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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】アクセサリ、カメラボディ
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20221219BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20221219BHJP
【FI】
H04N5/232 030
G03B17/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021115050
(22)【出願日】2021-07-12
(62)【分割の表示】P 2020028020の分割
【原出願日】2016-10-27
(65)【公開番号】P2021170806
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩司
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/068485(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/068492(WO,A1)
【文献】特開平11-125860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G03B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラボディに装着可能であり、前記カメラボディと通信可能なアクセサリであって、
駆動部により駆動される被駆動部材に関する情報を一つ以上の通信仕様で前記カメラボディへ送信することが可能である送信部と、
前記情報を前記カメラボディへ送信する通信仕様を示す第1の値を前記カメラボディから受信する受信部と、
を備え、
前記第1の値は、前記被駆動部材に関する情報が前記カメラボディへ送信されることを示し、
前記アクセサリは、第1のタイミングで行われる前記通信仕様に関する前記カメラボディとの双方向の通信において、前記第1の値を受信し、
前記送信部は、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて、複数の通信仕様のうちから、前記カメラボディから受信した前記第1の値が示す通信仕様を選択し、該通信仕様で、前記被駆動部材に関する情報を前記カメラボディへ送信することを特徴とするアクセサリ。
【請求項2】
前記通信仕様は、前記被駆動部材に関する複数の情報の種類と順序に関する仕様であることを特徴とする請求項1に記載のアクセサリ。
【請求項3】
前記第1の値は、前記アクセサリから前記カメラボディへ送信される前記被駆動部材に関する複数の情報の種類と順序を示す情報であることを特徴とする請求項1または2に記載のアクセサリ。
【請求項4】
前記第1の値は、前記被駆動部材の状態及び前記被駆動部材の位置の少なくとも一つを含む情報が前記カメラボディへ送信されることを示す情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項5】
前記第1の値は、前記被駆動部材に関する情報として、フォーカスレンズに関する情報、防振レンズに関する情報、ズームレンズに関する情報及び開口絞りに関する情報のうち少なくとも一つを含む情報が前記カメラボディへ送信されることを示す情報であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項6】
前記アクセサリは、撮像光学系を有する交換レンズであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアクセサリ。
【請求項7】
アクセサリを装着可能であり、前記アクセサリと通信可能なカメラボディであって、
前記アクセサリの駆動部により駆動される前記アクセサリの被駆動部材に関する情報を前記アクセサリから前記カメラボディへ送信する際の通信仕様を示す第1の値を前記アクセサリへ送信する送信部と、
前記第1の値が示す通信仕様で前記アクセサリから送信された、前記被駆動部材に関する情報を受信することが可能である受信部と、
を備え、
前記第1の値は、前記被駆動部材に関する情報が前記アクセサリから前記カメラボディへ送信されることを示し、
前記カメラボディは、第1のタイミングで行われる前記通信仕様に関する前記アクセサリとの双方向の通信において、複数の通信仕様のうちから1つの通信仕様を選択し、該選択された通信仕様に対応する前記第1の値を送信し、
前記受信部は、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて、前記第1のタイミングで送信された前記第1の値が示す通信仕様で、前記被駆動部材に関する情報を前記アクセサリから受信することを特徴とするカメラボディ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に通信が可能な撮像装置及びアクセサリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ交換型のカメラシステムとして、カメラ本体が撮像処理、レンズ制御および画像記録を行い、交換レンズが、カメラ本体からの制御命令に従ってレンズ駆動や絞り駆動を行うものがある。このカメラシステムでは、カメラ本体から交換レンズへの制御命令の伝達と交換レンズからカメラ本体へのレンズデータの伝達が、相互に情報をやり取りするための通信システムを介して行われる。
【0003】
また、デジタルカメラシステムでは、動画撮像時やライブビュー撮影時に撮像周期に合わせた滑らかなレンズ制御が求められている。このためには、カメラ本体の撮像タイミングと交換レンズの制御タイミングとの同期をとる必要があり、カメラ本体はレンズ制御に必要なレンズ情報の取得と交換レンズへの制御命令の送信を撮像周期内で完了させる必要がある。
【0004】
近年は、従来よりも複雑な撮像制御が求められ、カメラ本体が交換レンズから取得するレンズ情報のデータ量が増加しており、また、撮像周期の短縮化に伴い大容量のデータ通信が要求されている。
【0005】
特許文献1には、通信ワード数が固定された初期通信モードと、交換レンズの機能を制御するために通信ワード数を可変とした制御通信モードとを有する撮像システムが開示されている。初期通信モードは、カメラ本体と交換レンズ間の接続状態および交換レンズ内の制御対象を認識するために行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平03-114371号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明のアクセサリは、カメラボディに装着可能であり、前記カメラボディと通信可能なアクセサリであって、駆動部により駆動される被駆動部材に関する情報を一つ以上の通信仕様で前記カメラボディへ送信することが可能である送信部と、前記情報を前記カメラボディへ送信する通信仕様を示す第1の値を前記カメラボディから受信する受信部と、を備え、前記第1の値は、前記被駆動部材に関する情報が前記カメラボディへ送信されることを示し、前記アクセサリは、第1のタイミングで行われる前記通信仕様に関する前記カメラボディとの双方向の通信において、前記第1の値を受信し、前記送信部は、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて、複数の通信仕様のうちから、前記カメラボディから受信した前記第1の値が示す通信仕様を選択し、該通信仕様で、前記被駆動部材に関する情報を前記カメラボディへ送信することを特徴としている。
【0009】
また、本発明のカメラボディは、アクセサリを装着可能であり、前記アクセサリと通信可能なカメラボディであって、前記アクセサリの駆動部により駆動される前記アクセサリの被駆動部材に関する情報を前記アクセサリから前記カメラボディへ送信する際の通信仕様を示す第1の値を前記アクセサリへ送信する送信部と、前記第1の値が示す通信仕様で前記アクセサリから送信された、前記被駆動部材に関する情報を受信することが可能である受信部と、を備え、前記第1の値は、前記被駆動部材に関する情報が前記アクセサリから前記カメラボディへ送信されることを示し、前記カメラボディは、第1のタイミングで行われる前記情報を前記カメラボディへ送信する通信仕様に関する前記アクセサリとの双方向の通信において、複数の通信仕様のうちから1つの通信仕様を選択し、該選択された通信仕様に対応する前記第1の値を送信し、前記受信部は、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて、前記第1のタイミングで送信された前記第1の値が示す通信仕様で、前記被駆動部材に関する情報を前記アクセサリから受信することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明におけるカメラ本体と交換レンズの構成を示すブロック図である。
図2】実施例1におけるカメラ本体(カメラマイコン)と交換レンズ(レンズマイコン)との間の通信回路を示す図である。
図3】実施例1における第1の通信プロトコルを示す図である。
図4】実施例1における第2の通信プロトコルの登録時の波形を示す図である。
図5】実施例1における第2の通信プロトコルの取得時の波形を示す図である。
図6】実施例1におけるカメラマイコン側のカスタムコマンド登録情報を、レンズマイコン側へ登録する処理を示す図である。
図7】実施例1におけるレンズマイコン側のカスタムコマンド処理を示す図である。
図8】実施例1におけるカメラマイコン側のカスタムコマンド登録情報の生成処理を示すフローチャートである。
図9】実施例1におけるカメラマイコン側のカスタムコマンド登録処理を示すフローチャートである。
図10】実施例1におけるレンズマイコン側のカスタムコマンド登録処理を示すフローチャートである。
図11】実施例1におけるレンズマイコン側のカスタムコマンド受信時の処理を示すフローチャートである。
図12】固定長のデータ通信プロトコルを示す図である。
図13】実施例1におけるENTRYコマンドとGETコマンドの対応を示す図である。
図14】実施例1におけるカメラ本体と交換レンズの間の通信手順を示す図である。
図15】実施例2における第2の通信プロトコルの登録時の波形を示す図である。
図16】実施例2における第2の通信プロトコルの取得時の波形を示す図である。
図17】登録番号通知コマンドEIDとデータ番号通知コマンドGIDの構成を示す図である。
図18】垂直同期信号Vとクロック信号LCLKの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0013】
[実施例1]
図1には、本発明の実施例1である撮像装置(以下、カメラ本体という)200およびアクセサリ装置としてのレンズ装置(以下、交換レンズという)100を含む撮像システム(以下、カメラシステムという)の構成を示している。交換レンズ100は、カメラ本体200に対して取り外し可能に装着されている。カメラ本体200と交換レンズ100は互いに通信可能に電気的に接続されている。本実施例のカメラシステムでは、いわゆる登録型コマンド(カスタムコマンド)を用いて垂直同期信号の一周期内において複数のデータ通信を行うことで短時間に大容量のデータの伝送を実現する。
【0014】
カメラ本体200は、交換レンズ100に対して、交換レンズ100に各種制御を行わせるレンズ制御コマンドと、交換レンズ100の内部情報に関するデータ(以下、レンズデータという)の送信を要求する送信要求コマンドとを通信により送信する。レンズデータは、交換レンズ100に含まれる光学部材の位置情報、交換レンズ100に含まれるアクチュエータの駆動状態を示す情報および交換レンズ100の光学情報等を示すデータである。交換レンズ100は、カメラ本体200に対して、レンズ制御コマンドに応答して行った交換レンズ100内での制御(以下、レンズ制御という)の状態を示す情報や、送信要求コマンドに対応するレンズデータを通信により送信する。
【0015】
カメラ本体200からの送信要求コマンドには、複数種類あるレンズデータのそれぞれを単独で指定して個別送信を要求する個別送信要求コマンドと、いくつかのレンズデータの組み合わせを指定してそれらの連続送信を要求する連続送信要求コマンドとがある。カメラ本体200は、カメラ本体200側の制御状況に応じてそれらを選択的に交換レンズ100に送信する。
【0016】
また、連続送信要求コマンドは、交換レンズ100に対して、連続送信を要求するレンズデータの任意の組み合わせと任意の送信順序とを指示可能なコマンドである。カメラ本体200は、カメラ本体200側での撮像モードや制御形式に応じて最適なレンズデータの組み合わせと送信順序でレンズデータを受信することができる。さらに、カメラ本体200は、交換レンズ100が備える機能に応じて、交換レンズごとに異なるレンズデータの組み合わせと送信順序を選択することができる。
【0017】
個別送信モードと連続送信モードのいずれにおいても、垂直同期信号の一周期内において最初に送信される送信要求コマンドの種類をカメラ本体200と交換レンズ100の間で予め決めておくことで、撮像タイミングを正確に共有することができる。
【0018】
次に、交換レンズ100とカメラ本体200のより具体的な構成を説明する。交換レンズ100とカメラ本体200は、結合機構であるマウント300を介して機械的および電気的に接続されている。交換レンズ100は、マウント300に設けられた電源端子部(図示せず)を介してカメラ本体200から電源を取得し、後述する各種アクチュエータやレンズマイクロコンピュータ111の動作に必要な電源を供給する。また、交換レンズ100とカメラ本体200は、マウント300に設けられた通信端子部(図2に示す)を介して相互に通信を行う。
【0019】
交換レンズ100は、撮像光学系を有する。撮像光学系は、被写体OBJ側から順に、フィールドレンズ101と、変倍を行う変倍レンズ102と、光量を調節する絞りユニット114と、振れ補正レンズ103と、焦点調節を行うフォーカスレンズ104とを含む。
【0020】
変倍レンズ102とフォーカスレンズ104はそれぞれ、レンズ保持枠105、106により保持されている。レンズ保持枠105、106は、不図示のガイド軸により光軸方向(図中に破線で示す)に移動可能にガイドされており、ステッピングモータ107、108によって光軸方向に駆動される。ステッピングモータ107、108はそれぞれ、駆動パルスに同期して変倍レンズ102およびフォーカスレンズ104を移動させる。
【0021】
振れ補正レンズ103は、撮像光学系の光軸に直交する方向にシフトすることで、カメラ振れ(手振れ等)に起因する像振れを低減する。
【0022】
レンズマイクロコンピュータ(以下、レンズマイコンという)111は、交換レンズ100内の各部の動作を制御するアクセサリ制御手段(レンズ制御手段)である。また、レンズマイコン111は、その内部に設けられたレンズ通信部112を介して、カメラ本体200から送信された制御コマンドや送信要求コマンドを受信する。レンズマイコン111は、制御コマンドに対応するレンズ制御を行い、またレンズ通信部112を介して送信要求コマンドに対応するレンズデータをカメラ本体200に送信する。
【0023】
また、レンズマイコン111は、制御コマンドのうち変倍やフォーカシングに関するコマンドに応答してズーム駆動回路119およびフォーカス駆動回路120に駆動信号を出力してステッピングモータ107、108を駆動させる。これにより、変倍レンズ102による変倍動作を制御するズーム処理やフォーカスレンズ104による焦点調節動作を制御するAF(オートフォーカス)処理を行う。
【0024】
絞りユニット114は、絞り羽根114a、114bを備えて構成される。絞り羽根114a、114bの状態は、ホール素子115により検出され、増幅回路122およびA/D変換回路123を介してレンズマイコン111に入力される。レンズマイコン111は、A/D変換回路123からの入力信号に基づいて絞り駆動回路121に駆動信号を出力して絞りアクチュエータ113を駆動させる。これにより、絞りユニット114による光量調節動作を制御する。
【0025】
さらに、レンズマイコン111は、交換レンズ100内に設けられたジャイロセンサ等の振れセンサ127により検出されたカメラ振れに応じて、防振駆動回路125を介して防振アクチュエータ(ボイスコイルモータ等)126を駆動する。これにより、振れ補正レンズ103のシフト動作(防振動作)を制御する防振処理が行われる。
【0026】
カメラ本体200は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子201と、A/D変換回路202と、信号処理回路203と、記録部204と、カメラマイクロコンピュータ(以下、カメラマイコンという)205と、表示部206とを有する。
【0027】
撮像素子201は、交換レンズ100内の撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。A/D変換回路202は、撮像素子201からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理回路203は、A/D変換回路202からのデジタル信号に対して各種画像処理を行って映像信号を生成する。また、信号処理回路203は、映像信号から被写体像のコントラスト状態(撮像光学系の焦点状態)を示すフォーカス情報や露出状態を表す輝度情報も生成する。信号処理回路203は、映像信号を表示部206に出力し、表示部206は映像信号を構図やピント状態等の確認に用いられるライブビュー画像として表示する。
【0028】
カメラ制御手段としてのカメラマイコン205は、不図示の撮像指示スイッチおよび各種設定スイッチ等のカメラ操作部材からの入力に応じてカメラ本体200の制御を行う。また、カメラマイコン205は、その内部に設けられたカメラ通信部208を介して、不図示のズームスイッチの操作に応じて変倍レンズ102の変倍動作に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。さらに、カメラマイコン205は、カメラ通信部208を介して、輝度情報に応じた絞りユニット114の光量調節動作やフォーカス情報に応じたフォーカスレンズ104の焦点調節動作に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。
【0029】
次に、カメラ本体200(カメラマイコン205)と交換レンズ100(レンズマイコン111)との間で構成される通信回路とこれらの間で行われる通信処理について説明する。
【0030】
図2には、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間に構成される通信回路を示している。カメラマイコン205とレンズマイコン111は、前述したマウント300に設けられた通信端子部を介して通信を行う。撮像素子201は、信号生成回路209から出力される垂直同期信号の周期である垂直同期期間の所定期間において電荷蓄積を行う。カメラマイコン205は、垂直同期信号のタイミングをレンズマイコン111に通知する。後述するように、カメラマイコン205とレンズマイコン111は、垂直同期信号のタイミングに基づいてカメラ本体200から送信されるクロック信号LCLKに同期して通信を行う。
【0031】
本実施例では、通信方式として、3線式クロック同期シリアル通信方式を用いる。ここにいう3線は、クロック信号LCLK用の通信線と、データ信号DCL用の通信線と、データ信号DLC用の通信線とを含む。クロック信号LCLKは、マスターとしてのカメラマイコン205からスレーブとしてのレンズマイコン111に送られる。通信信号DCLは、カメラマイコン205からレンズマイコン111への制御コマンドや送信要求コマンド等を含む。データ信号DLCは、レンズマイコン111からカメラマイコン205にクロック信号に同期して送信されるレンズデータ等を含む。カメラマイコン205とレンズマイコン111は、共通のクロック信号に同期して相互かつ同時に送受信を行う全二重通信方式(フルデュープレックス方式)で通信を行う。
【0032】
図3図4図5には、カメラマイコン205とレンズマイコン111とカメラマイコン205との間でやり取りされる通信信号の波形を示している。このやり取りの手順を取り決めたものを通信プロトコルと呼ぶ。カメラマイコン205とレンズマイコン111間では、大きく分けて、後述する個別通信プロトコルと連続通信プロトコルの2種類の通信プロトコルを用いてデータ通信を行う。カメラマイコン205は、カメラ本体200の撮像モードや制御状況等に応じて、これら2つの通信プロトコルの中から適宜適切な通信プロトコルを選択する。
【0033】
各通信プロトコルの仕様は以下の通りである。図3(A)、(B)には、第1の通信プロトコルとしての個別通信プロトコルでの信号波形を示している。個別通信プロトコルは、例えば、カメラ本体200にて設定されている撮像モードが静止画撮像モードであるときに選択される。
【0034】
図3(A)は最小の通信単位である1フレームの波形を示している。まず、カメラマイコン205は、8周期のパルスを1組とするクロック信号LCLKを出力するとともに、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン111に対してデータ信号DCLを送信する。これと同時に、カメラマイコン205は、クロック信号LCLKに同期してレンズマイコン111から出力されたデータ信号DLCを受信する。このようにして、レンズマイコン111とカメラマイコン205との間で、1組のクロック信号LCLKに同期して1バイト(8ビット)のデータが送受信される。このデータの送受信の後、後に詳細に説明する通信待機要求コマンド(以下、単に通信待機要求という)BUSYにより通信休止期間が挿入される。クロック信号LCLKの8周期の期間とこれに続く通信待機要求BUSYの期間をひと組とする通信単位を1フレームと呼ぶ。
【0035】
図3(B)には、それぞれ2フレームの通信を含む5つの通信シーケンス「通信CMDn」(n=1~5)により構成されるデータ通信の流れを示している。「通信CMDn」に含まれる2フレームの通信は、例えば、カメラマイコン205がレンズマイコン111からレンズデータDTnを取得する際に行われる。
【0036】
「通信CMD1」において、カメラマイコン205は、クロック信号LCLKをレンズマイコン111に送信するとともに、送信を要求するレンズデータDT1に対応する個別送信要求コマンドCMD1をデータ信号DCLとして送信する。このフレームでのデータ信号DLCは無効データとして扱われる。
【0037】
続いて、カメラマイコン205は、クロック信号LCLKを8周期出力した後に、カメラ本体200側の通信端子状態を出力形式から入力形式に切り替える。レンズマイコン111は、カメラ本体200側の通信端子状態の切り替えが完了した後、クロック信号LCLKを出力形式に切り替え、通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知するために信号レベルをローレベルにする。カメラマイコン205は、通信待機要求BUSYが通知されている期間は通信端子の入力形式を維持して、レンズマイコン111への通信を休止する。
【0038】
レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYの通知期間中に、個別送信要求コマンドCMD1に対応するレンズデータDT1を生成し、次のフレームのデータ信号DLCとして送信する準備の完了後にクロック信号LCLKをハイレベルに切り替える。そして、通信待機要求BUSYを解除する。カメラマイコン205は、通信待機要求BUSYの解除を認識すると、1フレームのクロック信号LCLKをレンズマイコン111に送信することでレンズマイコン111からレンズデータDT1を受信する。これに続く「通信CMD2」~「通信CMD5」の通信シーケンスでも「通信CMD1」と同様のやり取りがカメラマイコン205とレンズマイコン111との間で行われる。これによりカメラマイコン205は、レンズデータDT2~DT5をそれぞれ個別に取得する。
【0039】
図4は、第2の通信プロトコルとしての連続通信プロトコルでの信号波形を示している。連続通信プロトコルは、例えば、カメラ本体200にて設定されている撮像モードが動画撮像モードであるときに選択される。
【0040】
図4(A)、(B)には、連続通信プロトコルにおけるレンズマイコン111へのカスタムコマンドの登録方法を示している。コマンド登録情報としてのカスタムコマンドは、個別通信プロトコルにおける個別送信要求コマンドCMDn(n=1、2、・・・)の組み合わせによって構成される。連続通信プロトコルでは、CMDnをコマンド要素という。
【0041】
まず、図4(A)を用いて、カスタムコマンドの第1の登録方法について説明する。図4(A)には、カメラマイコン205が、連続通信プロトコルにより、レンズマイコン111から図5に示す5つのレンズデータDT1、DT2、DT3、DT4、DT5をこの順番で取得するためのカスタムコマンド1を登録するときの信号波形を示している。
【0042】
予めカメラマイコン205は、カメラ本体200に装着されている交換レンズ100が有する複数種類のレンズデータを通信により取得している。そして、該レンズデータに基づいてカスタムコマンドの登録テーブル(以下、カメラ側登録テーブルという)CTBL1を生成して保持している。カメラ側登録テーブルCTBL1の生成手順については後に説明する。
【0043】
まず、カメラマイコン205は、カメラ側登録テーブルCTBL1を参照しつつ、カスタムコマンド1としての登録を要求する登録要求コマンドENTRY1をレンズマイコン111に送信する。レンズマイコン111は、登録要求コマンドENTRY1を受信すると、クロック信号LCLKをローレベルに固定することで通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知するとともに、カスタムコマンド1の登録準備を開始する。続いて、レンズマイコン111は、登録準備が完了すると、通信待機要求BUSYを解除する。
【0044】
カメラマイコン205は、この通信待機要求BUSYの解除を認識して、カスタムコマンド1をレンズマイコン111に送信する。具体的にはカメラマイコン205は、レンズマイコン111から送信を求める2種類以上のレンズデータDTnの組み合わせと送信順序を示すカスタムコマンド1(コマンド要素CMDnの組み合わせ)を該送信順序と同じ順序で送信する。
【0045】
図4(A)では、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に対してレンズデータDT1、DT2、DT3、DT4、DT5のこの順序での送信を求める。このため、カメラマイコン205は、カスタムデータ1を構成するコマンド要素CMD1、CMD2、CMD3、CMD4、CMD5をこの順でレンズマイコン111に送信する。なお、レンズデータDT3、DT2、DT1、DT5、DT4のこの順序での送信を求める際には、カメラマイコン205はカスタムデータを構成するコマンド要素CMD3、CMD2、CMD1、CMD5、CMD4をこの順でレンズマイコン111に送信する。このようにしてカスタムデータ1(CMD1~CMD5)をレンズマイコン111に送信したカメラマイコン205は、その後、レンズマイコン111に対して登録完了を通知するための登録完了コマンドENDを送信する。
【0046】
一方、レンズマイコン111は、カメラマイコン205からデータ信号DCLとして送信されたカスタムデータ1を構成するコマンド要素CMDnと同じ値CMDnを、次の1バイト通信でデータ信号DLCとしてカメラマイコン205に送信する。これにより、カメラマイコン205は、コマンド要素CMDnがレンズマイコン111に正しく通信されて登録されたことを確認することができる。
【0047】
なお、図4(A)では、レンズマイコン111が送信要求コマンドCMD1の受信後に通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に送信し、CMD2以降の送信要求コマンドの受信後に通信待機要求BUSYを送信しない場合を示している。すなわち、図4(A)に示すデータ通信形式は、レンズマイコン111からカメラマイコン205に通知する通信待機要求BUSYが付加されるコマンドフレームと該通信待機要求が付加されないデータフレームとにより構成される。ただし、これは例に過ぎず、レンズマイコン111での処理状況に応じて、CMD2以降の送信要求コマンドの受信後に通信待機要求BUSYを付加してもよい。
【0048】
ここで、図6を用いて、レンズマイコン111がカスタムコマンド1を登録するために行う登録処理について説明する。カメラマイコン205には、前述した登録テーブル(以下、カメラ側登録テーブルという)CTBL1が保存されている。
【0049】
レンズマイコン111は、登録要求コマンドENTRY1を受信すると、レンズマイコン111内に保持されたカスタムコマンド1用のデータテーブル(以下、レンズ側登録テーブルという)LTBL1を選択する。次に、レンズマイコン111は、レンズ側登録テーブルLTBL1における配列番号No.1のアドレスに、カメラマイコン205から1番目に受信したコマンド要素CMD1と該CMD1に対応するレンズデータDT1とを保存する。続いてレンズマイコン111は、レンズ側登録テーブルLTBL1における配列番号No.2のアドレスに、カメラマイコン205から2番目に受信したコマンド要素CMD2と該CMD2に対応するレンズデータDT1とを保存する。そして、同様の処理を配列番号No.3からNo.5のアドレスについても行う。この後、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から登録完了コマンドENDを受信すると、レンズ側登録テーブルLTBL1の登録処理を完了する。
【0050】
また、図4(B)には、図4(A)に示したカスタムコマンド1の登録と同様にして、カスタムコマンド1とは異なるカスタムコマンド2をレンズマイコン111に登録する方法を示している。図4(B)では、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に対してレンズデータDT6、DT7、DT8のこの順序での送信を求める。このため、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に対して登録要求コマンドENTRY2を送信した後、カスタムコマンド2を構成するコマンド要素CMD6、CMD7、CMD8をこの順で送信する。なお、レンズデータDT8、DT6、DT7の順序での送信を求める際には、カメラマイコン205はカスタムデータを構成するコマンド要素CMD8、CMD6、CMD7をこの順でレンズマイコン111に送信する。このようにしてカスタムデータ2(CMD6~CMD8)をレンズマイコン111に送信したカメラマイコン205は、その後、レンズマイコン111に対して登録完了コマンドENDを送信する。
【0051】
図4(B)に示す場合でも、レンズマイコン111は、登録要求コマンドENTRY2を受信すると、カスタムコマンド2用のレンズ側登録テーブルLTBL2(図示せず)を選択する。そして、レンズマイコン111は、レンズ側登録テーブルLTBL2における配列番号No.1~3のアドレスに、カメラマイコン205から順次受信したコマンド要素CMD6~CMD8およびこれらに対応するレンズデータDT6~DT8を保存する。この後、カメラマイコン205から登録完了コマンドENDを受信すると、レンズマイコン111はレンズ側登録テーブルLTBL2の登録処理を完了する。
【0052】
このようにレンズマイコン111に予め複数のカスタムコマンドを登録することにより、カメラ本体200での処理に応じてカメラマイコン205がカスタムコマンド(つまりはレンズデータの組み合わせ)を選択することが可能となる。例えば、AF処理に必要なレンズデータの組み合わせを取得する際にはカスタムコマンド1を選択し、防振処理に必要なレンズデータの組み合わせを取得する際にはカスタムコマンド2を選択するといったことが可能となる。
【0053】
なお、レンズ側登録テーブル内に保存されたレンズデータDTnは固定値または変数であり、変数である場合はその変数が格納される交換レンズ100内のRAM等のメモリのアドレス情報が保存される。
【0054】
次に、図5を用いて、カメラマイコン205がレンズマイコン111からカスタムマンド1、2に対応したレンズデータを取得する方法について説明する。図5にはこのときの信号波形を示している。ここでは、カスタムコマンド1、2がレンズマイコン111に登録されているものとする。
【0055】
図5において、まずカメラマイコン205は、第1のカメラ処理(例えばAF処理)に必要なレンズデータDT1~DT5をレンズマイコン111から取得するため、該レンズデータの送信要求コマンドをレンズマイコン111に送信する。このとき、レンズデータDT1~DT5(つまりはコマンド要素CMD1~CMD5)に対応するのはカスタムコマンド1である。このため、カメラマイコン205は、カスタムコマンド1に対応付けられた送信要求コマンドGET1を生成してレンズマイコン111に送信する。
【0056】
送信要求コマンドGET1を受信したレンズマイコン111は、クロック信号LCLKをローレベルに固定することで通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知する。そして、レンズマイコン111は、送信要求コマンドGET1に対応するレンズデータDT1~DT5を生成する。レンズデータDT1~DT5を生成して送信準備が整うと、レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYを解除する。
【0057】
通信待機要求BUSYの解除を認識したカメラマイコン205は、送信要求コマンドGET1に対応する5バイトのレンズデータDT1~DT5を取得するために、5フレームのクロック信号LCLKを送信する。レンズマイコン111は、登録されたカスタムコマンド1(CMD1、CMD2、CMD3、CMD4、CMD5)に対応する5つのレンズデータDT1、DT2、DT3、DT4、DT5をこの順番でデータ信号DLCとしてカメラマイコン205に送信する。カメラマイコン205は、受信したレンズデータDT1~DT5を用いて第1のカメラ処理を行う。
【0058】
第1のカメラ処理が完了すると、カメラマイコン205は、引き続き第2のカメラ処理(例えば防振処理)を行うため、カスタムコマンド2に対応付けられた送信要求コマンドGET2を生成してレンズマイコン111に送信する。送信要求コマンドGET2を受信したレンズマイコン111は、通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知するとともに送信要求コマンドGET2に対応するレンズデータDT6~DT8を生成する。その後、通信待機要求BUSYを解除したレンズマイコン111に対して、カメラマイコン205は、送信要求コマンドGET2に対応する3バイトのレンズデータDT6~DT8を取得するために、3フレームのクロック信号LCLKを送信する。レンズマイコン111は、登録されているカスタムコマンド1(CMD6、CMD7、CMD8)に対応する3つのレンズデータDT6、DT7、DT8をこの順番でカメラマイコン205に送信する。カメラマイコン205は、受信したレンズデータDT6~DT8を用いて第2のカメラ処理を行う。
【0059】
図7には、レンズマイコン111がカメラマイコン205から送信要求コマンドGET1、GET2を受信した場合に行うレンズデータDTnの生成処理を示している。
【0060】
前述したように、レンズマイコン111は、送信要求コマンドGET1を受信すると、クロック信号LCLKをローレベルに固定することで通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知する。また、レンズマイコン111内に保存されたカスタムコマンド1用のレンズ側登録テーブルLTBL1を選択する。
【0061】
次にレンズマイコン111は、レンズ側登録テーブルLTBL1における配列番号No.1のアドレスを参照することで、1番目の登録レンズデータがDT1であることを認識し、レンズデータDT1を生成する。そして、生成したレンズデータDT1を不図示の送信用FIFOメモリに格納する。その後、レンズマイコン111は、同様の処理をレンズ側登録テーブルLTBL1における配列番号No.2~5のアドレスに対しても行う。こうして、配列番号No.5のアドレスの登録レンズデータに対応するレンズデータDT5のFIFOメモリへの格納まで終了したことを確認すると、レンズマイコン111は送信要求コマンドGET1に対応するレンズデータ生成処理を完了する。
【0062】
こうしてレンズデータDT1~DT5の送信準備が整うと、レンズマイコン111は前述したように通信待機要求BUSYを解除する。これにより、カメラマイコン205はレンズマイコン111との通信処理を再開し、5フレーム分のクロック信号LCLKをレンズマイコン111送信する。レンズマイコン111は、該クロック信号LCLKに同期したデータ信号DLCとしてレンズデータDT1~DT5をカメラマイコン205に連続して送信する。
【0063】
このように本実施例では、レンズマイコン111に予め複数のカスタムコマンドを登録して、カメラマイコン205がカメラ本体200で行うカメラ処理に応じてカスタムコマンドを選択してそれに対応する送信要求コマンドをレンズマイコン111に送信する。これにより、カメラマイコン205は、レンズマイコン111から大量のレンズデータを短時間で取得することが可能となり、この結果、カメラマイコン205は高速でカメラ処理を行うことができる。
【0064】
本実施例では、個別通信プロトコルと連続通信プロトコルが選択される場合としてそれぞれ、静止画撮像モードと動画撮像モードが設定された場合を例として挙げた。しかし、これら2つの通信プロトコルが選択される場合はこれらに限定されるものではなく、カメラ本体200で行う制御や処理に応じて選択すればよい。例えば、動画撮像モードであっても、ユーザの操作状態や撮像状態によっては連続通信プロトコルによる通信が不適切な場合もある。その場合には個別通信プロトコルを選択してもよい。また、静止画撮像モードであっても、予め決められた組み合せのレンズデータを用いるカメラ処理を行う場合には連続通信プロトコルを選択してもよい。
【0065】
次に、図8図11のフローチャートを用いて、カメラマイコン205が連続通信プロトコルを選択したときのカメラマイコン205およびレンズマイコン111が行う具体的な処理について説明する。図8および図9のフローチャートはカメラマイコン205が行う処理を示し、図10および図11のフローチャートはレンズマイコン111が行う処理を示している。カメラマイコン205およびレンズマイコン111はそれぞれ、コンピュータプログラムとしてのデータ通信制御プログラムに従ってこれらの処理を実行する。
【0066】
図8には、カメラマイコン205がカスタムコマンドを生成するために行う処理(カメラマイコン処理1)を示している。カメラマイコン205は、ステップS1において、レンズマイコン111からレンズ機能情報(レンズ固有情報)IDを取得する。レンズ機能情報IDは、交換レンズ100が有する機能(例えば、AF機能、防振機能およびズーム機能)の有無を示したり、交換レンズ100(レンズマイコン111)が記憶しているレンズデータを示したりする情報である。さらに、レンズ機能情報IDは、交換レンズ100が受け入れ可能な個別送信要求コマンドを示す情報でもある。レンズ機能情報IDは、交換レンズ100の製品ごとに異なる、その交換レンズ100に固有の情報である。
【0067】
レンズ機能情報IDは一般的には不変であるため、交換レンズ100がカメラ本体200に装着された時点で一度だけカメラマイコン205に送信されればよい。ただし、レンズ機能情報IDが変更可能である場合には、その変更ごとに新たなレンズ機能情報IDをレンズマイコン111からカメラマイコン205に送信する。
【0068】
次に、ステップS2において、カメラマイコン205は、ステップS1で取得したレンズ機能情報IDに基づいて、レンズマイコン111に登録させるべきカスタムコマンドm(m=1、2、・・・)を判断する。そして、ステップS3において、カスタムコマンドmの生成処理を開始する。
【0069】
ステップS4では、カメラマイコン205は、カスタムコマンドmの生成処理として、まずカメラマイコン205内のメモリにカスタムコマンドmを保存するデータテーブル(カメラ側登録テーブルCTBLm)の番号mを決定する。
【0070】
次に、ステップS5では、カメラマイコン205は、カスタムコマンドmに含ませるコマンド要素(つまりはレンズマイコン111に送信を要求する2種類以上のレンズデータ)の組み合せとそれらの順序を決定してカスタムコマンドmを生成する。例えば、動画撮像中においてカメラマイコン205が行う処理として必要なレンズデータには、フォーカスに関する情報、防振に関する情報、絞りに関する情報および変倍に関する情報がある。また、これらの情報をカメラマイコン205が受信するときの順序として、連続通信プロトコルの通信データ長の中で、早い時期に取得すべき優先度の高い種類のレンズデータについてはその送信要求の順序が早くなるように設定する。
【0071】
カメラマイコン205は、このようにしてステップS5で生成されたカスタムコマンドmをステップS4で決定した番号mのデータテーブルに記憶させる。こうして、カメラマイコン205は、カスタムコマンドの生成処理を完了する。
【0072】
図9には、カメラマイコン205がレンズマイコン111に対してカスタムコマンドを登録させるために行う処理(カメラマイコン処理2)を示している。ステップS100では、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に登録させるカスタムコマンドmを判断する。カメラマイコン205内のメモリには、予め複数のカスタムコマンドmのそれぞれを構成する2以上のコマンド要素CMDnとその順序が決められて、カスタムコマンドごとにテーブルデータ(カメラ側登録テーブルCTBLm)として記憶されている。
【0073】
次に、ステップS101では、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に登録させると判断したカスタムコマンドmに対応するカメラ側登録テーブルCTBLmのデータを取得する。
【0074】
次に、ステップS102では、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に登録させるカスタムコマンドmに対応する登録要求コマンドENTRYmを決定する。
【0075】
次に、ステップS103では、カメラマイコン205は、データ信号DCLとして登録要求コマンドENTRYmをレンズマイコン111に送信する。
【0076】
次に、ステップS104では、登録要求コマンドENTRYmを送信完了したカメラマイコン205は、レンズマイコン111からの通信待機要求BUSYの状態(解除か否か)を確認する。
【0077】
そして、通信待機要求BUSYの解除を確認したカメラマイコン205は、ステップS105において、再び選択したテーブルデータを参照してカスタムコマンドmを構成する2以上のコマンド要素CMDnを決定する。
【0078】
さらに、カメラマイコン205は、ステップS106において、データ信号DCLとして、ステップS105にて決定したカスタムコマンドm、つまりは2以上のコマンド要素CMDnを決められた順序でレンズマイコン111に送信する。
【0079】
次に、ステップS107において、カメラマイコン205は、テーブルデータを参照して、そのテーブルデータ内の全てのコマンド要素CMDnの送信が完了したか否かを判断する。まだ完了していない場合は、カメラマイコン205はステップS108に進み、次のコマンド要素CMDnの送信順を1つ進めてステップS105に戻る。こうして、テーブルデータ内の全てのコマンド要素CMDnのレンズマイコン111への送信が完了するまでステップS105~S108を繰り返す。全てのコマンド要素CMDnの送信が完了すると、カメラマイコン205は、ステップS109に進む。
【0080】
ステップS109では、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に対して、カスタムコマンドの登録完了を通知するコマンドENDを送信する。これにより、カメラマイコン205における1つのカスタムコマンドの登録処理が完了する。
【0081】
続いて、ステップS110では、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に登録すべき複数のカスタムコマンドの登録が全て完了したか否かを判断する。まだ完了していない場合はステップS100に戻って、次のカスタムコマンドの登録処理を行う。一方、全てのカスタムコマンドの登録が完了すると、カメラマイコン205は、本処理を終了する。
【0082】
図10には、レンズマイコン111がカメラマイコン205から送信されたカスタムコマンドを登録する処理(レンズマイコン処理1)を示している。ステップS200において、レンズマイコン111は、登録要求コマンドENTRYmの受信の有無を判断する。登録要求コマンドENTRYmの受信を確認したレンズマイコン111は、通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知する。
【0083】
次に、ステップS202では、レンズマイコン111は、ステップS200で受信した登録要求コマンドENTRYmに対応するレンズ側登録テーブルLTBLmを選択する。
【0084】
次に、ステップS203では、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から送信されてくるカスタムコマンドmうち1番目のコマンド要素CMDnを記憶(格納)するためのテーブルアドレスを設定する。そして、コマンド受信待機状態(第1のモード)となったレンズマイコン111は、ステップS204にて通信待機要求BUSYを解除する。ステップS205では、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から通信待機要求BUSYの解除後に送信されてくる1番目のコマンド要素CMDnの受信を待機する。
【0085】
レンズマイコン111は、コマンド受信待機状態でカメラマイコン205から登録要求コマンドENTRYmを受信すると、登録完了コマンドENDを受信するまで受信したコマンド要素CMDnに対応するレンズデータを送信しない第2のモードに切り替わる。第2のモードでは、レンズマイコン111は、カメラマイコン205に対して、受信コマンド要素CMDnを確認させるためのデータ(CMDn)を送信する。なお、第2のモードにてレンズマイコン111は、通信データ長または送信コマンド数(コマンド要素CMDnの数)を通知するデータに基づいてカメラマイコン205の通信完了を判断し、第1のモードに切り替えてもよい。
【0086】
ステップS203で1番目のコマンド要素CMDnを受信したレンズマイコン111は、ステップS206でコマンド要素CMDをステップS202で選択したレンズ側登録テーブルLTBLmのうちステップS203で設定したテーブルアドレスに格納する。また、ステップS207では、レンズマイコン111は、このコマンド要素CMDnに対応するレンズデータDTnも同テーブルアドレスに格納する。なお、前述したように、レンズ側登録テーブル内に格納されたレンズデータDTnは固定値または変数であり、変数である場合はその変数が格納されるメモリのアドレス情報が保存される。
【0087】
続いて、ステップS208では、レンズマイコン111は、カメラマイコン205からのデータ受信を待機し、受信したデータが登録完了コマンドENDであるか否かを判断する。登録完了コマンドENDではない場合は、レンズマイコン111は、ステップS209においてレンズ側登録テーブルLTBLmにおける格納先のテーブルアドレスを示す配列番号を進めてステップS206に戻る。これ以降は、カメラマイコン205から送信される全てのコマンド要素CMDnの受信および格納が完了して登録完了コマンドENDが受信されるまでステップS206~S209を繰り返す。
【0088】
ステップS208において登録完了コマンドENDを受信した場合は、レンズマイコン111は、ステップS210に進み、レンズ側登録テーブルLTBLm上の格納済みコマンド要素CMDnおよびレンズデータDTnの登録を完了する。このとき、レンズマイコン111は、登録完了コマンドENDの受信に応じて、上述した第2のモードから第1のモードに切り替わる。以上により、レンズマイコン111は本処理を終了する。
【0089】
図11には、レンズマイコン111がカメラマイコン205から送信要求コマンドGETmを受信したときに行うレンズデータの送信処理(レンズマイコン処理2)を示している。ステップS300では、レンズマイコン111は、送信要求コマンドGETmの受信の有無を判断する。送信要求コマンドGETmの受信を確認したレンズマイコン111は、ステップS301において通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知する。
【0090】
次に、ステップS302では、レンズマイコン111は、ステップS300で受信した送信要求コマンドGETmに基づいて、対応するレンズ側登録テーブルLTBLmを選択する。
【0091】
次に、ステップS303では、レンズマイコン111は、選択したレンズ側登録テーブルLTBLm内に収められた2種類以上のレンズデータDTnの格納先の情報を取得する。ここでは、レンズデータが変数であり、その変数が交換レンズ100内のRAM等のメモリに格納されているものとする。
【0092】
そして、ステップS304では、レンズマイコン111は、ステップS303で取得した情報に基づいてメモリから読み込んだ変数を用いてレンズデータDTnを生成する。さらに、ステップS305では、レンズマイコン111は、生成したレンズデータDTnをデータ信号DLC送信用データバッファであるFIFOメモリに格納する。
【0093】
続いて、ステップS306では、レンズマイコン111は、レンズ側登録テーブルLTBLm内に収められた全てのレンズデータDTnの生成が完了したか否かを判断する。全レンズデータDTnの生成が完了していない場合は、ステップS307に進み、レンズ側登録テーブルLTBLmのテーブルアドレスを示す配列番号を1つ進めてステップS304に戻る。これ以降は、全てのレンズデータDTの生成が完了するまで、ステップS304~S307の処理を繰り返す。
【0094】
ステップS306にて全てのレンズデータDTnの生成が完了すると、レンズマイコン111は、ステップS308において、レンズデータDTnの送信準備処理が整った後に通信待機要求BUSYを解除する。
【0095】
次に、ステップS309では、レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYの解除を認識したカメラマイコン205から1フレーム分のクロック信号LCLKが送信されるのを待つ。そして、クロック信号LCLKを受信したレンズマイコン111は、該クロック信号LCLKに同期させてFIFOメモリに格納した1つのレンズデータDTnをカメラマイコン205に送信する。
【0096】
そして、ステップS310において、レンズマイコン111は、FIFOメモリに格納した全てのレンズデータDTnの送信が完了したか否かを判断する。未送信レンズデータが残っている場合にはステップS309に戻り、カメラマイコン205から次のクロック信号LCLKが送信されてくるのを待つ。これ以降は、レンズマイコン111は、FIFOメモリに格納した全てのレンズデータDTnの送信が完了するまで、ステップS309、S310の処理を繰り返す。この繰り返しにより、カスタムコマンドm(送信要求コマンドGETm)に対応する全てのレンズデータDTnが、カスタムコマンドm(コマンド要素CMDn)により指定された順序でレンズマイコン111からカメラマイコン205に連続して送信される。
【0097】
ステップS310において、FIFOメモリ内の全てのレンズデータDTnの送信が完了した場合には、レンズマイコン111は本処理を終了する。
【0098】
次に、図12図14を用いてカメラ本体200と交換レンズ100の間で撮像タイミングを共有する方法について説明する。図12は、垂直同期信号Vと同期して予め決められた種類及び容量のデータ通信が行われるときの通信波形を示している。図12で示したデータ通信においては、固定長のデータ通信が行われ、なおかつ、カメラマイコン205とレンズマイコン111の間でやり取りされるデータの種類やタイミングが予め決められている。それゆえ、図12で示したデータ通信においては、カメラ本体200から交換レンズ100に対して通信要求コマンドを送信する必要がない。垂直同期信号Vの立下りタイミングまたは立上りタイミングを垂直同期信号Vの出力タイミングとして、垂直同期信号Vの出力タイミングに同期したデータ通信が行われる。
【0099】
一方、垂直同期信号Vに同期して送受信されるレンズデータの種類やタイミングが可変の通信プロトコルにおいては、交換レンズ100が垂直同期信号Vの出力タイミングを認識できないことがある。本実施例では、垂直同期信号Vの一周期内で最初にカメラ本体200から送信される送信要求コマンドの種類を予め決めておくことで、交換レンズ100が垂直同期信号Vの出力タイミングを認識できるような構成としている。これにより、レンズマイコン111はカメラ本体200における撮像タイミングを正確に認識し、レンズ制御に必要なレンズデータを精度よく算出することができる。
【0100】
以下、精度の高いレンズデータを送受信する目的について説明する。垂直同期信号Vの一周期内で複数のデータ通信を行う場合、周期内の最初のデータ通信タイミングと周期内の最後のデータ通信タイミングとの時間差が大きくなり、レンズデータに変化が生じる。交換レンズ100からカメラ本体200に送信されるレンズデータとしては、フォーカスレンズ104の位置情報や振れセンサ127の出力等がある。
【0101】
カメラマイコン205は、フォーカスレンズ104の位置情報に基づいてフォーカス制御を行うため、特定のタイミングにおけるフォーカスレンズ104の位置を正確に把握することで合焦精度を向上させることができる。レンズマイコン111から送信される具体的なレンズデータとしては、垂直同期信号Vの出力タイミングから所定時間経過後のフォーカスレンズ104の位置情報や、フォーカスレンズ104の位置情報を取得したタイミングを示す情報が挙げられる。カメラマイコン205は、フォーカスレンズ104の位置情報とこの位置情報の取得タイミングを正確に認識することで、精度の高い合焦動作を行うことができる。
【0102】
また、カメラマイコン205が、垂直同期信号Vの出力タイミングと関連付けられた振れセンサ127の出力をレンズマイコン111から受信することで、カメラ本体200における像振れ補正精度を高めることができる。例えば、交換レンズ100に含まれる振れ補正レンズ103を駆動させて行う光学防振と、カメラ本体における画像処理によって行う電子防振を組み合わせて像振れ補正を行う場合に、光学防振と電子防振の振れ補正比率を適切に設定することが可能となる。さらに、振れセンサ127の出力とそのタイミングから被写体の移動速度を推測し、被写体の移動速度を考慮した像振れ補正を行うことが可能となる。
【0103】
続いて、交換レンズ100とカメラ本体200の間で垂直同期信号Vの出力タイミングを共有するための具体的な方法について図13図14を用いて説明する。
【0104】
図13に示すように、複数の送信要求コマンドGETの中で、垂直同期信号Vの一周期内の最初に送信可能なコマンド(GET80~GET87)が決められている。また、これらの送信要求コマンド(GET80~GET87)に対応する登録要求コマンドENTRY(ENTRY00~ENTRY07)が設定されている。これにより、レンズマイコン111は、所定の送信要求コマンド(GET80~GET87)をカメラマイコン205から受信することでカメラ本体200における垂直同期信号Vの出力タイミングを認識することができる。送信要求コマンド(GET80~GET87)及び登録要求コマンド(ENTRY00~ENTRY07)は、垂直同期信号Vの一周期内の最初に送信可能なコマンドであるため、先頭コマンド(先頭情報)と記載する。これら以外のコマンドを非先頭コマンド(非先頭情報)と記載する。
【0105】
例えば、送信要求コマンドGETがGET=82である場合には、レンズマイコン111は、送信要求コマンド(GET=82)を垂直同期信号Vの一周期内における最初の送信要求コマンドであると認識する。なお、クロック信号LCLKの出力タイミングは、垂直同期信号Vの立上りタイミングや立下りタイミングを基準に設定される。本実施例では、垂直同期信号Vの立下りタイミングからクロック信号LCLKの出力タイミングまでの遅延時間Tvを考慮して、各種レンズデータを作成する。なお、垂直同期信号Vの立上りタイミングを基準とした遅延時間に基づいて各種レンズデータを作成しても良い。
【0106】
遅延時間Tvは予め決められた長さであっても良いし、適宜変更可能な長さとしても良い。送信要求コマンドと共にカメラマイコン205から送信される情報に遅延時間Tvの長さを示す情報が含まれる構成とすれば、遅延時間Tvを適宜変更することができる。遅延時間Tvに関する情報の送受信は、カメラ本体200と交換レンズ100が電気的に接続されたタイミングで行われる初期通信において実行されてもよい。また、遅延時間Tvの長さに応じて異なるコマンドが送受信されるプロトコルとすることで、遅延時間Tvをカメラ本体200と交換レンズ100の間で容易に共有することができる。
【0107】
図14は、連続通信プロトコルに基づく通信の流れを示している。本実施例では、連続通信プロトコルに基づく通信を行っているが、個別通信プログラムに基づく通信においても通信の流れは同じである。
【0108】
図14では、垂直同期信号Vの一周期内における最初の送信要求コマンドとして、カメラマイコン205からレンズマイコン111に対してGET=80が送信される。そして交換レンズ100においてGET=80に対応するレンズデータが作成され、作成されたレンズデータがレンズマイコン111からカメラマイコン205に送信される。ここでレンズマイコン111は、送信要求コマンドとは別に遅延時間Tvを示す情報を取得し、この遅延時間Tvを考慮したレンズデータを作成する。
【0109】
続いてカメラマイコン205からレンズマイコン111に対して送信要求コマンドGET=88が送信される。図13において説明したように、GET=88は先頭コマンドでないため、レンズマイコン111は、垂直同期信号Vの周期が継続していると認識し、垂直同期信号Vの出力タイミングからの経過時間を考慮したレンズデータをカメラマイコン205に送信する。続いて、レンズマイコン111は送信要求コマンドGET=8Aを受信し、これに対応するレンズデータをカメラマイコン205に送信する。
【0110】
カメラマイコン205から先頭コマンドとしての送信要求コマンドGET=83を受信することに応じて、レンズマイコン111は、垂直同期信号Vの周期が切り替わったことを認識する。以降、新たに認識した垂直同期信号Vの出力タイミングに応じたレンズデータを作成し、作成したデータをカメラマイコン205に送信する。
【0111】
以上のように、カメラマイコン205からレンズマイコン111に対して、垂直同期信号Vの一周期内における最初の送信要求コマンドであることを伝達することで、レンズマイコン111が、垂直同期信号Vの出力タイミングを正確に認識することができる。これにより、交換レンズ100からカメラ本体200に送信される各種レンズデータの精度を高めることができ、カメラ本体200で実行される合焦制御や像振れ補正制御等の精度を向上させることができる。
【0112】
[実施例2]
続いて本発明の実施例2について説明する。カメラ本体200や交換レンズ100の基本的な構成は実施例1と同様である。実施例2では、カメラマイコン205とレンズマイコン111の間で、第2の通信プロトコルとしての連続通信プロトコルでのデータ通信が行われる。連続通信プロトコルの概要は実施例1で説明したものと同様である。
【0113】
実施例2では、個別送信要求コマンドCMDの送信前に、カメラマイコン205がレンズマイコン111に対して登録番号通知コマンドEIDやデータ番号通知コマンドGIDを送信する。登録要求コマンドENTRYや送信要求コマンドGETが送信された後、個別送信要求コマンドCMDの送信前に、登録番号通知コマンドEIDやデータ番号通知コマンドGIDの送信を行うことが本実施例の特徴である。
【0114】
図15を用いてカスタムコマンドの登録方法について説明する。図15(A)では、カメラマイコン205は、登録要求コマンドENTRYをレンズマイコン111に送信する。レンズマイコン111は、登録要求コマンドENTRYを受信すると、クロック信号LCLKをローレベルに固定することで通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知する。通信待機要求BUSYの通知と共にカメラマイコン205から送信される情報の受信準備を行って通信待機要求BUSYを解除する。
【0115】
カメラマイコン205は、通信待機要求BUSYの解除を認識することに応じて、カスタムコマンド1の登録番号通知コマンドEID1と、今回のカスタムコマンドに応じて送受信されるデータ容量を示す情報(ENO1)をレンズマイコン111に送信する。レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知するとともに、カスタムコマンド1の登録準備を行って通信待機要求BUSYを解除する。
【0116】
カメラマイコン205は、通信待機要求BUSYの解除を認識することに応じて、個別送信要求コマンドCMDをレンズマイコン111に送信する。カメラマイコン205は、レンズマイコン111からの送信を求める2種類以上のレンズデータDTn(n=1、2、・・・)の組み合わせと送信順序とを示すカスタムコマンド(コマンド要素CMDnの組み合わせ)を該送信順序と同じ順序で送信する。
【0117】
図15(A)では、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に対してレンズデータDT21、DT22、DT23、DT24のこの順序での送信を求める。このため、カメラマイコン205は、カスタムデー1を構成するコマンド要素CMD21、CMD22、CMD23、CMD24をこの順でレンズマイコン111に送信する。
【0118】
ここで、本実施例では、個別送信要求コマンドCMDの送信前に予めデータ容量を示す情報としてENO1を送信しているため、実施例1で説明した登録完了コマンドENDは不要である。
【0119】
図15(B)では、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に対してレンズデータDT25、DT26、DT27のこの順序での送信を求める。図15(A)と同様に、カメラマイコン205は、登録要求コマンドENTRYを送信した後に、カスタムコマンド2の登録番号通知コマンドEID2及びデータ容量を示す情報(ENO2)をレンズマイコン111に送信する。その後、カメラマイコン205は、カスタムデータを構成するコマンド要素CMD25、CMD26、CMD27をこの順でレンズマイコン111に送信する。
【0120】
次に、図16を用いて、カメラマイコン205がレンズマイコン111からカスタムコマンドに対応したレンズデータを取得する方法について説明する。図16はこのときの信号波形を示している。ここでは、カスタムコマンドがレンズマイコン111に登録されているものとする。
【0121】
図16(A)は、カスタムコマンド1に対応付けられた送信要求コマンドGET1に対するデータ通信の流れを示している。図16(B)は、カスタムコマンド2に対応付けられた送信要求コマンドGET2に対するデータ通信の流れを示している。図16(A)、(B)のデータ通信は、垂直同期信号Vの一周期内に連続して行われる。
【0122】
図16(A)において、カメラマイコン205は、カスタムコマンド1に対応付けられた送信要求コマンドGETを生成してレンズマイコン111に送信する。レンズマイコン111は、送信要求コマンドGETを受信すると、クロック信号LCLKをローレベルに固定することで通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知する。通信待機要求BUSYの通知と共に、データ番号通知コマンドGID1および垂直同期信号Vの出力タイミングからの遅延時間VDTIME1を示す情報の受信準備を行って通信待機要求BUSYを解除する。
【0123】
カメラマイコン205は、この通信待機要求BUSYの解除を認識することに応じて、データ番号通知コマンド(GID1)と、遅延時間VDTIME1を示す情報をレンズマイコン111に送信する。レンズマイコン111は、通信待機要求BUSYをカメラマイコン205に通知するとともに、必要なレンズデータの作成を行って通信待機要求BUSYを解除する。そして、レンズマイコン111は、データ番号通知コマンドGID1に対応付けられた登録番号通知コマンドEID1に基づいて登録された順序でレンズデータDT21、DT22、DT23、DT24をカメラマイコン205に送信する。
【0124】
ここで、図17(B)に示すように、データ番号通知コマンドGIDには、垂直同期信号Vの一周期内の最初に送信可能な送信要求コマンドであるか否かを示す先頭情報が含まれている。具体的には、データ番号通知コマンドGIDの特定のビットを用いて、垂直同期信号Vの一周期内の最初に送信される送信要求コマンド(先頭コマンド)であるか否かを示している。例えば、データ番号通知コマンドGIDの先頭ビットが1を示しているときには、先頭コマンドであることを表し、データ番号通知コマンドGIDの先頭ビットが0を示しているときには、先頭コマンドでないことを表すものとする。これにより、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から送信されたデータ番号通知コマンドGIDが、先頭コマンドであるか否かを容易に判断することができる。
【0125】
図17は、登録番号通知コマンドEIDとデータ番号通知コマンドGIDの構成を示す図である。図17(A)は、登録番号通知コマンドEIDの構成を示している。登録番号通知コマンドEIDの先頭ビットは未定義となっており、2番目から8番目のビットにより登録番号を定義している。図17(B)は、送信要求コマンドGIDの構成を示している。上述したように、データ番号通知コマンドGIDの先頭ビットは先頭コマンドであるか否かを示しており、2番目から8番目のビットによりレンズマイコン205からの送信を要求するデータ番号を定義している。
【0126】
図18は、遅延時間VDTIMEを説明する図である。本実施例では、垂直同期信号Vの出力タイミング(本実施例では立下りタイミング)から、クロック同期信号LCLKの送信タイミングまでの時間差を遅延時間VDTIMEとしている。レンズマイコン205は、この遅延時間VDTIMEに基づいて各種レンズデータを生成し、生成したレンズデータをカメラマイコン205に送信する。
【0127】
以上説明したように、実施例2では、送信要求コマンドGETの他に、データ番号通知コマンドGIDや遅延時間VDTIMEを示す情報を別途送受信する構成としている。データ番号通知コマンドGIDに、先頭コマンドであるか否かを示すビット情報を付加することで、垂直同期信号Vの一周期内の最初に送信される送信要求コマンドをレンズマイコン205が容易に認識することができる。
【0128】
以上説明した実施例は代表的な例に過ぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。例えば、上記実施例では、アクセサリ装置として交換レンズを用いた例を示したが、撮像装置との通信機能を有するものであればストロボ等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0129】
100 交換レンズ
111 レンズマイコン
200 カメラ本体
205 カメラマイコン
図1
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