(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】線材保持具
(51)【国際特許分類】
F16B 45/00 20060101AFI20221130BHJP
F16L 3/12 20060101ALI20221130BHJP
F16L 3/22 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
F16B45/00 F
F16L3/12 G
F16L3/22 Z
(21)【出願番号】P 2017249215
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】平間 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】森 創
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-250517(JP,A)
【文献】実開昭54-161597(JP,U)
【文献】特開2002-349762(JP,A)
【文献】特開2011-133019(JP,A)
【文献】特開平10-252719(JP,A)
【文献】実開昭61-106090(JP,U)
【文献】実開平03-059578(JP,U)
【文献】実開昭64-048410(JP,U)
【文献】特開2015-105673(JP,A)
【文献】特表昭63-503494(JP,A)
【文献】特開2014-081015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00- 2/26
5/00- 5/12
17/00-19/14
45/00-47/00
F16L 3/00- 3/26
H02G 3/22- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材を着脱可能に保持する線材保持具であって、
板状のベース片と、
前記ベース片の表面から離れるにつれて、前記線材の長手方向と直交し前記ベース片の前記表面を沿う幅方向における長さが短くなるように立設する壁片と、
前記ベース片の前記表面から立設する
立設部と、前記立設部の先端側から前記ベース片の前記表面を覆うように前記壁片に向かって延びる
延出部と、前記延出部の先端側から前記ベース片の前記表面に近づくように傾斜する傾斜部と、を有するカバー片と、
前記ベース片と、前記壁片と、前記カバー片とで区画され、前記線材を収容可能な収容
部と、
前記壁片と前記カバー片の端部との間に形成され、前記収容部と連通する挿抜部と、を
備え、
前記ベース片、前記壁片、および前記カバー片は、弾性部材からなり、
前記傾斜部は、前記ベース片の前記表面に対して30°から50°の範囲で角度をなすように傾斜しており、
前記挿抜部は、前記収容部に対して前記壁片側に偏心した位置に形成されており、
前記収容部における前記ベース片の前記表面は、平坦な面を有していることを特徴とする線材保持具。
【請求項2】
前記ベース片の前記表面と反対側の裏面の一部には、薄肉部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の線材保持具。
【請求項3】
前記カバー片における前記収容部を向く面と前記壁片とを結ぶ前記幅方向に平行な線分のうち最大となる長さが、前記カバー片における前記収容部を向く面と前記ベース片の前記表面とを結ぶ前記長手方向と前記幅方向に直交する厚さ方向に平行な線分のうち最大となる長さよりも長いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の線材保持具。
【請求項4】
前記壁片における前記収容部を向く面に、前記収容部に向かって突出する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の線材保持具。
【請求項5】
前記壁片を挟んで前記カバー片とは反対側に弾性部材からなる第2カバー片が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の線材保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材保持具に関し、特に、電源コードのような線材を保持する線材保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、線材を周囲の物体と干渉させずに取り回すために、適宜の位置で線材を保持する線材保持具を用いることが知られている。線材としては、例えば、電化製品の電源コード等が挙げられる。また、線材保持具としては、一本または複数本の線材を束ねて保持する線材保持具が知られている。
例えば、特許文献1には、複数本の棒状材を集合させて結束させる集合結束具が記載されており、棒状材を上開口から収容部に対して順次押し入れることで、複数本の棒状材を結束させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、線材保持具は、線材と干渉する可能性のある物体が多く存在する環境下において、線材を好適に取り回すために使用されることが多い。このため、線材保持具が配置される場所は、使用者の手が届きにくい場所であることが多い。そのような場所であっても、使用者が線材を線材保持具に着脱させることができるように、線材保持具には線材を取り付けやすく外しやすい(着脱しやすい)ことが求められる。また、線材保持具が線材を保持している間は、線材が外れることなく確実に保持されていることが求められる。
【0005】
特許文献1では、棒状材を集合結束具の上開口から収容部に対して一方向に押し入れることで、棒状材を集合結束具に取り付けている。このため、特許文献1に記載の集合結束具は、棒状材を取り付けやすいものの、一方で取り付けた棒状材が意図せず外れてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、線材を着脱しやすく、かつ確実に保持することができる線材保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る線材保持具は、線材を着脱可能に保持する線材保持具であって、板状のベース片と、前記ベース片の表面から離れるにつれて、前記線材の長手方向と直交し前記ベース片の前記表面を沿う幅方向における長さが短くなるように立設する壁片と、前記ベース片の前記表面から立設する立設部と、前記立設部の先端側から前記ベース片の前記表面を覆うように前記壁片に向かって延びる延出部と、前記延出部の先端側から前記ベース片の前記表面に近づくように傾斜する傾斜部と、を有するカバー片と、前記ベース片と、前記壁片と、前記カバー片とで区画され、前記線材を収容可能な収容部と、前記壁片と前記カバー片の端部との間に形成され、前記収容部と連通する挿抜部と、を備え、前記ベース片、前記壁片、および前記カバー片は、弾性部材からなり、前記傾斜部は、前記ベース片の前記表面に対して30°から50°の範囲で角度をなすように傾斜しており、前記挿抜部は、前記収容部に対して前記壁片側に偏心した位置に形成されており、前記収容部における前記ベース片の前記表面は、平坦な面を有している。
【0008】
本発明によれば、線材が挿抜される挿抜部は、弾性部材からなる壁片とカバー片の端部との間に形成されているため、壁片およびカバー片の弾性変形を利用して、線材を挿抜部から収容部へと挿入したり、収容部から挿抜部を経由して取り出したりすることができる。このため、線材を容易に着脱することができる。
また、本発明によれば、カバー片がベース片の表面を覆うように壁片に向かって延び、挿抜部が収容部に対して壁片側に偏心した位置に形成されているため、収容部に収容された線材が意図せず外れてしまうことを防止できる。このため、線材を確実に保持することができる。
【0009】
上記の線材保持具では、前記収容部における前記ベース片の前記表面は、平坦な面を有していてもよい。
本発明によれば、収容部内においてベース片の表面が平坦となっているため、例えば、平形や長円形の形状を有する線材を収容部内に収容しやすく、かつ収容した線材を安定して保持することができる。
【0010】
上記の線材保持具では、前記壁片における前記収容部を向く面に、前記収容部に向かって突出する突起部が形成されていてもよい。
本発明によれば、壁片における収容部を向く面に、収容部に向かって突出する突起部が形成されているため、収容部に収容された線材が意図せず外れてしまうことをより確実に防止できる。
【0011】
上記の線材保持具では、前記壁片を挟んで前記カバー片とは反対側に弾性部材からなる第2カバー片が形成されていてもよい。
本発明によれば、線材保持具は、カバー片に加えて、弾性部材からなる第2カバー片を備えているため、ベース片と、壁片と、第2カバー片とで区画される収容部にも線材を収容することができる。このため、複数の線材を着脱しやすく、かつ確実に保持することができる。
また、本発明によれば、カバー片と第2カバー片との間には、両者を隔てる壁片が形成されている。このため、カバー片で区画される収容部に収容される線材と、第2カバー片で区画される収容部に収容される線材との間を壁片によって隔てることができ、複数の線材を密に束ねたことによる昇温等を抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る線材保持具によれば、線材を着脱しやすく、かつ線材を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る線材保持具の斜視図である。
【
図5】同線材保持具の使用時の作用を説明する模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態の変形例に係る線材保持具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る線材保持具について、
図1から
図4を参照して説明する。
なお、以降の説明において、保持した線材の長手方向に沿う方向を線材保持具およびその構成要素の長さ方向と称し、長さ方向と直交しかつ板状のベース片の表面に沿う方向を線材保持具およびその構成要素の幅方向と称し、長さ方向および幅方向と直交する方向を線材保持具およびその構成要素の厚さ方向と称する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る線材保持具1の斜視図である。
図2は、本実施形態に係る線材保持具1の側面図であり、線材保持具1を長さ方向から見た状態を示している。
図3は、本実施形態に係る線材保持具1の平面図であり、線材保持具1を厚さ方向から見た状態を示している。
【0016】
図1から
図3に示すように、線材保持具1は、板状のベース片2と、ベース片2の表面2aから立設する壁片3と、ベース片2の表面2aから立設するとともに、ベース片2の表面2aを覆うように壁片3に向かって延びる第1カバー片4(カバー片)と、を備えている。
また、線材保持具1は、ベース片2の表面2aから立設するとともに、ベース片2の表面2aを覆うように壁片3に向かって延びる第2カバー片5を備えている。第2カバー片5は、壁片3を挟んで第1カバー片4とは反対側に形成されている。
【0017】
ベース片2、壁片3、第1カバー片4、および第2カバー片5は、弾性変形可能な弾性部材から形成されている。弾性部材の材料としては、エラストマー、ゴム、その他樹脂材料等を用いることができる。成形性の観点からは、熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、アミド系エラストマー等を用いることができる。
ベース片2、壁片3、第1カバー片4、および第2カバー片5は、一体として成形されている。成形方法としては、例えば、金型を用いた射出成形を用いることができる。
【0018】
ベース片2は、板状であり、表面2aと、表面2aとは反対側の裏面2bとを有している。ベース片2の裏面2bは、線材保持具1が取り付け対象物(以下、単に「対象物」と称する。)に取り付けられる際に対象物と接する面である。対象物としては、例えば、壁面や家具の内壁面等である。
【0019】
図4は、
図3のA-A線における断面図である。
図3および
図4に示すように、ベース片2には、ネジ、ビス、ボルト等の固定部材が挿通される取り付け孔21が形成されている。取り付け孔21は、ベース片2の幅方向における両端付近にそれぞれ形成されている。取り付け孔21に固定部材を挿通することで、線材保持具1を対象物に強固に取り付けることができる。
【0020】
なお、線材保持具1の対象物への取り付けは、上記の手段以外の手段によって行われてもよい。例えば、対象物とベース片2の裏面2bとを接着手段によって互いに固定してもよい。接着手段としては、対象物とベース片2の裏面2bとの間に接着剤、粘着剤等を介在させることが挙げられる。この場合には、取り付け孔21を形成する必要がないため、線材保持具を小型化することができる。また、線材保持具を対象物に取り付ける際に、取り付け孔21に対応する孔を対象物に形成する必要がないため、対象物に線材保持具の取り付け跡が残りにくいという利点もある。
【0021】
図4に示すように、ベース片2の裏面2bの一部には、薄肉部22が形成されている。薄肉部22を形成することで、線材保持具1の全体の剛性を低くし、かつ軽量化を図ることができる。このため、使用者は、線材保持具1を扱いやすく、対象物に容易に取り付けることができる。
また、薄肉部22は、後述する収容部と厚さ方向において重なる位置に形成されている。このため、線材を収容部に収容する際に、線材の形状に応じて線材保持具1が撓みやすくなっており、収容部の形状もフィットしやすくなっている。
【0022】
壁片3は、ベース片2の幅方向における中央付近の表面2aから立設している。
図2に示すように、壁片3は、ベース片2の表面2aから離れるにつれて、徐々に幅方向における長さが短くなるように形成されている。また、詳細は後述するが、壁片3には第1突起部31(突起部)および第2突起部32が形成されている。
図3に示すように、壁片3は、ベース片2の長さ方向における一端から他端にかけて延在するように形成されている。
【0023】
第1カバー片4は、壁片3と取り付け孔21との間のベース片2の表面2aから立設するとともに、ベース片2の表面2aを覆うように壁片3に向かって延びている。より詳細には、第1カバー片4は、ベース片2の表面2aから厚さ方向に沿うように立設する立設部41と、立設部41の先端側からベース片2の表面2aに沿うように(幅方向に沿うように)湾曲しながら延びる延出部42と、延出部42の先端側からベース片2の表面2aに近づくように傾斜する傾斜部43と、傾斜部43の先端側であって壁片3と対峙する端部44と、を備えている。
【0024】
図2および
図4に示すように、長さ方向から見た場合に、第1カバー片4の傾斜部43は、延出部42の先端側からベース片2の表面2aに向かうように傾斜している。傾斜部43は、長さ方向から見た場合において、ベース片2の表面2aに対して30°から50°の範囲で角度をなすように傾斜していることが好ましい。詳細は後述するが、傾斜部43がこのような範囲で傾斜していることで、線材を収容部に収容しやすく、かつ収容した線材が意図せず外れてしまうことをより確実に防止できる。
【0025】
図3に示すように、第1カバー片4は、ベース片2の長さ方向における一端から他端にかけて延在するように形成されている。第1カバー片4のうち、立設部41の長さ方向における長さは、ベース片2および壁片3の長さ方向における長さと略同一である。第1カバー片4のうち、延出部42の長さ方向における長さは、立設部41から離れるにつれて、徐々に短くなっている。
【0026】
第2カバー片5は、壁片3と取り付け孔21との間のベース片2の表面2aから立設するとともに、ベース片2の表面2aを覆うように壁片3に向かって延びている。また、第2カバー片5は、壁片3を挟んで第1カバー片4とは反対側に形成されている。より詳細には、第2カバー片5は、ベース片2の表面2aから厚さ方向に沿うように立設する立設部51と、立設部51の先端側からベース片2の表面2aに沿うように(幅方向に沿うように)湾曲しながら延びる延出部52と、延出部52の先端側からベース片2の表面2aに近づくように傾斜する傾斜部53と、傾斜部53の先端側であって壁片3と対峙する端部54と、を備えている。
【0027】
図2および
図4に示すように、長さ方向から見た場合に、第2カバー片5の傾斜部53は、延出部52の先端側からベース片2の表面2aに向かうように傾斜している。傾斜部53の傾斜する角度は、上記の傾斜部43と同様である。
【0028】
図3に示すように、第2カバー片5は、ベース片2の長さ方向における一端から他端にかけて延在するように形成されている。第2カバー片5のうち、立設部51の長さ方向における長さは、ベース片2および壁片3の長さ方向における長さと略同一である。第2カバー片5のうち、延出部52の長さ方向における長さは、立設部51から離れるにつれて、徐々に短くなっている。
【0029】
図2および
図3に示すように、長さ方向および厚さ方向から見た場合に、第1カバー片4と第2カバー片5とは、壁片3を対象軸として線対称の関係となっている。
【0030】
線材保持具1は、ベース片2と、壁片3と、第1カバー片4とで区画され、線材を収容可能な第1収容部6(収容部)を備えている。
また、線材保持具1は、壁片3と第1カバー片4の端部44との間に形成され、第1収容部6と連通する第1挿抜部8(挿抜部)を備えている。
【0031】
第1収容部6は、線材を収容可能であり、長さ方向における両端は開口されている。詳細は後述するが、第1収容部6が第1挿抜部8から挿入された線材を周方向に囲むようにして収容することで、線材保持具1は線材を保持することができる。
【0032】
線材保持具1は、ベース片2と、壁片3と、第2カバー片5とで区画され、線材を収容可能な第2収容部7を備えている。
また、線材保持具1は、壁片3と第2カバー片5の端部54との間に形成され、第2収容部7と連通する第2挿抜部9を備えている。
【0033】
第2収容部7は、線材を収容可能であり、長さ方向における両端は開口されている。詳細は後述するが、第2収容部7が第2挿抜部9から挿入された線材を周方向に囲むようにして収容することで、線材保持具1は線材を保持することができる。
【0034】
図2および
図4に示すように、第1収容部6におけるベース片2の表面2aは、平坦な面である平坦面23を有している。第1カバー片4の延出部42における第1収容部6を向く面は、ベース片2の表面2aに沿うように形成されている。第1収容部6の長さ方向から見た形状は、略長円形状となっている。
また、第2収容部7におけるベース片2の表面2aは、平坦な面である平坦面23を有している。第2カバー片5の延出部52における第2収容部7を向く面は、ベース片2の表面2aに沿うように形成されている。第2収容部7の長さ方向から見た形状は、略長円形状となっている。
【0035】
第1収容部6の大きさは、平形、長円形、丸形等の線材を収容可能な大きさである。
図2および
図4に示すように、第1カバー片4における第1収容部6を向く面と壁片3とを結ぶ幅方向に平行な線分のうち長さが最大となる線分を線分L1とし、第1カバー片4における第1収容部6を向く面とベース片2の表面2aとを結ぶ厚さ方向に平行な線分のうち長さが最大となる線分を線分L2とした場合に、第1収容部6の大きさは、「線分L1の長さ」>「線分L2の長さ」であり、かつ「線分L1の長さ」≦9.00ミリメートル(mm)、「線分L2の長さ」≦6.00mmであることが好ましい。
さらには、第1カバー片4の端部44とベース片2の表面2aとを結ぶ厚さ方向に平行な線分を線分L3とした場合に、第1収容部6の大きさは、「線分L1のうち第1カバー片4から線分L3との交点までの長さ」>「線分L2の長さ」であり、かつ「線分L3の長さ」≦5.00mmであることがより好ましい。
【0036】
第1収容部6において、「線分L1の長さ」、「線分L2の長さ」、および「線分L3の長さ」を上記のように設定することで、例えば、外径が2.75mm×5.50mm、3.70mm×7.40mm、または3.80mm×7.60mmの平形の線材、外径が3.50mm×5.60mm、4.25mm×6.50mm、4.60mm×7.20mm、または5.00mm×8.00mmの長円形の線材を好適に収容することができる。
なお、第1収容部6を区画する第1カバー片4および壁片3は、弾性変形可能な弾性部材から形成されているため、上記に挙げた以外の形状を有する線材(例えば丸形の線材)であっても、第1収容部6に収容可能な場合がある。
【0037】
第2収容部7の大きさは、上記の第1収容部6の大きさと同様である。つまり、第2カバー片5における第2収容部7を向く面と壁片3とを結ぶ幅方向に平行な線分を線分L1とし、第2カバー片5における第2収容部7を向く面とベース片2の表面2aとを結ぶ厚さ方向に平行な線分を線分L2とし、第2カバー片5の端部54とベース片2の表面2aとを結ぶ厚さ方向に平行な線分を線分L3とした場合に、第2収容部7の大きさは、上記の所定の関係を満足していることが好ましい。
【0038】
第1挿抜部8は、壁片3における第1収容部6を向く面と第1カバー片4の端部44との間に形成されている。第1挿抜部8は、壁片3と第1カバー片4の端部44との間の隙間によって構成されている。
図3に示すように、第1挿抜部8の長さ方向における長さは、第1カバー片4の端部44の長さ方向における長さ(第1カバー片4の傾斜部43の長さ方向における長さ)と略同一である。
【0039】
第1挿抜部8の幅(壁片3と第1カバー片4の端部44との最短長さ)は、第1収容部6に収容する線材を挿抜可能な幅である。線材を挿抜可能な幅とは、壁片3および第1カバー片4の弾性変形により線材の通り抜けが許容されるような幅である。挿抜される線材が短軸および長軸を有するような形状の場合には、第1挿抜部8の幅は、線材の短軸の長さよりも若干短く、壁片3および第1カバー片4の弾性変形によって線材の短軸の長さ程度の隙間を形成可能な幅であることが好ましい。
【0040】
第2挿抜部9は、壁片3における第2収容部7を向く面と第2カバー片5の端部54との間に形成されている。第2挿抜部9は、壁片3と第2カバー片5の端部54との間の隙間によって構成されている。
図3に示すように、第2挿抜部9の長さ方向における長さは、第2カバー片5の端部54の長さ方向における長さ(第2カバー片5の傾斜部53の長さ方向における長さ)と略同一である。
【0041】
第2挿抜部9の幅(壁片3と第2カバー片5の端部54との最短長さ)は、第2収容部7に収容する線材を挿抜可能な幅であり、壁片3および第2カバー片5の弾性変形により線材の通り抜けが許容されるような幅である。
【0042】
図1から
図4に示すように、第1挿抜部8は、第1収容部6の幅方向中心に対して壁片3側に偏心した位置に形成されている。第1挿抜部8は、第1収容部6と連通しつつ、かつ幅方向において第1収容部6に対して壁片3側に偏心した位置に形成されている。本実施形態では、第1カバー片4の端部44は、幅方向において、線分L1の中点を超えた壁片3側の位置に形成されている。このため、第1挿抜部8は、幅方向において、第1収容部6内の線分L1の中点よりも壁片3側に偏心した位置に形成されている。
【0043】
また、
図1から
図4に示すように、第2挿抜部9は、第2収容部7の幅方向中心に対して壁片3側に偏心した位置に形成されている。第2挿抜部9は、第2収容部7と連通しつつ、かつ幅方向において第2収容部7に対して壁片3側に偏心した位置に形成されている。本実施形態では、第2カバー片5の端部54は、幅方向において、線分L1の中点を超えた壁片3側の位置に形成されている。このため、第2挿抜部9は、幅方向において、第2収容部7内の線分L1の中点よりも壁片3側に偏心した位置に形成されている。
【0044】
壁片3における第1収容部6を向く面には、第1収容部6に向かって突出する第1突起部31が形成されている。第1突起部31は、第1収容部6に収容された線材を係止可能に構成されている。また、壁片3における第2収容部7を向く面には、第2収容部7に向かって突出する第2突起部32が形成されている。第2突起部32は、第2収容部7に収容された線材を係止可能に構成されている。
本実施形態においては、壁片3における第1収容部6を向く面のうち、第1カバー片4の端部44と対峙する位置に第1突起部31が形成され、壁片3における第2収容部7を向く面のうち、第2カバー片5の端部54と対峙する位置に第2突起部32が形成されている。第1突起部31は、その先端が第1カバー片4の端部44よりも厚さ方向において下側に位置するように形成されている。同様に、第2突起部32は、その先端が第2カバー片5の端部54よりも厚さ方向において下側に位置するように形成されている。このため、収容部に収容された線材が挿抜部から抜け出そうとしても、まず突起部の先端が線材に当接するため、第1突起部31および第2突起部32は、収容部に収容された線材を係止することができる。
【0045】
上記のとおり、第1挿抜部8は、壁片3における第1収容部6を向く面と第1カバー片4の端部44との間に形成されている。
図2および
図4に示すように、本実施形態においては、壁片3における第1収容部6を向く面のうち、第1カバー片4の端部44と対峙する位置に第1突起部31が形成されている。このため、第1挿抜部8は、壁片3の第1突起部31と第1カバー片4の端部44との間に形成されているともいえる。つまり、第1挿抜部8は、壁片3の第1突起部31と第1カバー片4の端部44との間の隙間によって構成されているともいえる。
また、第2挿抜部9は壁片3における第2収容部7を向く面と第2カバー片5の端部54との間に形成されており、本実施形態においては、第2挿抜部9は壁片3の第2突起部32と第2カバー片5の端部54との間に形成されているともいえる。つまり、第2挿抜部9は、壁片3の第2突起部32と第2カバー片5の端部54との間の隙間によって構成されているともいえる。
【0046】
図3に示すように、第1突起部31の長さ方向における長さは、第1カバー片4の端部44の長さ方向における長さ(第1カバー片4の傾斜部43の長さ方向における長さ)と略同一である。
また、第2突起部32の長さ方向における長さは、第2カバー片5の端部54の長さ方向における長さ(第2カバー片5の傾斜部53の長さ方向における長さ)と略同一である。
なお、壁片3における突起部は、収容部に収容した線材を係止可能に収容部に向かって突出していれば、厚さ方向における形成位置や、長さ方向における長さ等は適宜変更してもよい。
【0047】
以上のように構成された線材保持具1の使用時の作用について、
図5を参照して説明する。以下では、線材保持具1を用いて、長円形の線材100および丸形の線材200を保持する例を説明する。
【0048】
偏平面100aと曲面100bとを有する長円形の線材100を、線材保持具1の第1収容部6に収容して保持する場合について説明する。
使用者は、線材100の曲面100bを第1挿抜部8に向けるようにして、線材100を線材保持具1に臨ませる。このとき、線材100は位置P1に位置する。
【0049】
次に、使用者は、線材100の曲面100bを第1カバー片4の傾斜部43に当接させるようにして、線材100を第1挿抜部8内に押し込んで挿入する。このとき、第1カバー片4および壁片3が弾性変形することにより、線材100は位置P1から位置P2に移動することができる。この線材100の位置P1から位置P2への移動方向を第一方向と称する。第1挿抜部8は、弾性部材からなる壁片3と第1カバー片4の端部44との間に形成されているため、壁片3および第1カバー片4の弾性変形を利用して、線材100を第1挿抜部8から第1収容部6へと容易に挿入することができる。
さらに、第1カバー片4はベース片2の表面2aに向かうように所定の角度で傾斜する傾斜部43を有しており、壁片3における第1挿抜部8を向く面はベース片2の表面2aに近づくにつれて第1収容部6に近づくように傾斜している。このため、線材100は、第1カバー片4および壁片3によって好適に第1挿抜部8に案内される。
【0050】
使用者が線材100を位置P2からさらに押し込むと、線材100は位置P2から位置P3に移動して、第1収容部6内に収容される。この線材100の位置P2から位置P3への移動方向を第二方向と称する。
壁片3における第1収容部6を向く面はベース片2の表面2aに近づくにつれて第1収容部6に近づくように傾斜しており、第1収容部6におけるベース片2の表面2aは平坦な面である平坦面23を有している。また、第1収容部6の形状は、「線分L1の長さ」>「線分L2の長さ」となっており、「線分L1のうち第1カバー片4から線分L3との交点までの長さ」>「線分L2の長さ」となっている。このため、線材100は、偏平面100aがベース片2の表面2aに沿うように好適に第1収容部6内に案内される。
【0051】
上記のとおり、線材100は、第一方向および第二方向に沿って、第1挿抜部8から第1収容部6へと好適に案内される。このため、使用者は、線材100を第1収容部6に容易に収容することができる。使用者は、線材100を第一方向に沿うように押し込み、続けて第二方向に沿うように回し込むことで、線材100を第1収容部6に収容することができる。
また、第1収容部6内においてベース片2の表面2aが平坦となっているため、収容した線材100を安定して保持することができる。
【0052】
線材保持具1から線材100を取り外す際には、使用者は、線材100を位置P3から位置P2へと移動させ、位置P2から位置P1へと移動させることで、線材100を第1収容部6から容易に取り外すことができる。つまり、使用者は、線材100の取り付けとは逆のステップで線材100を容易に取り外すことができる。線材100を取り付ける場合と同様にして、使用者は、壁片3および第1カバー片4の弾性変形を利用して、線材100を第1挿抜部8を経由して容易に取り出すことができる。
【0053】
線材保持具1が線材100を保持している間は、線材100に厚さ方向の外力がかかっても、第1カバー片4によって線材100が第1収容部6から外れてしまうことが防止される。第1カバー片4がベース片2の表面2aを覆うように壁片3に向かって延び、第1挿抜部8が第1収容部6に対して壁片3側に偏心した位置に形成されているため、第1収容部6に収容された線材100が意図せず外れてしまうことを防止できる。つまり、上記のとおり、第1収容部6に収容された線材100を取り外すためには、線材100を第二方向に沿って移動させ、さらに第一方向に沿って移動させる必要があるため、線材100は意図せず外れにくくなっている。
【0054】
さらに、壁片3における第1収容部6を向く面に、第1収容部6に向かって突出する第1突起部31が形成されているため、線材100は、第1突起部31によって係止される。このため、第1収容部6に収容された線材100が意図せず外れてしまうことをより確実に防止できる。
さらに、第1カバー片4の傾斜部43は、ベース片2の表面2aに向かうように所定の角度で傾斜しているため、線材100は、傾斜部43によって係止される。このため、第1収容部6に収容された線材100が意図せず外れてしまうことをより確実に防止できる。
【0055】
さらに、第1収容部6の形状は、「線分L1の長さ」>「線分L2の長さ」となっており、「線分L1のうち第1カバー片4から線分L3との交点までの長さ」>「線分L2の長さ」となっている。このため、第1収容部6内に収容した線材100が第1収容部6内で回転することを防止できる。このため、第1収容部6に収容された線材100が意図せず外れてしまうことをより確実に防止できる。
【0056】
次に、丸形の線材200を、線材保持具1の第2収容部7に収容して保持する場合について説明する。
使用者は、線材200を線材保持具1に臨ませる。このとき、線材200は位置P4に位置する。
【0057】
次に、使用者は、線材200を第2カバー片5の傾斜部53に当接させるようにして、線材200を第2挿抜部9内に押し込んで挿入する。このとき、第2カバー片5および壁片3が弾性変形することにより、線材200は位置P4から位置P5に移動することができる。この線材200の位置P4から位置P5への移動方向を第三方向と称する。第2挿抜部9は、弾性部材からなる壁片3と第2カバー片5の端部54との間に形成されているため、壁片3および第2カバー片5の弾性変形を利用して、線材200を第2挿抜部9から第2収容部7へと容易に挿入することができる。
さらに、第2カバー片5はベース片2の表面2aに向かうように所定の角度で傾斜する傾斜部53を有しており、壁片3における第2挿抜部9を向く面はベース片2の表面2aに近づくにつれて第2収容部7に近づくように傾斜している。このため、線材200は、第2カバー片5および壁片3によって好適に第2挿抜部9に案内される。
【0058】
使用者が線材200を位置P5からさらに押し込むと、線材200は位置P5から位置P6に移動して、第2収容部7内に収容される。この線材の位置P5から位置P6への移動方向を第四方向と称する。
壁片3における第2収容部7を向く面はベース片2の表面2aに近づくにつれて第2収容部7に近づくように傾斜している。このため、線材200は、好適に第2収容部7内に案内される。
【0059】
上記のとおり、線材200は、第三方向および第四方向に沿って、第2挿抜部9から第2収容部7へと好適に案内される。このため、使用者は、線材200を第2収容部7に容易に収容することができる。使用者は、線材200を第三方向に沿うように押し込み、続けて第四方向に沿うように回し込むことで、線材200を第2収容部7に収容することができる。
【0060】
線材保持具1から線材200を取り外す際には、使用者は、線材200を位置P6から位置P5へと移動させ、位置P5から位置P4へと移動させることで、線材200を第2収容部7から容易に取り外すことができる。つまり、使用者は、線材200の取り付けとは逆のステップで線材200を容易に取り外すことができる。線材200を取り付ける場合と同様にして、使用者は、壁片3および第2カバー片5の弾性変形を利用して、線材200を第2挿抜部9を経由して容易に取り出すことができる。
【0061】
線材保持具1が線材200を保持している間は、線材200に厚さ方向の外力がかかっても、第2カバー片5によって線材200が第2収容部7から外れてしまうことが防止される。第2カバー片5がベース片2の表面2aを覆うように壁片3に向かって延び、第2挿抜部9が第2収容部7に対して壁片3側に偏心した位置に形成されているため、第2収容部7に収容された線材200が意図せず外れてしまうことを防止できる。つまり、上記のとおり、第2収容部7に収容された線材200を取り外すためには、線材200を第四方向に沿って移動させ、さらに第三方向に沿って移動させる必要があるため、線材200は意図せず外れにくくなっている。
さらに、壁片3の第2突起部32、第2カバー片5の傾斜部53によって、第2収容部7に収容された線材200が意図せず外れてしまうことをより確実に防止できる。
【0062】
線材保持具1の第1収容部6に線材100を収容し、第2収容部7に線材200を収容した場合であっても、第1収容部6と第2収容部7との間(第1カバー片4と第2カバー片5との間)には、両者を隔てる壁片3が形成されている。このため、複数の線材を密に束ねたことによる昇温等を抑えることができる。
【0063】
本実施形態に係る線材保持具1は、様々な場面で使用することができる。例えば、スライド可能なボード上に炊飯器やポット等を載置して、普段はボードをキャビネット内に収納し、炊飯器やポット等のフタを開ける際にボードをキャビネットから引き出して作業するような場合がある。キャビネット内の奥にはコンセントが設けられており、炊飯器やポット等の電源コードが接続される。ボードをスライドさせる際にコンセントに接続した電源コードを挟み込んでしまうことがないように、キャビネット内において電源コードを好適に取り回したいという要望がある。
【0064】
このような要望に対しては、スライド可能なボードの所定の位置(例えばボードの後方付近の位置)に線材保持具1を取り付け、さらにキャビネット内の奥行方向における中間付近の側面にもう一つ線材保持具1を取り付け、電源コードの遊びを最小限とすることで応えることができる。
【0065】
線材保持具1を取り付ける位置がボードの後方付近やキャビネット内となり、使用者の手が届きにくいものの、上記のとおり、線材保持具1には電源コードを着脱しやすいため、使用者は容易に線材保持具1に電源コードを収容することができる。さらには、線材保持具1は、ボードがスライドした場合であっても、電源コードを確実に保持することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る線材保持具1によれば、線材100が挿抜される第1挿抜部8は、弾性部材からなる壁片3と第1カバー片4の端部44との間に形成されているため、壁片3および第1カバー片4の弾性変形を利用して、線材100を第1挿抜部8から第1収容部6へと挿入したり、第1収容部6から第1挿抜部8を経由して取り出したりすることができる。また、線材200が挿抜される第2挿抜部9は、弾性部材からなる壁片3と第2カバー片5の端部54との間に形成されているため、壁片3および第2カバー片5の弾性変形を利用して、線材200を第2挿抜部9から第2収容部7へと挿入したり、第2収容部7から第2挿抜部9を経由して取り出したりすることができる。このため、線材を容易に着脱することができる。
【0067】
さらに、本実施形態に係る線材保持具1によれば、第1カバー片4がベース片2の表面2aを覆うように壁片3に向かって延び、第1挿抜部8が第1収容部6に対して壁片3側に偏心した位置に形成されているため、第1収容部6に収容された線材100が意図せず外れてしまうことを防止できる。また、第2カバー片5がベース片2の表面2aを覆うように壁片3に向かって延び、第2挿抜部9が第2収容部7に対して壁片3側に偏心した位置に形成されているため、第2収容部7に収容された線材200が意図せず外れてしまうことを防止できる。このため、線材を確実に保持することができる。
【0068】
さらに、本実施形態に係る線材保持具1によれば、ベース片2、壁片3、第1カバー片4、および第2カバー片5は、弾性変形可能な弾性部材から形成されている。このため、線材100および線材200の着脱時や保持時において、線材100および線材200が傷付くことを好適に防止できる。
【0069】
次に、本発明の一実施形態の変形例に係る線材保持具について、
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の一実施形態の変形例に係る線材保持具10の側面図であり、線材保持具10を長さ方向から見た状態を示している。
なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0070】
図6に示すように、本変形例に係る線材保持具10は、上記の実施形態に係る線材保持具1とは異なり、第2収容部7および第2挿抜部9を備えていない。
線材保持具10は、板状のベース片2と、ベース片2の表面2aから立設する壁片3と、ベース片2の表面2aから立設するとともに、ベース片2の表面2aを覆うように壁片3に向かって延びる第1カバー片4(カバー片)と、を備えている。
【0071】
線材保持具10は、ベース片2と、壁片3と、第1カバー片4とで区画され、線材を収容可能な第1収容部6を備えている。また、線材保持具10は、第1収容部6に対して壁片3側に偏心した位置に形成された第1挿抜部8を備えている。
本変形例に係る線材保持具10においては、幅方向における線材保持具10の中心が、第1収容部6内の線分L1の中点と略一致するように構成されている。
【0072】
本変形例に係る線材保持具10によれば、線材を収容する収容部の数を少なくすることによって、線材保持具10を小型化することができる。
その他の構成は、上記の実施形態に係る線材保持具1と同様である。このため、複数の線材を保持することができない点を除けば、本変形例に係る線材保持具10においても、上記の実施形態に係る線材保持具1と同様の効果を奏する。
【0073】
以上、本発明の実施形態および変形例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態および変形例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
【0074】
上記の実施形態では、線材を収容する収容部を二つ備える線材保持具1を説明したが、線材保持具が備える収容部の数は三つ以上であってもよい。この場合、線材保持具が備える収容部の数に応じて、ベース片上に適宜の数の壁部およびカバー片を形成すればよい。例えば、線材を収容する収容部を四つ備える線材保持具の場合には、第1カバー片、第2カバー片、および壁片に加えて、ベース片上に第2壁片を形成し、第2壁片を挟むようにして第3カバー片および第4カバー片をそれぞれ形成すればよい。壁片およびカバー片の数を適宜変更することにより、保持可能な線材の数を柔軟に変更することができる。
【0075】
上記の実施形態では、第1収容部6の形状と第2収容部7の形状とは、壁片3を対象軸として線対称の関係にある例を説明したが、第1収容部の形状と第2収容部の形状とを非対称の関係としてもよい。例えば、第1収容部の長さ方向から見た形状は略長円形状とし、第2収容部の長さ方向から見た形状は略円形状としてもよい。線材保持具の収容部の形状を適宜変更することにより、多種多様な線材の形状に対応することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、10 線材保持具
2 ベース片
2a (ベース片の)表面
2b (ベース片の)裏面
3 壁片
4 第1カバー片(カバー片)
5 第2カバー片
6 第1収容部(収容部)
7 第2収容部
8 第1挿抜部(挿抜部)
9 第2挿抜部
21 取り付け孔
22 薄肉部
23 平坦面
31 第1突起部(突起部)
32 第2突起部
41 (第1カバー片の)立設部
42 (第1カバー片の)延出部
43 (第1カバー片の)傾斜部
44 (第1カバー片の)端部
51 (第2カバー片の)立設部
52 (第2カバー片の)延出部
53 (第2カバー片の)傾斜部
54 (第2カバー片の)端部
100、200 線材