(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】プラガブル光モジュール及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2021127505
(22)【出願日】2021-08-03
(62)【分割の表示】P 2019219281の分割
【原出願日】2016-04-07
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2015120420
(32)【優先日】2015-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】箕田 友二
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-079092(JP,A)
【文献】特開平09-064558(JP,A)
【文献】特開2013-080059(JP,A)
【文献】特開2005-308856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0211798(US,A1)
【文献】特許第6927278(JP,B2)
【文献】特開2007-086732(JP,A)
【文献】特開2011-095611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/42-6/43、6/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送装置と接続可能なプラガブル電気コネクタと、
第1の光信号を伝送する外部光ファイバと接続可能なプラガブル光レセプタと、
第2の光信号と局発光とを出力する光出力モジュールと、
前記第1の光信号を、前記局発光と干渉させることで受信する光受信モジュールと、
互いに積層される第1のプリント回路基板及び第2のプリント回路基板と、
前記第1の光信号を伝送する第1の光ファイバと、
前記局発光を伝送する第2の光ファイバと、
前記第2の光信号を伝送する第3の光ファイバと、
前記第1乃至第3の光ファイバを収容可能な光ファイバ収容手段と、を備え、
前記光出力モジュール及び前記光ファイバ収容手段は、前記第1のプリント回路基板の少なくとも一部と前記第2のプリント回路基板の少なくとも一部との間に配置される、
プラガブル光モジュール。
【請求項2】
前記光ファイバ収容手段は、前記第1のプリント回路基板の少なくとも一部と、前記光出力モジュールの少なくとも一部との間に配置される、
請求項1に記載のプラガブル光モジュール。
【請求項3】
前記光ファイバ収容手段は、前記第1のプリント回路基板の少なくとも一部に積層され
、
前記第2のプリント回路基板は、前記光出力モジュールの少なくとも一部に積層される、
請求項1又は2に記載のプラガブル光モジュール。
【請求項4】
前記光出力モジュールは、前記光ファイバ収容手段を経由して、前記第1及び第2のプリント回路基板に接続される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラガブル光モジュール。
【請求項5】
前記光ファイバ収容手段は、前記第1の光ファイバを巻き取ることで収容するガイドを含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラガブル光モジュール。
【請求項6】
前記ガイドは、当該ガイドの外周面から外側に突き出した突起部を含み、
前記第1乃至第3の光ファイバは、前記ガイドの下部を通過する、
請求項5に記載のプラガブル光モジュール。
【請求項7】
前記光ファイバ収容手段は、前記第1乃至第3の光ファイバを巻き取ることで収容する複数のガイドを含む、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラガブル光モジュール。
【請求項8】
前記第1乃至第3の光ファイバの一部又は全部はスプライス部を含む、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプラガブル光モジュール。
【請求項9】
前記光ファイバ収容手段は、前記スプライス部を収容する構造を含む、
請求項8に記載のプラガブル光モジュール。
【請求項10】
光伝送装置と、
プラガブル光モジュールと、を備え、
前記プラガブル光モジュールは、
前記光伝送装置と接続可能なプラガブル電気コネクタと、
第1の光信号を伝送する外部光ファイバと接続可能なプラガブル光レセプタと、
第2の光信号と局発光とを出力する光出力モジュールと、
前記第1の光信号を、前記局発光と干渉させることで受信する光受信モジュールと、
互いに積層される第1のプリント回路基板及び第2のプリント回路基板と、
前記第1の光信号を伝送する第1の光ファイバと、
前記局発光を伝送する第2の光ファイバと、
前記第2の光信号を伝送する第3の光ファイバと、
前記第1乃至第3の光ファイバを収容可能な光ファイバ収容手段と、を備え、
前記光出力モジュール及び前記光ファイバ収容手段は、前記第1のプリント回路基板の少なくとも一部と前記第2のプリント回路基板の少なくとも一部との間に配置される、
光通信システム。
【請求項11】
前記光ファイバ収容手段は前記第1のプリント回路基板の少なくとも一部と、前記光出力モジュールの少なくとも一部との間に配置される、
請求項10に記載の光通信システム。
【請求項12】
前記光ファイバ収容手段は、前記第1のプリント回路基板の少なくとも一部に積層され
、
前記第2のプリント回路基板は、前記光出力モジュールの少なくとも一部に積層される、
請求項10又は11に記載の光通信システム。
【請求項13】
前記光出力モジュールは、前記光ファイバ収容手段を経由して、前記第1及び第2のプリント回路基板に接続される、
請求項10乃至12のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項14】
前記光ファイバ収容手段は、前記第1の光ファイバを巻き取ることで収容するガイドを含む、
請求項10乃至13のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項15】
前記ガイドは、当該ガイドの外周面から外側に突き出した突起部を含み、
前記第1乃至第3の光ファイバは、前記ガイドの下部を通過する、
請求項14に記載の光通信システム。
【請求項16】
前記光ファイバ収容手段は、前記第1乃至第3の光ファイバを巻き取ることで収容する複数のガイドを含む、
請求項10乃至15のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項17】
前記第1乃至第3の光ファイバの一部又は全部はスプライス部を含む、
請求項10乃至16のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項18】
前記光ファイバ収容手段は、前記スプライス部を収容する構造を含む、
請求項17に記載の光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラガブル光モジュール及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいては、光信号の送受信に用いられる光モジュールが搭載される。こうした光モジュールでは、特にデジタルコヒーレント通信用途においては、複数の部品が比較的狭小な筐体内に実装される。そして、これら複数の部品は、筐体に引き回された接続用の光ファイバで接続される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、発明者は、上述のデジタルコヒーレント通信に用いられるプラガブル光モジュールには、以下に示す問題点があることを見出した。一般にデジタルコヒーレント通信に用いられる送受信機能をするプラガブル光モジュールには、光モジュールや入力/出力インターフェースなどを接続する、光部品接続用の光ファイバが1又は複数設けられる。
【0005】
例えば、光信号を送信するインターフェースと光出力機能(例えば、光出力モジュール)とが光ファイバで接続される。また例えば、外部からの光信号を受信するインターフェースと光受信機能(例えば、光受信モジュール)とが光ファイバで接続される。更にまた、デジタルコヒーレント通信において受信した光信号を復調するには、変調された光信号を局部発振光と干渉させることでコヒーレント検波を行う必要がある。そのため、光出力機能に含まれる光源が出力する所定波長の光から分岐された局部発振光を、光受信機能へ導く必要がある。よって、光出力機能と光受信機能との間を接続する光ファイバが必要となる。したがって、デジタルコヒーレント通信に用いられるプラガブル光モジュールの筐体には、デジタルコヒーレント通信に要する複数の光部品と複数の光ファイバとを実装する必要がある。
【0006】
しかし、デジタルコヒーレント通信に用いられるプラガブル光モジュールに対する小型化要求が厳しく、筐体内の部品間の狭い間隙に光ファイバ引き回して固定することは困難である。また、光ファイバの曲げには制限が有るので、その制限を越えて曲げてしまうと、光ファイバが破損してしまう。更に、無理に光ファイバを筐体に収めようとすると、光ファイバと光部品とが干渉し、光ファイバが傷ついたり、断線したりといった故障が生じるおそれもある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、プラガブル光モジュールにおいて、複数の光部品が実装される筐体内に、光部品接続用の光ファイバをコンパクトに収容することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様であるプラガブル光モジュールは、光伝送装置と接続可能なプラガブル電気コネクタと、第1の光信号を伝送する外部光ファイバと接続可能なプラガブル光レセプタと、第2の光信号と局発光とを出力する光出力モジュールと、前記第1の光信号を、前記局発光と干渉させることで受信する光受信モジュールと、前記光受信モジュールと接続されたプリント回路基板と、前記第1の光信号を伝送する第1の光ファイバと、前記局発光を伝送する第2の光ファイバと、前記第2の光信号を伝送する第3の光ファイバと、前記第1乃至第3の光ファイバを収容可能な光ファイバ収容手段と、を備え、前記光ファイバ収容手段は、前記プリント回路基板の底面の少なくとも一部と前記光出力モジュールの上面の少なくとも一部との間に配置されるものである。
【0009】
本発明の一態様である光通信システムは、光伝送装置と、プラガブル光モジュールと、を備え、前記プラガブル光モジュールは、前記光伝送装置と接続可能なプラガブル電気コネクタと、第1の光信号を伝送する外部光ファイバと接続可能なプラガブル光レセプタと、第2の光信号と局発光とを出力する光出力モジュールと、前記第1の光信号を、前記局発光と干渉させることで受信する光受信モジュールと、前記光受信モジュールと接続されたプリント回路基板と、前記第1の光信号を伝送する第1の光ファイバと、前記局発光を伝送する第2の光ファイバと、前記第2の光信号を伝送する第3の光ファイバと、前記第1乃至第3の光ファイバを収容可能な光ファイバ収容手段と、を含み、前記光ファイバ収容手段は、前記プリント回路基板の底面の少なくとも一部と前記光出力モジュールの上面の少なくとも一部との間に配置されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プラガブル光モジュールにおいて、複数の光部品が実装される筐体内に、光部品接続用の光ファイバをコンパクトに収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1にかかるプラガブル光モジュールを光ファイバ側から見た場合の斜視図である。
【
図2】実施の形態1にかかるプラガブル光モジュールを光伝送装置側から見た場合の斜視図である。
【
図3A】実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3B】実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3C】実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1にかかるプラガブル光モジュールの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図5】実施の形態1にかかるプラガブル光モジュールが搭載される光通信システムの要部構成例を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態1にかかる光出力モジュールの構成例を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態1にかかる光変調部の構成を模式的に示す図である。
【
図8】実施の形態1にかかる光ファイバ収容手段の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図9】実施の形態2にかかる光ファイバ収容手段での光ファイバの収容例を模式的に示す上面図である。
【
図10】実施の形態2にかかる光ファイバ収容手段での光ファイバの他の収容例を模式的に示す上面図である。
【
図11】実施の形態2にかかる光ファイバ収容手段での光ファイバの他の収容例を模式的に示す上面図である。
【
図12】第1~第3の周回経路を組み合わせて用いる場合の光ファイバの収容例を示す図である。
【
図13】実施の形態3にかかる光ファイバ収容手段の構成を模式的に示す上面図である。
【
図14】実施の形態4にかかる光ファイバ収容手段の構成を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
実施の形態1
実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100について説明する。プラガブル光モジュール100は、コネクタ付きの光ファイバのコネクタ部が挿抜可能に構成される。また、プラガブル光モジュール100は、例えば外部の光伝送装置に挿抜可能に構成される。
【0014】
まず、プラガブル光モジュール100の外観について説明する。
図1は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100を光ファイバの差込側から見た場合の斜視図である。
図1に示す符号61は、プラガブル光モジュール100の上面を示す。
図1に示す符号62は、コネクタ付光ファイバのコネクタの差込口を示す。
図2は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100を光伝送装置側から見た場合の斜視図である。
図2に示す符号63は、プラガブル光モジュール100の下面を示す。
図2に示す符号64は、光伝送装置93との接続部を示す。
【0015】
続いて、プラガブル光モジュール100の基本的な内部構造について説明する。
図3Aは、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図3Aは、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100を光伝送装置側から見た場合の斜視図である。なお、
図3Aでは、筐体10を構成する下面(
図2の符号63)の蓋部を取り外した例を示している。
【0016】
図3Aに示すように、プレート状の光ファイバ収容手段14は、筐体10の上面側(Z+側)の内側に、光ファイバが収容された面が上側(Z+側)に向くように実装される。また、光モジュール(光出力モジュール及び光受信モジュールの一方又は両方)やプラガブル電気コネクタなどが実装されたプリント回路基板51が、部品が実装された面が上側(Z+方向)を向くように、光ファイバ収容手段14と干渉しない位置に実装される。さらに、光モジュール(光出力モジュール及び光受信モジュールの一方又は両方)が、光ファイバ収容手段14の下側(Z-側)に実装される。ここでは、光モジュールの例として、後述する光出力モジュール12を用いている。
【0017】
光ファイバ収容手段14は、プレート状の部材として形成され、プラガブル光モジュール100に搭載される光部品間を接続する光ファイバはこのプレート内に巻き取られる。ここでは、光部品接続用の光ファイバの例として、光ファイバ収容手段14を経由して、光出力モジュール12とプリント回路基板51に実装された他の光部品とを接続する光ファイバF1を示している。
図3Aに示すように、光ファイバ収容手段14は、他の部品や他の部品が実装されたプリント回路基板の上方又は下方の筐体内に配置することができる。この場合、光ファイバ収容手段14の光ファイバが収容された面が他の部品やプリント回路基板51に向かないように、換言すれば、光ファイバ収容手段14の下面が他の部品やプリント回路基板51に向くように配置することが望ましい。これにより、光ファイバの破損を防止することができる。この例では、光出力モジュール12などの光部品や光ファイバ収容手段14が筐体10内に収められた場合の光ファイバ(例えば、光ファイバF1)の余長は、後述するように、光ファイバ収容手段14に巻き取られる。これにより、筐体10内の光部品接続用の光ファイバは、他の光部品やプリント回路基板51と干渉しないように、筐体10に収容される。
【0018】
プラガブル光モジュール100の基本的な内部構造の変形例について説明する。
図3Bは、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図3Bは、
図3Aと同様に、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100を光伝送装置側から見た場合の斜視図である。
図3Bでは、
図3Aと同様に、筐体10を構成する下面(
図2の符号63)の蓋部を取り外した例を示している。
【0019】
図3Bに示すように、プラガブル電気コネクタなどが実装されたプリント回路基板52が筐体10の上面側(Z+側)の内側に実装される。プレート状の光ファイバ収容手段14は、プリント回路基板52とZ方向に積層されるように実装される。光ファイバ収容手段14の光ファイバが収容された面は上側(Z+側)を向いてもよいし、下側(Z-側)を向いてもよい。光ファイバ収容手段14はZ方向の厚みが薄いプレート状の部材として構成されるので、容易にプリント回路基板52と積層することができる。その他の構成は、
図3Aと同様である。
【0020】
この例では、光出力モジュール12などの光部品や光ファイバ収容手段14が筐体10内に収められた場合の光ファイバ(例えば、光ファイバF1)の余長は、後述するように、光ファイバ収容手段14に巻き取られる。これにより、筐体10内の光部品接続用の光ファイバは、他の光部品やプリント回路基板52と干渉しないように、筐体10に収容される。
【0021】
プラガブル光モジュール100の基本的な内部構造の他の変形例について説明する。
図3Cは、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図3Cは、
図3Aと同様に、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100を光伝送装置側から見た場合の斜視図である。
図3Cでは、
図3Aと同様に、筐体10を構成する下面(
図2の符号63)の蓋部を取り外した例を示している。
【0022】
図3Cに示すように、プラガブル電気コネクタなどが実装されたプリント回路基板53が筐体10の上面側(Z+側)の内側に実装される。プレート状の光ファイバ収容手段14及び光出力モジュール12は、プリント回路基板53とZ方向に積層されるように実装される。光ファイバ収容手段14の光ファイバが収容された面は上側(Z+側)を向いてもよいし、下側(Z-側)を向いてもよい。他の光部品などが実装されたプリント回路基板54が、プリント回路基板53及び光ファイバ収容手段14とZ方向に積層されて実装される。この場合においても、光ファイバ収容手段14はZ方向の厚みが薄いプレート状の部材として構成されるので、容易にプリント回路基板53及び54(第1及び第2のプリント回路基板)と積層することができる。
【0023】
ここでは、光部品接続用の光ファイバの例として、光ファイバF2及びF3が設けられている。光ファイバF2は、光ファイバ収容手段14を経由して、例えば光出力モジュール12とプリント回路基板53に実装された他の光部品とを接続する。光ファイバF3は、光ファイバ収容手段14を経由して、例えば光出力モジュール12とプリント回路基板54に実装された他の光部品とを接続する。この例では、光出力モジュール12などの光部品や光ファイバ収容手段14が筐体10内に収められた場合の光ファイバ(例えば、光ファイバF2及び3)の余長は、後述するように、光ファイバ収容手段14に巻き取られる。これにより、筐体10内の光部品接続用の光ファイバは、他の光部品やプリント回路基板53及び54と干渉しないように、筐体10に収容される。
【0024】
図3A~
図3Cは例示であり、光ファイバの破損が防止できるならば、光ファイバ収容手段14の光ファイバが収容された面の向きは、上側(Z+側)でも下側(Z-側)でもよい。また、光ファイバの破損が防止できるならば、プリント回路基板の光部品などが実装される面の向きは、上側(Z+側)でも下側(Z-側)でもよい。
【0025】
以上、本構成によれば、プラガブル光モジュール100の内部における光配線に用いる光ファイバを他の部品と交錯することなく収容できることが理解できる。
【0026】
続いて、プラガブル光モジュール100の基本的な内部構造についてより詳細に説明する。
図4は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の構成をより詳細に示すブロック図である。
図5は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100が搭載される光通信システム1000の要部構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、プラガブル光モジュール100は、コネクタ付きの光ファイバ91及び92のコネクタ部が挿抜可能に構成される。コネクタ付きの光ファイバ91及び92のコネクタとしては、例えばLC型コネクタやMU型コネクタを用いることができる。プラガブル光モジュール100は、通信ホストである光伝送装置93から入力される制御信号CON1に基づいて制御される。プラガブル光モジュール100は、制御信号CON1とともに、光伝送装置93からデータ信号である変調信号MODを受信することも可能である。この場合、プラガブル光モジュール100は、受信した変調信号MODに基づいて変調した光信号LS1(第1の光信号とも称する)を、光ファイバ91を介して出力することができる。また、プラガブル光モジュール100は、光ファイバ92を介して外部から受信した光信号LS2(第2の光信号とも称する)に対応するデータ信号DATを、光伝送装置93へ出力することができる。光伝送装置93は、例えば、プラガブル光モジュール100からの通信データ信号又はプラガブル光モジュール100に入力する通信データ信号のフレーム処理等の通信データ処理を行う。
【0027】
プラガブル光モジュール100は、プラガブル電気コネクタ11、光出力モジュール12、光受信モジュール13、光ファイバ収容手段14、プラガブル光レセプタ15、第1光ファイバF11、第2光ファイバF12及び第3光ファイバF13を有する。
【0028】
プラガブル電気コネクタ11は、光伝送装置93に対して挿抜可能に構成される。プラガブル電気コネクタ11は、光伝送装置93から出力される電気信号である制御信号CON1を受け取って、光出力モジュール12及び光受信モジュール13の一方又は両方に制御信号CON1を転送する。プラガブル電気コネクタ11は、光伝送装置93から出力される電気信号である変調信号MODを受け取って、光出力モジュール12に転送する。プラガブル電気コネクタ11は、光受信モジュール13が出力するデータ信号DATを、光伝送装置93へ転送する。
【0029】
光出力モジュール12は、光伝送装置93からプラガブル電気コネクタ11を介して入力される制御信号CON1に基づいて制御され、かつ、光伝送装置93からプラガブル電気コネクタ11を介して入力される変調信号MODに基づいて変調した光信号LS1を出力する。光出力モジュール12は、光源及びマッハツェンダ型光変調器を含み、マッハツェンダ型光変調器が光源からの光を所定の変調方式で変調することで、光信号LS1を出力する。光出力モジュール12は、マッハツェンダ型光変調器の光導波路に設けられた位相変調領域に変調信号MODを印加することで、光信号LS1を変調する。光出力モジュール12は、位相変調、振幅変調、偏波変調などの各種の変調方式で、又は、各種の変調方式を組み合わせて光信号LS1を変調することができる。ここで、マッハツェンダ型光変調器は、例えば、半導体光変調器等である。
【0030】
ここで、位相変調領域とは、光導波路上に形成された電極を有する領域である。そして、電極に電気信号、例えば電圧信号が印加されることにより、電極の下の光導波路の実効屈折率が変化する。その結果、位相変調領域の光導波路の実質的な光路長を変化させることができる。これにより、位相変調領域は、光導波路を伝搬する光信号の位相を変化させることができる。そして、2本の光導波路の間を伝搬する光信号間に位相差を与えることで、光信号を変調することができる。
【0031】
光出力モジュール12の構成例について説明する。
図6は、実施の形態1にかかる光出力モジュール12の構成例を示すブロック図である。光出力モジュール12は、光源16及び光変調部17を有する。光源16は、例えば、半導体光素子とリング共振器とで構成される波長可変光モジュール等であり、出力光Lorigを出力する。
【0032】
光変調部17は、例えばマッハツェンダ型の光変調器である。なお、光変調部17は、光伝送装置93からプラガブル電気コネクタ11を介して入力される通信データ信号に対応した変調信号MODに応じて、出力光Lorigを変調した光信号LS1を出力する。また、光源16から出力された光(出力光Lorig)の一部は、例えば光分岐部などで分岐され、局部発振光LOとして第2光ファイバF12を介して光受信モジュール13へ出力される。
【0033】
続いて、光変調部17の構成について説明する。
図7は、実施の形態1にかかる光変調部17の構成を模式的に示す図である。光変調部17は、一般的なマッハツェンダ型光変調器として構成される。光変調部17は、光変調器17A及び駆動回路17Bを有する。
【0034】
光変調器17Aは、光源16からの出力光Lorigを変調して、光信号LS1を出力する。光変調器17Aは光導波路171~174、位相変調領域PMA及びPMBを有する。光導波路171の一端には、光源16からの出力光Lorigが入力する。光導波路171の他端は、光導波路172の一端及び光導波路173の一端と光学的に接続される。よって、光導波路171を伝搬する光は、光導波路172と光導波路173とに分岐される。光導波路172の他端及び光導波路173の他端とは、光導波路174の一端と接続される。光導波路172には、光導波路172を伝搬する光の位相を変化させる位相変調領域PMAが配置される。光導波路173には、光導波路172を伝搬する光の位相を変化させる位相変調領域PMBが配置される。光導波路174の他端からは、光信号LS1が出力される。
【0035】
駆動回路17Bは、光変調器17Aの変調動作を制御するとともに、位相変調領域PMA及びPMBの一方又は双方に、制御信号CON1に応じてバイアス電圧VBIASを印加することで光変調器17Aの動作点を制御することができる。以下では、駆動回路17Bは、位相変調領域PMA及びPMBにバイアス電圧を印加するものとして説明する。また、駆動回路17Bは、位相変調領域PMA及びPMBの一方又は双方に変調信号MODを印加することで、光信号LS1を変調することができる。この例では、駆動回路17Bは、位相変調領域PMAに、変調信号MODに応じた変調信号SIG_M1を印加する。駆動回路17Bは、位相変調領域PMBに、変調信号MODに応じた変調信号SIG_M2を印加する。
【0036】
なお、図示しないが、光出力モジュール12は、光強度調整部を有してもよい。光強度調整部は、光出力モジュール12から出力される光信号LS1を減衰又は遮断することで、光信号LS1の光強度を調整してもよい。光強度調整部は、光伝送装置93からプラガブル電気コネクタ11を介して入力される制御信号CON1又は制御信号CON1と異なる制御信号に応じて、光信号LS1の光強度を調整してもよい。光強度調整部としては、例えば光アッテネータを用いてもよい。
【0037】
光受信モジュール13は、光ファイバ92を介して外部から受信した光信号LS2を、光出力モジュール12の光源16からの局部発振光LOと干渉させることで、復調を行う。そして、光受信モジュール13は、復調された電気信号であるデータ信号DATを、プラガブル電気コネクタ11を介して光伝送装置93へ出力する。
【0038】
光ファイバ収容手段14は、プラガブル光モジュール100内に設けられた第1~第3光ファイバF11~F13の余長を巻き取り収容するための構成を有する。光ファイバ収容手段14は、例えば樹脂を用いて構成することができ、例えば金型を用いた射出成形などで容易に作製することが可能である。この例では、光ファイバ収容手段14は、第1~第3光ファイバF11~F13をそれぞれ巻き取るための円形ガイドG11~G13(第1~第3のガイドとも称する)を有する。
図8は、実施の形態1にかかる光ファイバ収容手段14の構成を模式的に示す斜視図である。
図8に示すように、この例では、円形ガイドG11~G13は、
図4及び5の紙面に対して垂直方向(すなわち、Z方向)を軸方向とする薄い円柱状(ないしは円盤状)の部材として、例えば樹脂からなるプレート14A上に構成されるものとして説明する。
【0039】
第1光ファイバF11、第2光ファイバF12及び第3光ファイバF13は、プラガブル光モジュール100内の複数の光部品(例えば、光出力モジュール12、光受信モジュール13及びプラガブル光レセプタ15)を接続する光部品接続用の光ファイバである。第1光ファイバF11の一端は光出力モジュール12と接続され、他端はプラガブル光レセプタ15と接続される。光出力モジュール12から出力される光信号LS1は、第1光ファイバF11を伝搬して、プラガブル光レセプタ15に入射する。第1光ファイバF11の両端間の余長は、第1光ファイバF11が円形ガイドG11の外周を1回以上周回することで、巻き取られるように収容される。これにより、光出力モジュール12とプラガブル光レセプタ15との間の距離よりも長い第1光ファイバF11を効率よく収容し、プラガブル光モジュール100内の他の部品との交錯ないしは干渉を防止することができる。なお、円形ガイドG11は、第1光ファイバF11の巻き取りによる曲げ曲率CV1が、第1光ファイバF11が許容できる最大曲げ曲率MCV1を超えることのないよう(すなわち、CV1<MCV1)に構成される。例えば、円形ガイドG11の外周面の曲率GCV1は、第1光ファイバF11が許容できる最大曲げ曲率MCV1を超えることのないよう(すなわち、GCV1<MCV1)に設計される。
【0040】
第2光ファイバF12の一端は光出力モジュール12と接続され、他端は光受信モジュール13と接続される。光出力モジュール12から出力される局部発振光LOは、第2光ファイバF12を伝搬して、光受信モジュール13に入射する。第2光ファイバF12の両端の余長は、第2光ファイバF12が円形ガイドG12の外周を周回する(例えば、1回以上周回する)ことで、巻き取られるように収容される。これにより、光出力モジュール12と光受信モジュール13との間の距離よりも長い第2光ファイバF12を効率よく収容し、プラガブル光モジュール100内の他の部品との交錯ないしは干渉を防止することができる。なお、円形ガイドG12は、第2光ファイバF12の巻き取りによる曲げ曲率CV2が、第2光ファイバF12が許容できる最大曲げ曲率MCV2を超えることのないよう(すなわち、CV2<MCV2)に構成される。例えば、円形ガイドG12の外周面の曲率GCV2は、第2光ファイバF12が許容できる最大曲げ曲率MCV2を超えることのないよう(すなわち、GCV2<MCV2)に設計される。
【0041】
第3光ファイバF13の一端は光受信モジュール13と接続され、他端はプラガブル光レセプタ15と接続される。プラガブル光レセプタ15からの光信号LS2は、第3光ファイバF13を伝搬して、光受信モジュール13に入射する。第3光ファイバF13の両端の余長は、第3光ファイバF13が円形ガイドG13の外周を1回以上周回することで、巻き取られるように収容される。これにより、光受信モジュール13とプラガブル光レセプタ15との間の距離よりも長い第3光ファイバF13を効率よく収容し、プラガブル光モジュール100内の他の部品との交錯ないしは干渉を防止することができる。なお、円形ガイドG13は、第3光ファイバF13の巻き取りによる曲げ曲率CV3が、第3光ファイバF13が許容できる最大曲げ曲率MCV3を超えることのないよう(すなわち、CV3<MCV3)に構成される。例えば、円形ガイドG13の外周面の曲率GCV3は、第3光ファイバF13が許容できる最大曲げ曲率MCV1を超えることのないよう(すなわち、GCV3<MCV3)に設計される。
【0042】
上記の例では、円形ガイドG11~G13をそれぞれ独立した部材として説明したが、これは例示に過ぎない。例えば、1つの円形ガイドが複数の光ファイバを巻き取り収容する構成としてもよい。すなわち、2つの円形ガイドを設け、一方の円形ガイドが2本の光ファイバ(例えば、第1光ファイバF11及び第2光ファイバF12)を巻き取り収容し、他方の円形ガイドが1本の光ファイバ(第3光ファイバF13)を巻き取り収容する構成としてもよい。また、1つの円形ガイドを設け、この1つの円形ガイドが全ての光ファイバ(例えば、第1光ファイバF11、第2光ファイバF12及び第3光ファイバF13)を巻き取り収容する構成としてもよい。
【0043】
上記の例では、円形ガイドG11~G13について説明したが、ガイドの形状は円形に限られない。外周を周回する光ファイバの曲げ曲率が、光ファイバが許容できる最大曲げ曲率を超えないかぎり、楕円形、角丸正方形、角丸長方形、任意の多角形(角部が曲線で構成されてもよいし、直線で構成されてもよい)など、任意の形状としてもよい。また、ガイドを周回する光ファイバは、ガイドの外周に接触しながら周回してもよいし、ガイドの外周から離隔した経路で周回してもよい。また、上記では、光ファイバがガイドの外周を周回すると説明したが、これは、光ファイバがガイドの外周回りを1回転しなければならないことを意味するものではなく、例えば、外周の1/2や1/4など、光ファイバが1回転よりも短い経路でガイドの外周に沿って曲げられる収容態様を含む。これは、本実施の形態のみならず、以降の実施の形態においても同様である。
【0044】
プラガブル光レセプタ15は、外部のコネクタ付きの光ファイバ91及び92のコネクタが挿抜可能に構成される。
【0045】
一般に、デジタルコヒーレント光通信の用に供するプラガブル光モジュールでは、モジュール内に複数の部品(本実施の形態におけるプラガブル電気コネクタ11、光出力モジュール12、光受信モジュール13、光ファイバ収容手段14及びプラガブル光レセプタ15)を搭載する必要があるだけでなく、プラガブル光モジュールの寸法の小型化が強く求められる。そのため、比較的狭隘な筐体に複数の部品を収め、かつ、必要に応じて、光ファイバを用いて部品間を接続する必要がある。しかし、部品の取り付け位置のばらつきや、光ファイバの切断長さのばらつきなどで、最適な長さ光ファイバを用途ごとに準備することは困難であり、実現できたとしても工数の増大を招くこととなる。しかし、本構成によれば、要求される長さに対して、余裕のある長さの光ファイバを準備し、光ガイドに適宜光ファイバを巻きつけることで光ファイバの余剰部分をコンパクトに収容しつつ、プラガブル光モジュール内の部品間を接続することができる。これにより、部品の取り付けばらつきやファイバの切断バラつきなどの影響を受けることなく、容易にプラガブル光モジュール内で光ファイバを用いた光配線を行うことができる。
【0046】
また、本構成では、プラガブル光モジュール内で用いる光ファイバの長さに余裕が有るので、ガイドを介して異なる部品間で光ファイバを取り回す場合に、光ファイバに不要な緊張(テンション)が加わることを防止できる。これにより、プラガブル光モジュール作製工程における光ファイバの破損を防止できるので、製造歩留まり向上の観点から有利であることが理解できる。
【0047】
また、本構成によれば、光ファイバの収容部が他の部品と交錯することもなく、かつ、収容された位置からずれたりすることもないので、収容後の光ファイバが他の部品と接触して破損するといった事態を防止することができる。これにより、プラガブル光モジュールを他の装置に挿抜する際の振動や衝撃を受けても光ファイバは破損しないので、運用中のプラガブル光モジュール100の故障を防止する観点から有利であることが理解できる。
【0048】
また、本構成では、プレート状の光ファイバ収容手段内に光ファイバを環状に収容できるため、光ファイバ収容手段内の厚みを抑制することができる。よって、筐体内の狭隘な間隙に光ファイバ収容手段を実装することができる。したがって、プラガブル光モジュールの小型化の観点から有利であることが理解できる。
【0049】
実施の形態2
実施の形態2にかかるプラガブル光モジュール200について説明する。実施の形態2にかかるプラガブル光モジュール200は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の光ファイバ収容手段14を光ファイバ収容手段24に置換した構成を有する。本実施の形態では、光ファイバ収容手段24は、光ファイバを巻き取り収容するためのガイドを少なくとも2つ有する。
【0050】
図9は、実施の形態2にかかる光ファイバ収容手段24での光ファイバの収容例を模式的に示す上面図である。光ファイバ収容手段24は、プラガブル光モジュール100内に設けられた第1~第3光ファイバF11~F13を巻き取り収容するための構成を有する。光ファイバ収容手段24は、例えば樹脂を用いて構成することができ、例えば金型を用いた射出成形などで容易に作製することが可能である。この例では、光ファイバ収容手段24は、プレート24A上に設けられた、第1~第3光ファイバF11~F13をそれぞれ巻き取るための円形ガイドG21及びG22を有する。この例では、円形ガイドG21及びG22は、
図4の円形ガイドG11~G13と同様に、
図9の紙面に対して垂直方向を軸方向とする薄い円柱状(ないしは円盤状)の部材として構成されるものとして説明する。
図9の光ファイバ収容手段24においては、1つの円形ガイド(円形ガイドG11)の周りを第1光ファイバF11が周回することで、光ファイバが収容される(以下、第1の周回経路と称する)。
【0051】
図10は、実施の形態2にかかる光ファイバ収容手段24での光ファイバの他の収容例を模式的に示す上面図である。この例では、各光ファイバが複数の円形ガイドを周回する。具体的には、例えば第1光ファイバF11は、光ファイバ収容手段24の円形ガイドG21及びG22の外周を周回することで収容される。
図10に示すように、円形ガイドG21及び円形ガイドG22を包囲するように1回り周回させることで、第1光ファイバF11を収容することができる(以下、第2の周回経路と称する)。
【0052】
図11は、実施の形態2にかかる光ファイバ収容手段24での光ファイバの他の収容例を模式的に示す上面図である。この例では、円形ガイドG21と円形ガイドG22との間で光ファイバを交差させ、円形ガイドG21及び円形ガイドG22のそれぞれでの第1光ファイバF11の周回方向が異なるように周回させることで、第1光ファイバF11を収容することもできる(以下、第3の周回経路と称する)。
【0053】
更に、必要に応じて、上記の第1~第3の周回経路は組み合わせて用いることも可能である。
図12は、第1~第3の周回経路を組み合わせて用いる場合の光ファイバの収容例を示す図である。なお、上述の例においては、周回経路の任意の位置において、第1光ファイバF11を所望の方向に引き出すことが可能であることはいうまでもない。
【0054】
以上、本実施の形態で説明したように、複数のガイド間の複数種類の経路の何れか、又は、複数種類の経路を組み合わせて、1本の光ファイバを巻き取ることができる。これにより、巻き取る光ファイバの長さを多段階に調整することが可能となるので、様々な長さの光ファイバの収容に対応することが可能となる。
【0055】
なお、
図9~
図12では、第1光ファイバF11について示したが、第2光ファイバF12及び第3光ファイバF13も同様に収容できることは言うまでもない。
【0056】
実施の形態3
実施の形態3にかかるプラガブル光モジュール300について説明する。プラガブル光モジュール300は、実施の形態2にかかるプラガブル光モジュール200の光ファイバ収容手段24を光ファイバ収容手段34に置換した構成を有する。以下、光ファイバ収容手段34について説明する。
【0057】
図13は、実施の形態3にかかる光ファイバ収容手段34の構成を模式的に示す上面図である。光ファイバ収容手段34は、光ファイバ収容手段24にスプライス収納部30を追加した構成を有する。本実施の形態では、第1光ファイバF11には、2本の光ファイバを(例えばファイバ融着により)接合した部位であるスプライス部31が設けられている。スプライス部31は、光ファイバ収容手段34のプレート24A上に設けられたスプライス収納部30に収納されることで固定される。
【0058】
スプライス部31は、一般に、2本のファイバの接合部を補強スリーブで覆うことで補強されている。スプライス収納部30には、例えばスプライス部31のスリーブを嵌め込む溝などが設けられている。この溝にスプライス部31を嵌め込むことで、スプライス部31を固定することができる。
【0059】
一般に、スプライス部を有する光ファイバでは、スプライス部のファイバ接合部は他の部位と比べて引っ張りや曲げに対する機械的強度が小さくなってしまう。そこで、本構成では、スプライス収納部30によってスプライス部31を固定することで、光ファイバに力がかかった場合のスプライス部31の動きを抑制し、光ファイバ接合部にかかる負担を軽減できる。その結果、光ファイバの引き回し、光ファイバ収容手段の取り付けなどの際に光ファイバに力がかかっても、光ファイバの断線を防止することが可能となる。
【0060】
なお、
図13では、第1光ファイバF11について示したが、第2光ファイバF12及び第3光ファイバF13も同様に収容できることは言うまでもない。
【0061】
実施の形態4
実施の形態4にかかるプラガブル光モジュール400について説明する。プラガブル光モジュール400は、実施の形態1にかかるプラガブル光モジュール100の光ファイバ収容手段14を光ファイバ収容手段44に置換した構成を有する。以下、光ファイバ収容手段44について説明する。
【0062】
図14は、実施の形態4にかかる光ファイバ収容手段44の構成を模式的に示す上面図である。光ファイバ収容手段44は、円形ガイドG31及びG32、ガイドG33及びG34(第4~第7のガイドとも称する)を有する。円形ガイドG31及びG32は、それぞれ四角形の対角の位置に設けられる。ガイドG33及びG34は、それぞれ、円形ガイドG31及びG32が設けられた位置以外の、四角形の対角の位置に設けられる。
【0063】
なお、
図14では、図面の簡略化のため、光ファイバを符号Fで示した。つまり、光ファイバFは、第1~第3光ファイバF11~F13のいずれかを示す。また、粗いハッチング部は、ガイドの上面と、これと同じ高さの面を示す。細かいハッチング部は、ガイドの上面よりも低い、光ファイバが通る溝部の底面を示す。
【0064】
円形ガイドG31及びG32は、実施の形態2と同様に、それぞれ第1~第3の経路を用いて、光ファイバを巻き取ることができる。また、光ファイバは、ガイドG33及びG34の曲線部分に沿って曲がることができる。
【0065】
図14に示すように、光ファイバは、円形ガイドG31の外周からガイドG33の曲線部分を経て、円形ガイドG32の外周に到達する経路を通ることが可能である(当然ながら、光ファイバは、この逆方向の経路を通ることも可能である)。光ファイバは、円形ガイドG31の外周からガイドG34の曲線部分を経て、円形ガイドG32の外周に到達する経路を通ることが可能である(当然ながら、光ファイバは、この逆方向の経路を通ることも可能である)。
【0066】
また、光ファイバを、円形ガイドG31とガイドG33との間を通って、円形ガイドG31及びG32、ガイドG34へ引き回すことができる(当然ながら、光ファイバは、この逆方向の経路を通ることも可能である)。光ファイバを、円形ガイドG32とガイドG33との間を通って、円形ガイドG31及びG32、ガイドG34へ引き回すことができる(当然ながら、光ファイバは、この逆方向の経路を通ることも可能である)。光ファイバを、円形ガイドG31とガイドG34との間を通って、円形ガイドG31及びG32、ガイドG33へ引き回すことができる(当然ながら、光ファイバは、この逆方向の経路を通ることも可能である)。光ファイバを、円形ガイドG32とガイドG33との間を通って、円形ガイドG31及びG32、ガイドG33へ引き回すことができる(当然ながら、光ファイバは、この逆方向の経路を通ることも可能である)。
【0067】
また、光ファイバ収容手段44は、円形ガイドG31及びG32、ガイドG33及びG34の外周面から外側に突き出した突起41を有する。また、円形ガイドG31及びG32、ガイドG33及び34を囲むように形成された外枠部40には、内側に突き出した突起41が設けられる。突起41は、これらの下側に光ファイバが挿通可能に構成される。これにより、撓みや捻じれなどにより、巻き取られた光ファイバが光ファイバ収容手段44の上方に飛び出すことを防止できる。これにより、光ファイバをより確実に光ファイバ収容手段44に収容するとともに、ガイドから光ファイバから外れてしまう事態を防止することができる。
【0068】
また、プラガブル光モジュール400では、突起41の下部には、開口部42が設けられてもよい。開口部42の開口幅W1は、突起41の幅W2よりも広いことが望ましい。この場合、突起41で押さえられた光ファイバが下側に撓むことができ、光ファイバの収容が容易となる。また、光ファイバ収容手段44の底面と突起41の下面との間の距離が短い場合でも、開口部42を設けることで、光ファイバを挿通させる空間を確保することが可能となる。
【0069】
なお、光ファイバは、開口部42を通って、光ファイバ収容手段44の下方に引き出され、又は、光ファイバ収容手段44の下方から光ファイバが入って円形ガイドに巻き取られる構成としてもよい。これによれば、光ファイバ収容手段44の下方に位置する部品に対する光配線をより容易に行うことができる。よって、光ファイバ収容手段44及び他の部品の配置の自由度を高めることが可能となる。
【0070】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態においては、光出力モジュール12と光受信モジュール13とが分離して設けられ、かつ、光出力モジュール12から光受信モジュール13へ向けて局部発振光LOが出力される構成について説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、光出力モジュール12と光受信モジュール13とは、単一の光モジュールとして構成され、光モジュールの出力部と受信部との間で、例えば光ファイバを介して、局部発振光をやりとりしてもよい。
【0071】
上述の実施の形態では、第1~第3光ファイバF11~F13が設けられる例について説明したが、光ファイバ収容手段に収容できる限り、更なる光ファイバが設けられ、かつ、光ファイバ収容手段に収容されてもよい。但し、更なる光ファイバの全てが光ファイバ収容手段に収容されることは必須ではない。
【0072】
光ファイバ収容手段は、例えば、熱伝導性が高い材料で構成されることが望ましい。この場合、光ファイバ収容手段の近傍に実装される他の部品やプリント回路基板の放熱に寄与することができるので、放熱性能の向上を実現することができる。これにより、回路の熱暴走を抑止することができる。
【0073】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0074】
この出願は、2015年6月15日に出願された日本出願特願2015-120420を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0075】
CON1 制御信号
DAT データ信号
F11 第1光ファイバ
F12 第2光ファイバ
F13 第3光ファイバ
G11~G13、G21、G22、G31、G32 円形ガイド
G33、G34 ガイド
LO 局部発振光
LS1、LS2 光信号
Lorig 出力光
MOD 変調信号
PMA、PMB 位相変調領域
SIG_M1、SIG_M2 変調信号
VBIAS バイアス電圧
10 筐体
11 プラガブル電気コネクタ
12 光出力モジュール
13 光受信モジュール
14、24、34、44 光ファイバ収容手段
14A、24A、44A プレート
15 プラガブル光レセプタ
16 光源
17 光変調部
17A 光変調器
17B 駆動回路
30 スプライス収納部
31 スプライス部
40 外枠部
41 突起
42 開口部
51~54 プリント回路基板
91、92 光ファイバ
93 光伝送装置
100、200、300、400 プラガブル光モジュール
171~174 光導波路
1000 光通信システム