(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】フィーダ待機台及び部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2018099237
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】石谷 泰行
(72)【発明者】
【氏名】井上 涼太
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-130851(JP,A)
【文献】国際公開第2014/013580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、前記基台に連結されるフィーダベースと、フィーダベースに直接或いは前記フィーダベースに取り付けられるアタッチメントを介して前記フィーダベースに間接的に着脱されるパーツフィーダと、前記パーツフィーダが供給する部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドとを備えた部品実装装置のフィーダ待機台であって、
一端側が前記基台又は前記基台に連結される部材に着脱自在に取り付けられるアーム体と、
前記アーム体の他端側に設けられ、交換用の前記パーツフィーダを挿抜自在に保持するフィーダ保持部とを備え
、
前記フィーダ保持部は、相対的に幅方向のサイズが大きい前記交換用のパーツフィーダと、相対的に幅方向のサイズが小さい前記交換用のパーツフィーダを保持可能である、フィーダ待機台。
【請求項2】
前記アーム体に対する前記フィーダ保持部の取付け位置を変えることで、前記フィーダ保持部に対する前記交換用のパーツフィーダの挿抜方向を水平面内で変更できる請求項1に記載のフィーダ待機台。
【請求項3】
前記フィーダ保持部は、相対的に幅方向のサイズが大きい前記交換用のパーツフィーダを保持する第1のスロットと、相対的に幅方向のサイズが小さい前記交換用のパーツフィーダを保持する第2のスロットとを備えた請求項2に記載のフィーダ待機台。
【請求項4】
前記第2のスロットは、前記交換用のパーツフィーダを挿抜する側から見て前記第1のスロットよりも手前側に配置されている請求項3に記載のフィーダ待機台。
【請求項5】
前記フィーダ保持部に前記フィーダ保持部の
前端部を覆うガード部材が設けられた請求項1~4のいずれかに記載のフィーダ待機台。
【請求項6】
基台と、前記基台に連結されるフィーダベースと、フィーダベースに直接或いは前記フィーダベースに取り付けられるアタッチメントを介して前記フィーダベースに間接的に着脱されるパーツフィーダと、前記パーツフィーダが供給する部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、フィーダ待機台とを備えた部品実装装置であって、
前記フィーダ待機台は、
一端側が前記基台又は前記基台に連結される部材に着脱自在に取り付けられるアーム体と、
前記アーム体の他端側に設けられ、交換用の前記パーツフィーダを挿抜自在に保持するフィーダ保持部とを備え
、
前記フィーダ保持部は、相対的に幅方向のサイズが大きい前記交換用のパーツフィーダと、相対的に幅方向のサイズが小さい前記交換用のパーツフィーダを保持可能である、部品実装装置。
【請求項7】
前記基台又は前記基台に連結される部材に取り付けられた前記フィーダ待機台は、前記フィーダベースに取り付けられた前記パーツフィーダよりも高い位置に位置する請求項6に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーツフィーダが供給する部品をピックアップして基板に装着する部品実装装置に備えられるフィーダ待機台及びフィーダ待機台を備えた部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置はパーツフィーダが供給する部品を装着ヘッドによりピックアップして予め作業位置に位置決めしておいた基板に装着する。部品実装装置のパーツフィーダとしては様々な形態のものがあり、テープフィーダやバルクフィーダ、スティックフィーダ等が知られている。部品実装装置の基台に連結されるフィーダ台車はブロック状のフィーダベースを備えており、フィーダベースには水平方向に延びたスロットが形成されている。パーツフィーダは下方に突出したスライダ部を有しており、このスライダ部がフィーダベースのスロットに挿抜され、或いはスロットに取り付けられるアタッチメントの溝部に挿抜されることでパーツフィーダがフィーダベースに着脱される。フィーダベースにパーツフィーダが取り付けられたフィーダ台車が部品実装装置の基台に連結されると、パーツフィーダが基台に接続される(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
このような構成の部品実装装置では、パーツフィーダが部品切れになった場合や、供給する部品の種類を切り替える場合などには、作業者によってパーツフィーダが交換される。パーツフィーダの交換は、現在フィーダベースのスロット或いはアタッチメントの溝部に挿入されているパーツフィーダを引き抜き、次いで交換用のパーツフィーダをフィーダベースのスロット或いはアタッチメントの溝部に挿入する。交換用のパーツフィーダはパーツフィーダの待機場所に用意されており、パーツフィーダの交換を行うときは、作業者はパーツフィーダをフィーダベース或いはアタッチメントから引き抜いたうえで、待機場所から取り出した交換用のパーツフィーダをフィーダベース或いはアタッチメントに挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、交換用のパーツフィーダの待機場所は部品実装装置の近傍に設置されているわけではなかった。このためパーツフィーダの交換を迅速に行えない場合があり、パーツフィーダの交換遅れに起因して部品実装装置による部品実装作業の遅延や停滞が発生するおそれがあるといる問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、パーツフィーダの交換作業を迅速に行うことができ、パーツフィーダの交換遅れに起因する部品実装作業の遅延や停滞を防止することができるフィーダ待機台及び部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフィーダ待機台は、基台と、前記基台に連結されるフィーダベースと、フィーダベースに直接或いは前記フィーダベースに取り付けられるアタッチメントを介して前記フィーダベースに間接的に着脱されるパーツフィーダと、前記パーツフィーダが供給する部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドとを備えた部品実装装置のフィーダ待機台であって、一端側が前記基台又は前記基台に連結される部材に着脱自在に取り付けられるアーム体と、前記アーム体の他端側に設けられ、交換用の前記パーツフィーダを挿抜自在に保持するフィーダ保持部とを備え、前記フィーダ保持部は、相対的に幅方向のサイズが大きい前記交換用のパーツフィーダと、相対的に幅方向のサイズが小さい前記交換用のパーツフィーダを保持可能である。
【0008】
本発明の部品実装装置は、基台と、前記基台に連結されるフィーダベースと、フィーダベースに直接或いは前記フィーダベースに取り付けられるアタッチメントを介して前記フィーダベースに間接的に着脱されるパーツフィーダと、前記パーツフィーダが供給する部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、フィーダ待機台とを備えた部品実装装置であって、前記フィーダ待機台は、一端側が前記基台又は前記基台に連結される部材に着脱自在に取り付けられるアーム体と、前記アーム体の他端側に設けられ、交換用の前記パーツフィーダを挿抜自在に保持するフィーダ保持部とを備え、前記フィーダ保持部は、相対的に幅方向のサイズが大きい前記交換用のパーツフィーダと、相対的に幅方向のサイズが小さい前記交換用のパーツフィーダを保持可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パーツフィーダの交換作業を迅速に行うことができ、パーツフィーダの交換遅れに起因する部品実装作業の遅延や停滞を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態における部品実装装置の側面図
【
図3】本発明の一実施の形態における部品実装装置の一部の斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるフィーダ台車をこれに取り付けられるパーツフィーダ及びアタッチメントとともに示す斜視図
【
図5】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるフィーダ台車のフィーダベースをこれに取り付けられるパーツフィーダ及びアタッチメントそれぞれの一部とともに示す断面図
【
図6】本発明の一実施の形態における部品実装装置に対するフィーダ待機台の取付け方を示す斜視図
【
図7】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるフィーダ待機台の斜視図
【
図8】本発明の一実施の形態における部品実装装置のフィーダ待機台が備えるフィーダ保持部の斜視図
【
図9】本発明の一実施の形態における部品実装装置のフィーダ待機台が備えるフィーダ保持部の分解斜視図
【
図10】本発明の一実施の形態における部品実装装置のフィーダ待機台の通常型フィーダ保持部の断面図
【
図11】本発明の一実施の形態における部品実装装置のフィーダ待機台に通常型フィーダの取付け方を示す斜視図
【
図12】本発明の一実施の形態における部品実装装置のフィーダ待機台の薄型フィーダ保持部の断面図
【
図13】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるフィーダ待機台に対する薄型フィーダの取付け方を示す斜視図
【
図14】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるフィーダ待機台の斜視図
【
図15】本発明の一実施の形態における部品実装装置の一部の平面図
【
図16】本発明の一実施の形態における部品実装装置の一部の斜視図
【
図17】本発明の一実施の形態における部品実装装置の一部の平面図
【
図18】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるフィーダ待機台に2つの通常型フィーダを同時に取り付けた状態を示す斜視図
【
図19】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるフィーダ待機台に通常型フィーダと薄型フィーダを同時に取り付けた状態を示す斜視図
【
図20】本発明の一実施の形態における部品実装装置の一部の平面図
【
図21】本発明の一実施の形態における部品実装装置を2台連結した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1及び
図2は本発明の一実施の形態の部品実装装置1を示している。部品実装装置1は、外部から搬入した基板KBに部品PTを装着して部品実装基板を製造する装置であり、基台11、基台カバー12、搬送コンベア13、複数のパーツフィーダ14、ヘッド移動機構15、装着ヘッド16及びフィーダ待機台17を備えている。ここでは説明の便宜上、作業者OPから見た基台11の左右方向をX軸方向とし、作業者OPから見た基台11の前後方向をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とし、Y軸方向のうち、作業者OPに向く側を前側、その反対側を後側とする。
【0012】
図1及び
図2において、基台カバー12は基台11を覆って設けられており、基台11の上面との間に作業空間11Sを形成する。搬送コンベア13は基台11上をX軸方向に延びており、基板KBを外部から搬入して作業空間11S内の所定の位置に位置決めする。
【0013】
図1、
図2及び
図3において、基台11にはフィーダ台車21が連結されている。フィーダ台車21はブロック状のフィーダベース22を備えており、各パーツフィーダ14はフィーダベース22に着脱自在に取り付けられている。
図4において、フィーダベース22にはY軸方向に延びた複数のスロット23がX軸方向に並んで設けられており、各パーツフィーダ14は直接或いはアタッチメントATを介してスロット23に取り付けられている(
図3)。
【0014】
図3及び
図4において、本実施の形態では、相対的に幅(X軸方向の寸法)が大きい通常のパーツフィーダ14(通常型フィーダ14Aと称する)と、相対的に幅が小さい薄型のパーツフィーダ14(薄型フィーダ14Bと称する)が用いられる。
図4において、通常型フィーダ14Aは下面から下方に突出して設けられたスライダ部(通常型フィーダスライダ部T1と称する)を有している。通常型フィーダスライダ部T1は倒立した「T」形状を有しており、スロット23はこの通常型フィーダスライダ部T1が嵌合する断面形状を有している(
図5)。このため作業者OPは、通常型フィーダスライダ部T1をスロット23内に水平に挿抜することで、通常型フィーダ14Aをフィーダベース22に着脱することができる(
図4)。
【0015】
一方、薄型フィーダ14BはアタッチメントATを介して間接的にフィーダベース22に着脱される。
図4において、薄型フィーダ14Bは下面から下方に突出して設けられたスライダ部(薄型フィーダスライダ部T2と称する)を有している。薄型フィーダスライダ部T2は通常型フィーダスライダ部T1よりは小さい大きさの倒立した「T」形状を有しており、アタッチメントATはこの薄型フィーダスライダ部T2が嵌合する断面形状を有する溝MZ(
図4)を有している。このため作業者OPは、薄型フィーダスライダ部T2を溝MZ内に水平に挿抜することで、薄型フィーダ14BをアタッチメントATに取り付けることができる(
図4)。
【0016】
図4において、アタッチメントATは下面から下方に突出したアタッチメントスライダ部T3を有している。アタッチメントスライダ部T3は通常型フィーダスライダ部T1と同じ大きさの倒立した「T」形状を有している。このため作業者OPは、アタッチメントスライダ部T3をスロット23内に水平に挿抜することで、アタッチメントATをフィーダベース22に着脱することができる(
図4。
図5も参照)。アタッチメントATには薄型フィーダ14Bを2つ同時にX軸方向に並んで取り付けることができる(
図4)。
【0017】
このように本実施の形態において、パーツフィーダ14は、フィーダベース22に直接或いはフィーダベース22に取り付けられるアタッチメントATを介してフィーダベース22に間接的に着脱されるようになっている。
【0018】
複数のパーツフィーダ14が取り付けられたフィーダ台車21が基台11に結合されるとフィーダベース22が基台11に連結され、これにより複数のパーツフィーダ14が一括して基台11に接続される。パーツフィーダ14が基台11に接続されると、そのパーツフィーダ14の部品供給口14Kが作業空間11S内に位置する(
図2)。基台11に接続されたパーツフィーダ14は部品供給口14Kに部品PTを送り、これにより作業空間11S内に部品PTが供給される。なお、ここではパーツフィーダ14は、部品PTを一列に並べて封入したキャリアテープをピッチ送りして部品PTを部品供給口14Kに供給するテープフィーダを想定しているが、パーツフィーダはテープフィーダに限られず、バルクフィーダやスティックフィーダ等であっても構わない。
【0019】
図1及び
図2において、ヘッド移動機構15は基台11上に設置されている。ヘッド移動機構15は固定ビーム15a、移動ビーム15b及び移動プレート15cを備えている。固定ビーム15aはY軸方向に延びた形状を有しており、移動ビーム15bはX軸方向に延びた形状を有している。
【0020】
移動ビーム15bは一端側が固定ビーム15aに沿って移動(すなわちY軸方向に移動)自在であり、移動プレート15cは移動ビーム15bに沿って移動(すなわちX軸方向に移動)自在である。装着ヘッド16はヘッド移動機構15の移動プレート15cに取り付けられており、固定ビーム15aに対する移動ビーム15bのY軸方向への移動動作と、移動ビーム15bに対する移動プレート15cのX軸方向への移動動作とによって、作業空間11S内を水平面内方向に移動する。
【0021】
図2において、装着ヘッド16は下方に延びた複数のノズル16Nを備えている。各ノズル16Nは装着ヘッド16に対して昇降自在かつ上下軸回りに回動自在に取り付けられている。装着ヘッド16は、パーツフィーダ14が供給する部品PTをノズル16Nによりピックアップした後、ヘッド移動機構15により移動されて、作業空間11S内に位置決めされた基板KBに部品PTを装着する。
【0022】
図3、
図6及び
図7(a),(b)において、フィーダ待機台17は、アーム体31とフィーダ保持部32を備えている。アーム体31はY軸方向に延びた板状の部材であり、一端側(後端側)が基台11に取り付けられている。フィーダ保持部32はアーム体31の他端側(前端側)の上面に着脱自在に設けられている。
【0023】
図6において、アーム体31の後端側は、基台11が有する部材(ここではフィーダ台車21を基台11に連結させる機構部を覆って設けられるカバー部材11B)の上面に、複数のアーム体固定螺子33によって着脱自在に取り付けられている。ここではフィーダ待機台17は基台11の左側に位置するカバー部材11Bの上面に取り付けられているが、基台11の右側に位置するカバー部材11Bの上面に取り付けられるのであってもよい。
図2及び
図6に示すように、基台11に取り付けられたフィーダ待機台17は、フィーダベース22に取り付けられたパーツフィーダ14よりも高い位置に位置する。
【0024】
図7(a),(b)及び
図8において、フィーダ保持部32は、ほぼ長方形に形成された板状のベース部41、ベース部41の上面に設けられた通常型フィーダ保持部42、薄型フィーダ保持部43及びガード部材44を備えている。
図7(a)において、ベース部41は、アーム体31の前端側の上面に2つの螺子(前方螺子45及び後方螺子46)によって着脱自在に設けられる。ガード部材44は樹脂製の薄板が曲げ成型されて成り、ベース部41の外周部の一部(前端部)を覆って設けられている。
【0025】
図7(a),(b)及び
図8において、ベース部41には2つの螺子孔(前方螺子孔51及び後方螺子孔52)が設けられており、アーム体31には3つの位置決め孔(前方孔53、第1の後方孔54及び第2の後方孔55)が設けられている。ベース部41の前方螺子孔51と後方螺子孔52はベース部41の中央の長辺方向に沿った軸線J1上に前後に並んで設けられている。アーム体31の前方孔53と第2の後方孔55はアーム体31の長手方向に沿った基準軸線J2上に前後に並んで設けられており、第1の後方孔54は第2の後方孔55よりも基準軸線J2の外側(基台11のY軸方向の中心軸線から離れる側)に設けられている。
【0026】
前方螺子45はベース部41の前方螺子孔51とアーム体31の前方孔53を挿通してアーム体31の下面側から取り付けられる。一方、後方螺子46は、ベース部41の後方螺子孔52とアーム体31の第1の後方孔54(又は第2の後方孔55)を挿通してアーム体31の下面側から取り付けられる(
図7(a)→
図7(b))。
【0027】
図8及び
図9において、フィーダ保持部32の通常型フィーダ保持部42は、ベース部41の後側領域に設けられた3つのブロック部材61とストッパ62とによって構成されている。
図9及び
図10(
図8における矢視V1-V1断面図)に示すように、3つのブロック部材61はベース部41の長辺方向に延びており、それぞれブロック部材固定螺子63によってベース部41の上面に取り付けられている。ストッパ62は3つのブロック部材61の後方に設けられている。
【0028】
図9及び
図10において、3つのブロック部材61はベース部41の短辺方向に並んで設けられている。各ブロック部材61の上端にはベース部41の短辺方向に張り出して延びた鍔部61Bが形成されており、隣接する2つのブロック部材61の間の空間は、通常型フィーダスライダ部T1と嵌合し得る形状のスロット(第1のスロット64と称する)となっている(
図8及び
図10)。このため作業者OPは、交換用の通常型フィーダスライダ部T1を第1のスロット64に水平に挿抜することで、通常型フィーダ14Aを通常型フィーダ保持部42に着脱することができる(
図11→
図3)。作業者OPは、通常型フィーダスライダ部T1の先頭部がストッパ62に当接するまで押し込むことで、通常型フィーダ14Aを第1のスロット64内に確実に挿入することができる。
【0029】
図8、
図9及び
図12(
図8における矢視V2-V2断面図)において、フィーダ保持部32の薄型フィーダ保持部43は、ベース部41の前側領域をベース部41の長辺方向に延びて前方に開口を有した溝部71と、溝部71よりも小さい溝幅を有してベース部41の長辺方向に延びた溝状切欠き部72を有した板材73とによって構成されている。板材73は複数の固定螺子74によってベース部41の前側領域の上面に取り付けられている。
【0030】
図8及び
図12において、溝部71の内面と板材73の下面とによって囲まれる空間は、薄型フィーダスライダ部T2と嵌合し得る形状のスロット(第2のスロット75と称する)となっている。このため作業者OPは、交換用の薄型フィーダスライダ部T2を第2のスロット75に水平に挿抜することで、交換用の薄型フィーダ14Bを薄型フィーダ保持部43に着脱することができる(
図13(a)→
図13(b))。
【0031】
図8から分かるように、本実施の形態では、第2のスロット75は第1のスロット64よりも前方(交換用のパーツフィーダ14の挿抜する側から見て手前側)に配置されており、その軸線は、2つの第1のスロット64のうちの一方の交換用のパーツフィーダ14の挿入方向に沿った軸線上に位置している。本実施の形態ではこのような構成をとることによって、ベース部41の短辺方向のサイズが小さくなるようにしているが、ベース部41の短辺方向のサイズに余裕があるのであれば、第1のスロット64の側方(ベース部41の短辺方向)に第2のスロット75を配置してもよい。
【0032】
このように本実施の形態における、部品実装装置1はフィーダ待機台17を備えており、このフィーダ待機台17は、一端側が基台11に着脱自在に取り付けられるアーム体31の他端側に、交換用のパーツフィーダ14を挿抜自在に保持するフィーダ保持部32が設けられた構成となっている。作業者OPは、交換用のパーツフィーダ14(通常型フィーダ14A及び薄型フィーダ14B)をフィーダ保持部32に保持させることで、その交換用のパーツフィーダ14をフィーダベース22に近接した位置に待機させておくことができる。このため、パーツフィーダ14の交換作業が必要になったときにはこれを迅速に行うことができ、パーツフィーダ14の交換遅れに起因する部品実装作業の遅延や停滞を防止することができる。
【0033】
なお、前述したように、基台11に取り付けられたフィーダ待機台17は、フィーダベース22に取り付けられたパーツフィーダ14よりも高い位置に位置するので、フィーダ待機台17に装着されて待機状態になっている交換用のパーツフィーダ14はフィーダベース22に装着されているパーツフィーダ14よりも高い位置にある。よって、フィーダ待機台17に装着されて待機状態となっている交換用のパーツフィーダ14がフィーダベース22に対するパーツフィーダ14の挿抜の妨げになることはない。
【0034】
本実施の形態におけるフィーダ待機台17では、アーム体31に対するフィーダ保持部32の取付け位置を変えることで、フィーダ保持部32に対する交換用のパーツフィーダ14の挿抜方向を水平面内で変更することができる。具体的には、アーム体31に対するフィーダ保持部32の取付け位置を、ベース部41の後端側が前端側よりも基台11のY軸方向の中心軸線から外側に離れる方向に傾く第1の位置と、ベース部41の長辺がY軸に対して平行となる第2の位置との間で変更することができる。これによりフィーダ保持部32に対する交換用のパーツフィーダ14の挿抜方向を、基台11の前後方向(Y軸方向)に対して傾いた方向と、基台11の前後方向に対して平行な方向との間で変更することができる。
【0035】
アーム体31に対するフィーダ保持部32の取付け位置を第1の位置に設定するには、前方螺子45をベース部41の前方螺子孔51とアーム体31の前方孔53とに挿通させるとともに、後方螺子46をベース部41の後方螺子孔52とアーム体31の第1の後方孔54とに挿通させる(
図7(a)→
図7(b))。一方、アーム体31に対するフィーダ保持部32の取付け位置を第2の位置に設定するには、前方螺子45をベース部41の前方螺子孔51とアーム体31の前方孔53とに挿通させるとともに、後方螺子46をベース部41の後方螺子孔52とアーム体31の第2の後方孔55とに挿通させる(
図14(a)→
図14(b))。
【0036】
図3及び
図15は、第1の位置に設定されているフィーダ保持部32に交換用の通常型フィーダ14Aを挿入して保持させた状態を示している。第1の位置に設定されたフィーダ保持部32に交換用のパーツフィーダ14が挿入されている場合、その交換用のパーツフィーダ14の軸線は、フィーダベース22からパーツフィーダ14を引き抜く作業を行う作業者OPの方向を向いている。このため作業者OPは、パーツフィーダ14を交換する際、体を大きく動かすことなくフィーダ待機台17から交換用のパーツフィーダ14を引き抜いてフィーダベース22に挿入することができる。このため作業者OPはより一層迅速にパーツフィーダ14の交換作業を行うことができる。
【0037】
図16及び
図17は、第2の位置に設定されているフィーダ保持部32に交換用の薄型フィーダ14Bを挿入して保持させた状態を示している。第2の位置に設定されたフィーダ保持部32に交換用のパーツフィーダ14が挿入されている場合、その交換用のパーツフィーダ14の軸線は、フィーダベース22に取り付けられているパーツフィーダ14と同じ方向を向いている。この場合、パーツフィーダ14の交換時における作業者OPの動きはフィーダ保持部32が第1の位置に設定されている場合に比べて大きくなるが、交換用のパーツフィーダ14が基台11の前後方向の軸線(Y軸)に対して平行な姿勢になっている状態を好む作業者OPにとっては作業がし易くなる。
【0038】
このような作業者OPによる交換用のパーツフィーダ14の挿抜作業において、フィーダ保持部32(詳細にはベース部41)の先端部(前端部)に作業者OPが接触したり交換用のパーツフィーダ14を接触させてしまったりするおそれがあるが、本実施の形態では、ベース部41の先端部にはガード部材44が設けられているので、仮に作業者OPや交換用のパーツフィーダ14がベース部41の先端部に接触したとしても、その接触による衝撃はガード部材44によって吸収される。このためベース部41が破損したり交換用のパーツフィーダ14を傷つけたりすることが防止され、作業者OPが怪我をする事態も防止される。
【0039】
部品実装装置1には、フィーダ待機台17に保持されて待機状態になっている交換用のパーツフィーダ14に接続されてその交換用のパーツフィーダ14に電源を供給することができるコネクタを備えていることが好ましい。待機状態の交換用のパーツフィーダ14に電源を供給できればその交換用のパーツフィーダ14を駆動でき、必要な作業を待機中に実行することができる。ここで、必要な作業とは、例えば、パーツフィーダ14がオートロード型のテープフィーダである場合における、キャリアテープのロード作業等である。
【0040】
本実施の形態では、通常型フィーダ14Aの幅方向のサイズによっては、通常型フィーダ保持部42が備える2つの第1のスロット64に2つの交換用の通常型フィーダ14Aを挿入することによって、
図18に示すように、2つの通常型フィーダ14Aを同時に待機状態にすることができる。また、
図19及び
図20に示すように、通常型フィーダ14Aと薄型フィーダ14Bとを同時に保持させることも可能である。本実施の形態では、第2のスロット75の軸線は、2つの第1のスロット64のうちの一方の軸線上に位置していることから、通常型フィーダ14Aと薄型フィーダ14Bとを同時に保持させる場合には、第1のスロット64のうち、第2のスロット75の後方に位置するものには交換用のパーツフィーダ14は挿入できない。よって、フィーダ待機台17に通常型フィーダ14Aと薄型フィーダ14Bとを同時に保持させる場合には、第1のスロット64に挿入できる交換用の通常型フィーダ14Aは1つのみとなる。
【0041】
図21に示すように、部品実装装置1が基板KBの搬送方向(X軸方向)に複数台が連結されるような場合には、隣り合う2台の部品実装装置1において、作業者OPから見て左側に位置する部品実装装置1にはフィーダ待機台17を基台11の左側に取り付け、作業者OPから見て右側に位置する部品実装装置1にはフィーダ待機台17を基台11側に取り付けるようにすることが好ましい。このようにすることによって、作業者OPは2台の部品実装装置1の間の作業スペースが広くなり、効率よく作業を行うことができる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態では、部品実装装置1が、一端側が基台11に着脱自在に取り付けられるアーム体31の他端側にフィーダ保持部32が設けられた構成のフィーダ待機台17を備えており、作業者OPは、交換用のパーツフィーダ14をフィーダ保持部32に挿抜自在に保持させることで待機状態にしておくことができる。このため作業者OPはパーツフィーダ14の交換作業を迅速に行うことができ、パーツフィーダ14の交換遅れに起因する部品実装作業の遅延や停滞を防止することができる。
【0043】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、フィーダ待機台17のアーム体31が基台11(詳細にはカバー部材11B)に取り付けられる構成となっていたが、基台11そのものではなく、基台11に連結される部材(例えばフィーダ台車21)に取り付けられるのであってもよい。また、上述の実施の形態において示した第1のスロット64と第2のスロット75の構成はそれぞれ一例を示したに過ぎず、交換用のパーツフィーダ14を挿抜自在に保持し得るのであれば、その他の構成であってもよい。
【0044】
また、上述の実施の形態では、アーム体31に対するフィーダ保持部32の取付け位置を変えることができるようになっていたが、フィーダ保持部32に対する交換用のパーツフィーダ14の挿抜方向を水平面内で変更できる構成とする必要がない場合には、必ずしもアーム体31に対するフィーダ保持部32の取付け位置を変えることができるようになっていなくてもよい。この場合には、アーム体31とフィーダ保持部32とを分離不能に構成し、或いは一体に形成することによってフィーダ待機台17の製造コストを安価にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
パーツフィーダの交換作業を迅速に行うことができ、パーツフィーダの交換遅れに起因する部品実装作業の遅延や停滞を防止することができるフィーダ待機台及び部品実装装置を提供する。
【符号の説明】
【0046】
1 部品実装装置
11 基台
14 パーツフィーダ
16 装着ヘッド
17 フィーダ待機台
22 フィーダベース
31 アーム体
32 フィーダ保持部
44 ガード部材
64 第1のスロット
75 第2のスロット
AT アタッチメント
KB 基板
PT 部品