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  • 特許-燃料貯蔵庫 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】燃料貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20221122BHJP
   B65D 25/02 20060101ALN20221122BHJP
【FI】
E04H1/12 307
B65D25/02 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019005647
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020112008
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】514077707
【氏名又は名称】株式会社ヒイラギ
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【弁理士】
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】柊山 浩幸
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-208009(JP,A)
【文献】特開2006-002381(JP,A)
【文献】特開2010-180664(JP,A)
【文献】実開平06-074756(JP,U)
【文献】特開2014-074303(JP,A)
【文献】特開平09-221925(JP,A)
【文献】実開昭49-140328(JP,U)
【文献】実公昭56-032113(JP,Y2)
【文献】特開2003-180468(JP,A)
【文献】実開昭58-088334(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04H 5/02
B65G 1/00-1/20
B65G 3/00-3/04
A47B 91/00-91/12,96/00-96/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光性を備える不燃材で形成される箱体であり、燃料を入れた携行缶を貯蔵する燃料貯蔵庫であって、
手前側に開く観音開き型の扉部と、
前記箱体内部の底面であって、左右何れか一方に傾斜する床部と、
前記箱体内部かつ前記床部上に配置され、前記携行缶を載置させる部位であって、前記携行缶が手前側へ滑り落ちないようにするストッパー部を有する棚部と、
傾斜の下端において前記床部と接続され、かつ、前記床部より低く窪んだ形状を成し、前記携行缶から漏れる液体又は気体の前記燃料を溜めるための溜桝部と、
前記溜桝部直上に配置されると共に、前記箱体上部に備える排気口から前記箱体内部の気体を排気する排気設備部と、
前記箱体の側部かつ前記排気設備部の反対側に配置されると共に、前記箱体外部に配置され、消防関係法規によって定められる規格の引火防止用網部で形成される吸気口を有し、前記排気設備部による排気に応じ前記箱体外部の空気を吸気する吸気設備部と、
前記床部の傾斜方向に向く貫通孔を備え、前記床部が成す傾斜の上方側に配置されるものと下方側に配置されるものとの高さを調整することによって、前記棚部における前記携行缶の載置部位が水平になるように、前記棚部を前記床部に固定する棚固定部と、を有し、
前記ストッパー部の滑り落ち防止機能を解除した後、前記携行缶が手前側へ引き出されることを特徴とする燃料貯蔵庫。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
燃料を貯蔵する建造物の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン等の燃料は、自動車等の移動手段や発電機・チェーンソー・ポンプの駆動エネルギーとなるため、非常時などこれら道具を必要とする時のために、ある程度の量を備蓄しておくことが必要である。
一方で燃料は、可燃性の性質を有しているため、保管には一定の危険や制約が伴う。
【0003】
そのような背景下、従来、燃料等危険物の貯蔵・保管に関する技術についての研究・開発が盛んに行われており、例えば、特許文献1では、「人力で入出庫できないほどの重量のある貯蔵物を簡単に入出庫できる危険物貯蔵庫」が提案され、特許文献2では、「屋内に設置できる危険物貯蔵用倉庫及びその設置方法」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-74303号公報
【文献】特開2010-180664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術においては、必要時に備え、ある程度の量の燃料の安全な貯蔵と貯蔵場所の省スペース化との両立が難しく、また、貯蔵している燃料を必要なときに手間なく使用可能な状態にすることができないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明では、上記問題点に鑑み、ガソリン等の燃料を安全に備蓄する手段であって、貯蔵場所の省スペース化を実現すると共に、貯蔵する燃料を必要なときに手間なく使用可能な状態にすることができる燃料貯蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示する燃料貯蔵庫の一形態は、遮光性を備える不燃材で形成される箱体であり、燃料を入れた携行缶を貯蔵する燃料貯蔵庫であって、手前側に開く観音開き型の扉部と、前記箱体内部の底面であって、左右何れか一方に傾斜する床部と、前記箱体内部かつ前記床部上に配置され、前記携行缶を載置させる部位であって、前記携行缶が手前側へ滑り落ちないようにするストッパー部を有する棚部と、傾斜の下端において前記床部と接続され、かつ、前記床部より低く窪んだ形状を成し、前記携行缶から漏れる液体又は気体の前記燃料を溜めるための溜桝部と、前記溜桝部直上に配置されると共に、前記箱体上部に備える排気口から前記箱体内部の気体を排気する排気設備部と、前記箱体の側部かつ前記排気設備部の反対側に配置されると共に、前記箱体外部に配置され、消防関係法規によって定められる規格の引火防止用網部で形成される吸気口を有し、前記排気設備部による排気に応じ前記箱体外部の空気を吸気する吸気設備部と、前記床部の傾斜方向に向く貫通孔を備え、前記床部が成す傾斜の上方側に配置されるものと下方側に配置されるものとの高さを調整することによって、前記棚部における前記携行缶の載置部位が水平になるように、前記棚部を前記床部に固定する棚固定部と、を有し、前記ストッパー部の滑り落ち防止機能を解除した後、前記携行缶が手前側へ引き出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
開示する燃料貯蔵庫は、ガソリン等の燃料を安全に備蓄する手段であって、貯蔵場所の省スペース化を実現すると共に、貯蔵する燃料を必要なときに手間なく使用可能な状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る燃料貯蔵庫の正面図である。
図2】本実施の形態に係る燃料貯蔵庫の模式的正面断面図である。
図3】本実施の形態に係る棚固定部の配置態様を説明する図である。
図4】本実施の形態に係る吸気口(引火防止用網部)を表す図である。
図5】本実施の形態に係る棚固定部を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係る燃料貯蔵庫の構造)
【0011】
図1乃至5を用いて、本実施の形態に係る燃料貯蔵庫(以下、単に「貯蔵庫」という。)1の構造について説明する。図1は、貯蔵庫1の正面図であり、図2は、貯蔵庫1の模式的断面図であり、図3及び5は、棚固定部24を説明する図であり、図4は、吸気設備部18を説明する図である。
【0012】
図1で示すように、貯蔵庫1は、遮光性を備える不燃材で形成される箱体であり、燃料32を入れた携行缶34を貯蔵するための建造物である。貯蔵庫1は、貯蔵する燃料32に直射日光が当たることを避けるために、遮光性を備える材を使用する。不燃材は、強度を高めるために、例えば、鋼板であることが好適である。燃料32としては、例えば、ガソリンが想定されるが、それ以外のものでも良い。
図1及び2で示すように、貯蔵庫1は、扉部2、床部4、棚部6、溜桝部12、排気設備部14、吸気設備部18、棚固定部24を有する。
図1で示すように、扉部2は、貯蔵庫1内部の空間を有効に活用するため、手前側28に開く観音開き型の扉である。
【0013】
図2で示すように、床部4は、貯蔵庫1内部の底面であって、左右何れか一方から他方に向けて傾斜する形状を成す。貯蔵庫1内部に載置させる携行缶34から漏れる燃料32は、空気より比重が大きく、より低い場所へ移動する性質が有るため、床部4の傾斜を利用して、所定の場所12へ燃料32を導くことができる。
【0014】
図2で示すように、棚部6は、貯蔵庫1内部、かつ、床部4上に配置され、燃料32を入れた携行缶34を載置させる部位である。棚部6が備える棚は、何段あっても良いが、携行缶34が容易に動かないように、各段水平になっていることが好適である。
【0015】
また、棚部6は、載置させた携行缶34が手前側28へ滑り落ちないようにするストッパー部8を有する。ストッパー部8は、棚部6の手前側28に配置されると共に、上下に移動可能であるため、上位置にあるときは、携行缶34の手前側28への滑り落ち防止機能を発揮し、下位置にあるときは、当該滑り落ち防止機能が解除され、携行缶34を手前側28へ引き出すことができるようにする。なお、棚部6の奥側30にも、携行缶34の奥側30への滑り落ちを防止する機構が備えられていても良い。このように貯蔵庫1は、ガソリン等の燃料32を安全に、かつ、空間を有効に活用して備蓄することができると共に、貯蔵する燃料32を必要なときに手間なく使用可能な状態にすることができる。
【0016】
図2及び3で示すように、溜桝部12は、床部4が成す傾斜の下端において床部4と接続され、かつ、床部4より低く窪んだ形状を成す部位である。溜桝部12は、携行缶34から漏れる液体又は気体の燃料32を溜める(燃料32を溜桝部12の位置に留めておく)ための溜め枡である。携行缶34から漏れた燃料32は、床部4が成す傾斜に沿って溜桝部12まで移動し、溜桝部12内に留まる。
【0017】
図2で示すように、排気設備部14は、溜桝部12直上に配置される。排気設備部14は、貯蔵庫1上部に配置される排気口20を有し、溜桝部12内に溜まった燃料32を含む溜桝部12付近の気体を排気口20から貯蔵庫1外へと排気する。排気設備部14は、安全のために、常時、溜桝部12付近の気体を貯蔵庫1外へと排気する(常時稼働させる)構成が好適である。
【0018】
図2で示すように、吸気設備部18は、貯蔵庫1の側部かつ排気設備部14の反対側に配置される。図4で示すように、吸気設備部18は、貯蔵庫1外部に配置される引火防止用網部22で形成される吸気口16を有し、排気設備部14による排気に応じ貯蔵庫1外部の空気を貯蔵庫1内部へ吸気する。吸気設備部18は、排気設備部14の反対側に配置されることによって、貯蔵庫1内の一方端から他方端(溜桝部12)に向けて空気の流れを作る。そのため、貯蔵庫1は、内部の換気を効率よくかつ十分に行うことができる。
【0019】
図4で示すように、引火防止用網部22は、貯蔵庫1内部へ火の粉が入り込まないようにする機能を有し、消防関係法規によって定められる規格を満たす目の細かい網によって形成される。
【0020】
図5で示すように、棚固定部24は、中央に、床部4が成す傾斜方向に向いている貫通孔26を有し、例えば、コの字型又はロの字型を成す。棚固定部24は、棚部6(棚部6の脚部10)を床部4に固定するための部位である。
【0021】
棚固定部24は、床部4が成す傾斜に対し、棚部6における携行缶34の載置部位が水平になるように、棚固定部24の高さによって棚部6左右の高さを調整する部位である。棚固定部24は、例えば、床部4が成す傾斜の上方側及び下方側にそれぞれ配置され、上方側に配置されるものと下方側に配置されるものとの高さを調整することによって、棚部6における携行缶34の載置部位が水平になるようにする構成でも良い。
【0022】
また、床部4が成す傾斜の上方側において棚部6が床部4に直接固定される場合、棚固定部24は、床部4が成す傾斜の下方側にのみ配置され、棚固定部24の高さを調整することによって、棚部6における携行缶34の載置部位が水平になるようにする構成でも良い。
【0023】
図3及び5で示すように、棚固定部24は、携行缶34から漏れた燃料32の床部4上の移動を妨げないように、中央に備わる貫通孔26が、床部4の成す傾斜方向に向くように設置される。
【0024】
上記構成に基づいて、貯蔵庫1は、ガソリン等の燃料32を安全に備蓄する手段であって、貯蔵場所の省スペース化を実現すると共に、貯蔵する燃料32を必要なときに手間なく使用可能な状態にすることができる。
(本実施の形態に係る燃料貯蔵庫の使用方法)
【0025】
図1乃至5を用いて、貯蔵庫1の使用方法について説明する。図1及び2で示すように、使用者は、扉部2を手前側28に開け、ストッパー部8を下位置にした棚部6に、ガソリン等の燃料32を充填した携行缶34を載置させる。その後、使用者は、ストッパー部8を上位置にし、扉部2を奥側30へ閉じて、貯蔵庫1内に燃料32を保管する。
【0026】
図1乃至5で示すように、貯蔵庫1において、燃料32の保管時、排気設備部14・吸気設備部18によって常時貯蔵庫1内部の換気が行われる。こうすることによって、貯蔵庫1内部に燃料32が充満し、発火・爆発するリスクが低減される。
【0027】
図1及び2で示すように、使用者は、貯蔵庫1内に貯蔵する燃料32を必要とする場合、扉部2を手前側28に開いた後、ストッパー部8を下位置にする。その後、使用者は、棚部6上に載置される携行缶34を手前側28に引き出し、扉部2を開けて形成される開口部から貯蔵庫1外部へ携行缶34を取り出す。このように、使用者は、貯蔵庫1から貯蔵する燃料32(携行缶34)を容易に取り出すことができる。
使用者は、その後、貯蔵庫1から取り出した携行缶34に充填される燃料32を使用することができる。
【0028】
上記のように、使用者は、貯蔵庫1によって、ガソリン等の燃料32を安全かつ小さな空間に備蓄することができると共に、貯蔵する燃料32を必要なときに手間なく使用可能な状態にすることができる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 燃料貯蔵庫
2 扉部
4 床部
6 棚部
8 ストッパー部
10 脚部
12 溜桝部
14 排気設備部
16 排気口
18 吸気設備部
20 吸気口
22 引火防止用網部
24 棚固定部
26 貫通孔
28 手前側
30 奥側
32 燃料
34 携行缶

図1
図2
図3
図4
図5