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  • 特許-ラック列給電システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ラック列給電システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20221124BHJP
   G06F 1/18 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H05K7/18 E
H05K7/18 J
G06F1/18 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017229409
(22)【出願日】2017-11-29
(65)【公開番号】P2019102543
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000162135
【氏名又は名称】共同カイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 建
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸彦
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/045865(WO,A1)
【文献】特開2015-216262(JP,A)
【文献】特開2002-094269(JP,A)
【文献】特開2011-070374(JP,A)
【文献】特開昭60-011826(JP,A)
【文献】特開2013-240212(JP,A)
【文献】特開平10-041649(JP,A)
【文献】特開昭62-011300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
G06F 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を収納したラックを列設したラック列に対して、当該ラック列の上部に配設した導体バーが収容されるバスダクトからラック内の電子機器に電源供給するラック列給電システムであって、
前記ラックの天板上には、ラック列方向に複数のラックに亘る長さを有する金属製の長尺部材が配置されて、当該長尺部材に前記バスダクトが固定されて成り、前記バスダクトを前記長尺部材に固定した状態で前記ラックから取り外し可能としたことを特徴とするラック列給電システム。
【請求項2】
前記長尺部材はラック列の幅と同等の長さを有し、各ラックと連結されていることを特徴とする請求項1記載のラック列給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ等の電子機器を収納したラックを列設したラック列に電源を供給するラック列給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ等の電子機器を収納したラックが多数列設されたデータセンタ等では、電源線である導体バーを筒状のダクトに収容したバスダクトを天井或いはラック上に配設して、このバスダクトの適宜部位に引き込み線を接続し、各ラックに給電する配電構造が普及している。
例えば、特許文献1では、列設されたラックのそれぞれの天板上に固定部材を取り付け、この固定部材にバスダクトを固定してラック列方向に配設し、このバスダクトからそれぞれのラックに給電した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-216262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ラック上にバスダクトを固定した構成は、個々のラックに設けた固定部材にバスダクトが取り付けられているため、ラックの増設や交換等を行う場合バスダクトをラック列から一時的に分離することになるが、その際バスダクトは単独で取り扱わなければならないため、注意を払う必要があった。
これは、バスダクトが長くなるとダクト自体の重量に加えて収容している導体バーの重量が加わるため変形し易くなり、バスダクト単独で扱う場合は変形や内部の導体バーが固定位置から外れないよう注意して作業する必要があるためで、作業者の負担となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、バスダクトをラック上に配設する構造であっても、ラックの増設や交換等しやすいラック列給電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、電子機器を収納したラックを列設したラック列に対して、当該ラック列の上部に配設した導体バーが収容されるバスダクトからラック内の電子機器に電源供給するラック列給電システムであって、ラックの天板上には、ラック列方向に複数のラックに亘る長さを有する金属製の長尺部材が配置されて、当該長尺部材にバスダクトが固定されて成り、バスダクトを長尺部材に固定した状態でラックから取り外し可能としたことを特徴とする。
この構成によれば、バスダクトをラック上に配設する構造であっても、長尺部材に固定した状態でラック上に配置されるため、バスダクトをラックから取り外す場合は長尺部材ごと取り外せば良く、作業がし易くラックの増設や交換がし易い。
また、ラック内の通信機器に接続する通信線を長尺部材に案内させて配設することも可能であり、ラック列上部の幅広い利用が可能となる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、長尺部材はラック列の幅と同等の長さを有し、各ラックと連結されていることを特徴とする。
この構成によれば、長尺部材を介して隣接するラック同士が連結されるため、地震等の揺れに対してラックの揺れや振動を抑制でき、安定した状態を保つことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バスダクトをラック上に配設する構造であっても、長尺部材に載置した状態でラック上に配置されるため、バスダクトをラックから取り外す場合は長尺部材ごと取り外せば良く、作業がし易くラックの増設や交換がし易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るラック列給電システムの一例を示すラック列の斜視図である。
図2図1のラック列の正面図である。
図3図1のラック列の平面図である。
図4図1のラック列の右側面図である。
図5】ラック列給電システムの他の例を示すラック列の斜視図である。
図6図5のラック列の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1~4は本発明に係るラック列給電システムの一例を示すラック列の説明図であり、図1は斜視図、図2は正面図、図3は平面図、図4は右側面図である。各図において、1はサーバ等の電子機器を収納するラック、2はバスダクト、3は長尺部材としてのラダー状部材、4はラック1の中への引き込み線(図示せず)をバスダクト2に接続する際に使用される分岐ボックスであり、ここで示しているラック列は4つのラック1を列設して構成されている。
【0011】
ラック1は、前面及び背面にそれぞれ扉(前面扉1a,背面扉1b)を備え、前後から開閉可能に構成されている。また、天板1c、左右側板1dを備えてラック1は個々に閉塞できるよう構成されている。そして、天板1c上にはバスダクト2から電源を分岐した引き込み線をラック1の内部に引き込むための引き込み口11が形成されている。
尚、ラック1に収納されている電子機器に接続される通信線等は、ラック1の底部に設けられている開口部(図示せず)から導入される。
【0012】
バスダクト2は、金属製の四角形筒体から成るダクト2aに電源線としての複数の導体バー6が収容されて構成され、ラック列の長さ(幅)に合わせた長さを有し、図1ではラック1の幅の4倍の長さを有している。導体バー6は帯状の金属板から成り、幅方向を縦向きに配置してダクト2aに収容され、複数の導体バー6が前後方向に重なるように配置され、収容されている。尚、ダクト2aに収納された各導体バー6は、適宜部位が図示しない絶縁部材により支持されて接触しないよう配置され固定されている。
【0013】
そして、ダクト2aの上面にはラック1内への引き込み線を接続するための開口部21が設けられている。ただし、開口部21は蓋部材22が設けられて塵等が入り込まないよう閉塞されており、分岐ボックス4の装着操作によりダクト2a内に開いて分岐ボックス4が接続されるよう構成されている。
【0014】
ラダー状部材3は、平行に配置された2本のレール状部材31を親桁とし、このレール状部材31の間に一定間隔で横棒32を子桁として配置して構成され、レール状部材31同士を横棒32を介して連結した梯子状の金属製構造物であり、ラック列の幅に合わせた長さを有している。
【0015】
分岐ボックス4は、内部に分岐ブレーカ(図示せず)が組み込まれており、下部にバスダクト2の導体バー6に接続するための電源線接続部4a(図4に示す)を有し、側部に引き込み線を接続するための端子4bを有している。電源線接続部4aは速結端子で形成されており、分岐ボックス4のバスダクト2への装着操作により、下方に突設された電源線接続部4aが導体バー6に接続され、端子4bに接続された引き込み線が導体バー6に接続される。
【0016】
このように構成された、バスダクト2、ラダー状部材3等は次のようにラック列に取り付けられる。まずラダー状部材3にバスダクト2が組み付けられる。ラダー状部材3はバスダクト2に比べて幅広に形成されており、バスダクト2は適宜部位が連結部材7によりラダー状部材3の横棒32にねじ止め固定される。このときバスダクト2は、開口部21を上方に向けて配置固定される。
【0017】
こうしてバスダクト2が取り付けられたラダー状部材3は、ラック1の天板1cの中央に配置されてラック列方向に配置され、ラック1の天板1cに取り付けられる。ラダー状部材3は各ラック1に対して連結部材8によりねじ止め固定される。
尚、ここでは、バスダクト2をラダー状部材3に固定する連結部材7と、ラダー状部材3をラック1に固定する連結部材8は同一のものを使用しているが、異なる形状の連結部材であって良い。
【0018】
このように、バスダクト2をラック1上に配設する構造であっても、ラダー状部材3を介してラック上に配置されるため、バスダクト2をラック1から取り外す際はラダー状部材3に組み付けた状態で取り外しでき、作業がし易くラック1の増設や交換がし易い。
また、ラダー状部材3を介して隣接するラック1同士が連結されるため、地震等の揺れに対してラック1の揺れや振動を抑制でき、安定した状態を保つことができる。
更に、ラック1内の通信機器に接続する通信線をラダー状部材3に案内させて配設することも可能であり、ラック列上部の幅広い利用が可能となる。
【0019】
図5,6は、ラック列給電システムの他の例を示し、図5はラック列の斜視図、図6はラック列の正面図である。上記図1の形態とはバスダクト2とラダー状部材3との位置関係が異なり、バスダクト2をラダー状部材3から浮かせて固定している。
具体的に、バスダクト2をラダー状部材3に連結する連結部材7aを上記実施形態の連結部材7より起立片を長くして、バスダクト2をラダー状部材3から浮かせた状態で連結している。尚、上記実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付与している。
【0020】
このように、バスダクト2をラダー状部材3に設置する形態であっても、バスダクト2とラダー状部材3との間に隙間を設けても良く、隙間を通信線の配設等に活用できる。
【0021】
尚、上記実施形態では、バスダクト2を使用して1系統の電源線をラック1上に配設する構成を示しているが、バスダクト2を2本使用して2系統の電源線を配設する構成も容易であり、ラダー状部材3の幅を拡張することで2本のバスダクト2を隣接して配設できる。
また、図5,6に示すようにバスダクト2とラダー状部材3との連結は、一様な間隔で実施する必要は無く、適宜部位を連結すれば良い。
また、梯子状のラダー状部材3にバスダクト2を固定しているが、堅牢な長尺部材であれば良く、断面をハット型やコ字状に折り曲げたレール状の長尺部材であっても良い。
【符号の説明】
【0022】
1・・ラック、1c・・天板、2・・バスダクト、2a・・ダクト、3・・ラダー状部材(長尺部材)、4・・分岐ボックス、6・・導体バー、7,7a,8・・連結部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6