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特許7186626表皮材のスラッシュ成形方法およびスラッシュ成形装置
<図1>
  • 特許-表皮材のスラッシュ成形方法およびスラッシュ成形装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】表皮材のスラッシュ成形方法およびスラッシュ成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 41/18 20060101AFI20221202BHJP
   B29C 41/36 20060101ALI20221202BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20221202BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20221202BHJP
【FI】
B29C41/18
B29C41/36
B60K37/00 G
B29L31:58
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019008037
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2020116781
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新見 慎悟
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-256068(JP,A)
【文献】特開2006-095721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 41/00-41/52
B60K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグドアが設けられるインストルメントパネルの表皮材を成形するスラッシュ成形方法であって、
スラッシュ成形型を加熱する成形型加熱ステップと、
前記成形型加熱ステップで加熱された前記スラッシュ成形型の成形面に対し、粉体樹脂原料を供給して付着させると共に溶融させることにより溶融樹脂層を形成する溶融樹脂層形成ステップと、
前記溶融樹脂層形成ステップで形成された前記溶融樹脂層を冷却して固化させることにより前記表皮材とする冷却ステップと、
前記表皮材を前記スラッシュ成形型から取り外す脱型ステップとを含み、
前記溶融樹脂層形成ステップでは、前記スラッシュ成形型の成形面において、前記表皮材のうち前記エアバッグドアを構成するエアバッグドア部および該エアバッグドア部周辺の成形部位に前記粉体樹脂原料を時間的に優先して供給することにより、当該成形部位での前記粉体樹脂原料の溶融量を多くして、前記表皮材における前記エアバッグドア部および該エアバッグドア部の周辺部位での肉厚を他の部位よりも厚く成形する
ことを特徴とする表皮材のスラッシュ成形方法。
【請求項2】
エアバッグドアが設けられるインストルメントパネルの表皮材を成形するスラッシュ成形型と、該スラッシュ成形型との接合および分離が可能である、粉体樹脂原料を収容した粉体ボックスとを備え、
加熱された前記スラッシュ成形型と前記粉体ボックスとを接合してなる接合体を回転させることにより、前記粉体ボックスに収容した前記粉体樹脂原料を前記スラッシュ成形型の成形面に供給して、前記表皮材を成形するスラッシュ成形装置であって、
前記粉体ボックスには、前記接合体の回転動作に従い、前記スラッシュ成形型の成形面に対し一端から他端に向けて広がり及ぶように供給される前記粉体樹脂原料を収容する第1原料収容部と、前記スラッシュ成形型の成形面の一部に向けて供給される前記粉体樹脂原料を収容する第2原料収容部とが設けられ、
前記第2原料収容部は、前記粉体ボックスを前記スラッシュ成形型に接合した状態で、該スラッシュ成形型の成形面において前記表皮材のうち前記エアバッグドアを構成するエアバッグドア部の成形部位に向けて延びるガイド壁を有し、前記接合体の回転動作により、前記粉体樹脂原料を、前記ガイド壁に案内させて前記スラッシュ成形型の成形面における前記エアバッグドア部および該エアバッグドア部周辺の成形部位に優先的に供給する
ことを特徴とする表皮材のスラッシュ成形装置。
【請求項3】
請求項2に記載された表皮材のスラッシュ成形装置において、
前記スラッシュ成形型の成形面は、互いに同じ向きで短手方向に並列に複数設けられ、
前記第1原料収容部および前記第2原料収容部は、個々の前記成形面に対して別個独立に設けられている
ことを特徴とする表皮材のスラッシュ成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグドアが設けられるインストルメントパネルの表層をなす表皮材のスラッシュ成形方法および当該表示材のスラッシュ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の内装部品であるインストルメントパネルには、しぼ模様などの意匠を施した表皮材が用いられており、当該パネルの内部に格納されたエアバッグを展開させるためのエアバッグドアが一体に設けられている。表皮材の裏面には、エアバッグドアがエアバッグの展開する力によって容易に開くように、スリットからなるティアラインと呼ばれる破断予定線がエアバッグドアを画定する位置に形成されている。
【0003】
インストルメントパネルの表皮材を成形する方法としては、表皮材の表面にしぼ模様などの意匠を施すのに適した、スラッシュ成形方法が知られている。表皮材をスラッシュ成形方法で成形する場合は、通常、加熱されたスラッシュ成形型と粉体樹脂原料を収容した粉体ボックスとを接合して一体的に回転させることでスラッシュ成形型に粉体樹脂原料を供給し、供給した粉体樹脂原料をスラッシュ成形型の成形面に付着させて溶融させた後に冷却して固化させることにより、表皮材を成形する。
【0004】
このような表皮材のスラッシュ成形方法は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された表皮材のスラッシュ成形方法では、スラッシュ成形型および粉体ボックスの回転途中で、スラッシュ成形型の成形面のうち所定の部分が下方位置となったときに、スラッシュ成形型および粉体ボックスの回転動作を一旦停止させることにより、所定の成形面部分で粉体樹脂原料の重量がかかる時間を他の部分よりも長くし、その部分での粉体樹脂原料の溶融量を多くして、部分的に厚肉とした表皮材が簡単に得られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平06-238685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
表皮材は、インストルメントパネルの軽量化および低コスト化を図るべく薄くすることが好ましい。また、表皮材は、インストルメントパネルの表面にクッション性(ソフト感)を持たせるべく、インストルメントパネルを構成する基材の表面に設けられた発泡体を覆うように設けられることが多い。この場合、表皮材には、クッション性を確保する点からも薄く形成することが求められる。
【0007】
その一方で、表皮材のうちエアバッグドアの表層を構成するエアバッグドア部およびその周辺の部位には、エアバッグドアの展開時に表皮材を破断予定線に沿って所定の箇所で破断させるために、厚さを確保する必要がある。表皮材のエアバッグドア部およびその周辺の部位がその他の部位と同じ程度の厚さで一様に薄いと、エアバッグの展開に伴う破断箇所も破断の進行方向も定まらず、エアバッグドアの展開性能が低下し、そればかりかエアバッグの展開する力により表皮がちぎれて飛散するおそれもある。
【0008】
これらことから、表皮材においては、エアバッグドア部およびその周辺の部位で相対的に厚くし、その他の部位で相対的に薄くすることが要望される。しかしながら、従来からの表皮材のスラッシュ成形方法ではそのような要望に応えられておらず、特許文献1に開示の表皮材のスラッシュ成形方法によっても、表皮材を部分的に厚く成形できるとは言え、表皮材の厚く成形される部位が比較的広い範囲に及ぶため、エアバッグドア部およびその周辺の部位のみをその他の部位に比べて厚く成形することはできない。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インストルメントパネルの軽量化および低コスト化を図りつつ、エアバッグドアの展開性能を確保することが可能な表皮材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明者は、スラッシュ成形方法による表皮材の成形過程を鋭意研鑽した結果、スラッシュ成形型の成形面のうち粉体樹脂原料を供給するタイミングが早い部位で表皮材が厚く形成されることを見出した。そこで、本発明では、スラッシュ成形型の成形面において表皮材を厚肉に成形したい部位に粉体樹脂原料を優先的に供給するようにした。
【0011】
具体的には、第1の発明は、エアバッグドアが設けられるインストルメントパネルの表皮材を成形するスラッシュ成形方法を対象とする。
【0012】
第1の発明に係る表皮材のスラッシュ成形方法は、スラッシュ成形型を加熱する成形型加熱ステップと、成形型加熱ステップで加熱されたスラッシュ成形型の成形面に対し、粉体樹脂原料を供給して付着させると共に溶融させることにより溶融樹脂層を形成する溶融樹脂層形成ステップと、溶融樹脂層形成ステップで形成された溶融樹脂層を冷却して固化させることにより表皮材とする冷却ステップと、表皮材をスラッシュ成形型から取り外す脱型ステップとを含む。そして、溶融樹脂層形成ステップでは、スラッシュ成形型の成形面において、表皮材のうちエアバッグドアを構成するエアバッグドア部およびエアバッグドア部周辺の成形部位に粉体樹脂原料を優先的に供給することにより、当該成形部位での粉体樹脂原料の溶融量を多くして、表皮材におけるエアバッグドア部およびエアバッグドア部の周辺部位での肉厚を他の部位よりも厚く成形する。
【0013】
第2の発明は、エアバッグドアが設けられるインストルメントパネルの表皮材を成形するスラッシュ成形装置を対象とする。
【0014】
第2の発明に係る表皮材のスラッシュ成形装置は、表皮材を成形するスラッシュ成形型と、スラッシュ成形型との接合および分離が可能である、粉体樹脂原料を収容した粉体ボックスとを備え、加熱されたスラッシュ成形型と粉体ボックスとを接合してなる接合体を回転させることにより、粉体ボックスに収容した粉体樹脂原料をスラッシュ成形型の成形面に供給して、表皮材を成形する。粉体ボックスには、接合体の回転動作に従い、スラッシュ成形型の成形面に対し一端から他端に向けて広がり及ぶように供給される粉体樹脂原料を収容する第1原料収容部と、スラッシュ成形型の成形面の一部に向けて供給される粉体樹脂原料を収容する第2原料収容部とが設けられている。そして、第2原料収容部は、粉体ボックスをスラッシュ成形型に接合した状態で、スラッシュ成形型の成形面において表皮材のうちエアバッグドアを構成するエアバッグドア部の成形部位に向けて延びるガイド壁を有し、接合体の回転動作により、粉体樹脂原料を、ガイド壁に案内させてスラッシュ成形型の成形面におけるエアバッグドア部および該エアバッグドア部周辺の成形部位に優先的に供給する。
【0015】
第3の発明は、第2の発明に係る表皮材のスラッシュ成形装置において、スラッシュ成形型の成形面が、互いに同じ向きで短手方向に並列に複数設けられている。そして、第1原料収容部および第2原料収容部は、個々の成形面に対して別個独立に設けられている。ここで、スラッシュ成形型の成形面について「短手方向」とは、当該成形面にて成形される表皮材の長手方向(インストルメントパネルとして車両に内装されたときに車幅方向に相当する方向)に対して交差する方向と対応する方向を意味する。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、スラッシュ成形型の成形面においてエアバッグドア部およびその周辺の成形部位に粉体樹脂原料を優先的に供給するようにしたので、当該成形面におけるエアバッグドア部およびその周辺の成形部位に対し、粉体樹脂原料を、加熱されたスラッシュ成形型の温度が高いうちに接触させ、他の成形部位よりも多く付着させることができる。これにより、表皮材においてエアバッグドア部およびその周辺部位のみを狙って相対的に厚く成形し、その他の部位を相対的に薄く成形することができる。そのことで、表皮材の重量を不必要に増すことなく、粉末樹脂原料の使用量を抑えることができる。また、エアバッグドアの展開時に表皮材を所定の箇所で破断させることが可能になる。したがって、第1の発明に係るスラッシュ成形方法で成形される表皮材は、インストルメントパネルの軽量化および低コスト化を図りつつ、エアバッグドアの展開性能を確保するのに寄与する。
【0017】
第2の発明によれば、粉体ボックスに、接合体の回転動作に従い、スラッシュ成形型の成形面に対し一端から他端に向けて広がり及ぶように供給される粉体樹脂原料を収容する第1原料収容部の他に、スラッシュ成形型の成形面の一部に向けて供給される粉体樹脂原料を収容する第2原料収容部を設け、第2原料収容部にスラッシュ成形型の成形面におけるエアバッグドアの成形部位に向けて延びるガイド壁を持たせ、接合体の回転動作により、粉体樹脂原料を、ガイド壁に案内させてスラッシュ成形型の成形面におけるエアバッグドア部およびその周辺の成形部位に優先的に供給するようにしたので、粉体ボックスにガイド壁を含む安価な構造を追加するだけで、第1の発明に係る表皮材のスラッシュ成形方法を実施することができ、当該表皮材のスラッシュ成形方法による上述した効果を好適に得られる。
【0018】
第3の発明によれば、スラッシュ成形型の成形面を互いに同じ向きで短手方向に並列に複数設け、個々の成形面に対して第1原料収容部および第2原料収容部を別個独立に設けるようにしたので、第1原料収容部に収容された粉体樹脂原料が各成形面において同じ方向へ流れて同じ部位に同じタイミングで供給される。それにより、スラッシュ成形装置にて複数の表皮材を互いに同じ厚さ分布で成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態に係る表皮材の斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線における表皮材の断面図である。
図3図3は、実施形態に係る表皮材を成形するためのスラッシュ成形装置の構成を示す断面図である。
図4】図は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における成形型加熱ステップの様子を示す図である。
図5】図は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの第1回目の回転動作で初期の様子を示す図である。
図6】図は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの第1回目の回転動作で粉体樹脂原料が流れ始めたときの様子を示す図である。
図7】図は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの第1回目の回転動作でスラッシュ成形型の成形面に粉体樹脂原料が供給され始めたときの様子を示す図である。
図8】図は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの第1回目の回転動作でスラッシュ成形型と粉体ボックスとの接合体を反転姿勢としたときの様子を示す図である。
図9】図は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの第1回目の回転動作を終えてスラッシュ成形型と粉体ボックスとの接合体を初期姿勢に戻したときの様子を示す図である。
図10】図10は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの第2回目の回転動作でスラッシュ成形型と粉体ボックスとの接合体を反転姿勢としたときの様子を示す図である。
図11】図11は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの第2回目の回転動作を終えてスラッシュ成形型と粉体ボックスとの接合体を初期姿勢に戻したときの様子を示す図である。
図12】図12は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの付加的な回転動作でスラッシュ成形型と粉体ボックスとの接合体を傾けたときの様子を示す図である。
図13】図13は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの付加的な回転動作でスラッシュ成形型と粉体ボックスとの接合体を傾き姿勢から初期姿勢に戻したときの様子を示す図である。
図14】図14は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの後にスラッシュ成形型と粉体ボックスとを分離したときの様子を示す図である。
図15】図15は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における冷却ステップの様子を示す図である。
図16】図16は、実施形態に係る表皮材のスラッシュ成形方法における脱型ステップの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、この実施形態に係る表皮材1の斜視図である。図2は、図1のII-II線における表皮材1の断面図である。図1に示す表皮材1は、左ハンドル車用のものであって、自動車の前部に装備されるインストルメントパネルに用いられる一枚物の樹脂成形品である。インストルメントパネルは、図示しないが、当該表皮材1で表層が構成されており、裏側を構成する基材と表皮材1との間に発泡体が設けられた構造を有する。
【0022】
基材は、射出成形により成形され、例えばポリプロピレン(PP)やアクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる。発泡体は、型内発泡成形により表皮材の裏面に一体成形され、例えば発泡ポリウレタン(PU)からなる。表皮材1は、スラッシュ成形方法により成形され、例えばポリ塩化ビニル(PVC)や熱可塑性ポリウレタン(TPU)からなる。この表皮材1の表面には、しぼ模様などの意匠が施されている。
【0023】
表皮材1は、図1および図2に示すように、車両右側で助手席前方に位置する領域に、インストルメントパネルに設けられたエアバッグドアの表層を構成するエアバッグドア部3を備えている。エアバッグドア部3には、エアバッグドアがエアバッグの展開する力によって容易に開くように、スリットからなる破断予定線5がエアバッグドアを画定する位置に形成されている。破断予定線5は、例えば2つのY字を横向きにして左右対称に連結した形状とされている。
【0024】
表皮材1において、エアバッグドア部3およびエアバッグドア部3の周辺部位(図1に二点鎖線で示す部位)は相対的に厚く、例えば1.2mm程度に形成されている一方、その他の部位は相対的に薄く、例えば1.0mm程度に形成されている。このような表皮材1は、図3に示すスラッシュ成形装置11を用いて成形される。図3は、スラッシュ成形装置11の構成を示す断面図である
【0025】
スラッシュ成形装置11は、図3に示すように、表皮材1を成形するスラッシュ成形型13と、スラッシュ成形型13との接合および分離が可能である、粉体樹脂原料Rを収容した粉体ボックス15とを備えている。粉体樹脂原料Rには、表皮材1の材料である粉体、例えばポリ塩化ビニル(PVC)や熱可塑性ポリウレタン(TPU)の粉体が用いられる。スラッシュ成形装置11は、加熱されたスラッシュ成形型13と粉体ボックス15とを接合してなる接合体17を回転させることにより、粉体ボックス15に収容した粉体樹脂原料Rをスラッシュ成形型13の成形面19に供給して、表皮材1を成形する装置である。
【0026】
スラッシュ成形型13は、表皮材1を成形する成形面19を有する2つの金型本体21と、これら2つの金型本体21を保持する金型フレーム23とを備えている。各金型本体21は、成形面19にて成形される表皮材1の車両内装状態における車幅方向に相当する長手方向と、長手方向に対して直交する短手方向とを有している。金型フレーム23内において、2つの金型本体21は短手方向に並べて配置され、それらの成形面19同士は互いに同じ向きで短手方向に並列に設けられている。
【0027】
粉体ボックス15は、粉体樹脂原料Rを収容するボックス本体25と、スラッシュ成形型13の金型本体21の周縁部を支持する支持壁27とを備えている。ボックス本体25は、その長手方向において水平に延びる回転軸28と連結されていて、この回転軸28周りに図示しない回転装置により回転させられるようになっている。ボックス本体25の内部は、粉体ボックス15がスラッシュ成形型13と接合された状態で金型本体21同士が隣接する方向と対応する短手方向において、ボックス本体25の底面に立設された仕切り壁29により仕切られており、それぞれ金型本体21の成形面19に対向するよう2つの原料収容部に区画されている。粉体樹脂原料Rは、それら2つの原料収容部31の両方ともに収容されている。
【0028】
仕切り壁29の上端には、スラッシュ成形型13を支持するための板状の支持部33が設けられている。この支持部33は、原料収容部31の開口周縁部を構成している。支持壁27は、原料収容部31毎に設けられており、原料収容部31の開口周縁部のうち1辺を除く3辺部分に延びている。この支持壁27の上端と原料収容部31の開口周縁部のうち支持壁27が設けられていない1辺部分とには、金型本体21の周縁部との間を密閉するシール材35が全周に亘って設けられている。
【0029】
各原料収容部31は、第1原料収容部37と第2原料収容部39とを有している。すなわち、粉体ボックス15には、2つの原料収容部31それぞれに、第1原料収容部37および第2原料収容部39が設けられている。これら第1原料収容部37および第2原料収容部39は、個々の金型本体21の成形面19に対して別個独立に設けられている。
【0030】
第1原料収容部37は、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15とを接合してなる接合体17の回転動作に従い、金型本体21の成形面19に対し一端から他端に向けて広がり及ぶように供給される粉体樹脂原料Rを収容する。第2原料収容部39は、当該接合体17の回転動作に従い、金型本体21の成形面19の一部、具体的にはエアバッグドア部3およびその周辺の成形部位41に向けて供給される粉体樹脂原料Rを収容する。
【0031】
第1原料収容部37は、原料収容部31のうち第2原料収容部39を除く部分で構成されている。第2原料収容部39は、原料収容部31において金型本体21の成形面19と対向する側の側壁43から原料収容部31の内方に延びる受け壁45と、受け壁45の先端部から原料収容部31の開口側に向かって延びるように設けられたガイド壁47と、受け壁45の両側部からガイド壁47の両側部の一部にかけて設けられた一対のガード壁49とを有している。これら受け壁45とガイド壁47と各ガード壁49とは、一体に設けられ、原料収容部31の側壁43に接合されている。
【0032】
ガイド壁47は、粉体ボックス15をスラッシュ成形型13に接合した状態で、粉体ボックス15の底面側から金型本体21の成形面19におけるエアバッグドア部3の成形部位に向けて延びている。このガイド壁47は、受け壁45に対し、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15との接合体17を、第2原料収容部39の粉体樹脂原料Rがガイド壁47を伝って流れるようにガイド壁47を傾斜させる方向(図3で時計回りの方向)へ回転させたときに、第2原料収容部39の粉体樹脂原料Rが第1原料収容部37の粉体樹脂原料Rよりも先に金型本体21の成形面19に供給される角度α(例えば120°~150°度程度)で設けられている。
【0033】
一対のガード壁49は、原料収容部31の側壁43と受け壁45およびガイド壁47と共に第2原料収容部39で粉体樹脂原料Rを収容する原料収容空間51を区画形成し、第2原料収容部39に収容された粉体樹脂原料Rが両側から第1原料収容部37にこぼれるのを抑制する役割を果たす。第2原料収容部39は、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15との接合体17の回転動作により、原料収容空間51にある粉体樹脂原料Rを、ガイド壁47に案内させて金型本体21の成形面19におけるエアバッグドア部3およびその周辺の成形部位41に優先的に供給するようになっている。
【0034】
上述したスラッシュ成形装置11を用いる表皮材1のスラッシュ成形方法について、図~図16を参照しながら説明する。
【0035】
は、表皮材1のスラッシュ成形方法における成形型加熱ステップの様子を示す図である。図~図13は、表皮材1のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの様子を示す図である。図14は、表皮材1のスラッシュ成形方法における溶融樹脂層形成ステップの後にスラッシュ成形型13と粉体ボックス15とを分離したときの様子を示す図である。図15は、表皮材1のスラッシュ成形方法における冷却ステップの様子を示す図である。図16は、表皮材1のスラッシュ成形方法における脱型ステップの様子を示す図である。
【0036】
表皮材1のスラッシュ成形方法は、成形型加熱ステップと、溶融樹脂層形成ステップと、冷却ステップと、脱型ステップとを含む。
【0037】
成形型加熱ステップでは、図に示すように、スラッシュ成形型13を、各金型本体21の成形面19が下になるようにして加熱槽に搬入し、加熱槽が備える熱風式の加熱ヒータ101により各金型本体21の成形面19に熱風を吹き付けて、それら各金型本体21を、粉末樹脂原料Rの溶融温度以上の温度(例えば250℃~270℃程度)にまで加熱する。
【0038】
次いで行う溶融樹脂層形成ステップでは、まず、図3に示すように、加熱されたスラッシュ成形型13を、各金型本体21の成形面19が下になるようにした状態で、粉体樹脂原料Rが収容された粉体ボックス15に被せてセットし、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15とが接合してなる接合体17を組み立てる。このとき、当該接合体17において金型本体21の成形面19が臨む側の内部空間は、各金型本体21の周縁部と粉体ボックス15における原料収容部31の外周縁部との間にシール材35を挟み込んで密閉される。
【0039】
続いて、溶融樹脂層形成ステップでは、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15との接合体17を、水平面に設置したときの姿勢を基準姿勢とし、この基準姿勢から図示しない回転装置により水平な回転軸28周りに第2原料収容部39に収容された粉体樹脂原料Rをガイド壁47に伝わせて流す方向(図3で時計回りの方向)へ360°回転させる。このときの当該接合体17の回転速度は、例えば10rpm~20rpm程度に設定される。
【0040】
スラッシュ成形型13と粉体ボックス15との接合体17の第1回目の回転動作では、原料収容部31の粉体樹脂原料Rの流動が当該接合体17の回転動作に対して遅れるため、図に示すように、接合体17の回転角度が所定の第1角度(例えば30°程度)を越えるまでは粉体樹脂原料Rが原料収容部31でほとんど流れない。接合体17の回転角度が所定の第1角度を越えると、図に示すように、粉体樹脂原料Rが原料収容部31でスラッシュ成形型13の金型本体21側へ流れ始める。
【0041】
そして、図に示すように、接合体17の回転角度が所定の第2角度(例えば90°程度)に到達すると、粉体樹脂原料Rが原料収容部31から金型本体21の成形面19に供給されて付着する。成形面19に付着した粉体樹脂原料Rは、型温により加熱されて溶融し、表皮材3となる溶融樹脂層53(図に破線で示す、図~図14においても同じ)が形成される。このとき、第2原料収容部39に収容された粉体樹脂原料Rは、ガイド壁47の表面を滑り第1原料収容部37に収容された粉体樹脂原料Rに先んじて、当該成形面19におけるエアバッグドア部3のおよびその周辺の成形部位41に優先的に供給される。そのことで、当該成形面19におけるエアバッグドア部3およびその周辺の成形部位41での粉体樹脂原料Rの溶融量が多くなる。これにより、溶融樹脂層53がエアバッグドア部3およびその周辺の成形部位41で後に形成される他の部位よりも厚く形成される。
【0042】
引き続きスラッシュ成形型13と粉体ボックス15との接合体17を回転させていくと、第1原料収容部37から金型本体21の成形面19に供給された粉体樹脂原料Rが第2原料収容部39から当該成形面19に供給された粉体樹脂原料Rと混ざりながら、接合体17の回転動作に伴って当該成形面19の一端から他端に向けて広がっていく。そして、図に示すように、接合体17が基準姿勢に対して180°回転して反転姿勢とされた状態では、金型本体21の成形面19全体に粉体樹脂原料Rが行き渡り、当該成形面19全体に溶融樹脂層53が形成される。
【0043】
さらに、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15との接合体17を回転させて、図に示すように、当該接合体17を基準姿勢に戻す。接合体17を基準姿勢に戻すと、粉体樹脂原料Rは、原料収容部31に回収される。この時点で、当該接合体17の第1回目の回転動作を終え、接合体17の回転を一旦停止させる。
【0044】
次に、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15との接合体17を、回転軸28周りに基準姿勢から第1回目の回転方向とは反対方向(図10および図11で反時計回りの方向)へ360°回転させる。接合体17は、そうした第2回目の回転動作を行う過程において、図10に示すように、再び反転姿勢とされる。このとき、粉体樹脂原料Rが原料収容部31から金型本体21の成形面19全体に供給されて、溶融樹脂層53がその厚さ方向においてさらに形成される。
【0045】
続けて、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15との接合体17を回転させて、図11に示すように、当該接合体17を基準姿勢に戻す。接合体17を基準姿勢に戻すと、粉体樹脂原料Rは、原料収容部31に回収される。しかし、接合体17を基準姿勢に戻しただけでは、第2原料収容部39には粉体樹脂原料Rが十分に回収されないことが考えられる。
【0046】
そのため、図12に示すように、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15との接合体17を第2回目の回転動作を同じ方向へ付加的に回転させ、当該接合体17を所定の角度(例えば30°~45°程度)だけ傾けることにより、第2原料収容部39の両側から原料収容空間51に第1原料収容部37に収容された粉体樹脂原料Rを流入させて回収する。そして、接合体17を傾けた分だけ逆方向へ回転させ、図13に示すように基準姿勢に戻す。しかる後、図14に示すように、スラッシュ成形型13と粉体ボックス15とを分離させる。
【0047】
次いで行う冷却ステップでは、図15に示すように、粉体ボックス15から分離させたスラッシュ成形型13を、各金型本体21の成形面19が下になるようにして不図示の冷却槽に搬入し、冷却槽が備える水冷式の冷却装置103により各金型本体21の成形面19に形成された溶融樹脂層53に冷却水Wを吹き付けて、溶融樹脂層53を冷却して固化させることにより表皮材3とする。その後に、表皮材3に付着している水分を送風機による送風で吹き飛ばして除去する。
【0048】
次いで行う脱型ステップでは、図16に示すように、表皮材3付きのスラッシュ成形型13を脱型スタンド105に立て掛けて支持させ、金型本体21の成形面19に成形された表皮材3のうち不要部分である外側部分を手で引っ張るなどして、表皮材3をスラッシュ成形型13から脱型する。しかる後、表皮材3の不要部分を切除し、表皮材3の裏面にカッターなどで破断予定線5を形成する。このようにして、表皮材3はスラッシュ成形方法により成形される。
【0049】
この実施形態に係る表皮材3のスラッシュ成形方法によれば、スラッシュ成形型13の成形面19においてエアバッグドア部3の成形部位およびその周辺の成形部位41に粉体樹脂原料Rを優先的に供給するようにしたので、当該成形面19におけるエアバッグドア部3およびその周辺の成形部位41に、粉体樹脂原料Rを、加熱されたスラッシュ成形型13の温度が高いうちに接触させ、他の成形部位よりも多く付着させることができる。これにより、表皮材3においてエアバッグドア部3およびその周辺の部位のみを狙って相対的に厚く成形し、その他の部位を相対的に薄く成形することができる。そのことで、表皮材3の重量を不必要に増すことなく、粉末樹脂原料Rの使用量を抑えることができる。また、エアバッグドアの展開時に表皮材3を所定の箇所で破断させることが可能になる。したがって、インストルメントパネルの軽量化および低コスト化を図りつつ、エアバッグドアの展開性能を確保するのに寄与できる。
【0050】
この実施形態に係る表皮材3のスラッシュ成形装置11によれば、粉体ボックス15に、接合体17の回転動作に従い、金型本体21の成形面19に対し一端から他端に向けて広がり及ぶように供給される粉体樹脂原料Rを収容する第1原料収容部37の他に、成形面19のうちエアバッグドア部3およびその周辺の成形部位41に向けて供給される粉体樹脂原料Rを収容する第2原料収容部39を設け、第2原料収容部39に金型本体21の成形面19におけるエアバッグドア部3の成形部位に向けて延びるガイド壁47を持たせ、接合体17の回転動作により、粉体樹脂原料Rを、ガイド壁47に案内させて金型本体21の成形面19におけるエアバッグドア部3およびその周辺の成形部位41に優先的に供給するようにしたので、粉体ボックス15にガイド壁47を含む安価な構造を追加するだけで、上記表皮材1のスラッシュ成形方法による上述した効果を好適に得られる。
【0051】
また、この実施形態に係る表皮材3のスラッシュ成形装置11によれば、スラッシュ成形型13の成形面19を互いに同じ向きで短手方向に並列に2つ設け、個々の成形面19に対して第1原料収容部37および第2原料収容部39を別個独立に設けるようにしたので、第1原料収容部37に収容された粉体樹脂原料Rが各成形面19において同じ方向へ流れて同じ部位に同じタイミングで供給される。それにより、スラッシュ成形装置11にて複数の表皮材1を互いに同じ厚さ分布で成形することができる。
【0052】
以上のように、本発明の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることを以て、直ちにそれらの必須でない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0053】
例えば、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0054】
上記実施形態では、第2原料収容部39が、原料収容部31において金型本体21の成形面19と対向する側の側壁43から原料収容部31の内方に延びる受け壁45と、受け壁45の両側部からガイド壁47の両側部の一部にかけて設けられた一対のガード壁49とを有しているとしたが、本発明はこれに限らない。第2原料収容部45は、ガード壁を有していなくてもよい。また、第2原料収容部45は、受け壁45を有さず、ガイド壁47が原料収容部31の底面から開口に向かって延びるように設けられていても構わない。
【0055】
上記実施形態では、金型本体21を2つ備えたスラッシュ成形装置11を用いて表皮材1を2枚同時に成形する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らない。スラッシュ成形装置11は、金型本体21を1つ備え、1枚ずつ表皮材1を成形するものであってもよい。また、スラッシュ成形装置11は、設置スペースに問題がなければ、金型本体21を3つ以上備え、3枚以上の表皮材1を同時成形するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明は、エアバッグドアが設けられるインストルメントパネルの表層をなす表皮材のスラッシュ成形方法および当該表示材のスラッシュ成形装置について有用である。
【符号の説明】
【0057】
B…熱風
R…粉体樹脂原料
W…冷却水
1…表皮材
3…エアバッグドア部
5…破断予定線
11…スラッシュ成形装置
13…スラッシュ成形型
15…粉体ボックス
17…接合体
19…成形面
21…金型本体
23…金型フレーム
25…ボックス本体
27…支持壁
28…回転軸
29…仕切り壁
31…原料収容部
33…支持部
35…シール材
37…第1原料収容部
39…第2原料収容部
41…エアバッグドア部およびその周辺の成形部位
43…側壁
45…受け壁
47…ガイド壁
49…ガード壁
51…原料収容空間
53…溶融樹脂層
101…加熱ヒータ
103…冷却装置
105…脱型スタンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16