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特許7196929支援情報生成装置、支援情報生成方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】支援情報生成装置、支援情報生成方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20221220BHJP
   G16H 40/20 20180101ALI20221220BHJP
【FI】
G06Q10/10
G16H40/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020553345
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2019041137
(87)【国際公開番号】W WO2020080533
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2018197570
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】駱 園
(72)【発明者】
【氏名】久保 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】小阪 勇気
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/017135(WO,A1)
【文献】特開2018-049588(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0131645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ユーザが利用する第一装置から送信された業務に関する質問を示す質問情報に応じた前記業務を支援するための支援情報を、支援情報生成モデルに前記質問情報を入力することにより生成する支援情報生成部と、
前記第一装置に対して、少なくとも前記支援情報を出力する第一出力部と、
前記第一ユーザをサポートする第二ユーザが利用する第二装置に対して、少なくとも前記質問情報と前記支援情報とを出力する第二出力部と、
前記第二装置から前記質問情報と前記支援情報との対に対する応答を示す応答情報を取得する取得部と、
前記質問情報の入力に応じて前記支援情報を出力する前記支援情報生成モデルであって、前記質問情報と前記応答情報との関係と過去の業務の記録とに基づいて、新に支援情報生成モデルを生成するモデル生成部と、
を備える支援情報生成装置。
【請求項2】
前記第二出力部は、前記第一出力部による前記支援情報の前記第一装置への出力に併せて、前記質問情報と前記支援情報とを前記第二装置へ出力する
請求項1に記載の支援情報生成装置。
【請求項3】
前記第二出力部は、前記第二装置からの通信接続を検出した後に、前記第二装置へ前記質問情報と前記支援情報と出力する
請求項1または請求項2に記載の支援情報生成装置。
【請求項4】
前記第一出力部は、前記応答情報を前記第一装置へ出力する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の支援情報生成装置。
【請求項5】
前記第一出力部は、前記取得部が前記応答情報を取得した後に、前記支援情報を前記第一装置へ出力する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の支援情報生成装置。
【請求項6】
前記支援情報生成部は、前記支援情報として、看護業務を支援するための情報を生成する
請求項1から請求項の何れか一項に記載の支援情報生成装置。
【請求項7】
支援情報生成装置が、
第一ユーザが利用する第一装置から送信された業務に関する質問を示す質問情報に応じた前記業務を支援するための支援情報を、支援情報生成モデルに前記質問情報を入力することにより生成し、
前記第一装置に対して、少なくとも前記支援情報を出力し、
前記第一ユーザをサポートする第二ユーザが利用する第二装置に対して、少なくとも前記質問情報と前記支援情報とを出力し、
前記第二装置から前記質問情報と前記支援情報との対に対する応答を示す応答情報を取得し、
前記質問情報の入力に応じて前記支援情報を出力する前記支援情報生成モデルであって、前記質問情報と前記応答情報との関係と過去の業務の記録とに基づいて、新に支援情報生成モデルを生成する
ことを含む支援情報生成方法。
【請求項8】
コンピュータに、
第一ユーザが利用する第一装置から送信された業務に関する質問を示す質問情報に応じた前記業務を支援するための支援情報を、支援情報生成モデルに前記質問情報を入力することにより生成し、
前記第一装置に対して、少なくとも前記支援情報を出力し、
前記第一ユーザをサポートする第二ユーザが利用する第二装置に対して、少なくとも前記質問情報と前記支援情報とを出力し、
前記第二装置から前記質問情報と前記支援情報との対に対する応答を示す応答情報を取得し、
前記質問情報の入力に応じて前記支援情報を出力する前記支援情報生成モデルであって、前記質問情報と前記応答情報との関係と過去の業務の記録とに基づいて、新に支援情報生成モデルを生成する
ことを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援情報生成装置、支援情報生成方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
看護師は病棟業務の多くを担う。病院業務全体の最適化に向けて、看護師の業務の最適化は不可欠である。そのような看護師の業務を最適化し業務の効率化を行うことが病院の運営にとって不可欠である。看護業務の効率促進の技術が特許文献1,2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、看護における適切な判断能力を向上させることができる看護学習システムの技術が開示されている。
特許文献2には、情報入力に応答して症状要素を認識し、疾患対処情報を生成して出力装置に出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2015-219247号公報
【文献】日本国特開2008-102699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
看護師の業務や、その他の様々な各業界の業務においても業務経験の長い作業者から業務経験の短い作業者への業務に関する知識の伝達を効率化することが求められている。また、例えば作業現場を業務経験の長い作業者が不在にする場合やリアルタイムの指導ができない場合にも、業務経験の短い作業者が適切な判断や対処を迅速に行うことのできる技術が望まれている。
【0006】
この発明の目的の一例は、上述の課題を解決する支援情報生成装置、支援情報生成方法、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、支援情報生成装置は、第一ユーザが利用する第一装置から送信された業務に関する質問を示す質問情報に応じた前記業務を支援するための支援情報を生成する支援情報生成部と、前記第一装置に対して、少なくとも前記支援情報を出力する第一出力部と、前記第一ユーザをサポートする第二ユーザが利用する第二装置に対して、少なくとも前記質問情報と前記支援情報とを出力する第二出力部と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、支援情報生成方法は、第一ユーザが利用する第一装置から送信された業務に関する質問を示す質問情報に応じた前記業務を支援するための支援情報を生成し、前記第一装置に対して、少なくとも前記支援情報を出力し、前記第一ユーザをサポートする第二ユーザが利用する第二装置に対して、少なくとも前記質問情報と前記支援情報とを出力することを含む。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、第一ユーザが利用する第一装置から送信された業務に関する質問を示す質問情報に応じた前記業務を支援するための支援情報を生成し、第一ユーザが利用する第一装置からの前記支援情報の要求に応じて、前記第一装置に対して、少なくとも前記支援情報を出力し、前記第一ユーザをサポートする第二ユーザが利用する第二装置に対して、少なくとも前記質問情報と前記支援情報とを出力する、ことを実行させせる
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、業務経験の短い作業者が適切な判断や対処を迅速に行うことのできる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による支援情報生成システムの概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による支援情報生成システムの構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による支援情報生成装置のハードウェア構成図である。
図4】本発明の一実施形態による支援情報生成装置の機能ブロック図である。
図5】本発明の一実施形態による支援情報生成装置に接続するデータベースの例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による支援情報生成装置の処理フローを示す図である。
図7】本発明の一実施形態による質問情報と支援情報の関係を示す図である。
図8】本発明の一実施形態による質問情報と支援情報の関係を示す別の図である。
図9】本発明の別の実施形態による支援情報生成装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による支援情報生成システム100を、図面を参照して説明する。
図1は本実施形態による支援情報生成装置1を有する支援情報生成システム100の概要を示す。
本実施形態による支援情報生成システム100は、病院等に設置される。支援情報生成システム100は支援情報生成装置1と端末2とが通信接続することにより構成される。
支援情報生成装置1には複数の端末2が通信接続することができる。各端末2は看護師や医師などのユーザが携帯する。支援情報生成装置1は病院の外部に設置してもよく、病院内で看護業務、医師業務を行うユーザの携帯する端末2と通信接続する。ユーザが端末2を病院外部に持ち出した場合でも端末2と支援情報生成装置1とが通信接続できるように構成される。端末2が病院外部に持ち出される場合、端末2は公衆回線網を介して支援情報生成装置1と通信接続することができてよい。端末2はスマートフォンなどの携帯型のコンピュータであってもよいし、PC等の卓上型のコンピュータであってもよい。
【0013】
図2は支援情報生成装置1のハードウェア構成を示す。
図2が示すように支援情報生成装置1はCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、データベース104、通信モジュール105等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。
【0014】
図3は支援情報生成装置1の機能ブロック図である。
支援情報生成装置1は支援情報生成プログラムを実行する。これにより、支援情報生成装置1は、制御部11、取得部12、モデル生成部13、支援情報生成部14、第一出力部15、第二出力部16の各機能を実行可能になる。
【0015】
制御部11は支援情報生成装置1が備える他の機能部を制御する。
取得部12は、支援情報生成装置1が受信した情報のうち、処理対象となる情報を取得する。
モデル生成部13は過去の業務の記録に基づいて質問情報の入力に対する支援情報の出力の関係を導く支援情報生成モデルを生成する。
支援情報生成部14は、取得した業務に関する質問情報に対応する業務の支援情報を生成する。本実施形態において支援情報生成装置1は看護業務に関する支援情報を生成する。
第一出力部15は、第一ユーザが利用する第一装置からの支援情報の要求に応じて、第一装置に対して、支援情報を出力する。本実施形態において、第一ユーザは看護業務の経歴が比較的短い若手看護師である。第一装置は若手看護師の利用する端末2である。
第二出力部16は、第一ユーザをサポートする第二ユーザが利用する第二装置に対して、少なくとも質問情報と支援情報とを出力する。質問情報は患者の容態に応じた対処方法を得るために入力された質問に関する情報であり、患者の疾患種別、患者属性、質問内容などの情報を含む。支援情報は質問情報に応じて支援情報生成装置1が端末2に出力する情報であり、主に患者の容態に応じた対処方法を示す情報である。支援情報は、質問情報で指定された患者の看護の経過の情報などを含んでもよい。本実施形態において、第二ユーザは、看護業務の経歴が比較的長いベテラン看護師である。また、第二ユーザは、第一ユーザをサポートする役割を担っている。第二装置はベテラン看護師の利用する端末2である。
【0016】
本実施形態による支援情報生成装置1は、過去の看護業務の記録に基づいて質問情報の入力に対する支援情報の出力の関係を導く支援情報生成モデルを生成する。支援情報生成装置1は、若手看護師の利用する端末2から質問情報を取得し、支援情報生成モデルに質問情報を入力して支援情報を生成する。支援情報生成装置1は支援情報を若手看護師が利用する端末2とその若手看護師をサポートするベテラン看護師が利用する端末2とに支援情報を出力する。支援情報生成装置1は、一例として、出力された支援情報が適切でないとベテラン看護師によって判断された場合、ベテラン看護師の利用する端末2から適切な支援情報を含む応答情報を受信し、応答情報を若手看護師の利用する端末2へ送信する。応答情報は、自身の利用する端末2に出力された質問情報と支援情報との対の情報を確認したベテラン看護師から質問情報に対応する支援情報が適切かの判断に基づいて若手看護師に伝えられる情報であって、ベテラン看護師が端末2に入力して支援情報生成装置1に送信された情報である。
これにより支援情報生成装置1は、看護の現場を業務経験の長いベテラン看護師が不在にする場合にも、業務経験の短い若手看護師が適切な判断や対処を迅速に行うことのできる技術を提供する。
なお、本実施形態では、支援情報生成装置1が看護業務の支援に用いられる場合を例に説明する。しかしながら、支援情報生成装置1は、例えば、介護業務や、工場での作業といった、看護業務以外の作業現場において、ベテラン作業者による若手作業者に対する支援に適用可能である。
【0017】
図4は支援情報生成装置1に接続するデータベースの例を示す図である。
本実施形態の支援情報生成装置1は、電子カルテシステム31、オーダリングシステム32、看護支援システム33、一般医科知識記憶システム34、一般看護知識記憶システム35、リスクリポート記憶システム36等の各システムのデータベースと通信接続されている。
【0018】
図5は各システム31~36のデータベースが記憶する情報の例を示す図である。
図5で示すように、電子カルテシステム31は、患者ごとの性別、年齢、症状、既往歴、バイタル測定値、詳細看護経過などの情報を記憶する。
オーダリングシステム32は、患者ごとの性別、年齢、症状、検査内容、約束処方などの情報を記憶する。
看護支援システム33は、患者に対する過去の看護指示、看護実施履歴などの看護実施情報、家族情報、処置メモなどの情報を記憶する。
一般医科知識記憶システム34は、医科教科書に記載される知識の情報を患者の疾患種別や患者の身体属性に紐づけて記憶する。
一般看護知識記憶システム35は、看護教科書に記載される知識の情報を患者の疾患種別や患者の身体属性に紐づけて記憶する。
リスクリポート記憶システム36は、リスクが発生する原因、リスク発生後の患者の症状、リスク発生後の患者に対する看護処置方法などを患者の疾患種別や患者の身体属性に紐づけて記憶する。
【0019】
支援情報生成装置1のモデル生成部13は電子カルテシステム31、オーダリングシステム32、看護支援システム33、一般医科知識記憶システム34、一般看護知識記憶システム35、リスクリポート記憶システム36から、これらのシステムが記憶する情報(図4で示した情報)を取得する。支援情報生成装置1のモデル生成部13はそれらの情報に基づいて、端末2から受信した質問情報の入力に対する支援情報の出力の関係を導く支援情報生成モデルを生成する。すなわち、モデル生成部13は、入力された質問情報に応じた支援情報を出力する支援情報生成モデルを生成する。モデル生成部13は、一例としては、各システムが受信した情報に付される質問情報とその質問情報に対する支援情報の正解ラベルとに基づいて、質問情報から支援情報を導く支援情報生成モデルを生成する。
【0020】
支援情報生成モデルは、電子カルテシステム31、オーダリングシステム32、看護支援システム33、一般医科知識記憶システム34、一般看護知識記憶システム35、リスクリポート記憶システム36から得た各情報に基づいて、患者の疾患種別や患者の身体属性の少なくとも一方に基づくクラスタごとに、機械学習の手法を用いて予め生成されてよい。機械学習としては、混合分布モデルやサポートベクターマシンが用いられるが、これらには限られない。支援情報生成モデルは、支援情報生成装置1と通信接続された外部の他の機械学習装置が生成して、支援情報生成装置1のデータベース104に格納されてもよい。
【0021】
図6は支援情報生成装置1の処理フローを示す図である。
次に図6を参照して支援情報生成装置1の処理の詳細を説明する。
モデル生成部13による支援情報生成モデルの生成が完了した後に、支援情報生成装置1は支援情報生成処理を開始する。
【0022】
若手看護師の利用する端末2を、以下、第一端末2aと呼ぶこととする。また、その若手看護師をサポートするベテラン看護師が利用する端末2を、以下、第二端末2bと呼ぶこととする。若手看護師は、ベテラン看護師が傍で看護業務を行っている場合だけでなく、ベテラン看護師が傍で看護業務を行っていない場合にも、自身に割り当てられた看護業務を行う必要がある。このとき、自身の知識不足により看護業務に対する支援情報を得たい場合には、若手看護師は第一端末2aに質問情報を入力する。一例として若手看護師は第一端末2aに質問情報を音声により入力する。このとき、若手看護師は第一端末2aに患者の疾患種別や患者属性を質問情報として音声により入力する。患者属性は患者IDなどの患者を特定する情報を含んでよい。つまり、質問情報は、患者の疾患種別、患者属性、質問内容を含む。第一端末2aは質問情報として入力された音声を解析し文字情報に変換する。第一端末2aは文字情報に変換した質問情報を支援情報生成装置1へ送信する。第一端末2aは、質問情報となる音声をその音声データのまま、支援情報生成装置1へ送信してもよい。
【0023】
支援情報生成装置1は、第一端末2aからの質問情報を受信する(ステップS101)。そして取得部12が質問情報を取得する。取得部12は、質問情報が音声データである場合には、例えばその音声データを解析して文字情報に変換する。または支援情報生成装置1は、音声データを解析して文字情報を生成する音声解析装置と通信接続し、その音声解析装置に音声データを送信して文字情報の生成を要求してもよい。この場合、支援情報生成装置1の取得部12は、第一端末2aから取得して音声解析装置へ転送した音声データに対応する文字情報を、その音声解析装置から取得する。
【0024】
取得部12は文字情報を含む質問情報を支援情報生成部14へ出力する。支援情報生成部14は、質問情報に含まれる患者の疾患種別および患者属性の少なくとも一方に紐づいてデータベース104に記録されている支援情報生成モデルを取得する(ステップS102)。質問情報には患者属性または患者の疾患種別が含まれる。またデータベース104には患者属性または患者の疾患種別の何れか一方の情報に基づいて生成された支援情報生成モデルが記録される。取得部12は質問情報に患者の疾患種別と患者属性の何れか一方のみが含まれる場合には、その情報に紐づいてデータベース104に記録される支援情報生成モデルを取得してもよい。
【0025】
支援情報生成部14は取得した支援情報生成モデルに少なくとも質問内容を含む質問情報を入力する(ステップS103)。支援情報生成部14は支援情報生成モデルに質問(質問情報)を入力した後、その出力結果である支援情報を生成する(ステップS104)。支援情報生成部14は支援情報を第一出力部15に出力する。また支援情報生成部14は質問情報と支援情報とを第二出力部16へ出力する。
【0026】
第一出力部15は、支援情報を取得すると、支援情報を第一端末2aへ送信する(ステップS105)。第一端末2aは支援情報を受信する。第一端末2aは、一例として、受信した支援情報に含まれる文字情報を音声で、第一端末2aに備えられたスピーカや第一端末2aと接続されたヘッドセットから出力する。この第一端末2aの処理により若手看護師は音声で支援情報を聞くことができる。このような例では、若手看護師は業務を行いながら第一端末2aのディスプレイを確認することなく支援情報を得られる。若手看護師がフリーハンドにより質問情報に対する支援情報を得ることができるので、ベテラン看護師が不在の場合にも、支援情報に基づいて適切な判断や看護処置などの対処を迅速に行うことができる。なお、第一端末2aは、受信した支援情報をディスプレイに文字等で表示してもよい。
【0027】
また第二出力部16は支援情報生成部14から質問情報と支援情報とを取得する。第二出力部16は質問情報に含まれる患者属性から患者ID(識別子)を取得する。第二出力部16は患者IDに紐づいて予めデータベース104等に記憶する看護師IDを取得する。この看護師IDは、患者IDで特定される患者の看護を担当するベテラン看護師に対応する。また第二出力部16は看護師IDに紐づいてデータベース104に記録されている端末IDを取得する。この端末IDは看護師IDが示すベテラン看護師が利用する第二端末2bの端末IDである。なお他の実施形態においては、第二出力部16は、第一端末2aを利用する若手看護師の看護師IDや、ベテラン看護師の看護師IDを、第一端末2aから質問情報とともに取得してもよい。この場合、第二出力部16は若手看護師の看護師IDに紐づくベテラン看護師の看護師IDをデータベース104から取得する。そして第二出力部16はこのベテラン看護師の看護師IDや、質問情報とともに取得したベテラン看護師の看護師IDに紐づく端末IDをデータベース104から取得してもよい。
【0028】
第二出力部16はベテラン看護師の利用する第二端末2bの端末IDを取得すると、その端末IDを用いて第二端末2bへ質問情報と支援情報とを送信する(ステップS106)。第二端末2bは質問情報と支援情報とを受信する。第二端末2bは、それらの質問情報や支援情報に含まれる文字情報を音声で、第二段末2bに設けられたスピーカや第二段末2bと接続されたヘッドセットから出力する。これによりベテラン看護師は若手看護師と離れた場所にいる場合や、ベテラン看護師が他の作業を行っているような場合でも、第二端末2bの出力する音声により、自身がサポートする若手看護師が第一端末2aに入力した質問情報と、その質問情報に対する支援情報生成装置1の応答である支援情報とをフリーハンドで聞くことができる。ベテラン看護師は、必要に応じて質問情報に対する支援情報が適切であるかを判断する。ベテラン看護師は、質問情報に対する支援情報が適切でないと判断した場合には、第二端末2bを用いて第一端末2aに直接電話やメッセージなどの手段により適切な情報を通知するようにしてもよい。これにより、若手看護師が適切な判断や対処を迅速に行うことが可能となる。
【0029】
支援情報生成装置1は、質問情報と支援情報との対を第二端末2bへ送信した後に、第二端末2bから、質問情報に対する支援情報が適切か否かの判定結果を受信してもよい。例えば、ベテラン看護師は第二端末2bから出力された質問情報に対する支援情報が適切か否かを判断する。ベテラン看護師は、質問情報に対する支援情報が適切かどうかを示す判断情報を第二端末2bに入力する。第二端末2bは判断情報の入力を音声で受け付ける。第二端末2bは、ディスプレイに表示した操作ボタンのアイコンに対する押下操作や、文字入力により、判断情報の入力を受け付けてもよい。ベテラン看護師は、質問情報に対する支援情報が不適切である場合には、適切な支援情報を音声入力や文字入力操作により第二端末2bに入力してもよい。第二端末2bは、入力された判断情報と支援情報とを含む応答情報を支援情報生成装置1へ送信する。
【0030】
支援情報生成装置1は第二端末2bから応答情報を受信する(ステップS107)。取得部12は受信した応答情報を取得する。取得部12は応答情報を第一出力部15へ出力する。第一出力部15は応答情報を第一端末2aへ送信する(ステップS108)。これにより、第一端末2aは、ベテラン看護師が携帯する第二端末2aから送信された応答情報を、支援情報生成装置1を介して受信する。第一端末2aは、一例として、応答情報に含まれる支援情報の文字列を読み上げて、第一端末2aに備えられたスピーカや第一段末2aと接続されたヘッドセットから出力する。これにより、若手看護師は、支援情報生成装置1が独自で生成した支援情報に基づく看護作業を中止し、ベテラン看護師からの適切な支援情報に基づいて看護作業を行うことができる。これにより、支援情報生成装置1が独自に生成した支援情報が不適切な場合であっても、若手看護師は、ベテラン看護師の支援情報による適切な介護業務を行うことができる。
【0031】
なお上述の処理においては、第一端末2aに対する支援情報の送信に併せて第二端末2bに対する質問情報と支援情報との送信を行うことを想定している。つまり、上述の処理は、第一出力部15が第一端末2aから質問情報を受信してその支援情報を第一端末2aに送信するタイミングと同時に、又はそのタイミングの直前若しくは直後(すなわち、そのタイミングの前後の一定期間内)に、第二出力部16が、それら質問情報と支援情報とを第二端末2bにプッシュ送信する態様について示している。しかしながら、第二出力部16は、これとは異なるタイミングで第二端末2bへ質問情報と支援情報とを送信してもよい。第二出力部16は、第二端末2bから支援情報生成装置1への通信接続が行われたことを検出した後に、質問情報と支援情報とを送信するようにしてもよい。この例では、支援情報生成装置1は質問情報と支援情報と第二端末2bの端末IDに紐づけて記憶する。支援情報生成装置1の第二出力部16は、第二端末2bからの通信接続があった場合に、その第二端末2bの端末IDに紐づく質問情報と支援情報とを表示するウェブページを生成する機能を有してよい。そして、実際に第二端末2bから支援情報生成装置1への通信接続があった場合、支援情報生成装置1の第二出力部16は、第二端末2bからの通信接続を検知する。第二出力部16は、検知した第二端末2bの端末IDに基づいて、予め記憶する質問情報と支援情報とを取得し、それら質問情報と支援情報とを紐づけて表示するウェブページを生成する。第二出力部16はウェブページ(または、ウェブページのURL)を第二端末2bへ送信する。これにより、ベテラン看護師は、第二端末2bのディスプレイに表示されたウェブページを確認して質問情報と支援情報とを確認することができる。
【0032】
支援情報生成装置1は、第一端末2aへ生成した支援情報を送信するよりも先に、質問情報と支援情報との対を第二端末2bへ送信し、第二端末2bから応答情報を取得できるまで、支援情報を第一端末2aへ送信することを停止してもよい。この場合、支援情報生成部14は、応答情報に含まれる判断情報が、質問情報に対する支援情報が適切であることを示す場合にのみ、支援情報を第一端末2aへ送信してもよい。またこの場合、第一出力部15は質問情報と支援情報の対を第二端末2bに送信したタイミングから所定時間経過しても応答情報を第二端末2bより受信できない場合、支援情報生成部14が生成した支援情報を第一端末2aへ送信してもよい。これにより、ベテラン看護師が質問情報に対する回答として適切であると判断した支援情報を、若手看護師による看護業務の遅れができるだけ発生しないように若手看護師の利用する第一端末2aへ送信することができる。
【0033】
取得部12は、質問情報と応答情報とをモデル生成部13へ出力する。モデル生成部13は質問情報と応答情報とを記憶部に記録する。制御部11は第二端末2bから受信した応答情報の蓄積状況に基づいて、支援情報生成モデルの再生成タイミングか否かを判定する(ステップS109)。制御部11は、第二端末2bから受信した応答情報の蓄積が所定の量以上になった場合に、再生成タイミングであると判定してよい。制御部11は、再生成タイミングであると判定した場合には、モデル生成部13に支援情報生成モデルの再生成を指示する。モデル生成部13は再生成の指示を受けた場合、記憶する応答情報に含まれる支援情報とその支援情報に対応する質問情報との関係を用いて、支援情報生成モデルの再生成を行う(ステップS110)。
【0034】
この処理は、モデル生成部13が、質問情報と応答情報との関係を過去の業務の記録に加えて支援情報生成モデルを生成する態様の一例である。そして、モデル生成部13は、再生成により新たに生成した支援情報生成モデルをデータベース104に記録する。この支援情報生成モデルは、質問情報と支援情報との関係が適切でないと判断した場合の応答情報と質問情報とを、過去の質問情報と支援情報や看護記録にさらに加えて生成された、質問情報に対する支援情報の精度を高めた支援情報生成モデルである。このような支援情報生成モデルを用いて支援情報を生成することで、支援情報生成部14は質問情報に対する、より適切な支援情報を生成することができる。制御部11は処理を終了するかを判定する(ステップS111)。処理を終了しない場合、支援情報生成装置はステップS101からの処理を繰り返す。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明した。上述の処理によれば、若手看護師は、質問情報に対する支援情報を得ることで、若手看護師が自力で判断や対処を行うことが容易になる。また、ベテラン看護師は、若手看護師からの質問情報及び若手看護師に対する応答情報を把握することが可能になる。そのため、ベテラン看護師が若手看護師の傍にいない場合であっても、ベテラン看護師が若手看護師に対して適切に支援することが可能となる。すなわち、支援情報生成装置1により、看護の現場をベテラン看護師が不在にする場合等においても、若手看護師が適切な判断や対処を迅速に行うことのできる技術を提供することができる。
【0036】
図7は質問情報と支援情報の関係を示す図である。
一例として、「患者A、現在体温38.5℃、どうすればよい?」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は「患者Aの平熱は36.5℃、発熱。3日前手術、これまでに発熱無し。医原性要因をチェックしてください。例えば、日光直射、空調設定、布団・服、発汗部位での体温の測定など」という支援情報を生成しその支援情報を第一端末2aへ出力する。
また他の例として、「医原性要因を排除した。次は?」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は「全身チェックをしてください。例えば、創部の感染兆候、刺入部の感染兆候、鼻水、咳など」という支援情報を生成しその支援情報を第一端末2aへ出力する。
また他の例として、「特に感染兆候はない。次は?」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は「対処してください。体温38℃以上になると、ロキソニン1錠投与の約束処方があります。」という支援情報を生成しその支援情報を第一端末2aへ出力する。
また他の例として、「ロキソニン1錠を投与した。次は?」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は「一時間後体温と血圧を再検査ください。」という支援情報を生成し、その支援情報を第一端末2aへ出力し、さらに、その支援情報の生成から一時間後に「ロキソニン投与してから、1時間経ちました。体温と血圧を再検査ください。」という支援情報を生成し、その支援情報を第一端末2aへ出力する。
また他の例として、「体温36.5、血圧110。次は?」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は支援情報「体温と血圧は正常。現時点次のアクションはなし。」という支援情報を生成しその支援情報を第一端末2aへ出力する。
【0037】
図8は質問情報と支援情報の関係を示す別の図である。
一例として、「患者B、現在SAT(saturation)90%、どうすればよい?」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は「患者BいつものSATは98%。現状SAT低い。息していますか?意識はありますか?」という支援情報を生成しその支援情報を第一端末2aへ出力する。なお、この例及び以下の例では、SATは、血中酸素濃度を表す。
また他の例として、「息あります、意識もあります。」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は「医原性要因をチェックしてください。心拍とモニターは合っていますか?付け替えてチェックしてください。」という支援情報を生成しその支援情報を第一端末2aへ出力する。
また他の例として、「異常なし。次は?」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は「全身チェックをしてください。呼吸型、リズム、音など、異常がありますか?」という支援情報を生成しその支援情報を第一端末2aへ出力する。
また他の例として、「特にない。次は?」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は「対処してください。約束処方により、O2投与してください。3から5リットルで40%です。」という支援情報を生成しその支援情報を第一端末2aへ出力する。
また他の例として、「酸素投与しました。次は?」という質問情報に対し、支援情報生成装置1は「この患者様には、COPDの既往歴があります。SATが98%に戻ったら、酸素投与を1から2リットルまで下げてください。」という支援情報を生成しその支援情報を第一端末2aへ出力する。
【0038】
図7図8に示す質問情報と支援情報との関係に示すように、支援情報生成装置1は、同じ第一端末2aから受信した質問情報が同一患者に関する質問情報であると判断して、第一端末2aから最初に指定された患者氏名や患者IDなどの患者属性を最初の支援情報の生成と次以降の支援情報に引き継いで、同じ支援情報生成モデルを用いて支援情報を生成してよい。
【0039】
図9は別の実施形態による支援情報生成装置を示す図である。
図9が示すように支援情報生成装置1は少なくとも、支援情報生成部14、第一出力部15、第二出力部16を備える。
支援情報生成部14は、取得した業務に関する質問情報に対応する業務の支援情報を生成する。
第一出力部15は、第一ユーザが利用する第一装置からの支援情報の要求に応じて、第一装置に対して、支援情報を出力する。
第二出力部16は、第一ユーザをサポートする第二ユーザが利用する第二装置に対して、少なくとも質問情報と支援情報とを出力する。
【0040】
上述の支援情報生成装置1は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
【0041】
上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0042】
この出願は、2018年10月19日に出願された日本国特願2018-197570を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、支援情報生成装置、支援情報生成方法、記録媒体に適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1・・・支援情報生成装置
2・・・端末
11・・・制御部
12・・・取得部
13・・・モデル生成部
14・・・支援情報生成部
15・・・第一出力部
16・・・第二出力部
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9