(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】自動ロック入れ子式マスト
(51)【国際特許分類】
E04H 12/18 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
E04H12/18 C
(21)【出願番号】P 2020567569
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(86)【国際出願番号】 US2019035364
(87)【国際公開番号】W WO2019236561
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-06-07
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591144947
【氏名又は名称】ザ ウィルーバート カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE WILL-BURT COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】フェイ、ウン、カー
(72)【発明者】
【氏名】ヤング、キャメロン、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マスト、レックスフォード、リチャード
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-180148(JP,U)
【文献】米国特許第02708493(US,A)
【文献】米国特許第9670948(US,B1)
【文献】特表2019-509435(JP,A)
【文献】特開平09-017226(JP,A)
【文献】米国特許第03688455(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0095411(US,A1)
【文献】米国特許第04871138(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 12/18
F16B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き込み位置と延長位置間で構成可能な複数の入れ子式管部を有する入れ子式マスト用の自動ロックアセンブリであって、
第1の管部に垂直に取り付けられた第1のラッチピンであって、当該第1のラッチピンは、第2の管部とのロック位置へ向かって事前に付勢され、前記第2の管部に対するロック解除位置へ直線的に移動するよう構成される、第1のラッチピンと、
前記第1のラッチピンに取り付けられた第1のラッチレバーであって、当該第1のラッチレバーは、前記第1の管部に対して平行位置と回転位置間で枢動するよう構成される、第1のラッチレバーと、
第3の管部に取り付けられたガイドプレート、および当該ガイドプレートの上部に設けられた角度を成した座面であって、当該ガイドプレートおよび角度を成した座面は、前記第1のラッチレバーに接触するよう構成される、ガイドプレートおよび角度を成した座面と
を有し、
前記第1のラッチピンは、前記第2の管部が前記第1の管部に対して前記延長位置にあるとき、前記第2の管部との前記ロック位置へと直線的に移動するよう事前に付勢され、
前記第1の管部が前記第3の管部に対して前記引き込み位置にあるとき、前記第1のラッチピンは、前記第1のラッチレバーの枢動により前記ロック位置から前記ロック解除位置へ直線的に移動し、前記第1のラッチレバーは、前記ガイドプレートの前記角度を成した座面との接触により前記平行位置から前記回転位置へ枢動し、これにより前記第1の管部に対する前記第2の管部の前記引き込み位置を可能にする
自動ロックアセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載の自動ロックアセンブリにおいて、前記第3の管部は基管部であり、前記第1の管部は複数の中間管部であり、前記第2の管部は端管部である自動ロックアセンブリ。
【請求項3】
請求項1記載の自動ロックアセンブリにおいて、さらに、
前記第2の管部に設けられた第1のラッチパネルを有し、この第1のラッチパネルは、前記ロック位置にあるとき前記第1のラッチピンを受容するよう構成されるものである自動ロックアセンブリ。
【請求項4】
請求項1記載の自動ロックアセンブリにおいて、さらに、
前記複数の入れ子式管部において前記入れ子式管部の1つに、前記自動ロックアセンブリを取り付けるよう構成されたつば部を有するものである自動ロックアセンブリ。
【請求項5】
請求項1記載の自動ロックアセンブリにおいて、さらに、
前記第3の管部に垂直に取り付けられた第2のラッチピンであって、当該第2のラッチピンは、前記第1の管部とのロック位置へ向かって事前に付勢され、前記第1の管部に対するロック解除位置へ直線的に移動するよう構成される、第2のラッチピンと、
前記第2のラッチピンに取り付けられた第2のラッチレバーであって、当該第2のラッチレバーは、前記第3の管部に対して平行位置と回転位置間で枢動するよう構成される、第2のラッチレバーと、
前記第2のラッチピンの下に設けられ前記第3の管部に垂直に取り付けられたピストンであって、当該ピストンは、直線的に移動して前記第2のラッチレバーを作動させるよう構成される、ピストンと
を有するものである自動ロックアセンブリ。
【請求項6】
請求項5記載の自動ロックアセンブリにおいて、前記第2のラッチピンは、前記第2のラッチレバーの枢動により前記ロック位置から前記ロック解除位置へ直線的に移動し、前記第2のラッチレバーは、前記ピストンの直線的な移動により前記平行位置から前記回転位置へ枢動し、これにより前記第3の管部に対する前記第1の管部の前記引き込み位置を可能にするものである自動ロックアセンブリ。
【請求項7】
請求項5記載の自動ロックアセンブリにおいて、さらに、
前記第1の管部に設けられた第2のラッチパネルを有し、この第2のラッチパネルは、前記ロック位置にあるとき前記第2のラッチピンを受容するよう構成されるものである自動ロックアセンブリ。
【請求項8】
請求項1記載の自動ロックアセンブリにおいて、前記
第1のラッチピンは、ばね作動式である自動ロックアセンブリ。
【請求項9】
入れ子式マストであって、
複数の入れ子式マスト部であって、基管部と、中間管部と、端管部とを含み、前記中間管部および端管部は、前記基管部内に入れ子式に受容されるようなっている、複数の入れ子式マスト部と、
前記基管部に取り付けるつば部を有する基部自動ロック、および前記中間管部に取り付けるつば部を有する中間自動ロックであって、
前記基部自動ロックおよび前記中間自動ロックの双方は、
前記つば部に収容され、ロック
位置およびロック解除位置間で直線的に移動するよう構成されたラッチピンと、
前記ラッチピンに取り付けられ、前記複数の入れ子式マスト部に対して平行位置と回転位置間で枢動するよう構成されたラッチレバーと、
前記つば部に取り付けられたガイドプレートと
を含む、基部自動ロックおよび中間自動ロックと
を有し、
前記基部自動ロックのラッチピンは、前記中間管部が前記基管部の中から延長されたとき、前記中間管部との前記ロック位置へ移動可能であり、
前記中間自動ロックのラッチピンは、前記端管部が前記中間管部の中から延長されたときには、前記端管部との前記ロック位置へ移動可能であり、前記中間管部が前記基管部に引き込まれたときには、前記中間自動ロックのラッチレバーが前記基部自動ロックのガイドプレートとの接触により前記平行位置から前記回転位置へ枢動したとき、前記端管部との前記ロック解除位置へ移動可能であり、これにより前記端管部を前記中間管部に引き込み可能にする
入れ子式マスト。
【請求項10】
請求項9記載の入れ子式マストにおいて、さらに、
前記基部自動ロックのつば部で前記ラッチピンの下に収容され、直線的に移動して前記基部自動ロックのラッチレバーを作動させるよう構成されたピストンを有し、
前記基部自動ロックのラッチピンは、前記基部自動ロックのラッチレバーが前記ピストンの直線的な移動により前記平行位置から前記回転位置へ枢動したとき、前記中間管部との前記ロック解除位置へ移動可能であり、これにより前記中間管部を前記基管部に引き込み可能にするものである入れ子式マスト。
【請求項11】
請求項9記載の入れ子式マストにおいて、さらに、
前記中間管部に設けられたラッチパネルを有し、このラッチパネルは、前記ロック位置にあるとき前記基部自動ロックのラッチピンを受容するよう構成されるものである入れ子式マスト。
【請求項12】
請求項9記載の入れ子式マストにおいて、さらに、
前記端管部に設けられたラッチパネルを有し、このラッチパネルは、前記ロック位置にあるとき前記中間自動ロックのラッチピンを受容するよう構成されるものである入れ子式マスト。
【請求項13】
請求項9記載の入れ子式マストにおいて、前記基部および中間自動ロックの双方の前記ラッチピンは、ばね作動式である入れ子式マスト。
【請求項14】
請求項9記載の入れ子式マストにおいて、前記基部自動ロックは、前記つば部の片側に設けられた第1の基部自動ロックと、前記つば部の反対側に設けられた第2の基部自動ロックとを有するものである入れ子式マスト。
【請求項15】
請求項9記載の入れ子式マストにおいて、前記中間自動ロックは、前記つば部の片側に設けられた第1の中間自動ロックと、前記つば部の反対側に設けられた第2の中間自動ロックとを有するものである入れ子式マスト。
【請求項16】
請求項9記載の入れ子式マストにおいて、前記中間管部は複数の中間管部を有し、前記中間自動ロックは複数の中間自動ロックを有し、その複数の中間自動ロックの各々は、前記複数の中間管部において前記中間管部の1つに取り付けるつば部を有するものである入れ子式マスト。
【請求項17】
請求項16記載の入れ子式マストにおいて、複数の中間自動ロックにおける各中間自動ロックは、前記つば部の片側に設けられた第1の中間自動ロックと、前記つば部の反対側に設けられた第2の中間自動ロックとを有するものである入れ子式マスト。
【請求項18】
複数の管部を有する入れ子式マストに使用する自動ロックであって、
複数のつば部であって、各つば部はそれに付随する管部に取り付け可能な、複数のつば部と、
複数のばね作動式ラッチピンであって、各ラッチピンは、それに付随するつば部に収容され、前記複数の管部に垂直に配向され、付随する管部とのロック
位置およびロック解除位置間で直線的に移動するよう構成される、複数のばね作動式ラッチピンと、
複数のラッチレバーであって、各レバーは、それに付随するラッチピンに取り付けられ、前記複数の管部に対して平行位置と回転位置間で枢動するよう、かつ、前記付随するラッチピンを前記ロック解除位置へ移動させるよう構成される、複数のラッチレバーと、
複数のガイドプレートであって、各ガイドプレートは、それに付随するつば部に取り付けられ、各ガイドプレートは、それに付随するラッチレバーを前記平行位置から前記回転位置へ移動させるよう構成される、複数のガイドプレートと
を有する自動ロック。
【請求項19】
請求項18記載の自動ロックにおいて、さらに、
付随するつば部に収容され
、前記複数の管部に垂直に配向された少なくとも1つのピストンを有し、当該少なくとも1つのピストンは、直線的に移動して付随するラッチレバーを作動させ、かつ、前記付随するラッチレバーを前記平行位置から前記回転位置へ移動させるよう構成されるものである自動ロック。
【請求項20】
請求項19記載の自動ロックにおいて、さらに、
複数のラッチパネルを有し、各ラッチパネルは、それに付随する管部に設けられ、前記ロック位置にあるとき、付随するラッチピンを受容するよう構成されるものである自動ロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2018年6月5日付で出願された米国仮特許出願第62/680,776号に基づく利益を主張するものであり、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本実施形態は、入れ子式マストに関する。特に、自動ロック/ロック解除する入れ子式マストと併用する用途が見出され、特にそれを参照して記述される。ただし、例示的な本実施形態は、他の同様な用途にも適していることを理解すべきである。
【背景技術】
【0003】
空気圧式に作動される入れ子式マストは当該技術分野で知られており、例えば、自動車、例えば緊急車両または作業車両の屋根に取り付けられる。あるいは、取り付け構成に自動車の床も関与させて、入れ子式マストが自動車の屋根を貫通できるようにする場合もある。前記マストは、一般に、当該自動車上方の高い点に各種装置を位置決めするため使用される。空圧式に作動される入れ子式マストは、特にそのような用途で有利であり、これは前記入れ子式マストが引き込み位置において軽量小型であり、それを取り付けた自動車により現場へ迅速に運搬できるためである。空圧式に作動される入れ子式マストは、加圧空気を使って延長され、また引き込まれ、完全に延長された使用位置では通常垂直であるが、使用位置で傾けられる場合もある。前記入れ子式マストが取り付けられる自動車は、通常、引き込みおよび延長位置間で複数のマスト部を変位させるための圧縮機(コンプレッサー)および適切な空気圧制御を含む。
【0004】
一般的なマストにおいて、各入れ子部は、中空の筒状体であって、その端部に固定されたつば部を伴う中空の筒状体を含む。前記つば部は、入れ子部を隣接する1つまたは複数の入れ子部と回転方向にインターロックするキー溝(またはキー)を含むことができる。前記つば部は、前記筒状体の強化をもたらすこともできる。
【0005】
多数の先行技術マストでは、前記筒状体から外方へ放射状に延出するつば部を各入れ子部の頂部に利用する。そのようなつば部は、多くの場合、入れ子部の筒状体にボルトで固定され、または固定される。これにより、隣接して連結された入れ子部の隣接した(より口径の小さい)筒状体を、より口径の大きな入れ子部に引き込むことができる。このように、各入れ子部は、次のより大きな入れ子部へと引き込み可能である。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 実開昭62-180148号公報
(特許文献2) 米国特許第3,688,455号明細書
(特許文献3) 米国特許第2,708,493号明細書
(特許文献4) 米国特許第9,670,948号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ただし、空気圧式マストのペイロード容量と重量が増すに伴い、稼働中、当該マストの付近または周囲に立つことは安全上、懸念が増すことが理解されるであろう。利用者の安全性に関する懸念は、公知の空気圧式マストで入れ子式マスト部の手動ロックおよびロック解除が必要とされる場合、さらに高まる。
【0007】
上記のマストアセンブリはこれまで商業的に成功してきたが、上述した欠点に対処する改善された入れ子式マストが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な実施形態の一態様によれば、引き込み位置と延長位置間で構成可能な複数の入れ子式管部を有する入れ子式マスト用の自動ロックアセンブリが提供される。本アセンブリは、第1の管部に垂直に取り付けられた第1のラッチピンを含み、この第1のラッチピンは、第2の管部とのロック位置へ向かって事前に付勢され、前記第2の管部に対するロック解除位置へ直線的に移動するよう構成される。第1のラッチレバーは前記第1のラッチピンに取り付けられ、この第1のラッチレバーは、前記第1の管部に対して平行位置と回転位置間で枢動するよう構成される。ガイドプレートは第3の管部に平行に取り付けられ、角度を成した座面は前記ガイドプレートの上部に設けられ、前記ガイドプレートおよび角度を成した座面は、前記第1のラッチレバーに接触するよう構成される。前記第1のラッチピンは、前記第2の管部が前記第1の管部に対して前記延長位置にあるとき、前記第2の管部との前記ロック位置へと直線的に移動するよう事前に付勢される。さらに、前記第1の管部が前記第3の管部に対して前記引き込み位置にあるとき、前記第1のラッチピンは、前記第1のラッチレバーの枢動により前記ロック位置から前記ロック解除位置へ直線的に移動し、前記第1のラッチレバーは、前記ガイドプレートの前記角度を成した座面との接触により前記平行位置から前記回転位置へ枢動し、これにより前記第1の管部に対する前記第2の管部の前記引き込み位置を可能にする。
【0009】
前記例示的な実施形態の別の態様によれば、入れ子式マストが提供される。この入れ子式マストは、複数の入れ子式マスト部であって、基管部と、中間管部と、端管部とを含み、前記中間管部および端管部は、前記基管部内に入れ子式に受容されるようなっている、複数の入れ子式マスト部と、前記基管部に取り付けるつば部を有する基部自動ロックと、前記中間管部に取り付けるつば部を有する中間自動ロックとを含む。前記基部自動ロックおよび前記中間自動ロックの双方は、前記つば部に収容され、ロックおよびロック解除位置間で直線的に移動するよう構成されたラッチピンと、前記ラッチピンに取り付けられ、前記複数の入れ子式マスト部に対して平行位置と回転位置間で枢動するよう構成されたラッチレバーと、前記つば部に取り付けられ、前記複数の入れ子式マスト部と平行に配向されたガイドプレートとを含む。前記基部自動ロックのラッチピンは、前記中間管部が前記基管部の中から完全に延長されたとき、前記中間管部との前記ロック位置へ移動可能である。前記中間自動ロックのラッチピンは、前記端管部が前記中間管部の中から完全に延長されたときには、前記端管部との前記ロック位置へ移動可能であり、前記中間管部が前記基管部に引き込まれたときには、前記中間自動ロックのラッチレバーが前記基部自動ロックのガイドプレートとの接触により前記平行位置から前記回転位置へ枢動したとき、前記端管部との前記ロック解除位置へ移動可能であり、これにより前記端管部を前記中間管部に引き込み可能にする。
【0010】
前記例示的な実施形態のさらに別の態様によれば、複数の管部を有する入れ子式マストに使用する自動ロックが提供される。この自動ロックは、複数のつば部であって、各つば部はそれに付随する管部に取り付け可能な、複数のつば部と、複数のばね作動式ラッチピンであって、各ラッチピンは、それに付随するつば部に収容され、前記複数の管部に垂直に配向され、付随する管部とのロックおよびロック解除位置間で直線的に移動するよう構成される、複数のばね作動式ラッチピンと、複数のラッチレバーであって、各レバーは、それに付随するラッチピンに取り付けられ、前記複数の管部に対して平行位置と回転位置間で枢動するよう、かつ、前記付随するラッチピンを前記ロック解除位置へ移動させるよう構成される、複数のラッチレバーと、複数のガイドプレートであって、各ガイドプレートは、それに付随するつば部に取り付けられ、各ガイドプレートは、それに付随するラッチレバーを前記平行位置から前記回転位置へ移動させるよう構成される、複数のガイドプレートとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示に係る例示的なマストアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の前記例示的なマストアセンブリの拡大斜視図であり、入れ子にされた位置にある入れ子部を示したものである。
【
図3】
図3は、
図1の前記例示的なマストアセンブリの拡大横断面図であり、入れ子にされた位置にある基管部および第1の中間管部を示したものである。
【
図4】
図4は、
図1の前記例示的なマストアセンブリの拡大横断面図であり、このマストアセンブリが延長されてロック位置にあるときの、基管部とそれに対応する自動ロックアセンブリを示したものである。
【
図5】
図5は、
図1の前記例示的なマストアセンブリの拡大横断面図であり、このマストアセンブリが延長されてロック位置にあるときの、第1の中間管部とそれに対応する自動ロックアセンブリを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で説明するのは、入れ子式マストであって、当該マストの内圧が外部の大気圧に対して高まると延長する、入れ子式マストである。この入れ子式マストの各管部は、ラッチパネル(前記管部の外面の周囲に溶接された)が、その次のより大きな隣接する管部に固定されたつば部に接触すると、その最大延長高さに達する。これが起こると、前記つば部アセンブリ上のラッチまたはロックピン(ばねで事前に付勢された)が前記管部のラッチパネルの切り欠きに係合する。前記マストが完全に延長されると、各つば部アセンブリのラッチピンは、次のより小さい隣接する前記管部の前記ラッチパネルの切り欠きに係合する。前記マストの内圧は、次に、前記ロックピンと管部のラッチパネルとの正の接触(positive contact)が前記マストを延長状態に保つとともに、大気圧へと低減される。
【0013】
前記マストを引き込むには、前記マストの内圧を上げて管とペイロード重量による前記ピンからの付勢を取り除かなければならない。基管部つば部の底部に取り付けられた空気シリンダーが、次いで作動される。その空気シリンダーのピストンが前記基管部つば部のラッチレバーに接触し、転じて前記ラッチレバーが前記ロックピンを作動させて、次のより小さい隣接する前記管部の前記ラッチパネルの前記切り欠きから前記ロックピンを外す。前記マスト内の圧力が次に低減され、前記ロック解除された管部が引き込まれるようにする。前記引き込みの最後には、前記ロック解除された部分の前記つば部の前記ラッチレバーが、より下方のつば部のガイドプレートまたはベアリングに接触することにより、前記ロックピンを作動させ、それらの前記ロックピンを次のより小さい隣接する前記管部の前記ラッチパネルの前記切り欠きから外す。この工程は、すべてのロックピンが作動されて前記マストが完全にロック解除され、引き込まれるまで繰り返される。
【0014】
ここで図面を参照すると、これらが示しているのは単に本開示の例示的な実施形態を図示することを目的としたものであり、それらの限定を目的としたものではなく、
図1は、本開示に係る例示的な自動ロック・マストアセンブリ100を例示している。前記マストアセンブリ100は、一般に、頂部または上部104と、底部または下部106とを有する基部または基管部102を含む。入れ子部108は、全般的に前記マストアセンブリ100の前記頂部または上部104に隣接して位置するものとして例示されている。ただし、このような構成は単に例示的なものであり、前記入れ子部の特定の位置は非限定的である。例えば、前記入れ子部108は、代替的に前記下部106に隣接して位置してもよい。自動ロック/ロック解除システム110も示されており、これは一般に前記マストアセンブリ100の前記入れ子部108の片側または両側に位置する。
【0015】
さらに
図2および3を参照すると、
図1の前記マストアセンブリ100の前記入れ子部108は、全体として複数の入れ子式マスト部103a~103fから構成されている。前記マスト部103a、103b、103c、103d、103e、および103fの各々は、通常、隣接する基部または基管部102に入れ子式に受容されることが理解されるであろう。本開示は空気圧式または液圧式に作動されるマストに関するため、前記入れ子式マスト部は、一体的に封止することにより、加圧空気または流体を使って前記入れ子式マスト部103a~103fを互いから、および/または前記基部102から延長可能にすることができる。
【0016】
引き続き
図2を参照すると、前記自動ロック/ロック解除システム110は、前記マストアセンブリ100の前記入れ子部108の両側に位置するものとして例示されている。すなわち、当該自動ロック/ロック解除システム110は、前記入れ子部108の片側に位置する自動ロックアセンブリ112の第1のスタックと、前記入れ子部の対向する側に位置する自動ロックアセンブリ114の第2のスタックとを含むものとして示されている。ただし、このような構成は単に例示的なものであり、前記自動ロック/ロック解除システム110には、自動ロックアセンブリのスタックを任意の望ましい数だけ含められることを理解すべきである。例えば、自動ロック/ロック解除システム110は、本開示の範囲を逸脱することなく、自動ロックアセンブリの単一スタックまたは2若しくはそれ以上のスタックを含むことができる。特定の数の望ましい自動ロックアセンブリ・スタックは、例えば、前記マストアセンブリのサイズまたは前記マストアセンブリに取り付け可能な任意のペイロードの重量に応じて異なり、より大きなサイズのマストおよびより重いペイロードは、より小さいサイズのマストおよびより軽いペイロードと比べて、付加的な自動ロックアセンブリ・スタックを必要とする場合がある。
【0017】
引き続き
図2を参照すると、
図3~5にさらに詳しく示すように、自動ロックアセンブリ112、114のスタックは、それぞれ全体として少なくとも1つの基部自動ロック116およびn-1個の中間自動ロック118を含み、ここで、nは所与のマストアセンブリに含まれる入れ子式マスト部の数に等しい。例えば、前記マストアセンブリ100は、
図2に例示したように6つの入れ子式マスト部103a~103f(すなわち、n=6)を含む。そのため、5つの中間自動ロック118a~118e(すなわち、6-1)が、入れ子式マスト部103a~103eに設けられている。マスト部103fは、入れ子部108の最後の部分であり、この最後の部分の上には付加的なマスト部をロックする必要がないため、自動ロックを必要としない。中間自動ロック118a~118eは、それぞれ通常異なるサイズの入れ子式マスト部103a~103eに対応するが、前記中間自動ロックの特徴は略同一である。そのため、前記第1の中間自動ロック118aについてのみ、
図3および5のさらに詳細な例示で説明するが、前記中間自動ロックの各々は、全般的に同じ特徴を含むことを理解すべきである。
【0018】
いずれの場合も、本開示の所与のマストアセンブリに含めることのできる前記自動ロックアセンブリの各スタックにおける第1の自動ロックは、通常、基部自動ロックアセンブリ、例えば
図2に例示し、
図3および4により詳しく示す基部自動ロック116である。この基部自動ロックアセンブリ116は、前記基部または基管部102に取り付けられ、一般に、作動シリンダー本体120と、つば部126と、ラッチピン128と、ラッチレバー132と、ガイドプレート134と、ガイドベアリング136とを含む。本開示の範囲を逸脱することなく、前記作動シリンダー120の代わりに電動アクチュエータ(図示せず)を使うこともできる。水平な孔121は、前記シリンダー本体120の中央に位置し、ピストン122を収容し、その往復動を可能にするようサイズ調整される。入口/出口124は、前記孔121に流体的に接続されて、前記孔との間に加圧流体を提供する。前記加圧流体は、前記孔121に提供され、またはそこから放出されると、前記孔内での前記ピストン122の往復動を可能にする。前記ピストン122は、前記垂直に配向された基管部102に略垂直に、かつ、前記水平に配向された孔121に略平行に配向される。前記ピストン122の受力端部122aは、前記基管部102に隣接して配置され、作動端部122bは、前記ラッチレバー132およびガイドプレート134に略隣接して設けられる。
【0019】
前記ラッチレバー132およびガイドプレート134は、前記水平に配向されたピストン122に略垂直に、かつ、前記垂直に配向された基管部102に略平行に配向される。さらに、前記ラッチレバー132およびガイドプレート134は互いに略隣接して設けられ、前記ガイドプレート134のほうがより前記基管部102に近い距離に配置される。言い換えると、前記ラッチレバー132は、全体として前記基管部102から離れる方向に面する前記ガイドプレート134の表面上に、またはこれに隣接して配置される。前記ガイドプレート134の貫通孔135aは、前記ピストン122の前記作動端部122bが当該貫通孔135aを貫通して延出し、前記ラッチレバー132に接触できるようにする。前記ガイドプレート134は、さらに、その頂部または上部134bに設けられたガイドベアリング136を含み、このガイドベアリングは、前記基管部102へ向かって内方へ角を成す。前記ガイドベアリング136は、前記中間自動ロックアセンブリ118aの前記ラッチレバー146と相互作用するようなっている座面138を提供する(
図3を参照)。
【0020】
前記基部つば部126は、前記基部自動ロックアセンブリ116を前記基部または基管部102に取り付ける手段を提供する。この場合、前記基部つば部126は、前記基管部102の上端に取り付けられ、前記基管部の口径に対応した口径を有する。換言すると、前記基部つば部126は、前記筒状の基管部102の開口端に挿入されるようなっており、および/または前記基管部の口径の周囲でその上方の開口端に隣接して嵌着するようなっている略環状体である。したがって、前記基管部102および前記基部つば部126は、各々の外周の周囲に完全にネジ切りされた貫通孔(図示せず)を備えることができ、双方の構成要素の貫通孔は、前記基部つば部を前記基管部に固定する固定手段(図示せず)を受容するよう位置合わせされる。付加的または代替的に、前記基部つば部126は前記基管部102に溶接できる。前記基部つば部126は、任意の適切な材料、例えば金属または複合材料で作製できる。前記基部つば部126は、任意の適切な1または複数の製造工程、例えば金型成形、鋳造、機械加工などで作製できる。
【0021】
上述のように、前記基部つば部126は、前記基部自動ロックアセンブリ116を前記基管部102に取り付ける手段を提供する。しかし、前記基部つば部126は、前記基部自動ロックアセンブリ116の種々の構成要素を当該基部つば部自体に取り付ける手段も提供する。そのため、適切な締結物、例えばねじ131を受容するようなっている前記基部つば部126に、複数の皿穴129を設けることができる(
図4を参照)。前記皿穴129は、一般に、前記自動ロックアセンブリ116の前記作動シリンダー120およびガイドプレート134を前記基部つば部126に固定するため使用される。前記基部自動ロックアセンブリ116の前記作動シリンダー120およびガイドプレート134を前記基部つば部126に固定するうえで十分な空間を提供するため、前記基部つば部126は水平に配向されたアーム部127を含み、これらの構成要素を前記アーム部127に取り付けることができる。前記アーム部127は、垂直に配向された前記基管部102から一定距離だけ延出し、前記基管部102に略垂直で、前記複数の皿穴129を含むことができる。
【0022】
前記基部つば部126の前記アーム部127は、前記ラッチピン128を収容し、その往復動を可能にするようにも構成される。この場合、前記ラッチピン128は、前記基部つば部126の前記アーム部127の中央に位置する貫通孔133に内設される。前記ラッチピン128は、前記垂直に配向された基管部102に略垂直に、かつ、前記水平に配向されたアーム部127に略平行に配向される。前記ラッチピン128のロック端部128aは、前記基管部102に隣接して配置され、その反対側の端部128bは、前記ラッチレバー132およびガイドプレート134に隣接して配置される。端部128bは、機械的な力を生成するもの、例えばばね130も含み、これにより前記貫通孔133内での前記ラッチピン128の往復動が可能になる。さらに、前記ラッチレバー132は、前記ラッチピン128の端部128bで前記ばね130の前部に取り付けられることにより、前記ばねが、前記ラッチピン128において形成される段差または張り出し部と、前記ガイドプレート134との間に位置付けられるようになっている。前記ラッチレバー132およびラッチピン128の取り付け構成により枢動点が生じ、それを中心として前記ラッチピンが前記基管部102に対し内旋および外旋できる。
【0023】
それぞれ切り欠き156を含む、より小さい隣接する前記入れ子式マスト部(すなわち、103a)には、1若しくはそれ以上のラッチパネル148が内設される。各ラッチパネル148の前記切り欠き156は、前記ラッチピン128の前記ロック端部128aを受容するよう構成される。より具体的にいうと、前記ばね130は、前記ラッチピン128の前記ロック端部128aを各ラッチパネル148の前記切り欠き156に係合させることにより、前記入れ子式マスト部103aを基管部102に対して延長位置へとロックする。これは、前記マスト部103aが前記基管部102から垂直に上方へ入れ子式に伸縮する際の延長工程中に起こる。また、前記ガイドプレート134の第2の貫通孔135bと、前記ラッチレバー132の貫通孔137とは、前記ラッチピン128の端部128bがそれらを貫通して延出できるようにする。すなわち、貫通孔135bおよび137は、前記ラッチピン128が前記ラッチパネル148の前記切り欠き156に対して係合および係合解除できるようにする。前記ラッチピン128は、前記ピストン122の略上方に配置される。
【0024】
ここでさらに
図2、3、および5を参照すると、前記中間自動ロックアセンブリ118aは、それに対応した入れ子式マスト部103aに取り付けられ、一般に、中間つば部140aと、ラッチピン142と、ラッチレバー146と、ガイドプレート150と、ガイドベアリング152とを含む。前記ラッチレバー146およびガイドプレート150は、前記水平に配向されたラッチピン142に略垂直に、かつ、前記垂直に配向された入れ子式マスト部103aに略平行に配向される。さらに、前記ラッチレバー146およびガイドプレート150は互いに略隣接して設けられ、前記ガイドプレートのほうがより前記入れ子式マスト部103aに近い距離に配置される。言い換えると、前記ラッチレバー146は、全体として前記入れ子式マスト部103aから離れる方向に面する前記ガイドプレート150の表面上に、またはこれに隣接して配置される。前記ガイドベアリング152は、前記ガイドプレート150の頂部または上部150bに設けられ、前記基管部102へ向かって内方へ角を成す。前記ガイドベアリング152は、後続する中間自動ロックアセンブリ118bの前記ラッチレバーと相互作用するようなっている座面154を提供する(
図2を参照)。
【0025】
前記中間つば部140aは、前記中間自動ロックアセンブリ118aを前記基部または基管部102に取り付ける手段を提供する。この場合、前記中間つば部140aは、入れ子式マスト部103aの上端に取り付けられ、この入れ子式マスト部の口径に対応した口径を有する。換言すると、前記中間つば部140aは、前記入れ子式マスト部103aの開口端に挿入されるようなっており、および/またはそのマスト部の口径の周囲でその上方の開口端に隣接して嵌着するようなっている略環状体である。したがって、前記入れ子式マスト部103aおよび前記基部つば部140aは、各々の外周の周囲に完全にネジ切りされた貫通孔(図示せず)を備えることができ、双方の構成要素の貫通孔は、前記中間つば部を前記入れ子式マスト部に固定する固定手段(図示せず)を受容するよう位置合わせされる。付加的または代替的に、前記中間つば部140aは前記入れ子式マスト部103aに溶接できる。前記中間つば部140aは、任意の適切な材料、例えば金属または複合材料で作製できる。前記中間つば部140aは、任意の適切な1または複数の製造工程、例えば金型成形、鋳造、機械加工などで作製できる。
【0026】
上述のように、前記中間つば部140aは、前記中間自動ロックアセンブリ118aを前記入れ子式マスト部103aに取り付ける手段を提供する。しかし、前記中間つば部140aは、前記中間自動ロックアセンブリ118aの種々の構成要素を当該基部つば部自体に取り付ける手段も提供する。そのため、適切な締結物、例えばねじ145を受容するようなっている前記中間つば部140aに、1若しくはそれ以上の皿穴143を設けることができる(
図5を参照)。前記1若しくはそれ以上の皿穴143は、一般に、前記中間自動ロックアセンブリ118aの前記ガイドプレート150を前記中間つば部140aに固定するため使用される。前記ガイドプレート150を固定するうえで十分な空間を提供するため、前記中間つば部140aは、前記ガイドプレートを取り付けられる水平配向されたアーム部141を含む。前記アーム部141は、垂直に配向された前記入れ子式マスト部103aから一定距離だけ延出し、前記入れ子式マスト部103aに略垂直で、前記1若しくはそれ以上の皿穴143を含むことができる。
【0027】
前記中間つば部140aの前記アーム部141は、前記ラッチピン142を収容し、その往復動を可能にするようにも構成される。この場合、前記ラッチピン142は、前記中間つば部140aの前記アーム部141の中央に位置する貫通孔147に内設される。前記ラッチピン142は、前記垂直に配向された入れ子式マスト部103aに略垂直に、かつ、前記水平に配向されたアーム部141に略平行に配向される。前記ラッチピン142のロック端部142aは、前記入れ子式マスト部103aに隣接して配置され、その反対側の端部142bは、前記ラッチレバー146およびガイドプレート150に隣接して配置される。端部142bは、機械的な力を生成するもの、例えばばね144も含み、これにより前記貫通孔147内での前記ラッチピン142の往復動が可能になる。さらに、前記ラッチレバー146は、前記ラッチピン142の端部142bで前記ばね144の前部に取り付けられることにより、前記ばねが、前記入れ子式マスト部103aと、前記ガイドプレート150との間に位置付けられるようになっている。前記ラッチレバー146およびラッチピン142の取り付け構成により枢動点が生じ、それを中心として前記ラッチピンが前記入れ子式マスト部103aに対し内旋および外旋できる。
【0028】
それぞれ切り欠き160を含む、後続して隣接するより小さい前記入れ子式マスト部(すなわち、103b)には、1若しくはそれ以上のラッチパネル158が内設される。各ラッチパネル158の前記切り欠き160は、前記ラッチピン142の前記ロック端部142aを受容するよう構成される。より具体的にいうと、前記ばね144は、前記ラッチピン142の前記ロック端部142aを各ラッチパネル158の前記切り欠き160に係合させることにより、前記入れ子式マスト部103bを入れ子式マスト部103aに対して延長位置へとロックする。これは、前記マスト部103bが前記マスト部103aから垂直に上方へ入れ子式に伸縮する際の延長工程中に起こる。また、前記ラッチレバー146の貫通孔149と、前記ガイドプレート150の貫通孔151とは、前記ラッチピン142の端部142bがそれらを貫通して延出できるようにする。すなわち、貫通孔149および151は、前記ラッチピン142が前記ラッチパネル158の前記切り欠き160に対して係合および係合解除できるようにする。
【0029】
上記の前記例示的なマストアセンブリ100の前記種々の構成要素を鑑み、以下、前記マストアセンブリの動作および前記自動ロック/ロック解除システム110の前記自動ロック/ロック解除機能について説明する。前記本開示のマストアセンブリ100の動作は、主に前記基管部102と、前記第1の中間マスト管部103aと、前記第2の中間マスト管部103bとに関して説明するが、残りの中間マスト管部103c~103fの特徴は全般的に同一であるため、これら他の中間マスト管部は、前記第1および第2の中間マスト管部と実質的に同じ態様で動作することを理解すべきである。
【0030】
図3を参照すると、前記マストアセンブリ100の前記基管部102および中間入れ子式マスト部103aが、入れ子にされた位置で例示されている。前記基管部102およびすべての中間入れ子式マスト部103a~103fの入れ子にされた位置は、
図2にも例示されている。前記第1の中間入れ子式マスト部103aを延長することが望ましい場合は、当該マスト全体(すなわち、基管部102および中間部103a~130f)の内圧が外部の大気圧に対して高められて、前記第1の中間マスト部を前記静止状態の基管部から離れる方向へ延長させる。
図4に例示するように、前記第1の中間管部103aは、当該第1の中間管部の外面の周囲に設けられた前記ラッチパネル148が前記基管部102の前記基部つば部126に接触するとき、最大延長高さに達する。一度これが起こると、前記基部つば部126のラッチピン128(ばね130により事前に付勢された)が前記第1の中間管部103aの前記ラッチパネル148の前記切り欠き156に係合し、それにより前記入れ子式マスト部103aを基管部102に対して延長位置にロックする。
【0031】
図5に例示するように、前記第2の中間管部103bは、当該第2の中間管部の外面の周囲に設けられた前記ラッチパネル158が前記第1の中間マスト部103aの前記中間つば部140aに接触するとき、最大延長高さに達する。一度これが起こると、前記中間つば部140aのラッチピン142(ばね144により事前に付勢された)が前記第2の中間管部103bの前記ラッチパネル158の前記切り欠き160に係合し、それにより前記第2の中間管部を前記第1のマスト部103aに対して延長位置にロックする。前記マストアセンブリ100が完全に延長されると、各中間つば部アセンブリ(140a~140f)の前記ラッチピンは、次のより小さい隣接する前記管部の前記ラッチパネルの前記切り欠きに係合する。前記マストアセンブリ100の内圧は、次に、前記ラッチピンと管部のラッチパネルとの正の接触が前記マストを延長状態に保つとともに、大気圧へと低減される。
【0032】
前記第1の中間入れ子式マスト部103aを引き込むことが望ましい場合は、当該マスト全体(すなわち、基管部102および中間部103a~130f)の内圧が高められて、管およびペイロードの重量による前記ラッチピンからの負荷を除去する。前記基部つば部120に取り付けられた前記空気シリンダー120が、次いで作動される。より具体的には、前記空気シリンダー120の前記ピストン122が前記基部つば部126の前記ラッチレバー132に接触すると、前記ラッチレバーと前記ラッチピン128間の取り付け構成により生じた前記枢動点により、前記ラッチレバーが前記第1の中間管部103aに対して外旋できるようになる。前記ラッチレバー132のこの回転運動により、前記ラッチピン128が前記第1の中間管部103cから離れる方向へ直線的に引かれ、ばね130により作用する力を上回って、前記第1の中間管部の前記ラッチパネル148の前記切り欠き156から前記ラッチピンを係合解除する。前記マストアセンブリ100内の圧力が次いで低減され、これにより前記第1の中間管部103aがこの時点で基管部からロック解除されて、引き込まれ始める。
【0033】
引き込みの最後には(
図3を参照)、前記ロック解除された第1の中間管部103aの前記中間つば部140aの前記ラッチレバー146が、前記基部つば部126のガイドプレート134およびガイドベアリング136に接触する。前記ラッチレバー146と、前記ガイドプレート134の前記ガイドベアリング136との当該接触により、前記ラッチピン142が作動する。より具体的には、前記ラッチレバー146が前記ガイドプレート134の前記ガイドベアリング136に接触すると、前記ラッチレバーと前記ラッチピン142間の取り付け構成により生じた前記枢動点により、前記ラッチレバーが回動可能になる。前記ガイドプレート134は角度を成して配向されているため、前記ラッチレバー142とガイドベアリング136の接触により、前記ラッチレバーは前記第2の中間管部103bに対して外旋する。前記ラッチレバー142のこの回転運動により、前記ラッチピン142が前記第2の中間管部103bから離れる方向へ直線的に引かれ、ばね144により作用する力を上回って、前記第2の中間管部の前記ラッチパネル158の前記切り欠き160から前記ラッチピンを係合解除する。前記第2の中間管部103bは、この時点で前記第1の中間管部103aからロック解除され、引き込まれ始める。
【0034】
引き込みの最後には、前記ロック解除された第2の中間管部103bの前記第2の中間つば部140bの前記ラッチレバーが、前記第1の中間つば部140aのガイドプレート150およびガイドベアリング152に接触する。前記ラッチレバーと、前記ガイドプレート150の前記ガイドベアリング152との当該接触により、前記第2の中間つば部140bの前記ラッチピンが作動する。より具体的には、前記第2の中間つば部140bの前記ラッチレバー146が前記ガイドプレート150の前記ガイドベアリング152に接触すると、前記ラッチレバーと前記ラッチピン142間の取り付け構成により生じた前記枢動点により、前記ラッチレバーが回動可能になる。前記ガイドプレート150は角度を成して配向されているため、前記ラッチレバーとガイドベアリング152の接触により、前記ラッチレバーは前記第3の中間管部103cに対して外旋する。前記ラッチレバーのこの回転運動により、前記ラッチピンが前記第3の中間管部103cから離れる方向へ直線的に引かれ、それに伴うばねにより作用する力を上回って、それに伴う前記ラッチピンを、前記第3の中間管部の各前記ラッチパネルの切り欠きから係合解除する。前記第3の中間管部103cは、この時点で前記第2の中間管部103bからロック解除され、引き込まれ始める。引き込みが続くに伴い、各中間つば部の前記ロックピンは、その次のより小さい隣接する前記中間管部の前記ラッチパネルの切り欠きから係合解除される。これは、すべてのロックピンが作動されて前記マストアセンブリ100が完全にロック解除され、引き込まれるまで繰り返される。
【0035】
本開示で説明する例示的な自動ロックマストアセンブリは、現在当該技術分野で知られた入れ子式マストアセンブリに勝る利点を多数提供する。例えば、本明細書で説明するマストロック解除方法、より具体的にいうと、前記マストをロック解除する最初の工程は、たやすく遠隔的に制御できる。すなわち、利用者は、前記マストをロックまたはロック解除するうえで前記マストに接触し若しくは触れる必要がない。別の例として、引き込み中に隣接しあうつば部構成要素間で正の接触が起こると、中間および頂部マスト部が自動的にロック解除され、これにより前記マストアセンブリの引き込みにかかる全体的な時間が短縮される。さらに別の例として、本明細書で説明する事前に付勢されたラッチピンは、マスト部移動の最後に定位置で自動的にロックし、これにより前記マストアセンブリの完全な延長にかかる全体的な時間が短縮される。別の例として、本明細書で説明するロックピンは、その最適な製造性とコスト削減をもたらす単純なラッチピン設計である。さらに、本明細書で説明する前記例示的なマストアセンブリの自動ロックおよびロック解除は、水と粉じんの侵入経路を低減し、場合によりこれを排除する。
【0036】
以上、例示的な実施形態について好適な実施形態を参照して説明した。当然ながら、以上の詳細な説明を読み理解すれば、他者も変更形態および修正形態を考案できるであろう。前記例示的な実施形態は、そのような変更形態および修正形態が添付の請求項またはその均等物の範囲内である限り、それらの変更形態および修正形態をすべて含むものと解釈されるよう意図されている。
【符号の説明】
【0037】
100...マストアセンブリ
102...基部または基管部
103a~103f...入れ子式マスト部
103a...第1の中間マスト管部または第1の中間管部
103b...第2の中間マスト管部
103c...第3の中間管部
104...頂部または上部
106...底部または下部
108...入れ子部
110...自動ロック/ロック解除システム
112...自動ロックアセンブリ
114...自動ロックアセンブリ
116...基部自動ロックまたは基部自動ロックアセンブリ
118...中間自動ロック
118a...中間自動ロックアセンブリ
118b...中間自動ロックアセンブリ
120...作動シリンダー本体、作動シリンダー、または空気シリンダー
121...孔
122...ピストン
122a...受力端部
122b...受力端部
124...入口/出口
126...基部つば部
127...アーム部
128...ラッチピン
128a...ロック端部
128b...端部
129...皿穴
130...ばね
131...ねじ
132...ラッチレバー
133...貫通孔
134...ガイドプレート
134b...頂部または上部
135a...貫通孔
135b...第2の貫通孔
136...ガイドベアリング
137...貫通孔
138...座面
140a...第1の中間つば部
140b...第2の中間つば部
141...アーム部
142...ラッチピン
142a...ロック端部
142b...端部
143...皿穴
144...ばね
145...ねじ
146...ラッチレバー
147...貫通孔
148...ラッチパネル
149...貫通孔
150...ガイドプレート
151...貫通孔
150b...頂部または上部
152...ガイドベアリング
154...座面
156...切り欠き
158...ラッチパネル
160...切り欠き