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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
G03G21/00 510
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018146845
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2019032526
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2017151756
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢後 理久
(72)【発明者】
【氏名】田中 澄斗
(72)【発明者】
【氏名】冨井 弘
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0101808(US,A1)
【文献】特開2012-237874(JP,A)
【文献】特開2014-048390(JP,A)
【文献】特開2004-042449(JP,A)
【文献】特開2014-164181(JP,A)
【文献】特開2015-082005(JP,A)
【文献】特開2010-139607(JP,A)
【文献】特開2017-138445(JP,A)
【文献】特開2015-132642(JP,A)
【文献】特開2017-083544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/01
G03G 21/14
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/04
G03G 15/08
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極性に帯電する現像剤を用いてシートに画像を形成する画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体を帯電る帯電手段と、
静電潜像を形成するため、前記感光体を露光する露光手段と、
前記現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記感光体上の前記静電潜像を、前記現像剤を用いて現像する現像手段と、
前記帯電手段により帯電される前記感光体の表面電位を0ボルト未満の第1帯電電位に制御し、前記露光手段の露光を制御し、前記現像剤担持体の電位を前記第1帯電電位より高い第1現像電位に制御して画像を形成する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記画像形成装置の異常箇所を判定するため、模様を有するパターン画像をシートに形成するパターン画像形成制御を実行し、
前記制御手段は、前記パターン画像形成制御において前記模様を有する前記パターン画像が形成される場合、前記帯電手段により帯電される前記感光体の表面電位を0ボルト未満の第2帯電電位に制御し、前記パターン画像の前記模様の部分の電位が前記パターン画像の前記模様以外の部分の電位より高くなるように前記露光手段の露光を制御し、前記現像剤担持体の電位を前記第2帯電電位より低い第2現像電位に制御し、
前記パターン画像の前記模様の部分と前記パターン画像の前記模様以外の部分は同じ色の前記現像剤を用いて現像される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記パターン画像は、前記画像形成装置により形成される画像に生じる第1タイプの画像不良を検知するために用いられ、
前記パターン画像の前記模様は、前記パターン画像が目視されたときに、前記パターン画像の前記第1タイプと種類の異なる第2タイプの画像不良を目立たなくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記パターン画像の前記模様の部分の濃度は、前記パターン画像の前記模様以外の部分の濃度より濃いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート上の前記パターン画像を読み取るセンサをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シート上の前記パターン画像を読み取るセンサをさらに有し、
前記制御手段は、前記異常箇所を前記センサによる前記パターン画像の読取結果に基づいて検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記シート上の前記パターン画像を読み取るセンサと、
前記異常箇所を、前記センサによる前記パターン画像の読取結果に基づいて表示するディスプレイと、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置の異常箇所を判定するための異常判定処理に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置が長時間にわたりストレスのかかる使われ方をすると、部品の劣化等により通常と異なる画像である「異常画像」が発生する可能性がある。劣化等により発生する「異常画像」をセンサ等により自動検知することは難しいため、ユーザからの指摘を受けてからその原因の解消を図るケースが多い。さらに、「異常画像」を言葉で説明することも難しい。例えばスジの色や方向、大きさ等の詳細な情報がわからないと、スジの原因を特定することができない。そのため、ユーザから「異常画像」の指摘を受けたサービスマンが「異常画像」を含む出力画像を直接確認する必要がある。サービスマンは、画像形成装置内の異常箇所を予測して、一度サービスの拠点に戻り、交換すべきユニットを持参しなければならない。このようなやり取りを行うとサービスマンの移動にコストがかかる。さらに、ユーザは原因が解消するまで画像形成装置を使うことができない。よって、ユーザの生産性が大きく低下してしまう。
【0003】
画像形成装置を制御して所定濃度のパターン画像をシートに形成し、読取装置にパターン画像を読み取らせ、パターン画像の読取データに基づいて交換の必要なユニットを特定する技術が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の方法は、読取データを解析してパターン画像におけるスジの位置やスジの濃度を求め、異常の発生したユニットを解析結果に基づいて決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-83544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的な画像形成装置は、ユニットに異常が生じていない場合であっても出力画像の濃度に僅かなムラが生じてしまう。そのため、ユニットの交換が不要であるにもかかわらず、所定濃度のパターン画像に画像不良が生じてしまう可能性があった。そこで、本発明は、異常箇所を特定するのに適したパターン画像を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、たとえば、
負極性に帯電する現像剤を用いてシートに画像を形成する画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体を帯電る帯電手段と、
静電潜像を形成するため、前記感光体を露光する露光手段と、
前記現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記感光体上の前記静電潜像を、前記現像剤を用いて現像する現像手段と、
前記帯電手段により帯電される前記感光体の表面電位を0ボルト未満の第1帯電電位に制御し、前記露光手段の露光を制御し、前記現像剤担持体の電位を前記第1帯電電位より高い第1現像電位に制御して画像を形成する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記画像形成装置の異常箇所を判定するため、模様を有するパターン画像をシートに形成するパターン画像形成制御を実行し、
前記制御手段は、前記パターン画像形成制御において前記模様を有する前記パターン画像が形成される場合、前記帯電手段により帯電される前記感光体の表面電位を0ボルト未満の第2帯電電位に制御し、前記パターン画像の前記模様の部分の電位が前記パターン画像の前記模様以外の部分の電位より高くなるように前記露光手段の露光を制御し、前記現像剤担持体の電位を前記第2帯電電位より低い第2現像電位に制御し、
前記パターン画像の前記模様の部分と前記パターン画像の前記模様以外の部分は同じ色の前記現像剤を用いて現像される
ことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異常箇所を特定するのに適したパターン画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置を説明する図。
図2】制御システムを説明する図。
図3】チャートを説明する図。
図4】カモフラージュ模様を説明する図。
図5】カモフラージュ模様を説明する図。
図6】潜像電位、帯電電位および現像電位の関係を説明する図。
図7】スジの種類と交換部品との関係を説明する図。
図8】現像コートの不良を説明する図。
図9】スジ、潜像電位、帯電電位および現像電位の関係を説明する図。
図10】露光不良と塑性変形を説明する図。
図11】スジ、潜像電位、帯電電位および現像電位の関係を説明する図。
図12】感光ドラムの清掃不良とスジとの関係を説明する図。
図13】スジ、潜像電位、帯電電位および現像電位の関係を説明する図。
図14】チャートの作成処理と交換部品の特定処理を示すフローチャート。
図15】交換部品を示すメッセージの一例を説明する図。
図16】交換部品の特定処理を示すフローチャート。
図17】自色のカモフラージュ模様を形成する方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施例1>
[画像形成装置]
図1は画像形成装置1の概略断面図である。画像形成装置1はイメージリーダー2とプリンタ3を有している。イメージリーダー2は原稿やテストチャートを読み取る読取装置である。光源23は原稿台ガラス22上に置かれた原稿21に光を照射する。光学系24は原稿21から反射光をCCDセンサ25に導き、結像させる。CCDはチャージカップルドデバイスの略称である。CCDセンサ25は、レッド、グリーン、ブルーの色成分信号を生成する。画像処理部28はCCDセンサ25により得られた画像信号に画像処理(例:シェーディング補正など)を実行し、プリンタ3のプリンタ制御部29に出力する。
【0010】
プリンタ3は画像データに基づいてトナー画像をシートSに形成する。プリンタ3は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色のトナー画像を形成する画像形成部10を有している。なお、画像形成部10は、イエローの画像を形成する画像形成ステーション、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション、シアンの画像を形成する画像形成ステーション、及びブラックの画像を形成する画像形成ステーションを備える。また、本発明のプリンタ3はフルカラーの画像を形成するカラープリンタに限定されず、例えば、単色画像を形成するモノクロプリンタであってもよい。図1が示すように、画像形成部10には左側から順にY、M、C、Bkの各色に対応した4つの画像形成ステーションが配置されている。4つの画像形成ステーションの構成はいずれも同様なので、ここではブラックの画像を形成する画像形成ステーションが説明される。画像形成ステーションは感光ドラム11を備えている。感光ドラム11は感光体として機能する。感光ドラム11の周囲には帯電器12、露光器13、現像器14、一次転写器17、ドラムクリーナ15が配置されている。帯電器12は感光ドラム11の表面電位を所定の帯電電位に帯電させる帯電ローラを備える。なお、帯電器12は、帯電ローラに限定されず、コロナ帯電器でもよい。露光器13は光源とミラーとレンズとを備える露光ユニットである。現像器14は現像剤(トナー)を収容する筐体と筐体内の現像剤を担持する現像ローラとを備える。現像ローラには現像電圧が印加される。一次転写器17は転写バイアス(一次)が供給される転写ブレードを備える。なお、一次転写器17は転写ブレードの代わりに転写ローラを備える構成であってもよい。ドラムクリーナ15は感光ドラム11の表面のトナーを除去するクリーニングブレードを備える。
【0011】
次に、ブラックの画像形成ステーションがトナー画像を形成するプロセスが説明される。なお、ブラック以外の他の色の画像形成ステーションがトナー画像を形成するプロセスも同様のプロセスであるので、ここでの説明は省略される。画像形成が開始されると、感光ドラム11は矢印方向に回転する。帯電器12は感光ドラム11の表面を均一に帯電させる。露光器13は、プリンタ制御部29から出力される画像データに基づいて感光ドラム11の表面を露光する。これによって、感光ドラム11には静電潜像が形成される。現像器14は静電潜像にトナーを付着させて現像し、トナー画像を形成する。一次転写器17は感光ドラム11に担持されているトナー画像を中間転写ベルト31に転写する。中間転写ベルト31はトナー画像が転写される中間転写体として機能する。中間転写ベルト31は三つのローラ34、36、37にかけ回されている。ドラムクリーナ15は一次転写器17によって中間転写ベルト31へ転写されずに感光ドラム11に残ったトナーを除去する。
【0012】
給送カセット20又はマルチ給送トレイ30にはシートSが積載される。給送ローラが給送カセット20又はマルチ給送トレイ30からシートSを給送する。給送ローラにより給送されたシートSは搬送ローラによってレジストレーションローラ26へ向けて搬送される。レジストレーションローラ26は、中間転写ベルト31上のトナー画像がシートSの目標位置に転写されるように、シートSを、中間転写ベルト31と二次転写器27との間の転写ニップ部に搬送する。二次転写器27は(二次)転写バイアスが供給される二次転写ローラを備える。二次転写器27は転写ニップ部において中間転写ベルト31上のトナー画像をシートSに転写する。転写クリーナ35は中間転写ベルト31の表面のトナーを除去するクリーニングブレードを備える。転写クリーナ35は転写ニップ部においてシートSに転写されずに中間転写ベルト31上に残ったトナーを除去する。定着器40はヒータを有する加熱ローラと加熱ローラにシートSを押し付ける加圧ローラとを備える。加熱ローラと加圧ローラとの間にはシートSにトナー画像を定着するための定着ニップ部が形成される。トナー画像が転写されたシートSは定着ニップ部を通過する。定着器40は、加熱ローラの熱と、定着ニップ部の圧力とを用いて、シートSにトナー画像を定着させる。
【0013】
[交換部品]
本実施例のプリンタ3に設けられる感光ドラム11、帯電器12およびドラムクリーナ15は一つのプロセスカートリッジ50として一体化されている。プロセスカートリッジ50はプリンタ3に対して脱着可能である。これによって、ユーザ又はサービスマンは感光ドラム11、帯電器12およびドラムクリーナ15を容易に交換できる。また、現像器14もプリンタ3に対して脱着可能である。さらに、一次転写器17と中間転写ベルト31が転写カートリッジとして一体化されている。転写カートリッジもプリンタ3に対して脱着可能である。ユーザ又はサービスマンは一次転写器17と中間転写ベルト31を容易に交換できる。なお、転写クリーナ35もプリンタ3に脱着可能であってもよい。本実施例の交換部品はプロセスカートリッジ50、現像器14、および転写カートリッジである。
【0014】
[制御システム]
図2は画像形成装置1の制御システムを示している。画像形成装置1はネットワーク123を介して、PC124やサーバ128などの外部機器とネットワークを介して接続可能である。PCはパーソナルコンピュータの略称である。プリンタ制御部29はイメージリーダー2やプリンタ3を制御する。プリンタ制御部29は、画像処理を実行する画像処理部と、イメージリーダー2やプリンタ3を制御するデバイス制御部とに分かれていてもよい。通信IF55はネットワークを介して接続された外部機器(PC124、サーバ128)から転送された画像データを受信したり、画像形成装置1から各種のデータを外部機器(PC124、サーバ128)に送信したりするための通信回路である。CPU60は画像形成装置1の各部を統括的に制御する制御回路である。CPU60は記憶装置63に記憶されている制御プログラムを実行することで各種の機能を実現するコントローラである。なお、CPU60の機能の一部またはすべてがASICやFPGAなどのハードウエアによって実現されてもよい。ASICは特定用途集積回路の略称である。FPGAはフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。表示装置61はメッセージ、画像、動画などの様々な情報を表示するディスプレイを備える。入力装置62はテンキー、スタートキー、ストップキー、読取開始ボタンを備える。記憶装置63はROMやRAMなどのメモリや、ハードディクスドライブなどの大容量記憶装置を含む。CPU60は外部機器又はイメージリーダー2から転送された画像データに画像処理(データ変換処理、階調補正処理)を施す。CPU60は画像処理を施した画像データを露光器13に出力する。
【0015】
CPU60は様々な機能を実現するが、ここでは本実施例に関係する代表的な機能が説明される。チャート生成部64は、交換部品を特定するためのテスト画像をシートS上に形成するよう、プリンタ3を制御する。以下の説明において、テスト画像が形成されたシートSはテストチャートまたは単にチャートと呼称される。なお、テスト画像を形成するための画像データ(パターン画像データ)は記憶装置63に記憶されている。帯電制御部65は帯電電源68を制御して帯電器12に帯電電圧を印加する。現像制御部66は現像電源69を制御して現像器14に現像電圧を印加する。診断部67は、イメージリーダー2により読み取られたチャートの読取結果(読取データ)を取得し、読取データに基づいて異常箇所を判定する。さらに、診断部67は、異常箇所の判定結果に基づいて交換部品を特定する。
【0016】
[チャート]
プロセスカートリッジ50や現像器14などが交換時期を迎えると、出力画像に縦スジが発生する。縦スジとは、シートSの搬送方向と平行に延在する直線状の画像である。診断部67は、イメージリーダー2から出力されたテスト画像の読取データを解析し、テスト画像に発生したスジの位置及びスジの濃度に基づいて、交換部品を特定する。診断部67は、画像が形成されたときに生じるスジの原因箇所をチャートの読取結果に基づいて検知する。以下、本実施例のテストチャートが説明される。
【0017】
テストチャートのサイズは、例えば、A4サイズ(幅方向長さ297mm、搬送方向長さ210mm)とする。なお、テストチャートのサイズはA4サイズに限らず、他のサイズであってもよい。また、本実施例の画像形成装置1は、異常箇所(スジが生じる原因箇所)を判定するために、例えば、3枚のテストチャートを出力する。しかしながら、テストチャートの枚数は1枚であってもよいし、2枚以上の複数枚であってもよい。
【0018】
図3はプリンタ3により印刷された3枚のチャート301、302、303の模式図である。チャート301、302、303には、白地領域W-Pと、デジタルパターンD-Pと、アナログパターンA1-P、A2-Pが含まれている。以下の説明において、デジタルパターンD-Pと、アナログパターンA1-P、A2-Pとは、画像パターンと呼称される。また、以下の説明において、白地領域W-Pは、白地パターンと呼称される。各画像パターンを形成する際に使用されるトナーの色は単色(所定色)であり、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのいずれか一色である。これによって、スジ画像が発生した画像パターンの読取結果から、異常箇所(スジが生じる原因箇所)がどの画像形成ステーションに存在するかが判定可能となる。
【0019】
テストチャートの搬送方向における各画像パターンの長さは、例えば、30mmである。なお、感光ドラム11の外径は30mmである。感光ドラム11の外周は約94.2mmである。画像パターンの長手方向はテストチャートの搬送方向に直交する方向に対応する。
【0020】
プリンタ3がデジタルパターンD-Pを形成する場合、露光器13は感光ドラム11を露光する。つまり、デジタルパターンD-Pは露光像(トナー画像)である。現像器14の現像電位の絶対値は感光ドラム11における露光領域(明部)の電位の絶対値よりも大きい。なお、現像器14の現像電位の絶対値は感光ドラム11における非露光領域(暗部)の電位の絶対値よりも小さい。前述の電位の関係は、例えば、プリンタ3が原稿をコピーする場合の電位の関係と同じである。一方、プリンタ3がアナログパターンA1-P、及びA2-Pを形成する場合、露光器13は感光ドラム11を露光しない。つまり、アナログパターンA1-Pは、非露光像(トナー画像)である。感光ドラム11にトナーを付着させるため、現像器14の現像電位の絶対値は感光ドラム11の表面電位の絶対値よりも大きい。例えば、負極性に帯電したトナーを用いて静電潜像を現像する画像形成装置がアナログパターンA1-Pを形成する場合、現像器14の現像電位は負の値に制御される。このとき、現像電位は感光ドラム11の表面電位より小さい。例えば、感光ドラム11の表面電位が-100V以上0V未満ならば現像電位が-300Vである。
【0021】
●カモフラージュ模様
画像パターンと白地パターンには、カモフラージュ模様(カモフラージュパターン)が形成される。カモフラージュ模様とは、テストチャートに生じる画像不良を目立たなくするための模様である。カモフラージュ模様は、露光器13による露光によって表れた、画像パターンが形成されるときに生じた画像不良を目立たなくするためのパターンに相当する。本実施例では画像パターンと白地パターンとの両方にカモフラージュ模様が形成されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、画像パターンにはカモフラージュ模様が形成され、白地パターンにはカモフラージュ模様が形成されない構成が採用されてもよい。また、本発明は、全ての画像パターンにカモフラージュ模様が形成される構成に限定されない。例えば、目視による識別が困難なイエローの画像パターンにはカモフラージュ模様が形成されず、他の色(マゼンタ、シアン、ブラック)の画像パターンにはカモフラージュ模様が形成される構成が採用されてもよい。カモフラージュ模様が形成された画像パターンは、異常箇所(スジが生じる原因箇所)を検知するためのパターン画像に相当する。
【0022】
白地領域W-Pにはカモフラージュ模様W-Caが形成される。アナログパターンA1-Pにはカモフラージュ模様A1-Caが形成される。アナログパターンA2-Pにはカモフラージュ模様A2-Caが形成される。なお、カモフラージュ模様を示す参照符号の末尾に付与されているY、M、C、Bkの文字は、画像パターンの色を示している。アナログパターンA1-P―Yはイエロートナーにより形成される。カモフラージュ模様A1-Ca―Yはイエロートナーにより形成されたアナログパターンA1-P―Yに形成されたカモフラージュ模様を示す。ここで、カモフラージュ模様A1-Ca―Yは、イエローのカモフラージュパターンである。カモフラージュ模様A1-Ca-Yの濃度はアナログパターンA1-P-Yの濃度と異なる。例えば、カモフラージュ模様A1-Ca-Yの濃度は、アナログパターンA1-P-Yの濃度よりも高い。カモフラージュ模様は、交換部品を特定するための画像不良とは異なる他の画像不良が目立たなくなるような模様であればよい。
【0023】
ここでカモフラージュの定義が説明される。従来、原稿の偽造防止のために、原稿の複製物に隠された文字や画像が表れる技術が知られている。この技術では、人間の目に判別しにくい文字や画像が原稿に形成されている。原稿の複製物に表れる文字又は画像がカモフラージュ模様に対応する。マクロ的には、カモフラージュ模様以外の画像部とトナーが付着していない背景部との違いよりも、カモフラージュ模様と画像部との違いまたはカモフラージュ模様と背景部との違いが強調される。そのため、カモフラージュ模様が相対的に目立つので、画像部や画像部の輪郭は相対的に目立たなくなる。
【0024】
図4は画像パターンに付加される様々なカモフラージュ模様を例示している。これらはカモフラージュ模様の一例にすぎず、画像パターン(テスト画像)の画像不良を目立たなくする模様であれば他の模様であってもよい。一般に画像パターンは、画像パターンの濃度が所定濃度となるように、画像パターンのすべての領域を所定の画像信号値に基づいて形成される。これは、画像不良を顕在化させるためである。カモフラージュ模様は、規則的に並んだ特定のパターンである。特定のパターンを形成するための画像信号値は、例えば、所定の画像信号値とは異なる他の画像信号値に設定される。これによって、特定のパターンの濃度が画像パターンの濃度(所定濃度)と異なる。また、カモフラージュ模様は規則的な特定のパターンに限らず、ランダムなパターンであってもよい。
【0025】
カモフラージュ模様は、点線1や点線2、点線3、水玉、斜め線1、斜め線2、交差線のいずれであってもよい。また、カモフラージュ模様は、例えば、点線1と斜め線1とを組み合わせた斜めの点線パターンであってもよい。カモフラージュ模様を規定するパラメータとしては、線の間隔や点の間隔、線の太さ、線の濃度、線と画像パターンとのコントラストなどがある。また、ランダムなパターンについても、画像パターンとカモフラージュ模様との濃淡、パターンの形状は自由に設定可能である。また、ランダムなパターンの画像周波数も自由に設定可能である。
【0026】
カモフラージュ模様は幾何的な模様に限らない。カモフラージュ模様は、たとえば、テキスチャパターンと呼ばれる大理石や青空などのイメージを想像させる模様であってもよい。テキスチャパターンは、高濃度領域と低濃度領域との濃度差、明度差、又は色差の変化を利用してチャートの画像不良を目立たなくしている。
【0027】
図5はカモフラージュ模様が形成された画像パターンの拡大図である。図5に示す画像パターンには、画像パターンPに対して点線1に相当するカモフラージュ模様Caが形成されている。カモフラージュ模様Caは露光領域に相当する。カモフラージュ模様Caは、図5において左側から、第1露光領域、第2露光領域、第3露光領域、...に対応する。画像パターンの幅(P-Width)は、30[mm]である。カモフラージュ模様Caは複数の矩形パターンから構成されている。X方向(副走査方向)において隣り合った二つの矩形パターン間の距離(第1間隔Space-X)は、1.8[mm]である。Y方向(主走査方向)において隣り合った二つの矩形パターン間の距離(第2間隔Space-Y)は、0.7[mm]である。なお、X方向(副走査方向)はシートSの搬送方向と平行であり、Y方向(主走査方向)に対して直交している。X方向は長手方向と呼ばれ、Y方向は短手方向と呼ばれてもよい。矩形パターンの幅(Ca-Width)は、0.25[mm]である。矩形パターンの長さ(Ca-Length)は、0.7[mm]である。幅Ca-Widthと長さCa-Lengthはカモフラージュ模様を目視で目立たせるために0.1[mm]以上であればよい。幅Ca-Widthと長さCa-Lengthが増加するほど、カモフラージュ効果も増加する。ただし、カモフラージュ効果が増加すると、縦スジの検知領域の面積が減少してしまう。そのため、矩形パターンが形成されたテスト画像の読取データから縦スジを検知できるように、矩形パターンの幅Ca-Widthと長さCa-Lengthとは決定される。実験によれば、幅Ca-Widthと長さCa-Lengthとが5.0[mm]以下であれば読取データから縦スジが検知可能であった。
【0028】
縦スジとは、交換部品を特定するための画像不良である。図5が示すように、X方向において隣り合う二つの矩形パターンは、Y方向において所定量ΔYだけずれている。ΔYは、たとえば0.3[mm]とする。矩形パターンの長手方向はX方向(副走査方向)と直交している。つまり、矩形パターンの長手方向と縦スジの長手方向とが異なっている。これはカモフラージュ効果を高め、かつ、縦スジの検知領域の面積の減少を抑制するためである。X方向における矩形パターン間の距離Space-XとY方向における矩形パターン間の距離Space-Yとは、人間の視覚特性における感度の高い距離となるように決定される。しかし、距離Space-Xと距離Space-Yは短くなればなるほど、縦スジの検知領域の面積が減少する。そのため、矩形パターンが形成されたチャートの読取データから縦スジを検知できるように、距離Space-X、及びSpace-Yは決定される。
【0029】
カモフラージュ模様Caの色は、デジタルパターンD-PやアナログパターンA1-P、及びA2-Pに対して、目視での色差ΔE00が3.0以上となるように設定される。色差ΔE00が大きいほど、カモフラージュ効果も大きくなる。
【0030】
●デジタルパターン
図6Aは、プリンタ3がデジタルパターンD-Pを形成する場合の、感光ドラム11上のY方向における各位置の電位を示している。図6Aにおいては感光ドラム11のカモフラージュ模様D-Caが形成された位置の電位が省略されている。図6BはシートSに形成されるデジタルパターンD-Pの濃度dDと白地領域W-Pの濃度d0を示している。濃度d0はシートSの光学濃度である。
【0031】
帯電制御部65は、帯電器12によって帯電された感光ドラム11の表面電位が電位Vd_D(第4の電位)になるように帯電電源68を制御する。露光器13は、パターン画像データに基づいて感光ドラム11を露光する。その結果、感光ドラム11の露光領域の電位(明部電位)はVl_D(第5の電位)に変化する。なお、感光ドラム11の非露光領域の電位(暗部電位)はVd_Dに維持される。現像制御部66は現像器14の現像スリーブの電位が現像バイアスである現像電位Vdc_D(第6の電位)となるように現像電源69を制御する。現像電位Vdc_Dは、暗部電位Vd_Dと明部電位Vl_Dとの間に設定される。つまり、帯電電位Vd_Dの絶対値は現像電位Vdc_Dの絶対値より大きい。さらに、明部電位Vl_Dの絶対値は現像電位Vdc_Dの絶対値より小さい。電位差Vbは、現像電位Vdc_Dと暗部電位Vd_Dとの電位差に相当する。これによって、余白領域にはトナーが付着しない。デジタルパターンDの光学濃度dDは、例えば、0.6となるようにパターン画像データの画像信号値が予め決まっている。デジタルパターンD-Pの光学濃度dDは縦スジが検知しやすい濃度であれば、どのような濃度であってもよい。デジタルパターンD-Pの画像信号値は、例えば、50%である。
【0032】
●アナログパターン
図6Cは、プリンタ3が第一のアナログパターンA1-Pを形成する場合の、感光ドラム11上のY方向における各位置の電位を示している。図6Cにおいては感光ドラム11のカモフラージュ模様Caが形成された位置の電位が省略されている。図6DはシートSに形成されるアナログパターンA1-Pの濃度dA1を示している。
【0033】
帯電制御部65は、帯電器12によって帯電された感光ドラム11の表面電位が電位Vd_A1(第1の電位)になるように帯電電源68を制御する。現像制御部66は現像器14の現像スリーブの電位が現像電位Vdc_A1(第3の電位)となるように現像電源69を制御する。現像電位Vdc_A1の絶対値は帯電電位Vd_A1の絶対値より大きい。なお、アナログパターンA1-Pが形成される場合、露光器13は感光ドラム11にレーザ光を照射しない。図6Cが示すように、感光ドラム11と現像スリーブとの間には電位差Vc_A1(現像コントラストVc_A1)が生じる。これにより、感光ドラム11にはアナログパターンA1-Pが形成される。なお、アナログパターンA1-Pの両端には余白が形成されない。また、感光ドラム11が露光されないので、アナログパターンA1-Pの濃度は現像コントラストVc_A1に基づいて決まる。アナログパターンA1の光学濃度dA1は、例えば、0.6である。CPU60は、現像制御部66と現像電源69とを制御して現像コントラストVc_A1を調整する。図6Dが示すように、シートSには光学濃度dA1(=0.6)のアナログパターンA1が形成される。
【0034】
図6Eは、プリンタ3が第二のアナログパターンA2-Pを形成する場合の、感光ドラム11上のY方向における各位置の電位を示している。図6Eにおいては感光ドラム11のカモフラージュ模様Caが形成された位置の電位が省略されている。
【0035】
図6FはシートSに形成されるアナログパターンA2の濃度d1を示している。帯電制御部65は、感光ドラム11の表面の電位が帯電電位Vd_A2となるように、帯電電源68を制御する。現像制御部66は、現像器14の現像スリーブの電位が現像電位Vdc_A2となるように、現像電源69を制御する。現像電位Vdc_A2の絶対値は帯電電位Vd_A2の絶対値よりも大きい。なお、アナログパターンA2-Pが形成される場合、露光器13はレーザ光を照射しない。図6Fが示すように、感光ドラム11と現像スリーブとの間には現像コントラストVc_A2が生じる。これにより、感光ドラム11にはアナログパターンA2-Pが形成される。アナログパターンA2-Pの両端には余白が形成されない。また、感光ドラム11には露光が適用されないため、アナログパターンA2-Pの濃度は現像コントラストVc_A2に基づいて決まる。アナログパターンA1の光学濃度dA2は、例えば、0.6である。CPU60は現像制御部66と現像電源69を制御して現像コントラストVc_A2を調整する。図6Fが示すように、シートSには光学濃度dA2(=0.6)のアナログパターンA2が形成される。
【0036】
ここで、アナログパターンA2-Pを形成するための第二の帯電電位Vd_A2は、アナログパターンA1-Pを形成するための帯電電位Vd_A1よりも低く設定される(|Vd_A1|>|Vd_A2|)。この結果、アナログパターンA2-Pは、アナログパターンA1-Pと比較して、画像不良に対する帯電器12の寄与率が低減する。これは、診断部67がアナログパターンA1-PとアナログパターンA2-Pとに発生したスジを比較して、スジの原因が帯電器12にあるのか現像器14にあるのかを判定するためである。また、アナログパターンA1の現像コントラストVc_A1とアナログパターンA2の現像コントラストVc_A2は等しい。そのため、アナログパターンA1-Pの光学濃度とアナログパターンA2-Pの光学濃度が等しくなる。しかし、アナログパターンA1の現像コントラストVc_A1とアナログパターンA2の現像コントラストVc_A2は異なってもよい。
【0037】
上記説明において、デジタルパターンD-Pの光学濃度dDと、アナログパターンA1-Pの光学濃度dA1と、アナログパターンA2-Pの光学濃度dA2とが所定濃度となるように画像形成条件が制御されている。しかしながら、デジタルパターンDの光学濃度dDと、アナログパターンA1-Pの光学濃度dA1と、アナログパターンA2-Pの光学濃度dA2との各々は異なる濃度であってもよい。ただし、この場合、各画像パターンに発生したスジの濃度が異なってしまう。この構成とする場合、診断部67は、各画像パターンに発生したスジの濃度を補正して、異常箇所(スジが生じる原因箇所)を判定する。
【0038】
[縦スジ]
図7を用いて、本実施例のチャートに発生する縦スジが説明される。図5は縦スジの種類、交換部品または対処方法、白地部の状態、スジが発生するパターンの色、デジタルパターン及びアナログパターンの各々においてスジ発生の有無、アナログパターンにおいて帯電電位を下げた影響を示している。なお、光学濃度が所定濃度(0.6)より薄いスジは白スジと称し、光学濃度が所定濃度(0.6)より濃いスジは黒スジと呼称される。
【0039】
●現像コート不良に起因したスジ
図7が示す現像コート不良スジとは、現像コートが不十分で発生する縦スジである。図8Aおよび図8Bは現像コート不良に起因したスジが発生する要因を説明する図である。現像コートとは現像スリーブ142の表面に現像剤を均一の厚さで付着させることをいう。現像スリーブ142の内部には現像剤担持体として機能するマグネット141が設けられている。現像スリーブ142は回転自在に現像容器143に支持されている。最近接部145は現像スリーブ142と感光ドラム11との距離が最も近い部分である。現像スリーブ142の回転方向において最近接部145よりも上流側に規制ブレード146が設けられている。規制ブレード146は、現像スリーブ142に対する距離が一定となるように配置されており、最近接部145に供給される二成分現像剤の量を規制する。
【0040】
図8Bが示すように、ホコリや髪の毛などの異物148が現像スリーブ142と規制ブレード146との間に詰まることがある。この場合、異物148が現像剤の流れを妨げてします。図8Cが示すように、現像スリーブ142上に現像剤が担持されない縦スジ151が発生する。縦スジ151には現像剤が存在しないため、感光ドラム11の表面のうち縦スジ151に対向する部分には現像剤が供給されない。よって感光ドラム11の表面には一直線の連続する縦スジ152が発生する。図7が示すように、このような現像コート不良スジを解消するために交換すべきユニットは現像器14である。
【0041】
さらに、図7を用いて、現像コートの不良で発生する白スジの特徴が説明される。まず、画像パターンが形成されない白地領域W-Pにはスジが発生しない。そして、スジが発生する色は、現像コート不良が起こった現像器の色のみである。
【0042】
図9AはデジタルパターンD-Pが形成されたときの感光ドラム11の各主走査位置における電位を示している。図9BはデジタルパターンDが形成されたときのシートSの各主走査位置における光学濃度を示している。図9CはアナログパターンA1-Pが形成されたときの感光ドラム11の各主走査位置における電位を示している。図9DはアナログパターンA1-Pが形成されたときのシートSの各主走査位置における光学濃度を示している。図9EはアナログパターンA2-Pが形成されたときの感光ドラム11の各主走査位置における電位を示している。図9FはアナログパターンA2-Pが形成されたときのシートSの各主走査位置における光学濃度を示している。これらが示すように、現像コート不良スジは現像スリーブ142上に現像剤が供給されないことに起因する。したがって、デジタルパターンD-P、アナログパターンA1-PおよびA2-Pのすべてで縦スジが発生する。さらに、アナログパターンA1-Pに発生するスジの濃度とアナログパターンA2-Pに発生するスジの濃度に差はない。
【0043】
●露光不良に起因したスジ
次に、図7に示した露光不良に起因した白スジが説明される。図10Aは露光不良に起因した白スジの発生メカニズムを説明する図である。露光器13から出力されるレーザ光が通過する光路には防塵ガラス132が設けられている。防塵ガラス132の一部に髪の毛やトナーなどの異物135が付着すると、感光ドラム11の表面に照射されるレーザ光が遮られてしまう。つまり、感光ドラム11の表面のうち異物135によってレーザ光が照射されなかった部分の静電潜像の電位が低下し、縦スジが発生する。この縦スジは、トナーの付着量が減少することで発生するため、白スジとなる。露光不良に起因した白スジを低減するための対処方法は、防塵ガラス132の清掃作業を行うか、露光器13を交換することである。
【0044】
図7を用いて露光不良に起因した白スジの特徴が説明される。まず、画像パターンが形成されない白地領域W-Pにはスジが発生しない。そして、デジタルパターンD-Pにおいてスジが発生する色は、露光不良の起こった露光器13が担当している色である。
【0045】
図11AはデジタルパターンD-Pが形成されたときの感光ドラム11の各主走査位置における電位を示している。図11BはデジタルパターンD-Pが形成されたときのシートSの各主走査位置における光学濃度を示している。図11CはアナログパターンA1-Pが形成されたときの感光ドラム11の各主走査位置における電位を示している。図11DはアナログパターンA1-Pが形成されたときのシートSの各主走査位置における光学濃度を示している。図11EはアナログパターンA2-Pが形成されたときの感光ドラム11の各主走査位置における電位を示している。図11FはアナログパターンA2-Pが形成されたときのシートSの各主走査位置における光学濃度を示している。
【0046】
図11A図11Bが示すように、白スジは露光不良(露光光量が少なくなること)が原因で発生する。このため、デジタルパターンD-Pでは、感光ドラム11の主走査位置の一部において表面電位がVl_Dよりも高くなることで白スジが発生する。一方、図11Cないし図11Fが示すように、アナログパターンA1-P、A2-Pは露光が適用されずに形成されるため、スジが発生しない。
【0047】
●帯電不良に起因したスジ
本実施例の帯電器12は帯電部材を感光ドラム11に接触させて帯電を行う接触帯電方式を採用している。接触帯電方式では、感光ドラム11の表面のうち主走査方向のある位置でクリーニングが不十分となることで、シリコーンなどの外添剤が帯電部材に付着しうる。図12Aは感光ドラム11の表面電位(帯電電位)を示す図である。図12Bは画像信号と光学濃度との関係を示す図である。図12Aが示すように、感光ドラム11の表面のうち一部の主走査位置において帯電部材の抵抗が大きくなり、その位置の帯電電位が高くなる。抵抗が大きくなった主走査領域は高抵抗化部と呼ばれる。帯電電位が高くなると、図12Bが示すように、感光ドラム11の各主走査位置を同じ画像信号を用いて露光しても、高抵抗化部の濃度は所定濃度(0.6)よりも低くなり、白スジが発生する。
【0048】
一方、感光ドラム11の表面のうち一部の主走査位置においてクリーニング不良が発生すると、トナーが帯電部材に付着することがある。帯電部材の表面のうちトナーが付着した部分の抵抗は小さくなる。帯電部材は耐久により徐々に高抵抗化するが、帯電部材の表層が剥れることでも帯電部材の抵抗が部分的に小さくなる。その結果、図12Aが示すように、一部の主走査領域で部分的に帯電部材の抵抗が小さくなり、帯電電位が低くなる。この部分は低抵抗化部と呼ばれる。帯電電位が低くなると、図12Bが示すように、感光ドラム11の各主走査位置を同じ画像信号を用いて露光しても、低抵抗化部の濃度は所定濃度(0.6)よりも高くなり、黒スジが発生する。
【0049】
図7を用いて帯電不良スジの特徴が説明される。まず、画像パターンが形成されない白地領域W-Pにはスジが発生しない。そして、YMCBkのうちスジの発生する色は、帯電不良の起こった帯電器12が担当している色である。
【0050】
図13AはデジタルパターンD-Pが形成されたときの感光ドラム11の各主走査位置における電位を示している。図13BはデジタルパターンDが形成されたときのシートSの各主走査位置における光学濃度を示している。図13CはアナログパターンA1-Pが形成されたときの感光ドラム11の各主走査位置における電位を示している。図13DはアナログパターンA1-Pが形成されたときのシートSの各主走査位置における光学濃度を示している。図13EはアナログパターンA2-Pが形成されたときの感光ドラム11の各主走査位置における電位を示している。図13FはアナログパターンA2-Pが形成されたときのシートSの各主走査位置における光学濃度を示している。
【0051】
図13A図13Bが示すように、デジタルパターンD-Pでは露光された感光ドラム11の一部の主走査位置における帯電電位がVl_Dとは異なる。帯電電位がVl_Dよりも低い位置では黒スジが発生し、帯電電位がVl_Dよりも高い位置では白スジが発生する。図13C図13Dが示すように、アナログパターンA1-Pでも、主走査方向の一部で帯電電位がVd_A1とは異なるため、黒スジや白スジが発生する。帯電不良は帯電部材の抵抗差に起因して発生するため、帯電器12の帯電電位を低下させすることで帯電不良が低減する。図13E図13Fが示すように、アナログパターンA2-Pでは、アナログパターンA1-Pと比較して、帯電不良の影響が小さくなる。つまり、スジが良化する。スジが良化するとは、スジの光学濃度とその周囲の光学濃度(0.6)との差が減少することをいう。つまり、スジが良化すると、視覚的にスジが目立ちにくくなる。
【0052】
●中間転写ベルトの塑性変形に起因したスジ
次に、図7に示した中間転写ベルト31の塑性変形に起因したスジが説明され。長期の使用による中間転写ベルト31の内面が削れて粉が発生しうる。転写カートリッジを構成する部品の一部などがローラ36、37の表面に付着することがある。図10Bが示すように、中間転写ベルト31の一部が凸形状に塑性変形する。この部分は凸形状部311と呼ばれる。このように中間転写ベルト31に凸形状部311が発生すると、凸形状部311の両側は感光ドラム11やシートSと接触しにくくなる。よって、両側部分はシートSに対してトナー画像を二次転写しにくくなり、白スジが発生する。凸形状部311はシートSに対して多くのトナーを二次転写するため、黒スジが発生する。よって、中間転写ベルト31の塑性変形によるスジを解消するために交換すべき部品は転写カートリッジである。なお、白スジとは白色のスジではなく濃度が薄くなる(トナーが少なくなる)淡スジのことである。また、黒スジとは濃度が濃くなる(トナーが多くなる)濃スジのことである。
【0053】
図7を用いて塑性変形に起因したスジの特徴が説明される。画像パターンが形成されない白地領域W-Pにはスジが発生しない。YMCBkのうちスジの発生する色は全ての色である。なぜなら、このタイプのスジは二次転写部分で発生するためである。また、露光の有無や帯電電位とは無関係であるため、デジタルパターンD-Pだけでなく、アナログパターンA1-P、A2-Pでもスジが発生する。
【0054】
●感光ドラムのクリーニング不良に起因したスジ
感光ドラム11のクリーニング不良に起因したスジは黒スジとなる。ドラムクリーナ15のクリーニングブレードの一部が欠損することがある。この欠損部分は、一次転写後に感光ドラム11上に残ったトナーを掻き取ることができない。これが黒スジの原因となる。この黒スジは、クリーニング不良が発生したドラムクリーナ15が担当している色で発生する。なお、クリーニング不良が原因の黒スジは白地領域W-Pにほぼ一直線状のスジとして発生する。よって、感光ドラム11のクリーニング不良が原因のスジを低減するために交換すべき部品はプロセスカートリッジ50である。
【0055】
図7を用いてクリーニング不良に起因したスジの特徴が説明される。クリーニング不良に起因してスジが発生するため、画像パターンが形成されない白地領域W-Pにもスジが発生する。白地領域W-Pに発生するスジの色は、ドラムクリーナ15に蓄積されたトナーの色と同じ色である。よってこのタイプのスジは単色のスジとなる。スジは画像を形成していない色でも発生するため、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの全ての色のパターンで発生する。たとえば、イエローを担当するドラムクリーナ15が欠損すると、シートSの副走査方向の全域にわたってイエローのスジが発生するため、すべての色のパターンにスジが発生する。また、露光の有無や帯電電位とは無関係であるため、デジタルパターンD-P、アナログパターンA1-P、A2-Pのいずれでもスジが発生する。
【0056】
●中間転写ベルトのクリーニング不良に起因したスジ
図7を用いて中間転写ベルト31のクリーニング不良に起因して発生する黒スジが説明される。転写クリーナ35のうち中間転写ベルト31との当接部材(ブレードなど)の一部が欠損すると、黒スジが発生する。これは二次転写後に中間転写ベルト31上に残存しているトナーを掻き取ることができないために発生する。このタイプのスジの色は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーが混ざった色(混色)となる。よって、中間転写ベルト31のクリーニング不良に起因して発生する黒スジを低減するために交換すべきユニットは転写クリーナ35である。
【0057】
図7を用いて中間転写ベルト31のクリーニング不良に起因したスジの特徴が説明される。クリーニング不良が原因であるため、画像パターンが形成されない白地領域W-Pにもスジが発生する。そして、白地領域W-Pに発生するスジは転写クリーナ35に蓄積されたトナーによるものなので、スジの色はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの混色となる。また、露光の有無や帯電電位とは無関係であるため、デジタルパターンD-P、アナログパターンA1-P、A2-Pのいずれでもスジが発生する。
【0058】
[交換部品の特定処理]
図14を用いて交換部品を特定するためのチャートの作成処理と交換部品の特定処理が説明される。CPU60は、入力装置62から交換部品の特定指示またはチャート301、302、303の作成指示が入力されると、以下の処理を実行する。
【0059】
S101でCPU60(チャート生成部64)はプリンタ3を制御してチャート301~303を作成する。CPU60はプリンタ3を制御して、デジタルパターンD-P、アナログパターンA1-P、アナログパターンA2-P、及びカモフラージュ模様W-Ca、D-Ca、A1-Ca、A2-CaをシートSに形成させる。
【0060】
帯電制御部65は、白地領域W-Pを形成する場合、感光ドラム11の表面電位が帯電電位Vd_Dになるように帯電電源68を制御する。現像制御部66は、白地領域W-Pを形成する場合、現像器14の現像スリーブの電位が現像電位Vdc_Dとなるように現像電源69を制御する。そして、白地領域W-Pにカモフラージュ模様W-Caを形成するため、露光器13は、感光ドラム11をカモフラージュ模様W-Caに基づいて露光する。露光器13は、白地領域W-Pにおいてカモフラージュ模様が形成されない位置を露光しない。これにより、シートS(チャート301)にカモフラージュ模様W-Caが付加された白地領域W-Pが形成される。
【0061】
次いで、帯電制御部65は、イエローのデジタルパターンD-P-Yを形成する場合、感光ドラム11yの表面電位が帯電電位Vd_Dになるように帯電電源68を制御する。露光器13yは、デジタルパターンD-P-Yを形成するためのパターン画像データに基づいて、感光ドラム11yを露光する。現像制御部66は、デジタルパターンD-P-Yを形成する場合、現像器14yの現像スリーブの電位が現像電位Vdc_Dとなるように現像電源69を制御する。デジタルパターンD-P-Yにブルーのカモフラージュ模様D-Ca―Yを重畳するため、帯電制御部65は、感光ドラム11m、及び11cの表面電位が帯電電位Vd_Caになるように帯電電源68を制御する。帯電電位Vd_Caは、例えば、帯電電位Vd_Dと同じ値とする。露光器13m、及び13cは、カモフラージュ模様D-Ca―Yを形成するためのパターン画像データに基づいて、感光ドラム11m、及び11cを露光する。現像制御部66は、カモフラージュ模様D-Ca―Yを形成するため、現像器14m、及び14cの現像スリーブの電位が現像電位Vdc_Caとなるように現像電源69を制御する。現像電位Vdc_Caは、例えば、現像電位Vdc_Dと同じ値とする。カモフラージュ模様A1-Ca―Yが形成される場合、現像電位Vdc_Caの絶対値は帯電電位Vd_Caの絶対値より小さい。これにより、イエローの補色であるブルーのカモフラージュ模様D-Ca―Yが、デジタルパターンD-P-Yに付加される。
【0062】
マゼンタのデジタルパターンD-P-M、シアンのデジタルパターンD-P-C、ブラックのデジタルパターンD-P-Bkも同様に形成される。このとき、マゼンタのデジタルパターンD-P-Mにはグリーンのカモフラージュ模様D-Ca―Mが形成され、シアンのデジタルパターンD-P-Cにはレッドのカモフラージュ模様D-Ca―Cが形成される。ただし、ブラックには補色が存在しないので、ブラックのデジタルパターンD―P-Bkにはグリーンのカモフラージュ模様D-Ca-Bkが形成される。これは、グリーンがブラックに対してΔE00≧3.0以上となる色だからである。
【0063】
帯電制御部65は、イエローのアナログパターンA1-P―Yを形成する場合、感光ドラム11yの表面電位が帯電電位Vd_A1となるように帯電電源68を制御する。現像制御部66は、イエローのアナログパターンA1-P―Yを形成する場合、イエローの現像器14yの現像スリーブの電位が現像電位Vdc_A1となるように現像電源69を制御する。イエローのアナログパターンA1-P-Yにブルーのカモフラージュ模様A1-Ca―Yを重畳するため、帯電制御部65は、感光ドラム11m、及び11cの表面電位が帯電電位Vd_Caになるように帯電電源68を制御する。露光器13m、及び13cは、カモフラージュ模様A1-Ca―Yを形成するためのパターン画像データに基づいて、感光ドラム11m、及び11cを露光する。現像制御部66は、カモフラージュ模様A1-Ca―Yを形成するため、現像器14m、及び14cの現像スリーブの電位が現像電位Vdc_Caとなるように現像電源69を制御する。これにより、イエローの補色であるブルーのカモフラージュ模様A1-Ca―Yが、アナログパターンA1-P-Yに付加される。
【0064】
マゼンタのアナログパターンA1-P-M、シアンのアナログパターンA1-P-C、ブラックのアナログパターンA1-P-Bkも同様に形成される。このとき、マゼンタのアナログパターンA1-P-Mにはグリーンのカモフラージュ模様A1-Ca―Mが形成され、シアンのアナログパターンA1-P-Cにはレッドのカモフラージュ模様A1-Ca―Cが形成される。ただし、ブラックには補色が存在しないので、ブラックのアナログパターンA1―P-Bkにはグリーンのカモフラージュ模様A1-Ca-Bkが形成される。これは、グリーンがブラックに対してΔE00≧3.0以上となる色だからである。
【0065】
帯電制御部65は、イエローのアナログパターンA2-P―Yを形成する場合、感光ドラム11yの表面電位が帯電電位Vd_A2となるように帯電電源68を制御する。現像制御部66は、イエローのアナログパターンA2-P―Yを形成する場合、イエローの現像器14yの現像スリーブの電位が現像電位Vdc_A2となるように現像電源69を制御する。イエローのアナログパターンA2-P-Yにブルーのカモフラージュ模様A2-Ca―Yを重畳するため、帯電制御部65は、感光ドラム11m、及び11cの表面電位が帯電電位Vd_Caになるように帯電電源68を制御する。露光器13m、及び13cは、カモフラージュ模様A2-Ca―Yを形成するためのパターン画像データに基づいて、感光ドラム11m、及び11cを露光する。現像制御部66は、カモフラージュ模様A2-Ca―Yを形成するため、現像器14m、及び14cの現像スリーブの電位が現像電位Vdc_Caとなるように現像電源69を制御する。これにより、イエローの補色であるブルーのカモフラージュ模様A2-Ca―Yが、アナログパターンA2-P-Yに付加される。
【0066】
マゼンタのアナログパターンA2-P-M、シアンのアナログパターンA2-P-C、ブラックのアナログパターンA2-P-Bkも同様に形成される。このとき、マゼンタのアナログパターンA2-P-Mにはグリーンのカモフラージュ模様A2-Ca―Mが形成され、シアンのアナログパターンA2-P-Cにはレッドのカモフラージュ模様A2-Ca―Cが形成される。ただし、ブラックには補色が存在しないので、ブラックのアナログパターンA2―P-Bkにはグリーンのカモフラージュ模様A2-Ca-Bkが形成される。これは、グリーンがブラックに対してΔE00≧3.0以上となる色だからである。
【0067】
S102でCPU60(診断部67)はイメージリーダー2を制御し、チャート301、302、及び303を読み取る。ユーザ、又はサービスマンはチャート301を原稿台ガラス22に載置して、入力装置62の読取開始ボタンを押す。これによって、イメージリーダー2はチャート301の読取データを診断部67へ出力する。診断部67はイメージリーダー2から出力されたチャート301の読取データを取得する。同様に、ユーザ、又はサービスマンがチャート302とチャート303も原稿台ガラス22に載置して、読取開始ボタンを押す。診断部67はイメージリーダー2から出力されたチャート302及び303の読取データを取得する。チャート301、302、及び303の読取データは記憶装置63に格納される。
【0068】
S103でCPU60(診断部67)は読取データから輝度値を取得する。チャート301における白地領域W-Pの位置、デジタルパターンD-P-Y、D-P-M、D-P-C、及びD-P-Bkの位置は予め決まっている。診断部67は、記憶装置63に記憶されたチャート301の読取データから、白地領域W-Pに対応する検知範囲の読取データ、デジタルパターンD-P-Y、D-P-M、D-P-C、及びD-P-Bkの各々に対応する検知範囲の読取データを抽出する。また、チャート302におけるアナログパターンA1-P-Y、A1-P-M、A1-P-C、及びA1-P-Bkの位置は予め決まっている。診断部67は、記憶装置63に記憶されたチャート302の読取データから、アナログパターンA1-P-Y、A1-P-M、A1-P-C、及びA1-P-Bkの各々に対応する検知範囲の読取データを抽出する。同様に、チャート303におけるアナログパターンA2-P-Y、A2-P-M、A2-P-C、及びA2-P-Bkの位置は予め決まっている。診断部67は、記憶装置63に記憶されたチャート303の読取データから、アナログパターンA2-P-Y、A2-P-M、A2-P-C、及びA2-P-Bkの各々に対応する検知範囲の読取データを抽出する。
【0069】
次いで、診断部67は、画像パターンの色について補色の関係にある画素の読取結果を抽出する。シアンの画像パターンについてはR画素の読取結果が抽出される。マゼンタの画像パターンについてはG画素の読取結果が抽出される。イエローの画像パターンについてはB画素の読取結果が抽出される。ブラックについては補色が存在しないので、G画素の読取結果が抽出される。これらの読取結果は輝度値である。なお、イメージリーダー2の画像センサはCCDセンサやCMOSセンサなどであり、R画素、G画素およびB画素を有している。R画素にはレッドのフィルタが設けられているため、レッドで形成されたカモフラージュ模様を読み取ることができない。つまり、シアンの画像パターンに付加されたレッドのカモフラージュ模様はR画素には含まれない。これにより、カモフラージュ模様が画像パターンの読取結果から除去または低減される。マゼンタ、イエロー、ブラックについても同様の原理により、カモフラージュ模様が画像パターンの読取結果から除去または低減される。
【0070】
診断部67は検知範囲を構成するn行のそれぞれについて輝度値の平均値を求める。たとえば、検知範囲がn行×m列の画素群により構成されているとする。この画素群は、X方向(副走査方向)にn個の画素が並んでおり、Y方向(主走査方向)にm個の画素が並んでいる。まず、診断部67は1列目に含まれているn個の画素の各輝度値の和を求め、その和をnで除算する。これによって、検知範囲における1列目の平均輝度値が求まる。診断部67は、1列目と同様に、2列目~m列目のそれぞれについても平均輝度値を求める。
【0071】
S104でCPU60(診断部67)は記憶装置63に記憶されている濃度変換テーブルを用いてm個の輝度値(平均)を濃度へ変換する。濃度変換テーブルは、画像形成装置1の工場出荷時に記憶装置63のROMに格納される。
【0072】
S105でCPU60(診断部67)は各列の濃度変化率を決定する。濃度変化率は、たとえば、次式に基づいて決定される。
濃度変化率 = (注目列の濃度 - 注目列と異なる他の列の濃度) / 注目列の濃度・・・(1)
ここで、注目列と異なる他の列の濃度とは、たとえば、注目列に隣接する列の濃度である。たとえば、i列目に隣接する列はi-1列目である(i>1)。
【0073】
S106でCPU60(診断部67)はチャート301~303の読取結果からスジを検知する。たとえば、診断部67は、注目列の濃度変化率が閾値より大きければ、注目列にスジがあると判定する。閾値は、たとえば、7%である。
【0074】
縦スジはY方向(主走査方向)に並んだ複数の列に跨って発生する可能性がある。i番目の注目列とi+1番目の注目列とがともに縦スジである場合に、(1)式をそのまま適用すると、縦スジを判定できない。そこで、次のような工夫が必要となる。診断部67はi-1番目の列では縦スジを検知せず、次のi番目の注目列において縦スジを検知したと仮定する。この場合、診断部67は、(1)式におけるi+1番目の注目列に対する他の列をi-1番目の列に維持し、i+1番目の注目列の濃度変化率を求める。これにより、i+1番目の列に発生した縦スジも検知できる。なお、S105とS106とは一列ごとに1列目からm列目まで繰り返し実行される。
【0075】
診断部67は、所定濃度(0.6)よりも濃度が高いスジを黒スジと判別し、所定濃度(0.6)よりも濃度が低いスジを白スジと判別する。診断部67は、Y方向(主走査方向)においてスジが検知された位置、スジの色、所定濃度に対応する輝度とスジの輝度との輝度差をスジの特徴量として記憶装置63に格納する。なお、スジが検知された位置とは、白地領域W-P、デジタルパターンD-P、アナログパターンA1-P、A2-Pのどこでスジが発生しているかを示している。アナログパターンA1-Pを形成するための帯電電位は、アナログパターンA2-Pを形成するための帯電電位より高い。そのため、アナログパターンA2-Pに発生したスジの輝度差が、アナログパターンA1-Pに発生したスジの輝度差より小さければ、帯電器12の帯電不良が原因のスジであると判定される。一方、アナログパターンA2-Pに発生したスジの輝度差が、アナログパターンA1-Pに発生したスジの輝度差より大きければ、現像器14の現像不良が原因のスジであると判定される。
【0076】
白地領域W-Pの検知範囲については次のような処理が実行される。CPU60は、R画素、G画素、B画素のそれぞれについて、各行の輝度値の平均値を算出する。R画素の平均輝度値は濃度Drに変換される。G画素の平均輝度値は濃度Dgに変換される。B画素の平均輝度値は濃度Dbに変換される。CPU60は、濃度Dr、DgおよびDbの少なくとも1つが所定濃度より高ければスジが発生していると判定する。さらに、CPU60は、濃度Dr、DgおよびDbの組み合わせに基づいてスジの色が単色か混色かを判定する。
【0077】
S107でCPU60(診断部67)はチャート301~303の読取結果(スジの検知結果)に基づきスジの原因と交換部品(または対処方法)を特定する。つまり、診断部67は、読取データに基づいて異常箇所(スジが生じる原因箇所)を判定する。たとえば、診断部67は記憶装置63に記憶したスジの特徴量に基づき白地領域W-Pや画像パターンごとにスジの有無やスジの色(単色(YMCBk)/混色など)を判別する。診断部67は、この判別結果と、原因および交換部品を特定するための特定条件とを比較することで、原因および交換部品を特定する。
【0078】
S108でCPU60(診断部67)は交換部品や対処方法を示すメッセージを表示装置61に表示したり、通信IF55を介してPC124やサーバ128に送信したりする。例えば、表示装置61のディスプレイにはスジが生じる原因箇所が表示される。
【0079】
図15は交換部品や対処方法を示すメッセージの一例を示している。このメッセージには、チャート301~303に縦スジ(副走査方向に延在するスジ)が発生していることや、原因を示すコード、交換部品の名称などの情報が含まれている。ユーザやサービスマンはメッセージを参照することで、スジの原因や交換部品を容易に理解することができる。なお、縦スジが検知されなければ、診断部67は画像形成装置1が正常であることを示すメッセージを表示装置61に表示する。このように、具体的な情報で縦スジの発生および交換部品がわかるので、ユーザおよびサービスマン等が交換部品を容易に理解できるようになる。
【0080】
[交換部品の特定処理の詳細]
図16は交換部品や対処方法を特定する処理の詳細を示すフローチャートである。CPU60(診断部67)は、主走査位置ごと(例:1mmごと)に縦スジを検出する。このため、複数の主走査位置で縦スジが検出されることもあろう。また、複数の縦ジスの原因がそれぞれ異なることもある。したがって、CPU60(診断部67)はスジごとに原因と交換部品を特定する。なお、スジの発生原因を特定することで、交換部品が特定されてもよい。図16に示した各判定処理は、交換部品や原因を特定するための特定条件の集合体でもある。
【0081】
S200でCPU60は記憶装置63から特徴量を読み出し、白地領域W-Pにスジが無いかどうかを判定する。チャート301における白地領域W-Pの座標は既知である。CPU60はスジの位置と白地領域W-Pの座標とを比較することで、白地領域W-Pにおけるスジの有無を判別する。白地領域W-Pにスジが有れば、CPU60はS201に進む。
【0082】
S201でCPU60はスジの色が混色かどうかを判定する。スジの色が混色であればCPU60はS202に進む。S202でCPU60は、スジの原因を中間転写ベルト31のクリーニング不良と判別し、転写クリーナ35を交換部品に特定する。一方で、スジの色がYMCBkいずれかの単色であればCPU60はS203に進む。
【0083】
S203でCPU60はスジの原因を感光ドラム11のクリーニング不良と判別し、スジの色に対応したプロセスカートリッジ50を交換部品に特定する。S200で白地領域W-Pにおいてスジが検出されなければ、CPU60はS204に進む。
【0084】
S204でCPU60は記憶装置63から特徴量を読み出し、デジタルパターンD-P-Y~D-P-Bkにスジが存在するかどうかを判定する。チャート301~303におけるデジタルパターンD-P-Y~D-P-Bkの座標は既知である。CPU60はスジの位置とデジタルパターンD-P-Y~D-P-Bkの座標とを比較することで、デジタルパターンD-P-Y~D-P-Bkにおけるスジの有無を判別する。デジタルパターンD-P-Y~D-P-Bkのいずれにもスジがなければ、CPU60はS205に進む。
【0085】
S205でCPU60は交換部品がない(正常)と特定する。一方で、CPU60はデジタルパターンD-P-Y~D-P-Bkのいずれかにスジを検出すると、S206に進む。
【0086】
S206でCPU60は記憶装置63から特徴量を読み出し、スジが特定色で発生しているかどうかを判定する。これはスジが全色(デジタルパターンD-P-Y~D-P-Bkのすべて)で発生しているかどうかを判定することと同じである。スジが全色で発生していれば、CPU60はS207に進む。
【0087】
S207でCPU60はスジの原因を中間転写ベルト31の塑性変形と判別し、中間転写ベルト31を含む転写カートリッジを交換部品に特定する。一方で、スジが特定色でのみ発生していれば、CPU60はS208に進む。
【0088】
S208でCPU60はスジが発生しているデジタルパターンD-Pの色と同じ色のアナログパターンA1-Pにスジが発生しているかどうかを判定する。アナログパターンA1-Pにスジがなければ、CPU60はS209に進む。
【0089】
S209でCPU60は、スジの原因を露光不良と判別し、スジの色に対応した露光器13を交換部品に特定する。なお、CPU60は、スジの色に対応した露光器13の清掃を対処方法として特定してもよい。スジが発生しているデジタルパターンD-Pの色と同じ色のアナログパターンA1-Pにスジが発生していれば、CPU60はS210に進む。
【0090】
S210でCPU60はアナログパターンA1-Pのスジに対してアナログパターンA2-Pのスジが良化しているかどうかを判定する。なお、アナログパターンA1とアナログパターンA2は同じ色のものである。たとえば、CPU60は記憶装置63から特徴量を読み出し、アナログパターンA1-Pのスジの輝度差(濃度差)とアナログパターンA2のスジの輝度差(濃度差)を比較してもよい。アナログパターンA2-PのスジがアナログパターンA1-Pのスジと比較して良化していなければ、CPU60はS211に進む。
【0091】
S211でCPU60はスジの原因を現像コート不良と判別し、スジの色に対応した現像器14を交換部品に特定する。一方で、アナログパターンA2-Pのスジの濃度差がアナログパターンA1-Pのスジの濃度差がよりも小さければ、スジが良化しているため、CPU60はS212に進む。S212でCPU60はスジの原因を帯電不良と判別し、スジの色に対応したプロセスカートリッジ50を交換部品に特定する。
【0092】
このようにCPU60はチャート301~303を作成し、チャート301~303に発生したスジを分析することでスジの原因と交換部品を特定する。また、CPU60はスジの原因や交換部品を示すメッセージを表示装置61などに出力してもよい。これのより、ユーザやサービスマンがスジの原因や交換部品を容易に認識できるようになる。そのため、メンテナンスに必要な作業時間(ダウンタイム)が大幅に短縮されよう。また、スジに関与した部品が特定されるため、スジに関与していない部品まで交換されることはなくなるであろう。よって、メンテナンス時間に加えてメンテナンスコストも削減されよう。スジの原因や交換部品を示すメッセージはネットワークを介してサービスマンのサーバ128に送信されてもよい。サービスマンは事前に交換部品を把握できるため、交換部品を確実に携帯してメンテナンスを行うことができる。図16に示したスジの原因や交換部品等を特定する処理はユーザやサービスマンがチャート301~303を目視して実行してもよい。ここでは、カラープリンタが一例として採用されているが、モノクロプリンタに本実施例が適用されてもよい。
【0093】
このようにCPU60はチャート301~303を作成し、チャート301~303に発生したスジを分析することでスジの原因と交換部品を特定する。また、CPU60はスジの原因や交換部品を示すメッセージを表示装置61などに出力してもよい。これのより、ユーザやサービスマンがスジの原因や交換部品を容易に認識できるようになる。そのため、メンテナンスに必要な作業時間(ダウンタイム)が大幅に短縮されよう。また、スジに関与した部品が特定されるため、スジに関与していない部品まで交換されることはなくなるであろう。よって、メンテナンス時間に加えてメンテナンスコストも削減されよう。スジの原因や交換部品を示すメッセージはネットワークを介してサービスマンのサーバ128に送信されてもよい。サービスマンは事前に交換部品を把握できるため、交換部品を確実に携帯してメンテナンスを行うことができる。スジの原因や交換部品等を特定する処理はユーザやサービスマンがチャート301~303を目視して実行してもよい。ここでは、カラープリンタが一例として採用されているが、モノクロプリンタに本実施例が適用されてもよい。
【0094】
図3に示されたチャート301~303は一例に過ぎない。チャート301~303における白地領域W-P、デジタルパターンD-P、アナログパターンA1-P、A2-Pの順序は他の順序であってもよい。チャートに白地領域W-P、デジタルパターンD、アナログパターンA1-P、A2-Pが含まれていれば十分である。とりわけ、スジの原因が帯電器12にあるのか、それとも現像器14にあるのかを特定するには、アナログパターンA1-P、A2-Pがチャートに含まれていれば十分である。
【0095】
実施例1によればシートSに形成されたパターン画像はテスト画像の一例である。アナログパターンA1は、第一帯電電位(例:Vd_A1)が適用されかつ露光が適用されずに形成されたトナー画像である第一非露光像の一例である。アナログパターンA2は第一帯電電位と異なる第二帯電電位(例:Vd_A2)が適用されかつ露光が適用されずに形成されたトナー画像である第二非露光像の一例である。このように帯電電位の異なる二つのアナログパターンを用いることで帯電器12と現像器14とのどちらを交換すべきかが容易に判別可能となる。つまり、本実施例により、帯電ユニットと現像ユニットとのどちらを交換すべきかを特定可能なテスト画像を形成する画像形成装置1が提供される。なお、チャート301~303を用いてユーザやサービスマンが目視で交換部品を特定してもよいし、画像形成装置1がチャート301~303を読み取って交換部品を特定してもよい。とりわけ、テスト画像には、ユーザやサービスマンが注目していない画像不良を目立たなくするためのカモフラージュ模様が付加されている。これにより、交換部品を特定するためには必要とされない画像不良が目立たなくなる。
【0096】
基本的にテスト画像は単色のトナーを用いて形成されている。ブラック以外のテスト画像の色と、当該テスト画像に付加されるカモフラージュ模様の色とは補色の関係にある。これはカモフラージュ模様がテスト画像に対して目立つようになり、大きなカモフラージュ効果をもたらす。ブラックのテスト画像に対しては、グリーンのカモフラージュ模様が付加されてもよい。ブラックには補色が存在しないからである。CCDセンサ25はR画素、G画素およびB画素を有し、テスト画像を読み取る読取装置の一例である。CPU60の診断部67はテスト画像の読取結果と、交換部品を特定するための特定条件とを比較することで交換部品を特定する。CCDセンサ25は、ブラックのテスト画像についてはG画素の読取結果を用い、イエローのテスト画像についてはB画素の読取結果を用い、マゼンタのテスト画像についてはG画素の読取結果を用い、シアンのテスト画像についてはR画素の読取結果を用いる。これによりテスト画像の読取結果においてカモフラージュ模様の影響が低減される。
【0097】
<実施例2>
デジタルパターンD-Pは露光が適用されるため、デジタルパターンD-Pに付加されるカモフラージュ模様の色はYMCBkのいずれか1色(単色)であってもよいし、異なる色のトナーを用いて形成される混色でもよい。実施例2では、アナログパターンA1-P、A2-Pのトナー色と、カモフラージュ模様のトナー色とを同色とするための発明が提案される。このような手法は自色によるカモフラージュ模様の形成と呼ばれてもよい。
【0098】
図17A図17Dは自色によるカモフラージュ模様の形成方法を説明する図である。なお、図17A図17Bにおける帯電電位Vdと現像電位Vdcは図13C図13Eの帯電電位Vdと現像電位Vdcと一致しているものとする。
【0099】
図17Aが示すように、チャート生成部64はアナログパターンA1-Pを形成するために、各色の画像形成ステーションの帯電器12に帯電電位Vd_A1(第1の電位)を設定する。チャート生成部64は、各色の画像形成ステーションの露光器13に自色のカモフラージュ模様A1-Caを形成するための画像信号を出力する。露光器13が画像信号に応じて像担持体を露光することで、露光された領域の潜像電位はVl_Ca_A1(第2の電位)となる。また、チャート生成部64は、各色の画像形成ステーションの現像器14に現像電位Vdc_A1(第3の電位)を設定する。ここで、帯電電位Vd_A1(第1の電位)の絶対値は潜像電位Vl_Ca_A1(第2の電位)の絶対値より大きい。さらに、現像電位Vdc_A1(第3の電位)の絶対値は帯電電位Vd_A1(第1の電位)の絶対値より大きい。なお、カモフラージュ模様が形成されない他の領域の電位は帯電電位Vd_A1(第1の電位)に制御される。これにより、図17Bが示すように、アナログパターンA1-Pに自色のカモフラージュ模様A1-Caが形成される。つまり、イエローのアナログパターンA1-P-Yにイエローのカモフラージュ模様A1-Ca-Yが形成される。マゼンタのアナログパターンA1-P-Mにはマゼンタのカモフラージュ模様A1-Ca-Mが形成される。シアンのアナログパターンA1-P-Cにはシアンのカモフラージュ模様A1-Ca-Cが形成される。ブラックのアナログパターンA1-P-Bkにはブラックのカモフラージュ模様A1-Ca-Bkが形成される。
【0100】
図17Cが示すように、チャート生成部64はアナログパターンA2-Pを形成するために、各色の画像形成ステーションの帯電器12に帯電電位Vd_A2(第4の電位)を設定する。帯電電位Vd_A2は帯電電位Vd_A1と異なる。チャート生成部64は、各色の画像形成ステーションの露光器13に自色のカモフラージュ模様A2-Caを形成するための画像信号を出力する。露光器13が画像信号に応じて感光ドラム11を露光することで、露光された領域の電位はVl_Ca_A2(第5の電位)となる。露光された領域の電位Vl_Ca_A2は露光された領域の電位Vl_Ca_A1と異なる。また、チャート生成部64は、各色の画像形成ステーションの現像器14に現像電位Vdc_A2(第6の電位)を設定する。現像電位Vdc_A2は現像電位Vdc_A1とことなる。ここで、帯電電位Vd_A2(第4の電位)の絶対値は潜像電位Vl_Ca_A2(第5の電位)の絶対値より大きい。さらに、現像電位Vdc_A2(第6の電位)の絶対値は帯電電位Vd_A2(第4の電位)の絶対値より大きい。なお、カモフラージュ模様が形成されない領域の電位は帯電電位Vd_A2(第4の電位)に制御される。これにより、図17Dが示すように、アナログパターンA2-Pに自色のカモフラージュ模様A2-Caが形成される。つまり、イエローのアナログパターンA2-P-Yにはイエローのカモフラージュ模様A2-Ca-Yが形成される。マゼンタのアナログパターンA2-P-Mにはマゼンタのカモフラージュ模様A2-Ca-Mが形成される。シアンのアナログパターンA2-P-Cにはシアンのカモフラージュ模様A2-Ca-Cが形成される。ブラックのアナログパターンA2-P-Bkにはブラックのカモフラージュ模様A2-Ca-Bkが形成される。
【0101】
一般に帯電電位Vdを目標電位に遷移させて安定させるにはかなりの時間が必要となる。とりわけ、異なる色のトナーを用いて形成される混色のカモフラージュ模様を作成する場合に、規定時間内に複数の画像形成ステーション間で帯電電位を安定化させることは困難であろう。あるいは、非常に高価な電源が必要となろう。一方で、アナログパターンのトナー色とカモフラージュ模様のトナー色とを一致させる場合、このような調整時間が大幅に短縮される。つまり、効率よくチャート301~303を作成することが可能となる。
【0102】
●露光量の削減
上述したように、ユーザ又はサービスマンが通常画像(出力画像)を形成するときの帯電電位と比較して、帯電電位Vd_A1、Vd_A2は低く設定される。出力画像がプリンタ3により形成される場合、現像スリーブの表面電位は感光ドラムの明部電位(露光領域の電位)と感光ドラムの暗部電位(非露光領域の電位)との間の電位に制御される。ここで通常画像のための露光量でカモフラージュ模様が形成される場合、現像コントラストVc_A1、Vc_A2が通常よりも大きくなってしまう。現像コントラストVc_A1、Vc_A2が大きくなるとトナーが感光ドラム11に付着する量(付着量)が増加する。トナー付着量が所定量を越えた場合、定着処理の際にトナーがシートから剥がれたり、中間転写ベルト31上でトナーが飛び散ったりしてしまう。これにより、画像不良が生じてしまう。そのため、交換部品の検知精度を低下させる可能性がある。そこで、CPU60は、現像コントラストVc_A1、Vc_A2が通常の現像コントラストVcと一致するように、露光量を低下させる。これにより、トナー過多が発生しにくくなり、交換部品の検知精度が低下することを抑制できる。
【0103】
上述したように、実施例2のCPU60は、非注目の画像不良を目立たなくするためのカモフラージュ模様がテスト画像に付加されるよう、露光器13を制御することで、テスト画像のトナー色と同一のトナー色を用いてカモフラージュ模様を形成する。図17が示すように、アナログパターンA1-Pにはカモフラージュ模様A1-Caが付加されるがこれらのトナー色は同一である。また、アナログパターンA2-Pにはカモフラージュ模様A2-Caが付加されるがこれらのトナー色も同一である。とりわけ、帯電電位Vd_A2が0Vを超える状態で、アナログパターンA2-Pにカモフラージュ模様A2-Caが付加される。
【0104】
実施例2で説明されたように、露光器13は、第一露光量を使用してデジタルパターンD-Pのための潜像を形成し、第一露光量よりも少ない第二露光量を使用してカモフラージュ模様A1-Ca、A2-Caのための潜像を形成する。これにより、カモフラージュ模様A1-Ca、A2-Caについてトナーの飛び散りなどが発生しにくくなる。なお、第一露光量は、ユーザにより要求されたトナー画像のための潜像を形成するために使用される露光量であってもよい。出力画像とは、原稿を複写することで形成されるトナー画像や、ホストコンピュータから送信されたプリントジョブにより形成されるトナー画像であり、テスト画像とは異なる画像である。
【0105】
また、画像形成装置1の構成は、イメージリーダー2がチャートを読み取る構成に限定されない。プリンタ3がシートを搬送するための搬送パスにチャートを読み取るセンサを有する構成が採用されてもよい。センサはシートの搬送方向において定着器40の下流に設けられる。そして、CPU60は搬送パスに沿ってチャートをセンサへ搬送し、センサによってチャートを読み取る。この構成によれば、ユーザ又はサービスマンがチャートをイメージリーダー2の原稿台ガラス22にチャートを載置する煩わしさがない。
【符号の説明】
【0106】
1…画像形成装置、12…帯電器、14…現像器、15…ドラムクリーナ、17…一次転写器、29…プリンタ制御部、31…中間転写ベルト、35…転写クリーナ、40…定着器、A1…アナログパターン、A2…アナログパターン
図1
図2
図3
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