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特許7183284リッドフィルムを含む包装容器およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】リッドフィルムを含む包装容器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/00 20060101AFI20221128BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20221128BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20221128BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
B65D65/00 A
C08J9/04 101
C08J9/04 CFD
B65D1/00 110
B65D1/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020543107
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 KR2019011324
(87)【国際公開番号】W WO2020138643
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0169326
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518048053
【氏名又は名称】ヒューヴィス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HUVIS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】(Nonhyeon-dong)343, Hakdong-ro, Gangnam-gu, Seoul 06060 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ハン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ス・ハム
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・ハ
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-084123(JP,U)
【文献】特開平08-311226(JP,A)
【文献】国際公開第2018/062623(WO,A1)
【文献】特開2018-090761(JP,A)
【文献】特開平11-166067(JP,A)
【文献】特開平06-190912(JP,A)
【文献】特開2011-219128(JP,A)
【文献】特開2011-207150(JP,A)
【文献】特開2005-225515(JP,A)
【文献】特開2001-162735(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0036418(KR,A)
【文献】特開2003-020070(JP,A)
【文献】特開平03-111244(JP,A)
【文献】登録実用新案第3154418(JP,U)
【文献】特開平10-180952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00
B65D 77/20
B65D 1/00-1/48
C08J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リエチレンテレフタレート樹脂発泡シートを含む容器構造の成形体と;
前記成形体の開口部の外周縁に沿って外側方向に延びるフランジと;
前記フランジに付着されるリッドフィルムと;を含む包装容器であって、
前記発泡シートは、表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)が3以下であり、
前記リッドフィルムは、エチル-メタクリレートを含み、
前記発泡シートは炭酸カルシウムを含むことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記発泡シートの平均厚さは、0.5~3mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
下記数式2を満たすことを特徴とする請求項1に記載の包装容器:
[数式2]
|T-T|≧10℃
前記数式2で、
は、20℃、1atmの条件で、成形体に100℃の水を入れて、1分経過したときに測定した成形体の外側表面の温度であり、
は、20℃、1atmの条件で、成形体に100℃の水を入れて、1分経過したときに測定した成形体の内部の水の温度である。
【請求項4】
包装容器は、食品包装容器であることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項5】
発泡シートを成形装置のメス型の金型とオス型の金型との間に配置する段階と;
前記メス型の金型とオス型の金型を加圧して、上部開口部がある凹形状に成形体を成形する段階と;
前記成形体の開口部にリッドフィルムを付着する段階と;を含み、
前記成形する段階は、シートの表面温度が140~160℃になるように熱を印加し、前記メス型の金型およびオス型の金型の表面温度を60~200℃に設定して成形体を成形することを特徴とする請求項1に規定の包装容器の製造方法。
【請求項6】
前記発泡シートは、
ポリエチレンテレフタレート樹脂および無機粒子を含む樹脂混合物を押出発泡後に冷却させて、発泡シートを製造する段階を含み、
前記押出発泡後に冷却させる段階は、-10~20℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項に記載の包装容器の製造方法。
【請求項7】
メス型の金型は、一側に内部空間を減圧する減圧ホールが形成された構造であることを特徴とする請求項に記載の包装容器の製造方法。
【請求項8】
成形された成形体を-10~20℃の温度範囲で冷却する段階をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の包装容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッドフィルムを含む包装容器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の食品包装容器に使用されている製品は、発泡式と非発泡式に分けられる。発泡式の食品包装容器は、ポリスチレンを発泡ガスと混合させて押出させた製品が使用されているが、これは、厚さを比較的厚く維持することができて、形態維持、断熱性、価格競争力が高いという長所がある。反面、このような発泡式製品は、高温で有害物質が検出されるという短所がある。
【0003】
非発泡式の食品包装容器の場合、熱に安定したポリプロピレンをフィルム形態で製作された製品が使用されている。一方、このような非発泡式の食品包装容器は、高温で形態変化率が少なくて、有害物質が検出されないという長所がある。しかしながら、価格が高くて、断熱がうまくいかない短所がある。
【0004】
一方、現代社会で次第に生活が便利になるに伴い、使い捨て用品の使用が増加し、1人世帯の増加による配達食物および簡便料理製品の需要が次第に増えている。これにより、食品包装容器の需要も増加しており、有害物質から安全でかつ用途による機能が付与された新しい容器素材に対する消費者ニーズがますます大きくなっている。
【0005】
これと関連して、食品包装容器関連業界では、便利さ、安全性、エコ性能および価格競争力を全部備えた食品包装容器に対して研究開発中であり、本出願人は、耐熱性および強度に優れた耐熱材、その製造方法およびこれを含む包装容器(韓国特許登録第10-1667999)および耐寒性に優れた樹脂発泡体およびこれを含む包装容器(韓国特許登録第10-1826785号)などを開発したことがある。前記包装容器は、樹脂発泡体としてポリエステル樹脂を利用して製造することによって、環境に優しく、軽量と同時に、高強度および耐熱性を具現することができ、温度変化による耐久性に優れた効果がある。
【0006】
しかしながら、前記食品容器は、既に主に使用されているオレフィン系リッドフィルムを使用する場合、接着力が不足しているという短所がある。したがって、ポリエステル発泡体と接着力に優れたリッドフィルムの開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、リッドフィルムを含む包装容器およびその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
平均セルサイズが100~500μmであるポリエチレンテレフタレート樹脂発泡シートを含み、下記数式1を満たす容器構造の成形体と;
前記成形体の開口部の外周縁に沿って外側方向に延びるフランジと;
前記フランジに付着されるリッドフィルムと;を含む包装容器であって、
前記発泡シートは、表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)が3以下であり、
前記成形体とリッドフィルムの接着力がKS M 3725を基準として500~1,500gfであることを特徴とする包装容器を提供する:
[数式1]
0.01≦H/D≦2;
数式1で、
Hは、収容部および開口部を含む成形体において収容部の深さを示し、1cm≦H≦10cmであり、
Dは、成形体において開口部の直径を示し、単位は、cmである。
【0009】
また、本発明は、
発泡シートを成形装置のメス型の金型とオス型の金型の間に配置する段階と;
前記メス型の金型とオス型の金型を加圧して、上部開口部がある凹形状に成形体を成形する段階と;
前記成形体の開口部にリッドフィルムを付着する段階と;を含み、
前記成形する段階は、シートの表面温度が140~160℃になるように熱を印加し、前記メス型の金型およびオス型の金型の表面温度を60~200℃に設定して成形体を成形することを特徴とする包装容器の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による包装容器は、平均セルサイズが100~500μmと稠密なセルサイズを有するポリエチレンテレフタレート樹脂発泡シートを含むことによって、発泡シートの表面粗さを減少させることができて、成形体の製造後にも前記成形体とリッドフィルムの接着力を向上させることができる。具体的に、前記成形体とリッドフィルムの接着力がKS M 3725を基準として500~1,500gfであって、成形体とリッドフィルム間の優れた接着力を提供することができる。これにより、前記リッドフィルムを通した気密性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1は、本発明による成形体の断面図である。
図2は、本発明による成形体の製造方法を順次に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。
【0013】
しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されなければならない。
【0014】
本発明において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0015】
したがって、本明細書に記載された実施例に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎないものであり、本発明の技術的思想を全部代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例がありえる。
【0016】
本発明は、リッドフィルムを含む包装容器および成形体の製造方法に関する。特に、本発明による包装容器は、平均セルサイズが100~500μmと稠密なセルサイズを有するポリエチレンテレフタレート樹脂発泡シートを含むことによって、発泡シートの表面粗さを減少させることができて、成形体の製造後にも前記成形体とリッドフィルムの接着力を向上させることができる。具体的に、前記成形体とリッドフィルムの接着力が500~1,500gfであって、成形体とリッドフィルム間の優れた接着力を提供することができる。これにより、前記リッドフィルムを通した気密性が向上することができる。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用することによって、環境に優しく、再使用に容易になりうる。
【0017】
図1は、本発明による成形体の断面図であり、図2は、本発明による成形体の製造方法を順次に示す図である。以下、図1および図2を参照して、本発明による成形体について詳細に説明することとする。
【0018】
本発明は、平均セルサイズが100~500μmであるポリエチレンテレフタレート樹脂発泡シートを含み、下記数式1を満たす容器構造の成形体10と;前記成形体10の開口部の外周縁に沿って外側方向に延びるフランジ13と;前記フランジ13に付着されるリッドフィルムと;を含む包装容器であって、前記発泡シートは、表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)が3以下であり、前記成形体10とリッドフィルムの接着力がKS M 3725を基準として500~1,500gfであることを特徴とする包装容器を提供する:
【0019】
[数式1]
0.01≦H/D≦2;
【0020】
数式1で、
Hは、収容部および開口部を含む成形体において収容部の深さを示し、1cm≦H≦10cmであり、
Dは、成形体において開口部の直径を示し、単位は、cmである。
【0021】
成形体10は、カップまたは鉢の形態を有し、インスタント食品を収容しうる収容空間が備えられる。また、成形体は、開口部の外周縁に沿って外側方向に延びるフランジ13を含み、前記フランジ13に前記リッドフィルムが付着され得る。通常、リッドフィルムは、インスタント食品を収容した成形体の上端に付着されて、インスタント食品が外部に露出することを防止する役割を行う。
【0022】
本発明のリッドフィルムは、成形体との接着力がKS M 3725を基準として500~1,500gfであり得り、成形体とリッドフィルム間の優れた接着力を提供しうるという利点がある。これにより、本発明の包装容器は、前記リッドフィルムを通した気密性を向上させることができる。例えば、前記成形体とリッドフィルムの接着力は、500~1、200gf、500~1,000gf、500~800gf、500~600gf、600~1,500gf、800~1,500gf、1,000~1,500gf、または1、200~1,500gfでありうる。
【0023】
前記リッドフィルムは、アルミニウムホイール層、前記アルミニウムホイール層の一面に塗布された接着層および前記アルミニウムホイール層の他面に塗布された印刷層を含んで構成され得る。特に、リッドフィルムは、包装容器の包装過程を経て前記成形体のフランジに融着され得、具体的に、アルミニウム層が瞬間加熱されると、加熱された部分の接着層が溶融されながら、成形体のフランジに融着されて、成形体の上端(フランジ)に沿って熱付着され得る。
【0024】
一例として、リッドフィルムは、3~7層(layer)から構成され得、成形体の上端と接触する内側の全面に接着層を含むことができ、前記接着層は、リッドフィルムがエチル-メタクリレート(ethyl-methacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)、およびポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephtalate)のうち1種以上を含むことができ、一例としては、前記接着層は、エチル-メタクリレート(EMA)でありうる。
【0025】
前記のような接着強度が向上した接着層は、成形体の上端に容易に熱接着させることができると共に、成形体10と前記リッドフィルム間の一定水準以上の接着力が維持されることによって、包装容器に適用されるとき、優れた気密性などを提供することができるという利点がある。
【0026】
一例として、本発明による成形体10は、底部11および底部11の周りに沿って上端が開放された状態の壁部12を含み、前記数式1においてH/D値は、0.01~2、0.01~1.5、0.01~1.3、0.05~1.2、0.1~1.1、0.3~1.0、0.4~0.9、0.5~0.8、0.55~0.7、または0.6~0.65でありうる。なお、前記数式1でH値は、1~10cmでありうる。一例として、成形体10の開口部の直径Dが10cmであり得、収容部の深さHが3cmでありうる。
一方、本発明による成形体10は、ポリエチレンテレフタレート樹脂発泡層および前記発泡層の一面または両面にコーティングされたポリエチレンテレフタレート樹脂層を含むことによって、下記数式2を満たす成形体10を提供することができる。
【0027】
[数式2]
|T-T|≧10℃
【0028】
前記数式2で、
は、20℃、1atmの条件で、成形体に100℃の水を入れて、1分経過したときに測定した成形体の外側表面の温度であり、
は、20℃、1atmの条件で、成形体10に100℃の水を入れて、1分経過したときに測定した成形体の内部の水の温度である。
【0029】
本発明による成形体10は、平均セルサイズが100~500μmと稠密なセルサイズを有するポリエチレンテレフタレート樹脂発泡シートを含むことによって、熱遮断性に優れていることを示す。具体的に、常温(20℃)、1気圧の条件で、成形体10の内部に100℃の水を70%(v/v)入れた状態で、1分経過した時点で、成形体10の内部の水の温度と成形体10の外部表面の温度との差が10℃以上でありうる。これは、本発明による成形体10が熱遮断性に優れていることを示すが、具体的に、製造された成形体10に100℃の水を70%(v/v)入れた状態で1分経過した時点で、成形体10の内部に収容された水の温度と成形体10の外部表面の温度との差である。
【0030】
一例において、本発明による成形体10に100℃の水を70%(v/v)入れた状態で、1分経過した時点に成形体10の外部温度が40℃である場合、成形体10の内部に収容された水の温度は、95℃でありうる。本発明による成形体10は、前記条件で成形体10の内部に収容された水の温度と成形体10の外部表面の温度との差を比較的高く維持することによって、熱遮断性に優れていることが分かり、これによって、食品の保温を効果的に向上させる効果を示す。
【0031】
一方、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂発泡シートは、0.1~10重量%の無機粒子を含むことができ、前記無機粒子の平均サイズは、0.05~60μmでありうる。例えば、前記発泡シートは、0.1~8重量%、0.1~6重量%、0.1~4重量%、0.1~2重量%、0.1~1重量%、1~10重量%、2~10重量%、4~10重量%、6~10重量%、または8~10重量%の無機粒子を含むことができ、前記無機粒子の平均サイズは、0.05~50μm、0.05~30μm、0.05~10μm、0.05~5μm、0.05~1μm、1~60μm、5~60μm、20~60μm、または40~60μmでありうる。
【0032】
前記無機粒子は、Talc、CaCO、TiOおよびSiOのうち1種以上を含むことができる。
【0033】
一例において、ポリエチレンテレフタレート樹脂発泡シートは、0.5~9重量%の炭酸カルシウム(CaCO)を含むことができる。
【0034】
具体的に、前記炭酸カルシウム(CaCO)は、無機粒子であって、前記のような無機粒子を含むことによって、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂発泡層の表面が均一で、かつ、優れた熱成形性を示すことができる。
【0035】
前記炭酸カルシウムの熱伝導率は、1.0~3.0kcal/mh℃でありうる。具体的に、炭酸カルシウムの熱伝導率は、1.2~2.5kcal/mh℃、1.5~2.2kcal/mh℃または1.8~2.0kcal/mh℃でありうる。より具体的に、炭酸カルシウムの熱伝導率は、1.5~2.5kcal/mh℃または1.8~2.3kcal/mh℃でありうる。上記のように炭酸カルシウムを含む発泡シートは、優れた熱伝導率を示すことによって、均一な表面を有し、優れた熱成形性を示すことができる。
【0036】
例えば、前記炭酸カルシウムの含量は、0.5~9重量%でありうる。具体的に、炭酸カルシウムの含量は、0.5~8重量%、0.6~7重量%、0.7~6重量%、0.8~5重量%、0.9~4重量%、1.0~3.0重量%、2重量%~3.5重量%でありうる。一例として、1.0重量%または3重量%でありうる。
【0037】
一つの例示において、発泡シートの密度(KS M ISO 845)は、平均100~500kg/mでありうる。具体的に、発泡シートの密度は、平均100~450kg/m、100~400kg/m、100~300kg/m、100~200kg/m、150~500kg/m、200~500kg/m、300~500kg/m、または400~500kg/mでありうる。
【0038】
他の一つの例示において、本発明による発泡シートは、200℃で10秒の条件で高温伸び率が325%~375%でありうる。具体的に、発泡シートは、200℃で10秒の条件で高温伸び率が330%~360%、345%~370%または335%~360%でありうる。より具体的に、発泡シートは、200℃で10秒の条件で高温伸び率が345%~355%でありうる。
【0039】
前記のようなポリエステルおよび炭酸カルシウムを含むことによって、本発明による発泡シートは、優れた加工性を示すことができる。
【0040】
食品医薬品安全処の器具および容器包装とその原材料に関する規格を基準として、溶出規格の測定時に、総溶出量が30ppm以下であり、アンチモンゲルマニウム、テレフタル酸、イソフタル酸、アセトアルデヒド物質が不検出され、残留規格の測定時に、揮発性物質が検出されないことを特徴とする。
【0041】
具体的に、本発明による成形体10は、上記のように、エコ素材であるポリエステル樹脂を使用することによって、食品医薬品安全処で発行している器具および容器包装の基準および規格告示専門告示第2015-7号に記載された憂慮物質を許容範囲内に調節することができる。
【0042】
このような素材を用いた成形体10を利用して食品包装容器を製造することによって、環境に優しい食品容器を提供することができる.一例として、本発明による成形体は、バリアー(Barrier)性能、親水化機能または防水機能を有することができ、界面活性剤、親水化剤、熱安定剤、防水剤、セルサイズ拡大剤、赤外線減衰剤、可塑剤、防火化学薬品、顔料、弾性ポリマー、押出補助剤、酸化防止剤、空転防止剤およびUV吸収剤よりなる群から選ばれる一つ以上の機能性添加剤をさらに含むことができる。具体的に、本発明の樹脂発泡シートは、増粘剤、熱安定剤および発泡剤を含むことができる。
【0043】
前記増粘剤は、特に限定しないが、本発明では、例えばピロメリット酸二無水物(PMDA)が使用され得る。
【0044】
前記熱安定剤は、有機または無機リン化合物でありうる。前記有機または無機リン化合物は、例えば、リン酸およびその有機エステル、亜リン酸およびその有機エステルでありうる。例えば、前記熱安定剤は、商業的に入手可能な物質であって、リン酸、アルキルホスフェートまたはアリールホスフェートでありうる。具体的に、本発明において熱安定剤は、トリフェニルホスフェートでありうるが、これに制限されるものではなく、前記樹脂発泡シートの熱的安定性を向上させることができるものであれば、通常の範囲内で制限なしに使用可能である。
【0045】
前記発泡剤の例としては、N、CO、フレオン、ブタン、ペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、メチルクロリドなどの物理的発泡剤またはアゾジカーボンアミド(azodicarbonamide)系化合物、P,P’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)[P,P’-oxy bis(benzene sulfonyl hydrazide)]系化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(N,N’-dinitroso pentamethylene tetramine)系化合物などの化学的発泡剤があり、具体的に、本発明では、COが使用され得る。
【0046】
また、本発明は、成形体の製造方法を提供する。
【0047】
図2は、本発明による成形体の製造方法を順次に示す図である。図2を参照すると、本発明は、発泡シートを成形装置のメス型の金型とオス型の金型との間に配置する段階と;前記メス型の金型とオス型の金型を加圧して、上部開口部がある凹形状に成形体を成形する段階と;前記成形体の開口部にリッドフィルムを付着する段階と;を含み、前記成形する段階は、シートの表面温度が140~160℃になるように熱を印加し、前記メス型の金型およびオス型の金型の表面温度を60~200℃に設定して成形体を成形することを特徴とする包装容器の製造方法を提供する。
【0048】
一方、前記発泡シートは、ポリエチレンテレフタレート樹脂および無機粒子を含む樹脂混合物を押出発泡後に冷却させて、発泡シートを製造する段階を含み、前記押出発泡後に冷却させる段階は、-10~20℃の温度範囲で行うことを特徴とする。例えば、発泡シートは、ポリエステル樹脂混合物を押出発泡して製造することができる。前記押出発泡は、樹脂を加熱して溶融させ、前記樹脂溶融物を連続的に押出および発泡させることによって、工程段階を単純化することができ、大量生産が可能であり、ビーズ発泡時のビーズの間で亀裂と、粒状破壊現象などを防止することができる。前記押出発泡後に冷却させる段階は、発泡シートの内側は発泡装置の金属材質のマンドレルで、発泡シートの外側は発泡装置の冷却Airで冷却させることができ、この際、冷却は、-10~20℃の温度範囲で行うことができる。例えば、前記冷却は、-10~15℃、-10~10℃、-10~5℃、5~20℃、または15~20℃で行うことができる。
【0049】
前記発泡シートは、0.1~10重量%の無機粒子を含むことができ、前記無機粒子の平均サイズは、0.05~60μmでありうる。例えば、前記発泡シートは、0.1~8重量%、0.1~6重量%、0.1~4重量%、0.1~2重量%、0.1~1重量%、1~10重量%、2~10重量%、4~10重量%、6~10重量%、または8~10重量%の無機粒子を含むことができ、前記無機粒子の平均サイズは、0.05~50μm、0.05~30μm、0.05~10μm、0.05~5μm、0.05~1μm、1~60μm、5~60μm、20~60μm、または40~60μmでありうる。
【0050】
前記無機粒子は、Talc、CaCO、TiO、およびSiOのうち1種以上を含むことができる。
【0051】
次に、加工する段階は、発泡シート1を成形体成形装置20のメス型の金型21とオス型の金型22との間に配置する段階およびオス型の金型22を加圧して成形体10を成形する段階を提供する。
【0052】
具体的に、メス型の金型21とオス型の金型22との間に配置された発泡シート1は、熱成形されることによって、成形体10に成形され得る。前記熱成形としては、真空成形、圧空成形または真空成形と圧空成形を組み合わせた真空圧空成形、オス型の金型(プラグ)を使用して、またはオス型の金型22を使用した後、真空および/または圧空成形するなどの熱成形され得る。
【0053】
図2を参照すると、図2の(a)は、発泡シート1を成形する前に、発泡シート1を成形装置のメス型の金型21とオス型の金型22との間に配置する配置段階を示す。図2の(b)は、延伸工程および熱工程を示す図であり、図2の(b)のように、オス型の金型22を下降して発泡シート1を延伸し、メス型の金型21からの真空吸引によりメス型の金型21のキャビティの形状に賦形され、熱が加えられる。図2の(c)は、オス型の金型22の加圧とメス型の金型21から圧縮空気により、成形されている発泡シート1をオス型の金型22の形状に賦形されて、最終成形品である成形体10が成形されることを示す。次に、成形された成形体10は、冷却後にオス型の金型22を上昇させて取り出される。
【0054】
なお、成形する段階は、シートの表面温度が140~160℃になるように熱を印加し、前記メス型の金型21およびオス型の金型22の表面温度を60~200℃に設定して、成形体を成形することができる。
【0055】
一方、成形段階でオス型の金型22の表面とメス型の金型21のキャビティの表面温度は、互いに異なっていてもよい。好ましくは、オス型の金型22の表面温度は、それぞれ、250~280℃、255~275℃、260~270℃または265℃であり得、メス型の金型のキャビティの表面温度は、200~250℃、210~240℃、215~235℃、220~230℃または225℃でありうる。
【0056】
一つの例示において、オス型の金型22の表面温度が265℃であり得、メス型の金型21の表面温度が225℃であり得、オス型の金型22は、0.5~15秒間メス型の金型22に接触させることが好ましい。なお、メス型の金型21は、一側に内部空間であるキャビティを減圧するための減圧ホール23が形成された構造でありうる。
【0057】
次に、成形体を-10~20℃の温度範囲で冷却する段階をさらに含むことができる。より具体的に、冷却する段階の温度は、-10~20℃、-5~18℃、-1~17℃、1~16℃、2~15℃、3~14℃、4~13℃、5~12℃、6~11℃あるいは10℃でありうる。熱間成形された包装容器を前記範囲の温度に冷却する場合、ポリエステル樹脂発泡シートの結晶化度を10~35%の範囲で形成することができる。前記温度範囲で冷却を行う場合、ポリエステル樹脂発泡シートの結晶化度が過度に上昇することを防いで、金型内成形体の成形が容易になり得、軽量性および耐熱性に優れた成形体を製造することができる。
【0058】
一例として、前記熱間成形された包装容器を0.5~5℃/minの減温条件で冷却する段階を通じて包装容器の結晶化度を10~35%の範囲で形成することができる。前記減温条件は、具体的に、0.8~4.5℃/min、1~4℃/min、1.5~3.5℃/min、1.8~3.2℃/min、2~3℃/min、あるいは2.3~2.8℃/minでありうる。前記減温条件で冷却する段階を行う場合、ポリエステル樹脂発泡シートの結晶化度が過度に上昇することを防いで、金型内成形体の成形が容易になり得、軽量性および耐熱性に優れた成形体を製造することができる。
【0059】
以下、本発明を実施例および実験例によりさらに詳細に説明する。
【0060】
ただし、下記実施例および実験例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例および実験例に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0061】
製造例1
PET樹脂100重量部を130℃で乾燥して水分を除去し、第1押出機で前記水分が除去されたPET樹脂100重量部、PMDA(pyromellitic dianhydride)1重量部、サイズ0.5μmの炭酸カルシウム(CaCO)1重量部、Irganox(IRG 1010)0.1重量部を混合し、280℃で加熱して、樹脂溶融物を製造した。次に、第1押出機に発泡剤としてブタンガスを混合し、樹脂溶融物を第2押出機に送って、220℃に冷却した。冷却された樹脂溶融物は、ダイ(Die)を通過しつつ、発泡シートを形成した。
【0062】
この際、製造されたポリエステル樹脂発泡シートの密度は、380kg/mであり、厚さは、1mmであった。
【0063】
実施例1
製造例1で製造した発泡シートを冷却温度(Mandrel、Air)10℃に冷却させて製造した発泡シートでH/D(H:収容部の深さ、D:開口部の直径)が0.4である四角形態の容器で熱成形した。その後、EMA接着層20μmをラミしたリッドフィルムで120℃でシール(Sealing)した。
【0064】
一方、成形体の成形時に、オス型の金型の表面温度は、40℃であり、メス型の金型の表面温度は、80℃であった。
【0065】
実施例2
発泡シートを製造するとき、冷却温度が15℃であることを除いては、実施例1と同じ方法で発泡シートおよび成形体を製造した後、リッドフィルムとシールした。
【0066】
実施例3
H/Dの値が0.5であることを除いては、実施例1と同じ方法で成形体を製造した。
【0067】
実施例4
包装容器のリッドフィルムとして通常使用されるアルミニウムホイール層を使用し、前記アルミニウムホイール層の一面にエチル-メタクリレート(EMA)接着剤を塗布して、包装容器用リッドフィルムを準備した。
【0068】
比較例1
リッドフィルムの接着層にエチレン-ビニルアセテート(EVA)を適用したことを除いては、実施例1と同一に発泡体および成形体を製造し、リッドフィルムをシールした。
【0069】
比較例2
発泡シートを製造するとき、冷却温度が30℃であることを除いては、実施例1と同じ方法で発泡シートおよび成形体を製造した後、リッドフィルムとシールした
【0070】
実験例1:リッド接着性の測定
PET foam Sheetとリッドフィルム(PEホットメルト60μm)を25×60mmで準備して、リッド接着用Hot Pressで温度150℃で圧力2kgfでシール(Sealing)した後、KS M 3725規格を基準として引張試験機を利用して引張速度200mm/分の速度で剥離強度を測定した。
【0071】
実験例2:中心線表面粗さの測定
KS B 0161に基づいて中心線表面粗さ値を測定した。
実施例および比較例において成形体のシートの種類および成形条件による測定結果を下記表1に示した。接着力の単位は、gfである。
【0072】
【表1】
【0073】
表1を参照すると、冷却温度を20℃以下に発泡シートを製造する場合、表面粗さが3以下であることが分かり、この際、EMA接着層を適用したリッドとの接着強度は、700gf以上と優れた接着力を示した。
【0074】
冷却温度が30℃以上である場合、表面粗さが7であって、表面が粗いことが分かり、EVA接着層を使用する場合、接着力が450gfと低い接着力を示した。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明による包装容器は、平均セルサイズが100~500μmと稠密なセルサイズを有するポリエチレンテレフタレート樹脂発泡シートを含むことによって、発泡シートの表面粗さを減少させることができて、成形体の製造後にも前記成形体とリッドフィルムの接着力を向上させることができる。具体的に、前記成形体とリッドフィルムの接着力がKS M 3725を基準として500~1,500gfであって、成形体とリッドフィルム間の優れた接着力を提供することができる。これにより、前記リッドフィルムを通した気密性が向上することができる。
図1
図2