(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】車両側部構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20221124BHJP
B62D 21/15 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B62D21/15 B
(21)【出願番号】P 2020516665
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(86)【国際出願番号】 SE2018050774
(87)【国際公開番号】W WO2019059821
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-05-28
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】501426943
【氏名又は名称】イェスタムプ・ハードテック・アクチエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・アルヴィドソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ルンドストレーム
(72)【発明者】
【氏名】フレドリーク・レーンストール
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ボーディン
【審査官】藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-274848(JP,A)
【文献】国際公開第1990/003921(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/108383(WO,A1)
【文献】特開2016-052834(JP,A)
【文献】国際公開第2016/169852(WO,A1)
【文献】特開2010-208473(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0050675(US,A1)
【文献】特開2011-051508(JP,A)
【文献】国際公開第2014/083704(WO,A1)
【文献】特開2009-262778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B62D 21/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側部構造(100;101)であって、長手方向(104)に延びる側方部分(102;103)を含み、ここで、該側方部分(102)は、長手方向に延びる第1の部材(106)と、長手方向(104)に延びる第2の部材(108)とを含み、第1の部材(106)は、車両の内部(110)に面するように構成され、第2の部材(108)は、車両の外部(112)に面するように構成され、第1および第2の部材(106、108)は、それらの間に実質的に閉じた空間(114)を形成するように互いに取り付けられ、側方部分(102)は、実質的に閉じた空間(114)内に配置された長手方向(104)に延びる補強部材(124)を含み、該補強部材(124)は、長手方向(104)を横断する方向に延びる第1の脚部(126)と、長手方向(104)を横断する方向に延びる第2の脚部(128)とを有し、各脚部は、長手方向(104)に延びる足部(130、132)を有し、第1および第2の脚部(126、128)の足部(130、132)は、互いに間隔を置いて位置し、第1および第2の脚部(126、128)は、頂上セクション(134)において接合され、該頂上セクション(134)は、第1または第2の部材(106、108)に対向しており、足部(130、132)は、第1および第2の部材(106、108)のうちの他方の部材(106、108)に対向しており、各脚部(126、128)は、長手方向(104)に波形になっており、第1および第2の脚部(126、128)の波形は、隆起部(136、144)と、溝部(138、142)とを含み、該隆起部(136、144)および該溝部(138、142)は、頂上セクション(134)からそれぞれの足部(132、130)まで延び、各隆起部(136、144)は、足部(130、132)におけるよりも頂上セクション(134)において一層隆起し
ていることを特徴とし、そして、各溝部(238、242)は、第1の脚部(226)と第2の脚部(228)との間の領域に内側隆起部(250、252)を形成し、各内側隆起部(250、252)は、頂上セクション(234)からそれぞれの足部(230、232)まで延び、第1の脚部(226)の内側隆起部(250)は、長手方向(304)において第2の脚部(228)の内側隆起部(252)に重なることを特徴とする、前記車両側部構造。
【請求項2】
各隆起部(136、144)のサイズは、足部(130、132)から頂上セクション(134)へと徐々に増大することを特徴とする、請求項1に記載の車両側部構造。
【請求項3】
補強部材(124;224)は、複数の部材セクション(140;240)を含み、各部材セクション(140;240)は、第1の脚部(126;226)の隆起部(144;244)および溝部(142;242)を含み、各部材セクション(140;240)は、第2の脚部(128;228)の隆起部(136;236)および溝部(138;238)を含み、各部材セクション(140;240)は、頂上セクションにおいてS字形を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両側部構造。
【請求項4】
各隆起部(136)は、頂上セクション(134)からそれぞれの足部(132)まで延びる凹部(146)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の車両側部構造。
【請求項5】
第1および第2の部材(106、108)は、それぞれ帽子型プロファイルであり、各帽子型プロファイルは、長手方向(104)に延びるコンパートメント(116、118)を有し、各コンパートメント(116、118)は、底面(120、122)を有し、帽子型プロファイルは、コンパートメント(116、118)が実質的に閉じた空間(114)を形成するように互いに取り付けられ、第1および第2の脚部(126、128)の足部(130、132)は、同じコンパートメント(116、118)内に位置することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の車両側部構造。
【請求項6】
第1および第2の脚部(126、128)の足部(130、132)は、第1または第2の部材(106、108)の同じ底面(120、122)に取り付けられることを特徴とする、請求項5に記載の車両側部構造。
【請求項7】
第1および第2の脚部(126、128)の各足部(130、132)は、その長手方向延長部に沿って、第1または第2の部材(106、108)の底面(120、122)に取り付けられることを特徴とする、請求項6に記載の車両側部構造。
【請求項8】
第1および第2の脚部(126、128)の各足部(130、132)は、その全長手方向延長部に沿って、第1または第2の部材(106、108)の底面(120、122)に取り付けられることを特徴とする、請求項7に記載の車両側部構造。
【請求項9】
頂上セクション(134)は、第1または第2の部材(106、108)のコンパートメント(116、118)内に位置することを特徴とする、請求項5~8のいずれか1項に記載の車両側部構造。
【請求項10】
頂上セクション(134)は、第1または第2の部材(106、108)の底面(120、122)に取り付けられることを特徴とする、請求項5~9のいずれか1項に記載の車両側部構造。
【請求項11】
補強部材(124)は、たとえば金属板である板から形成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の車両側部構造。
【請求項12】
第1および第2の部材(106、108)は、それぞれたとえば金属板である板から形成されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の車両側部構造。
【請求項13】
側方部分(102)は、サイドシル部分(102)であり、サイドシル部分(102)は、車体の長手方向(104)に延び車体の側部に設けられることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の車両側部構造。
【請求項14】
サイドシル部分(102)は、車体の少なくとも1つのクロスビーム(150、152)に連結されることを特徴とする、請求項13に記載の車両側部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、長手方向に延びる側方部分を含む車両側部構造に関する。側方部分は、長手方向に延びる第1の部材と、長手方向に延びる第2の部材とを含み、第1の部材は、車両の内部に面するように構成され、第2の部材は、車両の外部に面するように構成される。第1および第2の部材は、実質的に閉じた空間を形成するように互いに取り付けられる。
【背景技術】
【0002】
自動車のフレーム部分の設計においては、重量と強度との間に妥協点がある。良好な妥協策を得る有利なやり方は、たとえば帽子型プロファイルである要求された形状に形成される1枚またはそれ以上の金属板からフレーム部分を製造することである。
【0003】
自動車のフレーム部分は、一般に、外部からの様々な衝撃を受け得るので、ある程度の剛性を有するように形成される。それと同時に、いくつかのフレーム部分は、たとえば他の車両またはたとえば樹木などの静止物体であるたとえば外部の物体との衝突により過負荷を受けたときに衝撃を吸収するように変形可能でなければならない。剛性でありつつも衝撃を吸収するように変形可能であるべき車両フレーム部分の一例としては、車両サイドシル構造がある。
【0004】
本発明の発明者らは、車両側部構造をさらに改善できることを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、車両側部構造を改善することである。
【0006】
他の目的は、衝突の際の車両側部構造の性能を改善することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、車両側部構造の補強を改善または維持しつつ、衝撃を吸収するための車両側部構造の変形を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、長手方向に延びる側方部分を含む車両側部構造を提供することによって達成される。側方部分は、長手方向に延びる第1の部材と、長手方向に延びる第2の部材とを含む。第1の部材は、車両の内部に面するように構成され、第2の部材は、車両の外部に面するように構成される。第1および第2の部材は、間に実質的に閉じた空間を形成するように互いに取り付けられる。側方部分は、実質的に閉じた空間内に配置された長手方向に延びる補強部材を含む。補強部材は、長手方向を横断する方向に延びる第1の脚部と、長手方向を横断する方向に延びる第2の脚部とを有する。各脚部は、長手方向に延びる足部を有し、第1および第2の脚部の足部は、互いに間隔を置いて位置する。第1および第2の脚部は、頂上セクションにおいて接合される。頂上セクションは、第1または第2の部材に対向しており、足部は、第1および第2の部材のうちの他方の部材に対向している。各脚部は、長手方向に波形になっており、第1および第2の脚部の波形は、隆起部(ridge)と溝部(groove)とを含む。隆起部および溝部は、頂上セクションからそれぞれの足部まで延び、各隆起部は、足部におけるよりも頂上セクションにおいて一層隆起している。車両は、自動車とすることができると理解されたい。
【0009】
車両側部構造の革新的な補強部材によって、車両側部構造の剛性および補強を維持または改善しつつ、衝撃を吸収するための車両側部構造の有利な変形が提供される。革新的な補強部材によって、衝突の際の車両側部構造の性能が改善される。この革新的な補強部材を含む車両側部構造によって、改善された車両側部構造が提供される。車両側部構造は、たとえば乗用車である、自動車用の側部構造とすることができる。
【0010】
本発明による車両側部構造の有利な一実施形態によれば、各隆起部のサイズは、足部から頂上セクションへと徐々に増大する。この実施形態によって、衝突の際の車両側部構造の性能がさらに改善される。したがって、さらに改善された車両側部構造が提供される。
【0011】
本発明による車両側部構造の有利なさらなる一実施形態によれば、補強部材は、複数の部材セクションを含む。各部材セクションは、第1の脚部の隆起部および溝部を含み、各部材セクションは、第2の脚部の隆起部および溝部を含む。各部材セクションは、頂上セクションにおいてS字形を形成する。この実施形態によって、車両側部構造の剛性および補強を維持または改善しつつ、衝撃を吸収するための車両側部構造のさらに改善された変形が提供される。S字形補強部材によって、衝突の際の車両側部構造の性能がさらに改善される。革新的なS字形補強部材を含む車両側部構造によって、さらに改善された車両側部構造が提供される。
【0012】
本発明による車両側部構造の有利な他の実施形態によれば、各溝部は、第1の脚部と第2の脚部との間の領域に内側隆起部を形成する。各内側隆起部は、頂上セクションからそれぞれの足部まで延びる。第1の脚部の内側隆起部は、第2の脚部の内側隆起部に長手方向に重なる。この実施形態によって、車両側部構造の剛性および補強を維持または改善しつつ、衝撃を吸収するための車両側部構造の有利な変形が提供される。
【0013】
本発明による車両側部構造の有利なさらなる一実施形態によれば、各隆起部は、頂上セクションからそれぞれの足部まで延びる凹部を有する。各隆起部にあるこの凹部によって、衝撃を吸収するための車両側部構造の変形を改善しつつ、補強部材の改善された剛性が提供される。しかし、前記凹部は、除いてもよい。
【0014】
本発明による車両側部構造の有利な他の実施形態によれば、第1および第2の部材は、それぞれ帽子型プロファイルである。各帽子型プロファイルは、長手方向に延びるコンパートメントを有し、各コンパートメントは、底面を有する。帽子型プロファイルは、コンパートメントが実質的に閉じた空間を形成するように互いに取り付けられる。第1および第2の脚部の足部は、同じコンパートメント内に位置する。この実施形態によって、車両側部構造の剛性および補強を維持または改善しつつ、衝撃を吸収するための車両側部構造の有利な変形が提供される。この実施形態によって、衝突の際の車両側部構造の性能が改善される。
【0015】
本発明による車両側部構造の有利なさらに他の実施形態によれば、第1および第2の脚部の足部は、第1または第2の部材の同じ底面に取り付けられる。この実施形態によって、車両側部構造の剛性および補強を維持または改善しつつ、衝撃を吸収するための車両側部構造の有利な変形が提供される。
【0016】
本発明による車両側部構造の有利なさらに他の実施形態によれば、第1および第2の脚部の各足部は、その長手方向延長部に沿って、第1または第2の部材の底面に取り付けられる。この実施形態によって、車両側部構造の剛性および補強を維持または改善しつつ、衝撃を吸収するための車両側部構造の有利な変形が提供される。
【0017】
本発明による車両側部構造の有利なさらに他の実施形態によれば、第1および第2の脚部の各足部は、その全長手方向延長部に沿って、第1または第2の部材の底面に取り付けられる。この実施形態によって、車両側部構造の剛性および補強を維持または改善しつつ、衝撃を吸収するための車両側部構造の有利な変形が提供される。
【0018】
本発明による車両側部構造の有利なさらなる一実施形態によれば、頂上セクションは、第1または第2の部材のコンパートメント内に位置する。
【0019】
本発明による車両側部構造の有利な他の実施形態によれば、頂上セクションは、第1または第2の部材の底面に取り付けられる。これによって、車両側部構造の剛性がさらに改善される。
【0020】
本発明による車両側部構造の有利なさらに他の実施形態によれば、補強部材は、たとえば金属板である板から形成される。これは、補強部材の効率的な製造方法である。
【0021】
本発明による車両側部構造の有利なさらに他の実施形態によれば、第1および第2の部材は、それぞれたとえば金属板である板から形成される。これは第1および第2の部材の効率的な製造方法である。
【0022】
本発明による車両側部構造の有利な一実施形態によれば、側方部分は、サイドシル部分であり、サイドシル部分は、車体の長手方向に延び車体の側部に設けられる。この実施形態によって、車両側部構造の剛性および補強を維持または改善しつつ、衝撃を吸収するための、サイドシル部分を有する車両側部構造の有利な変形が、提供される。革新的な補強部材は、何らかの衝突のときに衝撃を吸収しなければならない車両側部構造のサイドシル部分にとって特に有利である。
【0023】
本発明による車両側部構造の有利なさらなる一実施形態によれば、サイドシル部分は、車体の少なくとも1つのクロスビームに連結される。
【0024】
車両側部構造の上記の構成および実施形態は、それぞれ有利なさらなる実施形態を提供する様々な可能なやり方で組み合わせることができる。
【0025】
本発明による車両側部構造の有利なさらなる実施形態および本発明の実施形態のさらなる利点は、従属請求項および実施形態の詳細な説明から明らかになる。
【0026】
次に、添付の図面を参照して、実施形態として例示する目的で本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による車両側部構造の一実施形態の概略的な斜視図である。
【
図2】車両側部構造の補強部材を示す、
図1の車両側部構造の一部分の拡大図である。
【
図4】第2の部材を含む、
図1の車両側部構造の側方部分の断面図である。
【
図5】本発明による車両側部構造の他の実施形態の概略的な斜視図である。
【
図6】車両側部構造の補強部材を示す、
図5の車両側部構造の一部分の拡大図である。
【
図8】第2の部材を含む、
図5の車両側部構造の側方部分の断面図である。
【
図9】本発明による車両側部構造の補強部材のさらなる一実施形態の概略的な斜視図である。
【
図10】
図9に示される補強部材の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明による車両側部構造100の一実施形態の部分図を概略的に示している。車両側部構造は、たとえば乗用車である、自動車用の側部構造とすることができる。車両側部構造100は、長手方向104に延びる側方部分102を含む。側方部分102は、長手方向104に延びる第1の部材106と、長手方向104に延びる第2の部材108(
図3参照)とを含む。本実施形態では、第1および第2の部材106、108は、それぞれたとえば金属板である板または他の適当な材料の板から形成される。第1の部材106は、車両の内部110に面するように構成され、第2の部材108は、車両の外部112に面するように構成される。追加のセクションまたは追加の部材を、特に車両の組み立てのときに、第1または第2の部材106、108と車両の内部または外部110、112との間に配置することができると理解されたい。
図4を参照すると、第1および第2の部材106、108は、その間に実質的に閉じた空間114を形成するように互いに取り付けられる。第1および第2の部材106、108は、それぞれ帽子型プロファイルとすることができる。
図3および
図4を参照すると、各帽子型プロファイルは、長手方向104に延びるコンパートメント116、118を有する。各コンパートメント116、118は、底面120、122を有する。帽子型プロファイルは、コンパートメント116、118が上述した閉じた空間114を形成するように互いに取り付けられる。
【0029】
側方部分102は、閉じた空間114内に配置される補強部材124を含む。補強部材124は、長手方向104に延びる。本実施形態では、補強部材124は、たとえば金属板である板、または他の適当な材料の板から形成される。
図2および
図4を参照すると、補強部材124は、長手方向104に対して横断/垂直方向に延びる第1の脚部126を有する。補強部材124は、さらに、長手方向104に対して横断/垂直方向に延びる第2の脚部128を有する。加えて、各脚部126、128は、長手方向104に延びる、として描写することもできる。各脚部126、128は、長手方向104に延びる足部130、132を有する。第1および第2の脚部126、128の足部130、132は、互いに間隔を置いて位置する。各足部130、132は、様々なやり方で構成することができる。
図4の実施形態を参照すると、各足部130、132は、それぞれの脚部126、128の端部の湾曲部分とすることができる。しかし、足部130、132は、それぞれの脚部126、128の端部の直線部分としてもよい。第1および第2の脚部126、128は、頂上セクション134において接合される。第1および第2の脚部126、128に関する「接合される」とは、2つの脚部126、128が頂上セクション134内で互いに連結または取り付けられることを意味する。脚部126、128および頂上セクション134は、U字形またはV字形を形成し、足部130、132がそのU字形またはV字形の各端部になる、として描写することができる。
【0030】
本実施形態では、頂上セクション134は、第2の部材108に対向し、足部130、132は、第1の部材106に対向する。各脚部126、128は、長手方向104に波形になっている。
図2を参照すると、第1および第2の脚部126、128の波形は、隆起部136、144と、溝部138、142とを含み、隆起部および溝部は、頂上セクション134からそれぞれの足部130、132まで延びる。各隆起部136、144は、足部130、132におけるよりも頂上セクション134において一層隆起している。「隆起している」とは、各隆起部136、144が、足部130、132におけるよりも頂上セクション134において大きいことを意味する。
図2に示されるように、各隆起部136のサイズは、足部132から頂上セクション134へと徐々に増大する。これらの革新的な波形によって、車両側部構造の剛性および補強を維持または改善しつつ、衝撃を吸収するための車両側部構造の有利な変形が達成される。
【0031】
補強部材124は、複数の部材セクション140を含むとして描写することができる。各部材セクション140は、第1の脚部126の隆起部144および溝部142を含み、各部材セクション140は、第2の脚部128の隆起部136および溝部138を含む。各部材セクション140は、頂上セクション134においてS字形を形成する。この独特なS字形が、車両側部構造の性能をさらに改善する。部材セクション140は、同一であってよく、または互いに異なっていてもよい。たとえば、1つの部材セクションのS字形が他の部材セクションに対してあまり明確でなくてもよい。
【0032】
図2を参照すると、各隆起部136は、さらに、頂上セクション134からそれぞれの足部132まで延びる凹部146を有することができる。凹部146は、補強部材124をより硬くすることによって補強部材124の性能を改善し、したがって、車両側部構造の性能を改善する。複数の部材セクションは、たとえば2つ以上、3つまたは4つなどである、少なくとも2つの部材セクションを含むことができる。
【0033】
第1および第2の脚部126、128の足部130、132は、両方とも第1の部材106のコンパートメント116内に位置する。第1および第2の脚部126、128の足部130、132は、両方とも第1の部材106の底面120に取り付けることができる。第1および第2の脚部126、128の各足部130、132は、その全長手方向延長部に沿って、たとえば溶接、接着剤、リベットのような機械的ロッキング構造、または任意の他の適当な締結手段によって、第1の部材106の底面120に取り付けられる。頂上セクション134は、第2の部材108のコンパートメント118内に位置する。頂上セクション134は、たとえば接着剤、または任意の他の適当な取り付け手段によって、第2の部材108の底面122に取り付けることができる。記載の側方部分102は、車体の長手方向104に延び車体の側部に設けられるサイドシル部分102としての使用が有利である。有利には、サイドシル部分は、車体の、たとえば2つのクロスビーム150、152である、少なくとも1つのクロスビーム150、152に連結される。
【0034】
図5~
図8は、側方部分103を含む車両側部構造101の第2の実施形態を示している。
図1~
図4に関する異なる点は、補強部材124が、第1および第2の脚部126、128の足部130、132が第2の部材108に対向しそれに取り付けられるように、向きが変えられ、次に車両の外部112に面するように構成されることである。頂上セクション134は、第1の部材106に対向している。
【0035】
図9は、各脚部226、228が長手方向304に波形になっている、本発明による車両側部構造の一実施形態の補強部材224の他の実施形態を概略的に示している。
図9において、各隆起部236、244は、
図1~
図8に開示される実施形態と比較すると、足部230、232におけるよりも頂上セクション234においてさらに一層隆起している。
図9の実施形態では、各足部230、232は、
図1~
図8の実施形態の足部130、132に対してそれほど直線的でなく、より波打っており、それによって、たとえば溶接、接着剤、リベットのような機械的ロッキング構造、または任意の他の適当な締結手段による、第1または第2の部材106、108の底面120、122に対する足部230、232の取り付けが改善される。他の点では、補強部材224は、
図1~
図8の補強部材124と同様に位置し取り付けられるように構成される。
図9の補強部材224もやはり、複数の部材セクション240を含み、各部材セクション240は、第1の脚部226の隆起部244および溝部242を含み、各部材セクション240は、第2の脚部228の隆起部236および溝部238を含む。各部材セクション240は、頂上セクション234においてS字形を形成する。
図1~
図8の実施形態と比較すると、
図9の補強部材224は、頂上セクション234においてさらにより独特なS字形を有する。さらに、
図9の補強部材224において、各隆起部244は、頂上セクション234からそれぞれの足部230まで延びる凹部246を有する。
【0036】
各凹部246が除かれているが、
図9の補強部材224の内部を概略的に示す
図10を参照すると、図面には、各溝部238、242が第1の脚部226と第2の脚部228との間の領域内に内側隆起部250、252を形成することが示されている。内側隆起部ではない隆起部236、244は、本開示では、単に「隆起部」236、244と呼ばれる。しかし、内側隆起部でない隆起部236、244は、「外側隆起部」と呼んでもよい。各内側隆起部250、252は、頂上セクション234からそれぞれの足部230、232まで延びる。第1の脚部226の内側隆起部250は、第2の脚部228の内側隆起部252に、長手方向304に重なる。より詳細には、頂上セクション234の領域において、第1の脚部226の内側隆起部250は、第2の脚部228の内側隆起部252に、長手方向304に重なる。
【0037】
上記の開示の車両側部構造の異なる実施形態の構成は、有利なさらなる実施形態を提供する様々な可能なやり方で組み合わせてもよい。
【0038】
本発明は、図示の実施形態に限定されるとみなすべきでなく、当業者なら、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく様々に修正し変更することができる。