IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャンハイ マイクロポート カーディオフロー メドテック シーオー., エルティーディー.の特許一覧

特許7198838インプラント送達管継手およびインプラント送達システム
<>
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図1
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図2
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図3a
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図3b
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図4a
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図4b
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図4c
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図5
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図6
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図7
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図8
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図9
  • 特許-インプラント送達管継手およびインプラント送達システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】インプラント送達管継手およびインプラント送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020568345
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 CN2019089658
(87)【国際公開番号】W WO2019233353
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】201810590164.2
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516127259
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロポート カーディオフロー メドテック シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI MICROPORT CARDIOFLOW MEDTECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】501 Newton Road, Z.J. Hi-Tech Park, Shanghai 201203,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー シューウェン
(72)【発明者】
【氏名】グイ バオジュー
(72)【発明者】
【氏名】リウ シャン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チェン グオミン
(72)【発明者】
【氏名】リー ユー
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0126121(US,A1)
【文献】特表2003-500105(JP,A)
【文献】特表2015-522388(JP,A)
【文献】特開2016-165493(JP,A)
【文献】特開2017-080608(JP,A)
【文献】特表2014-508552(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0105794(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントを装填および送達するためのインプラント送達管組立体であって、前記インプラント送達管組立体は、その近位端から遠位端に連続して、外管およびカプセルを含み、前記カプセルの内部空洞は、前記インプラントを受けるように適合され、前記カプセルは前記外管の遠位端に位置し、前記カプセルは伸縮構造を有し、前記外管は、前記カプセルが長くなるかまたは短くなるように伸縮動作を行うように前記カプセルを駆動することが可能であり、前記カプセルは少なくとも2つのカプセルセグメントを含み、前記少なくとも2つのカプセルセグメントは、内側から外側に互いに連続してスリーブ結合され、任意の2つの隣接するカプセルセグメントは、前記カプセルが円筒形の伸縮構造を形成するように可動に接続され、前記少なくとも2つのカプセルセグメントは、少なくとも遠位カプセルセグメントおよび近位カプセルセグメントを含み、前記遠位カプセルセグメントの内径は、前記近位カプセルセグメントの内径よりも大きく、前記カプセルが完全に拡張した状態にあるとき、前記遠位カプセルセグメントの遠位端は、前記カプセルの最遠位端を形成し、前記近位カプセルセグメントの近位端は前記カプセルの最近位端を形成することを特徴とする、インプラント送達管組立体。
【請求項2】
請求項に記載の送達管組立体であって、前記遠位カプセルセグメントの近位端は、前記外管の遠位端に取り付けられるかまたは前記遠位端と一体形成され、前記外管が前記遠位カプセルセグメントを駆動して動かすとき、前記遠位カプセルセグメントは他のカプセルセグメントを駆動して動かし、それによって前記カプセルの前記伸縮動作を実現することを特徴とする送達管組立体。
【請求項3】
請求項に記載の送達管組立体であって、前記カプセルが完全に拡張した状態にあるとき、前記カプセルの長さは、全ての前記カプセルセグメントの長さの和以下であり、前記カプセルが完全に収縮した状態にあるとき、前記カプセルの長さは、全ての前記カプセルセグメントのうちの最も長いカプセルセグメントの長さ以上であることを特徴とする送達管組立体。
【請求項4】
請求項に記載の送達管組立体であって、前記カプセルは、前記近位カプセルセグメントの前記近位端に設けられた軸方向の制限構成要素を更に備えることを特徴とする送達管組立体。
【請求項5】
請求項に記載の送達管組立体であって、前記遠位カプセルセグメントの内壁および/または外壁には、前記遠位カプセルセグメントの剛性を補強するように構成された剛性補強部が更に設けられることを特徴とする送達管組立体。
【請求項6】
請求項1に記載の送達管組立体であって、前記少なくとも2つのカプセルセグメントのうち、少なくとも2つの隣接するカプセルセグメントが摺動可能に接続されることを特徴とする送達管組立体。
【請求項7】
請求項に記載の送達管組立体であって、前記2つの隣接するカプセルセグメントのうち、一方のカプセルセグメントには、軸方向に延びるガイドレールが設けられ、他方のカプセルセグメントには、前記ガイドレールに対応するスライダーが設けられることを特徴とする送達管組立体。
【請求項8】
請求項に記載の送達管組立体であって、前記軸方向の制限構成要素はフランジであり、前記フランジは、前記近位カプセルセグメントの内壁から内方に突出することを特徴とする送達管組立体。
【請求項9】
請求項1に記載の送達管組立体であって、前記少なくとも2つのカプセルセグメントのうち、少なくとも2つの隣接するカプセルセグメントが静摩擦により接続されることを特徴とする送達管組立体。
【請求項10】
請求項1に記載の送達管組立体であって、前記カプセルは金属から作製されることを特徴とする送達管組立体。
【請求項11】
請求項1に記載の送達管組立体であって、前記金属は形状記憶合金であることを特徴とする送達管組立体。
【請求項12】
インプラントを装填および送達するためのインプラント送達システムであって、前記インプラント送達システムは、その近位端から遠位端に連続して、
本体と、前記本体上に設けられた制御構成要素とを備える制御ハンドルと、
第1の管組立体と、請求項1~1のいずれか1項に記載のインプラント送達管組立体とを備えるカテーテルであって、前記インプラント送達管組立体は、前記第1の管組立体の外側にスリーブ結合され、前記第1の管組立体の外周エリアの一部は、前記インプラント送達管組立体の前記カプセルの内壁に滑り嵌めされたままであり、前記インプラント送達管組立体の前記外管が前記第1の管組立体に対し軸方向に動くとき、前記カプセルは前記伸縮動作を行うように駆動される、カテーテルと、
を備え、
前記制御ハンドルの前記本体は前記第1の管組立体に接続され、前記制御ハンドルの前記制御構成要素は、前記第1の管組立体に対する前記外管の軸方向の動きを制御するように、前記インプラント送達管組立体の前記外管に接続されることを特徴とする、インプラント送達システム。
【請求項13】
請求項1に記載の送達システムであって、前記外管が前記第1の管組立体の遠位端の方へ動くとき、前記カプセルの長さは増大し、前記外管が前記第1の管組立体の近位端の方へ動くとき、前記カプセルの前記長さは減少し、前記外管および前記第1の管組立体が前記軸方向において静止したままであるとき、前記カプセルの長さは変化しないままであることを特徴とする送達システム。
【請求項14】
請求項1に記載の送達システムであって、前記インプラントを受けるように適合された空間は、前記第1の管組立体と、完全に拡張した状態にある前記カプセルとの間で形成されることを特徴とする送達システム。
【請求項15】
請求項1に記載の送達システムであって、前記第1の管組立体は、その前記遠位端から前記近位端に連続して接続された、テーパ状ヘッド、芯管、固定ヘッド、および曲げ制御可能な内管を備え、
前記カプセルが完全に拡張した状態にあるとき、前記テーパ状ヘッドの近位端は前記カプセルの前記遠位端と係合し、前記テーパ状ヘッドの遠位端は前記カプセルの外側に位置し、前記カプセルが完全に収縮した状態にあるとき、前記テーパ状ヘッドの前記近位端は前記カプセルの前記遠位端から分離され、
前記固定ヘッドの局所部分は、前記カプセルの伸縮プロセス中、前記カプセルと滑り嵌めされたままであり、
前記内管は、前記制御ハンドルの前記本体に接続され、前記外管は、前記内管の少なくとも一部にスリーブ結合されることを特徴とする送達システム。
【請求項16】
請求項1に記載の送達システムであって、前記固定ヘッドには、前記インプラントを固定するように構成された溝が設けられることを特徴とする送達システム。
【請求項17】
請求項1に記載の送達システムであって、前記カテーテルは、前記インプラント送達管組立体の前記近位端にスリーブ結合された第2の管組立体を更に備え、前記インプラント送達管組立体から径方向に離間され、
前記第2の管組立体は、前記制御ハンドルの前記本体に固定されることを特徴とする送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機器の技術分野に関し、より詳細には、インプラント送達管組立体およびインプラント送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、医療機器の分野において、インプラント送達管組立体の剛性および長さについて一定の要件が存在する。しかしながら、高い剛性および長い長さを有するインプラント送達管組立体が、湾曲した経路において安定してインプラントを送達することは困難であり、湾曲した経路において人体から撤退する引込動作を安定して行うことも困難である。
【0003】
例えば、僧帽弁逆流の治療のために経カテーテル僧帽弁置換術(TMVRと略される)等のカテーテル介入方法を用いるとき、人工弁は、まず、身体の外側で圧縮されて送達カテーテル内に入れられ、次に、心尖部カテーテル(apical catheter)等の管腔を通って僧帽弁輪に送達され、次に解放され、自然弁に置き換わるように僧帽弁輪に固定される。ここで、弁ステントの正確で信頼性のある位置決めは、TMVR手術の成功の鍵であるが、僧帽弁の複雑な構造、弁輪の不規則な形状、心室腔における複数の腱索の存在、および心室収縮によって生成される比較的高い心腔内圧等の望ましくない要因が、人工弁の埋め込みおよび弁ステントの位置決めと深刻に干渉し、一連の重篤な合併症につながる場合がある。
【0004】
その一方で、収縮した弁ステントによって生成される外側に広がる径方向の力に耐えるために、現行の人工弁送達機器のカプセルは、一般的に、比較的高い剛性を有する必要がある。さらに、カプセルの長さは一般的に長く(長さは一般的に50mm~70mmである)、これは、人工弁の送達中に、特に、ガイドワイヤの導入および人工弁の解放等のプロセスにおいて、カプセルが比較的高い剛性を有し、変形が困難であることにより、長いカプセルが非常に大きな回転半径を必要とし、場合によっては、上述した回転半径が解剖学的構造の空間サイズよりも大きくなることにつながる。加えて、現行の送達機器は、内管の曲げ制御によって人工弁の位置決めを実現し、位置決めが達成された後、送達トラックは、人工弁の解放位置の精度を確保するために、後続の人工弁の解放中に静的状態に常に留まらなくてはならない。
【0005】
したがって、現行の人工弁送達機器のうちのいくつかは、以下の技術的問題を有する。カプセルは高い剛性および長い長さを有し、曲げ制御状態にある内管も、比較的高い剛性を呈するため、湾曲した経路においてインプラントの送達および送達管組立体の引込動作を行うことが困難である。加えて、高い剛性および長い長さを有するカプセルは、送達管組立体を人工弁の解放中に動かす傾向にあり、これにより、解放される人工弁が望ましくない形で動き、それにより人工弁の埋め込みおよび位置決めの精度が低減する。さらに、インプラントの送達および送達管組立体の引込動作が湾曲した経路において強制的に行われる場合、これは人工弁の後続の解放の安定性を更に低減させるだけでなく、患者の血管腔にも損傷を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記の技術的問題のうちの少なくとも1つに対処するインプラント送達管組立体およびインプラント送達システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
インプラントを装填および送達するためのインプラント送達管組立体が提供される。インプラント送達管組立体は、その近位端から遠位端に連続して、外管およびカプセルを含む。カプセルの内部空洞は、インプラントを受けるように適合される。カプセルは外管の遠位端に位置する。カプセルは伸縮構造を有し、外管は、カプセルを長くするかまたは短くするように伸縮動作を行うようにカプセルを駆動することが可能である。
【0008】
上述したインプラント送達管組立体において、カプセルを伸縮構造として構成することによって、カプセルの長さを軸方向における外管の動きに沿って拡張および収縮させることができ、それによって、インプラント送達管組立体は、湾曲した経路において、インプラントの送達動作および解放後の引込動作を行うことができる。最も重要なことは、インプラント(大動脈弁プロテーゼ、僧帽弁プロテーゼ、三尖弁プロテーゼ等)の解放中、カプセルセグメントの長さを、引込プロセス中に外管が引き込まれるにつれ徐々に低減させることができることである。換言すれば、弁プロテーゼを解放するのと同じ効果を達成しながら、本開示の実施形態における伸縮機能を有するカプセルによって占有される空間は、従来のカプセルによって占有される空間と比較して大幅に低減され、それにより、引込プロセス中の内管に対するカプセルの干渉を効果的に回避し、インプラントの位置決めの精度および信頼性を改善し、インプラントの解放の安定性を確保する。
【0009】
任意選択の実施形態において、カプセルは少なくとも2つのカプセルセグメントを含む。少なくとも2つのカプセルセグメントは、内側から外側に互いに連続してスリーブ結合され、任意の2つの隣接するカプセルセグメントは、カプセルが円筒形の伸縮構造を形成するように可動に接続される。
【0010】
任意選択の実施形態において、少なくとも2つのカプセルセグメントは、少なくとも遠位カプセルセグメントおよび近位カプセルセグメントを含む。遠位カプセルセグメントの内径は、近位カプセルセグメントの内径よりも大きい。カプセルが完全に拡張した状態にあるとき、遠位カプセルセグメントの遠位端は、カプセルの最遠位端を形成し、近位カプセルセグメントの近位端はカプセルの最近位端を形成する。
【0011】
任意選択の実施形態において、遠位カプセルセグメントの近位端は、外管の遠位端に取り付けられるかまたはこれと一体形成され、外管が遠位カプセルセグメントを駆動して動かすとき、遠位カプセルセグメントは他のカプセルセグメントを駆動して動かし、それによりカプセルの伸縮動作を実現する。
【0012】
任意選択の実施形態において、カプセルが完全に拡張した状態にあるとき、カプセルの長さは、全てのカプセルセグメントの長さの和以下である。カプセルが完全に収縮した状態にあるとき、カプセルの長さは、全てのカプセルセグメントのうちの最も長いカプセルセグメントの長さ以上である。
【0013】
各カプセルセグメントの長さが等しい事例において、カプセルが完全に収縮した状態にあるとき、全ての上述したカプセルセグメントのうちの最長のものの長さは、カプセルセグメントのうちの任意のものの長さに等しくすることができる。異なるカプセルセグメントが異なる長さを有する事例では、最長の長さを有するカプセルセグメントの数は少なくとも1つである。すなわち、異なるカプセルセグメントの長さが全て異なるとき、最長の長さを有するカプセルセグメントは1つのみ存在する。カプセルセグメントの一部のみが異なる長さを有するとき、最長の長さを有するカプセルセグメントの数は、1つ、2つまたは3つ以上とすることができる。例えば、5つのカプセルセグメントA、B、C、EおよびDについて、L=L=L=L=Lである場合、上述した最長のカプセルセグメントの長さLは、L=L=L=L=L=Lである。L>L>L>L>Lである場合、L=Lである。L>L=L>L>Lである場合、L=Lである。L=L>L>L>Lである場合、L=L=Lである。L=L=L>L>Lである場合、L=L=L=Lであり、ここで、L、L、L、L、Lは、それぞれ、カプセルセグメントA、B、C、DおよびEの長さに対応する。
【0014】
別の任意選択の実施形態において、カプセルが完全に収縮した状態にあるときに最も外側に位置するカプセルセグメントの長さを最長として構成することができる。例えば、遠位カプセルセグメントの長さを最長として構成することができ、それによって、カプセルが完全に収縮した状態にあるときにカプセルの外形がより平滑になるようにしながら、カプセルと他の管構成要素との間の接続も容易にすることができる。これにより、インプラント送達管組立体全体の送達および引込等の動作が更に容易になる。
【0015】
任意選択の実施形態において、カプセルは、近位カプセルセグメントの近位端に設けられた軸方向の制限構成要素を更に備える。
【0016】
任意選択の実施形態において、遠位カプセルセグメントの内壁および/または外壁には、遠位カプセルセグメントの剛性を補強するように構成された剛性補強部が更に設けられる。
【0017】
任意選択の実施形態において、少なくとも2つのカプセルセグメントのうち、少なくとも2つの隣接するカプセルセグメントが摺動可能に接続される。
【0018】
任意選択の実施形態において、2つの隣接するカプセルセグメントのうち、一方のカプセルセグメントには、軸方向に延びるガイドレールが設けられ、他方のカプセルセグメントには、ガイドレールに対応するスライダーが設けられる。
【0019】
任意選択の実施形態において、軸方向の制限構成要素はフランジであり、フランジは、近位カプセルセグメントの内壁から内方に突出する。
【0020】
任意選択の実施形態において、少なくとも2つのカプセルセグメントのうち、少なくとも2つの隣接するカプセルセグメントが静摩擦により接続される。
【0021】
任意選択の実施形態において、カプセルは金属から作製される。
【0022】
任意選択の実施形態において、金属は形状記憶合金である。
【0023】
カテーテルが提供される。カテーテルは、第1の管組立体と、上記のインプラント送達管組立体とを備える。第1の管組立体は、インプラント送達管組立体のカプセル内にスリーブ結合され、第1の管組立体の外周エリアの一部は、カプセルの内壁と滑り嵌めされたままであり、インプラント送達管組立体の外管が第1の管組立体に対し軸方向に動くとき、カプセルは伸縮動作を行うように駆動される。
【0024】
インプラント送達システムが提供される。インプラント送達システムは、インプラントを装填および送達するために用いることができる。インプラント送達システムは、その近位端から遠位端に連続して、
本体と、本体上に設けられた制御構成要素とを備える制御ハンドルと、
第1の管組立体と、上記のインプラント送達管組立体とを備えるカテーテルとを備える。インプラント送達管組立体は、第1の管組立体の外側にスリーブ結合される。第1の管組立体の外周エリアの一部は、インプラント送達管組立体のカプセルの内壁に滑り嵌めされたままである。インプラント送達管組立体の外管が第1の管組立体に対し軸方向に動くとき、カプセルは伸縮動作を行うように駆動され、
制御ハンドルの本体は第1の管組立体に接続され、制御ハンドルの制御構成要素は、第1の管組立体に対する外管の軸方向の動きを制御するように、インプラント送達管組立体の外管に接続される。
【0025】
上述したインプラント送達システムにおいて、大動脈弁プロテーゼ、僧帽弁プロテーゼまたは三尖弁プロテーゼ等のインプラントの解放プロセス中、カプセルの長さは、引込プロセス中に徐々に低減させることができる。インプラントを解放する同じ効果を達成しながら、本開示の実施形態におけるカプセルによって占有される空間は、従来のカプセルによって占有される空間と比較して大幅に低減され、それにより、引込プロセス中の内管に対するカプセルの干渉を効果的に回避し、インプラントの位置決めの精度および信頼性を改善し、インプラントの解放の安定性を確保する。
【0026】
任意選択の実施形態において、外管が第1の管組立体の遠位端に向かって動くとき、カプセルの長さが増大する。外管が第1の管組立体の近位端に向かって動くとき、カプセルの長さは低減する。外管および第1の管組立体が軸方向において静止したままであるとき、カプセルの長さは変化しないままである。
【0027】
任意選択の実施形態において、完全に拡張した状態において、インプラントを受けるように適合された空間が第1の管組立体とカプセルとの間に形成される。
【0028】
任意選択の実施形態において、第1の管組立体は、その遠位端から近位端に連続して接続された、テーパ状ヘッド、芯管、固定ヘッド、および曲げ制御可能な内管を備える。
【0029】
カプセルが完全に拡張した状態にあるとき、テーパ状ヘッドの近位端はカプセルの遠位端と係合する。テーパ状ヘッドの遠位端がカプセルの外側に位置し、カプセルが完全に収縮した状態にあるとき、テーパ状ヘッドの近位端はカプセルの遠位端から分離されている。
【0030】
固定ヘッドの局所部分は、カプセルの伸縮プロセス中、カプセルと滑り嵌めされたままである。
【0031】
内管は、制御ハンドルの本体に接続され、外管は、内管の少なくとも一部にスリーブ結合される。
【0032】
任意選択の実施形態において、固定ヘッドには、インプラントを固定するように構成された溝が設けられる。
【0033】
任意選択の実施形態において、第2の管組立体は、インプラント送達管組立体の近位端にスリーブ結合され、インプラント送達管組立体から径方向に離間される。第2の管組立体は、制御ハンドルの本体に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一実施形態における人工弁送達デバイスの概略図である。
図2図1に示す第1の管組立体の部分概略図である。
図3a図1に示すインプラント送達管組立体と、第1の管組立体の固定ヘッドとの間の継手の概略断面図である。
図3b】人工弁を装填された送達デバイスの概略断面図である。
図4a】カプセルセグメント間の異なる接続方式を示す概略図である。
図4b】カプセルセグメント間の異なる接続方式を示す概略図である。
図4c】カプセルセグメント間の異なる接続方式を示す概略図である。
図5】完全に拡張した状態にある3つのカプセルセグメントから構成されたカプセルの概略図である。
図6】収縮している図5に示すカプセルの概略図である。
図7】完全に収縮した状態にある図5に示すカプセルの概略図である。
図8】拡張している図7に示すカプセルの概略図である。
図9】一実施形態における制御ハンドルの概略図である。
図10】一実施形態において弁プロテーゼが装填されるときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示の目的、技術的解決策、および利点をより明瞭にするため、本開示は、添付の図面および実施形態を参照して詳細に更に説明される。本明細書に記載の特定の実施形態は、本開示を限定するものではなく、本開示を説明するためにのみ用いられることが理解されるべきである。
【0036】
本開示において、詳細な説明のために概略図が用いられるが、これらの概略図は、本開示の実施形態の詳細な説明を容易にするためにのみ用いられ、本開示の限定として用いられるべきでない。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられるとき、単数形「1つ(a、an)」および「この(this)」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられるとき、「または」という用語は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、「および/または」を含む意味で一般的に使用される。「近位端」および「遠位端」という用語は、同じ物体の対向する端部を指し、「近位端」は、操作者に近い端部を指すのに対し、「遠位端」は、操作者から離れた端部を指す。「前端」という用語は、操作者から離れた端部を指すのに対し、「後端」という用語は、操作者に近い端部を指す。
【0037】
任意選択の実施形態において、図3aを参照すると、弁プロテーゼ3を装填および送達するのに用いることができるインプラント送達管組立体12が開示される。弁プロテーゼ3は、大動脈弁プロテーゼ、僧帽弁プロテーゼまたは三尖弁プロテーゼ等のインプラントとすることができる。インプラント送達管組立体12は、その近位端から遠位端の方向に連続して分散した外管122およびカプセル121を含むことができる。カプセル121の内部空洞は、インプラントを受けるように適合される。カプセル121は外管122の遠位端に設けることができる。上述したカプセル121は伸縮構造を有することができ、管組立体(例えば、以後説明する第1の管組立体11)は、カプセル121内にスリーブ結合することができる。第1の管組立体11は、カプセル121と滑り嵌めされたままである。すなわち、第1の管組立体11の外周エリアの一部は、インプラント送達管組立体のカプセル121の内壁に滑り嵌めされたままである。外管122がその軸方向に沿って第1の管組立体11に対して往復移動するとき、カプセル121は、外管122によって駆動されて、その軸方向に沿って、外管122の往復移動と共に拡張または収縮の伸縮動作を行うことができる。すなわち、カプセル121の長さは、外管122が第1の管組立体11に対し軸方向に往復移動する際に増減させることができる。したがって、インプラントの装填、送達および解放のプロセス中に、カプセル121の長さを要求に応じて拡張および収縮させることができ、それによって、インプラント送達管組立体12は、湾曲した経路等の特殊な状況下で、インプラントの送達、およびインプラントが解放された後の自身の引込動作を容易に行うことができる。好ましくは、外管122は屈曲可能材料から作製される。自身の軸方向における外管122の往復移動は、自身の中心線の方向における外管122の往復移動として理解することもできる。好ましくは、カプセル121は、剛性材料(例えば金属)から作製される。好ましくは、カプセル121の最大外径は、外管122の外径以上であり、それによって、外管の硬さを低減し、それにより血管を保護することができる。
【0038】
任意選択の実施形態において、インプラント送達管組立体12において、カプセル121は、可動に接続された少なくとも2つのカプセルセグメントを含むことができ、隣接するカプセルセグメントは、静摩擦、摺動等によって互いに連続してスリーブ結合され、それによってカプセル121は、例えば円筒形の伸縮構造を形成する。
【0039】
任意選択の実施形態において、図3aを参照すると、インプラント送達管組立体12において、カプセル121を構成するカプセルセグメントは、遠位カプセルセグメントおよび近位カプセルセグメント等を含むことができ、遠位カプセルセグメントの内径は、近位カプセルセグメントの外径以上である。カプセル121が完全に拡張した状態にあるとき、遠位カプセルセグメントの遠位端は、カプセル121の最遠位端(操作者から最も遠い端部)を形成し、近位カプセルセグメントの近位端はカプセル121の最近位端(操作者に最も近い端部)を形成する。近位カプセルセグメントは、第1の管組立体11の局所部分に滑り嵌めされたままである。カプセル121が完全に拡張した状態にあるとき、カプセル121は、外径が拡張方向において遠位端から近位端に段階的に減少する円筒形の伸縮構造を形成する。加えて、遠位カプセルセグメントの近位端は、外管122の遠位端に取り付けるかまたはこれと一体形成することができ、それによって、カプセル121の伸縮動作を実現するために、外管122が軸方向に動くときに、遠位カプセルセグメントが駆動されて動き、それにより他のカプセルを駆動して動かす。
【0040】
任意選択の実施形態において、インプラント送達システムを用いて、大動脈弁プロテーゼ、僧帽弁プロテーゼ、三尖弁プロテーゼ等のインプラントを装填および送達することができる。このインプラント送達システムは、拡張方向において近位端から遠位端に連続して配置される制御ハンドル2およびカテーテル1を備えることができる。図9を参照すると、制御ハンドル2は、本体51と、本体51上に設けられた制御構成要素42とを備えることができる。カテーテル1は、本開示の任意の実施形態に記載の第1の管組立体11およびインプラント送達管組立体12を備えることができる。インプラント送達管組立体12は、第1の管組立体11の外側にスリーブ結合される。第1の管組立体11の外周エリアの一部は、カプセル121の内壁と滑り嵌めされたままである。本体51は第1の管組立体11に接続され、制御構成要素は外管122に接続され、それによって、カプセル121の伸縮動作の範囲を制御するために、制御ハンドル2は、インプラント送達管組立体12の外管122が第1の管組立体11に対し軸方向に動くように制御することができる。インプラント送達管組立体12のカプセル121は、要求に応じて拡張および収縮させることができ、それにより、湾曲した経路等の特殊な経路を通じたインプラントの装填および送達等の動作が容易になる。
【0041】
任意選択の実施形態において、カテーテルが提供される。カテーテルは、実質的にカテーテル1と同じであり、第1の管組立体11およびインプラント送達管組立体12を備える。第1の管組立体11は、インプラント送達管組立体12のカプセル121内にスリーブ結合され、第1の管組立体11の外周エリアの一部は、カプセル121の内壁と滑り嵌めされたままである。外管122は、第1の管組立体11に対し軸方向に動くとき、伸縮動作を行うようにカプセル121を駆動する。
【0042】
任意選択の実施形態において、図1を参照すると、インプラント送達システムは、第2の管組立体13も備えることができる。第2の管組立体13はインプラント送達管組立体12の近位端にスリーブ結合することができ、第2の管組立体13は、制御ハンドル2の本体に固定される。第2の管組立体13およびインプラント送達管組立体12は、径方向に離間している(すなわち、径方向において互いに接触していない)。
【0043】
以後、例として人工弁をインプラントとして用いて、本開示におけるインプラント送達管組立体およびインプラント送達システムを、図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図1は、一実施形態における人工弁送達デバイスの概略図である。図1に示すように、人工弁送達デバイスを弁プロテーゼ3の搬送に適用して、心臓人工弁(人工僧帽弁等)の装填、送達、解放および引込等の動作を行うことができる。デバイスは、カテーテル1と、カテーテル1の近位端に接続された制御ハンドル2とを備えることができる。カテーテル1は、互いにスリーブ結合された、第1の管組立体11、インプラント送達管組立体12、第2の管組立体13等を含むことができる。すなわち、第2の管組立体13は、インプラント送達管組立体12の外側にスリーブ結合することができ、インプラント送達管組立体12は第1の管組立体11の外側にスリーブ結合することができる。説明の便宜上、図1において、第1の管組立体11はインプラント送達管組立体12によって完全に覆われていないが、実際の組立後、インプラント送達管組立体12が完全に拡張した状態にあるとき、第1の管組立体11の先端(操作者から離れた端部)のテーパ状部分を除く全ての部分が、好ましくはインプラント送達管組立体12によって覆われる。
【0045】
任意選択の実施形態において、図1に示すように、第1の管組立体11および第2の管組立体13は、それぞれ制御ハンドル2に接続することができ、制御ハンドル2の制御下で、第1の管組立体11および第2の管組立体13は個々に屈曲することができる。第1の管組立体11および第2の管組立体13に対する制御ハンドル2の曲げ制御動作に関しては、従来技術を参照することができる。
【0046】
好ましくは、(中心線方向における)制御ハンドル2を用いた第1の管組立体11および第2の管組立体13の軸方向の相対移動は制限される。したがって、第1の管組立体11および第2の管組立体13に対し曲げ制御動作を行うとき、第1の管組立体11および第2の管組立体13は制御ハンドル2に対し軸方向に動くことを制限されるため、曲げ制御動作の安定性を改善することが有用である。例えば、様々な方向における制御ハンドル2に対する第1の管組立体11の自由度を効果的に制限し、これにより弁プロテーゼをより良好に固定するために、第1の管組立体11を制御ハンドル2における固定部材に固定することができる。当然ながら、他の実施形態において、第1の管組立体11は、限定ではないが、制御ハンドル2に対する動きが軸方向において生じない限り、要求に応じて制御ハンドル2に対し回転可能であるように構成することもできる。
【0047】
任意選択の実施形態において、図1および図3bに示すように、インプラント送達管組立体12は制御ハンドル2に可動に接続することができる。上述したように、インプラント送達管組立体12は、好ましくは外管122およびカプセル121を備える。例えば、インプラント送達管組立体12の外管122を制御ハンドル2上の可動構成要素(例えば、ねじ棒可動構成要素、またはねじ切りされた可動構成要素)に固定して、可動接続を実現することができる。第1の管組立体11の局所部分は、外側スリーブ122の移動中、カプセルと滑り嵌めされたままである。したがって、インプラント送達管組立体12の外管122は、軸方向において第1の管組立体11に対し往復移動するように制御ハンドル2の可動構成要素によって駆動され、インプラント送達管組立体12のカプセル121は、外管122によって、カプセル121の内部空間の軸方向における長さを増大または減少させるために伸縮動作を行うように駆動され、それによって、弁プロテーゼ3の装填、送達、解放および引込等の動作を実現する。好ましくは、制御ハンドル2は、インプラント送達管組立体12の外管122の往復移動の安定性を改善するために、周方向におけるインプラント送達管組立体12の外管122の動きを制限する(すなわち回転不可能にする)ように構成することもできる。
【0048】
任意選択の実施形態において、インプラント送達管組立体12のカプセル121を用いて、弁プロテーゼを押した状態で保持し、カプセル121は、可動に接続された少なくとも2つのカプセルセグメントを含む。すなわち、互いに可動に接続された複数のカプセルセグメントを用いて、従来の一体形成されたカプセル構造を置き換える。したがって、弁プロテーゼ3の解放プロセス中、カプセルセグメントは収縮およびスリーブ結合され、それによって、カプセル121の長さが引込プロセス中に徐々に減少し、それによってカプセル121によって占有される空間を低減させ、インプラント送達管組立体12は、空間の3次元の湾曲した経路に適合させることができ、これにより弁プロテーゼの解放および引込等の動作が容易になる。加えて、連続してスリーブ結合された伸縮する複数のカプセルセグメントは、比較的高い剛性を有する材料(例えば金属)から作製することができ、これは、高品質の弁置換動作を達成するために、解放プロセス中の弁プロテーゼと弁輪との同軸性および安定性を確保するのに役立つ。
【0049】
上述した実施形態における人工弁送達デバイスによれば、弁プロテーゼ3を解放するプロセス中、カプセル121の長さは、引込プロセス中に低減する。同じ弁プロテーゼ3が解放される場合、この実施形態において解放後にカプセルセグメント121によって占有される空間は、従来のカプセルによって占有される空間と比較して大幅に低減され、それによって、引込プロセス中の内管(第1の管組立体11の一部であり、以下に説明される)に対するカプセル121の干渉を効果的に回避し、それによって、弁ステントの位置決めの精度および信頼性を改善し、人工弁の解放の安定性を確保することができる。
【0050】
任意選択の実施形態において、カプセル121は、まず、完全に収縮した状態にある。弁プロテーゼ3が第1の管組立体11に装填された後、インプラント送達管組立体12の外管122が、第1の管組立体11の遠位端に向かって動くように駆動され、これによりカプセル121の長さが増大し、それによって弁プロテーゼ3がカプセル121の内部空洞内で押された状態で保持される。弁プロテーゼ3がカプセル121の内部空洞内で完全に押された状態で保持されているとき、インプラント送達管組立体12の外管122および第1の管組立体11は、軸方向において比較的不動のままであることができ、ここでカプセル121の長さは不変のままであり、これは、弁プロテーゼ3を送達するとき、圧縮状態にある弁プロテーゼ3がカプセル121の内部空洞内にしっかりと位置決めされることを確保するのに望ましい。インプラント送達管組立体12の外管122が第1の管組立体11の近位端に向かって動く(すなわち、引き込まれる)とき、カプセル121の長さが低減し、弁プロテーゼ3をカプセルのより小さな内部空洞から外方に解放することができる。
【0051】
本開示の着想は、第1の管組立体11に対するインプラント送達管組立体12の外管122の軸方向の動きを利用して、カプセル121の長さを同期して変化させ、それによってカプセル121が限られた心臓解剖学的構造内で人工弁を解放することができ、カプセル121が解放プロセス中に一定の曲率を維持する内管と干渉せず、それによって人工弁の位置決めの精度および信頼性、ならびに人工弁の解放の操作性および安全性を改善するというものである。したがって、他の実施形態において、カプセル121の伸縮長さは、他の形で変更することもでき、これに限定されない。
【0052】
任意選択の実施形態において、カプセル121に含まれるカプセルセグメントのうち、隣接するカプセルセグメントは、弁プロテーゼ3の装填、送達、解放、引込および回復等の動作を容易にするために、互いに連続してスリーブ結合して円筒形の伸縮構造(図4a~図8に示す構造を参照)を形成することができる(例えば、弁プロテーゼ3が良好な位置において解放されない場合、これを回復するために、カプセル121を、再び前方に動き、弁プロテーゼ3を包むように制御することができ、次に、適切な解放位置において弁プロテーゼ3を再び解放することができる)。加えて、カプセル121が完全に拡張した状態にあるとき、任意の2つのカプセルセグメントにおいて、制御ハンドル2から離れたカプセルセグメントの内径は、制御ハンドル2に近いカプセルセグメントの内径よりも大きく、すなわち、可動にスリーブ結合された異なるカプセルセグメントの内径は、カプセルセグメントと制御ハンドル2との間の距離が増大するにつれ徐々に増大し、それによって、カプセルセグメントは、互いに連続してスリーブ結合することができ、これにより弁プロテーゼ3の装填および解放等の動作が更に容易になる。
【0053】
任意選択の実施形態において、インプラント送達管組立体12におけるカプセル121は、少なくとも、遠位カプセルセグメント(例えば第1のカプセルセグメント121a)および近位カプセルセグメント(例えば、第2のカプセルセグメント121b)を備える。制御ハンドル2は、外管122の遠位端を介して遠位カプセルセグメントの近位端に固定される。遠位カプセルセグメントを駆動することによって、他のカプセルセグメント(近位カプセルセグメントおよび残りのカプセルセグメントを含む)が駆動されて動き、それによって、カプセル121は軸方向における伸縮動作を行う。遠位カプセルセグメントは、カプセル121が完全に拡張した状態にあるときに制御ハンドル2から最も離れているカプセルセグメントである。近位カプセルセグメントは、カプセル121が完全に拡張した状態にあるときに制御ハンドル2に最も近いカプセルセグメントである。近位カプセルセグメントは、第1の管組立体11の局所部分と滑り嵌めされたままであるように適合される。残りのカプセルセグメントは、近位カプセルセグメントと遠位カプセルとの間にスリーブ結合されたカプセルセグメントを指す。
【0054】
他の実施形態において、外管122は、遠位カプセルセグメントと一体形成することができる(遠位カプセルセグメントが外管122と一体形成されるとき、遠位カプセルセグメントの材料は他のカプセルセグメントの材料と異なる場合があり、他のカプセルセグメントの材料は、例えば、高い剛性を有する金属材料である場合がある)。カプセルの遠位端の剛性を補強するために、遠位カプセルセグメントには、剛性補強部を設けることができる。例えば、遠位カプセルセグメントには、複数の補強リブが設けられるか、または遠位カプセルセグメントの領域には、異なるメッシュ密度を有する金属メッシュ層が設けられ、それによって、遠位カプセルセグメントの剛性は外管122の剛性よりも高くなる。
【0055】
図2は、図1に示す第1の管組立体の部分概略図である。図1図2に示すように、一実施形態において、第1の管組立体11は、連続して接続された、テーパ状ヘッド111、芯管112、固定ヘッド113、および曲げ制御可能内管115を備えることができ、芯管112と固定ヘッド113との間にステップ114を設けることもできる。テーパ状ヘッド111の遠位端(すなわち、自由端)は、形状が流線型であり、それによって、遠位端は、管腔内を送達されるときに受ける抵抗がより低く、より良好な追跡可能性を有する。加えて、テーパ状ヘッド111の近位端は、完全に拡張したカプセルの内部空洞内に位置決めすることができる。好ましくは、テーパ状ヘッド111は、流線型の頭部と、円筒形の部分(図2を参照、ラベル付けされていない)とを備える。流線型の頭部の底面の直径は、円筒形部分の外周の直径よりも大きく、カプセル121の前端は円筒形部分の外面にスリーブ結合することができ、流線型頭部の底面に当接することができ、カプセル121の外径は、流線型の頭部の底面の直径未満である。したがって、血管壁に傷が付くのを防ぐために、カプセル121の前端面(すなわち、完全に拡張したカプセル121の遠位端面)と、テーパ状ヘッド111との間の拡張する開口部の形成を回避することができる。
【0056】
図3aは、図1に示すインプラント送達管組立体12と第1の管組立体11の固定ヘッド113との間の継手を示す概略断面図である。図3bは、人工弁を装填された送達デバイスの概略断面図である。拡張したカプセル121と外管122との間の位置関係をより明確に示すために、固定ヘッド113の前端(図3aの左端)の第1の管組立体の芯管112等の構造は、図3aにおいて省かれる。図2図3aおよび図3bを参照すると、芯管112を用いて、カプセル121の内部空洞内に位置決めされた弁プロテーゼ3を装填することができ、すなわち、弁プロテーゼ3は、カプセル121の内部空洞内に位置決めし、芯管112にスリーブ結合することができる。弁プロテーゼ3の安定した位置決めおよび信頼性のある送達を容易にするために、収縮状態にある弁プロテーゼ3の一端は、固定ヘッド113に固定され、他端の表面はテーパ状ヘッド111の後端面(すなわち、テーパ状ヘッド111の近位端面)に当接する。固定ヘッド113には、複数の溝を設けることができ、これにより、弁プロテーゼの弁ステントの固定を容易にすることができる。弁ステントをより良好に支持し、装填および回復等の動作中のねじれを防ぐために、固定ヘッド113の遠位端(すなわち、制御ハンドルから離れた固定ヘッド113の端部)にステップ114が設けられる。ステップ114は、大きな内部空間に起因した弁プロテーゼ3のねじれを防ぐために、ライニングとしての役割を果たす。
【0057】
任意選択の実施形態において、図2および図3a~図3bに示すように、内管115は、ポリマー管または中空金属補強管等の曲げ制御可能な管とすることができ、少なくとも1つの金属ワイヤが曲げ制御可能な管に埋め込まれている。曲げ制御の精度を改善するために、複数の金属ワイヤが通常埋め込まれ、内管115の曲げ角度、位置および方向が、様々な金属ワイヤを引くことによって制御される。内管15が金属管であるとき、これは、螺旋編み構造を有する金属補強層、もしくは編みプロセスによって編組された交差編み構造、または切断プロセスによって形成された切り欠き溝構造を有する金属補強層とすることができる。加えて、内管115は、複数の管セグメントを直列に接続することによって形成された中実または中空のマルチモジュール接続管とすることもできる。内管115は、アクティブ曲げ制御を実現することができるため、心房中隔の螺旋パターンをより容易に通過し、自然僧帽弁輪に迅速に到達し、この弁に置き換わる。
【0058】
上記の説明によれば、図1図2および図3a~図3bに示すように、インプラント送達管組立体12は、カプセル121および外管122を備えることができる。弁プロテーゼ3が装填されるとき、カプセル121を用いて弁ステント32を押した状態で保持することができる。第2の管組立体13は安定化管(図示せず)を備えることができ、その特殊な構造および機能については従来技術を参照することができる。安定化管は、外管122の外側にスリーブ結合され、外管122から径方向に離間され、それによって、外管122の動きと干渉しないようにされ、操作者が動いている外管122と接触することを防ぐことができる。弁プロテーゼの装填、解放および回復等の動作を実施するために、外管122はカプセル121に固定され、この外管122を用いて、軸方向における伸縮動作を行うようにカプセル121を駆動する。
【0059】
図3a~図3bに示すように、任意選択の実施形態において、カプセル121は、第1のカプセルセグメント121a(すなわち、遠位カプセルセグメント)および第2のカプセルセグメント121b(すなわち、近位カプセルセグメント)を備える。カプセル121が完全に拡張した状態にあるとき(例えば、インプラントが装填された後かつ解放される前の状態に対応する)、遠位端に位置する第1のカプセルセグメント121aの内径は、近位端に位置する第2のカプセルセグメント121bの内径よりも大きい。他の実施形態において、第1のカプセルセグメント121aと第2のカプセルセグメント121bとの間に別のカプセルセグメントがスリーブ結合されるとき、遠位端に位置する第1のカプセルセグメント121aは、全てのカプセルセグメントの中で最も大きな内径を有するカプセルセグメントであり、近位端に位置する第2のカプセルセグメント121bは、全てのカプセルセグメントの中で最も小さな内径を有するカプセルセグメントである。すなわち、カプセル121が完全に拡張しているとき、異なるカプセルセグメントの内径は、制御ハンドル2からの距離が減少するにつれ、徐々に減少する。示される実施形態において、第1のカプセルセグメント121aおよび第2のカプセルセグメント121bは、円筒形の伸縮構造を形成するように、互いにスリーブ結合することによって可動に接続される。外管122の遠位端は、第1のカプセルセグメント121aの近位端に固定され、第2のカプセルセグメント121bは、固定ヘッド113にスリーブ結合されたままである。外管122は、第1のカプセルセグメント121aを介して軸方向に動くようにカプセルセグメントの各々を駆動し、それによってカプセル121の伸縮動作を実現する。加えて、弁交換の安定性を改善するために、カプセル121は、形状記憶合金等の金属から作製することができる。
【0060】
任意選択の実施形態において、図3a~図3bに示すように、固定ヘッド113における第2のカプセルセグメント121bの一方向制限を実現するために、固定ヘッド113に近い第2のカプセルセグメント121b(すなわち、近位カプセルセグメント)の端部(すなわち、近位端)には、軸方向の制限構成要素123が設けられ、これにより、第2のカプセルセグメント121bが遠位端に向かって延びるときに、第2のカプセルセグメント121bが固定ヘッド113から離れて落下することを防ぐ。図3aに示すように、制限構成要素123は第2のカプセルセグメント121bと一体形成することができ、L字型断面を有することができる。例えば、制限構成要素123は、第2のカプセルセグメント121bの近位端の内壁から内方に突出するフランジである。他の実施形態において、設けられた制限構成要素が、第2のカプセルセグメント121bが固定ヘッド113から離れて落下することを防ぐことができる限り、制限構成要素を固定ヘッド113上に設けることができる。好ましくは、制御ハンドル2の可動構成要素のストロークを制限することによって、第2のカプセルセグメント121bの収縮移動中、第2のカプセルセグメント121bが固定ヘッド113から離れて落下することを防ぐことができる。
【0061】
図4a~図4cは、カプセルセグメント間の異なる接続方式を示す概略図である。図4a~図4cに示すように、任意選択の実施形態において、隣接するカプセルセグメントは、(図4aおよび図4bに示すような)スナップ嵌め接続および(図4cに示すような)静摩擦接続によって接続することができ、それによって、隣接するカプセルセグメントが互いに確実に摺動することができる。カプセルセグメントの製造、組立および使用の柔軟性を改善するために、同じカプセル内の異なるカプセルセグメントは、実際の需要に応じて同じおよび/または異なる方式で接続することができる。
【0062】
別の任意選択の実施形態において、隣接する第1のカプセルセグメント121aおよび第2のカプセルセグメント121bがスナップ嵌め係合を介して接続されるとき、カプセルセグメントは、突起(スライダー)1222と、突起1222を誘導するためのレール(ガイドレール)1211とを設けることによって可動に接続される。いくつかの実施形態では、(図4aに示すように、)突起1222は、第2のカプセルセグメント121bの外壁に設けることができ、レール1211は、第1のカプセルセグメント121aの内壁に設けることができる。いくつかの実施形態では、(図4bに示すように、)レール1211は、軸方向において第2のカプセルセグメント121bの外壁に設けることができ、突起1222は、第1のカプセルセグメント121aの内壁に設けることができる。突起1222の形状は、丸、半円形、矩形または多角形等とすることができ、レール1211の形状は、矩形、卵形、または円形レーストラックの形状等とすることができる。レール1211の数は、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ以上等)である。レール1211および突起1222は、レール1211が突起1222を誘導し制限する役割を果たす限り、互いに整合する。レール1211が卵形または円形レーストラックの形状を取るとき、第2のカプセルセグメント121bは、レール1211に沿って外管122に対し回転することができる。この場合、インプラント送達管組立体12のカプセルセグメントの少なくとも一部は、制御ハンドル2に対し軸方向の動きを行うことができるだけでなく、周方向の回転運動も行うことができる。
【0063】
カプセルが拡張した状態にあるときのカプセルの全体安定性を確保し、弁プロテーゼ3の送達および解放を容易にするために、隣接するカプセルセグメントが静摩擦により接続されているとき、装填状態にある弁プロテーゼの自己拡張ステントによってカプセル121に対し加えられる圧力を用いて、隣接するカプセルセグメント間の静摩擦を増大させることができる。
【0064】
他の実施形態において、実際の需要に応じて、伸縮カプセル構造は、特定のテーパを有し、互いに順に嵌め込まれたスリーブによって実現することもできる。
【0065】
別の任意選択の実施形態において、インプラント送達管組立体におけるカプセルは、二重層、三重層、または多層の格納式伸縮構造を含むことができる。図5は、完全に拡張した状態にある3つのカプセルセグメントから構成されたカプセルの概略図であり、図6は、収縮している図5に示すカプセルの概略図であり、図7は、完全に収縮した状態にある図5に示すカプセルの概略図である。図5図7に示すように、カプセル121は、互いに連続してスリーブ結合された、遠位カプセルセグメント121c、中央カプセルセグメント121dおよび近位カプセルセグメント121eを備えることができる。外管122とカプセル121との間の接続の安定性を増大させるために、遠位カプセルセグメント121cおよび外管122は一体構造とすることができる。送達デバイスが目標位置に近づくプロセス中、(図5に示すように、)カプセル121は、完全に拡張した状態に留まる。送達デバイスが目標位置に達し、インプラントが解放または装填される必要があり、カプセル121が完全に拡張した状態にあるとき、カプセル121が、弁プロテーゼ3の解放を完了させるかまたは弁プロテーゼの装填を容易にするためにカプセルセグメントの各々が連続して順に嵌め込まれた後に形成される、図7に示す完全に収縮した構造になるまで、図6の矢印によって示される方向に沿って連続して動くように中央カプセルセグメント121dおよび近位カプセルセグメント121eを駆動するために、外管122によって、図6の矢印によって示す方向に沿って動くように遠位カプセルセグメント121cを駆動することができる。図7において、近位カプセルセグメント121eは、中央カプセルセグメント121dの内部で完全にスリーブ結合され、中央カプセルセグメント121dは、遠位カプセルセグメント121cの内部で完全にスリーブ結合される。この時点において、カプセル121の全体長さは、遠位カプセルセグメント121cの長さLに等しい。すなわち、完全に収縮した状態にあるカプセル121の長さは、遠位カプセルセグメント121cの長さに等しいことが好ましい。カプセル121の収縮プロセス中、最遠位端に位置し、最も大きな内径を有する遠位カプセルセグメント121cがまず収縮し、次に、内部に設けられたレールに沿って中央カプセルセグメント121dに対し動く。例えば、中央カプセルセグメント121dが遠位カプセルセグメント121cの内部に完全にスリーブ結合されるとき、係合部材とレールとの間の係合力、または遠位カプセルセグメント121cと中央カプセルセグメント121dとの間の静摩擦によって、中央カプセルセグメント121dは、図7に示す完全に収縮した状態にあるカプセル121が形成されるまで、図6の矢印によって示される方向に沿って収縮を続けるように駆動される。図8は、拡張している図7に示すカプセルの概略図である。図7図8に示すように、カプセル121が拡張しているとき、外管122を用いて、最も大きい内径を有する遠位カプセルセグメント121cを、最初に拡張するように駆動し、内側に設けられたレールに沿って、位置B1から遠位端の位置B2まで図8の点線の矢印によって示される方向に動くように駆動する。例えば、係合部材とレールとの間の係合力、または遠位カプセルセグメント121cと中央カプセルセグメント121dとの間の摩擦によって、遠位カプセルセグメント121cが中央カプセルセグメント121dに対し完全に拡張しているとき、中央カプセルセグメント121dは、図5に示す完全に拡張した状態にある構造が形成されるまで、図8における点線の矢印によって示される方向に沿って拡張を続けるように駆動される。
【0066】
他の任意選択の実施形態において、カプセル121が最大限まで収縮されることを可能にしながら、伸縮機能を有するカプセル121の製造および組立を容易にするために、完全に収縮した状態にあるカプセル121の長さは、遠位カプセルセグメント121c、中央カプセルセグメント121dおよび近位カプセルセグメント121eのうちの最も長いものの長さよりも僅かに大きくされる。完全に収縮した状態にあるカプセル121と、最も長いカプセルセグメントとの間の長さの差は、主に、接続要件に起因して隣接するカプセルセグメント間で完全に重なり合うことができない部分から生じる。
【0067】
図9は、上記の実施形態のうちの任意のもののために適合された制御ハンドル2の概略図である。図1図2図3a~図3bおよび図9に示すように、任意選択の実施形態において、制御ハンドルは、手動ハンドル、電動ハンドル、手動-電動ハイブリッドハンドルとすることができる。詳細には、制御ハンドルは、本体51と、本体51上に設けられた制御構成要素52とを備えることができる。本体51は、それぞれ第1の管組立体11および第2の管組立体13に固定することができる。例えば、第1の管組立体11および第2の管組立体13に対する曲げ制御動作を行うために、本体51は、第1の管組立体11の内管に接続することができる。曲げ制御動作の特殊な実施態様に関しては、従来技術を参照することができる。外管122を駆動することによって伸縮動作を行うようにカプセル121を駆動するために、制御構成要素52は、インプラント送達管組立体12の外管122に接続することができ、この制御構成要素52を用いて、第1の管組立体11に対して動くようにインプラント送達管組立体12の外管122を制御し、それによって弁プロテーゼ3の装填および解放等の動作を実施する。
【0068】
別の任意選択の実施形態において、図1図2図3a~図3bおよび図9に示すように、制御ハンドル2に接続され、インプラント送達管組立体12の外側にスリーブ結合された第2の管組立体13は、内管115と同じ材料で作製された管とすることができる。例えば、第2の管組立体13は、右心房および心室中隔の前で曲げ制御を実現し、それによって正確な位置決めを達成するために、曲げ制御可能に補強されたポリマー管もしくは金属管とすることができるか、または補強リングを設けられた金属マルチモジュール接続管もしくはポリマー管等とすることができる。加えて、第2の管組立体13は、弁プロテーゼの装填、埋込、解放および回復等の動作中にオペレータがインプラント送達管組立体12に接触することも防ぎ、それによってインプラント送達管組立体12の動きが影響を受けないことを確保することができる。
【0069】
上述した実施形態における送達デバイスによれば、カプセル121は、介入弁が解放されるときに必要とされる同軸性を確保しながら身体内の介入弁の正確な位置決めを実現し、動作精度を改善し、それによって介入弁の解放品質を効果的に改善するために、介入弁(弁プロテーゼ3)のカプセル121と曲げ制御可能な内管との間の干渉の問題に効果的に対処することができる、複数のカプセルセグメントとして構成される。
【0070】
人工弁送達デバイスの動作プロセスを、以下で図1図2図3a~図3bおよび図9図10を参照して詳細に説明する。
【0071】
まず、前後に動くように可動構成要素(ラベル付けされていない)を駆動するように、制御ハンドル2上の制御構成要素52を電動または手動で駆動することができ、それによって、カプセル121に伸縮動作を行わせるようにインプラント送達管組立体12の外管122が第1の管組立体11および第2の管組立体13に対し前後に動かされ、それによって弁プロテーゼ3の装填および後続の解放等の動作が行われる。弁プロテーゼ3は、弁ステント32上に設けられた弁ステント32および人工弁33を含み、弁ステント32には、(図3および図10に示すように)人工弁33から離れたその端部に係合耳31が設けられる。
【0072】
特に、人工弁33が完全に拡張したカプセルの内部空洞内に装填される必要があるとき、制御ハンドル2の制御構成要素42は、まず、可動構成要素が、制御ハンドル2に近い方向に向けて動くようにインプラント送達管組立体12の外管122を駆動するように動作させることができる。例えば、可動構成要素のストロークは、外管122が制御ハンドル2に向けて適所に動いた後、カプセル121が図7に示す構造を形成するように収縮し、カプセル121の前端面が固定ヘッド113の制御ハンドル2に近い側に位置決めされるように制御され、それによって、弁プロテーゼ3の係合耳31を固定するための第1の管組立体11における固定ヘッド113の溝116が露出される。次に、弁プロテーゼ3の弁ステント32上の係合耳31が1対1の対応関係で溝16と係合し(図10を参照)弁ステント32は、補助具の支援により安定化させることができる。次に、外管122は、制御ハンドル2から離れるように動くように駆動され、それによって、図5に示す構造を形成するように完全に拡張するように遠位カプセルセグメント121c、中央カプセルセグメント121dおよび近位カプセルセグメント121eを駆動し、それによって、カプセル121は弁プロテーゼ3を完全に包み、弁プロテーゼ3の前端面は、図3に示す構造を形成するようにテーパ状ヘッド111の端面に当接し、それによって弁プロテーゼ3の装填ステップが完了する。完全に拡張したカプセル121の長さは、カプセルセグメントの長さの和以下である。
【0073】
他の任意選択の実施形態において、完全に拡張しているときのカプセルの安定性を考慮に入れながら、伸縮機能を有するカプセルの製造および組立を容易にするために、完全に拡張した状態にあるカプセルの長さは、それぞれのカプセルセグメントの長さの和よりも僅かに小さい。長さのこの僅かに小さな部分は、カプセルが完全に拡張しているときの接続要件に起因して隣接するカプセルセグメント間の重なり合う長さから生じる。
【0074】
弁プロテーゼ3が送達デバイスに装填された後、カテーテル1は、テーパ状ヘッド111によって穿刺内に誘導され、ガイドワイヤ(すなわち、金属ワイヤ21)に沿って人体に入り、それによって、インプラント送達管組立体12内のカプセル121は、大腿静脈の血管アクセスを辿り、心房中隔を通過して、疾患した弁輪まで送達される。送達デバイスは、大腿静脈を通じて送られるため、心尖部ルート等の他のルートと比較して、患者の外傷が少なく、この解決策はより広く用いられる。
【0075】
次に、カプセル121が指定された病変部位まで送達されると、まず、制御ハンドル2によって、内管の角度を、弁輪と同軸になるように調整することができ、次に、制御ハンドル2の制御構成要素52の可動構成要素を用いて、外管122を駆動して動かし、それによりカプセル121を収縮するように駆動することができ、それによってカプセル121は嵌め込まれた構造内に徐々に収縮する。カプセル121の長さが減少した後、弁プロテーゼ3が露出され、弁プロテーゼ3は、もはやカプセル121によって押された状態で保持されていないため、弁プロテーゼ3を送達デバイスから離し、指定の位置に解放することができる。弁プロテーゼ3の解放中、設定される送達トラックは、内管115の曲げ制御によって変化しないままとすることができ、それによってカプセル121が僧帽弁に入った後のカプセル121と弁輪との間の同軸性の安定性を維持することができる。
【0076】
最終的に、弁プロテーゼ3が完全に解放された後、カプセル121は、制御ハンドル2によって拡張させ、テーパ状ヘッド111によって閉じることができ(すなわち、テーパ状ヘッド111の一部がカプセル121の内部空洞内に挿入される)、送達デバイスは身体の外側に引き込まれ、それによって、人工弁の置換動作全体が完了する。カプセル121は互いに連続してスリーブ結合された複数のカプセルセグメントを含むため、弁プロテーゼが解放されるとき、引き込まれるカプセルセグメントによって占有される空間は、従来のカプセルによって占有される空間と比較して大幅に低減され、それによって、カプセル121は、内管115の内部空洞内の湾曲チャネルに沿って容易に引き込むことができ、引込中の内管115の曲げ制御に対する影響が低減され、それによって、カプセル121の引込によって生じる動き等の問題が回避され、これは、弁プロテーゼ3の解放の安定性を維持するのに有益である。
【0077】
本開示の実施形態において提供される人工弁送達デバイスは、限定ではないが、大動脈弁プロテーゼ、僧帽弁プロテーゼまたは三尖弁プロテーゼ等の他のインプラントの装填、送達および解放等の動作にも適している。
【0078】
上述した実施形態の技術的特徴は任意の方式で組み合わせることができる。説明を簡単にするために、上述した実施形態におけるそれぞれの技術的特徴の全ての可能な組合せが記載されるわけではない。しかしながら、矛盾がない限り、これらの技術的特徴の組合せは全て本明細書の範囲内にあるとみなされるべきである。
【0079】
上述した実施形態は、本開示のいくつかの実施態様にすぎず、説明は具体的かつ詳細であるが、本開示の範囲に対する限定として解釈されるべきでない。当業者であれば、本開示の保護範囲内にある本開示の概念から逸脱することなく、様々な変更および改善を行うことができることに留意すべきである。したがって、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲の対象であるべきである。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10