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特許7181637短い発光減衰時間で単重捕集を直接に得るための有機分子及びその有機分子を利用する光電製品の製造工程
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】短い発光減衰時間で単重捕集を直接に得るための有機分子及びその有機分子を利用する光電製品の製造工程
(51)【国際特許分類】
   C07D 219/14 20060101AFI20221124BHJP
   C07D 493/10 20060101ALI20221124BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20221124BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
C07D219/14 CSP
C07D493/10 F
C09K11/06 645
H05B33/10
H05B33/14 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020192050
(22)【出願日】2020-11-18
(62)【分割の表示】P 2019537245の分割
【原出願日】2018-01-10
(65)【公開番号】P2021050203
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】17170682.3
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】102017101432.2
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518032281
【氏名又は名称】四川知本快車創新科技研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】SICHUAN KNOWLEDGE EXPRESS INSTITUTE FOR INNOVATIVE TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.3, Tengfei Road Shigao Renshou, Tianfuxinqu Meishan, Sichuan China
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェルサン、ハルトムート
(72)【発明者】
【氏名】マタランガ-ポッパ、ラリサ
(72)【発明者】
【氏名】ザウインニエク、ラファル
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-203026(JP,A)
【文献】国際公開第2016/102413(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/074322(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106946870(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106977446(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 219/02
H01L 51/50
H05B 33/10
C09K 11/06
C07D 493/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIa、式IIb、式IIc、式IIdおよび式IIeから成る群から選択される式で示される構造を有する有機分子。
【化1】
【化2】
[式中、Q1、Q2、Q1`とQ2`は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはアリールから各々個別に選択され、
Q3~Q6とQ3`~Q6`は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはアリールから各々個別に選択され、
ここで、アルキルは、直鎖状(非分岐)或いは、主炭化水素鎖に1~10の炭素原子を有する分岐状(C1-C10)アルキルであり、
アルケニルは、主炭化水素鎖に~10の炭素原子を有する直鎖状或いは分岐状(C 2 -C10)アルケニルであり、
アルキニルは、主炭化水素鎖に~10の炭素原子を有する直鎖状或いは分岐状(C 2 -C10)アルキニルであり、
シクロアルキルは、3~7環炭素原子を有する(C3-C7)-シクロアルキルであり、並びにアリールは、5~6員環の芳香族或いは複素芳香環基であり、
主炭化水素鎖は、非直鎖状或いは分岐状のアルキル、アルケニル、アルキニルの最長鎖を意味し、
Q1~Q6とQ1`~Q6`の各々基は、一つ又は多数のF、Cl、Br、アルコキシ、チオアルコキシル、アミン、シラン、ホスファン、ボランまたはアリールに置換され、又は置換されず、
Q1とQ2の基、Q3とQ4の基、Q5とQ6の基、Q1`とQ2`の基、Q3`とQ4`の基、及びQ5`とQ6`の基は、互いに化学的に結合され、更に環を形成しても良く、
R1~R4とR1`~R4`は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシル、チオアルコキシル、アミン、ホスファン、シラン、ボラン、フッ素、塩素、臭素およびAkrから成る基から各々個別に選択され、式IIaにおいて、R1~R4の一つ以上の位置にAkrを有し、式IIb~式IIeにおいて、R1~R4のうちの一つ以上の位置と、R1`~R4`のうちの一つ以上の位置にAkrを有し、
ここで、アルキルは、直鎖状(非分岐)又は主炭化水素鎖に1~10の炭素原子を有する分岐状(C1-C10)アルキルであり、
アルケニルは、主炭化水素鎖に~10の炭素原子を有する直鎖状或いは分岐状(C 2 -C10)アルケニルであり、
アルキニルは、主炭化水素鎖に~10の炭素原子を有する直鎖状或いは分岐状(C 2 -C10)アルキニルであり、
シクロアルキルは、3~7環炭素原子を有する(C3-C7)-シクロアルキルであり、アリールは5~6員環の芳香族或いは複素芳香環基であり、
アルコキシル、チオアルコキシル、アミン、ホスファン、シランおよびボランの置換は、それぞれアルコキシルOR'と、チオアルコキシルSR'と、アミンNR'R''と、ホスファンPR'R''と、シランSiR'R''R'''とボランBR'R''であり、
ここで、R'、R''とR'''は、直鎖状或いは分岐状の(C1-C10)アルキル、(C 2 -C10)アルケニル、(C 2 -C10)アルキニル、(C3-C7)シクロアルキル、5~6員環の芳香族或いは複素芳香環基から各々個別に選択され、
Akr基は式IIIa~式IIIbの何れかの構造を有し、
【化3】
#は、Akr基が分子の残部に結合する位置であり、
R9~R16とR9`~R16`は、H、(C1-C10)-アルキル、(C 2 -C10)-アルケニル、(C 2 -C10)-アルキニル、(C3-C7)-シクロアルキル、アルコキシルOR'、アミンNR'R''、ホスファンPR'R''、シランSiR'R''R'''、ボランBR'R''、フッ素、塩素、臭素またはアリールから各々個別に選択され、R'、R''とR'''は、互いに独立して直鎖状或いは分岐状の(C1-C10)アルキル、(C 2 -C10)アルケニル、(C 2 -C10)アルキニル、(C3-C7)シクロアルキル、5~6員環の芳香族或いは複素芳香環基であり、
Q7、Q8、Q7'、Q8'は、一つ又は多数のF、Cl、Br、アルコキシ、チオアルコキシル、アミン、シラン、ホスファン、ボランまたはアリールに置換され、又は置換されず、互いに結合し、或いは環を更に形成しても良く、
R5~R8は、互い独立してH、CH3、CN、COR'、CO(OR')、CO(NR'R'')、SO2R'、SO2(OR')、SOR'、CF3、CF2R'であり、R'とR''は、直鎖状或いは分岐状の(C1-C10)アルキル、(C 2 -C10)アルケニル、(C 2 -C10)アルキニル、(C3-C7)シクロアルキル、5~6員環の芳香族或いは複素芳香環基であり、一つ以上の基はH、CH3の何れでもなく、
R5、R6、R7とR8から選択される任意の二つの隣接した基は、互いに化学的に結合しても良い。]
【請求項2】
式IVa~式IVdで示される構造のうちの何れかの構造を有し、
置換基R1~R8、R1'~R8'、Q3~Q6、Q3'~Q6'は、式IIa~式IIeで説明され、置換基R9~R16とQ7~Q8は式IIIa~式IIIbで説明され、R16~R23とR16'~R23'は、R9~R16とR9'~R16'として定義される請求項1に記載の有機分子。
【化4】
【化5】
【請求項3】
式Vに示す構造を有し、
【化6】
置換基R1~R23とQ3~Q8は、式IIa~式IIe、式IIIa、式IIIbと式IVa~式IVdで記載され、環状構造が更に形成されるように、Q9とQ10とは、Q1~Q8とQ1'~Q8'と定義され、互いに結合する、又は、Q9とQ10とは、互いに結合しない請求項1に記載の有機分子。
【請求項4】
式VIに示す構造を有し、
【化7】
置換基R1~R23、R1'~R23'、Q3~Q10とQ3'~Q8'は、式IIa~式IIe、式IIIa、式IIIb、式IVa~式IVdで示され、環状構造が更に形成されるように、Q9'とQ10'とは、Q1~Q10とQ1'~Q8'とで定義され、互いに結合する、又は、Q9'とQ10'とは、互いに結合しない請求項2に記載の有機分子。
【請求項5】
式VII~式XVIに示す構造のうちの何れかの構造を有し、
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
各置換基は請求項1~4のいずれかに規定された通りである請求項1~4のいずれか一項に記載の有機分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機分子及びその有機分子を利用する光電製品の製造工程に関する。これらの有機分子は、二つの非共役橋に結合された供与体及び受容体の部位を有する。これらの橋は、減少した超共役を示す。従って、単重―三重のエネルギーギャップは、わずか数meVを達成することができる。これは、短い発光減衰時間でOLEDsにおいて100%の励起子利用率を可能にする。この新しい機構(メカニズム)は、特に、光電子機器に適した直接の単重捕集を示す。数百cm -1(数十 meV)程度のより大きなエネルギーギャップΔE(1CT-3CT)は、強い温度依存性の熱活性化遅延蛍光(TADF)で単重捕集効果を引き起こす最先端技術によって既に知られているものとは対照的に、直接の単重捕集効果には、E (1CT-3CT)値が10cm-1(0.12meV)のほぼ等エネルギーの3CTと1CT状態の間に系間交差が生じる。
【0002】
これらの分子では、1CT状態の占有プロセスは急に進行するので、この1CT状態からの発光減衰は、TADFを示す分子より特に5~10倍ほど速い。
【背景技術】
【0003】
光電子(オプトエレクトロニクス)製品における発光分子(エミッター分子)にとって、これらの発光減衰時間は、可能な限り短時間を必要とする他に、高い発光量子収率φPLを有する必要がある。短い発光減衰時間は、例えば、OLED装置寿命を長くすることを実現するように励起状態でのエミッター分子の化学反応(分解)の可能性を減少することから重要である。その他、金属錯化合物を含まない単純な有機エミッター分子を採用する製品にとって、発光過程に低い励起三重状態の電子占有を含めることが重要である。
【0004】
この要求は、室温(図1)で熱活性化遅延蛍光(TADF)を可能とするために、覆っている単重状態S1とT1状態との間に十分に低いエネルギーギャップΔE(S1-T1)を設定することによって満たすことができる。この過程は、この技術分野(例えば、BCA Parker、 CG Hatchard、 Trans. Faraday、 Royal Society of Chem.、 1961、 57、 1894を参考)における当業者にとって知られており、エオシンのために最初に発見され、E -型アップコンバートとも呼ばれる。
【0005】
結果として、長寿命の三重状態の関与により、リン光τ(T1)のTADFと比べて、発光(放射) τ (TADF)の減衰時間を数桁で減少するという有効なTADFを実現することができる。更に、多くの場合、復帰ギプス過程T1→kBT→S1をより早く完成すると比べて、T1状態(図1に示す)から非発光性過程は、重要性が低いため、発光量子収率φPLを大幅に増加させることを実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現有の報告から、供与体(D)と受容体(A)との間に分子間電荷移動(CT)遷移を有する多くの分子では、TADF特性を示す可能性があることが分かる。しかしながら、エネルギーギャップΔE(S1-T1)は、依然として巨大であるため、例えば長い減衰の山裾なしに短い減衰というような、多くの製品に必要とされる光物理特性を実現することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、エネルギーギャップΔE(S1-T1)を選択的に減少させて対応する純粋な有機分子を提供することを可能とする方法(分子構造原則)は、今発現することができた。このエネルギーギャップは、式(1)による量子力学的交換積分にほぼ比例する。
【0008】
DE(S1- T1) ≒ const.<yD(r1)yA*(r2)|r12 -1|yD(r2)yA*(r1)> (1)
【0009】
ここで、r1とr2とは電子座標であり、r12は電子1と電子2の間の距離であり、ψDは主に分子の供与体部位に亘って広がるHOMO(最高の占領された分子軌道)の波動関数であり、(A*は本来分子の収容体部位に亘って広がるLUMO(最低の占領されない分子軌道)の波動関数である。式(1)に基づいて、波動関数[(D(r1)(A*(r2)]の積が小さいとき、ΔE(S1-T1)が小さいことは明らかである。
【0010】
この要求は、分子内CT遷移を有する様々な分子では、波動関数(D(r1)と(A*(r2)の空間的拡張が、巨大なΔE(S1-T1)値に至って重なるために、満足できない。本発明に提案された分子構造は、波動関数の重複を著しく減少させる。これは、供与体或いは受容体の部位が非共役の小さな化学(官能)基(架橋)に分離される分子構造によって実現される。結果として、HOMOの受容体(アクセプター)領域への拡張とLUMOの供与体(ドナー)領域への拡張とは、大幅に減少する。その他、一つ又は二つの橋の化学的な強化によって、供与体と受容体との部位の屈曲性を減少させることができる。これにより、発光量子効率を増加させ、ΔE(S1-T1)値とエミッター分子の不均質性を減少させることができる。
【0011】
波動関数の重複が極端に少ない本発明の分子では、非共役の小さな化学(官能)基(橋(或いは架橋))(本技術分野は当業者にとって公知である。)に示される超共役は、置換により減少する。これは、受容体(アクセプター)領域へのHOMOの範囲と供与体領域へのLUMOの範囲とをさらに減少させる。
【0012】
本発明の分子は、通常、他の分子とともに光電製品(デバイス)中に存在し、例えば、他の小さい分子とともに蒸発されるか、又は重合体(ポリマー)中に添加(ドープ)される。これらは、本明細書ではマトリックス又はマトリックス材料として言及される。本発明の分子は、溶解することもでき、しかもその溶媒は、基質(マトリクス)となっている。本発明には、このようなマトリクス材料/環境に組み入れるか或いは溶解される分子のエネルギー準位(レベル)が、マトリクスの極性によって異なる方法で影響を受ける。この特性について、更に以下の説明を進める。
【0013】
式Ia及び式Ibは、供与体と受容体の部位の間に、二つの有機架橋を有する本発明の有機分子の構造モティーフを示す。HOMO(主として供与体上にある)とLUMO(主として受容体上にある)の空間的な重なりは、これらの橋の適当な選択により、一つ又は二つの架橋における置換による超共役を大幅に抑制することによって、大幅に減らすことができる。
【0014】
しかしながら、残留している軽度の軌道の重複は、電子基底状態S0と励起状態S1(1CT-状態)の間に移行の可能性を小さくし過ぎないようにするのに有用である[R. Czerwieniecet al.、 Coord. Chem. Rev. 2016、 325、 2-26]。他に、二つの橋は、分子の剛性をもたらす。これは、発光量子効率の増加も、発光の半価範囲の減少ももたらす。多くの場合、後者は、OLEDsの発光にとって望ましい発光色(色純度)を実現する。更に、発光減衰曲線の長命のテイルの発生を大いに抑える。
【0015】
式Ia及び式Ibは、芳香族又は複素(ヘテロ)芳香環の供与体の部位D、D1、D2と、2つまたは4つの非共役的な橋(非共役架橋)B1、B2、B3、B4を介して結合する芳香族又は複素芳香環の受容体の部位Aから構成される有機分子の構造モティーフを示す。芳香族又は複素芳香環部分は、電子吸引性の置換基に置換されており、それによってそれぞれ供与体と受容体とを形成する。以下に実施例を示す。
【0016】
供与体HOMOと受容体LUMOの著しい重複を防止するこのような方法では、橋(架橋)が選択される。橋(架橋)B2及び又は橋B3は、例えば、芳香族又は複素芳香環部分を有することができる。特に、橋は、従来技術と比較して超共役が減少している。これは、以下に更に説明されるように、より実質的に小さなエネルギー差ΔE(1CT-3CT)をもたらす。
【0017】
【化1】
【0018】
小さいΔE(S1-T1)値を必要とする光電製品にとって、供与体に局在するHOMOと受容体に局在するLUMOの間のエネルギーギャップが1.8~3.3eVの範囲内であることが重要である。そのため、HOMO→LUMO遷移のエネルギーが可視領域になるようにする。HOMOとLUMOのエネルギー準位(レベル)は、電子供与性(供与体について)又は電子吸引性(受容体について)の影響の強さによって説明することができる。本技術分野の当業者にとって、これらの用語は理解され、以下の具体的な実施例において説明される。
【0019】
本発明において、分子のエネルギーギャップΔE(S1-T1)(=ΔE(1CT-3CT))は、20cm-1(2.5meV)未満であり、より好ましくは10cm-1(≒1.2meV)未満である。従って、電荷移動の1重態と三重状態は、室温での熱エネルギーkBT=210cm-1と比較して、実質的に等エネルギーである。以下で、分子構造の詳細な説明を行う。個々の分子によって、対応する値が決定される。例えば、TD-DFTプログラム(例えば、Gaussian 09プログラムには関数を利用する)或いは無料で手入れるNWChem版(例えば、Version 6.1)、CC2法(TURBOMOLE GmbH、 Karlsruhe)又はCAS法(完全ActiveState法)[例えば、BDI Lyakh、M. Musiaz、VF Lotrich、RJ Bartlett、Chem. Rev. 2012、112、182-243とPG Szalay、T. Muller、G. Gidofalvi、H. Lischka、R. Shepard、Chem. Rev. 2012、112、108-181を参考のこと。]を利用し、これは量子力学計算で決定できる。
【0020】
発光減衰時間τ(300K)は、2マイクロセカンド(μs)未満であり、実用的には1マイクロセカンド(μs)未満であることが適している。これを達成するためにΔE(S1-T1)値を調整することに加えて、大きい系間交差(ISC)率を得るために、T1状態と高い分子エネルギー状態の間にスピン軌道間相互作用(SBK、SOC)を調節することが有用である。この目的のために、例えば、供与体の部位D及び/又は、受容体の部位A及び/又は、ハロゲンCl、Br及び/又は、Iで置換された一方又は両方が適用できる。
【0021】
本発明の分子のISC率の増加も、三重状態3LE(LE=局在励起)における供与体の部位D及び/又は受容体の部位A及び/又はに位置する一つ又は二つの橋の距離をエネルギー的に近接したCT状態により達成される。これらの状態と3LE状態の間の量子力学配合によるスピン軌道間相互作用の強化によって、1CTと3CT状態の間のISC率は増加する。
【0022】
目標の分子は、公知の計算機プログラム又は量子力学方法(例えば、Gaussian 09又はCC2法)を利用して測定される。これらの混合物は、より効果的であり、より近い状態は、エネルギー的に隣接している。相互のエネルギー偏移(シフト)は、供与体における電子供与性置換の変化及び/又は受容体における電子受容性置換の変化と同じように、供与体及び/又は受容体の強度の変化によって達成することができる。
【0023】
同様に、複数の電子押し(プッシュ)及び/又は電子引き(プル)の置換によって、エネルギー偏移(シフト)を達成することができる。重要なことに、本発明の一実施形態では、適当な極性を有する基質(マトリクス)は、本発明の一つの実施例で利用することができる。結果として、3LE状態とは対照的に、空位(ブランク)、1CTと3CT状態は、1、3CT-状態が下位に、または3LE条件により少し上位になるように、エネルギー的に移動する(有機分子は期待される状態順位がない場合に)。
【0024】
この基質(マトリクス)の極性は、誘電率εによって表すことができる。(数値は対応する文献の表に示されている)極性の影響は、上述の計算機プログラムによっても検出することができる。
【0025】
基質における、例えば、溶媒の極性の影響について、図2を参照して説明する。この図2では、溶媒の極性が増加するにつれて発光スペクトルの赤方遷移が示される(誘電率εで数量化される)。本発明の分子からの放射結果は以下に説明する(例えば、実施例分子1)。
【0026】
本発明の有機分子は、1CT及び3CT条件が3LE状態未満、例えば、1500cm‐1(≒190 meV)未満、好ましくは500cm-1(≒63meV)未満、より好ましくは100cm-1(≒12 meV)未満であるように構築される。1CT及び3CT状態よりわずかに低い3LE状態のエネルギー場(例えば、50cm-1≒6meV)も可能である。
【0027】
対応するエネルギーギャップは、量子理論TD-DFT計算によって決定することができる。更に、低温発光スペクトル(例えば、77Kまたは10K)を記録することにより、局在化3LE状態が1,3CT状態よりもエネルギー的に下位ににあるかないかを実験的に決定することができる。この場合に、発光は振動衛星を分解できるように構成されている。さらに、msからsまでの範囲にある発光3LE状態の発光減衰時間は、1CT-d減衰時間(<2microseconds)より著しく長い。反対の場合には、広いCTスペクトルが数千のcm-1の半値幅及び短い減衰時間で見出される。
【0028】
有機分子の供与体部分(セグメント)と受容体部分との化学結合(ボンディング)は、分子を硬化させる作用(剛性作用)があるだけでなく、驚くべきことに発光量子収率φPLの増加ももたらす。
【0029】
さらに、架橋(橋)は、有機分子の供与体分子セグメントD及び受容体分子セグメントAの自由移動に対して強い制限を引き起こす。先行技術においてしばしば遭遇する長期の発光減衰時間は、長寿命の「減衰テイル」の領域において著しく減少する。発光の色純度の改善は、発光バンド(帯域)の半値幅を縮めることによっても実現する。
【0030】
驚くべきことに、有効なISCと、20cm-1(2.5meV)以下、好ましくは10cm-1(≒1.2meV)以下の非常に小さいエネルギーギャップΔE(1CT-3CT)を示す本発明の分子(極性を有するマトリクスと任意に組んで、2.4≦ε≦5.0範囲の誘電率に説明される)は、減衰時間のTADF発光なしに1CT-蛍光発光のみを与える。2μs以下から500ns以下の値は、従来技術のTADFエミッターより短命を明らかにする。
【0031】
本発明の有機分子は、OLEDsにエミッターとして使用される混合物或いは化合物としてのマトリックス(基質)とともに、蛍光発光の減衰時間を含む時間窓に、単重電荷移動状態にある全ての単重並びに三重励起子を集めることができる。これは、“直接な単重捕集効果”と呼ばれる。
【0032】
その結果として、本発明のエミッター-マトリックス(基質)化合物は、蛍光発光の短い減衰時間のみを示し、そして、エネルギーギャップが数百nsから1または2μsまでの範囲にある。この蛍光発光は、1CT-単重状態からほぼ等エネルギーの3CT-状態蛍光と平衡化されている。
【0033】
強い温度依存性の熱活性化遅延蛍光(TADF)(より大きいエネルギー差ΔE(1CT-3CT)に引き起される)を有する単重捕集効果と対比して、単重捕集効果は、エネルギー的に3CT状態に近いISCと1CT状態との間で起こる。
【0034】
これらの分子では、場合によりマトリックスと組み合わせて、プロセスは1CT状態を急速に満たすため、特にこれらの1CT状態からの発光減衰はTADF分子よりも5~10倍ほど短い。
【0035】
式Iaおよび式Ibの分子構造の説明
式Iaおよび式Ibによれば、本発明のエミッター材料の分子構造は、式IIa~式IIeによって更に釈明される。本発明の有機分子を含む組成物において、2.4≦ε≦4.5の誘電率(極性)を有する極性基質の併用は、直接な単重捕集効果の更なる改善をもたらす(1CT-蛍光発光減衰時間の短縮)。
【0036】
【化13】
【0037】
式IIa~IIeによれば、本発明に有機分子の基本骨格は、2,3:6,7-ジベンゾスベランである。芳香環系の電子的性質は、ここに示される適当な置換によって制御される。
【0038】
R1~R4で置換された分子部分は、供与体部分Dであり、またはR1~R4およびR1’~R4’で置換された分子の部分は、式Iaおよび式Ibの意味においては、供与体部分D1およびD2と、R5~R8を含む供与体部分D1およびD2を形成し、或いはR5~R6で置換された分子の部分は、受容体部分Aを形成する。
【0039】
Q1~Q6で置換された2,3:6,7-ジベンゾスベランのメチレン基およびエチレン基は、式Iaおよび式Ibの橋B1とB2をそれぞれ表し、そして、Q1'~Q6'で置換された2,3:6,7-ジベンゾスベランのメチレン基およびエチレン基は、式Iaおよび式Ibの橋(架橋)B3およびB4を表す。
橋(架橋):
Q1、Q2、Q1’およびQ2’は、それぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはアリールから選択される。
Q3~Q6およびQ3’~Q6’は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはアリールから選択される。
ここで:
アルキルは、主炭化水素鎖に1~10個の炭素原子を有する直鎖状(非分枝)または分枝状(C1-C10)アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル等)であり、
アルケニルは、主炭化水素鎖に1~10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状(C1-C10)アルケニル(例えば、プロペン-2-イル、n-ブテン-2-イル、n-ブテン-3-イル)であり、
アルキニルは、主炭化水素鎖に1~10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状(C1-C10)アルキニル(例えば、プロペン-2-イル、n-ブテン-2-イル、n-ブテン-3-イル)であり、
シクロアルキルは、3~7環炭素原子を有する(C3-C7)-シクロアルキルであり、また、アリールは、例えば、ベンゼン、チオフェン、フラン、イミダゾール、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール等の5~6員環の芳香族または複素芳香環基である。
「主炭化水素鎖」は、非直鎖状或いは分岐状のアルキル、アルケニル、アルキニルの最長鎖を意味する。
Q1~Q6およびQ1'~Q6'の各基は、一つ或いは多数のF、Cl、Br、アルコキシ、チオアルコキシル、アミン、シラン、ホスファン、ボランまたはアリールで置換されるか、或いは置換されないことができる。
Q1およびQ2の基、Q3およびQ4の基、Q5およびQ6の基、Q1’およびQ2’の基、Q3’およびQ4’の基、並びにQ5’およびQ6’の基は、互いに化学的に結合され、更に環系を形成することができる。
供与体:
R1~R4およびR1’~R4’は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシル、チオアルコキシル、アミン、ホスファン、シラン、ボラン、フッ素、塩素、臭素又は以下の式IIIによって定義されるAkr基から各々個別に選択される。式IIaにおいて、R1~R4の一つ以上の位置にはAkrがあり、式IIb~式IIeにおいて、R1~R4の一つ以上の位置、および、R1'~R4’の一つ以上の位置にはAkrがある。
ここで:
アルキルは、主炭化水素鎖に1~10個の炭素原子を有する直鎖状(非分枝)または分枝状(C1-C10)アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル等)であり、
アルケニルは、主炭化水素鎖に1~10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状(C1-C10)アルケニル(例えば、プロペン-2-イル、n-ブテン-2-イル、n-ブテン-3-イル)であり、
アルキニルは、主炭化水素鎖に1~10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状(C1-C10)アルキニル(例えば、プロペン-2-イル、n-ブテン-2-イル、n-ブテン-3-イル)であり、
シクロアルキルは、3~7環炭素原子を有する(C3-C7)-シクロアルキルであり、また、アリールは、例えば、ベンゼン、チオフェン、フラン、イミダゾール、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール等の5~6員環の芳香族または複素芳香環基である。
アルコキシル、チオアルコキシル、アミン、ホスファン、シランおよびボランの置換は、それぞれアルコキシルOR'、チオアルコキシルSR'、アミンNR'R''、ホスファンPR'R''、シランSiR'R''R'''ボランBR'R''である。ここで、R'、R''およびR'''は、直鎖状または分岐状の(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C3-C7)シクロアルキル、5~6員環の芳香族または複素芳香環基から各々個別に選択される。
Akr基は式IIIa~式IIIbの構造から成る:
【0040】
【化3】
ここで:
#は、Akr基が分子の他の部分と結合する部位を示す。
R9~R16およびR9’~R16’は、H、(C1-C10)-アルキル、(C1-C10)-アルケニル、(C1-C10)-アルキニル、(C3-C7)-シクロアルキル、アルコキシルOR'、アミンNR'R''、ホスファンPR'R''、シランSiR'R''R'''、ボランBR'R''、フッ素、塩素、臭素またはアリールから各々個別に選択される。ここで、R'、R''およびR'''は、互いに独立して直鎖状または分岐状の(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C3-C7)シクロアルキル、5~6員環の芳香族または複素芳香環基である。
Q7、Q8、Q7'は、Q1~Q6およびQ1'~Q6'として定義され、互いに結合していてもよく、またはさらに環系を形成していてもよい。
受容体:
R5~R8は、互いに独立してH、CH3、CN、COR'、CO(OR')、CO(NR'R'')、SO2R'、SO2(OR')、SOR'、CF3、CF2R'である。ここで、R'は上述した通りに定義される。少なくとも1つの基はH、CH3の何れでもない。
更に、好ましくは、式IIaにおいて、R5、R6、R7およびR8から選択される少なくとも2つの置換基は、H、CH3の何れでもない。
本発明の分子の一実施形態において、R5、R6、R7およびR8から選択される2つの隣接する基は、互いに化学的に結合していてもよい。本技術分野の当業者にはよく知られているように、分子構造の補強効果(スティフニング効果)をもたらすこのような結合は、発光量子収率の増加をもたらすことができる。
本発明による分子の一実施形態では、水素原子は、発光量子収率を高めるために、式IIa~式IIeの1つ、幾つかまたは全ての位置において重水素に置換されることができる。
さらなる実施形態では、分子は、本発明による式IVa~式IVdの構造を有する。
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】
R1~R8、R1 ~R8'、Q3~Q6およびQ3'~Q6'の置換基は、式IIa~式IIeにおいて示され、R9~R16およびQ7~Q8の置換基は、式IIIa~式IIIbにおいて示される。
R16~R23およびR16'~R23'は、R9~R16およびR9'~R16'として定義される。
さらに好ましい実施形態では、有機分子は、本発明による式Vの構造を有する。
【0044】
【化6】
R1~R23およびQ3~Q8の置換基は、式IIa~式IIe、式III、式IIIbおよび式IVa~式IVdにおいて示される。
環系は、さらに形成するように、Q9およびQ10は、Q1~Q8とQ1'~Q8'と定義され、互いに結合することができる。
さらに好ましい実施形態では、有機分子は、本発明の式VIの構造を有する。
【0045】
【化7】
【0046】
R1~R23、R1'~R23'、Q3~Q10およびQ3'~Q8'の置換基は、式IIa~式IIe、式III、式IIIb、式IVa~式IVdおよび式Vにおいて示される。
Q9'およびQ10'は、Q1~Q10およびQ1'~Q8'として定義され、互いに結合して環系をさらに形成してもよい。
さらに好ましい実施形態では、有機分子は、本発明による式VII~式XVIの構造を有する。
【0047】
【化8】
【0048】
【化9】
【0049】
【化10】
【0050】
【化14】
【0051】
【化15】
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】温度依存性の熱活性化遅延蛍光(TADF)の過程を示すエネルギー準位図である。kBはボルツマン(Boltzmann)定数の熱エネルギーkBを表し、Tは絶対温度を示す。この図1では、低温で観察されたT1状態からの非発光(非放射)(波形)不活性による発光TADF過程を示す。また、この図1では、自生のS1→S0蛍光発光の過程は示されない。
図2】T=300Kで溶解される実施例分子1のための1CT-発光のエネルギー位置の状態での溶剤の極性の影響を示す図である。図2では、溶剤の極性の増加に伴う発光スペクトルの赤い偏移(誘電率εに定量化される)を示す。
図3】実施例分子1(実施例1参考)のフロンティア軌道の等表面を示す図であり、HOMO:左;LUMO:右である。構造最適化は、電子基底状態S0に対して行われる。計算方法:DFTとTD-DFT、因数:B3LYP、基本セット6-31G(d、p)、計算ソフトウェア:Gaussian 09。計算は、単重CT状態と三重-CT状態の間のエネルギーギャップが7cm-1(T1構造)であることを示す。この数値は、光電製品における応用のために良いエミッターである。
図4】X‐線構造測定に起因する実施例分子1の透視図である。飽和ジクロロメタン溶液(1)へのヘキサンのゆっくりとした拡散によって、構造分析に使用した単結晶を実施した。
図5】トルエン(トルオール)(c≒10‐5M)に溶解した実施例物質1の発光および励起スペクトルを示す図である。120分間かけて窒素を通過させることによって残留酸素を溶液から除去した。発光量子収率はΦPL=65%であった。励起:310nm、検出:468nmであった。
図6】トルエン(トルオール)に溶解し、窒素置換した実施例分子1のTADF減衰期間(T=300K、c≒10-5M)を示す図である。励起:310nm、パルス持続時間:10nsであった。測定値(τ=420ns)は、最初に測定されたTADFの最短減衰期間より著しく短い最短減衰期間を示す。
図7】(a)はジエチルエーテル(c≒10-5M)中の実施例分子1の発光スペクトルを示す図である。発光は、3CT状態と平衡化された、減衰期間(τ=960ns)を有する1CT-蛍光発光を表す(b)。試料を窒素で120分間パージした。励起:スペクトル(a):310nm(cw-LED);減衰曲線(b):310nm(LEDパルス)。温度(T)=300Kであった。
図8】固定TADF基質(本文参照)(c≒10wt%)中の実施例分子1の発光スペクトルを示す図である。発光は、3CT状態と平衡化された減衰期間(530ns)を有する蛍光発光を表す。試料を慎重に深く脱気した。励起:310nm(cw-LED)。温度(T)=300Kであった。
図9】様々な温度(スペクトル正規化)での固定TADF基質(本文参照)(c≒10wt%)中の実施例分子1の発光スペクトルを示す。発光スペクトルは、冷却によって僅かにしか変化しない。減衰期間は、530ns(300K)から約1us(10K)まで広がる。放射速度は、冷却によって僅かにしか変化しない。
図10】ジエチルエーテル或いは上記のTADF基質等の極性の基質における実施例分子1の発光挙動を説明するためのエネルギー準位図である。局在3LE状態は、エネルギー的に1、3CT状態よりも優れている。状態は、量子力学混合物を含むことができる。即ち、二つの三重状態は配置間相互作用(CI)で相互作用することができるときに、3LE状態と1CT状態がスピン軌道結合(SOC)によって混合される。これは、1CT状態と3CT状態の間に高速系間交差(ISC)をもたらす。結果として、低温でも、3CT状態と平衡化された1CT-蛍光発光のみが観測され、3CTリン光もTADFも観測されない。
図11】実施例分子2(実施例2参照)のフロンティア軌道の等値面を示す図であり、HOMO:左;LUMO:右である。構造最適化は、電子基底状態S0に対して行われた。計算方法:DFTとTD-DFT、因数:B3LYP、基本セット6-31G(d、p)、計算ソフトウェア:Gaussian 09であった。計算では、単重CT状態と三重CT状態の間にエネルギー差として5cm-1(0.6meV)(S0構造)を予測した。
図12】実施例分子3(実施例3参照)のフロンティア軌道の等値面を示す図であり、HOMO:左;LUMO:右である。構造最適化は、電子基底状態S0に対して行われた。計算方法:DFTとTD-DFT、因数:B3LYP、基本セット6-31G(d、p)、計算ソフトウェア:Gaussian 09であった。計算では、単重状態と三重CT―CT状態の間にエネルギーギャップとして5cm-1(S0(0.6meV)構造)を予測した。
図13】本発明の他の実施例分子を示す図であり、光電製品に適用の可能である本発明の有機エミッター分子の追加的な実施例を示す。
図14】本発明の他の実施例分子を示す図であり、光電製品に適用の可能である本発明の有機エミッター分子の追加的な実施例を示す。
図15】本発明の他の実施例分子を示す図であり、光電製品に適用の可能である本発明の有機エミッター分子の追加的な実施例を示す。
図16】本発明の他の実施例分子を示す図であり、光電製品に適用の可能である本発明の有機エミッター分子の追加的な実施例を示す。
図17】本発明の他の実施例分子を示す図であり、光電製品に適用の可能である本発明の有機エミッター分子の追加的な実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
[実施例]
本発明の有機分子は、基質材料を含む混合物または化合物の部分であり、公知の触媒カップリング反応(例えば、Suzukiカップリング反応、Buchwald-Hartwigクロスカップリング反応)により合成することができる。
【0054】
有機分子(エミッター分子)は、電解移動条件ΔE(1CT-3CT)の間に20cm-1(2.5meV)未満、好ましくは10cm-1(≒1.2 meV)未満のエネルギーギャップを有する。従来技術とは対照的に、エネルギーの僅かな差異は、既存の超共役がC1-橋(ブリッジ)B2~B3での置換によって大幅に削減される橋によって達成される。構造モティーフを以下に示す。
【0055】
【化13】
【0056】
ここで、
#は、橋B2或いは橋B3の炭素原子或いはスピロ炭素原子が式Ia或いは式Ibの分子中の供与体(ドナー)或いは受容体(アクセプター)の部分(フラグメント)に結合している位置を示す。さらにQ1、Q2、Q1'およびQ2'はHでない。
【0057】
エミッター分子は、固体基質(例えば、OLED)中にあり、従って発光層を表す。固体基質の極性は、局在化3LE状態がエネルギー的に1、3CT状態よりも高くなるように、且つ、例えば、1500cm‐1(≒190 meV)未満、好ましくは500cm-1(≒63meV)未満、またはより好ましくは100cm-1(≒12meV)未満となるように選択される。一方、3LE状態は、1、3CT状態よりも50cm-1(≒6meV)低くてもよい。基質の極性は、例えば、誘電率εに関して、2.2≦ε≦5.0の範囲で選択することができる。
【0058】
[実施例1]
【化14】
【0059】
以下、本発明の実施例1に示した分子(実施例分子1)についてさらに詳しく説明する。
【0060】
図3に示すフロンティア軌道は、HOMOとLUMOが分子の明らかに異なる領域に位置していることを示している。これは、最低三重項状態と一重項状態の間のエネルギー分裂が小さいことを示唆している。TD-DFT計算(関数B3LYP と関数 MO6)での実施例分子1の計算は、最適化三重構造ΔE(1CT-3CT)=7cm-1 (0.87 meV)のエネルギー差を示す。従って、実施例1は、本発明により、例えばOLED等の光電製品に利用できる本発明による発光体(エミッター)分子を表す。
【0061】
市販の実施例分子1の化学合成は、以下のスキームに示される。
【0062】
【化15】
【0063】
反応物と反応条件:
(a)9、9-ジメチル-9、10-ジヒドロアクリジン、Pd(CH3COO)2、P[(C(CH3)3]3、(CH3)3CONa、90oC、19h。
(b)Zn(CN)2、1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、[1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロメタンとのジクロロパラジウム(II)錯体、N-メチル-2-ピロリドン、180oC、12h。
【0064】
化学分析:
1H NMR (300 MHz、CDCl3、δ): 7.71 (d、 J = 7.5 Hz、 2H)、 7.66 (s、 1H)、 7:34 (q、 J = 7.5 Hz、 6H)、 7.22 (d、 J = 7.5 Hz、 1H)、 7.11 (d、 J = 7.5 Hz、 2H)、6.92 (d、 J = 7.5 Hz、 1H)、 6.80 (t、 J = 9 Hz、 3H)、 6.71 (t、 J = 7.5 Hz、 2H)、 6.32 (d、 J = 3 Hz、 1H)、 5.72 (d、 J = 7.5 Hz、 2H)、 3.48 (d、 J = 3.6Hz、 4H)、 1.53 (s、 6H). 13C NMR (75 MHz、 CDCl3、 δ): 156.35、 148.69、 148.36、 140.53、 130.07、 129.22、 128.59、 126.07、 124.79、 124.67、 121.51、 120.43、 113.66、 66.47、 38.13、 36.73、 35.82、 30.49. MS (HR-ES-MS = 高分解能エレクトロスプレー質量分析) m / z: C44H31N3 gives: 601.2518; 。found 601.3514。 C44H31N3 results: C、 87.82; H、 5.19; N、 6.98、 found: C、 87.48; H、 5.41;
N、 6.60。
【0065】
結晶構造:
図4は、X線構造決定によって決定された分子構造を示している。更に、分子構造のデータを表1、表2にまとめる。
【0066】
実施例1の分子のX線回折データ
【表1】
【0067】
実施例分子1の原子座標x、y、z(x104A)と置換パラメーターU (eq) (A2x103)
【表2】
【0068】
実施例分子1は、真空昇華(温度250°C、圧力6x10-5mbar)することができ、また、ジクロロメタン(CH2Cl2)、トルエン(トルオール)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、エタノール、メタノール、キシレンまたはベンゼン等多数の有機溶剤に溶解することができる。クロロホルムに対する良好な溶解性は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)或いはスチレン樹脂へのドーピングも可能にする。
【0069】
光物理的測定
誘電率ε=2.4(T=300K)を有するトルエン(トルオール)に溶解される実施例分子1は、468nm(図5)に最大の青色の発光(T=300K)を示す。発光量子収率ΦPLは高い(窒素パージ溶液に対してΦPL=65%)。
【0070】
実施例1の減衰期間は、僅かに420nsである(図6)。短い減衰期間は、ロールオフ効果が少なく、製品(デバイス)の安定性を増加させるので、OLED製品にとって非常に重要であり、これは当業者によく知られている。エミッターの減衰時間は、報告されているTADF減衰期間(約5μs)と比較して短くなっている。
【0071】
DFT計算(図3)は、実施例分子1の電荷移動(CT)偏移を示す。このような偏移は、エミッター(基質(マトリックス)/溶媒)の近傍に影響される。図2は、この現象(動作)を示している。基質の極性の増加とともに、1CT-単重状態の発光は赤方偏移を有する。対応する記述はまた、誘電率εがパラメータとして数学的に考慮されるTD-DFT計算からも生じる。
【0072】
基質の極性の影響も、ジエチルエーテルに溶解した実施例分子1を用いて調べた。この基質は、トルエンよりも高い誘電率ε(ε=4.3)を有する。発光(T=300K)は、515nm(図7a)に最大の赤方偏移を示し、発光量子収率ΦPLは、窒素パージ溶液で70%であった。
【0073】
減衰期間(τ=960ns)は測定された(図7b)。対応する放射速度(krPL/τ=7.3x105s-1)は、予定する数値から決定することができる。この発光は、蛍光であり、ほぼ等エネルギーの3CT状態と平衡化された蛍光である。さらなる詳細については、以下で述べる。この解釈は、量子力学計算で確認される。電子偏移S01CTの場合、TD-DFT計算結果(1CT-構造のため)からオシレーター強度(f=0.00115)が得られる。
【0074】
偏移の放射速度は、文献[N. Turro、 Modern Molecular Photochemistry、 The Benjamin / Cummings Publ.、 Menlo Park、 Calif. 1978、 page 87]に基づいて、発光(図7a)の特定の近似値とエネルギー場を用いて、推定することができる。推定からは、簡単な近似値に基づいて、実験的に測定された速度に比較的近い、敏速な蛍光発光(kr=6.5x105s-1)のための放射速度を得た。
【0075】
三重状態からの発光過程が燐光であるという別の解釈は、1μs未満の短い減衰期間と高い発光量子収率のために溶液エミッターについては除かれることができる。この減衰時間の値(980ns)は、これまでに測定された最短のTADF減衰時間より短い。
【0076】
しかし、説明された発光(放出)過程は、TADF発光(放出)ではない。より正確に言えば、これは、ほぼ等エネルギーの3CT状態と平衡化された1CT単重状態からの蛍光発光である。OLEDにおいて使用する場合に、全ての単重と三重励起子を集める。この重要な特徴は、以下で説明される。
【0077】
図8は、極性基質(マトリックス)にドープされる試料物質1(4.4のホルマールε値を有する)の発光特性、試料分子1の高エネルギー1,3CT状態と小さな単重―三重エネルギーギャップを示す。この基質は、TADFエミッターだが、発光特性は、ここでは関係ない。
【0078】
基質物質の構造は:
【化16】
【0079】
このエミッター基質混合物/合成物の発光スペクトル図を図8に示す。発光減衰期間(530ns)は、等エネルギー性3CT状態と平衡化されている1CT単重状態からの蛍光でもある。
【0080】
図9には、様々な温度(T=300K、150Kおよび10K)に対する試料分子1の発光スペクトルの比較結果を示す。僅かなスペクトルシフトを除いて、TADF-エミッター(TADF発光の凍結)とは対照的に、予想されるように全温度範囲に亘って変化がなかった。発光の放射速度もそれほど変わらなかった。
【0081】
これらの測定結果は、発光反応機構が全温度範囲に亘って変化しないままであることを示し、これは、等エネルギーの3CT状態蛍光と平衡化した1CT単重状態からの蛍光発光として予想される。
【0082】
図10には、ジエチルエーテル或いは考察した固体TADF基質等の極性環境における試料分子1の発光挙動がエネルギー準位図とともに表示される。低温測定は、局在化3LE状態エネルギーが1、3CT状態よりも上位であることを示した。SOCの反応機構(スピン軌道結合=スピン軌道相互作用)を経由するこの3LE状態の量子力学混合物と配置間相互作用(CI)は、CT状態の増加で可能となる。さらに、単重と三重CT状態は、類似の潜在的領域を有するので、ISC率を担うFranck-Condon因数は大きい。
【0083】
(本技術分野の当業者であればこの用語がわかるが)これらの特性のために、1CT状態と3CT状態の間で高速なISCが起こることが予想される。“高速”は、ISC過程が敏速な蛍光発光より速く起こることを意味する。実際、低温(例えば、T=10K)においてでさえ、TADF基質の分子には3CTリン光は観察されなかった。
【0084】
組成物(極性基質にエミッター分子)がOLEDにおいて使用される場合、本発明によれば単重励起子がCT-単重状態を占有し、単重励起子はCT-状態を占有する。
【0085】
CT状態の両方の占有は、高速ISC過程と平衡状態にあり、敏速な1CT→S0蛍光発光はスピン禁制3CT→S0リン光よりもっと速い。そのため、等エネルギーの3CT状態蛍光と平衡化される1CT単重状態からの蛍光発光は観測される。
【0086】
これは、全ての励起過程のCT単重状態から直接の占有と放出(発光)に繋がる可能性があることを意味する。即ち、“直接の単重捕集”がある。従って、本発明は、従来技術と比べ、発光減衰期間(例えば、因子(5~10)による)を大幅に短縮し、光電製品用の有機発光分子およびこれらに適合させるため方法を提供する。
【0087】
[実施例2]
【化17】
【0088】
図11に示されるフロンティア軌道は、HOMOとLUMOが分子の明らかに異なる空間領域に局在されることを示す。これは、最低の三重状態と単重以上の状態の間の非常に小さな分裂があることと示唆している。TD-DFT計算(関数B3LYP; 基本セット6-31G(d、p))での実施例分子2の計算は、最適化単重構造のためのエネルギーギャップΔE(1CT-3CT)が=5cm-1(0.6meV)であることを示す。従って、実施例分子2は、本発明の有機分子を表す。
【0089】
市販の出発物質から出発する実施例分子2の化学合成は、以下のスキームに示される。
【0090】
【化18】
【0091】
反応物と反応の条件:
(a) 9、9-ジメチル-9、10-ジヒドロアクリジン、Pd(CH3COO)2、P[(C(CH3)3]3、(CH3)3CONa、90oC、19 h。
(b) Zn(CN)2、1、1'- ビサ(ジフェニルホスフィノ) フェロセン、[1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロパラジウム(II)ジクロメタンと複合体、N-メチル-2-ピロリドン、180oC、12h。
【0092】
[実施例3]
【化19】
【0093】
図12に示されるフロンティア軌道は、HOMOとLUMOが分子の明らかに異なる空間領域に局在されていることを示す。これは、最低の三重状態と単重以上の状態の間に小さい分離があることと示唆している。TD-DFT計算(関数B3LYP;基本セット6-31G(d、p))に実施例分子3のための計算は、最適化された単重構造のためのエネルギーギャップΔE(1CT-3CT)が5cm-1(0.6meV)であることを示す。従って、実施例分子3は、本発明の有機分子を表す。
【0094】
市販の出発物質から出発する実施例分子3の化学合成は、以下のスキームに示される。
【0095】
【化20】
【0096】
反応物と反応の条件:
(a) 9、9-ジメチル-9、10-ジヒドロアクリジン、Pd(CH3COO)2、P[(C(CH3)3]3、(CH3)3CONa、90oC、19 h。
(b) Zn(CN)2、1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、[1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロパラジウム(II)ジクロメタンと複合体、N- メチル-2-ピロリドン、180oC、12h。
【0097】
[実施例4]
【化21】
【0098】
TD-DFT計算(関数B3LYP;基本セット6-31G(d、p))での実施例分子4の計算は、最適化三重構造のエネルギーギャップΔE(1CT-3CT)が8cm-1(1meV)であることを示す。従って、実施例分子4は、本発明の有機分子を表す。
【0099】
市販の出発物質から出発する実施例分子4の化学合成は、以下のスキームに示される。
【0100】
【化22】
【0101】
反応物と反応の条件:
(a) 9、9-ジメチル-9、10-ジヒドロアクリジン、Pd(CH3COO)2、P[(C(CH3)3]3、(CH3)3CONa、90oC、19h。
(b) Zn(CN)2、1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、[1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロパラジウム(II)ジクロメタンと複合体、N-メチル-2-ピロリドン、180oC、12h。
【0102】
[実施例5]
【化23】
【0103】
TD-DFT計算(関数B3LYP;基本セット6-31G(d、p))での実施例分子5の計算は、最適化三重構造のエネルギーギャップΔE(1CT-3CT)が9cm-1(1.1 meV)であることを示す。従って、実施例分子5は、本発明の有機分子を表す。
【0104】
市販の出発物質から出発する実施例分子5の化学合成は、以下のスキームに示される。
【0105】
【化24】
【0106】
反応物と反応の条件:
(a) 9、9-ジメチル-9、10-ジヒドロアクリジン、Pd(CH3COO)2、P[(C(CH3)3]3、(CH3)3CONa、90oC、19h。
(b) Zn(CN)2、1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、[1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロパラジウム(II)ジクロメタンと複合体、N-メチル-2-ピロリドン、180oC、12h。
【0107】
[実施例6]
【化25】
【0108】
TD-DFT計算(関数B3LYP; 基本セット6-31G(d、p))に実施例分子6の計算は、最適化三重構造のエネルギーギャップΔE(1CT-3CT)が12 cm-1(1.5 meV)であることを示す。従って、実施例分子6は、本発明の有機分子を表す。
【0109】
市販の出発物質から出発する実施例分子6の化学合成は、以下のスキームに示される。
【0110】
[実施例7]
【化26】
【0111】
反応物と反応の条件:
(a) 9、9-ジメチル-9、10-ジヒドロアクリジン、Pd(CH3COO)2、P[(C(CH3)3]3、(CH3)3CONa、90oC、19h。
(b) Zn(CN)2、1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、[1、1'-ビサ(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロパラジウム(II)ジクロメタンと複合体、N-メチル-2-ピロリドン、180oC、12h。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17