(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】補強されたエーロゲル複合物を含む改善された積層体
(51)【国際特許分類】
B32B 5/24 20060101AFI20221205BHJP
A41D 31/04 20190101ALI20221205BHJP
A41D 31/06 20190101ALI20221205BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20221205BHJP
【FI】
B32B5/24 101
A41D31/04 Z
A41D31/06 100
A41D31/02 C
(21)【出願番号】P 2018539052
(86)(22)【出願日】2017-01-27
(86)【国際出願番号】 US2017015440
(87)【国際公開番号】W WO2017132569
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-17
(32)【優先日】2016-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506229844
【氏名又は名称】アスペン エアロゲルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ミアルシク
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン エバンズ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ザフィーロポーロス
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ゴールド
(72)【発明者】
【氏名】レスリー リクリーン
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524491(JP,A)
【文献】特表2010-525188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0029109(US,A1)
【文献】特表2001-508716(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0003284(US,A1)
【文献】特表2015-528071(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0344279(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0047120(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0229704(US,A1)
【文献】国際公開第2004/018919(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104029429(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0029147(US,A1)
【文献】特表2010-534188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0173157(US,A1)
【文献】特表2019-503292(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132652(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0017860(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
A41D 31/02-31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部表面および底部表面を有する少なくとも1つのベース層と、
前記ベース層の前記上部表面に取り付けられた第1の表皮材料を含む第1の表皮層と、
前記ベース層の前記底部表面に取り付けられた第2の表皮材料を含む第2の表皮層と、
を含む、エーロゲル複合物であって、
前記ベース層は、補強材料とエーロゲル材料とを含む補強されたエーロゲル配合物を含み、
前記ベース層は、補強材料とモノリシックのエーロゲル骨格とを含む補強されたエーロゲル配合物を含み、前記ベース層の前記モノリシックのエーロゲル骨格の少なくとも一部は、前記第1の表皮層と前記第2の表皮層との両方の少なくとも一部中に伸びており、前記補強されたエーロゲル配合物はシートの形態であり、および、
前記第1の表皮材料および前記第2の表皮材料はそれぞれ、弾性繊維でできた材料を含む、エーロゲル複合物。
【請求項2】
前記補強材料は、発泡補強材料を含む、請求項1に記載のエーロゲル複合物。
【請求項3】
前記補強材料は、繊維補強材料を含む、請求項1に記載のエーロゲル複合物。
【請求項4】
前記弾性繊維は、スパンデックス、ナイロン、ポリウレタン、エラスタン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれ一項に記載のエーロゲル複合物。
【請求項5】
前記第1の表皮層または第2の表皮層は、エアロゾル接着剤、ウレタン系接着剤、アクリレート接着剤、ホットメルト接着剤、エポキシ接着剤、ゴム樹脂接着剤、ポリウレタン複合接着剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される接着剤によって前記ベース層に取り付けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物。
【請求項6】
前記第1の表皮層または第2の表皮層は、縫い目、密閉袋、リベット、ボタン、クランプ、ラップ、止め具、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非接着性メカニズムによって前記ベース層に取り付けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物。
【請求項7】
前記第1の表皮層および第2の表皮層はそれぞれ、流体浸透性の表皮材料を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物。
【請求項8】
前記エーロゲル複合物は、18.0mW/mK~40.0mW/mKの熱伝導度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物を含む衣類品または衣料品。
【請求項10】
エーロゲル複合物の調製方法であって、
上部表面および底部表面を有するベース層であって、補強材料とエーロゲル材料とを含む補強されたエーロゲル配合物を含むベース層を提供することと、
第1の表皮材料を含む第1の表皮層および第2の表皮材料を含む第2の表皮層を提供することと、
前記ベース層の前記上部表面に前記第1の表皮層を取り付けおよび前記ベース層の前記底部表面に前記第2の表皮層を取り付け、それによって積層加工されたベースを形成することと、
ゲル前駆体材料および溶媒を含むゲル前駆体溶液を提供することと、
前記ゲル前駆体溶液を前記積層加工されたベースの少なくとも1つの表皮層に接触させることと、
前記ゲル前駆体溶液の少なくとも一部分を前記積層加工されたベースの前記表皮層に接触させて、前記積層加工されたベースの前記ベース層中の前記補強材料中へと前記積層加工されたベースの前記表皮層を通過させることと、
前記前駆体溶液中の前記ゲル前駆体材料をゲル配合物に移行させて、補強されたゲル複合物を生成させることと、
前記補強されたゲル複合物から前記溶媒の少なくとも一部を抽出して、補強されたエーロゲル複合物を得ることと、
を含み、
前記ベース層は、補強材料とモノリシックのエーロゲル骨格とを含む補強されたエーロゲル配合物を含み、前記ベース層の前記モノリシックのエーロゲル骨格の少なくとも一部は、前記第1の表皮層と前記第2の表皮層との両方の少なくとも一部中に伸びており、前記補強されたエーロゲル配合物はシートの形態であり、
前記第1の表皮材料および前記第2の表皮材料はそれぞれ、弾性繊維でできた材料を含む、方法。
【請求項11】
前記ゲル前駆体溶液を前記積層加工されたベースの少なくとも1つの表皮層に接触させるステップの前に、移動する要素の上に前記積層加工されたベースシートの少なくとも一部を吐出することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記積層加工されたベースの複数の重なる層を含むプリフォームロールへと前記積層加工されたベースを巻くことと、前記ゲル前駆体溶液を前記積層加工されたベースの少なくとも1つの表皮層に接触させるステップの前に、容器の中に前記積層加工されたベースの前記プリフォームロールを置くこととをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記補強材料は、発泡補強材料を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記補強材料は、繊維補強材料を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記弾性繊維は、スパンデックス、ナイロン、ポリウレタン、エラスタン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の表皮層または第2の表皮層は、エアロゾル接着剤、ウレタン系接着剤、アクリレート接着剤、ホットメルト接着剤、エポキシ接着剤、ゴム樹脂接着剤、ポリウレタン複合接着剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される接着剤によってベース層に取り付けられている、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の表皮層または第2の表皮層は、縫い目、密閉袋、リベット、ボタン、クランプ、ラップ、止め具、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非接着性メカニズムによって前記ベース層に取り付けられている、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の表皮層および前記第2の表皮層が、それぞれ液体浸透性の表皮材料を含む、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記複合物は、18.0mW/mK~40.0mW/mKの熱伝導度を有する、請求項10~18のいずれか一項に記載の方法により生成されたエーロゲル複合物。
【請求項20】
請求項19に記載のエーロゲル複合物を含む衣類品または衣料品。
【請求項21】
前記ベース層の前記エーロゲル材料の少なくとも一部は、前記第1の表皮層と前記第2の表皮層との両方の少なくとも一部中に伸びている、請求項1に記載のエーロゲル複合物。
【請求項22】
前記エーロゲル材料は、モノリシックのエーロゲル骨格を含む、請求項1または21に記載のエーロゲル複合物。
【請求項23】
前記エーロゲル材料は、モノリシックのエーロゲル骨格を含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2016年1月27日に出願された米国仮出願第62/287,762号明細書の優先権を主張し、および2017年1月26日に出願された米国出願第15/417,170号明細書の優先権を主張し、取り込まれる主題が本願明細書中の主題と矛盾しない限り、両者は参照により本明細書中に完全に示されたそのすべてを取り込む。
【背景技術】
【0002】
低密度エーロゲル材料は、利用可能な最良の固体絶縁体であると広く考えられている。エーロゲルは、おもに伝導(低い構造密度は、固体骨格を通るエネルギー移動のための蛇行経路となる)、対流(大きな細孔体積および非常に小さな孔サイズは、最小限の対流をもたらす)、および放射(IR吸収または散乱ドーパントは、エーロゲルマトリックス全体に容易に分散される)を最小限に抑えることにより、絶縁体として機能する。エーロゲルは、加熱断熱、冷却断熱、防音、電子誘電体、航空宇宙、エネルギー貯蔵と生産、ろ過などの広範囲の用途に使用できる。さらにエーロゲル材料は、他の多くの興味深い音響特性、光学特性、機械特性、および化学特性を示し、これが、様々な絶縁および非絶縁用途において、エーロゲルを非常に有用なものにしている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの一般的な形態において、本開示は、耐久性があり取り扱いが容易なエーロゲル材料または配合物を提供することができる。1つの態様において、エーロゲル配合物は、可撓性、弾力性、および自己支持性である補強されたエーロゲル配合物である。1つの態様において、エーロゲル配合物は、可撓性、弾力性、および自己支持性であるフォーム(foam)補強されたエーロゲル配合物である。1つの態様において、エーロゲル配合物は、少なくとも1つの表皮シートで積層加工されたフォーム補強されたエーロゲル配合物であり、得られる積層加工された複合物は、可撓性、弾力性、および自己支持性である。
【0004】
1つの一般的な形態において、本開示は、補強されたエーロゲル配合物を含む少なくとも1つのベース層と、ベース層の少なくとも1つの表面に取り付けられた少なくとも1つの表皮層と、を含む、エーロゲル複合物を提供することができ、ここでこの補強されたエーロゲル配合物は、補強材料とエーロゲル骨格とを含み、このベース層は上部表面と底部表面を有する。1つの態様において、このベース層のエーロゲル骨格の少なくとも一部は、この表皮層のエーロゲル骨格の少なくとも一部中に伸びている。1つの態様において、この表皮層は、この表皮材料と一体化されたエーロゲル骨格を含み、このベース層のエーロゲル骨格の少なくとも一部は、この表皮層のエーロゲル骨格の少なくとも一部と連続している。
【0005】
1つの一般的な形態において、本開示は、補強エーロゲル配合物を含む少なくとも1つのベース層と、このベース層の上部表面に取り付けられた少なくとも1つの表皮層およびこのベース層の底部表面に取り付けられた少なくとも1つの表皮層と、を含み、補強されたエーロゲル配合物は補強材料とエーロゲル骨格とを含み、ベース層は上部表面と底部表面とを有する、エーロゲル複合物を提供することができる。1つの態様において、このベース層のエーロゲル骨格の少なくとも一部は、上部表皮層および底部表皮層の両方の少なくとも一部の中に伸びている。1つの態様において、この上部表皮層と底部表皮層の両方は、表皮材料に一体化されたエーロゲル骨格を含み、およびこのベース層のエーロゲル骨格の少なくとも一部は、この上部表皮層およびこの底部表皮層の両方のエーロゲル骨格の少なくとも一部と連続している。
【0006】
1つの一般的な形態において、本開示は、エーロゲル複合物の調製方法であって、補強材料とエーロゲル骨格とを含むベース層を提供することと、表皮材料のシートを含む表皮層を提供することと、この表皮層をこのベース層の表面に取り付けることと、を含む方法であって、ベース層は上部表面と底部表面とを有する、方法を提供することができる。1つの態様において、この方法は、表皮材料のシートを含む少なくとも2つの表皮層を提供することと、表皮層をこのベース層の上部表面に取り付けることと、表皮層をこのベース層の底部表面に取り付けることと、を含む。
【0007】
1つの一般的な形態において、本開示は、エーロゲル複合物の調製方法であって、補強材料を含むベース層を提供することと、表皮材料のシートを含む表皮層を提供することと、この表皮層をこのベース層の表面に取り付けることと、ゲル前駆体材料および溶媒を含むゲル前駆体溶液を提供することと、この前駆体溶液を表皮層に接触させ、このゲル前駆体溶液の少なくとも一部をこのベース層の補強材料中へとこの表皮層中を通過させることと、この前駆体溶液中のゲル前駆体材料をゲル配合物に移行させて、補強されたゲルシートを生成させることと、この補強されたゲルシートからこの溶媒の少なくとも一部を抽出して、補強されたエーロゲル複合物を得ることと、を含み、ベース層は上部表面と底部表面とを有する、方法が提供される。1つの態様において、この方法は、表皮材料のシートを含む少なくとも2つの表皮層を提供することと、表皮層をこのベース層の上部表面に取り付け、表皮層をこのベース層の底部表面を取り付けることと、ゲル前駆体材料および溶媒を含むゲル前駆体溶液を提供することと、この前駆体溶液をこの上部表皮層と接触させることと、このゲル前駆体溶液の少なくとも一部をこのベース層のこの補強材料中へとこの上部表皮層を通過させることと、このゲル前駆体溶液の少なくとも一部をこの底部表皮層へとこの上部表皮層およびこのベース層とを通過させることと、を含む。
【0008】
1つの態様において、表皮層をベース層の表面に取り付けることは、補強材料の積層シートを生成し、および補強材料の積層シートは、前駆体溶液を積層シートの表皮層上に吐出する前に、移動要素上に吐出される。1つの態様において、表皮層をベース層の表面に取り付けることは、補強材料の積層シートを生成し、および補強材料の積層シートは、プリフォームロールに巻かれ、容器に入れられた後、前駆体溶液が容器とともに積層シートの表皮層上に吐出される。
【0009】
1つの態様において、補強材料はフォーム補強材料である。1つの態様において、補強材料は、網状連続気泡フォーム補強材料を含む連続気泡フォーム補強材料である。1つの態様において、フォーム補強材料は、ポリウレタンフォームまたはメラミンフォームを含む。1つの態様において、補強エーロゲル複合物は、0.250g/cc以下、0.230g/cc以下、0.200g/cc以下、0.160g/cc以下、0.180g/cc以下、0.140g/cc~0.250g/cc、または0.160g/cc~0.250g/ccの密度を有する。1つの態様において、補強エーロゲル複合物は、26.0mW/mK以下、24.0mW/mK以下、22.0mW/mK以下、20.0mW/mK以下、19.0mW/mK以下、12.0mW/mK~26.0mW/mK、14.0mW/mK~26.0mW/mK、16.0mW/mK~26.0mW/mK、または18.0mW/mK~26.0mW/mKの熱伝導度を有する。
【0010】
1つの態様において、表皮層はポリマーシートを含み、より詳しくは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アラミドを含むポリマーシート、およびより詳しくは、ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリ(4-メチルペンタン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(1-ブテン)、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルホン、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリウンデカノアミド、ポリイミド、またはこれらの組み合わせを含むポリマーを含む。1つの態様において、ポリマーシートは、延伸ポリマー材料、より詳しくは、PTFE(ePTFE)、延伸ポリプロピレン(ePP)、延伸ポリエチレン(ePE)、延伸ポリスチレン(ePS)、またはこれらの組み合わせを含む延伸ポリマー材料を含むか、またはそれらから本質的になる。1つの態様において、ポリマーシートは、0.1μm~210μm、0.1μm~115μm、0.1μm~15μm、または0.1μm~0.6μmの範囲の孔サイズを特徴とする微多孔質ポリマー材料を含むかまたはそれから本質的になる。
【0011】
1つの態様において、表皮層材料は、フルオロポリマー材料、より詳しくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、米国特許第5814405号明細書に記載された微多孔質PTFE、Gore-Tex(登録商標)(W.L. Goreから入手可能)などの延伸PTFE(ePTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、またはこれらの組み合わせを含むフルオロポリマー材料を含むかまたはこれから本質的になる。
【0012】
1つの態様において、表皮層材料は、非フルオロポリマー材料、より詳しくは、アルミ化マイラー(Mylar)、低密度ポリエチレン、例えばTyvek(登録商標)(DuPontから入手可能)、ゴムまたはゴム複合物、弾性繊維、例えばスパンデックス、ナイロン、ライクラ、若しくはエラスタン、またはこれらの組み合わせを含む非フルオロポリマー材料、を含むかまたはそれらから本質的になる。1つの態様において、表皮材料は可撓性の表皮材料である。1つの態様において、表皮材料は、スパンデックス、ナイロン、ライクラ、エラスタン、またはこれらの組み合わせを含む弾性繊維でできている。1つの態様において、表皮材料は流体浸透性の表皮材料である。
【0013】
1つの態様において、表皮層は、接着剤または非接着性メカニズムによってベース層に取り付けられる。1つの態様において、接着剤は、エアロゾル接着剤、ウレタン系接着剤、アクリレート接着剤、ホットメルト接着剤、エポキシ接着剤、ゴム樹脂接着剤、またはポリウレタン複合物接着剤を含む。1つの態様において、非接着性メカニズムは、縫い目、密封袋、リベット、ボタン、クランプ、ラップ、または止め具を含む。
【0014】
1つの一般的な形態において、本開示は、エーロゲル配合物の調製方法であって、
フォーム補強材料を含む補強エーロゲルのブロックを提供することと、この補強エーロゲルのブロックをスカイビングまたは旋盤剥離装置に暴露することと、このスカイビングまたは旋盤剥離装置に、この補強エーロゲルのブロックからこの補強エーロゲル材料の連続シートを除去させ、それにより補強エーロゲルのシートを製造することと、を含む、方法を提供することができる。
【0015】
1つの一般的な形態において、本開示は、エーロゲル配合物の調製方法であって、フォーム補強材料を含む補強エーロゲルの複数の小片を容器内に配置することと、ゲル前駆体材料および溶媒を含む前駆体溶液を提供することと、このゲル前駆体溶液を容器内に吐出し、ゲル前駆体を容器内のフォーム補強材料の小片に浸透させることと、この前駆体溶液中のこのゲル前駆体材料をゲル配合物中に移行させ、補強ゲル材料のブロックを形成することと、補強ゲル材料のブロックをスカイビングまたは旋盤剥離装置に暴露することと、スカイビングまたは旋盤剥離装置に補強ゲル材料のこのブロックから補強ゲル材料の連続シートを除去させ、こうして補強ゲルのシートを製造することと、補強されたゲル材料のこのシートからこの溶媒の少なくとも一部を抽出して、補強されたエーロゲル材料のシートを得ることと、を含む方法を提供することができる。
【0016】
1つの一般的な形態において、本開示は、エーロゲル配合物の調製方法であって、フォーム補強材料を含む補強エーロゲルの複数の小片を容器内に配置することと、ゲル前駆体材料および溶媒を含む前駆体溶液を提供することと、このゲル前駆体溶液を容器内に吐出し、このゲル前駆体をこの容器内のフォーム補強材料の小片に浸透させることと、この前駆体溶液中のこのゲル前駆体材料をゲル配合物中に移行させ、補強ゲル材料のブロックを形成させることと、前述補強ゲル材料のブロックから溶媒の少なくとも一部を抽出して、補強エーロゲル材料のブロックを得ることと、この補強エーロゲル材料のブロックをスカイビングまたは旋盤剥離装置に暴露することと、およびスカイビングまたは旋盤剥離装置に、この補強エーロゲル材料のブロックから補強エーロゲル材料の連続シートを除去させ、これにより補強エーロゲル材料のシートを製造することと、を含む方法を提供することができる。
【0017】
1つの一般的な形態において、本開示は、エーロゲル配合物の調製方法であって、フォーム補強材料を含む補強エーロゲル材料のシートを提供することと、この補強エーロゲル材料のシートを目標温度に加熱することと、この加熱ステップの前、および間、またはその後にこの補強エーロゲル材料のシートを成形するかまたは形成することと、およびこの補強エーロゲル材料を成形したか、または形成したシートを冷却して、この補強エーロゲル材料のシートが、冷却後に成形された形状を維持するようにすることと、を含む方法を提供することができる。1つの態様において、目標温度は、50℃~200℃、75℃~200℃、100℃~175℃、120℃~160℃、または約150℃である。1つの態様において、目標温度は、このフォーム補強材料の軟化点より高く、かつこのフォーム補強材料の最高使用温度より低い温度である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、コンベヤーシステムを使用して、エーロゲル前駆体および補強シートから補強ゲルシートを調製する方法を示す。
【
図2】
図2は、ロール中ゲル(gel-in-a-roll)システムを使用して、エーロゲル前駆体および補強シートから補強ゲルシートを調製する方法を示す。
【
図3】
図3は、ベース層の各表面上に可撓性の表皮層を有するフォーム補強エーロゲル複合物を含むベース層を備えた、平らな積層シートを示す。
【
図4】
図4は、ベース層の各表面上に可撓性の表皮層を有するフォーム補強エーロゲル複合物を含むベース層を備えた、巻かれた積層シートを示す。
【
図5】
図5は、ベース層の各表面上に可撓性で不浸透性の表皮層を有するフォーム補強エーロゲル複合物を含むベース層を備えた積層シートを示す。
【
図6】
図6は、超音波縫合を用いて結合された層を備えた、巻かれた積層シートを示す。
【
図7】
図7は、超音波縫合を用いて結合された層を備えた、平らな積層シートを示す。
【
図8】
図8は、プレフォーム形状に折り畳まれ、バンドで固定された、平らなフォーム補強エーロゲルシートを示す。
【
図9】
図9は、熱処理を用いて、平らなシートから湾曲したプレフォーム形状に成形されたフォーム補強エーロゲルシートを示す。
【
図10】
図10は、熱処理を用いて平らなシートから湾曲したプレフォーム形状に成形され、次に接着剤を用いて一緒に積層加工された、フォーム補強エーロゲルシートの複数の層を含む多層積層体を示す。
【
図11】
図11は、熱処理を用いて平らなシートから湾曲したプレフォーム形状に成形され、次に接着剤を用いて一緒に積層加工され、最後にパイプセクションの周りに固定された、フォーム補強エーロゲルシートの複数の層を含むパイプ断熱部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
エーロゲルは、相互に接続された構造の骨格を含む連続気泡を有する多孔質材料のクラスであって、これは骨格内に一体化された孔の対応するネットワークと、主として空気などの気体からなる孔のネットワーク内の間隙層とを有する。エーロゲルは、典型的には、低密度、高い多孔質、大きな表面積、および小さい孔サイズを特徴とする。エーロゲルは、その物理的および構造的特性によって、他の多孔質材料から区別することができる。
【0020】
エーロゲルはまた、極めて脆く、扱いにくい場合もある。低密度エーロゲルの脆性は、製造および加工中に重大な問題を引き起こす可能性があり、これは、これらの材料の大規模製造を著しく制限する可能性がある。エーロゲルの脆性はまた、ちり、ひび割れ、または構造的劣化の懸念のために、エーロゲル材料の注入および適用を困難にすることもある。したがって、可撓性で耐久性があり取り扱いが容易なエーロゲル配合物の開発に対するニーズが存在する。
【0021】
低密度エーロゲルの脆性に対する1つの解決策は、より剛性のまたは弾性の材料で補強されたエーロゲル材料を製造することである。これらの補強材料には、ポリマー結合剤、接着グルー、繊維若しくは繊維マット、密封エンベロープ、セメント、およびフォームが挙げられる。しかし多くの補強された複合エーロゲルは、エーロゲルモノリス単体と比較した場合、著しく低下した断熱性能に苦しむ。補強された複合エーロゲルはまた、湿潤条件または高温条件下での安定性が低く、および多くの用途で可撓性が不十分である場合がある。多くの補強材料は、エーロゲル材料のちり、ひび割れ、または構造的劣化に関連する問題を完全に解決することができない。さらに補強材料は、高価で入手が困難なことが多く、商業用製品の大規模製造およびマーケティング操作中に重大な問題および不利益をもたらし得る。
【0022】
したがって、可撓性、耐久性があり、取扱いが容易で、ちり、ひび割れ、および一般的な構造劣化に耐える、補強されたエーロゲル配合物の開発に対するニーズが存在する。また、安価であり、大規模製造によって容易に製造することができ、広範囲の絶縁用途に効果的に適用することができる、補強されたエーロゲル配合物の開発に対するニーズも存在する。
【0023】
本開示の文脈内で、用語「エーロゲル」または「エーロゲル材料」は、相互接続構造の骨格を含むゲルであって、骨格内に一体化された相互接続された孔の対応するネットワークを備え、分散された間隙媒体として空気などの気体を含む、エーロゲルに起因する以下の物理的および構造的特性(窒素多孔度測定試験(Nitrogen Porosimetry Testing)による)[(a)平均細孔直径が約2nm~約100nmの範囲、(b)多孔度が少なくとも80%以上、および(c)表面積が少なくとも約20m2/g以上]を特徴とする、ゲルをいう。
【0024】
したがって本開示のエーロゲル材料は、前項で説明した定義要素を満たす任意のエーロゲルまたは他の連続気泡化合物を含み、そうでなければ、キセロゲル、クリオゲル、アンビゲル(ambigel)、微多孔質材料などとして分類され得る化合物を含む。
【0025】
エーロゲル材料は、さらに(d)細孔体積が約2.0mL/g以上、好ましくは約3.0mL/g以上、(e)密度が約0.50g/cc以下、好ましくは約0.25g/cc以下、および(f)全細孔体積の少なくとも50%が、細孔直径が2~50nmの孔を有する孔を含む、という追加の特性により特徴付けられるが、エーロゲル材料としての化合物の特性評価のために、これらの追加の特性を満足することは要求されない。
【0026】
本開示の文脈内で、用語「革新的な処理および抽出技術」は、ゲルの骨格構造に対して少ない細孔崩壊および少ない収縮を引き起こす様式で、湿潤ゲル材料中の液体間隙層を空気などの気体で置換する方法をいう。周囲圧力による蒸発などの乾燥技術は、しばしば、蒸発または除去される間隙相の液体-蒸気界面で、強い毛細管圧力および他の物質移動制限を招く。液体の蒸発または除去によって生成される強い毛細管力は、ゲル材料内で著しい細孔収縮および骨格崩壊を引き起こし得る。液体間隙相の抽出中に革新的な処理および抽出技術を使用することにより、液相抽出中にゲルの孔および骨格に及ぼす毛細管力の悪影響が低減される。
【0027】
特定の態様において、革新的な処理および抽出技術は、湿潤ゲル材料から液体間隙層を抽出するために、臨界近傍流体若しくは超臨界流体、または臨界近傍条件若しくは超臨界条件を使用する。これは、液体または液体混合物の臨界点の近くまたは上のゲルから、液体間隙相を除去することによって達成することができる。共溶媒および溶媒交換を使用して、臨界近傍流体または超臨界流体抽出プロセスを最適化することができる。
【0028】
本開示の文脈内で、用語「骨格」または「骨格構造」は、ゲルまたはエーロゲルの固体構造を形成する相互接続されたオリゴマー、ポリマー、またはコロイド粒子のネットワークをいう。骨格構造を構成するポリマーまたは粒子は、典型的には約100オングストロームの直径を有する。しかし本開示の骨格構造は、ゲルまたはエーロゲル内で固体構造を形成する全ての直径サイズの相互接続されたオリゴマー、ポリマー、またはコロイド粒子のネットワークを含むこともできる。さらに用語「シリカ系エーロゲル」または「シリカ系骨格」は、シリカが、ゲルまたはエーロゲル内で固体骨格構造を形成する少なくとも50重量%のオリゴマー、ポリマー、またはコロイド粒子を含むエーロゲル骨格をいう。
【0029】
本開示の文脈内で、用語「エーロゲル配合物」は、複合物の成分としてエーロゲル材料を含む任意の複合材料をいう。エーロゲル配合物の例は、繊維補強エーロゲル複合物、不透明化剤などの添加剤要素を含むエーロゲル複合物、エーロゲルフォーム複合物、エーロゲルポリマー複合物、およびエーロゲル粒状物質、粒子、顆粒、ビーズ、または粉末を、結合剤、樹脂、セメント、フォーム、ポリマー、または同様の固体材料などの固体または半固体材料に取り込む複合材料を含むがこれらに限られない。
【0030】
本発明の文脈内で、用語「フォーム(foam)」は、相互接続されたポリマー構造の骨格を含む材料であって、相互接続された孔の対応するネットワーク、またはこの骨格内に一体化された独立した孔の集合体を含み、フォームの孔内に分散された媒体として空気などの気体を含有する、約300nm超の平均細孔直径を有する材料をいう。
【0031】
あるいは用語「フォーム」は、体積で高比率の気体が気泡の形態で、液体、固体、またはゲル中に分散されている分散液によって形成された多孔質固体を含む材料をいうことができ、この気泡は、しばしば固体粒子または可溶性物質によって安定化される。一般にフォームは、多種多様な方法を用いて作成することができ、例えば、米国特許第6,147,134号明細書、5,889,071号明細書、6,187,831号明細書、および5,229,429号明細書を参照されたい。
【0032】
フォーム骨格内の孔は、「気泡(cell)」と呼ぶこともできる。気泡は、気泡壁または気泡膜によって分けられ、フォーム内に独立した閉じた孔の集まりを形成する。用語「独立気泡フォーム」は、細孔体積の少なくとも50%が、膜または壁によって囲まれた閉じ込められた気泡であるフォーム材料をいう。フォーム内の気泡は、気泡開口部を介して相互接続されて、フォーム内に相互接続された開いた孔(open pore)のネットワークを形成することもできる。用語「連続気泡フォーム」は、細孔体積の少なくとも50%が連続気泡であるフォーム材料をいう。連続気泡フォームは、網状連続気泡フォーム、非網状連続気泡フォーム、またはこれらの組み合わせを含むことができる。網状フォームは、フォーム材料内の気泡膜を除去または穿刺する網状化プロセスによって生成される連続気泡フォームである。網状フォームは、典型的には非網状フォームよりも高濃度の連続気泡を有するが、より高価になりやすく製造が困難である。一般にフォーム材料は、完全に1種類の気泡構造(連続気泡または独立気泡)を有してはいない。フォームは、米国特許第6147134号明細書、第5889071号明細書、第6187831号明細書、第5229429号明細書、第4454248号明細書、および米国特許出願第20070213417号明細書に提示されているフォーム製造プロセスを含む広範囲のプロセスを用いて製造することができる。
【0033】
本発明の文脈内で、用語「再結合フォーム」は、フォーム材料(しばしば製造スクラップ)の粒子または小片の集合体を一緒に接着するプロセスから生じるフォームをいう。様々な接着剤および結合プロセスを使用することができ、使用されるフォームは、再結合の前に粉砕または細断することができる。フォームは、さもなければ無駄になるであろうフォームの使用によって、コストを下げる方法として再結合され得る。再結合されたフォームの典型的な用途は、カーペットの下敷きである。
【0034】
本発明の文脈内で、用語「モノリシック」は、エーロゲル材料または配合物に含まれるエーロゲルの大部分(重量による)が、単一の相互連結エーロゲルナノ構造の形態であるエーロゲル材料をいう。モノリシックエーロゲル材料は、最初に単一の相互連結されたゲルまたはエーロゲルナノ構造を有するように形成されたエーロゲル材料であるが、引き続いてひび割れ、破壊、または非一単一ではないエーロゲルナノ構造に分割されたエーロゲル材料を含む。モノリシックエーロゲル材料は、粒状エーロゲル材料と区別される。用語「粒状エーロゲル材料」は、エーロゲル材料に含まれるエーロゲルの大部分(重量による)が、粒状物質、粒子、顆粒、ビーズ、または粉末の形態であり、それらを一緒に組み合わせるかまたは圧縮することができるが、個々の粒子間に相互連結されたエーロゲルナノ構造が欠けているエーロゲル材料をいう。
【0035】
本発明の文脈内で、用語「補強されたエーロゲル配合物」は、エーロゲル材料内にエーロゲル骨格の一部ではない補強相を含むエーロゲル配合物をいう。補強相は、エーロゲル材料に可撓性、弾力性、順応性、または構造安定性の上昇をもたらす任意の材料であり得る。周知の補強材料の例には、特に限定されるものではないが、連続気泡フォーム補強材料、ポリマー補強材料材、および不連続繊維、織物材料、不織布材料、バッティング、ウェブ、マット、およびフェルトなどの繊維補強材料が挙げられる。さらに繊維ベースの補強材料は、1つ以上の他の補強材料と組み合わされてもよく、配合物の全体にわたって、または限定された好ましい部分に、連続的に配向されてもよい。
【0036】
本発明の文脈内で、用語「繊維補強されたエーロゲル配合物」は、補強相として繊維補強材料を含む補強されたエーロゲル配合物をいう。繊維補強材料の例としては、特に限定されるものではないが、不連続繊維、織物材料、不織布材料、バッティング、ウェブ、マット、フェルト、またはこれらの組み合わせが挙げられる。繊維補強材料は、特に限定されるものではないが、ポリエステル、ポリオレフィンテレフタレート、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリカーボネート(例、レーヨン、ナイロン)、綿(例えばDupont製のライクラ)、炭素(例えばグラファイト)、ポリアクリロニトリル(PAN)、酸化PAN、非炭化熱処理PAN(例えば、SGLカーボンで製造されたもの)、ガラス繊維系材料(例えば、Sガラス、901ガラス、902ガラス、475ガラス、Eガラス)、シリカ系繊維(Saint-Gobain社製Quartzel)、例えば石英、Q-フェルト(Johns Manville社製)、サフィル(Saffil社製)、デュラブランケット(Unifrax社製)および他のシリカ繊維、デュラバック(Carborundum社製)、ポリアラミド繊維、例えばケプラー、ノメックス、ソンテラ(Dupont社製)、コーネックス(Taijin社製)、ポリオレフィン、例えばチベック(DuPont社製)、ディネマ(DSM社製)、スペクトラ(Honeywell社製)、他のポリプロピレン繊維、例えばタイパー、キサバン(いずれもDuPont社製)、フルオロポリマー、例えばテフロン(DuPont社製)の商品名を有するPTFE、ゴアテックス(W.L. GORE社製)、炭化ケイ素繊維、例えばニカロン(COI Ceramics社製)、セラミック繊維、例えばネクステル(3M社製)、アクリル系ポリマー、羊毛、絹、麻の繊維、皮革、スエード、PBO-ザイロン繊維(Tyobo社製)、液晶材料、例えばベクタン(Hoechst社製)、カンブレル繊維(DuPont社製)、ポリウレタン、ポリアミド、木材繊維、ホウ素、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼繊維、および他の熱可塑性樹脂、例えばPEEK、PES、PEI、PEK、PPSを含む広範囲の材料を含み得る。
【0037】
本発明の文脈内で、用語「フォーム補強されたエーロゲル配合物」または「エーロゲルフォーム複合物」は、補強相としてフォーム補強材料を含む補強されたエーロゲル配合物をいう。フォーム補強材料は、連続気泡フォーム、独立気泡フォーム、またはこれらの組み合わせを含むことができる。本発明での使用に適したフォームには、特に限定されるものではないが、ポリマー材料から製造されたフォームが含まれる。例としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、フェノール、メラミン、酢酸セルロース、およびポリスチレンから製造されるフォームが挙げられる。ポリオレフィンフォームが好ましく、ポリウレタンフォームがより好ましい。ポリエーテルポリウレタンフォームは、非網状フォーム用に好ましい。ポリエステルポリウレタンフォームは、網状フォームに好ましい。本発明で使用するためのポリウレタンおよびポリエポキシドフォームの例は、米国特許第2117605号明細書、第3094433号明細書、第2739134号明細書、第3112524号明細書、第2789095号明細書、第3129191号明細書、第2811499号明細書、第3171820号明細書、第2831820号明細書、第2920983号明細書、第3342922号明細書、第2926390号明細書、第3386877号明細書、第2936294号明細書、3459274号明細書、2993869号明細書、3504064号明細書、3025200号明細書、3506600号明細書、3055360号明細書、3650993号明細書、3057750号明細書、3860537号明細書、3060137号明細書、4252517号明細書、3075926号明細書、3082611号明細書、および3090094号明細書に提示されている。特定の態様において、メラミンフォームも好ましい。本発明における使用のためのメラミンフォームの例は、米国特許第8546457号明細書、第4666948号明細書、および国際公開第2001/094436号パンフレットに提示されている。フォーム補強材料は、再結合フォームであってもよい。
【0038】
本開示の文脈内で、用語「エーロゲルブランケット」または「エーロゲルブランケット配合物」は、補強材料の連続シートで補強されたエーロゲル配合物をいう。エーロゲルブランケット配合物は、非連続繊維またはフォームネットワーク、例えば、繊維材料の分離された凝集物または塊などで補強された他の補強エーロゲル配合物と区別することができる。エーロゲルブランケット配合物は、高度に順応性があり、エーロゲルの優れた断熱性を保持しながら、単純なまたは複雑な幾何学的形状の表面を覆うように毛布のように使用することができるため、柔軟性を必要とする用途に特に有用である。エーロゲルブランケット配合物および類似の繊維補強エーロゲル配合物は、公開された米国特許出願第2002/0094426号明細書(段落12~16,25~27,38~58,60~88)に記載されており、これは、独立して引用されたセクションと段落に従って本明細書に取り込まれる。
【0039】
本発明の文脈内で、用語「湿潤ゲル」は、相互接続された孔のネットワーク内の移動性間隙層が、主に従来の溶媒などの液相、液体の二酸化炭素などの液化ガス、またはこれらの組み合わせを含むゲルをいう。エーロゲルは典型的には、湿潤ゲル中の移動性間隙液相を空気で置換して乾燥ゲルを生成するために、湿潤ゲルの初期生成、その後の革新的処理および抽出を必要とする。湿潤ゲルの例としては、特に限定されるものではないが、アルコゲル、ヒドロゲル、ケトゲル、カーボノゲル、および当業者に公知の他の任意の湿潤ゲルが挙げられる。
【0040】
本発明の文脈内で、用語「添加剤」または「添加要素」は、エーロゲルの製造前、製造中、または製造後のいずれかに、エーロゲル配合物に添加することができる材料をいう。添加剤は、エーロゲルの望ましい特性を改変または改善するために、またはエーロゲルの望ましくない特性を打ち消すために添加することができる。添加剤は典型的には、ゲル化前またはゲル化中のいずれかでエーロゲル材料に添加される。添加剤の例には、特に限定されるものではないが、マイクロファイバー、充填剤、補強剤、安定剤、増粘剤、弾性化合物、不透明剤、着色若しくは色素形成化合物、放射線吸収化合物、放射線反射化合物、腐食防止剤、熱伝導性成分、相変化材料、pH調節剤、レドックス調節剤、HCN緩和剤、オフガス緩和剤、電導性化合物、電気絶縁化合物、磁性化合物、レーダー遮断成分、硬化剤、収縮抑制剤、および当業者に知られている他のエーロゲル添加剤を含む。添加剤の他の例には、煙抑制剤および消火剤が含まれる。公開された米国特許出願第20070272902A1号明細書(段落[0008]および[0010]~[0039])は、煙抑制剤および消火剤の教示を含み、個別に引用された段落に従って本明細書に取り込まれる。
【0041】
本開示の文脈内で、用語「可撓性の」および「可撓性」は、エーロゲル材料または配合物が、マクロ構造の破壊なしに曲げられるかまたは撓む能力をいう。好ましくは本開示のエーロゲル配合物は、肉眼で見える破壊を伴わずに少なくとも5°、少なくとも25°、少なくとも45°、少なくとも65°、または少なくとも85°曲げることができ、および/または、肉眼で見える破壊を伴わずに4フィート未満、2フィート未満、1フィート未満、6インチ未満、3インチ未満、2インチ未満、1インチ未満、または1/2インチ未満の曲げ半径を有する。同様に用語「高度に可撓性の」または「高い可撓性」は、肉眼で見える破壊を伴わずに、少なくとも90°に曲げることができ、および/または1/2インチ未満の曲げ半径を有するエーロゲル材料または配合物をいう。さらに用語「分類された可撓性の」および「可撓性として分類された」は、ASTM分類基準C1101(ASTM International, West Conshohocken, PA)に従って可撓性として分類できるエーロゲル材料または配合物をいう。
【0042】
本発明のエーロゲル材料または配合物は、可撓性、高度に可撓性、および/または分類された可撓性であり得る。本発明のエーロゲル材料または配合物は、ドレープ性であり得る。本発明の文脈内で、用語「ドレープ性の」および「ドレープ性」は、エーロゲル材料または配合物が、肉眼で見える破壊を伴わずに、約4インチ以下の曲率半径で90°以上に曲げられまたは屈曲される能力をいう。本発明のエーロゲル材料または配合物は好ましくは可撓性であり、従ってこの配合物は非剛性であり、3次元の表面または物体に適用およびならうことができるか、または設置または適用を単純化するために様々な形状および構成に予め形成され得るようになっている。
【0043】
本開示の文脈内で、用語「弾力性の」および「弾力性」は、エーロゲル材料または配合物が、圧縮、屈曲、または曲げによる変形後に、元の形状または寸法に少なくとも部分的に回復する能力をいう。弾力性は完全でも部分的であってもよく、回復パーセントの観点から表現されてもよい。本開示のエーロゲル材料または配合物は、変形後の元の形状または寸法への回復が、好ましくは25%超、50%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、または95%超の弾力性を有する。同様に用語「分類された弾力性」および「弾力性として分類される」は、ASTM分類標準C1101(ASTM International、West Conshohocken, PA)に従って、弾性的柔軟性として分類され得る本開示のエーロゲル材料または配合物をいう。
【0044】
本開示の文脈内で、用語「自己支持性」は、主にエーロゲルの物理的性質およびエーロゲル配合物中の任意の補強相に基づいて、可撓性および/または弾力性になるエーロゲル材料または配合物の能力をいう。本開示の自己支持性エーロゲル材料または配合物は、材料に可撓性および/または弾力性を提供する下地基板に依存するコーティングなどの他のエーロゲル材料と区別することができる。
【0045】
本開示の文脈内で、用語「収縮」は、1)乾燥エーロゲル材料または配合物の測定された最終密度とゾルゲル前駆体溶液中の固形分から計算された目標密度との差の、2)ゾルゲル前駆体溶液中の固形分から計算された目標密度、に対する比をいう。収縮率は以下の式により計算することができる:収縮率=[最終密度(g/cm3)-目標密度(g/cm3)]/[目標密度(g/cm3)]。好ましくは本開示のエーロゲル材料の収縮率は、50%以下、25%以下、10%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.1%以下、約0.01%以下、またはこれらの値の任意の2つの間の範囲である。
【0046】
本開示の文脈内で、用語「熱伝導度」および「TC」は、2つの表面の間で温度差がある、材料または配合物のいずれかの側の2つの表面の間で熱を伝達する材料または配合物の能力の測定値をいう。熱伝導度は、単位時間当りおよび単位表面積当りで伝達された熱エネルギーを温度差で割ったものとして具体的に測定される。これは典型的には、mW/m*K(ミリワット/メートル×ケルビン)としてSI単位で記録される。材料の熱伝導度は、当該分野で公知の方法により、例えば、特に限定されるものではないが、熱流計装置による定常状態の熱伝達特性の試験方法(ASTM C518, ASTM International, West Conshohocken, PA)、保護熱板装置による定常熱流束測定および熱伝達特性の試験方法(ASTM C177, ASTM International, West Conshohocken, PA)、パイプ断熱材の定常熱伝達特性の試験方法(ASTM C335, ASTM International, West Conshohocken, PA)、薄いヒーターの熱伝導度試験(ASTM C1114, ASTM International, West Conshohocken, PA)、保護されたホットプレートおよび熱流量計法による熱抵抗の測定(EN 12667, British Standards Institution, United Kingdom)、または定常状態熱抵抗および関連特性の測定-保護されたホットプレート装置の決定(ISO 8203, International Organization for Standardization, Switzerland)により決定できる。本開示の文脈内で、熱伝導度の測定値は、特に別の指定がなければ、ASTM C177基準に従って、約37.5℃の温度で大気圧下約2psiの圧縮で得られる。好ましくは本開示のエーロゲル材料または配合物の熱伝導度は、約50mW/mK以下、約40mW/mK以下、約30mW/mK以下、約25mW/mK以下、約20mW/mK以下、約18mW/mK以下、約16mW/mK以下、約14mW/mK以下、約12mW/mK以下、約10mW/mK以下、約5mW/mK以下、またはこれらの値の任意の2つの間の範囲内である。
【0047】
本開示の文脈内で、用語「密度」は、エーロゲル材料または配合物の単位体積当たりの質量の測定値をいう。用語「密度」は、一般にエーロゲル材料の真密度、およびエーロゲル配合物の嵩密度をいう。密度は、典型的にはkg/m3またはg/ccとして記録される。エーロゲル材料または配合物の密度は、当該分野で公知の方法、例えば、特に限定されるものではないが、予め形成されたブロックおよびボード型断熱材の寸法および密度の標準試験方法(ASTM C303, ASTM International, West Conshohocken, PA)、ブランケットまたはバット断熱材の厚さおよび密度の標準試験方法(ASTM C167, ASTM International, West Conshohocken, PA)、または予め形成されたパイプ断熱材の見掛け密度の測定(ISO 18098, International Organization for Standardization, Switzerland)により決定することができる。本開示の文脈内で、密度測定値は、特に別の指定がなければ、ASTM C167基準に従って得られる。好ましくは本開示のエーロゲル材料または配合物の密度は、約0.60g/cc以下、約0.50g/cc以下、約0.40g/cc以下、約0.30g/cc以下、約0.25g/cc以下、約0.20g/cc以下、約0.18g/cc以下、約0.16g/cc以下、約0.14g/cc以下、約0.12g/cc以下、約0.10g/cc以下、約0.05g/cc以下、約0.01g/cc以下、またはこれらの値の任意の2つの間の範囲である。
【0048】
本開示の文脈内で、用語「疎水性」は、エーロゲル材料または配合物が水をはじく能力の測定値をいう。
【0049】
エーロゲル材料または配合物の疎水性は、液体である水の摂取量によって表すことができる。本開示の文脈内で、用語「液体である水の摂取量」は、液体である水を吸収するかまたはそうでなければ保持する、エーロゲル材料または配合物の可能性の測定値をいう。液体である水の摂取は、ある測定条件下で液体である水に曝されたときに、エーロゲル材料または配合物によって吸収されるかまたはそうでなければ保持される水のパーセント(重量パーセントまたは体積パーセント)で表すことができる。エーロゲル材料または配合物の液体である水の摂取量は、当該分野で公知の方法により、例えば、特に限定されるものではないが、繊維ガラス絶縁体の水分保持(撥水性)特性を決定するための標準試験方法(ASTM C1511, ASTM International, West Conshohocken, PA)、断熱材の浸漬による吸水の標準試験方法(ASTM C1763, ASTM International, West Conshohocken, PA)、建築用断熱製品:部分浸漬による短時間吸水の決定(EN 1609, British Standards Institution, United Kingdom)により測定することができる。本開示の文脈内で、液体である水の摂取量の測定値は、特に別の指定がなければ、ASTM C1511規格に従って、周囲圧力および温度下で得られる。好ましくは本開示のエーロゲル材料または配合物のASTM C1511による液体である水の摂取量は、約100重量%以下、約80重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約8重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.1重量%以下、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲であることができる。本開示のエーロゲル材料または配合物のASTM C1763による液体である水の摂取量は、約100重量%以下、約80重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約8重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.1重量%以下、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲であることができる。別のエーロゲル材料または配合物と比較して改善された液体である水の摂取量を有するエーロゲル材料または配合物は、参照エーロゲル材料または配合物と比較して、より低いパーセントの液体である水の摂取量/保持量を有するであろう。
【0050】
エーロゲル材料または配合物の疎水性は、水蒸気摂取の観点から表すことができる。本開示の文脈内で、用語「水蒸気摂取量」は、水蒸気を吸収するエーロゲル材料または配合物の可能性の測定値をいう。水蒸気摂取量は、一定の測定条件下で水蒸気に曝されたときに、エーロゲル材料または配合物によって吸収されるかまたはそうでなければ保持される水のパーセント(重量)として表すことができる。エーロゲル材料または配合物の水蒸気摂取量は、当該分野で公知の方法により、例えば、特に限定されるものではないが、面のない鉱物繊維断熱材の水蒸気収着を決定するための標準試験方法(ASTM C1104, ASTM International, West Conshohocken, PA)により測定することができる。本開示の文脈内で、水蒸気摂取量の測定値は、特に別の指定がなければ、ASTM C1104基準に従って、周囲圧力および温度下で得られる。好ましくは本開示のエーロゲル材料または配合物の水蒸気摂取量は、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約8重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.1重量%以下、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内である。別のエーロゲル材料または配合物と比較して改善された水蒸気摂取量を有するエーロゲル材料または配合物は、参照エーロゲル材料または配合物と比較して、より低いパーセントの水蒸気摂取量/保持量を有するであろう。
【0051】
エーロゲル材料または配合物の疎水性は、材料の表面との界面における水滴の平衡接触角を測定することによって表すことができる。本開示のエーロゲル材料または配合物の水接触角は、約90°以上、約120°以上、約130°以上、約140°以上、約150°以上、約160°以上、約170°以上、約175°以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内である。
【0052】
エーロゲルは相互接続構造の骨格として記載され、これは、最も一般的には、相互接続されたオリゴマー、ポリマー、またはコロイド粒子からなる。エーロゲル骨格は、無機前駆体材料(例えば、シリカ系エーロゲルを製造するのに使用される前駆体)、有機前駆体材料(例えば、炭素系エーロゲルを製造するのに使用される前駆体)、ハイブリッド無機/有機前駆体、およびこれらの組み合わせを含む範囲の前駆体材料から作成することができる。本発明の文脈内で、用語「アマルガムエーロゲル」は、2つ以上の異なるゲル前駆体の組み合わせから生成されるエーロゲルをいう。
【0053】
無機エーロゲルは、一般に金属酸化物または金属アルコキシド材料から形成される。金属酸化物または金属アルコキシド材料は、酸化物を形成することができる任意の金属の酸化物またはアルコキシドをベースとすることができる。このような金属には、特に限定されるものではないが、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、バナジウム、セリウムなどが含まれる。無機シリカエーロゲルは、従来、シリカ系アルコキシド(例えば、テトラエトキシルシラン)の加水分解および縮合により、またはケイ酸若しくは水ガラスのゲル化により製造されている。シリカ系エーロゲル合成のための他の関連する無機前駆体材料には、特に限定されるものではないが、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムなどの金属ケイ酸塩、アルコキシシラン、部分加水分解アルコキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、部分加水分解TEOS、TEOSの縮合ポリマー、テトラメトキシシラン(TMOS)、部分加水分解TMOS、TMOSの縮合ポリマー、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-n-プロポキシシランの部分加水分解および/または縮合ポリマー、ポリエチル珪酸塩、部分加水分解ポリエチル珪酸塩、モノマーアルキルアルコキシシラン、ビス-トリアルコキシアルキル若しくはアリールシラン、多面体シルセスキオキサン、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
本発明の1つの態様において、約1.9~2の水/シリカ比で加水分解されるSilbond H-5(SBH5, Silbond Corp)などの予備加水分解されたTEOSは、市販されているまま使用するか、またはさらに加水分解された後にゲル化プロセスに組み込まれることができる。ポリエチルケイ酸塩(Silbond 40)またはポリメチルケイ酸塩などの部分的に加水分解されたTEOSまたはTMOSも、市販されているまま使用するか、またはさらに加水分解された後にゲル化プロセスに組み込まれることができる。
【0055】
無機エーロゲルはまた、安定性および疎水性などのゲル中にある性質を付与または改善することができるアルキル金属アルコキシド、シクロアルキル金属アルコキシド、およびアリール金属アルコキシドなどの、少なくとも1つの疎水性基を含むゲル前駆体を含むことができる。無機シリカエーロゲルは、具体的にはアルキルシランまたはアリールシランなどの疎水性前駆体を含むことができる。疎水性ゲル前駆体は、ゲル材料の骨格を形成するための第一前駆体材料として使用することができる。しかし疎水性ゲル前駆体は、より一般的にはアマルガムエーロゲルの形成において、単純な金属アルコキシドと組み合わせて共前駆体として使用される。シリカ系エーロゲル合成の疎水性無機前駆体材料には、特に限定されるものではないが、トリメチルメトキシシラン[TMS]、ジメチルジメトキシシラン[DMS]、メチルトリメトキシシラン[MTMS]、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン[DMDS]、メチルトリエトキシシラン[MTES]、エチルトリエトキシシラン[ETES]、ジエチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン[PhTES]、ヘキサメチルジシラザン、およびヘキサエチルジシラザンなどが挙げられる。
【0056】
エーロゲルはまた、疎水性を付与または改善するために処理されてもよい。疎水性処理は、ゾルゲル溶液に、液相抽出前の湿潤ゲルに、または液相抽出後のエーロゲルに適用することができる。疎水性処理は、シリカエーロゲルなどの金属酸化物エーロゲルの製造において、特に一般的である。ゲルの疎水性処理の例は、以下に詳細に、具体的にはシリカ湿潤ゲルを処理する状況で論じられる。しかし、本明細書で提供される具体例および例示は、本発明の範囲を任意の特定のタイプの疎水性処理手順またはエーロゲル基材に限定することを意図するものではない。本発明は、当業者に知られている任意のゲルまたはエーロゲル、ならびにエーロゲルの疎水性処理の関連方法を、湿潤ゲル形態または乾燥エーロゲル形態のいずれかで、含むことができる。
【0057】
疎水性処理は、ゲル上のヒドロキシ部分、例えばシリカゲルの骨格上に存在するシラノール基(Si-OH)を疎水化剤の官能基と反応させることによって実施される。得られる反応は、シラノール基および疎水化剤をシリカゲルの骨格上の疎水性基に転化する。疎水化剤化合物は、RNMX4-N(疎水化剤)+MOH(シラノール)→MOMRN(疎水性基)+HXの反応により、ゲル上のヒドロキシル基と反応することができる。疎水性処理は、シリカゲルの外側マクロ表面上、およびゲルの多孔質ネットワーク内の内側孔表面上の両方で起こり得る。
【0058】
ゲルは、疎水化剤と、疎水化剤が可溶性でありおよび湿潤ゲル中のゲル溶媒と混和性である任意選択的な疎水性処理溶媒との混合物中に浸漬することができる。メタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、トルエン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、およびヘキサンなどの溶媒を含む広範囲の疎水性処理溶媒を使用することができる。液状または気体状の疎水化剤をゲルと直接接触させて、疎水性を付与することもできる。
【0059】
疎水性処理プロセスは、疎水化剤が湿潤ゲルに浸透するのを助けるための混合または撹拌を含むことができる。疎水性処理プロセスはまた、処理反応をさらに促進し最適化するために、温度およびpHなどの他の条件を変えることを含むことができる。反応が完了した後、湿潤ゲルを洗浄して未反応の化合物および反応副生成物を除去する。
【0060】
エーロゲルの疎水性処理のための疎水化剤は、一般に、式RNMX4-Nの化合物であり、ここで、Mは金属であり、Rは、CH3、CH2CH3、C6H6、または同様の疎水性アルキル、シクロアルキル、若しくはアリール部分などの疎水性基であり、Xはハロゲン、通常はClである。疎水化剤の具体例には、特に限定されるものではないが、トリメチルクロロシラン[TMCS]、トリエチルクロロシラン[TECS]、トリフェニルクロロシラン[TPCS]、ジメチルクロロシラン[DMCS]、ジメチルジクロロシラン[DMDCS]などが含まれる。疎水化剤はまた、式:Y(R3M)2であってもよく、ここで、Mは金属であり、YはNHまたはOなどの架橋基であり、Rは、CH3、CH2CH3、C6H6などの疎水性基、または同様の疎水性アルキル、シクロアルキル、若しくはアリール部分である。このような疎水化剤の具体例には、特に限定されるものではないが、ヘキサメチルジシラザン[HMDZ]およびヘキサメチルジシロキサン[HMDSO]が含まれる。疎水化剤はさらに、式RNMV4-Nの化合物をさらに含むことができ、ここで、Vは、ハロゲン以外の反応性基または離脱基である。このような疎水化剤の具体例には、特に限定されるものではないが、ビニルトリエトキシシランおよびビニルトリメトキシシランが含まれる。
【0061】
有機エーロゲルは、一般に、炭素系ポリマー前駆体から形成される。このようなポリマー材料は、レゾルシノールホルムアルデヒド(RF)、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリレートオリゴマー、ポリオキシアルキレン、ポリウレタン、ポリフェノール、ポリブタジエン、トリアルコキシシリル末端ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフルフラール、メラミンホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノールフルルラール、ポリエーテル、ポリオール、ポリイソシアネート、ポリヒドロキシベンゼン、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、種々のエポキシ、寒天、アガロース、キトサン、およびこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。一例として、有機RFエーロゲルは、典型的にはアルカリ条件下でレゾルシノールまたはメラミンとホルムアルデヒドとのゾルゲル重合から製造される。
【0062】
有機/無機ハイブリッドエーロゲルは、主にオルモシル(有機修飾シリカ)エーロゲルからなる。これらのオルモシル材料には、シリカネットワークに共有結合した有機成分が含まれる。オルモシルは、典型的には有機修飾シランR-Si(OX)3と従来のアルコキシド前駆体Y(OX)4との加水分解および縮合によって形成される。これらの式において、Xは、例えばCH3、C2H5、C3H7、C4H9を表すことができ、Yは、例えばSi、Ti、Zr、またはAlを表すことができ、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、メタクリレート、アクリレート、ビニル、エポキシドなどの任意の有機断片であってもよい。オルモシルエーロゲル中の有機成分は、シリカネットワーク全体に分散されていても、シリカネットワークに化学的に結合していてもよい。
【0063】
本発明の文脈内で、用語「オルモシル」は、「オルモサー」と呼ばれることもある前述の材料および他の有機修飾セラミックスを包含する。オルモシルはしばしばコーティングとして使用され、ここで、オルモシルフィルムは、例えばゾルゲルプロセスを介して基体材料上に注がれる。本発明の他の有機無機ハイブリッドエーロゲルの例には、特に限定されるものではないが、シリカ-ポリエーテル、シリカ-PMMA、シリカ-キトサン、炭化物、窒化物、および上記有機および無機エーロゲル形成化合物の他の組み合わせが含まれる。公開された米国特許出願第20050192367号明細書(段落[0022]~[0038]および[0044]~[0058])は、そのようなハイブリッド有機無機材料の教示を含み、これは、引用により本明細書に個別に引用されたセクションおよび段落に従って取り込まれる。
【0064】
本発明のエーロゲルは好ましくは、ケイ素アルコキシドから形成される加水分解ケイ酸エステルのアルコール溶液から主として形成される無機シリカエーロゲルである。しかし本発明全体は、当業者に公知の任意の他のエーロゲル配合物で実施することができ、いずれか1つの前駆体材料、または前駆体材料のアマルガム混合物に限定されない。
【0065】
エーロゲルの製造は、一般に以下のステップ:i)ゾルゲル溶液の形成、ii)ゾルゲル溶液からゲルを形成すること、およびiii)革新的な処理および抽出によってゲル材料から溶媒を抽出して、乾燥エーロゲル材料を得ることを含む。このプロセスは以下により詳細に、特にシリカエーロゲルなどの無機エーロゲルを形成する文脈において、議論される。しかし本明細書で提供される具体例および例示は、本発明を特定のタイプのエーロゲルおよび/または調製方法に限定することを意図するものではない。本発明は、当業者に知られている任意の関連する調製方法によって形成される任意のエーロゲルを含むことができる。
【0066】
無機エーロゲルを形成する第1のステップは、一般に、アルコール系溶媒中で金属アルコキシド前駆体を加水分解および縮合することによるゾルゲル溶液の形成である。無機エーロゲルの形成における主な変数は、ゾルゲル溶液に含まれるアルコキシド前駆体の種類、溶媒の性質、ゾルゲル溶液の処理温度およびpH(これは酸または塩基の添加によって変えることができる)、およびゾルゲル溶液中の前駆体/溶媒/水の比を含む。ゾルゲル溶液を形成する際のこれらの変数の制御は、ゲル材料の「ゾル」状態から「ゲル」状態へのその後の遷移中の、ゲル骨格の成長および凝集の制御を可能にする。得られるエーロゲルの特性は、前駆体溶液のpHおよび反応物のモル比によって影響されるが、本開示では、ゲルの形成を可能にする任意のpHおよび任意のモル比が使用可能である。
【0067】
ゾルゲル溶液は、少なくとも1つのゲル化前駆体を溶媒と組み合わせることによって形成される。ゾルゲル溶液の形成で使用するのに適した溶媒には、1~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子の低級アルコールが含まれるが、当業者に公知の他の溶媒を使用することができる。有用な溶媒の例としては、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。所望のレベルの分散を達成するために、またはゲル材料の特性を最適化するために、複数の溶媒を合わせることもできる。したがって、ゾルゲルおよびゲル形成ステップのための最適な溶媒の選択は、ゾルゲル溶液に組み込まれる特定の前駆体、充填剤、および添加剤、ならびにゲル化および液相抽出のための目標処理条件、ならびに最終エーロゲル材料の所望の特性に依存する。
【0068】
水もまた、前駆体溶媒溶液中に存在していてもよい。水は、金属アルコキシド前駆体を金属水酸化物前駆体に加水分解するように作用する。この加水分解反応は、(例としてエタノール溶媒中のTEOSを用いて):Si(OC2H5)4+4H2O→Si(OH)4+4(C2H5OH)であり得る。得られる加水分解された金属水酸化物前駆体は、個々の分子としてまたは分子の小さな重合(またはオリゴマー化)コロイドクラスターのいずれかとして、「ゾル」状態で溶媒溶液中に懸濁したままである。例えば、Si(OH)4前駆体の重合/縮合は、2Si(OH)4=(OH)3Si-O-Si(OH)3+H2Oのように起こり得る。この重合は、重合した(またはオリゴマー化した)SiO2(シリカ)分子のコロイドクラスターが形成されるまで続けることができる。
【0069】
溶液のpHを制御し、前駆体材料の加水分解および縮合反応を触媒するために、酸および塩基をゾルゲル溶液に取り込むことができる。前駆体反応を触媒し、より低いpHの溶液を得るために、任意の酸を使用することができるが、好ましい酸としては、HCl、H2SO4、H3PO4、シュウ酸、および酢酸が挙げられる。任意の塩基を同様に用いて、前駆体反応を触媒し、より高いpHの溶液を得ることができ、NH4OHを含む塩基が好ましい。
【0070】
ゾルゲル溶液は、追加の共ゲル化前駆体、並びに充填材料および他の添加剤を含むことができる。充填剤材料および他の添加剤は、ゲル形成前またはゲル形成中の任意の時点で、ゾルゲル溶液中に吐出され得る。充填剤材料および他の添加剤はまた、当業者に知られている様々な技術によるゲル化の後に、ゲル材料に取り込まれてもよい。好ましくは、ゲル化前駆体、溶媒、触媒、水、充填剤材料、および他の添加剤を含むゾルゲル溶液は、適切な条件下で効果的なゲル形成が可能な均質な溶液である。
【0071】
ゾルゲル溶液が形成され最適化されると、ゾルゲル中のゲル形成成分をゲル材料に移行させることができる。ゲル形成成分をゲル材料に移行させるプロセスは、ゲル材料のゲル点までゲルが凝固する初期ゲル形成ステップを含む。ゲル材料のゲル点は、ゲル化溶液が流動抵抗性を示すか、および/またはその体積全体にわたって実質的に連続したポリマー骨格を形成する点として見ることができる。ある範囲のゲル形成技術が当業者に知られている。例としては、特に限定されるものではないが、混合物を十分な時間静止状態に維持すること、溶液のpHを調整すること、溶液の温度を調節すること、混合物(紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、超音波、粒子線、電磁波)にエネルギーの形態を向けること、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0072】
ゲル形成成分をゲル材料に移行させるプロセスはまた、液相抽出前のエージングステップ(硬化ともいう)を含むことができる。ゲル材料がそのゲル点に達した後にエージングすると、ネットワーク内の架橋の数を増やすことによってゲルの骨格をさらに補強することができる。ゲルエージングの持続時間は、得られるエーロゲル材料内の様々な特性を制御するように調整することができる。このエージング手順は、液相抽出中の潜在的な体積損失および収縮を防止するのに有用であり得る。エージングは、長期間静止状態でゲルを(抽出前に)維持すること、高温でゲルを維持すること、架橋結合促進化合物を添加すること、またはこれらの任意の組合せを含む。エージングの好ましい温度は、通常、約10℃~約100℃の間である。ゲル材料のエージングは、典型的には湿潤ゲル材料の液相抽出まで続く。
【0073】
ゲル形成材料をゲル材料に移行させるための時間は、初期ゲル形成の持続時間(ゲル化の開始からゲル点まで)、および液相抽出前のゲル材料のその後の硬化およびエージングの持続時間(ゲル点から液相抽出の開始まで)の両方を含む。ゲル形成材料をゲル材料に移行させるための全時間は、典型的には約1分~数日間、好ましくは約30時間以下、約24時間以下、約15時間以下、約10時間以下、約6時間以下、約4時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約30分以下、または約15分以下である。
【0074】
得られたゲル材料は、適切な二次溶媒中で洗浄して、湿潤ゲル中に存在する一次反応溶媒を置換することができる。このような二次溶媒は、1個以上の脂肪族炭素原子を有する直鎖状一価アルコール、2個以上の炭素原子を有する二価アルコール、分枝アルコール、環式アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、多価アルコール、エーテル、ケトン、環状エーテル、またはそれらの誘導体であり得る。
【0075】
一旦、ゲル材料が形成され、処理されると、ゲルの液相は、革新的な処理および抽出技術を含む抽出方法を用いて、湿潤ゲルから少なくとも部分的に抽出されてエーロゲル材料を形成することができる。液相抽出は、他の因子の中でも、多孔度および密度などのエーロゲルの特性ならびに熱伝導度などの関連特性を設計する上で重要な役割を果たす。一般に、エーロゲルは、湿潤ゲルの多孔質ネットワークおよび骨格に低い収縮を引き起こすような方法で、液相がゲルから抽出される場合に、得られる。
【0076】
エーロゲルは一般に、液体移動相の臨界点の近くまたは上の温度および圧力で、ゲル材料から液体移動相を除去することによって形成される。臨界点に達する(臨界近傍)かまたは超える(超臨界的)(すなわち、システムの圧力および温度がそれぞれ臨界圧力および臨界温度以上である)と、液相または蒸気相とは異なる新しい超臨界相が流体中に現れる。次に液体-蒸気界面、毛細管圧力、または液体-蒸気境界に典型的に関連する任意の関連物質移動制限を導入することなく、溶媒を除去することができる。さらに超臨界相は、一般に有機溶媒との混和性がより高く、したがって、より良好な抽出のための能力を有する。超臨界流体乾燥プロセスを最適化するために、共溶媒および溶媒交換も一般的に使用される。
【0077】
蒸発または抽出が超臨界点より下で起こる場合、液体蒸発によって生成される強い毛細管力は、ゲル材料内で収縮および孔崩壊を引き起こす場合がある。溶媒抽出プロセスの間に臨界圧力および温度の近傍またはより上で移動相を維持することは、このような毛細管力の負の影響を低減する。本発明のいくつかの態様において、溶媒系の臨界点の直ぐ下の臨界近傍条件の使用は、十分に低い収縮率を有するエーロゲル材料または配合物の製造を可能にし、したがって商業的に使用可能な最終生成物を生成する。
【0078】
エーロゲルの乾燥時の超臨界流体の使用におけるある範囲の異なるアプローチを含むいくつかの追加のエーロゲル抽出技術が、当該技術分野において知られている。例えば、Kistler(J. Phys. Chem. (1932) 36: 52-64)は、ゲル溶媒がその臨界圧力および温度より上に維持され、それによって蒸発毛管力を減少し、ゲルネットワークの構造的完全性が維持される単純な超臨界抽出プロセスを記載している。米国特許第4,610,863号明細書は、ゲル溶媒が液体二酸化炭素と交換し、続いて二酸化炭素が超臨界状態にある条件下で抽出される抽出方法を記載している。米国特許第6670402号明細書は、(液体というよりむしろ)超臨界の二酸化炭素を、実質的に超臨界条件以上に予備加熱され予備加圧された抽出器に注入することによる、迅速な溶媒交換を介して、ゲルから液相を抽出し、それによりエーロゲルを生成することを教示する。米国特許第5962539号明細書は、有機溶媒中でゾルゲル状であるポリマー材料からエーロゲルを得る方法であって、有機溶媒を、ポリマー分解温度より低い臨界温度を有する流体と交換し、次に流体/ゾルゲルを超臨界抽出することによる方法を記載する。米国特許第6315971号明細書は、乾燥中のゲルの収縮を減少させるのに十分な乾燥条件下で、ゲル固体を含む湿潤ゲルと乾燥剤とを乾燥させて、乾燥剤を除去することを含むゲル配合物の製造方法を開示している。米国特許第5420168号明細書は、レゾルシノール/ホルムアルデヒドエーロゲルを、簡単な空気乾燥手順を用いて製造することができる方法を記載している。米国特許第5565142号明細書には、周囲条件での乾燥または亜臨界状態での抽出の間に、ゲル骨格および孔が崩壊に耐えることができるように、ゲル表面がより強くかつより疎水性になるように改質される乾燥技術が記載されている。エーロゲル材料から液相を抽出する他の例は、米国特許第5275796号および5395805号明細書に見いだすことができる。
【0079】
湿潤ゲルから液相を抽出する1つの好適な態様は、二酸化炭素の超臨界条件を使用し、例えば、ゲルの孔ネットワーク中に存在する第一溶媒を液体二酸化炭素で最初に実質的に交換することと、次に、二酸化炭素の臨界温度(約31.06℃)を超えて湿潤ゲルを加熱し(典型的にはオートクレーブ中で)、系の圧力を二酸化炭素の臨界圧力(約1070psig)よりも高い圧力に上昇させることとを含む。ゲル材料の周りの圧力は、ゲルからの超臨界二酸化炭素流体の除去を容易にするために、わずかに変動することができる。二酸化炭素は、抽出システムを通して再循環させて、湿潤ゲルから一次溶媒を連続的に除去することができる。最後に、温度および圧力がゆっくりと周囲条件に戻り、乾燥エーロゲル材料を生成する。二酸化炭素はまた超臨界状態に前処理した後、抽出チャンバに注入することもできる。
【0080】
エーロゲルを形成する代替方法の一例は、水中の塩基性金属酸化物前駆体(例えばケイ酸ナトリウム)を酸性化して、ヒドロゲルを作成することを含む。塩副産物は、イオン交換によって、および/またはその後に形成されたゲルを水で洗浄することによって、ケイ酸前駆体から除去することができる。ゲルの孔から水を除去することは、エタノール、メタノール、またはアセトンなどの極性有機溶媒との交換によって行うことができる。次に、ゲル中の液相は、革新的な処理および抽出技術を用いて少なくとも部分的に抽出される。
【0081】
エーロゲルを形成する代替方法の別の例は、溶媒/孔界面での損傷性の毛細管圧力を、表面ヒドロキシル基の疎水性トリメチルシリルエーテルへの転化を介する湿潤ゲル状態のマトリックス材料の化学修飾により低減させることを含み、それにより溶媒の臨界点より下の温度および圧力で、ゲル材料からの液相抽出を可能にする。
【0082】
エーロゲル材料または配合物の大規模製造は、大規模なゲル材料の連続的生成に関連する難しさ、ならびに革新的な処理および抽出技術を用いる大量のゲル材料からの液相抽出に関連する難しさによって、複雑になり得る。本開示のエーロゲル材料または配合物は、好ましくは、大規模な生産に適応している。特定の態様において、本開示のゲル材料は、連続鋳造およびゲル化プロセスによって大規模に製造することができる。特定の態様において、本開示のエーロゲル材料または配合物は、大規模な抽出容器の使用を必要として、大規模で製造される。本開示の大規模抽出容器は、約0.1m3以上、約0.25m3以上、約0.5m3以上、または約0.75m3以上の容積を有する抽出容器を含むことができる。
【0083】
エーロゲル配合物の大規模製造は、コンベヤーの一端で、ゲル前駆体を連続した繊維補強シート(例えば繊維補強ソートまたは連続気泡フォーム補強シート)と組み合わせて、連続的な補強されたゲルシートを製造するコンベヤーに基づくシステムを含むことができる。この補強されたゲルシートは、複数の層(好ましくは均一な張力を有する心棒のまわり)に巻き付けられ、その後の化学的処理、エージング、および乾燥ステップで処理することができる。追加の分離層は、ゲルシート層の間に一緒に巻いて、ゲル材料のエージングまたは乾燥を容易にし、例えば、エージング剤または乾燥材料のための流路を提供することができる。分離層は、不浸透性(好ましくは、1psi、5psi、または10psi未満の圧力の流体に対して不浸透性)または浸透性であり得る。浸透性層は、穿孔されたプラスチックシート、メッシュ状材料、穿孔された箔などの形態であってもよい。
【0084】
図1は、エーロゲル配合物の大規模製造のためのコンベヤーに基づくシステム100の1つの態様を示す。ゲル前駆体溶液110は、混合セクション114において触媒溶液120と混合される。ゲル前駆体溶液110および触媒溶液120の流れは、フローコントローラ130によって制御される。補強材料150はコンベヤーシステム140上に提供される。補強材料150は、補強材料のロールからの連続シートであり得る。補強材料150はまた、補強材料のセグメントを含むことができる。好適な態様において、補強材料150は、繊維補強材料または連続気泡フォーム補強材料である。前駆体溶液(ゲル前駆体と触媒を含む)は、コンベヤーベルト140上に吐出され、補強材料150と合わされる。ゲル前駆体溶液中のゲル形成前駆体は、補強材料がコンベヤーシステム140によって前進されるとき、ゲル材料中に移行する。得られた補強ゲルシートは、その後の化学的処理、エージング、および乾燥ステップのために巻かれる。追加の分離層164は、ゲルシート層160の間に一緒に巻かれ得る。
【0085】
エーロゲル配合物の大規模製造は、一般にロール中ゲル(gel-in-a-roll)プロセスと呼ばれる半連続のバッチ式プロセスを含むことができる。
図2は、エーロゲル配合物の大規模製造のための半連続バッチ式システム200の1つの態様を示す。補強材料のシートは、プリフォームロール220として複数の層に巻かれ、容器210に入れられる。追加の分離層250は、プリフォームロール220内の補強材料と共に巻かれてもよい。分離層は、不浸透性(好ましくは1psi、5psi、または10psi未満の圧力の流体に不浸透性)であるかまたは浸透性であり得る。浸透性層は、穿孔されたプラスチックシート、またはメッシュ状材料、穿孔箔などの形態であってもよい。ゲル前駆体溶液240は、プリフォームロール220の補強材料とともに注入または合わされる。ゲル前駆体溶液中のゲル形成前駆体は、ゲル材料中に移行される。得られた補強ゲルシートは、その後の化学的処理、エージング、および乾燥ステップのために直ちに前進させることができる。得られた補強ゲルシートは巻き戻すことができ、その後、異なる分離層で再度巻かれた後、次の化学的処理、エージング、および乾燥ステップを行うこともできる。
【0086】
エーロゲル複合物は、表皮材料の補強層などの他の材料で積層加工または上塗りすることができる。1つの態様において、本発明は、補強されたエーロゲル配合物を含む少なくとも1つのベース層と、少なくとも1つの表皮層とを含む多層積層体を含む。1つの態様において、表皮層は補強材料を含む。1つの態様において、補強されたエーロゲル配合物は、繊維補強層または連続気泡フォーム補強層で補強される。1つの態様において、本発明は、補強されたエーロゲル配合物を含むベース層と、補強材料を含む少なくとも2つの表皮層とを含む多層積層体を含み、2つの表皮層はベース層の対向面である。多層エーロゲル積層複合物は、米国特許出願第20070173157号明細書の段落[0004]、[0010]、[0011]、[0017]~[0021]、および[0023]~[0027]に記載されている方法および材料に従って製造することができ、この方法および材料は、上記で引用された具体的な段落に従って、参照により本明細書に取り込まれる。
【0087】
表皮層は、柔軟性の改善またはちりの低減などの、最終的な複合体構造に特定の特性を与えるのに役立つ材料を含むことができる。表皮材料は、硬くても柔軟であってもよい。表皮材料は反射箔を含むことができる。1つの態様において、表皮層はポリマーシートを、より詳しくは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アラミドを含むポリマーシートを、より詳しくは、ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリ(4-メチルペンタン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(1-ブテン)、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルホン、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリウンデカノアミド、ポリイミド、またはそれらの組合せを含むポリマーを含む。1つの態様において、ポリマーシートは、延伸ポリマー材料、より詳しくはPTFE(ePTFE)、延伸ポリプロピレン(ePP)、延伸ポリエチレン(ePE)、延伸ポリスチレン(ePS)、またはこれらの組み合わせを含む延伸ポリマー材料を含むか、またはこれらから本質的になる。1つの態様において、ポリマーシートは、0.1μm~210μm、0.1μm~115μm、0.1μm~15μm、または0.1μm~0.6μmの範囲の孔サイズを特徴とする微多孔質ポリマー材料を含むかまたはこれから本質的になる。
【0088】
1つの態様において、表皮層材料は、フルオロポリマー材料を含むかまたはこれから本質的になる。本開示の文脈内で、用語「フルオロポリマー性」または「フルオロポリマー材料」は、主としてポリマーフルオロカーボンからなる材料をいう。適切なフルオロポリマー表皮層材料には、特に限定されるものではないが、米国特許第5814405号明細書に記載された微多孔質PTFEを含むポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびGore-Tex(登録商標)(W.L. Goreから入手可能)などの延伸PTFE(ePTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、およびこれらの組み合わせを含む。
【0089】
1つの態様において、表皮層材料は、非フルオロポリマー材料を含むか、またはこれから本質的になる。本開示の文脈内で、用語「非フルオロポリマー性」または「非フルオロポリマー材料」は、フルオロポリマー材料を含まない材料をいう。適切な非フルオロポリマー表皮層材料としては、特に限定されるものではないが、アルミニウム化マイラー、Tyvek(登録商標)(DuPontから入手可能)などの低密度ポリエチレン、ゴムまたはゴム複合物、スパンデックス、ナイロン、ライクラ、またはエラスタンなどの弾性繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられる。1つの好ましい態様において、表皮材料は可撓性のある表皮材料である。1つの好ましい態様において、表皮材料は、弾性繊維、例えばスパンデックス、ナイロン、ライクラ、エラスタン、またはそれらの組み合わせでできている。1つの好ましい態様において、表皮材料は、非フルオロポリマー材料から本質的になる。
【0090】
表皮層は、無機または有機の表皮材料をベース層の補強材料に固定するのに適した接着剤を使用することによって、ベース層に取り付けることができる。本発明で使用できる接着剤の例には、特に限定されるものではないが、セメント系接着剤、ケイ酸ナトリウム、ラテックス、感圧接着剤、シリコーン、ポリスチレン、エアロゾル接着剤、ウレタン、アクリレート接着剤、ホットメルト接着システム、3Mから市販されている結合システム、エポキシ、ゴム樹脂接着剤、米国特許第4532316号明細書に記載されているようなポリウレタン接着剤混合物が挙げられる。
【0091】
表皮層はまた、無機または有機表皮材料をベース層の補強材料に固定するのに適した非接着性材料または技術を使用することによって、ベース層に取り付けることもできる。本発明で使用することができる非接着性材料または技術の例には、特に限定されるものではないが、ヒートシール、超音波縫合、RFシーリング、縫い目または縫い糸、密閉袋、リベットまたはボタン、クランプ、ラップ、または他の非粘着性積層加工材料が挙げられる。好ましい態様では、表皮層は、縫いまたはリベットによってベース層に取り付けられている。別の好ましい態様では、表皮層は、超音波縫合または結合によりベース層に取り付けられている。
【0092】
表皮層は、エーロゲル複合材料の製造の任意の段階でベース層に取り付けることができる。1つの態様において、表皮層は、ゾルゲル溶液をベース補強材料に注入した後であるがゲル化の前に、ベース層に取り付けられる。別の態様において、表皮層は、ゾルゲル溶液をベース補強材料に注入した後でかつその後のゲル化の後であるが、ゲル材料のエージングまたは乾燥の前に、ベース層に取り付けられる。さらに別の態様において、表皮層は、ゲル材料をエージングおよび乾燥後に、ベース層に取り付けられる。好適な態様において、表皮層は、ゾルゲル溶液をベース補強材料に注入する前に、ベース層の補強材料に取り付けられる。
【0093】
表皮層は、固体および流体不浸透性であってもよい。表皮層は、多孔質で流体浸透性であってもよい。好適な態様において、表皮層は多孔質で流体浸透性であり、流体が表皮材料を通過して拡散するのに十分な大きさの直径を有する孔または穴を有する。別の好適な態様において、表皮層は、ゾルゲル溶液をベース補強材料に注入する前に、ベース層の補強材料に取り付けられ、ここで表皮層は多孔質で流体浸透性であり、流体が表皮材料を通過して拡散するのに十分な大きさの直径を有する孔または穴を有する。さらに別の好適な態様において、表皮層は、ゾルゲル溶液をフォーム補強材料に注入する前に、連続気泡フォーム補強材料に取り付けられ、ここで表皮層は多孔質で流体浸透性であり、流体が表皮材料を通過して拡散するのに十分な大きさの直径を有する孔または穴を含有する。
【0094】
多層ゲルまたはエーロゲル配合物の製造は、以下のステップ:a)流体浸透性の表皮層を補強材料のシートに取り付けて、積層加工された補強シートを製造することであって、この表皮層が、流体が表皮材料を通過して拡散するのに充分な大きさの直径を有する孔または穴を含有することと、b)表皮層を介して補強シートにゲル前駆体溶液を注入することと、およびc)ゲル骨格を含むゲル材料にゲル前駆体材料を移行させることと、を含むことができる。ゲル前駆体溶液の一部は、ベース層の補強材料中のゲル骨格が表皮層の少なくとも一部中に延びるように、表皮層の孔または穴内に保持されやすい。得られる生成物は、a)補強材料と、補強材料内に一体化されたゲル骨格とを含む少なくとも1つのベース層と、b)流体浸透性表皮材料と、流体浸透性表皮材料内に一体化されたゲル骨格とを含む少なくとも1つの表皮層と、を含む多層ゲル配合物であり、ここで、ベース層のゲル骨格の少なくとも一部は、表皮層のゲル骨格の少なくとも一部分中に伸びかつ連続している。
【0095】
多層エーロゲル配合物の大規模製造は、コンベヤーに基づいたシステムを含むことができ、ここでこの製造は以下のステップ:a)少なくとも1つの流体浸透性表皮層を補強材料のシートに取り付けて、積層加工された補強シートを製造することであって、この表皮層は、流体が拡散するのに十分に大きな直径を有する孔または穴を有することと、b)ゲル前駆体溶液を、コンベヤーの一端で、積層加工された補強シートと組み合わせて、連続的な補強ゲルシート積層体を製造することとを含み、ここで、このゲル前駆体溶液の少なくとも一部は、この表皮層を介してこの補強シートに注入され、およびここで、このゲル前駆体溶液は、このゲル前駆体溶液がこの表皮層を通過してこの補強シートに浸透することを可能にする速度で、この積層加工された補強シートと合わされる。好適な態様において、この補強材料は連続気泡フォーム補強材料を含む。
【0096】
補強され積層加工されたゲルシートは、複数の層中(好ましくは均一な張力を有する心棒の周り)に巻くことができ、その後の化学的処理、エージング、および乾燥ステップで処理することができる。エージング剤または乾燥材料のための流路を設けるなど、ゲル材料のエージングまたは乾燥を容易にするために、追加の分離層をゲルシート層の間に一緒に巻くことができる。好適な態様において、表皮層は、エージング剤または乾燥材料の流路を提供し、こうして、追加の分離層が、ゲル材料のエージングおよび乾燥のために必要としないようになっている。
【0097】
多層エーロゲル配合物の大規模製造は、一般にロール中ゲル(gel-in-a-roll)プロセスと呼ばれる半連続のバッチ式プロセスを含むことができ、その製造は、a)流体浸透性の表皮層を補強材料のシートに取り付けることであって、この表皮層は、流体がそこを通って拡散するのに充分な大きさの直径を有する孔または穴を含有することと、b)積層加工された補強材料を、プリフォームロールとして複数の層に巻くことと、c)ゲル前駆体溶液をプリフォームロールと合わせることとを含む。追加の分離層は、プレフォームロール中の補強材料と一緒に巻かれて、ゲル前駆体溶液、エージング剤、および乾燥材料のための流路を提供することができる。好適な態様において、表皮層は、ゲル前駆体溶液、エージング剤、および乾燥材料のための流路を提供して、追加の分離層が必要とされないようにする。好適な態様において、この補強材料は連続気泡フォーム補強材料を含む。
【0098】
本発明の補強エーロゲル複合物は、パネル仕上げ、パイププレフォーム、ハーフシェルプレフォーム、エルボー、ジョイント、および、断熱材を工業的および商業的用途に適用する際に通常必要とされる他の形状を含む、三次元形状の範囲に成形することができる。1つの態様において、補強材料は、ゲル前駆体材料が注入される前に所望の形状に形成される。ゲル材料は、プリフォームがその形状を維持することができるように処理され、それによって、所望の形状の補強エーロゲルプリフォームが得られる。成形されたエーロゲルプリフォームを形成するこの技術は、様々な形状および構造のゲル材料を処理するのに必要な困難さのために、困難で非効率的であり得る。
【0099】
1つの態様において、補強ゲル複合物は、最初はシート形態であり、ゲル材料のゲル化後またはゲル材料のゲル化およびその後の乾燥後に、所望の3次元形状に加工される。好適な態様において、補強エーロゲル材料のシートは所望の温度に加熱され、所望の形状に成形され、次に冷却される。補強エーロゲル材料を成形するこの技術は、フォーム補強材料で特に有効である。好適な態様において、フォーム補強材料を含む補強エーロゲル材料のシートは所望の温度に加熱され、所望の形状に成形され、次に冷却される。エーロゲル材料を加熱するための所望の温度は、フォーム補強材料の軟化点より高く、補強材料の最高使用温度より低く、エーロゲル材料の自己加熱温度より低いことが好ましい。所望の温度は、補強材料が所望の形状に形成されるのに十分なほど柔らかく可撓性であるが、成形プロセス中にエーロゲル材料を支持するのに十分に安定していることが好ましい。したがってエーロゲル材料を加熱するための所望の温度は、使用される補強材料およびエーロゲル材料の種類に依存して変化するであろう。1つの態様において、所望の温度は、50℃~200℃、75℃~200℃、100℃~175℃、120℃~160℃、または約150℃である。
【0100】
1つの態様において、補強ゲル複合物は、最初はブロックまたは成形形態であり、ゲル材料のゲル化後またはゲル材料のゲル化でかつその後の乾燥後に、所望の3次元形状に加工される。1つの態様において、補強エーロゲル材料のブロックは、補強材料とゲル前駆体をある形状の型内で合わせることによって形成される。型内の材料はゲル化され、次に乾燥されて、成形されたエーロゲル複合物を生成する。好適な態様において、補強エーロゲル材料のブロックが製造され、次に所望の形状に切断または旋盤加工される。別の好適な態様において、補強エーロゲル材料のブロックが製造され、次にスカイビング機械または装置を使用して個々の誘導シートに切断される。
【0101】
エーロゲル配合物はまた、熱伝達の放射成分を低減するための不透明剤も含むことができる。ゲル形成前の任意の時点で、不透明化化合物またはその前駆体は、ゲル前駆体を含む混合物中に分散され得る。不透明化化合物の例には、特に限定されるものではないが、ホウ素炭化物[B4C]、珪藻土、マンガンフェライト、MnO、NiO、SnO、Ag2O、Bi2O3、カーボンブラック、酸化チタン、鉄チタン酸化物、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄(I)、酸化鉄(III)、二酸化マンガン、鉄チタン酸化物(イルメナイト)、酸化クロム、炭化物(例えば、SiC、TiC、またはWC)、またはそれらの混合物が挙げられる。不透明化化合物前駆体の例としては、特に限定されるものではないが、TiOSO4またはTiOCl2が挙げられる。
【0102】
本発明の態様は、本明細書で議論される加工、抽出、および処理技術、ならびに本明細書に記載のエーロゲル、エーロゲル状材料、およびエーロゲル配合物を製造するための当業者に公知の他の加工、抽出、および処理技術のいずれかを用いて、実施することができる。
【0103】
本発明のエーロゲル材料および配合物は、絶縁材料として非常に有効であることが示されている。しかし、本発明の方法および材料の適用は、絶縁に関連する用途に限定されることを意図しない。本発明の方法および材料は、本発明の材料および方法によって提供される特性または手順の独特の組み合わせから利益を得る任意のシステムまたは用途に適用することができる。この用途には、特に限定されるものではないが、熱障壁およびパネル(防火障壁およびパネルを含む)、断熱材(衣類、衣料、建物、配管、または産業機器を含む)、音響障壁、電子機器、衝撃アイソレータ、および化学触媒が含まれる。本発明の複合材を利用する用途は、単層または複数層の複合材を使用することができ、サイズに切断するなどして本発明の複合物を機械的に変更することができる。
【0104】
以下の実施例は、本発明の様々な非限定的な態様および特性を提供する。
【実施例】
【0105】
例1
0.022g/ccの密度を有するポリウレタン(PU)連続気泡フォームのシートが提供された。メチルトリエトキシシラン(MTES)、テトラエトキシオルトシリケート(TEOS)、水、酸触媒、およびエタノールを混合することによって、シリカ前駆体溶液が生成された。エタノールとH2O中の希NH3とを混合することにより、ゲル化触媒溶液が生成された。触媒溶液をシリカ前駆体溶液と混合して、触媒化シリカ前駆体溶液が生成された。触媒されたシリカ溶液はポリウレタンフォームシートに注がれた。複合材料はゲル化された後、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)エタノール溶液中でエージングされた。エージングした材料中の溶媒は超臨界条件下で抽出され、フォーム補強エーロゲル複合物が生成された。得られたエーロゲル連続気泡ポリウレタンフォーム複合物は可撓性であった。
【0106】
例2
ポリウレタン(PU)連続気泡フォームのシートはプリフォームロールに巻かれ、円筒形の壁のある容器に入れられた。メラミンホルムアルデヒド連続気泡フォームのシートは別個のプリフォームロールに巻かれ、別個の円筒形壁容器に入れられた。メチルトリエトキシシラン(MTES)、テトラエトキシオルトシリケート(TEOS)、水、酸触媒、およびエタノールを混合することによって、シリカ前駆体溶液が生成された。エタノールとH2O中の希NH3とを混合することにより、ゲル化触媒溶液が生成された。次に、触媒溶液はシリカ前駆体溶液と組合されて、触媒化シリカ前駆体溶液が生成された。次に、得られた溶液は、予め別個の容器に入れられた連続気泡フォームロールに注がれた。材料をゲル化した。ゲル化後、得られたゲルフォーム複合物は、50℃のエタノールの密閉浴中で一晩エージングされた。ゲル中の溶媒は超臨界CO2抽出によって除去されて、フォーム補強エーロゲル複合物のシートが形成された。得られたエーロゲル連続気泡ポリウレタンフォーム複合物は可撓性であった。得られたエーロゲル連続気泡メラミンフォーム複合物は可撓性であった。
【0107】
例3
メラミンホルムアルデヒドフォームのシートが提供された。メチルトリエトキシシラン(MTES)、テトラエトキシオルトシリケート(TEOS)、水、酸触媒、およびエタノールを混合することによって、シリカ前駆体溶液が生成おされた。エタノールとH2O中の希NH3とを混合することにより、ゲル化触媒溶液が生成された。触媒溶液をシリカ前駆体溶液と混合して、触媒化シリカ前駆体溶液が生成された。複合材料はゲル化され、次にヘキサメチルジシラザン(HMDS)エタノール中でエージングされた。エージングされた材料中の溶媒は、超臨界条件下で抽出されて、メラミンフォーム補強エーロゲル複合物が生成された。得られたエーロゲルメラミンフォーム複合物は可撓性であった。
【0108】
例4
例1および例3からのフォーム補強エーロゲル複合物のシートが提供された。各々が約18%のスパンデックスおよび82%のナイロンを含み、0.3g/ccの密度を有する可撓性の表皮材料の複数のシートが提供された。フォーム補強エーロゲル複合シートのそれぞれの第1の表面は、アクリル系水性接着剤(3M Fastbond Pressure Sensitive Adhesive, 4224-NF、透明または青色)でコーティングされた。接着剤は粘着性になるまで部分的に乾燥された。フォーム補強エーロゲル複合物の各接着剤被覆表面に、可撓性表皮材料のシートが塗布された。接着剤が乾燥を完了すると、積層体に圧力が加えられ、こうしてフォーム補強エーロゲル複合物と可撓性の表皮層との間にしっかりした結合(solid bond)が形成された。次に、各フォーム補強エーロゲル複合物の第2の表面に積層加工プロセスが繰り返され、こうしてベース層の各表面上に可撓性の表皮層を有するフォーム補強エーロゲル複合物を含むベース層を備えたサンドイッチ積層シートが形成された。
図3および
図4は、例4で製造されたサンドイッチ積層体材料を示す。
【0109】
例5
例1からのフォーム補強エーロゲル複合物のシートが提供された。各々が流体不浸透性ポリウレタンを含む可撓性の表皮材料のシートが提供された。フォーム補強エーロゲル複合シートの第1の表面が、熱接着ポリエチレン系接着剤で被覆された。フォーム補強エーロゲル複合シートの被覆された表面に、可撓性表皮材料のシートが塗布された。接着剤が接着を完了すると、積層体に圧力および熱が加えられ、こうしてフォーム補強エーロゲル複合物と可撓性の表皮層との間にしっかりした結合が形成された。次に、フォーム補強エーロゲル複合物の第2の表面に積層加工プロセスが繰り返され、こうしてベース層の各表面上に可撓性の表皮層を有するフォーム補強エーロゲル複合物を含むベース層を備えたサンドイッチ積層シートが形成された。
図5は、例5で製造されたサンドイッチ積層体材料を示す。
【0110】
例6
例3からのフォーム補強エーロゲル複合物のシートが提供された。各々が約18%のスパンデックスおよび82%のナイロンを含み、0.3g/ccの密度を有する可撓性の表皮材料のシートが提供された。フォーム補強エーロゲル複合物のシートの各側に、可撓性のスパンデックス材料のシートが配置された。超音波ミシンを使用して、積層体の層を通る高エネルギー超音波エネルギーのパターン化適用によって、積層体を接着させた。超音波縫合プロセスにより、ベース層の各表面に可撓性の表皮層が取り付けられたフォーム補強エーロゲル複合物を含むベース層を備え、ベース層と表皮層との間に接着剤材料の無い、サンドイッチ積層シートが形成された。
図6および
図7は、例6で製造されたサンドイッチ積層体材料を示す。
【0111】
例7
例4,5、および6の試料が提供された。各試料は、積層加工プロセスの前後で、密度および熱伝導度(TC)について試験された。TCは大気圧で37.5℃、2psiの負荷で測定された。以下の表1は、測定結果を提供する。
【表1】
【0112】
例8
補強材料として厚さ12mmの網状ポリウレタンフォームシートを用いて、例1のステップが繰り返された。フォーム補強エーロゲルシートは、予め成形した形状に折り曲げられ、
図8に示されるようにバンドで固定された。折り畳まれたシートはオーブンに入れられ、150℃の温度で最大3時間加熱処理された。材料はオーブンから取り出され、冷却された。固定バンドは除去され、熱処理されたシートは部分的に広げられた。得られた熱処理されたシートは、
図9に示すように、半円形の形状を永久的に保持した。
【0113】
例9
補強材料として厚さ12mmの網状ポリウレタンフォームシートを用いて、例1のステップが繰り返された。フォーム補強エーロゲルシートは、予め成形した形状に折り曲げられ、
図8に示されるようにバンドで固定された。折り畳まれたシートはオーブンに入れられ、150℃の温度で最大3時間加熱処理された。材料はオーブンから取り出され、冷却された。固定バンドは除去され、熱処理されたシートは部分的に広げられた。得られた熱処理されたシートは、
図9に示すように、半円形の形状を永久的に保持した。
【0114】
例10
例9からの複数の熱成形エーロゲル複合シートが提供された。この熱成形シートは、
図10に示すように、接着剤を用いて多層ハーフシェル絶縁積層体に積層加工されて、層を一緒に結合した。それらの半シェルの予備成形絶縁積層体のうちの2つがパイプ部分の周りで合わされ、バンドで固定され、こうして、
図11に示すように、パイプ部分の外周を完全に覆う絶縁スリーブが形成された。
【0115】
例11
ポリウレタン(PU)連続気泡フォームのシートが提供される。各々が約18%のスパンデックスおよび82%のナイロンを含み、0.3g/ccの密度を有する可撓性表皮材料の2枚のシートが提供される。ポリウレタン複合接着剤が、フォームシートの第1の表面の部分に塗布される。可撓性の表皮材料のシートが、フォームシートの接着剤で改質された表面に塗布される。接着剤が乾燥を完了すると、圧力が積層体に加えられ、こうしてフォームシートと可撓性の表皮層との間にしっかりした結合が形成される。次にフォームシートの第2の表面に対して積層加工プロセスが繰り返され、こうしてベース層の各表面に取り付けられた可撓性の表皮層を有するフォームシートを含むベース層を備えたサンドイッチ積層シートが形成される。
【0116】
例12
例11からのサンドイッチ積層シートが提供される。サンドイッチ積層シートはプリフォームロールに巻かれ、スペーサー材料は、サンドイッチ積層シートと一緒に巻かれ、ロールの層の間にスペースが与えられる。ロールは、円筒形の壁の容器内に入れられる。シリカ前駆体溶液は、メチルトリエトキシシラン(MTES)、テトラエトキシオルトシリケート(TEOS)、水、酸触媒、およびエタノールを混合することによって形成される。ゲル化触媒溶液は、エタノールをH2O中の希NH3と混合することによって生成される。触媒溶液はシリカ前駆体溶液と合わされて触媒化シリカ前駆体溶液が生成される。次に、得られた溶液は容器に注がれる。触媒化シリカ前駆体溶液は、表皮層を通過してサンドイッチ積層シートのフォームベース層に浸透する時間を与えられ、材料はゲル化される。ゲル化後、得られたゲルフォーム複合物は50℃のエタノールの密閉浴中で一晩エージングされる。ゲル中の溶媒は超臨界CO2抽出によって除去され、積層加工されたフォーム補強エーロゲル複合物のシートが形成される。
【0117】
例13
例11からのサンドイッチ積層シートが提供される。シリカ前駆体溶液が、メチルトリエトキシシラン(MTES)、テトラエトキシオルトシリケート(TEOS)、水、酸触媒、およびエタノールを混合することによって生成される。ゲル化触媒溶液は、エタノールをH2O中の希NH3と混合することによって生成される。触媒溶液はシリカ前駆体溶液と混合されて、触媒化シリカ前駆体溶液が生成される。サンドイッチ積層シートは移動するコンベヤー上に供給され、得られた触媒化シリカ前駆体溶液は、移動するコンベヤーに沿って移動する際に、サンドイッチ積層シートの上部表皮層上に注がれる。触媒化シリカ前駆体溶液は、上部表皮層を通過してサンドイッチ積層シートのフォームベース層中に浸透する時間を与えられ、材料はゲル化される。ゲル化後、得られたサンドイッチ積層体ゲルフォーム複合シートは巻かれ、円筒形の壁の容器内に入れられ、スペーサー材料は複合シートと一緒に巻かれ、ロールの層の間にスペースが与えられる。巻かれた複合シートは50℃のエタノールの密封浴中で一晩エージングされる。ゲル中の溶媒は超臨界CO2抽出によって除去されて、積層加工されたフォーム補強エーロゲル複合物のシートが形成される。
【0118】
本明細書中で使用される場合、特に別の指定がなければ、接続詞「および」は包括的であることが意図されており、接続詞「または」は排他的であることは意図されていない。例えば語句「または、その代わりに」は排他的であることが意図されている。
【0119】
本発明を説明する文脈(特に特許請求の範囲の文脈)において、用語「a」、「an」、「the」、または同様の指示対象の使用は、特に別の指定がなければ、または文脈と明らかに矛盾しなければ、単数形および複数形の両方を包含するものと解釈されるべきである。
【0120】
用語「含む」、「有する」、「含む」、および「含有する」は、特に別の指定がなければ、制限のない用語(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する)であると解釈されるべきである。
【0121】
本明細書で使用される用語「約」は、同定された特定の特性、組成、量、値、またはパラメータについて典型的な偏差の程度をいい、例えば、実験誤差、測定誤差、近似誤差、計算誤差、平均値の標準偏差、日常的な微調整などに基づく偏差などを含む。
【0122】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書中に特に別の指定がなければ、範囲内の各別個の値を個々に参照する簡略方法として機能することを意図しており、それぞれの個別値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に取り込まれる。
【0123】
異なる態様としての主題の記載は、異なる態様から主題の組み合わせを除外して単一の態様としない。
【0124】
本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中に特に別の指定がなければ、または文脈と明らかに矛盾しなければ、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供される任意のおよびすべての例、または例示的な用語(例えば、「などの」、「例えば」)の使用は、特に別の指定がなければ、本発明をよりよく説明することのみを意図しており、本発明の範囲を限定するものではない。
(態様)
(態様1)
上部表面および底部表面を有する少なくとも1つのベース層と、
前記ベース層の前記上部表面に取り付けられた第1の表皮材料を含む第1の表皮層と、
前記ベース層の前記底部表面に取り付けられた第2の表皮材料を含む第2の表皮層と、
を含む、エーロゲル複合物であって、
前記ベース層は、補強材料とモノリシックのエーロゲル骨格とを含む補強されたエーロゲル配合物を含み、
前記ベース層の前記モノリシックのエーロゲル骨格の少なくとも一部は、前記第1の表皮層と前記第2の表皮層との両方の少なくとも一部中に伸びており、および、
前記第1の表皮材料および前記第2の表皮材料はそれぞれ、弾性繊維でできた材料から本質的になっている、エーロゲル複合物。
(態様2)
前記補強材料は、発泡補強材料を含む、態様1に記載のエーロゲル複合物。
(態様3)
前記補強材料は、繊維補強材料を含む、態様1に記載のエーロゲル複合物。
(態様4)
前記弾性繊維は、スパンデックス、ナイロン、ライクラ、エラスタン、またはそれらの組み合わせを含む、態様1~3のいずれ一項に記載のエーロゲル複合物。
(態様5)
前記第1の表皮層または第2の表皮層は、エアロゾル接着剤、ウレタン系接着剤、アクリレート接着剤、ホットメルト接着剤、エポキシ接着剤、ゴム樹脂接着剤、ポリウレタン複合接着剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される接着剤によって前記ベース層に取り付けられている、態様1~4のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物。
(態様6)
前記第1の表皮層または第2の表皮層は、縫い目、密閉袋、リベット、ボタン、クランプ、ラップ、止め具、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非接着性メカニズムによって前記ベース層に取り付けられている、態様1~4のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物。
(態様7)
前記第1の表皮層および第2の表皮層はそれぞれ、流体浸透性の表皮材料を含む、態様1~6のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物。
(態様8)
前記複合材料は、18.0mW/mK~40.0mW/mKの熱伝導度を有する、態様1~7のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物。
(態様9)
態様1~8のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物を含む衣類品または衣料品。
(態様10)
エーロゲル複合物の調製方法であって、
上部表面および底部表面を有するベース層であって、補強材料とモノリシックのエーロゲル骨格とを含む補強されたエーロゲル配合物を含むベース層を提供することと、
第1の表皮材料を含む第1の表皮層および第2の表皮材料を含む第2の表皮層を提供することと、
前記ベース層の前記上部表面に前記第1の表皮層を取り付けおよび前記ベース層の前記底部表面に前記底部表皮層を取り付け、それによって積層加工されたベースを形成することと、
ゲル前駆体材料および溶媒を含むゲル前駆体溶液を提供することと、
前記ゲル前駆体溶液を前記積層加工されたベースの少なくとも1つの表皮層に接触させることと、
前記ゲル前駆体溶液の少なくとも一部分を前記積層加工されたベースの前記表皮層に接
触させて、前記積層加工されたベースの前記ベース層中の前記補強材料中へと前記積層加工されたベースの前記表皮層を通過させることと、
前記前駆体溶液中の前記ゲル前駆体材料をゲル配合物に移行させて、補強されたゲル複合物を生成させることと、
前記補強されたゲル複合物から前記溶媒の少なくとも一部を抽出して、補強されたエーロゲル複合物を得ることと、
を含み、
前記第1の表皮材料および前記第2の表皮材料はそれぞれ、弾性繊維でできた材料から本質的になっている、方法。
(態様11)
前記ゲル前駆体溶液を前記積層加工されたベースの少なくとも1つの表皮層に接触させるステップの前に、移動する要素の上に前記積層加工されたベースシートの少なくとも一部を吐出することをさらに含む、態様10に記載の方法。
(態様12)
前記積層加工されたベースの複数の重なる層を含むプリフォームロールへと前記積層加工されたベースを巻くことと、前記ゲル前駆体溶液を前記積層加工されたベースの少なくとも1つの表皮層に接触させるステップの前に、容器の中に前記積層加工されたベースの前記プリフォームロールを置くこととをさらに含む、態様10に記載の方法。
(態様13)
前記補強材料は、発泡補強材料を含む、態様10~12のいずれか一項に記載の方法。
(態様14)
前記補強材料は、繊維補強材料を含む、態様10~12のいずれか一項に記載の方法。
(態様15)
前記弾性繊維は、スパンデックス、ナイロン、ライクラ、エラスタン、またはそれらの組み合わせを含む、態様10~14のいずれか一項に記載のエーロゲル複合物。
(態様16)
前記第1の表皮層または第2の表皮層は、エアロゾル接着剤、ウレタン系接着剤、アクリレート接着剤、ホットメルト接着剤、エポキシ接着剤、ゴム樹脂接着剤、ポリウレタン複合接着剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される接着剤によってベース層に取り付けられている、態様10~15のいずれか一項に記載の方法。
(態様17)
前記第1の表皮層または第2の表皮層は、縫い目、密閉袋、リベット、ボタン、クランプ、ラップ、止め具、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非接着性メカニズムによって前記ベース層に取り付けられている、態様10~15のいずれか一項に記載の方法。
(態様18)
前記第1の表皮層および前記第2の表皮層が、それぞれ液体浸透性の表皮材料を含む、態様10~17のいずれか一項に記載の方法。
(態様19)
前記複合物は、18.0mW/mK~40.0mW/mKの熱伝導度を有する、態様10~18のいずれか一項に記載の方法により生成されたエーロゲル複合物。
(態様20)
態様19に記載のエーロゲル複合物を含む衣類品または衣料品。