(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】流し台用の被覆部材、被覆構造、施工方法
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20221202BHJP
A47B 77/00 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A47K1/00 W
A47B77/00
(21)【出願番号】P 2018163859
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 幸博
(72)【発明者】
【氏名】日影 正弘
(72)【発明者】
【氏名】千枝 邦洋
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-071748(JP,U)
【文献】実開昭50-072524(JP,U)
【文献】実開平03-094142(JP,U)
【文献】特開2005-319130(JP,A)
【文献】実開昭59-134433(JP,U)
【文献】特開2004-41308(JP,A)
【文献】特開平7-100027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00
A47B 77/00
A47B 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改装後の流し台の蹴込部に取り付けられ、前記蹴込部の前方を被覆する、流し台用の被覆部材
であって、
前記蹴込部は、当該蹴込部の前面に取り付けられる第1係合部を備え、
前記蹴込部の前方を被覆する前面部と、前記前面部の幅方向の両端から前記蹴込部の幅方向の両端まで延びる一対の側面部と、を有し、
前記蹴込部に面する前記被覆部材の前記側面部の裏面に取り付けられ、前記第1係合部に係合する第2係合部と、を有する、流し台用の被覆部材。
【請求項2】
前記第2係合部は、前記蹴込部側に向かって突出する一対の嵌合爪を有し、
前記第1係合部は、前記被覆部材の前面部側に向かって突出し前記嵌合爪に嵌合する一対の嵌合受け部を有する、請求項
1に記載の流し台用の被覆部材。
【請求項3】
改装後の流し台の蹴込部に取り付けられ、前記蹴込部の前方を被覆する、流し台用の被覆部材であって、
前記蹴込部は、当該蹴込部の前面に取り付けられる第1係合部を備え、
前記蹴込部の前方を被覆する前面部と、前記前面部の幅方向の両端から前記蹴込部の幅方向の両端まで延びる一対の側面部と、を有し、
前記蹴込部に面する前記被覆部材の前記前面部の裏面に取り付けられ、前記第1係合部に係合する第2係合部と、を有する
、流し台用の被覆部材。
【請求項4】
前記蹴込部の幅方向の中央部と、前記前面部の幅方向の中央部との間に配置される補強部材をさらに有する、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の流し台用の被覆部材。
【請求項5】
前記一対の側面部を構成する一対の側板と、前記前面部を構成する前板と、が接合されて構成される、請求項
1~
4のいずれか1項に記載の流し台用の被覆部材。
【請求項6】
前記流し台は、洗面化粧台である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の流し台用の被覆部材。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の前記流し台用の被覆部材と、前記蹴込部とを備える、流し台用の被覆構造。
【請求項8】
請求項
2に記載の前記流し台用の被覆部材と、前記蹴込部とを備える、流し台用の被覆構造であって、
前記第1係合部は、前記嵌合受け部を固定支持する取付面部を有し、
前記取付面部は、その角部が前記蹴込部の前面の角部に対応する位置に配置され、前記嵌合受け部の固定位置を規定する位置決め部
に沿って、位置合わせして取り付けられる、流し台用の被覆構造。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の流し台用の被覆部材と、
前記蹴込部と、を備える、洗面化粧台。
【請求項10】
請求項
5に記載の流し台用の被覆部材の施工方法であって、
前記前板を前記改装後の流し台の幅方向の寸法に合わせて切断する前板切断工程と、
切断後の前記前板の両端に前記一対の側板を接合する側板接合工程と、を有する、流し台用の被覆構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流し台用の被覆部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台や台所の流し台の下にキャビネットが配置され、キャビネットの奥側の位置で、床に向かって垂直に延びる蹴込部が形成されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、流し台等を改装して取り替える場合がある。このとき、改装後に取り付けられる新しいキャビネットの奥行方向の位置が、古いキャビネットの蹴込部よりも奥に配置される場合がある。
【0005】
蹴込部の奥行方向の位置が変化することで、床材の色が汚れで変わったり、床材が配置されていない部分が露出したりする場合がある。このため、改装によって蹴込部の位置が奥側に変化した場合に、床材の外観が変化した箇所を隠すことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明は、改装後の流し台(例えば、後述の洗面化粧台100)の蹴込部(例えば、後述の蹴込部2)に取り付けられ、前記蹴込部の前方を被覆する、流し台用の被覆部材(例えば、後述の被覆部材10)に関する。
【0007】
(2) 前記蹴込部は、当該蹴込部の前面に取り付けられる第1係合部(例えば、後述の第1係合部4)を備え、前記蹴込部の前方を被覆する前面部(例えば、後述の前面部11)と、前記前面部の幅方向の両端から前記蹴込部の幅方向の両端まで延びる一対の側面部(例えば、後述の側面部12)と、を有し、前記蹴込部に面する前記被覆部材の前記側面部の裏面に取り付けられ、前記第1係合部に係合する第2係合部(例えば、後述の第2係合部13)と、を有することが好ましい。
【0008】
(3) 前記第2係合部は、前記蹴込部側に向かって突出する一対の嵌合爪(例えば、後述の嵌合爪132)を有し、前記第1係合部は、前記被覆部材の前面部側に向かって突出し前記嵌合爪に嵌合する一対の嵌合受け部(例えば、後述の嵌合受け部42)を有することが好ましい。
【0009】
(4) 前記蹴込部は、当該蹴込部の前面に取り付けられる第1係合部を備え、前記蹴込部の前方を被覆する前面部と、前記前面部の幅方向の両端から前記蹴込部の幅方向の両端まで延びる一対の側面部と、を有し、前記蹴込部に面する前記被覆部材の前記前面部の裏面に取り付けられ、前記第1係合部に係合する第2係合部と、を有することが好ましい。
【0010】
(5) 前記蹴込部の幅方向の中央部と、前記前面部の幅方向の中央部との間に配置される補強部材(例えば、後述の第1補強部材14)をさらに有することが好ましい。
【0011】
(6) 前記一対の側面部を構成する一対の側板と、前記前面部を構成する前板と、が接合されて構成されることが好ましい。
【0012】
(7) 前記流し台は、洗面化粧台であることが好ましい。
【0013】
(8) (1)~(7)のいずれかに記載の前記流し台用の被覆部材と、前記蹴込部とを備える、流し台用の被覆構造が好ましい。
【0014】
(9) (3)に記載の前記流し台用の被覆部材と、前記蹴込部とを備える、流し台用の被覆構造であって、前記第1係合部は、前記嵌合受け部を固定支持する取付面部(例えば、後述の取付面部41)を有し、前記取付面部は、その角部が前記蹴込部の前面の角部に対応する位置に配置され、前記嵌合受け部の固定位置を規定する位置決め部(例えば、後述の位置決め部5)を有する、流し台用の被覆構造が好ましい。
【0015】
(10) (6)に記載の流し台用の被覆部材の施工方法であって、前記前板を前記改装後の流し台の幅方向の寸法に合わせて切断する前板切断工程(例えば、後述の前板切断工程S1)と、切断後の前記前板の両端に前記一対の側板を接合する側板接合工程(例えば、後述の側板接合工程S2)と、を有する、流し台用の被覆構造の施工方法が好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、改装後の蹴込部の前方に位置する床材を隠蔽可能な被覆部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の改装後の洗面化粧台を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の蹴込部及び被覆構造を示す展開図である。
【
図3】本実施形態の被覆部材を示し、(a)図は、上面図、(b)図は下面図、(c)図は側面図である。
【
図5】他の実施形態における蹴込部及び被覆部材を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の改装後の流し台としての洗面化粧台100を示す斜視図である。
図1に示すように、洗面化粧台100は、湯水を貯水又は排水可能な洗面器110と、洗面器110の下部に配置され、内部に物品の収容空間が形成されるキャビネット120と、洗面器110に湯水を吐水可能な混合水栓150と、キャビネット120の前側の下方に配置される蹴込部2と、を有する。洗面化粧台100の蹴込部2の前側には、被覆構造1が設けられている。
なお、本明細書において、洗面化粧台100の使用時に使用者が位置する方を前方、前方に対向する奥側を後方と呼び、前方から後方に向かった状態で左右方向を規定する。
【0019】
洗面器110は、略長方形の周縁から下方に向かって窪むボウル部111と、ボウル部111の後方から上方へ延出する後方壁部112とを有する。
【0020】
混合水栓150は、後方壁部112に取り付けられ、洗面器110に湯水を吐水する吐水装置151と、図示しない給水管から湯水を供給し、吐水及び止水の操作を行う水栓装置152とを有する。
【0021】
キャビネット120は、略直方体に形成され、洗面器110の四周の縁から床材9に向かって延出する一対のキャビネット側面121と、前扉122と、背面部123と、蹴込部2と、を有する。
一対のキャビネット側面121は、洗面器110の左右の側縁から下方に延出する。
前扉122は、洗面器110の前側の側縁から下方に延び、床面から所定距離上方に離れた位置が下端部になっている。
背面部123は、前扉122に対向して背面側に配置される板材であり、建物の壁面にネジで固定される。
【0022】
蹴込部2は、前扉122の下端から床面までの垂直な面であり、前扉122の前面よりも奥側で上下に延びている。蹴込部2は、キャビネット120を側面から見た場合、キャビネット側面121の下方で、前方から後方にL字型に切り欠かれた部分の前面である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態では、改装後の洗面化粧台100は、キャビネット120の前後方向の奥行が小さくなったため、蹴込部2が改装前と比べて奥側に移動した。このため、改装前の蹴込部があった位置と改装後の蹴込部2との間Dで、所謂クッションフロア等の床材9の色に変化が生じている。
【0024】
図2は、蹴込部2及び被覆構造1を示す展開図である。
図2に示すように、被覆構造1は、被覆部材10と、蹴込部2と、を有する。
【0025】
図3は被覆部材10を示し(a)図は上面図、(b)図は下面図、(c)図は左側面図である。(c)図では説明の便宜のため、手前の左側の側面部12を省略して表している。
被覆部材10は、
図3に示すように、改装後の洗面化粧台100の蹴込部2に取り付けられ、蹴込部2の前方を被覆する。被覆部材10は、平面視略コの字状に形成され、前面部11と、一対の側面部12と、第2係合部13と、第1補強部材14と、第2補強部材15と、を有する。
【0026】
前面部11は、蹴込部2の前方を被覆する長方形の木製の板材である。前面部11は、キャビネット120の幅と同じ寸法を有する前板により構成される。
【0027】
側面部12は、前面部11の幅方向の一方及び他方から蹴込部2の両端まで延びる木製の板材である。側面部12は、取り付けられた状態でキャビネット側面121に沿う面を形成する横板により構成される。側面部12の前面部11側の端面にはダボ124が形成され(
図4参照)、前面部11側の穴にダボ124が差し込まれて前面部11と側面部12とが接合されることで、被覆部材10が形成される。
【0028】
第2係合部13は、
図3(c)に示すように、前面部11と側面部12とが交差する角において側面部12の裏面に取り付けられ、後述する第1係合部4に係合する。第2係合部13は、一対の係合部取付部131及び一対の嵌合爪132を有する。
係合部取付部131は、略長方形の板面であり、側面部12の内側面にネジで締結される。
嵌合爪132は、係合部取付部131の長手方向の略中央部に設けられ、前面部11から離れる方向、すなわち蹴込部2側に向かって突出する。嵌合爪132は、先端側に前面部11側へ向かって凸となる嵌合片132aが形成される。第2係合部13の嵌合爪132と、後述する第1係合部4とが互いに係合することで、被覆部材10が蹴込部2に固定される。
【0029】
第1補強部材14は、蹴込部2の前面と、被覆部材10の前面部11の裏側の間に配置される角柱体である。また、第1補強部材14は、蹴込部2の幅方向の中央部と、前面部11の幅方向の中央部との間に配置される。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、第1補強部材14の厚みは、キャビネット120の蹴込部2と前面部11の裏面との間の寸法と同じかそれよりもわずかに厚い。第1補強部材14は、発泡スチロールであり、両面テープにより前面部11の裏側に接着される。第1補強部材14は、被覆部材10が蹴込部2に取り付けられた状態で、前面部11に押圧されながら前面部11を補強する。
【0030】
第2補強部材15は、
図3(b)に示すように、前面部11と側面部12とが交差する角部に取り付けられるL字型の金具である。
図3(c)に示すように、第2補強部材15は、第2係合部13の係合部取付部131の直下に取り付けられる。第2補強部材15により、前面部11と側面部12との接合が強固に補強される。
【0031】
図4は、被覆構造1の断面図である。
第1係合部4は、
図2及び
図4に示すように、蹴込部2の前面に取り付けられる。具体的には、第1係合部4は、蹴込部2の幅方向両側で、被覆部材10の側面部12の厚さ分内側にずれた位置に配置されている。第1係合部4は、取付面部41と、嵌合受け部42とを有する。
【0032】
図2に示すように、取付面部41は長方形状の板面であり、蹴込部2の前面に取り付けられる。詳細には、取付面部41は、蹴込部2の幅方向の両側にネジで締結される。また、取付面部41は、取り付け位置を規定するための位置決め部5を有する。
位置決め部5は、長方形のシールであり、蹴込部2の幅方向の両端に貼付される。なお、他の実施形態における位置決め部5は、シールでなくてもよく、糊がついていないフィルム状の部材でもよい。この場合、別途、糊等を用いて、位置決め部5を貼ればよい。また、位置決め部5は、長方形でなくてもよい。位置決め部5は、蹴込部2の前面で、幅方向の両端部と上端との角部に対応する位置に配置される。位置決め部5の幅方向内側及び下縁に沿って、取付面部41の角を位置合わせすれば、取付面部41が第2係合部13に係合可能な位置に取り付けられる。
【0033】
嵌合受け部42は、取付面部41に固定支持され、取付面部41から被覆部材10の前面部11側に向かって突出する。嵌合受け部42は、案内溝420と、凹部421とを有する。
案内溝420は、嵌合受け部42の外縁が第2係合部13よりも一回り大きく形成され、かつ内側(前面部の略中央部側)に向かって突出することで、外縁同士の間に前後方向に延びるように成される。案内溝420に、第2係合部13の嵌合爪132が案内される。
凹部421は、案内溝420の奥側が窪むことで形成される。凹部421に嵌合爪132の嵌合片132aが係止されることで、嵌合爪132が第1係合部4に嵌合する。
【0034】
以上の被覆構造1は、次の手順で取り付けられる。
改装後の洗面化粧台100における蹴込部2の上端でかつ幅方向両端の角部に、位置決め部5を貼る。そして、位置決め部5の下方内側端部に、第1係合部4の取付面部41を合わせて接合し、第1係合部4をネジで取り付ける。第1係合部4の取付面部41は、嵌合受け部42の奥側の端部から、蹴込部2に沿って延び、蹴込部2に取り付けられる平坦な板面である。位置決め部5により、第1係合部4における取付面部41が、位置を正確に決められるとともに、嵌合受け部42の固定位置が規定される。これにより、嵌合爪132と嵌合受け部42とが嵌合可能に向き合うことになる。位置決め部5の寸法は、被覆部材10が蹴込部2に取り付けられた際に、取付面部41が側面部12の板厚よりも内側であり、蹴込部2の所定位置(嵌合受け部42が嵌合爪132に嵌合可能な位置)に配置されるように、決められている。
被覆部材10を蹴込部2側に近付けて、第2係合部13の嵌合爪132を、第1係合部4の嵌合受け部42に形成された案内溝420に沿わせつつ、嵌合片132aを凹部421に嵌合させる。これにより、被覆部材10が改装後の蹴込部2に取り付けられ、蹴込部2の前方に位置する床材の一部を覆う。
【0035】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、洗面化粧台用の被覆部材10を、改装後の洗面化粧台100の蹴込部2に取り付け、蹴込部2の前方を被覆するように構成した。
本実施形態によれば、改装後のキャビネット120が、改装前のキャビネットよりも奥行方向の寸法が小さくなったことで、改装前の床材9が露出した場合に、キャビネット120の蹴込部2の前方を被覆する被覆部材10を取り付けることで、改装前の床材9が露出した部分を隠すことができる。このため、改装後のキャビネット120回りの美観を容易に向上させることができる。
【0036】
本実施形態では、被覆部材10を、蹴込部2の前面に取り付けられる第1係合部4を含んで構成するとともに、蹴込部2の前方を被覆する前面部11と、前面部11の幅方向の両端から蹴込部2の幅方向の両端まで延びる一対の側面部12と、を含んで構成し、蹴込部2に面する被覆部材10の側面部12の裏面に取り付けられ、第1係合部4に係合する第2係合部13と、を含んで構成した。
本実施形態では、蹴込部2の前面に取り付けられた第1係合部4に、被覆部材10の側面部12の裏面に取り付けられた第2係合部13を係合させることで被覆部材10が蹴込部2を覆うので、第1係合部4や第2係合部13が被覆部材10の外側から視認されない。このため、改装後の蹴込部2の美観を向上させることができる。
【0037】
本実施形態では、第2係合部13を、蹴込部2側に向かって突出する一対の嵌合爪132を含んで構成した。また、第1係合部4を、被覆部材10の前面部側に向かって突出し嵌合爪132に嵌合する一対の嵌合受け部42を含んで構成した。
嵌合爪132と嵌合受け部42との係止嵌合により被覆部材10と蹴込部2が固定されるので、第1係合部4及び第2係合部13を容易かつ目立たなく構成することができる。
【0038】
本実施形態では、蹴込部2の幅方向の中央部と、前面部11の幅方向の中央部との間に配置される第1補強部材14をさらに含んで構成した。
前面部11の中央部が第1補強部材14により裏打ちされているので、前面部11の剛性及び強度が高まる。仮に、前面部11が洗面化粧台100の使用者のつま先で蹴られることがあったとしても、被覆構造1の形状を維持することができる。
【0039】
本実施形態では、被覆部材10を、一対の側面部12を構成する一対の側板と、前面部11を構成する前板と、を接合して構成した。このため、被覆部材10を単純な直方形状等に構成した場合よりも軽量化することができる。
【0040】
本実施形態では、流し台は洗面化粧台100である、蹴込部2が、洗面化粧台100のキャビネット120の下に配置されることで、洗面化粧台100の改装で、露出した床材9の改装前の下地や、色の変化した部分等を被覆することができ、上記と同様の効果を奏する。
【0041】
本実施形態では、洗面化粧台100用の被覆構造1を、洗面化粧台100用の被覆部材10と、蹴込部2と、を含んで構成した。これにより、上記と同様の効果を奏する。
【0042】
本実施形態では、流し台用の被覆構造1において、第1係合部4を、嵌合受け部42を固定支持する取付面部41を含んで構成した。また、取付面部41を、その角部が蹴込部2の前面の角部に対応する位置に配置され、嵌合受け部42の固定位置を規定する位置決め部5を含んで構成した。
位置決め部5により、第1係合部4を取り付ける位置を容易に知ることができる。また、第1係合部4の取り付け位置を正確にすることで、第1係合部4と第2係合部13との係合、より詳細には、嵌合爪132と嵌合受け部42との嵌合部が確実に行われ、嵌合爪132及び嵌合受け部42が外れることを防止できる。また、被覆部材10と第1係合部4とのがたつきや変形等を防止することができる。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
図5は、他の実施形態に係る被覆構造1Aの模式図である。
他の実施形態では、前面部11A及び一対の側面部12Aは別体であり、前面部11Aの側面に側面部12Aを取り付けて構成される。
【0044】
前面部11Aを構成する前板は、木製又は樹脂製等の長方形の板であり、施工現場において取り付ける改装後の洗面化粧台(図示省略)におけるキャビネット120Aの幅方向の寸法に合わせて切断される(前板切断工程S1)。
【0045】
側面部12Aを構成する側板は、前面部11Aの幅方向の一方及び他方に取り付けられる樹脂製の長方形の板であり、長手方向が上下方向に沿うように配置される。側面部12Aの側板は、切断した後の前面部11Aの前板の両端に接合される(側板接合工程S2)。側面部12Aは、挟持部17及び第3係合部18を有する。
【0046】
挟持部17は、側面部12Aを前面部11Aに取り付けた場合の側面部12Aの前方側に位置する端部に形成される。挟持部17は、前面部11Aの中央部側に向かって突出し、前面部11Aの厚さ方向の端部を挟持可能な2つの突出片171を有している。突出片171は、一つが側面部12Aの前端に、もう一つが前端から前面部11Aの厚さ分、後方に離れた位置に設けられる。
【0047】
第3係合部18は、蹴込部2に設けられた第1係合部4Aに係合するように突出する鉤状の部分である。第3係合部18は、側面部12Aの幅方向の他方、すなわち前面部11Aに取り付けた場合の後方側に位置する端部に形成される。挟持部17は、前面部11Aの幅方向内側に向かって突出する。
【0048】
第1係合部4Aは、蹴込部2の前面に取り付けられる取付面部41Aと、第3係合部18に係合可能な嵌合受け部42Aを有する。嵌合受け部42Aは、取付面部41Aから前方に向かって突出した後、蹴込部2の幅方向外側に屈曲する。
【0049】
図5に示すように、前面部11Aに側面部12Aを取り付けた状態で、蹴込部2に向かって近付ける。すると、側面部12Aの後方側の端部から突出する第3係合部18が、蹴込部2に取り付けられた第1係合部4Aの嵌合受け部42Aの先端を弾性変形して乗り越え、側面部12Aの後方端部が蹴込部2に当接した位置で第3係合部18が嵌合受け部42Aに係合する。これにより、被覆部材10Aが第1係合部4Aを介して蹴込部2に取り付けられる。
【0050】
他の実施形態によれば、洗面化粧台100の幅方向の寸法が、施工現場によって異なる場合に、予め複数の寸法の前面部用の前板を準備しておかなくても、木製又は樹脂製等の板を施工現場で切断することで合わせられるので、部品点数を低減できる。
【0051】
また、以上の実施形態において、蹴込部2側に第1係合部4が形成され、被覆部材側に第2係合部13が設けられる構成を例に説明したが、これに限られない。係合部が蹴込部2側に設けられ、第1係合部が被覆部材側に設けられてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、側面部12の裏面側に第2係合部13が設けられているが、これに限られない。第2係合部13は、前面部11の裏面側に設けられていてもよい。
【0053】
また、被覆部材10、10Aを蹴込部2に取り付ける構造は、爪状の部材及びこれを受ける部材が互いに係合することを例に説明したが、これに限られない。例えば磁石や面ファスナー等で接合してもよく、釘やネジで固定してもよい。
【0054】
また、以上の実施形態において、蹴込部2が洗面化粧台100の下部に設けられることを例に説明したが、これに限られない。蹴込部は、台所用シンクの下部に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 被覆構造
2 蹴込部
4 第1係合部
5 位置決め部
10 被覆部材
11 前面部
12 側面部
13 第2係合部
14 第1補強部材(補強部材)
41 取付面部
42 嵌合受け部
100 洗面化粧台
132 嵌合爪