(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】設備停止システム及び設備停止方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
H05K13/08 Z
(21)【出願番号】P 2018034107
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】岡村 浩志
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-209867(JP,A)
【文献】特開2016-049685(JP,A)
【文献】特開平08-146843(JP,A)
【文献】特開2018-056231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害情報を取得する情報取得部と、
前記災害情報に基づいて、設備を停止させる少なくとも2つの異なる停止方法のうち、いずれを実行するかを判断する停止方法判断部と、
前記停止方法判断部により実行すべきと判断された前記停止方法を前記設備に対して実行するように指示する停止方法指示部とを有し、
前記停止方法として、前記災害情報を取得したとき
にヘッド部が保持す
る電子部品を実装するため
の移動機構部の一連の動作を実行させた後
に電子部品実装装置が停止する方法を有する設備停止システム。
【請求項2】
前記災害情報に使用される指標に基づいて設定される、設備の少なくとも2つの異なる停止方法の各実行条件を記憶した停止方法記憶部を有する請求項1に記載の設備停止システム。
【請求項3】
前記停止方法指示部は、
災害規模と停止の緊急度の少なくとも一方により区分された災害レベルに基づき、第一災害レベルの場合に第一の停止方法を前記設備に対して実行するように指示し、前記第一災害レベルよりも災害レベルが低い第二災害レベルの場合に前記第一の停止方法とは異なる第二の停止方法を前記設備に対して実行するように指示する請求項1または2に記載の設備停止システム。
【請求項4】
前記災害情報として、震度及び地震到達時間の少なくとも一方を用いる請求項1~3のいずれかに記載の設備停止システム。
【請求項5】
前記停止方法として、前記設備が緊急停止する方法を有する請求項1~4のいずれかに記載の設備停止システム。
【請求項6】
前記設備は、基板に実装する電子部品を保持するヘッド部と、
前記ヘッド部を移動させる移動機構部とを備えた電子部品実装装置である請求項1~5のいずれかに記載の設備停止システム。
【請求項7】
前記停止方法として、前記災害情報を取得したときに実装途中の前記基板にすべての前記電子部品を実装するための前記移動機構部の一連の動作を実行させた後に前記電子部品実装装置が停止する方法を有する請求項6に記載の設備停止システム。
【請求項8】
前記電子部品実装装置は表示部を備え、前記災害情報を表示する請求項6または7に記載の設備停止システム。
【請求項9】
前記停止方法指示部として、前記停止方法毎に異なる信号を出力する信号出力機器を備え、
前記設備は、前記信号出力機器により出力された信号を受け取る信号入力部を備え、電気信号によって前記停止方法を指示する請求項1~8のいずれかに記載の設備停止システム。
【請求項10】
前記停止方法指示部と前記設備はそれぞれ通信手段を備え、通信によって前記停止方法を指示する請求項1~9のいずれかに記載の設備停止システム。
【請求項11】
請求項1に記載の設備停止システムにおける設備停止方法であって、
災害情報を取得する情報取得工程と、
前記災害情報に基づいて、設備の少なくとも2つの異なる停止方法のうち、いずれを実行するかを判断する停止方法判断工程と、
前記停止方法判断工程により実行すべきと判断された停止方法を前記設備に対して実行するように指示する停止方法指示工程とを含む設備停止方法。
【請求項12】
災害情報を取得する情報取得部と、
前記災害情報に基づいて、設備を停止させる少なくとも2つの異なる停止方法のうち、いずれを実行するかを判断する停止方法判断部と、
前記停止方法判断部により実行すべきと判断された前記停止方法を前記設備に対して実行するように指示する停止方法指示部とを有し、
前記停止方法として、前記災害情報を取得したときに実装途中
の基板にすべて
の電子部品を実装するため
の移動機構部の一連の動作を実行させた後
に電子部品実装装置が停止する方法を有する設備停止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時における設備停止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場では、災害発生時に、稼働する設備を停止する運用がなされることがある。これは、安全、設備保護、災害後の点検などの観点からなされるものである。しかしながら、設備を停止している間は生産が止まり、その分だけ損失が発生するため、設備停止の要否や停止方法は適切に判断される必要がある。
【0003】
特許文献1は、従来の災害時における設備停止システムを開示する。特許文献1の設備停止システムは災害として地震のみを想定する。地震に関する情報源としては緊急地震速報などの地震速報データを用いる。このようなリアルタイムに情報を発信する媒体を情報源として用いることで、災害発生時に早期の対応が可能となる。一方で、緊急地震速報などの地震速報データは一般に、広域なエリアにおける予想情報となる。よって、特許文献1の設備停止システムは距離減衰式を用いて予想された震度を補正し、対象となる設備を有するエリアの地震予想値を算出する。また、設備の緊急停止を実行する震度の閾値を画一的に設定するのではなく、設備の内容に応じて緊急停止しない場合と緊急停止する場合のリスクを比較して、適切な閾値の値に設定する。以上のような設備停止システムでは、設備停止による損失を可及的に低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、停止方法は緊急停止のみであり、他の停止方法に関して考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の設備停止システムは、災害情報を取得する情報取得部と、災害情報に基づいて、設備を停止させる少なくとも2つの異なる停止方法のうち、いずれを実行するかを判断する停止方法判断部と、停止方法判断部により実行すべきと判断された停止方法を設備に対して実行するように指示する停止方法指示部とを有し、前記停止方法として、前記災害情報を取得したときに前記ヘッド部が保持する前記電子部品を実装するための前記移動機構部の一連の動作を実行させた後に前記電子部品実装装置が停止する方法を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、災害情報に合わせた適切な停止方法を指示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】停止方法記憶部において記憶される各停止方法の実行条件(震度による指定)を示すチャート
【
図3】停止方法記憶部において記憶される各停止方法の実行条件(到達時間による指定)を示すチャート
【
図4】停止方法記憶部において記憶される各停止方法の実行条件(震度及び到達時間による指定)を示すチャート
【
図5】上位システムから設備への情報系統を示すブロック図
【
図6】本発明に係る一実施形態の電子部品実装装置の側面図
【
図7】本発明の一実施の形態における制御装置の制御系統を示すブロック図
【
図8】災害が発生した場合の設備停止システムにおける処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に設備停止システムの構成を示すブロック図を示す。設備停止システムは、上位システム101、入力部102、設備103、表示部104から構成される。上位システム101は情報取得部105、停止方法制御部106、停止方法記憶部107、表示制御部108を有する。また、停止方法制御部106は停止方法判断部109、停止方法指示部110を有する。
【0010】
情報取得部105は、災害に関する情報発信源(例えば、緊急地震速報など) から災害情報Aを取得する(情報取得工程)。災害が地震であった場合、「震度5、S波の到達時間が5S」といった災害情報Aが情報取得部105において取得される。また、停止方法記憶部107は災害情報Aに使用される指標(地震であれば、震度や震度S波の到達時間)に基づいて設定される各停止方法の実行条件を記憶する。各停止方法とは、複数の段階的に異なる方法で設備103を停止させる停止方法を指し、それぞれを、第一停止方法、第二停止方法、第三停止方法と呼ぶ。なお、区分は必ずしも3つである必要はなく、少なくとも2つの異なる停止方法を有していればよく、また区分は4つ以上であってもよい。災害情報Aが情報取得部105により取得されると、停止方法判断部109は、災害情報Aが各停止方法の実行条件のうち、いずれを満たすかを判断する(停止判断工程)。そして、停止方法指示部110が停止方法判断部109により実行条件を満たすと判断された停止方法を実行するように、設備103に指示する(停止方法指示工程)。ここでいう設備103は、単体の装置を指すことに加えて、装置群を指す。あるいは、設備103は同種又は異なる種別で構成された装置群でもよい。
【0011】
停止方法記憶部107に記憶される停止方法の実行条件は、災害規模や停止の緊急度など、災害レベルによって区分される。例えば、災害が地震であった場合、災害情報Aに使用される災害規模を表す指標である震度あるいは停止の緊急度を表す指標である震度S波の到達時間により災害レベルが区分される。本実施形態では、災害規模が大きいあるいは停止の緊急度が高い、すなわち災害レベルが高い順に第一停止方法、第二停止方法、第三停止方法とする。
【0012】
第一停止方法は、設備103で動作する機構の電力源をカットし、装置を緊急停止させる停止方法である。これは、災害レベルが高い場合、すなわち、即座に設備103を停止することが必要で緊急停止もやむを得ない場合に、停止方法指示部110により設備103へ指示される停止方法である。
【0013】
しかしながら、第一停止方法である緊急停止は即効性に優れるものの、イレギュラーな設備103の停止方法のため設備103にかかる負担は大きく、生産不良や設備破損の原因となりうる。また、設備103がどのような運転状態であるかに構わず停止するため、復旧に時間がかかる状態で設備103が停止してしまう恐れもある 。そこで、災害レベルが比較的低い場合には、第二停止方法及び第三停止方法を実行するように、停止方法指示部110により設備103へ指示される。
【0014】
第二停止方法及び第三停止方法は、進行中の作業が終了したところで装置を停止させる。第二停止方法及び第三停止方法の違いとして、第二停止方法のほうが第三停止方法よりも急を要する場合に選択される停止方法であり、早い段階で設備103を停止するための方法をとる点にある。第二停止方法及び第三停止方法の具体的な停止方法は設備103の内容により異なり、後述する電子部品実装置である場合の実施形態についてのみ詳説する。また、本実施例では、上位システム101が停止方法記憶部107を有する場合についてのみ述べるが、停止方法記憶部107が上位システム101外のクラウド上に存在し、そこからデータを読み出すといった実施形態もありうる。
【0015】
情報取得部105が、災害情報Aを取得すると、表示制御部108の指令により、表示部104に災害情報Aが表示される。また、実行された停止方法の情報も、表示制御部108の指令により表示部104に表示される。これにより、ユーザーは設備103が停止した原因や停止方法などを確認することができ、設備103の復旧を即座に行うことができる。なお、表示部104は設備103に備えてもよいし、上位システム101にパソコンを用いる場合、パソコンのモニターを表示部104として用いてもよい。
【0016】
情報取得部105における情報の取得手段は災害の種類や地域、設備内容などによって適切なものが異なる。情報の取得手段の例としては、インターネット経由、FM波、ラジオ放送などがあげられる。そして、情報取得部105の具体的な構成はそれぞれの取得手段に合わせた構成とする。例えば、インターネット経由により情報を取得する場合、情報取得部105にはインターネット接続を可能とする通信手段を有し、FM波により情報を取得する場合、FM波を受信する電波受信部を有するものとする。あるいは、ラジオ放送により情報を取得する場合、ラジオ放送から流れる音波情報を認識する音声認識部を有するものとする。
【0017】
設備103を停止させる必要が生じる災害は、地震、津波、土砂災害、川の氾濫など様々なケースが考えられる。また、災害に関する情報発信源も様々な媒体が存在する。その中でも、以下では、もっとも典型的なケースとして、災害が地震、情報発信源が緊急地震速報である場合の実施形態について説明する。
【0018】
情報発信源が緊急地震速報である場合、情報取得部105では、設備103が立地するエリアにおけるS波の到達時刻及び震度を災害情報Aとして得ることができる。停止方法記憶部107には、震度及びS波の到達時刻の少なくとも一方を指標とした各停止方法の実行条件が記憶されている。停止方法判断部109は震度及びS波の到達時刻の少なくとも一方を含む災害情報Aと記憶部107に記憶された実行条件とに基づいて適切な停止方法を判断する。そして、停止方法判断部109により実行条件を満たすと判断された停止方法を実行するように、停止方法指示部110が設備103に指示する。
【0019】
設備停止システムは、情報取得部105が取得した災害情報Aに応じて、設備103に段階的に異なる停止方法を実行させるシステムである。各停止方法の実行条件は、設備103の内容等に合わせて、ユーザーの選択により任意に設定される。設定は入力部102により変更可能である。以下では、条件設定の例とその設定による効果を示す。
【0020】
緊急地震速報により得られる災害情報A、すなわち、震度及びS波の到達時刻のうち、震度(災害規模)のみで停止方法を分けることが考えられる。
図2には一例として、停止方法記憶部107において記憶される各停止方法の実行条件を示す。
図2に示すように、震度6以上を第一停止方法の実行条件、震度5強~6強を第二停止方法の実行条件、震度4~5弱を第三停止方法の実行条件とし、それぞれの停止方法が異なるように設定される。
【0021】
例えば、震度5強程度であれば緊急停止することを要しない設備103において、
図2のような設定をすることで、緊急停止を極力避けることができる。また、上記の例でいえば、震度3以下の地震については、設備103を停止させないように設定することで、小規模な災害において不必要に装置を停止することを防止する。
【0022】
緊急地震速報により得られる災害情報A、すなわち、震度及びS波の到達時刻のうち、到達時間(緊急度)のみで停止方法を分けることが考えられる。
図3には一例として、停止方法記憶部107において記憶される各停止方法の実行条件を示す。
図3に示すように、S波の到達時間が5S以内の場合を第一停止方法の実行条件、S波の到達時間が10S以内の場合を第二停止方法の実行条件、S波の到達時間が15S以内の場合を第三停止方法の実行条件とし、それぞれの停止方法を変えるように設定される。
【0023】
例えば、第一停止方法による停止に平均3Sかかり、第二停止方法による停止に平均7Sかかり、第三停止方法による停止に平均12Sかかる設備103において、
図3のような設定をすることで、S波到達前に停止している必要がある設備103においても、緊急停止を極力避けることができる。
【0024】
緊急地震速報により得られる災害情報A、すなわち、震度及びS波の到達時刻のうち、震度及びS波の到達時間の両方を用いて停止方法を分けることが考えられる。
図4には一例として、停止方法記憶部107において記憶される各停止方法の実行条件を示す。
図4に示すように、震度6以上又は震度5強~6強かつS波の到達時間が5S以内の場合を第一停止方法の実行条件、震度5強~6強かつS波の到達時間が5S以上又は震度4~5弱かつS波の到達時間が5S以内の場合を第二停止方法の実行条件、震度4強~5弱かつS波の到達時間が5S以上の場合を第三停止方法の実行条件とし、それぞれの停止方法を変えるように設定される。
【0025】
このように、震度(災害規模)及びS波の到達時間(緊急度)の両方によって停止方法を段階的に異ならせることで、震度(災害規模)のみ、あるいは、S波の到達時間(緊急度)のみで異なる停止方法を指定するよりも、設備に合わせた停止方法を指定することができ、緊急停止を極力避けることができる。
【0026】
上位システム101による設備103への指示方法は災害の種類や地域、設備内容などによって適切なものが異なる。ここでは、本発明に係る一実施形態として以下2つの指示方法を説明する。なお、2つの指示方法はあくまでも例示であり、これらの指示方法に限る趣旨ではない。
【0027】
1つ目の指示方法は、上位システム101に停止方法毎に異なる信号を発する信号出力機器501を設け、その出力信号によって設備103に直接的に停止方法を指示する方法である。
図5(A)に、設備103が装置群である場合の一実施形態を示す。信号出力機器501は各停止方法に応じたチャンネルをもち、停止方法判断部109で実行条件を満たすとされた停止方法に対応するチャンネルに信号を出力する。設備103を構成する各装置はそれぞれ信号入力部502を有し、同様の信号が入力される。
【0028】
2つ目の指示方法は、上位システム101に通信手段を設け、ハブを介して通信により間接的に停止方法を指示する方法である。
図5(b)に、設備103が装置群である場合の一実施形態を示す。上位システム101は通信手段503を有し、設備103を構成する各装置においても通信手段504を有する。そして、ハブ505を介して、通信が行われ、停止方法判断部109で判断された停止方法を実行するよう停止方法指示部110が各装置に対して指示する。
【0029】
以下では、設備103が電子部品実装置であることを前提として、電子部品実装置の具体的な停止方法について説明する。
図6は、本発明に係る一実施形態の電子部品実装装置の側面図である。本発明の一実施形態における電子部品実装装置601は、本体602、部品供給部603、基板搬送部604、ヘッド部605と、ヘッド移動機構部606、部品認識部607、制御装置608、電源部609、表示部104、報知部610、を備える。また、基板611が基板搬送部604により電子部品実装装置601内を通過する構造である。
【0030】
図7は、本発明の一実施の形態における制御装置608の制御系統を示すブロック図である。制御装置608は、部品搭載作業制御部701、電源制御部702、報知制御部703、及び部品認識制御部704を備える。部品搭載作業制御部701は基板搬送部604による基板搬送、ヘッド部205による部品吸着動作及びヘッド移動機構部206によるヘッド部205の移動動作を制御する。電源制御部702は電源部609を制御し、報知制御部703は作業者に異常を知らせる警報あるいはランプの点灯などを行う報知部610を制御する。部品認識制御部704は部品認識部607を制御する。
【0031】
基板611に対して電子部品を実装する工程を説明する。まず、部品供給部603から供給される電子部品をヘッド部605により保持する。次に、電子部品の保持状態を確認するため、ヘッド移動機構部606によりヘッド部605を部品認識部607上へ移動させる。部品認識部607で電子部品の保持状態が確認されたのち、ヘッド移動機構部606により電子部品を保持したヘッド部605を基板611上へ移動させ、電子部品を所定の位置へ実装する。電子部品が所定の位置へ実装されたら、ヘッド移動機構部606により、ヘッド部605を部品供給部603まで移動させ、上記の工程を繰り返す。
【0032】
電子部品実装装置601が上記の工程で電子部品を基板611に実装している際に、災害が発生した場合の処理の流れを
図8に示す。ここでは、発生した災害は地震、情報発信源は緊急地震速報とする。また、停止方法記憶部107において記憶される各停止方法の実行条件は
図2に示した震度のみで指定された場合を例にする。
【0033】
地震が発生すると、緊急地震速報により発せられた震度情報及びS波の到達時間が情報取得部105により取得される(ST1)。取得された震度情報及びS波の到達時間の情報は表示部104により表示され、地震の発生を知らせる報知が報知部610によりなされる(ST2)。
【0034】
次に、停止方法記憶部107の設定を参照して、第二停止方法の実行条件を満たすかを停止方法判断部109が判断する(ST3)。そして、取得された震度情報が第一停止方法の実行条件を満たすならば、停止方法指示部110が設備103へ第一停止方法を実行するように指示する(ST4)。すなわち、
図2の実行条件であれば、情報取得部105により取得された震度が震度6以上の場合は、停止方法指示部110が設備103へ第一停止方法を実行するように指示する。
【0035】
取得された震度情報が第一停止方法の実行条件を満たさないならば、第二停止方法の実行条件を満たすかを停止方法判断部109が判断する(ST5)。そして、第二停止方法の実行条件を満たすならば、停止方法指示部110が設備103へ第二停止方法を実行するように指示する(ST6)。すなわち、
図2の実行条件であれば、情報取得部105により取得された震度が震度5強~6強の場合は、停止方法指示部110が設備103へ第一停止方法を実行するように指示する。
【0036】
取得された震度情報が第二停止方法の実行条件を満たさないならば、第三停止方法の実行条件を満たすかを停止方法判断部109が判断する(ST7)。そして、第三停止方法の実行条件を満たすならば、停止方法指示部110が設備103へ第三停止方法を実行するように指示する(ST8)。すなわち、
図2の実行条件であれば、情報取得部105により取得された震度が震度4~5弱の場合は、停止方法指示部110が設備103へ第一停止方法を実行するように指示する。
【0037】
取得された震度情報が第三停止方法の実行条件を満たさない場合は、設備103の運転を継続する(ST9)。すなわち、
図2の実行条件であれば、情報取得部105により取得された震度が震度3以下の場合は、停止方法指示部110は設備103へ停止方法の指示を行わない。
【0038】
設備103が停止した場合、生産を開始するために設備103の復旧が必要となる。そして、復旧方法は下記のように停止方法によって異なる。
【0039】
ST3において第一停止方法の実行条件を満たすと判断された場合、電源制御部702の指令により電源部609から電子部品実装装置601への電力供給が遮断され、電子部品実装装置601を緊急停止させる停止方法が実行される。緊急停止の場合、設備103がどのような運転状態であるかに構わず停止するため、復旧は、停止したときの状態に合わせて行わなければならない。
【0040】
ST5において第二停止方法の実行条件を満たすと判断された場合、情報取得部105が災害情報Aを取得した時点において実装途中の電子部品を実装した段階で電子部品実装装置601を停止する。この場合、実装途中の電子部品を実装するためのヘッド移動機構部606の一連の動作が終了した時点で、各電子部品実装装置601が停止する(ST6)。よって、復旧の際は、ヘッド部605により次の電子部品を部品供給部603から取り出す工程からスタートする。
【0041】
ST7において第三停止方法の実行条件を満たすと判断された場合、情報取得部105が災害情報Aを取得した時点において実装途中の基板611に電子部品をすべて実装した段階で電子部品実装装置601を停止する。この場合、実装途中の基板611にすべての電子部品を実装するためのヘッド移動機構部606の一連の動作が終了した時点で、各電子部品実装装置601が停止する(ST8)。よって、復旧の際は、基板搬送部604により次の基板611を供給する工程からスタートする。
【0042】
実行される停止方法が緊急停止の場合、設備103がどのような運転状態であるかに構わず停止するため、復旧に時間がかかる状態で設備103が停止してしまう事態が発生する危険性がある。一方、実装途中の電子部品を実装するためのヘッド移動機構部606の一連の動作が終了した時点あるいは実装途中の基板611にすべての電子部品を実装するためのヘッド移動機構部606の一連の動作が終了した時点で停止するなど、運転状態を考慮した停止方法をとる場合、画一的な作業によって復旧をすることができる。
【0043】
このように、災害規模の大きさや停止の緊急度の高さなど、災害レベルに応じて複数の段階的に異なる停止方法を設備103に実行させることで、復旧作業の負担を極力軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、災害情報に合わせた適切な停止方法を設備に対して指示することができ、生産設備を有するあらゆる生産現場において有用である。
【符号の説明】
【0045】
上位システム101
入力部102
設備103
表示部104
情報取得部105
停止方法制御部106
停止方法記憶部107
表示制御部108
停止方法判断部109
停止方法指示部110
信号出力機器501
信号入力部502
通信手段503
通信手段504
ハブ505
電子部品実装装置601
本体602
部品供給部603
基板搬送部604
ヘッド部605
ヘッド移動機構部606
部品認識部607
制御装置608
電源部609
報知部610
基板611
部品搭載作業制御部701
電源制御部702
報知制御部703
部品認識制御部704