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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】通信装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/06 20210101AFI20221219BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20221219BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20221219BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20221219BHJP
【FI】
H04W12/06
H04W76/10
H04W84/10 110
H04W84/12
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021123018
(22)【出願日】2021-07-28
(62)【分割の表示】P 2019161579の分割
【原出願日】2015-07-21
(65)【公開番号】P2021177659
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】中島 孝文
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-140219(JP,A)
【文献】特開2004-187001(JP,A)
【文献】特開2008-172407(JP,A)
【文献】特開2013-198130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
第一の他の通信装置との通信パラメータ設定処理のための認証に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に、無線通信で用いるチャネルの情報が含まれているか否かを判定する判定手段と、
前記認証のための認証要求を送信する際に、前記判定手段によってチャネルの情報が含まれていると判定された場合には前記認証要求を当該チャネルに送信し、前記判定手段によってチャネルの情報が含まれていないと判定された場合には前記認証要求を複数のチャネルに送信する送信手段と、
前記認証が成功した場合に、前記通信パラメータ設定処理を実行することで前記第一の他の通信装置に通信パラメータを提供する提供手段と、
を有し、前記通信パラメータには第二の他の装置が提供するネットワークに接続するための情報が含まれ、前記提供された通信パラメータに基づいて前記第一の他の通信装置は前記ネットワークに接続されることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
通信装置であって、
第一の他の通信装置との通信パラメータ設定処理のための認証に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に、無線通信で用いるチャネルの情報が含まれているか否かを判定する判定手段と、
前記認証のための認証要求を送信する場合、前記判定手段によってチャネルの情報が含まれていると判定された場合には前記認証要求を当該チャネルに送信し、前記判定手段によってチャネルの情報が含まれていないと判定された場合には前記認証要求を複数のチャネルに送信する送信手段と、
前記認証が成功した場合に、前記通信パラメータ設定処理を実行することで前記第一の他の通信装置との間で通信パラメータを設定する設定手段と、
を有し、前記通信パラメータには第二の他の装置が提供するネットワークに接続するための情報が含まれる
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
画像を撮像する撮像手段を更に有し、
前記取得手段は、撮像された画像を解析することによって前記認証に関する情報を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記画像は、バーコードと、二次元コードの少なくとも何れか一方を含むことを特徴する請求項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記取得手段は、NFC(Near Field Communication)又はBluetoothに準拠した通信によって、前記第一の他の通信装置から前記認証に関する情報を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記認証処理が成功した場合、前記第一の他の通信装置に対して通信パラメータを提供する提供手段を更に有することを特徴とする請求項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信パラメータは、IEEE802.11規格に準拠した通信を行うために用いられる通信パラメータであることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信パラメータは、前記通信装置が参加している無線ネットワークのアクセスポイントの通信パラメータであることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記提供手段は、前記通信装置が参加している無線ネットワークのアクセスポイントを特定するための情報を更に提供することを特徴とする請求項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記判定手段によってチャネルの情報が含まれていると判定され、前記認証要求を当該チャネルに送信し、前記認証要求に対する応答がない場合に、前記送信手段は、前記認証要求を複数のチャネルに送信することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記認証が失敗した場合、前記認証の失敗の原因を表示部に表示する表示制御手段を更に有することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記送信手段は、認証のための認証要求を送信する際に、前記判定手段によって第一チャネルの情報が含まれていると判定された場合には前記認証要求を前記第一チャネルに送信し、前記判定手段によってチャネルの情報が含まれていないと判定された場合には前記認証要求を、前記第一チャネルを含む複数のチャネルに送信することを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記送信手段は、前記判定手段によってチャネルの情報が含まれていないと判定された場合には前記認証要求を、使用可能なすべてのチャネルに送信することを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記通信パラメータは、SSID(Service Set Identifier)、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵のいずれかを含むことを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記第二の他の装置と通信パラメータ設定処理を実行する実行手段をさらに有することを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項16】
通信装置の制御方法であって、
他の通信装置との通信パラメータ設定処理のための認証に関する情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された情報に、無線通信で用いるチャネルの情報が含まれているか否かを判定する判定工程と、
前記認証のための認証要求を送信する際に、前記判定工程によってチャネルの情報が含まれていると判定された場合には前記認証要求を当該チャネルに送信し、前記判定工程によってチャネルの情報が含まれていないと判定された場合には前記認証要求を複数のチャネルに送信する送信工程と、
前記認証が成功した場合に、前記通信パラメータ設定処理を実行することで前記第一の他の通信装置に通信パラメータを提供する提供工程と、
を有し、前記通信パラメータには第二の他の装置が提供するネットワークに接続するための情報が含まれ、前記提供された通信パラメータに基づいて前記第一の他の通信装置は前記ネットワークに接続されることを特徴とする制御方法。
【請求項17】
通信装置の制御方法であって、
第一の他の通信装置との通信パラメータ設定処理のための認証に関する情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された情報に、無線通信で用いるチャネルの情報が含まれているか否かを判定する判定工程と、
前記認証のための認証要求を送信する場合、前記判定工程でチャネルの情報が含まれていると判定された場合には前記認証要求を当該チャネルに送信し、前記判定工程でチャネルの情報が含まれていないと判定された場合には前記認証要求を複数のチャネルに送信する送信工程と、
前記認証が成功した場合に、前記通信パラメータ設定処理を実行することで前記第一の他の通信装置との間で通信パラメータを設定する設定工程と、
を有し、前記通信パラメータには第二の他の装置が提供するネットワークに接続するための情報が含まれる
ことを特徴とする制御方法。
【請求項18】
請求項1から1の何れか1項に記載の通信装置としてコンピュータを動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、プリンタ、携帯電話・スマートフォンなどの電子機器に無線通信機能を搭載し、これらの機器を無線ネットワークに接続して使用するケースが増えている。特に無線通信機能として無線LANを用いて機器間通信をするケースが増えている。
【0003】
電子機器を無線ネットワークに接続するには、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等のさまざまな通信パラメータを設定する必要がある。これらの通信パラメータの設定を容易にする技術として、携帯端末が、電子機器により表示される、通信パラメータを示すQRコード(登録商標、以下省略)を読み取り、読み取った通信パラメータをアクセスポイントに設定させる技術がある(特許文献1)。
【0004】
特許文献1のように、2次元コード等の多くの情報を符号化できるコード情報の画像の撮影を契機に通信パラメータの設定をすることにより、ユーザによる煩雑な入力操作を低減できる。また、特許文献1には、QRコードを提示している機器を識別できる識別情報をQRコードに含んで表示し、QRコードを撮影した機器側が通信パラメータ設定の対象機器を特定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-60623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、機器を特定できる識別情報は動的に変更される場合がある。例えば、無線LANにおけるMACアドレスを管理者等が必要に応じて書き換えることが可能である。また、Wi-Fi Direct(登録商標、以下省略)においては、機器の識別情報としてP2P Device AddressとP2P Interface Addressの2種類が存在する。Wi-Fi Directにおいて、プロトコル処理で無線ネットワーク(P2Pグループ)を形成するが、P2Pグループが形成される際に使用する機器識別用のアドレスがP2P Device Addressである。P2Pグループ形成後にP2Pグループ内の通信で機器識別に用いられるアドレスがP2P Interface Addressである。このP2P Device AddressとP2P Interface Addressは機器が任意に設定可能なアドレスであり、それぞれ異なる値を動的に設定することもできる。
【0007】
このように機器の識別情報を動的に変更することが可能である場合に、QRコードの内容を動的に変更してQRコードを表示できる機器においては機器の識別情報を適宜変更して表示することができる。しかし、QRコードがラベル等のシールで提示されていた場合、QRコードの内容を動的に変更することはできないため、QRコード内に機器を識別できる情報を含めることができない。
【0008】
そこで本発明は、取得した通信パラメータ設定処理に関する情報に合わせて、効率よく通信パラメータ設定処理を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の通信装置は、第一の他の通信装置との通信パラメータ設定処理のための認証に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された情報に、無線通信で用いるチャネルの情報が含まれているか否かを判定する判定手段と、前記認証のための認証要求を送信する際に、前記判定手段によってチャネルの情報が含まれていると判定された場合には前記認証要求を当該チャネルに送信し、前記判定手段によってチャネルの情報が含まれていないと判定された場合には前記認証要求を複数のチャネルに送信する送信手段と、前記認証が成功した場合に、前記通信パラメータ設定処理を実行することで前記第一の他の通信装置に通信パラメータを提供する提供手段とを有し、前記通信パラメータには第二の他の装置が提供するネットワークに接続するための情報が含まれ、前記提供された通信パラメータに基づいて前記第一の他の通信装置は前記ネットワークに接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取得した通信パラメータ設定処理に関する情報に合わせて、効率よく通信パラメータ設定処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】通信システムの構成の一例を示す図である。
図2】スマートフォン101の構成を示す図である。
図3】AP102、およびプリンタ103の構成を示す図である。
図4】通信システムの動作シーケンスの一例を示す図である。
図5】スマートフォン101の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】スマートフォン101の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態における通信システムの構成を図1に示す。図1において、101は、スマートフォンであり、102は、基地局であるアクセスポイント(以下、AP)である。103は、プリンタであり、104は、本通信システムの装置間で形成される無線ネットワークである。本実施形態において、図1に示す無線ネットワーク104は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11シリーズに準拠した無線LANである。また、無線ネットワーク104は、AP102が形成する無縁ネットワークである。しかしながら、装置間の通信形態は必ずしもIEEE802.11準拠の無線LANには限らない。
【0013】
以降において、AP102とプリンタ103を無線LAN接続させるためのパラメータ設定処理を、スマートフォン101を介して実行する場合について説明する。
【0014】
尚、通信パラメータは、IEEE802.11規格に準拠して無線通信するための各種無線通信パラメータが含まれる。つまり、通信パラメータは、ネットワーク識別子としてのSSID(Service Set Identifier)、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等の無線LAN通信を行うために必要な無線通信パラメータが含まれる。また、IP(Internet Protocol)層での通信を行うためのIPアドレス等を含めてもよい。本実施形態において、スマートフォン101、AP102、プリンタ103は無線LANの通信機能を搭載している。
【0015】
本実施形態では、はじめにスマートフォン101とAP102との間で通信パラメータ設定処理を行う。ここでは、スマートフォン101がAP102に対して、無線ネットワーク104を構築するための通信パラメータの設定を行なう。AP102はスマートフォン101から取得した通信パラメータを用いて無線ネットワーク104を構築する。続いて、スマートフォン101とプリンタ103との間で通信パラメータ設定処理を行う。ここでは、スマートフォン101が、プリンタ103に対して通信パラメータを提供する処理を行なう。プリンタ103は取得した通信パラメータを用いてAP102が構築する無線ネットワーク104に接続する。なお、本実施形態の通信システムにおける通信装置はスマートフォンと、プリンタ、APを例に説明を行うが、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、スマートウォッチ、PDA、各種のデジタル家電などの他の通信装置に置き換えてもよい。また、APは、AP機能を備えたスマートフォン、プリンタ、デジタルカメラ等の通信装置であってもよい。
【0016】
本実施形態における通信装置のハードウェア構成について図2を用いて説明する。図2において、101はスマートフォン全体を示す。201は撮像部であり、CCDやレンズ等が含まれる。撮像部201は、画像や動画の撮影を行う。撮像部201は、バーコード、二次元コード、QRコードなどのコード情報の撮影、読み取りなどを実施する。202は撮像部で撮影された画像等の画像処理を実施する画像処理部である。後述するQRコードなどのコード情報の復号処理および解析処理は、画像処理部202にて実施される。画像処理部202は、撮像部201により撮影された画像を解析し、符号化された情報を復号してその情報を取得する。
【0017】
203はスマートフォン101を操作するための操作部であり、操作ボタン等が含まれる。操作部203は、入力に対応するフラグを記憶部207等のメモリに記憶する。204は、視覚情報および音情報の少なくともどちらか一方を出力する機能を備える表示部である。表示部204は視覚情報を表示する場合、表示する視覚情報に対応する画像データを保持するVRAM(Video RAM)を有する。表示部204は、VRAMに格納した画像データをLCDやLEDに表示させ続ける表示制御を行う。205はスマートフォン101の各ハードウェアに電源を供給する電源部である。電源部205は、例えばバッテリにより構成される。
【0018】
206は、記憶部207に記憶される制御プログラムを実行することによりスマートフォン101全体を制御する制御部である。後述する各種動作は、記憶部207に記憶された制御プログラムを制御部206が実行することにより行われる。制御部206は例えばCPU(Central Processing Unit)により構成される。207は制御部206が実行する制御プログラムや、通信相手装置の情報など、各種情報を記憶する記憶部である。記憶部207は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、着脱可能なSDカード、ROMまたはRAMなどの記憶媒体により構成される。
【0019】
208は無線LANによる無線通信を行うための2.4GHz帯および/または5GHz帯で通信可能なアンテナであり、209はIEEE802.11シリーズに準拠した無線LANによる無線通信を行うための通信部である。また、Wi-Fi Allianceで規定されているWi-Fi Directに準拠したプロトコル処理を実施してもよい。通信部209は、無線通信を行うチップにより構成される。
【0020】
次に、スマートフォン101の記憶部207にプログラムとして記憶され、制御部206によって当該プログラムが実行されることにより実現される機能について説明する。なお、後述する機能は、制御部206が、制御プログラムにしたがって、各ハードウェアの制御、および、情報の演算や加工を行うことで実現される。
【0021】
スマートフォン101は、通信パラメータを対向装置に設定する通信パラメータ設定処理を実施する。通信パラメータ設定処理においては、提供装置が受信装置に無線通信に用いられる通信パラメータを提供する。本実施形態ではスマートフォン101が提供装置として動作し、対向装置(例えばAP102やプリンタ103)が受信装置として動作する場合について説明するが、これに限るものではない。対向装置が通信パラメータを既に所持している場合に、スマートフォン101は該通信パラメータを対向装置から取得するようにしてもよい。
【0022】
本実施形態における通信パラメータ設定処理を以下に説明する。スマートフォン101は、他の装置に表示されているまたは他の装置に関連付けられたQRコードの撮影を行う。ここで、他の装置に関連付けられたQRコードとは、例えば、他の装置の筺体に貼り付けられたQRコードや他の装置の取り扱い説明書に記載されたQRコードである。
【0023】
そして、スマートフォン101は、読み取ったQRコードに含まれる、通信パラメータ設定処理を行うために必要な情報を取得する。通信パラメータ設定処理を行うために必要な情報とは、例えば、通信パラメータそのもの、あるいは通信パラメータ設定処理に用いられる情報である。また、QRコードを提示している装置をスマートフォン101が探索する際に用いられる情報が含まれても良い。探索に用いられる情報の1つは、例えばQRコードを提示している装置を識別するための識別情報である。装置の識別情報は、ネットワーク機器を一意に識別するMAC(Media Access Control)アドレスやUUID(Universally Unique Identifier)等である。Wi-Fi Directにおけるパラメータ設定を実施するケースにおいてはP2P Device Address、あるいはP2P Interface Addressであってもよい。さらに、探索に用いられる情報の1つとして、無線LANのチャネル情報が含まれてもよい。無線LANのチャネル情報を含めることでスマートフォン101はQRコードを提示している装置を所定のチャネルに絞って探索すればよいため、探索処理時間を短縮することができる。
【0024】
スマートフォン101は、QRコードから取得した情報を基に対象装置と通信パラメータ設定処理を行なうために対象装置に探索信号を送信し、通信パラメータ設定処理の対象装置を探索する。
【0025】
尚、本実施形態において、スマートフォン101は対象装置との間で認証処理を実施するものとする。これは対象装置が通信パラメータ設定処理を実施する正当な相手装置であるか否かを識別するための認証処理である。認証処理では装置間の認証を行なうためにQRコード内に含まれる情報を用いても良い。あるいはQRコード内に含まれる情報のハッシュ値を算出して、認証情報に用いるようにしてもよい。また、本実施形態では認証処理において、通信パラメータを暗号化して送信する際に用いる情報をスマートフォン101と対象装置間で共有する処理も実施する。
【0026】
本実施形態において、前述の通信パラメータ設定処理を行なうための探索信号は認証処理における認証要求の信号として説明するが、これに限るものではない。例えば、通信パラメータ設定処理を行なうための信号はIEEE802.11規格に基づくProbe Request等の探索信号であってもよい。また、Probe Requestに限らず、対象の通信装置を探索するための探索用のActionフレーム等を用いてもよい。
【0027】
また、認証処理や通信パラメータの設定処理は、スマートフォン101と相手装置との間でセキュアな無線リンクを確立し、その無線リンクを用いて実施するようにしてもよい。あるいは無線LANにおけるActionフレーム等の所定のフレームを用いて実施するようにしてもよい。その際に、Actionフレーム自体を暗号化するようにしてもよい。暗号化には例えば装置間で互いに同じ任意の文字列を設定し、該文字列の情報を基に暗号化を行なうようにしてもよい。
【0028】
スマートフォン101は、対象装置を検出し、認証処理に成功すると、通信パラメータを暗号化し、無線通信により対象装置に設定する。なお、通信パラメータ設定処理の暗号化は公開鍵を用いて暗号化して通信してもよい。この公開鍵はQRコードに含まれていてもよい。公開鍵を用いて通信パラメータを暗号化する方法は、例えば、特開2014-230152号公報に示す方法を用いればよい。
【0029】
本実施形態では通信パラメータ設定処理を行うために必要な情報をQRコードから取得する場合について説明するが、これに限るものではない。NFC(Near Field Communication)通信などの近接無線通信で行われてもよい。あるいは、この転送は、Bluetooth(登録商標)などの無線LAN通信以外の無線通信を用いてもよい。また、IEEE802.11adもしくはトランスファージェット(TransferJet)(登録商標)等の無線通信を用いてもよい。
【0030】
あるいは通信パラメータ設定を行うために必要な情報を事前に双方の装置間で取得するようにしてもよい。例えば、セキュアなリンクもしくはActionフレーム等を用いて、対向装置の情報を取得するようにしてもよい。その際に、Actionフレーム自体を暗号化するようにしてもよい。暗号化には例えば装置間で互いに同じ任意の文字列を設定し、該文字列の情報を基に暗号化を行なうようにしてもよい。その際に、スマートフォン101と対向装置間で双方の情報を交換するようにしてもよい。
【0031】
なお、スマートフォン101は、通信パラメータ設定を行なう対向装置の情報を登録しておくことができる。登録する装置は、事前に通信パラメータの共有を行ったことがある装置であったり、セキュアなリンクを介して接続することができる装置であってよい。また、登録しておく対向装置の情報としてQRコードから取得した情報であってもよい。あるいは最後に対向装置と無線通信を実施した際のSSID等の無線ネットワークの情報であってもよい。
【0032】
続いて、AP102、プリンタ103の構成を、図3を用いて説明する。図3において、AP102の機能部301は、無線LAN基地局として動作するための制御処理部である。また301は、機能部の機能を実行するためのハードウェアも含まれる。プリンタ103においては、機能部308は印刷部であり、印刷処理を行う。302はAP102、プリンタ103を操作するための操作部であり、操作ボタン等が含まれる。操作部302は、入力に対応するフラグを記憶部306等のメモリに記憶する。303は、視覚情報および音情報の少なくともどちらか一方を出力する機能を備える表示部である。表示部303は視覚情報を表示する場合、表示する視覚情報に対応する画像データを保持するVRAMを有する。表示部303は、VRAMに格納した画像データをLCDやLEDに表示させ続ける表示制御を行う。304はAP102、プリンタ103の各ハードウェアに電源を供給する電源部である。電源部304は、例えばバッテリあるいはACアダプタ電源により構成される。
【0033】
305は、記憶部306に記憶される制御プログラムを実行することによりAP102、プリンタ103全体を制御する制御部である。後述する各種動作は、記憶部306に記憶された制御プログラムを制御部305が実行することにより行われる。制御部305は例えばCPUにより構成される。306は制御部305が実行する制御プログラムや、通信相手装置の情報など、各種情報を記憶する記憶部である。記憶部306は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、着脱可能なSDカード、ROMまたはRAMなどの記憶媒体により構成される。
【0034】
307は無線LAN通信を行うための2.4GHz帯および/または5GHz帯で通信可能なアンテナであり、308はIEEE802.11シリーズに準拠した無線LAN通信を行うための通信部である。通信部308は、無線通信を行うチップにより構成される。
【0035】
続いて、AP102、プリンタ103の記憶部306にプログラムとして記憶され、制御部305によって当該プログラムが実行されることにより実現される機能について説明する。なお、後述する機能は、制御部305が、制御プログラムにしたがって、各ハードウェアの制御、および、情報の演算や加工を行うことで実現される。
【0036】
AP102、プリンタ103は、機器間で通信パラメータを共有する通信パラメータ設定処理を実施することができる。また、AP102は通信部308における通信において、IEEE802.11に規定されるアクセスポイントとして動作する。また、プリンタ103は、通信部308における通信において、IEEE802.11に規定されるステーションとして動作する。
【0037】
また、プリンタ103は、通信パラメータ設定処理に必要な情報を含めたQRコードを生成するようにしてもよい。生成したQRコードは表示部303においてLCD等で表示される。あるいは機能部301の印刷処理でQRコードを印刷するようにしてもよい。
【0038】
通信パラメータ設定処理に必要な情報は、例えば、通信パラメータそのもの、あるいは通信パラメータ設定処理のためのプロトコル処理に用いられる情報である。他、通信パラメータの設定に必要な情報は前述のスマートフォン101と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0039】
尚、本実施形態において、AP102のQRコードはラベルとして筐体に張られているものとする。AP102は自装置のMACアドレスを、管理者の権限の下、書き換え可能であるものとし、自装置の識別情報としてMACアドレスをQRコードに含んでいないものとする。また、本実施形態において、AP102のQRコードにはチャネル情報は含まれていないものとする。また本実施形態において、プリンタ103はQRコードを表示部303に動的に表示可能なものとする。また、自装置のMACアドレスを、管理者等が必要に応じて書き換え可能な機器であるものとし、プリンタ103は通信パラメータ設定処理の開始指示を受けると開始指示を受けた時のMACアドレスを含んで符号化したQRコードを表示する。同様に、プリンタ103は通信パラメータ設定処理の開始指示を受けると、固定のチャネルで通信パラメータ設定処理における認証要求の受信待ち状態になるものとする。プリンタ103において、チャネル情報もMACアドレスと同じくQRコードに含まれるものとする。尚、MACアドレスは複数のネットワーク機器に対して重複して同一のアドレスを割り当てることができない。従って、MACアドレスの書き換えに当たっては以下の処理を行う場合に、各装置を、ID等を用いて、管理者のみが操作可能な管理者モードやサービスマンのみが操作可能なサービスモードに設定するようにしてもよい。このとき、設定されるMACアドレスが複数の装置に重複して設定されないようにチェックする処理を加えるようにしてもよい。
【0040】
続いて、上述の構成を有する通信システムの動作について説明する。ここで、AP102とプリンタ103との間で無線LANによる通信を行うために、スマートフォン101を用いて、AP102、および、プリンタ103とそれぞれ通信パラメータ設定処理を実施する場合について説明する。
【0041】
通信システムにおけるシーケンスチャートを、図4を用いて説明する。図4に示すシーケンスチャートでは、スマートフォン101を用いて、AP102およびプリンタ103の間で無線LAN接続させる場合を説明する。図4では、スマートフォン101が初めにAP102のQRコードを撮影し、AP102との間でパラメータ設定処理を実施する。AP102はスマートフォン101から取得した通信パラメータを用いて無線ネットワーク104を構築する。続いてスマートフォン101はプリンタ103のQRコードを撮影し、プリンタ103を無線ネットワーク104に接続させる。
【0042】
はじめに、スマートフォン101において、通信パラメータ設定処理の開始指示を受け付ける。通信パラメータ設定処理の開始指示があると、例えば「APのQRコードを撮影して下さい」といった旨の表示がスマートフォン101の表示部204にされてもよい。スマートフォン101は、通信パラメータ設定処理の開始指示を受けると、撮像部201を起動する(F401)。そして、スマートフォン101は、AP102の筐体に張られたQRコードを撮影する(F402)。
【0043】
撮影後、スマートフォン101はQRコード内に含まれる情報を基にAP102に対して、認証要求を送信する(F403)。ここで、QRコードに含まれる情報に基づいて後述する図5の処理により、認証要求をユニキャストで送信するか、ブロードキャストで送信するか、また、特定のチャネルに送信するか、全てのチャネルに送信するかの判定が実施される。尚、全てのチャネルに送信するとは、スマートフォン101が利用可能な複数のチャネルを時分割で切り替えながら順番に認証要求を送信することである。詳細な処理は後述するが、ここではスマートフォン101からAP102への認証要求はユニキャストで全てのチャネルに送信される。尚、前述のように、認証要求には、取得したQRコード内に含まれる情報に基づいた各種の情報が含まれて送信される。AP102は認証要求を受信すると、自装置のQRコード内に含まれる情報と比較し、認証処理を行ない、認証結果を認証応答としてスマートフォン101に送信する(F404)。
【0044】
AP102から認証応答が送信され、スマートフォン101で受信されると、スマートフォン101で認証結果を解析する。認証結果において認証が成功していた場合、スマートフォン101とAP102間で転送される通信パラメータを暗号化するための情報を双方の装置間で共有できる。尚、必要であれば、スマートフォン101で認証応答を受信後、暗号化に必要な情報をスマートフォン101からAP102へ再度送信してもよい。
【0045】
認証処理後、スマートフォン101とAP103との間で通信パラメータ設定処理が実施され、スマートフォン101からAP102へ通信パラメータが転送される(F405)。通信パラメータ設定処理において通信パラメータは、認証処理で共有した暗号化情報に基づいてスマートフォン101とAP102間で暗号化されて通信される。尚、認証要求、認証応答および通信パラメータ設定処理において送受信される各種のメッセージは本実施形態ではIEEE802.11規格に準拠した無線LANにおけるActionフレームを用いて実施されるものとする。AP102もこのActionフレームを送受信可能な状態であるものとする。
【0046】
スマートフォン101とAP102との間で通信パラメータ設定処理が完了すると、AP102は、スマートフォン101から提供された通信パラメータを用いて無線ネットワーク104を形成する。尚、AP102が既に別の通信パラメータで無線ネットワークを形成していた場合は、スマートフォン101から提供された通信パラメータを用いて無線ネットワークを再形成する。
【0047】
続いて、プリンタ102において、ユーザにより通信パラメータ設定処理の開始指示行われる。プリンタ103は、通信パラメータ設定処理の開始指示を受けると、その時点でのプリンタ103のMACアドレスと通信パラメータ設定用のチャネル情報を含んで符号化されたQRコードを表示部303に表示する(F406)。また、プリンタ103はパラメータ設定用のチャネルで対向装置からの認証要求の受信待ち状態になる。
【0048】
スマートフォン101はプリンタ103の表示部303に表示されたQRコードを撮影することによって、プリンタ103の情報を取得する(F407)。尚、スマートフォン101はAP102との通信パラメータ設定処理の終了後、自動的にQRコードを撮影可能な状態になってもよいし、再度ユーザにより通信パラメータ設定処理の開始指示を受けることによってQRコードを撮影可能な状態になってもよい。また、スマートフォン101でAP103のQRコード撮影に引き続いて、プリンタ102のQRコードを撮影後に、AP103との認証、パラメータ設定、続いてプリンタ102との認証、パラメータ設定を実行してもよい。この場合、スマートフォン101の表示部204に『APのQRコード撮影』、『プリンタのQRコード撮影』を順次表示されるなどしてナビゲートしてもよい。QRコードを撮影した後、スマートフォン101はQRコード内に含まれる情報を基にプリンタ103に対して、認証要求を送信する(F408)。ここで、QRコードに含まれる情報に基づいて、後述する図5の処理により、認証要求をユニキャストで送信するか、ブロードキャストで送信するか、また、特定のチャネルに送信するか、全てのチャネルに送信するかの判定が実施される。詳細な処理は後述するが、ここではスマートフォン101からプリンタ103への認証要求はユニキャストで、QRコードに含まれている特定のチャネルに送信される。プリンタ103は該チャネルで認証要求の受信待ち状態になっているため、対向装置から送信された認証要求をすぐに受信することができる。尚、認証要求には前述のようにQRコード内に含まれる情報に基づく各種の情報が含まれて送信される。プリンタ103は認証要求を受信すると、認証要求内に含まれる情報と自装置のQRコード内に含まれる情報とを比較し、認証処理を行ない、認証結果を認証応答としてスマートフォン101に送信する(F409)。
【0049】
プリンタ103から送信された認証応答がスマートフォン101で受信されると、スマートフォン101は認証結果を解析する。解析した結果、認証が成功していた場合、スマートフォン101とプリンタ103との間で転送される通信パラメータを暗号化するための情報を双方の装置間で共有できる。尚、必要であれば、スマートフォン101で認証応答を受信後、暗号化に必要な情報をスマートフォン101からプリンタ103へ再度送信してもよい。
【0050】
認証処理が行われた後、スマートフォン101とプリンタ103との間で通信パラメータ設定処理が実施され、スマートフォンから通信パラメータがプリンタ103に送信される(F410)。通信パラメータ設定処理は、認証処理で共有した暗号化情報に基づいてスマートフォン101とプリンタ103との間で暗号化されて通信される。尚、認証要求、認証応答および通信パラメータ設定処理において送受信される各種のメッセージは本実施形態では無線LANのActionフレームを用いて実施されるものとする。プリンタ103もこのActionフレームを送受信可能な状態であるものとする。また、スマートフォン101からプリンタ103へ送信される通信パラメータはAP102が構築している無線ネットワーク104の通信パラメータである。
【0051】
プリンタ103において通信パラメータの設定が完了すると、プリンタ103は、スマートフォン101から送信された通信パラメータを用いて無線ネットワーク104に対して無線LAN接続を実施する(F411)。尚、プリンタ103がAP102の探索時間を短縮するために、スマートフォン101からプリンタ103への通信パラメータ転送時に、AP102を特定できる情報を含んで送信するようにしてもよい。AP102を特定できる情報としてはAP102のMACアドレス、あるいは、無線ネットワーク104のチャネル情報、動作している周波数バンド帯域などである。もしくは、プリンタ103とAP102との間で双方を特定できる情報を共有できるような情報を通信パラメータに含んで送信するようにしてもよい。双方を特定できる情報はQRコード内に含まれる双方の公開鍵に関連した情報であってもよい。
【0052】
以上のシーケンスにより、AP102で無線ネットワーク104を形成し、プリンタ103をその無線ネットワーク104に参加させることができる。
【0053】
図5は、スマートフォン101が通信パラメータ設定処理を行う際の処理を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、操作部203を介してユーザから通信パラメータ設定処理の開始が指示された際に開始される。また図5に示すフローチャートは、制御部206が記憶部207に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより行われる処理の流れを示す。なお、図5に示すフローチャートに示すステップの一部または全部を例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで実現する構成としても良い。
【0054】
スマートフォン101は、通信パラメータ設定処理の開始の指示を受けると、S501で撮像部201によりQRコードの撮影を行い、撮影されたQRコードを復号し、情報を取得する。そして、撮影されたQRコードから取得した情報の内容が通信パラメータの設定を行うために必要な情報であった場合は、S502に進む。なお、スマートフォン101は、撮影したQRコードに通信パラメータの設定を行うために必要な情報が含まれていない場合、エラー終了を行ってもよい。この場合、エラー終了の原因となった不足情報、フォーマット不適合等を表示部204に表示することでユーザへの可視化効果を高めることができる。
【0055】
S502において、スマートフォン101は、QRコードを撮影した相手装置に認証要求を送信する処理を実行する。認証要求を送信する処理の詳細は図6で後述する。S502で認証要求の送信処理を行ない、相手装置から認証応答を受信すると(S503)、スマートフォン101は認証応答に含まれる認証結果を解析する。S504において、認証結果を解析した結果、認証に成功した場合はS505に進む。認証に失敗した場合は通信パラメータ設定処理を終了する。この場合、エラー終了の原因を表示部204に表示することでユーザへの可視化効果を高めることができる。
【0056】
S505において、スマートフォン101は、相手装置との間で通信パラメータ設定処理を実施する。通信パラメータ設定処理の内容については前述に記載しているため、ここでの説明は省略する。
【0057】
図6は、スマートフォン101において実行される認証要求送信処理を示すフローチャートであり、図5のS502を詳細に説明したフローチャートである。スマートフォン101は、S601において、通信パラメータ設定処理の対象機器の識別情報を取得できているか否かを判定する。本実施形態ではQRコードに設定対象機器の識別情報が含まれている場合、識別情報を取得できていると判定し、識別情報が含まれていない場合、識別情報を取得できていてないと判定するものとする。識別情報を取得できている場合、S602に進み、識別情報を取得できていない場合はS603に進む。
S602では対象機器の識別情報を取得できているため、スマートフォン101は、対象機器の識別情報を宛先として指定したユニキャストによる送信で、認証要求を送信すると判定し、S604に進む。一方、S603では対象機器の識別情報を取得できていないため、スマートフォン101は、宛先として特定の装置を指定しないブロードキャストによる送信で、認証要求を送信すると判定し、S604に進む。
【0058】
例えば、本実施形態ではAP102、プリンタ103共にQRコードにそれぞれAP102、プリンタ103を識別する識別情報を含んでいるので、S602に進み、認証要求をユニキャストで送信すると判定されることになる。もしQRコードに対象機器を識別する識別情報が含まれていない場合は、認証要求をブロードキャスト、乃至はマルチキャストグループ機器のみ受信可能なマルチキャストで送信すると判定されることになる。
【0059】
S604において、スマートフォン101は、認証要求を送信すべきチャネルのチャネル情報が取得できているか否かを判定する。本実施形態ではQRコードにチャネル情報が含まれている場合、対象機器に認証要求を送信する際のチャネル情報を取得できていると判定する。QRコードにチャネル情報が含まれていない場合、対象機器に認証要求を送信する際のチャネル情報を取得できていないと判定するものとする。チャネル情報を取得できている場合、S605に進み、チャネル情報を取得できていない場合はS606に進む。
【0060】
S605ではチャネル情報を取得できているため、スマートフォン101は、対象機器に対して、取得しているチャネル情報が示す所定のチャネルで認証要求を送信すると判定し、S607に進む。一方、S606ではチャネル情報を取得できていないため、スマートフォン101は、対象機器に対して全チャネルで認証要求を送信すると判定し、S607に進む。尚、全チャネルで認証要求を送信するとは、スマートフォン101が使用可能な複数のチャネルの全てに対して、順番にチャネルを切り替えながら認証要求を送信することである。
【0061】
S607において、スマートフォンは、S602、S603、S605、S606で判定された判定内容に基づいて、認証要求の送信を行なう。
【0062】
尚、本実施形態ではQRコードでそれぞれの情報(対象機器の識別情報やチャネル情報)を取得出来ているか否かによって判定を実施したが、認証要求の送信処理前にこれらの情報が取得できていればよく、QRコードを用いる例に限るものではない。例えば、NFCやBluetooth等、他の通信方式を用いてこれらの情報を取得するようにしてもよく、NFCやBluetooth等の通信方式に基づいてこれらの情報の有無を判定してもよい。また、同様にActionフレームの送受信によってこれらの情報を取得するようにしてもよく、Actionフレームの送受信によってこれらの情報の有無を判定してもよい。
【0063】
また、本実施形態では図6の認証要求送信処理として、S601、S604の判定処理を両方実施したが、何れか一方だけ実施するようにしてもよい。さらに、これに限る物ではなく、他の判定処理を実施するようにしてもよい。例えば、対象機器が同一ネットワークに接続しているか否かの判定を加えるようにしてもよい。例えば、スマートフォン101がプリンタ103のQRコードを撮影した際に、スマートフォン101およびプリンタ103が、AP102が構築する無線ネットワーク104に接続中であった場合などである。
【0064】
スマートフォン101は無線ネットワーク104に接続した装置を記憶部207に登録できるものとする。スマートフォン101はプリンタ103のQRコードを撮影し、QRコード内の情報からプリンタ103を識別できた場合、記憶部に登録している情報からプリンタ103はAP102に接続している装置であると判定できる。この場合、スマートフォン101はプリンタ102に対し、無線ネットワーク104内でAP102を介して認証要求を送信すると判定するようにしてもよい。また、チャネル情報を取得した状態で、該チャネルに認証要求を送信し、対象機器から認証要求に対する応答がなかったと判定された場合、再度全てのチャネルに認証要求メッセージを送信するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態では対象機器の探索処理として認証要求を送信したが、IEEE802.11規格に基づくProbe Request等のメッセージを送信して探索処理を実施してもよい。その場合、対象機の識別情報を取得できているかどうかに応じて、認証要求メッセージと同様にユニキャストで送信するかブロードキャストで送信するかを切り替える。また、同様に、チャネル情報が取得できているか否かに応じて、チャネル情報のチャネルで送信するか、全てのチャネルで送信するかも切り替える。また、Probe Requestに限らず対象の通信装置を探索するためのActionフレーム等別のフレームを用いて実現してもよい。
【0066】
実施形態によれば、スマートフォン101が通信パラメータ設定処理の相手装置の識別情報を取得できたか否かや、チャネル情報を取得できたか否かに基づいて、通信パラメータ設定処理の相手装置の探索処理の方法を自律的に変更することができる。これにより、通信パラメータ設定処理を効率よく実施することができる。
【0067】
(その他の実施形態)
上述の実施形態において、読みとるQRコードは表示部に表示されているQRコードに限らない。例えば、通信装置の筺体にシールなどの形態で貼り付けられているQRコードや、取り扱い説明書や通信機器の販売時の段ボールなどの包装に貼り付けられているQRコードであってもよい。また、QRコードでなく、バーコードや、QRコード以外の二次元コードであっても良い。また、QRコードなどの機械が読み取り可能な情報に代えて、任意の文字列等のユーザが読みとれる形式の情報であっても良い。また、AP102またはプリンタ103がWEBサーバの機能を所持し、WEBページ上でQRコードを表示できるようにしてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態において、装置間の通信をIEEE802.11準拠の無線LAN通信により行う場合について説明したが、これに限る物ではない。例えば、ワイヤレスUSB、MBOA、Bluetooth、UWB、ZigBee、NFC等の無線通信媒体を用いて実施してもよい。ここで、MBOAは、Multi Band OFDM Allianceの略である。また、UWBは、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、WINETなどが含まれる。
【0069】
また、上述の実施形態において、AP102とプリンタ103間で無線LANのインフラストラクチャーモードで接続する場合について説明したがこれに限る物ではない。例えば、無線LANのアドホックモードで接続する場合にも本発明を適用することができる。また、AP102の代わりにPC等の通信装置を用い、PCとプリンタ103間でWi-Fi Directを用いて装置間の接続処理を行うようにしてもよい。さらには、スマートフォン101とプリンタ103がWi-Fi Directの接続機能を所持している際に、両装置間でWi-Fi Direct形態で接続するようにしてもよい。その場合、スマートフォン101とプリンタ103は通信パラメータ設定完了後、いずれか一方がAP相当の機能を果たすWi-Fi DirectにおけるGroup Ownerとして動作し、共有した通信パラメータを用いて無線ネットワークを構築する。Group Ownerでないもう一方の装置がWi-Fi DirectにおけるClientとしてGroup Ownerに接続することでWi-Fi Direct形態での接続が可能となる。
【0070】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0071】
101 スマートフォン
102 基地局
103 プリンタ
104 無線ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6