接触温度計等の検出器を支持するためのものである。
【0027】
まず、一例の試験器本体11について説明する。
図1は、本試験器から検出器支持部を取り外した試験器本体11を示す斜視図である。
図2(a)は、試験器本体11を別の方向から見た斜視図(
図1中の矢印A方向から見たところを示している。)であり、
図2(b)は、試験器本体11の正面図(
図2(a)中の矢印B方向から見たところを示している。)である。
図3(a)は、試験器本体11の平面図(
図2(a)(b)中の矢印C方向から見たところを示している。)であり、
図3(b)は、試験器本体11の右側面図(
図2(a)(b)中の矢印D方向から見たところを示している。)である。
図4は、後述する駆動部61、ガイドレール31b、一方支持軸部41、一方試験片取付部51、駆動軸73、他方試験片取付部81及びリンク部91を拡大して示す拡大斜視図である。
図1乃至
図4を参照して、試験器本体11について説明する。また、説明及び理解を容易にするため、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸及びZ軸を用い(これら3軸の方向を図中にX、Y及びZとして示す。)、Z軸に垂直な平面をXY面といい、X軸に垂直な平面をYZ面といい、Y軸に垂直な平面をXZ面という。なお、
図1乃至
図3においては試験片101が取り付けられた状態を図示しているが、
図4においては試験片101が取り付けられていないところを示している。
【0028】
試験器本体11は、大まかには、中空の直方体形状をなすフレーム部21と、フレーム部21の上面に取り付けられたガイドレール31a、31bと、Y軸方向にスライド自在にガイドレール31a、31bに取り付けられた一方支持軸部41と、一方支持軸部41が有する一方支持軸43に取り付けられた一方試験片取付部51と、フレーム部21の左側面に固定された駆動部61と、フレーム部21に対して回動自在に支持される駆動軸73と、駆動軸73に回動不可能に取り付けられた他方試験片取付部81と、一方試験片取付部51を回動させるリンク部91と、を含んでなる。
【0029】
フレーム部21は、直方体の一面に沿った天板部23(両主表面が長方形を略なす平板部材により形成されている。)と、該直方体の辺に沿った棒状部材により形成された8本の棒状部25と、を有し、天板部23がフレーム部21の上面を形成している。フレーム部21が形成する該直方体の辺は、X軸、Y軸及びZ軸のいずれかに平行に配置され、フレーム部21は十分な強度を有するようここでは金属によって形成されている。
【0030】
ガイドレール31a、31bは、いずれもY軸に平行になるようにかつ同一のXY面に属するようにフレーム部21の天板部23の上面23aに固定されている。
【0031】
一方支持軸部41は、Y軸方向にスライド自在にガイドレール31aに取り付けられたスライド部45aと、Y軸方向にスライド自在にガイドレール31bに取り付けられたスライド部45bと、スライド部45aとスライド部45bとに回転自在に支持された一方支持軸43(X軸に長手方向が平行な丸棒により形成されている。)と、を有してなる。これにより一方支持軸43は、長手方向がX軸に平行な状態を保ちつつ、XY面に沿ってY軸方向に自由に移動することができる。
【0032】
一方試験片取付部51は、一方支持軸43に回動不可能に取り付けられた取付部53aと、取付部53aとは離れて一方支持軸43に回動不可能に取り付けられた取付部53bと、取付部53aと取付部53bとに両側が取り付けられた一方取付板55と、を有してなる。
一方取付板55は、両主表面が同じ長方形状をなしており、該両主表面の一方である上面55aの4の縁部のうちの1の縁部55ae(該4の縁部のX軸に平行な2の縁部のもののうち、試験片101の折り曲げ部分に近い方の縁部)は、一方試験片取付部51が一方支持軸43の回動に伴って回動しても、X軸に常に平行な状態が保たれる。
【0033】
駆動部61は、フレーム部21の左側面に固定され、駆動軸73の基端が取り付けられている。駆動部61は、モーター、変速機及び制御部を内部に含んでおり、所定の回動角度及び回動速度により駆動軸73をその中心軸の周りに正逆に回動させる。なお、ここでは図示していないが、該所定の回動角度及び回動速度は可変可能にされており、これによって後述の試験片101の折り曲げ試験における折り曲げ角度及び折り曲げ速度を適宜変更することが可能である。
【0034】
駆動軸73は、丸棒により形成されており、その丸棒の中心軸がX軸に平行な状態でフレーム部21に対して回動自在に支持されている。駆動軸73を構成する該丸棒は直円柱形状をなし、該直円柱の中心軸の周りに該丸棒は回動される。
そして、前述の如く、駆動軸73の基端が駆動部61に取り付けられることで、駆動軸73は、所定の回動角度及び回動速度によりその中心軸の周りに正逆に回動する。
【0035】
他方試験片取付部81は、駆動軸73に回動不可能に取り付けられた取付部83aと、取付部83aとは離れて駆動軸73に回動不可能に取り付けられた取付部83bと、取付部83aと取付部83bとに両側が取り付けられた他方取付板85と、を有してなる。
他方取付板85は、両主表面が同じ長方形状をなしており、該両主表面の一方である上面85aの4の縁部のうちの1の縁部85ae(該4の縁部のX軸に平行な2の縁部のもののうち、試験片101の折り曲げ部分に近い方の縁部)は、他方試験片取付部81が駆動軸73の回動に伴って回動しても、X軸に常に平行な状態が保たれる。
なお、他方試験片取付部81の駆動軸73の周りの所定の回動位置(
図1~
図4)における上面85aと、一方試験片取付部51の一方支持軸43の周りの所定の回動位置(
図1~
図4)における上面55aと、は、XY面に平行な一平面に属するよう位置している。
また、上面85a及び上面55aには、シート状又はフィルム状の試験片101が、試験片101の主表面が接着されることにより取り付けられる。
【0036】
リンク部91は、フレーム部21に対して回動自在に支持されたリンク軸92(真っ直ぐな丸棒により形成され、その中心軸がX軸に平行に支持されている)と、リンク軸92に一端が回動不可能に取り付けられたアングル部材93と、アングル部材93の他端に一端が回動可能に取り付けられると共に他端が他方取付板85及び一方取付板55に回動自在(他方取付板85に対する回動中心は、縁部85aeが存する直線に含まれ、一方取付板55に対する回動中心は、縁部55aeが存する直線に含まれる。)に取り付けられた連結部材94と、リンク軸92に一端が回動不可能に取り付けられたアングル部材95と、アングル部材95の他端に一端が回動可能に取り付けられると共に他端が他方取付板85及び一方取付板55に回動自在(他方取付板85に対する回動中心は、縁部85aeが存する直線に含まれ、一方取付板55に対する回動中心は、縁部55aeが存する直線に含まれる。)に取り付けられた連結部材96と、を有してなる。
【0037】
このように連結部材94及び連結部材96はいずれも、縁部85aeが含まれる直線に含まれる回動軸の周りに回動自在に他方取付板85に対して取り付けられると共に、縁部55aeが含まれる直線に含まれる回動軸の周りに回動自在に一方取付板55に対して取り付けられているので、後述のように、駆動軸73の回動に伴って他方取付板85が回動すると、縁部85aeと縁部55aeとの間の距離は一定かつ縁部85aeと縁部55aeとの間は平行のまま、一方取付板55も回動する。駆動軸73の回動に伴って他方取付板85が回動しても、連結部材94、96の長手方向はZ軸に平行に保たれ、縁部55aeと縁部85aeとを含む平面は常にZ軸に対して垂直に保たれる(縁部55aeと縁部85aeとを含む平面は、他方取付板85の回動によって平行移動する。なお、縁部55aeと縁部85aeとは、同じXY面に常に属する。)。
なお、この一方取付板55の回動に従って、一方支持軸部41はガイドレール31a、31bに沿って自由にスライド移動する。
なお、連結部材94に穿設された一対の雌ネジ94h1、94h2は、検出器支持部を連結部材94に取り付けるための取付ネジ403b1、403b2を螺合させるためのものである。そして、図には表れないが、連結部材96にも同様の一対の雌ネジが穿設されており、後述のように、これら連結部材94に穿設された一対の雌ネジ94h1、94h2と、連結部材96に穿設された一対の雌ネジ(不図示)と、に検出器支持部の取付ネジを螺合させることで検出器支持部を連結部材94、96に取り付けることができる。
【0038】
試験器本体11の動作について、
図4、
図5、
図6及び
図7を用いて説明する。
図5及び
図6は、既に説明した
図4と同様の構成要素を
図4と同様の方向から見たところを示しており、
図4の状態から駆動軸73が図中で時計回り方向に回動したところを示している。また、
図7は、
図6に示した状態の試験器本体11を、
図1と同様の方向から見たところを示している。
まず、
図4の状態においては、他方取付板85の上面85aと一方取付板55の上面55aとは、Z軸に垂直な同じ一平面にほぼ属しており、上面85aと上面55aとに取り付けられた試験片101(
図4~
図6においては図示を省略している)は平面に沿った真っ直ぐな状態になっている。
【0039】
図4の状態から、駆動部61によって駆動軸73をその中心軸の周りに正方向(
図4、
図5及び
図6において時計回り方向をいう)に回動させると、駆動軸73に回動不可能に取り付けられた取付部83a、83bと共に他方取付板85も駆動軸73の周りに正方向に回動する。この取付部83a、83b及び他方取付板85の正方向の回動により、連結部材94、96はその長手方向がZ軸に平行な状態を保ちつつ他方取付板85によって
図5のように押し下げられる。そして、この連結部材94、96の押し下げにより、アングル部材93、95が正方向に回動することで、リンク軸92も正方向に回動する。
また、この取付部83a、83b及び他方取付板85の正方向への回動により、連結部材94、96の前記他端(上端)に回動自在に取り付けられた一方試験片取付部51(取付部53a、53b、一方取付板55)は一方支持軸43を中心に逆方向(図中において反時計回り)に回動する。その一方試験片取付部51の一方支持軸43の周りの回動により、一方支持軸部41(スライド部45a、45b、一方支持軸43)はガイドレール31a、31bに沿ってY軸と平行に他方試験片取付部81に近づくように移動する(連結部材94、96により、縁部85aeと縁部55aeとの間の距離は一定かつ縁部85aeと縁部55aeとの間は平行に保たれる。)。
【0040】
このような駆動部61による駆動軸73の正方向への回動により、他方試験片取付部81(取付部83a、83b、他方取付板85)の駆動軸73周りの正方向への回動と、一方試験片取付部51(取付部53a、53b、一方取付板55)の一方支持軸43周りの逆方向への回動と、を生じる。この3つの回動において、縁部85aeと縁部55aeとの間の距離は一定に保たれると共に縁部85aeと縁部55aeとは平行に保たれ、さらに一方試験片取付部51は駆動軸73に近づく方向にY軸と平行に移動する。
駆動軸73の正方向への回動は、
図4の状態から
図5の状態を経由して
図6の状態(
図6の状態では、他方取付板85の上面85aと一方取付板55の上面55aとが略平行になっている。)に至るまで回動する(
図6の状態で該回動は停止する。)。
図6の状態においては、他方取付板85の上面85aと一方取付板55の上面55aとに取り付けられた試験片101(
図4~
図6においては図示を省略している)が折り畳まれた状態になる。
【0041】
試験片101を折り畳んだ
図6の状態から、駆動部61によって駆動軸73を逆方向(
図6において反時計回り方向)に回動させる。これにより
図5の状態を経由して
図4の状態に戻る。このように、
図4の状態(試験片101は平らな状態)から駆動軸73を正方向へ回動させて
図6の状態(試験片101は折り畳まれた状態)とし、その後、
図6の状態から駆動軸73を逆方向へ回動させて
図4の状態に戻すことで(1サイクル)、試験片101は平らな状態から折り畳まれて再び平らな状態に戻るため、試験片101を1回折り畳む試験を行うことができる。このような駆動軸73の正逆の回動を交互に行うことで、試験片101を複数折り畳む折り畳み試験を行うことができる。
このような試験片101の折り畳み試験(
図4、
図5、
図6、
図5、
図4の順に動作する)においては、
図8に示すように、縁部85ae、55aeは、常に平行でありその間の距離Kが一定に保たれると共に、Z軸に垂直な一平面に属する。また、試験片101の折り畳み試験において、縁部85ae、55aeからの距離が等しくY軸に垂直な平面Pに対して、上面85aと上面55aとは常に面対称になっている。
【0042】
図8は、X軸に平行な方向から他方取付板85、一方取付板55及びそれらに取り付けられた試験片101を見たところを示す図であり、
図8(a)は
図4の状態を示し、
図8(b)は
図5の状態を示し、そして
図8(c)は
図6の状態を示している。
図8(a)(b)(c)に示すように、上面85aと上面55aとに取り付けられた試験片101は、互いに平行でありかつ距離Kが一定の縁部85ae、55aeを中心に平面Pに面対称に回動する2の上面85a、55aの間で折り曲げられる。このため、縁部85ae近傍、縁部55ae近傍、そして縁部85ae、55aeの間、いずれの部分の試験片101もほぼ同じ曲げ半径により曲げられ、試験片101の位置によって曲げ条件が不意に偏りにくいことから、再現性の高い試験を行うことができる。そして、距離Kを変更することで試験片101の曲げ半径を変更することができる(K/2がほぼ試験片101の曲げ半径となる。)。また、このような試験器本体11では、距離Kが0になるまで自由に変更できるので、試験片101の曲げ半径を極めて小さくすることもできるので、種々の曲げ試験に対応できる。
【0043】
また、試験器本体11においては、試験片101が取り付けられる上面85aの縁部85aeと、試験片101が取り付けられる上面55aの縁部55aeと、が常に平行かつ距離Kが一定に保たれつつ、(試験片101から見たときに)縁部85aeを中心に上面85aを回動させると共に(試験片101から見たときに)縁部55aeを中心に上面55aを回動させることによって、非常に短い試験片101(縁部85aeと縁部55aeとにかけわたされる長さと、上面85aに取り付けられる長さと、上面55aに取り付けられる長さと、の合計長さ以上の試験片101であれば試験が可能である。)の試験を可能ならしめる。
加えて、試験器本体11においては、試験片101を上面55aと上面85aとに取り付けると共に試験片101から見たときに縁部55ae、85aeを中心に縁部55ae、85aeが常に平行かつ距離Kが一定に保たれた状態で上面55a、85aを回動させるため、縁部85ae近傍と縁部55ae近傍との間に存する試験片101の部分を変形させるものの、それ以外の試験片101の残部(主として上面55aと上面85aとに面している部分)はほぼ変形させない。このことは、変形試験の対象とすべき部分を選択的に変形させるものであり、正確かつ高再現性の変形試験を可能ならしめる。
そして、試験器本体11においては、試験片101が取り付けられる上面55aと上面85aとが、試験片101の意図した曲げを生じるためのみの動きをするので、(特許文献1中の板バネ12を要することなく)試験片101が意図しない変形を生じる力(例えば、試験体が不意に不均一に曲がる力、試験体を引っぱる力や圧縮する力)が試験片101に加わることを防止又は減少させることができる。
【0044】
試験器本体としては、試験器本体11以外にも種々のものを用いることができる。
図9は、本発明に係る変形試験器(本試験器)を構成する別の試験器本体211を示す斜視図である。
図10(a)は、試験器本体211を別の方向から見た斜視図(
図9中の矢印E方向から見たところを示している。)であり、
図10(b)は、試験器本体211の正面図(
図10(a)中の矢印F方向から見たときの試験器本体211を示している。)である。
図11(a)は、試験器本体211の平面図(
図9及び
図10(a)中の矢印G方向から見たところを示している。)であり、
図11(b)は、試験器本体211の右側面図(
図10(a)(b)中の矢印J方向から見たところを示している。)である。
図12は、後述する駆動部261、ガイドレール31b、一方支持軸部41、一方試験片取付部51、駆動棒273、他方支持軸部241、他方試験片取付部251及びリンク部291を拡大して示す拡大斜視図である。
図9乃至
図12を参照して、試験器本体211について説明する。また、説明及び理解を容易にするため、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸及びZ軸を用い(これら3軸の方向を図中にX、Y及びZとして示す。)、Z軸に垂直な平面をXY面といい、X軸に垂直な平面をYZ面といい、Y軸に垂直な平面をXZ面という。なお、
図9乃至
図11においては試験片101が取り付けられた状態を図示しているが、
図12においては試験片101を取り外したところを示している。
【0045】
試験器本体211は、大まかには、中空の直方体形状をなすフレーム部21と、フレーム部21の上面にY軸方向に沿って取り付けられたガイドレール31a、31bと、Y軸方向にスライド自在にガイドレール31a、31bに取り付けられた一方支持軸部41と、一方支持軸部41が有する一方支持軸43に取り付けられた一方試験片取付部51と、Y軸方向にスライド自在にガイドレール31a、31bに取り付けられた他方支持軸部241と、他方支持軸部241が有する他方支持軸243に取り付けられた他方試験片取付部251と、フレーム部21の内部に固定された駆動部261と、一端(下端)が駆動部261に取り付けられZ軸方向に往復動する駆動棒273と、駆動棒273の他端(上端)が取り付けられ一方試験片取付部51及び他方試験片取付部251を回動させるリンク部291と、を含んでなる。
【0046】
フレーム部21は、直方体の一面に沿った天板部23(両主表面が長方形を略なす平板部材により形成されており、中心には開口が形成されている。)と、該直方体の辺に沿った棒状部材により形成された8本の棒状部25と、を有し、天板部23がフレーム部21の上面を形成している。フレーム部21が形成する該直方体の辺は、X軸、Y軸及びZ軸のいずれかに平行に配置され、フレーム部21は十分な強度を有するようここでは金属によって形成されている。
【0047】
ガイドレール31a、31bは、いずれもY軸に平行になるようにかつZ軸に垂直な同一のXY面に属するようにフレーム部21の天板部23の上面23aに固定されている。
【0048】
一方支持軸部41は、Y軸方向にスライド自在にガイドレール31aに取り付けられたスライド部45aと、Y軸方向にスライド自在にガイドレール31bに取り付けられたスライド部45bと、スライド部45aとスライド部45bとに両側が回転自在に支持された一方支持軸43(長手方向がX軸に平行な丸棒により形成されている。)と、を有してなる。これにより一方支持軸43は、長手方向がX軸に平行な状態を保ちつつ、XY面に沿ってY軸方向に自由に移動することができる。
【0049】
一方試験片取付部51は、一方支持軸43に回動不可能に取り付けられた取付部53aと、取付部53aとは離れて一方支持軸43に回動不可能に取り付けられた取付部53bと、取付部53aと取付部53bとに両側が取り付けられた一方取付板55と、を有してなる。
一方取付板55は、両主表面が同じ長方形状をなしており、該両主表面の一方である上面55aの4の縁部のうちの1の縁部55ae(該4の縁部のX軸に平行な2の縁部のもののうち、試験片101の折り曲げ部分に近い方の縁部)は、一方試験片取付部51が一方支持軸43の周りに回動しても、X軸に常に平行な状態が保たれる。
【0050】
他方支持軸部241は、Y軸方向にスライド自在にガイドレール31aに取り付けられたスライド部245aと、Y軸方向にスライド自在にガイドレール31bに取り付けられたスライド部245bと、スライド部245aとスライド部245bとに回転自在に支持された他方支持軸243(長手方向がX軸に平行な丸棒により形成されている。)と、を有してなる。これにより他方支持軸243は、長手方向がX軸に平行な状態を保ちつつ、XY面に沿ってY軸方向に自由に移動することができる。なお、他方支持軸243と一方支持軸43とは、同一のXY面に常に属するように配置されている。
【0051】
他方試験片取付部251は、他方支持軸243に回動不可能に取り付けられた取付部253aと、取付部253aとは離れて他方支持軸243に回動不可能に取り付けられた取付部253bと、取付部253aと取付部253bとに両側が取り付けられた他方取付板255と、を有してなる。
他方取付板255は、両主表面が同じ長方形状をなしており、該両主表面の一方である上面255aの4の縁部のうちの1の縁部255ae(該4の縁部のX軸に平行な2の縁部のもののうち、試験片101の折り曲げ部分に近い方の縁部)は、他方試験片取付部251が他方支持軸243の回動に伴って回動しても、X軸に常に平行な状態が保たれる。
【0052】
駆動部261は、フレーム部21に直接的又は他の部材を介して間接的に固定され、駆動棒273の一端(下端)が取り付けられている。駆動部261は、モーター、変速機、クランク機構(回転運動を往復動に変換する)及び制御部を内部に含んでおり、所定のストローク及び速度により駆動棒273をZ軸に平行に往復動させる。なお、該所定のストローク及び速度は可変可能にされており、これによって後述の試験片101の折り曲げ試験における折り曲げ角度及び折り曲げ速度を適宜変更することが可能である。
【0053】
駆動棒273は、真っ直ぐな丸棒により形成されており、その丸棒の中心軸がZ軸に平行な状態で往復動可能に支持されている。
そして、前述の如く、駆動棒273の一端(下端)が駆動部261に取り付けられると共に、駆動棒273の他端(上端)がリンク部291に取り付けられている。
【0054】
リンク部291は、他方取付板255及び一方取付板55に一端(上端)近傍が回動自在(他方取付板255に対する回動中心は、縁部255aeが存する直線に含まれ、一方取付板55に対する回動中心は、縁部55aeが存する直線に含まれる。)に取り付けられた一対の連結部材296a、296b(連結部材296aはガイドレール31a側に回動自在に取り付けられると共に、連結部材296bはガイドレール31b側に回動自在に取り付けられている。)と、連結部材296aの他端(下端)と連結部材296bの他端(下端)とを連結する連結棒297と、を有してなる。
【0055】
この一対の連結部材296a、296bいずれも、縁部255aeが存する直線を回動中心とするように他方取付板255に回動自在に取り付けられると共に、縁部55aeが存する直線を回動中心とするように一方取付板55に回動自在に取り付けられることで、縁部255aeと縁部55aeとの距離は一定かつ縁部255aeと縁部55aeとの間は平行に保たれる。リンク部291は、駆動棒273のZ軸方向の往復動に伴いZ軸方向に往復動するのみであり、Z軸に対する方向は変化しない。
そして、連結棒297には、駆動棒273の他端(上端)が取り付けられているので、駆動部261により駆動棒273の他端(上端)がZ軸方向に往復動することにより、縁部255aeと縁部55aeとの間の距離は一定かつ縁部255aeと縁部55aeとは平行のまま(なお、縁部255aeと縁部55aeとは、同じXY面に常に属する。)、他方取付板255及び一方取付板55は正逆に回動する。このときの他方取付板255及び一方取付板55の回動のいずれの状態においても、上面55aが含まれる平面と上面255aが含まれる平面とは縁部255aeと縁部55aeから等距離にあるXZ面に対して面対称となる。この他方取付板255及び一方取付板55の回動に従って、他方支持軸部241及び一方支持軸部41はガイドレール31a、31bに沿ってスライド移動(往復動)する。
なお、連結部材296aに穿設された一対の雌ネジ296h1、296h2は、検出器支持部を連結部材296aに取り付けるための取付ネジ403b1、403b2を螺合させるためのものである。そして、図には表れないが、連結部材296bにも同様の一対の雌ネジが穿設されており、これら連結部材296aに穿設された一対の雌ネジ296h1、296h2と、連結部材296bに穿設された一対の雌ネジ(不図示)と、に検出器支持部の取付ネジを螺合させることで検出器支持部を連結部材296a、296bに取り付けることができる。
【0056】
試験器本体211の動作について、
図12、
図13、
図14及び
図15を用いて説明する。
図13及び
図14は、既に説明した
図12と同様の構成要素を
図12と同様の方向から見たところを示しており、
図12の状態から駆動棒273が駆動部261によって図中で下方(Z軸の負方向。
図12中の矢印R方向)に移動したところを示している。また、
図15は、
図14に示した状態の試験器本体211を、
図9と同様の方向から見たところを示している。
まず、
図12の状態においては、他方取付板255の上面255aと一方取付板55の上面55aとは、Z軸に垂直な同一平面(同一のXY面)にほぼ属しており、上面255aと上面55aとに取り付けられた試験片101(
図12~
図14においては図示を省略している)は該平面に沿った真っ直ぐな状態になっている。
【0057】
図12の状態から、駆動部261によって駆動棒273を図中で下方(
図12中の矢印R方向)に移動させると、駆動棒273の他端(上端)が取り付けられている連結棒297によって連結部材296a、296bも図中で下方に移動する。上述のように、連結部材296a、296bいずれも、縁部255aeが存する直線を回動中心とするように他方取付板255に回動自在に取り付けられると共に、縁部55aeが存する直線を回動中心とするように一方取付板55に回動自在に取り付けられているので、縁部255aeと縁部55aeとの間の距離は一定かつ縁部255aeと縁部55aeとは平行のまま、縁部255ae及び縁部55aeが図中で下方に移動するように他方取付板255及び一方取付板55が回動し
図13に示す状態となる。なお、
図12から
図13に遷移する際、一方支持軸部41はガイドレール31a、31bに沿ってY軸と平行に他方支持軸部241に近づくように移動すると共に、他方支持軸部241はガイドレール31a、31bに沿ってY軸と平行に一方支持軸部41に近づくように移動する(一方支持軸部41と他方支持軸部241とは、ガイドレール31a、31bに沿ってY軸と平行に互いに近づくように移動する。)。
【0058】
このような駆動部261による駆動棒273の図中下方(
図12中の矢印R)への駆動により、他方試験片取付部251の他方支持軸243周りの正方向(
図12から
図13へのように時計回り)の回動と、一方試験片取付部51の一方支持軸43周りの逆方向(
図12から
図13へのように反時計回り)の回動と、を生じる。この2つの回動において、縁部255aeと縁部55aeとの間の距離は一定に保たれると共に縁部255aeと縁部55aeとは平行に保たれ、さらに一方試験片取付部51と他方試験片取付部251とは互いに近づく方向にY軸と平行に移動する。
このような他方試験片取付部251の他方支持軸243周りの正方向の回動と、一方試験片取付部51の一方支持軸43周りの逆方向の回動と、は、
図12の状態から
図13の状態を経由して
図14の状態(
図14の状態では、他方取付板255の上面255aと一方取付板55の上面55aとが略平行になっている。)に至るまで回動する(
図14の状態でこれら両回動は停止する。)。
図14の状態においては、他方取付板255の上面255aと一方取付板55の上面55aとに取り付けられた試験片101(
図12~
図14においては図示を省略している)が折り畳まれた状態になる。
【0059】
試験片101を折り畳んだ
図14の状態から、駆動部261によって駆動棒273を図中上方(
図14中の矢印Q方向)へ移動させることにより、
図13の状態を経由して
図12の状態に戻る。以上説明したように、
図12の状態(試験片101は平らな状態)から駆動棒273を図中、下方向へ移動させて
図13の状態(試験片101はほぼ90度折られた状態)を経由し
図14の状態(試験片101は折り畳まれた状態)とし、その後、
図14の状態から駆動棒273を上方向へ移動させて
図13の状態を経由し
図12の状態に戻すことで、試験片101は平らな状態から折り畳まれて再び平らな状態に戻るため、試験片101を1回折り畳む試験(1サイクル)を行うことができる。即ち、駆動棒273を1回往復運動させることで試験片101を1回折り畳むことができるので、駆動棒273の往復運動を複数行うことで、試験片101を複数折り畳む試験を行うことができる。
このような試験片101の折り畳み試験(
図12、
図13、
図14、
図13、
図12の順に動作する)においては、試験器本体11において
図8を用いて説明したのと同様、縁部255ae、55aeは常に平行でありその間の距離Kが一定に保たれると共に、Z軸に垂直な一平面(XY面)に属する。また、試験片101の折り畳み試験において、縁部255ae、55aeからの距離が等しくY軸に垂直なXZ面である平面P(
図8参照)に対して、上面255aと上面55aとは常に面対称になるように回動する。
【0060】
このような試験器本体211の動作も、試験器本体11の動作の説明に用いた
図8に表されるものと同様である。再び
図8を参照して試験器本体211の動作を説明する。
図8においては、試験器本体211の構成要素の参照番号を括弧内に示している。試験器本体211においても
図8は、X軸に平行な方向から他方取付板255、一方取付板55及びそれらに取り付けられた試験片101を見たところを示す図であり、
図8(a)は
図12の状態を示し、
図8(b)は
図13の状態を示し、そして
図8(c)は
図14の状態を示している。
図8(a)(b)(c)に示すように、互いに平行でありかつ距離Kが一定の縁部255ae、55aeを中心に平面Pに対して面対称に回動する2の上面255a、55aの間で、上面255aと上面55aとに取り付けられた試験片101は折り曲げられる。このため、縁部255ae近傍、縁部55ae近傍、そして縁部255ae、55aeの間、いずれの部分に位置する試験片101もほぼ同じ曲げ半径により曲げられ、試験片101の位置によって曲げ条件が不意に偏りにくいことから、再現性の高い試験を行うことができる。そして、距離Kを変更することで試験片101の曲げ半径を変更することができる(K/2がほぼ試験片101の曲げ半径となる。)。また、試験器本体11と同様、試験器本体211では、距離Kが0になるまで自由に変更できるので、試験片101の曲げ半径を極めて小さくすることもできるので、種々の曲げ試験に対応できる。
【0061】
また、試験器本体211においては、試験片101が取り付けられる上面255aの縁部255aeと、試験片101が取り付けられる上面55aの縁部55aeと、が常に平行かつ距離Kが一定に保たれつつ、(試験片101から見たときに)縁部255aeを中心に上面255aを回動させると共に、(試験片101から見たときに)縁部55aeを中心に上面55aを回動させることによって、非常に短い試験片101(縁部255aeと縁部55aeとにかけわたされる長さと、上面255aに取り付けられる長さと、上面55aに取り付けられる長さと、の合計長さ以上の試験片101であれば試験が可能である。)の試験を可能ならしめる。
加えて、試験器本体211においては、試験片101を上面55aと上面255aとに取り付けると共に試験片101から見たときに縁部55ae、255aeを中心に縁部55ae、255aeが常に平行かつ距離Kが一定に保たれた状態で上面55a、255aを回動させるため、縁部255ae近傍と縁部55ae近傍との間に存する試験片101の部分を変形させるものの、それ以外の試験片101の残部(主として上面55aと上面255aとに面している部分)はほぼ変形させない。このことは、変形試験の対象とすべき部分を選択的に変形させるものであり、正確かつ高再現性の変形試験を可能ならしめるものである。
そして、試験器本体211においては、試験片101が取り付けられる上面55aと上面255aとが、試験片101の意図した曲げを生じるためのみの動きをするので、(特許文献1中の板バネ12を要することなく)試験片101が意図しない変形を生じる力(例えば、試験体が不意に不均一に曲がる力、試験体を引っぱる力や圧縮する力)が試験片101に加わることを防止又は減少させることができる。
【0062】
図16は、試験器本体11に検出器支持部401を取り付けて構成した本発明の変形試験器(本試験器)301を示す斜視図である。そして、
図17は、
図16の状態における駆動部61、ガイドレール31b、一方支持軸部41、一方試験片取付部51、駆動軸73、他方試験片取付部81、リンク部91及び検出器支持部401を拡大して示す拡大斜視図(試験器本体11の説明に用いた
図4と同様の位置を示している。)である。
図16及び
図17を参照して本試験器301について説明する。なお、試験器本体11については、既に詳しく説明したので、ここでは説明を省略する(上の試験器本体11に関する説明で用いた参照番号を
図16及び
図17においても付している。)。また、ここでは試験器本体として試験器本体11を用いているが、試験器本体11に代え、上述の試験器本体211を用いることもできる。
【0063】
検出器支持部401は、試験器本体11にて試験される試験片101の繰り返し折り曲げられる部分を撮像するためのカメラや非接触温度計等の検出器503、505を支持するものであり、連結部材94に基端側が取り付けられ真っ直ぐなほぼ角棒から形成される第1取付棒403と、連結部材96に基端側が取り付けられ真っ直ぐなほぼ角棒から形成される第2取付棒405と、第1取付棒403先端側と第2取付棒405先端側とに架け渡されるように取り付けられる一対の取付板407、409と、を有し、大まかには片仮名の「コ」の字形をなしている。
第1取付棒403の基端側は、取付ネジ403b1、403b2(特に
図17参照)により連結部材94に取り付けられ(取付ネジ403b1、403b2を雌ネジ94h1、94h2に螺合させる。)、同様に、第2取付棒405の基端側は、図示しない取付ネジにより連結部材96に取り付けられている(即ち、検出器支持部401は連結部材94、96に取り付けられている。)。第1取付棒403の長手方向と第2取付棒405の長手方向とはいずれもZ軸に略平行であり、第1取付棒403の長さ(Z軸方向の寸法)と第2取付棒405の長さ(Z軸方向の寸法)とはほぼ同じにされている。
【0064】
取付板407、409は、いずれも同様の短冊状の平板部材により形成されており、その短冊の長手方向(ここではX軸方向に平行)に沿って長穴407h、409hが形成されている。そして、長穴407h、409hを利用して、カメラや非接触温度計等の検出器503、505を取り付け支持させることができる(例えば、検出器503、505に形成された雌ネジに螺合可能な雄ねじ部材であって、該雄ねじ部材の軸は長穴407h、409hを貫通可能であるが、該雄ねじ部材の頭は長穴407h、409hを通過不可能な該雄ねじ部材を用いて、取付板407、409の両面のうち検出器503、505の反対側に該頭が存する状態で該軸を長穴407h、409hに貫通させ、該雄ねじ部材を該雌ネジに螺合させればよい。)。なお、上述の如く、長穴407h、409hはX軸方向に細長く形成されているので、これに沿って検出器503、505のX軸方向の取り付け位置を自由に調整することができる。また、検出器503、505の該雄ねじ部材に対する回転位置は自由に調節できるので、検出器503、505の検出方向を自由に調節できる。
【0065】
図16及び
図17の状態から、駆動部61によって駆動軸73をその中心軸の周りに正方向(
図16及び
図17において時計回り方向をいう)に回動させると、取付部83a、83b及び他方取付板85が駆動軸73の周りに正方向に回動する。この取付部83a、83b及び他方取付板85の正方向の回動により、連結部材94、96はその長手方向がZ軸に平行な状態を保ちつつ
図18のように押し下げられる。
そして、前述の通り、この駆動部61による駆動軸73の正方向への回動により、縁部85aeと縁部55aeとの間の距離は一定に保たれると共に縁部85aeと縁部55aeとは平行に保たれた状態のまま、他方試験片取付部81(取付部83a、83b、他方取付板85)の駆動軸73周りの正方向への回動と、一方試験片取付部51(取付部53a、53b、一方取付板55)の一方支持軸43周りの逆方向への回動と、一方試験片取付部51が駆動軸73に近づくY軸に平行な移動を生じ、
図18に示すような状態となる。
図18からさらに、駆動部61により駆動軸73を正方向へ回動させると、
図19及び
図20に示す状態(
図19及び
図20の状態では、他方取付板85の上面85aと一方取付板55の上面55aとが略平行になっている。)に至る(
図19及び
図20の状態で該回動は停止する。)。
図19及び
図20の状態においては、他方取付板85の上面85aと一方取付板55の上面55aとに取り付けられた試験片101(
図17、
図18においては図示を省略している)が折り畳まれた状態になる。
【0066】
試験片101を折り畳んだ
図19及び
図20の状態から、駆動部61によって駆動軸73を逆方向(
図19及び
図20において反時計回り方向)に回動させる。これにより
図18の状態を経由して
図16及び
図17の状態に戻る。これに伴い連結部材94、96はその長手方向がZ軸に平行な状態を保ちつつ押し上げられる。
このように、
図16及び
図17の状態(試験片101は平らな状態)から駆動軸73を正方向へ回動させて
図19及び
図20の状態(試験片101は折り畳まれた状態)とし、その後、
図19及び
図20の状態から駆動軸73を逆方向へ回動させて
図16及び
図17の状態に戻すことで(1サイクル)、試験片101は平らな状態から折り畳まれて再び平らな状態に戻るため、試験片101を1回折り畳む試験を行うことができる。このような駆動軸73の正逆の回動を交互に行うことで、試験片101を複数折り畳む折り畳み試験を行うことができる。
【0067】
このような試験片101の折り畳み試験において、試験片101の繰り返し折り曲げられる部分(縁部55aeと縁部85aeとの間に架け渡された部分)の位置は、縁部55ae、85aeの移動と共に移動する。そして、縁部55ae、85aeは、連結部材94、96の移動に合わせて移動するものであるので、連結部材94、96に取り付けられた検出器支持部401は、試験片101の折り畳み試験のいずれの状態(例えば、
図16及び
図17の状態(試験片101は平らな状態)、
図18の状態(試験片101はほぼ90度に折り曲げられている状態)そして
図19及び
図20の状態(試験片101は折り畳まれた状態)の3のいずれの状態)においても、縁部55ae、85aeに対する相対的位置が同じに保たれる。これによって、検出器支持部401に取り付けられた検出器503、505(例えば、カメラ、非接触温度計等)から、縁部55aeと縁部85aeとの間に架け渡された試験片101の部分までの距離と、該検出器から該部分の方向と、のいずれも、折り畳み試験のいずれの状態においてもほぼ同じに保たれることから、縁部55aeと縁部85aeとの間に架け渡され繰り返し折り曲げられる試験片101の部分の状態を、折り畳み試験のいずれの状態においても検出器によって安定的かつ高精度に検出できる(繰り返し折り曲げられる試験片101の部分(対象部分)への検出器503、505からの距離及び方向が一定に保たれることから、例えば、検出器が撮像用カメラであれば、折り畳み試験のいずれの状態においても対象部分の画像を安定的に画質よく撮影できるし、検出器が非接触温度計であれば、対象部分の温度を安定的に精度よく測定できる。)。
【0068】
図16~
図20では試験器本体として試験器本体11を用いたものを示したが、前述した通り、試験器本体11に代えて試験器本体211を用いることもできる。試験器本体211を用いる場合は、取付ネジ403b1、403b2を雌ネジ296h1、296h2に螺合させて連結部材296aに第1取付棒403の基端側を取り付けると共に、同様に、連結部材296bの一対の雌ネジに取付ネジを螺合させて連結部材296bに第2取付棒405の基端側を取り付けることで検出器支持部401を連結部材296a、296bに取り付けるようにすればよい。
【0069】
また、
図16~
図20では、試験片101の上面(
図18の状態(試験片101はほぼ90度に折り曲げられている状態)と、
図19及び
図20の状態(試験片101は折り畳まれた状態)と、において、折り曲げられ又は折り畳まれた試験片101の内面)を検出器支持部401に取り付けられた検出器503、505により検出するようにしているが、これとは逆の試験片101の下面(
図18の状態(試験片101はほぼ90度に折り曲げられている状態)と、
図19及び
図20の状態(試験片101は折り畳まれた状態)と、において、折り曲げられ又は折り畳まれた試験片101の外面)を検出器支持部401に取り付けられた検出器503、505により検出するようにすることもできる。即ち、
図16~
図20では、検出器503、505が取り付けられた検出器支持部401の部分が試験片101の上方に存するように検出器支持部401が連結部材94、96に取り付けられているが、この検出器支持部401を上下逆にして、検出器503、505が取り付けられた検出器支持部401の部分が試験片101の下方に存するように検出器支持部401を連結部材94、96に取り付けるようにすれば、試験片101の下面を検出器503、505により検出することができる。
このことは、試験器本体211を用いる場合も同様であり、試験片101の上面(折り曲げられ又は折り畳まれる試験片101の内面)を検出器支持部401に取り付けられた検出器503、505により検出することに加え、検出器503、505が取り付けられる検出器支持部401の部分が試験片101の下方に存するように検出器支持部401を連結部材296a、296bに取り付けるようにすれば、試験片101の下面を検出器503、505により検出することもできる。
【0070】
以上説明の通り、試験器本体11に検出器支持部401を取り付けた本試験器301は、試験体(ここでは試験片101)が取り付けられる第1取付面(ここでは上面85a)と、第1線分S1(
図4参照。ここでは縁部85aeが存する線分)の上に存する第1取付面(上面85a)の縁部である第1縁部(縁部85ae)と、を有する第1取付板(ここでは他方取付板85)と、試験体(試験片101)が取り付けられる第2取付面(ここでは上面55a)と、第2線分S2(
図4参照。ここでは縁部55aeが存する線分)の上に存する第2取付面(上面55a)の縁部である第2縁部(縁部55ae)と、を有する第2取付板(一方取付板55)と、試験体(試験片101)が架け渡される隙間が第1縁部(縁部85ae)と第2縁部(縁部55ae)との間に形成されるように、第1線分S1と第2線分S2とが互いに平行で相対的位置を保持しつつ、第1取付板(他方取付板85)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動可能であり、及び第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動可能であるように、第1取付板(他方取付板85)と第2取付板(一方取付板55)とを支持する支持手段(ここではガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、駆動軸73、取付部83a、83b、連結部材94、96を含んで構成されている。)と、第1取付板(他方取付板85)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動させ、及び第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動させる回動手段(ここでは駆動部61、リンク軸92、アングル部材93、95、連結部材94、96を含んで構成されている。)と、第1縁部(縁部85ae)と第2縁部(縁部55ae)との間に存する試験体(試験片101)の部分の状態を検出する検出器503、505を支持する検出器支持手段(ここでは検出器支持部401)と、を備えてなる変形試験器であって、第1取付板(他方取付板85)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動させ、及び/又は、第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動させることで、第1縁部(縁部85ae)と第2縁部(縁部55ae)との間に存する試験体(試験片101)の部分を変形させる変形試験において、第1線分S1と第2線分S2とを2辺とする仮想上の四角形である対象領域の絶対位置が変化するものであり、対象領域の該絶対位置の変化に関わらず、検出器支持手段(検出器支持部401)に支持される検出器503、505に対する対象領域の相対的位置が、略同じである、変形試験器である。このように本試験器301においては、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、駆動軸73、取付部83a、83b、連結部材94、96を含む。)が、(a)第1取付板(他方取付板85)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動可能であること、(b)第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動可能であること、の両方が満たされるように第1取付板(他方取付板85)と第2取付板(一方取付板55)とを支持すると共に、回動手段(駆動部61、リンク軸92、アングル部材93、95、連結部材94、96を含む。)が、(c)第1取付板(他方取付板85)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動させること、(d)第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動させること、の両方を実行することで、試験片101が、主として第1線分S1近傍と第2線分S2近傍との間で均一に曲げられるので、再現性の高い試験を行うことができる。
【0071】
本試験器301においては、検出器支持手段(検出器支持部401)が、絶対位置が変化する第1縁部(縁部85ae)及び第2縁部(縁部55ae)に取り付けられる(ここでは連結部材94、96を介して間接的に取り付けられている。)ものである。
本試験器301においては、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、駆動軸73、取付部83a、83b、連結部材94、96を含む。)は、第1線分S1が含まれる第1直線の周りに回動可能に第1取付板(他方取付板85)が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2線分S2が含まれる第2直線の周りに回動可能に第2取付板(一方取付板55)が直接的又は間接的に取り付けられ、第1直線と第2直線との間の距離を一定に保持する両縁部位置関係保持部材(ここでは連結部材94、96)を有し、検出器支持手段(検出器支持部401)が、両縁部位置関係保持部材(連結部材94、96)に取り付けられるものである。
本試験器301においては、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、駆動軸73、取付部83a、83b、連結部材94、96を含む。)は、第1線分S1の一端側の第1取付板(他方取付板85)と第2線分S2の一端側の第2取付板(一方取付板55)とに取り付けられる一端側の両縁部位置関係保持部材(連結部材94)と、第1線分S1の他端側の第1取付板(他方取付板85)と第2線分S2の他端側の第2取付板(一方取付板55)とに取り付けられる他端側の両縁部位置関係保持部材(連結部材96)と、を含んでなり、検出器支持手段(検出器支持部401)が、一端側の両縁部位置関係保持部材(連結部材94)と他端側の両縁部位置関係保持部材(連結部材96)とに取り付けられるものである。
【0072】
本試験器301においては、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、駆動軸73、取付部83a、83b、連結部材94、96を含む。)は、第1線分S1と平行な第1回動軸(駆動軸73の中心軸)の周りに回動可能に第1取付板(他方取付板85)を支持すると共に、第2線分S2と平行な第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)の周りに回動可能に第2取付板(一方取付板55)を支持し、第1回動軸と第2回動軸との間の距離が変化可能なものである取付板支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、駆動軸73、取付部83a、83bを含んで構成される。)を有する。
本試験器301においては、取付板支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、駆動軸73、取付部83a、83bを含む。)は、第1回動軸(駆動軸73の中心軸)の周りに回動可能に第1取付板(他方取付板85)を支持する第1回動棒(ここでは駆動軸73)を有してなり、回動手段(駆動部61、リンク軸92、アングル部材93、95、連結部材94、96を含む。)は、第1回動棒(駆動軸73)を第1回動軸(駆動軸73の中心軸)の周りに回動させる第1回動棒(駆動軸73)が取り付けられた回動駆動手段(ここでは駆動部61)と、第1回動棒(駆動軸73)の回動により第2取付板(一方取付板55)を第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)の周りに従動的に回動させるリンク機構(リンク軸92、アングル部材93、95、連結部材94、96)と、を備えてなり、検出器支持手段(検出器支持部401)が、リンク機構(ここでは連結部材94、96)に取り付けられるものである。
【0073】
本試験器301においては、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、駆動軸73、取付部83a、83b、連結部材94、96を含む。)は、第1線分S1が含まれる第1直線の周りに回動可能に第1取付板(他方取付板85)が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2線分S2が含まれる第2直線の周りに回動可能に第2取付板(一方取付板55)が直接的又は間接的に取り付けられ、第1直線と第2直線との間の距離を一定に保持する両縁部位置関係保持部材(連結部材94、96)を有し、前記リンク機構(リンク軸92、アングル部材93、95、連結部材94、96)は、第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)の周りに第2取付板(一方取付板55)が回動するように両縁部位置関係保持部材(連結部材94、96)を移動させるものである。
本試験器301においては、第1回動軸(駆動軸73の中心軸)の絶対的位置は不変であると共に、第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)の絶対的位置が移動することで、第1回動軸(駆動軸73の中心軸)と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)との間の距離が変化するものである。
本試験器301においては、検出器支持手段(検出器支持部401)に支持される検出器503、505の方向及び位置が変化可能である。
【0074】
また、試験器本体211を用いる場合の本試験器は、試験体(ここでは試験片101)が取り付けられる第1取付面(ここでは上面255a)と、第1線分S1(
図12参照。ここでは縁部255aeが存する線分)の上に存する第1取付面(上面255a)の縁部である第1縁部(縁部255ae)と、を有する第1取付板(ここでは他方取付板255)と、試験体(試験片101)が取り付けられる第2取付面(ここでは上面55a)と、第2線分S2(
図12参照。ここでは縁部55aeが存する線分)の上に存する第2取付面(上面55a)の縁部である第2縁部(縁部55ae)と、を有する第2取付板(一方取付板55)と、試験体(試験片101)が架け渡される隙間が第1縁部(縁部255ae)と第2縁部(縁部55ae)との間に形成されるように、第1線分S1と第2線分S2とが互いに平行で相対的位置を保持しつつ、第1取付板(他方取付板255)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動可能であり、及び第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動可能であるように、第1取付板(他方取付板255)と第2取付板(一方取付板55)とを支持する支持手段(ここではガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、スライド部245a、245b、他方支持軸243、取付部253a、253b、連結部材296a、296bを含んで構成されている。)と、第1取付板(他方取付板255)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動させ、及び、第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動させる回動手段(ここでは駆動部261、駆動棒273、連結部材296a、296b、連結棒297を含んで構成されている。)と、第1縁部(縁部255ae)と第2縁部(縁部55ae)との間に存する試験体(試験片101)の部分の状態を検出する検出器503、505を支持する検出器支持手段(検出器支持部401)と、を備えてなる変形試験器であって、第1取付板(他方取付板255)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動させ、及び、第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動させることで、第1縁部(縁部255ae)と第2縁部(縁部55ae)との間に存する試験体(試験片101)の部分を変形させる変形試験において、第1線分S1と第2線分S2とを2辺とする仮想上の四角形である対象領域の絶対位置が変化するものであり、対象領域の該絶対位置の変化に関わらず、検出器支持手段(検出器支持部401)に支持される検出器503、505に対する対象領域の相対的位置が、略同じである、変形試験器である。試験器本体211を用いる場合の本試験器では、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、スライド部245a、245b、他方支持軸243、取付部253a、253b、連結部材296a、296bを含む。)が、(a)第1取付板(他方取付板255)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動可能であること、(b)第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動可能であること、の両方が満たされるように第1取付板(他方取付板255)と第2取付板(一方取付板55)とを支持すると共に、回動手段(駆動部261、駆動棒273、連結部材296a、296b、連結棒297を含む。)が、(c)第1取付板(他方取付板255)を第2線分S2に対して相対的に第1線分S1を中心に回動させること、(d)第2取付板(一方取付板55)を第1線分S1に対して相対的に第2線分S2を中心に回動させること、の両方を実行することで、試験片101が、主として第1線分S1近傍と第2線分S2近傍との間で均一に曲げられるので、再現性の高い試験を行うことができる。
【0075】
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、検出器支持手段(検出器支持部401)が、絶対位置が変化する第1縁部(縁部255ae)及び第2縁部(縁部55ae)に取り付けられる(ここでは連結部材296a、296bを介して間接的に取り付けられる。)ものである。
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、スライド部245a、245b、他方支持軸243、取付部253a、253b、連結部材296a、296bを含む。)は、第1線分S1が含まれる第1直線の周りに回動可能に第1取付板(他方取付板255)が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2線分S2が含まれる第2直線の周りに回動可能に第2取付板(一方取付板55)が直接的又は間接的に取り付けられ、第1直線と第2直線との間の距離を一定に保持する両縁部位置関係保持部材(ここでは連結部材296a、296b)を有し、検出器支持手段(検出器支持部401)が、両縁部位置関係保持部材(連結部材296a、296b)に取り付けられるものである。
【0076】
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、スライド部245a、245b、他方支持軸243、取付部253a、253b、連結部材296a、296bを含む。)は、第1線分S1の一端側の第1取付板(他方取付板255)と第2線分S2の一端側の第2取付板(一方取付板55)とに取り付けられる一端側の両縁部位置関係保持部材(連結部材296a)と、第1線分S1の他端側の第1取付板(他方取付板255)と第2線分S2の他端側の第2取付板(一方取付板55)とに取り付けられる他端側の両縁部位置関係保持部材(連結部材296b)と、を含んでなり、検出器支持手段(検出器支持部401)が、一端側の両縁部位置関係保持部材(連結部材296a)と他端側の両縁部位置関係保持部材(連結部材296b)とに取り付けられるものである。
【0077】
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、スライド部245a、245b、他方支持軸243、取付部253a、253b、連結部材296a、296bを含む。)は、第1線分S1と平行な第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)の周りに回動可能に第1取付板(他方取付板255)を支持すると共に、第2線分S2と平行な第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)の周りに回動可能に第2取付板(一方取付板55)を支持し、第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)との間の距離が変化可能なものである取付板支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、スライド部245a、245b、他方支持軸243、取付部253a、253bを含む。)を有する。
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)とを含む平面である回動軸存在面(ここではXY面に平行)への第1線分S1の正投影と、回動軸存在面への第2線分S2の正投影と、が第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)との間に存し、支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、スライド部245a、245b、他方支持軸243、取付部253a、253b、連結部材296a、296bを含む。)は、第1線分S1が含まれる第1直線の周りに回動可能に第1取付板(他方取付板255)が直接的又は間接的に取り付けられると共に、第2線分S2が含まれる第2直線の周りに回動可能に第2取付板(一方取付板55)が直接的又は間接的に取り付けられ、第1直線と第2直線との間の距離を一定に保持する両縁部位置関係保持部材(連結部材296a、296b)を有し、回動手段(駆動部261、駆動棒273、連結部材296a、296b、連結棒297を含む。)は、回動軸存在面(XY面に平行)に対し垂直方向(Z軸方向)に両縁部位置関係保持部材(連結部材296a、296b)を往復動させる往復駆動手段(駆動部261、駆動棒273、連結棒297を含む。)を有し、検出器支持手段(検出器支持部401)が、両縁部位置関係保持部材(連結部材296a、296b)に取り付けられるものである。
【0078】
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、第1線分S1と第2線分S2とを含む平面(XY面に平行)に対して垂直かつ第1線分S1からの距離と第2線分S2からの距離とが等しい平面である基準面(平面P)と第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)との第1距離が、基準面(平面P)と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)との第2距離に等しくなるように、第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)及び第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)のいずれも絶対的位置が変化する。
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、検出器支持手段(検出器支持部401)に支持される検出器503、505の方向及び位置が変化可能である。
【0079】
また、本試験器301においては、第1線分S1と第2線分S2とを含む平面に対して垂直かつ第1線分S1からの距離と第2線分S2からの距離とが等しい平面である基準面(平面P)と第1取付面(上面85a)とがなす角度と、基準面(平面P)と第2取付面(上面55a)とがなす角度と、が等しくなるように回動手段(駆動部61、リンク軸92、アングル部材93、95、連結部材94、96を含む。)が第1取付板(他方取付板85)及び第2取付板(一方取付板55)を回動させるものである。
そして、試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、第1線分S1と第2線分S2とを含む平面に対して垂直かつ第1線分S1からの距離と第2線分S2からの距離とが等しい平面である基準面(平面P)と第1取付面(上面255a)とがなす角度と、基準面(平面P)と第2取付面(上面55a)とがなす角度と、が等しくなるように回動手段(駆動部261、駆動棒273、連結部材296a、296b、連結棒297を含む。)が第1取付板(他方取付板255)及び第2取付板(一方取付板55)を回動させるものである。
このようにすることで、基準面と第1取付面とがなす角度と、基準面と第2取付面とがなす角度と、が等しくなるように、試験体が取り付けられた第1取付面及び第2取付面が回動(第1線分、第2線分を中心)されるので、試験体が基準面の両側で同じように曲げられ、試験体が不意に不均一に曲がることを防止又は減少させることができる。なお、基準面は、第1線分と第2線分とを含む平面に対して垂直かつ第1線分及び第2線分に平行な平面であって、第1線分からの距離と第2線分からの距離とが等しい平面である。
【0080】
本試験器301においては、第1線分S1と第1回動軸(駆動軸73の中心軸)との間の距離と、第2線分S2と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)との間の距離と、が等しいものである。
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、第1線分S1と第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)との間の距離と、第2線分S2と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)との間の距離と、が等しいものである。
これにより、第1線分と第2線分とが互いに平行で相対的位置を保持した状態で、第1線分と第2線分とを含む平面が平行移動するように第1回動軸の周りに第1取付板を回動させると共に第2回動軸の周りに第2取付板を回動させた場合、それに伴う第1取付板の回動角と第2取付板の回動角とが同じになるので、両取付板の回動の調節が容易になり、試験体の両側(一方が第1取付板に取り付けられ、他方が第2取付板に取り付けられる。)が同じように曲げられて試験体が不均一に曲がることを防止又は減少させることができる。
【0081】
本試験器301においては、第1線分S1と第2線分S2とを含む平面である縁部存在面と、第1回動軸(駆動軸73の中心軸)と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)とを含む平面である回動軸存在面と、が平行又は同一平面に属するものである。
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、第1線分S1と第2線分S2とを含む平面である縁部存在面と、第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)とを含む平面である回動軸存在面と、が平行又は同一平面に属するものである。
このようにすることで第1線分と第2線分とを含む平面である縁部存在面と、第1回動軸と第2回動軸とを含む平面である回動軸存在面と、が平行又は同一平面に属し、第1取付板の第1回動軸周りの回動条件と第2取付板の第2回動軸周りの回動条件とが一致するので、試験体の両側(一方が第1取付板に取り付けられ、他方が第2取付板に取り付けられる。)が同じように曲げられ、試験体が不均一に曲がることを防止又は減少させることができる。
【0082】
本試験器301においては、取付板支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、駆動軸73、取付部83a、83bを含む。)は、第1回動軸(駆動軸73の中心軸)の周りに回動可能に第1取付板(他方取付板85)を支持する第1取付板支持手段(ここでは駆動軸73、取付部83a、83bを含んでなる。)と、第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)の周りに回動可能に第2取付板(一方取付板55)を支持する第2取付板支持手段(ここでは一方支持軸43、取付部53a、53bを含んでなる。)と、第1回動軸(駆動軸73の中心軸)と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)とを含む平面である回動軸存在面において第1回動軸(駆動軸73の中心軸)及び第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)に垂直な方向である変位方向(ここではY軸に平行な方向)に関し第1取付板支持手段(駆動軸73、取付部83a、83b)に対する第2取付板支持手段(一方支持軸43、取付部53a、53b)の相対的位置が変化可能に第2取付板支持手段を支持する基礎支持手段(ここではガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b)と、を含んでなる。
試験器本体211を用いる場合の本試験器においては、取付板支持手段(ガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、一方支持軸43、取付部53a、53b、スライド部245a、245b、他方支持軸243、取付部253a、253bを含む。)は、第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)の周りに回動可能に第1取付板(他方取付板255)を支持する第1取付板支持手段(ここでは他方支持軸243、取付部253a、253bを含む。)と、第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)の周りに回動可能に第2取付板(一方取付板55)を支持する第2取付板支持手段(ここでは一方支持軸43、取付部53a、53bを含む。)と、第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)と第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)とを含む平面である回動軸存在面において第1回動軸(他方支持軸243の中心軸)及び第2回動軸(一方支持軸43の中心軸)に垂直な方向(ここではY軸に平行方向)である変位方向に関し第1取付板支持手段(他方支持軸243、取付部253a、253bを含む。)に対する第2取付板支持手段(一方支持軸43、取付部53a、53bを含む。)の相対的位置が変化可能に第1取付板支持手段(他方支持軸243、取付部253a、253bを含む。)及び第2取付板支持手段(一方支持軸43、取付部53a、53bを含む。)を支持する基礎支持手段(ここではガイドレール31a、31b、スライド部45a、45b、スライド部245a、245bを含む。)と、を含んでなる。
このように取付板支持手段が第1取付板支持手段と第2取付板支持手段と基礎支持手段とを含むことで、第1取付板支持手段により第1取付板が第1回動軸の周りに回動可能に支持され、第2取付板支持手段により第2取付板が第2回動軸の周りに回動可能に支持され、そして基礎支持手段により所定方向に関し第1取付板支持手段に対する第2取付板支持手段の相対的位置が変化可能に第1取付板支持手段及び/又は第2取付板支持手段を支持する。ここに該所定方向は、第1回動軸と第2回動軸とを含む平面である回動軸存在面において第1回動軸及び第2回動軸に垂直な方向をいう。これによって取付板支持手段が、第1回動軸の周りに回動可能に第1取付板を支持すると共に、第2回動軸の周りに回動可能に第2取付板を支持し、第1回動軸と第2回動軸との間の距離を変化可能にすることができる。
【符号の説明】
【0083】
11 試験器本体
21 フレーム部
23 天板部
23a 上面
25 棒状部
31a、31b ガイドレール
41 一方支持軸部
43 一方支持軸
45a、45b スライド部
51 一方試験片取付部
53a、53b 取付部
55 一方取付板
55a 上面
55ae 縁部
61 駆動部
73 駆動軸
81 他方試験片取付部
83a、83b 取付部
85 他方取付板
85a 上面
85ae 縁部
91 リンク部
92 リンク軸
93、95 アングル部材
94、96 連結部材
94h1、94h2 雌ネジ
101 試験片
211 試験器本体
241 他方支持軸部
243 他方支持軸
245a、245b スライド部
251 他方試験片取付部
253a、253b 取付部
255 他方取付板
255a 上面
255ae 縁部
261 駆動部
273 駆動棒
291 リンク部
296a、296b 連結部材
296h1、296h2 雌ネジ
297 連結棒
301 本発明の変形試験器(本試験器)
401 検出器支持部
403 第1取付棒
403b1、403b2 取付ネジ
405 第2取付棒
407、409 取付板
407h、409h 長穴
503、505 検出器
S1 第1線分
S2 第2線分