(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ゴム組成物およびそれを用いた重荷重用空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
C08L 9/00 20060101AFI20221129BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20221129BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20221129BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20221129BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K3/36
C08K5/54
C08K3/34
C08K5/103
(21)【出願番号】P 2019001966
(22)【出願日】2019-01-09
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 英征
(72)【発明者】
【氏名】広田 哲也
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-12248(JP,A)
【文献】特開2016-3308(JP,A)
【文献】国際公開第2008/078822(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを2~20質量部、シランカップリング剤を前記シリカの質量に対し1~20質量%、円筒または円柱の高さが100μm以下の円筒状または円柱状の珪藻土を0.5~10質量部、および炭素数6~24の脂肪酸を由来とするポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5~20質量部配合してなることを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
前記脂肪酸が、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが下記式(1)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物。
【化1】
式(1)中、Rは前記脂肪酸に由来する炭素鎖を表し、nは0~8を表す。
【請求項4】
前記式(1)中、nが0または1であることを特徴とする請求項3に記載のゴム組成物。
【請求項5】
重荷重用空気入りタイヤのトレッドに用いられる、請求項1~4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドに使用した重荷重用空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物およびそれを用いた重荷重用空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、氷上性能に優れ、経時による氷上性能の低下を抑制し、かつ耐摩耗性に優れるゴム組成物およびそれを用いた重荷重用空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スタッドレスタイヤは氷上性能(氷上での制動性能)に加え、経時による氷上性能の劣化の抑制が要求されている。スタッドレスタイヤ用コンパウンドは、アロマオイル等の可塑剤を配合してゴムを柔らかくすることが一般的に行われているが、そのオイルが保管中や使用中に徐々に外部に流出してしまうことや、オイル量の少ないアンダートレッドにマイグレーションしてしまうことによって、トレッドゴムが硬くなり、氷上性能が低下するという問題があった。
【0003】
一方、下記特許文献1には、スタッドレスタイヤのトレッド用ゴム組成物に多孔質珪藻土を配合することにより、氷面に対して高硬度粒子による引掻き効果と、多孔質材料による吸水効果とを同時に付与し、氷上摩擦力を向上させることが提案されている。しかし、多孔質珪藻土の使用は、ゴム組成物の耐摩耗性の低下を引き起こし易く、所望の摩耗特性が得られないという問題があった。
【0004】
また下記特許文献2には、グリセリン脂肪酸エステルからなり、該グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルであって、該グリセリン脂肪酸エステルを構成する2種以上の脂肪酸のうち、最も多い脂肪酸成分が全脂肪酸中に10~90質量%であり、さらにモノエステル成分をグリセリン脂肪酸エステル中に50~100質量%含むシリカ配合ゴム組成物用添加剤組成物が開示されている。
しかし、特許文献2に開示された技術では、氷上性能の向上、経時による氷上性能の低下の抑制および耐摩耗性の向上を同時に満足するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開WO2008/078822号パンフレット
【文献】国際公開WO2016/139916号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の目的は、氷上性能に優れ、経時による氷上性能の低下を抑制し、かつ耐摩耗性に優れるゴム組成物およびそれを用いた重荷重用空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ジエン系ゴムに対し、シリカ、シランカップリング剤および特定の形状の珪藻土を特定量で配合するとともに、さらに特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを特定量でもって配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下の通りである。
【0008】
1.ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを2~20質量部、シランカップリング剤を前記シリカの質量に対し1~20質量%、円筒または円柱の高さが100μm以下の円筒状または円柱状の珪藻土を0.5~10質量部、および炭素数6~24の脂肪酸を由来とするポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5~20質量部配合してなることを特徴とするゴム組成物。
2.前記脂肪酸が、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸であることを特徴とする前記1に記載のゴム組成物。
3.前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが下記式(1)で表されることを特徴とする前記1または2に記載のゴム組成物。
【0009】
【0010】
式(1)中、Rは前記脂肪酸に由来する炭素鎖を表し、nは0~8を表す。
4.前記式(1)中、nが0または1であることを特徴とする前記3に記載のゴム組成物。
5.重荷重用空気入りタイヤのトレッドに用いられる、前記1~4のいずれかに記載のゴム組成物。
6.前記1~4のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドに使用した重荷重用空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ジエン系ゴムに対し、シリカ、シランカップリング剤および特定の形状の珪藻土を特定量で配合するとともに、さらに特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを特定量でもって配合したので、氷上性能に優れ、経時による氷上性能の低下を抑制し、かつ耐摩耗性に優れるゴム組成物およびそれを用いた重荷重用空気入りタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、通常のゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
これらのジエン系ゴムの中でも、本発明の効果の点からジエン系ゴムはNR、BRが好ましい。
【0014】
(シリカ)
本発明で使用するシリカは特に限定されず、タイヤ用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
シリカの具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
なお、本発明の効果向上の観点から、シリカのCTAB比表面積は、80~260m2/gであることが好ましく、140~200m2/gであることがさらに好ましい。なおシリカのCTAB比表面積は、ISO5794/1に準拠して測定される。
【0015】
(シランカップリング剤)
本発明で使用されるシランカップリング剤は、とくに制限されないが、含硫黄シランカップリング剤が好ましく、例えば例えばビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等を例示することができる。シランカップリング剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
【0016】
(珪藻土)
本発明で使用される珪藻土は、円筒状または円柱状の珪藻土であって、多孔質珪藻土であることが好ましい。このような珪藻土を配合することにより、水膜に覆われた氷面に対する引掻き効果が一層高くなる。また円筒状珪藻土を使用すると、円筒形状によって吸水効果が生じ、氷上性能がさらに高まる。なお通常の珪藻土は、大半が平板状であるため、氷面に対する引掻き効果および吸水効果が十分に得られない。
【0017】
本発明で使用される珪藻土は、円筒または円柱の高さLが好ましくは100μm以下、より好ましくは1~30μmであるとよい。高さLを100μm以下にすることにより、本発明の効果が高まるとともにゴム組成物のゴム強度の低下を抑制することができる。また、珪藻土の底面の直径Dに対する高さLの比L/Dが好ましくは0.2~3.0、より好ましくは0.3~2.0であるとよい。珪藻土の比L/Dをこのような範囲内にすることにより、氷面に対する引掻き効果と吸水効果とを同時に付与することができる。このような珪藻土としては、例えばメロシラ属に属する多孔質珪藻土を例示することができる。また本発明における珪藻土は、市販されているものを利用することもでき、例えばイーグルピッチャー社製珪藻土「LCS-3」(メロシラ属の円筒状珪藻土、実測値:円筒高さ(L)3~12μm、底面の直径(D)に対する高さ(L)の比(L/D)=0.3~2.0)等を挙げることができる。
【0018】
(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、炭素数6~24の脂肪酸を由来とするエステルである。
脂肪酸としては、具体的には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の直鎖脂肪酸類が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種類を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、氷上性能をさらに高め、かつ経時による氷上性能の低下を良好に抑制し、なおかつ耐摩耗性を向上させるという観点から、前記脂肪酸は、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸が好ましい。
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、氷上性能の向上;経時による氷上性能の低下の抑制;並びに耐摩耗性の向上;を同時に達成することができる。なお、当該効果は、モノグリセリン脂肪酸エステルには奏されない作用効果である。
【0019】
また、本発明の効果をさらに高めるという観点から、本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、下記式(1)で表されるモノ脂肪酸エステルであることが好ましい。
【0020】
【0021】
式(1)中、Rは前記脂肪酸に由来する炭素鎖を表し、nは0~8を表し、0~3が好ましく、0または1であることがとくに好ましい。
なお、ポリグリセリンの第2級ヒドロキシ基を選択的にエステル化したグリセリンエステル化合物では、前記式(1)で表されるモノ脂肪酸エステルに比べて、氷上性能の向上;経時による氷上性能の低下の抑制;並びに耐摩耗性の向上;という効果の発現度合いに乏しい。
【0022】
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、市販されているものであることができ、式(1)で表されるモノ脂肪酸エステルとして、例えば理研ビタミン株式会社製DS100A(ジグリセリンモノステアレート)、DO100V(ジグリセリンモノオレート)、S71D(ジグリセリンステアレート)、ポエムJ-4081V(テトラグリセリンステアレート)、J-0021(デカグリセリンラウレート)、J-0081HV(デカグリセリンステアレート)、J-0381V(デカグリセリンオレート)等が挙げられる。
【0023】
(ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを2~20質量部、シランカップリング剤を前記シリカの質量に対し1~20質量%、円筒または円柱の高さが100μm以下の円筒状または円柱状の珪藻土を0.5~10質量部、および炭素数6~24の脂肪酸を由来とするポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5~20質量部配合することを特徴とする。
前記シリカの配合量が2質量部未満であると配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると加工性や転がり抵抗が悪化する。
前記シランカップリング剤の配合量がシリカの質量に対し1質量%未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量%を超えるとシランカップリング剤同士が縮合し、ゴム組成物における所望の硬度や強度を得ることができない。
前記珪藻土の配合量が0.5質量部未満であると配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に10質量部を超えると氷上性能および耐摩耗性が悪化する。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が0.5質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると耐摩耗性が悪化する。
【0024】
また、本発明のゴム組成物において、前記シリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5~15質量部であることが好ましい。
前記シランカップリング剤の配合量は、シリカの質量に対し5~15質量%であることが好ましい。
前記珪藻土の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1~5質量部であることが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1~10質量部であることが好ましい。
【0025】
(その他成分)
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤;熱膨張性マイクロカプセルなどのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0026】
また本発明のゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造するのに適しており、トラック、バス、ライトトラックなどに使用する重荷重用空気入りタイヤのトレッド、とくにキャップトレッドに適用するのがよく、重荷重用スタッドレスタイヤのキャップトレッドとして使用するのがとくに好ましい。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0028】
標準例、実施例1~3および比較例1~5
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫してシート状の加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で物性を測定した。
【0029】
氷上摩擦力:前記加硫ゴム試験片を偏平円柱状の台ゴムに貼り付け、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した。 得られた結果は標準例の値を100とする指数で表した。指数が大きいものほど氷上摩擦力が高いことを示す。
【0030】
老化氷上摩擦力変化率:ギアオーブンにて老化処理を行った加硫ゴム試験片を用いて、前記と同様の方法にて氷上摩擦係数を測定した。得られた試験結果を老化試験を行わない未処理の試験結果で除算することによって変化率を算出した。得られた結果は標準例の変化率を100とする指数で表した。指数が小さいほど経時による氷上性能の低下が抑制されていることを示す。
【0031】
耐摩耗性:前記加硫ゴム試験片の耐摩耗性を、JIS K6264に準拠してランボーン摩耗試験機を用いて評価した。 得られた結果は標準例の値を100とする指数で表した。指数が大きいものほど耐摩耗性に優れることを示す。
結果を表1に併せて示す。
【0032】
【0033】
*1:NR(RSS#3)
*2:BR(日本ゼオン(株)製Nipol BR1220)
*3:シリカ(エボニック・デグッサ社製ULTRASIL VN3GR、CTAB吸着比表面積167m2/g)
*4:シランカップリング剤(エボニック・デグッサ社製Si69、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
*5:カーボンブラック(キャボットジャパン社製ショウブラックS118)
*6:ジグリセリンモノステアレート(理研ビタミン株式会社製DS100A、前記式(1)においてn=0であり、R-COOはステアリン酸に由来する)
*7:ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株式会社製DO100V、前記式(1)においてn=0であり、R-COOはオレイン酸に由来する)
*8:ジグリセリンステアレート(理研ビタミン株式会社製S71D、前記式(1)においてn=0であり、R-COOはステアリン酸に由来する)
*9:モノグリセリンモノステアレート(理研ビタミン株式会社製S100)
*10:珪藻土(イーグルピッチャー社製LCS-3、メロシラ属の円筒状珪藻土、円筒高さ(L)=3~12μm、底面の直径(D)に対する高さ(L)の比(L/D)=0.3~2.0(実測値))
*11:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸YR)
*12:亜鉛華(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*13:老化防止剤(Solutia Europe社製Santoflex 6PPD)
*14:プロセスオイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*15:硫黄(軽井沢精錬所社製油処理イオウ)
*16:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS)
【0034】
表1の結果から、実施例1~3のゴム組成物は、ジエン系ゴムに対し、ジエン系ゴムに対し、シリカ、シランカップリング剤および特定の形状の珪藻土を特定量で配合するとともに、さらに特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを特定量でもって配合したので、標準例に比べて、氷上性能に優れ、経時による氷上性能の低下が抑制され、かつ耐摩耗性にも優れることが分かる。
これに対し、比較例1はモノグリセリンモノ脂肪酸エステルを配合した例であるので、標準例に対し経時により氷上性能が低下し、耐摩耗性も悪化している。
比較例2は珪藻土を配合していないので、氷上性能が向上していない。
比較例3は珪藻土の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、標準例に対し氷上性能および耐摩耗性が悪化している。
比較例4はポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、標準例に対し耐摩耗性が低下している。
比較例5はポリグリセリン脂肪酸エステルおよび珪藻土を配合していないので、標準例に対し氷上性能が低下した。