(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】水中交通トンネル
(51)【国際特許分類】
E02D 29/063 20060101AFI20221223BHJP
E02D 29/067 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
E02D29/063
E02D29/067
(21)【出願番号】P 2020143826
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】202010738096.7
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520329209
【氏名又は名称】杜 陽
【氏名又は名称原語表記】Yang DU
【住所又は居所原語表記】Group 20,Haifeng Committee,Yangguang Street,Tiexi District,Siping City,Jilin Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杜 地
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-045760(JP,A)
【文献】特開平10-102520(JP,A)
【文献】特開2016-148176(JP,A)
【文献】特開昭48-084435(JP,A)
【文献】特開2003-147793(JP,A)
【文献】米国特許第06450734(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/063
E02D 29/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が水面下の位置に配置された本体、前記本体を水底に接続するためのコネクタ、および前記本体内の通過空間を換気するための換気システムを含み、
前記本体は、通過空間を提供するための第1空洞、および前記第1空洞の下部に位置する第2の空洞を含み、前記第2の空洞には通水穴が設けられ、前記通水穴は水と連通し、水が前記第2の空洞に流れ込み、
前記コネクタは前記本体と水底を接続して水面下の前記本体に対する浮力に対抗し、且つ前記本体を水面下に設置し、
前記換気システムは前記第1空洞と連通して水面の上まで延伸し、少なくとも水中に位置する前記換気システムの一部が外力の衝撃を受けると変形して移動することで、衝撃を受けた時も継続的に換気
し、
前記換気システムは前記本体の延伸方向に沿って間隔を置いて配置され、浮島、および前記浮島と前記第1空洞を接続するホース部を含み、
前記浮島は水面の上に位置し塔の形状を有し、その上部に前記ホース部と連通する空気口が設けられ、
前記ホース部の底部ポートと前記第1空洞の間に水封弁が配置され、前記ホース部は螺旋状を有し、外力の衝撃を受けた時伸縮することで変形量を提供する水中交通トンネル。
【請求項2】
少なくとも一部が水面下の位置に配置された本体、前記本体を水底に接続するためのコネクタ、および前記本体内の通過空間を換気するための換気システムを含み、
前記本体は、通過空間を提供するための第1空洞、および前記第1空洞の下部に位置する第2の空洞を含み、前記第2の空洞には通水穴が設けられ、前記通水穴は水と連通し、水が前記第2の空洞に流れ込み、
前記コネクタは前記本体と水底を接続して水面下の前記本体に対する浮力に対抗し、且つ前記本体を水面下に設置し、
前記換気システムは前記第1空洞と連通して水面の上まで延伸し、少なくとも水中に位置する前記換気システムの一部が外力の衝撃を受けると変形して移動することで、衝撃を受けた時も継続的に換気
し、
前記本体は、その延伸方向に沿って配置され接続された複数段の管体を含み、前記管体の接合位置に封止補強部品が存在し、前記封止補強部品は外側封止シェルおよび内側封止シェルを含み、
前記外側封止シェルは、前記管体の接合位置の周囲を覆い、前記内側封止シェルは2つの隣接する前記管体の2段を含み、2段の前記内側封止シェルと前記外側封止シェルによって密閉作業エリアを形成し、前記管体の接合位置は、メンテナンス作業が容易になるように前記作業エリア内にある水中交通トンネル。
【請求項3】
少なくとも一部が水面下の位置に配置された本体、前記本体を水底に接続するためのコネクタ、および前記本体内の通過空間を換気するための換気システムを含み、
前記本体は、通過空間を提供するための第1空洞、および前記第1空洞の下部に位置する第2の空洞を含み、前記第2の空洞には通水穴が設けられ、前記通水穴は水と連通し、水が前記第2の空洞に流れ込み、
前記コネクタは前記本体と水底を接続して水面下の前記本体に対する浮力に対抗し、且つ前記本体を水面下に設置し、
前記換気システムは前記第1空洞と連通して水面の上まで延伸し、少なくとも水中に位置する前記換気システムの一部が外力の衝撃を受けると変形して移動することで、衝撃を受けた時も継続的に換気
し、
前記本体上に脱出システムが設けられ、前記脱出システムは、前記本体外または前記本体内に配置された安全倉、および前記安全倉内に配置された脱出倉を含み、
前記脱出倉内に人を収容するための酸素含有空間が存在し、前記脱出倉上に側部および頂部に設けられたハッチが存在し、前記脱出倉上にプロペラ推進システムが設けられ、
前記安全倉内に排水管が設けられ、前記排水管は水と連通する水中交通トンネル。
【請求項4】
前記安全倉が前記本体外に位置する場合、前記脱出倉が前記本体の延伸方向に沿って複数存在し、順次開放され使用される請求項
3に記載の水中交通トンネル。
【請求項5】
前記本体の陸に近い両端にトランジション部分が接続され、前記トランジション部分は陸から水中まで順次環状アンカーで接続された陸上区間、出入口トランジション区間、および海中区間を含み、前記海中区間は徐々に下降して前記本体と連通し、
前記陸上区間の底部に支持柱が配置され、前記支持柱と前記本体の間に弾性コネクタが配置され、前記出入口トランジション区間の底部に支持柱およびアンカーロッドが配置され、前記海中区間の底部にアンカーロッドが配置される請求項1
-3のいずれか一項に記載の水中交通トンネル。
【請求項6】
浅海領域に位置する前記本体の底部に岩層に接続された支持柱が配置され、トランジション領域に位置する前記本体の底部に岩層に接続された支持柱およびアンカーロッドおよび/またはスチールケーブルが配置され、深海領域に位置する前記本体の底部に岩層に接続されたアンカーロッドが配置され、前記アンカーロッドは浮力に対抗するために使用される請求項1
-3のいずれか一項に記載の水中交通トンネル。
【請求項7】
前記第1空洞は間隔を置いて配置された外壁および内壁で構成され、前記内壁は多層構造であり、前記外壁と前記内壁の間、隣接する前記内壁の間に、それぞれ前記本体の通過方向に沿う複数の安定化機構が設けられ、前記安定化機構は、前記本体の幅方向に沿って設けられたガイドレールを含み、前記ガイドレール内に複数のプーリーが配置され、それぞれの前記プーリーは回転軸を介してガイドレール内に固定され、前記回転軸は前記本体の通過方向に沿って配置され、前記プーリーはそれぞれ前記外壁、前記内壁、及び隣接する前記内壁に当接される請求項1
-3のいずれか一項に記載の水中交通トンネル。
【請求項8】
前記浮島の底部にベースがあり、前記ベース上にソーラーパネルがあり、前記ソーラーパネルは前記換気システムを介して蓄電装置と電気的に接続され、前記蓄電装置は前記本体内に配置されその内部の電気機器に接続される請求項
1に記載の水中交通トンネル。
【請求項9】
前記本体の水面に対応する位置に警報システムが配置され、前記警報システムは、警報領域を形成するための複数の警報プイ、および警報信号を発するためのソナー装置を含み、前記警報プイが浮島またはフローティングタワーに固定される請求項
1または8に記載の水中交通トンネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通橋およびトンネルの技術分野に属し、特に水中交通トンネルに関する。
【背景技術】
【0002】
経済発展は交通需要の成長を促進し、海をまたぐプロジェクトの開発を加速させた。現在、大きな崩壊のある2つの海岸の間には、主に海橋と海底トンネルの2種類の交通建物がある。
【0003】
本出願者は、先行技術には少なくとも以下の技術的問題があることを発見した。
【0004】
最初のタイプの海を渡る橋は建設が非常に困難であり、一般的には鉄筋を地面に打ち込み、次にセメントを注入して桟橋を形成し、最後に海に橋本体を建設する。変化しやすい海の厳しい環境のため、この種の橋の構造では、大きなスパンを持つ2つの海岸間の安全性と安定性を確保することは非常に困難である。
【0005】
2番目のタイプの海底トンネルは、水上での船舶舶の航行を妨げず、強風や霧などの気象条件の影響を受けない。しかしながら、完全に海底に構築されており、地殻変動、海水圧、津波などの影響が大きく、海底の地質構造が複雑であるため、海底に交通橋やトンネルが敷設されるリスクが高く、安定性や安全性に劣り、また換気の問題や水の浸入防止などの安全問題の解決も困難である。
【0006】
上記の問題に対応して、本出願者は、海面から全体的または部分的に突出する第1の空洞と海水に浸された第2の空洞を含む海上トンネルを開発した。ただし、本出願者は、上記海上トンネルは地殻変動の影響を受けにくいものの、海面からはみ出している部分があり、交通トンネル上方の船舶舶の航行にある程度の影響があることを確認した。
これを鑑み、海上または水上の船舶への影響が小さく安定した構造の橋およびトンネルをどのように得るかが喫緊の課題となっている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、従来技術における既存の海上および海底(水底)、水中交通トンネルが通過する船舶と干渉せずに構造の安定性を確保することが困難である技術的問題を解決した水中交通トンネルを提供することであり、本発明によって提供される多くの技術的解決策中の好ましい技術的解決策によって生み出される様々な技術的効果を以下に説明する。
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を提供する。
【0009】
本発明によって提供される水中交通トンネルは、従来技術と比べて、以下のような有益な効果を有する。本体が安全に水に浸され、海上航行船舶と干渉しにくく、船舶が本体の上を自由に航行でき、同時に第2の空洞は水と連通し、海水が本体の一側に衝突すると、第2の空洞が海水に浸されるため、海水が第2の空洞内に入り、本体が海水によって転倒されにくく、海水の流れは一定のバランスウェイトの役割を果たし、安定性がさらに良くなり、コネクタは本体の浮力および海水の本体側壁に対する衝突力に対抗し、安定で強固であり、本体上の換気システムは、衝撃の時変形して移動することで外力による損傷、落としを防止でき、交通トンネルが良好な換気保障を達成し、安全性がより高く、地震などの地殻変動によるトンネル本体の影響を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施例または従来技術中の技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明で使用する必要がある図面を簡単に説明する。
【
図1】本発明の実施例によって提供される水中交通トンネルの第1視点の模式図である。
【
図2】水中交通トンネルの軸方向断面模式図である。
【
図8】海岸近くの水中交通トンネルの構造模式図である。
【
図9】地質構造による水中交通トンネルの固定方式の模式図である。
【
図10】海面(水面)の警報システムの配置構造の模式図である。
【
図11】海岸と航行ルートの交差点を結ぶ水中交通トンネルの俯瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1、
図2に示すように、本発明は、水中に浸された本体101、コネクタ、および換気システムを含む水中交通トンネルを提供し、本体101の形状は限定されず、直方体または不規則な多角形などであり得る。好ましくは、生産加工に便利であり、海水の衝突力に対抗する本実施例では、本体101は円筒形である。
【0012】
本体101は、通過空間を提供するための第1空洞110、および第1空洞110の下部に位置する第2の空洞120を含み、第2の空洞120は水と連通し、コネクタは本体101と水底を接続して浮力に対抗し、換気システムは第1空洞110と連通して水面の上まで延伸し、換気システムは変形することで衝撃の時継続的に換気する。
【0013】
上記水中交通トンネルは、海中(水中)または海底(水底)に設置可能であり、好ましくは、船舶が自由に通過できるように、本体101を水面下20mの位置に配置し、最深位置に制限なく、実際状況に応じて設置すればよい。
【0014】
第2の空洞120の外壁は、厚鋼板で補強され、第2の空洞120の対称軸の両側壁には、それぞれ通水穴121が設けられ、通水穴121は水と連通し、この時、海水が第2の空洞120の両側から同時に第2の空洞120内に流れ込む。好ましくは、通水穴121が第2の空洞120の両側壁の上方に設けられ、通水穴121が第2の空洞120の下方に設けられる場合と比較すると、海水が容易に第2の空洞120全体を満たし、同時に、海水が第2の空洞120に衝突すると、通水穴121に流れ込み、第2の空洞120への海水の衝突力を低減し、揺れを低減することができる。
【0015】
上記コネクタは、支持されずに浮力に対抗する。コネクタは、具体的に、アンカーロッド130、スチールケーブル、ケーブルなどにすることができる。これらのコネクタは、一定範囲内での移動を可能にし、地殻変動、風、波の影響が小さく、構造がより安定的である。
【0016】
本発明の水中交通トンネルでは、本体101が水中に安全に浸され、海の上の船舶と干渉しにくく、船舶が本体101の上を自由に航行でき、同時に第2の空洞120は水と連通し、海水が本体101の一側に衝突する時、第2の空洞120が海水中に浸される。このため、海水が第2の空洞120内に入り、本体101が海水で転倒しにくく、コネクタが本体101の浮力および海水の本体101側壁への衝突力に対抗し、安定で強固である。本体101上の換気システムは、衝撃を受けたとき変形することで外力による損傷や落としを簡単に防止でき、交通トンネルが良好な換気保障を確保でき、安全性がより高く、地震などの地殻変動によるトンネル本体への影響を低減することができる。
【0017】
実施例1
本実施例は、換気システムの具体的な実施形態を提供し、変形可能に配置され、変形により外力の衝撃を緩和でき、継続的に換気するのを確保する。
図3に示すように、本実施例の換気システムは、本体101の延伸方向に沿って間隔を置いて配置され、浮島170および浮島170と第1空洞110を接続するホース部171を含む。浮島170は水面の上に位置し塔の形状を有し、その上部にホース部171と連通する空気口がある。
【0018】
ホース部171の底部ポートと第1空洞110の間に水封弁176が設けられ、ホース部171は螺旋状であり外力衝撃を受けた時伸縮することで変形量を提供する。
【0019】
浮島170の底部と本体の間に制限部1711が設けられ、該制限部1711は、ホース部171の伸縮を所定範囲内に限制するために使用され、制限部1711は高強度のロープやスチールケーブルであり得る。
図3中に示すように、通常状態では、ホース部171内の本体101と浮島170を接続する底部に自然な弛緩状態となっており、外力衝撃を受けた時、ホース部が伸長して継続的な換気を確保し、ホース部が大きく伸長する時、制限部1711は完全な伸長状態になりホース部の継続的な伸長を限制して、ホース部171が元に回復できないのを防止する。ホース部171は高い支持性能を有するプラスチックで構成される。
図3に示すように、浮島170の底端および本体101に対応する外壁上にそれぞれ制限部1711を固定するための基部1712が設けられる。
【0020】
浮島170の底部には、構造を安定させるための錘層が設けられ、該錘層はリードブロックなどの構造であり得る。構造の安定性を確保するために、浮島全体は鋼材料で形成され、外部は腐食を防ぐためにプラスチック層で覆われている。
【0021】
上記浮島170は塔の形状を有し、空気口が浮島170の上部に設けられ、空気口が水面よりも高く、海面の航行物、風、波、水位変動の影響を受けにくい。ホース部171は軟質材料で構成され、螺旋状で伸縮し屈曲可能であり、浮島170が船舶にぶつかっても、本体101の安全性に影響を与えることなく、衝撃後ホース部171が回復し、継続的に給気、排気作業をして、外力衝撃を受けた時、本体101の換気システムの破壊による安全上の危険を防止する。水封弁176は手動弁や自動感知弁であり得る。自動感知弁の場合、コントローラーおよび水漏れセンサー177が電気的に接続され、水漏れセンサー177により安全上の危険を検出したとき水封弁176を閉じ、最終段の場合手動で水封弁176を閉じることができる。水漏れセンサーは、既存の従来技術であるため、その詳細な構造の説明を省略する。
【0022】
図1および
図2に示すように、換気システムは第1空洞110と連通し、第1空洞110内に照明システムがあり、第1空洞110内に車両が通過するための交通道路150が設けられる。
図1に示すように、交通道路150に浮上列通過領域151、車通過領域152および高架橋153が設けられ、浮上列通過領域151と車通過領域152が離れて配置され、高架橋153の底端が交通道路150に第1支持柱161を介して接続され、高架橋153の頂端が第2の支持柱162を介して本体101の頂端に接続される。好ましくは、車通過領域152、高架橋153の数が2つであり、それぞれ浮上列通過領域151の両側に位置し、それぞれの車通過領域152は、単一車線であってもよく、複数車線であってもよい。
【0023】
図1に示すように、
図1中の車通過領域152は、両側の双方向道路であり、各一方道路の間に連絡橋155が設けられ、連絡橋155は、運転者が緊急時反対方向の車線に入るのを可能にするために使用され、道路の使用がより便利になる。
図1に示すように、下層の車通過領域152に対応する連絡橋155は、浮上列通過領域151と交差し、一定の傾斜を有する。さらに、浮上列通過領域151は独立したトンネルである。好ましくは、該浮上列は磁気浮上列などであり得る。好ましくは、浮上列通過領域151の底部にさらに油圧安定層154が設けられ、油圧安定層154は、従来のスタビライザーまたは油圧ポンプなどの他の圧力安定装置を使用でき、油圧安定層154により、負荷や波などによる浮上列通過領域の瞬間圧力変動を調節し、浮上列通過領域トンネルのバランスを維持する。
【0024】
上記の安全で安定した換気システムが第1空洞110と連通することで、交通道路と換気システムが安定的に継続的に換気でき、第1空洞110内の車両の通過安全性、安定性を確保する。
【0025】
選択可能な実施形態として、
図3および
図4に示すように、本体101は、その延伸方向に沿って配置され接続された複数段の管体を含み、管体の接合位置に封止補強部品600があり、封止補強部品600は、外側封止シェル601および内側封止シェル602を含む。
【0026】
外側封止シェル601は管体接合位置の周囲を覆い、内側封止シェル602は隣接する両管体の2段を含み、2段の内側封止シェル602と外側封止シェル601により密閉な作業エリア603を形成し、管体の接合位置が作業エリア603内に位置しメンテナンス作業に便利である。
【0027】
本体101を構成する複数段の管体が固定的に接続された後、構造強度を向上させ、水の接合位置への進入を防止するために、管体の接合位置に上記封止補強部品600が設けられる。封止補強部品600中の外側封止シェル601および内側封止シェル602は密閉な作業エリア603を形成し、該作業エリア603の作用は以下の通りである。第1に、酸素含有環境であるので、メンテナンス作業に便利であり、
図3中に示すように、ガスおよび電気パイプライン604を介して作業エリア603に接続されて修理や接続作業を行う。第2に、水が外側封止シェル601から進入しても、作業エリア603に存在し、内側封止シェル602で遮断されて第1空洞110内部に入ることができず、作業エリア603に排水パイプライン178が接続され即時の排水を確実にすることができる。上記内側封止シェル602上に搬送開閉扉が設けられ、該弁を介して作業者、作業機器を作業エリア603に搬送することができる。
【0028】
図10に示すように、本体101の通過方向に沿って管壁伸縮スリット115がさらに設けられ、海水の衝突力が管壁伸縮スリット115を介して一定に緩和され、一定の変形に対抗し、流線型の管壁伸縮スリット115は、海風や海波の抵抗をある程度低減することができ、海波、海風の本体101への反力も低減され、本体101の安定性を高める。
【0029】
実施例2
本実施例は、上記実施例1に基づく改良であり、
図5および
図6に示すように、本体101上に脱出システムがあり、脱出システムは本体101の外側または内側に配置された安全倉701、および安全倉701内の脱出倉702を含む。
【0030】
脱出倉702内に人間を収容するための酸素含有空間が設けられ、脱出倉702上に、側部および頂部に設けられたハッチがあり、脱出倉702上にプロペラ推進システムが配置され、安全倉701内に排水構造703が設けられ、排水構造703は水と連通する。
【0031】
上記構造は安全倉701底部に設けられた排水管であり得る。排水管が本体101外の水中まで延伸し、排水管と安全倉701が水弁を介して封止され、排水する必要がある時作動する(起動電磁水弁を使用する)。上記脱出倉702は、完全に封止可能であり、酸素供給システムを備え、その上にプロペラ推進システムおよび翼が配置され、脱出者を乗せて海面200まで安定的に浮上させることができる。上記脱出倉702は、市販されている既存の装置であり得る。酸素含有システム、プロペラ推進システムも海上輸送分野で容易に得られるものであるため、その構造を省略する。当業者は、実際の状況に応じて大型または小型のレスキューカプセルを設置することができ、大型レスキューカプセルの場合、
図6に示すように、安全倉701を本体101の内部に配置され得る。
【0032】
上記安全倉の作用は、脱出倉を腐食から保護し、安全かつ安定して動作できるようにすることである。安全倉自体は、海水の腐食および海洋生物の破壊を防止するために、耐食の高強度材料で形成される。
【0033】
安全倉701には、第1開閉扉および第2の開閉扉が配置され、第1開閉扉は人が入る側部に設けられ、第2の開閉扉が脱出倉を開放するための頂部に設けられる。具体的には、第1開閉扉が第1空洞110内部と安全倉701を接続し、第2の開閉扉が安全倉701と水中を接続する。緊急の時、人員は本体101の両側から安全倉701に到達し、第1開閉扉を開いて安全倉701に入り、脱出倉702の扉本体を開いて脱出倉702中に入る。その後第1開閉扉を閉じ、第2の開閉扉を開き、脱出倉702が水の浮力とともにプロペラ推進システムの動力によって水中へ入り、徐々に水面まで浮上する。上記第1開閉扉および第2の開閉扉には既存の自動扉を使用することができる。
【0034】
選択可能な実施形態として、
図5および
図7に示すように、小型脱出倉702の場合、安全倉701を本体101の外側に配置され、脱出倉702が本体101の延伸方向に沿って複数配置され、順次開放されて使用する。
【0035】
複数列の小型脱出倉702は人員が使用するのに十分な空間を提供でき、本体101の延伸方向に沿って配置され複数のエリアにいる人員ができるだけ早く安全倉701内に到達するのを容易にし、より便利で安全である。上記脱出システムは、水中トンネル内の人員の安全を保証でき、緊急の時該脱出システムを作動させて水中交通トンネルの安全性を確保することができる。
【0036】
実施例3
本実施例は、上記実施例に基づく改良であり、該水中交通トンネルが安定かつ安全に2つの所定地域に接続されるように、上記スチールケーブル、アンカーロッド130などが本体101の水中の部分に配置されることが好ましい。
図8に示すように、本実施例では、本体101の陸に近い両端にトランジション部分が接続され、トランジション部分が陸から水へ順次環状アンカー131によって接続された陸上区間、出入口トランジション区間および海中区間を含み、海中区間が徐々にして本体101と連通し、言い換えれば、本体101がトランジション部分を介して徐々に陸地に接続される。
【0037】
陸上区間の底部に支持柱190が配置され、支持柱190と本体101の間に弾性コネクタが設けられ、該弾性コネクタはスプリングリング191であり得る。ここでは、支持柱190を用いてトランジション部分に支持力を提供し、この箇所には浮力がほとんどないため、アンカーロッド130を設置する必要がなく、支持柱は鉄筋コンクリート製で構造強度を確保する。
【0038】
出入口トランジション区間の底部に、支持柱190、アンカーロッド130および/スチールケーブルが設けられ、海中区間の底部にアンカーロッド130が設けられる。
【0039】
出入口トランジション区間Bから、主に鉄筋コンクリート製の支持柱190によって支持力を提供し、同時にアンカーロッド130と協力して固定される。海中区間Cでは、本体101が徐々に海内(水中)に入るが、この時海水が第2の空洞120を浸すのには十分ではなく、本体101の底部に一定の支持力が必要である。このため、支持柱とアンカーロッド130を結合して固定する方式を採用し、第2の空洞120が完全に海水で十分な深さまで浸されると、本体101はアンカーロッド130による固定方式を採用し、または水深100メートルまたはキロメートルの場合、アンカーロッドに代えてスチールケーブルを使用して浮力に対する対抗性を高める。
図4を参照して、コスト削減のため、上記陸上区間Aにシェル構造を設けず、出入口トランジション区間Bまで一部の外壁および内壁構造を設け、海中区間Cまでシェルの4層構造を完全に設けてもよい。
【0040】
本体101が海中(水中)にある場合、海底の地質状況が異なり、
図9に示すように、海底上層が海底シルト層201であり、その構造が不安定であるため、アンカーロッド130およびスチールケーブルをこの層構造に固定するのは合理的ではない。海底シルト層201の下部は通常耐力のある岩層202であり、アンカーロッド130スチールケーブルなどのコネクタをできるだけこの層に固定することが好ましい。水中交通トンネルの本体101が海中環境に適応できるようにするために、選択可能な実施形態として、浅海領域中の本体101の底部に岩層に接続された支持柱190または支持杭があり、トランジション領域にある本体101の底部に、岩層に接続された支持柱190およびアンカーロッド130および/スチールケーブルがあり、深海領域にある本体101の底部に、岩層に接続されたアンカーロッド130および/またはスチールケーブルがあり、アンカーロッド130は浮力に対抗するために使用される。
【0041】
上記構造によれば、本体101が海中または水底環境に適応でき、海中地形に応じてその底部の構造を柔軟に設定でき、より安定した構造を確保でき、地殻変動の影響を低減する。
【0042】
実施例4
本実施例は、上記実施例に基づく改良であり、本実施例では、本体101の構造に対してより安定した実施形態を提供する。
図1および
図2に示すように、本実施例では、第1空洞110は間隔を置いて配置された外壁111および内壁112で構成され、内壁112が多層構造である。
図1および
図2に示すように、3層の内壁112を含み、外壁111が3層の内壁112と間隔を置いて設けられ3層空洞構造を形成し、且つ3層空洞内に、つまり外壁111と隣接する内壁112の間、隣接する内壁112の間に、それぞれ本体101の通過方向(または本体101長手方向)に沿って複数の安定化機構が設けられる。複数の安定化構造は、間隔を置いて設けられ、安定化機構は本体101の幅方向に沿って設けられたガイドレール141を含む。具体的に、交通道路150が本体101の中部(一径上)に設置されると、ガイドレール141の断面が半円弧形状になる。
【0043】
ガイドレール141内には、複数のプーリー142が設けられ、それぞれのプーリー142が回転軸を介してガイドレール141内に固定され、回転軸が本体101の通過方向に沿って設けられ、プーリー142がそれぞれ外壁111、内壁112、及び隣接する内壁に当接される。
【0044】
上記安定化機構は、内壁112が固定された後、外壁111が海水の作用によって回転すると、プーリー142が外壁111の回転作用を分散でき、外壁111の内壁112への影響をなくして、第1空洞110全体の通過空間を安定させる。外壁111内に3層内壁112の構造が設けられ、層ごと海水の作用力を低減し、より安定した最内層の交通道路を確保でき、外層の影響を受けない。好ましくは、複数のプーリー142がガイドレール141内に均一に設けられる。
【0045】
本体101の外壁は、高樹脂繊維で構成され、内壁が高強度鋼材で構成され、同時に高樹脂繊維および鋼材の使用により、腐食に強いだけでなく、本体101の強度も確保できる。
【0046】
第2の空洞120の底端に錘層180がさらに設けられる。錘層180は、主に密度が比較的大きい材料(例えば耐食鋼板、リードブロックなどを埋める)を直接に第2の空洞120の底端に配置することで形成される。このように、錘層180で重量比を調製し、本体101全体の重心が下に移動し、本体101がより安定になり、転倒しにくい。
【0047】
第2の空洞120、つまり本体101の安定性を高めるために、
図1、
図2および
図3に示すように、第2の空洞120の内部に支持柱122が設けられ、支持柱122が第2の空洞120の内壁および頂端に接続され、支持柱122は少なくとも第2の空洞120中部に設けられた縦柱、および縦柱の両側に設けられた傾斜柱を含む。中部の3本の支持柱122が交通道路に垂直するように設けられる。その作用は、主に交通道路を支持することである。他の2本の支持柱122が対称に縦柱の両側に設けられ、第2の空洞120の側壁および交通道路150に接続される。その作用は、海水が第2の空洞120へ入った後の衝突力を低減することであり、本体101の安定性に悪影響を与えるのを防止する。
【0048】
交通道路の安定性が海流の影響を受けないようにするために、第1空洞と第2の空洞120の接続箇所に油圧安定装置が設けられ、油圧安定装置が路面底部を支持して交通道路の圧力のバランスを取る。上記油圧安定装置は従来のスタビライザー210を使用して交通道路を均一に支持し、スタビライザーにより負荷または波などによる路面の瞬間圧力変動を調節し、交通道路のバランスを維持する。
【0049】
実施例5
本実施例は、上記実施例1に基づく改良である。
図3、
図10に示すように、本実施例では、浮島170の底部にベース173があり、ベース173上にソーラーパネル174が設けられ、ソーラーパネル174に換気システムを介して蓄電装置175が電気的に接続され、蓄電装置175が本体101内に設けられその内部の電気機器に接続される。
【0050】
上記浮島170は換気システム空気口を固定する作用の他、ベース173を設けてベース173上にソーラーパネル174を設置してもよく、ソーラーパネル174が蓄電池に接続され、該天然資源により電気を生成し保存することができ、予備電力として水中トンネル内の電気機器に電力を供給する。
【0051】
航行船舶がトンネルの上方の海面を自由に航行でき、軍事演習、投げなどの海面活動がトンネル本体101に影響を与えるのを防ぎ、選択可能な実施形態として、
図3、
図10および
図11に示すように、本実施例の本体101の水面に対応する位置に警報システムがある。警報システムは、警報領域を形成するための複数の警報プイ172、および警報信号を発するためのソナー装置を含み、警報プイ172が浮島170またはフローティングタワーに固定される。
【0052】
装置のメンテナンスをより容易にするために、好ましくは、浮島の外部に下から上へ延伸する外部メンテナンス用はしご1791が設けられ、ベース173上にメンテナンスポートが設けられ、ベース内にメンテナンスポートに接続された内部メンテナンス用はしご1792がある。ソーラーパネル、錘層などの内部施設に対するメンテナンスが容易になる。ベース173上に保護作用を果たすガードバーが設けられる。
【0053】
浮島のベース173の底面積が安定性の要件を満たすために、その高さは航行船舶300がその上部の空気口と衝突するのを防ぐことができる要件を満たすはずであり、遠方の航行船舶300が警報システムを容易に観察できるようにして、素早く衝撃を避ける。
図3に示される。ベース173は、航行船舶が上部の空気口、警報装置などとの衝撃するのを防止するために、一定の底面積および高さを有する。
【0054】
図11に示すように、水中交通トンネルは、海を挟んで両岸の陸地400を接続し、陸に近く島を接続してトランジットステーションとして機能することができる。航行船舶が所定の航行ルート500に沿って自由に航行でき、水中交通トンネル100の影響を受けない。演習や投げなどの海面活動に対して警報作用を果たす。さらに、本体101の通過方向に沿う両側に警報プイ172によって形成された警報領域がある。なお、本体101の通過方向に沿って複数の警報プイ172が設けられ得る。このほかに、レーダー早期警報と音響波自動警報提示システムにより、船舶舶または潜水艦などの近接を防ぎ、他の潜水艦が本体101に衝撃することを防ぎ、安全性能をさらに向上させる。
【0055】
ソナー装置は海上輸送分野の既存技術であるため、その構造の説明を省略し、水中ビークルが近接していることを検出すると、すぐに警報信号を発し、トンネルとの衝撃を防ぎ、安全性を確保する。
【0056】
上記警報システムにより、海面に下のトンネル本体101の位置をマークして、警報作用を果たし、近くの軍事演習、投げなどの活動によるトンネル損傷を防止する。以上のように、本実施例によって提供される水中交通トンネルは、少なくとも以下の利点を有する。
【0057】
1、船舶は交通トンネルの上を自由航行でき、海水がトンネルの下部に浸透でき、トンネルが海面の下にあるため、水流や海風の影響を簡単に受けない。
【0058】
2、換気システムは完全に伸縮でき、ある程度の外力衝撃などに耐え、第1空洞110で継続的かつ安定的に換気でき、封止補強部品600は管体接続箇所を二重封止して保護し、水の本体101の複数段の管への進入を防止する。
【0059】
3、脱出システムは、交通トンネルに安全保障を提供し、緊急事態が発生した場合、人員が脱出システムを使用して水面に脱出でき、安全を確保し、地震などの地殻変動によるトンネル本体への影響を低減することができる。
【0060】
4、地質構造に応じて、トンネルには、海水で約150メートルの深さで鉄筋コンクリート柱を設け、または支持柱とアンカーロッド130の結合固定方式を採用し、支持力および浮力の結合によりトンネルの安定性を確保し、地殻変動の影響を簡単に受けない。
【0061】
5、警報システムの設置により、海面活動がトンネルに影響を与えることを防ぎ、水下ビークルの近接による衝撃を防止し、安全性を確保する。
【0062】
本明細書での説明、具体的な特徴、構造または特性を、任意の1つまたは複数の実施例または例において適切な方法で組み合わせることができる。
【0063】
以上、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はここに限定されなく、当業者は、本発明が開示する技術的範囲内で容易に想到した様々な変更や置換は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。したがって、本発明の保護範囲は上記の特許請求の範囲によって示される。