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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G03G21/00 318
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018083498
(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公開番号】P2019191349
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 将太郎
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-037878(JP,A)
【文献】特開2013-007979(JP,A)
【文献】特開平04-257886(JP,A)
【文献】特開2013-174862(JP,A)
【文献】特開2013-242492(JP,A)
【文献】特開2006-227201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0166151(US,A1)
【文献】実開昭54-146241(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
像担持体の表面に当接して前記像担持体の表面をクリーニングするブレードと、
前記ブレードの長手方向に沿って延びる揺動軸線周りに揺動可能に設けられ、前記ブレードを揺動可能に支持する揺動部材と、
前記ブレードの前記長手方向の一端側に設けられ、前記ブレードを前記像担持体に当接するために前記揺動部材を引っ張る第1コイルばねと、
前記ブレードの前記長手方向の他端側に設けられ、前記ブレードを前記像担持体に当接するために前記揺動部材を引っ張る第2コイルばねと、
前記ブレードの前記長手方向の一端側において、前記筐体もしくは前記揺動部材の一方に設けられ、前記ブレードの前記長手方向に関してそれぞれ異なる係止位置で前記第1コイルばねの一端側を選択的に係止可能な複数の第1係止部と、を備え、
前記第1コイルばねは、前記一端側の係止位置を変更することで、前記ブレードが前記像担持体の表面に当接しているときの前記第1コイルばねの長さである作動長が変更可能に構成され、前記第1コイルばねの前記作動長を変更することにより、前記ブレードが前記像担持体の表面をクリーニングするときにおける前記第1コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧が変更可能に構成されている、
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記ブレードの前記長手方向の他端側において、前記筐体もしくは前記揺動部材の一方に設けられ、前記ブレードの前記長手方向に関してそれぞれ異なる係止位置で前記第2コイルばねの一端側を選択的に係止可能な複数の第2係止部を備え、
前記第2コイルばねは、前記一端側の係止位置を変更することで、前記ブレードが前記像担持体の表面に当接しているときの前記第2コイルばねの長さである作動長が変更可能に構成され、前記第2コイルばねの前記作動長を変更することにより前記第2コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧が変更可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記複数の第1係止部は、第1位置に位置する一の第1係止部と、前記第1位置とは前記長手方向に異なる位置である第2位置に位置する他の第1係止部と、を有し、
前記複数の第2係止部は、第3位置に位置する一の第2係止部と、前記第3位置とは前記長手方向に異なる位置である第4位置に位置する他の第2係止部と、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記一の第1係止部が前記第1コイルばねに係止した場合、前記第1コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧は、第1当接圧であり、
前記他の第1係止部が前記第1コイルばねに係止した場合、前記第1コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧は、前記第1当接圧よりも低い第2当接圧であり、
前記一の第2係止部が前記第2コイルばねに係止した場合、前記第2コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧は、前記第1当接圧と同等であり、
前記他の第2係止部が前記第2コイルばねに係止した場合、前記第2コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧は、前記第1当接圧よりも高い第3当接圧である、
ことを特徴とする請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記筐体は、アーム部を有し、
前記アーム部は、前記ブレードの前記長手方向の一端側において、前記ブレードの前記長手方向に延設され、
前記複数の第1係止部は、前記アーム部に設けられ、
前記ブレードの前記長手方向に関して、前記第1位置は、前記第2位置よりも前記ブレードの前記長手方向の他端側に配置される、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記筐体は、アーム部を有し、
前記アーム部は、前記ブレードの前記長手方向の他端側において、前記ブレードの前記長手方向に延設され、
前記複数の第2係止部は、前記アーム部に設けられ、
前記ブレードの前記長手方向に関して、前記第3位置は、前記第4位置よりも前記ブレードの前記長手方向の一端側に配置される、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記複数の第1係止部は、前記筐体の外部に露出する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記複数の第2係止部は、前記筐体の外部に露出する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記筐体に設けられ、前記ブレードの前記長手方向の一端側において、前記ブレードの前記長手方向に延設されるアーム部を備え、前記複数の第1係止部は、前記アーム部に設けられている、
ことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記複数の第1係止部のうち、前記第1コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧が最も大きくなる位置に前記第1コイルばねが係止されたときの前記第1コイルばねの前記作動長と、
前記複数の第2係止部のうち、前記第2コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧が最も小さくなる位置に前記第2コイルばねが係止されたときの前記第2コイルばねの前記作動長と、が略同等の長さである、
ことを特徴とする請求項2乃至のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記複数の第1係止部のうち、前記第1コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧が最も大きくなる位置に前記第1コイルばねが係止されたときの前記第1コイルばねの前記作動長と、
前記複数の第1係止部のうち、前記第1コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧が二番目に大きくなる位置に前記第1コイルばねが係止されたときの前記第1コイルばねの前記作動長と、の差は、第1所定量であり、
前記複数の第2係止部のうち、前記第2コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧が最も小さくなる位置に前記第2コイルばねが係止されたときの前記第2コイルばねの前記作動長と、
前記複数の第2係止部のうち、前記第2コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧が二番目に小さくなる位置に前記第2コイルばねが係止されたときの前記第2コイルばねの前記作動長と、の差は、前記第1所定量よりも大きい第2所定量である、
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式等により記録材に画像を形成する画像形成装置に適用され、像担持体をクリーニングするクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置は、複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、及びこれらの複数の機能を有する複合機等として広く応用されている。電子写真方式では、露光工程において帯電された感光ドラム等の感光体にレーザ光を照射して静電像を形成し、現像工程において感光ドラムの静電像をトナーによって現像し、転写工程において現像されたトナー像を記録材に転写する。トナー像を構成するトナーのうち、記録材に転写されずに感光ドラムの表面に残留するトナーは、クリーニング装置によって除去される。クリーニング装置は、クリーニングブレードを感光ドラムの表面に当接させることによってトナーを除去して清掃する。
【0003】
クリーニングブレードとしては、ゴム等の弾性材料から成るブレード部材と、ブレード部材を支持するブレード支持部材と、を一体化して形成したものが普及している。ブレード部材及びブレード支持部材は、例えば、接着や一体成形により一体化される。クリーニングブレードにより感光ドラムに残留したトナーを良好に清掃するためには、ブレード部材の先端を感光ドラムに所定のブレード圧で押し付ける必要がある。ここでブレード圧が適正圧より弱い圧に設定されていると、トナーがブレード部材のエッジ部をすり抜けて、ブレード部材の厚み方向一方側の表面部のうち感光ドラムに近い側の表面部に付着する所謂トナーすり抜け現象が発生する虞がある。また、ブレード圧が適正圧より強い圧に設定されていると、ブレード部材による感光ドラムの削れが促進され、感光ドラムの寿命が短くなってしまう虞がある。
【0004】
近年では高画質化を目的として、体積平均粒径が例えば10μm以下程度の小粒径トナーが用いられている。小粒径トナーは、体積平均粒径が10μmを超えるような大粒径トナーに比べて、ブレード部材及び感光ドラムから受ける摩擦力が小さい。従って、このような小粒径トナーが用いられる場合にブレード圧がより適正に設定されていないと、トナーすり抜けが発生してしまう虞があるので、小粒径トナーが用いられる場合にはブレード圧をより高精度に設定する必要がある。そこで、クリーニングブレードの感光ドラムへの押圧力を、第1の押圧力と第1の押圧力より小さい第2の押圧力の異なる2つの押圧力とに切り換える押圧力切換手段を設けた構成が提案されている(特許文献1参照)。この押圧力切換手段では、クリーニングブレードの温度が高いときに、クリーニングブレードの押圧力を第1の押圧力から第1の押圧力より小さい第2の押圧力に切り換えるようにして、トナーのすり抜けを抑制するようにしている。ところで、近年のクリーニング装置の長寿命化やトナーの小粒径化に伴い、クリーニングブレードの感光ドラムへの押圧力の最適値の範囲が狭い場合に、調整手段による調整精度(調整の分解能)の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-169887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の画像形成装置では、押圧力切換手段を1つしか備えておらず、また押圧力を2段階にしか調整できないので、調整の分解能が不十分である。これに対し、1つの押圧力切換手段において、押圧力の調整の分解能を高くした場合、例えば、異なる3段階以上の押圧力に調整できるようにした場合、増加した段数に伴って押圧力切換手段の大型化を招いてしまい、画像形成装置が大型化してしまう。
【0007】
本発明は、大型化を抑制しながらも、クリーニングブレードの像担持体への押圧力の調整の分解能を向上できるクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のクリーニング装置は、筐体と、像担持体の表面に当接して前記像担持体の表面をクリーニングするブレードと、前記ブレードの長手方向に沿って延びる揺動軸線周りに揺動可能に設けられ、前記ブレードを揺動可能に支持する揺動部材と、前記ブレードの前記長手方向の一端側に設けられ、前記ブレードを前記像担持体に当接するために前記揺動部材を引っ張る第1コイルばねと、前記ブレードの前記長手方向の他端側に設けられ、前記ブレードを前記像担持体に当接するために前記揺動部材を引っ張る第2コイルばねと、前記ブレードの前記長手方向の一端側において、前記筐体もしくは前記揺動部材の一方に設けられ、前記ブレードの前記長手方向に関してそれぞれ異なる係止位置で前記第1コイルばねの一端側を選択的に係止可能な複数の第1係止部と、を備え、前記第1コイルばねは、前記一端側の係止位置を変更することで、前記ブレードが前記像担持体の表面に当接しているときの前記第1コイルばねの長さである作動長が変更可能に構成され、前記第1コイルばねの前記作動長を変更することにより、前記ブレードが前記像担持体の表面をクリーニングするときにおける前記第1コイルばねによる前記像担持体に対するブレードの当接圧が変更可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大型化を抑制しながらも、クリーニングブレードの像担持体への押圧力の調整の分解能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図2】第1の実施形態に係る画像形成装置のドラムカートリッジの概略構成を示す断面図である。
図3】第1の実施形態に係る画像形成装置のドラムカートリッジの概略構成を示す斜視図である。
図4】第1の実施形態に係る画像形成装置のドラムカートリッジの概略構成を示す分解斜視図である。
図5】第1の実施形態に係る画像形成装置の感光ドラムとクリーニングブレードとの設定角を示す側面図である。
図6】第1の実施形態に係る画像形成装置のドラムカートリッジの幅方向前側の概略構成を示す斜視図であり、(a)はケースが取り付けられている場合、(b)はケースが取り外されている場合である。
図7】第1の実施形態に係る画像形成装置のドラムカートリッジの幅方向後側の概略構成を示す斜視図であり、(a)はケースが取り付けられている場合、(b)はケースが取り外されている場合である。
図8】第1の実施形態に係る画像形成装置のドラムカートリッジの各荷重調整手段を示す正面図である。
図9】第1の実施形態に係る画像形成装置のドラムカートリッジにおけるブレード圧測定位置とブレード圧との関係を示すグラフである。
図10】第2の実施形態に係る画像形成装置のドラムカートリッジの幅方向前側の概略構成を示す斜視図であり、(a)はケースが取り付けられている場合、(b)はケースが取り外されている場合である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、図1図9を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、画像形成装置1の一例としてタンデム型のフルカラープリンタについて説明している。但し、本発明はタンデム型の画像形成装置1に限られず、他の方式の画像形成装置であってもよく、また、フルカラーであることにも限られず、モノクロやモノカラーであってもよい。あるいは、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施することができる。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体2と、不図示のシート給送部と、画像形成部4と、不図示のシート排出部と、制御部5とを備えている。
【0014】
画像形成部4は、シート給送部から給送されたシートSに対して、画像情報に基づいて画像を形成可能である。画像形成部4は、ドラムユニット(像担持体ユニット)50と、不図示のトナーボトルと、露光装置42と、現像装置40と、中間転写ユニット44と、二次転写部45と、定着部46とを備えている。尚、本実施形態の画像形成装置1は、フルカラーに対応するものであり、ドラムユニット50y,50m,50c,50kは、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)、ブラック(k)の4色それぞれに同様の構成で別個に設けられている。露光装置42及び現像装置40も同様に、4色それぞれに同様の構成で別個に設けられている。このため、図1中では4色の各構成について同符号の後に色の識別子を付して示すが、明細書中及び図2以降では色の識別子を付さずに符号のみで説明する場合もある。
【0015】
各ドラムユニット50y,50m,50c,50kは、トナー像を担持して移動する感光ドラム(像担持体)51と、帯電装置52と、不図示の前露光装置と、クリーニング装置6と、これらを収容するケース(筐体)53(図2参照)と、を有している。ドラムユニット50は、プロセスカートリッジとして一体にユニット化されて、装置本体2に対して着脱可能に構成され、後述する中間転写ベルト44bにトナー像を形成する。
【0016】
感光ドラム51は、ケース53に不図示の軸受により回転可能に支持され、画像形成に用いられる静電像を担持し、静電像の現像後にトナー像を担持する。感光ドラム51は、本実施形態では、外径30mmの負帯電性の有機感光体(OPC)であり、外径84mm及び長さ380mmであり、350mm/sのプロセススピード(回転周速)で矢印方向に不図示のモータにより回転駆動される。感光ドラム51は、アルミニウム製シリンダを基体とし、その表面に表面層として、順に塗布して積層された下引き層と、光電荷発生層と、電荷輸送層との3層を有している。尚、感光ドラム51としては、アモルファスシリコンドラム等を適用してもよい。
【0017】
図2に示すように、帯電装置52は、感光ドラム51を保持しているケース53に保持され、露光装置42により露光を行う前に、感光ドラム51の表面を均一に帯電する。帯電手段としては、一般にグリッド電極を備えたスコロトロン式帯電器や帯電ローラを用いたローラ帯電が用いられ、本実施形態では一例として帯電ローラを用いたローラ帯電を適用している。即ち、帯電装置52は、帯電ローラ54と、ローラ清掃部材55とを有している。帯電ローラ54は、例えば、外径14mm及び長さ335mmの導電ゴムを用いたゴムローラであり、感光ドラム51に対して従動して回転している。帯電ローラ54には、装置本体2(図1参照)に設けられた帯電バイアス電源56が接続されている。帯電バイアス電源56は、帯電ローラ54に帯電バイアスとして1.7kVの交流を印加し、感光ドラム51を帯電する。ローラ清掃部材55は、例えば、外径11.8mm及び長さ346mmのスポンジローラであり、帯電ローラ54に従動して回転して、帯電ローラ54上のトナーや外添材を除去する。
【0018】
図1に示すように、露光装置42は、レーザスキャナであり、制御部5から出力される分解色の画像情報に従って、レーザ光を発する。露光装置42によって形成される静電像は、小さいドット画像の集合体となっており、ドット画像の密度を変化させることで感光ドラム51上に形成するトナー像の濃度を変化させることができる。
【0019】
現像装置40は、不図示のトナーボトルから供給された現像剤を収容すると共に、現像バイアスが印加されることにより感光ドラム51に形成された静電像をトナーにより現像する。現像装置40は、現像スリーブ41を有している。現像スリーブ41は、例えばアルミニウムや非磁性ステンレス等の非磁性材料で構成され、本実施形態ではアルミニウム製としている。現像スリーブ41の内側には、不図示のローラ状のマグネットローラが、現像容器に対して非回転状態で固定設置されている。現像スリーブ41は、非磁性のトナー及び磁性のキャリアを有する現像剤を担持して、感光ドラム51に対向する現像領域に搬送する。現像スリーブ41には、不図示の現像バイアス電源が接続されており、現像スリーブ41に現像バイアスとして直流電圧を印加し、感光ドラム51上に形成された静電像を現像する。
【0020】
感光ドラム51に現像されたトナー像は、中間転写ユニット44に対して一次転写される。一次転写後の感光ドラム51は、不図示の前露光装置によって表面を除電される。クリーニング装置6は、一次転写後、中間転写ユニット44に転写されずに感光ドラム51上に残留したトナーを掻き取って除去する。掻き取られたトナーは、不図示の回収トナー搬送手段により回収トナーボックスへ除去トナーとして収容される。クリーニング装置6の詳細については、後述する。
【0021】
中間転写ユニット44は、駆動ローラ44aや従動ローラ44d、一次転写ローラ47y,47m,47c,47k等の複数のローラと、これらのローラに巻き掛けられ、トナー像を担持して移動する中間転写ベルト44bとを備えている。従動ローラ44dは、中間転写ベルト44bの張力を一定に制御するようにしたテンションローラである。一次転写ローラ47y,47m,47c,47kは、感光ドラム51y,51m,51c,51kにそれぞれ対向して配置され、中間転写ベルト44bに当接し、感光ドラム51のトナー像を中間転写ベルト44bに一次転写する。
【0022】
中間転写ベルト44bは、矢印の方向へ150mm/secで回動する。中間転写ベルト44bは、感光ドラム51に当接して感光ドラム51との間で一次転写部を形成し、不図示の一次転写バイアス電源から一次転写バイアスが印加されることにより、感光ドラム51に形成されたトナー像を一次転写部で一次転写する。中間転写ベルト44bに一次転写ローラ47によって正極性の一次転写バイアスを印加することにより、感光ドラム51上のそれぞれの負極性を持つトナー像が中間転写ベルト44bに順次多重転写される。
【0023】
中間転写ベルト44bは、裏面側から樹脂層、弾性層、表層の3層構造を有する無端ベルトである。樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリイミドやポリカーボネート等の材料が用いられていて、樹脂層の厚みは70~100μmとなっている。また、中間転写ベルト44b上に残留したトナーは、転写クリーニング装置48により清掃される。
【0024】
二次転写部45は、二次転写内ローラ45aと、二次転写外ローラ45bと、を備えている。二次転写内ローラ45aは、中間転写ベルト44bを介して二次転写外ローラ45bに対向して配置されている。二次転写外ローラ45bには、不図示の二次転写バイアス電源が接続されている。二次転写外ローラ45bは、トナーと逆極性の二次転写バイアスの印加により、中間転写ベルト44bに担持されたトナー像を、ニップ部Nへ供給されたシートSに一括して二次転写する。
【0025】
定着部46は、定着ローラ46a及び加圧ローラ46bを備えている。定着ローラ46aと加圧ローラ46bとの間をシートSが挟持され搬送されることにより、シートSに転写されたトナー像は加熱及び加圧されてシートSに定着される。
【0026】
制御部5はコンピュータにより構成され、例えばCPUと、各部を制御するプログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、外部と信号を入出力する入出力回路とを備えている。CPUは、画像形成装置1の制御全体を司るマイクロプロセッサであり、システムコントローラの主体である。CPUは、入出力回路を介して、シート給送部や画像形成部4に接続され、各部と信号をやり取りすると共に動作を制御する。ROMには、シートSに画像を形成するための画像形成制御シーケンス等が記憶される。制御部5には、帯電バイアス電源56、現像バイアス電源、一次転写バイアス電源、二次転写バイアス電源が接続され、それぞれ制御部5からの信号により制御される。
【0027】
次に、このように構成された画像形成装置1における画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず感光ドラム51が回転して表面が帯電装置52により帯電される。そして、露光装置42により画像情報に基づいてレーザ光が感光ドラム51に対して発光され、感光ドラム51の表面に静電像が形成される。この静電像にトナーが付着することにより、現像されてトナー画像として可視化され、中間転写ベルト44bに転写される。
【0028】
一方、このようなトナー像の形成動作に並行してシートSが供給され、中間転写ベルト44bのトナー画像にタイミングを合わせて、搬送経路を介してシートSが二次転写部45に搬送される。更に、中間転写ベルト44bからシートSに画像が転写され、シートSは、定着部46に搬送され、ここで未定着トナー像が加熱及び加圧されてシートSの表面に定着され、装置本体2から排出される。
【0029】
次に、クリーニング装置6の構成について、図2図5を用いて詳細に説明する。図2に示すように、クリーニング装置6は、ケース53に収容され、感光ドラム51の回転方向に関して、一次転写ローラ47及び不図示の前露光装置の下流側、かつ、帯電装置52の上流側に配置されている。クリーニング装置6は、クリーニングブレード60と、ケース53に対して回動可能に支持された回動部61と、コイルばね65と、回収スクリュ66と、を備えている。
【0030】
図2図3図4に示すように、クリーニングブレード60は、感光ドラム51の回転中心線方向である幅方向Wを長手方向とする平板形状のゴムブレードであり、例えば、厚み2mm、幅12.5mm、長さ350mmウレタンゴム製のブレードとしている。クリーニングブレード60は、カウンタブレード方式であり、感光ドラム51に対して先端エッジ60eを回転方向Rにカウンタに向け、かつ所定の押圧力(ブレード圧)で当接されている。これにより、クリーニングブレード60は、感光ドラム51に残った転写残トナーの掻き取りによる除去を行う。クリーニングブレード60は、回動部61に支持され、感光ドラム51の表面に当接して表面の付着物をクリーニングする。また、クリーニングブレード60は、後述する固定部材58に対して固定された位置にある回動軸線を中心とする回動部61の回動により感光ドラム51の表面への押圧力が変化する。
【0031】
回動部61は、ブレード支持板62と、揺動板63と、加圧板64と、を有しており、これらはボルト67により締結されて一体化されている。ブレード支持板62は、例えば金属製で、クリーニングブレード60が接着により貼り付けられており、回動部61としてクリーニングブレード60を位置決めしている。
【0032】
揺動板63は、感光ドラム51の幅方向Wを長手方向とし、クリーニングブレード60に沿って設けられた平板形状の金属製の板部材である。揺動板63は、長手方向の両端部に、クリーニングブレード60の側に折り曲げられた形状の折曲部63aと、折曲部63aに形成された揺動中心孔63bとを有している。揺動中心孔63bは、ケース53に設けられた支持軸57に対して回転可能に係合されており、揺動板63はケース53に対して回動可能に支持されている。本実施形態では、支持軸57は、幅方向Wを長手方向にしてケース53に固定された固定部材(固定部)58(図6(b)参照)に設けられた直径4mmの軸としている。固定部材58の構成については、後述する。
【0033】
加圧板64は、感光ドラム51の幅方向Wを長手方向とし、クリーニングブレード60に沿って設けられた平板形状の金属製の板部材である。加圧板64は、長手方向の両端部(各端部)に、クリーニングブレード60の反対側に突出した形状の突出部(回動側連結手段)64aを有している。突出部64aは、上側を向いた鉤状で、上側に下方に凹んだ形状の係止溝(係止部)64b(図6(b)参照)を有している。係止溝64bには、コイルばね65の後述する他端部65bが係止されている。
【0034】
コイルばね65は、引張コイルばねであり、固定部材58と回動部61とを連結して設けられ、クリーニングブレード60の前側及び後側の各端部に配置されている。コイルばね65は、一端部65aを固定部材58の折曲部58aに連結すると共に、他端部65bを回動部61の加圧板64の突出部64aに連結している。これにより、コイルばね65は固定部材58に対して回動部61を揺動中心孔63bを中心に回転方向に付勢し、クリーニングブレード60を感光ドラム51の表面に押圧して圧接する。
【0035】
ここで、図5に示すように、クリーニングブレード60は、感光ドラム51に対して所定の角度である設定角αを形成して圧接されている。クリーニングブレード60は弾性体であり、非変形状態での感光ドラム51とクリーニングブレード60の先端エッジ60eとの接点を当接点P1と呼ぶ。また、当接点P1における感光ドラム51の接線L1と、非変形状態で当接したクリーニングブレード60の感光ドラム51に面した側面とが形成する角を、設定角αと呼ぶ。
【0036】
設定角αが小さすぎると、クリーニングブレード60と感光ドラム51との摩擦力が小さくなってしまい、残トナーを掻き取り切れずにクリーニング不良を生じてしまう可能性がある。一方、設定角αが大きすぎると、クリーニングブレード60と感光ドラム51との摩擦力が大きくなってしまい、カウンタで感光ドラム51に対して当たっていたクリーニングブレード60の先端エッジ60eが、当接点P1での接触を維持できなくなる。これにより、当接点P1が感光ドラム51の回転方向Rに移動してしまい、ついにはカウンタ方向とは反対の順方向を向いて当接してしまうブレードめくれという現象が発生する可能性がある。これらのことから、設定角αの好適な設定範囲は10°~40°であり、より好適な範囲は20°~30°である。本実施形態では、設定角αを23.5°に設定している。
【0037】
コイルばね65の付勢力は、回動部61を介してクリーニングブレード60の先端エッジ60eを感光ドラム51に圧接している。この時、クリーニングブレード60が感光ドラム51の中心線Cに向けて作用する力を、ブレード圧と呼ぶ。ブレード圧が小さすぎると、クリーニングブレード60と感光ドラム51との摩擦力が小さくなってしまい、残トナーを掻き取り切れずにクリーニング不良を生じてしまう可能性がある。ブレード圧が大きすぎると、クリーニングブレード60と感光ドラム51との摩擦力が大きくなってしまい、ブレードめくれを発生する可能性がある。また、ブレード圧が大きすぎると、感光ドラム51の表面の削れが促進され、感光ドラム51の表面へのトナー融着や画像スジを引き起こし、感光ドラム51の寿命を縮めてしまう可能性がある。これらのことから、ブレード圧の好適な範囲は600gf~1200gfであり、これはクリーニングブレード60の長さや硬度等に応じて設定される。本実施形態では、ブレード圧を900gfに設定している。
【0038】
上述したように、ブレード圧及びクリーニングブレード60の設定角αを好適な範囲に設定することが、残トナーの良好なクリーニング及び感光ドラム51の長寿命化に重要である。しかしながら、部品公差等により、揺動中心孔63bを繋ぐ線と感光ドラム51の中心線Cとの間に、母線ずれが発生してしまう可能性がある。また、支持軸57の位置の誤差、コイルばね65の荷重の誤差、クリーニングブレード60の硬度や形状の誤差、感光ドラム51の外形振れ等により変動するため、好適な範囲に設定することは難しい。これを解決するために、クリーニングブレード60の押圧力を切り換える押圧力切換手段を設けることが考えられるが、1つの押圧力切換手段において、押圧力の調整の分解能を高くすると、押圧力切換手段の大型化を招いてしまう。
【0039】
そこで、本実施形態のクリーニング装置6は、図6(a)~図8に示すように、幅方向Wの両端部に設けたコイルばね65のそれぞれについて、前側荷重調整手段68及び後側荷重調整手段69により押圧力を調整可能にしている。即ち、図6(a),(b)及び図8に示すように、幅方向Wの前側に設けたコイルばね65については、前側荷重調整手段68により押圧力を調整可能にしている。また、図7(a),(b)及び図8に示すように、幅方向Wの後側に設けたコイルばね65については、後側荷重調整手段69により押圧力を調整可能にしている。このように、前側荷重調整手段68及び後側荷重調整手段69は、少なくとも一部のコイルばね65の付勢力を調整することにより、コイルばね65がクリーニングブレード60を感光ドラム51の表面に押圧する押圧力を調整可能である。以下、本実施形態のクリーニング装置6の特徴的な構成について説明する。尚、本実施形態では、前側荷重調整手段68及び後側荷重調整手段69の構成を異にしているが、その他の固定部材58等の構成は幅方向Wの両端部で略対称形状であり、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0040】
図6(a)、(b)に示すように、幅方向Wの前側において、固定部材58は、幅方向Wの内側に折り曲げられた形状の折曲部(固定側連結手段)58aを有しており、ケース53に対してボルト59により締結されている。固定部材58に配置された折曲部58aと、折曲部58aに対向して回動部61に配置された突出部64aとは、連結部80を構成している。後述するように、連結部80は、クリーニングブレード60の幅方向Wにおける各端部に配置されている。
【0041】
折曲部58aの下縁部には、前側荷重調整手段68が形成されている。前側荷重調整手段68は、1本のコイルばね65を選択的に連結可能(係止可能)な複数の係止溝(係止部)68a,68bを有している。ここでは、前側荷重調整手段68は、幅方向Wの中央側に配置された第1係止溝68aと、第1係止溝68aに隣接して幅方向Wの外側に配置された第2係止溝68bとを有している。即ち、幅方向Wの前側の端部の連結部80において、コイルばね65の各端部65a,65bを係止可能な係止溝64b,68a,68bが、折曲部58aと突出部64aとにそれぞれ設けられている。また、幅方向Wの前側の端部の連結部80において、係止溝64b,68a,68bは、折曲部58aと突出部64aとの少なくとも一方に複数個設けられている。各係止溝68a,68bは、加圧板64の係止溝64bの略直下に位置している。各係止溝68a,68b及び係止溝64bとこれらの間に掛け渡されたコイルばね65とは、ケース53の開口部53aから露出している。
【0042】
第1係止溝68a及び第2係止溝68bは、コイルばね65の作動長を変えるように段階状に形成されている。ここでは、図8に示すように、第1係止溝68aと係止溝64bとの距離はX1、第2係止溝68bと係止溝64bとの距離はX2としており、X2>X1になるように設定している。作業者が工具等でコイルばね65の一端部65aの係止位置を、第1係止溝68aと第2係止溝68bとで変更することにより、ブレード圧を段階的に変更することができる。コイルばね65は、クリーニングブレード60を感光ドラム51の表面に押圧しているときの長さを変更することにより、押圧力を変化させる。即ち、係止溝68a,68bは、コイルばね65が連結する係止溝68a,68bごとに、一端部65aと他端部65bとの相対位置が異なることにより、クリーニングブレード60を感光ドラム51の表面に押圧する押圧力が異なるように配置されている。尚、各係止溝68a,68bは、いずれも係止溝64bの略直下に位置しているため、コイルばね65の掛け換えによる幅方向への角度変化は十分に小さく、コイルばね65の引っ張り力は加圧板64の回転方向の分力とほぼ一致する。また、本実施形態では前側荷重調整手段68の係止溝68a,68bを2箇所に設けているが、これには限られず、3箇所以上に設けてもよい。
【0043】
図7(a)、(b)に示すように、幅方向Wの後側において、固定部材58は、幅方向Wの内側に折り曲げられた形状の折曲部(固定側連結手段)58aを有しており、ケース53に対してボルト59により締結されている。固定部材58に配置された折曲部58aと、折曲部58aに対向して回動部61に配置された突出部64aとは、連結部80を構成している。即ち、連結部80は、クリーニングブレード60の幅方向Wにおける前側及び後側の各端部にそれぞれ配置されている。
【0044】
折曲部58aの下縁部には、後側荷重調整手段69が形成されている。後側荷重調整手段69は、1本のコイルばね65を選択的に連結可能(係止可能)な複数の係止溝(係止部)69a,69bを有している。ここでは、後側荷重調整手段69は、幅方向Wの中央側に配置された第1係止溝69aと、第1係止溝69aに隣接して幅方向Wの外側に配置された第2係止溝69bとを有している。即ち、幅方向Wの後側の端部の連結部80において、コイルばね65の各端部65a,65bを係止可能な係止溝64b,69a,69bが、折曲部58aと突出部64aとにそれぞれ設けられている。また、幅方向Wの後側の端部の連結部80において、係止溝64b,69a,69bは、折曲部58aと突出部64aとの少なくとも一方に複数個設けられている。各係止溝69a,69bは、加圧板64の係止溝64bの略直下に位置している。各係止溝69a,69b及び係止溝64bとこれらの間に掛け渡されたコイルばね65とは、ケース53の開口部53aから露出している。
【0045】
第1係止溝69a及び第2係止溝69bは、コイルばね65の作動長を変えるように段階状に形成されている。ここでは、図8に示すように、第1係止溝69aと係止溝64bとの距離はY1、第2係止溝69bと係止溝64bとの距離はY2としており、Y1>Y2になるように設定している。作業者が工具等でコイルばね65の一端部65aの係止位置を、第1係止溝69aと第2係止溝69bとで変更することにより、ブレード圧を段階的に変更することができる。コイルばね65は、クリーニングブレード60を感光ドラム51の表面に押圧しているときの長さを変更することにより、押圧力を変化させる。即ち、係止溝69a,69bは、コイルばね65が連結する係止溝69a,69bごとに、一端部65aと他端部65bとの相対位置が異なることにより、クリーニングブレード60を感光ドラム51の表面に押圧する押圧力が異なるように配置されている。尚、各係止溝69a,69bは、いずれも係止溝64bの略直下に位置しているため、コイルばね65の掛け換えによる幅方向への角度変化は十分に小さく、コイルばね65の引っ張り力は加圧板64の回転方向の分力とほぼ一致する。また、本実施形態では後側荷重調整手段69の係止溝69a,69bを2箇所に設けているが、これには限られず、3箇所以上に設けてもよい。
【0046】
また、前側荷重調整手段68の係止溝68a,68bと後側荷重調整手段69の係止溝69a,69bとに関して、係止溝64bとの距離(作動長)の関係は、X2>X1=Y1>Y2になるように設定している。このため、前側荷重調整手段68と後側荷重調整手段69とでは、コイルばね65が係止される係止溝68a,68b及び係止溝69a,69bを変更した場合に、押圧力が変化する範囲が異なっている。また、本実施形態では、前側荷重調整手段68では、例えば、X2-X1=1.3mmで荷重差は20gf、後側荷重調整手段69では、例えば、Y1-Y2=0.8mmで荷重差は20gfとしている。このように、±20gf程度の調整範囲であれば、ブレード圧を好適な範囲に収めることができる。この場合、前側荷重調整手段68と後側荷重調整手段69とでは同じ荷重差でありながら作動長差が異なるのは、荷重を大きくする際にはクリーニングブレード60の撓みが大きくなるので、その分、作動長を大きくする必要があるためである。
【0047】
このように、本実施形態では、幅方向Wの各端部の連結部80において選択されたコイルばね65が係止される係止溝68a,68b及び係止溝69a,69bの組み合わせを変更することで、押圧力が少なくとも異なる3段階に変更される。このようになるように、幅方向Wの各端部の連結部80の係止溝64b、係止溝68a,68b、係止溝69a,69bが配置されている。
【0048】
また、本実施形態では、前側荷重調整手段68の係止溝68a,68bと後側荷重調整手段69の係止溝69a,69bのいずれも加圧板64の係止溝64bの略直下において段階状に設けられているが、これには限られない。例えば、前側荷重調整手段68の第1係止溝68aを係止溝64bの直下に配置すると共に、第2係止溝68bは係止溝64bの直下から外れた位置に配置するようにしてもよい。この場合、第2係止溝68bと係止溝64bとは、加圧板64の回転方向に沿って配置されていないため、コイルばね65の引っ張り力は加圧板64の回転方向の分力と一致しなくなる。このため、コイルばね65の作動長ではなく、コイルばね65による加圧板64の回転方向の分力を考慮してブレード圧の調整力を設定する必要がある。また、この場合、例えば、コイルばね65の作動長を変更しなくても、コイルばね65の向きを変更することで加圧板64の回転方向の分力を変化させてブレード圧の調整力を設定するようにしてもよい。
【0049】
次に、本実施形態のクリーニングブレード60のブレード圧を調整する手順について、以下に説明する。ドラムユニット50の組み立て時に、前側荷重調整手段68の第1係止溝68aと加圧板64の係止溝64bとの間にコイルばね65を掛け渡し、後側荷重調整手段69の第1係止溝69aと加圧板64の係止溝64bとの間にコイルばね65を掛け渡す。このとき、前側のコイルばね65の作動長X1は、後側のコイルばね65の作動長Y1と等しく設定されるため、本実施形態では900gfの設定ブレード圧に対して、それぞれ450gf分のブレード圧に寄与する。ドラムユニット50の組み立て後に、ブレード圧を測定し、部品公差の影響等で好適なブレード圧の範囲の範囲外になってしまった場合は、コイルばね65の係止される係止溝68a,68b及び係止溝69a,69bを変更することでブレード圧を調整する。
【0050】
例えば、ブレード圧が好適範囲より小さい場合は、前側のコイルばね65を前側荷重調整手段68の第1係止溝68aから第2係止溝68bに掛け換えることで、ブレード圧を上げることができる。本実施形態では、第1係止溝68aから第2係止溝68bへの掛け換えにより、ブレード圧を例えば100gf上げることができる。また、ブレード圧が好適範囲より大きい場合は、後側のコイルばね65を後側荷重調整手段69の第1係止溝69aから第2係止溝69bに掛け換えることで、ブレード圧を下げることができる。本実施形態では、第1係止溝69aから第2係止溝69bへの掛け換えにより、ブレード圧を例えば100gf下げることができる。
【0051】
上述したように、本実施形態のドラムユニット50によれば、コイルばね65は、クリーニングブレード60の幅方向Wの各端部に設けられているので、各コイルばね65の荷重調整手段の大型化を抑制してドラムユニット50の大型化を防止できる。即ち、荷重調整手段は押圧力の調整の分解能を高くすることで大型化するが、コイルばね65を1箇所に設ける場合は、1箇所が非常に大型化してしまうのに対し、コイルばね65を複数箇所に設ける場合は、大型化を分散することができる。このため、同じ分解能を得るのであれば、荷重調整手段を1箇所に設けるよりも、荷重調整手段を複数個所に設ける方が全体としては小型化を図ることができる。従って、本実施形態のドラムユニット50によれば、大型化を抑制しながらも、クリーニングブレード60の感光ドラム51への押圧力の調整の分解能を向上できる。更に、コイルばね65を複数箇所に設けているので、1箇所に設ける場合に比べて、調整の分解能をより細かく設定することが可能になるため、より精度良く好適なブレード圧に調整することができる。
【0052】
また、本実施形態のドラムユニット50によれば、コイルばね65は、クリーニングブレード60の幅方向Wに関して、クリーニングブレード60の前側及び後側の両端部に配置されている。このため、ブレード圧を幅方向Wに沿ってバランスよく調整することができると共に、ケース53の開口部53aのような限られたスペース内に配置することができるので、ドラムユニット50を小型化することができる。また、前後の荷重調整手段68,69を配置し易く、大型化をより効果的に抑制できる。
【0053】
また、本実施形態のドラムユニット50によれば、ブレード圧の調整作業は、コイルばね65を掛け換えるだけの簡易な作業であるので、作業性を良好にすることができる。
【0054】
尚、上述した本実施形態のドラムユニット50では、前側荷重調整手段68及び後側荷重調整手段69は、それぞれ2つの係止溝を有する場合について説明したが、これには限られない。例えば、前側荷重調整手段68及び後側荷重調整手段69が、それぞれ3つ以上の係止溝を有していてもよい。この場合、各端部の連結部80において選択された係止溝の組み合わせによって、コイルばね65がクリーニングブレード60の押圧力を、異なる3段階より多い段階に変更可能になる。
【0055】
また、本実施形態のドラムユニット50では、複数の係止溝68a,68b,69a,69bは固定部である固定部材58に設けられた場合について説明したが、これには限られない。複数の係止溝は、例えば、回動部61の加圧板64等に設けられ、固定部材58には1つの係止溝が設けられるようにしてもよい。この場合、コイルばね65は、固定部材58には1箇所のみで係止され、回動部61側の複数の連結部に掛け換え可能に設けられる。あるいは、複数の係止溝は、固定部材58及び回動部61の両方に設けられていてもよい。
【0056】
<実施例>
本実施形態の画像形成装置1を用いて、前後のコイルばね65を掛け換えた際のブレード圧の変動を測定した。測定は、クリーニングブレード60の幅方向Wに等間隔に5箇所の測定位置に配置したロードセルを用いて実行した。各測定位置の設定ブレード圧は900gf/5=180gfとした。図9に、その結果を示す。図9に示すように、調整前は、前側荷重調整手段68の第1係止溝68aと加圧板64の係止溝64bとの間にコイルばね65を掛け渡し、後側荷重調整手段69の第1係止溝69aと加圧板64の係止溝64bとの間にコイルばね65を掛け渡している。それに対し、コイルばね65を、前側荷重調整手段68の第1係止溝68aから第2係止溝68bに掛け換えた場合と、コイルばね65を、後側荷重調整手段69の第1係止溝69aから第2係止溝69bに掛け換えた場合と、を示している。
【0057】
図9に示すように、本実施形態では前側荷重調整手段68と後側荷重調整手段69をクリーニングブレード60の幅方向Wに関して前後の両端部に設けており、調整実施により前後のコイルばね65の作動荷重が変わることになる。これに対し、クリーニング装置6を構成するブレード支持板62、揺動板63、加圧板64の剛性が十分にあることから、前後での荷重傾きは発生せず、均一にブレード圧を調整できることが確認された。また、ブレード圧の調整量に関しても、それぞれ精度良く調整できることが確認された。尚、本実施形態では、前側荷重調整手段68の第1係止溝68aから第2係止溝68bへの掛け換えで変わる荷重を、後側荷重調整手段69の第1係止溝69aから第2係止溝69bへの掛け換えで変わる荷重よりも大きくしている。即ち、コイルばね65の作動長は、X2-X1>Y1-Y2としている。これは、弾性体であるクリーニングブレード60を介して、感光ドラム51を加圧しブレード圧を得ているためで、弾性体の荷重と撓みとの関係が線形でないことに起因する。
【0058】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図10(a),(b)を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、ケース53に対して移動可能に設けられた可動部材71を有する点で、ケース53に対して移動不能に固定された固定部材58を有する第1の実施形態と構成を異にする。また、本実施形態では、荷重調整手段70は、可動部材71及び固定ボルト75を有する点で、前側荷重調整手段68及び後側荷重調整手段69が係止溝を有する第1の実施形態と構成を異にする。これら以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、クリーニング装置106は、ケース53と、クリーニングブレード60及び回動部61(図2参照)と、荷重調整手段70と、コイルばね65と、を有している。荷重調整手段70は、可動部材(可動部)71と、固定ボルト(固定手段)75とを有している。尚、図10(a),(b)では、クリーニング装置106の前側を示しているが、第1の実施形態と同様に、クリーニング装置106の後側は対称的な構成になっている。
【0060】
可動部材71は、クリーニングブレード60の幅方向Wの両端部に設けられ、ケース53に対して揺動可能(移動可能)に設けられている。可動部材71は、幅方向Wの内側に折り曲げられた形状の折曲部(可動側連結手段)72を有しており、折曲部72の下縁部には係止溝74が形成されている。可動部材71は、ケース53に対して、幅方向Wを長手方向とする中心軸73を中心軸線にして回動方向に回動可能に設けられている。更に、可動部材71は、固定ボルト75によるねじ止めによってケース53に固定されている。可動部材71に配置された折曲部72と、折曲部72に対向して回動部61に配置された突出部64aとは、連結部81を構成している。連結部81は、クリーニングブレード60の幅方向Wにおける各端部に配置されている。
【0061】
コイルばね65は、引張コイルばねであり、可動部材71の係止溝74及び加圧板64の係止溝64b(図8参照)を連結して設けられ、クリーニングブレード60の前側及び後側の各端部に配置されている。コイルばね65の一端部65aは可動部材71に連結されると共に、他端部65bは突出部64aに連結され、クリーニングブレード60を感光ドラム51の表面に押圧するように、固定された可動部材71に対して回動部61を付勢する。可動部材71は、回動に伴い、係止されたコイルばね65の長さを変更する。これにより、クリーニングブレード60を感光ドラム51の表面に押圧する押圧力を調整可能である。
【0062】
可動部材71には、複数の固定位置に対応する第1固定孔71a及び第2固定孔71bの複数の固定孔が形成されている。各固定孔71a,71bには、固定ボルト75が貫通して、ケース53に締結可能になっている。固定ボルト75は、可動部材71を締結する際に、第1固定孔71aを利用した場合と第2固定孔71bを利用した場合とで、係止されたコイルばね65の長さを異ならせている。即ち、固定ボルト75は、幅方向Wにおける各端部に配置され、可動部材71をケース53に対して複数の固定位置で固定可能である。
【0063】
ここで、それぞれの固定ボルト75において、複数の固定位置は、可動部材71を固定する固定位置ごとに、一端部65aと他端部65bとの相対位置が異なることにより、クリーニングブレード60の押圧力が異なるように配置されている。これにより、荷重調整手段70では、固定ボルト75を締結するための固定孔71a,71bを変更することで、クリーニングブレード60を感光ドラム51の表面に押圧する押圧力を調整可能である。尚、本実施形態では、荷重調整手段70は2つの別個の固定孔71a,71bを用いて二段階に調整可能である場合について説明しているが、これには限られない。例えば、固定孔を3箇所以上に設けてもよく、あるいは長穴とすることで無段階に調整可能にしてもよい。
【0064】
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、前側の荷重調整手段70と不図示の後側の荷重調整手段とで、可動部材71を固定する固定孔71a,71bを変更した場合に、押圧力が変化する範囲が異なるようにしている。これにより、本実施形態では、幅方向Wの各端部の固定ボルト75において可動部材71を固定する固定位置が変更されることで、コイルばね65がクリーニングブレード60を押圧する押圧力が少なくとも異なる3段階に変更される。このようになるように、幅方向Wの各端部の固定ボルト75の固定位置が配置されている。
【0065】
上述したように、本実施形態のクリーニング装置106によっても、コイルばね65は、クリーニングブレード60の幅方向Wの各端部に設けられている。このため、各コイルばね65の荷重調整手段70の大型化を抑制して、ドラムユニット50の大型化を防止することができる。しかも、大型化を抑制しながらも、クリーニングブレード60の感光ドラム51への押圧力の調整の分解能を向上できる。更に、コイルばね65を複数箇所に設けているので、1箇所に設ける場合に比べて、調整の分解能をより細かく設定することが可能になるため、より精度良く好適なブレード圧に調整することができる。
【0066】
尚、上述した各実施形態のドラムユニット50では、いずれもコイルばね65をクリーニングブレード60の幅方向Wの前側及び後側の両端部に配置した場合について説明したが、これには限られない。例えば、コイルばね65をクリーニングブレード60の幅方向Wの中央部等に増やし、合計3箇所以上に設けても良く、あるいは荷重調整手段を有さないコイルばね65を設けてもよい。
【0067】
また、上述した各実施形態の画像形成装置1では、クリーニング装置6をドラムユニット50に適用した場合について説明したが、これには限られず、中間転写ベルト(像担持体)44bの転写クリーニング装置48(図1参照)に適用してもよい。
【0068】
また、上述した各実施形態の画像形成装置1では、ブレード圧を発生させる付勢手段として引っ張りコイルばね65を適用した場合について説明したが、これには限られず、圧縮コイルばねを適用してもよい。あるいは、付勢手段としては、捩りコイルばね、板ばね、巻きばねや金属以外の弾性体、例えば、リング状のゴム等を適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
44b…中間転写ベルト(像担持体)、50,50c,50k,50m,50y…ドラムユニット(像担持体ユニット)、51,51c,51k,51m,51y…感光ドラム(像担持体)、53…ケース(筐体)、58…固定部材(固定部)、58a…折曲部(固定側連結手段)、60…クリーニングブレード、61…回動部、64a…突出部(回動側連結手段)、64b…係止溝(係止部)、65…コイルばね、68a…第1係止溝(係止部、係止溝)、68b…第2係止溝(係止部、係止溝)、69a…第1係止溝(係止部、係止溝)、69b…第2係止溝(係止部、係止溝)、71…可動部材(可動部)、72…折曲部(可動側連結手段)、75…固定ボルト(固定手段)、80…連結部、81…連結部、W…幅方向(長手方向)。
図1
図2
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図10