(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】水硬性組成物用消泡剤及び水硬性組成物
(51)【国際特許分類】
C04B 24/32 20060101AFI20221212BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20221212BHJP
C04B 24/12 20060101ALI20221212BHJP
C08G 65/333 20060101ALI20221212BHJP
B01D 19/04 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
C04B24/32 Z
C04B28/02
C04B24/12 Z
C08G65/333
B01D19/04 B
(21)【出願番号】P 2021511804
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2019014477
(87)【国際公開番号】W WO2020202435
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】村松 郁香
(72)【発明者】
【氏名】内藤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】玉木 伸二
(72)【発明者】
【氏名】古田 章宏
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-299930(JP,A)
【文献】特開平07-232945(JP,A)
【文献】特開2000-247704(JP,A)
【文献】特開昭63-011557(JP,A)
【文献】特表2005-500232(JP,A)
【文献】特開2004-137130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B2/00-32/02
C04B40/00-40/06
C04B103/00-111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される含窒素ポリオキシアルキレン化合物を含有する水硬性組成物用消泡剤。
【化1】
(但し、式中、R
1は、炭素数14~24のアルキル基又は
炭素数10~24のアルケニル基を示し、R
2及びR
3は、同一又は異なって、水素原子及び/又は炭素数1~10の炭化水素基を示し、A
1O及びA
2Oは、同一又は異なって、炭素数2~4のオキシアルキレン基を示し、m及びnは、同一又は異なって、0~100の整数であって、かつ、33≦m+n≦100の条件を満たし、A
1O及びA
2Oの内、炭素数3及び/又は4のオキシアルキレン基が86モル%以上である。)
【請求項2】
前記A
1O及び前記A
2Oの内、炭素数3及び/又は4のオキシアルキレン基が90モル%以上である請求項1に記載の水硬性組成物用消泡剤。
【請求項3】
前記m、前記nは、同一又は異なって、0~80の整数であって、かつ、33≦m+n≦80の条件を満たす請求項1または2に記載の水硬性組成物用消泡剤。
【請求項4】
前記m、前記nは、同一又は異なって、0~80の整数であって、かつ、35≦m+n≦80の条件を満たす請求項1または2に記載の水硬性組成物用消泡剤。
【請求項5】
前記R
2及びR
3は、水素原子を示す請求項1~4のいずれか1項に記載の水硬性組成物用消泡剤。
【請求項6】
前記R
1は、炭素数14~18のアルキル基又は
炭素数14~18のアルケニル基を示す請求項1~5のいずれか1項に記載の水硬性組成物用消泡剤。
【請求項7】
前記A
1O及び前記A
2Oは、同一または異なって、炭素数2及び/又は3のオキシアルキレン基(但し、A
1O及びA
2Oのうちの少なくとも1つは炭素数3のオキシアルキレン基を含む)である請求項1~6のいずれか1項に記載の水硬性組成物用消泡剤。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の水硬性組成物用消泡剤を含有する水硬性組成物。
【請求項9】
前記水硬性組成物用消泡剤以外にpHが8以下である混和剤
を併用したものである請求項8に記載の水硬性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水硬性組成物用消泡剤及びこれを含有する水硬性組成物に関する。更に詳しくは、混和剤との相溶性が高く、優れた消泡性と気泡安定性を有する水硬性組成物用消泡剤及びこれを含有する水硬性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートに代表される水硬性組成物は、セメント、水、細骨材、粗骨材及び混和剤等を混合攪拌し製造される。使用される混和剤には、リグニンスルホン酸(塩)、オキシカルボン酸(塩)、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(塩)、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(塩)、ポリカルボン酸系化合物等の減水成分の他に、混合攪拌による巻き込みにより発生する水硬性組成物中の粗大な空気を減少させたり、空気量を適切な範囲に調整したりするために、消泡剤を配合することが多い。このような消泡剤として、オキシアルキレン系、シリコーン系、アルコール系、鉱油系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系等が知られている。
【0003】
消泡剤を配合しても、均一な水溶液状態を保つ目的で、ポリカルボン酸系化合物と、特定の含窒素ポリオキシアルキレン化合物との混合物からなる添加剤(特許文献1)や、強度及び耐久性に優れた硬化物を形成するために、特定のポリオキシアルキレン系化合物が提案されている(特許文献2~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-232945号公報
【文献】特開平10-226550号公報
【文献】特開2003-226565号公報
【文献】特開2003-226566号公報
【文献】特開2003-226567号公報
【文献】特開2003-300766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に高い消泡性を有する消泡剤は疎水性が高く、混和剤と配合した場合、その密度の違いから経時的に混和剤上部に分離し、水硬性組成物の空気量を安定的に制御することが困難であるという問題を生じていた。特許文献1~6に示される消泡剤は、混和剤との相溶性に改善は見られるが、優れた消泡性や気泡安定性を同時に有することができないという問題がある。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明の水硬性組成物用消泡剤は、混和剤との相溶性が高く、優れた消泡性を有し、かつ、優れた気泡安定性を有する水硬性組成物用消泡剤及びこれを含有する水硬性組成物の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のアルキルアミンに特定の比率でポリオキシアルキレンを付加した水硬性組成物用消泡剤が特に好適であることを見出した。本発明によれば、以下の水硬性組成物用消泡剤及びこれを含有する水硬性組成物が提供される。
【0008】
[1] 下記一般式(1)で表される含窒素ポリオキシアルキレン化合物を含有する水硬性組成物用消泡剤。
【化1】
(但し、式中、R
1は、炭素数14~24のアルキル基又は
炭素数10~24のアルケニル基を示し、R
2及びR
3は、同一又は異なって、水素原子及び/又は炭素数1~10の炭化水素基を示し、A
1O及びA
2Oは、同一又は異なって、炭素数2~4のオキシアルキレン基を示し、m及びnは、同一又は異なって、0~100の整数であって、かつ、33≦m+n≦100の条件を満たし、A
1O及びA
2Oの内、炭素数3及び/又は4のオキシアルキレン基が86モル%以上である。)
【0009】
(削除)
【0010】
[2] 前記A1O及び前記A2Oの内、炭素数3及び/又は4のオキシアルキレン基が90モル%以上である前記[1]に記載の水硬性組成物用消泡剤。
【0011】
[3] 前記m、前記nは、同一又は異なって、0~80の整数であって、かつ、33≦m+n≦80の条件を満たす前記[1]または[2]に記載の水硬性組成物用消泡剤。
【0012】
[4] 前記m、前記nは、同一又は異なって、0~80の整数であって、かつ、35≦m+n≦80の条件を満たす前記[1]または[2]に記載の水硬性組成物用消泡剤。
【0013】
[5] 前記R2及びR3は、水素原子を示す前記[1]~[4]のいずれかに記載の水硬性組成物用消泡剤。
【0014】
[6] 前記R1は、炭素数14~18のアルキル基又は炭素数14~18のアルケニル基を示す前記[1]~[5]のいずれかに記載の水硬性組成物用消泡剤。
【0015】
[7] 前記A1O及び前記A2Oは、同一または異なって、炭素数2及び/又は3のオキシアルキレン基(但し、A1O及びA2Oのうちの少なくとも1つは炭素数3のオキシアルキレン基を含む)である前記[1]~[6]のいずれかに記載の水硬性組成物用消泡剤。
【0016】
[8] 前記[1]~[7]のいずれかに記載の水硬性組成物用消泡剤を含有する水硬性組成物。
【0017】
[9] 前記水硬性組成物用消泡剤以外にpHが8以下である混和剤を併用したものである前記[8]に記載の水硬性組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水硬性組成物用消泡剤によれば、混和剤との相溶性が高く、優れた消泡性を有し、かつ、優れた気泡安定性を有することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
【0020】
本発明の水硬性組成物用消泡剤は、下記一般式(1)で表される含窒素ポリオキシアルキレン化合物を含有する。
【化2】
【0021】
一般式(1)中のR1は、炭素数10~24のアルキル基又は炭素数10~24のアルケニル基とすることができ、本発明では、炭素数14~24のアルキル基又は炭素数10~24のアルケニル基であり、直鎖、分岐鎖のいずれの構造を有するものであってもよい。これらは、特に限定されるものではないが、例えば、石油原料由来や、パーム油やひまわり油などの植物性油脂由来であってもよく、牛脂など動物性油脂由来であっても構わない。
【0022】
炭素数10~24のアルキル基としては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等が挙げられる。なかでも、このようなアルキル基としては、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の炭素数14~18のアルキル基が好ましい。なお、R1が10に満たない炭素数のアルキル基の化合物は消泡性や気泡安定性が低く、R1が24を超える炭素数のアルキル基の化合物は、疎水性が高く混和剤との相溶性が低下する。
【0023】
炭素数10~24のアルケニル基としては、例えば、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等が挙げられる。なかでも、このようなアルケニル基としては、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等の炭素数14~18のアルケニル基が好ましい。なお、R1が10に満たない炭素数のアルケニル基の化合物は消泡性や気泡安定性が低く、R1が24を超える炭素数のアルケニル基の化合物は、疎水性が高く混和剤との相溶性が低下する。
【0024】
一般式(1)中のR2及びR3は、同一又は異なって、水素原子及び/又は炭素数1~10の炭化水素基である。
【0025】
炭素数1~10の炭化水素基としては、直鎖、分岐鎖のいずれの構造を有するものであってもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれであってもよい。炭素数1~10の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基が挙げられる。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。なかでも、このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~3のアルキル基が好ましい。なお、R2及びR3が10を超える炭素数のアルキル基の化合物は、疎水性が高く混和剤との相溶性が低下する。また、炭素数2~10のアルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。なかでも、このようなアルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基の炭素数2及び3のアルケニル基が好ましい。なお、R2及びR3が10を超える炭素数のアルケニル基の化合物は、疎水性が高く混和剤との相溶性が低下する。
【0026】
なお、一般式(1)中のR2及びR3は、水素原子であるのが好ましい。
【0027】
一般式(1)において、A1O及びA2Oは、同一又は異なる、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。オキシプロピレン基としては、1,2-オキシプロピレン基、1,3-オキシプロピレン基が挙げられる。オキシブチレン基としては、1,2-オキシブチレン基、1,3-オキシブチレン基、1,4-オキシブチレン基、2,3-オキシブチレン基、オキシイソブチレン基が挙げられる。A1O及びA2Oは、同一又は異なって、炭素数2及び/又は3のオキシアルキレン基であることが好ましい。但し、この場合、A1O及びA2Oのうちの少なくとも1つは炭素数3のオキシアルキレン基を含む。このようなオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましい。A1O及びA2Oのそれぞれが2種類以上の場合は、ランダム付加体、ブロック付加体、交互付加体のいずれの形態であってもよい。
【0028】
一般式(1)において、mはA1Oの付加モル数を表し、nは、A2Oの付加モル数を表す。m及びnは、同一又は異なり、0~100の整数であり、好ましくは0~80の整数である。また同時に、m及びnは、20≦m+n≦100の条件を満たす整数とすることができ、下限値として30とすることができるが、本発明では、33≦m+n≦100の条件を満たす整数であり、33≦m+n≦80の条件を満たす整数とすることが好ましく、より好ましくは、35≦m+n≦80の条件を満たす整数である。m及びnの合計が20に満たない場合、消泡性が不十分であり、気泡安定性も低下する。合計が100を超えると高粘度のため製造が困難となり、また、混和剤との相溶性も不十分となる。
【0029】
また、優れた消泡性を得るためには、一般式(1)において、A1O及びA2Oの内、炭素数3及び/又は4のオキシアルキレン基が65モル%以上とすることができ、本発明では86モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。A1O及びA2Oの内、炭素数3及び/又は4のオキシアルキレン基が65モル%未満の場合は、水溶性が過剰に高まるため、十分な消泡性が得られず、気泡安定性も低下する。
【0030】
以上説明した一般式(1)で表される含窒素ポリオキシアルキレン化合物の具体例としては、デシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ウンデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ドデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、トリデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、テトラデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ペンタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘキサデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、2-ヘキシルデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘプタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、オクタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ノナデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、イコシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘンイコシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ドコシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、トリコシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、テトラコシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、デセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ウンデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ドデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、トリデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、テトラデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ペンタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘキサデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘプタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、オクタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ノナデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、イコセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘンイコセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ドコセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、トリコセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、テトラコセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、牛脂アミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、硬化牛脂アミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、テトラデシルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、ペンタデシルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、ヘキサデシルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、2-ヘキシルデシルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、ヘプタデシルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、オクタデシルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、テトラデセニルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、ペンタデセニルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、ヘキサデセニルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、ヘプタデセニルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、オクタデセニルアミン-ポリオキシプロピレン付加物、牛脂アミン-ポリオキシプロピレン付加物、硬化牛脂アミン-ポリオキシプロピレン付加物、テトラデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、ペンタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、ヘキサデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、2-ヘキシルデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、ヘプタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、オクタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、テトラデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、ペンタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、ヘキサデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、ヘプタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、オクタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、牛脂アミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物、硬化牛脂アミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン・(ポリ)オキシブチレン付加物等が挙げられる。なかでも、テトラデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ペンタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘキサデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、2-ヘキシルデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘプタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、オクタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、テトラデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ペンタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘキサデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、ヘプタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、オクタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、牛脂アミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物、硬化牛脂アミン-(ポリ)オキシエチレン・ポリオキシプロピレン付加物等が好ましい。
【0031】
一般式(1)で表される含窒素ポリオキシアルキレン化合物の製造方法は特に限定されない。例えば、特定のアルキルアミン又は特定のアルケニルアミンに特定のオキシアルキレンを付加させることにより一般式(1)で表される含窒素ポリオキシアルキレン化合物を製造する方法が挙げられる。
【0032】
ここで、オキシアルキレンを付加させる際には、触媒を用いることができ、触媒としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属やそれらの水酸化物、アルカリ金属水素化物、アルコラート等のアルカリ触媒やルイス酸触媒、複合金属触媒を用いることが可能であり、好ましくはアルカリ触媒を用いることができる。
【0033】
使用可能なアルカリ触媒としては、例えば、ナトリウム、カリウム、ナトリウムカリウムアマルガム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムハイドライド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムブトキシド等を挙げることができ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウムブトキシドである。
【0034】
使用可能なルイス酸触媒としては、例えば、四塩化錫、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジn-ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素酢酸錯体等の三フッ化ホウ素化合物等が挙げられる。
【0035】
これらの触媒は、付加反応後に中和し、除去することも可能であり、一方、そのまま含有したままにしても構わない。触媒を中和する場合は、周知の方法により行うことが可能である。
【0036】
本発明に係る水硬性組成物用消泡剤は、一般式(1)で表される含窒素ポリオキシアルキレン化合物のみからなるものであってもよく、本発明の効果を損なわないのであれば他の任意成分を含んでいてもよい。このような任意成分として酸化防止剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のその他の消泡剤および水、アルコール等の希釈剤等が挙げられる。
【0037】
本発明に係る水硬性組成物用消泡剤は、土木、建築、二次製品等の水硬性結合材を含有する水硬性組成物に使用されるものである。
【0038】
本発明に係る水硬性組成物用消泡剤は既存の混和剤と併用することができる。かかる混和剤としては、AE減水剤、高性能AE減水剤、AE剤、消泡剤、収縮低減剤、増粘剤、硬化促進剤等が挙げられる。
【0039】
本発明に係る水硬性組成物用消泡剤と併用する混和剤は、水硬性組成物用消泡剤との優れた相溶性を得る観点から、そのpHが8以下であるのが好ましく、7以下であるのがより好ましく、更に好ましくは6以下である。
【0040】
本発明に係る水硬性組成物用消泡剤の使用対象となる水硬性組成物の調製に用いる水硬性結合材としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントの他に、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメントが挙げられる。また、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフュームなどの各種混和材を単独で、又は先に示した各種セメントと併用してもよい。
【0041】
また水硬性組成物の調製に骨材を用いる場合の骨材としては細骨材や粗骨材が挙げられ、細骨材としては川砂、山砂、海砂、砕砂、スラグ細骨材等が挙げられ、粗骨材としては川砂利、砕石、軽量骨材、水砕スラグ、再生骨材等が挙げられる。これらは、単独、又は併用して用いてもよい。
【0042】
更に水硬性組成物の水結合材比は、特に限定されない。一般的に使用される水結合材比において、高い効果を発現する。
【0043】
本発明の水硬性組成物は、水硬性結合材100質量部当たり、本発明の水硬性組成物用消泡剤を0.0001~0.1質量部の割合で含有することが好ましい。このような割合で本発明の水硬性組成物用消泡剤を含有すると、高い消泡性や気泡安定性、併用する混和剤への高い相溶性を発揮することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、オキシアルキレン基の付加モル数は平均付加モル数を表し、また、特に断りのない限り、“部”は質量部、“%”は質量%を意味する。
【0045】
試験区分1(水硬性組成物用消泡剤の合成)
・水硬性組成物用消泡剤(A-1)の合成
オートクレーブにオクタデシルアミン1347.6部を仕込み、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。撹拌しながら150℃に維持してエチレンオキサイド660.8部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、同温度で0.5時間熟成した。80℃まで冷却した後、触媒として水酸化カリウム粉末12部を投入した後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。撹拌しながら150℃に維持してプロピレンオキサイド17430部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、同温度で1時間熟成し、反応を完結させた。触媒を除去し、オクタデシルアミン-ポリオキシエチレン(3モル)・ポリオキシプロピレン(60モル)付加物(A-1)を得た。
【0046】
・水硬性組成物用消泡剤(A-2)、(A-4)、(A-5)、(A-11)~(A-15)、(AR-1)、(AR-2)及び(AR-4)の合成
水硬性組成物用消泡剤(A-1)と同様に、(A-2)、(A-4)、(A-5)、(A-11)~(A-15)、(AR-1)、(AR-2)及び(AR-4)を合成した。
【0047】
・水硬性組成物用消泡剤(A-3)の合成
オートクレーブにヘキサデシルアミン1207.3部、触媒として水酸化カリウム粉末13.4部を仕込み、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。撹拌しながら100℃に維持してエチレンオキサイド440.5部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、温度を150℃まで昇温し、エチレンオキサイド881部を0.4MPaで反応しながら圧入した。その後、撹拌しながら同温度に維持してプロピレンオキサイド19754部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、同温度で1時間熟成し、反応を完結させた。触媒を除去し、ヘキサデシルアミン-ポリオキシエチレン(6モル)・ポリオキシプロピレン(68モル)付加物(A-3)を得た。
【0048】
・水硬性組成物用消泡剤(A-6)の合成
オートクレーブに牛脂アミン(アミン価216.3mg/g)1296.8部を仕込み、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。撹拌しながら150℃に維持してプロピレンオキサイド1162部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、同温度で1時間熟成した。80℃まで冷却した後、触媒として水酸化カリウム粉末8.2部を投入した後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。撹拌しながら150℃に維持してプロピレンオキサイド9296部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、同温度で1時間熟成し、反応を完結させた。触媒を除去し、牛脂アミン-ポリオキシプロピレン(36モル)付加物(A-6)を得た。
【0049】
・水硬性組成物用消泡剤(A-7)の合成
ガラス製の反応容器に、メトキシポリエチレン(2モル)・ポリオキシプロピレン(25モル)付加物を3140部、トリエチルアミン2024部を加え、0℃に冷却し、反応容器内を十分に窒素で置換した。撹拌しながらメシルクロライド252部を滴下した後、20℃まで昇温し、2時間撹拌した。続いて反応系を0℃まで冷却し、オクタデシルアミン270部をエタノール630部に溶解した溶液を徐々に滴下し、滴下終了後、40℃まで昇温し、2時間熟成し、精製し、オクタデシルアミン-メトキシポリオキシエチレン(4モル)・ポリオキシプロピレン(50モル)付加物(A-7)を得た。
【0050】
・水硬性組成物用消泡剤(A-8)の合成
オートクレーブにヘプタデシルアミン1207.3部を仕込み、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。撹拌しながら150℃に維持してエチレンオキサイド440.5部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、同温度で0.5時間熟成した。80℃まで冷却した後、触媒として水酸化カリウム粉末8.3部を投入した後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。撹拌しながら100℃に維持してエチレンオキサイド881部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、温度を150℃まで昇温し、プロピレンオキサイド11329.5部を0.4MPaで反応しながら圧入した。同温度で1時間熟成し、反応を完結させた。触媒を除去し、ヘプタデシルアミン-ポリオキシエチレン(6モル)・ポリオキシプロピレン(39モル)付加物(A-8)を得た。
【0051】
・水硬性組成物用消泡剤(A-9)、(A-10)、(A-16)、(A-17)、(AR-3)及び(AR-5)の合成
水硬性組成物用消泡剤(A-7)と同様に、(A-9)、(A-10)、(A-16)、(A-17)、(AR-3)及び(AR-5)を合成した。
【0052】
・水硬性組成物用消泡剤(AR-6)の合成
オートクレーブにオクタデシルアルコール1352.5部、触媒として水酸化カリウム粉末8.3部を仕込み、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。撹拌しながら100℃に維持してエチレンオキサイド881部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、温度を150℃まで昇温し、プロピレンオキサイド11620部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、同温度で1時間熟成し、反応を完結させた。触媒を除去し、オクタデシルアルコール-ポリオキシエチレン(4モル)・ポリオキシプロピレン(40モル)付加物(AR-6)を得た。AR-6は、比較例として使用される水硬性組成物用消泡剤であった。
【0053】
・水硬性組成物用消泡剤(AR-7)の合成
水硬性組成物用消泡剤(AR-6)と同様に、水硬性組成物用消泡剤(AR-7)を合成した。AR-7は、比較例として使用される水硬性組成物用消泡剤であった。
【0054】
・水硬性組成物用消泡剤(AR-8)の合成
オートクレーブにトリエチレングリコール750.9部、触媒として水酸化カリウム粉末4.7部を仕込み、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。撹拌しながら150℃に維持してプロピレンオキサイド8715部を0.4MPaで反応しながら圧入した後、同温度で1時間熟成し、反応を完結させた。触媒を除去し、ポリオキシエチレン(3モル)・ポリオキシプロピレン(30モル)縮合物(AR-8)を得た。AR-8は、比較例として使用される水硬性組成物用消泡剤であった。
【0055】
以上で合成した水硬性組成物用消泡剤(A-1)~(A-17)と比較例として使用される水硬性組成物用消泡剤(AR-1)~(AR-8)の内容を表1にまとめて示した。
【0056】
【0057】
表1において、
AR-6:オクタデシルアルコール-ポリオキシエチレン(4モル)・ポリオキシプロピレン(40モル)付加物
AR-7:ドデシルアルコール-ポリオキシエチレン(3モル)・ポリオキシプロピレン(60モル)付加物
AR-8:ポリオキシエチレン(3モル)・ポリオキシプロピレン(30モル)縮合物
【0058】
R1について、
C8:オクチル基
C12:ドデシル基
C14*:テトラデセニル基
C15:ペンタデシル基
C16:ヘキサデシル基
C16分岐:2-ヘキシルデシル基
C17:ヘプタデシル基
C18:オクタデシル基
C18*:オクタデセニル基
C20:イコシル基
C25*:ペンタコセニル基
【0059】
試験区分2(混和剤としてのポリカルボン酸系減水剤の合成)
・ポリカルボン酸系減水剤(B-1)の合成
イオン交換水、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(45モル)オキシエチレンを反応容器に仕込み、雰囲気を窒素置換し、撹拌しながら徐々に加温した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、温度を安定させた。その後、アクリル酸を3時間かけて滴下した。同時に、チオグリコール酸、L-アスコルビン酸を水に溶解させた水溶液及び5%過酸化水素水をそれぞれ3時間かけて滴下し、ラジカル重合反応を開始した。滴下終了から1時間経過後、得られた共重合体に水及び30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、固形分濃度25%であるポリカルボン酸系減水剤(B-1)を得た。このポリカルボン酸系減水剤を分析したところ、質量平均分子量42000、pH3.6であった。なお、共重合体の質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定した。
【0060】
・ポリカルボン酸系減水剤(B-2)及び(B-3)の調整
ポリカルボン酸系減水剤(B-1)に30%水酸化ナトリウム水溶液と水を加え、25%水溶液である(B-2)及び(B-3)を得た。pHを測定したところ、(B-2)6.8、(B-3)8.9であった。
【0061】
[質量平均分子量測定条件 GPC法]
装置:Shodex GPC-101(昭和電工製)
カラム:OHpak SB-G+SB-806M HQ+SB-806M HQ(昭和電工製)
検出器:示差屈折計(RI)
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流量:0.7mL/分
カラム温度:40℃
試料濃度:試料濃度0.5質量%の溶離液溶液
標準物質:PEG/PEO(アジレント製)
【0062】
[pHの測定条件]
ポリカルボン酸系減水剤1gにイオン交換水を加え100gとし、20℃にてpHメーター(HORIBA製)で測定した。
【0063】
使用した混和剤の内容を表2に示した。
【0064】
【0065】
表2において、
B-4:ポリカルボン酸系化合物(竹本油脂製のコンクリート用高性能AE減水剤、商品名チューポールHP-11)
B-5:変性リグニンスルホン酸化合物とポリカルボン酸系化合物の複合体(竹本油脂製のコンクリート用AE減水剤、商品名チューポールEX60)
【0066】
試験区分3(評価用混和剤組成物の調製)
表1に示す水硬性組成物用消泡剤(A-1)~(A-17)及び(AR-1)~(AR-8)と、表2に示す混和剤(B-1)~(B-5)を混合撹拌し、評価用混和剤組成物(合計125サンプル)を調製した。なお、混合割合は混和剤(B-1)~(B-4)では混和剤99.5質量%、水硬性組成物用消泡剤0.5質量%とし、混和剤(B-5)では混和剤99.7質量%、水硬性組成物用消泡剤0.3質量%とした。
【0067】
試験区分4(コンクリート組成物の調製)
・実施例1~8、11、13、15~17、参考例9、10、12、14及び比較例1~9
容量60リットルの強制二軸ミキサーを用い、表3に記載の内容で、90秒間練混ぜを行い、各例のコンクリート組成物を調製した。調製したコンクリート組成物の温度は20±3℃であった。なお、水硬性組成物用消泡剤を含有しない比較例1に示すコンクリート組成物について、空気量調整剤としてAE-300(竹本油脂製の商品名)を使用し、空気量を7.0±1.0%、JIS A 1150に準拠して測定したスランプを15±2.5cmに調整し、各例のコンクリート組成物について、混和剤および試験区分3で調製した混和剤組成物の使用量は一定とした。
【0068】
【0069】
表3において、
結合材:普通ポルトランドセメント(密度=3.16g/cm3)
細骨材:大井川水系産陸砂(表乾密度=2.57g/cm3)
粗骨材:岡崎産砕石(表乾密度=2.66g/cm3)
【0070】
試験区分5(コンクリート組成物の試験及び水硬性組成物用消泡剤の評価)
調製した各例のコンクリート組成物について、空気量を下記のように測定し、水硬性組成物用消泡剤の混和剤に対する相溶性、消泡性、気泡安定性を下記のように評価し、結果を表4にまとめて示した。
【0071】
・空気量(容積%):練混ぜ直後のコンクリート組成物について、JIS A 1128に準拠して測定した。
【0072】
・混和剤に対する相溶性:調製直後のコンクリート組成物について、水硬性組成物用消泡剤を混合直後の混和剤組成物を用いて測定した空気量I(容積%)と、40℃で1週間静置した混和剤組成物の上部50質量%を除去した下部50質量%を用いて測定した空気量II(容積%)を比較して、混和剤に対する相溶性を次の基準で評価した。
S:非常に良好(空気量IIから空気量Iを減じた値が±0.5未満)
A:良好(空気量IIから空気量Iを減じた値が0.5以上1.0未満)
B:可(空気量IIから空気量Iを減じた値が1.0以上2.0未満)
C:悪い(空気量IIから空気量Iを減じた値が2.0以上)
・消泡性:調製直後のコンクリート組成物について、水硬性組成物用消泡剤を含まない混和剤を用いて測定した空気量III(容積%、比較例1)と混合直後の混和剤組成物を用いて測定した空気量I(容積%)を比較して、消泡性を次の基準で評価した。
S:非常に良好(空気量IIIから空気量Iを減じた値が4.0以上)
A:良好(空気量IIIから空気量Iを減じた値が3.0以上4.0未満)
B:可(空気量IIIから空気量Iを減じた値が2.0以上3.0未満)
C:悪い(空気量IIIから空気量Iを減じた値が2.0未満)
・気泡安定性:水硬性組成物用消泡剤を混合直後の混和剤組成物を用いて調製したコンクリート組成物について、目視で気泡の状態を観察し、気泡安定性を次の基準で評価した。
S:非常に良好(表面気泡の破泡がほどんど確認されない)
A:良好(表面気泡の破泡がごくわずかに確認される)
B:可(表面気泡の破泡がわずかに確認される)
C:悪い(表面気泡の破泡が多く確認される)
【0073】
【0074】
表4において、
AR-6:オクタデシルアルコール-ポリオキシエチレン(4モル)・ポリオキシプロピレン(40モル)付加物
AR-7:ドデシルアルコール-ポリオキシエチレン(3モル)・ポリオキシプロピレン(60モル)付加物
AR-8:ポリオキシエチレン(3モル)・ポリオキシプロピレン(30モル)縮合物
【0075】
(結果)
表4に示される結果から明らかなように、本発明によると、混和剤との相溶性が高く、優れた消泡性及び気泡安定性に優れる水硬性組成物用消泡剤を提供できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の水硬性組成物用混和剤は、水硬性組成物を調製する際の消泡剤として利用することができる。