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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】飲料容器保持装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20221129BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B60N3/10 A
B60R7/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019225162
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021094864
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】508309887
【氏名又は名称】森六テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】村上 清史
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073186(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10121979(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0175065(US,A1)
【文献】特開2006-298287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60R 7/04-06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上から挿入される飲料容器を収納する収納空間を有する収納部材と、この収納部材に上下移動可能に取付けられ前記飲料容器の底を支える可動床とを有する飲料容器保持装置であって、
前記収納部材に、前記収納空間へ前進して前記飲料容器をサポートするサポート部材と、このサポート部材を前記収納空間へ前進させるサポート付勢部材とを備え、
前記可動床に、前記サポート部材を後進させて前記収納空間から退避させるサポート後進部材を備え、
前記可動床は、前記サポート部材の下方に配置し上下移動可能とされ、この上下移動範囲のうち最上位が待機位置とされ、この待機位置にある前記可動床が押し下げられ
前記サポート後進部材は、前記可動床が待機位置にあるときに、前記サポート部材を前記収納空間から退避させ、前記可動床が前記待機位置から所定距離下がったときに、前記サポート部材を前記収納空間へ前進させることを特徴とする飲料容器保持装置。
【請求項2】
上から挿入される飲料容器を収納する収納空間を有する収納部材と、この収納部材に上下移動可能に取付けられ前記飲料容器の底を支える可動床とを有する飲料容器保持装置であって、
前記収納部材に、前記収納空間へ前進して前記飲料容器をサポートするサポート部材と、このサポート部材を前記収納空間へ前進させるサポート付勢部材とを備え、
前記可動床に、前記サポート部材を後進させて前記収納空間から退避させるサポート後進部材を備え、
前記サポート部材は、前記収納空間の縁に沿った円弧形状を呈し、水平旋回可能に一端が前記収納部材に留められており、
前記サポート部材は、裏面から延びるステーを備え、
このステーと前記サポート後進部材の上部との一方に、回転自在に円環ベアリングを備え、他方に前記円環ベアリングが当たるカムドライブ面を備え、上昇する前記サポート後進部材で、前記サポート部材を前記収納空間から退避させるようにしたことを特徴とする飲料容器保持装置。
【請求項3】
上から挿入される飲料容器を収納する収納空間を有する収納部材と、この収納部材に上下移動可能に取付けられ前記飲料容器の底を支える可動床とを有する飲料容器保持装置であって、
前記収納部材に、前記収納空間へ前進して前記飲料容器をサポートするサポート部材と、このサポート部材を前記収納空間へ前進させるサポート付勢部材とを備え、
前記可動床に、前記サポート部材を後進させて前記収納空間から退避させるサポート後進部材を備え、
前記サポート部材は、前記収納空間の縁に沿った円弧形状を呈し、水平旋回可能に一端が前記収納部材に留められており、
前記サポート部材は、裏面から延びるステーを備え、
このステーと前記サポート後進部材の上部との一方に、傾斜面を備え、他方に前記傾斜面が当接するカムドライブ面を備え、上昇する前記サポート後進部材で、前記サポート部材を前記収納空間から退避させるようにしたことを特徴とする飲料容器保持装置。
【請求項4】
請求項又は請求項記載の飲料容器保持装置であって、
前記ステーと前記サポート後進部材は、前記サポート部材が前記収納空間へ前進した際に、離間することを特徴とする飲料容器保持装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項記載の飲料容器保持装置であって、
前記サポート部材は、鉛直面を有すると共にこの鉛直面の上縁から斜め上に外へ延びるガイド面を有していることを特徴とする飲料容器保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップホルダーとも呼ばれる飲料容器保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両にはカップホルダーが設けられている。乗員は、飲料容器をカップホルダーに挿入し、飲料時に取り出す。車両は不可避的に揺れるため、カップホルダーも揺れる。この揺れに伴って、飲料容器がカップホルダー内を移動することは好ましくない。この移動はサポート部材で防止することができる。
そこで、サポート部材を備えるカップホルダーが各種提案されている(例えば、特許文献1(図6)参照)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図15は従来のカップホルダーの斜視図である。
カップホルダー100は、収納空間101へ前進し突出する縦長のサポート部材102を備えている。飲料容器を上から挿入すると、サポート部材102が後進し退避する。サポート部材102は、ばね力で飲料容器をサポートする。
しかし、非使用時は、常に縦長のサポート部材102が、視界に入るため、外観上改良の余地がある。
【0004】
外観性を改良したカップホルダーが提案されている(例えば、特許文献2(図1)参照)。
特許文献2を次図に基づいて説明する。
図16は従来の別のカップホルダーの斜視図である。
このカップホルダー110は、収納空間111から退避している円弧形状のサポート部材112と、このサポート部材112を収納空間111へ前進させる舌片状の駆動部材113とを備えている。
【0005】
乗員が飲料容器で駆動部材113を押し下げると、この駆動部材113で一対のサポート部材112は駆動される。すると、一対のサポート部材112が収納空間111へ前進して、飲料容器をサポートする。
乗員が飲料容器を引き上げると駆動部材113が戻り、サポート部材112が収納空間111から退避する。
【0006】
非使用時に、サポート部材112が収納空間111の外にあるため、外観上の改良がなされている。しかし、非使用時に、舌片状の駆動部材113が視界に入る。
【0007】
ところで、飲料容器には、レキュラーサイズ缶と、このレキュラーサイズ缶より小径のスリムサイズ缶とがある。このスリムサイズ缶を挿入すると、駆動部材113に当たらないことがある。当たらなければ、サポート部材112は前進せず、サポート作用を発揮し得ない。
対策として、駆動部材113を収納空間111の中央まで張り出す。そうすると、スリムサイズ缶が駆動部材113に当たる。反面、大きな駆動部材113が外観性を損ねる。
【0008】
よって、従来のカップホルダー100及びカップホルダー110は、共に、外観上改良の余地がある。
外観性の向上が求められる中、飲料容器が小径であっても、確実にサポート部材が作動するようなカップホルダー(飲料容器保持装置)が、望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2016-101769号公報
【文献】特許第4628171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、外観性が良好で、且つ飲料容器が小径であっても確実にサポート部材が作動する飲料容器保持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、上から挿入される飲料容器を収納する収納空間を有する収納部材と、この収納部材に上下移動可能に取付けられ前記飲料容器の底を支える可動床とを有する飲料容器保持装置であって、
前記収納部材に、前記収納空間へ前進して前記飲料容器をサポートするサポート部材と、このサポート部材を前記収納空間へ前進させるサポート付勢部材とを備え、
前記可動床に、前記サポート部材を後進させて前記収納空間から退避させるサポート後進部材を備え、
前記可動床は、前記サポート部材の下方に配置し上下移動可能とされ、この上下移動範囲のうち最上位が待機位置とされ、この待機位置にある前記可動床が押し下げられ
前記サポート後進部材は、前記可動床が待機位置にあるときに、前記サポート部材を前記収納空間から退避させ、前記可動床が前記待機位置から所定距離下がったときに、前記サポート部材を前記収納空間へ前進させることを特徴とする。
【0013】
請求項に係る発明は、上から挿入される飲料容器を収納する収納空間を有する収納部材と、この収納部材に上下移動可能に取付けられ前記飲料容器の底を支える可動床とを有する飲料容器保持装置であって、
前記収納部材に、前記収納空間へ前進して前記飲料容器をサポートするサポート部材と、このサポート部材を前記収納空間へ前進させるサポート付勢部材とを備え、
前記可動床に、前記サポート部材を後進させて前記収納空間から退避させるサポート後進部材を備え、
前記サポート部材は、前記収納空間の縁に沿った円弧形状を呈し、水平旋回可能に一端が前記収納部材に留められており、
前記サポート部材は、裏面から延びるステーを備え、
このステーと前記サポート後進部材の上部との一方に、回転自在に円環ベアリングを備え、他方に前記円環ベアリングが当たるカムドライブ面を備え、上昇する前記サポート後進部材で、前記サポート部材を前記収納空間から退避させるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項に係る発明は、上から挿入される飲料容器を収納する収納空間を有する収納部材と、この収納部材に上下移動可能に取付けられ前記飲料容器の底を支える可動床とを有する飲料容器保持装置であって、
前記収納部材に、前記収納空間へ前進して前記飲料容器をサポートするサポート部材と、このサポート部材を前記収納空間へ前進させるサポート付勢部材とを備え、
前記可動床に、前記サポート部材を後進させて前記収納空間から退避させるサポート後進部材を備え、
前記サポート部材は、前記収納空間の縁に沿った円弧形状を呈し、水平旋回可能に一端が前記収納部材に留められており、
前記サポート部材は、裏面から延びるステーを備え、
このステーと前記サポート後進部材の上部との一方に、傾斜面を備え、他方に前記傾斜面が当接するカムドライブ面を備え、上昇する前記サポート後進部材で、前記サポート部材を前記収納空間から退避させるようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項に係る発明は、請求項又は請求項記載の飲料容器保持装置であって、
前記ステーと前記サポート後進部材は、前記サポート部材が前記収納空間へ前進した際に、離間することを特徴とする。
【0016】
請求項に係る発明は、請求項1~のいずれか1項記載の飲料容器保持装置であって、
前記サポート部材は、鉛直面を有すると共にこの鉛直面の上縁から斜め上に外へ延びるガイド面を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明では、飲料容器の底を支える可動床にサポート後進部材を備え、このサポート後進部材で、サポート部材を後進させて収納空間から退避するようにした。
非使用時には、サポート部材は収納空間外にあるため、外観は良好である。
【0020】
加えて、請求項に係る発明では、飲料容器は、外径の大小を問わず必ず可動床に当たる。この可動床が駆動源となって、サポート部材を収納空間から退避させるため、サポート部材の作動は確実になる。
本発明により、外観性が良好で、且つ飲料容器が小径であっても確実にサポート部材が作動する飲料容器保持装置が提供される。
【0021】
請求項に係る発明では、サポート部材は、収納空間の縁に沿った円弧形状を呈している。飲料容器の平面視における外周長さを検討すると、縦長のサポート部材に比較して、本発明のサポート部材であれば、大きな外周長さをカバーし、サポートの確実性が増す。
【0022】
また、本発明では、サポート部材のステーとサポート後進部材とに、円環ベアリングを介在させた。
仮に、円環ベアリングを用いないでステーにサポート後進部材を直接当てる構造を採用すると、ステーとサポート後進部材の間にすべり摩擦抵抗が発生する。対して、本発明では、円環ベアリングを用いたので、ステーとサポート後進部材の間にころがり摩擦抵抗が発生する。このころがり摩擦抵抗は、すべり摩擦抵抗より格段に小さい。
結果、本発明によれば、サポート部材の旋回運動が極めて円滑になる。
【0023】
請求項に係る発明では、請求項と同様に、サポート部材は、収納空間の縁に沿った円弧形状を呈している。飲料容器の平面視における外周長さを検討すると、縦長のサポート部材に比較して、本発明のサポート部材であれば、大きな外周長さをカバーし、サポートの確実性が増す。
請求項に比較して、円環ベアリングを用いないため、部品点数が削減でき、且つ構造が簡単になる。
【0024】
請求項に係る発明では、ステーとサポート後進部材は、サポート部材が収納空間へ前進した際に、離間する。サポート後進部材は、可動床と一緒に下がる。サポート後進部材は、下降中に不可避的に揺れる。しかし、サポート部材が収納空間へ前進するときには、サポート後進部材からステーが離れているため、ステーに揺れは伝わらない。すなわち、本発明により、振動及び振動に起因する雑音の発生を抑制することができる。
【0025】
請求項に係る発明では、サポート部材は、鉛直面を有すると共にこの鉛直面の上縁から斜め上に外へ延びるガイド面を有している。
何らかの不具合で、非使用時にサポート部材が収納空間に残ることが想定される。この場合、乗員が飲料容器を収納空間に挿入すると、飲料容器の底がガイド面に当たる。ガイド面に加わる水平分力により、サポート部材は収納空間から退避する。
よって、万一、非使用時にサポート部材が収納空間に残っていても、修理までの間、飲料容器保持装置を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る飲料容器保持装置の斜視図である。
図2】(a)~(d)は第1組立体を得る工程を説明する図である。
図3】(a)~(d)は下部組立体を得る工程を説明する図である。
図4】(a)~(c)は上部組立体を得る工程を説明する図である。
図5】下部組立体に上部組立体及び上部パネルを取付ける手順を説明する図である。
図6】可動床と可動床ロック部材の斜視図である。
図7】解除ロッドの作用を説明する図である。
図8】サポート部材の斜視図である。
図9】サポート部材の作用を説明する図であり、(a)は可動床が待機位置にあるとき、(b)は可動床が待機位置から下がったとき、(c)は可動部材が更に下がったときの説明図である。
図10】可動床が待機位置にあるときの要部平面図である。
図11】可動床が待機位置から所定距離下がったときの要部平面図である。
図12】(a)~(c)は本発明の変更例を説明する図である。
図13】(a)、(b)は本発明の更なる変更例を説明する図である。
図14】(a)、(b)はサポート部材の長さを説明する図である。
図15】従来のカップホルダーの斜視図である。
図16】従来の別のカップホルダーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0030】
図1に示すように、飲料容器保持装置10は、収納部材20の上に上部パネル11を備え、2ヶ所の収納空間12を備えている。
上部パネル11は、2個のロック解除ボタン13を備えている。
収納空間12に可動床30が見える。この可動床30は最上位の「待機位置」にある。
【0031】
収納部材20は、上部パネル11に接する上部筒体21と、この上部筒体21から下へ延びる下部筒体22とからなる。ただし、収納部材20は、一体物であってもよい。
上部筒体21から複数本の可動床付勢部材23が下げられている。可動床付勢部材23は引張りコイルばねが好適である。作図の都合で、可動床付勢部材23の下端はフリー(自由)にしたが、正しくは、ばね掛け部38に掛けられる。
【0032】
実施例の飲料容器保持装置10は、2本の飲料容器を収納するが、1本のみの飲料容器を収納するものであってもよい。この場合は、飲料容器保持装置10は、1ヶ所の収納空間12と、1個のロック解除ボタン13とを備える。
【0033】
この飲料容器保持装置10には、サイズの異なる飲料容器が挿入可能である。
飲料容器は、例えば、レギュラーサイズ缶と呼ばれる350ml缶と、ロングサイズ缶と呼ばれる500ml缶と、スリムサイズ缶と呼ばれる250ml缶とからなる。
ロングサイズ缶は、レギュラーサイズ缶と同径であるが、レギュラーサイズ缶より長い。また、
スリムサイズ缶は、レギュラーサイズ缶と同じ長さであるが、レギュラーサイズ缶より小径である。
【0034】
ロングサイズ缶を挿入する場合は、可動床30は、最下位置である「下位使用位置」まで下げられる。
レギュラーサイズ缶とスリムサイズ缶を挿入する場合は、可動床30は、下位使用位置より上位の「上位使用位置」まで下げられる。
可動床30が、上位使用位置より上位の「待機位置」に戻されると、飲料容器の上部が突出し、乗員が掴みやすくなる。
【0035】
飲料容器保持装置10の詳しい構成を、図2図5に基づいて説明する。
図2(a)に示すように、矩形の下部板41を準備し、この下部板41に、2個のトーションばね42をセットする。
図2(b)に示すように、篭状の可動床ロック部材60(詳細は図6で説明する。)を下部板41に載せる。この際に、トーションばね42の一端を可動床ロック部材60に留め、他端を下部板41に留める。すると、下部板41に対して可動床ロック部材60は鉛直軸回りにロック方向へ付勢される。
【0036】
図2(c)に示すように、可動床ロック部材60に上部板43を載せる。
図2(d)に示すように、ビス44にて下部板41に上部板43を固定する。結果、可動床ロック部材60は、鉛直軸回りに回転可能であるが、上下には移動不能となる。
以上により、第1組立体40が出来上がる。
【0037】
図3(a)に示すように、下部筒体22と可動床30を準備する。
可動床30(詳細は図6で説明する。)の円板部31から水平に3本の枝部32が延び、この枝部32の各々に柱状のサポート後進部材33又は板状のマスク部材34が立てられている。
下部筒体22には、貫通溝35が3条設けられており、貫通溝35に各々枝部32が収納される。
以上により、第2組立体(図3(b)、符号46)が出来上がる。
【0038】
図3(b)に示すように、第1組立体40に第2組立体46をセットする。
図3(c)に示すように、第3組立体47が出来上がる。
図3(d)に示すように、第3組立体47に、クランク形状の解除ロッド48及び圧縮ばね49をセットする(セット後の形態は、図7に示す)。
以上により、下部組立体50が出来上がる。
【0039】
図4(a)に示すように、円弧形状のサポート部材52(詳細は図8で説明する。)と、円環ベアリング53と、サポート付勢部材54とを準備する。円環ベアリング53は予めサポート部材52の所定位置に取付けられる。サポート付勢部材54は、三次元的に折り曲げ形成されたトーションばねが好適である。サポート付勢部材54は、サポート部材52の裏面に当てられる。
【0040】
図4(b)に示すように、上部筒体21は、合計4個のポケット24を有している。ポケット24の底に円弧溝25が設けられている。円弧溝25から遠い部位に、ピン穴26が設けられている。サポート部材52から下へ延びるストッパ突起(図8、符号5c)を円弧溝25に挿入するようにして、サポート部材52をポケット24にセットする。
【0041】
図4(c)に示すように、ロングピン55をピン穴26に差し込む。これで、サポート部材52は、上部筒体21に、ロングピン55を中心にして水平旋回可能に、留められる。
以上により、上部組立体56が出来上がる。
【0042】
図5に示すように、下部組立体50に上部組立体56を載せ、この上部組立体56に上部パネル11を載せて、相互をビスなどで締結する。可動床付勢部材(図1、符号23)を取付ける。
以上により、図1に示す飲料容器保持装置10が出来上がる。
【0043】
図6に示すように、可動床ロック部材60は、環状部材61と、この環状部材61から立ち上げる複数本(この例では3本)の柱部材62と、柱部材62の上端を連結するC形状の繋部材63とからなる。環状部材61はカム面64を有する。柱部材62は、水平に張り出す下位ロック片65と上位ロック片66とを備えている。
【0044】
可動床30は、円板部31、枝部32、サポート後進部材33、マスク部材34に加えて、サポート後進部材33の上部に傾斜したカムドライブ面36を備え、サポート後進部材33の下部に、爪部37及び、ばね掛け部38を備えている。
【0045】
爪部37は、下位ロック片65又は上位ロック片66に掛かる。また、ばね掛け部38に、可動床付勢部材(図1、符号23)の下端が留められる。すなわち、可動床30は、上へ付勢される。
【0046】
図1で説明したように、本発明の飲料容器保持装置10に、レギュラーサイズ缶と、ロングサイズ缶と、スリムサイズ缶とのいずれかが挿入される。
【0047】
図7に示すように、ロングサイズ缶が上から挿入される場合には、可動床が「下位使用位置」まで下げられる。すると、爪部37が、下位ロック片65に掛かる。図2(a)で説明したトーションばね42で、可動床30がロック方向へ付勢されているため、図7では爪部37が柱部材62へ付勢される。そのため、爪部37が下位ロック片65から外れることはない。
【0048】
ロングサイズ缶を取り出す前に、乗員はロック解除ボタン13を押し下げる。すると、圧縮ばね49に抗して解除ロッド48が下がる。解除ロッド48の下部に傾斜したカム部48aが設けられており、このカム部48aがカム面64を押す。水平分力でカム面64と共に柱部材62が図右へ移動する。すると、下位ロック片65が爪部37から外れる。すると、可動床付勢部材23の付勢作用により、爪部37と共に可動床(図1、符号30)は、上昇し、「待機位置」へ戻る。
【0049】
レギュラーサイズ缶と、スリムサイズ缶の場合は、爪部37は、上位ロック片66に掛かる。その他は、上記説明と同様であるため、作動説明は省略する。
【0050】
図8に示すように、サポート部材52は、正面に、鉛直面52aとこの鉛直面52aの上縁から斜め上に外へ延びるガイド面52bとを備え、下面に、下へ延びるストッパ突起52cを備え、裏面に、外へ延びるステー52dを備えている。ステー52dに、回転自在に円環ベアリング53が取付けられる。
【0051】
図9(a)に示すように、可動床30が「待機位置」まで上昇するときに、サポート後進部材33も上昇し、このサポート後進部材33の上端のカムドライブ面36で円環ベアリング53が図左側(収納空間から退避する側)へ移動する。
【0052】
結果、図10に示すように、可動床30が待機位置にあるときは、サポート部材52は、ポケット24に収納され、収納空間12から退避する。収納空間12は円柱形状を呈し、外観性が良好になる。
すなわち、サポート部材52の鉛直面52aは、収納空間12の縁に沿った形状を呈している。鉛直面52aの上縁から外へ延びるガイド面52bは、ポケット24に収納され、見えない。よって、外観性が良好になる。
【0053】
図9(b)に示すように、可動床30が距離h1だけ下げられると、円環ベアリング53がカムドライブ面36に沿って移動し、サポート部材52が収納空間へ前進し始める。
図9(c)に示すように、可動床30が更に距離h2だけ下げられると、円環ベアリング53からカムドライブ面36が離れる。距離h1と距離h2の和(h1+h2)が、待機位置から下がる「所定距離」となる。
【0054】
可動床が待機位置から所定距離下がると、図11に示すように、サポート部材52は、サポート付勢部材54で付勢され、ロングピン55を中心に水平旋回する。結果、サポート部材52が収納空間12へ大きく前進する。この前進は、円弧溝25の一端にストッパ突起5cが当たるまで続く。すなわち、大きく狭まった一対のサポート部材52で、飲料容器がサポートされる。
小径のスリムサイズ缶も、一対のサポート部材52でサポートされる。
【0055】
図10で説明したように、可動床30が待機位置にあるとき(非使用時)は、サポート部材52が収納空間12の外にあるため、外観性が良好である。
図10に示す可動床30は、収納空間12を全面的にカバーしており、飲料容器が小径であっても可動床30から外れることはない。
よって、図11で説明したように、可動床30が待機位置から所定距離下がっているとき(使用時)は、小径の飲料容器であっても確実にサポートされる。
以上により、外観性が良好で、且つ飲料容器が小径であっても確実にサポート部材52が作動する飲料容器保持装置10が提供される。
【0056】
なお、図9(c)において、円環ベアリング53は、サポート後進部材33に設けてもよい。すなわち、ステー52d側にカムドライブ面を設け、サポート後進部材33側に円環ベアリング53を設けてもよい。
【0057】
また、図9(a)~(c)において、部品点数の削減及び構造の単純化を目的にして、円環ベアリング53を省くことは差し支えない。この場合は、図9(a)に示すステー52dに、カムドライブ面36に当接(摺接)する傾斜面を設ける。この傾斜面をサポート後進部材33に設け、カムドライブ面36をステー52dに設けることは差し支えない。
【0058】
ところで、図8で例示したようにサポート部材52は、鉛直面52aの上縁にガイド面52bを有している。このガイド面52bは、必須ではないが、設けることが好ましい。その理由を次に述べる。
図7に示す可動床付勢部材23は、伸縮を繰り返すと、永久伸びが累積することがある。すると、飲料容器を上へ抜いたときに、図9(a)までは戻らずに、図9(b)又は(c)となる。このときは、速やかに可動床付勢部材23を良品と交換する。しかし、交換修理が終わるまで、使えないのでは不便である。
【0059】
交換修理前は、非使用時に、図11に示すガイド面52bが上から見える。このガイド面52bを飲料容器で押し下げることで、サポート部材52をポケット24へ人為的に後進させることができる。よって、鉛直面52aの上縁にガイド面52b設けることが望まれる。
【0060】
次に、本発明の変更例を、図12及び図13に基づいて説明する。
図12(a)に示すように、サポート部材52は、収納空間12へ直線的に前後進する部材であってもよい。サポート部材52は、サポート後進部材33を収納するコ字状のピン57を裏面に備えている。
サポート付勢部材54は、板ばねであってもよい。
【0061】
図12(b)は、図12(a)のb―b線断面図であり、可動床30は待機位置にあり、サポート部材52は、収納空間12から退避している。
図12(c)に示すように、可動床30が下げられると、板ばね(サポート付勢部材54)の付勢作用で、サポート部材52は収納空間12へ大きく前進する。
【0062】
また、図13(a)に示すように、サポート部材52は、水平ピン27回りに回転するL字形アームであってもよい。サポート部材52は、水平ピン27から離れた部位に横ピン58を備える。
可動床30を下げると、サポート後進部材33が下がる。
すると、図13(b)に示すように、サポート部材52は、サポート付勢部材54の付勢作用で、水平ピン27回りに回転して、収納空間12へ大きく前進する。
【0063】
以上に述べたように、サポート部材52は、円弧形状、L字形状など、任意の形状にすることができる。
また、サポート付勢部材54は、トーションばね、板ばねなど、任意の形態の付勢部材であって差し支えない。
【0064】
次に、図14(a)、(b)に基づいて、サポート部材52の長さを検討する。
図14(a)に示すように、飲料容器71の中心が収納空間12の中心14に、ほぼ合致するようにして、収納空間12に飲料容器71が置かれている。
2個のサポート部材52は、線対称の軸72に対して、対称に配置されている。サポート部材52は、ロングピン55を回転中心にして回転する。
【0065】
サポート部材52の先端部52eは、原則として、最初に飲料容器71に当たる部位である。サポート部材52の先端部52eは、回転中心(ロングピン55)から最も離れている部位もしくは十分に離れた部位に設定される。
【0066】
収納空間12の中心14を通り、線対称の軸72に直交する線73を引く。この線73よりもサポート部材52の先端部52eが突出していれば、サポート部材52で飲料容器71を良好にサポートすることができる。
【0067】
以上の配置関係は、収納空間12の中心14を通り線対称の軸72に直交する線73は、先端部52eと回転中心(ロングピン55)との間にあると、記載することができる。
【0068】
図14(a)よりも、更に好ましい例を図14(b)で説明する。
図14(b)に示すように、スリムサイズ缶のような最小外径の飲料容器71が、回転中心(ロングピン55)から離れるように、偏った状態で収納空間12に置かれている。
【0069】
飲料容器71の中心74を通り、線対称の軸72に直交する線75を引く。回転中心(ロングピン55)を中心とする先端部52eの軌跡76を描く。この軌跡76と飲料容器71の交点77を定める。線75よりも交点75が、外側、すなわち回転中心(ロングピン55)から離れた位置に設定されていれば、回転中心側に飲料容器を寄せ易くなり、偏って置かれたスリムサイズ缶であっても、確実にサポートすることができる。
【0070】
以上の配置関係は、飲料容器71の中心74を通り線対称の軸72に直交する線75は、回転中心(ロングピン55)を中心とする先端部52eの軌跡76が飲料容器71と交わる交点77と、回転中心(ロングピン55)との間にあると、記載することができる。
【0071】
尚、本発明の飲料容器保持装置10は、乗用車に好適であるが、トラックやバスなどの陸上乗り物、航空機、船舶に適用することは差し支えない。ただし、外観性が重視される乗用車により好適である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の飲料容器保持装置は、乗用車に好適である。
【符号の説明】
【0073】
10…飲料容器保持装置、12…収納空間、14…収納空間の中心、20…収納部材、30…可動床、33…サポート後進部材、36…カムドライブ面、52…サポート部材、52a…鉛直面、52b…ガイド面、52c…ストッパ突起、52d…ステー、52e…先端部、53…円環ベアリング、54…サポート付勢部材、71…飲料容器、72…線対称の軸、73…収納空間の中心を通り線対称の軸に直交する線、74…飲料容器の中心、75…飲料容器の中心を通り線対称の軸に直交する線、76…先端部の軌跡、77…軌跡と飲料容器の交点、(h1+h2)…所定距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16