IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井関農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-籾摺選別機 図1
  • 特許-籾摺選別機 図2
  • 特許-籾摺選別機 図3
  • 特許-籾摺選別機 図4
  • 特許-籾摺選別機 図5
  • 特許-籾摺選別機 図6
  • 特許-籾摺選別機 図7
  • 特許-籾摺選別機 図8
  • 特許-籾摺選別機 図9
  • 特許-籾摺選別機 図10
  • 特許-籾摺選別機 図11
  • 特許-籾摺選別機 図12
  • 特許-籾摺選別機 図13
  • 特許-籾摺選別機 図14
  • 特許-籾摺選別機 図15
  • 特許-籾摺選別機 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】籾摺選別機
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B02B7/00 105
B02B7/00 102
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018230099
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020089859
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 政司
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】岩井 通和
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-055280(JP,A)
【文献】特開2006-016150(JP,A)
【文献】特開2016-155048(JP,A)
【文献】特開2010-227805(JP,A)
【文献】特許第4138865(JP,B2)
【文献】特開2004-223459(JP,A)
【文献】特開平08-229375(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108786961(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 - 7/02
B65G 17/00 - 17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に籾摺装置(2)、混合米を揚穀する混合米昇降機(4)、長尺異物を選別する分配用受樋(15)、揺動選別装置(6)、仕上米を揚穀する仕上米昇降機(7)を配置した籾摺選別機において、所定累積時間を算出する手段を備え、籾摺選別運転中の累積運転時間毎に、前記混合米昇降機(4)及び仕上米昇降機(7)それぞれの底部に向けエア噴出する混合米昇降機用エアノズル(40)及び仕上米昇降機用エアノズル(46)を設け、
エアを供給するコンプレッサ(41)にエアフィルタ(60)とエアの供給停止を切り替えるエアバルブ(61)を直列に接続すると共に、エアフィルタ(60)とエアバルブ(61)を機体正面側の前面カバー(9)に取り付け、
エアバルブ(61)から第1接続ホース(42a)及び第2接続ホース(42b)を接続し、
第1接続ホース(42a)は、機体正面側に沿って仕上米昇降機用エアノズル(46)に接続し、
第2接続ホース(42b)は機体正面から機体内部を貫通して混合米昇降機用エアノズル(40)に接続することを特徴とする籾摺選別機。
【請求項2】
分配用受樋(15)の受部多孔板(20)の移送終端部から側部の異物排出口(21)の間にあって長尺異物(D)を移送する選別部多孔板(22)の上方に、前記異物排出口(21)に向けて斜め上方からエア噴出するエアノズル(52)を設けることを特徴とする請求項1記載の籾摺選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺装置からの摺出米を受けて揺動選別板で選別する籾摺選別機に関し、特に昇降機の残米の除去構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来籾摺選別機において、混合米昇降機の底部近傍に混合米昇降機の内部に残留した籾や玄米などの混合米を除去するために、噴風口を昇降機の底部に向けたエアノズルを設けた構成がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-55280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によると、混合米昇降機の底部に残留する籾や玄米を効率良く除去することができる効果がある。ところが、連続的に多量の籾摺選別作業を行うと、昇降機の底部には玄米表皮から剥離された糠や籾殻等の微細物質が付着・粘着して除去し難くなる。
【0005】
この発明は、上記に鑑み、混合米昇降機や仕上米昇降機の底部への微細物質の付着・粘着の防止を図る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0007】
第1の本発明は、機体に籾摺装置(2)、混合米を揚穀する混合米昇降機(4)、長尺異物を選別する分配用受樋(15)、揺動選別装置(6)、仕上米を揚穀する仕上米昇降機(7)を配置した籾摺選別機において、所定累積時間を算出する手段を備え、籾摺選別運転中の累積運転時間毎に、前記混合米昇降機(4)及び仕上米昇降機(7)それぞれの底部に向けエア噴出する混合米昇降機用エアノズル(40)及び仕上米昇降機用エアノズル(46)を設け、
エアを供給するコンプレッサ(41)にエアフィルタ(60)とエアの供給停止を切り替えるエアバルブ(61)を直列に接続すると共に、エアフィルタ(60)とエアバルブ(61)を機体正面側の前面カバー(9)に取り付け、
エアバルブ(61)から第1接続ホース(42a)及び第2接続ホース(42b)を接続し、
第1接続ホース(42a)は、機体正面側に沿って仕上米昇降機用エアノズル(46)に接続し、
第2接続ホース(42b)は機体正面から機体内部を貫通して混合米昇降機用エアノズル(40)に接続することを特徴とする籾摺選別機である。
第2の本発明は、分配用受樋(15)の受部多孔板(20)の移送終端部から側部の異物排出口(21)の間にあって長尺異物(D)を移送する選別部多孔板(22)の上方に、前記異物排出口(21)に向けて斜め上方からエア噴出するエアノズル(52)を設けることを特徴とする第1の本発明の籾摺選別機である。
本発明に関連する第1の発明は、機体に籾摺装置2、揺動選別装置6、昇降機4,7を配置した籾摺選別機において、所定累積時間を算出する手段を備え、籾摺選別運転中累積運転時間毎に、前記昇降機4,7の底部に向けエア噴出するエア噴出手段40,46を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明に関連する第発明は、機体に籾摺装置2、揺動選別装置6、昇降機4,7を配置した籾摺選別機において、累積籾摺選別量を算出する手段を備え、籾摺選別運転中所定累積籾摺選別量毎に、前記昇降機4,7の底部に向けエア噴出するエア噴出手段40,46を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明に関連する第3の発明は、本発明に関連する第2の発明において、前記揺動選別装置6で選別された仕上米を受入て小米および砕米を除去する仕上米選別機49´を備え、累積籾摺選別量は前記仕上米選別機49´の所定処理量に基づいて算出する構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、籾摺選別運転中定期的にエア噴出手段40,46からのエア噴出によって昇降機4,7底部にエアが吹き付けられるので、糠や籾殻等の微細物質の付着・粘着を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】籾摺選別機の正面側斜視図(a)および背面側斜視図(b)
図2】籾摺選別機の内部構成の正面図
図3】揺動選別板の選別分布状況
図4】揺動選別装置の正面図(a)および側面図(b)
図5】籾玄米分離体の斜視図
図6】混合米分配用受樋の正面図
図7】異物受の分解斜視図(a)および要部側面図(b)
図8】伝動状態及び圧搾空気分配接続状態を示す図
図9】混合米移送樋及び混合米昇降機の平断面図(a)および混合米移送樋及び第2エアノズル装着状況を示す背断面図(b)
図10図9(a)A-Aで示す混合米昇降機の下部の断面図
図11】タイムチャート図
図12】エアノズルへの接続ホース配索を示す正面図(a)、左側面図(b)及び混合米移送樋の昇降機接続部の平面図(c)
図13】制御ブロック図
図14】選択モード別条件・対象穀物例一覧表
図15】フローチャート
図16】混合米タンクセンサ設置の別例を示す概要図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態につき、図面に基づき説明する。
【0013】
まず、本発明の適用対象である籾摺選別機の全体について説明する。
【0014】
籾摺選別機1は、図1の正面側斜視図(a)および背面側斜視図(b)に示すように、機体正面側左端の籾摺装置2と、籾殻ダクト3aを備える風選部3と、その後部に配置の混合米昇降機4および混合米タンク5と、この混合米タンク5を後部に受ける前後に長い揺動選別装置6と、その側方の仕上米昇降機7とを備えて構成される。
【0015】
籾摺選別機1の内部構成は、図2の正面図に示すように、籾を収容する籾ホッパ2aをロール型籾摺装置2の上方に配置し、この籾摺装置2から脱ぷ穀粒を風選部3により風選処理して分離した籾殻を籾殻ダクト3aから排出するとともに、風選穀粒(籾と玄米との混合米)を混合米昇降機4により混合米タンク5に貯留し、この混合米を供給調節可能な混合米タンク5から、揺動選別装置6の選別始端部H側に供給し、この揺動選別装置6の左右方向の揺動動作によって揺上げ側に玄米を比重選別し、この玄米の選別領域Aに合わせて選別終端側Tに可動玄米仕切板8を配置することによって選別玄米を仕切り、仕上米昇降機7に至る排出路9を経て仕上玄米として排出する(図3)。
【0016】
その一方で、揺動選別装置6の揺下げ側に選別される籾は、その籾領域Bに合わせて可動籾仕切板10を配置することにより、籾領域Bの選別籾をスロワ11に至る再籾摺路12を経て再び籾摺装置2に還元供給し、残余の混合米領域Cに選別される混合米は、混合米昇降機4に至る再選別路13を経て再び揺動選別装置6に循環供給する。このようにして、籾摺作業の進行とともに玄米を選別して玄米領域Aから仕上米昇降機5によって仕上玄米として排出する。
【0017】
ところで、前記排出路9を選別玄米が仕上米昇降機7の下部に向けて右側下方に向け傾斜案内され、前記再選別路13を混合米が逆に左側下方に向け傾斜案内されるように設け、その間に循環・排出切換弁50を備え、選別玄米を前記排出路9へ案内する排出側姿勢と選別玄米を前記選別路13側へ案内する循環側姿勢に切換自在に設ける。そして、後述のように、籾摺選別作業開始直後や揺動選別装置6への混合米供給が途切れる籾摺選別作業終了間際において循環側姿勢に切換え、通常運転時には排出側姿勢に切換えられるように構成されている。
【0018】
揺動選別装置6について詳細に説明する。図4の正面図(a)および側面図(b)に示すように、前後に長い揺動選別板14を両側板14a,14bによって多段に固定した選別部と、その上部背面側で混合米を受けて各揺動選別板14に分配供給する分配用受部15からなる混合米分配部とを一体に構成し、揺下側となる左の側板14aには、籾領域Bの選別籾を再籾摺路12に導く籾玄米分離体16を備える。
【0019】
揺動選別装置6を構成する多段構成の揺動選別板14は、それぞれに選別用の凹部14cを多数形成しており、全体を左右方向の右側が高く傾斜するとともに選別始端側Hの後端部を高くして分配用受樋15から混合米を受けつつ左右に傾斜揺動することにより、それぞれの前端部を選別終端側Tとして穀粒が比重選別される。揺動選別板14の揺上げ側には玄米層の玄米領域A、揺下げ側には籾層の籾領域B、中間部には混合米層の混合米領域Cが形成される。
【0020】
そして、揺動選別装置6の揺動選別板14毎に籾領域Bの選別終端側Tの側部に籾領域Bの籾を取り出す籾案内口17を設け、該籾案内口17の側方に対向する位置に、箱型状の籾玄米分離体16を側板14aを介して取付ける。籾玄米分離体16には各揺動選別板14それぞれの籾領域Bの籾が籾案内口17を通過して流入し、そこで籾に混じる玄米を分離し、前記再籾摺路12に籾を案内し、再選別路13に玄米を案内する構成である。
【0021】
籾玄米分離体16内には、籾に混じる玄米を漏下する網目体である目抜孔を多数形成した多孔板16aを揺動選別板14の段数分設ける。各多孔板16aの下方には、それぞれ漏下選別された玄米を受ける玄米案内板16bを設ける。すなわち、多孔板16aと玄米案内板16bを上下方向に交互に配置する構成である。
【0022】
玄米案内板16bの玄米排出側には、各玄米案内板16bから排出した玄米が一括して通過案内する玄米案内通路18を設け、この玄米案内通路18を前記再選別路13に連通する。また、各段の多孔板16aを漏下しなかった籾を一括して通過案内する籾案内通路19を設け、籾案内通路19と再籾摺路12を連通する。
【0023】
この実施の形態の玄米案内通路18は玄米案内板16bの側方に配置し、籾案内通路19は多孔板16aの前側に配置している。
【0024】
各多孔板16aと玄米案内通路18とを籾仕切壁16Sで仕切り、玄米案内板16bと玄米案内通路18は連通する構成とし、各多孔板16aと籾案内通路19とを連通し、玄米案内板16bと籾案内通路19とを玄米仕切壁16Gで仕切る構成である。すなわち、多孔板16a、玄米案内板16b、籾案内通路19、玄米案内通路18、籾仕切壁16S、玄米仕切壁16Gが籾玄米分離体16の箱体内に設けられている。
【0025】
多段の揺動選別板14毎に設けた籾案内口17から籾領域Bの籾が籾玄米分離体16の多孔板16aに流入する。多孔板16aにより混入している玄米が漏下し、多孔板16a上に残った籾は籾仕切壁16Sにより玄米案内通路18への流入を阻止されつつ籾案内通路19に流入し、再籾摺路12に落下して案内される。また、多孔板16aを漏下した玄米は玄米案内板16bに落下して供給され、玄米仕切壁16Gにより籾案内通路19への流入を阻止されつつ玄米案内通路18に入り、落下して再選別路13に案内される。本構成により、籾領域Bから取り出された籾に混じる玄米を各段毎の選別によって滞留無しに精度良く選別することができる。
【0026】
この場合において、籾玄米分離体16を側板14aの外側に沿って設け、前後方向に長い多孔板16aによる長い選別行程を形成することにより籾と玄米の選別精度を向上することができるため、籾摺装置2に戻る玄米量が低減し、二度摺りによる肌ずれ玄米の量を低減することができる。また、選別された玄米は再選別路13を介して迅速な再選別処理が可能となる。
【0027】
また、各玄米案内板16bは、籾案内口17の多孔板16aの下方で玄米を玄米案内通路18側に送出する傾斜角度を設けることにより、多孔板16aから受けた漏下選別穀粒が迅速に案内されて滞留のない効率のよい再選別が可能となる。また、多孔板16aは揺動選別板14と平行する姿勢で設けており、揺動選別板と同様に前後方向に前下がり傾斜する構成のため、籾を円滑に籾案内通路19に排出できる。
【0028】
また、玄米案内通路18の下端に揺動選別板14の下方を傾斜して設ける再選別連通部18aを接続し、再選別連通部18aと再選別路13に連通することにより、籾案内通路19の後方に再選別連通部18aを設けることとなり、籾玄米分離体16で分離した籾と玄米のそれぞれの搬送行程を簡潔に構成することができる。
【0029】
前記分配用受樋15は、混合米タンク5の下方に設けられ、混合米タンク5からの混合米を広幅に形成した移送樋部15aを経て多段揺動選別板14の背面側から各段に分配する分配樋14dに供給するものである。図6の部分矢視図を含む透視正面図に示す分配用受樋15には、混合米に混在する長尺異物Dを分離するため、目抜孔20aを形成した受部多孔板20を横姿勢に設け、その排出端に臨んで長尺異物Dを側方に排出するための異物排出口21を形成している。受部多孔板20の排出端から異物排出口21までの間には、混合米を漏下して最上段の揺動選別板14に供給する目抜孔22aを形成した選別部多孔板22を設ける。目抜孔22aは少なくとも受部多孔板20の排出端側に全幅に亘って形成する。受部多孔板20からほぼ大部分の混合米は移送樋部15aに漏下し分配樋14dに向け移送されるもので、該移送樋部15aには移送ラックを適宜に形成してもよい。分配用受樋15の揺下側には前記分配樋14dから各段の揺動選別板14への流入量が均一化できるように流量調節用の均し弁23を設ける。また、後続の選別部多孔板22は短区間であるが異物排出口21に向けやや上り傾斜として長尺異物Dの移送を遅らせながら残留する混合米を漏下させるものである。
【0030】
上記構成の受部多孔板20は、混合米タンク5から受けた混合米を揺動動作によって下方の混合米流下板15aに漏下することによって各揺動選別板14に分配供給し、また、受部多孔板20に残留された混合米中の長尺異物Dは揺動によってその終端側に移送される。この長尺異物Dは更に選別部多孔板22に移動し、長尺異物Dに混じる混合米を漏下して最上段の揺動選別板14に供給する一方、長尺異物Dは、異物排出口21から排出される。したがって、受部多孔板20と選別部多孔板22とによる簡易な構成により、藁屑等の長尺異物Dを順次排出することができる。
【0031】
この場合において、最上段の揺動選別板14と対向する位置に選別部多孔板22を配置することにより、特段の案内部材を要することなく、混合米を揺動選別板14に供給することができる。また、選別部多孔板22は、異物排出口21まで昇り傾斜に形成することにより長尺異物Dの移動が抑制されて混合米を確実に漏下することができる。
【0032】
異物排出口21からの長尺異物Dを受ける異物受21Dは、図7の分解斜視図(a)および要部側面図(b)に示すように、異物排出口21の直下位置で揺動選別板14の背面側を覆う外装カバー24の張出部24aに形成した開口に開放可能に受板部24bを設けて構成する。すなわち、受板部24bが外装カバー24の一部を形成している。
【0033】
この異物受21Dは、蝶番等により受板24bを開放可能に軸支することにより、閉鎖時は外部からの異物侵入を防止するとともに、混合米分配部に受けた混合米から分離された長尺異物Dを異物排出口21から受けて貯留する。この貯留異物Dは、機体の側方位置で受板部24bを回動して開放操作することにより、受板部24bが傾斜ガイドとなって機外に落下排出されることから、作業者が貯留異物Dに触れることなく、下方配置の収容部材(図示せず)に収容することができる。
【0034】
この場合において、張出部24aに形成した開口を囲む仕切24cを設けることにより、受板部24bに受けた異物Dの散乱を防止することができる。
【0035】
モータ25による籾摺選別機各部の伝動構成(図8)は、モータ25から第1ベルト26を介して籾摺装置2の籾摺ロール2a,2bを軸支するロール軸2cを伝動し、このロール軸2cから第2ベルト27を介して、摺出米移送棚28揺動軸28a、混合米昇降機4連動軸4a、二番ラセン29軸、及び揺動選別装置6連動軸等を伝動する。前記昇降機4連動軸4aから第3ベルト30を介して、混合米昇降機4連動軸4aと、混合米ラセン31軸を伝動し、前記二番ラセン29軸から第4ベルト32を介して、吸引ブロワ3bのファン3c軸を伝動し、前記揺動選別装置6連動軸6aから第5ベルト33を介して揺動クランク軸6bを伝動し、第6ベルト34を介して仕上米昇降機7軸を伝動する形態である。
【0036】
次いで、図9,10に基づき、混合米移送構成と残米処理構成について説明する。前記混合米ラセン31は、混合米移送樋35内に配置され、前記籾摺装置2の摺出米移送棚28から流下する摺出米と前記再選別路13の混合米を受けて前記混合米昇降機4に移送する構成としている。複数のバケット4b,4b…を無端ベルト4cに装着し、上下のプーリ4u,4d間に巻回した混合米昇降機4は、籾摺選別機1の機体後部であって、風選部3の後方に立設される。そして、前記混合米移送樋35の移送終端側を混合米昇降機4の下端側に接続している。この混合米移送樋35の接続部35aは、前記バケット4b,4b…の穀粒掬い上げ側(下降工程側)に固定され、混合米移送樋35内を混合米ラセン31の回転で移送された混合米は、混合米昇降機4の下端側壁への連通開口部から昇降機4の下部に流下案内される構成としている。
【0037】
混合米移送樋35の搬送方向に沿って開閉弁36を備え、混合米移送樋35の底部を開閉可能に構成され、この移送樋35の底部にたまる残米を排出できる。開閉弁36の下方には、排出された残米を受ける残米受部としての残米受ボックス37を備える。
【0038】
なお、混合米昇降機4は、籾摺選別機1の機体に対して前記第2ベルト27の配設空間をおいて後方に、即ち機体背面を覆う背面カバー38よりも適宜間隔後方に立設されており、混合米移送樋35の前記接続部35aである移送樋終端側も機体よりも後方に位置するものとなっており、前記混合米移送樋35に設ける底部開口及びこれに対応する開閉弁36は、機体内側の区間に配設される構成である。
【0039】
そして、前記混合米昇降機4の下部に第1エアノズル40を配置している。第1エアノズル40は図9,10に示すように、前記混合米移送樋35を接続する側とは反対側の側壁に取り付けるもので、該第1エアノズル40の噴風方向(ハ)は、混合米昇降機4の底部に向かう斜め下方方向に設定されている。そして、エア噴出は間欠的に行う構成とされ、その噴出タイミングは、前記無端ベルト4cに取り付けられたスクレーパ4sが混合米昇降機4の底面を通過するタイミングに合わせている。このように構成すると、エア噴出されるとスクレーパ4sに衝突して混合米の吹き上げ効果を助長でき、ひいてはバケット4bによる掬い上げ効率を向上できる。
【0040】
なお、この第1エアノズル40には、籾摺選別機1機体前方に設置したコンプレッサ41から圧搾空気が接続ホース42を介して供給される構成である。
【0041】
上記のように、第1エアノズル40を設けるものであるから、籾摺選別運転終了後に混合米昇降機4の底部の残米をノズルからのエア噴出によって跳ね上げ、バケット4b,4b…による掬い上げを効率良く行える。
【0042】
また、前記混合米移送樋35の混合米昇降機4との接続部35aに第2エアノズル43を設けている。第2エアノズル43は、混合米移送樋35の上壁部に装着され、ノズル噴風方向を混合米ラセン31による移送方向(ロ)とは逆の移送上手方向に向けて設けてある。なお、第2エアノズル43の支持体44は、ベースプレート44aとノズル装着面44bを有した上方膨出状部44cとからなり、混合米移送樋35の接続部35a上壁部に形成した孔部に対応させて装着している。ノズル装着面44bは水平面と角度αを有して第2エアノズル43の噴風方向(イ)を決定している。
【0043】
このように、第2エアノズル43を設けるから、籾摺選別運転終了後、混合米ラセン31と混合米昇降機4を駆動させた状態で、開閉弁36を開き、第2エアノズル43からエア噴出させることにより、混合米移送樋35の移送終端側に移送されようとする混合米を開閉弁36による開口部から残米受ボックス37に回収できる。混合米移送樋35の接続部35aには開閉弁36を構成しないものであるから、第2エアノズル43による移送方向とは逆の方向に残米をエア噴出によって開閉弁36の存在する箇所へ移動させることができ、残米を可及的に少なくできる。
【0044】
さらに、前記混合米移送樋35の始端側に混合米移送方向に向けて第3エアノズル45、仕上米昇降機7の下部に第4エアノズル46を設ける。第3エアノズル45は、混合米移送樋35内の残米の開閉弁36から下方への排出を促進する。また、機体前面に装着する点検用蓋47を利用して装着するから、点検交換作業を容易に行える。ベースプレート48aとノズル装着面48bを有した支持部48を装着している。そして、第4エアノズル46は、仕上米昇降機7の底部の残米を跳ね上げてバケットの掻き揚げ効率を高める。
【0045】
前記第1エアノズル40,第4エアノズル46の噴出タイミングは、前記のように、前記無端ベルト4cに取り付けられたスクレーパが混合米昇降機4,仕上米昇降機7の底面を通過するタイミングに合わせて構成とし、混合米の吹き上げ効果を助長しバケットによる掬い上げ効率を向上するが、その噴出タイミングを次のように構成することにより異なる効果を期待できる。連続して多量の籾摺選別作業を行うと混合米昇降機4及び仕上米昇降機7の底部に糠や籾殻等が付着し又は粘着し時が経つにつれて除去し難くなるので、籾摺運転中所定の累積運転時間T(T=n×Ts(Tsは単位時間、n=1,2…))経過時に噴出させる構成とする(図11中E1~E5)。このように構成すると、スクレーパ4sに左右されないで定期的に直接糠や籾殻が溜まろうとする昇降機4,7の底部箇所に噴出させることができ、上記した糠・籾殻等の付着・粘着を未然に防止できる。
【0046】
また、上記の例では、タイマ手段のカウントに基づいて所定の累積運転時間毎(又は所定周期)で行う時間管理の構成としたが、所定籾摺選別量毎つまり所定累積籾摺選別量毎に行う構成としても同様の効果が得られる。ここで、所定累積籾摺選別量の算出は、仕上米昇降機7の排出口に接続する仕上米選別機49´の所定処理量を基準とすることができる。仕上米選別機49´は、仕上げ玄米中に混在する小米や砕米を分離除去して整粒を袋詰めする構成で、所定重量(例えば30kg)を袋詰めすべく計量器49´aを備える構成であるから、この計量情報を基にして所定計量毎あるいは累積計量毎に第1エアノズル40,第4エアノズル46の噴出タイミングを決定するものである。なお、仕上米選別機49´の計量情報に基づくほか、袋詰めされた袋Pの累積数であってもよい。さらにモータ25の負荷の累計積算状況によっても累積籾摺選別量を推定できる。
【0047】
また、図11のタイムチャートに示すように、運転スイッチが入りモータ25が起動してから籾摺選別作業が開始(混合米タンク5シャッタ開)されるまでの間に第1エアノズル40及び第4エアノズル46からエア噴出させることで事前クリーニングが実行でき残粒の無い状況で作業開始できる。なお、このエア噴出に際して、まず予備的なエア噴出e1が短時間実行され、次いでやや長い時間のエア噴出e2を行う構成としている。このように構成すると予備的エア噴出によってエアノズルの目詰まり解消が図れて効率的である。
【0048】
さらに、作業終了間際で籾摺選別板14面の混合米が少なくなり前記循環・排出切換弁50が循環側に切換られると、前記第1エアノズル40,第4エアノズル46はエア噴出e3して残米発生を防止する。
【0049】
次に、前記分配用受樋15の長尺異物Dの側部の異物排出口21からの排出を促進すべく設けるエア噴出手段について説明する。図6に示すように、前記分配用受樋15にはカバー15bを備え、該カバー15bには混合米タンク5の排出口下方にのぞむ受入口15cを形成している。受部多孔板20の移送終端部から側部の異物排出口21の間にあって長尺異物Dを移送する補助移送板としての選別部多孔板22の上方に、穀粒等飛散防止板50を垂下状に設けている。なお、この飛散防止板50は、その下辺で長尺異物Dの偏在を是正して幅方向に均分化する機能を併せ有する。さらに、選別部多孔板22の上面に形成される異物貯留部51において堆積する長尺異物Dに対し、前記異物排出口21に向けて斜め上方からエア噴出する第5エアノズル52を設ける。この第5エアノズル52は前記カバー15bに支持体53を介して装着され、噴出方向52jを前記異物排出口21に向けているため、特に異物排出口21手前に移送される長尺異物Dに向けエア噴出され、異物排出口21からの排出を促進できる。なお、エア噴出によって異物排出口21近傍の長尺異物Dを拡散できるので選別部多孔板22の揺動と相まって長尺異物Dのほぐし効果を生じ、混在する混合米の漏下を促進できる。特にエア噴出を受けて飛散する混合米は、飛散防止板50に衝突して選別部多孔板22に落下できる。
【0050】
前記コンプレッサ41は籾摺選別機1機体の前側に設置するなどし、機体正面側の前面カバー9に、このコンプレッサ41エアフィルタ60、エアバルブ61を直列に接続する。エアの供給停止を切り替えるエアバルブ61に2つに分岐して第1接続ホース42a、第2接続ホース42bを接続し、このうち、第1接続ホース42aは、途中分岐部を介して前記第3エアノズル45及び第4エアノズル46に接続される。一方第2接続ホース42bは、機体背面に延長されて前記第1エアノズル40及び第2エアノズル43、第5エアノズル52に接続している(図12)。
【0051】
エアノズルからのエア噴出によって残米除去を行うに際して、品種に応じて以下のように構成する。すなわち、ジャポニカ種の場合は一定圧力でエア噴出を行い、長粒種の場合は、エア噴出の圧力を徐々に増加する。このように構成することにより、特に長粒種で生じ易い穀粒飛散を防止でき、残米低減効率を向上する。なお繰り返しエア噴出を行う場合は、ジャポニカ種では一定圧力の繰り返しで行い、長粒種では徐々に高くし最大圧力となったら停止し次のエア噴出は最低圧力から始める。
【0052】
次に、図13図15に基づき、前記循環・排出切換弁50の切換制御について説明する。なお、対象穀物は籾、麦を問わないが、被選別物を混合米と称し、関連する構成についても便宜上混合米を使用する。循環・排出切換弁50は、籾摺選別作業を開始した直後には前記循環姿勢に設定され、揺動選別装置6へ混合米が安定して供給され選別状況も安定される頃に排出姿勢に切り換えるものである。この姿勢変更は、従来、籾摺選別の場合は混合米タンク5に設定量以上に混合米が溜まった状態となったとき、一方処理する穀物が麦の場合は供給開始から所定時間が経過したときに実行される構成としている。以下に説明するものは、これを改良し、穀物種類、品種、形状に応じて円滑に循環姿勢から排出姿勢に変更できることを目的とするもので、このため、混合米タンク量切換モード、負荷電流切換モード及び混合米タンク量・負荷電流複合切換モードの3モードを設ける。混合米タンク量切換モードは、混合米タンク5に満量に近い所定量の混合米が溜まった状態となったとき循環・排出切換弁50を排出姿勢に切り換えるもので、籾や裸麦に対応できる。負荷電流切換モードは、モータ25の負荷電流検出値Iが予め設定した設定電流値αを超えると上記切換弁50を排出姿勢に切り換えるもので、比重の小なる大麦に対応できる。混合米タンク量・負荷電流複合切換モードは、混合米タンク5に満量に近い所定量の混合米が溜まり、かつモータ25の負荷電流検出値Iが予め設定した設定電流値β(β>α)を超えると上記切換弁50を排出姿勢に切り換えるもので、籾に対応できる。ここで、負荷電流値Iと比較する設定電流値をα及びβの2種設定した理由は、穀物種類が麦の場合は籾摺装置2で脱ぷ処理の必要がないため低負荷の設定電流値αとし、籾の場合には脱ぷの必要があり高めの設定電流値βとしていることによる(図14)。
【0053】
図13において、運転スイッチによる運転開始の前に、前記3種のモードのいずれかを選択設定しておく。装置には制御部Cを備え、少なくとも混合米タンク5内上下2位置に配設した第一混合米タンクセンサ52と第二混合米タンクセンサ53からの混合米検出情報が入力され、かつ負荷電流センサ54によるモータ25の負荷電流検出値Iが入力される構成であり、一方出力情報としては、循環・排出切換弁50を切換るべく連動する正逆転可能な切換モータ50m等がある。また、穀物種類設定スイッチ55による穀物種類設定で、籾が選択されると籾摺装置2の脱ぷロールが接近して脱ぷ処理可能に設定し、大麦と裸麦が選択されると籾摺処理を回避すべく脱ぷロール間隙を広くして麦が流下できるように設定しておく。制御について図15に基づいて説明する。籾摺選別運転が開始されると、各センサ情報が入力され、モードスイッチ56a,56b,56cの設定情報が入力される(S101,S102)。そして、混合米タンク5内下部の所定位置に配設された第一混合米タンクセンサ52まで混合米が達してONしているか否か判断される(S103)。第一混合米タンクセンサ52がONの場合には、モードスイッチ56a,56b,56cのいずれの選択モードが判定される(S104)。混合米タンク量切換モードが選択された場合は、タンク満量近くに配設された第二混合米タンクセンサ53位置まで混合米が溜まっているか否か判断され(S105)、この第二混合米タンクセンサ53位置に達してONするときは、切換モータ50mに正転信号出力されて(S106)、循環・排出切換弁50は排出姿勢に切り換わる(S107)。対象穀物としては籾、裸麦である。
【0054】
S104で負荷電流切換モードが選択されると、検出された負荷電流Iが予め設定した設定電流値αを超えたか否か判定され(S108)、この設定電流値αを超えかつ第二混合米タンクセンサ53がOFFであると(S109)、切換モータ50mは正転し切換弁50は排出姿勢に切り換わる(S106,S107)。なお、この場合の対象穀物は比重の小さい大麦であるため、設定電流値としてαを採用している。S109において第二混合米タンクセンサ53がONの場合には、原料穀物供給量を減少制御すべく緊急対応する(S110)。
【0055】
S104で混合米タンク量・負荷電流複合切換モードが選択されると、検出された負荷電流値Iが予め設定した設定電流値β(>α)を超えたか否か判定され(S111)、この設定電流値βを超えかつ第二混合米タンクセンサ53がONで所定以上に混合米が溜まった状態と判定されると(S105)、切換モータ50mは正転し切換弁50は排出姿勢に切り換わる(S106,S107)。この場合の穀物種類は籾である。前記混合米タンク量切換モードに対して負荷電流値の状況を加味している点で精度の高い制御となり籾に適する。
【0056】
上記の第一混合米タンクセンサ52及び第二混合米タンクセンサ53は、例えば混合米タンク5内所定の高さ位置にアクチュエータをのぞませたリミットスイッチ形態とするものであるが、代替構成として図16のように構成してもよい。すなわち、混合米タンク5を並行リンク機構58によって上下揺動自在に支持し、常時ばね59によって上方に吊り上げるように構成し、上記並行リンク機構58の一方の回動支点部にポテンショメータ型の回動角度検出器60´を設け、混合米タンク5内混合米量に対応する角度出力が回動角度検出器60´にて検出され制御部Cに出力される。そして、制御部Cには前記第一混合米タンクセンサ52に対応する回動角度mと第二混合米タンクセンサ53に対応する回動角度nを予め記憶し、当該回動角度m及びnと負荷電流値Iに対する設定電流α及びβとの関係で、前記混合米タンク量切換モード、負荷電流切換モード、混合米タンク量・負荷電流複合切換モードを選択して実行することができ、循環・排出切換弁50を制御することができる。上例では、第一混合米タンクセンサ52及び第二混合米タンクセンサ53を共通のポテンショメータ型検出器60´に代替したが、第一混合米タンクセンサ52又は第二混合米タンクセンサ53のどちらか一方をポテンショメータ型検出器に代替するようにしてもよい。特に、第二混合米タンクセンサ53をポテンショメータ型としてきめ細かい検出幅とすることで満量状態の把握において穀物種類、品種、形状等に基づく差異を的確に把握して制御精度を向上する。
【符号の説明】
【0057】
2 籾摺装置
4 混合米昇降機(昇降機)
6 揺動選別装置
7 仕上米昇降機(昇降機)
40 第1エアノズル(エア噴出手段)
46 第4エアノズル(エア噴出手段)
49´ 仕上米選別機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16