(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】通信装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/38 20180101AFI20221213BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H04W4/38
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2018141287
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】新井 崇
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇作
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀一
(72)【発明者】
【氏名】占部 宏生
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0087462(US,A1)
【文献】特開2007-241583(JP,A)
【文献】特開2001-345945(JP,A)
【文献】特開2008-135922(JP,A)
【文献】特開2013-145492(JP,A)
【文献】特開2018-101369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04B 7/24-7/26
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のフィールド機器からの信号を取得するための複数の形式のインターフェースによる端子を設けた信号取得
ボードと、
前記信号取得
ボードから出力される信号を取得するとともに、無線通信を用いて前記信号に基づくデジタルデータを外部に送信するための制御を行う制御
ボードと、
前記制御
ボードが行う制御に基づいて、無線通信方式により、前記デジタルデータを外部に送信する無線通信
ボードと、
を具備
し、
前記信号取得ボードと、前記制御ボードと、前記無線通信ボードは、重ねられており、
前記無線通信ボードは、前記無線通信ボードに代えて前記制御ボードが行う制御に基づいて有線通信方式により前記デジタルデータを外部に送信する有線通信ボードに置き換え可能である、
通信装置。
【請求項2】
前記信号取得ボード、前記制御ボード、前記無線通信ボードの順序で重ねて構成した、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記信号取得
ボードが出力する前記信号を、所定の標準通信規格にしたがった形式のデジタル信号に変換して出力する信号変換
ボード、
をさらに具備し、
前記制御
ボードは、前記信号変換
ボードから出力される前記デジタル信号を、前記信号取得
ボードから出力される信号として取得するものであ
る、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記信号取得ボード、前記信号変換ボード、前記制御ボード、前記無線通信ボードの順序で重ねて構成した、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記信号変換
ボードは、前記標準通信規格に応じた交換可能なモジュールとして構成される、
請求項3または4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記信号変換ボードと前記制御ボードとの間の通信は、シリアル通信である、
請求項3から5までのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記制御ボードと前記無線通信ボードとの間の通信は、シリアル通信である、
請求項1から6までのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記信号変換ボードは、他のボードとの間で接続するための第1コネクターを備え、
前記他のボードは、前記信号変換ボードとの間で接続するための第2コネクターを備え、
前記信号変換ボードは、前記第2コネクターにおけるピン配置を変更せずに交換可能なモジュールとして構成される、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項9】
前記無線通信ボードは、他のボードとの間で接続するための第3コネクターを備え、
前記他のボードは、前記無線通信ボードと接続するための第4コネクターを備え、
前記無線通信ボードは、前記第4コネクターにおけるピン配置を変更せずに前記無線通信方式に応じて交換可能なモジュールとして構成される、
請求項1から8までのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記信号変換ボードを取り除いても通信装置として機能する、
請求項3または4に記載の通信装置。
【請求項11】
前記制御
ボードは、
取得した前記信号を所定の数値範囲のデジタルデータに変換する数値変換部、
を具備するとともに、
無線通信を用いて、前記数値変換部によって変換された前記デジタルデータを外部に送信するための制御を行う、
請求項1から10までのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記制御
ボードは、
無線通信を用いて外部に送信するためのデジタルデータのバックアップを記憶するための記憶部と、
前記デジタルデータのバックアップを管理するデータバックアップ部と、
を具備する、
請求項1から11までのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記信号取得ボードと前記信号変換ボードと前記制御ボードとは平面視した状態におけるサイズが同一であって、
前記信号取得ボードから出力される信号線の前記信号取得ボードを平面視した状態における位置と、前記信号変換ボードから出力される信号線の前記信号変換ボードを平面視した状態における位置とは、同一である、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項14】
前記無線通信
ボードは、LPWA無線通信方式または狭帯域のLTE無線通信方式により、前記デジタルデータを外部に送信する、
請求項1から13までのいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか一項に記載の通信装置と、
前記通信装置から送信される前記デジタルデータを受信し、蓄積するデータ収集サーバー装置と、
を具備するシステム。
【請求項16】
請求項11に記載の通信装置と、
前記通信装置に対して、前記通信装置が具備する前記数値変換部の処理における前記所定の数値範囲の設定を変更するよう指示する設定サーバー装置と、
を具備するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば大規模なプラント設備等においても、各所に設けられたセンサーによりその設備の状態等を検出ないしは計測し、センサーで取得したデータを迅速に収集することが求められている。今後は、従来以上に多くのセンサーを使用することにより、多種多様なデータをより一層きめ細かく収集し、それらのデータを用いてプラント設備等の制御の精度をより一層高めたり、制御の質を高度化したりすることも期待される。その際、無線通信を用いたデータ収集を行うことは、プラント設備内での通信ネットワークの構築の柔軟性を高めたり、ケーブル配線等のコストを低減化したりするために有効である。
【0003】
非特許文献1には、各種のフィールド機器を無線フィールド機器として使用できるようにするための無線用通信モジュール(FN110)が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】山本周二,稲垣哲朗,戸田秀之,北野欽一,望月聡,「無線の普及を促進するフィールド無線用通信モジュール(英題:Field Wireless Communication Module to Promote Field Wireless)」,横河電機株式会社,横河技報,Vol.57,No.1,2014年,p.3-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載されている無線用通信モジュールは、工業用無線規格ISA 100.11aを使用して通信を行う。ISA 100.11aは、国際計測制御学会(International Society of Automation)のISA100委員会で標準化された規格である。ISA 100.11aによる通信では、物理層において、IEEE802.15.4-2006 2.4GHz DSSを使用する。また、他の規格(例えば、Wireless HART)による工業用通信でも、物理層において、IEEE802.15.4-2006 2.4GHz DSSを使用する。
【0006】
上記の、従来技術による工業用無線通信製品では、2.4ギガヘルツ帯の周波数を使用することもあり、無線通信の到達距離が限られているという問題があった。つまり、従来技術を使用して、例えば数キロメートル四方にも及ぶ大規模なプラント等における通信ネットワークを構築しようとした場合、多数の無線アクセスポイントを設けることが必要であった。また、中継装置等を用いて、アクセスポイント間を接続するネットワークを構築する必要があった。
【0007】
より安価に工業用無線通信ネットワークを構築し、且つ大規模プラント等の中の様々な事象を捉えるためのデータを効率よく収集するためには、到達距離がより長い無線通信を行えるようにできることが望ましい。また、同時に、従来から存在する多種多様なフィールド機器製品群(センサー等)を、簡易な方法で無線フィールド機器として使用できるようにすることが望まれる。さらに、多様な通信プロトコルの中から目的等に適したプロトコルを適宜選択して柔軟に通信ネットワークを構築できるようにすることが望まれる。
【0008】
本発明は、上記のような事情を考慮してなされたものであり、無線通信の機能を持たないフィールド機器等が長距離を含む多種多様な無線通信を行えるようにする。そのため、柔軟にかつ低コストで無線通信ネットワークを構築することを可能とする通信装置およびシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による通信装置は、外部のフィールド機器からの信号を取得するための複数の形式のインターフェースによる端子を設けた信号取得部と、前記信号取得部から出力される信号を取得するとともに、無線通信を用いて前記信号に基づくデジタルデータを外部に送信するための制御を行う制御部と、前記制御部が行う制御に基づいて、無線通信方式により、前記デジタルデータを外部に送信する無線通信部と、を具備する通信装置であって、前記信号取得部の機能を有する信号取得ボードと、前記制御部の機能を有する制御ボードと、前記無線通信部の機能を有する無線通信ボードと、を具備する。
【0010】
この構成によれば、無線通信機能を持たないフィールド機器が出力した信号に基づくデジタルデータを、無線通信により伝送することが可能となる。また、信号取得部の機能を有する信号取得ボードと、制御部の機能を有する制御ボードと、無線通信部の機能を有する無線通信ボードとのそれぞれを、独立性の高いモジュールとして実現できる。
【0011】
[2]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記信号取得ボード、前記制御ボード、前記無線通信ボードの順序で重ねて構成したものである。
【0012】
この構成によれば、各ボードの機能をモジュール化しながら、コンパクトなサイズで通信装置を実現することが可能となる。ここで、通信装置のサイズとは、例えば、通信装置の、縦、横、高さの和である。
【0013】
[3]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記信号取得部が出力する前記信号を、所定の標準通信規格にしたがった形式のデジタル信号に変換して出力する信号変換部、をさらに具備し、前記制御部は、前記信号変換部から出力される前記デジタル信号を、前記信号取得部から出力される信号として取得するものであり、前記信号取得ボードと、前記制御ボードと、前記無線通信ボードと、に加えて、前記信号変換部の機能を有する信号変換ボードをさらに具備するものである。
【0014】
この構成によれば、所定の標準通信規格に則ったデジタル信号として、制御部への信号の供給を行うことが可能となる。また、信号変換部の機能を有する信号変換ボードを、独立性の高いモジュールとして実現できる。
【0015】
[4]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記信号取得ボード、前記信号変換ボード、前記制御ボード、前記無線通信ボードの順序で重ねて構成したものである。
【0016】
この構成によれば、各ボードの機能をモジュール化しながら、コンパクトなサイズで通信装置を実現することが可能となる。ここで、通信装置のサイズとは、例えば、通信装置の、縦、横、高さの和である。
【0017】
[5]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記信号変換部は、前記標準通信規格に応じた交換可能なモジュールとして構成されるものである。
【0018】
この構成によれば、採用する標準通信規格に応じてモジュールを交換するだけで、様々な標準通信規格に応じた装置を容易に構成することが可能となる。
【0019】
[6]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記信号変換ボードと前記制御ボードとの間の通信は、シリアル通信であるものである。
【0020】
この構成によれば、信号変換ボードから制御ボードへの信号の受け渡しのための通信を、シリアル通信によって行うことができる。
【0021】
[7]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記制御ボードと前記無線通信ボードとの間の通信は、シリアル通信であるものである。
【0022】
この構成によれば、制御ボードと無線通信ボードとの間の通信を、シリアル通信によって行うことができる。
【0023】
[8]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記信号変換ボードは、他のボードとの間で接続するための第1コネクターを備え、前記他のボードは、前記信号変換ボードとの間で接続するための第2コネクターを備え、前記信号変換ボードは、前記第2コネクターにおけるピン配置を変更せずに交換可能なモジュールとして構成されるというものである。
【0024】
この構成によれば、信号変換ボードを交換可能とすることができる。また、複数の信号変換の方式による信号変換ボードをそれぞれ実現し、通信装置に組み込む信号変換ボードを交換可能なモジュールとすることができる。求められる機能に応じた通信装置を、モジュールの交換によって容易に実現することが可能となる。
【0025】
[9]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記無線通信ボードは、他のボードとの間で接続するための第3コネクターを備え、前記他のボードは、前記無線通信ボードと接続するための第4コネクターを備え、前記無線通信ボードは、前記第4コネクターにおけるピン配置を変更せずに前記無線通信方式に応じて交換可能なモジュールとして構成されるものである。
【0026】
この構成によれば、無線通信ボードを交換可能とすることができる。また、複数の無線通信の方式による無線通信ボードをそれぞれ実現し、通信装置に組み込む無線通信ボードを交換可能なモジュールとすることができる。求められる機能に応じた通信装置を、モジュールの交換によって容易に実現することが可能となる。
【0027】
[10]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、 前記無線通信ボードは、前記無線通信部に代えて前記制御部が行う制御に基づいて有線通信方式により前記デジタルデータを外部に送信する有線通信部、の機能を有する有線通信ボードに置き換え可能であるものである。
【0028】
この構成によれば、無線通信によりデータ送信を、有線通信で置き換えることが可能となる。
【0029】
[11]また、本発明の一態様は、上記の通信装置([3]あるいは[4])において、信号変換ボードを取り除いても通信装置として機能するものである。
【0030】
この構成によれば、信号変換ボードを着脱可能な通信装置を構成することが可能である。
【0031】
[12]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記制御部は、取得した前記信号を所定の数値範囲のデジタルデータに変換する数値変換部、を具備するとともに、無線通信を用いて、前記数値変換部によって変換された前記デジタルデータを外部に送信するための制御を行う、ものである。
【0032】
この構成によれば、フィールド機器から出力される信号を、適切な物理量等に変換することが可能となる。通信装置側で数値変換を行うことにより、例えばデータを収集するサーバー装置側では、数値変換等の処理を行わなくて済む。
【0033】
[13]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記制御部は、無線通信を用いて外部に送信するためのデジタルデータのバックアップを記憶するための記憶部と、前記デジタルデータのバックアップを管理するデータバックアップ部と、を具備するものである。
【0034】
この構成によれば、例えば無線通信の不具合等が生じた状況においても、発生するデータを記憶部に貯めておくことができる。そして、無線通信による送信が可能となった状況において、改めて、バックアップとして貯めておいたデータを外部に送信することが可能となる。
【0035】
[14]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記信号取得ボードと前記信号変換ボードと前記制御ボードとは平面視した状態におけるサイズが同一であって、前記信号取得ボードから出力される信号線の前記信号取得ボードを平面視した状態における位置と、前記信号変換ボードから出力される信号線の前記信号変換ボードを平面視した状態における位置とは、同一である、ものである。
【0036】
この構成によれば、信号変換ボードを外して、残った信号取得ボードと制御ボードと無線通信ボードとを重ねて通信装置を構成したときにも、信号取得ボードから出力される信号線の位置が、ちょうど、信号変換ボードから出力していた信号線の位置と合致する。つまり、制御ボードは、容易に、信号変換ボードの代わりに、信号取得ボードからの出力信号を取り込むことが可能となる。
【0037】
[15]また、本発明の一態様は、上記の通信装置において、前記無線通信部は、LPWA無線通信方式または狭帯域のLTE無線通信方式により、前記デジタルデータを外部に送信する、ものである。
【0038】
この構成によれば、LPWA無線通信方式または狭帯域のLTE無線通信方式を用いて、通信装置を構成することが可能となる。これにより、低消費電力の通信装置を構成することができる。
【0039】
[16]また、本発明の一態様は、上記[1]から[15]までのいずれかに記載の通信装置と、前記通信装置から送信される前記デジタルデータを受信し、蓄積するデータ収集サーバー装置と、を具備するシステムである。
【0040】
この構成によれば、無線通信ネットワークを構築し、データ収集サーバー装置が通信装置からデジタルデータを収集し、蓄積することが可能となる。なお、このとき、通信装置の数は任意であり、多数であってもよい。
【0041】
[17]また、本発明の一態様は、上記[12]に記載の通信装置と、前記通信装置に対して、前記通信装置が具備する前記数値変換部の処理における前記所定の数値範囲の設定を変更するよう指示する設定サーバー装置と、を具備するシステムである。
【0042】
この構成によれば、設定サーバー装置は、通信装置における数値変換処理に関する設定(物理量に関する設定,数値範囲の設定等)を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、無線通信機能を有しないフィールド機器製品群を資産として活用しながら、低コストで、且つ柔軟に、長距離の通信が可能な無線通信ネットワークを構築することが可能となる。但し、通信装置の入力に合致した出力を持つセンサーや制御であれば、必ずしもフィールド機器である必要はない。フィールド機器以外の装置と本発明による通信機器を用いてもよい。このとき、装置間での無線信号の到達距離を長くすることができるため、無線信号の中継装置等を多数設ける必要がない。すなわち、例えば、数キロメートルにわたるプラント等をカバーする無線通信ネットワークを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の第1実施形態による通信装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】同実施形態による通信装置の一部の機能を省略した場合の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】同実施形態による通信装置が有する制御部のより詳細な機能構成を示すブロック図である。
【
図4】同実施形態による通信装置が有する制御部のハードウェア構成の例を示す概略図である。
【
図5】同実施形態による通信装置を上方から見た平面図である。
【
図6】同実施形態による通信装置を右側面から見た場合の側面図(右側面図)である。
【
図7】同実施形態による通信装置を背面から見た背面図である。
【
図8】同実施形態による通信装置を左側面から見た場合の側面図(左側面図)である。
【
図9】同実施形態による通信装置を正面から見た場合の正面図である。
【
図10】同実施形態による通信装置を下方から見た場合の下面図である。
【
図11】同実施形態による通信装置を構成する信号取得ボード上に実装される回路構成を示す回路ブロック図である。
【
図12】同実施形態による通信装置を構成する信号変換ボード上に実装される回路構成を示す回路ブロック図である。
【
図13】同実施形態による通信装置を構成する制御ボード上に実装される回路構成を示す回路ブロック図である。
【
図14】同実施形態による通信装置を構成する無線通信ボード上に実装される回路構成を示す回路ブロック図である。
【
図15】第2実施形態によるシステムの概略構成を示すブロック図である。
【
図16】第3実施形態によるシステムの概略構成を示すブロック図である。
【
図17】同実施形態によるシステムにおいて、端末装置が有する表示装置に表示される通信装置設定画面の一構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[第1実施形態]
図面を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態において、フィールド機器とは、例えば、流量計、温度計、湿度計、圧力計などのセンサーや、バルブ、ポンプ、アクチュエーターなどといった機器である。
【0046】
図1は、本実施形態による通信装置の機能構成を示す機能ブロック図である。図示するように、通信装置1は、信号取得部21と、信号変換部22と、制御部23と、無線通信部24とを含んで構成される。
【0047】
信号取得部21は、外部から信号を取得する。信号取得部21は、例えば外部のフィールド機器が出力する信号を取得するための多数の形式のインターフェースのための端子を備えている。信号取得部21が取得する信号は、典型的には、電気信号である。信号取得部21は、例えば、HART(Highway Addressable Remote Transducer)や、1-5V(ボルト)電圧信号や、4-20mA(ミリアンペア)電流信号や、UART(ユーアート, Universal Asynchronous Receiver-Transmitter,汎用非同期送受信回路)や、DIO(Digital Input/Output,デジタル入出力)や、I2C(Inter-Integrated Circuit)や、SPI(Serial Peripheral Interface,シリアル・ペリフェラル・インタフェース)などといったインターフェースを介して、外部からの信号を取得する。なお、ここに列挙したインターフェース自体は、既存技術に属するものであり、広く用いられているものである。信号取得部21が信号を取得する際のインターフェースの形式は、上に例示列挙したものには限定されない。
信号取得部21は、信号変換部22との間の信号線を介して、取得した信号を信号変換部22に供給する。
【0048】
信号変換部22は、信号取得部21が取得した信号を、所定の形式に変換して出力する。信号変換部22は、例えば、HARTやBRAIN(ブレイン)といった通信方式への変換を行う。なお、BRAIN通信は、横河電機の規格による通信方式である。つまり、信号変換部22は、信号取得部21が出力する信号を、所定の標準通信規格にしたがった形式のデジタル信号に変換して出力する。
また、信号変換部22は、標準通信規格に応じた交換可能なモジュールとして構成されてもよい。例えば、HART用の信号変換部22や、BRAIN用の信号変換部22などが交換可能なモジュールとして提供されることにより、通信装置1の使用者は、信号変換部22のモジュールを交換するだけで、様々な方式のデジタル信号への変換を行うことが可能となる。
信号変換部22は、AD変換(アナログ・デジタル変換)等、制御基板(制御部23)へ通信を行うための手段・方法を具備することも可能である。信号変換部22は、制御部23へデジタル信号を送信できる素子としては、AD変換素子に限らずどのような素子を用いてもよい。
また、ケーブル長が長い場合や、外来ノイズの影響を最小限にしたい場合や、センサー部故障の影響を最小限にとどめたい場合等を考慮して、信号変換部22は、信号取得部21に入ってくる信号と制御部23との間を絶縁するための機能を具備してもよい。ただし、この絶縁機能は、必要に応じて具備すれば充分であり、不要な場合には絶縁機能を省略してもよい。
また、信号変換部22が備える信号変換用素子は、制御部23との間で汎用的なシリアル通信などにより接続されている。そのため、この信号変換用素子の部分の構成を変えても、制御部23への設計変更が生じない設計としている。汎用的なシリアル通信とは、例えば、I2Cや、UAR、SPI等の通信方式である。
信号変換部23については、高度な計測機能を持たせるため、その基板(信号変換ボード)上に電源を配してもよい。
また、制御部23がその電源を制御するようにしてもよい。制御部23が電源を制御することにより、消費電力を抑えることができる機能を備えるようにすることも可能である。
【0049】
制御部23は、信号変換部22から上記の通信方式により渡される信号に基づいた、様々な処理を行う。また、制御部23は、無線通信部24を制御することにより、信号変換部22から受け取ったデータを所定の形式で外部へ送信するための制御を行う。つまり、制御部23は、信号取得部21から出力される信号(信号変換部22によって変換された形式である場合を含む)を取得するとともに、無線通信部24を用いて前記信号に基づくデジタルデータを外部に送信するための制御を行う。
制御部23が有する機能の詳細については、後で
図3を参照しながらさらに説明する。
【0050】
無線通信部24は、制御部23からの制御に基づいて、無線信号によってデータ(デジタルデータ)の送受信を行う。
無線通信部24は、例えば、制御部23から渡されたデータを所定のタイミングで外部に送信する。無線通信部24が通信する相手は、例えば、フィールド機器等で測定されたデータを収集するサーバー装置である。なお、無線通信部24は、適宜、ゲートウェイ装置を介して、通信相手との間で通信を行う。また、サーバー装置はクラウドシステムとして構成されている装置でもよい。
また、無線通信部24は、外部のサーバー装置等からのデータを受信する。このデータの内容は、例えば、通信装置1に対するコマンドや設定情報等である。
たとえば、通信装置1やセンサーを電池で長時間動作させる必要がある場合には、通信装置1がサーバー装置にアクセスした際に設定値などをダウンロードするポーリング等の手法を用いる方式が望ましい。これによって、通信装置1は、サーバーからの信号を待ち受けるための待機時間で電池容量を消費しないようにすることが可能となる。即ち、省電力化を図ることができる。ただし、この方式の問題点は、通信装置1側からサーバー装置にアクセスする時にしか設定値をダウンロードできないことである。よって、例えば、通信装置1の手の触れられる箇所(たとえば、信号取得部21の上面等)にスイッチを設けて、スイッチの状態を変えることによって通信装置1側から強制的にサーバー装置へのアクセス実行する構成を備えるようにすることが望ましい。さらに、上記のスイッチの代わりに、通信装置1がローカエリアネットワークにつながる機能を持たせて、そのローカルエリアネットワーク上から通信装置1側に強制的にアクセスを行う仕組みを構築してもよい。
無線通信部24は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)方式による通信を行う。LPWA無線通信方式の特徴は、低消費電力で遠距離(例えば、数キロメートル)の通信を実現することである。その一方で、LPWA無線通信方式では、比較的、通信速度(単位時間あたりに通信する情報量)が低い。LPWA無線通信方式では、サブギガヘルツ帯の無線信号を用いた通信を行う。無線通信部24は、LPWA無線通信方式を実現する規格の一つとして、LoRaWANを用いることができる。LoRaWANの規格上の通信距離は最大で20km(キロメートル)程度である。ただし、送信時の出力電力と送受信環境に応じて通信距離が数キロメートル程度に抑制される場合もある。また、LoRaWANでのデータ送信量は、例えば、1通信あたり十数バイト程度である。
【0051】
無線通信部24は、上記のLoRaWANの代わりに、狭帯域のLTE(Long Term Evolution)規格を用いた無線通信方式で通信を行うようにしてもよい。狭帯域のLTE規格とは、例えば、LTE Cat.0や、LTE Cat.M1や、LTE Cat.NB1(NB-IoT)といった規格である。これらの規格は、スマートフォン等で用いられるLTE規格と比べると、使用する周波数帯域が狭く、通信速度も低速である。具体的には、狭帯域のLTE通信方式において使用する周波数帯域幅は、例えば200kHz以下である。さらに、一例として、NB-IoTの方式では、180kHzの周波数帯域幅を使用する。言い換えれば、これらの規格は、IoT(Internet of Things)向のLTE規格である。
【0052】
上記のように、無線通信部24は、LoRaWANや、狭帯域のLTE規格を使用した通信を行う。したがって、低消費電力で、長い距離の通信が可能となる。但し、無線通信部24は、例えば、WiFi、ブルートゥース等の他の無線方式を用いて通信を行ってもよい。
【0053】
以上、
図1を用いて説明した通信装置1は、全体として、低消費電力の装置として設計することが可能である。また、小型で大容量の電池を用いることにより、通信装置1全体を電池で駆動することが可能となる。また、電池を数年間交換することなく、通信装置1が稼働し続けるようにすることもできる。
【0054】
次に、一部の機能を省略した通信装置の例について説明する。
図2は、一部の機能を省略した通信装置の機能構成を示す機能ブロック図である。図示するように、通信装置2は、信号取得部21と、制御部23と、無線通信部24とを含んで構成される。つまり、通信装置2は、通信装置1の機能構成から信号変換部22の機能を除外した機能を有する。通信装置2における信号取得部21、制御部23、無線通信部24のそれぞれの機能は、既に説明した通信装置1における信号取得部21、制御部23、無線通信部24の機能と同様のものである。ただし、通信装置2において、信号取得部21は、取得した信号を、信号変換部22ではなく制御部23に直接渡す。また、制御部23は、信号変換部22からではなく信号取得部21から直接信号を受け取る。つまり、通信装置2では、信号変換部22による信号変換は行われない。即ち、通信装置2において、制御部23は、信号取得部21が外部から取得した形式の信号(アナログ信号またはデジタル信号)を、そのまま取得する。このような通信装置2の構成は、HARTや高分解能のAD変換等の高度なデータ送信機能を必要としない用途で有用である。通信装置2は、4枚の基板で構成される通信装置1に比べて、より小型化および低消費電力化を実現できる。ただし、制御部23は、前述の、HART、1-5V電圧、4-20mA電流、UART、DIO、I2C、SPIなどといったインターフェースによる信号を直接受け取ることを否定するものではない。制御部23は、信号取得部21から受け取った信号を取り込み、処理する。
【0055】
なお、以下の説明において、可能な場合、通信装置1を適宜、通信装置2に置き換えて実施するようにしてもよい。
【0056】
図3は、
図1や
図2で説明した制御部23のより詳細な機能構成を示すブロック図である。図示するように、制御部23は、設定管理部231と、数値変換部232と、時刻補正部233と、温度監視部234と、データバックアップ部235と、無線送受信制御部236と、動作状態管理部237と、状態表示制御部238とを含んで構成される。
【0057】
設定管理部231は、通信装置1の設定情報を管理する。設定管理部231は、例えば外部からの指示等に応じて、設定情報を変更する。設定情報は、数値変換部232による数値変換処理のための情報を含む。
数値変換部232は、信号取得部21が取得した信号(電圧信号、電流信号、デジタル信号等)を、物理量を表す数値に変換する処理を行う。言い換えれば、数値変換部232は、取得した信号を所定の数値範囲のデジタルデータに変換する。数値の返還に関する設定(出力する数値の範囲等)は、上記の設定管理部231によって管理される。数値の設定に関するユーザーインターフェースについては、
図17(第3実施形態)にも示す。数値変換部232が数値範囲等の変換を行う場合、制御部23は、返還後のデータを無線によって外部に送出するよう制御する。
【0058】
時刻補正部233は、通信装置1が持つ時計の時刻を補正する。具体的には、時刻補正部233は、例えば受信したGPS信号に基づいて時刻の補正を行う。なお、GPS信号を取得する機能は無線通信部24内に組み込まれていてもよい。また、時刻補正部233は、電波時計などのモジュールを用いて時刻を表す信号を受信する形で実現するようにしてもよい。
なお、「GPS」はGlobal Positioning Systemの略である。
【0059】
温度監視部234は、通信装置1に設けられた温度計測手段が計測する温度が正常値の範囲内にあるか否かを監視する。温度が正常値の範囲を外れている場合には、温度監視部234は、警告信号を外部に発信する。温度監視部234のこの機能により、例えば通信装置1の異常動作等により発生する異常な温度の状況を、外部に対して警告することが可能となる。
【0060】
データバックアップ部235は、通信装置1がフィールド機器から受け取るデータをバックアップするとともに、バックアップデータの管理を行う。通信装置1は、フィールド機器から受け取るデータを定期的に無線信号で外部に(例えば、外部のデータ収集サーバー装置等に)送信するが、通信異常の場合や、何らかの異常によるデータ損失の場合のために、通信装置1の内部にもデータを蓄積する。データバックアップ部235は、バックアップするためのデータを、例えば通信装置1内の不揮発性半導体メモリーや揮発性メモリー等(記憶部)に書き込んで保存する。
つまり、データバックアップ部235は、無線通信を用いて外部に送信するためのデジタルデータのバックアップを記憶するための記憶部に、デジタルデータのバックアップを書き込むとともに、そのバックアップを管理する機能を有する。ここで、バックアップの管理とは、例えば、データに関連付けられた時刻の管理や、データが外部に送信済みであるか否かの管理や、データが外部の装置によって正常に受信されたか否かの管理等である。
無線送受信制御部236は、無線通信部24による無線信号の送受信を制御する。
【0061】
動作状態管理部237は、通信装置1の動作状態を管理するとともに、その動作状態を表す信号を出力する。
状態表示制御部238は、後述する表示部2307を用いた状態表示を制御する。例えば、表示部2307がLED(発光ダイオード)を用いて構成される場合、状態表示制御部238は、LEDの点灯/消灯の状態を制御したり、LEDの表示色を制御したりする。状態表示制御部238は、例えば、動作状態管理部237が出力する信号に応じて表示を制御する。また、状態表示制御部238は、温度監視部234が出力する信号(例えば、温度の正常/異常を表す)に応じて表示を制御する。なお、LEDの点灯を行う場合には、比較的大きな電力を消費するため、スイッチを設けるなどして、例えばスイッチを押下したときのみ状態を表示する機能とすることが望ましい。また、先に記述したサーバー装置への強制接続に用いるスイッチと、上記のLED点灯表示のためのスイッチとを、共用してもよい。この場合、例えば長押しした場合と一回短く押した場合等とでその制御を変えることにより、1つのスイッチを複数の目的に使用できるようにすることも可能である。即ち、用いるスイッチの個数を削減可能である。
【0062】
図4は、前記の制御部23のハードウェア構成の例を示す概略図である。図示するように、制御部23は、CPU2301(中央処理装置)と、メモリー2302と、入力側インターフェース部2303と、無線送受信側インターフェース部2304と、GPS信号受信部2305と、温度測定部2306と、表示部2307とを含んで構成される。
【0063】
CPU2301は、メモリー2302に記憶されているプログラムを実行する。また、プログラムを実行した結果として、CPU2301は、周辺装置等に対する入出力等を行う。
メモリー2302(記憶部)は、データやプログラム等を記憶する。メモリー2302は、データバックアップ部235がバックアップデータを蓄積・保存するための領域を含む。
【0064】
入力側インターフェース部2303は、信号変換部22(ただし、信号変換部22が存在しない場合には信号取得部21)との間での信号のやり取り等を行うためのインターフェース回路を持つものである。
無線送受信側インターフェース部2304は、無線通信部24との間での信号のやり取り等を行うためのインターフェース回路を持つものである。
【0065】
GPS信号受信部2305は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信する機能を有する装置である。制御部23は、GPS信号受信部2305が受信したGPS信号に基づいて、通信装置1の現在位置の座標値を求めたり、現在時刻を求めたりすることができる。GPS信号によって求められた現在時刻は、例えば、前述の時刻補正部233による時刻補正に用いられる。
温度測定部2306は、温度計の機能を有する装置である。温度測定部2306は、制御部23が設けられている箇所(例えば、プリント基板上)の温度を測定し、その測定値を表す信号をCPU2301に供給する。これにより、CPU2301は、制御部23が設けられている箇所に温度の異常が発生しているか否かを定期的に判断することができる。
【0066】
表示部2307は、LED等を用いて実現され、通信装置1の状態を表示する。表示部2307は、CPU2301からの制御信号によって制御される。表示部2307は、その制御信号に基づいて、各表示色(例えば、赤、緑、青、白など)のLEDを、点灯させたり消灯させたり点滅させたりすることができる。ただし、これらのLEDの点灯あるいは消灯等は、CPUからの制御信号によって制御されるが、CPUが設けられていない他の基板にこのLEDを置いてもよい。また、LEDの消費電力を抑えるため、スイッチを動作させた時のみ、LEDを点灯、点滅させる等の工夫も可能である。
【0067】
次に、通信装置1の構造の例について説明する。
図5,
図6,
図7,
図8,
図9,および
図10は、通信装置1(構成例)を6方向から見た正投影図である。
図5は、通信装置1を上方から見た平面図である。
図5における下方が通信装置1の正面であり、上方が通信装置1の背面である。
図6は、通信装置1を右側面から見た側面図(右側面図)である。
図7は、通信装置1を背面から見た背面図である。
図8は、通信装置1を左側面から側面図(左側面図)である。
図9は、通信装置1を正面から見た正面図である。
図10は、通信装置1を下方から見た下面図である。
【0068】
これらの図に示すように、通信装置1は、4枚のボード(基盤)を層状に重ねて構成されている。それら4枚のボードは、上から順に、信号取得ボード101(「端子台ボード」とも呼ぶ)と、信号変換ボード102(HART通信を行う場合、「HART通信ボード」とも呼ぶ)と、制御ボード103(「CPUボード」とも呼ぶ)と、無線通信ボード104(「通信ボード」とも呼ぶ)である。つまり、これらのボードは、上記の順で重なられている。信号取得ボード101と、信号変換ボード102と、制御ボード103と、無線通信ボード104とは、それぞれ、
図2に示した、信号取得部21と、信号変換部22と、制御部23と、無線通信部24との機能を実現するように構成されている。
【0069】
なお、通信装置1の代わりに通信装置2を用いる場合には、上記の代わりに、信号取得ボード101と、制御ボード103と、無線通信ボード104の、3枚のボードを重ねることによって通信装置2を構成する。
【0070】
図5の平面図に示すように、信号取得ボード101の上面(表面)には、端子台111や、コネクター114,115,116,117,118が配置されている。端子台111は、縦2×横4の、合計8個の端子を備えている。これら8個の端子のそれぞれは、金属製であり、ネジが設けられている。各端子には信号線を接続することができる。なお、端子台111自体は合成樹脂製である。コネクター114,115,116,117,118は、それぞれ、合成樹脂製のカバーと、金属製の端子とを有している。コネクター114は、4端子のコネクターである。コネクター115,116,117,118のそれぞれは、2端子のコネクターである。ボルト106,107,108のそれぞれは、信号取得ボード101と、信号変換ボード102と、制御ボード103と、無線通信ボード104とを貫通している。また、通信装置1に強制的にサーバー装置に通信させるためのトリガーを与えるスイッチや、通信装置1の状態を表示するためのLED表示指令用のスイッチも、信号取得ボード101上に実装してよい。また、状態表示用LEDもこの基板上に実装することが望ましい。
【0071】
図6の右側面図や、
図7の背面図や、
図8の左側面図や、
図9の正面図に示すように、ボルト106,107,108は、前述のとおり、4枚のボードを貫通している。また、図示するように、スペーサーナットを用いて、信号取得ボード101と信号変換ボード102との間、信号変換ボード102と制御ボード103との間、制御ボード103と無線通信ボード104との間のそれぞれに、所定の長さの隔たりが維持されるようにしている。各ボードには、部品(電子素子等)が配置されるとともに、プリント配線等を用いた配線が施されている。つまり、信号取得ボード101と、信号変換ボード102と、制御ボード103と、無線通信ボード104とのそれぞれが、信号取得部21と、信号変換部22と、制御部23と、無線通信部24との機能を有する電子回路を備えている。同図において、符号131,132,133,134,135は、それぞれ、合成樹脂製の層間配線コネクターである。
【0072】
層間配線コネクター131,132,133,134,135のそれぞれの内部には、層と層との間を電気的に接続するための信号線(不図示)が設けられている。なお、層間配線コネクター131,132,133,134,135のそれぞれの内部に、さらに電力供給線を設けるようにしてもよい。
層間配線コネクター131は、信号取得ボード101と信号変換ボード102との間の配線を収容するように設けられている。
層間配線コネクター132は、信号変換ボード102と制御ボード103との間の配線を収容するように設けられている。
層間配線コネクター133は、制御ボード103と無線通信ボード104との間の配線を収容するように設けられている。
層間配線コネクター134は、信号取得ボード101と信号変換ボード102との間の配線を収容するように設けられている。
層間配線コネクター135は、信号変換ボード102と制御ボード103との間の配線を収容するように設けられている。
なお、コネクター等を用いることによって、層間配線が容易に着脱できるようにしてもよい。
【0073】
層間配線コネクター131,132,133は、通信装置1を平面視した場合に各ボード上の同じ位置に設けられている。また、層間配線コネクター134,135は、通信装置1を平面視した場合に各ボード上の同じ位置に設けられている。したがって、例えば、第2層目の信号変換ボード102を取り外して、信号取得ボード101と制御ボード103との間の層間配線が直接接続されるようにすることもできる。
言い換えれば、例えば、少なくとも信号取得ボード101と信号変換ボード102と制御ボード103とが、平面視した状態におけるサイズが同一になるようにする。そして、
信号取得ボード101から出力される信号線の信号取得ボード101を平面視した状態における位置と、信号変換ボード102から出力される信号線の信号変換ボード102を平面視した状態における位置とを、同一にする。これにより、信号変換ボード102がある状態とない状態との、いずれの状態にも、通信装置を構成することができるようにする。
このようにすれば、通信装置1(
図1を参照)を、比較的容易に通信装置2(
図2を参照)に作り替える(構成変更)ことができる。また、通信装置1と通信装置2とを、共通の部品を用いて製造することも容易である。
【0074】
図6,
図8,
図9において示される符号121は、無線通信ボード104上に設けられたコネクターである。このコネクター121を介して、無線通信ボード104からデータを出力させたり、無線通信ボード104にデータを入力させたりするようにしてもよい。
【0075】
また、制御ボード103から直接データを出力させたり、制御ボード103に直接データを入力させたりするためのポート(コネクター等)をさらに設けてもよい。
なお、制御ボード103には、CPU2301をはじめとして、
図4に示した各種ハードウェア等が設けられている。
また、入力側インターフェース部2303(
図4)は、上記の層間配線コネクター132や135の少なくともいずれかに収容される配線に接続されている。
また、無線送受信側インターフェース部2304(
図4)は、上記の層間配線コネクター133に収容される配線に接続されている。
【0076】
図10に示すのは、通信装置1の下面、即ち、無線通信ボード104の裏面である。無線通信ボード104には、無線通信に用いるための集積回路等が設けられている。無線通信ボード104の裏面にも実際には配線がプリントされているが、ここでは配線の図を省略して示している。
【0077】
次に、通信装置1を構成する各ボードに実装される回路の概略について説明する。
図11,
図12,
図13,および
図14は、通信装置1を構成する各ボード上の回路の概略構成を示す回路ブロック図である。なお、これらの図は、各ボード上における回路の機能構成を示すものであり、必ずしも、各ボード上における回路ブロックの物理的な配置のしかたを示すものではない。
図11は、信号取得ボード101の回路ブロック図である。
図12は、信号変換ボード102の回路ブロック図である。
図13は、制御ボード103の回路ブロック図である。
図14は、無線通信ボード104の回路ブロック図である。
【0078】
以下では、これらのそれぞれの回路ブロック図を参照しながら、概略回路構成を説明する。
【0079】
これらの回路ブロック図で示すC1111からC1401までのコネクターは、ボード間を相互に接続するためのコネクターである。前述の層間配線コネクター131,132,133,134,135は、これらC1111からC1401までのコネクターのいずれかに相当するものである。但し、回路ブロック図中で1つの基板上に設けられている複数のコネクターの少なくとも一部を、まとめて1つのコネクターで置き換えてもよい。こうすることにより、コネクター数を減らすことも可能である。
回路ブロック図上では、コネクターC111~C1401のそれぞれを各ボードの端の辺上に記載している。コネクターC111~C1401のそれぞれは、各ボードを平面視したときにその端の辺上に設けられていることは必ずしも必要ではない。コネクターC111~C1401のそれぞれは、各ボード上の任意の位置に設けられ得る。例えば、各ボードを平面視したときに、あるコネクターがそのコネクターの接続先であるコネクターと同じ位置に配置されるようにすると、当該ペアのコネクター間の配線を最短にしたりコネクター間の配線を不要にしてコネクター同士を直結したりすることができる。
【0080】
通信装置1は、信号取得ボード101と信号変換ボード102と制御ボード103と無線通信ボード104とを有する。その一形態として、信号取得ボード101と信号変換ボード102と制御ボード103と無線通信ボード104とを、この順序で重ねて配置することによって通信装置1を構成するようにしてもよい。この場合、コネクター間の接続関係は、次の通りである。
信号取得ボード101のコネクターC1111,C1112,C1113,C1114,C1115は、それぞれ、信号変換ボード102のコネクターC1201,C1202,C1203,C1204,C1205に接続される。
信号変換ボード102のコネクターC1211,C1212,C1213,C1214,C1215は、それぞれ、制御ボード103のコネクターC1301,C1302,C1303,C1304,C1305に接続される。
制御ボード103のコネクターC1311,C1312は、それぞれ、無線通信ボード104のコネクターC1401,C1402に接続される。
【0081】
通信装置2は、通信装置1から、信号変換ボード102を除外した構成である。即ち、通信装置2は、信号取得ボード101と制御ボード103と無線通信ボード104とを有する。その一形態として、信号取得ボード101と制御ボード103と無線通信ボード104とを、この順序で重ねて配置することによって通信装置2を構成するようにしてもよい。この場合、コネクター間の接続関係は、次の通りである。
信号取得ボード101のコネクターC1111,C1112,C1113,C1114,C1115は、それぞれ、制御ボード103のコネクターC1301,C1302,C1303,C1304,C1305に接続される。
制御ボード103のコネクターC1311,C1312は、それぞれ、無線通信ボード104のコネクターC1401,C1402に接続される。
【0082】
つまり、上記の接続関係を前提として、次のことが言える。
信号変換ボード102のコネクターC1201,C1202,C1203,C1204,C1205の、ボードを平面視したときのボード上の位置を、それぞれ、制御ボード103のコネクターC1301,C1302,C1303,C1304,C1305の位置と同一(ないしは略同一)とする。また、信号取得ボード101のコネクターC1111,C1112,C1113,C1114,C1115の、ボードを平面視したときのボード上の位置を、それぞれ、信号変換ボード102のコネクターC1211,C1212,C1213,C1214,C1215の位置と同一(ないしは略同一)とする。
これらにより、信号変換ボード102のモジュールを含むようにするか否かによって、通信装置1あるいは通信装置2を容易に作り替えることが可能となる。
【0083】
各ボード上の回路構成については、次の通りである。
図11に示す信号取得ボード101は、上記のコネクターC1111からC1115までを有する。また、信号取得ボード101は、電源接続コネクター1151と、UARTコネクター1152と、アログ入力端子1153および1154と、DIC0コネクター1155と、I2Cコネクター1156と、外部コネクター1157とを含んで構成される。
電源接続コネクター1151は、本実施形態による通信装置を電源(例えば、電池)に接続するためのコネクターである。電源接続コネクター1151は、コネクターC1111に接続される。
UARTコネクター1152は、UARTのインターフェースにより外部から電気信号を取得するためのコネクターである。UARTコネクター1152は、コネクターC1112に接続される。
アログ入力端子1153および1154は、それぞれ、外部からアナログ電気信号を取得するためのコネクターである。アログ入力端子1153および1154は、それぞれ、コネクターC1113およびC1114に接続される。
DIC0コネクター1155は、DIC0(サージ防護機器)に接続するためのコネクターである。DIC0コネクター1155は、コネクターC1115内のピンに接続される。
I2Cコネクター1156は、I2Cのインターフェースにより外部から電気信号を取得するためのコネクターである。I2Cコネクター1156は、コネクターC1115内のピンに接続される。
外部コネクター1157は、外部との電気的接続のためのコネクターである。外部コネクター1157は、コネクターC1115内のピンに接続される。
【0084】
図12に示す信号変換ボード102は、前記のコネクターC1201からC1205までおよびC1211からC1215までを有する。また、信号変換ボード102は、絶縁DCDC1251と、レギュレーター1252と、アイソレーター1253と、ADC1254と、レギュレーター1255と、アイソレーター1256と、ADC1257と、レギュレーター1258と、アイソレーター1259とを含んで構成される。
また、信号変換ボード102は、入力側のコネクターC1205と出力側のコネクターC1206との間を直結するための信号線を有する。
絶縁DCDC1251は、絶縁DC/DC電源である。絶縁DCDC1251は、下記のレギュレーター1252,1255,1258を通して、信号変換ボード102内に電力を供給する。
レギュレーター1252,1255,1258のそれぞれは、電源調節の機能を有するレギュレーターである。レギュレーター1252,1255,1258のそれぞれは、電圧を変換したり、電源を安定化させたりする機能を有する。
アイソレーター1253は,1256,1259のそれぞれは、信号変換ボード102における各信号系統の入力側と出力側を直流的に絶縁するためのものである。
ADC(アナログ-デジタル変換器)1254,1257のそれぞれは、入力側のアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するものである。ADC1254,1257のそれぞれは、複数のチャネル(例えば、2チャネル)の信号を変換するものであってもよい。
コネクターC1202から入力される信号は、アイソレーター1253を経由して、コネクターC1212から出力される。
コネクターC1203から入力される信号は、ADC1254でアナログ信号からデジタル信号に変換され、アイソレーター1256を経由して、コネクターC1213から出力される。
コネクターC1204から入力される信号は、ADC1257でアナログ信号からデジタル信号に変換され、アイソレーター1259を経由して、コネクターC1214から出力される。
【0085】
図13に示す制御ボード103は、前記のコネクターC1301からC1305まで、C1311、およびC1312を有する。また、制御ボード103は、マイコン1351と、DCDC1252および1253と、レギュレーター1354と、温度計1355と、デバッグ用UARTコネクター1356と、プログラム書き込み用JTAG用コネクター1357とを含んで構成される。
マイコン1351は、制御機能を実現するためのコンピューターチップである。マイコン1351は、
図4におけるCPU2301に相当する。マイコン1351は、ストアドプログラム方式を用いて、プログラムとして書かれた各種の機能を持つように構成される。マイコン1351は、入力側のコネクターC1302,C1303,C1304,C1305の信号線に接続される。また、マイコン1351は、後述するLTEモジュール1451との間でデータをやりとりするための信号線を有する。マイコン1351は、コネクターC1312を介して、LTEモジュール1451との間で信号のやり取りをする。
DCDC1252は、コネクターC1301からの電源をDCDC変換して、コネクターC1311を介して、無線通信ボード104側に電力を供給する。
DCDC1253は、コネクターC1301からの電源をDCDC変換して、マイコン1351側に供給する。
レギュレーター1354は、マイコン1351に供給される電源を調整する機能を有する。
温度計1355は、温度を測定し、測定された値を電気信号としてマイコン1351に供給する機能を有する。前述の温度測定部2306は、この温度計1355の機能を用いて実現される。
デバッグ用UARTコネクター1356は、UARTによるデバッグ用のコネクターである。
プログラム書き込み用JTAG用コネクター1357は、JTAGによりマイコン1351で稼働するプログラムを書き込むためのコネクターである。
【0086】
図14は、無線通信ボード104は、前記のコネクターC1401およびC1402を有し、また、LTEモジュール1451と、アンテナ1452と、アンテナ1453とを含んで構成される。
LTEモジュール1451は、LTE(Long Term Evolution)による無線通信を実現するためのチップである。LTEモジュール1451は、マイコン1351から、コネクターC1402を介して渡されたデータを送信し、また、受信したデータを同じくコネクターC1402を介してマイコン1351に渡す。また、LTEモジュール1451には、制御ボード103側から、コネクターC1401を介して、電力が供給される。
アンテナ1452,1453のそれぞれは、LTEモジュール1451が無線通信を行う際に用いられるアンテナである。
【0087】
信号変換ボード102と制御ボード103との間の通信としては、例えば、シリアル通信を用いる。また、信号変換ボード102と制御ボード103との間の通信として、パラレル通信を用いてもよい。
制御ボード103と無線通信ボード104との間の通信としては、例えば、シリアル通信を用いる。また、制御ボード103と無線通信ボード104との間の通信として、パラレル通信を用いてもよい。
【0088】
信号変換ボード102は、他のボード(例えば、信号取得ボード101や制御ボード103)との間で接続するためのコネクター(便宜的に「第1コネクター」と呼ぶ)を備える。前記他のボードは、信号変換ボード102との間で接続するためのコネクター(「第2コネクター」と呼ぶ)を備える。
そして、信号変換ボード102は、第2コネクターにおけるピン配置を変更せずに交換可能なモジュールとして構成するようにできる。
このように構成した場合、信号変換ボード102を、その機能(信号変換機能)に応じて交換可能なモジュールとして構成できる。そして、コネクターにおけるピン配置を変更せずに、コネクター同士を接続するだけで、モジュールの交換が可能となる。
【0089】
信号変換ボード102上のコネクターC1203およびC1204の各々はアナログ信号を入力するためのコネクターである。また、コネクターC1213およびC1214の各々は、SPI等のデジタル信号を出力するためのコネクターである。
信号変換ボード102を使用せず、信号取得ボード101のコネクターC1111~C1115を、それぞれ、制御ボード103のコネクターC1201~C1225に直接接続する場合には、信号の種別に合わせて、コネクター内のピンを適切に用いるようにする。つまり、コネクター内の配線(使用するピン)の位置をずらすことにより、信号種別に関して整合性をとるようにする。
【0090】
無線通信ボード104は、他のボード(例えば、制御ボード103)との間で接続するためのコネクター(便宜的に、「第3コネクター」と呼ぶ)を備える。前記他のボードは、無線通信ボード104と接続するためのコネクター(「第4コネクター」と呼ぶ)を備える。無線通信ボード104は、第4コネクターにおけるピン配置を変更せずに無線通信方式に応じて交換可能なモジュールとして構成される。
このように構成した場合、無線通信ボード104を、その機能(無線通信方式。例えば、LPWA無線通信方式や、狭帯域のLTE無線通信方式など。)に応じて交換可能なモジュールとして構成できる。そして、コネクターにおけるピン配置を変更せずに、コネクター同士を接続するだけで、モジュールの交換が可能となる。
【0091】
無線通信ボード104は、無線通信部に代えて、制御部が行う制御に基づいて有線通信方式によりデジタルデータを外部に送信する有線通信部、の機能を有する有線通信ボードに置き換え可能である。無線通信を有線通信で置き換えることが可能であるため、本実施形態による通信装置を有線通信のための装置として構成することもできる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態によれば、無線通信機能を持たないフィールド機器を用いて、無線通信ネットワークを容易に構築することが可能となる。これにより、既存のフィールド機器製品群(センサー群)の資産を活用することができる。つまり、無線通信機能を持たないフィールド機器に、通信機能を持たせることが可能となる。
また、長距離の無線通信を行うことが可能となるため、ネットワークの構築を柔軟に行うことができる。
また、通信装置をモジュール構造で構成することにより、特定のモジュールを容易に入れ替えたり、特定のモジュール(例えば信号変換部)の有無を容易に切り替えたりすることが可能となる。
【0093】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態で説明した通信装置を用いたシステムである。なお、前実施形態において既に説明した事項については以下において説明を省略する場合がある。ここでは、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
図15は、本実施形態によるシステムの概略構成を示すブロック図である。図示するように、システム11は、複数の通信装置1-1,1-2,1-3,・・・と、データ収集サーバー装置7-1,7-2とをネットワーク16で接続して構成される。なお、同図では、3台の通信装置と2台のデータ収集サーバー装置とを示しているが、通信装置あるいはデータ収集サーバー装置の台数は任意である。また、通信装置1-1,1-2,1-3,・・・を単に通信装置1と呼ぶ場合がある。また、データ収集サーバー装置7-1,7-2を単にデータ収集サーバー装置7と呼ぶ場合がある。
なお、通信装置1の代わりに通信装置2(
図2およびその説明を参照)を用いてシステム11を構成するようにしてもよい。その場合、本実施形態の説明における「通信装置1」を適宜「通信装置2」に読み替える。
【0094】
通信装置1-1,1-2,1-3,・・・は、それぞれ、センサー5-1,5-2,5-3,・・・に接続されている。具体的には、通信装置1は、その信号取得部21が有するコネクター等を介してセンサー5に接続されている。なお、センサー5は、フィールド機器であり、具体的には例えば流量計、温度計、湿度計、圧力計などといった機器のいずれかである。但し、通信装置に接続できるものであれば、どのような装置であってもよい。通信装置1は、無線通信によりゲートウェイ装置6を経由してネットワーク16に接続される。個々の通信装置1は、例えば設定等に基づいて、所定の時間間隔(例えば、数十秒、あるいは1分など)ごとに、データをデータ収集サーバー装置7に向けて送信する。
なお、ゲートウェイ装置6を経由せず、通信装置1とネットワーク16上の装置とが直接通信を行うようにしてもよい。
【0095】
ゲートウェイ装置6は、通信装置1側(無線通信)と、データ収集サーバー装置7側(ネットワーク16)とを仲介するための装置である。ゲートウェイ装置6は、双方向に通信を仲介する。つまり、ゲートウェイ装置6は、通信装置1が無線通信で送信したデータを受信し、宛先であるデータ収集サーバー装置7に向けて再送信する。また、ゲートウェイ装置6は、データ収集サーバー装置7が通信装置1に宛てて送信したデータを受信し、宛先である通信装置1に向けて無線通信で再送信する。
なお、ゲートウェイ装置6は、データ収集サーバー装置7が通信装置1に宛てて送る制御データ(例えば、通信装置1に対する指示など)を仲介する場合もある。さらに、ゲートウェイ装置6は、通信装置1がデータ収集サーバー装置7に宛てて送る制御データ(データ収集サーバー装置7に対する要求など)を仲介する場合もある。
【0096】
データ収集サーバー装置7-1,7-2のそれぞれは、例えばサーバーコンピューターを用いて実現される。データ収集サーバー装置7は、ネットワーク16に接続されており、ネットワーク16を経由して通信装置1側から受信するデータを収集し、蓄積する。データ収集サーバー装置7は、データを蓄積するために、磁気ハードディスク装置や半導体メモリーを用いた記憶装置などを備えている。
つまり、データ収集サーバー装置7は、通信装置1から送信されるデジタルデータを受信し、蓄積する。また、データ収集サーバー装置7は、データをグラフ表示する機能や、保守画面等の機能をも備えている。
【0097】
なお、ネットワーク16はいわゆるクラウドネットワークであってもよい。また、データ収集サーバー装置7は、いわゆるクラウドサーバーを用いて実現されていてもよい。
【0098】
本実施形態によれば、通信装置1は、接続されているセンサー5から渡されるデータを、無線通信経由で、さらにゲートウェイ装置6経由で、データ収集サーバー装置7に送ることができる。これにより、データ収集サーバー装置7は、(多数の)センサー5で検知したデータを収集することができる。また、通信装置1とデータ収集サーバー装置7との間で様々な制御データの送受信を行うこともできる。なお、通信装置1とゲートウェイ装置6との間の無線通信は、中継装置なしで数キロメートルといった長距離のデータ伝送が可能であり、しかも低消費電力で実現される。つまり、多数の中継装置等を設置することなく、広範囲にわたるプラント等におけるシステムを構築することが可能となる。つまり、中継装置を少なくして、低コストで柔軟なシステムを構築することが可能となる。
【0099】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態で説明した通信装置を用いたシステムである。
図16は、本実施形態によるシステムの概略構成を示すブロック図である。図示するように、システム12は、複数の通信装置1-1,1-2,1-3,・・・と、設定サーバー装置8と、端末装置9-1,9-2,・・・とをネットワーク17で接続して構成される。なお、同図では、3台の通信装置と1台の設定サーバー装置と2台の端末装置とを示しているが、通信装置や設定サーバー装置や端末装置の台数は任意である。
端末装置9-1,9-2,・・・を単に端末装置9と呼ぶ場合がある。
なお、通信装置1の代わりに通信装置2(
図2およびその説明を参照)を用いてシステム12を構成するようにしてもよい。その場合、本実施形態の説明における「通信装置1」を適宜「通信装置2」に読み替える。
【0100】
第2実施形態の場合と同様に、通信装置1-1,1-2,1-3,・・・は、それぞれ、センサー5-1,5-2,5-3,・・・に接続されている。通信装置1は、無線通信によりゲートウェイ装置6を経由してネットワーク17に接続される。
【0101】
ゲートウェイ装置6は、第2実施形態において説明した機能と同様の機能を有する。本実施形態において、ゲートウェイ装置6は、通信装置1側(無線通信)と、設定サーバー装置8側(ネットワーク17)とを仲介するための装置である。ゲートウェイ装置6は、双方向に通信を仲介する。つまり、ゲートウェイ装置6は、通信装置1が無線通信で送信したデータを受信し、宛先である設定サーバー装置8に向けて再送信する。また、ゲートウェイ装置6は、設定サーバー装置8が通信装置1に宛てて送信したデータを受信し、宛先である通信装置1に向けて無線通信で再送信する。通信装置1と設定サーバー装置8との間で送受信されるデータは、例えば、通信装置1を個別に設定するための制御データである。
【0102】
設定サーバー装置8は、例えばサーバーコンピューターを用いて実現される。設定サーバー装置8は、ネットワーク17に接続されており、ネットワーク17を経由して通信装置1との間で通信を行う。設定サーバー装置8の主要な機能は、通信装置1を個別に設定することである。なお、設定サーバー装置8は、ネットワーク17を経由して、端末装置9との間でも通信を行うことができる。
【0103】
端末装置9は、例えば、デスクトップ型PCや、ノート型PCや、タブレット端末や、スマートフォン(スマホ)や、ウェアラブル端末等を用いて実現される。端末装置9は、例えば液晶表示画面とタッチパネル等を用いたユーザーインターフェースの機能を備えている。端末装置9は、そのユーザーインターフェースを介して、ユーザー(例えば、多数の通信装置1を備えた化学プラント等の管理者)に対して、設定サーバー装置8から提供される情報を提示する。また、端末装置9は、そのユーザーインターフェースを介して、当該ユーザーからの操作の情報(例えば、通信装置1を設定するための情報)を取得する。端末装置9は、設定サーバー装置8のクライアントとして機能し、上記のユーザーからの設定情報等を設定サーバー装置8に送信する。なお、設定サーバー装置8は、データ収集サーバー装置7と一体化して構成されるものであってもよい。
【0104】
第2実施形態の場合と同様に、ネットワーク17はいわゆるクラウドネットワークであってもよい。また、設定サーバー装置8は、いわゆるクラウドサーバーを用いて実現されていてもよい。
【0105】
図17は、本実施形態における端末装置9が有する表示装置に表示される通信装置設定画面の一構成例を示す概略図である。図示するように、通信装置設定画面は、通信装置識別情報の欄と、チャネルごとの種別および数値範囲の欄とを含んでいる。
通信装置識別情報の欄は、個々の通信装置1を識別するための情報を表示させたり入力したりするための欄である。
チャネルごとの種別および数値範囲の欄は、通信装置1のチャネルごとのデータの種別および数値範囲を表示させたり入力したりするための欄である。これらの欄をまとめて数値範囲設定欄と呼ぶ場合がある。なお、「種別」に関しては、例えばプルダウンメニューから選択可能とするユーザーインターフェースが用いられる。
【0106】
図示する例では、通信装置識別情報として「P001R234D456」が表示されている。また、チャネル1に関して、種別「温度」が選択されており、範囲として下限「-20」および上限「80」が表示されている。また、チャネル2に関して、種別「圧力」が選択されており、範囲として下限「0」および上限「1,000,000」が表示されている。また、チャネル3に関して、種別「流量」が選択されており、範囲として下限「0」および上限「1,000」が表示されている。なお、通信装置1が処理するチャネルの数は、3には限られず、任意である。
【0107】
設定サーバー装置8は、通信装置設定画面の情報を端末装置9に送信する。その情報を受信した端末装置9は、通信装置設定画面を表示する。また、端末装置9のユーザーは、通信装置設定画面を用いて個々の通信装置1の設定を行うことができる。
通信装置識別情報の欄に識別情報が入力されると、その識別情報に該当する通信装置1の設定情報が数値範囲設定欄に表示される。また、数値範囲設定欄の中のデータ(種別や数値範囲)を更新することにより、該当する通信装置1の設定が変更される。具体的には、端末装置9に表示されている通信装置設定画面において設定を変更するためのデータの更新が行われると、その変更の情報は端末装置9から設定サーバー装置8に送信される。また、それに応じて、設定サーバー装置8は、該当する通信装置1に対して、設定の変更を指示する。
例えば、電池にて通信装置1を駆動するような場合は、低消費電力化のために、制御部に組込んだプログラムにより、予め定められた時刻に通信装置1からデータを送付する。設定サーバー装置8から通信装置1への設定値の書き換えはこのタイミングでしか行われないが、任意の時刻に設定サーバー装置8から設定値の書換えができるようにするため、通信装置1にはスイッチが設けられている。つまり、このスイッチが操作されると、予め定められた時刻以外であっても、通信装置1に強制的に設定サーバー装置8にアクセスさせることができる。
【0108】
以上のように、設定サーバー装置8は、通信装置1に対して、通信装置1の設定を変更するよう指示する。具体例として、設定サーバー装置8は、通信装置1における数値変換処理に関して、信号のチャネルごとの、物理量の種別や信号が表す数値の数値範囲の設定を変更するよう指示する。
【0109】
本実施形態によれば、設定サーバー装置8は、端末装置9のユーザーの操作等に基づき、通信装置1に対して設定データを送信する。これにより、例えば化学プラント等の構成要素として機能する通信装置1を適切に設定することが可能となる。本実施形態においても、なお、通信装置1とゲートウェイ装置6との間の無線通信は、中継装置なしで数キロメートルといった長距離のデータ伝送が可能であり、しかも低消費電力で実現される。つまり、多数の中継装置等を設置することなく、広範囲にわたるプラント等におけるシステムを、低コストで柔軟に構築することが可能となる。
【0110】
[複数の実施形態の組み合わせ]
以上に説明した複数の実施形態のいずれかを適宜組み合わせて実施してもよい。
例えば第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせ、ネットワーク上にデータ収集サーバー装置7と設定サーバー装置8との両方を設けたシステムを実施してもよい。
【0111】
[コンピューターとプログラムを用いた実施]
なお、上の実施形態で説明した通信装置や、データ収集サーバー装置や、設定サーバー装置や、端末装置や、ゲートウェイ装置といった装置の少なくとも一部の機能をコンピューターで実現することができる。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、一時的に、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0112】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、例えば、工業設備等に利用することができる。但し、本発明の利用範囲はここに例示したものには限られない。
【符号の説明】
【0114】
1,2…通信装置、11,12…システム、16,17…ネットワーク、21…信号取得部、22…信号変換部、23…制御部、24…無線通信部、101…信号取得ボード(端子台ボード)、102…信号変換ボード(HART通信ボード)、103…制御ボード(CPUボード)、104…無線通信ボード(通信ボード)、106,107,108…ボルト、111…端子台、114,115,116,117,118,121…コネクター、131,132,133,134,135…層間配線コネクター、231…設定管理部、232…数値変換部、233…時刻補正部、234…温度監視部、235…データバックアップ部、236…無線送受信制御部、237…動作状態管理部、238…状態表示制御部、1151…電源接続コネクター、1152…UARTコネクター、1153,1154…アナログ入力端子、1155…DIC0コネクター、1156…I2Cコネクター、1157…外部コネクター、1251…絶縁DCDC、1252…レギュレーター、1253…アイソレーター、1254…ADC(アナログ-デジタル変換器)、1255…レギュレーター、1256…アイソレーター、1257…ADC(アナログ-デジタル変換器)、1258…レギュレーター、1259…アイソレーター、1351…マイコン、1352,1353…DCDC、1354…レギュレーター、1355…温度計、1356…デバッグ用UARTコネクター、1357…プログラム書き込み用JTAG用コネクター、1451…LTEモジュール、1452…アンテナ、1453…アンテナ、2301…CPU(中央処理装置)、2302…メモリー(記憶部)、2303…入力側インターフェース部、2304…無線送受信側インターフェース部、2305…GPS信号受信部、2306…温度測定部、2307…表示部(LED、発光ダイオード)、C1111~C1402…コネクター