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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/20 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
A42B3/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021147749
(22)【出願日】2021-09-10
(62)【分割の表示】P 2017063032の分割
【原出願日】2017-03-28
(65)【公開番号】P2021185285
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390005429
【氏名又は名称】株式会社SHOEI
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志田 眞之
(72)【発明者】
【氏名】二村 拓
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-193928(JP,U)
【文献】実開昭61-129828(JP,U)
【文献】特開2013-079459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略球状であって着用者に視界を提供するために少なくとも前方に開口する開口窓を有する主帽体と、前記主帽体の両側面に突出して設けられた一対の回動機構に接続され、前記開口窓を塞ぐよう固定される閉位置と前記開口窓を開放するよう固定される開位置とに移動可能なシールドと、
前記シールドが前記閉位置にあるときに、前記シールドの上辺と前記主帽体の前記開口窓の上辺との隙間を、一方の前記回動機構の近傍から他方の前記回動機構の近傍にわたり密閉するシール部材と、を備え、
前記シールドの上端部は、少なくとも前記シール部材の左右の端部近傍の上辺において、前記主帽体へ向けて屈曲していると共に前記シールドが前記閉位置にあるときに前記シール部材と当接しており、
前記回動機構の、少なくとも後方側を覆うとともに、前記シール部材の左右の端部と連結して前記主帽体と前記シールドの左右後方部との間を塞ぐカバー部材をさらに備えることを特徴とするヘルメット。
【請求項2】
前記開口窓の下にチンガードを有するフルフェイス型ヘルメットであって、
前記カバー部材が、前記チンガードと一体で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】
前記回動機構に接続され、前記開口窓の上辺より下で固定される第1の位置と前記開口窓の上辺より上で固定される第2の位置とに移動可能なチンガードと連続して、前記カバー部材が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項4】
前記チンガードが前記第1の位置にあるときに、前記シール部材の左右の端部において、前記シール部材の上面と前記カバー部材の上面とが連続面を形成することを特徴とする、請求項3に記載のヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットにおけるシールドの密閉性改善に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の乗員が着用するヘルメットは、硬質合成樹脂からなる外側シェルと発泡材等の衝撃吸収材からなる内側ライナーとで構成される主帽体を主要部とする。このようなヘルメットの主帽体は略球状の形状を有し、着用者の装着のために下方が開口するとともに、着用者に視界を提供するために前方に開口窓を備えている。そして、開口窓には、通常、透過性を有するシールドが配されていて、開口窓を塞ぐことによって着用者の視界を確保しつつ開口窓からの風や雨水の流入を防止することができる。シールドは、主帽体の両側面に突出する一対の回動機構に接続され、開口窓を塞ぐ位置と開口窓を開放する位置とに移動可能に構成される。
【0003】
いわゆるフルフェイス型のヘルメットは、開口窓の下にチンガードを有し、着用者の顎領域を覆うことにより、例えば、着用者が転倒したときでも、顎領域を打撃や衝撃等から保護できる。さらに、チンガードを主帽体に対して上方向に移動可能に構成し、高速走行時に特に重要となるフルフェイス型の安全性と、低速走行時ないし停止時に望まれる、チンガードを有しないいわゆるオープンフェイス型の開放感とを切り替えて実現できるようにした、いわゆるフリップアップ型のヘルメットもよく知られている。
【0004】
特許文献1には、ヘルメットのバイザー(本願のシールドに相当)の支持枠にガスケットを挿入することにより、バイザーが閉じられたときに、確実に密閉される技術が開示されている。また、特許文献2には、バイザーの上端のガスケットが開口窓の上部と密着し、また、バイザーの下端が顎プロテクター(本願のチンガードに相当)の上端のシーリングリップと密着するヘルメットの密閉構造が開示されている。さらに、特許文献3には、シールドスクリーン(本願のシールドに相当)が窓(本願の開口窓に相当)の上辺、および、顎保護板(本願のチンガードに相当)の上端縁に密着することにより、空気が漏れないようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第1847192号明細書
【文献】米国特許第4524465号明細書
【文献】特開昭61-132604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シールドを有するヘルメットにおいては、シールドと主帽体との間に隙間があるため、特に暴風雨等の悪天候時や雨天での長時間走行時などにおけるヘルメット内部への浸水が問題となる。浸水を防止するため、開口窓の周縁に、シールドと開口窓との隙間を密閉するためのゴム(以下、「窓ゴム」という。)を設けてシールドと主帽体との隙間を塞ぐ構造が採用されている。このとき、シールド内側に浸水が起きると、着用者の集中力が削がれて安全走行に支障をきたすおそれがあるので、着用者の視界領域への水の浸入を防止することが特に重要となる。具体的には、浸水が生じやすい窓ゴムの左右端の位置を開口窓から離す、すなわち、ヘルメットの後方へ移動させることにより、浸水した場合であっても、極力着用者の視界領域外となるような工夫が施されている。
【0007】
しかしながら、主帽体の両側面には、シールドの両端部と接続して、シールドを上下方向に移動可能にするための一対の回動機構が設けられている。このため、窓ゴムの左右両端の位置をヘルメットの後方へ移動させるためには、シールドの形状を変更するだけでなく、回動機構自体もヘルメットの後方へ移動させることになる。一方、ヘルメットの軽量化や安全性確保の観点から、回動機構の構造はできる限りシンプルなものにしたいという要請がある。このように、回動機構自体のヘルメットの後方への移動には限度があり、主帽体の側面における回動機構の位置は、ある程度限定されるのが実状である。したがって、浸水箇所を完全に着用者の視界領域外とすることは困難である。
【0008】
さらに、回動機構は種々の部材から構成されるため、ヘルメットを上から見た場合、回動機構は、主帽体の外表面から幾分突出した形状を有している。このため、回動機構の周辺では、主帽体とシールドとの間の隙間を埋めるために、開口窓の中央部の窓ゴムよりも厚い密閉部材が必要となる。このような密閉部材は、窓ゴムと一体に成形されるか、または、窓ゴムに連なる別部材として構成される。しかし、このような窓ゴムないし密閉部材をヘルメット表面に露出させるのは、デザイン上の美観が損なわれるという問題がある。
【0009】
とりわけ、チンガードを主帽体に対して相対的に動かすことができるフリップアップ型のヘルメットにおいては、これらの問題がより顕著になる。フリップアップ型のヘルメットでは、チンガードを主帽体に対して上下方向に移動可能な構造にするため、チンガードも回動機構に接続される。すなわち、チンガードの厚みが加わるため、回動機構の突出がさらに大きくなり、そのための密閉部材もより嵩高となる。密閉部材が嵩高になるとシールドへの密着強度が低下するため、浸水防止機能が低下する。そこで、回動機構の周囲の密閉部材を補うために、さらに密閉部材を追加することになる。しかしながら、シールドやチンガードの移動の妨げにならないように密閉部材を追加するのが難しいという問題がある。
【0010】
フリップアップ型のヘルメットでは、上記の弱点を克服するため、窓ゴムの両端部を、よりヘルメットの後方へ移動させることにより、仮に水が浸入した場合であっても、着用者の視界領域外へ逃がすための構造が採用されている。しかしながら、チンガードを跳ね上げるための回動機構と、シールドを上下させるための回動機構とが主帽体の両側面に設けられることになるため、一般的なフルフェイス型のヘルメットと比較すると、回動機構の位置的な制約をより強く受けてしまう。また、回動機構の位置を後方にすると、シールドも後方へ延長する必要があり、結果として、大きく重いシールドとなってしまう。このように、フリップアップ型のヘルメットでは、デザイン上の美観が損なわれやすく、確実に漏水をなくすことが困難になるという問題がある。
【0011】
また、上記特許文献1に記載された技術は、シールドとヘルメットとの間にガスケットを設けることによりシールドとヘルメットとの間の接触を行っているが、当然、ガスケットはシールドよりも大きくなり、ヘルメットの重量が大きくなる。また、ガスケットとヘルメットとの間に隙間が生じる恐れがある。また、特許文献2や特許文献3に記載された技術は、開口窓の中央でのシールドと窓ゴムとの密着を確実に行なえるが、回動機構の周辺からヘルメット内部への漏水を完全に防止することができないという問題がある。
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、ヘルメットにおける主帽体とシールドとの密閉性を改善し、様々なタイプのヘルメットにおいても、悪天候時のヘルメット内部への浸水を防止することが可能なヘルメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明におけるヘルメットは、略球状であって着用者に視界を提供するために少なくとも前方に開口する開口窓を有する主帽体と、前記主帽体の両側面に突出して設けられた一対の回動機構に接続され、前記開口窓を塞ぐよう固定される閉位置と前記開口窓を開放するよう固定される開位置とに移動可能なシールドと、
前記シールドが前記閉位置にあるときに、前記シールドの上辺と前記主帽体の前記開口窓の上辺との隙間を、一方の前記回動機構の近傍から他方の前記回動機構の近傍にわたり密閉するシール部材と、を備え、
前記シールドの上端部は、少なくとも前記シール部材の左右の端部近傍の上辺において、前記主帽体へ向けて屈曲していると共に前記シールドが前記閉位置にあるときに前記シール部材と当接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヘルメットにおける主帽体とシールドとの密閉性を改善し、様々なタイプのヘルメットにおいても、悪天候時のヘルメット内部への浸水を防止することが可能なヘルメットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】シールドが閉でチンガードが下にあるときの本発明の実施形態のヘルメットの斜視図である。
図2】シールドが開でチンガードが下にあるときの本発明の実施形態のヘルメットの斜視図である。
図3】シールドが開でチンガードが上にあるときの本発明の実施形態のヘルメットの斜視図である。
図4】シールドが閉でチンガードが下にあるときの本発明の実施形態のヘルメットにおける図1のx-x断面を示す模式図である。
図5A】シールドが閉でチンガードが下にあるときの本発明の実施形態のヘルメットにおける左側面図である。
図5B】チンガードが下にあるときのカバー部材とシール部材との位置関係を示す右側面図である。
図5C】チンガードが下から上へ開け始められた際のカバー部材とシール部材との位置関係を示す図5Bに対応する右側面図である。
図5D】チンガードが上にあるときのカバー部材とシール部材との位置関係を示す図5Bに対応する右側面図である。
図6】本発明の実施形態のヘルメットにおける図5Aのp部分を前後方向に切断したときの断面の模式図である。
図7】本発明の実施形態のヘルメットにおける図5Aのq部分を左右方向に切断したときの断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明にかかるヘルメットは、着用する自動二輪車等の乗員に視界を提供する開口窓が設けられた主帽体と、その主帽体に接続され、開口窓を開閉するシールドとを有する。そして、暴風雨等の悪天候時にヘルメットを装着して長時間二輪車で走行する際であっても、当該開口窓とシールドとの間の隙間から水が浸入するのを防止するため、開口窓とシールドとの間の隙間をシール部材によって密閉している。このとき、万が一、水がヘルメット内部に浸入したとしても、水が着用者の視界領域に入らないように、シール部材の左右端を出来る限りヘルメットの後方へ移動させている。
【0017】
主帽体の両側面に設けられる、シールドを開閉させるための一対の回動機構の中には、シールドを保持して、主帽体の側面に対して略直交する回転軸を中心に回転させるシールドベースという部品が内蔵されている。そのため、一対の回動機構は主帽体の左右側面から突出している。シールドを適切な強度で保持するため、回動機構の厚みはある程度必要であり、回動機構の位置も所定の範囲内で決定することになる。
【0018】
従来、シール部材の左右端は回動機構よりもヘルメットの前方寄りに配置されていた。回動機構には所定の厚みがあるため、シール部材の左右端を回動機構に近接させるほど、主帽体の側面からより高く立ち上げる必要があった。シール部材の立ち上げ量が大きくなるとシールドへの密着強度が低下するため、浸水防止機能が低下する。そこで、シール部材の左右端に別の密閉部材を追加して、浸水防止機能の低下を補っていた。
【0019】
しかしながら、シール部材の左右端をさらに後方へ移動させると、シールドの開閉移動に干渉するため、別の密閉部材を追加することができない。そこで、本実施形態では、シール部材の左右端に別の密閉部材を追加することに代えて、シールドの上辺端部を、主帽体に向けて屈曲させることとした。これにより、シールドと主帽体との隙間の密着度が高まり、隙間がなくなる。さらに、シールド上端部の空気抵抗を減少するので、ヘルメット内部への浸水を防止すると共に、空力性能を向上させ、風切り音を低減することができる。
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、シールドが閉でチンガードが下にあるときの本発明の実施形態のヘルメットの斜視図である。図1に示すように、本発明の実施形態にかかるヘルメット1は、略球状の主帽体10とシールド20とが接続されてなる。主帽体10の下部は着用者が頭部を挿入して装着するために開放された開口部で、主帽体10の前方には開口窓11が設けられる。着用者は、開口窓11を通して前方が視認可能である。
【0021】
シールド20は、一対の回動機構12a、bによって、開口窓11を塞ぐよう固定される閉位置と、開口窓11を開放するよう固定される開位置とに移動可能である。シールド20は、ポリカーボネイトなどの透明樹脂材料により構成可能である
【0022】
主帽体10の両側面には、回動機構12aおよび12bが設けられる。図1において、左側面の回動機構12aは、シールド20と接続され主帽体10の左側面に対して略直交する回転軸を中心にシールド20を回転させるシールドベース(図示せず)などの部品を内蔵している。図示を省略するが、主帽体の右側面にも同様に回動機構12bが設けられている。回動機構12aおよび12bは、内蔵される部品のために、主帽体10の両側面から突出している。
【0023】
主帽体10の前方において開口窓11の下方に、チンガード13が設けられる。チンガード13は着用者の顎領域を覆い、例えば、転倒時に着用者の顎領域を打撃や衝撃等から保護する。チンガード13は主帽体10とは別体で形成され、回動機構12aおよび12bに接続されて主帽体10に対し回動し、開口窓上辺111より下で固定される第1の位置と開口窓上辺111より上で固定される第2の位置とに移動可能に接続される。チンガード13の回転軸は、シールド20の回転軸と一致していなくてもよい。チンガード13の回転軸がシールド20の回転軸と一致しない場合、チンガード13は、シールド20が接続されるシールドベースとは別の部品に接続して構成することができる。
【0024】
図2は、シールドが開でチンガードが下にあるときの本発明の実施形態のヘルメットの斜視図である。シールド20が開位置にあることを除いてヘルメット1の各部分の構成は図1と同様であるので、各部分の説明は省略する。
【0025】
図3は、シールドが開でチンガードが上にあるときの本発明の実施形態のヘルメットの斜視図である。シールド20が開位置にあり、チンガード13が上(第2の位置)にあることを除いてヘルメット1の各部分の構成は図1と同様であるので、各部分の説明は省略する。
【0026】
図4は、シールドが閉でチンガードが下にあるときの本発明の実施形態のヘルメットにおける図1のx-x断面を示す模式図である。x-x断面は、開口窓上辺111近傍を通る略水平な平面である。
【0027】
図1ないし図4に示すように、主帽体10には、主帽体10とシールド20との隙間を密閉するシール部材14が設けられる。シール部材14は、開口窓11の周縁に設けられ、シールド20と開口窓11との隙間を密閉する。シール部材14の設けられる箇所は、シールド20が閉位置にあるときに、シールド20の上辺に対応する主帽体10の位置であり、開口窓11の上辺111近傍である。また、シール部材14は、左側の回動機構12aの近傍から右側の回動機構12bの近傍にわたり密閉できるように設けられる。回動機構12aおよび12bは前述のように主帽体10の両側面から突出しているため、シール部材14の左端141aおよび右端141b近傍は中央部近傍に比べて厚みが大きく形成される。このとき、シール部材14の左端141aおよび右端141bが開口窓11の左右端よりも後方側となるよう構成すると、浸水リスクの比較的大きい箇所を乗員の視界領域から遠ざけることができるため、好適である。シール部材14は、ゴム等の弾性を有する材料により一体の窓ゴムとして構成可能であり、ゴム等の弾性を有する材料により連なって形成される窓ゴムと密閉部材によって構成することも可能である。
【0028】
主帽体10の回動機構12aおよび12bの後方周辺には、カバー部材15aおよび15bがそれぞれ設けられる。カバー部材15aおよび15bをシール部材14の左端141aおよび右端141bと連結するよう設けることにより、主帽体10とシールド20の左右後方部との隙間を塞いで浸水を防止するとともに、回動機構12aおよび12bを衝撃から保護することができる。カバー部材15aおよび15bは、主帽体10およびシールド20とは別部材として樹脂などにより形成することができる。また、回動機構12aおよび12bの周辺部分の主帽体10を突出させてカバー部材15aおよび15bを形成してもよい。カバー部材15aおよび15bは、回動機構12aおよび15bの少なくとも後側を覆うように設けられる。このようにして、回動機構12aおよび12bの周辺は、シール部材14とカバー部材15aおよび15bによって密閉される。
【0029】
図5Aは、シールドが閉でチンガードが下にあるときの本発明の実施形態のヘルメットにおける左側面図である。図5Aに示すように、カバー部材15aは、回動機構12aの後方側を覆うように設けられる。このとき、シール部材14の上面とカバー部材15aの上面とが連続面を形成すると、シールド20もこの形状に対応して連続面で構成することができるため、段差が少なく浸水防止効果が高まるとともに美的にも優れ、かつ、製造も容易となって好適である。
【0030】
図5Bは、チンガードが下にあるときの本発明の実施形態のヘルメットにおける右側面図である。この図に示されるように、本実施形態では、右側のカバー部材15bがチンガード13に取付けられている。また、図示は省略するが、左側のカバー部材15aは、右側のカバー部材15bと同様に、チンガード13に取付けられている。そして、チンガード13が下にあるときにおいては、カバー部材15bの上端部151bとシール部材14の右端141bとが重なっている。また、図示は省略するが、左側のカバー部材15aの上端部151aとシール部材14の左端141aとが重なっている。
【0031】
また、図5C及び図5Dに示されるように、チンガード13が下から上に開けられることで、カバー部材15bの上端部151bとシール部材14の右端141bとが離間すると共に、左側のカバー部材15aの上端部151aとシール部材14の右端141aとが離間するようになっている。なお、図5B図5Dにおいてはシールド20の図示を省略している。
【0032】
図6は、本発明の実施形態のヘルメットにおける図5Aのp部分を前後方向に切断したときの断面の模式図である。図6に示すように、主帽体10の開口窓11の上辺111近傍にはシール部材14が設けられる。シールド20は、上辺において主帽体10に近づくように屈曲し、屈曲した部分でシール部材14に当接する。
【0033】
図7は、本発明の実施形態のヘルメットにおける図5Aのq部分を左右方向に切断したときの断面の模式図である。図7に示すように、シールド20は、上辺において主帽体10に近づくように屈曲し、屈曲した部分で主帽体10に設けられるシール部材14の左端141aに当接する。
【0034】
本実施形態において、チンガード13は、一対の回転機構により開口窓より下で固定される第1の位置と開口窓より上で固定される第2の位置とに移動可能に接続されている。しかし、チンガードの構成はこれに限らず、チンガード13が主帽体10と一体に成形されて、移動できないようにしてもよい。さらに、チンガード13がなく、主帽体10とシールド20のみから構成されるヘルメットであってもよい。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、シールドが屈曲することによってシール部材を押圧しつつ密着することとしている。これにより、様々なタイプのヘルメットにおいても、悪天候時のヘルメット内部への漏水を防止することができるといった従来技術では得ることができない効果を有するものである。さらに、空力性能を向上させ、風切り音を低減することができるという効果も得ることができる。
【0036】
以上、これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、他の実施形態、追加、変更、削除等、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 ヘルメット
10 主帽体
11 開口窓
111 開口窓上辺
12a、b 左側面および右側面の回動機構
13 チンガード
14 シール部材
141a、b シール部材の左端部および右端部
15a、b 左側面および右側面のカバー部材
20 シールド
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7