(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】浴室カウンター収納構造及び浴室ユニット
(51)【国際特許分類】
A47K 4/00 20060101AFI20221202BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A47K4/00
E04H1/12 301
(21)【出願番号】P 2018163346
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉原 新一朗
(72)【発明者】
【氏名】西澤 研一
(72)【発明者】
【氏名】澤▲崎▼ 美紀子
(72)【発明者】
【氏名】井口 隆磨
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-113778(JP,A)
【文献】特開2002-065495(JP,A)
【文献】特開平08-019486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 4/00
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能な載置面を備え、浴室の壁面に対して着脱可能に構成された浴室カウンターと、
前記浴室カウンターを収納状態で保持する収納ブラケットと、
を備え、
前記浴室カウンターは、前記浴室カウンターの厚さ方向に貫通する排水口が形成され、
前記浴室カウンターは、前記収納状態において、
前記排水口に前記収納ブラケットが挿入されて、前記浴室の床面から上方に離間した位置で前記収納ブラケットにより保持されることを特徴とする浴室カウンター収納構造。
【請求項2】
前記収納状態において、前記浴室カウンターの前記載置面の周縁全周が前記壁面及び前記床面から離間した位置で前記収納ブラケットに保持される
請求項1に記載の浴室カウンター収納構造。
【請求項3】
前記収納状態において、前記浴室カウンターは、前記載置面が前記壁面に沿って配置されて収納される
請求項1または請求項2に記載の浴室カウンター収納構造。
【請求項4】
前記収納状態において、前記浴室カウンターは、前記載置面の反対側に設けられる裏面側が前記壁面に対向して配置されて前記収納ブラケットにより保持される
請求項3に記載の浴室カウンター収納構造。
【請求項5】
前記収納状態において、前記浴室カウンターは、前記載置面が前記壁面に対向して配置されて前記収納ブラケットにより保持される
請求項3に記載の浴室カウンター収納構造。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の浴室カウンター収納構造を備える浴室ユニットであって、
前記収納ブラケットは、前記浴室の洗い場に面する前記壁面に取り付けられていることを特徴とする浴室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に着脱可能に取り付けられる浴室カウンター収納構造及び浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内の壁面には、石鹸、洗面器等、浴室で使用する物品を載置するカウンターが取り付けられている。例えば、シャワーや蛇口等の吐水装置の下方にカウンターが設けられ、カウンター上に石鹸、シャンプー、洗面器等を載置して使用する場合がある。
【0003】
このような浴室カウンターとして、浴室カウンター及びその周辺の清掃を行いやすくするためにカウンターを浴室の壁面から容易に着脱可能とするカウンターが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1のカウンターは、壁面への着脱が容易でありかつ軽量であるため、容易に清掃が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、浴室カウンターの下方の床面や壁面を清掃する際、壁面から取り外した浴室カウンターの置き場所について考慮されていなかった。そのため、清掃者は、取り外した浴室カウンターを持ちながら清掃する必要があり、作業性の改善が望まれていた。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、着脱可能な浴室カウンターの清掃時の負担を軽減可能な浴室カウンター収納構造及び浴室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る浴室カウンター収納構造は、物品を載置可能な載置面を備え、浴室の壁面に対して着脱可能に構成された浴室カウンターと、前記浴室カウンターを収納状態で保持する収納ブラケットと、を備え、前記浴室カウンターは、前記浴室カウンターの厚さ方向に貫通する排水口が形成され、前記浴室カウンターは、前記収納状態において、前記排水口に前記収納ブラケットが挿入されて、前記浴室の床面から上方に離間した位置で前記収納ブラケットにより保持されることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、着脱可能に構成された浴室カウンターを壁面から取り外した際に、収納ブラケットにより収納状態で保持できる。さらに、収納状態では、浴室カウンターを浴室の床面から上方に離間した位置で保持できる。このため、浴室カウンターを壁面から取り外した際に、浴室の床面から離間した位置で、浴室カウンターを収納ブラケットにより安定的に支持できる。この結果、シャワー等の水栓から飛散する水が掛かったり、水が溜まりやすい床面から離間した位置で浴室カウンターを収納状態で保持できる。したがって、浴室カウンターを汚れ難い状態で収納可能である。また、清掃時に、清掃者が浴室カウンターを手で保持することなく容易に清掃できる。この結果、浴室カウンターの清掃時の清掃者の負担を軽減できる。
この発明によれば、浴室カウンターに設けられている排水口を収納ブラケットへの被支持部として兼用できる。したがって、浴室カウンターに収納ブラケットへの係合部を別途形成する場合に比べて、浴室カウンターの凹凸を低減できる。この結果、外観意匠性に優れた浴室カウンターを提供できる。また、凹凸部の清掃を低減できるため、浴室カウンターの清掃時の負担を軽減できる。
【0009】
本発明に係る浴室カウンター収納構造では、前記収納状態において、前記浴室カウンターの前記載置面の周縁全周が前記壁面及び前記床面から離間した位置で前記収納ブラケットに保持されてもよい。
【0010】
この発明によれば、収納状態において、浴室カウンターの載置面の周縁全周が浴室の壁面及び床面から離間した位置で浴室カウンターを収納ブラケットに保持できる。この結果、収納状態の浴室カウンターの全周を清掃できる。浴室及び浴室カウンターの清掃時に浴室カウンターを収納ブラケットにより安定的に支持できる。さらに、収納状態では、浴室カウンターを浴室の床面から上方に離間した位置で保持できる。その結果、清掃時に、清掃者が浴室カウンターを手で保持することなく容易に清掃できる。したがって、着脱可能な浴室カウンターの清掃時の負担を軽減できる。
【0011】
本発明に係る浴室カウンター収納構造では、前記収納状態において、前記浴室カウンターは、前記載置面が前記壁面に沿って配置されて収納されてもよい。
【0012】
この発明によれば、収納状態において、浴室カウンターの載置面を浴室の壁面に沿って配置して収納できる。この結果、浴室カウンターの壁面からの突出量を抑え、かつ床面から離間して収納できる。したがって、浴室カウンターの収納時、浴室カウンターが掃除や浴槽使用時の使用者の動線を妨げることがない。また、載置面が浴室の壁面に沿って配置されるため、浴室カウンターの壁面からの突出量が使用状態よりも抑えて収納できる。
なお、載置面が浴室の壁面に沿って配置されるとは、載置面が水平方向に向けて配置されて浴室の壁面に近接配置されること、および載置面が浴室の壁面と平行に配置されることを含む。
【0013】
本発明に係る浴室カウンター収納構造は、前記収納状態において、前記浴室カウンターは、前記載置面の反対側に設けられる裏面側が前記壁面に対向して配置されて前記収納ブラケットにより保持されてもよい。
【0014】
この発明によれば、収納状態において、浴室カウンターの裏面側が浴室の壁面に対向配置されて収納ブラケットにより保持される。したがって、収納状態時に、載置面が浴室の内側に向けられて保持される。載置面は、物品を載置するためにフラットな面を多く備えるため、収納状態では載置面が壁面と反対側に配置されると浴室カウンターを見栄えよく収納できる。また、裏面は、載置面に比べてブラケットへの取付けるための複雑な形状を多く備えるため、裏面が浴室の壁面に対向して配置されると、収納状態時に、裏面を見せない状態で浴室カウンターを保持でき、浴室カウンターをシンプルな外観で収納できる。また、凹凸部分等に汚れが付着し易い裏面を一旦見せない状態で収納できる。
【0015】
本発明に係る浴室カウンター収納構造は、前記収納状態において、前記浴室カウンターは、前記載置面が前記壁面に対向して配置されて前記収納ブラケットにより保持されてもよい。
【0016】
この発明によれば、収納状態において、浴室カウンターの裏面側が浴室の内側に向けられて保持される。この結果、天板に比べて凹凸箇所が多い裏面を清掃者側に配置して保持されるため、浴室カウンターの裏面を清掃し易い。
【0019】
本発明に係る浴室ユニットは、上記浴室カウンター収納構造を備える浴室ユニットであって、前記収納ブラケットは、前記浴室の洗い場に面する前記壁面に取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、収納ブラケットが洗い場に面する壁面に取り付けられるため、使用状態の浴室カウンターを取り外して収納ブラケットに取り付ける際の動線が円滑となる。また、浴室カウンターの清掃時、清掃者が洗い場に起立姿勢あるいは座位で浴室カウンターを容易に清掃できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、本発明は、着脱可能な浴室カウンターの清掃時の負担を軽減可能な浴室カウンター収納構造及び浴室ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造を備える浴室ユニットの浴室カウンターの使用状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造を備える浴室ユニットの浴室カウンターの収納状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態の浴室カウンターの収納状態の側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の浴室カウンターをブラケットに取り付ける態様を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態のブラケットの側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態の浴室カウンターの裏面側の平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の浴室カウンターの収納状態の縦断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の浴室カウンターをブラケットに取り付ける態様を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態の浴室カウンターの取付態様を示す模式図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造の変形例を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態の浴室カウンターの収納状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る浴室カウンター収納構造について説明する。
図1及び
図2は、本実施形態に係る浴室カウンター収納構造1を備える浴室ユニット100の斜視図である。
図1は、浴室カウンター2の使用状態を示す図であり、
図2は浴室カウンター2の収納状態を示す図である。
図3は、本実施形態の浴室カウンターの収納状態を示す側面図である。本実施形態に係る浴室カウンター収納構造1は、浴室空間BRの第一壁部103に対して着脱可能に構成された浴室カウンター2を、取り外して収納する際の収納構造である。以下では、浴室カウンター収納構造1を用いた浴室ユニット100を例に説明する。なお、浴室カウンター収納構造1は浴室ユニット100に限らず、在来工法により施工された浴室においても適用可能である。
【0024】
浴室ユニット100は、建物の躯体内にフレームとパネルとを用いて、床、壁、天井及び浴槽等を組み立てて設置される。浴室ユニット100内に形成される浴室空間BR(浴室)には外枠形状が平面視で略長方形の浴槽101と、平面視略矩形であり、浴槽101と壁との間の床部を構成する洗い場(床面)102と、が設けられている。浴槽101の洗い場102との境界部分となる端部には、浴槽101の側面を覆うエプロン105が設けられ、洗い場102と浴槽101とは、エプロン105を介して接続されている。浴室空間BRは、四方に立設された複数の壁部により形成されている。
【0025】
本実施形態では、浴室ユニット100の複数の壁部のうち、シャワー器具109、水栓110、シャワーホルダ107が設けられた壁を第一壁部103と称する。また、浴槽101のエプロン105の表面は、第一壁部103と直交して配置されている。
【0026】
以下の説明において、第一壁部103の壁面に沿った水平方向を幅方向、幅方向に直交する水平方向を奥行方向とする。奥行方向のうち第一壁部103に近接する方向を奥行方向の奥側とし、第一壁部103と離間する方向を奥行方向の手前側とする。第一壁部103の幅方向のうち、使用者が第一壁部103に向かって立つ場合の左右をそれぞれ右側、左側と称する。本実施形態では、幅方向の左側に浴槽101が配置され、右側に洗い場102が配置されている。
【0027】
図1及び
図2に示すように、浴室カウンター2(以下、「カウンター」と記載する。)は、第一壁部103に取り付けられた後述するブラケット3(収納ブラケット)に対して着脱可能に構成されている。本実施形態では、第一壁部103の水栓110の下方、かつ、洗い場102の床面から上方に離間した位置に、カウンター2が取り付けられる。
【0028】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造1は、第一壁部103に対して着脱可能なカウンター2をブラケット3から取り外した際に、カウンター2を収納状態で保持する構造である。
図1に示すように、天板41を上方に向けて配置してブラケット3に支持された状態をカウンター2の使用状態と称する。使用状態では、天板41は上方(天井側)を向いて第一壁部103からに略水平方向に突出して配置される。一方、
図2に示すように、カウンター2の天板41が水平方向に向いて配置されて保持される状態を収納状態と称する。
【0029】
浴室カウンター収納構造1は、カウンター2と、ブラケット3(収納ブラケット)とを備え、カウンター2がブラケット3に着脱可能に保持される。
【0030】
カウンター2の構成について、使用状態の配置に基づき説明する。カウンター2は、物品を載置可能な天板(載置面)41を備える平板状の部材である。カウンター2は、使用状態において上側に配置される天板部材4と、下側に配置される底板部材5と、を有し、天板部材4と底板部材5とが接合されて構成されている(
図7参照)。天板部材4および底板部材5は、それぞれ樹脂材料により形成されている。
【0031】
ブラケット3は、第一壁部103に取り付けられている。ブラケット3は、不図示の金属部材により第一壁部103に固定され、樹脂製のカバー部材により金属部材が覆われて構成されている。
図3から
図5に示すように、ブラケット3は、ベース体31と、アーム部32とを備えている。ベース体31およびアーム部32はカバー部材に一体に形成されている。ベース体31は、幅方向に長尺な部材であり、金属部材を覆い、裏面311が第一壁部103に当接している。
図5に示すように、表面部312は、上部が上下方向に延びる平面形状であり、下部は下端側に向かって次第に奥行方向の厚みが薄くなるようにわずかに傾斜する傾斜面が形成されている。ベース体31の表面部312の幅方向両端部は、ベース体31より幅方向外側に僅かに突出する突出縁315,315を有する。
【0032】
アーム部32は、平面視略U字形状を有し、表面部312から手前側に向かって略水平方向に突出して形成されている。アーム部32は、幅方向に離間する2つの基部321,321がベース体31の表面部312から手前側に突出し、各基部321,321の手前側の端部間にバー322が架設されている。バー322は、表面部312と略平行に延設されている。
図4に示すように、バー322の手前側の端面は長楕円形状を有する。バー322には、化粧パネル323が取り付けられている(
図7参照)。基部321,321の幅方向外側の各端部には、幅方向に突出する突起34,34が形成されている。
【0033】
アーム部32と、ベース体31の表面部312との間には、係合孔33が形成されている。係合孔33は上下方向に貫通している。
【0034】
係合孔33の上方のベース体31の表面部312には、ベース体31の上面313よりも上方に突出する突出壁314が形成されている。突出壁314は、ベース体31の手前側に表面部312に沿って上方に延出するように突出している。
図3に示すように、突出壁314の左右上端部は幅方向外側に向かって下側に傾斜している。
【0035】
図5に示すように、ブラケット3は、水栓110の第一壁部103からの突出長よりも突出長が短い。
【0036】
カウンター2は、ブラケット3を介して浴室空間BRの第一壁部103に対して着脱可能に構成されている。
図6は、カウンター2の裏面側の平面図である。
図6に示すように、カウンター2は、厚さ方向から見た平面視における形状が略長方形であり、4つの角部は円弧形状を有する。天板部材4と底板部材5とは外周縁部同士が接合されている。カウンター2の外周縁部には、厚さ方向(上下方向)に厚みを有する外周側壁23が形成されている。外周側壁23は、略平面状の壁部である。
【0037】
使用状態では、カウンター2は、2つの長辺端部21,22のうちの一方の長辺端部側でブラケット3に係合され、第一壁部103から手前側に向かって突出している。2つの長辺端部21,22のうち、使用状態において手前側に位置する長辺端部を第一長辺端部21と称し、被係合部52が設けられている側の長辺端部を第二長辺端部22と称する。
【0038】
カウンター2には、厚さ方向に貫通する排水口24が形成されている。排水口24は、第一長辺端部21の近傍であって、第一長辺端部21よりも奥側に形成され、第一長辺端部21と略平行に延びる長孔である。排水口24の幅方向の両端部は、円弧形状を有する。天板部材4及び底板部材5に、排水口24の形状に倣う貫通孔440,540がそれぞれ形成されている。
図7に示すように、各貫通孔440,540の周縁には、カウンター2の厚さ方向に立設されたリブ441,541が形成されている。天板部材4と底板部材5とが接合されると、リブ441,541同士が嵌合し、天板部材4と底板部材5との間に形成されるカウンター2の内部空間への浸水が防止されている。
【0039】
図1から
図3に示すように、天板部材4の天板41は上面(載置面)が扁平に形成されている。天板41は、カウンター2の外周縁部から排水口24に向かって僅かに下降傾斜している(
図7参照)。すなわち、天板41は、排水口24の縁部の高さが最も低く、カウンター2の外周縁部から排水口24に向かって緩やかに下降傾斜して形成されている。ただし、天板41の傾斜角度は、天板41上の水が排水口24に向かって流れ、物品を載置した際に、物品が自重で傾斜に沿って移動しない程度の僅かな傾斜である。
【0040】
図3に示すように、底板51は、幅方向(長辺方向)の中央部において、第一長辺端部21から第二長辺端部22に向かって下方に傾斜した傾斜面を備えている。
【0041】
図6に示すように、底板51の第二長辺端部22側の領域に被係合部52を備える。被係合部52は、第二長辺端部22の幅方向略中央部、かつ第二長辺端部22側の外周側壁23より下方に形成されている。底板51の被係合部52は、内側凹部55と、外側凹部56と、突条部53と、挿入穴54とを備える。
【0042】
内側凹部55は、底板51の幅方向略中央部に略矩形に形成された凹部である。内側凹部55の幅方向の長さは、排水口24の幅方向の長さと略等しい。また、内側凹部55の左右の側壁551,551間の距離は、ブラケット3のアーム部32の幅方向の寸法よりも僅かに大きい。
図6に示すように、各側壁551,551には、係止凸部57,57が設けられている。係止凸部57,57は、それぞれ幅方向の中央側に向かって突出し、かつ奥行方向に延びる長尺な突起である。
【0043】
内側凹部55の第二長辺端部22側の端部に突条部53が形成されている。突条部53は、略直方体形状であり、内側凹部55の底部553から下方に突出して形成されている。突条部53は、ブラケット3の係合孔33の平面視内周形状と相似する形状を有する。
【0044】
外側凹部56は、内側凹部55と第二長辺端部22との間に形成された凹部である。外側凹部56は、内側凹部55と連続して形成され、幅方向に長尺な略矩形の凹部である。外側凹部56は、内側凹部55よりも幅方向の開口寸法が長い。外側凹部56の幅方向の寸法は、ブラケット3のベース体31の表面部312の幅方向の寸法よりも僅かに長い。
【0045】
挿入穴54は、外側凹部56の底部561の幅方向中央部に、上方に向かって窪んで形成されている。挿入穴54は、突条部53と隣接する位置に形成されている。挿入穴54は、ブラケット3の突出壁314の形状と相似する形状を有する。
【0046】
外側凹部56の幅方向の左右の側壁562,562には、幅方向外側に窪むスリット563,563がそれぞれ形成されている。
【0047】
次に、カウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。カウンター2は、使用状態と収納状態でそれぞれブラケット3に係合可能に構成されている(
図9参照)。まず、使用状態におけるカウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。
【0048】
図8は、使用状態におけるカウンター2をブラケット3へ取り付ける態様を示す斜視図である。
図8に示すように、カウンター2の天板41を上方に向けて、底板51の被係合部52をブラケット3に上方から近付け、突条部53を係合孔33に挿入し、挿入穴54に突出壁314を挿入する。
【0049】
突条部53はアーム部32の係合孔33の平面視形状と相似し、内側凹部55の側壁551,551間の距離はブラケット3のアーム部32の幅方向の寸法よりも僅かに大きいため、アーム部32と被係合部52とが係合する。また、内側凹部55の手前側壁部552と突条部53とにより、アーム部32のバー322が挟持される。さらに、突条部53の奥側壁531がブラケット3の表面部312に当接する。この結果、カウンター2の上方からの力に対して十分な耐荷重を備えて、カウンター2を使用状態で支持できる。
【0050】
アーム部32と被係合部52との係合時、内側凹部55の各側壁551,551に設けられた係止凸部57,57がアーム部32の基部321,321の突起34,34を乗り越え、係止凸部57,57が突起34,34に係止される。さらに、外側凹部56のスリット563,563にベース体31の表面部312の突出縁315,315が挿入される。
【0051】
使用状態におけるカウンター2の支持構造が上述の構成を備える結果、カウンター2はブラケット3の上方から近付けて、被係合部52とアーム部32とを係合させる簡易な構成で、カウンター2をブラケット3に着脱可能に係合させることができる。つまり、ネジ等の固定部材を用いることなく、カウンター2をブラケット3に係合できる。また、カウンター2の使用中に上方向へ不慮の力が加わった場合でも、カウンター2がブラケット3から外れ難い。
【0052】
一方、カウンター2をブラケット3から取り外す場合は、使用者がカウンター2を把持しながら上方に持ち上げると、係止凸部57,57が突起34,34を乗り越えて被係合部52とブラケット3との係合が解除可能となり、カウンター2をブラケット3から取り外すことができる。
【0053】
次に、収納状態におけるカウンター2とブラケット3との係合構造について説明する。収納状態では、
図4に示すように、ブラケット3から取り外したカウンター2の天板41を水平方向に向け、底板51側をブラケット3に近付ける。このとき、第一長辺端部21が上側となるように配置し、排水口24をブラケット3のアーム部32に近付ける。排水口24の平面視開口形状は、アーム部32の正面視形状と相似し、排水口24の開口寸法がアーム部32の正面視形状よりもわずかに大きい。したがって、底板51側をアーム部32に対して奥行方向に近付けると、排水口24内にアーム部32が挿入可能となり、アーム部32が排水口24に係止される。この結果、カウンター2は、アーム部32に係止された状態で下垂して支持され、カウンター2がブラケット3に収納状態で保持される。なお、
図7に示すように、底板51の第二長辺端部22側の端部領域59(
図6参照)が第一壁部103に当接するように構成すると、カウンター2が上下方向の2か所で第一壁部103に支持されるため、カウンター2が収納状態で安定的に保持される。
【0054】
図3に示すように、収納状態では、天板41が第一壁部103に沿って配置されてカウンター2がブラケット3に保持される。本実施形態では、収納状態では、天板41が第一壁部103に略平行に配置されてカウンター
2が保持される。
【0055】
図3に示すように、収納状態では、底板51が第一壁部103に対向し、天板41が奥行方向の手前側に配置されてカウンター2がブラケット3に保持される。
【0056】
図3では、底板51が第一壁部103に対向するように配置してカウンター2をブラケット3に保持する例を示したが、この構成に限定されない。例えば、
図11に示すように、天板41が第一壁部103に対向し、底板51が第一壁部103を奥行方向の手前側に位置するようにカウンター2を配置してブラケット3に保持してもよい。このように、ブラケット3は、天板41を奥行方向の手前側に配置しても、底板51を奥行方向の手前側に配置してもカウンター2を収納状態で保持可能な構成としてもよい。この結果、天板41ならびに底板51が清掃し易い。特に、天板41に比べて凹凸箇所が多い底板51を奥行方向の手前側に配置してブラケット3に保持すると、清掃が行い易い。また、天板41を奥行方向の手前側に配置して保持すると、略平板上の天板41が洗い場102側に見えるように配置されるため、収納状態時にカウンター2の見栄えがよい。
【0057】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、着脱可能に構成されたカウンター2を第一壁部103から取り外した際に、ブラケット3により収納状態で保持できる。さらに、収納状態では、カウンター2を浴室の床面から上方に離間した位置で保持できる。このため、カウンター2を壁面から取り外した際に、浴室の床面から離間した位置で、カウンター2をブラケット3により安定的に支持できる。この結果、シャワー等の水栓から飛散する水が掛かったり、水が溜まりやすい床面から離間した位置でカウンター2を収納状態で保持できる。したがって、カウンター2を汚れ難い状態で収納可能である。また、清掃時に、清掃者がカウンターを手で保持することなく容易に清掃できる。この結果、カウンター2の清掃時の清掃者の負担を軽減できる。
【0058】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、
図2、
図3及び
図9に示すように、収納状態では、カウンター2の被係合部52がブラケット3に係合された状態で、カウンター2の外周側壁23の全周(天板41の周縁全周)が第一壁部103に及び床面から離間した位置でブラケット3に保持されている。その結果、収納状態のカウンター2の全周を容易に清掃できる。
【0059】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、収納状態において、カウンター2の天板41の載置面を浴室の第一壁部103に沿って配置して収納できる。この結果、カウンター2の第一壁部103からの突出量を抑え、かつ床面から離間して収納できる。したがって、カウンター2の収納時、洗い場102におけるカウンター2の占有スペースを抑えることができ、カウンター2が掃除や浴槽使用時の使用者の動線を妨げることがない。また、洗い場102を広く使用できる。
【0060】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、
図3に示すように、収納状態では、カウンター2の底板51(裏面)側が第一壁部103に対向し、第一壁部103に沿って配置されてブラケット3により保持される。したがって、収納状態時に、天板41が浴室の洗い場102側に向けられて保持される。天板41は、物品を載置するためにフラットな面を多く備えるため、収納状態では天板41が第一壁部103と反対側に配置されると、カウンター2を見栄えよく収納できる。
【0061】
また、底板51は、天板41に比べてブラケットへの取付けるための複雑な形状を多く備えるため、底板51が浴室の第一壁部103に対向して配置されると、収納状態時に、底板51を見せない状態で保持でき、カウンター2をシンプルな外観で収納できる。また、凹凸部分等に汚れが付着し易い底板51を一旦見せない状態で収納できる。さらに、使用状態と収納状態とで、カウンター2の天板の向きが変わっただけであり、使用者が違和感なくカウンター2を収納できる。
【0062】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、収納状態において、カウンター2の底板51側が浴室の洗い場側に向けられて保持される。この結果、天板41に比べて凹凸箇所が多い底板51を清掃者側に配置して保持されるため、カウンター2の底板51側を清掃し易い。
【0063】
本実施形態に係る浴室カウンター収納構造によれば、カウンター2に設けられている排水口24をブラケット3への被支持部として兼用できる。したがって、カウンター2に収納時にブラケット3へ係合させる係合部を別途形成する場合に比べて、カウンター2の凹凸を低減できる。この結果、外観意匠性に優れたカウンター2を提供できる。また、凹凸部の清掃を低減できるため、カウンター2の清掃時の負担を軽減できる。
【0064】
本実施形態に係る浴室ユニット100によれば、ブラケット3が洗い場102に面する壁面に取り付けられるため、使用状態のカウンター2を取り外してブラケット3に取り付ける際の使用者の動線が円滑となる。また、カウンター2の清掃時、清掃者が洗い場102に起立姿勢あるいは座位でカウンター2を容易に清掃できる。
【0065】
浴室カウンター収納構造1及び浴室ユニット100は、上記実施形態の構成に限定されない。
図10に、浴室カウンター収納構造1の変形例を示す。なお、以下の説明において、上記実施形態と同様の構成には実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。上記実施形態では、ブラケット3を、カウンター2の使用状態の支持ブラケット及び収納状態の収納ブラケットとして兼用する例を示した。しかし、支持ブラケットと収納ブラケットとは別部材としてもよい。
【0066】
図10に示す変形例では、浴槽101の縁部1011に、上記ブラケット3と同様の構成のブラケットを取り付け、収納ブラケット3Aとして使用している。
図10に示すように、上述の実施形態のブラケット3(支持ブラケット)に加えて、カウンター2の収納用の収納ブラケットを別途設けてもよい。また、本変形例のように、カウンター2を水栓110等の下方以外の場所に保持してもよい。このように、収納ブラケットの取付位置は、支持ブラケットが設けられる第一壁部103に限らず、浴室の壁面に設けられればよい。
【0067】
このように、水栓110の下方以外の場所でカウンター2を収納状態で保持すると、シャワー器具の下方にカウンター2を収納状態で保持する場合に比べて、水栓110等の下方のスペースをより広く使用できる。例えば、洗い場102に椅子等を設置せず、使用者が起立状態でシャワー器具109を使用する場合に、使用者の動線を妨げず、使用者が快適に使用可能な浴室ユニットを提供できる。また、使用状態用のブラケット3を清掃する際に、カウンター2を浴槽101のエプロン105に沿って収納状態で保持できる。その結果、清掃時の清掃者の負担を軽減できる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 浴室カウンター収納構造
2 浴室カウンター
3 ブラケット(収納ブラケット)
24 排水口
51 底板(裏面)
41 天板(載置面)
100 浴室ユニット
102 洗い場
103 第一壁部(壁面)