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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
H02J3/38 180
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019040428
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020145835
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】大槻 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 裕明
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 章
(72)【発明者】
【氏名】松田 康弘
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-136095(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076906(WO,A1)
【文献】特開2018-157736(JP,A)
【文献】特開2015-220835(JP,A)
【文献】特開2019-134592(JP,A)
【文献】特開2008-259400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換し、変換した前記交流電力を電力系統に出力するインバータ部と、
前記インバータ部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電力系統の電圧の周波数偏差を導出する周波数偏差導出部と、
前記電力系統の高調波電圧の変動を検出する高調波電圧変動検出部と、
前記電力系統の基本波電圧の変動を検出する基本波電圧変動検出部と、
前記インバータ部から出力する交流電力に、単独運転検出用の無効電力を注入する無効電力注入部と、
前記電力系統の周波数変化をもとに単独運転を検出する単独運転検出部と、を有し、
前記無効電力注入部は、
前記周波数偏差に応じた第1無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部から出力する交流電力に注入する周波数フィードバック注入部と、
予め設定された第2無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部から出力する交流電力に注入するステップ注入部と、
前記周波数偏差、前記高調波電圧の変動、及び前記基本波電圧の変動に基づいて、前記インバータ部から出力する交流電力に、前記単独運転検出用の無効電力として、前記第1無効電力を注入するか、前記第2無効電力を注入するか、を選択する条件判定部と、を含み、
前記第2無効電力に、前記高調波電圧および前記基本波電圧の少なくとも一方が変動する場合に、予め設定された極性の固定値が設定され、当該変動が無い場合にゼロが設定され、
前記条件判定部は、前記第1無効電力と前記第2無効電力の内、絶対値の大きい方を選択することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
直流電力を交流電力に変換し、変換した前記交流電力を電力系統に出力するインバータ部と、
前記インバータ部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電力系統の電圧の周波数偏差を導出する周波数偏差導出部と、
前記電力系統の高調波電圧の変動を検出する高調波電圧変動検出部と、
前記電力系統の基本波電圧の変動を検出する基本波電圧変動検出部と、
前記インバータ部から出力する交流電力に、単独運転検出用の無効電力を注入する無効電力注入部と、
前記電力系統の周波数変化をもとに単独運転を検出する単独運転検出部と、を有し、
前記無効電力注入部は、
前記周波数偏差に応じた第1無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部から出力する交流電力に注入する周波数フィードバック注入部と、
予め設定された第2無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部から出力する交流電力に注入するステップ注入部と、
前記周波数偏差、前記高調波電圧の変動、及び前記基本波電圧の変動に基づいて、前記インバータ部から出力する交流電力に、前記単独運転検出用の無効電力として、前記第1無効電力を注入するか、前記第2無効電力を注入するか、を選択する条件判定部と、を含み、
前記高調波電圧および前記基本波電圧の少なくとも一方が変動する場合に、前記第2無効電力に予め設定された極性の固定値が設定され、当該変動が無い場合に前記第2無効電力にゼロが設定され、
前記条件判定部は、前記第1無効電力と前記第2無効電力の内、前記周波数偏差の極性と同じ極性であって、且つ絶対値の大きい方を選択する電力変換装置。
【請求項3】
直流電力を交流電力に変換し、変換した前記交流電力を電力系統に出力するインバータ部と、
前記インバータ部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電力系統の電圧の周波数偏差を導出する周波数偏差導出部と、
前記電力系統の高調波電圧の変動を検出する高調波電圧変動検出部と、
前記電力系統の基本波電圧の変動を検出する基本波電圧変動検出部と、
前記インバータ部から出力する交流電力に、単独運転検出用の無効電力を注入する無効電力注入部と、
前記電力系統の周波数変化をもとに単独運転を検出する単独運転検出部と、を有し、
前記無効電力注入部は、
前記周波数偏差に応じた第1無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部から出力する交流電力に注入する周波数フィードバック注入部と、
予め設定された第2無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部から出力する交流電力に注入するステップ注入部と、
前記周波数偏差、前記高調波電圧の変動、及び前記基本波電圧の変動に基づいて、前記インバータ部から出力する交流電力に、前記単独運転検出用の無効電力として、前記第1無効電力を注入するか、前記第2無効電力を注入するか、を選択する条件判定部と、を含み、
前記高調波電圧および前記基本波電圧の少なくとも一方が変動する場合に、前記第2無効電力に予め設定された極性の固定値が設定され、当該変動が無い場合に前記第2無効電力にゼロが設定され、
前記条件判定部は、前記第1無効電力と前記第2無効電力の極性が前記周波数偏差の極性と同じ極性の場合であって、前記周波数偏差の絶対値が所定値を超えない場合、前記第2無効電力を選択し、当該所定値を超える場合、前記第1無効電力を選択し、前記第2無効電力の極性が前記周波数偏差の極性と異なる場合であって、前記周波数偏差の絶対値が所定値を超えない場合、前記第1無効電力と前記第2無効電力の内、絶対値が大きい方を選択し、当該所定値を超える場合、前記第1無効電力を選択することを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
前記条件判定部は、前記インバータ部から出力する交流電力に前記第2無効電力が注入された後、所定の時間が経過すると、前記第1無効電力の注入に切り替えることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源の出力電力を制御する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システム、蓄電システム等の分散型電源システムが普及してきている。分散型電源システムでは、分散型電源から出力される直流電力を交流電力に変換して、変換した交流電力を商用電力系統(以下、電力系統という)に出力するためのパワーコンディショナが必要となる。パワーコンディショナには、単独運転検出機能が搭載されている(例えば、特許文献1参照)。単独運転検出機能は、連系している系統電源が停止した場合に、開閉器の保護及び配電線作業の安全性の観点から、分散型電源システムを電力系統から解列する機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-136095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単独運転検出機能は、単独運転が発生してから単独運転が検出するまでの時間をできるだけ短縮することが求められる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、効率的な単独運転検出機能を搭載した電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換し、変換した前記交流電力を電力系統に出力するインバータ部と、前記インバータ部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記電力系統の電圧の周波数偏差を導出する周波数偏差導出部と、前記電力系統の高調波電圧の変動を検出する高調波電圧変動検出部と、前記電力系統の基本波電圧の変動を検出する基本波電圧変動検出部と、前記インバータ部から出力する交流電力に、単独運転検出用の無効電力を注入する無効電力注入部と、前記電力系統の周波数変化をもとに単独運転を検出する単独運転検出部と、を有する。前記無効電力注入部は、前記周波数偏差に応じた第1無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部から出力する交流電力に注入する周波数フィードバック注入部と、予め設定された第2無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部から出力する交流電力に注入するステップ注入部と、前記周波数偏差、前記高調波電圧の変動、及び前記基本波電圧の変動に基づいて、前記インバータ部から出力する交流電力に、前記単独運転検出用の無効電力として、前記第1無効電力を注入するか、前記第2無効電力を注入するか、を選択する条件判定部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、効率的な単独運転検出機能を搭載した電力変換装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る電力変換装置を説明するための図である。
図2図1の条件判定部の詳細な構成を示す図である。
図3】周波数偏差の条件およびステップ注入条件と、注入する無効電力の関係をまとめたグラフである。
図4】実施の形態に係る周波数偏差-無効電力特性の一例を示す図である。
図5】比較例に係る周波数偏差-無効電力特性の一例を示す図である。
図6】実施の形態に係る無効電力注入量の決定処理の流れを示すフローチャートである。
図7】比較例に係る無効電力注入量の決定処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8(a)、(b)は、単独運転検出用の無効電力注入量の決定処理の第2の例の具体例を示す図である。
図9図9(a)、(b)は、単独運転検出用の無効電力注入量の決定処理の第3の例の具体例を示す図である。
図10図10(a)、(b)は、単独運転検出用の無効電力注入量の決定処理の第4の例の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施の形態に係る電力変換装置2を説明するための図である。電力変換装置2は、分散型電源1から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を電力系統3に出力する。分散型電源1は、太陽電池、蓄電池、燃料電池などが該当する。太陽電池が使用される場合、太陽電池と電力変換装置2のインバータ部10との間にDC/DCコンバータ(昇圧チョッパ)が設けられ、当該DC/DCコンバータは、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を実行する。
【0010】
分散型電源1は電力変換装置2に対して複数並列に接続されてもよい。例えば、太陽電池と蓄電池が並列に接続されてもよい。その場合、太陽電池とインバータ部10との間、及び蓄電池とインバータ部10との間にそれぞれDC/DCコンバータが設けられる。
【0011】
電力変換装置2と電力系統3との間の配電線には、交流負荷が接続される。当該交流負荷は、電力変換装置2及び電力系統3の少なくとも一方から交流電力の供給を受けることができる。
【0012】
電力変換装置2は、インバータ部10及び制御部20を備える。制御部20は、周波数偏差導出部21、基本波電圧変動検出部22、高調波電圧変動検出部23、単独運転検出部24、無効電力注入部25及び電流制御部29を有する。無効電力注入部25は、周波数フィードバック注入部26、ステップ注入部27及び条件判定部28を含む。制御部20の構成は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコンピュータ、DSP、ROM、RAM、ASIC、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェア等のプログラムを利用できる。
【0013】
インバータ部10は、分散型電源1から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を電力系統3に出力する。なお分散型電源1に蓄電池が含まれる場合、インバータ部10は、電力系統3から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を蓄電池に出力することもできる。
【0014】
周波数偏差導出部21は、電力系統3の電圧の周波数偏差を導出する。本実施の形態ではJEM1498規格に準拠して周波数偏差を導出する。周波数偏差導出部21は、正弦波の系統電圧を方形波に変換する。周波数偏差導出部21は、系統電圧に同期した方形波の立ち下がりエッジと立ち上がりエッジ間の中間値と、次の立ち下がりエッジと立ち上がりエッジ間の中間値との間の時間差を周期として計測する。
【0015】
周波数偏差導出部21は、過去周期と最近周期の差をもとに周波数偏差を算出する。周波数偏差導出部21は、周期データを1周期ごとに更新する。現在の周期を最新周期と呼ぶ。周波数偏差導出部21は過去周期として、最新周期から200ms前の320ms分の移動平均値を用い、最近周期として、最新周期から40ms分の移動平均値を用いる。周波数偏差導出部21は、演算に用いる移動平均値を5msごとに更新し、周波数偏差の演算も5msごとに行う。周波数偏差導出部21は、算出した周波数偏差を周波数フィードバック注入部26及び条件判定部28に出力する。
【0016】
基本波電圧変動検出部22は、電力系統3の基本波電圧の変動の有無を検出する。本実施の形態ではJEM1498規格に準拠して基本波電圧の変動の有無を検出する。基本波電圧変動検出部22は、下記(式1)-(式6)の条件を全て満たすとき基本波電圧に変動有りと判定し、1つでも満たさないとき基本波電圧に変動無しと判定する。
(Nb0-Nb_ave)>2.5V ・・・(式1)
(Nb1-Nb_ave)>2.5V ・・・(式2)
(Nb2-Nb_ave)>-0.5V ・・・(式3)
-0.5V<(Nb3-Nb_ave)<0.5V ・・・(式4)
-0.5V<(Nb4-Nb_ave)<0.5V ・・・(式5)
-0.5V<(Nb5-Nb_ave)<0.5V ・・・(式6)
Nbi:iサイクル前の基本波電圧
Nb_ave:3サイクル前から5サイクル前までの3個の基本波電圧平均値
【0017】
高調波電圧変動検出部23は、電力系統3の高調波電圧の変動の有無を検出する。本実施の形態ではJEM1498規格に準拠して高調波電圧の変動の有無を検出する。高調波電圧変動検出部23は、下記(式7)-(式12)の条件を全て満たすとき高調波電圧に変動有りと判定し、1つでも満たさないとき高調波電圧に変動無しと判定する。
(Nh0-Nh_ave)>2V ・・・(式7)
(Nh1-Nh_ave)>2V ・・・(式8)
(Nh2-Nh_ave)>-0.5V ・・・(式9)
-0.5V<(Nh3-Nh_ave)<0.5V ・・・(式10)
-0.5V<(Nh4-Nh_ave)<0.5V ・・・(式11)
-0.5V<(Nh5-Nh_ave)<0.5V ・・・(式12)
Nhi:iサイクル前の2次~7次の高調波電圧実効値
Nh_ave:3サイクル前から5サイクル前までの3個の高調波電圧平均値
【0018】
基本波電圧変動検出部22は、基本波電圧の変動の有無を条件判定部28に出力し、高調波電圧変動検出部23は、高調波電圧の変動の有無を条件判定部28に出力する。
【0019】
単独運転検出部24は、電力系統3の周波数を監視し、電力系統3の周波数変化が、単独運転検出用の閾値を越えると単独運転状態と判定し、インバータ部10を停止させる。周波数偏差導出部21により導出された周波数偏差を用いて判定してもよいし、別の計測・演算方法により導出される周波数の変化を用いて判定してもよい。
【0020】
周波数フィードバック注入部26は、周波数偏差導出部21により導出された周波数偏差に応じた第1無効電力を、単独運転検出用の無効電力として、インバータ部10から出力する交流電力に注入する。周波数フィードバック注入部26は、周波数偏差-無効電力特性(図3参照)を参照して、注入する第1無効電力を決定する。第1無効電力は、設定された運転力率における無効電力に追加される。
【0021】
ステップ注入部27は、予め設定した第2無効電力を、単独運転検出用の無効電力として、インバータ部10から出力する交流電力に注入する。ステップ注入部27は、単独運転発生時に周波数変化を助長するために急峻(ステップ状)に無効電力を注入する。JEM1498規格では、注入時間が3サイクル以下、追加注入量の上限が0.1p.u.、注入方向がパワーコンディショナから見て電流位相を遅らせる方向(周波数は低下方向)と規定されている。p.u.(per unit)は定格容量に対する比率を示し、追加注入量の上限が定格容量の0.1倍であることを示している。第2無効電力は、設定された運転力率における無効電力に追加される。
【0022】
電流制御部29は、設定された運転力率における無効電力を反映した電流指令値を生成し、生成した電流指令値をインバータ部10の駆動部に出力して、インバータ部10に含まれる複数のスイッチング素子のデューティ比を制御する。周波数フィードバック注入部26から第1無効電力の注入量の入力を受けると、電流制御部29は、設定された運転力率における無効電力に第1無効電力を加算する。ステップ注入部27から第2無効電力の注入量の入力を受けると、電流制御部29は、設定された運転力率における無効電力に第2無効電力を加算する。
【0023】
分散型電源1が太陽電池の場合、電流制御部29はインバータ部10の入力電圧(直流バスの電圧)が目標電圧を維持するように電流指令値を生成する。即ち、太陽電池から電力変換装置2に入力される電力量と、電力変換装置2から交流負荷または電力系統3に出力される電力量が平衡するように制御する。
【0024】
条件判定部28は、周波数偏差導出部21から入力される周波数偏差、高調波電圧変動検出部23から入力される高調波電圧の変動の有無、及び基本波電圧変動検出部22から入力される基本波電圧の変動の有無に基づいて、単独運転検出用の無効電力として、第1無効電力を注入するか、第2無効電力を注入するか、注入しないかを選択する。
【0025】
図2は、図1の条件判定部28の詳細な構成を示す図である。条件判定部28は、外乱判定部28a、周波数偏差判定部28b、ステップ注入判定部28c及び選択部28dを含む。
【0026】
外乱判定部28aは、周波数偏差導出部21から入力される周波数偏差をもとに、外乱検知の有無を判定する。本実施の形態ではJEM1498規格に準拠して外乱発生の有無を判定する。
【0027】
外乱判定部28aは、入力される周波数偏差をもとに、周波数急変又は低振幅周波数変動継続を検知する。外乱判定部28aは、周波数偏差が±0.16Hzを超えた後、周波数偏差の極性が反転又は0になると、周波数急変を検知する。また外乱判定部28aは、±0.01Hzを超える周波数偏差の検出後、165ms以内に、検出した周波数偏差の極性と異なる極性の0.01Hzを超える周波数偏差を検出したとき、低振幅周波数偏差検知回数のカウント数を一つ増加させる。外乱判定部28aは、低振幅周波数偏差検知回数のカウント数が12となったとき、低振幅周波数変動継続を検知する。外乱判定部28aは、外乱検知の有無を選択部28dに出力する。
【0028】
周波数偏差判定部28bは、周波数偏差導出部21から入力される周波数偏差が所定の範囲内であるか否か判定する。本実施の形態では、当該周波数偏差が±0.01Hz(±4.0us:50Hz時、±2.8us:69Hz時)の範囲内であるか否か判定する。周波数偏差判定部28bは、判定結果を選択部28dに出力する。
【0029】
ステップ注入判定部28cは、高調波電圧変動検出部23から入力される高調波電圧の変動の有無、及び基本波電圧変動検出部22から入力される基本波電圧の変動の有無をもとに、ステップ注入条件を満たすか否か判定する。ステップ注入判定部28cは、高調波電圧の変動および基本波電圧の変動の少なくとも一方が有りのときステップ注入条件を満たすと判定し、両方の変動が無しのときステップ注入条件を満たさないと判定する。ステップ注入判定部28cは、判定結果を選択部28dに出力する。
【0030】
選択部28dは、周波数偏差が所定の範囲内であり、且つステップ注入条件を満たす場合、ステップ注入部27に第2無効電力の注入を指示し、それ以外の場合、周波数フィードバック注入部26に第1無効電力の注入を指示する。
【0031】
図3は、周波数偏差の条件およびステップ注入条件と、注入する無効電力の関係をまとめたグラフである。本実施の形態では、周波数偏差が所定の範囲内である場合の第1無効電力の注入量を0に設定している。したがって、周波数偏差が所定の範囲内であり、且つステップ注入条件を満たさない場合、単独運転検出用の無効電力の注入量は0になる。なお、上述した周波数急変又は低振幅周波数変動継続の少なくとも一方が外乱として検知された場合も、単独運転検出用の無効電力の注入量を0にする。いずれの場合も、単独運転検出に関する能動機能は待機状態となる。
【0032】
図4は、実施の形態に係る周波数偏差-無効電力特性の一例を示す図である。図4に示す例は、定格容量が5500VAの電力変換装置2を使用し、運転力率が0.95に設定されている例である。周波数偏差が±0.01Hzの範囲内にあるとき、無効電力注入量は0になる。なお、外乱が検知された場合も、無効電力注入量は0になる。周波数偏差が±0.01Hzの範囲外のとき、周波数偏差に比例した無効電力注入量が±110Var~±1100Varの範囲内で導出される。周波数偏差が±0.34Hzを超えると、無効電力注入量は±1100Varに固定される。即ち、無効電力注入量の上限値は+1100Varであり、下限値は-1100Varになる。
【0033】
周波数偏差-無効電力特性は制御部20内の不揮発メモリ(EEPROM、フラッシュメモリ等)に保持され、周波数フィードバック注入部26に参照される。周波数フィードバック注入部26は、周波数偏差導出部21から入力される周波数偏差をもとに、第1無効電力の注入量を導出する。
【0034】
図5は、比較例に係る周波数偏差-無効電力特性の一例を示す図である。比較例では、周波数偏差が±0.01Hzの範囲内にあるときも、周波数偏差に比例した無効電力注入量が導出される。周波数偏差が±0.01Hzの範囲内にあるときと、±0.01Hzの範囲外にあるときとで、傾き(ゲイン)が異なる。±0.01Hzの範囲内にあるときの方が、傾き(ゲイン)が小さく設定される。なお、±0.01Hzの範囲内にあるとき、無効電力注入量が0以外の定数(例えば、±60Var)に設定されてもよい。
【0035】
図6は、実施の形態に係る無効電力注入量の決定処理の流れを示すフローチャートである。無効電力注入部25は電力変換装置2が系統連系中であるか否か判定する(S10)。系統連係中でない場合(S10のN)、単独運転検出用の無効電力を注入する必要がないため、無効電力注入部25は、無効電力注入量に0を設定する(S15)。
【0036】
系統連系中である場合(S10のY)、無効電力注入部25は、電力変換装置2が逆変換中であるか否か判定する(S11)。逆変換中でない場合(S11のN)、無効電力注入部25は、無効電力注入量に0を設定する(S15)。分散型電源1に蓄電池が含まれている場合、電力系統3から供給される交流電力を逆変換して、逆変換した直流電力を蓄電池に充電する場合がある。この場合、電力系統3が停止しても、開閉器の保護及び配電線作業の安全性に基本的に影響がないため、単独運転検出用の無効電力を注入する必要はない。
【0037】
逆変換中である場合(S11のY)、無効電力注入部25は、周波数偏差が±0.01Hzの範囲内であるか否か判定する(S12)。周波数偏差が±0.01Hzの範囲内にあるとき(S12のY)、無効電力注入部25は、無効電力注入量にステップ注入量を設定する(S13)。ステップ注入量には、ステップ注入条件を満たす場合、例えば定格容量の0.1p.u.の値が設定される。定格容量が5500VAの場合、550Varが設定される。ステップ注入条件を満たさない場合、ステップ注入量に0が設定される。
【0038】
周波数偏差が±0.01Hzの範囲外にあるとき(S12のN)、無効電力注入部25は、無効電力注入量に周波数フィードバック注入量を設定する(S14)。周波数フィードバック注入量には、例えば図4に示した周波数偏差-無効電力特性に基づく無効電力の導出値が設定される。以上の処理により、単独運転検出用の無効電力の注入量が決定される。なお、分散型電源1に蓄電池が含まれていない場合、ステップS11の処理はスキップされる。
【0039】
図7は、比較例に係る無効電力注入量の決定処理の流れを示すフローチャートである。無効電力注入部25は電力変換装置2が系統連系中であるか否か判定する(S20)。系統連係中でない場合(S20のN)、単独運転検出用の無効電力を注入する必要がないため、無効電力注入部25は、無効電力注入量に0を設定する(S23)。
【0040】
系統連系中である場合(S20のY)、無効電力注入部25は、電力変換装置2が逆変換中であるか否か判定する(S21)。逆変換中でない場合(S21のN)、無効電力注入部25は、無効電力注入量に0を設定する(S23)。逆変換中である場合(S21のY)、無効電力注入部25は、無効電力注入量にステップ注入量に、ステップ注入量と周波数フィードバック注入量を加算した注入量を設定する(S22)。周波数フィードバック注入量には、例えば図5に示した周波数偏差-無効電力特性に基づく無効電力の導出値が設定される。以上の処理により、単独運転検出用の無効電力の注入量が決定される。なお、分散型電源1に蓄電池が含まれていない場合、ステップS21の処理はスキップされる。
【0041】
図4図6に示した処理が、単独運転検出用の無効電力注入量の決定処理の基本例(第1の例)である。以下、単独運転検出用の無効電力注入量の決定処理の別の例を説明する。第2の例として、無効電力注入部25の条件判定部28は、導出された第1無効電力の注入量と、導出された第2無効電力の注入量の内、絶対値が大きい方を選択する。ステップ注入条件を満たさない場合、第2無効電力の注入量は0になる。従って、ステップ注入条件を満たさず、且つ周波数偏差が±0.01Hzの範囲外である場合、第1無効電力の注入量が常に選択される。ステップ注入条件を満たさず、且つ周波数偏差が±0.01Hzの範囲内である場合も、第1無効電力の注入量が常に選択される。図4に示すような周波数偏差-無効電力特性を使用する場合は0が設定される。ステップ注入条件を満たす場合、第1無効電力の注入量と、第2無効電力の注入量の内、絶対値が大きい方が選択される。
【0042】
第3の例として、条件判定部28は、第1無効電力の注入量と第2無効電力の注入量の内、周波数偏差の極性と同じ極性であって、且つ絶対値の大きい方を選択する。上述したようにJEM1498規格では、無効電力のステップ注入の方向がパワーコンディショナから見て遅れ方向と規定されている。周波数偏差が遅れ方向に発生している場合、導出された第1無効電力の注入量と、導出された第2無効電力の注入量の内、絶対値が大きい方が選択される。周波数偏差が進み方向に発生している場合、第1無効電力の注入量が選択される。なお図4に示すような周波数偏差-無効電力特性が使用される場合、周波数偏差が-0.01Hz~0Hzの範囲内では、単独運転検出用の無効電力注入量は0になる。
【0043】
第4の例は、条件判定部28は、第1無効電力と第2無効電力の極性が周波数偏差の極性と同じ極性の場合であって、第1無効電力の注入量の絶対値が所定値を超えない場合若しくは周波数偏差の絶対値が所定値を超えない場合、第2無効電力の注入量を選択し、所定値を超える場合、第1無効電力の注入量を選択する。条件判定部28は、第2無効電力の極性が周波数偏差の極性と異なる場合であって、第1無効電力の注入量の絶対値が所定値を超えない若しくは周波数偏差の絶対値が所定値を超えない場合、第1無効電力の注入量と、第2無効電力の注入量の内、絶対値が大きい方を選択し、所定値を超えた場合、第1無効電力の注入量を選択する。なお図4に示すような周波数偏差-無効電力特性が使用される場合、周波数偏差が-0.01Hz~0Hzの範囲内では、単独運転検出用の無効電力注入量は0になる。上記所定値が、ステップ注入条件を満たしたときの第2無効電力の注入量と同じ値に設定される場合、第3の例と同じ処理になる。
【0044】
第1~第4の例のいずれにおいても、条件判定部28は、インバータ部10から出力する交流電力に第2無効電力が注入された後、所定の時間が経過すると、インバータ部10から出力する交流電力に注入する単独運転検出用の無効電力を第2無効電力から第1無効電力に切り替える。JEM1498規格では無効電力のステップ注入時間は3サイクル以下と規定されており、その期間に単独運転検出部24により単独運転が検出されない場合は、単独運転検出用の無効電力を、第2無効電力から第1無効電力に切り替える。
【0045】
図8(a)、(b)は、単独運転検出用の無効電力注入量の決定処理の第2の例の具体例を示す図である。図8(a)は、3サイクルのステップ注入期間において、ステップ注入量の方が周波数フィードバック注入量より大きい場合の例を示している。3サイクルのステップ注入期間は、注入する無効電力としてステップ注入量が常に選択される。3サイクルのステップ注入期間が終了すると、周波数フィードバック注入量が選択される。
【0046】
図8(b)は、3サイクルのステップ注入期間において、途中からステップ注入量より周波数フィードバック注入量の方が大きくなる例を示している。ステップ注入量が周波数フィードバック注入量より大きい間は、ステップ注入量が選択され、ステップ注入量より周波数フィードバック注入量の方が大きくなると、周波数フィードバック注入量が選択される。
【0047】
図9(a)、(b)は、単独運転検出用の無効電力注入量の決定処理の第3の例の具体例を示す図である。図9(a)は、周波数偏差が進み方向に発生している例を示している。この場合、注入する無効電力として周波数フィードバック注入量が常に選択される。図9(b)は、周波数偏差が遅れ方向に発生している例を示している。この場合、ステップ注入量と周波数フィードバック注入量の内、大きい方が選択される。
【0048】
図10(a)、(b)は、単独運転検出用の無効電力注入量の決定処理の第4の例の具体例を示す図である。図10(a)は、周波数偏差が進み方向に発生している例を示している。この場合、周波数偏差が所定値を超えない間は、ステップ注入量が選択され、所定値を超えると周波数フィードバック注入量が選択される。周波数フィードバック注入量は、3サイクルのステップ注入期間の途中で所定値を超えている。図10(b)は、周波数偏差が遅れ方向に発生している例を示している。この場合、周波数偏差が所定値を超えない間はステップ注入量が選択され、所定値を超えると周波数フィードバック注入量が選択される。
【0049】
以上説明したように本実施の形態によれば、図7に示した比較例と比較して、効率的な単独運転検出機能を実現することができる。比較例では、周波数偏差が±0.01Hzの範囲内の場合、周波数フィードバック注入量とステップ注入量を加算して、単独運転検出用の無効電力の注入量を決定している。周波数偏差が±0.01Hzの範囲内にある場合の周波数フィードバック注入量は、ステップ注入量に対して絶対値が小さな値になるため、ステップ注入量に周波数フィードバック注入量を足し込む意義は小さい。本実施の形態のようにステップ注入量をそのまま使用しても、周波数変化を助長させる効果はほとんど変わらない。またステップ注入用の無効電力の極性と周波数フィードバック注入用の無効電力の極性が逆になる場合、ステップ注入量に対する周波数フィードバック注入量の加算は、ステップ注入の効果を減殺させるものとなる。この場合、単独運転の発生から検出までの時間を延ばす方向に作用する。
【0050】
これに対して本実施の形態では、第1~第4の例のいずれにおいても、ステップ注入量と周波数フィードバック注入量の無駄な加算処理は発生せず、またステップ注入の効果を減殺させる加算処理も発生しない。従って、本実施の形態の方が、効率的な単独運転検出機能を実現しているといえ、単独運転の発生から検出までの時間を短くすることができる。
【0051】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0052】
上述した実施の形態では、周波数偏差の導出、基本波電圧の変動検出、高調波電圧の変動検出、外乱検知、周波数フィードバック注入量の導出、ステップ注入量の導出について、JEM1498規格に準拠した例を説明したが、JEM1498規格に準拠した手法に限定されるものでなく、メーカ独自の手法を採用してもよい。
【0053】
上述した実施の形態では、図4に示すような周波数偏差-無効電力特性を使用して周波数フィードバック注入量を算出した。この点、図5に示すような周波数偏差-無効電力特性を使用し、周波数偏差が±0.01Hzの範囲内の場合、周波数フィードバック注入量を選択しない処理でも同様の効果が得られる。
【0054】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0055】
[項目1]
直流電力を交流電力に変換し、変換した前記交流電力を電力系統(3)に出力するインバータ部(10)と、
前記インバータ部(10)を制御する制御部(20)と、を備え、
前記制御部(20)は、
前記電力系統(3)の電圧の周波数偏差を導出する周波数偏差導出部(21)と、
前記電力系統(3)の高調波電圧の変動を検出する高調波電圧変動検出部(23)と、
前記電力系統(3)の基本波電圧の変動を検出する基本波電圧変動検出部(22)と、
前記インバータ部(10)から出力する交流電力に、単独運転検出用の無効電力を注入する無効電力注入部(25)と、
前記電力系統(3)の周波数変化をもとに単独運転を検出する単独運転検出部と、を有し、
前記無効電力注入部(25)は、
前記周波数偏差に応じた第1無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部(10)から出力する交流電力に注入する周波数フィードバック注入部(26)と、
予め設定された第2無効電力を、前記単独運転検出用の無効電力として前記インバータ部(10)から出力する交流電力に注入するステップ注入部(27)と、
前記周波数偏差、前記高調波電圧の変動、及び前記基本波電圧の変動に基づいて、前記インバータ部(10)から出力する交流電力に、前記単独運転検出用の無効電力として、前記第1無効電力を注入するか、前記第2無効電力を注入するか、を選択する条件判定部(28)と、を含むことを特徴とする電力変換装置(2)。
これによれば、効率的な単独運転検出機能を実現することができる。
[項目2]
前記条件判定部(28)は、前記周波数偏差が所定の範囲内であり、且つ前記高調波電圧および前記基本波電圧の少なくとも一方が変動する場合に前記第2無効電力の注入を選択し、それ以外の場合に前記第1無効電力の注入を選択することを特徴とする項目1に記載の電力変換装置(2)。
これによれば、第1無効電力と第2無効電力が加算されるケースが発生せず、効率的な単独運転検出機能を実現することができる。
[項目3]
前記周波数フィードバック注入部(26)は、前記周波数偏差が所定の範囲内である場合、前記第1無効電力の値をゼロに設定することを特徴とする項目1又は2に記載の電力変換装置(2)。
これによれば、周波数偏差が所定の範囲内である場合において、第2無効電力を、第1無効電力の影響を受けずに、そのまま注入することができる。
[項目4]
前記第2無効電力に、前記高調波電圧および前記基本波電圧の少なくとも一方が変動する場合に、予め設定された極性の固定値が設定され、当該変動が無い場合にゼロが設定され、
前記条件判定部(28)は、前記第1無効電力と前記第2無効電力の内、絶対値の大きい方を選択することを特徴とする項目1に記載の電力変換装置(2)。
これによれば、第1無効電力と第2無効電力が加算されるケースが発生せず、効率的な単独運転検出機能を実現することができる。
[項目5]
前記高調波電圧および前記基本波電圧の少なくとも一方が変動する場合に、前記第2無効電力に予め設定された極性の固定値が設定され、当該変動が無い場合に前記第2無効電力にゼロが設定され、
前記条件判定部(28)は、前記第1無効電力と前記第2無効電力の内、前記周波数偏差の極性と同じ極性であって、且つ絶対値の大きい方を選択する項目1に記載の電力変換装置(2)。
これによれば、周波数偏差の極性と逆の極性の無効電力が注入されることが発生せず、効率的な単独運転検出機能を実現することができる。
[項目6]
前記高調波電圧および前記基本波電圧の少なくとも一方が変動する場合に、前記第2無効電力に予め設定された極性の固定値が設定され、当該変動が無い場合に前記第2無効電力にゼロが設定され、
前記条件判定部(28)は、前記第1無効電力と前記第2無効電力の極性が前記周波数偏差の極性と同じ極性の場合であって、前記周波数偏差の絶対値が所定値を超えない場合、前記第2無効電力を選択し、当該所定値を超える場合、前記第1無効電力を選択し、前記第2無効電力の極性が前記周波数偏差の極性と異なる場合であって、前記周波数偏差の絶対値が所定値を超えない場合、前記第1無効電力と前記第2無効電力の内、絶対値が大きい方を選択し、当該所定値を超える場合、前記第1無効電力を選択することを特徴とする項目1に記載の電力変換装置(2)。
これによれば、周波数偏差の極性と逆の極性の無効電力が注入される期間を減らすことができ、効率的な単独運転検出機能を実現することができる。
[項目7]
前記条件判定部(28)は、前記インバータ部(10)から出力する交流電力に前記第2無効電力が注入された後、所定の時間が経過すると、前記第1無効電力の注入に切り替えることを特徴とする項目1から6のいずれか1項に記載の電力変換装置(2)。
これによれば、ステップ注入期間の経過後も、第1無効電力の注入を行うことにより、周波数変化の能動的な助長を継続することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 分散型電源、 2 電力変換装置、 3 電力系統、 10 インバータ部、 20 制御部、 21 周波数偏差導出部、 22 基本波電圧変動検出部、 23 高調波電圧変動検出部、 24 単独運転検出部、 25 無効電力注入部、 26 周波数フィードバック注入部、 27 ステップ注入部、 28 条件判定部、 28a 外乱判定部、 28b 周波数偏差判定部、 28c ステップ注入判定部、 28d 選択部、 29 電流制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10