(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】細胞およびその他の生物学的材料の急速な冷却および加温のためのシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/26 20060101AFI20221212BHJP
C12N 5/073 20100101ALN20221212BHJP
【FI】
C12M1/26
C12N5/073
(21)【出願番号】P 2021516534
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 US2019033466
(87)【国際公開番号】W WO2019226738
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-11-30
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520455092
【氏名又は名称】マイテジェン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MITEGEN, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ソーン,ロバート イー
(72)【発明者】
【氏名】クロス,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アプカー,ベンジャミン
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/016886(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0162653(US,A1)
【文献】国際公開第2011/070973(WO,A1)
【文献】特開2015-142523(JP,A)
【文献】特表2011-511623(JP,A)
【文献】特開2018-57336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12N 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的サンプルを極低温冷却するためのシステムであって、
第1の量の極低温液体を保持する第1のチャンバ;
前記第1のチャンバと熱接触して配置され、中に配置される取り外し可能な容器を保持する容器ホルダであって、前記
取り外し可能な容器は第2の量の極低温液体を保持して第2のチャンバを形成する、容器ホルダ;
中空の細長いチューブを前記
取り外し可能な容器内に保持する細長いチューブホルダ;および
前記
中空の細長いチューブが第2の量の極低温液体を含む前記
取り外し可能な容器内にある間に、生物学的サンプルを含むサンプルホルダを保持して前記
中空の細長いチューブ内に移すサンプルワンド;
を備えたシステム。
【請求項2】
前記サンプルホルダが、
第1の直径を有する遠位端と、
前記遠位端
の第1の直径よりも大きい
第2の直径を有する近位端とを有する細長いサンプルホルダである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記細長いサンプルホルダの近位端が、その上に配置されて前記サンプルワンドによって磁気的に保持されるように構成された磁石または磁気部分を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記細長いサンプルホルダの遠位端が、その上に配置されたマイクロパターンフィルムを含み、該マイクロパターンフィルムは生物学的サンプルを保持するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記マイクロパターンフィルムが約5~25μmの厚さであり、幅、長さおよび/または直径が
約1~3mmである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記細長いサンプルホルダの近位端が、該近位端の外面から半径方向に延びる複数の
フィンを含み、該
フィンは、前記細長いサンプルホルダが前記細長いチューブ内に配置されたときに前記細長いチューブの内面に接触するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記細長いチューブの遠位端が角度付き遠位面を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記極低温液体が液体窒素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記容器ホルダが前記第1のチャンバ内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記細長いチューブホルダが、前記細長いチューブを把持しかつその中に配置されるサンプルホルダの実質的な長さに匹敵する長さに延在するように構成された細長い半円筒形のジョーを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記細長い半円筒形のジョーがステンレス鋼で構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のチャンバの上に配置された第3のチャンバをさらに備え、該第3のチャンバは極低温液体を含み、少なくとも1つの導管を介してその極低温液体を前記第1のチャンバと前記
取り外し可能な容器とに送達するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記容器ホルダの底側壁部分と前記第1のチャンバの内底面とによって形成される第4のチャンバをさらに備え、該第4のチャンバは、前記
取り外し可能な容器から排出される第2の量の極低温液体を受け入れるように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記
取り外し可能な容器が、該容器が前記容器ホルダ内に配置されたときにその底面から延びる部材をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第4のチャンバが、前記第2の量の極低温液体を前記
取り外し可能な容器から前記第4のチャンバに排出させるために、前記取り外し可能な容器の部材を切断するかまたは前記
取り外し可能な容器の底面に穴を開けるように構成されたカッターをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記細長いチューブホルダが、第1の垂直並進機構を介して第1の垂直面に沿って垂直に移送されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記サンプルワンドが、第2の垂直並進機構を介して前記第1の垂直面に沿って垂直に移送されるように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
取り外し可能な容器内の極低温液体の上の低温ガス層を除去するように構成されたガス処理マニホールドをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記容器ホルダの上に配置され、前記チューブの近位端と遠位端のうち少なくとも1つをシールするように構成された、格納式ジョーを含む超音波シーラーまたは熱シーラーをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のチャンバが、その上端部に1つまたは複数のドレーンを備え、そのドレーンを通って、前記容器からオーバーフローした第2の量の極低温液体が前記第1のチャンバに流入する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記細長いチューブホルダが、前記細長いチューブを前記容器内に搬入し、かつその中にサンプルホルダを含む前記細長いチューブを前記容器から搬出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2018年5月22日に出願され、「細胞およびその他の生物学的材料の急速な冷却および加温のためのシステム」と題された米国仮特許出願第62/674971号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
1.本発明の分野
本発明は、バイオテクノロジーの分野に関する。より具体的には、本発明は、小さな生物学的サンプルの急速な冷却および加温のためのシステムの設計に関する。これには、ヒトおよび他の動物の生殖補助医療における卵(または卵子)、胚、胚盤胞、および精子の急速な冷却および加温が含まれる。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
生殖補助医療におけるサンプルの冷却および解凍
卵、胚、胚盤胞、および精子は日常的に凍結され、極低温で保存された後、生殖補助医療で使用するために解凍される。約10年前まで、これらのサンプルは凍結保護剤/ガラス化溶液に浸され、中間温度(たとえば、-40℃)までゆっくりと(20分から2時間かけて)冷却され、その後に長期保存のために液体窒素に入れられた。ゆっくりとした冷却ステップの間に、氷が細胞の外側で核形成し、この氷の成長が細胞から水を引き出し、細胞内のタンパク質や他の溶質の濃度を高める。冷却と水の除去が続くと、最終的に細胞内の溶媒がガラス化した。サンプルを温めるために、サンプルは温かい水溶液中に置かれた。多くの細胞を含む胚および胚盤胞は高い生存率で凍結およびその後に解凍することができたが、個々の卵はできなかった。
【0004】
現在の慣行では、ほとんどの卵および胚は、いわゆるガラス化または急速冷却法を使用して冷却される。これらの方法では、サンプルをプラスチックホルダに置き、このホルダを液体窒素に直接浸漬するか、あるいは液体窒素に囲まれた冷たい「ストロー」に突っ込む。前者の場合、サンプルは液体窒素に直接接触し、異なるサンプルが同じ液体窒素に接触するため、汚染やサンプルの取り違えの可能性がある。この「オープンシステム」アプローチは、広く実践されてはいるが、他のサンプルと接触する材料から各サンプルが完全に分離されて相互汚染の可能性を排除する「クローズドシステム」アプローチよりも望ましくない。これらの「ガラス化」アプローチの使用は、個々の卵の生存率を劇的に向上させ、容易な卵子提供および信頼性の高い卵子バンキング;遺伝子検査、超低温保存(cryostorage)、および後の生殖周期での受精と着床、さらには出産を遅らせることが通常引き起こす卵質の低下のリスクの上昇や生殖成功の可能性の低下をもたらすことなく出産を遅らせたい女性のための生殖休止を可能にした。
【0005】
ヒトの卵および胚の典型的なサイズは100マイクロメートルである。オープンシステム(サンプルが液体窒素に直接浸される)で報告されている現在の冷却速度は、500K/sの範囲である。クローズドシステム(サンプルが、液体窒素と接触するストローまたは他の容器に入れられる)の場合、報告されている最大速度は約20K/sである。これは、たとえば100マイクロメートルサイズのサンプルの低温結晶構造解析(cryocrystallography)における約20,000K/sの現在の最善の実践手法を使用して達成される冷却速度と比較することができる。
【0006】
解凍の場合、凍結したサンプルを室温で溶液のウェルに直接浸漬するため、冷却がオープン状態で行われたかクローズド状態で行われたかに関係なく、サンプル(卵、胚など)を溶液と直接接触させる。サンプルごとに異なるウェルと溶液を使用することにより、相互汚染を防ぐ。
【0007】
冷却および加温により生じるサンプルの損傷
冷却中、サンプルはいくつかのメカニズムによって損傷を受ける可能性がある。第一に、氷は細胞内で核形成して成長する可能性がある。この氷は細胞膜に穴を開け、細胞の内部組織を破壊する可能性がある。第二に、すべての溶質は成長する氷の結晶から排除されるため、残りの溶液中に濃縮される。これはタンパク質凝集をもたらす可能性がある。第三に、細胞内の溶液は他の細胞成分よりも膨張または収縮し、機械的応力により細胞損傷を引き起こす可能性がある。第四に、タンパク質は、折りたたみ(フォールディング)を駆動する疎水性相互作用ならびにpH、pKa、および他の物理化学的特性の温度依存性のせいで、冷却されるとその立体構造を変化させ、また折りたたまれていない(アンフォールディング)状態になることがよくある(低温変性と呼ばれるプロセス)。それらの溶解度も温度依存性である。その結果、タンパク質が凝集し、冷却中に不可逆的な他の生体分子の変化が生じる可能性がある。
【0008】
氷の形成を減らすために凍結保護剤(cryoprotectant)が添加される。現在のARTの慣行で使用される冷却速度では、氷の形成を防ぐために高濃度(40%w/v程度)の凍結保護剤が必要であり、これらは市販のガラス化溶液に含まれている。浸透圧ショックによる細胞の損傷を防ぐために、細胞は、凍結保護剤の濃度を上げながら一連の溶液に浸す必要があり、これは遅い時間のかかるプロセスである。さらに、凍結保護剤の濃度が高いため、ガラス化溶液は、室温から77Kに冷却するとかなり収縮し(おそらく5%)、機械的応力を引き起こす可能性がある。
【0009】
理想的には、サンプルの冷却は、サンプルの内側および外側の溶媒をガラス化したまたはガラス状のまたはアモルファスの状態のままにする。サンプルの加温または解凍中に、ガラス化した溶媒は、溶媒のガラス転移温度(通常は140~180K)より高い温度でいくらかの分子運動性を持つようになる。その後、氷は核形成して成長し、溶媒分子がますます運動性の高いものとなるため温度とともに成長速度が高まる。その結果、273K付近で溶解する前に、加温中に氷が急速に形成されるため、サンプルは加温中に「白く光る(flash white)」ことがよく観察される。加温中に著しい(たとえば5%の)氷分率(ice fraction)が形成されるのを防ぐために必要な加温速度は、一般に冷却中に著しい氷の形成を防ぐために必要な冷却速度よりもはるかに(おそらく2桁)大きい。その結果、冷却速度ではなく加温速度がサンプルの品質および卵/胚の生存に大きな負の影響を与えるという証拠がある。しかしながら、実験では、加温中の氷の形成の程度、および氷の形成を最小限に抑えるために必要な加温速度は、サンプルが低温に冷却された速度に強く依存することも示されている。これは、冷却時に多数の小さな氷晶核が生成されるためと考えられるが、温度が下がると成長速度が急速に低下するため、冷却時にはこれらの氷晶核は目に見えるほどのサイズに成長することはできない。しかし、加温時には、これらの氷晶核は温度が上昇するにつれて急速に成長し、冷却時に発生するよりもはるかに大きな氷分率を生成する。
【0010】
これらの検討事項はすべて、細胞の凍結保存および回復中の氷の形成、タンパク質の立体構造の変化および凝集、ならびに細胞の損傷を最小限に抑えるために、可能な限り速い絶対速度で冷却および加温を行うことを論じる。
【0011】
生殖補助医療で使用されている現在の凍結保存ツールおよびプロトコルの批評
生殖補助医療で使用されている現在の凍結保存ツールおよび方法は、冷却速度と加温速度を最大化すること、および氷の形成やその他の形態の損傷を防ぐことがうまくできていない。現在のツールの一例はRapid-Iシステムである。最初に、凍結保護剤の濃度を高い値に上げるために一連の溶液にサンプルを浸す。次に、0.5~1mmの厚さのプラスチック片の上に、またはこの厚さのプラスチック片の穴に、通常は卵または胚の体積の何倍もの量の液体とともに、サンプルを堆積させる。卵および胚と一緒に冷却されるべき液体およびサンプルホルダの総質量は大きい。次に、サンプルを予冷したストローに突っ込み、わずか20K/s(1200K/分)の冷却速度を与える。次に、ストローの上端部をシールし、ストローを液体窒素で保管するために保存用ケーンに移す。
【0012】
加温のために、まずサンプルを保存用ケーンから液体窒素デュワーに移す。ストローの上端部を切り開き、ピンセットを使用してストローからサンプルを取り出し、手でサンプルをつかむ。次に、サンプルを、液体窒素デュワーから顕微鏡下のマルチウェルプレート内の溶液含有ウェルまで通常1メートルの距離を手で移動させる。この場合も、サンプルホルダおよび周囲の液体の大きな熱質量により、細胞の加温速度が制限される。さらに、室温の空気を通って液体窒素デュワーからマルチウェルプレートまで移動する間に、サンプル表面に霜が形成される可能性があり、これはサンプルが温まるときにサンプル内で氷の核を形成ことができ、また液体に浸されるときに生じるよりもはるかに遅い速度でサンプルが温まる可能性があり、それは過剰な氷の形成や細胞の損傷を促進する可能性がある。
【0013】
したがって、上記の関連する課題/問題を克服する、小さな生物学的サンプルを冷却および解凍するためのシステムおよび関連する方法が必要とされている。
【0014】
関連技術の説明の欄のディスクレーマー:特定の特許/出版物/製品が上記の関連技術の説明の欄または本開示の他の場所で議論されている範囲において、これらの議論は、議論される特許/出版物/製品が特許法の目的のための先行技術であることの承認として解釈されるべきではない。例えば、議論される特許/出版物/製品の一部またはすべては、十分に早い時期ではない可能性があり、十分に早い時期に開発された主題を反映していない可能性があり、および/または特許法の目的での先行技術に相当するほど十分に有効になっていない可能性がある。特定の特許/刊行物/製品が上記の関連技術の説明の欄および/または出願全体で議論されている範囲において、その説明/開示はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態は、小さな生物学的サンプルを冷却および解凍するためのシステムの設計、機能および使用に関する。ここでの「小さな」とは、10マイクロリットル(μl)未満、一般的には1マイクロリットル(1μl)未満の容量を意味する。最大100個の細胞を有する卵、胚、および胚盤胞が主要な標的であるが、幹細胞、精子細胞、および適切に少量の他の多くの種類の細胞が、開示される本発明の実施形態を使用する凍結保存から恩恵を受けることができる。
【0016】
本発明の実施形態は、各サンプルを冷却するために使用される材料がそのサンプルにのみ使用され、そのサンプルとのみ接触することができる「クローズドシステム」冷却に焦点を合わせているが、冷却および加温装置はオープンシステム構成でも使用できる。本発明の実施形態は、可能な限り最速の冷却および加温速度を実現すること、ならびに事前の冷却または解凍の機会および結果として生じるサンプル損傷を最小化することに焦点を合わせている。凍結保存性能の改善の達成における特定の重要な原理には次のものが含まれるが、これらに限定されない:
【0017】
-サンプル+周囲の液体+サンプルと接触しているサンプルホルダの熱質量を最小化し、サンプルと液体窒素との直接接触を最大化する;
【0018】
-脱水によるサンプルの損傷を防ぐために、冷却前の取り扱い中に加湿環境を提供する;
【0019】
-液体窒素との直接接触によりサンプルを冷却し、各サンプルの冷却に使用した液体窒素および容器を廃棄し、次のサンプルに新しい液体窒素および新しい容器を使用する;
【0020】
-サンプルが冷却されてキャピラリ内に密封された後にサンプルの詳細な検査を可能にするために、優れた光学的透明性および場合によってはUV透過性も提供するポリマーの厚さおよび材料を使用して、サンプルをポリマーキャピラリ内に封入する;
【0021】
-サンプルを高速(2m/sのオーダー)で浸漬し、浸漬の直前に液体窒素の上に発生する低温ガス層を除去して、可能な限り最速の熱伝達と冷却速度を実現する。低温ガス(cold gas)は、浸漬中にサンプルを予冷し、全体的な冷却速度を低下させる可能性がある。低温ガス層を除去することにより、50,000K/sを超える液体窒素での50マイクロメートルの熱電対の冷却速度(液体窒素でこれまでに得られた最大の冷却速度である)が報告されている。これら速い冷却速度は、氷の形成を劇的に減らし、タンパク質および他の生体分子をそれらの室温での立体構造に速度論的にトラップするのにより効果的であり、またタンパク質凝集を減らす;
【0022】
-移送中にサンプルをほぼ一定の温度に維持するために、大きな熱質量でサンプルを取り囲む「トング」を使用して、低温/極低温のまたは暖かい液体へのすべての移送中にサンプルを保護する;
【0023】
-サンプルの動作および取り扱いを可能な限り自動化して、冷却速度および加温速度を最大化し、サンプルスループットを最大化し、オペレータのエラーやサンプルの損傷またはラベルの誤りの機会を最小限にする;および
【0024】
-使用するガラス化溶液中の凍結保護剤の濃度を下げる。これは、はるかに大きな冷却速度および加温速度であるため実現可能であり、そのような大きな速度では、氷の形成を防ぐのにより低い濃度の凍結保護剤で十分である。これは、サンプルを最終濃度に浸すのに必要な時間を短縮するはずであり、また冷却時の溶液の熱収縮を減らすはずであり、それによってサンプルへの機械的損傷が低減されるため、望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1Aは、一実施形態によるサンプルホルダの概略図である。
図1Bは、代替の実施形態によるサンプルホルダの概略図である。
【
図2】
図2Aは、一実施形態による、
図1Aおよび1Bのサンプルホルダを封入するために使用されるストロー/キャピラリの概略図である。チューブの下端部は、図示されるように角度付きカット(angled cut)を有する。
図2Bは、一実施形態による、液体窒素を保持するために使用される、任意的なニップルまたは延長部を備えた使い捨てカップの概略図である。
【
図3】
図3Aは、一実施形態による、
図2Aのストロー/キャピラリチューブを保持するためおよびストローおよびサンプルの内部を低温に保つために使用されるストローホルダの概略図である。
図3Bは、一実施形態による、
図3Aに示されるストローホルダの別の概略図である。
【
図4】一実施形態によるサンプル極低温冷却(cryocooling)システムである。
【
図5】
図5A~Dは、一実施形態による、サンプルを極低温冷却する際の一連のステップの概略図である。
図5Aは、一実施形態による、デュワーの上に位置する別のタンクからの液体窒素で満たされたカップデュワーの概略図である。
図5Bは、一実施形態による、垂直並進ステージ(vertical translation stage)に取り付けられた空のストローおよびストローホルダの概略図である。使い捨てカップがカップホルダ内に置かれて示されている。
図5Cは、一実施形態による、カップおよびカップホルダ内へと下に移動させたストローおよびストローホルダの概略図である。
図5Dは、一実施形態による、液体窒素で満たされたカップの概略図である。好ましい実施形態では、液体窒素は無菌でなければならない。
【
図6】
図6A~Dは、一実施形態による、サンプルを極低温冷却する際の一連のステップ(続き)の概略図である。
図6Aは、一実施形態による、第2の垂直並進ステージに取り付けられたワンドに取り付けられたサンプルホルダの概略図である。
図6Bは、一実施形態による、カップ内の液体窒素の上の低温ガスが除去されていることを示す概略図である。
図6Cは、一実施形態による、液体窒素に浸漬した(plunged into)サンプルを示す概略図である。
図6Dは、一実施形態による、ストローの端部から離れてストロー内に完全に封入されるように平行移動させているサンプルホルダの概略図である。
【
図7】
図7A~Cは、一実施形態による、サンプルを極低温冷却する際の一連のステップ(続き)の概略図である。
図7Aは、一実施形態による、所定の位置に移動させた超音波シーラーのジョーの概略図であり、ストローの上端がジョー内にくるように、ストローホルダ、ストローおよびサンプルを上に平行移動させる。
図7Bは、一実施形態による、ストローの上端がシールされた後、ストローの下端部が液体窒素表面に出るまで、ストローホルダ、ストローおよびサンプルを上に平行移動させることを示す概略図である。
図7Cは、一実施形態による、ストローが液体窒素表面に出るときのガス流の詳細を示す概略図である。
【
図8】
図8A~Cは、一実施形態による、サンプルを極低温冷却する際の一連のステップ(続き)の概略図である。
図8Aは、一実施形態による、すべての液体窒素が排出された後にシールされるストローの下端の概略図である。
図8Bは、一実施形態による、超音波シーラージョーが引っ込んでストローを解放することを示す概略図である。
図8Cは、一実施形態による、冷却器から取り外されたサンプルホルダ、ストローおよびストローホルダを示す概略図であり、サンプルホルダおよびストローは貯蔵容器内の液体窒素に直ちに沈められる。
【
図9】
図9A~Bは、一実施形態による、サンプルを極低温冷却する際の一連のステップ(続き)の概略図である。
図9Aは、一実施形態による、カッターが使い捨て液体窒素カップの底のニップルを切断することを示す概略図である。
図9Bは、一実施形態による、液体窒素がカップから別個のチャンバに流出することを示す概略図であり、そのチャンバから液体窒素が蒸発し、大気に放出される。
【
図10】冷却装置の代替の実施形態を示す概略図であり、ストローはストローホルダに保持され、ストローホルダは手動でカップに挿入されまたカップから取り外される。
【
図11】
図11A~Cは、一実施形態による、極低温冷却されたサンプルの加温の概略図である。
図11Aは、一実施形態による、液体窒素中に貯蔵されているストロー内のサンプルを示す概略図である。
図11Bは、ストローホルダに保持されたストローおよびサンプルを示す概略図である。一実施形態により、ストローホルダジョーは、液体窒素中で冷却され、その後にストローおよびサンプルをつかんでそれを加温装置に移すために使用される。
図11Cは、本発明の1つのバージョンによる加温装置を示す概略図である。一実施形態により、サンプルおよびストローは低温ストローホルダジョーによって把持され、ストローホルダは断熱された並進ステージに取り付けられる。
【
図12】
図12A~Cは、一実施形態による、サンプルを加温する際の一連のステップの概略図である。
図12Aは、一実施形態による、カッターがストローの両端を切断することを示す概略図である。
図12Bは、一実施形態による、切断ブレードが引っ込み、ストローの両端が脱落することを示す概略図である。
図12Cは、一実施形態による、ストローホルダ、ストローおよびサンプルを、サンプル加温溶液を含むウェルの上の位置に、第2の並進ステージに保持されるサンプルワンドと一直線になるように、移動させることを示す概略図である。
【
図13】
図13A~Cは、一実施形態による、サンプルを加温する際の一連のステップ(続き)を示す概略図である。
図13Aは、一実施形態による、サンプルワンドがサンプルホルダに接触するまで平行移動することを示す概略図である。
図13Bは、一実施形態による、サンプルワンドがサンプルを加温液体中に迅速に移動させることを示す概略図である。
図13Cは、一実施形態による、加温液体中のサンプルを示す詳細の概略図である。
【
図14】
図14A~Bは、一実施形態による、サンプルを加温する際の一連のステップ(続き)を示す概略図である。
図14Aは、一実施形態による、ストローから引っ込めた(撤退させた)サンプルワンドを示す概略図である。
図14Bは、一実施形態による、ストローホルダ並進ステージがストローホルダをロード位置に戻していることを示す概略図である。
【
図15】一実施形態による、代替の冷却装置設計を示す概略図である。サンプルキャピラリはニップル上に配置され、そこから液体窒素が流れる。
【
図16】一実施形態による、
図1と同様の代替の冷却装置設計を示す概略図である。液体窒素がチューブを通って流れ、サンプルをそのチューブに直接突っ込むことでサンプルが冷却される。
【
図17】、一実施形態による、
図15および16の代替冷却装置を示す概略図である。サンプル冷却後、ストローおよびサンプルホルダがニップルから持ち上げられ、液体窒素がチューブから流出し、液体窒素の上の低温ガスがチューブに流入する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付の図面に示されている非限定的な例を参照して、本発明の態様および特定の特徴、利点、およびその詳細を以下でより完全に説明する。本発明を不必要に詳細に曖昧にしないために、周知の構造の説明は省略されている。しかしながら、詳細な説明および特定の非限定的な例は、本発明の態様を示すが、例示としてのみ与えられており、限定するものではないことを理解されたい。基礎となる本発明の概念の精神および/または範囲内の様々な置換、修正、追加、および/またはアレンジメントは、本開示から当業者に明らかであろう。
【0027】
本発明の実施形態は、極低温結晶構造解析(cryocrystallography)用の極低温冷却システムの設計および構築における本発明者の広範な経験および専門知識に基づく。これらのシステムは、液体窒素への自動サンプル浸漬、低温ガスの除去、ならびに後の保管および使用のための多検体カルーセル(carousel)または「トレイ(puck)」への冷却後サンプルの自動配置を含む。これらのシステムは、わずかな変更を加えてARTサンプルの「オープンシステム」冷却に使用できる(本質的に、ARTサンプルホルダを受け入れるようにサンプル並進ステージを変更し、さらにそれらのサンプルを受け入れるようにサンプルカルーセルを変更する)。本発明の実施形態は、クローズドシステムによって課される特定の課題に焦点を合わせている。クローズドシステムでは、サンプルの相互汚染の可能性をすべて排除することが望ましい/理想的である。これは、現在の商用システムでは、下部を液体窒素に浸して上端を開いた状態で乾燥ストローを冷却し、その冷たい乾燥ストローにサンプルおよびホルダを挿入し、その後でストローをシールすることによって達成される。加温するとき、ストローを開き、サンプルホルダおよびサンプルを取り外し、各サンプルを個別の加温溶液を含む個別のウェルに置く。
【0028】
本発明の実施形態は、クローズドシステムに対して異なるアプローチをとる。サンプルはそれぞれ、個別の使い捨てカップに含まれる液体窒素で冷却される。冷却後、サンプルは保管のためにストローまたはキャピラリチューブに封入される。カップおよびカップ内の液体窒素は、1つのサンプルのみを冷却するために使用され、相互汚染の可能性を排除する。
【0029】
図1A~Bは、冷却されるサンプル(卵、胚など)を受け入れるホルダ10の例を示す。ホルダ10は、その遠位端の近くにサンプル受容領域3を備えた細いが剛性のロッド2からなり、これは、キャピラリまたはストロー(
図2Aを参照)の直径よりも幾分か小さい直径を有する円筒部分6に取り付けられている。ロッド2は平たくてもよく、射出成形プラスチックであってよい。サンプルは、ロッド2の残りの部分と共に射出成形される薄い窓またはメッシュ上に支持され得る。ただし、サンプルと接触する熱質量を最小限に抑え、ロッド2の残りの部分からの熱伝導を最小限に抑え、さらにサンプルへの液体窒素のアクセスを最大化するために、支持面が可能な限り薄く、かつそのサイズが冷却されるサンプルよりも少なくとも数倍大きい場合に、最速の冷却および加温を実現することができる。これは、おそらく5~25ミクロン(μm)の厚さの別個の薄いマイクロパターンフィルム(micropatterned film)4をロッドに結合させることによって達成でき、それは、サンプル直径の10倍である1~3mm程度の直径を有するロッドの開口部(たとえば、楕円形、円形、正方形、またはその他の形状)に広がる。フィルム4は、2つ以上の、例えば100ミクロンの穴を有するようにパターン形成されてよく、その結果、複数のサンプルをメッシュまたは他のパターンで堆積させることができる。薄膜4は、超音波によってまたは接着剤を使用して結合させることができる。ロッド2は円筒鋼であってもよく、Mitegen,LLCによって製造されるMicroMountおよびその他のマイクロツールの設計と同様に、鋼ピンに取り付けられた微細加工チップにサンプルを保持させることができる(この開示をレビューして当業者に理解されるはずである)。MicroMountの設計と比較して、
図1Aに示される構成の利点は、ホルダが脱落してその端部が硬い表面に接触した場合に、サンプルがそれを取り囲むロッドの厚い部分によって保護されることである。ロッド2は、好ましくは、断面が円形ではなく、平たくてよい。
【0030】
ホルダの上方の円筒部分6は、円筒形の磁石または磁性鋼片7を含んでいてよく、それは平らな上端部を有することができる。これにより、磁気ワンドを使用してホルダをつかむことが可能となる。上部は射出成形プラスチックでできていてよく、磁性鋼または磁石7がプラスチックに圧入されている。ワンドとの上部の合わせ面の形状は、ホルダの最も安定な把持を提供するように輪郭が形成され得る(本開示に関連して当業者によって理解されるはずである)。
【0031】
図1Aは、ホルダ10の円筒部分6が、ストローまたはチューブ内で滑らかにスライドするように設計され、したがってストローの内径よりも幾分か小さい直径を有する、1つの可能な設計を示す。この場合、サンプルホルダは磁石を使用してストロー内の所定の位置に保持される。
【0032】
図1Bは、サンプルホルダの円筒部分6が、ストロー(
図2Aを参照)の内側を穏やかに押すフィン8を有する代替の実施形態を示す。これらのフィン8は、サンプルホルダ10をストローに容易に出し入れすることができるが、保管および取り扱い中にストロー内の固定位置にサンプルをしっかりと保持するのに十分であるようなものである。円筒部分6およびフィン8の長さは、サンプルホルダの軸がストローの軸から著しく逸脱する傾向を低減するように調整され得る。
【0033】
サンプルホルダ10の典型的な寸法は、ロッド2の長さが2~10cm、ロッド2の幅が1~3mm、および円筒ヘッドの直径が2~5mmである。円筒ヘッド6は、サンプルの識別を容易にするために、バーコードまたは他のマーキングを有するか、あるいはRFIDチップ(図示せず)を有していてもよい。
【0034】
図2Aは、サンプルホルダ10を封入するために使用されるストロー12を示す。このストロー12は、例えば2~5mmの直径を有し、サンプルホルダ10の円筒ヘッド6の直径よりも大きく、好ましくは一端に角度付きカット13を有する、中空円筒ポリマーチューブであってよい。好ましくは、ストロー12は、良好な光学的透明性を有するPET、または優れた光学的透明性を有しかつUV透過性であるCOCのようなポリマーでできていてよい。好ましくは、ストロー壁の厚さは、25~50マイクロメートル(μm)であってよく、また100マイクロメートル以下であってよく、それによってストロー12は光学的に透明でかつ均質であり得る。目標は、光学顕微鏡を使用して、あるいは、例えばUV励起蛍光イメージングを使用して、ストロー内の凍結サンプルの検査を可能にすることである。好ましくは、ストロー12は、ストロー12をシールするためのスペースを提供するために、サンプルホルダ10よりも少なくとも1~2cm長くなければならない。ストロー12はまた、サンプルの識別のために、マーキングまたはバーコードを有していてよく、あるいはアンテナを結合させたRFIDチップ(図示せず)を有していてもよい。
【0035】
図2Bは、各サンプルを冷却するのに使用される液体窒素を保持するために使用されるカップ20を示す。カップは使い捨てで、紙、適切なプラスチック、アルミホイル、あるいは液体窒素が浸透しやすいものではなくかつ液体窒素で満たされたときに割れたり漏れが発生したりしない任意の材料または材料の組み合わせで作られたものでよい。カップは再利用可能であってもよいが、使用と使用の間に滅菌する必要がある。理想的には、無駄を最小限に抑え、カップデュワーのウェルへの熱伝達を最大化するために、材料は薄くすべきである。たとえば、ブロー成形されたPETで十分であり得る。カップの全長は、ストローより少なくとも数センチ長くする必要がある。それ以外では、液体窒素の消費を最小限に抑えるために、その長さと容量を可能な限り小さく保つ必要がある。カップの底には、サンプルが冷却された後に液体窒素を排出できるようにカップに開口部を作成するのを容易にするための小さな延長部またはニップル22あるいは他の特徴があってよい。ニップル22の材料の厚さは、鋭利な刃またはカッターを使用して容易に切断できるように十分に薄くなければならない。
【0036】
図3A~Bは、冷却および加温中にストロー12を保持し、サンプルを含むストローをある場所から別の場所に周囲空気を通って移送するために使用されるストローホルダ30の例を示す。ストローホルダ30は、ストローを把持し、サンプルホルダの長さに匹敵するストローの長さの範囲にわたる半円筒形のジョー32を有する。これらのジョー32は、ストローホルダが液体窒素から周囲空気に取り出されたときにそれらの温度が非常にゆっくりと反応するような材料(例えば、ステンレス鋼)および厚さである。ジョー32はサンプルを取り囲み、冷却装置と貯蔵デュワーとの間および貯蔵デュワーから加温装置までの空気を通る移送の間、サンプルを冷たく保つ。好ましくは、これらのジョー32は、ユーザの手がストローホルダを包み込む部分の上の、ストローホルダ30の上端部にあるアクチュエータ34(例えば、親指押しボタン)によって駆動される機構を使用して分離される。ストローホルダは、この上部にゴムまたは他の把持材料を有することができる。トングジョー32はまた、ストローおよびトングジョー32に対して固定位置でストロー内にサンプルホルダ10を保持するために使用することができる1つまたは複数の磁石36を含んでいてよい。これらの磁石36は、
図1Aに示される設計のサンプルホルダ10が、冷却中にサンプルホルダ10がそれを保持しているワンドから解放されたときに、ストローの下端から脱落するのを防ぐことができる。トングジョー32の磁石36は、
図1Bのサンプルホルダ設計には必要ではない。
【0037】
図4は、好ましい冷却装置100のいくつかの態様を示す。デバイスは、(以下で特定および説明するように)液体窒素用の4つのチャンバを含むことができるが、これらに限定されない。上部は、ユーザによって液体窒素で満たされ得る液体窒素主貯蔵チャンバ102を含む。それは、真空断熱ガラス、真空断熱ステンレス鋼、断熱ポリマー発泡体、または極低温の液体を収容するために一般的に使用される他の材料および構造から作成することができる。このチャンバの容量は、少なくとも10~20サンプルの冷却を可能にするのに十分である必要があり、補充前の操作時間は少なくとも1時間必要である。これにより、少なくとも2~4リットルの容量が必要になる可能性がある。
【0038】
この主貯蔵チャンバの下には、カップデュワー104がある。このデュワー104は、その中でサンプルが冷却されるカップ20を受け入れる構造を取り囲む液体窒素を保持する(あるいは、そうでなければ、以下に説明するカップホルダ20-Aと熱接触し、その接触によって極低温で保持される)。カップを取り囲む構造(カップホルダ20-A)は、好ましくは、薄い銅または他の高熱伝導率材料でできており、その結果、カップ20は、その構造の壁との接触によって効果的に冷却される。このカップデュワー104は、主貯蔵チャンバ102から重力供給され、カップデュワー104の充填レベルを所望のレベルに維持するために、レベルセンサ、バルブ、および制御電子装置(図示されていないが、この開示をレビューして当業者に理解されるはずであり、MiTeGenのNanuqクライオクーラーと同様であってよい)を有することができる。カップデュワー104は、圧力解放弁またはフラップ(図示せず)を介して大気に排出することができる。
【0039】
図4はまた、サンプル垂直並進ステージ108に取り付けられた(ステージの詳細は示されていない)サンプルワンドホルダ106(サンプルホルダ10が取り付けられたワンド(
図6の202)を保持する)、超音波シーラー110、カップLN
2供給管(LN
2 feed)112、カップカッター114、ストロー垂直並進ステージ118に取り付けられたストローホルダマウント116、カップデュワーLN
2供給管120、および使用済みカップのLN
2用ドレーン122を示す。
【0040】
カップホルダ20-Aに挿入された
図2Bのカップ20(
図4に点線で示されている)は、第3の液体窒素チャンバ126を形成する。それは、カップデュワー104内のカップホルダ20-Aに手動で挿入される。それは、重力供給によって(無菌重力供給LN
2ライン112を介して)、主貯蔵チャンバ102から注入される。レベルセンサおよびバルブ(図示せず)を使用して、動作中は常にカップホルダをその縁まで一杯に保つことができる(この開示をレビューして当業者に理解されるはずである)。あるいは、一定時間バルブ(図示せず)を開くことにより、カップを一度満たしてもよい。カップデュワー104の構造は、その上面に1つまたは複数のドレーン128を備えることができ、それを通って、カップからオーバーフローした液体窒素がカップデュワー104に流入する。
【0041】
カップホルダ20-Aの下には、第4の液体窒素チャンバ(カップドレーン122)がある。液体窒素を、カップ20からこのチャンバ122に排出させることができ、またヒーターおよび/またはサクション(図示せず)を使用してこの使用済み液体窒素を沸騰させて大気に放出することができる。
【0042】
これらの液体窒素チャンバとは別に、冷却装置には2つのモーター駆動直線移動ステージ108および118があり、第1の108はサンプルホルダ10(
図1)およびサンプルホルダワンド202(
図6)を平行移動させ、第2の118はストロー12(
図2)を把持するストローホルダ30(
図3)を保持する。それはまた、ストローの端部をシールするための格納式ジョーを備えた超音波または熱シーラー110を有する。
【0043】
図5A~Dは、サンプル冷却のために冷却装置100を使用する際の最初のステップを示す。まず、カップデュワー104に液体窒素LN
2を充填する(
図5A)。カップ20を、カップホルダ20-Aに配置し、ストロー12を保持するストローホルダ30を、ストロー垂直並進ステージ118に配置する(
図5B)。ストローホルダ30は、正確で再現性のある位置決めを提供できるマウント116を使用してステージ118に付いており、その結果、浸漬中にストロー12の軸を、好ましくは実質的に垂直にすることができ、サンプルホルダの軸と整列させることができる(図示せず;
図6を参照)。ストローホルダ30およびストロー12をカップ20内に移動させ(
図5C)、次いで、カップLN
2供給管112を介して、カップ20を液体窒素でオーバーフローするまで満たし、オーバーフローはドレーン128を介してカップデュワー104に排出される。
【0044】
必要に応じて、カップ内の液体窒素は、上方のタンクからの液体窒素をカップに向かう途中でフィルタ(たとえば、0.22マイクロメートルフィルタ)(図示せず)に通すことによって、あるいは、例えばソリッドステートLED(図示せず)によって生成される紫外線を使用することによって、滅菌することができる。
【0045】
図6A~Dは、サンプル冷却装置を使用する際の次のステップを示す。サンプルホルダ10は、サンプルワンド202に磁気的に取り付けられ、ワンドは、サンプルワンドの垂直並進ステージのサンプルワンドホルダ106に取り付けられる(
図6A)。サンプルは、サンプルホルダ10をワンド202および冷却装置100に取り付ける前に、サンプルホルダ10上にすでに堆積させていてもよい。また、サンプルホルダ10が冷却装置100に保持されている間に、その場(in situ)でサンプルを堆積させてもよい。この場合、サンプルを移すのに使用され得るピペットチップを支持し、サンプルホルダ開口部とのチップの位置合わせを助け、チップの動きを減らしてサンプルの堆積を容易にする、レストまたは開口部または他の支持部材(図示せず)を備えていてもよい。また、サンプルの堆積中にサンプルホルダおよびピペットチップを観察するために、ビデオ顕微鏡またはブームに取り付けられた顕微鏡または同様のデバイス(図示せず)を備えることもできる。
【0046】
図6Bは、サンプルを浸漬する前にカップ20内の液体窒素の上の低温ガス層を除去するために使用されるガス処理マニホールド206を示す。Mitegen,LLCによって製造されるNanuq極低温冷却装置の場合と同様に、室温の乾燥窒素ガスが、マニホールド206によってカップデュワーの片側から供給され、カップの反対側にあるマニホールド206の開口部を通って吸い込まれる前に、カップ20の液体窒素表面を横切って洗浄する。乾燥窒素ガスは、屋内窒素供給から、圧縮ガスボンベから、または上方の液体窒素チャンバからの加熱ボイルオフからのものであってよい。吸引は、小さなブロワーまたはポンプ(図示せず)によって提供することができる。
【0047】
サンプルを液体窒素に浸漬する直前に、液体窒素の上の冷たいガス層は、ガス処理マニホールド206によって除去される(
図6B)。サンプルは高速(1~3m/秒)で液体窒素に沈められ、サンプルホルダ10の大径部分がストロー12に入る前に瞬間的に停止する(
図6C)。次に、サンプルホルダ10を完全にストロー内に移動させ(
図6D)、そしてサンプルホルダをサンプルワンド202から解放し、ストローホルダ30の磁石(
図3の36)またはサンプルホルダの側面にあるフィン(
図1の8)のいずれかによってストローに対して所定の位置に保持されたままにする。次に、サンプルホルダワンド202を引っ込め、ワンドを取り外す。
【0048】
次に、サンプルをストローの内部に密封する。カップ20の挿入を可能にするために最初は引っ込められている超音波シーラー110のジャーが所定の位置に移動し、ストロー12をその上端がシーラーのジョー内にくるように移動させる(
図7A)。ストロー12の上端をシールし、次にストローを、その下端がカップ内の液体窒素表面に出るまで上に移動させる(
図7B)。ストローの下端部からの液体窒素の排出により、暖かいガスがストロー内に引き込まれ、サンプルが解凍される可能性がある。これを防ぐために、ストローの下端部は角度付きカットを有し(
図2の13)、液体窒素レベルがこのカットを横切るときにストローがゆっくりと上に動かされ、その結果、液体窒素がストローから流出するときに、液体窒素の表面からの低温ガス210が流入する(
図7C)。
【0049】
次に、ストローの下端部がシーラージョー内にくるようにサンプルおよびストローを上向きに移動させ、すべての液体窒素がストローから滴り落ちたときにストローの下端部をシールする(
図8A)。次に、ストローを、シーラージョー(
図8B)を越えて上方に移動させ、ジョーを引っ込め、ストローホルダ30、ストロー12およびサンプル10(ストローの内部)を冷却ユニット100から取り外し(
図8C)、ストロー+サンプルをストローホルダから解放して、液体窒素含有貯蔵カップ、バイアルまたはケーン(図示せず)に入れる。
【0050】
最後に、カップホルダ20-Aの底(bottom)にあるカップカッター114の切断ジョーまたはブレードが、カップのニップル22を切断し(
図9A)、液体窒素がカップの底からカップドレーン122に流れ込み、それはおそらく、背圧が窒素を沸騰させてカップを押し上げるのを防ぐポンプまたはファン(図示せず)によってもたらされる吸引によって支援される。カップドレーンのヒータ(図示せず)は、液体窒素を沸騰させることができる。カップドレーンは、湿った空気がカップに入るのを防ぐフラップまたはバルブを介して周囲に排出する。
【0051】
カップデュワーを覆って、暖かく湿った空気が冷たいガスまたは液体と接触して氷を形成するのを防ぐ断熱および加熱されたカバーは図示していない。カバーはカップのための開口部を有する。ガスマニホールド(
図5の206)を介して供給される液体窒素ボイルオフガスおよび乾燥窒素ガスは、カップデュワーとカバーとの間の空間にわずかな正圧を維持するため、暖かい湿った空気がカバーの下の空間に入り込むのを大いに防ぐ。
【0052】
冷却後のストローおよびサンプルの貯蔵を容易にするために、「イン」位置と「アウト」位置の間で、水平面でストローホルダを反転させることを可能にする機構(図示せず)を使用して、ストローホルダ(
図3の30)をストローホルダ並進ステージ(
図4の118)に取り付けてよく、「アウト」位置は、ストローを、たとえば冷却装置の下部またはそれに隣接するテーブルのくぼみに置くことができる液体窒素の別個の貯蔵容器と位置を合わせる。次に、サンプルおよびストローを、並進ステージを使用して別の液体窒素貯蔵容器(図示せず)内に移動させ、ストローをストローホルダから解放し、ホルダは取り外すかまたは元の位置に戻す。いくつかのサンプルを含むストローをこの方法で貯蔵容器内に入れた後、貯蔵容器を標準的な広口貯蔵デュワーまたは極低温ドライシッパーに入れることができる。
【0053】
代替の実施形態によれば、ストローホルダ30(したがって、ホルダ30内のストロー12)をカップ20に挿入し、その後にLN2を添加することができ、サンプルホルダ10内のサンプルを、LN2およびストロー内に移動させることができ、次にストロー12を手によって手動で引き上げて、下端部(bottom)および上端部(top)をシールすることができる。次に、ストローホルダ30を取り外し、続いてカップ30を取り外すことができる。したがって、これは、ストロー12が移送中にストローホルダ30のジョー32によって保護されない可能性があり、またストロー12が自動的に移送されないことを除いて、前述のとおりである。ストローホルダ30は上下に反転する場合がある。
【0054】
図10は、ストローホルダ並進ステージを使用せずに、ストローおよびストローホルダの動作がすべて手動で実行される冷却装置の代替の実施形態を示す。この場合、ストローホルダ230は、ストローの軸がサンプルマウントおよびサンプルワンドの軸と同一線上にあることを確実にするマウント232を介して所定の位置に保持されながら、カップに挿入される(この開示をレビューして当業者に理解されるはずである)。ストローをストローホルダに挿入し、その後にカップを液体窒素で満たす。次に、サンプルをストローに突っ込む(たとえば、前述のように)。次に、ストローおよびストローホルダを持ち上げて、ストローをその上端の下でシールできるようにする。次に、ストローを手でつかみ、上に移動させてストローの下端部をシールする。
【0055】
高速で自動化されたサンプル動作、低温ガスの除去、および上記の他の設計特徴により、生殖補助医療で対象となる約100マイクロメートルのサンプルを極めて迅速かつ再現可能に冷却することを可能にし、サンプルが不注意で解凍される可能性があるオペレータエラーの機会を排除する。
【0056】
図11~14は、自動加温装置の1つの実装と、それを使用してここで説明するサンプルがどのように加温され得るかを示す。シールされたストロー12内のサンプル10は、液体窒素デュワー300内で保管され(
図11A)、通常、マルチウェルマイクロプレート304の1つのウェルに含まれる少量の溶液302中で加温される(
図11C)。ストローホルダのジョー32(
図10B)は、最初に液体窒素への浸漬によって冷却され、その後で対象のサンプル+ストローを把持し、それを貯蔵デュワーから取り出すために使用される(
図11B)。次に、ストローホルダおよびサンプルは、ストローホルダのジョー32がサンプルを低温に保つ状態で、加温装置(
図11C)のストローホルダ並進ステージ310に素早く挿入される。抽出ワンド312(冷却装置と共に使用されるワンド202(
図6)と同じであってよい)は、クリップ314を使用して第2の並進ステージ316に取り付けられる。
【0057】
切断ジョーまたはブレード318は、ストロー12の両端を同時に切断および除去し(
図12A、B)、ストロー並進ステージ310は、ストローを加温溶液の上の位置に移動させ、その軸を抽出ワンド312の軸と整列させる。(
図12C)。
【0058】
次に、抽出ワンドステージ316は、抽出ワンド312を移動させてストロー内のサンプルホルダと接触させ(
図13A)、次に、サンプルホルダ10のサンプル保持チップが加温溶液302に迅速に浸漬されるように、サンプルホルダをストローに迅速に押し通す。(
図13B、C)。
【0059】
サンプルが解凍されてサンプルホルダから落下すると、ホルダ10および抽出ワンド312はそれらの初期位置に引っ込み(
図14A)、またストローおよびストローホルダ30はそれらの初期位置に引っ込む(
図14B)。その後、サンプルホルダおよびストローを解放して廃棄できる。
【0060】
冷却と同様に、高速で自動化されたサンプル動作、および取り扱い中にサンプルが不注意に暖まるのを避けるための大きな熱質量のストロー保持ジョーの使用は、サンプルが温かい溶液に浸漬される前にサンプルが感知できるほど温まらないこと、冷たいサンプル表面に周囲空気から霜が凝結しないこと、およびその加温速度が可能な限り大きくなることを確実にする。
【0061】
図15は、代替の冷却システム設計を示す。この場合、ストローホルダ400を使用して、ストロー402を、バルブ(図示せず)を介して上方の液体窒素貯蔵タンク(
図4の102のように)に接続されたニップルまたはチューブ404上に配置する。次に、液体窒素406が、チューブを通って下端部から上端部に流され、上端部から流れ出てストローホルダ400のジョーを流れ落ち、下方の液体窒素デュワー408に流れ込む。ストロー402およびホルダ400が冷えると、サンプルホルダ412上のサンプル410を、前の実施形態で説明したように、ストローに突っ込む(
図16)。次に、サンプルホルダをサンプルワンド(図示せず)から解放し、サンプルワンドを引っ込め、ストローを持ち上げ(
図17)、前の実施形態で説明したようにシールする。この場合、液体窒素は、ストローの下端が充填ノズル406(
図17)から上昇して離れるとすぐにストローの下端から流出し、下方のチャンバ内の液体窒素の上の低温ガスがストローに流れ込み、サンプルを冷たく保つ。
【0062】
ここで説明する冷却および加温システムは、オペレータのエラーがサンプルの損傷を引き起こすリスクを大幅に排除し、オペレータに必要なスキルレベルを下げる。
【0063】
本明細書で規定および使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御するように理解されたい。
【0064】
様々な実施形態が本明細書に記載および図示されているが、当業者は、機能を実行するためおよび/または結果および/または本明細書に記載の1つまたは複数の利点を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、またそのような変形および/または修正のそれぞれは、本明細書に記載の実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示を意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、その教示が使用される特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載の特定の実施形態の多くの同等物を認識し、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示され、添付の請求項およびその同等物の範囲内で、実施形態は、具体的に記載および請求されている以外でも実施できることを理解されたい。本開示の実施形態は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法のそれぞれを対象とする。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しなければ本開示の範囲内に含まれる。
【0065】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「含む」(ならびに「含み」および「含んでいる」などの任意の形態の含む)、「有する」(ならびに「有し」および「有している」などの任意の形態の有する)、「包含する」(ならびに「包含し」および「包含している」などの任意の形態の包含する)、および「含有する」(「含有し」および「含有している」などの任意の形の含有する)は、制限のない連結動詞である。したがって、1つまたは複数のステップまたは要素を「含む」、「有する」、「包含する」、または「含有する」方法またはデバイス。同様に、1つまたは複数の特徴を「含む」、「有する」、「包含する」または「含有する」方法のステップまたはデバイスの要素は、それらの1つまたは複数の特徴を持つが、それら1つまたは複数の特徴のみを持つことに限定されない。さらに、特定の様式で構成されたデバイスまたは構造は、少なくともその様式で構成されるが、記載されていない様式で構成されてもよい。
【0066】
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段またはステップ+機能要素の対応する構造、材料、行為および同等物は、もしあれば、具体的に請求される他の請求要素と組み合わせて、その機能を実施するための任意の構造、材料または行為を含むことが意図されている。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されているが、網羅的であることを意図するものではなく、また開示された形態の本発明に限定されない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明らかであろう。実施形態は、本発明の1つまたは複数の態様の原理および実際の適用を最もよく説明し、企図される特定の用途に適した様々な修正を含む様々な実施形態について本発明の1つまたは複数の態様を当業者が理解することを可能にするために選択および説明した。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
[実施態様1]
生物学的サンプルを極低温冷却するためのシステムにおいて、
第1の量の極低温液体を保持するように構成された第1のチャンバ;
前記第1のチャンバと熱接触して配置された容器ホルダであって、その中に配置される少なくとも1つの取り外し可能な容器を保持するように構成され、前記容器は第2の量の極低温液体を保持するように構成されて第2のチャンバを形成する、容器ホルダ;
少なくとも1つの中空の細長いチューブを前記容器内に保持するように構成された細長いチューブホルダ;および
前記細長いチューブが第2の量の極低温液体を含む前記容器内にある間に、生物学的サンプルを含む少なくとも1つのサンプルホルダを保持して前記細長いチューブ内に移すように構成されたサンプルワンド;
を備えたシステム。
[実施態様2]
前記少なくとも1つのサンプルホルダが、遠位端とその遠位端よりも大きな直径を有する近位端とを有する細長いサンプルホルダである、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様3]
前記細長いサンプルホルダの近位端が、その上に配置されて前記サンプルワンドによって磁気的に保持されるように構成された磁石または磁気部分を含む、実施態様2に記載のシステム。
[実施態様4]
前記細長いサンプルホルダの遠位端が、その上に配置されたマイクロパターンフィルムを含み、該マイクロパターンフィルムは生物学的サンプルを保持するように構成される、実施態様2に記載のシステム。
[実施態様5]
前記マイクロパターンフィルムが約5~25μmの厚さであり、幅、長さおよび/または直径が1~3mmである、実施態様4に記載のシステム。
[実施態様6]
前記細長いサンプルホルダの近位端が、該近位端の外面から半径方向に延びる複数の突起を含み、該突起は、前記細長いサンプルホルダが前記細長いチューブ内に配置されたときに前記細長いチューブの内面に接触するように構成される、実施態様2に記載のシステム。
[実施態様7]
前記細長いチューブの遠位端が角度付き遠位面を備える、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様8]
前記極低温液体が液体窒素である、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様9]
前記容器ホルダが前記第1のチャンバ内に配置される、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様10]
前記細長いチューブホルダが、前記細長いチューブを把持しかつその中に配置されるサンプルホルダの実質的な長さに匹敵する長さに延在するように構成された細長い半円筒形のジョーを備える、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様11]
前記細長い半円筒形のジョーがステンレス鋼で構成される、実施態様10に記載のシステム。
[実施態様12]
前記第1のチャンバの上に配置された第3のチャンバをさらに備え、該第3のチャンバは極低温液体を含み、その極低温液体を前記第1のチャンバと少なくとも1つの導管を介して前記容器とに送達するように構成される、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様13]
前記容器ホルダの底側壁部分と前記第1のチャンバの内底面とによって形成される第4のチャンバをさらに備え、該第4のチャンバは、前記容器から排出される第2の量の極低温液体を受け入れるように構成される、実施態様12に記載のシステム。
[実施態様14]
前記容器が、該容器が前記容器ホルダ内に配置されたときにその底面から延びる部材をさらに備える、実施態様12に記載のシステム。
[実施態様15]
前記第4のチャンバが、前記第2の量の極低温液体を前記容器から前記第4のチャンバに排出させるために、前記部材を切断するかまたは前記容器の底面に穴を開けるように構成されたカッターをさらに備える、実施態様14に記載のシステム。
[実施態様16]
前記細長いチューブホルダが、第1の垂直並進機構を介して第1の垂直面に沿って垂直に移送されるように構成される、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様17]
前記サンプルワンドが、第2の垂直並進機構を介して前記第1の垂直面に沿って垂直に移送されるように構成される、実施態様16に記載のシステム。
[実施態様18]
容器内の極低温液体の上の低温ガス層を除去するように構成されたガス処理マニホールドをさらに備える、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様19]
前記容器ホルダの上に配置され、前記チューブの近位端と遠位端のうち少なくとも1つをシールするように構成された、格納式ジョーを含む超音波シーラーまたは熱シーラーをさらに備える、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様20]
前記第1のチャンバが、その上端部に1つまたは複数のドレーンを備え、前記容器からオーバーフローした第2の量の極低温液体がそのドレーンを通って前記第1のチャンバに流入する、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様21]
前記細長いチューブホルダが、前記細長いチューブを前記容器内に搬入し、かつサンプルホルダを中に含む前記細長いチューブを前記容器から搬出するように構成される、実施態様1に記載のシステム。
【符号の説明】
【0067】
2 ロッド
4 フィルムまたは薄膜
7 磁性鋼または磁石
8 フィン
10 サンプルホルダ
12 ストロー
13 角度付きカット
20 カップ
20-A カップホルダ
22 ニップル
30 ストローホルダ
32 ジョー
34 アクチュエータ
36 磁石
100 冷却装置
102 (液体窒素)主貯蔵チャンバ
104 カップデュワー
106 サンプルワンドホルダ
108 サンプル垂直並進ステージ
110 超音波シーラー
112 カップLN2供給管
114 カップカッター
116 ストローホルダマウント
118 ストロー垂直並進ステージ
120 デュワーLN2供給管