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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
E06B9/68 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018222761
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020084642
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】師岡 聖
(72)【発明者】
【氏名】青木 真路
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 友祐
(72)【発明者】
【氏名】山川 稔
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-028897(JP,U)
【文献】特開2006-177074(JP,A)
【文献】実開平05-024898(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/56- 9/92
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテンの開閉動作を行うシャッター装置であって、
前記シャッターカーテンの全閉状態を検知する下限検知処理と、前記シャッターカーテンの全開状態を検知する上限検知処理とを実行可能な制御部と、
前記シャッターカーテンを開閉駆動するモータとを備え、
前記下限検知処理は、前記モータにかかる負荷を示すモータ負荷に基づいて前記全閉状態を検知する処理であり、
前記制御部は、前記シャッター装置への電力供給が停止状態から復旧した場合において、前記電力供給の復旧後の前記開閉動作として閉動作が行われた場合には前記下限検知処理を実行し、前記電力供給の復旧後の前記開閉動作として開動作が行われた場合には前記上限検知処理を実行することで前記シャッターカーテンの位置を認識し
前記制御部は、前記下限検知処理時において、前記シャッターカーテンを閉動作させたときの前記シャッターカーテンの移動距離が第1の距離以上でない場合には、前記シャッターカーテンに対して前記第1の距離以上に開動作させてから、再度、前記シャッターカーテンを閉動作させて前記下限検知処理を行うことを特徴とする、シャッター装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電力供給の復旧後の最初の開閉動作として前記開動作が行われた場合には当該開動作とともに前記上限検知処理を実行し、前記電力供給の復旧後の最初の開閉動作として前記閉動作が行われた場合には当該閉動作とともに前記下限検知処理を実行することで、前記シャッターカーテンの位置を認識する、請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記モータの回転に応じた位置パルスに基づいて前記モータ負荷を検出する負荷検出部を備え、
前記第1の距離は、前記全閉状態を検知するのに十分な量の前記位置パルスが前記負荷検出部で得ることができる距離である請求項1又は2に記載のシャッター装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記シャッターカーテンの閉動作時における前記モータ負荷に基づいて、前記モータの過負荷状態を検知する下限検知部と、
前記モータの駆動を制御することで前記シャッターカーテンを開閉動作させる駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記下限検知処理において、前記下限検知部により前記モータの過負荷状態が検知された場合には、前記シャッターカーテンの閉動作を停止させて、当該停止した前記シャッターカーテンの停止位置から第2の距離だけ前記シャッターカーテンを開動作させることで前記シャッターカーテンを下限位置に制御する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシャッター装置。
【請求項5】
前記下限検知処理により前記シャッターカーテンの位置を認識する認識部を備え、
前記認識部は、前記下限検知処理の実行によって、前記シャッターカーテンの位置が前記停止位置又は前記下限位置であることを認識する、請求項4に記載のシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シャッターカーテンの現在位置を揮発性のメモリに随時記憶することで常に当該現在位置を認識しながら、シャッターカーテンの開閉動作を制御するシャッター装置が開示されている。
【0003】
ところで、停電等によりシャッター装置への電力供給が停止された場合には、上記メモリ内の現在位置のデータが消失してしまう。そのため、シャッター装置は、上記電力供給が復旧した場合には、シャッターカーテンの現在位置がわからず、シャッターカーテンの開閉動作を正確に制御することができないおそれがある。
【0004】
そこで、上記電力供給が復旧した場合には、シャッター装置の復帰操作として、ユーザが操作部の「開」を押下する操作を行うことで、シャッターカーテンを全開状態にしてシャッターカーテンの位置を認識させる方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-160622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ただし、上記方法では、上記電力供給の復旧時にユーザに対して操作部の「開」を押下させるという所定の復帰操作を強いることから、直感的な操作性が低下し、ユーザの混乱を招きかねない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、復帰操作において直感的な操作性を向上させたシャッター装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、シャッターカーテンの開閉動作を行うシャッター装置であって、前記シャッターカーテンの全閉状態を検知する下限検知処理と、前記シャッターカーテンの全開状態を検知する上限検知処理とを実行可能な制御部を備え、前記制御部は、前記シャッター装置への電力供給が停止状態から復旧した場合において、前記電力供給の復旧後の前記開閉動作として閉動作が行われた場合には前記下限検知処理を実行し、前記電力供給の復旧後の前記開閉動作として開動作が行われた場合には前記上限検知処理を実行することで前記シャッターカーテンの位置を認識することを特徴とする、シャッター装置である。
【0009】
本発明の一態様は、上述のシャッター装置であって、前記制御部は、前記電力供給の復旧後の最初の開閉動作として前記開動作が行われた場合には当該開動作とともに前記上限検知処理を実行し、前記電力供給の復旧後の最初の開閉動作として前記閉動作が行われた場合には当該閉動作とともに前記下限検知処理を実行することで、前記シャッターカーテンの位置を認識する。
【0010】
本発明の一態様は、上述のシャッター装置であって、前記シャッターカーテンを開閉駆動するモータを備え、前記下限検知処理は、前記モータにかかる負荷を示すモータ負荷に基づいて前記全閉状態を検知する処理である。
【0011】
本発明の一態様は、上述のシャッター装置であって、前記制御部は、前記下限検知処理時において、前記シャッターカーテンを閉動作させたときの前記シャッターカーテンの移動距離が第1の距離以上でない場合には、前記シャッターカーテンに対して前記第1の距離以上に開動作させてから、再度、前記シャッターカーテンを閉動作させて前記下限検知処理を行う。
【0012】
本発明の一態様は、上述のシャッター装置であって、前記モータの回転に応じた位置パルスに基づいて前記モータ負荷を検出する負荷検出部を備え、前記第1の距離は、前記全閉状態を検知するのに十分な量の前記位置パルスが前記負荷検出部で得ることができる距離である。
【0013】
本発明の一態様は、上述のシャッター装置であって、前記制御部は、前記シャッターカーテンの閉動作時における前記モータ負荷に基づいて、前記モータの過負荷状態を検知する下限検知部と、前記モータの駆動を制御することで前記シャッターカーテンを開閉動作させる駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記下限検知処理において、前記下限検知部により前記モータの過負荷状態が検知された場合には、前記シャッターカーテンの閉動作を停止させて、当該停止した前記シャッターカーテンの停止位置から第2の距離だけ前記シャッターカーテンを開動作させることで前記シャッターカーテンを下限位置に制御する。
【0014】
本発明の一態様は、上述のシャッター装置であって、前記下限検知処理により前記シャッターカーテンの位置を認識する認識部を備え、前記認識部は、前記下限検知処理の実行によって、前記シャッターカーテンの位置が前記停止位置又は前記下限位置であることを認識する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、復帰操作において直感的な操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るシャッター装置を備えたシャッターシステムAの概略構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシャッター制御装置9の概略構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシャッター制御装置9の復帰処理を実行するための制御部12の機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る復帰処理のフロー図である。
図5】本発明の一実施形態に係る復帰処理を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る初期設定のフロー図である。
図7】本発明の一実施形態に係る初期設定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るシャッター装置を、図面を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るシャッター装置を備えたシャッターシステムAの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すシャッターシステムAは、シャッター装置1及び操作部2を備える。
【0019】
シャッター装置1は、建物の窓やドア等の開口部の開放又は閉鎖を行う電動シャッター装置である。シャッター装置1は、シャッターカーテン3を備え、操作部2からの操作信号に基づいてシャッターカーテン3を開閉することにより上記開口部を開放又は閉鎖することができる。
【0020】
操作部2は、操作対象であるシャッター装置1に有線又は無線で接続され、シャッター装置1と相互に通信可能である。操作部2は、ユーザや作業者が操作可能であって、シャッター装置1に対して操作信号を入力する手段を備える、例えば、リモコン装置である。
【0021】
本実施形態では、操作部2には、開スイッチSWo、閉スイッチSWc及び停止スイッチSWtが設けられている。したがって、ユーザは、これらのスイッチを押下することで、シャッター装置1に対して、シャッターカーテン3の開閉動作や当該開閉動作の停止を指示することができる。
【0022】
具体的には、操作部2は、ユーザによっていずれかのスイッチが押下されると、シャッター装置1にスイッチに応じた信号である操作信号を出力する。
例えば、操作部2は、開スイッチSWoが操作されると、シャッターカーテン3の開動作を指示する第1の操作信号をシャッター装置1に送信する。また、操作部2は、閉スイッチSWcが操作されると、シャッターカーテン3の閉動作を指示する第2の操作信号をシャッター装置1に送信する。さらに、操作部2は、停止スイッチSWtが操作されると、シャッターカーテン3の開動作又は閉動作の停止を指示する停止信号をシャッター装置1に送信する。
【0023】
次に、本発明の一実施形態に係るシャッター装置1の概略構成の一例について説明する。
【0024】
図1に示すように、シャッター装置1は、シャッターカーテン3、ガイドレール4a,4b及びシャッターボックス5を備える。
【0025】
シャッターカーテン3は、上下方向に連結された長尺な複数のスラット3a及び最下端に設けられた巾木部3bを有する。
【0026】
巾木部3bは、最下端のスラット3aに接続された矩形断面を有する長尺部材である。
巾木部3bは、シャッターカーテン3が全開状態(開口部の開放)になる場合にマグサ(不図示)又はシャッターボックス5に接触するように突出形成されている。すなわち、巾木部3bは、シャッターカーテン3の全開状態時にはマグサ(不図示)又はシャッターボックス5に接触する。一方、巾木部3bは、シャッターカーテン3が全閉状態(開口部の閉鎖)になる場合には、シャッター装置1の枠体の下枠や床面に接触する。
なお、上記マグサは、シャッターカーテン3が上昇することで形成されるシャッター装置1の開口部の見切り部材であって、シャッターボックス5の下部に設けられていてもよい。
【0027】
ガイドレール4a及びガイドレール4bは、シャッターカーテン3の幅方向の両端に一対で設けられ、底面に対して垂直に立設されている。ガイドレール4a及びガイドレール4bは、シャッターカーテン3を構成する各スラット3aの横ずれを規制する。
【0028】
シャッターボックス5は、シャッター装置1の上部に設けられている。このシャッターボックス5は、シャッターカーテン3の巻き戻し(シャッターカーテン3の閉動作時)、又は、巻き取り(シャッターカーテン3の開動作時)を行う。
【0029】
以下に、本発明の一実施形態に係るシャッターボックス5の概略構成の一例について説明する。図1に示すように、シャッターボックス5は、シャフト6、モータ7、出力部8及びシャッター制御装置9を備える。
【0030】
シャフト6は、シャッターカーテン3の上端部とモータ7とに連結されている。シャフト6は、モータ7によって正逆方向に回転駆動される。このシャフト6の回転に応じて、シャッターカーテン3の巻き戻し、又は、巻き取りが行われる。シャフト6に巻き取られたシャッターカーテン3は、シャッターボックス5内に収容されるようになっている。
【0031】
モータ7は、シャフト6を回転駆動することでシャッターカーテン3を開閉駆動する駆動源であって、例えば直流モータから構成されている。モータ7は、シャッター制御装置9からの駆動信号に基づいて正回転、逆回転、又は回転停止する。
【0032】
出力部8は、モータ7の駆動状況を出力する機能を有する。出力部8は、例えばモータ7に内蔵されたエンコーダである。出力部8は、モータ7の回転に応じた位置パルスをシャッター制御装置9に出力する。例えば、出力部8は、モータ7が1回転すると1つの位置パルスをシャッター制御装置9に出力する。なお、出力部8は、エンコーダに限らず、例えばモータ7の回転角量を計測する等、巻取り軸やモータ7の回転量を把握できる構成であれば任意に選択できる。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係るシャッター制御装置9の概略構成図である。
図2に示すように、シャッター制御装置9は、通信部10、駆動部11及び制御部12を備える。
【0034】
通信部10は、操作部2と通信することで情報を送受する。この通信部10の通信方式は、特に限定されないが、本実施形態では、短距離無線通信規格RF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)やBluetooth(登録商標)等の無線通信方式が用いられる。
【0035】
駆動部11は、制御部12からの指令に応じた駆動信号を生成してモータ7に出力することでモータ7を駆動、又は停止させる。
【0036】
制御部12は、例えばCPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラや記憶装置などから構成され、操作部2のスイッチの操作に応じてモータ7の駆動を制御する。
【0037】
制御部12は、操作部2からの操作信号に基づいて、モータ7の回転を制御することで、シャッターカーテン3の開閉動作、又は停止動作を制御する。
【0038】
具体的には、制御部12は、通信部10を介して操作部2から開スイッチSWoに対応する操作信号である第1の操作信号を受信した場合には、シャッターカーテン3をシャフト6に巻き取らせて開動作させる指令(以下、「開指令」という。)を駆動部11に対して出力する。これにより、駆動部11は、モータ7を正転させてシャッターカーテン3を開動作させる。
【0039】
また、制御部12は、通信部10を介して操作部2から閉スイッチSWcに対応する操作信号である第2の操作信号を受信した場合には、シャッターカーテン3をシャフト6から巻き出させて閉動作させる指令(以下、「閉指令」という。)を駆動部11に対して出力する。これにより、駆動部11は、モータ7を逆転させてシャッターカーテン3を閉動作させる。
【0040】
また、制御部12は、操作部2から停止スイッチSWtに対応する停止信号を受信した場合、シャッターカーテン3の動作を停止させる指令(以下、「停止指令」という。)を駆動部11に対して出力する。これにより、駆動部11は、モータ7の回転を停止させてシャッターカーテン3の開閉動作を停止させる。
【0041】
ここで、制御部12は、シャッターカーテン3の位置Pを常に認識している。具体的には、制御部12は、シャッターカーテン3の現在の位置(以下、「認識位置」という。)Pを、自装置内の揮発性のメモリに随時記憶しながら、シャッターカーテン3の開閉動作を制御する。
【0042】
例えば、制御部12は、シャッターカーテン3を開動作させて全開状態にする場合には、シャッターカーテン3の開動作を実行している間、シャッターカーテン3の認識位置Pが上限位置Puに達したか否かを判定する。そして、制御部12は、シャッターカーテン3の位置Pが上限位置Puに達したと判定した場合には、シャッターカーテン3が全開状態であると判定して、シャッターカーテン3の開動作を停止する。
【0043】
また、制御部12は、シャッターカーテン3を閉動作させて全閉状態にする場合には、シャッターカーテン3の閉動作を実行している間、シャッターカーテン3の認識位置Pが下限位置Plに達したか否かを判定する。そして、制御部12は、シャッターカーテン3の認識位置Pが下限位置Plに達したと判定した場合には、シャッターカーテン3が全閉状態であると判定して、シャッターカーテン3の閉動作を停止する。
【0044】
ここで、例えば、シャッターカーテン3の認識位置Pとは、シャッターカーテン3の最下端(例えば、巾木部3b)の位置であって、出力部8から出力される位置パルスのカウント値Nである。すなわち、制御部12は、位置パルスをカウントして、そのカウント値Nによりシャッターカーテン3の現在の位置を認識している。
【0045】
例えば、制御部12は、初期設定として、シャッターカーテン3が全開状態であるときのカウント値Nを閾値Nuthとして予め設定する。また、制御部12は、初期設定として、この上限位置Puを基準位置として、全開状態のシャッターカーテン3が全閉状態になるまで下降させた場合のカウント値Nを閾値Nlthとして予め設定する。そして、制御部12は、初期設定により求めた閾値Nuth及び閾値Nlthを用いて、シャッターカーテンを全開状態又は全閉状態に制御する。なお、上限位置Puを基準位置として、全開状態のシャッターカーテン3が全閉状態になるまで下降させた場合のカウント値Nとは、上限位置Puと下限位置Plとの間の距離を示す。
【0046】
具体的には、制御部12は、シャッターカーテン3の閉動作時においては、現在のカウント値Nから位置パルスの数(パルス数)を加算していくことで、当該カウント値Nを更新していく。そして、制御部12は、カウント値Nが閾値Nlthに到達した場合には、シャッターカーテン3の認識位置Pが下限位置Plである、すなわちシャッターカーテン3が全閉状態であると判定する。一方、制御部12は、シャッターカーテン3の開動作時においては、現在のカウント値Nから位置パルスの数(パルス数)を減算していくことで、当該カウント値Nを更新していく。そして、制御部12は、カウント値Nが閾値Nuthに到達した場合には、シャッターカーテン3の認識位置Pが上限位置である、すなわちシャッターカーテン3が全開状態であると判定する。
【0047】
ただし、シャッター装置1の電源プラグがコンセントから外れた場合や停電が発生した場合等によりシャッター装置1への電力供給が停止された(すなわち、電源断が発生した)場合には、上記メモリ内のシャッターカーテン3の認識位置Pが消失してしまう。そのため、シャッター装置1は、シャッター装置へ電力供給が復旧した場合には、シャッターカーテン3の位置を認識できない。そのため、シャッター装置1は、シャッター装置1への電力供給の停止後に当該電力供給が復旧した場合には、シャッターカーテン3の認識位置Pを認識するための処理(以下、「復帰処理」という。)を行う。
この復帰処理とは、シャッターカーテン3を開動作させてシャッターカーテン3の全開状態(例えば、上限位置Pu)を検知する上限検知処理と、シャッターカーテン3を閉動作させてシャッターカーテンの全閉状態(例えば、下限位置Pl又は後述の押し込み位置)を検知する下限検知処理と、を選択的に実行することで、シャッターカーテンの位置を認識することである。
【0048】
以下において、本発明の一実施形態に係るシャッター制御装置9の復帰処理を実行するための制御部12の機能部を、図3を用いて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るシャッター制御装置9の復帰処理を実行するための制御部12の機能ブロック図である。
【0049】
以下に、本発明の一実施形態に係る制御部12の機能部について説明する。
【0050】
制御部12は、格納部13、駆動制御部14、負荷検出部15及び処理部16を備える。
【0051】
格納部13には、処理部16により認識位置Pが格納される。例えば、格納部13は、揮発性のメモリである。
【0052】
駆動制御部14は、シャッターカーテン3の開閉動作を制御する。
【0053】
例えば、駆動制御部14は、シャッター装置1への電力供給が停止状態から復旧した場合において、通信部10を介して操作部2から操作信号を取得すると、開指令を駆動部11に出力して第1の操作信号を取得した場合にはシャッターカーテン3の開動作を実行させる。また、駆動制御部14は、シャッター装置1への電力供給が停止状態から復旧した場合において、第2の操作信号を取得した場合には、閉指令を駆動部11に出力してシャッターカーテン3の開動作を実行させる。
駆動制御部14は、上限検知処理又は下限検知処理が終了した場合には停止指令を駆動部11に出力して、シャッターカーテン3の開閉動作を停止する。
【0054】
負荷検出部15は、モータ7にかかる負荷(以下、「モータ負荷」という。)を検出する。本実施形態に係る負荷検出部15は、カウンタ151及び負荷計測部152を備える。
【0055】
カウンタ151は、復帰処理が実行された場合には、位置パルスのパルス数のカウントを開始する。
【0056】
負荷計測部152は、出力部8から出力された位置パルスに基づいてモータ負荷を計測する。具体的には、例えば、負荷計測部152は、出力部8から出力された位置パルスのパルス幅をモータ負荷として、位置パルス毎(カウンタ151のカウント値N毎)に計測する。
【0057】
ここで、位置パルスは、モータ7の回転速度が遅くなるにつれてそのパルス幅が大きくなり、モータ7の回転速度が速くなるにつれてそのパルス幅が小さくなる。すなわち、シャッターカーテン3が上限位置Puに到達して、巾木部3bがマグサやシャッターボックス5に接触すると、モータ7に負荷がかかり、モータ7は過負荷状態となる。そのため、モータ7の回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。
また、シャッターカーテン3が下限位置Plに到達して、巾木部3bが床面又は下枠に当接してから、さらに閉動作が継続すると巾木部3bが床面又は下枠に押圧している状態になる。その結果、モータ7に負荷がかかり、モータ7は過負荷状態となる。そのため、モータ7の回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。
したがって、負荷計測部152は、位置パルス毎(カウント値N毎)に、その位置パルスのパルス幅を測定することにより、モータ7のパルス幅をモータ負荷として算出する。負荷計測部152は、カウント値Nとモータ負荷とを関連付けて処理部16に出力する。
【0058】
処理部16は、選択部161、上限検知部162、下限検知部163、距離判定部164及び認識部165を備える。
【0059】
選択部161は、シャッター装置1への電力供給が停止状態から復旧した場合において、電力供給の復旧後の開閉動作として閉動作が行われた場合には、復帰処理に用いる処理として下限検知処理を選択する。一方、選択部161は、シャッター装置1への電力供給が停止状態から復旧した場合において、電力供給の復旧後の開閉動作として開動作が行われた場合には、復帰処理に用いる処理として上限検知処理を選択する。
ただし、本発明にはこれに限定されず、例えば、選択部161は、シャッター装置1への電力供給の停止後に電力供給が復旧した場合には、操作部2から通信部10を介して取得した操作信号に基づいて、復帰処理に用いる処理として、上限検知処理及び下限検知処理のいずれかの処理を選択してもよい。例えば、選択部161は、シャッター装置1への電力供給の復旧後において、第1の操作信号と第2の操作信号のうち、最初に受信した操作信号が第1の操作信号である場合には、上限検知処理を選択する。一方、選択部161は、シャッター装置1への電力供給の復旧後において、第1の操作信号と第2の操作信号のうち、最初に受信した操作信号が第2の操作信号である場合には、下限検知処理を選択する。なお、選択部161は、シャッター装置1への電力供給の復旧後において、最初の操作信号として、停止信号を受信した場合には、第1の操作信号と第2の操作信号の受信待ちの状態を維持する。
【0060】
上限検知部162は、選択部161により上限検知処理が選択され、開動作が実行された場合には、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいて上限検知処理を実行する。例えば、上限検知部162は、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいて、モータ7が過負荷状態か否かを判定する。例えば、上限検知部162は、上限検知処理モードにおいて、モータ負荷又はモータ負荷の変化率が閾値を超えた場合には、モータ7が過負荷状態であると判定する。上限検知部162は、上限検知処理においてモータ7が過負荷状態であると判定した場合には、シャッターカーテン3が全開状態であると判定する。例えば、上限検知部162は、モータ7の過負荷状態を検知することで上限位置Puを検知する。上限検知部162は、モータ7の過負荷状態を検知した場合には、その検知結果を駆動制御部14に出力する。これにより、モータ7の開動作が停止される。
【0061】
下限検知部163は、選択部161により下限検知処理が選択され、閉動作が実行された場合には、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいて下限検知処理を実行する。例えば、下限検知部163は、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいて、モータ7が過負荷状態か否かを判定する。例えば、下限検知部163は、モータ負荷又はモータ負荷の変化率が閾値を超えた場合には、モータ7が過負荷状態であると判定する。下限検知部163は、下限検知処理においてモータ7が過負荷状態であると判定した場合には、シャッターカーテン3が全閉状態であると判定する。例えば、下限検知部163は、モータ7の過負荷状態を検知することで下限位置Plを検知する。下限検知部163は、モータ7の過負荷状態を検知した場合には、その検知結果を駆動制御部14に出力する。これにより、モータ7の開動作が停止される。
【0062】
ここで、下限検知部163は、上述したように、モータ負荷に基づいてモータ7の過負荷状態を検知する過負荷検知を用いる場合には、巾木部3bが床面又は下枠に当接した位置(下限位置Pl)ではなく、下限位置Plからさらにシャッターカーテン3の閉動作を行ってシャッターカーテン3が床面又は下枠を押し込んだ位置(以下、「押し込み位置」という。)で、モータ7が過負荷状態を検知する。ただし、押し込み位置と下限位置Plとの間の距離ΔH(例えば、位置パルスのカウント数)は、実験等により予め求めることが可能である。したがって、下限検知部163は、既知である距離ΔHを用いて押し込み位置から下限位置Plを求めることができる。すなわち、下限検知部163は、押し込み位置を検知することで下限位置Plを検知することができる。
【0063】
なお、シャッターカーテン3が押し込み位置に到達した場合には、シャッターカーテン3にたわみが発生している場合がある。そのため、駆動制御部14は、下限検知部163により、モータ7の過負荷状態が検知された場合には、モータ7の閉動作を停止するとともに、上記たわみを解消するために、シャッターカーテン3を押し込み位置から下限位置Plまで開動作を行ってもよい。例えば、駆動制御部14は、押し込み位置から下限位置までの距離ΔH(第2の距離)に相当する位置パルスのパルス数ΔKを予め実験等に求めておき、そのパルス数ΔKだけモータ7を逆回転させることで、シャッターカーテン3を押し込み位置から下限位置Plにシャッターカーテン3を移動させてもよい。
なお、以下の説明において、シャッターカーテン3のたわみを解消させるために、押し込み位置から下限位置Plまで開動作させる処理を「たわみ解消処理」という。なお、押し込み位置は、本発明の「停止位置」に相当する。
ただし、下限検知部163は、下限検知処理として過負荷検知を用いた場合において、上記たわみがない場合や許容できる程度であれば(例えば、たわみがシャッター装置1の機能を損なわない程度である)、たわみ解消処理を実行せずに、押し込み位置を下限位置としてもよい。
【0064】
このように、本実施形態の処理部16は、シャッター装置1への電力供給が停止状態から復旧した場合において、最初の開閉動作としてシャッターカーテン3の開動作が行われた場合には上限検知処理を行い、上記最初の開閉動作としてシャッターカーテン3の閉動作が行われた場合には下限検知処理を行う。
【0065】
距離判定部164は、下限検知処理モードにおいてモータ7の過負荷状態が検知された場合には、当該下限検知処理モードにおいてシャッターカーテン3の閉動作によりシャッターカーテン3が閉方向に移動した移動距離Hを求める。そして、距離判定部164は、その移動距離Hが所定距離Hth以上か否かを判定する。例えば、下限検知処理モードにおけるカウンタ151のカウント値は、当該下限検知処理モードにおけるシャッターカーテン3の移動距離を示す。したがって、例えば、距離判定部164は、カウント値Nが、所定距離Hthに相当するカウント値Nth以上か否かを判定する。そして、距離判定部164は、カウント値Nがカウント値Nth以上であれば、移動距離Hが所定距離Hth以上であると判定する。
【0066】
ここで、移動距離Hが所定距離Hth以上か否かを判定するのは、移動距離Hが所定距離Hth未満の場合には、モータ負荷のデータ数が少ないために、十分な精度で下限検知処理を行うことができないためである。したがって、距離判定部164は、移動距離Hが所定距離Hth未満の場合には、リトライ信号を駆動制御部14に出力することで、駆動制御部14にリトライ処理を実行させる。一方、距離判定部164は、移動距離が所定距離H以上である場合には、リトライ信号を出力せずに、その判定結果を認識部165に出力する。
ここで、リトライ処理とは、シャッターカーテン3に対して所定距離Hth以上、開動作させてから、再度、シャッターカーテン3を閉動作させて下限検知処理を実行する処理である。この、所定距離Hthは、全閉状態(例えば、下限位置Pl又は押し込み位置)を検知するのに十分な量の位置パルスが負荷検出部15で得ることができる距離である。
なお、所定距離Hthは、本発明の「第1の距離」の一例である。
【0067】
認識部165は、上限検知処理においてモータ7の全開状態が検知された場合には、シャッターカーテン3が全開状態にあると認識して、当該格納部13に認識位置Pとして全開位置(例えば、上限位置Pu)を格納する。
【0068】
認識部165は、下限検知処理においてモータ7の全閉状態が検知され、且つ、移動距離が所定距離Hthを超えている場合には、シャッターカーテン3が全閉状態にあると認識して、格納部13に認識位置Pとして全閉位置(例えば、下限位置Pl又は押し込み位置)を格納する。例えば、認識部165は、下限検知処理においてモータ7の過負荷が検知され、且つ、移動距離が所定距離Hを超えている場合には、シャッターカーテン3の現在位置が押し込み位置であると認識して、格納部13に認識位置Pとして押し込み位置を格納する。ただし、認識部165は、下限検知処理としてモータ7の過負荷検知とは異なる方法でシャッターカーテン3の全閉状態を検知する場合には、モータ7の全閉状態が検知された場合に、シャッターカーテン3の現在位置が下限位置Plにあると認識して、格納部13に認識位置Pとして下限位置Plを格納する。
ここで、認識部165は、たわみ解消処理が実行された場合には、シャッターカーテン3の認識位置Pが下限位置Plであると認識して、格納部13に認識位置Pとして下限位置Plを格納する。
【0069】
次に、本発明の一実施形態に係る復帰処理の流れについて、図4及び図5を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る復帰処理のフロー図である。図5は、本発明の一実施形態に係る復帰処理を説明する図である。
【0070】
例えば、停電により停止されていたシャッター装置1への電力供給が復旧した場合には(ステップS101)、制御部12は、操作部2のスイッチ操作が行われたか否かを判定する(ステップS102)。このスイッチ操作とは、シャッターカーテン3を開動作又は閉動作させるための操作であって、例えば、開スイッチSWo又は閉スイッチSWcの押下操作である。
【0071】
制御部12は、操作部2から操作信号を受信した場合には、スイッチ操作が行われたかと判定して、開スイッチSWo及び閉スイッチSWcのうち、どのスイッチが操作されたかを判定する(ステップS103)。一方、制御部12は、操作部2から操作信号を受信しない場合には、スイッチ操作が行われていないと判定して、スイッチS102の処理に戻る。
【0072】
制御部12は、ステップS102において、操作部2から第1の操作信号を受信した場合には開スイッチSWoが操作されたと判定し、駆動制御部14による開動作(ステップS104)とともに上限検知部162による上限検知処理を実行する(ステップS105)。
【0073】
例えば、上限検知部162は、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいて、モータ7が過負荷状態か否かを判定する。そして、上限検知部162は、モータ7が過負荷状態であると判定した場合には、シャッターカーテン3の位置Pが上限位置Puに到達したと判定する。すなわち、上限検知部162は、上限位置Puを検知する。そして、認識部165は、シャッターカーテン3が全開状態であると認識する(ステップS106)。すなわち、認識部165は、シャッターカーテン3の現在位置が上限位置Puであると認識して、格納部13に認識位置Pとして上限位置Puを格納する。
【0074】
このように、シャッター装置1への電力供給が停電等により停止され、シャッターカーテン3の位置Pが消失してしまった場合には、シャッター装置1は、上記電力供給の復旧後において、ユーザの開スイッチSWoへの操作に応じて上限検知処理を実行する。これにより、シャッター装置1は、ユーザが所望する方向にシャッターカーテン3を動作させて上記電力供給の停止(電源断)により不明となったシャッターカーテン3の位置Pを確定させることができる。
【0075】
制御部12は、ステップS102において、操作部2から第2の操作信号を受信した場合には閉スイッチSWcが操作されたと判定し、駆動制御部14による閉動作(ステップS107)とともに下限検知部163による下限検知処理を実行する(ステップS108)。したがって、図5(a)において、電力供給が復旧したときのシャッターカーテン3の認識位置PがP1である場合には、シャッターカーテン3は、閉動作して下限位置Plに接近する。なお、ステップS107のシャッターカーテン3の閉動作の開始に伴い、カウンタ151により位置パルスのカウントを開始される。
【0076】
例えば、下限検知部163は、下限検知処理として、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいて、モータ7が過負荷状態か否かを判定する。下限検知部163によりモータ7が過負荷状態であると判定された場合には、駆動制御部14は、シャッターカーテン3の閉動作を停止する。さらに、下限検知部163によりモータ7が過負荷状態であると判定された場合には、距離判定部164は、カウンタ値Nがカウント値Nth以上か否かを判定する(ステップS109)。
【0077】
距離判定部164によりカウンタ値Nがカウント値Nth以上であると判定された場合には、ステップS108の下限検知処理(過負荷検知)を有効として、認識部165は、シャッターカーテン3が全閉状態であると認識する(ステップS110)。そして、認識部165は、格納部13に認識位置Pとして下限位置Plを格納する。
【0078】
このように、シャッター装置1への電力供給が停電等により停止され、シャッターカーテン3の位置Pが消失してしまった場合には、シャッター装置1は、上記電力供給の復旧後において、ユーザの閉スイッチSWcへの操作に応じて下限検知処理を実行する。これにより、シャッター装置1は、ユーザの所望する方向にシャッターカーテン3を動作させ上記電力供給の停止(電源断)により不明となったシャッターカーテン3の認識位置Pを確定させることができる。
【0079】
ただし、この場合には、シャッターカーテン3の現在の位置Pは、下限位置Plではなく、押し込み位置である。そのため、シャッターカーテン3にはたわみが発生している。そこで、駆動制御部14は、たわみ解消処理を実行する(ステップS111)。すなわち、駆動制御部14は、押し込み位置と下限位置Plとの間の距離に相当するパルス数ΔKだけモータ7を逆回転させることで、シャッターカーテン3を当該距離だけ開動作させて下限位置Plにシャッターカーテン3を移動させる。
【0080】
一方、ステップS109の処理において、距離判定部164によりカウンタ値Nがカウント値Nth未満であると判定された場合には、制御部12(例えば、距離判定部164)は、ステップS108の下限検知処理(過負荷検知)を無効とする。すなわち、図5(b)に示すように、電力供給が復旧したときのシャッターカーテン3の位置Pが、押し込み位置から所定距離Hth未満の位置P2である場合には、モータ負荷を計測するのに位置パルスのデータ量(パルス数)が十分ではない。そのため、制御部12は、カウンタ値Nがカウント値Nth未満での下限検知処理(過負荷検知)を無効にし、カウンタ値Nがカウント値Nth以上での下限検知処理を実行すべく、リトライ処理を実行する。
【0081】
具体的には、まず、駆動制御部14は、カウンタ151のカウント値Nをリセットして、シャッターカーテン3の開動作を実行する(ステップS112)。カウンタ151は、ステップS112の開動作が開始されると、位置パルスのカウントを開始する。
【0082】
駆動制御部14は、シャッターカーテン3の開動作を継続しながら、カウント値Nがカウント値Nth以上か否かを一定周期ごとに判定する(ステップS113)。そして、駆動制御部14は、カウント値Nがカウント値Nth以上であると判定した場合には、シャッターカーテン3の開動作を停止して閉動作を開始する(ステップS107)。そして、再度、下限検知処理が実行される。
【0083】
次に、本発明の一実施形態に係る制御部12の上限位置Pu及び下限位置Plの初期設定の方法について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る初期設定のフロー図である。図7は、本発明の一実施形態に係る初期設定を説明する図である。
【0084】
まず、制御部12は、操作部2に対する設定操作が行われたか否かを判定する。この設定操作とは、ユーザによる初期設定の実行を指示する操作であって、例えば、開スイッチSWo、閉スイッチSWc、停止スイッチSWtのうち、一つのスイッチの短押し操作であってもよいし、二つ以上のスイッチの同時押しであってもよいし、一つ以上のスイッチの長押しであってもよい。さらに、操作部2に設定スイッチを設けられている場合には、設定操作とは、当該設定スイッチに対する操作(例えば、短押し)であってもよい。
【0085】
制御部12は、操作部2に対して設定操作が行われたことを示す設定信号を操作部2から受信した場合には、操作部2に対する設定操作が行われたと判定して(ステップS201)、シャッターカーテン3の開動作を実行する(ステップS202)。
【0086】
制御部12は、シャッターカーテン3の開動作を実行すると、上限検知処理を実行する(ステップS203)。例えば、制御部12は、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいて、モータ7が過負荷状態か否かを一定周期ごとに判定する。そして、制御部12は、モータ7の過負荷状態を検知することで上限位置Puを検知した場合には、現在のカウント値Nを上限位置Puに設定する。
【0087】
次に、制御部12は、シャッターカーテン3の閉動作を開始して(ステップS205)、下限検知処理を実行する(ステップS205)。例えば、制御部12は、シャッターカーテン3の閉動作中において、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいて、モータ7が過負荷状態か否かを一定周期ごとに判定する。なお、制御部12は、ステップS204の閉動作の実行に伴い、上限位置Puを基準位置として、位置パルスのカウントを開始する。
【0088】
制御部12は、モータ7が過負荷状態であると判定すると、現在のカウント値Nよりもパルス数ΔKだけ差し引いた値を下限位置Plに設定する。その後、制御部12は、たわみ解消処理を行い、シャッターカーテン3を下限位置Plに移動させる(ステップS206)。
【0089】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0090】
(変形例1)上記実施形態において、シャッターカーテン3は、任意な部材や構造で構成されたものであってよい。例えば、シャッターカーテン3は、複数のスラット3aで形成されてもよく、シートで形成されてよく、一部のみが複数のスラット3aで構成されてもよい。
【0091】
(変形例2)上記実施形態では、負荷検出部15は、モータ負荷を位置パルスのパルス幅としたが、本発明はこれに限定されず、モータ負荷を検出できれば、位置パルスのパルス幅を用いなくてもよい。例えば、負荷検出部15は、モータ7のトルクを公知の技術を用いて検出することでモータ負荷を検出してもよい。
【0092】
(変形例3)上記実施形態では、制御部12は、上限検知処理及び下限検知処理として、モータ7の過負荷検知を用いたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、制御部12は、モータ負荷を用いずに、上限検知処理及び下限検知処理を実行してもよい。例えば、シャッター装置1は、シャッターカーテン3の最下端(例えば、巾木部3b)が上限位置Puに到達したことを検知するセンサやスイッチ等の上限位置検知機構を備えてもよい。
すなわち、制御部12は、上限位置検知機構を用いて上限検知処理を実行してもよい。この場合には、制御部12は、上限位置検知機構によりシャッターカーテン3の最下端が上限位置Puに到達したことが検知された場合に、上限位置Puを検知する。
また、シャッター装置1は、シャッターカーテン3の最下端(例えば、巾木部3b)が下限位置Plに到達したことを検知するセンサやスイッチ等の下限位置検知機構を備えてもよい。すなわち、制御部12は、下限位置検知機構を用いて下限検知処理を実行してもよい。この場合には、制御部12は、下限位置検知機構によりシャッターカーテン3の最下端が下限位置Plに到達したことが検知された場合に、下限位置Plを検知する。
なお、制御部12は、上限検知処理及び下限検知処理のうち、いずれか一方をモータ7の過負荷検知を用い、他方をセンサやスイッチ等の位置検知機構(上限位置検知機構又は下限位置検知機構)を用いてもよい。
【0093】
(変形例4)上記実施形態では、制御部12は、たわみ解消処理を実行したが、押し込み位置においてシャッターカーテン3のたわみが発生しない、又は許容できる程度であれば、たわみ解消処理を実行しなくてもよい。また、制御部12は、下限検知処理として、モータ7の過負荷検知を用いないのであれば、たわみ解消処理を実行しなくてもよい。
【0094】
(変形例5)
上記実施形態において、上限検知部162はモータ負荷に基づいてモータ7の過負荷状態を検知する過負荷検知を上限検知処理に用いる場合には、巾木部3bがマグサ又はシャッターボックス5に当接した位置(上限位置Pu)ではなく、上限位置Puからさらにシャッターカーテン3の開動作を行ってシャッターカーテン3を巻き締めした位置(以下、「巻き締め位置」という。)で、モータ7が過負荷状態を検知することも考えられる。ただし、巻き締め位置と上限位置Puとの間の距離(例えば、位置パルスのカウント数)は、実験等により予め求めることが可能である。したがって、上限検知部162は、巻き締め位置と上限位置Puとの間の距離を用いて巻き締め位置から上限位置Puを求めることができる。すなわち、上限検知部162は、巻き締め位置を検知することで上限位置Puを検知することができる。
したがって、この場合には、認識部165は、上限検知処理においてモータ7の過負荷が検知された場合には、シャッターカーテン3の現在位置が巻き締め位置であると認識して、当該格納部13に認識位置Pとして巻き締め位置を格納する。
なお、制御部12は、シャッターカーテン3の現在位置が巻き締め位置であると認識した後で、巻き締め位置と上限位置Puとの間の距離だけ閉動作させて、シャッターカーテン3の巻き締めをリリースするリリース処理を実行してもよい。そして、制御部12は、リリース処理後、格納部13の認識位置Pを上限位置Puに更新してもよい。
【0095】
以上、説明したように、本実施形態に係るシャッター装置1は、下限検知処理及び上限検知処理を実行可能な制御部12を備える。そして、制御部12は、シャッター装置1への電力供給が停止状態から復旧した場合において、当該電力供給の復旧後の開閉動作として閉動作が行われた場合には下限検知処理を実行し、当該電力供給の復旧後の前記開閉動作として開動作が行われた場合には上限検知処理を実行する。
【0096】
このような構成によれば、シャッター装置1に対する電力供給の復旧時にユーザに対して操作部2の「開」のスイッチを押下させるという所定の復帰操作を強いることがない。
すなわち、ユーザは、シャッター装置1に対する電力供給の復旧時であっても、復帰操作を意識することなく、通常の使用時と同様に、シャッターカーテン3を全閉させたいのであれば閉スイッチSWcを押下し、シャッターカーテン3を全開させたいのであれば開スイッチSWuを押下すればよい。これにより、シャッター装置1は、シャッターカーテン3の位置を認識する復帰処理を実行するとともに、ユーザの要望どおりに、シャッターカーテン3を開閉することができる。したがって、復帰操作において直感的な操作性を向上させることができ、ユーザの混乱を招くことを抑制することができる。
【0097】
また、上記実施形態において、制御部12は、下限検知処理として、モータ7にかかる負荷を示すモータ負荷に基づいて下限位置Plを検知してもよい。
【0098】
このような構成によれば、下限検知処理を行うにあたって、新たなセンサやスイッチを設ける必要がない。
【0099】
また、上記実施形態において、制御部12は、下限検知処理時において、シャッターカーテン3を閉動作させたときのシャッターカーテン3の移動距離Hが所定距離Hht以上でない場合には、シャッターカーテン3に対して所定距離Hth以上、開動作させてから、再度、シャッターカーテン3を閉動作させて下限検知処理を行ってもよい。
【0100】
ここで、下限検知処理における過負荷検知では、過負荷状態であっても、上限検知処理の過負荷検知ほどモータ負荷に顕著な変化は現れない。そのため、下限検知処理における過負荷検知では、十分な量の位置パルスを用いなければ、モータ7の過負荷状態を正確に検知することができない。したがって、本実施形態では、下限位置Plを検知するのに十分な量の位置パルスが負荷検出部15で得ることができる距離(所定距離Hth)を予め実験等で設定しておき、制御部12は、下限検知処理において、シャッターカーテン3の閉動作による移動距離Hが所定距離Hth未満の場合には、リトライ処理を実行することで、モータ7の過負荷状態を正確に検知することができる。
【0101】
なお、上述した実施形態における制御部12の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、上記コンピュータは、CPU、GPUなどのプロセッサ及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えてもよい。そして、学習装置Aの全部または一部の機能をコンピュータで実現するためのプログラムを上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを上記プロセッサに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。ここで、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0102】
A シャッターシステム
1 シャッター装置
2 操作部
3 シャッターカーテン
9 シャッター制御装置
11 駆動部
12 制御部
14 駆動制御部
15 負荷検出部
165 認識部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7